(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記媒体は、前記媒体が前記切替ブレードを通過する際に要するブレード通過時間の間に前記媒体が搬送されるブレード通過距離と、前記切替ブレードが搬送方向を切り替える際に要するブレード切替時間の間に前記媒体が搬送されるブレード切替必要距離との和よりも短い媒体間隔を空けて搬送される
請求項1に記載の媒体処理装置。
前記搬送ローラは、前記媒体が前記切替ブレードと前記搬送ガイドとの間で挟み込まれた箇所と、前記搬送ローラとの間隔が、前記媒体の搬送方向の長さよりも短い間隔となる位置に配置される
請求項2に記載の媒体処理装置。
前記制御部は、前記媒体間隔よりも短い間隔で前記媒体が搬送された場合、先行の前記媒体の後に後続の前記媒体に対し前記切替ブレードを切り替えないよう前記切替ブレードを制御する
請求項2に記載の媒体処理装置。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、発明を実施するための形態(以下実施の形態とする)について、図面を用いて詳細に説明する。
【0012】
[1.第1の実施の形態]
[1−1.現金自動取引装置の構成]
図1に外観を示すように、現金自動取引装置1は、箱状の筐体2を中心に構成されており、例えば金融機関等に設置され、顧客との間で入金取引や出金取引等の現金に関する取引を行う。筐体2は、その前側に顧客が対峙した状態で紙幣の投入やタッチパネルによる操作等をしやすい箇所に顧客応対部3が設けられている。
【0013】
顧客応対部3は、カード入出口4、入出金口5、操作表示部6、テンキー7及びレシート発行口8が設けられており、顧客との間で現金や通帳等を直接やり取りすると共に、取引に関する情報の通知や操作指示の受付を行う。カード入出口4は、キャッシュカード等の各種カードを挿入され又は排出する部分である。入出金口5は、顧客が入金する紙幣が投入されると共に、顧客へ出金する紙幣を排出する。操作表示部6は、取引に際して操作画面を表示するLCD(Liquid Crystal Display)と、取引の種類の選択、暗証番号や取引金額等を入力するタッチパネルとが一体化されている。テンキー7は、「0」〜「9」の数字等の入力を受け付ける物理的なキーであり、暗証番号や取引金額等の入力操作時に用いられる。レシート発行口8は、取引処理の終了時に取引内容等を印字したレシートを発行する。
【0014】
筐体2内には、現金自動取引装置1全体を統轄制御する主制御部9や、紙幣に関する種々の処理を行う紙幣入出金機10等が設けられている。主制御部9は、図示しないCPU(Central Processing Unit)を中心に構成されており、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、ハードディスクドライブやフラッシュメモリ等でなる記憶部から所定のプログラムを読み出して実行することにより、各部を制御して入金取引や出金取引等の種々の処理を行う。
【0015】
以下では、現金自動取引装置1のうち利用者が対峙する側を前側とし、その反対を後側とし、該前側に対峙した利用者から見て左及び右をそれぞれ左側及び右側とし、さらに上側及び下側を定義して説明する。
【0016】
[1−2.紙幣入出金機の内部構成]
紙幣入出金機10は、
図2に示すように、制御部12(
図1)が各部(入出金部16、鑑別部18、一時保留部20、搬送部24、紙幣収納庫26及びリジェクト庫28)を統轄制御する。制御部12は、図示しないCPUを中心に構成されており、ROM、RAM、ハードディスクドライブやフラッシュメモリ等でなる記憶部14から所定のプログラムを読み出して実行することにより、各部を制御して入金取引や出金取引等の種々の処理を行う。
【0017】
紙幣入出金機10の内部の上側には、上側に入出金部16、紙幣の金種や真偽を判定する鑑別部18及び入金紙幣等を一時的に保留する一時保留部20等が設けられている。
【0018】
入出金部16は、顧客から投入された紙幣を1枚ずつ分離し搬送部24へ繰り出す。搬送部24は、図示しないローラやベルト等により、図中太線で示す搬送路に沿って長方形の紙幣を短手方向に搬送する。
【0019】
搬送部24は、複数の分岐部30(30a、30b、30c及び30d)を介して、搬送部24a、24b、24c、24d、24e、24f及び24gに区分されている。分岐部30b、30c及び30dは、分岐部30aとほぼ同様に構成されている。搬送部24aは、一端が入出金部16に接続され、他端が搬送部24bに接続されている。搬送部24bは、搬送部24aとの接続点から後方へ向かい鑑別部18を通り分岐部30aまで延びていると共に、搬送部24aとの接続点から前方へ向かい紙幣収納庫26aの上方で下側に方向を変えて後方へ延びリジェクト庫28に接続されている。搬送部24cは、一端が分岐部30aにおいて搬送部24bに接続され、他端が一時保留部20に接続されている。搬送部24dは、一端が分岐部30aにおいて搬送部24bに接続され、他端が入出金部16に接続されている。搬送部24eは、一端が分岐部30bにおいて搬送部24bに接続され、他端が紙幣収納庫26aに接続されている。搬送部24fは、一端が分岐部30cにおいて搬送部24bに接続され、他端が紙幣収納庫26bに接続されている。搬送部24gは、一端が分岐部30dにおいて搬送部24bに接続され、他端が紙幣収納庫26cに接続されている。搬送部24の分岐点には、図中三角形で示すセレクタ32(32a、32b、32c及び32d)が設けられており、制御部12の制御に基づき回動することにより、紙幣の搬送先を切り替える。
【0020】
鑑別部18は、その内部で紙幣を搬送しながら、光学素子や磁気検出素子等を用いて該紙幣の金種及び真偽、並びに損傷の程度等(正損)を鑑別し、その鑑別結果を制御部12へ通知する。また鑑別部18は、撮像した紙幣の画像データから記番号を読み取り識別し、その識別結果を制御部12へ通知する。これに応じて制御部12は、取得した鑑別結果及び識別結果に基づいて紙幣の搬送先を決定する。
【0021】
一時保留部20は、入金時に顧客が入出金部16へ投入し鑑別部18で入金可能と鑑別された正常券を入金が確定するまで一時的に保留する。一方、入金不可と鑑別された不明券は入出金部16へ排出される。また一時保留部20は、出金時において鑑別部18で出金不可能と鑑別された出金不可紙幣を、出金可能な紙幣が出金されるまで一時的に保留し、その後該出金不可紙幣をリジェクト庫28へ排出する。
【0022】
また紙幣入出金機10の内部には、下側に金種別の紙幣収納庫26(26a、26b及び26c)と、鑑別部18において破損した紙幣(いわゆる損券)と鑑別された紙幣、偽造券と判別された紙幣及び5千券や2千券等の還流されない金種の紙幣を格納するリジェクト庫28とが設けられている。紙幣収納庫26は、収納繰出機構により、搬送部24から搬送されてきた紙幣を取り込んで収納すると共に、収納されている紙幣を排出して搬送部24へ供給する。
【0023】
かかる構成において現金自動取引装置1は、鑑別部18による紙幣の鑑別結果及び識別結果等をもとに主制御部9及び制御部12が各部を制御して、紙幣の入金処理及び出金処理等を行う。
【0024】
[1−3.分岐部周辺の構成]
ここで、分岐部30aの周辺を分岐部周辺29とも呼ぶ。分岐部周辺29は、
図3及び
図4に示すように、セレクタ32a、鑑別部側第1搬送ガイド34、鑑別部側第2搬送ガイド35、一時保留部側第1搬送ガイド37、一時保留部側第2搬送ガイド38、入出金部側第1搬送ガイド40、入出金部側第2搬送ガイド41、鑑別部側搬送ローラ44(鑑別部側第1搬送ローラ44A及び鑑別部側第2搬送ローラ44B)、一時保留部側搬送ローラ46(一時保留部側第1搬送ローラ46A及び一時保留部側第2搬送ローラ46B)、並びに入出金部側搬送ローラ48(入出金部側第1搬送ローラ48A及び入出金部側第2搬送ローラ48B)により構成されている。なお
図3、
図11及び
図12においては説明の都合上入出金部側第1搬送ガイド40及び入出金部側第2搬送ガイド41を図示せず省略している。
【0025】
分岐部周辺29の搬送部24b(
図2)は、鑑別部側第1搬送ガイド34及び鑑別部側第2搬送ガイド35と鑑別部側第1搬送ローラ44A及び鑑別部側第2搬送ローラ44Bとにより構成されている。鑑別部側第1搬送ガイド34及び鑑別部側第2搬送ガイド35は、紙幣BLの紙面と対向する平面状の鑑別部側第1搬送ガイド面34S及び鑑別部側第2搬送ガイド面35Sをそれぞれ有しており、互いの搬送ガイド面の間に紙幣の搬送路である鑑別部側搬送路50を形成している。以下では鑑別部側第1搬送ガイド34及び鑑別部側第2搬送ガイド35をまとめて鑑別部側搬送ガイドとも呼ぶ。
【0026】
分岐部周辺29の搬送部24c(
図2)は、一時保留部側第1搬送ガイド37及び一時保留部側第2搬送ガイド38と一時保留部側第1搬送ローラ46A及び一時保留部側第2搬送ローラ46Bとにより構成されている。一時保留部側第1搬送ガイド37及び一時保留部側第2搬送ガイド38は、一端が鑑別部側第1搬送ガイド34及び鑑別部側第2搬送ガイド35の一端と接続され、他端が一時保留部20まで延びている。一時保留部側第1搬送ガイド37及び一時保留部側第2搬送ガイド38は、紙幣BLの紙面と対向する平面状の一時保留部側第1搬送ガイド面37S及び一時保留部側第2搬送ガイド面38Sをそれぞれ有しており、互いの搬送ガイド面の間に紙幣の搬送路である一時保留部側搬送路52を形成している。以下では一時保留部側第1搬送ガイド37及び一時保留部側第2搬送ガイド38をまとめて一時保留部側搬送ガイドとも呼ぶ。
【0027】
分岐部周辺29の搬送部24d(
図2)は、入出金部側第1搬送ガイド40及び入出金部側第2搬送ガイド41と入出金部側第1搬送ローラ48A及び入出金部側第2搬送ローラ48Bとにより構成されている。入出金部側第1搬送ガイド40及び入出金部側第2搬送ガイド41は、一端が鑑別部側第1搬送ガイド34及び鑑別部側第2搬送ガイド35の一端と接続され、他端が入出金部16まで延びている。入出金部側第1搬送ガイド40及び入出金部側第2搬送ガイド41は、紙幣BLの紙面と対向する平面状の入出金部側第1搬送ガイド面40S及び入出金部側第2搬送ガイド面41Sをそれぞれ有しており、互いの搬送ガイド面の間に紙幣の搬送路である入出金部側搬送路54を形成している。以下では入出金部側第1搬送ガイド40及び入出金部側第2搬送ガイド41をまとめて入出金部側搬送ガイドとも呼ぶ。この鑑別部側第1搬送ガイド34と入出金部側第1搬送ガイド40と、また鑑別部側第2搬送ガイド35と一時保留部側第2搬送ガイド38とは、後述する鑑別部側挟持箇所56付近において接続されている。
【0028】
このように鑑別部側搬送路50は、分岐点55において一時保留部側搬送路52と入出金部側搬送路54とに分岐している。
【0029】
鑑別部側第1搬送ガイド34及び鑑別部側第2搬送ガイド35には、それぞれゴム系の弾性部材により構成された鑑別部側第1搬送ローラ44A及び鑑別部側第2搬送ローラ44Bが、中心軸を左右方向に、すなわち紙幣BLの搬送方向と直交する方向に向けるよう、紙幣BLの長手方向の長さよりも短い間隔を空けて回転可能に取り付けられている。また鑑別部側第1搬送ローラ44A及び鑑別部側第2搬送ローラ44Bは、それぞれ鑑別部側第1搬送ガイド34及び鑑別部側第2搬送ガイド35に穿設された孔部からその周側面の一部を鑑別部側搬送路50側に露出させている。以下では鑑別部側第1搬送ローラ44A及び鑑別部側第2搬送ローラ44Bをまとめて鑑別部側搬送ローラ44とも呼ぶ。鑑別部側第1搬送ローラ44A及び鑑別部側第2搬送ローラ44Bは、互いに接触する箇所である鑑別部側挟持箇所56において紙幣を挟持しつつ回転することにより該紙幣を搬送する。
【0030】
一時保留部側第1搬送ガイド37及び一時保留部側第2搬送ガイド38には、それぞれゴム系の弾性部材により構成された一時保留部側第1搬送ローラ46A及び一時保留部側第2搬送ローラ46Bが、中心軸を左右方向に向けるよう紙幣BLの長手方向の長さよりも短い間隔を空けて回転可能に取り付けられている。また一時保留部側第1搬送ローラ46A及び一時保留部側第2搬送ローラ46Bは、それぞれ一時保留部側第1搬送ガイド37及び一時保留部側第2搬送ガイド38に穿設された孔部からその周側面の一部を一時保留部側搬送路52側に露出させている。以下では一時保留部側第1搬送ローラ46A及び一時保留部側第2搬送ローラ46Bをまとめて一時保留部側搬送ローラ46とも呼ぶ。一時保留部側第1搬送ローラ46A及び一時保留部側第2搬送ローラ46Bは、互いに接触する箇所である一時保留部側挟持箇所58において紙幣を挟持しつつ回転することにより該紙幣を搬送する。
【0031】
入出金部側第1搬送ガイド40及び入出金部側第2搬送ガイド41には、それぞれゴム系の弾性部材により構成された入出金部側第1搬送ローラ48A及び入出金部側第2搬送ローラ48Bが、中心軸を左右方向に向けるよう紙幣BLの長手方向の長さよりも短い間隔を空けて回転可能に取り付けられている。また入出金部側第1搬送ローラ48A及び入出金部側第2搬送ローラ48Bは、それぞれ入出金部側第1搬送ガイド40及び入出金部側第2搬送ガイド41に穿設された孔部からその周側面の一部を入出金部側搬送路54側に露出させている。以下では入出金部側第1搬送ローラ48A及び入出金部側第2搬送ローラ48Bをまとめて入出金部側搬送ローラ48とも呼ぶ。入出金部側第1搬送ローラ48A及び入出金部側第2搬送ローラ48Bは、互いに接触する箇所である入出金部側挟持箇所60において紙幣を挟持しつつ回転することにより該紙幣を搬送する。
【0032】
ここで、搬送路に沿った鑑別部側挟持箇所56(後述するブレード到達位置)から一時保留部側挟持箇所58までの距離である一時保留部分岐側挟持距離は、紙幣の短手方向の長さよりも短く形成されている。また、搬送路に沿った鑑別部側挟持箇所56(後述するブレード到達位置)から入出金部側挟持箇所60までの距離である入出金部分岐側挟持距離は、一時保留部分岐側挟持距離と同じ長さに形成されている。これにより紙幣入出金機10は、鑑別部側挟持箇所56と一時保留部側挟持箇所58との両方とで、又は鑑別部側挟持箇所56と入出金部側挟持箇所60との両方とで紙幣を安定的に挟持しつつ搬送する。
【0033】
セレクタ32aは、回動軸62Dを中心に回動可能に左右方向に沿って複数枚のブレード62が設けられている。ブレード62は、尖っているブレード先端62Aが鑑別部18側を向くブレードであり、直線形状の一時保留部案内面62Bと湾曲形状の入出金部案内面62Cとを有している。またブレード62は、ソレノイドであるアクチュエータ63によって
図4に示す一時保留部切替ポジションと
図5に示す入出金部切替ポジションとに回動することにより該ブレード62の傾斜方向を変化させて紙幣の搬送経路を2通りに切り替えるようになっており、一時保留部切替ポジションにおいて鑑別部側搬送路50と一時保留部側搬送路52とを結ぶ搬送経路を形成するか、又は入出金部切替ポジションにおいて鑑別部側搬送路50と入出金部側搬送路54とを結ぶ搬送経路を形成する。これによりブレード62は、一時保留部切替ポジションにおいて、鑑別部側搬送路50内を鑑別部18から分岐点55へ向けて搬送された紙幣BLを、ブレード先端62Aを通過させて一時保留部案内面62Bでガイドし、一時保留部案内面62Bにおける一時保留部20側の端部である一時保留部案内面端部62Beから繰り出すことにより、一時保留部側搬送路52へ振り分ける。一方ブレード62は、入出金部切替ポジションにおいて、鑑別部側搬送路50内を鑑別部18から分岐点55へ向けて搬送された紙幣BLを、ブレード先端62Aを通過させて入出金部案内面62Cに当接させ、入出金部案内面62Cにおける入出金部16側の端部である入出金部案内面端部62Ceから繰り出すことにより、入出金部側搬送路54へ振り分ける。
【0034】
また一時保留部切替ポジション(
図4)において一時保留部案内面端部62Beは、一時保留部側挟持箇所58の近傍に位置しており、入出金部切替ポジション(
図5)において入出金部案内面端部62Ceは、入出金部側挟持箇所60の近傍に位置している。また一時保留部切替ポジションと入出金部切替ポジションとの間を移行する際にブレード先端62Aの回動軌跡が鑑別部側搬送路50を横切る点、すなわちブレード62と鑑別部側第1搬送ガイド34及び鑑別部側第2搬送ガイド35とがオーバーラップする位置、換言すれば、鑑別部側搬送路50内を鑑別部18から分岐点55へ向けて搬送された紙幣BLがブレード62に当接する位置であるブレード到達位置は、鑑別部側挟持箇所56の近傍に位置している。
【0035】
ここで、ブレード62を回動させる切替ブレード駆動部としてのアクチュエータ63は、コイルに電流を流して固定磁極を磁化させることにより、可動磁極を該固定磁極に吸着させるよう移動させ、該可動磁極の移動によりブレード62を回動させる。このためアクチュエータ63は、例えばブレード62を一時保留部切替ポジションから入出金部切替ポジションへ移行させる際に、途中でブレード62の回動が物理的に阻害されたとしても、入出金部切替ポジションへ移行するまでは、ブレード62を付勢し続ける。
【0036】
またブレード62は、一時保留部切替ポジションから入出金部切替ポジションまで、又は入出金部切替ポジションから一時保留部切替ポジションまで切り替わるのに、ブレード切替時間tbsの時間だけ要する。また紙幣は、紙幣搬送速度vblの速度で搬送されており、ブレード切替時間tbsの間に、ブレード切替必要距離dbsの距離だけ搬送される。また紙幣は、搬送方向先端部がブレード先端62Aに到達してから搬送方向後端部が一時保留部案内面端部62Be又は入出金部案内面端部62Ceを通過するまで、ブレード通過時間tbpの時間を要する。
【0037】
鑑別部側搬送路50において、鑑別部側挟持箇所56から鑑別部18へ向かってブレード切替必要距離dbsだけ離隔した位置には、紙幣の走行を検出する鑑別部側搬送路センサ64が設けられている。換言すれば鑑別部側搬送路センサ64は、一時保留部側挟持箇所58から、鑑別部18へ向かって、該一時保留部側挟持箇所58から鑑別部側挟持箇所56までの距離にブレード切替必要距離dbsを足した距離だけ離隔した位置に設けられている。鑑別部側搬送路センサ64は、
図10に示すように、紙幣を検出しているときはオンとなり紙幣を検出していないときはオフとなる紙幣検出信号s1を検出結果として制御部12へ送出する。これに応じて制御部12は、鑑別部側搬送路センサ64から取得した紙幣BLの検出結果を用いてアクチュエータ63を制御することによりブレード62を切り替える。
【0038】
[1−4.動作及び効果]
かかる構成において現金自動取引装置1は、入金取引時、利用者により操作表示部6を介して入金取引が選択され、さらに入出金口5に紙幣が投入されると、投入された紙幣を入出金部16から1枚ずつ鑑別部18に搬送する。このとき現金自動取引装置1は、先行する紙幣における搬送方向後端部と後続の紙幣における搬送方向先端部との間の間隔である紙幣間隔dcが、ブレード切替必要距離dbsの距離を保つように、入出金部16から紙幣を分離する。
【0039】
ここで現金自動取引装置1は、鑑別部18の鑑別結果に基づき入金可能と判定された正常券については一時保留部20に搬送して一時的に収納する。一方で現金自動取引装置1は、入金に適さないと判定された不明券については入出金部16へ戻して、シャッタを開くことで利用者に返却する。
【0040】
このとき現金自動取引装置1は、例えば正常券BLn、不明券BLbの順番で紙幣が搬送された場合、ブレード62を一時保留部切替ポジション(
図4)に切り替えて正常券BLnの搬送経路を一時保留部側搬送路52に設定し、その後不明券BLbの搬送方向先端部が鑑別部側搬送路センサ64に到達すると、ブレード62を入出金部切替ポジション(
図5)に切り替えるようアクチュエータ63を制御し、該ブレード62を、一時保留部切替ポジションから入出金部切替ポジションへ向けて回動する方向である入出金部切替回動方向R1(
図6)へ回動させ入出金部切替ポジションに切り替えて不明券BLbの搬送経路を入出金部側搬送路54に設定する。
【0041】
ここで、現金自動取引装置1は、紙幣間隔dcがブレード切替必要距離dbsとなるように紙幣を搬送している。このため、紙幣の短手方向の長さや紙幣の状態等によっては、
図6に示すように、一時保留部切替ポジションから入出金部切替ポジションへ向けて入出金部切替回動方向R1に沿ってブレード62が回動する際に、紙幣の搬送方向後端部が、一時保留部側挟み込み箇所82においてブレード62と一時保留部側第2搬送ガイド38との間に挟み込まれてしまう紙幣挟み込み状態になってしまう可能性がある。
【0042】
これに対し現金自動取引装置1は、一時保留部側挟持箇所58と一時保留部側挟み込み箇所82との間の搬送路に沿った間隔が紙幣長さdblよりも短くなるよう一時保留部側搬送ローラ46を配置するようにした。
【0043】
このため現金自動取引装置1は、紙幣挟み込み状態になった瞬間には既に正常券BLnの搬送方向先端部を一時保留部側挟持箇所58で噛み込むことができる。このため現金自動取引装置1は、紙幣挟み込み状態になったとしても、
図7に示す紙幣引き抜き状態のように、正常券BLnを一時保留部側搬送ローラ46でブレード62と一時保留部側第2搬送ガイド38との間から引き抜いて、一時保留部側搬送路52を搬送できる。
【0044】
これにより現金自動取引装置1は、不明券BLbの搬送方向先端部が鑑別部側挟持箇所56(ブレード到達位置)に到達する前にはブレード62を入出金切替ポジションへ移行させ終わることができるため、不明券BLbの搬送方向先端部が鑑別部側挟持箇所56(ブレード到達位置)に到達する前に鑑別部側搬送路50内部からブレード先端62Aを退避でき、紙幣が詰まってしまうことを防止できる。
【0045】
一方、不明券BLb、正常券BLnの順番で紙幣が搬送された場合、現金自動取引装置1は、ブレード62を、入出金部切替ポジションから一時保留部切替ポジションへ向けて回動する方向である一時保留部切替回動方向R2(
図8)へ回動させ、入出金部切替ポジション(
図5)から一時保留部切替ポジション(
図4)へ切り替える。このとき、
図8に示すように、入出金部切替ポジションから一時保留部切替ポジションへ向けて一時保留部切替回動方向R2に沿ってブレード62が回動する際に、紙幣の搬送方向後端部が、入出金部側挟み込み箇所84においてブレード62と入出金部側第1搬送ガイド40との間に挟み込まれて紙幣挟み込み状態になってしまう可能性がある。
【0046】
これに対し現金自動取引装置1は、入出金部側挟持箇所60と入出金部側挟み込み箇所84との間の搬送路に沿った間隔が紙幣長さdblよりも短くなるよう入出金部側搬送ローラ48を配置するようにした。
【0047】
このため現金自動取引装置1は、紙幣挟み込み状態になった瞬間には既に不明券BLbの搬送方向先端部を入出金部側挟持箇所60で噛み込むことができる。このため現金自動取引装置1は、紙幣挟み込み状態になったとしても、
図9に示す紙幣引き抜き状態のように、不明券BLbを入出金部側搬送ローラ48でブレード62と入出金部側第1搬送ガイド40との間から引き抜いて、入出金部側搬送路54を搬送できる。
【0048】
これにより現金自動取引装置1は、正常券BLnの搬送方向先端部が鑑別部側挟持箇所56(ブレード到達位置)に到達する前にはブレード62を一時保留部切替ポジションへ移行させ終わることができるため、正常券BLnの搬送方向先端部が鑑別部側挟持箇所56(ブレード到達位置)に到達する前に鑑別部側搬送路50内部からブレード先端62Aを退避でき、紙幣が詰まってしまうことを防止できる。
【0049】
ここで、
図10に示すように、従来の鑑別部側搬送路センサにおける紙幣検出信号s2は、紙幣長さdblに対応する紙幣通過時間tbl(すなわち紙幣の搬送方向先端部が鑑別部側搬送路センサを通過してから搬送方向後端部が鑑別部側搬送路センサを通過するまで)だけオンとなり、ブレード切替時間tbsにブレード通過時間tbpが加わった、紙幣間隔dcに対応する紙幣間隔時間tcだけオフになる。
【0050】
これに対し現金自動取引装置1は、紙幣間隔dcをブレード切替必要距離dbsのみとし、紙幣間隔dcを従来の現金自動取引装置よりも短くして紙幣を搬送するようにした。このため現金自動取引装置1は、単位時間当たりに従来の現金自動取引装置よりも多くの紙幣を搬送でき紙幣処理能力を向上できる。
【0051】
しかしながらその場合、紙幣挟み込み状態になってしまう可能性がある。これに対し現金自動取引装置1は、先行する紙幣の搬送方向先端部がブレード62を通過した直後の位置に一時保留部側搬送ローラ46及び入出金部側搬送ローラ48を配置するようにした。このため現金自動取引装置1は、紙幣挟み込み状態になった瞬間には既に正常券BLnの搬送方向先端部を一時保留部側挟持箇所58で噛み込む状態にし、紙幣を引き抜いて一時保留部側搬送路52を搬送でき、紙幣を搬送する際の安定性を保つことができる。これにより現金自動取引装置1は、紙幣を搬送する際の安定性を保ちつつ、搬送処理能力を向上ができる。
【0052】
また従来の現金自動取引装置では、モータを用いてブレードを回動させていた。モータを用いる場合、例えばブレードを一時保留部切替ポジションから入出金部切替ポジションへ移行させる際に、途中でブレードの回動が紙幣により阻害された場合、紙幣に当接している最中はブレードの位置を保ちつつ該ブレードを付勢し続け、紙幣に当接しなくなったら、入出金部切替ポジションへ移行するという動作を行うことは困難である。特にモータの場合、移行先のポジションへ強引にブレードを回動させ、紙幣を損傷させてしまう可能性もある。またモータは作動中に動作が拘束されると、過電流が流れ焼損する可能性がある。
【0053】
これに対し現金自動取引装置1は、ソレノイドを用いたアクチュエータ63によりブレード62を回動させるようにした。このためアクチュエータ63は、ブレード62を他のポジションへ移行させる際に途中でブレード62の回動が紙幣により阻害されたとしても、紙幣に当接している最中はブレード62の回動を留めて位置を保ちつつ該ブレード62を付勢し続け、紙幣が引き抜かれた後は移行先のポジションへ移行できる。これにより現金自動取引装置1は、紙幣挟み込み状態において紙幣の損傷を防ぎつつ、紙幣引き抜き状態とすることができる。
【0054】
ところで、
図11に示すように、例えば不明券BLb、正常券BLnの順番で、紙幣間隔がブレード切替必要距離dbsよりも短い間隔で搬送されていることを鑑別部18において検出した場合、現金自動取引装置1は、鑑別部側搬送路センサ64において正常券BLnを検出したとしても、ブレード62を入出金部切替ポジションから一時保留部切替ポジションへは切り替えず、入出金部切替ポジションのままにし、正常券BLnを一時保留部20ではなく入出金部16へ搬送する。このため現金自動取引装置1は、ブレード62の切り替え動作が間に合わず、後続する紙幣がブレード62のブレード先端62A近辺に衝突してしまうことを防止できる。これにより現金自動取引装置1は、従来のように長い紙幣間隔ではなく短い紙幣間隔で搬送する制御を行う際において、紙幣がブレード切替必要距離dbsよりも短い間隔で搬送されたり、重送していたりしても、紙幣が搬送路内部で詰まってしまったり、損傷してしまったりすることを防止できる。
【0055】
そして、入金処理おいて、正常券を一時保留部20へ、不明券を入出金部16へそれぞれ搬送し終わり、その後利用者により入金金額が確定されると、現金自動取引装置1は、一時保留部20に収納している紙幣を鑑別部18に搬送して鑑別結果を得る。ここで現金自動取引装置1は、鑑別部18の鑑別結果に基づき収納可能と判定された収納可能紙幣については、その金種に応じて各紙幣収納庫26へ搬送して保管する。一方で現金自動取引装置1は、収納に適さないと判定されたリジェクト紙幣については、リジェクト庫28へ搬送する。このときも現金自動取引装置1は、紙幣間隔dcがブレード切替必要距離dbsの距離を保つように一時保留部20から紙幣を分離する。
【0056】
このとき現金自動取引装置1は、分岐部30b、30c及び30dにおいて分岐部30aと同様にブレードを回動させることにより、紙幣の搬送先を切り替える。このときも現金自動取引装置1は、分岐部30aと同様の処理で分岐部30b、30c及び30dにおけるブレード及び搬送ローラ(図示せず)を制御することにより、先行する収納可能紙幣又はリジェクト紙幣がブレードと搬送ガイドとの間に挟み込まれたとしても、先行する収納可能紙幣又はリジェクト紙幣をブレードと搬送ガイドとの間から引き抜いて搬送できる。
【0057】
一方出金取引時、現金自動取引装置1は、利用者により操作表示部6を介して出金取引が選択され出金金額が入力されると、出金金額に応じて必要な金種毎の紙幣枚数を認識し、この金種毎の紙幣枚数に応じて各紙幣収納庫26から紙幣を繰り出して鑑別部18に搬送して鑑別結果の識別結果を得る。ここで現金自動取引装置1は、鑑別部18の鑑別結果に基づき出金可能と判定された紙幣については入出金部16に搬送する。一方で現金自動取引装置1は、出金に適さないと判定された紙幣については一時保留部20に搬送して一時的に収納する。そして出金金額分の紙幣が入出金部16へ集積されると、現金自動取引装置1は、シャッタを開ける。これにより入出金部16内に集積されている紙幣の受け取りが可能な状態となり、利用者がこの紙幣を受け取る。その後現金自動取引装置1は、一時保留部20に収納している紙幣をリジェクト庫28へと搬送して保管する。
【0058】
以上の構成によれば現金自動取引装置1は、紙葉状の媒体としての紙幣を挟持して搬送する一時保留部側搬送ローラ46及び入出金部側搬送ローラ48と、紙幣に対向する一時保留部側第2搬送ガイド面38S及び入出金部側第1搬送ガイド面40Sが形成され、搬送される紙幣をガイドする一時保留部側第2搬送ガイド38及び入出金部側第1搬送ガイド40と、回動軸62Dを中心に回動可能に設けられ、紙幣の搬送方向を切り替えるブレード62とを設け、一時保留部側搬送ローラ46及び入出金部側搬送ローラ48は、ブレード62に対して紙幣の搬送方向の下流側で、かつ、ブレード62と一時保留部側第2搬送ガイド38又は入出金部側第1搬送ガイド40との間に挟み込まれた紙幣を挟持して引き抜ける位置に配されるようにした。これにより現金自動取引装置1は、ブレード62と一時保留部側第2搬送ガイド38又は入出金部側第1搬送ガイド40との間に紙幣が挟まれたとしても一時保留部側搬送ローラ46又は入出金部側搬送ローラ48で該紙幣を引き抜くことで正常に紙幣を搬送して安定性を保ちつつ、搬送される紙幣の間隔を従来よりも短くし搬送処理能力を向上できる。
【0059】
[2.第2の実施の形態]
[2−1.現金自動取引装置、紙幣入出金機及び分岐部周辺の構成]
図1及び
図2と、
図3と対応する部材に同一符号を付した
図12とに示すように、第2の実施の形態による現金自動取引装置101の紙幣入出金機110は、第1の実施の形態による現金自動取引装置1の紙幣入出金機10と比べて、分岐部周辺129の分岐部130aが分岐部周辺29の分岐部30aと異なっているものの、それ以外は同様に構成されている。
【0060】
分岐部周辺129は、分岐部周辺29と比べて、一時保留部側搬送路センサ66及び入出金部側搬送路センサ68が追加されているものの、それ以外は同様に構成されている。一時保留部側搬送路センサ66は、一時保留部側挟持箇所58を通過する紙幣を検出する位置に設けられており、鑑別部側搬送路センサ64と同様に、紙幣検出信号を検出結果として制御部12へ送出する。入出金部側搬送路センサ68は、入出金部側挟持箇所60を通過する紙幣を検出する位置に設けられており、鑑別部側搬送路センサ64と同様に、紙幣検出信号を検出結果として制御部12へ送出する。
【0061】
かかる構成において現金自動取引装置101は、例えば正常券BLn、不明券BLbの順番で紙幣が搬送された場合、ブレード62を一時保留部切替ポジションに切り替えて正常券BLnの搬送経路を一時保留部側搬送路52に設定し、その後該正常券BLnの搬送方向先端部が一時保留部側搬送路センサ66に到達すると、ブレード62を入出金部切替ポジションに切り替えるようアクチュエータ63(図示せず)を制御し該ブレード62を回動させ入出金部切替ポジションに切り替えて不明券BLbの搬送経路を入出金部側搬送路54(図示せず)に設定する。
【0062】
このため現金自動取引装置101は、紙幣挟み込み状態になる瞬間には既に正常券BLnの搬送方向先端部を一時保留部側挟持箇所58で確実に噛み込んだ状態にできる。これにより現金自動取引装置101は、現金自動取引装置1と比べて、紙幣挟み込み状態になった紙幣をより一層確実に一時保留部側搬送ローラ46でブレード62と一時保留部側第2搬送ガイド38との間から引き抜いて、一時保留部側搬送路52へ搬送できる。これにより現金自動取引装置101は、不明券BLbの搬送方向先端部が鑑別部側挟持箇所56(ブレード到達位置)に到達する前にはブレード62を入出金切替ポジションへより一層確実に移行させ終わることができるため、不明券BLbの搬送方向先端部が鑑別部側挟持箇所56(ブレード到達位置)に到達する前に鑑別部側搬送路50内部からブレード先端62Aを退避でき、紙幣が詰まってしまうことを防止でき、信頼性を向上できる。
【0063】
その他第2の実施の形態による分岐部周辺129は、第1の実施の形態による分岐部周辺29とほぼ同様の作用効果を奏する。
【0064】
[3.他の実施の形態]
[3−1.他の実施の形態1]
図1、
図2及び
図13に示す現金自動取引装置201の紙幣入出金機210における分岐部230aのように、一時保留部側第2搬送ガイド238には、一時保留部切替ポジションにおけるブレード62の一時保留部案内面端部62Beの近傍に設けられた一時保留部側搬送ガイド軸72を軸として板状の一時保留部側可動搬送ガイド70が回動可能に設けられている。また入出金部側第1搬送ガイド240には、入出金部切替ポジションにおけるブレード62の入出金部案内面端部62Ceの近傍に設けられた入出金部側搬送ガイド軸76を軸として板状の入出金部側可動搬送ガイド74が回動可能に設けられている。
【0065】
図13(A)に示す閉鎖状態において一時保留部側可動搬送ガイド70は、一時保留部側搬送路52と対向する搬送ガイド面が、一時保留部側第2搬送ガイド238における一時保留部側可動搬送ガイド70以外の箇所の一時保留部側第2搬送ガイド面38Sと面一になることにより、紙幣の搬送をガイドする。一方
図13(B)に示す開放状態において一時保留部側可動搬送ガイド70は、一時保留部側搬送路52と対向する搬送ガイド面が、一時保留部側第2搬送ガイド238における一時保留部側可動搬送ガイド70以外の箇所の一時保留部側第2搬送ガイド面38Sから離隔することにより、紙幣の搬送をガイドしつつ、紙幣の搬送方向後端部を一時保留部側搬送路52から退避させる。また一時保留部側可動搬送ガイド70は、開放状態から閉鎖状態へ回動するよう付勢されている。
【0066】
かかる構成において現金自動取引装置201は、正常券BLn、不明券BLb(図示せず)の順番で紙幣が搬送された場合、ブレード62を一時保留部切替ポジションに切り替えて正常券BLnの搬送経路を一時保留部側搬送路52に設定し、その後不明券BLb(図示せず)の搬送方向先端部が鑑別部側搬送路センサ64(図示せず)に到達すると、ブレード62を入出金部切替ポジションに切り替えるようアクチュエータ63を制御し該ブレード62を回動させ入出金部切替ポジションに切り替えて不明券BLb(図示せず)の搬送経路を入出金部側搬送路54に設定する。
【0067】
ここで紙幣挟み込み状態になると、
図13(B)に示すように、回動するブレード62が、正常券BLnの搬送方向後端部を介して一時保留部側可動搬送ガイド70を開放状態へ向けて回動させる。このため紙幣の搬送方向後端部がブレード62と一時保留部側第2搬送ガイド38との間に挟み込まれる力は、現金自動取引装置1の場合よりも弱いものとなる。これにより現金自動取引装置201は、現金自動取引装置1と比べて、紙幣挟み込み状態になった紙幣をより一層確実に一時保留部側搬送ローラ46でブレード62と一時保留部側第2搬送ガイド38との間から引き抜いて、一時保留部側搬送路52へ搬送できる。
【0068】
やがて紙幣引き抜き状態になると、
図13(A)に示したように一時保留部側可動搬送ガイド70は閉鎖状態へ戻る。以上は一時保留部側可動搬送ガイド70について説明したが、入出金部側可動搬送ガイド74についても同様である。
【0069】
[3−2.他の実施の形態2]
図1、
図2及び
図14に示す現金自動取引装置301の紙幣入出金機310における分岐部330aのように、一時保留部側第2搬送ガイド38には、一時保留部切替ポジションにおけるブレード62の一時保留部案内面62Bにおける鑑別部18側の端部近傍に、中心軸を左右方向に向けた一時保留部側補助ローラ78が回転可能に取り付けられている。また入出金部側第1搬送ガイド40には、入出金部切替ポジションにおけるブレード62の入出金部案内面62Cにおける鑑別部18側の端部近傍に、中心軸を左右方向に向けた入出金部側補助ローラ80が回転可能に取り付けられている。また一時保留部側補助ローラ78及び入出金部側補助ローラ80は、それぞれ一時保留部側第2搬送ガイド38及び入出金部側第1搬送ガイド40に穿設された孔部からその周側面の一部を一時保留部側搬送路52側及び入出金部側搬送路54側に僅かに露出させている。
【0070】
かかる構成において現金自動取引装置301は、正常券BLn、不明券BLb(図示せず)の順番で紙幣が搬送された場合、ブレード62を一時保留部切替ポジションに切り替えて正常券BLnの搬送経路を一時保留部側搬送路52に設定し、その後不明券BLb(図示せず)の搬送方向先端部が鑑別部側搬送路センサ64(図示せず)に到達すると、ブレード62を入出金部切替ポジションに切り替えるようアクチュエータ63を制御し該ブレード62を回動させ入出金部切替ポジションに切り替えて不明券BLb(図示せず)の搬送経路を入出金部側搬送路54に設定する。
【0071】
ここで紙幣挟み込み状態になると、
図14(B)に示すように、一時保留部側補助ローラ78とブレード62とで紙幣の搬送方向後端部を挟持し該一時保留部側補助ローラ78が回転することにより、正常券BLnを一時保留部20側へ送り出す。このように一時保留部側補助ローラ78は、ブレード62によって一時保留部側第2搬送ガイド面38Sへ押し付けられた正常券BLnに当接し回転することにより、ブレード62と一時保留部側第2搬送ガイド38との間からの一時保留部側搬送ローラ46による紙幣の引き抜きを補助する。
【0072】
これにより現金自動取引装置301は、現金自動取引装置1と比べて、紙幣挟み込み状態になった紙幣をより一層確実にブレード62と一時保留部側第2搬送ガイド38との間から引き抜いて、一時保留部側搬送路52へ搬送できる。
【0073】
以上は一時保留部側補助ローラ78について説明したが、入出金部側補助ローラ80についても同様である。
【0074】
[3−3.他の実施の形態3]
なお上述した実施の形態においては、アクチュエータ63としてソレノイドを用いる場合について述べた。本発明はこれに限らず、ブレード62のポジションを切り替える際に回動が物理的に阻害されたとしても、切り替える先のポジションへ移行するまでは、ブレード62を付勢し続けることができる種々のアクチュエータを用いても良い。
【0075】
[3−4.他の実施の形態4]
また上述した第2の実施の形態においては、鑑別部側搬送路センサ64、一時保留部側搬送路センサ66及び入出金部側搬送路センサ68を設ける場合について述べた。本発明はこれに限らず、鑑別部側搬送路センサ64を省略しても良い。
【0076】
[3−5.他の実施の形態5]
さらに上述した実施の形態において、ブレード62における一時保留部案内面62B及び入出金部案内面62Cにおいて紙幣を挟み込む部分を凹ませたり、摩擦係数を低くなるようにしたりすることにより、紙幣挟み込み状態の紙幣を引き抜きやすくさせても良い。
【0077】
[3−6.他の実施の形態6]
さらに上述した実施の形態においては、鑑別部側挟持箇所56からブレード切替必要距離dbsだけ離隔した位置に鑑別部側搬送路センサ64を設ける場合について述べた。本発明はこれに限らず、鑑別部側挟持箇所56からブレード切替必要距離dbsだけ離隔した距離に、マージンとなる距離を加えた位置に鑑別部側搬送路センサ64を設けても良い。その場合、紙幣挟み込み状態において先行する紙幣の搬送が僅かに遅れても、後続の紙幣が鑑別部側挟持箇所56(ブレード到達位置)に到達する前に余裕を持ってブレード62を切り替えることができる。
【0078】
[3−7.他の実施の形態7]
また鑑別部側搬送路センサ64を、鑑別部側挟持箇所56から最短距離だけ離れた現在の位置よりもさらに鑑別部18方向へ離隔する位置に設けても良い。その場合、鑑別部側搬送路センサ64において紙幣を検出してから紙幣搬送速度vblを考慮した時間だけ待機した後にブレード62を切り替えれば良い。しかしながら、鑑別部側搬送路センサ64を通過した紙幣がブレード62に到達するまでに鑑別部側第1搬送ガイド34や鑑別部側第2搬送ガイド35に引っ掛かる等して遅延する可能性があるため、鑑別部側搬送路センサ64はブレード62に対し可能な限り最短距離で配置することが望ましい。
【0079】
[3−8.他の実施の形態8]
さらに上述した第2の実施の形態においては、一時保留部側搬送路センサ66及び入出金部側搬送路センサ68を、それぞれ一時保留部側挟持箇所58及び入出金部側挟持箇所60を通過する紙幣を検出する位置に配置する場合について述べた。本発明はこれに限らず一時保留部側搬送路センサ66及び入出金部側搬送路センサ68を、それぞれ一時保留部側挟持箇所58よりも僅かに一時保留部20側及び入出金部16側を通過する紙幣を検出する位置に配置しても良い。
【0080】
[3−9.他の実施の形態9]
さらに上述した実施の形態においては、現金を取引する現金自動取引装置1において、媒体としての紙幣の搬送方向を切り替える分岐部30aにおいて本発明を適用する場合について述べた。本発明はこれに限らず、例えば債権、証書、商品券、金券や入場券等のような薄い紙状の媒体の搬送方向を切り替える種々の装置に適用しても良い。また、例えば紙幣を入出する紙幣入出金機や紙幣を所定枚数毎に施封する施封小束支払機等、紙幣や硬貨の取引に関する種々の処理を行う複数種類の装置の組み合わせにより構成された現金処理装置に本発明を適用してもよい。さらに上述した実施の形態においては、入金取引及び出金取引を行う現金自動取引装置1に本発明を適用する場合について述べたが、入金取引又は出金取引の何れか一方のみを行う装置に本発明を適用しても良い。
【0081】
[3−10.他の実施の形態10]
さらに上述した実施の形態においては、分岐部30aに本発明を適用する場合について述べた。本発明はこれに限らず、
図15に示す分岐部30b、30c及び30dに本発明を適用しても良い。分岐部30b、30c及び30dにおいては、それぞれセレクタ32b、32c及び32dが回動することにより、搬送部24bを搬送される紙幣を、そのまま搬送部24bに向けて案内するか、又は、搬送部24e、24f又は24gの何れかに向けて案内し紙幣収納庫26a、26b又は26cへ搬送させるかを切り替える。
【0082】
[3−11.他の実施の形態11]
さらに上述した実施の形態においては、搬送ローラとしての一時保留部側搬送ローラ46及び入出金部側搬送ローラ48と、搬送ガイドとしての一時保留部側第2搬送ガイド38及び入出金部側第1搬送ガイド40と、切替ブレードとしてのブレード62とによって、媒体処理装置としての分岐部30aを構成する場合について述べた。本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなる搬送ローラと、搬送ガイドと、切替ブレードとによって、媒体処理装置を構成しても良い。