特許第6575475号(P6575475)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6575475
(24)【登録日】2019年8月30日
(45)【発行日】2019年9月18日
(54)【発明の名称】画像読取装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/387 20060101AFI20190909BHJP
   H04N 1/04 20060101ALI20190909BHJP
   G06K 7/10 20060101ALI20190909BHJP
   G06K 7/14 20060101ALI20190909BHJP
【FI】
   H04N1/387
   H04N1/04 106A
   G06K7/10 372
   G06K7/14 017
   G06K7/14 043
   G06K7/14 047
   G06K7/14 056
【請求項の数】7
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-190390(P2016-190390)
(22)【出願日】2016年9月28日
(65)【公開番号】特開2018-56781(P2018-56781A)
(43)【公開日】2018年4月5日
【審査請求日】2018年7月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129997
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 米藏
(72)【発明者】
【氏名】松井 信哉
【審査官】 豊田 好一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−206577(JP,A)
【文献】 特開2006−254224(JP,A)
【文献】 特開2014−116915(JP,A)
【文献】 特開平07−093451(JP,A)
【文献】 特開2015−046703(JP,A)
【文献】 特開2005−223380(JP,A)
【文献】 特開2013−229895(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/387
G06K 7/10
G06K 7/14
H04N 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザーからの操作入力を受け付ける操作受付部と、
原稿を載置するためのプラテンガラスと、
前記プラテンガラスに載置された画像表示装置の表示画面を読み取る画像読取部と、
前記画像読取部による読取で得られた全体画像の各所における入力光量の差異から、当該全体画像における前記表示画面を示す画像領域を特定する領域特定部と、
前記領域特定部により特定された前記表示画面の画像領域内に予め定められたデータコードがあるか否かを判別し、当該データコードがある場合には、当該データコードを解析して、当該データコードに対応付けられている印刷対象画像を検出する解析部と、
前記全体画像における、前記領域特定部により特定された前記表示画面の画像領域に、前記解析部が検出した前記印刷対象画像を合成した画像を作成する画像作成処理を行う画像作成部と、を備えた画像読取装置。
【請求項2】
前記全体画像に対する前記データコードの傾きを検出する傾き検出部を備え、
前記画像作成部が、前記画像作成処理において、前記領域特定部により特定された前記表示画面の画像領域に、前記傾き検出部により検出された傾きに合わせて、前記印刷対象画像を合成した画像を作成する請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記画像読取部による読取で得られた前記データコードの明度と、前記印刷対象画像に設定されている基準明度との明度差を算出する明度差算出部を更に備え、
前記画像作成部は、前記画像作成処理において、前記領域特定部により特定された前記表示画面の画像領域に、前記明度差算出部により算出された明度差を加算して、前記印刷対象画像を合成した画像を作成する請求項1又は請求項2に記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記操作受付部が、前記明度差を加算する指示を受け付けたとき、前記画像作成部は、前記明度差を加算して前記印刷対象画像を合成した画像を作成し、前記操作受付部が、前記明度差を加算しない指示を受け付けたときは、前記画像作成部は、前記明度差を加算せずに元の前記印刷対象画像を合成した画像を作成する請求項3に記載の画像読取装置。
【請求項5】
前記画像作成部は、前記画像作成処理として、前記全体画像に代えて、前記印刷対象画像のみからなる画像を作成し、
前記操作受付部が、前記印刷対象画像のみからなる画像を作成する指示を受け付けたとき、前記画像作成部は、前記印刷対象画像のみからなる画像を作成し、前記操作受付部が、前記全体画像に前記印刷対象画像を合成する指示を受け付けたときは、前記画像作成部は、前記全体画像に前記印刷対象画像を合成した画像を作成する請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の画像読取装置。
【請求項6】
前記操作受付部が、前記画像作成処理を実行する旨の指示を受け付けたときに、前記画像作成部が前記画像作成処理を実行し、前記操作受付部が、前記画像作成処理を実行しない旨の指示を受け付けたときは、前記画像作成部が前記画像作成処理を実行しない請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の画像読取装置。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の画像読取装置と、
前記画像作成部によって作成された画像の画像データ、又は前記画像読取部によって読み取り得られた原稿の画像データに基づいて、記録媒体に画像形成を行う画像形成部と、を備える画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読取装置及び画像形成装置に関し、特に、携帯情報端末等の発光する表示画面の読取技術に関する。
【背景技術】
【0002】
コピー機等の画像読取装置では、例えば、光照射部を使って原稿を照射し、原稿によって反射された読取光をCCD(Charge Coupled Device)センサーで受光することによって、原稿から画像を読み取る。画像読取装置での読み取り対象は、従来の紙媒体のみならず、近年大きく普及したスマートフォンやタブレットなどの携帯情報端末の表示画面にも波及している。
【0003】
しかしながら、スマートフォンなどの表示画面は自ら発光しているため、反射光を読み取る画像読取装置に想定以上の光量が入ることでCCDの電荷が飽和し、正しい階調で表示画面を読み取ることができない場合がある。このような問題を解決するものとして、下記の特許文献1に、読み取り対象の原稿が発光画面を有する場合に、光源(光照射部)の光量を低減させることが記載されている。
【0004】
また、スマートフォンなどの表示画面には、QRコード(登録商標)といったデータコードが表示されることがある。そして、QRコードが表示された状態のスマートフォンをコピー機の読み取り対象とした場合、コピー機からは、当該QRコードに埋め込まれた情報を写した印刷物が出力される、或いは、QRコードが表示された状態のスマートフォンを写した印刷物が出力される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2015−088977号公報
【特許文献2】特開2012−099141号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
QRコードに埋め込まれた情報そのままの印刷物から、更に加工された画像の印刷をユーザーが望むことも考えられる。しかしながら、例えば上記特許文献2には、携帯電話機端末(携帯情報端末)に表示されているQRコードを撮像する場合に、特殊モードに切り替え、QRコードを読み取りやすくすることが記載されているものの、QRコードに埋め込まれた情報をどのように印刷するかについての技術は開示されていない。
【0007】
本発明は、上記の事情に鑑みなされたものであり、データコードが表示された状態の携帯情報端末等からなる情報処理装置の表示画面が読取対象となった場合に、当該読取により得られる画像を加工して、ユーザーの満足度を高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一局面に係る画像読取装置は、ユーザーからの操作入力を受け付ける操作受付部と、原稿を載置するためのプラテンガラスと、前記プラテンガラスに載置された画像表示装置の表示画面を読み取る画像読取部と、前記画像読取部による読取で得られた全体画像の各所における入力光量の差異から、当該画像における前記表示画面を示す画像領域を特定する領域特定部と、前記領域特定部により特定された前記表示画面の画像領域内に予め定められたデータコードがあるか否かを判別し、当該データコードがある場合には、当該データコードを解析して、当該データコードに対応付けられている印刷対象画像を検出する解析部と、前記全体画像における、前記領域特定部により特定された前記表示画面の画像領域に、前記解析部が検出した前記印刷対象画像を合成した画像を作成する画像作成処理を行う画像作成部とを備える。
【0009】
また、本発明の一局面に係る画像形成装置は、上記画像読取装置と、前記画像作成部によって作成された画像の画像データ、又は前記画像読取部によって読み取り得られた原稿の画像データに基づいて、記録媒体に画像形成を行う画像形成部と、を備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、データコードが表示された状態の携帯情報端末等からなる情報処理装置の表示画面が読取対象となった場合に、当該読取により得られる画像を加工して、ユーザーの満足度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の外観を示した斜視図である。
図2】一実施形態に係る画像形成装置の主要内部構成を概略的に示した機能ブロック図である。
図3】載置読取用プラテンガラスにタブレットが載置された状態の一例を示した図であり、(A)は上方から見た図であり、(B)は下方から見た図である。
図4】表示部に表示される操作画面の一例を示した図である。
図5】画像形成装置で行われる画像読取処理及び画像形成処理一例を示すフローチャートである。
図6】(A)〜(D)は、画像形成装置からの出力物の一例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態に係る画像読取装置及び画像形成装置について図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置の外観を示した斜視図である。図2は、一実施形態に係る画像形成装置の主要内部構成を概略的に示した機能ブロック図である。
【0013】
画像形成装置1は、例えば、コピー機能、プリンター機能、スキャナー機能、及びファクシミリ機能のような複数の機能を兼ね備えた複合機であり、制御ユニット10、原稿給送部6、画像読取部5、画像形成部12、画像メモリー32、HDD(Hard Disk Drive)92、定着部13、給紙部14、操作部47、及びネットワークインターフェイス部91を含んで構成されている。
【0014】
画像読取部5は、光照射部を使って原稿を照射し、その反射光を受光することによって、原稿から画像を読み取る。画像読取部5は、原稿給送部6から搬送されてきた原稿を読み取るための搬送読取用プラテンガラス(コンタクトガラス)161と、原稿を載置するための載置読取用プラテンガラス162と、を備えている。なお、載置読取用プラテンガラス162は、特許請求の範囲におけるプラテンガラスの一例である。
【0015】
図3は、載置読取用プラテンガラス162にタブレット51が載置された状態の一例を示した図であり、(A)は載置読取用プラテンガラス162の上方から見た図であり、(B)は載置読取用プラテンガラス162の下方から見た図である。タブレット51はタッチスクリーン52が下を向くように、載置読取用プラテンガラス162に載置されている。また、タブレット51のタッチスクリーン52にはQRコードC1が表示されているものとする。なお、ここでは、データコードの一例としてQRコードを採用して説明する。なお、タブレット51は、特許請求の範囲における画像表示装置の一例である。
【0016】
原稿給送部6は、読取対象の原稿を画像読取部5へ給送する。また、原稿給送部6は、画像読取部5の上面にヒンジ等によって開閉可能に構成され、原稿給送部6は、載置読取用プラテンガラス162上に載置された原稿を読み取る場合に原稿押さえカバーとして機能する。
【0017】
画像形成部12は、印刷すべき画像のトナー像を用紙(記録媒体)上に形成する。画像メモリー32は、画像読取部5による読み取りで得られた原稿の画像データを一時的に記憶したり、画像形成部12のプリント対象となるデータを一時的に保存したりするための領域である。
【0018】
HDD92は、画像読取部5によって読み取られた原稿画像等を記憶する大容量の記憶装置である。
【0019】
定着部13は、用紙上のトナー像を、熱圧着により用紙に定着させるものであり、定着処理が施された用紙は、排出トレイ151に排出される。給紙部14は、給紙カセットに収容された用紙をピックアップして搬送する。
【0020】
操作部47は、画像形成装置1が実行可能な各種動作及び処理について操作者から画像形成動作実行指示や原稿読取動作実行指示等の指示を受け付ける。操作部47は、操作者への操作案内等を表示する表示部473を備えている。表示部473はタッチパネルになっており、操作者は画面表示されるボタンやキーに触れて画像形成装置1を操作することができる。
【0021】
ネットワークインターフェイス部91は、LAN(Local Area Network)ボード等の通信モジュールを含んで構成され、ネットワークインターフェイス部91に接続されたLAN等を介して、ローカルエリア内、又はインターネット上のパーソナルコンピューター(PC)等の外部装置20と種々のデータの送受信を行うものである。
【0022】
制御ユニット10は、プロセッサー、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、及び専用のハードウェア回路を含んで構成される。プロセッサーは、例えばCPU(Central Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、MPU(Micro Processing Unit)等である。制御ユニット10は、制御部100と、操作受付部101と、領域特定部102と、解析部103と、画像作成部104と、傾き検出部105と、明度差算出部106とを備えている。
【0023】
制御ユニット10は、HDD92に記憶されている制御プログラムに従った上記プロセッサーによる動作により、制御部100、操作受付部101、領域特定部102、解析部103、画像作成部104、傾き検出部105、及び明度差算出部106として機能するものである。但し、制御部100等は、制御ユニット10による制御プログラムに従った動作によらず、ハードウェア回路により構成することも可能である。以下、特に触れない限り、各実施形態について同様である。
【0024】
制御部100は、画像形成装置1の全体的な動作制御を司る。制御部100は、原稿給送部6、画像読取部5、画像形成部12、画像メモリー32、定着部13、給紙部14、HDD92,ネットワークインターフェイス部91、及び操作部47と接続され、これら各部の駆動制御等を行う。
【0025】
制御部100は、例えば、図4に示したような、QRコードが表示されたタブレットなどの携帯情報端末を読み取り対象とする場合の印刷物(読取画像としてもよい。)の種類をユーザーが選択するための印刷物種類選択ボタンとして、印刷結果(読取画像)を図柄等で示した選択ボタンB1〜B4が形成された操作画面G1を表示部473に表示させる。
【0026】
なお、QRコードには、当該QRコードに関連付けられた印刷対象画像を示す情報が埋め込まれている。
【0027】
選択ボタンB1には、印刷結果がQRコードを解析することにより得られる印刷対象画像のみであることを示す図柄等が記されている。選択ボタンB2には、QRコードを解析することにより得られる上記印刷対象画像が携帯情報端末の表示画面に合成されること(QRコードが印刷対象画像に置き換えられること)、そして当該印刷対象画像に対して明度調整が行われないことを示す図柄等が記されている。
【0028】
選択ボタンB3には、QRコードを解析することにより得られる印刷対象画像が携帯情報端末の表示画面に合成されること(QRコードが印刷対象画像に置き換えられること)、そして当該印刷対象画像に対して明度調整が行われることを示す図柄等が記されている。選択ボタンB4には、QRコードを解析することにより得られる印刷対象画像を表示せず、原稿をそのまま、従来通りにコピーすることを示す図柄等が記されている。
【0029】
操作受付部101は、例えば操作部47の表示部473に備えられるタッチパネル機能によりユーザーからの操作入力を受け付ける。例えば、操作受付部101は、図4に示した選択ボタンB1〜B4へのタッチ操作を受け付け、選択ボタンB1〜B4に対するユーザーの選択を受け付ける。なお、選択ボタンB1〜B4のいずれに対するタッチ操作も受け付けなかった場合、操作受付部101は、選択ボタンB4をユーザー操作として受け付ける。
【0030】
ユーザーにより選択ボタンB1が操作された場合、操作受付部101は、印刷結果を、QRコードを解析することにより得られる印刷対象画像のみとする指示を受け付ける。ユーザーにより選択ボタンB2が操作された場合、操作受付部101は、上記印刷対象画像が携帯情報端末の表示画面に合成され、当該印刷対象画像に対して明度調整が行われないようにする指示を受け付ける。ユーザーにより選択ボタンB3が操作された場合、操作受付部101は、上記印刷対象画像が携帯情報端末の表示画面に合成され、当該印刷対象画像に対して明度調整が行われるようにする指示を受け付ける。ユーザーにより選択ボタンB4が操作された場合、操作受付部101は、上記印刷対象画像を用いずに読み取られた画像そのままとする指示を受け付ける。
【0031】
領域特定部102は、画像読取部5による読取で得られた全体画像の各所における入力光量の差異から、当該全体画像における、読取対象とされているタブレット51の表示画面を示す画像領域を特定する。すなわち、領域特定部102は、画像読取部5による読み取りで得られた全体画像における各所の入力光量の差異から、載置読取用プラテンガラス162に載置されたタブレット51が有する、発光する表示画面(例えば、タブレット51の表示画面としてのタッチスクリーン52)の領域を特定する。タブレットなどの携帯情報端末の表示画面は自ら発光するので、表示画面とそれ以外とでは入力光量が大きく異なるので、領域特定部102は、その差異に基づいて当該表示画面の領域を特定する。
【0032】
解析部103は、領域特定部102により特定された表示画面の領域内からQRコードを読み取り、当該QRコードを解析する。すなわち、解析部103は、領域特定部102により特定された上記表示画面の画像領域内に予め定められたQRコードを示すQRコードがあるか否かを判別し、当該QRコードがある場合には、当該QRコードを解析して、当該QRコードに対応付けられている印刷対象画像を検出する。例えば、解析部103は、領域特定部102により特定されたタブレット51のタッチスクリーン52の領域からQRコードC1を読み取り、このQRコードC1を解析して、QRコードC1に関連付けられた印刷対象画像を検出する。
【0033】
解析部103が、QRコードを解析することにより得られる印刷対象画像としては、(1)QRコードに埋め込まれている情報(例えば、テキスト情報)そのものや、(2)QRコードに埋め込まれている情報がURL(Uniform Resource Locator)の場合には、当該URLが示す場所に格納されている情報(画像データ、キャラクタデータ等)が挙げられる。
【0034】
画像作成部104は、画像読取部5により読み取られた全体画像における、領域特定部102により特定された上記表示画面の画像領域に、解析部103が検出した印刷対象画像を合成した画像を作成する画像作成処理を行う。
【0035】
傾き検出部105は、画像読取部5により読み取られた全体画像に対する上記QRコードの傾きを検出する。例えば、傾き検出部105は、QRコードを構成するファインダパターン(位置検出パターン)からQRコードの傾きを検出する。QRコードを構成するファインダパターンは、3隅の四角いシンボル(回)から成っており、これら四角いシンボルの上記全体画像に対する傾きから、QRコードの傾きを検出することができる。
【0036】
QRコードの横辺・縦辺は、タブレット51の表示画面の横辺・縦辺とそれぞれ平行に表示されるので、QRコードの傾きはタブレット51の表示画面の傾きと一致する。従って、傾き検出部105がQRコードの傾きを検出することによって、タブレット51の表示画面の傾きを検出することができる。
【0037】
明度差算出部106は、画像読取部5による読取で得られたQRコードの明度と、上記印刷対象画像に設定されている基準明度との明度差を算出する。例えば、明度差算出部106は、画像読取部5による読み取りで得られたQRコードが構成する黒色部分の明度と、上記印刷対象画像に設定されている基準明度との明度差を算出する。載置読取用プラテンガラス162に載置されたタブレット51のタッチスクリーン52に表示されているQRコードC1を構成する黒色部分の明度が「7」で、上記基準明度が「3」である場合、明度差算出部106は明度差「4」を算出する。なお、本実施形態でいう明度には、輝度も含まれるものとする。
【0038】
次に、画像形成装置1で行われる画像読取処理及び画像形成処理を説明する。図5は、画像形成装置1で行われる画像読取処理及び画像形成処理一例を示すフローチャートである。例えば、画像形成装置1は当該画像読取処理及び画像形成処理を、操作受付部101がコピーの指示を受け付け、画像読取部5によって載置読取用プラテンガラス162に載置されたタブレット51の読取が行われるときに行う。
【0039】
まず、制御部100は、操作受付部101により、表示部473に表示されている選択ボタンB1〜B3のいずれかに対するユーザー操作が受け付けられたか否かを判断する(S1)。
【0040】
制御部100が、操作受付部101により選択ボタンB1〜B3のいずれかに対するユーザー操作が受け付けられたと判断した場合(S1でYES)、領域特定部102は、画像読取部5による読取で得られた全体画像の各所における入力光量の差異から、当該全体画像における、読取対象とされているタブレット51の表示画面(例えば、タッチスクリーン52)を示す画像領域E1を特定する(S2)。
【0041】
続いて、解析部103が、領域特定部102により特定された表示画面を示す画像領域E1内からQRコードを読み取り、当該QRコードを解析する(S3)。解析部103は、当該QRコードを解析することにより得られた、当該QRコードに埋め込まれていた情報がURLであるか否かを判断する(S4)。
【0042】
解析部103が、当該QRコードに埋め込まれていた情報がURLであると判断した場合(S4でYES)、解析部103は、ネットワークインターフェイス部91を介して、当該URLが示す場所(例えば、外部装置20であるサーバー)へアクセスし、当該場所に格納されている、上記QRコードに関連付けられている情報を印刷対象画像として取得する(S5)。
【0043】
従って、QRコードに埋め込まれている情報がURLである場合、解析部103がQRコードを解析することにより得られる印刷対象画像は、当該URLが示す場所に格納されている情報となる。一方、QRコードに埋め込まれている情報がURLでない場合、解析部103がQRコードを解析することにより得られる印刷対象画像は、QRコードに埋め込まれている情報そのものとなる。
【0044】
続いて、制御部100が、表示部473に表示されている選択ボタンB2,B3のいずれかについてのユーザー操作が操作受付部101により受け付けられたか否かを判断する(S6)。
【0045】
制御部100が、操作受付部101により上記選択ボタンB2,B3のいずれかに対するユーザー操作が受け付けられたと判断した場合(S6でYES)、傾き検出部105は、QRコードを構成するファインダパターンからQRコードの上記傾きを検出する(S7)。
【0046】
続いて、制御部100は、操作受付部101により上記選択ボタンB2に対するユーザー操作が受け付けられたかを判断する(S8)。制御部100が、操作受付部101により選択ボタンB2のユーザー操作が受け付けられたと判断した場合(S8でYES)、画像作成部104は、上記S3又はS5で得られた印刷対象画像を、当該画像領域E1のサイズに収まる大きさとし、かつ、傾き検出部105により検出された傾きに従って傾ける加工処理を行い、当該加工後の印刷対象画像を、領域特定部102により特定された表示画面の画像領域E1に合成した画像を作成する画像作成処理を行う(S9)。なお、制御部100は、画像形成部12による当該画像作成処理で得られた画像をHDD92に記憶させるようにしてもよい。
【0047】
その後、制御部100が、画像形成部12による上記画像作成処理により得られた画像を用いて画像形成部12に画像形成を行わせる(S10)。画像形成部12による用紙への当該画像形成により、上記画像作成処理で得られた画像の印刷物が得られる。図6(A)に、S9で作成された画像が用紙P1に形成された状態の一例を示す。なお、図中に示した大文字の「A」は印刷対象画像を示している。
【0048】
一方、制御部100が、操作受付部101により上記選択ボタンB2のユーザー操作が受け付けられていない、すなわち、選択ボタンB3のユーザー操作が受け付けられていると判断した場合(S8でNO)、明度差算出部106は、画像読取部5による読み取りで得られたQRコードを構成する黒色部分の明度と上記基準明度との明度差を算出する(S11)。
【0049】
続いて、画像作成部104が、上記S3又はS5で得られた印刷対象画像を、当該画像領域E1のサイズに収まる大きさとし、かつ、傾き検出部105により検出された傾きに従って傾け、更に、S11で算出された明度差を加算して画像の色合や明るさ等を変更する加工処理を行い、当該加工後の印刷対象画像を、領域特定部102により特定された表示画面の画像領域E1に合成した画像を作成する画像作成処理を行う(S12)。この後、処理はS10に進む。
【0050】
図6(B)に、S12で作成された画像が用紙P1に形成された状態の一例を示す。例えば、載置読取用プラテンガラス162に載置されたタブレット51のタッチスクリーン52に表示されているQRコードC1を構成する黒色部分の明度が「7」で、予め登録されている基準明度が「3」である場合、明度差算出部106は明度差「4」を算出する。
【0051】
画像作成部104が、この明度差「4」を加算せずに、S9で行ったように、印刷対象画像を上記表示画面(タッチスクリーン52)の画像領域に合成した場合、印刷対象画像が暗い感じに見えることがある。それは、タッチスクリーン52が実際には自ら発光しているが、印刷対象画像の合成にそれが考慮されていないからである。これに対し、S12で行うように、例えば明度差「4」を加算して、印刷対象画像の明度を4段階上げれば、印刷対象画像が表示画面(タッチスクリーン52)に実際に表示されている状態と近い状態を作り出すが可能になる。
【0052】
また、S6において、制御部100が、操作受付部101により上記選択ボタンB2,B3のいずれのユーザー操作も受け付けられていない、すなわち、選択ボタンB1のユーザー操作が受け付けられていると判断した場合(S6でNO)、画像作成部104は、印刷対象画像だけを示す画像を作成する(S13)。この後、S10へ進む。図6(C)に、S13で作成された画像が用紙P1に形成された状態の一例を示す。
【0053】
また、S1において、制御部100が、操作受付部101により上記選択ボタンB1〜B3のいずれのユーザー操作も受け付けられていない、すなわち、選択ボタンB4のユーザー操作が受け付けられていると判断した場合(S1でNO)、制御部100は、画像形成部12に、画像読取部5によって読み取られた読取対象物の画像データに基づいて用紙への画像形成を行わせる(S14)。すなわち、画像読取部5によって読み取られたタブレット51及びその表示画面を示す画像がそのまま用紙に形成される。図6(D)に、画像読取部5によって読み取られたタブレット51及びその表示画面を示す画像がそのまま用紙P1に形成された状態の一例を示す。
【0054】
上記実施形態によれば、QRコードを解析することにより得られる印刷対象画像をユーザーが出力物(印刷物)とする指示を操作部47から入力した場合は、タブレット51の表示画面(タッチスクリーン52)の画像領域に当該印刷対象画像を合成した画像が出力物とされる。また、ユーザーが、印刷対象画像を出力物(印刷物)としない指示を操作部47から入力した場合は、画像読取部5による読み取りで得られた画像データが示すそのままの画像が出力物(印刷物)とされる。
【0055】
従って、本実施形態に係る画像形成装置1によれば、ユーザーの要望に応じて、例えば上記図6(A)〜(D)に示したそれぞれの印刷物が選択的に出力されるので、QRコードが表示された状態のタブレット51(発光する表示画面を有するデバイス)が読取対象となった場合における、出力物に対するユーザーの満足度を高めることが可能になる。すなわち、QRコード等のデータコードが表示された状態の携帯情報端末等からなる情報処理装置の表示画面が読取対象となった場合に、当該読取により得られる画像を加工して、ユーザーの満足度を高めることが可能になる。
【0056】
また、上記実施形態では、図1乃至図6を用いて上記実施形態により示した構成及び処理は、本発明の一実施形態に過ぎず、本発明を当該構成及び処理に限定する趣旨ではない。
【符号の説明】
【0057】
1 画像形成装置
5 画像読取部
10 制御ユニット
12 画像形成部
100 制御部
101 操作受付部
102 領域特定部
103 解析部
104 画像作成部
105 傾き検出部
106 明度差算出部
162 載置読取用プラテンガラス
図1
図2
図3
図4
図5
図6