(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6575330
(24)【登録日】2019年8月30日
(45)【発行日】2019年9月18日
(54)【発明の名称】精米設備
(51)【国際特許分類】
B02B 7/00 20060101AFI20190909BHJP
【FI】
B02B7/00 101A
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2015-233580(P2015-233580)
(22)【出願日】2015年11月30日
(65)【公開番号】特開2017-100060(P2017-100060A)
(43)【公開日】2017年6月8日
【審査請求日】2018年9月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】高橋 努
(72)【発明者】
【氏名】川端 英臣
【審査官】
田辺 義拓
(56)【参考文献】
【文献】
特開2005−021752(JP,A)
【文献】
特開2001−175927(JP,A)
【文献】
特開2009−285552(JP,A)
【文献】
特開昭63−137397(JP,A)
【文献】
特開平10−118507(JP,A)
【文献】
中国特許出願公開第105057016(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B02B 1/00−7/02
G07F 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
料金及び穀物を投入して精白度選択スイッチを操作して精米運転を開始して穀物を精米処理する精米設備において、
投入料金に対応する運転時間中に、投入玄米が設定量以下になったことを検出すると、残りの玄米を精米処理する終了運転を行って精米運転を停止するよう制御し、
投入玄米が設定量以上の場合に投入金額に対応する運転時間が経過すると精米運転を停止し、追加の料金を投入して精白度選択スイッチを操作すると、精米運転の再開を行うよう制御し、
投入した料金に対応する時間、精米運転する通常精米運転モードに対し、
投入した料金に対応する時間より長い時間精米処理するサービス精米運転モードによる精米運転を一定の割合で行う制御部を備え、
サービス精米運転モードは、カウントした精米運転の累積回数に対して一定の割合で実施する構成とし、
サービス精米運転の回数のカウントは、前記料金及び穀物を投入して精白度選択スイッチを操作して精米運転を開始したときと、前記精米運転の再開のいずれもカウントすることを特徴とする精米設備。
【請求項2】
精米運転の累積回数が設定回数に到達したとき、当該利用者が一単価分の最低料金のみの投入で精米運転を開始していた場合には、サービス精米運転は行わずに通常精米運転モードを行い、サービス精米運転は次回の利用者の精米運転に繰り延べられるように制御することを特徴とする請求項1記載の精米設備。
【請求項3】
サービス精米運転モードは、投入した料金の内、一単価分の料金で、複数単価分の時間、精米運転を行うことを特徴とする請求項1又は請求項2いずれかに記載の精米設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不特定多数の利用者が利用する精米設備に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、投入料金に対応する時間、精米運転する精米設備の構成が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014−4532号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、利用者による精米設備の利用の促進を図ることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
かかる課題を解決するために、請求項1記載の発明は、
料金
及び穀物を投入して
精白度選択スイッチを操作して精米運転を開始して穀物を精米処理する精米設備において、
投入料金に対応する運転時間中に、投入玄米が設定量以下になったことを検出すると、残りの玄米を精米処理する終了運転を行って精米運転を停止するよう制御し、
投入玄米が設定量以上の場合に投入金額に対応する運転時間が経過すると精米運転を停止し、追加の料金を投入して精白度選択スイッチを操作すると、精米運転の再開を行うよう制御し、
投入した料金に対応する時間、精米運転する通常精米運転モードに対し、
投入した料金に対応する時間より長い時間精米処理するサービス精米運転モードによる精米運転を一定の割合で行う制御部を備え、
サービス精米運転モードは、カウントした精米運転の累積回数に対して一定の割合で実施する構成とし、
サービス精米運転の回数のカウントは、前記料金及び穀物を投入して精白度選択スイッチを操作して精米運転を開始したときと、前記精米運転の再開のいずれもカウントすることを特徴とする精米設備とする。
【0006】
請求項2記載の発明は、
精米運転の累積回数が設定回数に到達したとき、当該利用者が一単価分の最低料金のみの投入で精米運転を開始していた場合には、サービス精米運転は行わずに通常精米運転モードを行い、サービス精米運転は次回の利用者の精米運転に繰り延べられるように制御することを特徴とする請求項1記載の精米設備とする。
【0007】
【0008】
請求項3記載の発明は、
サービス精米運転モードは、投入した料金の内、一単価分の料金で、複数単価分の時間、精米運転を行うことを特徴とする請求項1
又は請求項2いずれかに記載の精米設備とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、サービス運転の実施により、利用者の関心を惹き、当該精米設備の利用を促進させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施の形態の精米設備について、以下説明する。
【0012】
建屋1を仕切壁2で利用者が出入りする利用者室3と装置各部を配置する機械室4に仕切る。
【0013】
利用者室3側には、利用者が持参した玄米を投入する投入ホッパ5と、投入ホッパ5の投入口を開閉する昇降式の開閉扉6と、利用者が精白度を選択する精白度選択スイッチ7と、料金投入口8と、釣銭返却口9と、精米運転の状況を表示する表示画面10と、精米処理された精白米を収容する白米タンク11を設ける。
【0014】
機械室4側には、投入ホッパ5内に投入された玄米を繰り出すロータリバルブ12と、玄米に混じる石を除去する石抜機13と、石抜きされた玄米を精米処理する精米機14を備える。また、ロータリバルブ12で繰り出された玄米を石抜機13に玄米を供給する第一昇降機15と、石抜機13で石抜き処理された玄米を精米機14に供給する第二昇降機16を設ける。また、精米機14で精米処理された精白米を収容する白米タンク11を備える。
【0015】
精米設備を制御する制御部17には、料金投入口8に投入した料金を検出するコインセンサ18や、無洗米・上白・標準・分搗き等を選択する精白度選択スイッチ7や、投入ホッパ5内の玄米の有無を検出する穀物有無検出センサ19の入力情報が入力される。また、制御部からは、精米機14等の装置各部への出力情報や表示画面10への表示情報が出力される。
【0016】
次に、
図5・
図6に沿って、精米運転について説明する。
【0017】
まず、通常の精米運転である通常精米運転のモードについて説明する。
【0018】
利用者が料金を投入すると、開閉扉6が開動作する。利用者が投入ホッパ5に持参玄米を投入し、所望する精白度選択スイッチ7を操作すると、精米運転が開始される。そして、精米運転の回数のカウントがなされる。
【0019】
通常は、投入料金に対応する時間、精米運転を行う。例えば、一単価を百円とし、百円につき約10kg精米処理できるだけの時間(例えば1分)を精米運転する。そして、投入金額に見合う運転時間(例えば300円投入で3分)が経過すると、精米運転が途中、すなわち投入した玄米が未だ存在していても精米運転は停止する。この場合、利用者が追加の料金を投入し、精白度選択スイッチ7を操作すると精米運転が再開される。
【0020】
投入料金に見合う運転時間中に、投入玄米が設定量以下になったことを穀物有無検出センサ19が検出すると、残りの玄米を精米処理する精米運転(終了運転)を行い、精米運転を停止する。なお、この終了運転中に料金分の運転時間が経過した場合は、精米運転を停止せずに、玄米を全て精米処理する。
【0021】
終了運転を経て運転が停止した後に、運転時間に見合う料金以上の投入料金、すなわち、余った投入料金が発生した場合については釣銭として釣銭返却口9に返却される。
【0022】
次に、精米運転が設定回数毎に投入料金見合う運転時間より長い時間精米運転ができるいわゆるサービス精米運転のモードについて説明する。
【0023】
利用者が料金を投入し、精白度選択スイッチ7を操作して精米運転を開始した際、当該利用者が利用する前にカウントされていた累積回数が設定回数(例えば50回)に到達していたとする。このとき、当該利用者が投入した料金が一単価分である最低料金より多い投入金額(例えば2単価分200円以上)が投入されていたことを検出されていた場合に、表示画面10は「当たり」を表示する(
図6参照)。すると、制御部17は、一単価分の料金のみを引き落とし、三単価分の運転時間が行えるように制御する。すなわち、一単価分の料金で三単価分の料金分の運転時間が行える。以降は、通常精米運転と同じ精米処理がなされる。また、サービス精米運転が実施されると、それまでカウントされていた精米運転の累積回数がクリアされ、新たな精米運転の回数のカウントが行われるようにする。
【0024】
ここで、当該利用者が運転を行う時に、カウントされていた精米運転の累積回数が設定回数に到達していても、当該利用者が一単価分の最低料金のみの投入で精米運転を開始していた場合には、当該サービス精米運転は行わず、次回の利用者の精米運転に繰り延べられるように制御する。これは、一単価分しか精米運転を行う意思の無い利用者に対してはサービスで運転時間を延長する必要がないためである。そして、二単価分以上の精米運転を行う、いわゆる大口の利用者にサービス精米運転を実施できるようにするためである。
【0025】
本実施のサービス精米運転の回数のカウントは、前述の金切れによる精米運転を再開させた場合には、利用者が同じためカウントしない構成であるが、カウントする構成に設定してもよい。また、一単価分の最低料金分による通常精米運転についてはカウントしなくても良いし、しても良い。これは、精米設備の管理者が任意に設定可能にすることができる。また、サービス精米運転による延長時間についても精米設備の管理者が任意に設定可能である。
【0026】
また、サービス精米運転は、精米運転の累積回数以外に、投入された累積金額(積算金額)が設定金額に到達する毎に行うようにすることも可能である(
図6)。
【0027】
また、本実施の形態のサービス精米運転のモードは、一単価分の料金の引き落としで複数単価分の運転時間を行う構成であるが、精米運転終了後に、サービス運転時間内に投入した玄米の精米処理が終了した場合には、投入した料金を全て返却する、いわゆる無料のサービス精米運転を行うようにしても良い。
【0028】
本実施の形態のサービス精米運転は、簡単なプログラムにするため、累積回数毎(例えば50回毎)や累積金額毎(例えば1万円毎)に行っているが、設定間隔毎以外に不定期に行うように制御部17で設定しても良い。すなわち、サービス精米運転を行う割合が通常精米運転に対して一定の割合であれば良い(例えば500回の通常精米運転に対してサービス運転が10回以下又は累積金額10万円に対してサービス精米運転が10回以下)。つまり、場合によっては精米運転が2回連続でサービス精米運転である場合がありうる。本実施の形態の累積回数毎、累積金額毎によるサービス精米運転も前述の一定の割合の概念の中に含まれるものとする。
【0029】
また、累積回数と累積金額を併用し、いずれか早く到達した場合にサービス精米運転を行うようにしても良い。
【0030】
このような、サービス運転の実施により、利用者の関心を惹き、当該精米設備の利用を促進させることができる。
【0031】
また、本実施の形態のサービス運転は、玄米を精米処理する玄米専用の精米設備について記載したが、籾を籾摺する料金式の籾摺設備や、籾・玄米の双方を精米処理する籾摺精米設備等、各種穀物の処理設備についても適用が可能である。
【符号の説明】
【0032】
7 精白度選択スイッチ
8 料金投入口
14 精米機
17 制御部