(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種の製氷用冷凍装置は、内管内に氷が固まって付着し、回転ブレードが氷に引っ掛かって回転負荷が大きくなる現象(この現象を「アイスロック」ともいう)が生じることがある。このような現象が生じると、製氷機を継続して運転することが困難となる。しかし、特許文献1記載の製氷用冷凍装置においては、これらの現象に対する対策は特に講じられていない。
【0005】
本開示は、製氷機内で発生したアイスロックを早期に解消することができる製氷システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本開示の製氷システムは、
被冷却媒体を収容するタンクと、
被冷却媒体を冷却し製氷する製氷機と、
前記タンクと前記製氷機との間で被冷却媒体を循環させるポンプと、
前記製氷機内の被冷却媒体を加熱して解氷する解氷運転を行う解氷機構と、
前記製氷機、前記ポンプ、前記解氷機構の動作を制御する制御装置とを備え、
前記製氷機は、被冷却媒体を冷却する冷却室と、前記冷却室内で回転して氷を分散させるブレード機構と、前記ブレード機構のロック状態を検出する検出器と、前記冷却室の排出口に
設けられ、前記冷却室から排出された被冷却媒体の温度を検出する第2温度センサとを備え、
前記制御装置は、前記検出器が前記ブレード機構のロック状態を検出したときに前記ブレード機構を停止させ前記解氷機構を作動させ、前記第2温度センサの検出値が所定温度を超えたときに解氷運転を停止する。
【0007】
このような構成によって、製氷機内でアイスロックが生じていることを検出し、解氷運転を行うことができる。
【0008】
(2)好ましくは、前記制御装置は、前記解氷運転の際に前記ポンプを停止させる。
このような構成によって、タンク内の温度の上昇によりタンク内の氷が溶けてしまうのを抑制することができる。
【0009】
(3)好ましくは、前記製氷システムは、圧縮機、熱源側熱交換器、膨張機構、及び利用側熱交換器をこの順で冷媒配管で接続してなる冷媒回路をさらに備え、
前記利用側熱交換器は、前記製氷機の一部を構成し、製氷運転の際に前記冷却室内の被冷却媒体と熱交換して冷媒を蒸発させるものであり、
前記解氷機構は、前記冷媒回路と、この冷媒回路における前記圧縮機の吐出側に接続され、前記圧縮機から吐出された冷媒を流す経路を前記熱源側熱交換器側から前記利用側熱交換器側に切り換えることによって製氷運転から解氷運転に切り換える四路切換弁とを備えている。
このような構成によって、製氷機で製氷を行う冷媒回路を用いて解氷運転を行うことができる。
また、圧縮機、熱源側熱交換器、第1膨張機構、及び利用側熱交換器を、この順で冷媒配管で接続してなる冷媒回路をさらに備え、
前記利用側熱交換器は、前記製氷機の一部を構成し、製氷運転の際に前記冷却室内の被冷却媒体と熱交換して冷媒を蒸発させるものであり、
前記解氷機構は、前記冷媒回路と、前記圧縮機と前記熱源側熱交換器との間の冷媒配管に一端が接続されかつ前記第1膨張機構と前記製氷機との間の冷媒配管に他端が接続されたバイパス冷媒配管と、前記バイパス冷媒配管における冷媒の流れを断接する開閉弁と、前記バイパス冷媒配管を流れる冷媒を減圧し冷媒の温度を低下させる第2膨張機構とを備え、
前記制御装置は、前記第1膨張機構を閉じ、前記開閉弁を開くことによって製氷運転から解氷運転に切り替えることもできる。
【0010】
(4)好ましくは、前記製氷システムは、前記解氷機構の作動温度を検出する第1温度センサを備え、前記制御装置は、前記第1温度センサの検出温度が所定温度を超えたときに解氷運転を停止する。
このような構成によって、解氷機構の作動温度に基づいて解氷運転を停止するタイミングを適切に設定することができる。
【0011】
(5)前記製氷システムは、前記冷却室の排出口に
設けられ、前記冷却室から排出された被冷却媒体の温度を検出する第2温度センサを備え、前記制御装置は、前記第2温度センサの検出値が所定温度を超えたときに解氷運転を停止するので、冷却室の排出口
から排出された被冷却媒体の温度に基づいて解氷運転を停止するタイミングを適切に設定することができ、解氷運転から製氷運転に復帰したときに再度アイスロックを生じない程度に冷却室内の解氷を行うことができる。なお、前記所定温度は、例えば0℃とすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照しつつ、製氷システムの実施形態を詳細に説明する。なお、本開示は以下の例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0014】
[第1の実施形態]
<製氷システムの全体構成>
図1は、第1の実施形態に係る製氷システムAの概略構成図である。
本実施形態の製氷システムAは、海水タンク8に貯めた海水を原料として製氷機1にてより氷スラリーを連続的に生成し、生成した氷スラリーを海水タンク8に貯めるシステムである。
【0015】
氷スラリーとは、水または水溶液に微細な氷が混濁したシャーベット状の氷のことをいう。氷スラリーは、アイススラリー、スラリーアイス、スラッシュアイス、リキッドアイスとも呼ばれる。
本実施形態の製氷システムAは、海水をベースとした氷スラリーを連続的に生成可能である。このため、本実施形態の製氷システムAは、例えば漁船や漁港などに設置され、海水タンク8に貯められた氷スラリーは鮮魚の保冷などに利用される。
【0016】
また、本実施形態の製氷システムAは、製氷機1において製氷を行う製氷運転と、製氷機1内の氷を溶かす解氷運転とを切り換えて行う。
【0017】
製氷システムAは海水を被冷却媒体(被冷却物)とする。製氷システムAは、製氷機1、圧縮機2、熱源側熱交換器3、四路切換弁4、利用側膨張弁(膨張機構)5、レシーバ(受液器)7、熱源側膨張弁(膨張機構)27、送風ファン10、海水タンク(貯氷タンク)8、及びポンプ9等を備えている。また、製氷システムAは、制御装置50を備えている。
【0018】
圧縮機2、熱源側熱交換器3、熱源側膨張弁27、レシーバ7、利用側膨張弁5、及び製氷機1は、この順で冷媒配管により接続されて冷媒回路を構成している。
製氷機1、海水タンク8、及びポンプ9は海水配管により接続されて循環回路を構成している。
【0019】
四路切換弁4は、圧縮機2の吐出側に接続されている。四路切換弁4は、圧縮機2から吐出された冷媒を熱源側熱交換器3側及び製氷機1側のいずれかに切り換えて流す機能を有する。この四路切換弁4によって、製氷運転と解氷運転とが切り換えられる。
【0020】
圧縮機2は、冷媒を圧縮し、冷媒回路内で冷媒を循環させるものである。圧縮機2は、可変容量型(能力可変型)である。具体的に、圧縮機2は、内蔵されているモータをインバータ制御することによって、このモータの運転回転数を段階的又は連続的に変更することができる。
【0021】
送風ファン10は、熱源側熱交換器3を空冷するものである。送風ファン10は、インバータ制御によって運転回転数が段階的又は連続的に変更されるモータを備えている。
利用側膨張弁5及び熱源側膨張弁27は、例えばパルスモータ駆動方式の電子膨張弁で構成され、開度を調整可能である。
【0022】
図2は、製氷機の側面説明図である。
図3は、製氷機の横断面を概略的に示す説明図である。
製氷機1は、二重管式製氷機により構成されている。この製氷機1は、利用側熱交換器である蒸発器1Aと、ブレード機構15とを備える。蒸発器1Aは、円筒形状に形成された内管12と外管13とを備えている。また、蒸発器1Aは、横置き型であり、内管12及び外管13の軸心が水平に配置されている。本実施形態の蒸発器1Aは、満液式蒸発器により構成されている。
【0023】
内管12は、内部を被冷却媒体である海水が通過する要素である。内管12は、海水を冷却する冷却室を構成している。内管12は、金属材料で形成されている。内管12の軸心方向の両端は閉止されている。
【0024】
内管12の軸方向一端側(
図2において右側)には、海水の流入口16が設けられている。海水は、流入口16から内管12内に供給される。内管12の軸方向他端側(
図2において左側)には、海水の排出口17が設けられている。内管12内の海水は、排出口17から排出される。
【0025】
内管12にはブレード機構15が配設されている。ブレード機構15は、内管12の内周面に生成されたシャーベット状の氷を掻き上げて内管12内に分散させる。
ブレード機構15は、回転軸20と、支持バー21と、ブレード22と、駆動部24とを備えている。回転軸20の軸方向他端は内管12の軸方向他端に設けられたフランジ23から外部に延び、駆動部24としてのモータに接続されている。回転軸20の周面には所定間隔で支持バー21が立設されており、この支持バー21の先端にブレード22が取り付けられている。ブレード22は例えば樹脂製又は金属製の帯板部材よりなる。ブレード22の回転方向の前方側の側縁は鋭利な先細り形状とされている。
【0026】
外管13は、内管12の径方向外側において当該内管12と同軸に設けられている。外管13は、金属材料で形成されている。外管13の下部には1又は複数(本実施形態では3つ)の冷媒入口18が設けられている。外管13の上部には1又は複数(本実施形態では2つ)の冷媒出口19が設けられている。外管13の内周面と内管12の外周面との間の環状スペース14は、海水との間で熱交換を行う冷媒が流入する領域である。冷媒入口18から供給された冷媒は、環状スペース14を通過して冷媒出口19から排出される。
【0027】
図1に示すように、製氷システムAは、制御装置50を備えている。制御装置50は、CPUとメモリとを備える。メモリには、RAM、ROMなどが含まれる。
制御装置50は、メモリに格納されたコンピュータプログラムをCPUが実行することにより、製氷システムAの運転に関する各種の制御を実現する。具体的に、制御装置50は、利用側膨張弁5、熱源側膨張弁27の開度を制御する。また、制御装置50は、圧縮機2及び送風ファン10の運転周波数を制御する。また、制御装置50は、ブレード機構15の駆動部24及びポンプ9の駆動及び停止を制御する。なお、制御装置50は、製氷機1側と、熱源側熱交換器3側とに分けて設けられていてもよい。この場合、例えば、熱源側膨張弁27、送風ファン10、圧縮機2の動作制御を熱源側熱交換器3側の制御装置で行い、利用側膨張弁5、駆動部24、ポンプ9の動作制御を製氷機1側の制御装置で行うことができる。
【0028】
製氷システムAには、複数のセンサが設けられている。
図1に示すように、製氷機1には、蒸発器1Aの冷媒温度を検出する温度センサ(第1温度センサ)34が設けられている。内管12の排出口17には、内管12から排出された海水(及び氷スラリー)の温度を検出する温度センサ(第2温度センサ)33が設けられている。製氷機1のブレード機構15の駆動部24には、電流値を検出する電流センサ35が設けられている。これらのセンサの検出信号は制御装置50に入力され、各種の制御のために利用される。なお、本実施形態における温度センサ34の取付位置は、蒸発器1A本体や冷媒配管など、後述する解氷運転で熱交換された後の冷媒の温度が計測できる位置とされている。
【0029】
<製氷システムの動作>
(製氷運転)
図4は、製氷運転の際の冷媒の流れを示す製氷システムの概略的な構成図である。
通常の製氷運転を行うには、四路切換弁4が、
図4において実線で示される状態に維持される。圧縮機2から吐出された高温高圧のガス冷媒は四路切換弁4を経て凝縮器として機能する熱源側熱交換器3に流入し、送風ファン10の作動により空気と熱交換して凝縮・液化する。液化した冷媒は、全開状態の熱源側膨張弁27を通り、レシーバ7を経て利用側膨張弁5に流れる。
【0030】
冷媒は、利用側膨張弁5により所定の低圧に減圧され、気液二相冷媒となり、製氷機1の冷媒入口18(
図2参照)から当該製氷機1を構成する内管12と外管13との間の環状スペース14内に供給される。環状スペース14内に供給された冷媒は、ポンプ9により内管12内に流入された海水と熱交換して蒸発する。製氷機1で蒸発した冷媒は、圧縮機2に吸い込まれる。
【0031】
ポンプ9は、海水タンク8から海水を吸い込んで製氷機1の内管12内に海水を圧送する。内管12内で生成された氷スラリーは、ポンプ圧によって海水とともに海水タンク8に戻される。海水タンク8に戻された氷スラリーは、海水タンク8内で浮力によって上昇し、海水タンク8の上部に集積された状態となる。
【0032】
(解氷運転)
以上のような製氷運転を行った結果、内管12内に氷が固まって付着し、ブレード機構15のブレード22が氷に引っ掛かって回転負荷が大きくなる現象(アイスロック)が生じると、製氷機1を継続して運転することが困難となる。この場合、内管12内の氷を溶かすために解氷運転(クリーニング運転)が行われる。
【0033】
以下、
図6に示すフローチャートを参照して、解氷運転の手順について説明する。
図6において、製氷システムAが製氷運転を行っている間(ステップS1)、制御装置50は、ブレード機構15における駆動部24の電流値Iを電流センサ35により常時取得している(ステップS2)。
【0034】
内管12の内周面に氷が固まって付着していると、その氷にブレード22が引っ掛かって回転抵抗が大きくなり、アイスロックが生じる。そして、このアイスロックにより駆動部24の電流値Iが高くなる。そのため、制御装置50は、電流値Iと所定の閾値Ithとを比較し(ステップS3)、電流値Iが閾値Ithを超えている場合には、解氷運転を開始する(ステップS4)。
【0035】
具体的には、制御装置50は、四路切換弁4を切り換え、製氷運転を行っている状態から冷媒の流れを逆転させることによって解氷運転を開始する。
図5は、解氷運転の際の冷媒の流れを示す製氷システムの概略的な構成図である。
制御装置50は、四路切換弁4を、
図5において実線で示される状態に切り換える。圧縮機2から吐出された高温のガス冷媒は、四路切換弁4を経て蒸発器1Aの内管12と外管13との間の環状スペース14内に流入し、内管12内の氷を含む海水と熱交換して凝縮・液化する。このとき、内管12内の氷は冷媒によって加熱され解氷される。蒸発器1Aから排出された液冷媒は、全開状態の利用側膨張弁5を通過し、レシーバ7を経て熱源側膨張弁27に流入する。液冷媒は熱源側膨張弁27よって減圧された後、熱源側熱交換器3において蒸発し、圧縮機2に吸い込まれる。
【0036】
続けて、制御装置50は、ブレード機構15を停止する(ステップS5)。これにより、ブレード機構15に対する負荷を軽減し、ブレード機構15の破損等を抑制することができる。
【0037】
また、制御装置50は、ポンプ9を停止し、製氷機1における海水の循環を止める(ステップS6)。これにより、海水タンク8内の温度上昇を抑制し、海水タンク8に蓄積された氷が溶けてしまうのを抑制することができる。
【0038】
制御装置50は、所定の解氷運転の停止条件を満たすか否かを判断し、停止条件を満たす場合は、解氷運転を停止して製氷運転を再開する(ステップS7,S8)。つまり、制御装置50は、四路切換弁4を
図4において実線で示される状態に切り換え、ブレード機構15及びポンプ9を作動させる。
【0039】
(解氷運転の停止条件)
解氷運転は、例えば、次のような条件に基づいて停止することができる。
(条件1)製氷機1の蒸発器1A(解氷運転時の凝縮器)の冷媒温度、つまり解氷機構の作動温度を温度センサ34により検出し、その検出温度が所定の閾値を超えたときに解氷運転を停止させる。所定の閾値は、アイスロックを解消できる程度に内管12内に付着した氷を十分に溶かすことができる温度、例えば10℃に設定することができる。
【0040】
(条件2)内管12の排出口17における海水の温度を温度センサ33により検出し、その検出温度が所定温度(例えば、0℃)を超えたときに解氷運転を停止させる。これにより、アイスロックを解消できる程度に内管12内に付着した氷を溶かすことができる。
【0041】
以上の条件1と条件2とは、一方の条件が満たされたときに解氷運転を停止してもよいし、双方の条件が満たされたときに解氷運転を停止してもよい。また、いずれか一方のみの条件を採用してもよい。
【0042】
また、解氷運転を停止した後、再びアイスロックが発生した場合には、以上に説明した解氷運転を再度行うことによって、アイスロックを解消させることができる。
【0043】
[第2の実施形態]
図7は、第2の実施形態に係る製氷システムの概略構成図である。
第2の実施形態の製氷システムAの冷媒回路は、第1の実施形態と同様に、圧縮機2、熱源側熱交換器3、熱源側膨張弁27、レシーバ7、利用側膨張弁5、及び製氷機1を、この順で冷媒配管により接続することで構成されている。
【0044】
前述したように第1の実施形態における解氷機構は、冷媒回路と、この冷媒回路に設けられた四路切換弁4とによって構成されている。そして、四路切換弁4によって製氷運転とは冷媒の流れを逆転させることによって解氷運転が行われる。
【0045】
本実施形態の解氷機構は、第1の実施形態のような四路切換弁を備えず、バイパス冷媒配管41、開閉弁42、及び膨張機構43を備えている。バイパス冷媒配管41の一端は、圧縮機2と熱源側熱交換器3との間の冷媒配管に接続されている。バイパス冷媒配管41の他端は、利用側膨張弁5と製氷機1との間の冷媒配管に接続されている。
【0046】
開閉弁42は、バイパス冷媒配管41に設けられ、開閉することによってバイパス冷媒配管41における冷媒の流れを断接する。開閉弁42は、制御装置50によって開閉制御される。開閉弁42は、製氷運転を行う際に閉じられる。開閉弁42は、電磁弁によって構成することができる。
【0047】
膨張機構43は、バイパス冷媒配管41を流れる冷媒を減圧し、冷媒の温度を低下させる。膨張機構43は、キャピラリーチューブにより構成されている。膨張機構43は、膨張弁によって構成されていてもよい。
【0048】
本実施形態の製氷システムAにおいて、制御装置50は、解氷運転を行うために、利用側膨張弁5と熱源側膨張弁27とを閉じ、開閉弁42を開く。これにより、圧縮機2から吐出された高温高圧のガス冷媒は、熱源側熱交換器3には流れずに、バイパス冷媒配管41を流れて製氷機1の利用側熱交換器1Aに流入する。ガス冷媒は、バイパス冷媒配管41の膨張機構43を通過することによって減圧され、中温低圧のガス冷媒となる。
【0049】
利用側熱交換器1Aにおいて、ガス冷媒は、内管12と外管13との間の環状スペース14内に流入し、内管12内の氷を含む海水と熱交換して温度が低下し、低温低圧のガス冷媒となる。このとき、内管12内の氷は冷媒によって加熱され解氷される。その後、ガス冷媒は、利用側熱交換器1Aから排出され、圧縮機2に吸引される。
【0050】
本実施形態の製氷システムAにおいては、四路切換弁4が不要となるので、冷媒配管の構成を簡素化することができる。また、解氷運転の際に利用側膨張弁5及び熱源側膨張弁27が閉じられるので、各膨張弁5,27の開度の調整が不要となり、制御装置50による各膨張弁5,27の制御を簡素化することができる。
【0051】
[実施形態の作用効果]
以上説明したように、上記各実施形態の製氷システムAは、被冷却媒体を収容するタンク8と、被冷却媒体を冷却し製氷する製氷機1と、タンク8と製氷機1との間で被冷却媒体を循環させるポンプ9と、製氷機1内の被冷却媒体を加熱して解氷するための解氷運転を行う解氷機構と、製氷機1、前記ポンプ9、解氷機構の動作を制御する制御装置50とを備える。製氷機1は、被冷却媒体を冷却する冷却室としての内管12と、内管12内で回転して氷を分散させるブレード機構15と、ブレード機構15のロック状態を検出する検出器としての電流センサ35とを備える。制御装置50は、解氷運転の際に、電流センサ35がブレード機構15のロック状態を検出したときにブレード機構15を停止させ前記解氷機構を作動させる。これにより、製氷機1内でアイスロックが生じていることを検出し、解氷運転を行うことができる。
【0052】
制御装置50は、解氷運転の際にポンプ9を停止させる。これにより、タンク8内の温度が上昇してタンク8内の氷が溶けてしまうのを抑制することができる。
【0053】
製氷システムAは、圧縮機2と、熱源側熱交換器3と、膨張機構としての熱源側膨張弁27及び利用側膨張弁5と、利用側熱交換器1Aをこの順で冷媒配管で接続してなる冷媒回路をさらに備え、利用側熱交換器1Aは、製氷機1の一部を構成し、製氷運転の際に内管12内の被冷却媒体と熱交換して冷媒を蒸発させるものである。第1の実施形態の解氷機構は、冷媒回路と、この冷媒回路における圧縮機2の吐出側に接続され、圧縮機2から吐出された冷媒を流す経路を熱源側熱交換器3側から蒸発器1A側に切り換えることによって製氷運転から解氷運転に切り換える四路切換弁4とを備えている。これにより、製氷機1で製氷を行う冷媒回路を用いて解氷運転を行うことができる。
【0054】
製氷システムAは、解氷機構の作動温度を検出する温度センサ34を備え、制御装置50は、温度センサ34の検出温度が所定温度を超えたときに解氷運転を停止する。これにより、解氷機構の作動温度に基づいて解氷運転を停止するタイミングを適切に設定することができる。
【0055】
製氷システムAは、内管12から排出された被冷却媒体の温度を検出する温度センサ33を備え、制御装置50は、温度センサ33の検出温度が所定温度を超えたときに解氷運転を停止する。これにより、内管12から排出された被冷却媒体の温度に基づいて解氷運転を停止するタイミングを適切に設定することができ、解氷運転から製氷運転に復帰したときに再度アイスロックを生じない程度に内管12内の解氷を行うことができる。
【0056】
[その他の変形例]
本開示は前述した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内において種々の変更が可能である。
例えば、
図6に示す解氷運転の手順において、ステップS4の解氷運転の開始は、ステップS6よりも後に行ってもよく、ステップS5とステップS6との間で行ってもよい。
【0057】
上記実施形態では、製氷機として二重管式のものが用いられていたが、これに限定されない。また、解氷機構としては、製氷機1の内管(冷却室)12を外部から温める電気ヒータや温水(又は常温水)ヒータ等であってもよい。この場合、第1温度センサ34としてヒータの温度を測定するものを採用することができる。
【0058】
上記実施形態では、解氷運転時に凝縮器として機能する蒸発器1Aにおける冷媒温度を第1温度センサ34により検出していたが、例えば、蒸発器1Aの冷媒出口又は入口の圧力(凝縮圧力)を圧力センサにより検出し、その検出値から求めた飽和温度を蒸発器1Aの冷媒温度としてもよい。
【0059】
冷媒回路において、レシーバは省略することができ、この場合、膨張機構としての膨張弁を熱源側熱交換器と利用側熱交換器との間の液側冷媒配管に一つだけ設けてもよい。
被冷却媒体は、海水に限らず、エチレングリコール等の他の溶液であってもよい。
また、上記実施形態では、製氷機が1台であったが、複数台の製氷機を直列に接続したものであってもよい。また、上記実施形態では、圧縮機が1台であったが、複数台の圧縮機を並列に接続してもよい。