(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
電動パワーステアリング装置の電動モータで発生する操舵補助トルクの大きさを示す操舵補助トルク指令値を演算する第1演算部と、ステアリングホイールの操作に対する操舵補助の応答性を補償する第1補償値を演算する第2演算部と、前記ステアリングホイールに伝達する路面情報量を補償する第2補償値を演算する第3演算部とを備え、前記第1〜第3演算部の演算結果に基づき電流指令値を演算する電流指令値演算部と、
前記電流指令値演算部で演算した前記電流指令値に基づき前記電動モータを駆動制御するモータ駆動部と、
前記操舵補助トルクの大小を示す第1指標値と、前記応答性の高低を示す第2指標値と、前記路面情報量の大小を示す第3指標値とを編集する編集画面を表示装置に表示する編集画面表示処理部と、
前記編集画面を表示しているときに、入力部を介してユーザが入力した前記第1〜第3指標値の編集内容を示す情報に基づき前記第1〜第3指標値を編集する指標値編集部と、
前記指標値編集部で編集された前記第1指標値に基づき前記第1演算部が前記操舵補助トルク指令値の演算に用いる前記操舵補助トルクの大きさを可変するパラメータである第1パラメータを設定する操舵補助特性設定部と、
前記指標値編集部で編集された前記第2指標値に基づき前記第2演算部が前記第1補償値の演算に用いる前記応答性の高さを可変するパラメータである第2パラメータを設定する応答特性設定部と、
前記指標値編集部で編集された前記第3指標値に基づき前記第3演算部が前記第2補償値の演算に用いる前記路面情報量の大きさを可変するパラメータである第3パラメータを設定する路面情報量特性設定部と、を備えるモータ制御装置。
前記第1演算部は、ステアリング機構に伝達される操舵トルクと前記電動パワーステアリング装置を搭載した車両の車速とに基づき、前記操舵トルク及び前記車速と前記操舵補助トルク指令値との関係を示すマップであるアシストマップを参照して前記操舵補助トルク指令値を演算するアシスト量演算部であり、
前記電流指令値演算部は、前記第1指標値の示す前記操舵補助トルクの大きさに対応する複数種類の前記アシストマップが記憶されたアシストマップ記憶部を備え、
前記操舵補助特性設定部は、前記第1パラメータとして、前記アシストマップ記憶部に記憶された前記第1指標値に対応するアシストマップの種類を示す情報を設定し、
前記アシスト量演算部は、前記操舵補助特性設定部で設定された前記第1パラメータで特定されるアシストマップを参照して前記操舵補助トルクを演算する請求項1に記載のモータ制御装置。
前記第3演算部は、ステアリング機構に伝達される操舵トルクと、前記電動モータの出力する操舵補助トルクと、前記電動モータのモータ角速度及びモータ角加速度と、前記電動パワーステアリング装置を搭載した車両の車速とに基づきセルフアライニングトルクを推定するSAT推定フィードバック部であり、
前記SAT推定フィードバック部は、SATゲインを用いた演算処理によって、前記ステアリングホイールへと伝達する路面反力の大きさを制御するようになっており、
前記第3指標値の示す前記路面情報量の大きさに対応する複数種類の前記SATゲインが記憶されたSATゲイン記憶部を備え、
前記路面情報量特性設定部は、前記第3パラメータとして、前記SATゲイン記憶部に記憶された前記第3指標値に対応する前記SATゲインを設定し、
前記SAT推定フィードバック部は、前記路面情報量特性設定部で前記第3パラメータとして設定された前記SATゲインを用いて前記路面反力の大きさを制御する請求項1から3のいずれか1項に記載のモータ制御装置。
【発明を実施するための形態】
【0008】
次に、図面に基づき、本発明の実施形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、寸法の関係や比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。
また、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
【0009】
(実施形態)
(構成)
本実施形態に係る電動パワーステアリング装置3は、車両1に搭載され、ステアリング機構として、
図1に示すように、ステアリングホイール11と、ステアリングシャフト12と、操舵トルクセンサ13と、ユニバーサルジョイント14と、を備える。加えて、中間シャフト15と、ユニバーサルジョイント16と、ピニオンシャフト17と、ステアリングギヤ18と、タイロッド19と、ナックルアーム20とを備える。
【0010】
ステアリングホイール11にドライバから作用される操舵力はステアリングシャフト12に伝達される。このステアリングシャフト12は、
図1に示すように、入力軸12aと出力軸12bとを有し、入力軸12aの一端がステアリングホイール11に連結され、入力軸12aの他端が操舵トルクセンサ13を介して出力軸12bの一端に連結されている。
【0011】
この出力軸12bに伝達された操舵力は、ユニバーサルジョイント14を介して中間シャフト15に伝達され、更に、ユニバーサルジョイント16を介してピニオンシャフト17に伝達される。このピニオンシャフト17に伝達された操舵力はステアリングギヤ18を介してタイロッド19に伝達される。更に、このタイロッド19に伝達された操舵力はナックルアーム20に伝達され、前輪2FRおよび2FLを転舵させる。ここで、ステアリングギヤ18は、ピニオンシャフト17に連結されたピニオン18aとこのピニオン18aに噛合するラック18bとを有するラックアンドピニオン形式に構成され、ピニオン18aに伝達された回転運動をラック18bで直進運動に変換している。
【0012】
ステアリングシャフト12の出力軸12bには、操舵補助トルクを出力軸12bに伝達する操舵補助機構21が連結されている。この操舵補助機構21は、出力軸12bに連結された減速ギヤ22と、この減速ギヤ22に連結されて操舵系に対して補助操舵トルクを発生する電動モータ23とを備えている。
また、操舵トルクセンサ13は、ステアリングホイール11に付与されて入力軸12aに伝達された操舵トルクTrを検出するものである。本実施形態では、操舵トルクセンサ13は、操舵トルクTrを入力軸12a及び出力軸12b間に介挿した図示しないトーションバーの捩れ角変位に変換し、この捩れ角変位を磁気信号で検出し、それを電気信号に変換するように構成されている。
【0013】
電動パワーステアリング装置3は、更に、モータ制御装置24と、操舵特性編集スイッチ28とを備えている。
また、車両1は、車速センサ50と、バッテリー52と、イグニッションスイッチ53(以下、「IGNスイッチ53」と記載する場合がある)と、ナビゲーションシステム54と、車両用コントローラ55とを備えている。
【0014】
モータ制御装置24は、車載電源であるバッテリー52から電源供給されることによって作動する。ここで、バッテリー52の負極は接地され、その正極はエンジン始動を行うIGNスイッチ53を介してモータ制御装置24に接続されると共に、IGNスイッチ53を介さず直接、モータ制御装置24に接続されている。
また、モータ制御装置24は、
図2に示すように、EPSコントローラ25と、モータ駆動部26と、操舵特性設定部27とを備えている。
【0015】
EPSコントローラ25には、操舵トルクセンサ13で検出した操舵トルクTrと、車速センサ50で検出した車速Velとが入力されている。そして、これらに応じた操舵補助トルク(以下、「アシストトルク」と記載する場合がある)を操舵系に付与する操舵補助制御(操舵アシスト制御)を行う。具体的に、EPSコントローラ25は、上記アシストトルクを電動モータ23で発生するための操舵補助トルク指令値を公知の手順で算出し、算出した操舵補助トルク指令値に基づき電動モータ23の電流指令値を算出する。
【0016】
モータ駆動部26は、EPSコントローラ25で演算された電流指令値とモータ電流値iとにより、電動モータ23に供給する駆動電流をフィードバック制御する。なお、本実施形態では、電動モータ23において、モータ端子間電圧Vm及びモータ電流値iが計測されて、EPSコントローラ25及びモータ駆動部26に出力される。
また、車両用コントローラ55は、CAN(Controller Area Network)等の車載ネットワークを介して操舵特性設定部27及びナビゲーションシステム54と接続されている。
【0017】
ナビゲーションシステム54は、
図2に示すように、ナビ用コントローラ201と、タッチパネル202とを備えている。
ナビ用コントローラ201は、通常は、不図示のGPS受信機によって取得した車両の現在位置(緯度,経度)と、ドライバ等のユーザによって設定された目的地と、不図示の地図データベースに格納された道路地図情報とに基づいて、現在位置から目的地までの経路を探索し、探索結果に基づくナビゲーション画像をタッチパネル202に表示する。
【0018】
一方、本実施形態のナビ用コントローラ201は、操舵特性編集スイッチ28をユーザが操作することによって操舵特性編集モードへと移行した場合に、車両用コントローラ55を介した操舵特性設定部27からの指令に応じた表示処理及び入力処理を実施する。
具体的に、ナビ用コントローラ201は、操舵特性設定部27からの操舵特性の編集に係る画像の表示指令に応じて、タッチパネル202への画像の表示処理を行う。
【0019】
加えて、ナビ用コントローラ201は、タッチパネル202の画面上をユーザがタッチした位置の座標情報を、車両用コントローラ55を介して操舵特性設定部27に送信する。
タッチパネル202は、タッチ式の入力デバイスと液晶パネルとを組み合わせた表示装置である。タッチパネル202は、ナビ用コントローラ201からの指令に応じて各種情報の表示を行うと共に、ユーザが液晶パネルのタッチ面をタッチすることによってタッチされた位置の座標情報をナビ用コントローラ201に入力する。ユーザは、例えば、液晶パネルに表示されたボタンや文字等をタッチすることで各種情報の入力を行うことが可能である。
【0020】
操舵特性設定部27には、車両用コントローラ55を介したタッチパネル202の入力情報(座標情報)と、車速センサ50で検出した車速Velとが入力されている。
この操舵特性設定部27は、車両1が停止しているときに操舵特性編集スイッチ28の操作に応じて操舵特性編集モードへと移行した場合に、操舵特性編集処理を実行して、ナビ用コントローラ201を介してタッチパネル202に編集画面を表示し、ユーザに操舵特性に係る指標値の編集を可能にさせる。そして、タッチパネル202を介したユーザの入力情報に基づき操舵特性に係る指標値を設定し、設定した指標値に基づき操舵特性に係る各演算部で用いられるゲイン等のパラメータを設定し、設定したパラメータをEPSコントローラ25に送信する。
【0021】
操舵特性編集スイッチ28は、本実施形態ではボタン型のスイッチであり、その信号線が操舵特性設定部27に接続されている。そして、ユーザの操作(ボタン押下)に応じたスイッチ信号SWを、信号線を介して操舵特性設定部27に出力する。
【0022】
(EPSコントローラ25)
次に、EPSコントローラ25の具体的構成について説明する。
EPSコントローラ25は、
図2に示すように、操舵トルクTrを用いて制御を行う破線で示すトルク系制御部110と、電動モータ23の駆動に関連した制御を行う一点鎖線で示すモータ系制御部120とを備えている。
【0023】
トルク系制御部110は、アシスト量演算部111と、微分制御部112と、ヨーレート収れん性制御部113と、ロバスト安定化補償部114と、セルフアライニングトルク(SAT)推定フィードバック部115と、加算器116A及び116Bと、減算器116Cと、設定情報記憶部117とを備えている。
また、モータ系制御部120は、補償部121と、外乱推定部122と、モータ角速度演算部123と、モータ角加速度演算部124と、モータ特性補償部125と、加算器126A及び126Bとを備えている。
【0024】
操舵トルクTrは、アシスト量演算部111、微分制御部112、ヨーレート収れん性制御部113及びSAT推定フィードバック部115に入力されている。また、アシスト量演算部111、ヨーレート収れん性制御部113及びSAT推定フィードバック部115は、いずれも車速Velをパラメータとして入力している。
アシスト量演算部111は、操舵トルクTr及び車速Velに基づきアシストマップを参照してアシストトルク量に対応する指令値である操舵補助トルク指令値を演算するものである。
【0025】
ここで、アシストマップは、横軸に操舵トルクTr、縦軸に操舵補助トルク指令値をとり、車速Velをパラメータとした特性線図で構成されている。具体的に、操舵補助トルク指令値は、操舵トルクTrの増加に対して最初は比較的緩やかに増加し、更に操舵トルクTrが増加すると、その増加に対して急峻に増加するように設定されている。この特性曲線の傾きは、車速Velの増加に従って小さくなるように設定されている。
【0026】
なお、本実施形態のアシスト量演算部111は、操舵特性設定部27で設定され、設定情報記憶部117に記憶されたアシストマップ情報Mn(後述)に基づき、アシストマップ情報Mnで特定されるアシストマップを用いて操舵補助トルク指令値を演算するように構成されている。
具体的に、アシストマップ情報Mnは、操舵特性設定部27においてユーザのアシスト特性に係る指標値の編集内容に基づき設定されるものである。
【0027】
微分制御部112は、操舵トルクTrを微分した操舵トルク変化率をもとに操舵トルクTrに対する第1補償値を演算するものである。この第1補償値は、ステアリングの中立点付近の制御の応答性(レスポンス性)を高め、滑らかでスムーズな操舵を実現するためのものである。
具体的に、微分制御部112は、例えば、
図3に示すように、微分部112aと、ゲイン部112bとを備えている。そして、入力される操舵トルクTrを微分部112aで微分し、この微分結果に対してゲイン部112bで微分ゲインKdを乗算し、この乗算結果に基づき第1補償値を演算する。微分ゲインKdは、その大きさによって急操舵時等の操舵アシストのレスポンス性が変わり、微分ゲインKdが大きいとレスポンス性が高くなり、小さいとレスポンス性が低くなる。
【0028】
なお、本実施形態の微分制御部112は、操舵特性設定部27で設定され、設定情報記憶部117に記憶された微分ゲインKdに基づき第1補償値を演算するように構成されている。
具体的に、微分ゲインKdは、操舵特性設定部27においてユーザのアシスト応答特性に係る指標値の編集内容に基づき設定されるものである。
【0029】
ヨーレート収れん性制御部113は、操舵トルクTr及びモータ角速度ωを入力とし、車両のヨーの収れん性を改善するために、ステアリングホイール11が振れ回る動作に対してブレーキをかけるような収れん性補償値を演算するものである。
また、アシスト量演算部111の出力に微分制御部112の出力を加算器116Aで加算した信号に、ヨーレート収れん性制御部113の出力を加算器116Bで加算した信号をアシスト量AQとしてロバスト安定化補償部114に入力している。
【0030】
ロバスト安定化補償部114は、操舵トルクセンサ13で検出した操舵トルクTrに含まれる慣性要素とばね要素で成る共振系の共振周波数におけるピーク値を除去し、制御系の応答性と安定性を阻害する共振周波数の位相のズレを補償するための位相補償値を演算するものである。
SAT推定フィードバック部115は、操舵トルクTrと、アシスト量演算部111の出力に微分制御部112の出力を加算器116Aで加算した信号と、モータ角速度演算部123で推定されたモータ角速度ωと、モータ角加速度演算部124で推定されたモータ角加速度αとを入力してSAT(第2補償値)を推定する。そして、推定したSATを、フィードバックフィルタを用いて信号処理(演算処理)し、ステアリングホイール11に適切な路面情報(ROAD情報)を反力として与えるようになっている。
【0031】
ここで、ドライバがステアリングホイール11を操作することによって操舵トルクTrが発生し、その操舵トルクTrに従って電動モータ23がアシストトルクTmを発生する。その結果、車輪が転舵され、反力としてSATが発生する。また、その際、電動モータ23の慣性J及び摩擦(静摩擦)Frによってステアリングホイール11の操舵の抵抗となるトルクが生じる。これらの力の釣り合いを考えると、下記(1)式のような運動方程式が得られる。
J・α + Fr・sign(ω) + SAT = Tm + Tr …(1)
ここで、上記(1)式を初期値ゼロとしてラプラス変換し、SATについて解くと下記(2)式が得られる。
SAT(s) = Tm(s) + Tr(s) − J・α(s) + Fr・sign(ω(s)) …(2)
【0032】
上記(2)式から分るように、電動モータ23の慣性J及び静摩擦Frを定数として予め求めておくことで、モータ角速度ω、モータ角加速度α、アシストトルクTm及び操舵トルクTrよりSATを推定することができる。かかる理由より、SAT推定フィードバック部115には操舵トルクTr、モータ角速度ω、モータ角加速度α、加算器116Aの出力(アシストトルクTmに相当)がそれぞれ入力されている。
【0033】
また、SAT推定フィードバック部115で推定したSAT情報をそのままフィードバックした場合、ステアリングが重くなり過ぎるため、操舵感覚を向上することはできない。
そのため、本実施形態のSAT推定フィードバック部115は、
図4に示すように、SATを演算(推定)する加算器115a、減算器115b及び115cに加えて、Qフィルタ部115dと、ゲイン部115eとを備えている。
【0034】
即ち、SAT推定フィードバック部115は、アシストトルクTm(加算器116Aの出力)と操舵トルクTrとを加算器115aで加算し、この加算結果から慣性Jとモータ角加速度αの乗算結果を減算器115bで減算し、この減算結果から摩擦Frとモータ角速度ωの乗算結果を減算器115cで減算してSATを演算(推定)する。加えて、Qフィルタ部115d及びゲイン部115eで、SATを演算処理し、操舵感覚を向上するのに必要十分な路面反力情報(ROAD情報)のみをフィードバックする。
【0035】
具体的に、Qフィルタ(位相遅れ)部115dは、静特性ゲインとして、推定したSATの大きさを必要十分な値に減少させるゲインである第1のSATゲインQsを有するフィルタから構成されている。
また、ゲイン部115eは、車速に感応した第2のSATゲインKsを有している。この第2のSATゲインKsは、車速Velの増加に対して最初は比較的緩やかに増加し、更に車速Velが増加すると、その増加に対して急峻に増加するように設定されている。即ち、Qフィルタ部115dで必要十分な値に減少させたSATを、更に、ゲイン部115eで据え切りや低速走行といったROAD情報の重要性が比較的低い場合に減少させることで、フィードバックするROAD情報量を少なくしている。
【0036】
なお、本実施形態のQフィルタ部115dは、デジタルフィルタから構成されており、第1のSATゲインQsとして、操舵特性設定部27で設定され、設定情報記憶部117に記憶された第1のSATゲインQsを用いるように構成されている。
具体的に、第1のSATゲインQsは、操舵特性設定部27においてユーザの路面情報量特性に係る指標値の編集内容に基づき設定されるものである。
【0037】
そして、ロバスト安定化補償部114の出力からSAT推定フィードバック部115の出力を減算器116Cで減算することで、路面情報を反力としてステアリングホイール11に伝えることができるアシスト量Iaが得られる。
設定情報記憶部117は、RAM等のメモリから構成され、操舵特性設定部27から操舵特性に係る設定情報を含むファイル(Mn,Kd,Qs)(後述)を受信する毎に、受信したファイル(Mn,Kd,Qs)に含まれる、アシストマップ情報Mn、微分ゲインKd及び第1のSATゲインQsを記憶する。
【0038】
更に、モータ角速度演算部123は、モータ端子間電圧Vm及びモータ電流値iに基づいてモータ角速度ωを演算(推定)するものである。演算したモータ角速度ωは、モータ角加速度演算部124、ヨーレート収れん性制御部113及びSAT推定フィードバック部115に入力される。
モータ角加速度演算部124は、入力されたモータ角速度ωに基づいてモータ角加速度αを演算(推定)するものである。演算したモータ角加速度αは、モータ特性補償部125に入力される。
【0039】
そして、モータ特性補償部125の出力Icに、ロバスト安定化補償部114の出力からSAT推定フィードバック部115の出力を減算した補償後の操舵補助トルク指令値(アシスト量Ia)が加算器126Aで加算され、その加算信号が電流指令値Irとして微分補償等を行う補償部121に入力される。
更に、補償部121で補償された電流指令値Iraに外乱推定部122の出力を加算器126Bで加算した信号がモータ駆動部26及び外乱推定部122に入力される。
【0040】
外乱推定部122は、モータ出力の制御目標である補償部121で補償された電流指令値Iraに外乱推定部122の出力を加算した電流指令値Iと、モータ電流値iとに基づき、バッテリー52の電圧Vbや電動モータ23の端子間抵抗、電動モータ23のトルク定数などの特性定数が温度その他の環境の変化その他の原因により変動した場合の変動分を外乱として推定する。そして、この外乱を補償する外乱補償値を演算し、この外乱補償値を加算器126Bに入力(フィードバック)することで、制御系の出力基準における希望するモータ制御特性を維持し、制御系の安定性を失うことがないようにしている。
【0041】
(操舵特性設定部27)
次に、
図5及び
図6に基づき、操舵特性設定部27のハードウェア構成及び機能構成について説明する。
図5に示すように、操舵特性設定部27は、各種制御や演算処理を担う中央演算処理装置であるCPU60と、主記憶装置を構成するRAM(Random Access Memory)61と、読み出し専用の記憶装置であるROM(Read Only Memory)62と、時間計測用のタイマ63とを備える。加えて、データ転送用の各種内外バス65と、入出力インターフェース(I/F)64とを備える。本実施形態では、RAM61は、例えばNOR型のフラッシュメモリ等の不揮発性のメモリから構成されている。
【0042】
そして、CPU60、RAM61、ROM62及びタイマ63との間を各種内外バス65で接続していると共に、このバス65に入出力I/F64を介して、車両用コントローラ55及びEPSコントローラ25が接続されている。
そして、電源を投入すると、ROM62等に記憶されたBIOS等のシステムプログラムが、ROM62に予め記憶された各種のコンピュータプログラムをRAM61にロードし、RAM61にロードされたプログラムに記述された命令に従ってCPU60が各種リソースを駆使して所定の制御及び演算処理を行うことで後述する各機能をソフトウェア上で実現できるようになっている。
【0043】
また、操舵特性設定部27は、CPU60によってプログラムを実行することで実現する機能部130として、
図6に示すように、指標値編集部131と、操舵補助特性設定部132と、応答特性設定部133と、路面情報量特性設定部134と、設定情報送信部135とを備えている。
指標値編集部131は、操舵特性編集スイッチ28からのスイッチ信号SWに基づき、操舵特性編集スイッチ28が操作された(ON状態になった)と判定したときに、車速Velに基づき車両1が停止していると判定すると、操舵特性編集モードへと移行する。
【0044】
指標値編集部131は、操舵特性編集モードへと移行すると、操舵特性編集処理を実行するための割込要求信号を、車両用コントローラ55を介してナビ用コントローラ201に送信する。そして、車両用コントローラ55を介してナビ用コントローラ201からの割込要求信号に対する許可応答信号を受信すると、操舵特性に係る指標値の編集画面をタッチパネルに表示するための画像表示信号Gseを、車両用コントローラ55を介してナビ用コントローラ201に送信する。本実施形態では、編集画面表示用の各種画像データがROM62に予め記憶されている。
【0045】
具体的に、本実施形態の指標値編集部131は、操舵補助トルク量(アシストトルク量)の大小を示す第1指標値IVaと、ステアリングホイール11の操作に対する操舵補助の応答性(以下、「操舵補助応答性」と記載する場合がある)の高低を示す第2指標値IVrと、ステアリングホイール11に伝達する路面情報量(ROAD情報量)の大小を示す第3指標値IVcとの編集画面をタッチパネル202に表示するための画像表示信号Gseを送信する。
【0046】
これにより、タッチパネル202には、第1,第2,第3指標値IVa,IVr,IVc(以下、「第1〜第3指標値(IVa,IVr,IVc)」と記載する場合がある)の編集画面が表示される。
指標値編集部131は、例えば、
図7に示すような編集画面400を表示する。
即ち、編集画面400は、
図7に示すように、その矩形状の画面内に、左側から順に、第1指標値IVaの設定範囲を示す縦長の第1目盛画像401と、第2指標値IVrの設定範囲を示す縦長の第2目盛画像402と、第3指標値IVcの設定範囲を示す縦長の第3目盛画像403とが表示されている。各目盛画像は、その枠線内に縦方向に等間隔に並列した複数の横線からなる目盛線が表示されている。そして、最上部の目盛線の上側に「HIGH」の文字画像が、最下部の目盛線の下側に「LOW」の文字画像が表示されている。
【0047】
加えて、第1目盛画像401の目盛線上には、タッチパネル202を介してユーザが目盛線に沿って縦方向に移動させることが可能な例えばスプライト画像からなる矩形横長の第1設定バー画像410が表示されている。同様に、第2目盛画像402の目盛線上には第2設定バー画像420が、第3目盛画像403の目盛線上には第3設定バー画像430がそれぞれ表示されている。
【0048】
なお更に、第3目盛画像403の右側の下方には、CANSELボタン画像404が表示されていると共に、このCANSELボタン画像404の下側にSETボタン画像405が表示されている。
そして、本実施形態の指標値編集部131は、車両用コントローラ55を介してナビ用コントローラ201から送信されるタッチ位置の座標情報(X,Y)に基づき、ユーザが例えば設定バー画像上を指でタッチした状態で指を縦方向に移動することで、設定バー画像が目盛線上に沿って縦方向に移動するように描き替え用の画像表示信号Gseを送信する。加えて、本実施形態では、目盛線を直接タッチした場合に、その目盛線上に設定バー画像を移動するように描き替え用の画像表示信号Gseを送信する。
【0049】
なお、本実施形態の指標値編集部131は、初期画面として前回の編集内容を示す編集画面を表示するようになっている。そのため、本実施形態では、RAM61に前回設定された第1〜第3指標値(IVa,IVr,IVc)に対応する第1〜第3設定バー画像410〜430の座標情報を記憶するようになっている。
ここで、
図7中の目盛線Arは、予め設定された操舵補助トルク量の基準特性を示す指標値であり、目盛線Rrは、予め設定された操舵補助応答性の基準特性を示す指標値(本実施形態では応答速度の基準特性を示す指標値)であり、目盛線Crは、予め設定された路面情報量の基準特性を示す指標値である。以下、目盛線Arの示す指標値を「基準値Ar」と記載する場合があり、目盛線Rrの示す指標値を「基準値Rr」と記載する場合があり、目盛線Crの示す指標値を「基準値Cr」と記載する場合がある。
【0050】
本実施形態では、第1設定バー画像410を、目盛線Arに対して「HIGH」側に移動することで、第1指標値IVaは、操舵補助トルク量が基準特性に対して増加する傾向の指標値となる。即ち、基準値Arのときと比較して操舵が軽くなる特性となる。一方、第1設定バー画像410を、目盛線Arに対して「LOW」側に移動することで、第1指標値IVaは、操舵補助トルク量が基準特性に対して減少する傾向の指標値となる。即ち、基準値Arのときと比較して操舵が重くなる特性となる。
【0051】
また、第2設定バー画像420を、目盛線Rrに対して「HIGH」側に移動することで、第2指標値IVrは、操舵補助応答性(応答速度)が基準特性に対して高く(速く)なる傾向の指標値となる。即ち、基準値Rrのときと比較して、急操舵時の操舵補助応答性(応答速度)が高く(速く)なる。一方、第2設定バー画像420を、目盛線Rrに対して「LOW」側に移動することで、第2指標値IVrは、操舵補助応答性(応答速度)が基準特性に対して低く(遅く)なる傾向の指標値となる。即ち、基準値Rrのときと比較して、急操舵時の操舵補助応答性(応答速度)が低く(遅く)なる。
【0052】
また、第3設定バー画像430を、目盛線Crに対して「HIGH」側に移動することで、第3指標値IVcは、路面情報量が基準特性に対して増加する傾向の指標値となる。即ち、基準値Crのときと比較して、路面情報を感じやすくなる。一方、第3設定バー画像430を、目盛線Crに対して「LOW」側に移動することで、第3指標値IVcは、路面情報量が基準特性に対して減少する傾向の指標値となる。即ち、基準値Crのときと比較して、路面情報を感じにくくなる。
【0053】
以上のことから、本実施形態では、ユーザがタッチパネル202を介して、基準値Ar、Rr及びCrを基準に、第1〜第3設定バー画像410〜430を個別に目盛線上に沿って「HIGH」側又は「LOW」側の任意の目盛線上に移動させることで、第1〜第3指標値(IVa,IVr,IVc)を編集できるようになっている。
また、指標値編集部131は、タッチパネル202を介してユーザがCANSELボタン画像404をタッチしたときは、現在の第1〜第3設定バー画像410〜430の表示位置を、編集前の表示位置(初期画面)に戻す画像表示処理を行う。
【0054】
また、指標値編集部131は、タッチパネル202を介してユーザがSETボタン画像405をタッチしたときは、現在の第1〜第3設定バー画像410〜430の座標位置に対応する指標値を第1〜第3指標値(IVa,IVr,IVc)の編集結果の指標値として設定する。その後、操舵特性編集モードを終了する。
具体的に、本実施形態では、ROM62に第1〜第3設定バー画像410〜430の座標情報(即ち、目盛線の位置に対応する座標情報)に対応する指標値の情報が予め記憶されている。そして、指標値編集部131は、SETボタン画像405がタッチされたときの各設定バー画像の座標位置に対応する第1〜第3指標値(IVa,IVr,IVc)をROM62から読み出す。そして、読み出した第1〜第3指標値(IVa,IVr,IVc)を編集結果の指標値としてRAM61に記憶する。これにより、第1〜第3指標値(IVa,IVr,IVc)を設定する。また、このとき、指標値編集部131は、各設定バー画像の座標位置もRAM61に記憶する。
【0055】
操舵補助特性設定部132は、RAM61に記憶された第1指標値IVaに基づき、第1指標値IVaに対応するアシストマップ情報Mnを設定する。そして、設定したアシストマップ情報Mnを設定情報送信部135に出力する。
本実施形態では、ROM62に第1指標値IVaの各設定可能な値にそれぞれ対応する複数種類のアシストマップ情報Mnが記憶されており、操舵補助特性設定部132は、現在設定されている第1指標値IVaの値に対応するアシストマップの種類を指定するアシストマップ情報MnをROM62から読み出す。これにより、アシストマップ情報Mnを設定する。
【0056】
例えば、第1指標値IVaが基準値Arよりも大きい値に設定されている場合は、
図8(a)中の一点鎖線で例示したアシストマップのように、操舵補助トルク指令値を、
図8(a)中の実線で示した基準値Arに対応するアシストマップよりも増加した傾向のアシストマップを指定するアシストマップ情報Mnを設定する。
一方、例えば、第1指標値IVaが基準値Arよりも小さい値に設定されている場合は、
図8(b)中の破線で例示したアシストマップのように、操舵補助トルク指令値を、
図8(b)中の実線で示した基準値Arに対応するアシストマップよりも減少した傾向のアシストマップを指定するアシストマップ情報Mnを設定する。
【0057】
本実施形態では、
図7の第1目盛画像401の目盛線に示したように、基準値Arに対して段階的に大きくした複数種類の第1指標値IVa及び段階的に小さくした複数種類の第1指標値IVaを設定できるように構成されている。
また、本実施形態では、EPSコントローラ25の備える不図示のROM(以下、「EPSROM」と記載する場合がある)に、第1指標値IVaの各設定値に対応する複数種類のアシストマップが予め記憶されている。
【0058】
即ち、本実施形態のアシスト量演算部111は、アシストマップ情報Mn及び車速Velで特定されるアシストマップをEPSROMから読み出し、読み出したアシストマップに基づき操舵補助トルク指令値を演算する。
応答特性設定部133は、RAM61に記憶された第2指標値IVrに基づき、第2指標値IVrに対応する微分ゲインKdを設定する。そして、設定した微分ゲインKdを設定情報送信部135に出力する。
【0059】
具体的に、本実施形態では、ROM62に第2指標値IVrの各設定可能な値にそれぞれ対応する複数種類の微分ゲインKdが記憶されており、応答特性設定部133は、現在設定されている第2指標値IVrの値に対応する微分ゲインKdをROM62から読み出す。これにより、微分ゲインKdを設定する。
即ち、第2指標値IVrが基準値Rrよりも大きい値に設定されている場合は、ゲインを予め設定した基準の微分ゲインKdrよりも大きくした微分ゲインKdを設定し、第2指標値IVrが基準値Rrよりも小さい値に設定されている場合は、ゲインを予め設定した基準の微分ゲインKdrよりも小さくした微分ゲインKdを設定する。
【0060】
本実施形態では、
図7の第2目盛画像402の目盛線に示したように、基準値Rrに対して段階的に大きくした複数種類の第2指標値IVr及び段階的に小さくした複数種類の第2指標値IVrを設定できるように構成されている。
路面情報量特性設定部134は、RAM61に記憶された第3指標値IVcに基づき、第3指標値IVcに対応する第1のSATゲインQsを設定する。そして、設定した第1のSATゲインQsを設定情報送信部135に出力する。
【0061】
具体的に、本実施形態では、ROM62に第3指標値IVcの各設定可能な値にそれぞれ対応する複数種類の第1のSATゲインQsが記憶されており、路面情報量特性設定部134は、現在設定されている第3指標値IVcの値に対応する第1のSATゲインQsをROM62から読み出す。これにより、第1のSATゲインQsを設定する。
即ち、第3指標値IVcが基準値Crよりも大きい値に設定されている場合は、ゲインを予め設定した基準の第1のSATゲインQsrよりも大きくした第1のSATゲインQsを設定し、第2指標値IVrが基準値Crよりも小さい値に設定されている場合は、ゲインを予め設定した基準の第1のSATゲインQsrよりも小さくした第1のSATゲインQsを設定する。
【0062】
本実施形態では、
図7の第3目盛画像403の目盛線に示したように、基準値Crに対して段階的に大きくした複数種類の第3指標値IVc及び段階的に小さくした複数種類の第3指標値IVcを設定できるように構成されている。
設定情報送信部135は、操舵補助特性設定部132から入力されたアシストマップ情報Mnと、応答特性設定部133から入力された微分ゲインKdと、路面情報量特性設定部134から入力された第1のSATゲインQsとを1つのファイルにまとめて、EPSコントローラ25に送信する。
【0063】
(操舵特性編集処理)
次に、
図9に基づき、操舵特性設定部27で実行する操舵特性編集処理について説明する。なお、操舵特性編集処理は、予め設定した周期で繰り返し実行される処理である。
操舵特性設定部27のCPU60において、操舵特性編集処理が開始されると、
図9に示すように、まず、ステップS100に移行する。
ステップS100では、指標値編集部131において、操舵特性編集スイッチ28からのスイッチ信号SWに基づき、操舵特性編集スイッチ28がON状態であるか否かを判定する。そして、ON状態であると判定した場合(Yes)は、ステップS102に移行し、そうでないと判定した場合(No)は、一連の処理を終了する。
【0064】
ステップS102に移行した場合は、指標値編集部131において、車速センサ50からの車速Velに基づき、車両1が停止中か否かを判定する。そして、停止中であると判定した場合(Yes)は、操舵特性編集モードに移行して、ステップS104に移行し、そうでないと判定した場合(No)は、一連の処理を終了する。
ステップS104に移行した場合は、指標値編集部131において、RAM61から現在設定されている第1〜第3指標値(IVa,IVr,IVc)にそれぞれ対応する第1〜第3設定バー画像410〜430の座標情報を読み出す。更に、読み出した座標情報に基づきROM62から指標値の編集画面を表示するための画像データを読み出し、表示用の編集画面データを生成する。そして、生成した編集画面データの画像表示信号Gseを、車両用コントローラ55を介してナビ用コントローラ201に送信する。その後、ステップS106に移行する。
【0065】
これにより、ナビ用コントローラ201を介して画像表示信号Gseがタッチパネル202に入力され、各設定バー画像の表示位置が現在設定されている第1〜第3指標値(IVa,IVr,IVc)にそれぞれ対応した表示位置の編集画面400が表示される。
ステップS106では、指標値編集部131において、ナビ用コントローラ201から車両用コントローラ55を介して受信したタッチ位置の座標情報(X,Y)に基づき、編集画面400内のSETボタン画像405が押下(タッチ)されたか否かを判定する。そして、押下されたと判定した場合(Yes)は、ステップS108に移行し、そうでないと判定した場合(No)は、ステップS114に移行する。
【0066】
ステップS108に移行した場合は、指標値編集部131において、現在表示している編集画面400の画像情報に基づき、第1〜第3指標値(IVa,IVr,IVc)にそれぞれ対応する第1〜第3設定バー画像410〜430の座標情報を取得して、ステップS110に移行する。
ステップS110では、指標値編集部131において、ステップS108で取得した座標情報に対応する第1〜第3指標値(IVa,IVr,IVc)をROM62から読み出して、ステップS112に移行する。
【0067】
ステップS112では、指標値編集部131において、ステップS110で読み出した第1〜第3指標値(IVa,IVr,IVc)及びこれらに対応する第1〜第3設定バー画像410〜430の座標情報を、RAM61に記憶する。その後、操舵特性編集モードを解除して、一連の処理を終了する。
一方、ステップS106において、SETボタン画像405が押下されずにステップS114に移行した場合は、指標値編集部131において、ナビ用コントローラ201から車両用コントローラ55を介して受信したタッチ位置の座標情報(X,Y)に基づき、第1〜第3設定バー画像410〜430のいずれかの移動入力があったか否かを判定する。そして、移動入力があったと判定した場合(Yes)は、ステップS116に移行し、そうでないと判定した場合(No)は、ステップS118に移行する。
【0068】
ステップS116に移行した場合は、指標値編集部131において、移動に応じた画像表示処理を行って、ステップS106に移行する。
ここで、指標値編集部131は、スプライト画像等によって表示された第1〜第3設定バー画像410〜430を移動表示する画像表示信号Gseを、車両用コントローラ55を介してナビ用コントローラ201に送信する。
【0069】
これにより、ナビ用コントローラ201を介して画像表示信号Gseがタッチパネル202に入力され設定バー画像が移動方向に移動した画像が表示される。
一方、ステップS118に移行した場合は、指標値編集部131において、CANSELボタン画像404が押下(タッチ)されたか否かを判定し、押下されたと判定した場合(Yes)は、ステップS120に移行し、そうでないと判定した場合(No)は、ステップS106に移行する。
ステップS120に移行した場合は、指標値編集部131において、編集画面400内の第1〜第3設定バー画像410〜430の表示位置を、編集前の表示位置に戻す画像表示処理を行ってステップS106に移行する。
【0070】
(操舵特性設定処理)
次に、
図10に基づき、操舵特性設定部27で実行する操舵特性設定処理について説明する。なお、操舵特性設定処理は、予め設定した実行タイミング(IGNスイッチ53のON時、SETボタン画像405の押下(タッチ)時等)で実行される処理である。
操舵特性設定部27のCPU60において、操舵特性設定処理が開始されると、
図10に示すように、まず、ステップS200に移行する。
【0071】
ステップS200では、操舵補助特性設定部132において、RAM61から第1指標値IVaを読み出して、ステップS202に移行する。
ステップS202では、操舵補助特性設定部132において、ROM62からステップS200で読み出した第1指標値IVaに対応するアシストマップ情報Mnを読み出す。そして、読み出したアシストマップ情報Mnを設定情報送信部135に出力して、ステップS204に移行する。
【0072】
ステップS204では、応答特性設定部133において、RAM61から第2指標値IVrを読み出して、ステップS206に移行する。
ステップS206では、応答特性設定部133において、ROM62からステップS204で読み出した第2指標値IVrに対応する微分ゲインKdを読み出す。そして、読み出した微分ゲインKdを設定情報送信部135に出力して、ステップS208に移行する。
【0073】
ステップS208では、路面情報量特性設定部134において、RAM61から第3指標値IVcを読み出して、ステップS210に移行する。
ステップS210では、路面情報量特性設定部134において、ROM62からステップS208で読み出した第3指標値IVcに対応する第1のSATゲインQsを読み出す。そして、読み出した第1のSATゲインQsを設定情報送信部135に出力して、ステップS212に移行する。
ステップS212では、設定情報送信部135において、入力されたアシストマップ情報Mn、微分ゲインKd及び第1のSATゲインQsを1つのファイルにまとめて、このファイル(Mn,Kd,Qs)をEPSコントローラ25に送信して、一連の処理を終了する。
【0074】
(動作)
次に、本実施形態の動作について説明する。
ドライバがIGNスイッチ53をオン状態とすると、バッテリー52からモータ制御装置24に制御電力が供給され、モータ制御装置24が作動状態となる。即ち、EPSコントローラ25、モータ駆動部26及び操舵特性設定部27が作動状態となる。
【0075】
操舵特性設定部27は、作動状態となると、RAM61に記憶された第1〜第3指標値(IVa,IVr,IVc)を読み出し、この読み出した第1〜第3指標値(IVa,IVr,IVc)に対応するアシストマップ情報Mn、微分ゲインKd及び第1のSATゲインQsをROM62から読み出す。そして、読み出したアシストマップ情報Mn、微分ゲインKd及び第1のSATゲインQsを1つにまとめたファイル(Mn,Kd,Qs)を、EPSコントローラ25に送信する。
【0076】
EPSコントローラ25は、ファイル(Mn,Kd,Qs)を受信すると、設定情報記憶部117において、受信したファイル(Mn,Kd,Qs)に含まれるアシストマップ情報Mn、微分ゲインKd及び第1のSATゲインQsを設定情報記憶部117に記憶する。加えて、設定情報記憶部117から、記憶したアシストマップ情報Mn、微分ゲインKd及びSATゲインQsを読み出す。そして、読み出したアシストマップ情報Mnをアシスト量演算部111に出力し、読み出した微分ゲインKdを微分制御部112に出力し、読み出した第1のSATゲインQsをSAT推定フィードバック部115に出力する。
【0077】
これにより、EPSコントローラ25は、ドライバによるステアリング操作に基づく操舵補助制御を開始する。
例えば、ドライバが車両1を発進させ、カーブ路を旋回走行している場合、EPSコントローラ25は、操舵トルクTr、車速Vel及びアシストマップ情報Mnに基づき、アシストマップ情報Mn及び車速Velで特定されるアシストマップを参照して操舵トルクTrに対応する操舵補助トルク指令値を演算する。一方、微分制御部112は、入力された微分ゲインKdを用いて微分演算を行い、操舵補助応答性を補償する第1補償値を演算する。また、SAT推定フィードバック部115は、Qフィルタ部115dにおいて、入力された第1のSATゲインQsを用いて、加算器115a及び減算器115b〜115cで演算(推定)したSATをフィルタ処理し、フィルタ処理後のSATにゲイン部115eで第2のSATゲインKsを乗算して最終的なSAT(第2補償値)を演算する。そして、EPSコントローラ25は、これらの演算結果に基づき電動モータ23の電流指令値Iを演算する。
【0078】
これにより、第1指標値IVaに応じた操舵補助トルク量、第2指標値IVrに応じた操舵補助応答性(応答速度)、及び第3指標値IVcに応じた路面情報量が反映された操舵アシストが実施される。
そして、現状の操舵アシストに対して、ドライバが、例えば、もっと重い操舵で、もっと操舵補助応答性が良く、かつもっと路面情報量の多い操舵特性にしたいと考えて、車両1の停止中に、操舵特性編集スイッチ28を押下したとする。
【0079】
これにより、操舵特性設定部27は、操舵特性設定モードに移行して、タッチパネル202に、
図7に示す編集画面400を表示する。
そして、ドライバが、現状よりも操舵が重くなる特性とするために、タッチパネル202を介して第1設定バー画像410を「LOW」側に移動し、更に、操舵補助応答性を現状よりも高くするために第2設定バー画像420を「HIGH」側に移動し、なお更に、路面情報量を現状よりも多くするために第3設定バー画像430を「HIGH」側に移動してから、SETボタン画像405を押下したとする。
【0080】
これにより、操舵特性設定部27は、第1〜第3設定バー画像410〜430の現在の座標情報(X,Y)に対応する第1〜第3指標値(IVa,IVr,IVc)をROM62から読み出す。そして、読み出した第1〜第3指標値(IVa,IVr,IVc)及び第1〜第3設定バー画像410〜430の現在の座標情報(X,Y)をRAM61に記憶する。このとき、前回の第1〜第3指標値(IVa,IVr,IVc)及び座標情報(X,Y)に対して上書きして記憶する。
【0081】
引き続き、操舵特性設定部27は、操舵補助特性設定部132、応答特性設定部133及び路面情報量特性設定部134において、RAM61に記憶された第1〜第3指標値(IVa,IVr,IVc)に対応するアシストマップ情報Mn、微分ゲインKd及び第1のSATゲインQsをROM62から読み出す。そして、読み出したアシストマップ情報Mn、微分ゲインKd及び第1のSATゲインQsを1つにまとめたファイル(Mn,Kd,Qs)を、EPSコントローラ25に送信する。
【0082】
これにより、EPSコントローラ25の設定情報記憶部117に記憶されているアシストマップ情報Mn、微分ゲインKd及び第1のSATゲインQsが、編集によってドライバの好みに合わせて調整されたものへと更新される。
そして、以降は、更新前のときと比較して、重めの操舵で、操舵補助応答性が高く、かつ路面情報を多く感じる操舵アシストが実施される。
【0083】
以上説明したように、本実施形態に係るモータ制御装置24であれば、操舵アシスト量の大小を示す第1指標値IVa、操舵応答性の高低を示す第2指標値IVr、路面情報量の大小を示す第3指標値IVcといったように、ドライバが感覚的に解りやすい指標値を編集することで、簡易に操舵特性を調整することが可能である。
ここで、アシスト量演算部111は、第1演算部に対応し、微分制御部112は、第2演算部に対応し、SAT推定フィードバック部115は、第3演算部に対応し、EPSコントローラ25は、電流指令値演算部に対応する。
また、指標値編集部131は、編集画面表示処理部及び指標値編集部に対応し、EPSROMは、アシストマップ記憶部に対応し、ROM62は、微分ゲイン記憶部及びSATゲイン記憶部に対応する。
【0084】
(実施形態の効果)
(1)本実施形態に係るモータ制御装置24は、EPSコントローラ25が、電動パワーステアリング装置3の電動モータ23で発生する操舵補助トルクの大きさを示す操舵補助トルク指令値を演算するアシスト量演算部111と、ステアリングホイール11の操作に対する操舵補助の応答性を補償する第1補償値を演算する微分制御部112と、ステアリングホイール11に伝達する路面情報量を補償するSAT(第2補償値)を演算するSAT推定フィードバック部115とを備え、アシスト量演算部111、微分制御部112及びSAT推定フィードバック部115の演算結果に基づき電流指令値Iを演算する。モータ駆動部26がEPSコントローラ25で演算した電流指令値Iに基づき電動モータ23を駆動制御する。指標値編集部131が、操舵補助トルクの大小を示す第1指標値IVaと、操舵応答性の高低を示す第2指標値IVrと、路面情報量の大小を示す第3指標値IVcとを編集する編集画面400をタッチパネル202に表示する。指標値編集部131が、編集画面400を表示しているときに、タッチパネル202を介してユーザが入力した第1〜第3指標値(IVa,IVr,IVc)の編集内容を示す情報に基づき第1〜第3指標値(IVa,IVr,IVc)を編集する。操舵補助特性設定部132が、指標値編集部131で編集された第1指標値IVaに基づきアシスト量演算部111が操舵補助トルク指令値の演算に用いる操舵補助トルクの大きさを可変するパラメータであるアシストマップ情報Mnを設定する。応答特性設定部133が、指標値編集部131で編集された第2指標値IVrに基づき微分制御部112が第1補償値の演算に用いる操舵応答性の高さを可変するパラメータである微分ゲインKdを設定する。路面情報量特性設定部134が、指標値編集部131で編集された第3指標値IVcに基づきSAT推定フィードバック部115が第2補償値の演算に用いる路面情報量の大きさを可変するパラメータである第1のSATゲインQsを設定する。
【0085】
この構成であれば、ユーザは、操舵補助トルクの大小を示す第1指標値IVaと、操舵補助の応答性の高低を示す第2指標値IVrと、路面情報量の大小を示す第3指標値IVcとを編集する編集画面400を見ながら、これら指標値を編集することが可能となる。そして、ユーザによって編集された第1〜第3指標値(IVa,IVr,IVc)に基づき、操舵補助トルクの大きさを可変するアシストマップ情報Mnと、操舵応答性の高さを可変する微分ゲインKdと、路面情報量の大きさを可変する第1のSATゲインQsとを設定し、これらに基づき操舵補助トルク指令値、第1補償値及び第2補償値(SAT)を演算し、これら演算結果に基づき電流指令値を演算することが可能となる。
これにより、ユーザは、編集した結果、操舵特性がどのように変化するのかを理解しやすい編集項目(第1〜第3指標値(IVa,IVr,IVc))の編集によって操舵特性を調整することが可能となる。
【0086】
(2)本実施形態に係るモータ制御装置24は、アシスト量演算部111が、ステアリング機構に伝達される操舵トルクTrと電動パワーステアリング装置3を搭載した車両1の車速Velとに基づき、操舵トルクTr及び車速Velと操舵補助トルク指令値との関係を示すマップであるアシストマップを参照して操舵補助トルク指令値を演算する。EPSROMが、第1指標値Ivaの示す操舵補助トルクの大きさに対応する複数種類のアシストマップを記憶する。操舵補助特性設定部132が、ROM62に記憶された第1指標値IVaに対応するアシストマップの種類を示すアシストマップ情報Mnを設定する。アシスト量演算部111が、操舵補助特性設定部132で設定したアシストマップ情報Mnで特定されるアシストマップを参照して操舵補助トルクを演算する。
この構成であれば、第1指標値IVaの大きさに応じてアシストマップ情報Mnを選択するといった簡易な方法で操舵補助トルク量(操舵の重さ軽さ)を調整することが可能となる。
【0087】
(3)本実施形態に係るモータ制御装置24は、微分制御部112が、ステアリング機構に伝達される操舵トルクTrに対して微分ゲインKdを用いた微分演算を行って第1補償値を演算する。ROM62が、第2指標値IVrの示す操舵応答性の高さに対応する複数種類の微分ゲインKdを記憶する。応答特性設定部133が、ROM62に記憶された第2指標値IVrに対応する微分ゲインKdを設定する。微分制御部112が、応答特性設定部133で設定された微分ゲインKdを用いて第1補償値を演算する。
この構成であれば、第2指標値IVrの大きさに応じて微分ゲインKdの大きさを調整するといった簡易な方法で操舵応答性(応答速度)を調整することが可能となる。
【0088】
(4)本実施形態に係るモータ制御装置24は、SAT推定フィードバック部115が、ステアリング機構に伝達される操舵トルクTrと、電動モータ23の出力する操舵補助トルクTmと、電動モータ23のモータ角速度ω及びモータ角加速度αと、電動パワーステアリング装置3を搭載した車両1の車速Velとに基づきセルフアライニングトルク(SAT)を推定する。SAT推定フィードバック部115が、第1のSATゲインQs及び第2のSATゲインKsを用いた演算処理によって、ステアリングホイール11へと伝達する路面反力(路面情報量)の大きさを制御する。ROM62が、第3指標値IVcの示す路面情報量の大きさに対応する複数種類の第1のSATゲインQsを記憶する。路面情報量特性設定部134が、ROM62に記憶された第3指標値IVcに対応する第1のSATゲインQsを設定する。SAT推定フィードバック部115が、路面情報量特性設定部134で設定された第1のSATゲインQsを用いて路面反力の大きさを制御する。
この構成であれば、第3指標値IVcの大きさに応じてSATゲインQsの大きさを調整するといった簡易な方法で路面情報量(路面情報の感じ方)を調整することが可能となる。
【0089】
(5)本実施形態に係る電動パワーステアリング装置3は、モータ制御装置24を備える。
この構成であれば、上記(1)〜(4)に記載のモータ制御装置24の作用効果と同等の作用効果が得られる。
【0090】
(変形例)
(1)上記実施形態では、編集画面400を表示するための表示装置として、車載のナビゲーションシステム54の備えるタッチパネル202を採用する構成としたが、この構成に限らない。例えば、メータパネル内に設けられた他の車載の表示装置や、専用の表示装置を採用するなど他の構成としてもよい。
【0091】
(2)上記実施形態では、ユーザが操舵特性を編集するための入力装置として、車載のナビゲーションシステム54の備えるタッチパネル202を採用する構成としたが、この構成に限らない。例えば、専用のリモコン装置やステアリングホイール11に設けた専用の入力装置等から構成するなど他の構成としてもよい。
【0092】
(3)上記実施形態では、車載のナビゲーションシステム54の備えるタッチパネル202を利用して表示処理等を操舵特性設定部27側が行う構成としたが、この構成に限らない。例えば、ナビゲーションシステム54側に編集画面の表示処理を行うプログラムや画像データ等を組み込んで指標値の編集処理を一任し、操舵特性設定部27は、ナビゲーションシステム54からはSETボタンが押下されたときの各指標値の情報を受信し、各指標値に対応する操舵特性を設定する構成としてもよい。
【0093】
(4)上記実施形態では、SAT推定フィードバック部115のQフィルタ部115dの第1のSATゲインQsを第3指標値IVcの編集によって調整することで、路面情報の感じやすさを調整する構成としたが、この構成に限らない。例えば、第1のSATゲインQsに加えて、
図11に示す車速感応特性を有するゲイン部115eの第2のSATゲインKsを第3指標値IVcに基づき調整する構成としてもよい。具体的には、例えば、第3指標値IVcが基準値Crよりも大きい値に設定されている場合は、
図11(a)中の一点鎖線で例示したゲインマップのように、第2のSATゲインKsを、
図11中の実線で示した基準値Crに対応するゲインマップよりも増加した傾向のゲインマップを指定するゲインマップ情報GMnを設定する。一方、例えば、第3指標値IVcが基準値Crよりも小さい値に設定されている場合は、
図11中の破線で例示したゲインマップのように、第2のSATゲインKsを、
図11中の実線で示した基準値Crに対応するゲインマップよりも減少した傾向のゲインマップを指定するゲインマップ情報GMnを設定する。
【0094】
(5)上記実施形態では、第1〜第3指標値(IVa,IVr,IVc)を個別に設定する構成としたが、この構成に限らない。例えば、第1〜第3指標値(IVa,IVr,IVc)を極端な数値の組合せとした場合に、相互間で特性に影響を与えるような場合は、連携して数値が設定される構成としてもよい、又はこのような構成の機能を追加してもよい。例えば、編集画面400において、第1指標値IVaを、例えば、「HIGH」寄りの値から最小値へと大幅に変更(第1設定バー画像410を一番「LOW」側の目盛線上に移動)した結果、現状の第3指標値のままでは路面反力の感じ方がこれまでと変わってしまうような状況が発生したとする。この場合に、自動で第3指標値IVcを適切な値(感じ方が同じとなる又は近くなる値)に調整する(第3設定バー画像430を移動する)といった機能を追加する。即ち、一の指標値を変更した結果、他の指標値に対応する操舵特性が変化してしまう場合に、他の指標値を自動で調整する。このとき、例えば閾値で変化の許容値を設けて変化の有無を判定するようにしてもよい。
【0095】
(6)上記実施形態では、EPSコントローラ25とは別に、操舵特性設定部27を設ける構成としたが、この構成に限らず、操舵特性設定部27の機能をEPSコントローラ25に組み込む構成としてもよい。これにより、EPSコントローラ25のハードウェアを併用することが可能となり、別々の構成とするよりもコストを低減することが可能となる。
【0096】
(7)上記実施形態では、操舵特性設定部27は、車両用コントローラ55を介してナビ用コントローラ201とデータ通信を行う構成としたが、この構成に限らない。例えば、CAN等の車載ネットワークを介してナビ用コントローラ201と直でデータ通信を行う構成としてもよい。また、例えば、車載のバックカメラの映像信号等の他の機器からの映像信号と、ナビゲーションの映像信号とを切り換えてタッチパネル202に出力するコントローラがある場合に、このコントローラを介して操舵特性設定部27の映像信号をタッチパネル202に出力する構成としてもよい。
【0097】
(8)上記実施形態では、微分ゲインKdを、車速Velに関係なく第2指標値IVrに応じて変化する値としたが、この構成に限らず、車速Velに応じても変化する車速感応型のゲインとしてもよい。
(9)上記実施形態では、本発明をコラムアシスト式の電動パワーステアリング装置に適用した例を説明したが、この構成に限らず、例えば、ラックアシスト式又はピニオンアシスト式の電動パワーステアリング装置に適用する構成としてもよい。