特許第6575422号(P6575422)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6575422
(24)【登録日】2019年8月30日
(45)【発行日】2019年9月18日
(54)【発明の名称】ジャケット式構造物
(51)【国際特許分類】
   E02D 27/12 20060101AFI20190909BHJP
   E02D 27/52 20060101ALI20190909BHJP
【FI】
   E02D27/12 Z
   E02D27/52 A
【請求項の数】1
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-79081(P2016-79081)
(22)【出願日】2016年4月11日
(65)【公開番号】特開2017-190571(P2017-190571A)
(43)【公開日】2017年10月19日
【審査請求日】2018年8月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004123
【氏名又は名称】JFEエンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002963
【氏名又は名称】特許業務法人MTS国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100080458
【弁理士】
【氏名又は名称】高矢 諭
(74)【代理人】
【識別番号】100076129
【弁理士】
【氏名又は名称】松山 圭佑
(74)【代理人】
【識別番号】100089015
【弁理士】
【氏名又は名称】牧野 剛博
(74)【代理人】
【識別番号】100144299
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 崇
(74)【代理人】
【識別番号】100150223
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 修三
(72)【発明者】
【氏名】内田 賢一
【審査官】 佐々木 創太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−237976(JP,A)
【文献】 特開平08−010943(JP,A)
【文献】 特開平06−136880(JP,A)
【文献】 実開昭52−107404(JP,U)
【文献】 国際公開第2012/118186(WO,A1)
【文献】 特開2007−285019(JP,A)
【文献】 特開2004−162455(JP,A)
【文献】 特開2003−020657(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/045872(WO,A1)
【文献】 特開2001−159142(JP,A)
【文献】 特開2004−285737(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2016/0032550(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 27/12
E02D 27/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鋼管杭と、内周面が前記鋼管杭の外周面との間に間隔を開けて配置されて、前記鋼管杭
の外周面の少なくとも一部の領域を覆うように配置された鋼製外管と、を有するジャケット式構造物であって、
前記鋼製外管に覆われた前記鋼管杭の外周面の少なくとも一部の領域には突起が設けられており、
前記鋼製外管は、内周面に突起の設けられていない1つの無突起鋼管と内周面に突起の設けられている1つの突起付き鋼管とを有してなり、
前記突起付き鋼管は前記無突起鋼管より前記鋼製外管の軸方向下側に設けられており、
前記無突起鋼管の厚さは、前記突起付き鋼管の突起が設けられた鋼管の厚さよりも厚く、且つ前記無突起鋼管の外周面には鋼桁との連結を補強する補強部材が溶接されると共に、前記無突起鋼管と前記突起付き鋼管との境界では溶接がなされて一体化されており、
前記突起付き鋼管の突起は、圧延により設けられた突起であり、
前記鋼管杭の外周面と前記鋼製外管の内周面との間の間隔には、グラウトが充填されて一体化されていることを特徴とするジャケット式構造物
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はジャケット式構造物に関し、詳細には鋼管杭と鋼製外管との接合構造を有するジャケット式構造物に関する。ここで、鋼管杭は鋼管製の杭であればよく、その先端が岩盤などの十分な支持力のある支持層に達している支持杭だけでなく、その先端が岩盤などの十分な支持力のある支持層に達していない摩擦杭も含むものとする。また、鋼製外管とは、内周面が鋼管杭の外周面との間に間隔を開けて配置されて、鋼管杭の外周面の少なくとも一部の領域を覆うように配置される鋼管のことである。
【背景技術】
【0002】
鋼管杭と鋼製外管との接合構造を用いた構造物としては、ジャケットを鋼管杭で支持したジャケット式構造物がある。
【0003】
例えば、ジャケット式構造物100は、図5に示すように、ジャケット102と、鋼管杭112と、コンクリート床版114とからなり、ジャケット102のレグ108が鋼管杭112に差し込まれ、ジャケット102の上方にコンクリート床版114が設けられた構造である。ジャケット102は、縦横に配置された鋼桁104からなる格子状のデッキ106の格点下方に所定長さの鋼管製のレグ108が突出し、レグ108の間にはブレース材110が設けられて補強がなされた構造である。レグ108の間にブレース材110が設けられているため、レグ108同士の間の間隔を大きくすることが可能になっており、ジャケット102では、レグ108同士の間の間隔は大きく設定されている。レグ108は鋼管杭112に差し込まれていて、レグ108の内周面と鋼管杭112の外周面との間には、図示せぬグラウト材が注入されていて、レグ108と鋼管杭112とはグラウト材を介して連結されている。
【0004】
また、例えば、ジャケット式構造物120は、図6に示すように、ジャケット122と、鋼管杭132と、コンクリート床版134とからなり、ジャケット122のレグ128が鋼管杭132に差し込まれ、ジャケット122の上方にコンクリート床版134が設けられた構造である。ジャケット122は、縦横に配置された鋼桁124からなる格子状のデッキ126の格点下方に所定長さの鋼管製のレグ128が突出した構造であるが、ブレース材は設けられておらず、ジャケット122では、レグ128同士の間の間隔は小さく設定されている。レグ128は鋼管杭132に差し込まれていて、レグ128の内周面と鋼管杭132の外周面との間には、図示せぬグラウト材が注入されていて、レグ128と鋼管杭132とはグラウト材を介して連結されている。
【0005】
以上説明したように、ジャケット式構造物100においては、レグ108の内周面と鋼管杭112の外周面との間には、図示せぬグラウト材が注入されていて、レグ108と鋼管杭112とはグラウト材を介して連結されており、ジャケット式構造物120においては、レグ128の内周面と鋼管杭132の外周面との間には、図示せぬグラウト材が注入されていて、レグ128と鋼管杭132とはグラウト材を介して連結されている。
【0006】
したがって、ジャケット式構造物100、120は、鋼管杭(鋼管杭112、132)と鋼製外管(レグ108、128)との接合構造を用いた構造物である。
【0007】
鋼管杭と鋼製外管との接合構造についての技術として、特許文献1には、鋼管杭と前記鋼管杭の外側に間隔をおいて配置された鋼製外管との接合構造であって、複数の外向き突起を有し、第1の溶接部によって前記鋼管杭の外周面に固定された外向き突起付き鋼板と;複数の内向き突起を有し、第2の溶接部によって前記鋼製外管の内周面に固定された内向き突起付き鋼板と;少なくとも前記外向き突起付き鋼板と前記内向き突起付き鋼板とを埋め込むように前記間隔に充填されたグラウトと;を備え、前記複数の外向き突起は、互いに上下方向に間隔をおいて配置され、前記鋼管杭の周方向に渡って延びており;前記複数の内向き突起は、互いに上下方向に間隔をおいて配置され、前記鋼製外管の周方向に渡って延びている、ことを特徴とする接合構造が記載されている。
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載の接合構造では、突起付き鋼板を、鋼管杭の外周面および鋼製外管の内周面に溶接により取り付けている。このため、特許文献1に記載の接合構造においては、突起付き鋼板を必要な長さにカットした後に、鋼管の曲率に合わせてベンドする必要があり、手間がかかる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】WO2012/118186号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであって、施工性の良好な鋼管杭と鋼製外管との接合構造を有するジャケット式構造物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、以下のジャケット式構造物により、前記課題を解決したものである。
【0012】
即ち、本発明に係るジャケット式構造物は、鋼管杭と、内周面が前記鋼管杭の外周面との間に間隔を開けて配置されて、前記鋼管杭の外周面の少なくとも一部の領域を覆うように配置された鋼製外管と、を有するジャケット式構造物であって、前記鋼製外管に覆われた前記鋼管杭の外周面の少なくとも一部の領域には突起が設けられており、前記鋼製外管は、内周面に突起の設けられていない1つの無突起鋼管と内周面に突起の設けられている1つの突起付き鋼管とを有してなり、前記突起付き鋼管は前記無突起鋼管より前記鋼製外管の軸方向下側に設けられており、前記無突起鋼管の厚さは、前記突起付き鋼管の突起が設けられた鋼管の厚さよりも厚く、且つ前記無突起鋼管の外周面には鋼桁との連結を補強する補強部材が溶接されると共に、前記無突起鋼管と前記突起付き鋼管との境界では溶接がなされて一体化されており、前記突起付き鋼管の突起は、圧延により設けられた突起であり、前記鋼管杭の外周面と前記鋼製外管の内周面との間の間隔には、グラウトが充填されて一体化されていることを特徴とするジャケット式構造物である。
【0014】
なお、突起付き鋼管の突起が、圧延により設けられた突起であるかどうかについては、突起付き鋼管の突起を含む領域の金属組織を微視的に観察することで判断できる可能性はあると考えられる。しかしながら、突起付き鋼管の原材料である鋼板(突起を付ける前の鋼板)においても複数回の圧延が通常なされているので、突起を含む領域の金属組織について微視的な観察を行っても、当該金属組織は、突起を付けるための圧延のみの影響を受けた金属組織とは言えないと考えられる。このため、突起付き鋼管の突起を含む領域の金属組織を微視的に観察しても、当該突起が圧延により設けられた突起であるかどうかについて断定することには困難性を伴う。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、鋼管杭と鋼製外管との接合構造を有するジャケット式構造物において、その接合構造の施工性を良好にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の第1実施形態に係る接合構造10を示す鉛直断面図
図2】本発明の第1実施形態に係る接合構造10を上方から見た平面図
図3】本発明の第2実施形態に係る接合構造30を示す鉛直断面図
図4】本発明の第3実施形態に係る接合構造40を示す鉛直断面図
図5】ジャケット式構造物の一例を示す側面図
図6】ジャケット式構造物の他の一例を示す側面図
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係るジャケット式構造物の接合構造を詳細に説明する。以下に説明する実施形態は、ジャケット式構造物における、鋼管杭と鋼製外管との接合構造である。ただし、本発明に係るジャケット式構造物の接合構造の適用対象はジャケット式構造物に限定されず、鋼管杭と鋼製外管との接合構造を有している構造物であれば適用可能である。
【0021】
(1)第1実施形態
図1は本発明の第1実施形態に係る接合構造10を示す鉛直断面図である。ただし、図示の都合上、鋼管杭12については鉛直断面ではなく側面を描いている。図2は本発明の第1実施形態に係る接合構造10を上方から見た平面図である。
【0022】
本発明の第1実施形態に係る接合構造10は、鋼管杭12と鋼製外管14との接合構造である。鋼桁80はジャケット式構造物の構成部材であり、縦横に配置された鋼桁80からなる格子状のデッキの格点下方に鋼製外管14がレグとして突出している。鋼製外管14の外周面が鋼桁80および補強リングプレート82と接する部位は溶接されていて、鋼製外管14は鋼桁80および補強リングプレート82と連結されている。
【0023】
鋼管杭12は、鉛直方向に地盤に打ち込まれていて、その先端が岩盤などの十分な支持力のある支持層に達している支持杭であり、ジャケット式構造物の全体の位置を保持する役割を有する。構築するジャケット式構造物の重量等の条件に応じて安全性が確認できた場合は、鋼管杭12を、先端が岩盤などの十分な支持力のある支持層に達していない摩擦杭としてもよい。
【0024】
鋼管杭12の上端部には、その外周面を覆うように鋼製外管14が配置されている。鋼管杭12の上端部の外周面と鋼製外管14の内周面との間は、間隔を開けて配置されている。鋼管杭12の上端部の外周面には、突起12Aが設けられている。この突起12Aは圧延によって設けられた突起であり、突起12Aの材質は鋼管杭12の他の部位(突起12A以外の部位)と同じ材質である。ただし、突起12Aを、溶接によって設けられた突起としてもよく、この場合には、突起12Aの材質は、鋼管杭12の他の部位(突起12A以外の部位)と異なる材質となる。溶接によって突起を設ける場合、溶融凝固した溶接金属で形成された溶接ビードからなる突起としてもよく、あるいは、断面形状が角形の鋼材や丸型の鋼材をすみ肉溶接によって取り付けてなる突起としてもよい。ただし、突起12Aは圧延によって設けられた突起とした方が、突起12Aの設置のための溶接が不要となるので好ましい。
【0025】
鋼管杭12の上端部の外周面と鋼製外管14の内周面との間の間隔にはグラウト24が充填されていて、鋼管杭12の上端部と鋼製外管14とは一体化されている。鋼管杭12の上端部の外周面に設けられている突起12Aは、グラウト24を介してのせん断力の伝達に際してシアキーとして働き、鋼管杭12の上端部の外周面と鋼製外管14の内周面との間におけるせん断力の伝達を良好にする働きがある。
【0026】
鋼製外管14は、縦横に配置された鋼桁80からなる格子状のデッキの格点下方に、ジャケットのレグ(図5および図6参照)として突出している円管状の部材である。
【0027】
鋼製外管14は、上側鋼管16と、下側鋼管18と、突起付き鋼管20とを有してなる。上側鋼管16および下側鋼管18は、内周面に突起が設けられていない無突起鋼管であり、一方、突起付き鋼管20は、内周面の全領域にわたって突起20Aが設けられている。
【0028】
突起付き鋼管20の上側に上側鋼管16が配置されており、突起付き鋼管20の下側に下側鋼管18が配置されている。突起付き鋼管20の上端部が上側鋼管16の下端部に溶接されて連結されており、突起付き鋼管20の下端部が下側鋼管18の上端部に溶接されて連結されていて、鋼製外管14は、突起付き鋼管20が上側鋼管16および下側鋼管18によって上下に挟まれた構造となっている。
【0029】
鋼製外管14において、溶接が用いられている領域は、上側鋼管16と突起付き鋼管20との境界領域、および下側鋼管18と突起付き鋼管20との境界領域のみである(ただし、上側鋼管16自体の製造の際に用いた溶接、下側鋼管18自体の製造の際に用いた溶接、突起付き鋼管20自体の製造の際に用いた溶接、ならびに鋼桁80および補強リングプレート82との連結のための溶接は除く。)。したがって、鋼製外管14において、溶接が用いられている領域は少ない。
【0030】
以上のように、鋼製外管14は、内周面に突起が設けられていない上側鋼管16および下側鋼管18と内周面に突起が設けられている突起付き鋼管20とを備え、無突起鋼管(上側鋼管16および下側鋼管18)と突起付き鋼管(突起付き鋼管20)とは、鋼製外管14の軸方向(鉛直方向)に位置が異なっていて、無突起鋼管と突起付き鋼管との境界(上側鋼管16と突起付き鋼管20との境界、および下側鋼管18と突起付き鋼管20との境界)では溶接がなされて一体化されている。
【0031】
鋼製外管14の内周面と鋼管杭12の上端部の外周面との間の間隔にはグラウト24が充填されていて、鋼製外管14と鋼管杭12の上端部とは一体化されている。鋼製外管14の突起付き鋼管20の内周面に設けられている突起20Aは、グラウト24を介してのせん断力の伝達に際してシアキーとして働き、鋼製外管14の内周面と鋼管杭12の上端部の外周面との間におけるせん断力の伝達を良好にする働きがある。
【0032】
なお、鋼製外管14の突起付き鋼管20の内周面に設けられた突起20Aの材質は、突起付き鋼管20の他の部位の材質と同一である。この突起20Aは、圧延によって設けられた突起であり、このため、突起20Aの材質は突起付き鋼管20の他の部位(突起20A以外の部位)と同じ材質である。
【0033】
また、本実施形態で用いる突起付き鋼管20の内周面に設けられた突起20Aは圧延によって設けられた突起であるので、突起20Aの設置のための溶接は不要である。このため、突起付き鋼管20の製作において製作期間が短縮され、また、工数が削減されるので、突起付き鋼管20の製作費を縮減することができる。
【0034】
また、小径(φ800mm程度)の鋼管の内周面に溶接により突起を設けることは、作業空間が狭いため困難であるが、本実施形態で用いる突起付き鋼管20の内周面に設けられた突起20Aは圧延によって設けられた突起であり、突起20Aの設置のための溶接は不要であるので、突起付き鋼管20は径を小径(φ800mm程度)とすることも可能である。また、突起20Aの設置のための溶接が不要であるので、本実施形態で用いる突起付き鋼管20は、溶接熱による残留応力によって疲労特性が悪くなる懸念が少ない。
【0035】
また、圧延によって設けられた突起の高さは2.5〜4.0mm程度であるので、溶接により設けられた突起の高さ(6〜9mm程度)よりも低い。このため、本第1実施形態に係る接合構造10は、鋼製外管14の内周面と鋼管杭12の上端部の外周面との間のクリアランスが溶接により突起を設けた場合と比べて大きいので、現地における据え付けが行いやすくなっている。
【0036】
なお、符号22はストッパである。ストッパ22は鋼製であり、上側鋼管16の内周面に溶接により取り付けられている。ストッパ22の下面は鋼管杭12の上端面に当接しており、鋼管杭12の上端部と鋼製外管14との一体化を補助する役割を有する。
【0037】
また、符号26はグラウトシールである。グラウトシール26は、鋼管杭12と鋼製外管14との間の間隔に充填されたグラウト24が硬化するまで、グラウト24を保持する役割を有する。
【0038】
また、符号82は補強リングプレートである。補強リングプレート82は、鋼桁80と鋼製外管14との連結部位を補強する役割を有する。
【0039】
以上説明したように、本発明の第1実施形態に係る接合構造10は、上端部の外周面に突起12Aが付けられた鋼管杭12と、鋼製外管14との間の間隔に、グラウト24を充填してなる構造であり、また、鋼製外管14は内周面に突起20Aを有する突起付き鋼管20が上側鋼管16および下側鋼管18に上下に挟まれてなる構造であるので、本第1実施形態に係る接合構造10では、特許文献1に記載の接合構造のように、突起付き鋼板をカットおよびベンドすることが不要であり、施工性に優れる。
【0040】
また、本発明の第1実施形態に係る接合構造10においては、鋼管杭12と鋼製外管14との間の必要な接合耐力に応じて、突起付き鋼管20の軸方向の長さを調整して、必要最小限の量だけ突起付き鋼管20を使用するようにすることができるので、材料コストを少なくすることができる。
【0041】
(2)第2実施形態
図3は本発明の第2実施形態に係る接合構造30を示す鉛直断面図である。ただし、図示の都合上、鋼管杭12については鉛直断面ではなく側面を描いている。なお、第1実施形態に係る接合構造10と同様の構成については同一の符号を付し、説明は省略する。
【0042】
本第2実施形態に係る接合構造30は、第1実施形態に係る接合構造10において、下側鋼管18の下にさらに突起付き鋼管34を配置した構造であり、突起付き鋼管34の上端部が下側鋼管18の下端部に溶接されて連結されており、第1実施形態に係る接合構造10よりもさらに接合耐力を向上させた実施形態である。本第2実施形態に係る接合構造30で用いる鋼製外管32は、図3に示すように、上から順に、上側鋼管16、突起付き鋼管20、下側鋼管18、突起付き鋼管34が配置されて構成されている。
【0043】
突起付き鋼管34の内周面に設けられた突起34Aは、突起付き鋼管20の内周面に設けられた突起20Aと同様であるので、説明は省略する。
【0044】
(3)第3実施形態
図4は本発明の第3実施形態に係る接合構造40を示す鉛直断面図である。ただし、図示の都合上、鋼管杭12については鉛直断面ではなく側面を描いている。なお、第1実施形態に係る接合構造10と同様の構成については同一の符号を付し、説明は省略する。
【0045】
本第3実施形態に係る接合構造40において用いる鋼製外管42は、レグ鋼管44とその下方に設けられた突起付き鋼管46とからなる。突起付き鋼管46の上端部がレグ鋼管44の下端部に溶接されて連結されている。レグ鋼管44は、内周面に突起が設けられていない無突起鋼管である。
【0046】
鋼製外管42において、溶接が用いられている領域は、レグ鋼管44と突起付き鋼管46との境界領域のみである(ただし、レグ鋼管44自体の製造の際に用いた溶接、突起付き鋼管46自体の製造の際に用いた溶接、ならびに鋼桁80および補強リングプレート82との連結のための溶接は除く。)。したがって、本第3実施形態に係る接合構造40で用いる鋼製外管42において、溶接が用いられている領域は、第1実施形態に係る接合構造10で用いる鋼製外管14よりも少ない。
【0047】
本第3実施形態に係る接合構造40においては、必要な接合耐力の確保は、突起付き鋼管46の長さを調整することによりなすことができる。
【0048】
突起付き鋼管46の内周面に設けられた突起46Aは、突起付き鋼管20の内周面に設けられた突起20Aと同様であるので、説明は省略する。
【符号の説明】
【0049】
10、30、40…接合構造
12…鋼管杭
12A、20A、34A、46A…突起
14、32、42…鋼製外管
16…上側鋼管(無突起鋼管)
18…下側鋼管(無突起鋼管)
20、34、46…突起付き鋼管
22…ストッパ
24…グラウト
26…グラウトシール
44…レグ鋼管(無突起鋼管)
80…鋼桁
82…補強リングプレート
100、120…ジャケット式構造物
102、122…ジャケット
104、124…鋼桁
106、126…デッキ
108、128…レグ
110…ブレース材
112、132…鋼管杭
114、134…コンクリート床版
図1
図2
図3
図4
図5
図6