(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上下方向に延びるループ状の第1循環部材と、前記第1循環部材の外周面に取り付けられ正極を支持する複数の第1支持部とを有し、前記正極を搬送する第1搬送ユニットと、
上下方向に延びるループ状の第2循環部材と、前記第2循環部材の外周面に取り付けられ負極を支持する複数の第2支持部とを有し、前記負極を搬送する第2搬送ユニットと、
前記第1搬送ユニットと前記第2搬送ユニットとの間に配置され、前記正極と前記負極とが交互に積層される積層ユニットと、
前記第1支持部に前記正極を供給する第1供給路と、
前記第1支持部から前記正極を取り出して前記積層ユニットに導く第1取出路と、
前記第2支持部に前記負極を供給する第2供給路と、
前記第2支持部から前記負極を取り出して前記積層ユニットに導く第2取出路とを備え、
前記第1供給路及び前記第1取出路の高さ位置は異なっており、
前記第2供給路及び前記第2取出路の高さ位置は異なっていることを特徴とする電極積層装置。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、図面において、同一または同等の要素には同じ符号を付し、重複する説明を省略する。
【0014】
図1は、本発明の一実施形態に係る電極積層装置を適用して製造される蓄電装置の内部構成を示す断面図である。
図2は、
図1のII−II線断面図である。
図1及び
図2において、蓄電装置1は、積層型の電極組立体を有するリチウムイオン二次電池である。
【0015】
蓄電装置1は、例えば略直方体形状をなすケース2と、このケース2内に収容された電極組立体3とを備えている。ケース2は、例えばアルミニウム等の金属により形成されている。ケース2の内部には、図示はしないが、例えば非水系(有機溶媒系)の電解液が注液されている。ケース2上には、正極端子4及び負極端子5が互いに離間して配置されている。正極端子4は、絶縁リング6を介してケース2に固定され、負極端子5は、絶縁リング7を介してケース2に固定されている。また、図示はしないが、電極組立体3の側面及び底面は絶縁フィルムにより覆われており、絶縁フィルムによってケース2と電極組立体3との間が絶縁されている。
図1では便宜上、電極組立体3の下端とケース2の底面との間には僅かな隙間が設けられているが、実際には電極組立体3の下端が絶縁フィルムを介してケース2の内側の底面に接触している。なお、電極組立体3とケース2との間にスペーサを配置することで、電極組立体3とケース2との間に隙間を形成してもよい。
【0016】
電極組立体3は、複数の正極8と複数の負極9とが袋状のセパレータ10を介して交互に積層された構造を有している。正極8は、袋状のセパレータ10に包まれている。袋状のセパレータ10に包まれた状態の正極8は、セパレータ付き正極11として構成されている。従って、電極組立体3は、複数のセパレータ付き正極11と複数の負極9とが交互に積層された構造を有している。なお、電極組立体3の両端に位置する電極は、負極9である。
【0017】
正極8は、例えばアルミニウム箔からなる金属箔14と、この金属箔14の両面に形成された正極活物質層15とを有している。金属箔14は、平面視矩形状の箔本体部14aと、この箔本体部14aと一体化されたタブ14bとを有している。タブ14bは、箔本体部14aの長手方向の一端部近傍の縁から突出している。そして、タブ14bは、セパレータ10を突き抜けている。タブ14bは、導電部材12を介して正極端子4に接続されている。なお、
図2では、便宜上タブ14bを省略している。
【0018】
正極活物質層15は、箔本体部14aに形成されている。正極活物質層15は、正極活物質とバインダとを含んで形成された多孔質の層である。正極活物質としては、例えば複合酸化物、金属リチウムまたは硫黄等が挙げられる。複合酸化物には、例えばマンガン、ニッケル、コバルト及びアルミニウムの少なくとも1つとリチウムとが含まれる。
【0019】
負極9は、例えば銅箔からなる金属箔16と、この金属箔16の両面に形成された負極活物質層17とを有している。金属箔16は、平面視矩形状の箔本体部16aと、この箔本体部16aと一体化されたタブ16bとを有している。タブ16bは、箔本体部16aの長手方向の一端部近傍の縁から突出している。タブ16bは、導電部材13を介して負極端子5に接続されている。なお、
図2では、便宜上タブ16bを省略している。
【0020】
負極活物質層17は、箔本体部16aに形成されている。負極活物質層17は、負極活物質とバインダとを含んで形成された多孔質の層である。負極活物質としては、例えば黒鉛、高配向性グラファイト、メソカーボンマイクロビーズ、ハードカーボン、ソフトカーボン等のカーボン、リチウム、ナトリウム等のアルカリ金属、金属化合物、SiOx(0.5≦x≦1.5)等の金属酸化物またはホウ素添加炭素等が挙げられる。
【0021】
セパレータ10は、平面視矩形状を呈している。セパレータ10の形成材料としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン系樹脂からなる多孔質フィルム、或いはポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、メチルセルロース等からなる織布または不織布等が例示される。
【0022】
以上のように構成された蓄電装置1を製造する場合は、まずセパレータ付き正極11及び負極9を製作した後、セパレータ付き正極11と負極9とを交互に積層し、セパレータ付き正極11及び負極9を固定することで電極組立体3を得る。そして、正極8のタブ14bを導電部材12を介して正極端子4に接続すると共に、負極9のタブ16bを導電部材13を介して負極端子5に接続した後、電極組立体3をケース2内に収容する。
【0023】
図3は、本発明の一実施形態に係る電極積層装置を備えた製造設備を示す概略平面図である。本実施形態の電極積層装置20は、セパレータ付き正極11と負極9とを交互に積層する装置である。
【0024】
製造設備21では、製造ラインにおいて、セパレータ付き正極11と負極9とを積層ユニット28(後述)に積層する工程が実施される。製造設備21は、正極製造設備22と、セパレータ付き正極製造装置23と、負極製造設備24と、2組の電極積層装置20とを備えている。
【0025】
正極製造設備22は、周知の製造工程により正極8を製造するため、詳述はしないが、帯状の金属箔14の表面に活物質合剤を塗布することで正極活物質層15を形成し、その正極活物質層15をロールによりプレスした後、打ち抜き機を用いて、正極活物質層15が形成された金属箔14を所定の形状に打ち抜くことで、正極8を得る。打ち抜かれた正極8は、検査装置(検査工程)により不良品が除外された後、下流側の装置(設備)に供給される。本実施形態では、帯状の金属箔14は、正極8の二枚分の幅を有し、一度の打ち抜きにより2枚の正極8が製造される、いわゆる二条取りを行う。正極製造設備22により製造された正極8は、2つのベルトコンベア25によってセパレータ付き正極製造装置23に順次搬送される。
【0026】
セパレータ付き正極製造装置23は、特に詳述はしないが、帯状の1対のセパレータ10間に正極8を配置し、正極8の縁部に沿って1対のセパレータ10同士を溶着することで、1対のセパレータ10により正極8を包み込み、その後セパレータ10を所定の寸法に切断することにより、セパレータ付き正極11を製造する。
【0027】
負極製造設備24は、特に詳述はしないが、帯状の金属箔16の表面に形成された負極活物質層17をロールによりプレスした後、打ち抜き機を用いて、負極活物質層17が形成された金属箔16を所定の形状に打ち抜くことで、負極9を得る。打ち抜かれた負極9は、検査装置(検査工程)により不良品が除外された後、下流側の装置(設備)に供給される。本実施形態では、帯状の金属箔16は、負極9の二枚分の幅を有し、一度の打ち抜きにより2枚の負極9が製造される、いわゆる二条取りを行う。
【0028】
図4は、
図3に示された電極積層装置20の側面図である。
図3及び
図4において、電極積層装置20は、正極搬送ユニット26と、負極搬送ユニット27と、積層ユニット28と、正極供給用コンベア29と、正極取出用コンベア30と、負極供給用コンベア31と、負極取出用コンベア32とを備えている。正極搬送ユニット26、負極搬送ユニット27、正極供給用コンベア29、正極取出用コンベア30、負極供給用コンベア31及び負極取出用コンベア32は、積層ユニット28にセパレータ付き正極11及び負極9を搬送する電極搬送ライン33を構成している。電極搬送ライン33は、上記の製造ラインの一部である。セパレータ付き正極製造装置23と負極製造設備24との間には、2つの電極搬送ライン33が平行に並んで配置されている。
【0029】
正極搬送ユニット26は、セパレータ付き正極11を一時貯留しながら順次搬送する第1搬送ユニットである。正極搬送ユニット26は、上下方向に延びるループ状の循環部材34(第1循環部材)と、この循環部材34の外周面に取り付けられ、セパレータ付き正極11を支持する複数の支持部35(第1支持部)と、循環部材34を駆動する駆動部36(第1駆動部)とを有している。
【0030】
循環部材34は、例えば無端状のベルトで構成されている。循環部材34は、上下方向に離間して配置された2つのローラ34aに架け渡され、各ローラ34aの回転に伴って連れ回る。また、循環部材34は、2つのローラ34a及びその支持体(図示せず)と共に上下方向に移動可能である。
【0031】
支持部35は、
図5に示されるように、複数(ここでは3つ)のスリット35aを有する櫛形板状を呈している。なお、
図3では、支持部35を簡略化して示している。循環部材34が回転することで、各支持部35が循環移動する。このとき、一部の支持部35は、循環部材34の回転によって上下方向に移動する。
【0032】
駆動部36は、循環部材34を回転させると共に、循環部材34を上下方向に移動させる。具体的には、駆動部36は、特に図示はしないが、ローラ34aを回転させることで循環部材34を回転させる搬送用モータと、昇降機構(図示せず)を介して循環部材34を上下方向に移動させる昇降用モータとを有している。駆動部36は、制御部37によって制御される。制御部37は、通常動作時には、循環部材34を時計回りに所定速度で回転させるように駆動部36を制御する。従って、正極供給用コンベア29側の支持部35は上昇し、正極取出用コンベア30側の支持部35は下降する。
【0033】
負極搬送ユニット27は、負極9を一時貯留しながら順次搬送する第2搬送ユニットである。負極搬送ユニット27は、上下方向に延びるループ状の循環部材38(第2循環部材)と、この循環部材38の外周面に取り付けられ、負極9を支持する複数の支持部39(第2支持部)と、循環部材38を駆動する駆動部40(第2駆動部)とを有している。
【0034】
循環部材38は、循環部材34と同様に、例えば無端状のベルトで構成されている。循環部材38は、上下方向に離間して配置された2つのローラ38aに架け渡され、各ローラ38aの回転に伴って連れ回る。また、循環部材38は、2つのローラ38a及びその支持体と共に上下方向に移動可能である。
【0035】
支持部39の形状は、上記の支持部35と同様である。循環部材38が回転することで、各支持部39が循環移動する。このとき、一部の支持部39は、循環部材38の回転によって上下方向に移動する。
【0036】
駆動部40は、循環部材38を回転させると共に、循環部材38を上下方向に移動させる。具体的には、駆動部40は、特に図示はしないが、ローラ38aを回転させることで循環部材38を回転させる搬送用モータと、昇降機構(図示せず)を介して循環部材38を上下方向に移動させる昇降用モータとを有している。駆動部40は、制御部37によって制御される。制御部37は、通常動作時には、循環部材38を反時計回りに循環部材34と同じ速度で回転させるように駆動部40を制御する。従って、負極供給用コンベア31側の支持部39は上昇し、負極取出用コンベア32側の支持部39は下降する。
【0037】
積層ユニット28は、正極搬送ユニット26と負極搬送ユニット27との間に配置されている。積層ユニット28には、セパレータ付き正極11と負極9とが交互に積層される。積層ユニット28は、セパレータ付き正極11及び負極9を位置決めする壁部28aを有している。壁部28aは、下壁及び側壁からなっている。積層ユニット28の積層面28bは、セパレータ付き正極11及び負極9が積層された状態において、セパレータ付き正極11のタブ14b及び負極9のタブ16bが上側に位置するように、水平方向に対して所定の角度で傾斜している。
【0038】
正極供給用コンベア29は、セパレータ付き正極製造装置23と正極搬送ユニット26との間に配置されている。正極供給用コンベア29は、セパレータ付き正極製造装置23により製造されたセパレータ付き正極11を正極搬送ユニット26に向けて水平方向に搬送し、正極搬送ユニット26の支持部35にセパレータ付き正極11を供給する第1供給路を構成している。
【0039】
正極供給用コンベア29は、
図5に示されるように、互いに平行に配置された複数(ここでは3つ)のベルト29aで構成されている。正極供給用コンベア29は、循環部材34の回転によって一部の支持部35が上下方向に移動するときに、各ベルト29aの一端側の部分が支持部35の各スリット35aを通過するように配置されている。
【0040】
正極取出用コンベア30は、正極搬送ユニット26の支持部35からセパレータ付き正極11を取り出して積層ユニット28に導く第1取出路を構成している。正極取出用コンベア30は、セパレータ付き正極11を積層ユニット28に向けて水平方向に搬送する。正極取出用コンベア30の構造は、特に図示はしないが、正極供給用コンベア29と同様である。
【0041】
負極供給用コンベア31は、負極製造設備24と負極搬送ユニット27との間に配置されている。負極供給用コンベア31は、負極製造設備24により製造された負極9を負極搬送ユニット27に向けて水平方向に搬送し、負極搬送ユニット27の支持部39に負極9を供給する第2供給路を構成している。負極供給用コンベア31の構造は、特に図示はしないが、正極供給用コンベア29と同様である。
【0042】
負極取出用コンベア32は、負極搬送ユニット27の支持部39から負極9を取り出して積層ユニット28に導く第2取出路を構成している。負極取出用コンベア32は、負極9を積層ユニット28に向けて水平方向に搬送する。負極取出用コンベア32の構造は、特に図示はしないが、正極供給用コンベア29と同様である。
【0043】
正極取出用コンベア30の高さ位置は、正極供給用コンベア29の高さ位置よりも高い。つまり、正極供給用コンベア29及び正極取出用コンベア30の高さ位置は異なっている。負極取出用コンベア32の高さ位置は、負極供給用コンベア31の高さ位置よりも高い。つまり、負極供給用コンベア31及び負極取出用コンベア32の高さ位置は異なっている。また、正極供給用コンベア29及び負極供給用コンベア31の高さ位置は同じである。正極取出用コンベア30及び負極取出用コンベア32の高さ位置は同じである。
【0044】
積層ユニット28は、正極取出用コンベア30と負極取出用コンベア32との間における所定の積層位置に配置されている。2組の電極積層装置20の各積層ユニット28は、
図3に示されるように、電極搬送ライン33に平行な方向に対してオフセットして配置されている。
【0045】
また、電極積層装置20は、
図3に示されるように、昇降機構41と、搬入用コンベア42と、搬出用コンベア43と、昇降機構44とを備えている。これらの昇降機構41、搬入用コンベア42、搬出用コンベア43及び昇降機構44は、積層ユニット28を搬送する積層ユニット搬送ライン45を構成している。積層ユニット搬送ライン45は、電極搬送ライン33に対して垂直な方向に交差している。積層ユニット搬送ライン45は、各積層ユニット28の積層位置に対応する位置において平行に並んで配置されている。
【0046】
昇降機構41は、セパレータ付き正極11及び負極9が積層されていない空の状態の積層ユニット28を積層位置に対応する高さまで上昇させる。搬入用コンベア42は、空の状態の積層ユニット28を積層位置に搬入する。搬出用コンベア43は、積層ユニット28の積層位置を挟んで搬入用コンベア42と対向するように配置されている。搬出用コンベア43は、所定数のセパレータ付き正極11及び負極9が積層された状態(積層状態)の積層ユニット28を積層位置から搬出する。昇降機構44は、積層状態の積層ユニット28を下降させる。搬入用コンベア42及び搬出用コンベア43は、積層ユニット28を積層位置に対して搬入・搬出する積層ユニット搬送路を構成している。
【0047】
一方の電極搬送ライン33の正極供給用コンベア29と一方の積層ユニット搬送ライン45の搬入用コンベア42とは、立体交差となっている。正極供給用コンベア29は、搬入用コンベア42の下方に配置されている。他方の電極搬送ライン33の負極供給用コンベア31と他方の積層ユニット搬送ライン45の搬出用コンベア43とは、立体交差となっている。負極供給用コンベア31は、搬出用コンベア43の下方に配置されている。
【0048】
以上のような電極積層装置20においては、以下の動作によってセパレータ付き正極11及び負極9が積層される。即ち、セパレータ付き正極製造装置23により製造されたセパレータ付き正極11は、正極供給用コンベア29から正極搬送ユニット26の支持部35に移載される。そして、支持部35上に載置されたセパレータ付き正極11は、循環部材34の時計回りの回転によって一旦上昇してから下降するように循環移動する。このとき、セパレータ付き正極11の表裏が反転する。そして、セパレータ付き正極11が正極取出用コンベア30に達すると、支持部35から正極取出用コンベア30にセパレータ付き正極11が移載される。そして、セパレータ付き正極11は、正極取出用コンベア30から落下して積層ユニット28に積層される。
【0049】
一方、負極製造設備24により製造された負極9は、負極供給用コンベア31から負極搬送ユニット27の支持部39に移載される。そして、支持部39上に載置された負極9は、循環部材38の反時計回りの回転によって一旦上昇してから下降するように循環移動する。このとき、負極9の表裏が反転する。そして、負極9が負極取出用コンベア32に達すると、支持部39から負極取出用コンベア32に負極9が移載される。そして、負極9は、負極取出用コンベア32から落下して積層ユニット28に積層される。
【0050】
このような動作が順次行われることで、セパレータ付き正極11及び負極9が積層ユニット28に交互に積層される。その後、所定数のセパレータ付き正極11及び負極9が積層ユニット28に積層されると、搬出用コンベア43によって積層状態の積層ユニット28が積層位置から搬出され、更に昇降機構44によって積層状態の積層ユニット28が下降する。そして、積層状態の積層ユニット28は、ベルトコンベア46により所定の位置まで搬送される。
【0051】
ところで、正極製造設備22による正極8の製造工程、負極製造設備24による負極9の製造工程においては、例えば異物の混入等により稀に不良品が発生することがある。そのような不良品が検査工程で取り除かれると、電極積層装置20に供給されるセパレータ付き正極11及び負極9の欠品が生じる。
【0052】
そこで、制御部37は、セパレータ付き正極11及び負極9の欠品情報に基づいて、正極搬送ユニット26において循環部材34の回転速度を変更すると共に循環部材34を昇降させるように駆動部36を制御したり、負極搬送ユニット27において循環部材38の回転速度を変更すると共に循環部材38を昇降させるように駆動部40を制御する。なお、セパレータ付き正極11及び負極9の欠品は、例えば正極供給用コンベア29及び負極供給用コンベア31に配置されたセンサにより検出される。
【0053】
例えば、正極供給用コンベア29により搬送されるセパレータ付き正極11に欠品が生じた場合、通常動作よるセパレータ付き正極11の積層を続けると、
図6(a)に示されるように、正極搬送ユニット26においてセパレータ付き正極11が載置されない支持部35が存在することになる。この場合には、積層ユニット28においてセパレータ付き正極11の積層抜けが発生してしまう。
【0054】
このようにセパレータ付き正極11に欠品が生じた場合には、制御部37は、
図6(b)に示されるように、正極搬送ユニット26において、循環部材34の回転速度を通常動作時の半分に落とすと共に、循環部材34の回転速度と同じ速度で循環部材34を下降させるように、駆動部36を制御する。すると、正極供給用コンベア29側の支持部35は、上昇せずに停止したままとなる。従って、セパレータ付き正極11の欠品のために空となっている支持部35は、次のセパレータ付き正極11が供給されるまで待機する状態となる。一方、正極取出用コンベア30側の支持部35は、通常動作時と同じ移動速度で下降するため、積層ユニット28にはセパレータ付き正極11が積層される。従って、正極搬送ユニット26に貯められるセパレータ付き正極11が通常動作時よりも少なくなる。
【0055】
なお、負極供給用コンベア31により搬送される負極9に欠品が生じた場合には、負極搬送ユニット27は、上記と同様の動作を行う。
【0056】
また、仮に、負極供給用コンベア31に貯留されている負極9が所定枚数より少ない状態で、負極供給用コンベア31により搬送される負極9に欠品が生じたために、積層ユニット28に負極9が積層されない状況となった場合には、制御部37は、
図7に示されるように、循環部材34の回転速度を通常動作時の半分に落とすと共に、循環部材34の回転速度と同じ速度で循環部材34を上昇させるように、駆動部36を制御する。すると、正極取出用コンベア30側の支持部35は、下降せずに停止したままとなる。従って、セパレータ付き正極11が正極取出用コンベア30に移載されなくなるため、セパレータ付き正極11が積層ユニット28に積層されることはない。一方、正極供給用コンベア29側の支持部35は、通常動作時と同じ移動速度で上昇するため、正極供給用コンベア29により搬送されるセパレータ付き正極11は支持部35に順次載置される。従って、正極搬送ユニット26に貯められるセパレータ付き正極11が通常動作時よりも多くなる。
【0057】
なお、正極供給用コンベア29に貯留されているセパレータ付き正極11が所定枚数より少ない状態で、正極供給用コンベア29により搬送されるセパレータ付き正極11に欠品が生じたために、積層ユニット28にセパレータ付き正極11が積層されない状況となった場合には、負極搬送ユニット27は、上記と同様の動作を行う。
【0058】
以上のように本実施形態にあっては、正極搬送ユニット26の支持部35にセパレータ付き正極11を供給する正極供給用コンベア29の高さ位置と、正極搬送ユニット26の支持部35からセパレータ付き正極11を取り出して積層ユニット28に導く正極取出用コンベア30の高さ位置とは異なっている。負極搬送ユニット27の支持部39に負極9を供給する負極供給用コンベア31の高さ位置と、負極搬送ユニット27の支持部39から負極9を取り出して積層ユニット28に導く負極取出用コンベア32の高さ位置とは異なっている。一方で、正極搬送ユニット26の循環部材34及び負極搬送ユニット27の循環部材38は、上下方向に延びている。このため、正極搬送ユニット26及び負極搬送ユニット27の寸法を水平方向に大きくしなくて済む。これにより、省スペース化を図りつつ、電極積層装置20におけるセパレータ付き正極11及び負極9の搬送路の高さ位置を変更することができる。
【0059】
また、正極供給用コンベア29及び正極取出用コンベア30の高さ位置が異なっており、負極供給用コンベア31及び負極取出用コンベア32の高さ位置が異なっているので、正極搬送ユニット26、負極搬送ユニット27、正極供給用コンベア29、正極取出用コンベア30、負極供給用コンベア31、負極取出用コンベア32、搬入用コンベア42及び搬出用コンベア43が2つずつあっても、正極供給用コンベア29と搬入用コンベア42との立体交差、及び負極供給用コンベア31と搬出用コンベア43との立体交差のレイアウトが容易になる。これにより、設備費の低コスト化を図ることができる。
【0060】
さらに、正極供給用コンベア29及び負極供給用コンベア31の高さ位置は同じであるので、セパレータ付き正極11及び負極9をそれぞれ正極搬送ユニット26及び負極搬送ユニット27まで同じ高さ位置で搬送することができる。また、正極取出用コンベア30及び負極取出用コンベア32の高さ位置は同じであるので、セパレータ付き正極11及び負極9を同じ高さ位置から落下させて積層ユニット28に積層することができる。
【0061】
また、循環部材34,38の回転動作に加え、循環部材34または循環部材38を上下方向に移動させることにより、正極搬送ユニット26により貯えられるセパレータ付き正極11の数を調整したり、負極搬送ユニット27により貯えられる負極9の数を調整することが可能となる。これにより、正極搬送ユニット26に供給されるセパレータ付き正極11の欠品または負極搬送ユニット27に供給される負極9の欠品が生じた場合でも、電極積層工程よりも上流側の工程を停止させなくて済む。
【0062】
なお、本発明は、上記実施形態には限定されない。例えば上記実施形態では、正極取出用コンベア30の高さ位置が正極供給用コンベア29の高さ位置よりも高くなっており、負極取出用コンベア32の高さ位置が負極供給用コンベア31の高さ位置よりも高くなっているが、特にその形態には限られない。つまり、
図8に示されるように、正極供給用コンベア29の高さ位置が正極取出用コンベア30の高さ位置よりも高くなっており、負極供給用コンベア31の高さ位置が負極取出用コンベア32よりも高くなっていてもよい。この場合には、一方の搬入用コンベア42は、一方の正極供給用コンベア29の下方に配置され、一方の搬出用コンベア43は、一方の負極供給用コンベア31の下方に配置される。このとき、昇降機構41,44は不要である。
【0063】
また、上記実施形態では、正極供給用コンベア29及び負極供給用コンベア31の高さ位置は同じであるが、正極供給用コンベア29及び負極供給用コンベア31の高さ位置は異なっていてもよい。
【0064】
また、上記実施形態では、正極搬送ユニット26は1つの循環部材34を有し、負極搬送ユニット27は1つの循環部材38を有しているが、特にその形態には限られず、正極搬送ユニット26は複数の循環部材を有し、負極搬送ユニット27は複数の循環部材を有していてもよい。
【0065】
例えば
図9に示されるように、正極搬送ユニット26は、高さ位置が異なるように配置された2つの循環部材51,52と、循環部材51の外周面に取り付けられた複数の支持部53にセパレータ付き正極11を供給する正極供給用コンベア29と、循環部材52の外周面に取り付けられた複数の支持部54からセパレータ付き正極11を取り出す正極取出用コンベア30と、循環部材51,52間に配置され、支持部53から支持部54にセパレータ付き正極11を移動させる中間コンベア55とを有している。中間コンベア55の高さ位置は、正極供給用コンベア29の高さ位置と正極取出用コンベア30の高さ位置との間である。このような構成とすることにより、正極搬送ユニット26に貯められるセパレータ付き正極11の数を増やすことができる。
【0066】
また、上記実施形態では、駆動部36,40は、搬送用モータ及び昇降用モータを別個に有しているが、共用としてモータを一つとしてもよい。この場合、モータの駆動力を伝える伝達機構の切替えにより、各動作状態を変更する。
【0067】
さらに、上記実施形態では、電極積層装置20を含む電極搬送ライン33が2つ設置されているが、電極積層装置20を含む電極搬送ライン33の数としては、3つ以上あってもよい。この場合、積層ユニット搬送ライン45の数は、電極搬送ライン33の数と同じである。
【0068】
また、上記実施形態の電極積層装置20は、セパレータ付き正極11及び負極9を左右両側から搬送して積層ユニット28に積層するタイプであるが、本発明は、他のタイプの電極積層装置にも適用可能である。例えば、本発明は、電極を水平方向に搬送する搬送部と、この搬送部の下方に配置され、電極が積層される積層ユニットと、搬送部と積層ユニットとの間に配置され、搬送部により搬送された電極を積層ユニットに向けて滑走させることで積層ユニットに落下させる滑走部とを備えた電極積層装置にも適用可能である。この場合には、搬送部は、高さ位置が異なる2つのベルトコンベアからなり、これら2つのベルトコンベアの間に、循環部材及び複数の支持部を有する搬送ユニットが配置される。
【0069】
また、上記実施形態では、正極8が袋状のセパレータ10に包まれた状態であるセパレータ付き正極11と負極9とが交互に積層ユニット28に積層されるが、特にその形態には限られず、正極と負極が袋状のセパレータに包まれた状態であるセパレータ付き負極とが交互に積層ユニット28に積層されてもよい。
【0070】
さらに、上記実施形態では、蓄電装置1がリチウムイオン二次電池であるが、本発明は、特にリチウムイオン二次電池には限られず、例えばニッケル水素電池等の他の二次電池、電気二重層キャパシタまたはリチウムイオンキャパシタ等の蓄電装置における電極の積層にも適用可能である。