特許第6575342号(P6575342)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6575342空気入りタイヤの製造方法、及び、ゴムストリップ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6575342
(24)【登録日】2019年8月30日
(45)【発行日】2019年9月18日
(54)【発明の名称】空気入りタイヤの製造方法、及び、ゴムストリップ
(51)【国際特許分類】
   B29D 30/60 20060101AFI20190909BHJP
【FI】
   B29D30/60
【請求項の数】8
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-241443(P2015-241443)
(22)【出願日】2015年12月10日
(65)【公開番号】特開2017-105094(P2017-105094A)
(43)【公開日】2017年6月15日
【審査請求日】2018年10月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000183233
【氏名又は名称】住友ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104134
【弁理士】
【氏名又は名称】住友 慎太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100156225
【弁理士】
【氏名又は名称】浦 重剛
(74)【代理人】
【識別番号】100168549
【氏名又は名称】苗村 潤
(74)【代理人】
【識別番号】100200403
【弁理士】
【氏名又は名称】石原 幸信
(72)【発明者】
【氏名】黒木 武
(72)【発明者】
【氏名】坪野 史寛
【審査官】 増永 淳司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−230107(JP,A)
【文献】 特表2012−513315(JP,A)
【文献】 特開2008−302860(JP,A)
【文献】 特開2007−136894(JP,A)
【文献】 特開2008−062639(JP,A)
【文献】 特開2007−313836(JP,A)
【文献】 特開2009−143007(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29D 30/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状のゴムストリップを螺旋状に巻き重ねてタイヤ用ゴム部材を形成する工程を含む空気入りタイヤの製造方法であって、
前記ゴムストリップは、第1外面と、前記第1外面の反対側の第2外面とを有し、
前記第1外面には、第1傾斜溝が前記ゴムストリップの長手方向に複数設けられ、
前記第2外面には、第2傾斜溝が前記長手方向に複数設けられており、
前記ゴムストリップを前記第1外面から透視したときに、前記第1傾斜溝と前記第2傾斜溝とは互いに逆向きに傾斜していることを特徴とする空気入りタイヤの製造方法。
【請求項2】
前記第1傾斜溝及び前記第2傾斜溝は、前記長手方向に対して30〜70°の角度を有する請求項1記載の空気入りタイヤの製造方法。
【請求項3】
前記ゴムストリップを前記第1外面から透視したときに、前記第1傾斜溝と前記第2傾斜溝との交差角度が120°以下である請求項1又は2記載の空気入りタイヤの製造方法。
【請求項4】
前記第1傾斜溝及び前記第2傾斜溝は、それぞれ、0.5〜2.0mmの幅を有する請求項1乃至3のいずれかに記載の空気入りタイヤの製造方法。
【請求項5】
前記第1傾斜溝及び前記第2傾斜溝は、それぞれ、前記ゴムストリップの厚さの0.10〜0.45倍の深さを有する請求項1乃至4のいずれかに記載の空気入りタイヤの製造方法。
【請求項6】
前記第1傾斜溝のピッチP1、及び、前記第2傾斜溝のピッチP2は、それぞれ、20〜100mmである請求項1乃至5のいずれかに記載の空気入りタイヤの製造方法。
【請求項7】
前記第1傾斜溝のピッチP1は、前記第2傾斜溝のピッチP2よりも大きい請求項6記載の空気入りタイヤの製造方法。
【請求項8】
タイヤ用ゴム部材を形成するための未加硫のゴムストリップであって、
第1外面と、前記第1外面の反対側の第2外面とを有し、
前記第1外面には、第1傾斜溝が前記ゴムストリップの長手方向に複数設けられており、
前記第2外面には、第2傾斜溝が前記長手方向に複数設けられており、
前記ゴムストリップを前記第1外面から透視したときに、前記第1傾斜溝と前記第2傾斜溝とは互いに逆向きに傾斜していることを特徴とするゴムストリップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、帯状のゴムストリップを螺旋状に巻き重ねてタイヤ用ゴム部材を形成する工程を含む空気入りタイヤの製造方法、及び、前記製造方法に用いられるゴムストリップに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、未加硫の帯状のゴムストリップを螺旋状に巻き重ねてトレッドゴムやサイドウォールゴム等の環状のタイヤ用ゴム部材を形成する工程を含む空気入りタイヤの製造方法が提案されている。しかしながら、このような製造方法は、巻き重ねられたゴムストリップの間に空気が残留した場合、加硫後のタイヤ用ゴム部材の品質低下が生じるという問題があった。
【0003】
例えば、下記特許文献1に記載の空気入りタイヤの製造方法では、ゴムストリップの間の空気を排出するために、ゴムストリップの外面に傾斜溝が設けられている。しかしながら、特許文献1の空気入りタイヤの製造方法であっても、ゴムストリップの巻き重ね部からの空気の排出について、さらなる改善の余地があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−051711号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、以上のような問題点に鑑み案出なされたもので、巻き重ねられたゴムストリップの間の空気を効果的に排出し得る空気入りタイヤの製造方法等を提供することを主たる目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、帯状のゴムストリップを螺旋状に巻き重ねてタイヤ用ゴム部材を形成する工程を含む空気入りタイヤの製造方法であって、前記ゴムストリップは、第1外面と、前記第1外面の反対側の第2外面とを有し、前記第1外面には、第1傾斜溝が前記ゴムストリップの長手方向に複数設けられ、前記第2外面には、第2傾斜溝が前記長手方向に複数設けられており、前記ゴムストリップを前記第1外面から透視したときに、前記第1傾斜溝と前記第2傾斜溝とは互いに逆向きに傾斜していることを特徴としている。
【0007】
本発明の空気入りタイヤの製造方法において、前記第1傾斜溝及び前記第2傾斜溝は、前記長手方向に対して30〜70°の角度を有するのが望ましい。
【0008】
本発明の空気入りタイヤの製造方法において、前記ゴムストリップを前記第1外面から透視したときに、前記第1傾斜溝と前記第2傾斜溝との交差角度が120°以下であるのが望ましい。
【0009】
本発明の空気入りタイヤの製造方法において、前記第1傾斜溝及び前記第2傾斜溝は、それぞれ、0.5〜2.0mmの幅を有するのが望ましい。
【0010】
本発明の空気入りタイヤの製造方法において、前記第1傾斜溝及び前記第2傾斜溝は、それぞれ、前記ゴムストリップの厚さの0.10〜0.45倍の深さを有するのが望ましい。
【0011】
本発明の空気入りタイヤの製造方法において、前記第1傾斜溝のピッチP1、及び、前記第2傾斜溝のピッチP2は、それぞれ、20〜100mmであるのが望ましい。
【0012】
本発明の空気入りタイヤの製造方法において、前記第1傾斜溝のピッチP1は、前記第2傾斜溝のピッチP2よりも大きいのが望ましい。
【0013】
本発明の第2の態様は、タイヤ用ゴム部材を形成するための未加硫のゴムストリップであって、第1外面と、前記第1外面の反対側の第2外面とを有し、前記第1外面には、第1傾斜溝が前記ゴムストリップの長手方向に複数設けられており、前記第2外面には、第2傾斜溝が前記長手方向に複数設けられており、前記ゴムストリップを前記第1外面から透視したときに、前記第1傾斜溝と前記第2傾斜溝とは互いに逆向きに傾斜していることを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
本発明の空気入りタイヤの製造方法において、ゴムストリップの第1外面には、第1傾斜溝がゴムストリップの長手方向に複数設けられている。第1外面の反対側の第2外面には、第2傾斜溝が長手方向に複数設けられている。ゴムストリップを第1外面から透視したときに、第1傾斜溝と第2傾斜溝とは互いに逆向きに傾斜している。
【0015】
このようなゴムストリップが螺旋状に巻き重ねられた場合、第1外面に設けられた第1傾斜溝と、第2外面に設けられた第2傾斜溝とが互いに交差してより複雑な排気流路が形成される。これにより、加硫成形時、巻き重ねられたゴムストリップの間の空気は、第1傾斜溝又は第2傾斜溝を通って外部に排出され、優れた品質のタイヤ部材を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の製造方法によって製造された空気入りタイヤの一実施形態を示す断面図である。
図2】ゴムストリップが螺旋状に巻き重ねて形成されたトレッドゴムの断面図である。
図3】本発明の空気入りタイヤの製造方法に用いられるゴムストリップの一実施形態の正面図である。
図4図3のゴムストリップの斜視図である。
図5】(a)は、図3の第1傾斜溝のA−A線断面図であり、(b)は、図3の第2傾斜溝のB−B線断面図である。
図6】溝成形工程に用いられる溝成形装置の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の一形態が図面に基づき説明される。
図1は、本実施形態の空気入りタイヤの製造方法(以下、単に「製造方法」ということがある。)によって製造された空気入りタイヤ(以下、単に「タイヤ」ということがある。)1の一例を示す断面図である。図1に示されるように、タイヤ1は、例えば、タイヤの骨格をなすカーカス6、及び、ゴム配合が異なる複数種のタイヤ用ゴム部材8を含んで構成されている。これらの各部材は、それぞれ、公知の構成を具えている。
【0018】
タイヤ用ゴム部材8は、例えば、トレッドゴム9、サイドウォールゴム10、インナーライナゴム11、及び、クリンチゴム12等を含んでいる。トレッドゴム9は、例えば、トレッド部2に配され、接地面を構成している。サイドウォールゴム10は、例えば、サイドウォール部3に配され、タイヤ外側面を構成している。インナーライナゴム11は、例えば、カーカス6の内側に配され、タイヤ内腔面を構成している。クリンチゴム12は、例えば、ビード部4に配され、リムずれを防止する。但し、タイヤ用ゴム部材8は、これらの構成に限定されるものではない。
【0019】
本実施形態の製造方法では、上述のタイヤ用ゴム部材8の内の少なくとも1つが、帯状のゴムストリップ15を螺旋状に巻き重ねて形成される。図2には、一例として、螺旋状に巻き重ねられたゴムストリップ15で形成されたトレッドゴム9が示されている。図2に示されるように、本実施形態の製造方法では、円筒状の外面13を有する被巻付け体14に、未加硫のゴムストリップ15が、被巻付け体14の回転とともにその軸方向に位置ずれさせて螺旋状に巻き重ねられる。これにより、タイヤ用ゴム部材8(図2では、トレッドゴム9)が形成される。なお、ゴムストリップ15の巻き付け方法は、公知の態様が採用される。
【0020】
図3には、本実施形態のゴムストリップ15の正面図が示されている。図3に示されるように、ゴムストリップ15の幅Wは、例えば、20〜50mmであるのが望ましい。ゴムストリップ15の厚さT(図4に示す)は、例えば、0.5〜5.0mmであるのが望ましい。但し、ゴムストリップ15は、帯状であれば良く、上記の具体的な態様に限定されるものでは無い。
【0021】
ゴムストリップ15は、第1外面16と、その反対側の第2外面17とを有している。第1外面16には、第1傾斜溝21がゴムストリップ15の長手方向に複数設けられている。第2外面17には、第2傾斜溝22(図3では、破線で示されている。)が前記長手方向に複数設けられている。
【0022】
図4には、ゴムストリップ15の拡大斜視図が示されている。図4に示されるように、ゴムストリップ15を第1外面16から透視したときに、第1傾斜溝21と第2傾斜溝22とは、互いに逆向きに傾斜している。このようなゴムストリップ15が螺旋状に巻き重ねられた場合、第1外面16に設けられた第1傾斜溝21と、第2外面17に設けられた第2傾斜溝22とが互いに交差してより複雑な排気流路が形成される。これにより、加硫成形時、巻き重ねられたゴムストリップ15の間の空気は、第1傾斜溝21又は第2傾斜溝22を通って外部に排出され、優れた品質のタイヤ部材を形成することができる。
【0023】
図3及び図4に示されるように、本実施形態では、第1傾斜溝21と第2傾斜溝22とが互いに交差して設けられている。さらに望ましい態様として、第1傾斜溝21と第2傾斜溝22とは、その長さ方向の中心位置で交差している。このような態様は、ゴムストリップ基体に傾斜溝を設けるとき、ゴムストリップ基体が位置ずれすることなく溝付けローラに強く押圧されるため、ゴムストリップの生産性が高められる。
【0024】
第1傾斜溝21と第2傾斜溝22とは、互いに交差することなくゴムストリップ15の長さ方向に位置ずれして設けられても良い。このような態様は、ゴムストリップ15の耐久性を高めるのに役立つ。
【0025】
図3に示されるように、第1傾斜溝21は、長手方向に対して角度θ1で傾斜している。第2傾斜溝22は、長手方向に対して角度θ2で傾斜している。前記角度θ1及びθ2が小さい場合、各傾斜溝21、22が過度に長くなり、ゴムストリップ15が切断され易くなるおそれがある。このため、前記角度θ1及びθ2は、好ましくは20°以上、より好ましくは30°以上、さらに好ましくは40°以上である。前記角度θ1及び角度θ2が大きい場合、ゴムストリップ15が巻き重ねられたとき、第1傾斜溝21と第2傾斜溝22とが交差し難くなるおそれがある。このため、前記角度θ1及びθ2は、好ましくは80°以下、より好ましくは70°以下、さらに好ましくは60°以下である。
【0026】
さらに望ましい態様として、本実施形態では、第1傾斜溝21の前記角度θ1は、第2傾斜溝22の前記角度θ2と同一である。前記角度θ1と前記角度θ2とが異なる場合、ゴムストリップ15が巻き重ねられるとき、ゴムストリップ15が特定の方法に位置ずれするおそれがある。
【0027】
第1傾斜溝21と第2傾斜溝22との交差角度θ3は、好ましくは150°以下、より好ましくは120°以下である。これにより、上述の効果をさらに高めることができる。なお、前記交差角度θ3は、ゴムストリップ15の長さ方向に凸となる角の角度であり、第1傾斜溝21の前記角度θ1と第2傾斜溝22の前記角度θ2との和に相当する。
【0028】
図5(a)には、図3の第1傾斜溝21のA−A線断面図が示されている。図5(b)には、図3の第2傾斜溝22のB−B線断面図が示されている。図5(a)及び(b)に示されるように、第1傾斜溝21及び第2傾斜溝22は、例えば、半円形の断面形状を有する。望ましい態様として、第1傾斜溝21と第2傾斜溝22とは、互いに同一の断面形状を有する。
【0029】
第1傾斜溝21の溝幅W1及び第2傾斜溝22の溝幅W2は、それぞれ、好ましくは0.5mm以上、より好ましくは1.0mm以上であり、好ましくは2.0mm以下、より好ましくは1.5mm以下である。このような第1傾斜溝21及び第2傾斜溝22は、ゴムストリップ15の耐久性を維持しつつ、ゴムストリップの巻き重ね部から空気を効果的に排出することができる。
【0030】
同様の観点から、第1傾斜溝21の深さd1及び第2傾斜溝22の深さd2は、それぞれ、ゴムストリップ15の厚さTの好ましくは0.10倍以上、より好ましくは0.20倍以上であり、好ましくは0.45倍以下、より好ましくは0.35倍以下である。
【0031】
図3に示されるように、第1傾斜溝21のピッチP1及び第2傾斜溝22のピッチP2は、それぞれ、好ましくは20mm以上、より好ましくは40mm以上であり、好ましくは100mm以下、より好ましくは80mm以下である。前記ピッチP1及びP2が20mmよりも小さい場合、ゴムストリップ15の耐久性が低下するおそれがある。前記ピッチP1及びP2が100mmよりも大きい場合、ゴムストリップの巻き重ね部に空気が残留するおそれがある。
【0032】
第1傾斜溝21のピッチP1と第2傾斜溝22のピッチP2とが同一の場合、巻き重ねられたゴムストリップ15のタイヤ半径方向外側の外面に設けられた傾斜溝に応力が集中し、ゴムストリップ15が切断し易くなるおそれがある。このため、例えば、第1外面16がタイヤ半径方向外側に配されてゴムストリップ15が巻き重ねられる場合、第1外面に設けられた第1傾斜溝21のピッチP1は、第2傾斜溝22のピッチP2よりも大きいのが望ましい。これにより、タイヤ半径方向外側に配された第1傾斜溝21を起点とするゴムストリップ15の切断を抑制することができる。
【0033】
次に、ゴムストリップ15の各外面に傾斜溝を設ける溝成形工程が説明される。なお、本実施形態の製造方法は、溝成型工程を除き、公知の態様が好適に採用される。図6には、溝成形工程に用いられる溝成形装置25の側面図が示されている。図6に示されるように、溝成形装置25は、例えば、第1溝付けローラ26及び第2溝付けローラ27を含んでいる。本実施形態において、第1溝付けローラ26と第2溝付けローラ27とは、ストリップ基体30が通ることのできる間隙28を介して互いに向き合う位置に設けられている。第1溝付けローラ26及び第2溝付けローラ27は、それぞれ、ゴムストリップ15の外面に傾斜溝を設けるためのリブ29a、29bが設けられている。第1溝付けローラ26のリブ29aと第2溝付けローラ27のリブ29bとは、向きの異なる傾斜溝21、22を形成するために、各ローラ26、27の軸方向に対して同じ向きに傾斜してのびている。
【0034】
押出し成形機32から押出されたストリップ基体30は、第1溝付けローラ26と第2溝付けローラ27との間を通り、各ローラ26、27のリブ29a、29bによって、各外面16、17に傾斜溝21、22が形成される。これにより、上述した傾斜溝を有するゴムストリップが得られる。
【0035】
以上、本発明の一実施形態の空気入りタイヤの製造方法が詳細に説明されたが、本発明は、上記の具体的な実施形態に限定されることなく、種々の態様に変更して実施される。
【実施例】
【0036】
図4の基本構造を有するゴムストリップが表1の仕様に基づき成形された。各ゴムストリップを用いて、それぞれ、サイズ215/45R17の空気入りタイヤが1000本試作された。比較例1として、外面に傾斜溝が設けられていないゴムストリップが用いられ、同様にタイヤが成形された。比較例2として、一方の外面にのみに傾斜溝が設けられたゴムストリップが用いられ、同様にタイヤが成形された。比較例3として、一方の外面から透視したときに同じ向きに傾斜する第1傾斜溝及び第2傾斜溝が設けられたゴムストリップが用いられ、同様にタイヤが成形された。これら各製造方法について、成形不良率が測定された。具体的なテスト方法は、以下の通りである。
【0037】
<成形不良率>
ゴムストリップの巻き重ね部の空気の残留、又は、ストリップ切れに起因する成形不良の発生率が測定された。結果は、比較例1を100とする指数であり、数値が小さい程、成形不良率が小さく、良好であることを示す。
テストの結果が表1に示される。
【0038】
【表1】
【0039】
テストの結果、実施例の製造方法は、比較例の製造方法よりも成形不良率が小さいことが確認できた。
【符号の説明】
【0040】
8 タイヤ用ゴム部材
15 ゴムストリップ
16 第1外面
17 第2外面
21 第1傾斜溝
22 第2傾斜溝
図1
図2
図3
図4
図5
図6