(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の画像読取装置において、原稿は、原稿載置面に位置合わせ用の目印があったとしても、目印からずれて載置されることがある。特に、分厚い本は、見開きの状態で載置されると、ずれやすい。また、ユーザは、位置合わせ用の目印に従って原稿を載置したとしても、原稿サイズを誤って入力することがある。
【0005】
また、分厚い本の見開きの中央部(背に対向する部分)は、浮き上がりやすい。この状態で読み取られた画像は、中央部が黒くなる。
【0006】
そこで、本発明の目的は、上述の従来技術の問題のいずれかを解決することであり、具体的には、原稿の画像を適切に読み取ることができる画像読取装置及び画像読取装置に実行される画像読み取りプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
原稿載置面において原稿が載置された領域には、圧力がかかる。換言すれば、その圧力が加わっている領域は、原稿が載置されている領域である。なお、圧力は、例えば、原稿自身の重さであるが、人間が原稿をカバー等で抑えた力を含むこともある。
【0008】
そこで、本発明の画像読取装置は、センサ部を用いて、原稿載置面に加えられた圧力及び圧力が加えられた位置を検出する。そして、本発明の画像読取装置は、センサ部の検出結果に基づいて原稿の載置状態を特定する特定部を備える。
【0009】
特定部は、圧力の有無を求めることで、原稿が載置されているか否かを特定する。特定部は、圧力が加わっている領域を求めることで、原稿の方向、及び原稿サイズを特定する。また、特定部は、所定方向において、圧力が加わっていない領域が、圧力が加わっている2つの領域に挟まれている場合、中央部が原稿載置面から浮き上がった見開きの本が載置されていると特定する。
【0010】
本発明の画像読取装置は、特定した載置状態に応じて画像を読み取るので、適切に画像を読み取ることができる。
【0011】
また、本発明の画像読取装置は、原稿を原稿載置面との間で挟み、原稿載置面を覆うカバー部材と、カバー部材に加えられた圧力及び圧力が加えられた位置を検出するセンサ部を備える。
【0012】
すなわち、特定部は、カバー部材にかかる圧力の有無によって原稿が載置されているか否かを特定する。同様に、特定部は、カバー部材における圧力が加わっている領域を求めることで、原稿の方向及び原稿サイズも特定する。
【0013】
また、画像読取装置は以下のように構成されることが望ましい。画像読取部は、原稿に光を照射する照射部と、原稿で反射した光を受光する受光部とを有する。照射部は、原稿の領域内において圧力が加わっていない位置に対して照射する光の強度を大きくする。
【0014】
例えば、分厚い本の見開きの中央部が浮き上がると、当該領域において圧力はかからなくなる。そこで、照射部は、当該領域に照射する光の強度を大きくする。すると、受光部は、当該領域において原稿が原稿載置面から浮き上がっていても、適度な強度の反射光を受光する。
【0015】
なお、本発明は、画像読取装置に限らず、画像読取装置に実行される画像読取プログラムであってもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、原稿の画像を適切に読み取ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の第1の実施形態に係る画像読取装置100について図を参照して説明する。
図1は、画像形成装置200の外観斜視図である。
図2(A)は、圧電パネル1及びスキャン部10の断面図である。
図2(B)は、圧電パネル1の平面図である。
【0019】
図1に示すように、画像形成装置200は、画像読取装置100と、画像形成部30と、排紙トレイ32と、給紙トレイ34と、操作パネル36とを備える。画像形成装置200は、いわゆる多機能プリンタである。画像読取装置100は、原稿載置面10Sに載置された原稿の画像を読み取る。画像形成部30は、操作パネル36で受け付けた操作に基づいて給紙トレイ34の用紙に画像読取装置100が読み取った画像を形成する。画像が形成された用紙は、排紙トレイ32に排出される。なお、画像形成部30による画像形成は、電子写真方式又はインクジェット方式で行われる。
【0020】
本実施形態に係る画像読取装置100は、原稿の載置状態(原稿サイズ、原稿の方向、及び原稿の浮き上がり状態)を特定することで、原稿の画像を適切に読み取る。
【0021】
図1に示すように、画像読取装置100は、圧電パネル1と、スキャン部10と、カバー部材20と、を備えている。
図2(A)に示すように、スキャン部10は、ガラス台11と本体部12と、を備えている。ガラス台11の上方の主面は、原稿載置面10Sである。本体部12は、ガラス台11の下方に配置されている。
【0022】
スキャン部10の本体部12は、走査子13と、複数のLED14と、反射鏡15と、集光レンズ16と、CCD(Charge−Coupled Device)17と、回路モジュール18と、を備えている。複数のLED14は、照射部に対応する。CCD17は受光部に対応する。
【0023】
走査子13は、奥行方向に延びる形状である。複数のLED14は、奥行方向に配列された状態で走査子13に取り付けられている。走査子13と反射鏡15は、幅方向に移動自在である。ただし、移動機構の説明は省略する。各LED14は、上方に光を照射する。照射された光Lb
1は、ガラス台11を通過し、原稿載置面10Sに載置された原稿で反射する。反射光は、ガラス台11を通過し反射鏡15に到達する。反射鏡15でさらに反射した光Lb
2は、集光レンズ16に向かう。CCD17は、集光レンズ16が集めた光を電気的信号に変換する。
【0024】
図2(A)に示すように、本実施形態では、圧電パネル1は、ガラス台11と、本体部12の間に配置されている。圧電パネル1は、平面視において、ガラス台11を含んでいる。換言すれば、圧電パネル1は、平面視において、原稿載置面10Sを含んでいる。圧電パネル1は、圧電フィルム2と、複数の線状電極3A〜3Jと、複数の線状電極4A〜4Fと、を備えている。圧電フィルム2は、圧電性樹脂からなる。圧電性樹脂としては、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、及びポリ乳酸(PLA)を用いることができる。圧電性樹脂としてPLAを用いれば、圧電フィルム2の透光性が高くなる(例えば光線透過率が90%以上)。これにより、スキャン部10が照射及び受光する光の通過は阻害されにくくなる。
【0025】
また、PLAは、キラル高分子の配向によって圧電性を有するので、PVDFのような焦電性が無い点においても優れる。従って、PLAからなる圧電フィルム2は、発熱しやすい画像形成部30からの熱が伝わる場所に配置される構成として適している。さらに、PLAとしては、L型ポリ乳酸(PLLA)及びD型ポリ乳酸(PDLA)を用いることが望ましい。PLLA及びPDLAは、一軸延伸されているので、圧電定数が高められている。すなわち、PLLA及びPDLAを用いれば圧力の検出感度は高くなる。
【0026】
さらに、PLAは、PVDFのようなポーリング処理を不要とする。従って、圧電フィルム2の材料としてPLAを用いれば、圧電パネル1を簡易に製造できる。
【0027】
図2(A)及び
図2(B)に示すように、複数の線状電極3A〜3Jは、圧電フィルム2の上方の主面に配置されている。各線状電極3A〜3Jは、奥行方向に延びる形状である。各線状電極3A〜3Jは、所定の間隔をあけて幅方向に沿って配列されている。各線状電極3A〜3Jは例えば酸化インジウムスズ(ITO)またはポリチオフェン系化合物(PEDOT)からなる。これにより、各線状電極3A〜3Jは、透光性が高くなっている(例えば光線透過率80%以上)。
【0028】
図2(A)及び
図2(B)に示すように、複数の線状電極4A〜4Fは、圧電フィルム2の下方の主面に配置されている。各線状電極4A〜4Fは、幅方向に延びる形状である。各線状電極4A〜4Fは、所定の間隔をあけて奥行方向に沿って配列されている。これにより、
図2(B)に示すように、線状電極3A〜3J及び線状電極4A〜4Fは、平面視すると、格子形状を呈する。各線状電極4A〜4Fは例えばITO及びPEDOTからなる。これにより、各線状電極4A〜4Fは、透光性が高くなっている(例えば光線透過率80%以上)。
【0029】
ただし、線状電極3A〜3J及び線状電極4A〜4Fの材料としてITO及びPEDOTを用いることは必須ではない。例えば、線状電極3A〜3J及び線状電極4A〜4Fの材料を銅または銀とし、線幅を5ミクロン程に細くすればスキャン部10による画像読取に影響が出にくくなる。
【0030】
また、実際の圧電パネル1は、
図2(B)に示す例よりも、より多くの線状電極を圧電フィルム2の両主面に備えている。
【0031】
また、実際には、線状電極3A〜3J及び線状電極4A〜4Fは、不図示の引出配線が接続されている。線状電極3A〜3J及び線状電極4A〜4Fは、引出配線によって回路モジュール18に電気的に接続されている。
【0032】
次に、
図3は、画像読取装置100の構成の一部を示すブロック図である。
図3に示すように、画像読取装置100は、圧力検出部110と、特定部120と、画像読取部130と、を備えている。これら機能部は、回路モジュール18によって実現されるが、CPUがプログラムを実行することによって実現されても構わない。
【0033】
圧力検出部110は、線状電極3A〜3J及び線状電極4A〜4Fに電気的に接続されている。圧力検出部110は、原稿載置面10Sに圧力が加えられているか否かを検出する。圧力検出部110は、原稿載置面10Sにおいて圧力が加えられている位置を検出する。圧力検出部110による検出結果は、特定部120へ出力される。圧力検出部110及び圧電パネル1は、本発明のセンサ部に対応する。
【0034】
特定部120は、原稿載置面10Sへの圧力の有無、及びその圧力が加わっている位置を、圧力検出部110から取得する。特定部120は、原稿載置面10Sへの原稿の載置状態を特定する。特定された載置状態は、画像読取部130へ出力される。特定部120が特定する載置状態は、載置されている原稿の有無、原稿載置面10Sにおける原稿の領域、及び原稿の浮き上がりを含む。原稿の領域は、原稿のサイズ及び原稿の方向を示す。具体的な特定方法については後述する。
【0035】
画像読取部130は、複数のLED14と、CCD17とに電気的に接続されている。画像読取部130は、各LED14に与える電流値を変化させることで、各LED14からの光の照射を制御する。画像読取部130は、CCD17が出力した電気的信号をサンプリングすることで、画像データを生成する。画像データは、例えば、2階調のモノクロデータに限らず、16bit階調のカラーデータである。また、画像読取部130は、複数のLED14が取り付けられた走査子13及び反射鏡15の幅方向の移動を制御する。ただし、走査子13及び反射鏡15の移動のための構成の説明は省略する。
【0036】
画像読取部130は、特定部120が特定した原稿の載置状態を取得する。画像読取部130は、原稿の載置状態に基づいて、原稿の画像を読み取る。また、画像読取部130は、読み取られた画像を修正する画像処理部135を備えている。画像処理部135は、特定部120が特定した原稿の載置状態に基づいて、読み取られた画像を修正する。載置状態に基づいた原稿の読取及び画像の修正は、後述する。
【0037】
画像処理部135が修正した画像データは、画像形成装置200の画像形成部30へ出力される。画像形成部30は、当該画像データに基づいて用紙に画像を形成する。
【0038】
ここで、原稿載置面10Sに原稿が載置されると、原稿載置面10Sには圧力が下方に加わる。その圧力は、ガラス台11を介して圧電パネル1に伝わる。すると、圧電フィルム2には電荷が生じる。圧力検出部110は、線状電極3A〜3J及び線状電極4A〜4Fに伝わる出力電荷を求めることで、原稿載置面10Sに圧力が加わっているか否かを検出する。また、圧力検出部110は、出力電荷が多い線状電極3A〜3J及び線状電極4A〜4Fの組み合わせを検出する。出力電荷が多い線状電極3A〜3J及び線状電極4A〜4Fの組み合わせは、圧力が加えられている位置に対応する。すなわち、圧力検出部110は、原稿載置面10Sにおいて圧力が加えられている位置を検出する。
【0039】
すると、画像読取装置100は、
図4に示すフローチャートに従って動作する。まず、特定部120は、原稿の領域を特定する(S1)。この動作の例について
図5(A)及び
図5(B)を用いて説明する。
図5(A)は、原稿が載置されている原稿載置面10Sの模式的な平面図である。
図5(B)は、二次元圧力データを示す図である。
図5(B)において、圧力が加わっている位置には黒丸が記されている。また、
図5(B)は、説明のために、二次元座標において幅方向及び奥行方向の角を原点(0,0)と示している。
【0040】
特定部120は、圧力検出部110からの検出結果を得ることで、二次元圧力データを生成する。各座標は、原稿載置面10Sの各位置に対応する。そして、二次元圧力データでは、各座標の値は、圧力の有無(例えば0又は1)が入力されている。
【0041】
特定部120は、二次元圧力データにおいて、幅方向に走査し、圧力が加わっている領域の幅方向の両端部を検出する。一方の端部は、エッジ部E4(w
4,d
4)となり、他方の端部は、エッジ部E2(w
2,d
2)となる。特定部120は、二次元圧力データにおいて、奥行方向に操作し、圧力が加わっている領域の奥行方向の両端部を検出する。一方の端部は、エッジ部E1(w
1,d
1)となり、他方の端部は、エッジ部E3(w
3,d
3)となる。これにより、特定部120は、
図5(B)に示すように、略矩形状の領域DR1を原稿の領域として特定する。
【0042】
次に、特定部120は、原稿のサイズを特定し(S2)、原稿の方向を特定する(S3)。具体的には、特定部120は、
図5(B)に示す例において、各エッジ部間の距離を平方定理で求める。これにより、長さL
1〜L
4が求められる。特定部120は、長さL
1及び長さL
3の平均値DWと、長さL
2及び長さL
4の平均値DDとを算出する。特定部120は、縦横が平均値DD及び平均値DWからなる原稿のサイズを特定する(S2)。ここで、特定部120は、特定したサイズが、規定サイズ(例えばJIS規格のA4サイズ等)と一致しない場合、特定したサイズより大きな規定サイズ(例えばJIS規格のB4サイズ)を原稿のサイズとして特定する。これにより、画像読取装置100は、原稿の浮き上がり及び捲り上がり等によって圧力が加わっている領域DR1が実際の原稿の領域より小さくなったとしても、原稿サイズが誤って小さく特定されることを防止する。
【0043】
次に、特定部120は、平均値DWと、平均値DDとを比較する。
図5(B)に示す例では、長さL
1及び長さL
3の平均値DWは、長さL
2及び長さL
4の平均値DDより大きい。従って、特定部120は、長さL
1に対応するエッジ部E4からエッジ部E3に向かう方向を、原稿の方向として特定する(S3)。この原稿の方向は、長さL
3に対応するエッジ部E1からエッジ部E2に向かう方向であってもよい。なお、原稿のサイズ及び方向の特定方法は各種従来技術を利用することができるので上述の方法に限らない。
【0044】
そして、画像読取部130は、特定された原稿サイズ及び原稿の方向に基づいてスキャン領域を決定する(S4)。例えば、画像読取部130は、幅方向において、エッジ部E4からエッジ部E2までの範囲をスキャン領域として決定する。また、画像読取部130は、奥行方向において、エッジ部E1からエッジ部E3までの範囲をスキャン領域として決定してもよい。さらに、画像読取部130は、幅方向及び奥行方向の両方で所定の範囲に制限した領域をスキャン領域として決定してもよい。
【0045】
そして、画像読取部130は、決定したスキャン領域においてスキャン処理を行う(S5)。すなわち、画像読取部130は、スキャン領域に応じた範囲で走査子13を移動させつつ、当該スキャン領域に対応するLED14から光を照射させる。そして、画像読取部130は、CCD17が変換した電気的信号をサンプリングすることで、スキャン領域の大きさの画像データを生成する。
【0046】
次に、画像処理部135は、画像を回転させる画像処理を行う(S6)。この画像回転処理は、回転行列などの各種従来技術のアルゴリズムによって行われる。回転角度は、ステップS3において求めた原稿の方向に基づいて決定される。ステップS5で読み取られた画像データは、この画像処理により、長手方向が幅方向又は奥行き方向に沿うように修正される。
【0047】
なお、画像処理部135は、ステップS3において、特定された原稿の方向が幅方向又は奥行方向に沿っている場合、ステップS6の処理を行わない。すなわち、ステップS6の処理は本実施形態において必須ではない。
【0048】
ステップS6において画像読取の処理は終了するが、その後、ステップS7に示すように、画像形成部30は、修正後の画像データに基づいて用紙に画像を形成する画像形成処理を行う。ただし、画像形成処理は本実施形態に必須ではない。また、画像形成装置200は、ステップS7の画像形成処理に代えて修正後の画像データをFAX送信したり、表示部(不図示)に修正後の画像を表示したりする態様であっても構わない。
【0049】
以上のように、本実施形態に係る画像読取装置100は、原稿のサイズの操作入力なしに、原稿のサイズに応じた大きさの画像を読み取ることができる。また、本実施形態に係る画像読取装置100は、原稿の長手方向が幅方向又は奥行方向から傾いて載置されていても、傾きを修整した画像を読み取ることができる。
【0050】
また、本実施形態に係る画像読取装置100は、原稿載置面10Sから浮き上がった原稿に対しても適切に画像を読み取ることができる。原稿載置面10Sから浮き上がった原稿の画像の読取の例について
図6(A)及び
図6(B)を用いて説明する。
図6(A)は、浮き上がった見開きの本を示す側面図である。
図6(B)は、見開きの本が載置された時の原稿載置面に加わっている圧力の大きさを示す図である。
【0051】
図6(A)に示すように、本900が幅方向に見開かれた状態で原稿載置面10Sに載置されると、幅方向の両端部の領域R1では、原稿載置面10Sに圧力が加わる。その2つの領域R1に挟まれる中央領域R2では、原稿載置面10Sに圧力が加わらない。また、圧力が加わる領域R1において、領域R3に係る圧力は、本900が部分的に浮き上がっているので、領域R4に係る圧力よりも小さくなっている。
【0052】
そこで、圧力検出部110は、圧力の有無だけでなく、圧力の大きさも検出する。圧力の大きさは、線状電極3A〜3J及び線状電極4A〜4Fからの出力電荷の量に対応する。
【0053】
特定部120は、
図6(B)に示すように、本900の領域DR2において、圧力の有無及び大きさが異なる領域R1〜R4を特定する。そして、画像読取部130は、領域R1〜R4毎に、各LEDに与える電流値を制御する。具体的には、
図7に示すように、画像読取部130は、圧力が加わっていない領域R2では、各LED14へ与える電流値を最も高い電流値IL
3にする。画像読取部130は、最も大きい圧力が加わっている領域R4では、各LED14へ与える電流値を最も小さい電流値IL
1にする。画像読取部130は、圧力が加わっている領域R3では、各LED14へ与える電流値を電流値IL
2にする。ただし、電流値IL
2は、電流値IL
1より大きく、かつ電流値IL
3より小さい。これにより、画像読取部130は、見開きの本900が浮き上がっている領域R2において反射光が弱くなることを防止することができる。また、画像読取部130は、見開きの本が部分的に浮き上がっている領域R3においても反射光が弱くなることを防止することができる。すなわち、画像読取部130は、領域R1〜R4において均一な強度の反射光を得ることができる。
【0054】
ただし、画像読取部130は、圧力の有無だけで各LED14に与える電流値を変化させてもよい。例えば、画像読取部130は、圧力が加わっていない領域R2では各LED14への出力電流値を、圧力が加わっている領域R1における出力電流値よりも大きくするだけであってもよい。
【0055】
また、画像読取装置100は、各LED14に与える電流値を変化させるのではなく、画像処理を行うことで、本900の見開きの適切な画像を読み取ってもよい。例えば、画像処理部135は、画像読取部130が生成した画像データのうち、原稿載置面10Sから浮き上がっている領域R2に対応する画素の明度を上げる。これにより、画像読取装置100は、領域R2に対応する部分が黒くなることを防ぐことができる。また、この際、画像処理部135は、明度の調整だけでなく、コントラストを調整してもよい。さらに、画像処理部135が明度及びコントラストを調整し、画像読取部130が各LED14に与える電流値を調整する態様であってもよい。
【0056】
次に、実施形態2に係る画像読取装置100Aについて図を参照しつつ説明する。
図8は、画像読取装置100Aの側面図である。画像読取装置100Aは、圧電パネル1がカバー部材20側に配置されている点において、実施形態1に係る画像読取装置100と相違する。
【0057】
カバー部材20は、ヒンジ部22の幅方向に延びる軸を中心に回動自在である。カバー20は、奥行方向においてヒンジ部22と反対側の端部が下方に回動すると、原稿載置面10Sを覆う。すると、原稿載置面10Sに載置された原稿は、圧電パネル1とガラス台11とで挟まれる。その結果、圧電パネル1には、原稿載置面10Sに載置された原稿から上方へ圧力が加えられる。特定部120は、カバー部材20側に配置された圧電パネル1において圧力が加えられた領域を原稿の領域として特定する。
【0058】
以上のように、画像読取装置100Aは、圧電パネル1がカバー部材20側に配置されていても原稿載置面10Sに載置された原稿の画像を適切に読み取ることができる。
【0059】
なお、圧電パネル1は、カバー部材20側に配置される場合、透光性を有していなくてもよい。さらに、画像読取装置100Aは、原稿からの圧力及びその位置を検出する構成をカバー部材20側に備える場合、圧電パネル1に代えて複数の圧電体を用いてもよいし、複数のプッシュ式スイッチを備えてもよい。
【0060】
また、カバー部材は、以下のように構成されてもよい。
図9(A)は、実施形態3に係る画像読取装置100Bの側面図である。
図9(B)は、反射材25の明度を説明するための原稿載置面10Sの平面図である。
【0061】
本実施形態に係る画像読取装置100Bは、カバー部材20Bの反射材25が領域毎に明度を変化させることで、画像読取の際の裏写りを防止するものである。
【0062】
図9(A)に示すように、反射材25は、カバー部材20の下方の主面に配置されている。反射材25として、例えば電子ペーパー、メモリ液晶パネル、及び有機ELパネルを用いる。反射材25は、白色であるが、スキャン処理時に領域毎に明度が変化する。
【0063】
具体的には、画像読取部130は、原稿の領域DR1に対向する領域において反射材25の明度を低くした状態で、スキャン処理を行う。これにより、原稿の裏面(上方の面)に記された文字は画像データとして読み取られにくくなる。ただし、当該文字は、原稿の下地よりも低い明度(例えば黒色)で記されているものとする。
【0064】
また、反射材25は、明度に加えて色彩を変更してもよい。例えば、画像読取部130は、原稿の領域DR1に対向する領域において、反射材25の色彩を赤くする。これにより、原稿の裏面に記された赤色文字は、画像データとして読み取られにくくなる。なお、原稿の裏面の文字色は、例えば、操作パネル36で設定入力を受け付けることで求められる。
【0065】
上述の技術的特徴は、組み合わせることが可能である。例えば、実施形態2及び3の技術的特徴を組み合わせることで、カバー部材20側に圧電パネル1と反射板25を備えた画像読取装置を実現してもよい。
【0066】
また、上述の例は、圧力検出部110、特定部120、及び画像読取部130がハードウェアであったが、これら機能部は、ソフトウェアで実現されてもよい。