【実施例1】
【0052】
以下、本発明の第1の実施形態について、実施例を説明する。
【0053】
本実施例においては、板厚は6mm〜320mm、板幅は4620mm以下、通板速度は158m/分以下、温度は1000度以下とした。
【0054】
投光機3は、鋼板10から高さ4.6m、基準位置Rから距離1.9m、投影角度β=22度の位置に配置した。メインカメラ41は、鋼板10から高さ4.5m、基準位置Rから距離5.6m、撮影角度α1=51度の位置に配置した。サブカメラ42は、鋼板10からの高さ3.1m、基準位置Rからの距離3.3m、撮影角度α2=47度の位置に配置した。
【0055】
投光機3は、青色(波長460nm〜470nm)LED素子を100mm×80mmの基板に80個×8列並べ、それをレンズにより28倍に拡大して投影し、2400mm×350mmの投影サイズとした。配線は幅方向に5系統に分岐され、明るさの調整を可能とした。LED素子の最大投入電力は0.6W/個とした。
【0056】
メインカメラ41及びサブカメラ42により撮影される線状パターン6の輝度は、投影機3の投影角度β、メインカメラ41の撮影角度α1及びサブカメラ42の撮影角度α2に依存する。したがって、メインカメラとサブカメラを切り替える鋼板10の角度Xの最適値は、実際に撮影される線状パターン6の輝度に応じて設定されるのが好ましい。
【0057】
メインカメラ41及びサブカメラ42の画素数は1344×694とした。露光時間は6ミリ秒で、投光機3の発光と同期させた。メインカメラ41に取り付けたレンズの焦点距離は16mm、サブカメラ42に取り付けたレンズの焦点距離は12mmとした。また、メインカメラ41及びメインカメラ42に取り付けたレンズには青色フィルタを取り付けた。
【0058】
投光機3及びカメラは、粉塵対策のため、専用の環境ボックスを製作し、エアパージによる環境対策を行った。投光機3については、エアがLED素子の冷却も兼ねており、LED素子の温度上昇を防いでいる。また、投光機3、メインカメラ41及びメインカメラ42は、最大板幅4620mmへの対応のため、幅方向に2セット設置した。
【0059】
上記条件の下で、鋼板10の角度θが−45〜45度の範囲内における線状パターン6の輝度分布を調べた。その測定結果を
図9に示す。
図9では、横軸は鋼板10の角度θを示し、縦軸は線状パターン6の輝度を示す。
【0060】
図9に示されるように、鋼板10の角度θが、メインカメラ41については−20度よりも小さい角度で、サブカメラ42については0度よりも大きい角度で、線状パターン6の輝度がかなり小さくなった。線状パターン6の輝度が小さい場合、線状パターン6の判定が困難になり、誤検知を生じやすい。このような誤検知を生じさせないために、どのような角度θでも充分な輝度が得られるように、適切な角度Xを設定する必要がある。
【0061】
図9に示されるように、鋼板10の角度θが−10度付近で、サブカメラ42により撮影された線状パターン6の輝度がメインカメラ41により撮影された線状パターン6の輝度と同じになった。角度θがこれよりも大きい範囲では、メインカメラ41により撮影された線状パターン6の輝度がサブカメラ42により撮影された線状パターン6の輝度よりも大きくなった。一方、角度θがこれよりも小さい範囲では、サブカメラ42により撮影された線状パターン6の輝度がメインカメラ41により撮影された線状パターン6の輝度よりも大きくなった。
【0062】
本実施例では、角度Xは−10度に設定されてもよい。ただし、メインカメラ41を用いた角度θの測定範囲をできる限り広くするために、線状パターン6の輝度が充分にある範囲内であれば、−10度よりも小さい角度、例えば−15度に設定されてもよい。
【0063】
上記条件の下で、式(1)−1及び式(1)−2をプロットした結果を
図10に示す。
図10では、横軸は鋼板10の角度θを示し、縦軸はピッチ変化率(Pm/Ps)を示す。
図10から明らかなように、メインカメラ41の鋼板角度の変化量に対するピッチ変化率(Pm/Ps)の変化量は、サブカメラ42のそれよりも大きい。したがって、メインカメラ41の分解能はサブカメラ42のそれよりも高い。分解能は、投影機3とカメラとの間の角度によって決定される。したがって、投影機3とカメラの角度が大きいほど、分解能は高くなる。分解能が高いことは測定精度が高いことを意味する。本実施例では、メインカメラ41の測定精度がサブカメラ42のそれよりも高くなるように、投影機3、メインカメラ41及びサブカメラ42の位置を決定した。具体的には、投影機3とメインカメラ41との間の角度(α1+β)を投影機3とサブカメラ42との間の角度(α2−β)よりも大きく設定した。しかしながら、投影機3とメインカメラ41との間の角度(α1+β)を投影機3とサブカメラ42との間の角度(α2−β)よりも小さく設定してもよい。
【0064】
また、本実施形態では、投影機3はメインカメラ41とサブカメラ42との間に配置されている。しかしながら、投影機3は、メインカメラ41よりも上流側又はサブカメラ42よりも下流側に配置されてもよい。
【0065】
本実施例では、以上のように、メインカメラ41が鋼板10の形状を高精度で測定できるようにメインカメラ41の撮影角度α1、サブカメラ42の撮影角度α2、及び投影機3の投影角度βを決定した。
【0066】
実際には、メインカメラ41、サブカメラ42及び投影機3を上記角度に設置することは困難である。そのため、これらの正確な角度を求めるために校正を行う必要がある。以下、校正方法を説明する。本校正では、鋼板10の代わりに拡散板を用いた。
【0067】
まず、拡散板をある高さに置き、基準ピッチPs及び拡散板の角度θを変化させながら、測定ピッチPmを測定する。次に、拡散板を前と異なる高さに置き、基準ピッチPs及び拡散板の角度θを変化させながら、測定ピッチPmを測定する。基準ピッチPs及び測定ピッチPmを式(1)−1及び式(1)−2に代入し、求められる拡散板の角度θを角度センサ等で測定した角度と比較する。最初は、メインカメラ41の撮影角度α1、サブカメラ42の撮影角度α2、及び投影機3の投影角度βは、およその値で構わない。その後、メインカメラ41の撮影角度α1、サブカメラ42の撮影角度α2、及び投影機3の投影角度βの値を微調整し、拡散板の両方の高さにおいて、式(1)−1及び式(1)−2を用いて、求められる拡散板の角度θと角度センサ等で測定した角度との間の差が最小になるようにする。式(1)−1又は式(1)−2で2つの変数を調整するため、α1、α2及びβが一意に決定できない。そのため、このように2種類の高さで校正を行う。
【0068】
拡散板の高さをパスラインから100mmの高さにした場合の結果を
図11に示す。拡散板の高さをパスラインから400mmの高さにした場合の結果を
図12に示す。測定結果はほぼ直線上に乗っており、メインカメラ41で測定できない範囲については、サブカメラ42で測定できることが確認できた。このように、メインカメラ41及びサブカメラ42の両方を用いることで、拡散板の角度θを高精度で測定することができ、また、−30度から30度までの範囲で拡散板の角度θを測定できることが確認できた。
【0069】
実際の鋼板10においては、投光機3の輝度を調節する必要がある。
図9から明らかなように、メインカメラ41では板角度θが15度付近で輝度が最大となり、パターン潰れが発生しやすい。
図13に鋼板10の角度θが15度付近でメインカメラ41が撮影した画像を示す。鋼板10は画像の手前から奥に向かって搬送されている。鋼板10の中央から鋼板10のエッジまでの間では、輝度が飽和している場所があったが、パターン間では、隙間があり、パターン潰れが発生しなかった。また、
図14に鋼板10の角度θが0度付近でメインカメラ41が撮影した画像を示す。同様に、問題なく線状パターンが観察された。また、幅方向に明るさにむらが生じたため、幅方向の輝度も調整した。
【0070】
次に、実際に、鋼板10の形状を測定した。
図13又は
図14などから鋼板10のエッジを検出するようにしているため、測定点数を選択すれば、測定位置が決定される。本実施例においては、10個の測定点数で測定を行った。中央で伸びている鋼板の形状を測定した結果を
図15に示す。形状は、角度θを測定位置で積分することにより算出した。反り及び平坦度を含む鋼板10の形状を測定できていることが確認でき、目視の形状と一致した結果が得られた。ここでは、鋼板10の幅は3189mm、厚さは8.3mm、長さは45m(ただし、図は先側10m)である。
【0071】
以下、本発明の第1の実施形態の効果を説明する。
【0072】
メインカメラ41は、搬送方向における上流側に配置されているため、先端反り10a上に投影される線状パターン6を撮影しやすい。しかしながら、メインカメラ41は、尾端反り10b上に投影される線状パターン6を撮影しにくい。したがって、線状パターン6が不明瞭になり、算出される鋼板10の角度θの精度が低くなる。一方、サブカメラ42は、搬送方向における下流側に配置されているため、尾端反り10b上に投影される線状パターン6を撮影しやすい。そのため、先端反り10a又は尾端反り10bを測定するためには、鋼板10の形状、つまり鋼板10の角度θに応じて、使用するカメラを切り替えなければならない。
【0073】
先端反り10aのある鋼板10又は大きな反りのない鋼板10は、先端から尾端までメインカメラ41により撮影された線状パターン6に基づいて鋼板10の角度θが算出される。一方、尾端反り10bのある鋼板10は、先端から尾端付近までメインカメラ41により撮影された線状パターン6に基づいて鋼板10の角度θが算出され、尾端付近から尾端までサブカメラ42により撮影された線状パターン6に基づいて鋼板10の角度θが算出される。すなわち、鋼板10の角度θを算出するための線状パターン6の撮影カメラが、鋼板10の角度θが予め定められた角度Xよりも小さくなったとき、メインカメラ41からサブカメラ42に切り替えられる。その結果、広い範囲で鋼板10の角度θを測定し、先端反り10a又は尾端反り10bを測定することができる。
【0074】
また、予め定められた角度Xは、サブカメラ42により撮影された線状パターン6の輝度がメインカメラ41により撮影された線状パターン6の輝度と同じになるときの角度よりも小さい角度に設定されるため、メインカメラ41及びサブカメラ42が明瞭な線状パターン6を鋼板10の全長にわたって撮影することができ、その結果、鋼板形状測定装置1は、先端反り10a又は尾端反り10b及び平坦度を含む鋼板全長の形状を測定することができる。
【0075】
また、投影機3、メインカメラ41及びサブカメラ42はそれぞれ複数設けられ、鋼板10の搬送方向に対して交差する方向に並べられるため、鋼板全幅の形状を測定することができる。
【0076】
また、投影機3の投影角度β、メインカメラ41の撮影角度α1及びサブカメラ42の撮影角度α2により、鋼板角度θの変化量に対する測定ピッチPmの変化量が決定されるため、これらの角度を適宜設定することにより、測定ピッチPmの測定分解能が高くなる。そのため、鋼板角度θの測定分解能が高くなり、その結果、鋼板10の形状を高精度に測定することができる。
【0077】
また、測定された鋼板10の形状に基づいて、リバース式圧延機101及び加速冷却装置103を制御するため、形状のよい鋼板10を安定して製造することができる。
【0078】
[第2の実施形態]
続いて、
図16及び
図17を参照しながら、本発明の第2の実施形態について説明する。
図16は、画像処理PC5(
図3参照)による最大キャンバ量及び最大キャンバ位置の算出処理を示すフローチャートである。
図17は、最大キャンバ量及び最大キャンバ位置を説明するための図である。
【0079】
第2の実施形態では、画像処理PC5が、メインカメラ41又はサブカメラ42により撮影された線状パターン6に基づいて、鋼板10のエッジ位置(鋼板10の搬送方向に対して交差する方向でのエッジ位置)を検出する。その結果を用いて、鋼板10の平面形状を測定する。また、最大キャンバ量及び最大キャンバ位置を算出する。
【0080】
図17を参照して、最大キャンバ量及び最大キャンバ位置について説明する。
図17に示す鋼板10では、キャンバが発生している。
図17に示す例では、鋼板10のうち、搬送方向で先端側に位置する部分(先端部)が、鋼板10の幅方向(
図17中の上下方向)の一方側にずれている。
【0081】
鋼板10の先端部の幅方向一端をA点とし、尾端部の幅方向一端をB点とし、A点とB点とを結ぶ直線L1を設定する。キャンバ量は、直線L1と実際の鋼板10の幅方向一端との間隔(幅方向のずれ量)である。最大キャンバ量は、鋼板10の全長に亘って算出したキャンバ量(幅方向のずれ量)のうち、その大きさが最大のものである。最大キャンバ位置は、上記A点から最大キャンバ量が得られた位置までの距離(鋼板10の長手方向での距離)である。
【0082】
なお、上記A点及びB点は、幅方向で同じ側の端に設定される。つまり、上記のように、A点が幅方向一端に設定された場合には、B点も幅方向の一端に設定される。A点が幅方向の他端に設定された場合には、B点も幅方向の他端に設定される。
【0083】
図16を参照しながら、画像処理PC5による最大キャンバ量及び最大キャンバ位置の算出処理について説明する。
【0084】
ステップS11では、メインカメラ41によって撮影された線状パターン6の画像を取得する。
【0085】
ステップS12では、取得した画像のうち、所定の範囲内の画像に対して、2値化処理をする。このときの強度の閾値は、例えば、上記所定の範囲内の最小値よりも大きい値に設定される。
【0086】
強度の閾値は、実際に製造された鋼板から取得した画像を用いて予め設定される。強度の閾値は、鋼板10の搬送方向の先端部分(先端部)から尾端部分(尾端部)までの全ての画像に対して用いることを考慮して、設定される。第1の実施形態で説明したように、鋼板10の先端部の画像は、鋼板10の定常部の画像よりも線状パターン6の輝度が高い。そのため、例えば、鋼板10の先端部の画像だけを考慮して強度の閾値を設定すると、鋼板10の定常部の画像に対する2値化処理を適切なものにすることができなくなるおそれがある。
【0087】
なお、2値化処理の対象は、上記のように、取得した画像内の所定の範囲に限定されない。例えば、取得した画像の全体に対して、2値化処理をしてもよい。
【0088】
ステップS13では、得られた2値化画像から幅方向位置ごとに、閾値を越えた画素の割合を算出する。つまり、ある幅方向位置において閾値を超えた画素の数を、当該幅方向位置での全画素数で除する。
【0089】
ステップS14では、割合の閾値を超えた幅方向位置のうち、最も外側の位置を、鋼板10のエッジ位置とする。
【0090】
ここで、割合の閾値は、実際に製造された鋼板の画像から得られた2値化画像を用いて予め設定される。割合の閾値は、鋼板10の搬送方向の先端部分(先端部)から尾端部分(尾端部)までの全ての2値化画像に対して用いることを考慮して、設定される。第1の実施形態で説明したように、鋼板10の先端部の画像は、鋼板10の定常部の画像よりも線状パターン6の輝度が高く、画像全体で、強度の閾値を超える割合も高くなる。そのため、例えば、鋼板10の先端部の2値化画像だけを考慮して割合の閾値を設定すると、鋼板10の定常部の2値化画像を用いたエッジ位置の検出を適切なものにすることができなくなるおそれがある。
【0091】
ステップS15では、鋼板10の幅方向でのエッジ位置の検出が鋼板10の尾端まで行われたか否かを判断する。つまり、鋼板10の幅方向でのエッジ位置の検出は、鋼板10の搬送方向の全長に亘って行われる。鋼板10の幅方向でのエッジ位置を鋼板10の搬送方向の全長に亘って検出することにより、鋼板10の平面形状を測定することができる。つまり、平面視での鋼板10の形状(搬送される鋼板10を上から見たときの形状)を測定することができる。
【0092】
鋼板10の尾端までエッジ位置の検出が行われていない場合(S15:NO)には、ステップS11以降の処理が実行される。鋼板10の尾端までエッジ位置の検出が行われた場合(S15:YES)には、ステップS16の処理が実行される。
【0093】
ステップS16では、最大キャンバ量及び最大キャンバ位置を算出する。その方法は、例えば、以下のとおりである。
【0094】
鋼板10の先端部の幅方向一端をA点とする。鋼板10の尾端部の幅方向一端をB点とする。これらA点及びB点を結ぶ直線L1(
図16参照)を設定する。この直線L1と得られたエッジ位置との距離を、鋼板10の搬送方向の全長に亘って算出する。得られた算出結果のうち、最大の値を有するものを、最大キャンバ量とする。また、最大キャンバ量が付与された位置(鋼板10の搬送方向での位置)を、A点からの距離(鋼板10の搬送方向での距離)として算出する。これが、最大キャンバ位置である。
【0095】
上記の方法では、鋼板10の幅方向一端の位置に基づいて、最大キャンバ量及び最大キャンバ位置を算出しているが、例えば、鋼板10の幅方向での中心位置に基づいて、最大キャンバ量及び最大キャンバ位置を算出してもよい。具体的には、鋼板10の先端及び尾端での幅方向の中心を設定し、これらを直線で結ぶ。この直線と、鋼板10の幅方向中心との距離を、鋼板10の全長に亘って算出する。得られた算出結果のうち、最大の値を有するものを、最大キャンバ量とする。また、最大キャンバ量が付与された位置を、鋼板10の先端からの距離として算出し、最大キャンバ位置とする。
【0096】
このような算出方法によれば、鋼板10の幅方向の両端の位置を考慮して、最大キャンバ量及び最大キャンバ位置を算出することができる。その結果、鋼板10の幅方向一端の位置だけを考慮する場合と比べて、最大キャンバ量及び最大キャンバ位置の算出精度が向上する。
【実施例2】
【0097】
続いて、本発明の第2の実施形態について、実施例を説明する。本実施例でも、第1の実施形態についての実施例と同様の鋼板を対象としている。本実施例で用いた鋼板形状測定装置1のセッティングは、第1の実施形態についての実施例と同じであった。
【0098】
図18は、メインカメラ41で撮影された鋼板10の先端部の画像である。
図19は、メインカメラ41で撮影された鋼板10の定常部の画像である。鋼板10は、第1の実施形態についての実施例と同様に、画像の手前側から奥側に向かって流れる。
【0099】
図18及び
図19を参照して、鋼板10の先端部がWS側にずれていることが判る。つまり、鋼板10の先端部には、キャンバが発生していることが確認できる。
【0100】
図18及び
図19において、破線で囲んだ部分は、2値化処理をするときの画像処理範囲の一例を示す。
図18及び
図19では、板センターよりもDS側の画像(右側の画像)のみにおいて、画像処理範囲を示す破線が付与されているが、板センターよりもWS側の画像(左側の画像)においても、画像処理範囲が選択される。
【0101】
図20は、
図18において右側に示す画像に対して2値化処理をした画像である。
図21は、
図19において右側に示す画像に対して2値化処理をした画像である。2値化処理をしたときの強度の閾値は、処理範囲内の最小値+5であった。なお、画像処理範囲を選択する場合には、その範囲内のみで2値化処理をすればよいが、
図20及び
図21では、判り易くするために、選択範囲以外も2値化処理をしている。
【0102】
図22は、
図20及び
図21に基づいて、幅方向位置ごとに閾値を超えた画素の割合を算出した結果を示すグラフである。
図22において、幅方向位置は、鋼板10の幅方向の中心(板センター)を基準としている。
【0103】
割合の閾値を30%として、鋼板10のエッジ位置を算出した。その結果、先端部では、エッジ位置は1348mmとなった。定常部では、エッジ位置は1476mmとなった。WS側についても、同様にして、エッジ位置を算出した。
【0104】
図23は、鋼板10の搬送方向の全長に亘って、エッジ位置を検出した結果を示す。鋼板の搬送方向の位置は、鋼板の搬送に用いる搬送テーブルの速度信号から算出した。
図23からも鋼板10の先端付近におけるWS側への曲がりが確認できる。
【0105】
図23には、DS側のエッジ位置とWS側のエッジ位置との平均値を破線で示している。この平均値を用いて、最大キャンバ量及び最大キャンバ位置を算出した。その方法は、以下のとおりであった。
【0106】
鋼板10の搬送方向の両端において、DS側のエッジ位置とWS側のエッジ位置との平均値を算出した。これらの平均値を直線L2(
図23参照)で結んだ。直線L2と破線(DS側のエッジ位置とWS側のエッジ位置との平均値を示す)との距離(鋼板10の幅方向での距離)を、鋼板10の全長に亘って算出した。算出した結果の最大値を、最大キャンバ量とした。最大キャンバ量の位置を、鋼板10の先端からの距離として算出し、最大キャンバ位置とした。
図23に示す例では、最大キャンバ量は220mmであった。最大キャンバ位置は、14.10mであった。
【0107】
以下、本発明の第2の実施形態の効果を説明する。
【0108】
メインカメラ41又はサブカメラ42で撮影された画像から鋼板10のエッジ検出を行う。そのため、鋼板10の搬送方向の両端に生じる反りの検出に用いる設備をそのまま利用して、キャンバ量を測定することができる。
【0109】
以上、本発明についての実施形態を説明したが、本発明は上述の実施形態及びその変形例のみに限定されず、発明の範囲内で種々の変更が可能である。また、各実施形態及びその変形例は、適宜組み合わせて実施することが可能である。