(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
[第1実施形態]
本実施形態の眼科装置1について説明する。眼科装置1は、例えば、白内障手術に使用されるものである。白内障手術において、例えば患者眼Eの眼圧を所定の範囲内に維持するため、患者眼Eへの灌流液の注入量と患者眼Eからの廃液LQWの吸引量とのバランスを保つことが望ましい。そのため、患者眼Eから吸引される廃液LQWの吸引量を監視することが望ましい。このとき、廃液LQWを貯留するタンク42に貯留される廃液LQWの水位(貯留量)を検出すれば、この検出結果をもとに、患者眼Eから吸引される廃液LQWの吸引量を知ることができる。また、タンク42における廃液LQWの水位を極力一定に保つことで、タンク42内における気体の容積が変動し難くなり、患者眼Eからの廃液LQWの吸引圧力が安定する場合もあり得る。この場合にも、廃液LQWの水位を検出できることが望ましい。
【0010】
そこで、本実施形態では、詳しくは後述するように、水位検出手段61によりタンク42に貯留される廃液LQWの水位を検出する。そこで、まず、眼科装置1の全体的な構成について説明をした後、水位検出手段61について説明する。
【0011】
本実施形態の眼科装置1は、一例として、本体11とカセット12を備えている。本体11は、モニタ21と接続パネル22を備えている。モニタ21に、一例として、手術条件の設定画面や手術装置の駆動結果である手術結果の一覧等が表示される。接続パネル22に、一例として、手術用ハンドピース13のケーブル等が接続される複数のコネクタが設けられている。
【0012】
本体11は、一例として、白内障手術用などのカセット12が装着される保持ユニット23を側面に備えている。
【0013】
本体11は、背面にポール24とアーム24aを備えている。ポール24は、生理食塩水等の灌流液が入れられた灌流瓶26を支持する。アーム24aは、ポール24の上側で灌流瓶26を吊り下げる。ポール24は、制御部14によって駆動機構27が駆動されることで上下する。
【0014】
本体11は、背面にインターフェイス部を備えている。インターフェイス部は、例えば、手術結果等を電子データとして外部転送するために、LAN,USBストレージデバイス等を介して外部機器(PC)と接続してもよい。
【0015】
本体11は、フットスイッチ28を備えている。フットスイッチ28は、手術用ハンドピース13の先端部に設けられている可動チップの超音波振動や吸引動作などの各種動作を調整するために用いられてもよい。
【0016】
本体11は、内部に制御部14(
図3参照)を備えている。制御部14は、一例として、眼科装置1の各種動作制御のために用いられる。
【0017】
制御部14に、例えば、手術用ハンドピース13、モニタ21、接続パネル22、駆動機構27、フットスイッチ28、吸気手段29、廃液吸引手段31、記憶手段32、インターフェイス部、および各種弁部が接続されている(
図3参照)。記憶手段32として、例えば、書き換え可能なフラッシュメモリを用いてもよい。記憶手段32は、手術を実行するためのプログラム、および本体11の手術動作で取得された各種手術情報を記憶してもよい。
【0018】
制御部14は、例えば、記憶手段32に記憶されている灌流吸引プログラムを読み出す。制御部14は、例えば、吸気手段29の駆動、廃液吸引手段31の駆動、および各種弁の駆動を制御するプロセッサとして働く。なお、プロセッサとして、CPU(マイクロプロセッサ)、DSP(デジタル・シグナル・プロセッサ)、PLD(プログラマブル・ロジック・デバイス)等を用いてもよい。
【0019】
<手術用ハンドピース>
本実施形態の眼科装置1は、手術用ハンドピース13を備えている。眼科装置1は、手術用ハンドピース13の一例として、USハンドピース(超音波ハンドピース)を用いている。USハンドピースは、例えば、白内障によって不透明になり硬化した水晶体核を、先端に設けられた破砕用チップの超音波振動によって乳化吸引除去する。破砕用チップの超音波振動を行うために、手術用ハンドピース13内に設けられた超音波振動子に電力ケーブル33を介して電力供給してもよい。なお、手術用ハンドピース13は、USハンドピースに限るものではない。手術用ハンドピース13として、例えば、I/Aハンドピース16(灌流吸引用ハンドピース)を用いてもよい。本実施形態の手術用ハンドピース13には、電力ケーブル33のほかに、灌流チューブ34と吸引チューブ36が接続されている。灌流チューブ34は、例えば、患者眼Eへ灌流液を流し込むために用いられる。吸引チューブ36は、例えば、患者眼Eから灌流液を含む廃液LQW(液体)を吸い出すために用いられる。
【0020】
<供給手段>
本実施形態の眼科装置1は、供給手段を有している。供給手段は、例えば、灌流液を患者眼Eへ供給する。供給手段は、一例として、駆動機構27、ポール24、灌流瓶26、灌流チューブ37、灌流チューブ34、灌流弁部38、および手術用ハンドピース13を備えている。供給手段は、灌流液が流れる灌流路39を有する。灌流路39は、灌流チューブ34、および灌流チューブ37を含む。前述したように、本実施形態の眼科装置1のポール24には、灌流液が満たされた灌流瓶26が吊り下げられている。ポール24は、制御部14が駆動機構27を駆動することで上下される。ポール24の上下動に伴って、灌流瓶26から流れる灌流液の供給圧が調節される。灌流瓶26からの灌流液は、灌流チューブ37および灌流チューブ34を通過し、術者に把持される手術用ハンドピース13を介して患者眼Eへ灌注される。灌流路39の途中で、灌流路39を流れる灌流液の流出制御が行われる。
【0021】
<吸引手段>
本実施形態の眼科装置1は、吸引手段を備えている。吸引手段は、例えば、吸気手段29を用いて、患者眼Eから灌流液を含む廃液LQWを吸引する。吸引手段は、一例として、手術用ハンドピース13、吸引チューブ36、廃液路41、タンク42(貯留部)、吸気路43、吸気手段29、廃液路44、廃液吸引手段31、および廃液バッグ12bを備えている。
【0022】
廃液路41は、患者眼Eから吸引した、灌流液を含む廃液LQWが流れる流路である。廃液路41は、吸引チューブ36とタンク42に接続されている。
【0023】
本実施形態においては、廃液路41は、貯留弁部47を備えている。制御部14が貯留弁部47を開閉制御することで、貯留弁部47の箇所で廃液路41を閉塞可能となっている。なお、制御部14が放流弁部48を制御して、廃液路41を流れる廃液LQWの流量を調節してもよい。タンク42には、患者眼Eから吸引された廃液LQWが一時的に貯留される。廃液路41と吸気路43は、貯留された廃液LQWの液面よりも上方でタンク42に接続されている。本実施形態のタンク42は、透光性を有する素材(例えば、ポリカーボネート、アクリル)で形成されている。
【0024】
吸気路43は、タンク42と吸気手段29に接続されている。吸気手段29は、例えば、タンク42内の気体をタンク42の外部へと移すための吸引力を発生させる。制御部14は、例えば、吸気手段29の吸気力を調整することができる。本実施形態においては、吸気手段29の一例として、ベンチュリポンプを用いている。なお、吸気手段29は、例えば、真空ポンプであってもよい。吸気手段29がタンク42内の気体をタンク42の外部へと移すことで、タンク42内の気体の圧力が下げられる。
【0025】
廃液路44は、タンク42と廃液バッグ12bに接続されている。本実施形態の廃液路44は、貯留されている廃液LQWの液面よりも下方でタンク42に接続されている。廃液路44は、放流弁部48を備えている。制御部14が放流弁部48を開閉制御することで、放流弁部48の箇所で廃液路44を閉塞することができる。本実施形態においては、廃液路44の少なくとも一部を弾性部材で形成している。本実施形態の廃液吸引手段31は、廃液路44の側方に配置されている。前述した弾性部材を、廃液吸引手段31のしごき部材でしごくことで、廃液LQWを吸引する吸引力が発生する。本実施形態では、廃液吸引手段31の吸引力を用いて、タンク42に貯留された廃液LQWを廃液バッグ12bへ移す。本実施形態においては、廃液吸引手段31の一例として、蠕動ポンプを用いている。廃液吸引手段31として、例えば、スクロールポンプ、ベーンポンプ、またはダイアフラムポンプ等を用いてもよい。廃液バッグ12bには、廃液吸引手段31が吸引した廃液LQWが溜められる。本実施形態では、廃液バッグ12bに溜められる廃液LQWの液面より上方に、廃液路44が接続される。
【0026】
<吸引モード>
次いで、前述した供給手段と吸引手段を用いた吸引モードを説明する。本実施形態の吸引モードでは、制御部14の制御によって、灌流弁部38、貯留弁部47、および放流弁部48が開かれ、ベント弁部49が閉じられる。
【0027】
制御部14の制御によって吸気手段29が駆動されると、吸気手段29は、吸気路43を介して、タンク42内の気体を吸気する。これにより、タンク42内の気体の圧力が低下するので、廃液LQWは、患者眼Eから廃液路41を介してタンク42へ吸引されて貯留される。制御部14は、タンク42における廃液LQWの貯留量が一定になるように、廃液吸引手段31を駆動させる。これにより、タンク42に貯留されている廃液LQWの一部は、廃液バッグ12bへ移される。タンク42における廃液LQWの貯留量(水位)は、後述する水位検出手段61により検出される。
【0028】
<ベント流路>
本実施形態の眼科装置1は、ベント流路51を備えている。ベント流路51は、灌流路39と廃液路41に接続されている。ベント流路51に灌流液を流すことで、患者眼Eからの過剰な吸引を抑制する。ベント流路51は、ベント弁部49を有している。制御部14がベント弁部49を開閉制御することで、ベント流路51に流す灌流液の流量を制御可能である。
【0029】
<カセット>
本実施形態のカセット12は、カセット本体12aおよび廃液バッグ12bを有する。本実施形態のカセット本体12aには、灌流チューブ34、灌流チューブ37、および吸引チューブ36が接続されている。本実施形態のカセット本体12aは、例えば、廃液路41、廃液路44、および吸気路43を有している。廃液バッグ12bは、カセット本体12aの筐体の外側に配置されている。
【0030】
<水位検出手段>
本実施形態の眼科装置1は、
図2に示すように、水位検出手段61を有している。水位検出手段61は、発光部71と、光センサ72(受光部)と、集光部73を備えている。
【0031】
本実施形態では、発光部71は、光源81と、拡散板82(拡散部)と、スリット83(スリット部)を備えている。
【0032】
図2に示す例では、光源81は、タンク42を介して光センサ72に対向する位置に配置されている。光源81は、例えば、LEDである。光源81は、タンク42内を通過させる光を発する。
図2に示す例では、光源81は、複数配置されている。
【0033】
拡散板82は、光源81とスリット83との間の位置に配置されている。拡散板82は、例えば、擦りガラスの板である。拡散板82は、複数の光源81から発せられる光を拡散させる。そして、拡散板82により拡散された光の一部において、平行光が得られる。なお、平行光は、厳密な平行光のみを含むものではなく、略平行な光も含む。
【0034】
スリット83は、拡散板82とタンク42との間の位置に配置されている。スリット83は、薄板により形成され、スリット孔を備えている。そして、拡散板82により拡散された光は、スリット83のスリット孔を通って、タンク42へ照射される。このとき、拡散板82により拡散された光において得られた平行光も、タンク42へ照射される。なお、拡散板82により拡散された光はスリット83のスリット孔を通るので、タンク42内において光路が制限されて光の乱反射が抑制される。また、スリット孔は、例えば、タンク42内に貯留される廃液LQWの水位方向(上下方向)に延びる1本の細い孔である。また、スリット83は、必須ではない。
【0035】
図2に示す例では、光センサ72は、タンク42を介して光源81に対向する位置に配置されている。詳しくは、光センサ72は、集光部73の焦点位置に、すなわち、後述するように集光部73が光を集光させるときの焦点位置に配置されている。光センサ72には、例えば、フォトセンサ、ラインセンサ、または、PSD(Position Sensitive Detector、半導体位置検出素子)等を使用することができる。光センサ72は、タンク42内を通過した光を受光する。なお、光センサ72は、集光部73の焦点位置から光軸方向にずれた位置に配置されてもよい。例えば、ラインセンサを用いる場合には、ラインセンサの検出範囲を考慮して、集光部73の焦点位置に対するラインセンサの配置位置を調整してもよい。
【0036】
本実施形態では、集光部73は、タンク42の壁部42aの一部である。ここで、タンク42の壁部42aは、タンク42内の通過光路L(
図7参照)における光の出射の位置(発光部71からタンク42の液体貯留領域A(
図7参照)内に入射した光が液体貯留領域A外へ出射される位置)に形成されている。つまり、集光部73のうちタンク42の内側の表面は、タンク42に貯留される廃液LQWに接触する。なお、発光部71からタンク42の液体貯留領域A内に入射する光は、前述した拡散板82により、タンク42内に貯留される廃液LQWの液面に平行な平行光(略平行光も含む)を含んでいる。そして、集光部73は、タンク42の外側に向かって湾曲する形状に形成されている。
【0037】
集光部73は、例えば、
図4と
図5に示すようにドーム状(半球状)に形成されている。なお、このように、集光部73がドーム状に形成されていれば、詳しくは後述するように、集光部73における集光度合いが向上するので、廃液LQWの水位の検出精度が向上する。
【0038】
あるいは、集光部73は、例えば、
図6に示すように部分円筒状の曲面により形成されていてもよい。ここで、部分円筒状とは、円筒における当該円筒の周方向の一部からなる形状である。そして、詳しくは、
図6に示す集光部73は、中心軸S方向がタンク42に貯留される廃液LQWの水位方向(
図6の上下方向)と直交する部分円筒状の曲面により形成されている。なお、このように、集光部73が部分円筒状に形成されていれば、詳しくは後述するように、集光部73の作製が容易となり、また、集光部73と光センサ72の相対的な位置を合わることが容易になる。
【0039】
このような集光部73は、詳しくは後述するように、タンク42内の通過光路L(
図7参照)の全てに亘って廃液LQWを通過した光のみを、光センサ72に集光させる。
【0040】
次に、タンク42に貯留される廃液LQWの水位を、本実施形態の水位検出手段61により検出する方法について説明する。
【0041】
図7に示すように、集光部73は、タンク42内の通過光路Lの全てに亘って廃液LQWを通過した光(平行光)を、光センサ72に集光させる。ここで、通過光路Lは、光源81から発せられた光がタンク42の液体貯留領域A内に入射して液体貯留領域A外へ出射するまでに進行する光路である。また、液体貯留領域Aは、タンク42内において廃液LQWを貯留可能な領域である。
【0042】
本実施形態では、
図7に示すように、集光部73は、タンク42の外側に向かって、すなわち、タンク42内の通過光路Lにおける光の進行方向側(
図7の右側)に向かって湾曲する形状に形成されている。そして、タンク42内に廃液LQWが満たされているときは、集光部73の全体について、集光部73に対してタンク42の内側(
図7の左側)に廃液LQWが存在し、集光部73に対してタンク42の外側(
図7の右側)に、廃液LQWよりも屈折率が小さい気体(大気)が存在している。これにより、集光部73は凸レンズのように作用するので、集光部73に入射する光は、集光部73におけるレンズ効果により屈折して集光される。そして、本実施形態では、さらに、光センサ72は、集光部73の焦点位置(集光部73が凸レンズのように作用するときの焦点位置)に、配置されている。
【0043】
以上のようなことから、タンク42内に廃液LQWが満たされているときは、集光部73に入射する全ての光は、光センサ72に集光される。したがって、タンク42内に廃液LQWが満たされているときは、
図10の測定点P1に示すように、光センサ72の受光量は最も大きくなる。なお、
図10は、本実施形態において、タンク42に貯留される廃液LQWの水位に対する光センサ72の受光量の測定結果を示している。
【0044】
次に、
図8に示すように、タンク42内に廃液LQWが半分程度貯留されているときは、集光部73は、タンク42を通過する全ての光のうちの約半分の光を、光センサ72に集光させる。詳しくは、集光部73は、
図8に示すように廃液LQWの液面より下側の部分においてタンク42内の通過光路Lの全てに亘って廃液LQWを通過した光を、光センサ72に集光させる。
【0045】
すなわち、
図8に示すように、廃液LQWの液面より上側の部分については、集光部73に対してタンク42の内側と外側の両方に気体が存在している。そのため、廃液LQWの液面より上側の部分について、集光部73に入射する光は、屈折しないか、または、集光部73を構成する部材によってほんのわずかに屈折するだけなので、光センサ72に集光されない。
【0046】
したがって、廃液LQWの液面より下側の部分についてのみ、集光部73に入射する光は、光センサ72に集光される。これにより、タンク42内に廃液LQWが半分程度貯留されているときは、
図10の測定点P2に示すように、光センサ72の受光量は、タンク42内に廃液LQWが満たされているときよりも減少して、光センサ72の受光量は中程度の大きさになる。
【0047】
次に、
図9に示すように、タンク42内において廃液LQWが空のとき(すなわち、タンク42内が気体により満たされているとき)は、集光部73は、タンク42内を通過する光のうち集光部73の中心軸上を通る光を、そのまま透過させて光センサ72に到達させるだけである。このように、集光部73は、タンク42内を通過する光を集光させていない。
【0048】
これにより、タンク42内の廃液LQWが空であるときは、
図10の測定点P3に示すように、光センサ72の受光量は、タンク42内に廃液LQWが半分程度貯留されているときよりもさらに減少して、小さくなる。
【0049】
このように、本実施形態では、集光部73は、タンク42内の通過光路Lの全てに亘って廃液LQWを通過した光のみを、光センサ72に集光させる。
【0050】
そして、本実施形態では、廃液LQWの液面よりも下側の部分において集光部73に入射する光は光センサ72に集光される一方で、廃液LQWの液面よりも上側の部分において集光部73に入射する光は光センサ72に集光されない。このように、本実施形態では、廃液LQWの水位方向について、廃液LQWの液面の位置を境に、集光部73に入射する光が集光される部分と集光されない部分とに分かれる。そのため、光センサ72の受光量は、タンク42内に貯留される廃液LQWの水位の変化に応じて、連続的に変化する。したがって、水位検出手段61は、光センサ72の受光量をもとに、タンク42内に貯留される廃液LQWの水位を連続的に検出することができる。
【0051】
なお、変形例として、
図11に示すように、発光部71は、1つの光源81と、この1つの光源81から発せられる光を平行光(略平行光も含む)にする平凸レンズ84(レンズ部)を備えていてもよい。また、このとき、スリット83をさらに備えていてもよい。さらに、平凸レンズ84の代わりに、両凸レンズを備えていてもよい。
【0052】
また、その他の変形例として、光源81と光センサ72は、タンク42を介して対向する位置に配置されていなくてもよい。この変形例の場合、例えば、光源81から発せられる光を、鏡(ミラー)(不図示)に反射させて、拡散板82または平凸レンズ84に照射させることが考えられる。また、点光源から発せられる光を反射して平行光(略平行光も含む)とする凹面鏡を用いて、平行光をタンク42に向けて照射してもよい。また、集光部73から出射される光を、鏡(ミラー)(不図示)に反射させて、光センサ72に受光させることも考えられる。
【0053】
本実施形態によれば、眼科装置1(詳しくは、水位検出手段61)は、タンク42内の通過光路Lの全てに亘って廃液LQWを通過した光のみを、光センサ72に集光させる集光部73を有する。
【0054】
このようにして、集光部73は、タンク42内の通過光路Lの全てに亘って廃液LQWを通過した光を光センサ72に集光させる一方で、通過光路Lに亘って気体を通過した光を光センサ72に集光させない。これにより、タンク42に貯留される廃液LQWの水位に応じて、集光部73における集光度合いが変化する。そのため、光センサ72の受光量は、タンク42に貯留される廃液LQWの水位に応じて変化する。したがって、水位検出手段61は、光センサ72の受光量をもとに、適切にタンク42に貯留される廃液LQWの水位を検出できる。そして、水位検出手段61は、タンク42に貯留される廃液LQWの水位について、満水の状態から空の状態の広い範囲に亘って、適切に検出できる。
【0055】
また、本実施形態によれば、タンク42に貯留される廃液LQWの液面を境にして、廃液LQWの液面よりも下側を通過する光が集光部73により集光される一方で、廃液LQWの液面よりも上側を通過する光が集光部73により集光されない。そのため、タンク42に貯留される廃液LQWの水位の変化に応じて、集光部73における集光度合いが連続的に変化するので、光センサ72の受光量が連続的に変化する。したがって、水位検出手段61は、連続的に変化する光センサ72の受光量をもとに、タンク42に貯留される廃液LQWの水位の変化を、連続的に検出できる。すなわち、水位検出手段61は、タンク42に貯留される廃液LQWの水位の変化を、リアルタイムに検出できる。そして、例えば、リアルタイムに検出した廃液LQWの水位の検出結果をもとに、タンク42における吸引量を安定させてもよい。また、タンク42に貯留される廃液LQWの水位を安定させてもよい。
【0056】
また、本実施形態によれば、水位検出手段61は、光を集光部73により集光させて光センサ72で受光させることにより、タンク42に貯留される廃液LQWの水位を検出する。そのため、光センサ72の数を少なくできる(例えば、光センサ72を1つにできる)ので、コストが抑制される。
【0057】
また、集光部73は、タンク42内の通過光路Lにおける光の出射位置に形成されるタンク42の壁部42aであり、タンク42の外側に向かって湾曲する形状に形成されている。このように、タンク42の壁部42aの一部を集光部73にするので、部品点数を削減できるとともに、水位検出手段61の構造を単純化できる。そのため、コストを抑制できる。
【0058】
そして、例えば、集光部73がドーム状に形成されていれば、集光部73により光を一点に集光させることができるので、集光部73における集光度合いが向上する。そのため、光源81から発せられる光の光量が少ない場合であっても、光センサ72の受光量を十分に得ることができる。また、タンク42に貯留される廃液LQWの水位がわずかに変化するときでも光センサ72の受光量が変化するので、タンク42に貯留される廃液LQWの水位の検出精度が向上する。
【0059】
そして、例えば、集光部73が
図6に示すように中心軸S方向がタンク42に貯留される廃液LQWの水位方向と直交する部分円筒状の曲面により形成されていれば、集光部73の作製が容易となる。また、集光部73において光はタンク42に貯留される廃液LQWの水位方向のみ集光されるので、中心軸S方向についての集光部73の位置精度が緩和され、集光部73と光センサ72の相対的な位置合わせが容易になる。
【0060】
また、眼科装置1(詳しくは、発光部71)は、複数の光源81から発せられる光を拡散させる拡散板82と、拡散板82により拡散された光をスリット孔を介してタンク42側へ通すスリット83と、を有する。あるいは、眼科装置1は、1つの光源81と、1つの光源81から発せられる光を平行光にしてタンク42側へ通す平凸レンズ84を有する。これにより、平行光をタンク42内に入射させることができる。そのため、タンク42内に貯留される廃液LQWの水位の変化に応じて、廃液LQWを通過する光の量が変化するので、集光部73における集光度合いが顕著に変化する。したがって、廃液LQWの水位の検出精度が向上する。
【0061】
また、光センサ72をフォトセンサとすることにより、コストを抑制できる。あるいは、光センサ72をラインセンサとすることにより、光センサ72が受光できる幅が大きくなるので、集光部73の位置合わせが容易になる。なお、光センサ72をラインセンサとする場合には、集光部73を用いない場合に比べて、ラインセンサの大きさを小さくすることもできる。また、光源81はLEDであるので、光源81の高寿命化やコスト抑制を図ることができる。
【0062】
[第2実施形態]
第1実施形態と異なる点として、本実施形態の水位検出手段61において、集光部74は、
図12に示すように、内側集光部74Aと外側集光部74Bを備えている。
【0063】
内側集光部74Aは、タンク42の内側の位置、詳しくは、通過光路Lにおける光の出射位置(発光部71からタンク42の液体貯留領域A内に入射した光が液体貯留領域A外へ出射される位置)に配置されている。つまり、内側集光部74Aのタンク42内側の面は、タンク42に貯留される廃液LQWに接する。そして、内側集光部74Aは、タンク42の内側に向かって湾曲する外形を備える断面形状に形成されている。内側集光部74Aは、例えば、タンク42の壁部42aに一体的に取り付けられた平凸レンズである。
【0064】
外側集光部74Bは、内側集光部74Aに対してタンク42の外側の位置において、内側集光部74Aに対してタンク42の壁部42aを介して配置されている。そして、外側集光部74Bは、タンク42の外側に向かって湾曲する外形を備える断面形状に形成されている。外側集光部74Bは、例えば、タンク42の壁部42aに一体的に取り付けられた平凸レンズである。
【0065】
また、本実施形態では、光センサ72は、集光部74の焦点位置に配置されている。
【0066】
次に、タンク42に貯留される廃液LQWの水位を、本実施形態の水位検出手段61により検出する方法について説明する。
【0067】
まず、
図12に示すように、タンク42内の廃液LQWが空であるときは、集光部74は、タンク42を通過する全ての光を光センサ72に集光させる。つまり、
図12に示す例では、タンク42を通過する全ての光が、通過光路Lの全てに亘って気体を通過する。本実施形態では、通過光路Lの全てに亘って気体を通過した光は、集光部74によって光センサ72に集光される。
【0068】
すなわち、
図12に示すように、タンク42内の気体を通過して集光部74に入射する光の全ては、集光部74におけるレンズ効果により屈折して、光センサ72に集光される。したがって、タンク42内の廃液LQWが空であるときは、光センサ72の受光量は最も大きくなる。
【0069】
次に、
図13に示すように、タンク42内に廃液LQWが半分程度貯留されているときは、集光部74は、タンク42を通過する全ての光のうち約半分の光を光センサ72に集光させる。すなわち、廃液LQWの液面より下側の部分については、集光部74に対してタンク42の内側にある液体貯留領域A内に廃液LQWが存在している。そして、内側集光部74Aは廃液LQWに接しており、且つ、廃液LQWの屈折率と集光部74の屈折率との差は、小さい。そのため、廃液LQWの液面より下側の部分について、集光部74に入射する光は、屈折しないか、または、ほんのわずかに屈折するだけなので、光センサ72に集光されない。したがって、廃液LQWの液面より上側の部分についてのみ、集光部74に入射する光は、屈折して光センサ72に集光される。これにより、タンク42内に廃液LQWが半分程度貯留されているときは、光センサ72の受光量は、タンク42内の廃液LQWが空であるときよりも減少して、光センサ72の受光量は中程度の大きさになる。
【0070】
次に、
図14に示すように、タンク42内に廃液LQWが満たされているときは、集光部74は、タンク42内を通過する光のうち集光部74の中心軸上を通る光を、そのまま透過させて光センサ72に到達させるだけである。このように、集光部74は、タンク42内を通過する光を集光させていない。
【0071】
これにより、タンク42内に廃液LQWが満たされているときは、光センサ72の受光量は、タンク42内に廃液LQWが半分程度貯留されているときよりもさらに減少して、小さくなる。
【0072】
このように、本実施形態では、集光部74は、タンク42内の通過光路Lの全てに亘って気体を通過した光のみを、光センサ72に集光させる。
【0073】
なお、変形例として、内側集光部74Aと外側集光部74Bは、例えば、タンク42の壁部42aの一部であって、互いに隣接して形成されていてもよい。また、内側集光部74Aと外側集光部74Bは、その外形が部分円筒状に形成されていてもよい。
【0074】
また、その他の変形例として、水位検出手段61は、外側集光部74Bを備えず、内側集光部74Aのみ備えていてもよい。
【0075】
また、その他の変形例として、集光部74をタンク42の外側に配置して、タンク42の壁部42aの形状を集光部74の曲面形状に合わせた形状とし、かつ、タンク42の壁部42aと集光部74とを密着させてもよい。
【0076】
以上のように本実施形態によれば、眼科装置1(詳しくは、水位検出手段61)は、タンク42内の通過光路Lの全てに亘って気体を通過した光のみを、光センサ72に集光させる集光部74を有する。
【0077】
このようにして、集光部74は、タンク42内の通過光路Lの全てに亘って気体を通過した光を光センサ72に集光させる一方で、タンク42内の通過光路Lの全てに亘って廃液LQWを通過した光を光センサ72に集光させない。これにより、タンク42に貯留される廃液LQWの水位に応じて、集光部74における集光度合いが変化する。そのため、光センサ72の受光量は、タンク42に貯留される廃液LQWの水位に応じて変化する。したがって、水位検出手段61は、光センサ72の受光量をもとに、適切にタンク42に貯留される廃液LQWの水位を検出できる。
【0078】
また、集光部74は、通過光路Lにおける光の出射位置に配置され、タンク42の内側に向かって湾曲する外形を備える断面形状からなる内側集光部74Aを備えている。これにより、タンク42内の気体から内側集光部74Aに入射した光を、内側集光部74Aのレンズ効果により、屈折させて集光させることができる。
【0079】
また、集光部74は、内側集光部74Aに対してタンク42の外側の位置において、内側集光部74Aに対してタンク42の壁部42aを介して配置され、または、内側集光部74Aと隣接して配置され、タンク42の外側に向かって湾曲する外形を備える断面形状からなる外側集光部74Bを備えている。これにより、集光部74における光の屈折が強くなるので、集光部74の焦点距離が短くなり、集光部74と光センサ72の間の距離を短くできる。そのため、水位検出手段61の小型化が図れる。
【0080】
また、内側集光部74Aや外側集光部74Bを、タンク42の壁部42aに一体的に取り付けられた凸レンズとすることにより、凸レンズによるレンズ効果を得ることができる。あるいは、内側集光部74Aや外側集光部74Bを、タンク42の壁部42aの一部とすることにより、部品点数が低減され、コストを抑制できる。
【0081】
[その他の実施形態]
その他の実施形態として、
図15に示す実施形態も考えられる。
図15に示す実施形態は、集光部76が両凸レンズであり、タンク42の壁部42aから離れた位置に配置されている。そして、タンク42の壁部42aと集光部76の間には気体が存在している。また、光源81から発せられた光は、タンク42内の廃液LQWの液面に対して傾いた方向に照射されている。また、光センサ72は、集光部76の焦点位置に配置されている。
【0082】
この実施形態によれば、廃液LQWの液面を通過する光は、廃液LQWの液面で反射や屈折などするため、光センサ72に集光されない。一方、廃液LQWの液面を通過しないでタンク42の壁部42aを通過する光は、光センサ72に集光される。すなわち、
図15に示す実施形態では、集光部76は、タンク42内の通過光路Lの全てに亘って廃液LQWを通過した光のみを、光センサ72に集光させている。これにより、廃液LQWの水位に応じて光センサ72の受光量が変化するので、廃液LQWの水位を検出できる。
【0083】
なお、
図15の実施形態の変形例として、集光部76や光センサ72の位置を調整することにより、集光部76は、タンク42内の通過光路Lの途中で廃液LQWから廃液LQWの液面を通過した光のみを、光センサ72に集光させるとしてもよい。
【0084】
また、その他の実施形態として、タンク42の壁部42aをタンク42の内側に向かって湾曲した形状とし、壁部42aの外側に壁部42aと間隔を空けて部材(例えば、壁部42aと対称に湾曲した形状の部材)を配置して、壁部42aと部材との間に液体を配置した実施形態も考えられる。さらに、その他の実施形態として、壁部42aをタンク42の内側に向かって湾曲した形状とし、壁部42aの外側に凸レンズを配置した実施形態も考えられる。
【0085】
なお、上記した実施の形態は単なる例示にすぎず、本開示を何ら限定するものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることはもちろんである。例えば、光源81を赤外光LEDとし、光センサ72を赤外線センサとしてもよい。また、眼科装置1は、白内障の眼科手術に限らず、硝子体などの眼科手術にも応用できる。