(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6575263
(24)【登録日】2019年8月30日
(45)【発行日】2019年9月18日
(54)【発明の名称】巻回装置
(51)【国際特許分類】
H01M 10/04 20060101AFI20190909BHJP
H01G 13/02 20060101ALI20190909BHJP
B65H 18/10 20060101ALI20190909BHJP
B65H 23/198 20060101ALI20190909BHJP
【FI】
H01M10/04 W
H01G13/02 C
B65H18/10
B65H23/198
【請求項の数】1
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-187089(P2015-187089)
(22)【出願日】2015年9月24日
(65)【公開番号】特開2017-62919(P2017-62919A)
(43)【公開日】2017年3月30日
【審査請求日】2018年6月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】濱口 陽平
【審査官】
山内 達人
(56)【参考文献】
【文献】
中国特許出願公開第103811794(CN,A)
【文献】
特開平11−297347(JP,A)
【文献】
特開平08−321324(JP,A)
【文献】
特開2015−046244(JP,A)
【文献】
特開2010−235301(JP,A)
【文献】
中国特許出願公開第102130327(CN,A)
【文献】
韓国公開特許第10−2007−0013565(KR,A)
【文献】
韓国公開特許第10−2007−0006247(KR,A)
【文献】
米国特許出願公開第2011/0297780(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/04
H01M 10/0587
H01M 6/02
H01G 13/00
H01G 13/02
B65H 18/10
B65H 23/198
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状の電極積層体を巻芯上に巻回する巻回装置であって、
一対の支持部を備え、かつ前記支持部にガイド部を備えた支持体及び前記支持体に対して前記ガイド部に沿って移動可能に設けられた4個以上の被巻回部を備えた巻芯と、
前記巻芯を回転駆動する巻芯駆動部と、
各前記被巻回部を前記ガイド部に沿って独立して駆動する被巻回部駆動部と、
前記帯状の電極積層体の巻回時に、前記被巻回部駆動部を、前記被巻回部に対する1周目の巻回長さを保った状態で、前記帯状の電極積層体を巻き取るように駆動する制御装置とを備え、
前記被巻回部は、前記電極積層体が巻回された状態における電極積層体の外形形状が円筒状となる状態と、前記電極積層体が巻回された状態における電極積層体の外形形状が扁平円筒状となる状態に配置可能に構成されており、
前記制御装置は、前記被巻回部に巻回される前記帯状の電極積層体の外形形状が扁平円筒状となる状態で、前記帯状の電極積層体の巻回を開始し、巻回途中では前記被巻回部に巻回される前記帯状の電極積層体の外形形状が円筒状となる状態で巻回を行い、前記帯状の電極積層体の巻回終了時には前記被巻回部に巻回される前記帯状の電極積層体の外形形状が扁平円筒状となるように前記被巻回部駆動部を制御することを特徴とする巻回装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は
、巻回装置に係り、詳しくは蓄電装置の製造工程において、帯状の正極及び負極を間にセパレータが存在する状態で巻回して扁平な電極組立体(電極体)を生産する際に使用す
る巻回装置に関する。
【背景技術】
【0002】
扁平な電極組立体を生産する場合、扁平な巻芯を使用することが一般的である。しかし、扁平な巻芯を使用した場合、巻芯を一定速度で回転駆動すると、巻芯の外径が場所によって異なるために、巻芯の外周面の位置によって帯状の正極及び負極の間にセパレータが存在する帯状電極積層体(帯状電極体)を巻き取る速度が周期的に大きく変動する。帯状電極積層体を巻き取る速度が周期的に大きく変動すると、一定のテンションで帯状電極積層体を巻芯に巻き取ることが困難であり、帯状電極積層体の巻ずれが発生するため、巻ずれを防ぐために帯状電極積層体を巻芯に巻き取る速度を下げざるを得ず、生産性を著しく落とす原因となっている。
【0003】
特許文献1には、楕円形等に形成された巻芯の巻取速度が巻取量に関係なく平滑化されるようにすることにより、帯状電極積層体を巻きずれが起こらないように巻き取るようにした電極体の巻取り装置が提案されている。この巻取り装置は、断面形状が長軸と短軸との長さを異にした形状に形成されるとともに帯状の正極及び負極が絶縁シート(セパレータ)を介して交互に重ね合わされてなる帯状電極積層体を巻き取る巻芯と、巻芯を回転駆動するとともに外形が巻芯の断面形状と相似形に可変される駆動プーリと、駆動プーリの外周部に掛け合わされて巻取モータの回転を伝達する駆動ベルトを備えて構成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−297347号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の巻取り装置は、巻芯を回転駆動する駆動プーリの形状を、帯状電極体が巻芯に巻き取られる前から巻き取り終わるまでの巻芯の断面形状の楕円比率に合わせて変化させることにより、帯状電極体の巻取り速度を平滑化できる。しかし、駆動プーリの形状を、帯状電極体が巻芯に巻き取られる前から巻き取り終わるまでの巻芯の断面形状の楕円比率に合わせて変化させる構成が複雑になる。
【0006】
また、扁平な電極組立体を生産する方法として、巻芯として外径が一定な丸芯を使用し、帯状の正極及び負極を間にセパレータが存在する状態で目的の長さ巻き取った後、丸芯を抜き取り、扁平につぶして扁平な電極組立体を生産すれば、巻取速度を上げて生産速度を上げることが可能であるが、精度良く目的の扁平形状につぶすことが困難である。
【0007】
本発明は、前記の問題に鑑みてなされたものであって、その目的は、巻芯の周面に帯状電極積層体が巻回されるときに、巻芯が一定速度で回転されても、帯状電極積層体に加わるテンションが周期的に変動せずに一定の状態で巻回することができ
る巻回装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決する巻回装置は、帯状の
電極積層体を巻芯上に巻回する巻回装置であって、一対の支持部を備え、かつ前記支持部にガイド部を備えた支持体及び前記支持体に対して前記ガイド部に沿って移動可能に設けられた4個以上の被巻回部を備えた巻芯と、前記巻芯を回転駆動する巻芯駆動部と、各前記被巻回部を前記ガイド部に沿って独立して駆動する被巻回部駆動部と、前記帯状の
電極積層体の巻回時に、前記被巻回部駆動部を、前記被巻回部に対する1周目の巻回長さを保った状態で、前記帯状の
電極積層体を巻き取るように駆動する制御装置とを備え
、前記被巻回部は、前記電極積層体が巻回された状態における電極積層体の外形形状が円筒状となる状態と、前記電極積層体が巻回された状態における電極積層体の外形形状が扁平円筒状となる状態に配置可能に構成されており、前記制御装置は、前記被巻回部に巻回される前記帯状の電極積層体の外形形状が扁平円筒状となる状態で、前記帯状の電極積層体の巻回を開始し、巻回途中では前記被巻回部に巻回される前記帯状の電極積層体の外形形状が円筒状となる状態で巻回を行い、前記帯状の電極積層体の巻回終了時には前記被巻回部に巻回される前記帯状の電極積層体の外形形状が扁平円筒状となるように前記被巻回部駆動部を制御する。ここで、「円筒状」とは、外形形状が同じ曲率の円弧面が連続した円筒形に限らず、全体として略円筒形であることを意味する。そのため、被巻回部の数が多いほど、円筒形に近くなる。
【0011】
この構成によれば、4個以上の被巻回部を備えた巻芯を回転駆動して帯状の
電極積層体として、帯状の正極及び負極を間にセパレータが存在する帯状電極積層体を巻芯上に巻回する際、帯状の
電極積層体の巻回時の大部分を
電極積層体の外形形状が円筒状となる状態で巻回することが可能な位置に各被巻回部を配置した状態で巻回を行なう。その後、各被巻回部の位置を変更して、最後に扁平円筒状となるように巻回することができる。したがって、巻芯の周面に帯状電極積層体が巻回されるときに、巻芯が一定速度で回転されても、帯状電極積層体に加わるテンションが周期的に変動せずに一定の状態で帯状電極積層体を巻回することができる。
【0013】
また、この構成によれば、被巻回部の配置が、帯状の
電極積層体の外形形状が扁平円筒状となる状態で巻回を開始するため、帯状の
電極積層体の外形形状が円筒状となる状態で巻回を開始する場合に比べて、帯状の
電極積層体の巻き始めの位置を目的とする位置に設定し易い。
【発明の効果】
【0014】
本発明
の巻回装置を使用すれば、巻芯の周面に帯状電極積層体が巻回されるときに、巻芯が一定速度で回転されても、帯状電極積層体に加わるテンションが周期的に変動せずに一定の状態で帯状電極積層体を巻回することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図5】(a)は帯状の巻回部材の外形形状が円筒状となる状態で巻回する場合の被巻回部の配置を示す模式図、(b)は帯状の巻回部材の外形形状が扁平円筒状となる状態で巻回する場合の被巻回部の配置を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を帯状の巻回部材としての帯状の正極及び帯状の負極を間に帯状のセパレータが存在する状態で巻回する巻回装置に具体化した一実施形態を
図1〜
図5にしたがって説明する。
【0017】
図1に示すように、巻回装置10は、帯状の正極11がコイル状に巻かれた正極用リール12がセットされた正極用アンコイラー13と、帯状の負極14がコイル状に巻かれた負極用リール15がセットされた負極用アンコイラー16と、帯状のセパレータ17がコイル状に巻かれたセパレータ用リール18a,18bがそれぞれセットされた2個のセパレータ用アンコイラー19a,19bと、を備えている。
【0018】
巻回装置10は、巻芯20を回転駆動する巻芯駆動部21を備えている。巻芯駆動部21は、巻芯駆動部21が一体回転可能に固定される回転軸22と、回転軸22を駆動プーリ23、ベルト24及び被動プーリ(図示せず)を介して駆動する巻芯駆動用モータ25とで構成されている。巻芯駆動用モータ25は制御装置26により駆動制御される。巻芯20は、帯状の巻回部材としての、帯状の正極11、帯状の負極14及び帯状のセパレータ17が積層された状態で、即ち帯状電極積層体として巻回可能に構成されている。
【0019】
図2及び
図3に示すように、巻芯20は、支持体27と、支持体27に対してそれぞれ移動可能に設けられた4個の被巻回部28と、を備えている。
図5(a)に示すように、各被巻回部28は、巻回部材が巻回された状態における巻回部材の外形形状が円筒状となる状態と、
図5(b)に実線で示すように、巻回部材が巻回された状態における巻回部材の外形形状が扁平円筒状となる状態に配置可能に構成されている。なお、
図5(a)及び
図5(b)は、巻芯20を円筒軸30と直交する平面で切断した状態を示しているが、各被巻回部28の破断を省略している。
【0020】
図2及び
図3に示すように、支持体27は、一対の支持部29を備えている。
図2及び
図4に示すように、各支持部29は、円板状に形成されるとともに、回転軸22に固定可能な円筒軸30で連結固定されている。各支持部29は、周縁に円筒状のリブ29aを有する。支持部29は、ガイド部としての長孔31を備えている。長孔31は、リブ29aに跨るように略十字状に形成されている。各被巻回部28は、支持体27に対して長孔31に沿って移動可能に設けられている。なお、一対の支持部29のうち、一方の支持部29は、取り外し可能に円筒軸30に固定されている。
【0021】
図2、
図5(a)及び
図5(b)に示すように、各被巻回部28は、外形がかまぼこ状、即ち円柱の外側寄り部分の一部を構成する形状に形成された本体部28aと、
図3に示すように、本体部28aの両端に突設された突部28b,28cとを有する。各被巻回部28は、それぞれ独立した被巻回部駆動部32により長孔31に沿って独立して駆動可能になっている。
【0022】
図3及び
図4に示すように、各被巻回部駆動部32は、長孔31と平行に延びる状態で固定突部33aにおいて一方の突部28bの先端に固定されたラック33と、ラック33と噛合した状態でモータ34により回転駆動されるピニオン35とを備えている。各モータ34は正逆回転駆動可能に構成され、制御装置26からの指令信号により、正転駆動あるいは逆転駆動され、ピニオン35及びラック33を介して被巻回部28を移動させる。
【0023】
制御装置26は、帯状の巻回部材、即ち帯状の正極11、帯状の負極14及び帯状のセパレータ17の巻回時に、全ての被巻回部28に対する1周目の巻回長さを保った状態で、帯状の巻回部材を巻き取るように各モータ34を駆動する。この実施形態では、制御装置26は、被巻回部28に巻回される帯状の巻回部材の外形形状が扁平円筒状となる状態で、帯状の巻回部材の巻回を開始し、巻回途中では被巻回部28に巻回される帯状の巻回部材の外形形状が円筒状となる状態で巻回を行う。そして、帯状の巻回部材の巻回終了時には被巻回部28に巻回される帯状の巻回部材の外形形状が扁平円筒状となるように被巻回部駆動部32の各モータ34を制御する。
【0024】
次に前記のように構成された巻回装置10の作用を説明する。
先ず、巻芯20を巻回装置10の回転軸22に固定した後、各被巻回部28を巻芯20に巻回される巻回部材の外形形状が扁平円筒状となる状態に配置する。次に正極用リール12から正極11を引き出して、その端部を1個の被巻回部28に固定する。固定は正極11の端部が被巻回部28の円弧面から突出した箇所を折り曲げて平坦部に接触する状態で、例えばテープにより行う。次にセパレータ用リール18aからセパレータ17を引き出して、その端部を同じ被巻回部28に正極11の上から同様に固定する。次に負極用リール15から負極14を引き出して、その端部を同じ被巻回部28にセパレータ17の上から同様に固定する。次にセパレータ用リール18bからセパレータ17を引き出して、その端部を同じ被巻回部28に負極14の上から同様に固定すると、巻回準備が完了する。即ち、帯状のセパレータ17は2枚使用され、帯状の正極11、帯状のセパレータ17、帯状の負極14、帯状のセパレータ17の順に被巻回部28の外周面上に積層された状態で、帯状電極積層体が巻芯20に対して巻回される。
【0025】
図5(b)に実線で示すように、巻回開始時には各被巻回部28が、被巻回部28に対する帯状の巻回部材(帯状電極積層体)の外形形状が扁平円筒状となる状態で巻回が行われる。巻回が開始された後、制御装置26は、各被巻回部28の配置状態が、帯状の巻回部材(帯状電極積層体)の外形形状が円筒状となる状態、即ち
図5(b)に2点鎖線で示す状態となるように、被巻回部駆動部32の各モータ34を駆動制御する。各モータ34は、被巻回部28に対する帯状の巻回部材の一周目の巻回長さを保った状態で、それぞれ被巻回部28を独立して、かつ互いに同期した状態で移動(駆動)させる。
【0026】
制御装置26は、各被巻回部28が、帯状の巻回部材(帯状電極積層体)の外形形状が円筒状となる状態に配置された時点でモータ34の駆動を停止する。その状態で、巻芯20に対する帯状の巻回部材の巻回が継続される。そして、巻芯20に対する帯状の巻回部材の巻回長さが満巻状態より短い所定の長さに達した時点で、制御装置26はモータ34の駆動を再開する。但し、再開後の各モータ34の回転方向は、各被巻回部28の配置を、被巻回部28に対する帯状の巻回部材の外形形状が扁平円筒状となる状態へ変更するための方向になる。そして、各被巻回部28が帯状の巻回部材の外形形状が扁平円筒状となる状態に達した時点でモータ34の駆動が停止され、その後、巻回部材の巻回長さが目的の長さに達した時点で巻芯駆動用モータ25の駆動が停止される。
【0027】
次に巻芯20に巻回された扁平円筒状の帯状電極積層体を巻芯20から取り外す。扁平円筒状に巻回された帯状電極積層体を巻芯20から取り外す場合は、モータ34を各被巻回部28が扁平円筒状の帯状電極積層体から離れる方向に駆動して、各被巻回部28が扁平円筒状に巻回された帯状電極積層体から離れた状態にした後、円筒軸30に取り外し可能に固定された支持部29を取り外す。その後、巻回された帯状電極積層体を取り外す。
【0028】
この実施形態によれば、以下に示す効果を得ることができる。
(1)巻芯20は、帯状の巻回部材(正極11、負極14及びセパレータ17)を巻回可能な巻芯である。そして、支持体27と、支持体27に対してそれぞれ移動可能に設けられた4個の被巻回部28と、を備え、被巻回部28は、巻回部材が巻回された状態における巻回部材の外形形状が円筒状となる状態と、巻回部材が巻回された状態における巻回部材の外形形状が扁平円筒状となる状態に配置可能に構成されている。
【0029】
この構成によれば、巻芯20を回転駆動して巻芯20に帯状の巻回部材を巻回する巻回装置として、各被巻回部28をそれぞれ目的とする位置に移動させる駆動部を備えた装置を使用することにより、帯状の巻回部材として、帯状の正極及び負極を間にセパレータが存在する帯状電極積層体を使用する際の巻回時の大部分を巻回部材の外形形状が円筒状となる状態で巻回することが可能になる。したがって、巻芯20の周面に帯状電極積層体が巻回されるときに、巻芯20が一定速度で回転されても、帯状電極積層体に加わるテンションが周期的に変動せずに一定の状態で帯状電極積層体を巻回することができる。
【0030】
(2)巻回装置10は、帯状の巻回部材を巻芯上に巻回する巻回装置である。そして、一対の支持部29を備え、かつ支持部29にガイド部(長孔31)を備えた支持体27及び支持体27に対してガイド部に沿って移動可能に設けられた4個の被巻回部28を備えた巻芯20と、巻芯20を回転駆動する巻芯駆動部21とを備えている。さらに、各被巻回部28をガイド部に沿って独立して駆動する被巻回部駆動部32と、帯状の巻回部材の巻回時に、被巻回部駆動部32を、被巻回部28に対する1周目の巻回長さを保った状態で、帯状の巻回部材を巻き取るように駆動する制御装置26とを備えている。
【0031】
この構成によれば、4個の被巻回部28を備えた巻芯20を回転駆動して帯状の巻回部材として、帯状の正極11及び負極14を間にセパレータ17が存在する帯状電極積層体を巻芯20上に巻回する際、帯状の巻回部材の巻回時の大部分を巻回部材の外形形状が円筒状となる状態で巻回することが可能な位置に各被巻回部28を配置した状態で巻回を行ない、最後に扁平円筒状となるように巻回することができる。したがって、巻芯20の周面に帯状電極積層体が巻回されるときに、巻芯20が一定速度で回転されても、帯状電極積層体に加わるテンションが周期的に変動せずに一定の状態で帯状電極積層体を巻回することができる。
【0032】
(3)各被巻回部駆動部32は、他の被巻回部駆動部32と独立してガイド部(長孔31)に沿って駆動(移動)させることができるため、帯状電極積層体の巻回終了後に、各扁平円筒状に巻回された帯状電極積層体を被巻回部28から取り外す際、被巻回部28を巻回体の内面から離れる方向に移動させることにより、簡単に取り外すことができる。
【0033】
(4)制御装置26は、被巻回部28に巻回される帯状の巻回部材の外形形状が扁平円筒状となる状態で、帯状の巻回部材の巻回を開始し、巻回途中では被巻回部28に巻回される帯状の巻回部材の外形形状が円筒状となる状態で巻回を行う。そして、帯状の巻回部材の巻回終了時には、被巻回部28に巻回される帯状の巻回部材の外形形状が扁平円筒状となるように被巻回部駆動部32を制御する。この構成によれば、被巻回部28の配置が、帯状の巻回部材の外形形状が扁平円筒状となる状態で巻回を開始するため、帯状の巻回部材の外形形状が円筒状となる状態で巻回を開始する場合に比べて、帯状の巻回部材の巻き始めの位置を目的とする位置に設定し易い。
【0034】
実施形態は前記に限定されるものではなく、例えば、次のように具体化してもよい。
○ 被巻回部28の数は4個に限らず、帯状の巻回部材が巻回された状態における帯状の巻回部材の外形形状が円筒状となる状態と、帯状の巻回部材が巻回された状態における帯状の巻回部材の外形形状が扁平円筒状となる状態に配置可能であればよく、4個以上であればよい。
【0035】
○ 被巻回部28の数が多い方が、巻回された状態における帯状の巻回部材の外形形状が円筒形に近くなるが、被巻回部28の数が多くなるとその分、被巻回部駆動部32の数が多くなるため、構造が複雑になる。
【0036】
○ 被巻回部28は全てが同じ形状に限らず、異なる形状の被巻回部28が混在してもよい。被巻回部28の数が少ない場合は、同じ形状の方が好ましい。例えば、被巻回部28の数が4個の場合、異なる形状の被巻回部28を使用すると、帯状の巻回部材の外形形状が円筒状の場合に、4個同じ形状の被巻回部28を使用した場合に比べて、外形形状が円筒形から離れる。
【0037】
○ ガイド部は長孔31に限らず、例えば、突条であってもよい。しかし、長孔の方がガイド部に沿って移動する部分の構造が簡単になる。
○ 被巻回部28をガイド部に沿って独立して駆動する被巻回部駆動部32は、ラック33と、モータ34で駆動されるピニオン35との組み合わせに限らない。例えば、各被巻回部28をそれぞれシリンダで駆動する構成としてもよい。
【0038】
○ モータ34で駆動されるベルト伝導機構のベルトに被巻回部28を固定して、ベルトの往復動により、被巻回部28を、巻回部材が巻回された状態における巻回部材の外形形状が円筒状となる状態と、扁平円筒状となる状態に移動させる構成としてもよい。
【0039】
○ 被巻回部28をガイド部に沿って移動させる被巻回部駆動部32は、ラック33が支持部29に固定され、ピニオン35を駆動するモータ34が各被巻回部28に固定された構成であってもよい。
【0040】
○ 被巻回部28は、必ずしも巻回部材と接触する面が円弧面である必要はなく、複数の平面で円弧面に近い形状に形成されてもよい。その場合、各平面の連続部が角ではなく曲面となるように形成されてもよい。
【符号の説明】
【0041】
11…帯状の巻回部材としての帯状の正極、14…帯状の巻回部材としての帯状の負極、17…帯状の巻回部材としての帯状のセパレータ、20…巻芯、21…巻芯駆動部、26…制御装置、27…支持体、28…被巻回部、29…支持部、31…ガイド部としての長孔、32…被巻回部駆動部。