特許第6575714号(P6575714)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6575714無線局、制御方法、及び無線通信システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6575714
(24)【登録日】2019年8月30日
(45)【発行日】2019年9月18日
(54)【発明の名称】無線局、制御方法、及び無線通信システム
(51)【国際特許分類】
   H04W 16/32 20090101AFI20190909BHJP
   H04W 72/04 20090101ALI20190909BHJP
   H04W 52/34 20090101ALI20190909BHJP
【FI】
   H04W16/32
   H04W72/04 111
   H04W52/34
【請求項の数】15
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2019-73618(P2019-73618)
(22)【出願日】2019年4月8日
(62)【分割の表示】特願2018-112030(P2018-112030)の分割
【原出願日】2014年5月9日
(65)【公開番号】特開2019-106740(P2019-106740A)
(43)【公開日】2019年6月27日
【審査請求日】2019年4月8日
(31)【優先権主張番号】特願2013-227472(P2013-227472)
(32)【優先日】2013年10月31日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】二木 尚
【審査官】 新井 寛
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2015/045283(WO,A1)
【文献】 国際公開第2015/018348(WO,A1)
【文献】 3rd Generation Partnership Project; Technical Specification Group Radio Access Network; Evolved Universal Terrestrial Radio Access (E-UTRA); Study on Small Cell Enhancements for E-UTRA and E-UTRAN - Higher layer aspects (Release 12),3GPP TR 36.842 V0.2.0,2013年 6月 2日,pp.6,20-28
【文献】 NEC Group,Physical layer aspects for dual layer connectivity in small cells,3GPP TSG-RAN WG1#74 R1-133345,2013年 8月23日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24 − 7/26
H04W 4/00 − 99/00
3GPP TSG RAN WG1−4
SA WG1−4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の無線局における制御方法であって、
前記第1の無線局のセルと、第2の無線局のセルとを使用してDual Connectivityを行う無線端末へ、Dual Connectivityに関する設定情報を含むRadio Resource Control(RRC)メッセージを送信し、
前記第2の無線局との間でDual Connectivityに関する制御情報を通信し、
Dual Connectivityにおいて前記無線端末が使用する前記第1の無線局のセルにおける上りリンク送信電力の上限値と、前記第2の無線局のセルにおける上りリンク送信電力の上限値を、前記第2の無線局に送信する、制御方法。
【請求項2】
前記RRCメッセージの送信は、前記第1の無線局のセルにおける上りリンク送信電力の上限値を含む当該RRCメッセージの送信である、
請求項1に記載の制御方法。
【請求項3】
前記第1の無線局と前記第2の無線局とに分割されるベアラであるSplit bearerをサポートする、請求項1または2に記載の制御方法。
【請求項4】
第2の無線局における制御方法であって、
前記第2の無線局のセルと、第1の無線局のセルとを使用してDual Connectivityを行う無線端末へ、Dual Connectivityに関する設定情報の一部を含むRadio Resource Control(RRC)メッセージを送信し、
前記第1の無線局との間でDual Connectivityに関する制御情報を通信し、
Dual Connectivityにおいて前記無線端末が使用する前記第1の無線局のセルにおける上りリンク送信電力の上限値と、前記第2の無線局のセルにおける上りリンク送信電力の上限値を、前記第1の無線局から受信する、制御方法。
【請求項5】
前記RRCメッセージの送信は、前記第2の無線局のセルにおける上りリンク送信電力の上限値を含む当該RRCメッセージの送信である、
請求項に記載の制御方法。
【請求項6】
前記第1の無線局と前記第2の無線局とに分割されるベアラであるSplit bearerをサポートする、請求項4または5に記載の制御方法。
【請求項7】
第1の無線局であって
記第1の無線局のセルと、第2の無線局のセルとを使用してDual Connectivityを行うよう構成される無線端末へ、Dual Connectivityに関する設定情報を含むRadio Resource Control(RRC)メッセージを送信する第1の送信手段と
記第2の無線局との間でDual Connectivityに関する制御情報を通信する通信手段と
Dual Connectivityにおいて前記無線端末が使用する前記第1の無線局のセルにおける上りリンク送信電力の上限値と、前記第2の無線局のセルにおける上りリンク送信電力の上限値を、前記第2の無線局に送信する第2の送信手段と
備える、
第1の無線局。
【請求項8】
前記第1の送信手段は、前記第1の無線局のセルにおける上りリンク送信電力の上限値を含む前記RRCメッセージを、前記無線端末へ送信するよう構成される、請求項7に記載の第1の無線局。
【請求項9】
前記第1の無線局と前記第2の無線局とに分割されるベアラであるSplit bearerをサポートする制御手段を備える、請求項7または8に記載の第1の無線局。
【請求項10】
第2の無線局であって、
記第2の無線局のセルと、第1の無線局のセルとを使用してDual Connectivityを行うよう構成される無線端末へ、Dual Connectivityに関する設定情報の一部を含むRadio Resource Control(RRC)メッセージを送信する送信手段と
記第1の無線局との間でDual Connectivityに関する制御情報を通信する通信手段と
Dual Connectivityにおいて前記無線端末が使用する前記第1の無線局のセルにおける上りリンク送信電力の上限値と、前記第2の無線局のセルにおける上りリンク送信電力の上限値を、前記第1の無線局から受信する受信手段と
備える、
第2の無線局。
【請求項11】
前記送信手段は、前記第2の無線局のセルにおける上りリンク送信電力の上限値を含む前記RRCメッセージを、前記無線端末へ送信するよう構成される、請求項10に記載の第2の無線局。
【請求項12】
前記第1の無線局と前記第2の無線局とに分割されるベアラであるSplit bearerをサポートする制御手段を備える、請求項10または11に記載の第2の無線局。
【請求項13】
第1の無線局及び第2の無線局と、
前記第1の無線局が管理するセルおよび前記第2の無線局が管理するセルを使用してDual Connectivityを行うよう構成される無線端末と、
を備える無線通信システムであって
前記第1の無線局は、Dual Connectivityにおいて前記無線端末が使用する前記第1の無線局のセルにおける上りリンク送信電力の上限値と、前記第2の無線局のセルにおける上りリンク送信電力の上限値を、前記第2の無線局に送信し、
前記無線端末は、
前記第1の無線局および前記第2の無線局からDual Connectivityに関する設定情報を含むRadio Resource Control(RRC)メッセージを受信し、
前記第1の無線局のセルおよび前記第2の無線局のセルにおいて上りリンク信号を送信し、
記第1の無線局のセルにおける上りリンク送信電力の上限値を含む前記RRCメッセージを、前記第1の無線局から受信する
無線通信システム
【請求項14】
前記無線端末は、前記第2の無線局のセルにおける上りリンク送信電力の上限値を含む前記RRCメッセージを、前記第2の無線局から受信する、
請求項13に記載の無線通信システム
【請求項15】
前記第1の無線局と前記第2の無線局とに分割されるベアラであるSplit bearerをサポートする、請求項13または14に記載の無線通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、複数の基地局がそれぞれのセルにおいて同じ無線端末と通信を行う無線通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年のモバイルトラフィックの急激な増大による通信品質の低下の改善、及びさらなる高速通信の実現の為、3GPP Long Term Evolution(LTE)では無線基地局(eNode B: eNB)と無線端末(User Equipment: UE)が複数のセルを使用して通信を行うキャリアアグリゲーション(Carrier Aggregation: CA)機能の仕様化が行われている。なお、UEがCAで使用可能なセルは、1つのeNBの複数セル(つまり、eNBによって運用または管理される複数セル)に限定される。CAにおいてUEが使用するセルは、CAを開始する時点で既にサービングセルとして使用されているプライマリセル(Primary cell: PCell)と、追加的に又は従属的に使用されるセカンダリセル(Secondary cell: SCell)に分類される。PCellでは、無線接続の(再)確立(RRC Connection Establishment, RRC Connection Re-establishment)の際に、Non Access Stratum(NAS)モビリティ情報(NAS mobility information)及びセキュリティ情報(security input)が送受信される(非特許文献1のセクション7.5を参照)。
【0003】
CAでは、eNBからUEに送信されるSCell設定情報は、SCellの(UE間)共通無線リソース設定情報(RadioResourceConfigCommonSCell)、及びSCellの(UE毎)個別無線リソース設定情報(RadioResourceConfigDedicatedSCell)を含む。後者は、主に物理層の個別設定(PhysicalConfigDedicated)を示す。送信タイミング(Timing Advance: TA)が異なるセル(キャリア)が上りリンクでアグリゲーションされる場合には、Medium Access Control (MAC)副層の設定情報(MAC-MainConfigSCell)もeNBからUEに送信されるが、このMAC副層の設定情報は、TAが同じセルの集合を表すTA Group (TAG)のインデックス(STAG-Id)のみを含む(非特許文献2のセクション5.3.10.4を参照)。その他のMAC副層の設定はPCellとSCellで共通である。
【0004】
現在、LTE標準化において、Heterogeneous Network (HetNet)環境を主に想定した場合に、UEが複数のeNBの複数のセルを使用して通信を行うDual Connectivityの検討が行われている(非特許文献3を参照)。Dual Connectivityは、メイン基地局(マスター基地局、Master eNB: MeNB)とサブ基地局(セカンダリ基地局、Secondary eNB: SeNB)によって提供される(つまり、管理される)それぞれの無線リソース(つまり、セル又はキャリア)を同時使用してUEが通信を行う処理である。Dual Connectivityは、異なるeNBによって管理される複数のセルをUEがアグリゲーションするinter-eNB CAを可能とする。また、Dual Connectivityは、異なるnodeによって管理される複数の無線リソースをUEがアグリゲーションするという観点から、inter-node radio resource aggregationとも呼ばれる。MeNBは、Xnと呼ばれる基地局間インタフェースでSeNBと接続される。MeNBは、Dual Connectivityを実行するUEに対するコアネットワーク(Evolved Packet Core: EPC)のモビリティ管理装置(Mobility Management Entity: MME)との接続(S1-MME)を保持する。その為、MeNBはUEのモビリティ管理ポイント(又はmobility anchor)と呼ぶことができる。例えば、MeNBはMacro eNBであり、SeNBはPico eNB 又はLow Power Node(LPN)である。
【0005】
さらに、Dual Connectivityにおいて、ネットワークベアラ(EPS bearer)がMeNBとSeNBに分割されるベアラ分割(Bearer Split)も検討されている。本明細書においてネットワークベアラ(EPS Bearer)は、UEが受けるサービス毎にUEとコアネットワーク(EPC)のエンドポイント(つまり、P-GW (Packet Data Network Gateway))との間に設定される仮想的なコネクションを意味する。ベアラ分割の1つの案(alternative)では、例えば、MeNBのセルを経由する無線ベアラ(Radio Bearer: RB)及びSeNBのセルを経由する無線ベアラの両方が1つのネットワークベアラにマッピングされる。ここで言う無線ベアラ(RB)は主にデータ無線ベアラ(Data radio bearer: DRB)を指す。ベアラ分割は、ユーザースループットのさらなる向上に寄与することが期待されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】3GPP TS 36.300 V11.5.0 (2013-03), “3rd Generation Partnership Project; Technical Specification Group Radio Access Network; Evolved Universal Terrestrial Radio Access (E-UTRA) and Evolved Universal Terrestrial Radio Access Network (E-UTRAN); Overall description; Stage 2 (Release 11)”, 2013年3月
【非特許文献2】3GPP TS 36.331 V11.4.0 (2013-06), “3rd Generation Partnership Project; Technical Specification Group Radio Access Network; Evolved Universal Terrestrial Radio Access (E-UTRA); Radio Resource Control (RRC); Protocol specification (Release 11)”, 2013年6月
【非特許文献3】3GPP TR 36.842 V0.2.0 (2013-05), “3rd Generation Partnership Project; Technical Specification Group Radio Access Network; Evolved Universal Terrestrial Radio Access (E-UTRA); Study on Small Cell Enhancements for E-UTRA and E-UTRAN - Higher layer aspects (Release 12)”, 2013年5月
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ベアラ分割を伴うDual Connectivityを開始するための制御手順は十分に確立されていない。したがって、本明細書に開示される実施形態が達成しようとする目的の1つは、ベアラ分割を伴うDual Connectivityを開始するために必要な制御手順又はシグナリングを提供することである。その他の目的又は課題と新規な特徴は、本明細書の記述又は添付図面から明らかにされる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一実施形態において、無線通信システムは、無線アクセスネットワーク及び無線端末を含む。前記無線アクセスネットワークは、第1のセルを管理する第1の基地局及び第2のセルを管理する第2の基地局を含む。前記無線端末は、前記無線端末とコアネットワークの間のネットワークベアラが前記第1の基地局及び前記第2の基地局に分割されるベアラ分割を伴うdual connectivityをサポートする。さらに、前記無線アクセスネットワークは、前記ベアラ分割を伴うdual connectivityのために必要なaccess stratumの第1の制御情報を前記無線端末に送信するよう構成されている。
【0009】
一実施形態において、基地局装置は、無線端末とコアネットワークの間のネットワークベアラが前記基地局装置及び周辺基地局に分割されるベアラ分割を伴うdual connectivityを制御する通信制御部を含む。前記通信制御部は、前記ベアラ分割を伴うdual connectivityのために必要なaccess stratumの第1の制御情報を前記無線端末に送信するよう構成されている。
【0010】
一実施形態において、無線端末は、前記無線端末とコアネットワークの間のネットワークベアラが第1及び第2の基地局に分割されるベアラ分割を伴うdual connectivityを制御する通信制御部を含む。前記通信制御部は、前記ベアラ分割を伴うdual connectivityのために必要なaccess stratumの第1の制御情報を前記第1又は第2の基地局から受信し、前記第1の制御情報を基に前記ベアラ分割の有無を認識し、前記第1の制御情報に基づいて前記dual connectivityの通信を制御するよう構成されている。
【0011】
一実施形態において、制御方法は、無線端末とコアネットワークの間のネットワークベアラが第1及び第2の基地局に分割されるベアラ分割を伴うdual connectivityのために必要なaccess stratumの第1の制御情報を前記第1の基地局から前記無線端末に送信することを含む。
【0012】
一実施形態において、無線端末によって行われる制御方法は、(a)前記無線端末とコアネットワークの間のネットワークベアラが第1及び第2の基地局に分割されるベアラ分割を伴うdual connectivityのために必要なaccess stratumの第1の制御情報を前記第1又は第2の基地局から受信すること、及び(b)前記第1の制御情報を基に前記ベアラ分割の有無を認識し、前記第1の制御情報に基づいて前記dual connectivityの通信を制御すること、を含む。
【0013】
一実施形態において、プログラムは、コンピュータに読み込まれた場合に、上述した制御方法をコンピュータに行わせるための命令群(ソフトウェアコード)を含む。
【発明の効果】
【0014】
上述の実施形態によれば、ベアラ分割を伴うDual Connectivityを開始するために必要な制御手順又はシグナリングを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1A】ベアラ分割を伴うDual Connectivityに関するLTE レイヤ2のユーザープレーン プロトコルスタックの一例を示す図である。
図1B】ベアラ分割を伴うDual Connectivityに関するLTE レイヤ2のユーザープレーン プロトコルスタックの他の例を示す図である。
図2】第1〜第3の実施形態に係る無線通信システムの構成例を示す図である。
図3】第1の実施形態に係るベアラ分割を伴うDual Connectivityを開始するための制御手順の一例を示すシーケンス図である。
図4】第1の実施形態に係るベアラ分割を伴うDual Connectivityを開始するための制御手順の他の例を示すシーケンス図である。
図5】第2の実施形態に係るベアラ分割を伴うDual Connectivityを開始するための制御手順の一例を示すシーケンス図である。
図6】第3の実施形態に係るベアラ分割を伴うDual Connectivityを開始するための制御手順の一例を示すシーケンス図である。
図7】第1〜第3の実施形態に係るMeNBの構成例を示すブロック図である。
図8】第1〜第3の実施形態に係るSeNBの構成例を示すブロック図である。
図9】第1〜第3の実施形態に係るUEの構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下では、具体的な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。各図面において、同一又は対応する要素には同一の符号が付されており、説明の明確化のため、必要に応じて重複説明は省略される。
【0017】
以下に示される複数の実施形態は、主にEvolved Packet System(EPS)に関して説明される。しかしながら、これらの実施形態は、EPSに限定されるものではなく、他のモバイル通信ネットワーク又はシステム、例えば3GPP Universal Mobile Telecommunications System(UMTS)、3GPP2 CDMA2000システム(1xRTT, HRPD (High Rate Packet Data))、global system for mobile communications(GSM)/ General packet radio service(GPRS)システム、及びWiMAXシステム等に適用されてもよい。
【0018】
<第1の実施形態>
始めに、本実施形態を含む複数の実施形態が対象とするベアラ分割を伴うDual Connectivityのいくつかの例について説明する。図1A及び図1Bは、ベアラ分割を伴うDual Connectivity(例えばinter-node radio resource aggregation)に関するLTE レイヤ2のユーザープレーン プロトコルスタックの2つの案(alternative)を示している。ベアラ分割では、UEとコアネットワーク(EPC)のエンドポイント(つまり、P-GW)との間に設定されるネットワークベアラ(EPS bearer)がMeNB11とSeNB12に分割される。図1A及び図1Bの案では、EPS bearer #2がMeNB11及びSeNB12に分割される。図1A及び図1Bに示されたEPS bearer #1は、ベアラ分割の対象ではない通常のベアラであり、したがってMeNB11のセルを経由する無線ベアラに一対一でマッピングされる。
【0019】
図1A及び図1Bの案では、EPS bearer #2に一対一にマッピングされる1つのデータ無線ベアラ(DRB)は、レイヤ2のPacket Data Convergence Protocol(PDCP)副層、又はRadio Link Control(RLC)副層、又はMAC副層のいずれかにおいてMeNB11及びSeNB12に分割される。具体的には、図1Aの案では、MeNB11のPDCPエンティティがEPS bearer #2のS1-Uを終端する。言い換えると、EPS bearer #2にマッピングされる1つのS1ベアラ及び1つのデータ無線ベアラ(DRB)は、MeNB11のPDCP副層において終端される。さらに、図1Aの案では、ベアラ分割のためにMeNB11及びSeNB12が独立したRLCエンティティを有しており、MeNB11にて終端される1つのDRB (又はPDCPベアラ)は、MeNB11のRLCベアラ及びSeNB12のRLCベアラに分割される。ここで、PDCPベアラは、eNB及びUEのPDCP副層で終端されるコネクションを意味する。PDCPベアラは、PDCP Protocol Data Unit(PDCP PDU)と呼ぶこともできる。図1Aの例では、分割されるEPS bearer #2に関して1つのPDCPベアラが存在し、この1つのPDCPベアラはMeNB11とUE2で終端される。一方、RLCベアラは、eNB及びUEのRLC副層で終端されるコネクションを意味する。RRLCベアラは、RLC PDU又は論理チャネルと呼ぶこともできる。図1の例では、EPS bearer #2に関して2つの独立したRLCベアラが存在し、1つはMeNB11とUE2で終端され、他の1つはSeNB12とUE2で終端される。したがって、図1Aのアーキテクチャでは、UE2は、分割されるEPS bearer #2に関して2つの独立したRLCエンティティが必要とされる。
【0020】
図1Bの案では、図1Aの案と同様に、MeNB11のPDCPエンティティがEPS bearer #2のS1-Uを終端する。さらに、分割されるEPS bearer #2に関して、MeNB11はマスターRLCエンティティを有し、SeNB12はスレーブRLCエンティティを有する。図1Bの案では、UE2は、分割されるEPS bearer #2に関して1つのRLCエンティティのみが必要とされる。下りリンクでは、SeNB12のスレーブRLCエンティティは、マスターRLCエンティティによって既に組み立てられ、且つ送信のためにスレーブRLCに割り当てられたたRLC PDUsをMeNB11のマスターRLCエンティティから受信する。
【0021】
ここで、従来のCarrier Aggregation (CA)の観点から言うと、MeNB11のセルをPCell、SeNB12のセルをSCellと呼ぶことができる。以下、これを踏まえて説明する。しかし、本実施形態の適用範囲は、これに限定はされない。例えば、無線端末(UE)が、Dual Connectivityを実行しつつ、SeNB12の複数のセル(つまり、少なくとも複数の下りリンクComponent Carrier (CC))をCA(Intra-SeNB CA)する場合、当該CAの対象となるSeNB12のセルの1つをPCellと位置づけてもよいし、又はPCellのような疑似PCell(Pseudo PCell)として位置づけてもよい。尚、疑似PCell(Pseudo PCell)は、Anchor cell、Master cell、Control cell、等と呼ぶこともできる。前者(SeNB12のPCell)は、SeNB12のセルのCAにおいて従来のCAでのPCellと同様の役割を持つ。SeNB12のPCellでは、例えば、CAをする為のeNB(SeNB)によるSCell configurationやSCell activation/deactivation、UEによるRadio Link Monitoring (RLM)/ Radio Link Failure (RLF) detection、などが行われる。また、UEが、上り制御チャネル(PUCCH)でのL1/L2制御情報(e.g., CQI, CSI, HARQ feedback, Scheduling Request)の送信、Contention-based Random Access Channel (RACH)の(Preambleの)送信、RACH Preambleに対する応答(Random Access Response (RAR))の受信、などを行ってもよい。後者(SeNB12のPseudo PCell)は、従来のCAにおけるUser Plane (UP) の制御に関するPCell機能を備えたセルとしての役割を持つ。SeNB12のPseudo PCellでは、例えば、UEが、上り制御チャネル(PUCCH)でのL1/L2制御情報の送信、Contention-based RACHの(Preambleの)送信、RACH Preambleに対する応答(RAR)の受信、などを行ってもよい。さらに、当該UEにおいて、MeNB11のセルとSeNB12のセルの間に上下関係(PCellとSCell)や主従関係(MasterとSlave)が無くてもよい。
【0022】
なお、ベアラ分割を伴うDual Connectivityのユーザープレーン プロトコルスタックは、図1A及び図1Bの案に限定されない。ベアラ分割では、例えば、1つのネットワークベアラ(EPS bearer)に2つの無線ベアラがマッピングされてもよい。図1A及び図1Bの用語を用いると、EPS bearer #2は、MeNB11のセル(PCell)を経由する無線ベアラ(RB)及びSeNB12のセル(SCell)を経由する無線ベアラの両方にマッピングされる。本明細書では説明の便宜上、MeNB11のセル(PCell)を経由する無線ベアラをPrimary RB(P-RB)、SeNBのセル(SCell)を経由する無線ベアラ(RB)をSecondary RB(S-RB)と定義する。ベアラ分割の対象となるのは基本的にデータ無線ベアラ(DRB)であるため、P-RB及びS-RBは、P-DRB及びS-DRBと呼ぶこともできる。例えば、MeNB11がPS bearer #2のS1-Uを終端し、MeNB11及びSeNB12の各々が独立したPDCPエンティティを有してもよい。さらに、MeNB11のPDCPエンティティより上層の新たなレイヤにおいてEPS bearer #2の下りリンクS1-UパケットストリームをMeNB11のPDCPエンティティとSeNB12のPDCPエンティティにスプリットしてもよい。この場合、EPS bearer #2に関して2つの独立したPDCPベアラが存在し、1つはMeNB11とUE2で終端され、他の1つはSeNB12とUE2で終端される。
【0023】
図2は、本実施形態を含むいくつかの実施形態に係る無線通信システムの構成例を示している。無線通信システムは、無線アクセスネットワーク(Radio Access Network: RAN)1、無線端末(UE)2、及びコアネットワーク3を含む。EPSでは、RAN1はEvolved UMTS Terrestrial Radio Access Network (E-UTRAN)であり、コアネットワーク3はEvolved Packet Core(EPC)である。E-UTRAN1は、基地局(evolved NodeB:eNB)11及び12を含む。eNB11はセル110を管理し、eNB12はセル120を管理する。UE2は、無線アクセス技術によってeNB11及び12に接続する。EPC3は、E-UTRAN1を介してUE2からアクセスされ、UE2に対して外部ネットワーク(Packet Data Network: PDN)への接続サービス(例えば、Internet Protocol(IP)接続サービス)を提供する。なお、図2は、HetNet環境を示している。具体的に述べると、図2に示されたセル110は、セル120に比べて広いカバレッジを有する。また、図2は、セル110内にセル120が配置された階層化セル構成を示している。しかしながら、図2に示されたセル構成は一例に過ぎない。例えば、セル110及び120は、同程度のカバレッジを有してもよい。言い換えると、本実施形態に係る無線通信システムは、ホモジーニアス・ネットワーク(Homogeneous Network)環境に適用されてもよい。
【0024】
本実施形態のE-UTRAN1及びUE2は、ベアラ分割を伴うDual Connectivityをサポートする。すなわち、UE2は、eNB(つまり、MeNB)11のセル110をプライマリセル(PCell)として使用している間に、eNB(つまり、SeNB)12のセル120をセカンダリセル(SCell)として使用することができる。UE2は、ベアラ分割の対象とされる1つのEPS bearerのデータをPCell110及びSCell120を介して受信すること、若しくは1つのEPS bearerのデータをPCell110及びSCell120を介して送信すること、又はこれら両方を行うことができる。
【0025】
ベアラ分割を伴うDual Connectivityを開始するために、本実施形態に係るE-UTRAN1及びUE2は、以下に説明される制御手順又はシグナリングを行う。E-UTRAN1は、ベアラ分割を伴うdual connectivityのために必要なaccess stratumの第1の制御情報をUE2に送信するよう構成されている。そして、UE2は、第1の制御情報を基に(つまり、第1の制御情報の復号結果から)ベアラ分割の有無を認識し、第1の制御情報をE-UTRAN1から受信し、ベアラ分割を伴うdual connectivityの通信を第1の制御情報に基づいて制御するよう構成されている。尚、UE2が第1の制御情報を基にベアラ分割の有無を認識する方法は、例えばベアラ分割に関連する設定情報が含まれているか否か、ベアラ分割を行う明確な指示(フラグ等)が含まれているか否か、またはベアラ分割時に必要となる無線リソース制御情報が含まれているか否か、などを用いてもよい。E-UTRAN1からUE2に送られるaccess stratumの第1の制御情報は、以下の情報(1)〜(5)のうち少なくとも1つを含んでもよい。
(1)P-RB及びS-RBに関する無線ベアラ(RB)設定情報
(2)Scheduling Request(SR)に関する制御情報
(3)上りリンク(Uplink: UL)送信電力制御に関する制御情報
(4)上りリンク(UL)MAC PDUの生成に関する制御情報
(5)端末測定報告(UE measurement report)に関する制御情報
【0026】
(1)P-RB及びS-RBに関するRB設定情報
情報(1)〜(5)について順に説明する。P-RB及びS-RBに関するRB設定情報は、PCell110及びSCell120を経由する2つのRB(P-RB及びS-RB)と1つのEPS bearerとのマッピングを示す。このRB設定情報は、1つのEPS bearerがPCell110を経由するP-RB及びSCell120を経由するS-RBの両方にマッピングされるアーキテクチャにおいて有効である。P-RB及びS-RBに関するRB設定情報は、P-RBと共通のEPS bearer identityをS-RBにも設定してもよい。例えば、当該RB設定情報は、P-RBのEPS Radio Bearer identity(又はDRB-identity)に対応付けられているのと同じEPS bearer identityが、S-RBのEPS Radio Bearer identity(又はDRB-identity)に対応付けられることを示してもよい。これに代えて、当該RB設定情報は、P-RBと同じEPS bearer identity及びEPS Radio Bearer identity(又はDRB-identity)をS-RBに対して設定してもよい。
【0027】
ここで、P-RB及びS-RBに関するRB設定情報と、通常のCA(intra-eNB CA)でのSCell設定情報の違いについて説明する。通常のCA(intra-eNB CA)では、eNBがPCellを経由してUEにSCell設定を送信する。そして、UEがSCell設定を行う。通常のCA のSCell設定は、SCellの(UE毎)個別無線リソース設定情報(RadioResourceConfigDedicatedSCell)を含む。しかしながら、この通常のCAの当該設定情報は、SCell物理チャネル設定情報を含むが、無線ベアラ(RB)に関する情報を含んでいない。なぜなら、通常のCA においてSCell固有に必要とされる機能はPHY層及びMAC副層の機能のみであり(SCellのRLC副層及びPDCP副層はPCellと共通)、SCellに関する無線ベアラ設定(つまり、EPS bearerと無線ベアラのmapping)は不要であるためである。
【0028】
一方、1つのEPS bearerがPCell110を経由するP-RB及びSCell120を経由するS-RBの両方にマッピングされるアーキテクチャでは、1つのEPS bearerが異なるeNB(MeNB11とSeNB12)の複数の無線ベアラにマッピングされていることを示す情報が必要である。つまり、通常のCA(intra-eNB CA)で採用されているSCell設定方法は、SCellの無線ベアラ設定手順を欠いているため、1つのEPS bearerがPCell110を経由するP-RB及びSCell120を経由するS-RBの両方にマッピングされるアーキテクチャにおけるSCell設定に適用することが難しい。したがって、ここで説明したように、通常のCAとは異なる新規のRB設定情報(特にS-RBに関する設定情報なので、S-RB設定情報と呼ぶこともできる)が必要とされる。
【0029】
(2)SRに関する制御情報
Scheduling Request(SR)は、UE2に送信されるべきデータが存在する場合に上りリンク無線リソースの割り当てを要求するためにUEからeNBに送信される。UEは、Physical Uplink Control Channel(PUCCH)において、又はRandom Access Channel(RACH)を使用するRandom Access Procedureを利用して、SRを送信する。SRに関する制御情報は、ベアラ分割の対象とされるEPS Bearerの送信データがUE2に存在する場合に、SRがMeNB11のセル(例えば、PCell110)及びSeNB12のセル(例えばSCell120)のいずれで送信されるべきであるかを示す。一例において、SRに関する制御情報は、SR(又はSRを送るためのRACH)の送信先がMeNB11(PCell110)及びSeNB12(SCell120)のいずれであるかを明示的に示してもよい。これに代えて、SRに関する制御情報は、SR(又はSRを送るためのRACH)の送信先がUE2において選択可能であることを示してもよい。具体的には、SRに関する制御情報は、SR(又はSRを送るためのRACH)の送信先を選択可能にするシグナリングを規定してもよく、UE2においてSRの送信先を選択するよう指示してもよい。このような制御によって、UE2は、ベアラ分割の実行時にもSRの送信先を適切に決定することができる。
【0030】
(3)UL送信電力制御に関する制御情報
ベアラ分割の実行時には、MeNB11のセル(例えばPCell110)及びSeNB12のセル(例えばSCell120)での上りリンク送信の総送信電力に対して上限が規定されてもよい。UL送信電力制御に関する制御情報は、PCell110での上りリンク送信とSCell120での上りリンク送信が同一サブフレーム(LTE subframe)においてUE2にスケジュールされた場合(つまり、UE2がPCell110とSCell120の両方に対してUL grantを受信した場合)に、UE2において上りリンク送信電力を制御する手順に適用されてもよいし、PCell110とSCell120の両方で上りリンクの送信するデータまたは制御情報が存在する場合に、UE2において上りリンク送信電力を制御する手順に適用されてもよい。当該制御情報は、例えば、PCell110及びSCell120での上りリンク送信の総送信電力に課される最大送信電力を示してもよい。UE2は、まずPCell110での送信電力を決定した後に、SCell120での送信電力を決定してもよい。つまり、UE2は、PCell110での上りリンク送信で使用されなかった余剰送信電力を用いてSCell120における上りリンク送信を行ってもよい。これとは反対に、UE2は、SCell120での上りリンク送信で使用されなかった余剰送信電力を用いてPCell110における上りリンク送信を行ってもよい。このような制御によって、UE2は、ベアラ分割の実行時にもUL送信電力制御を適切に行うことができる。
【0031】
これに代えて、ベアラ分割の実行時には、PCell110及びSCell120での上りリンク送信のそれぞれに個別に送信電力の上限が規定されてもよい。この場合、UL送信電力制御に関する制御情報は、PCell110及びSCell120での上りリンク送信のそれぞれに個別に課される第1及び第2の最大送信電力を示してもよい。当該制御情報は、第1の最大送信電力の設定値と、第2の最大送信電力を求めるためのオフセット値(正又は負の値)を示してもよい。第1の最大送信電力の設定値にオフセット値を加えた値が、SCell120での上りリンク送信に課される第2の最大送信電力とされてもよい。このような制御によっても、UE2は、ベアラ分割の実行時にもUL送信電力制御を適切に行うことができる。
【0032】
(4)UL MAC PDUの生成に関する制御情報
ベアラ分割の実行時であっても、UE2は、ベアラ分割の対象ベアラ及び非対象ベアラを含む全てのEPS bearerについて、EPS bearer QoS(QoS class identifier(QCI)、guaranteed bit rate(GBR)、又はaggregate maximum bit rate(AMBR)など)を考慮したMAC PDUの生成を行うべきである。なお、MAC PDUは、トランスポートブロックと呼ぶこともできる。したがって、UL MAC PDUの生成に関する制御情報は、MeNB11のセル(例えばPCell110)での上りリンク送信とSeNB12のセル(例えばSCell120)での上りリンク送信が同一サブフレーム(LTE subframe)においてUE2にスケジュールされた場合(つまり、UE2がPCell110とSCell120の両方に対してUL grantを受信した場合)に、PCell110での上りリンク送信のための第1のMAC PDU及びSCell120での上りリンク送信のための第2のMAC PDUをUE2において生成する手順に適用される。
【0033】
UL MAC PDUの生成に関する制御情報は、例えば、ベアラ分割の対象とされるEPS bearerの1つの論理チャネルに対して、第1のMAC PDUの生成時に適用される第1のPrioritized Bit Rate(PBR)、及び第2のMAC PDUの生成時に適用される第2のPBRを示してもよい。言い換えると、当該情報は、ベアラ分割の対象とされるEPS bearerの1つの論理チャネルに対して2つのPBR、すなわちPCell110での送信用の第1のPBR及びSCell120での送信用の第2のPBR、を指定してもよい。この場合、第1及び第2のPBRは、第1及び第2のPBRの合計(算術和)が、ベアラ分割の対象とされるEPS bearerの1つの論理チャネルにふさわしいPBRとなるよう設定されるとよい。このような制御によって、ベアラ分割の対象とされるEPS bearerの上り送信データが、ベアラ分割の対象とされないEPS bearerのそれに比べて過剰に送信されること(過剰にMAC PDUに含まれること)を抑制できる。
【0034】
UL MAC PDUの生成に関する制御情報は、ベアラ分割の対象とされるEPS bearerの論理チャネルに与えられるPrioritized Bit Rate(PBR)が、第1及び第2のMAC PDUのいずれにおいて優先的に確保されるべきかを示してもよい。UE2は、PCell110で許可された上りリンクリソースをベアラ分割の対象でないEPS bearerの送信に優先的に利用することが適切であるかもしれない。なぜなら、ベアラ分割の対象とされるEPS bearerの上りリンク送信には、SCell120で許可された上りリンクリソースを利用できるためである。したがって、UL MAC PDUの生成に関する制御情報は、ベアラ分割の対象とされるEPS bearerの論理チャネルに与えられるPBRが第2のMAC PDUにおいて優先的に確保されるべきであることを示してもよい。このような制御によっても、ベアラ分割の対象とされるEPS bearerの上り送信データが、ベアラ分割の対象とされないEPS bearerのそれに比べて過剰に送信されることを抑制できる。
【0035】
UL MAC PDUの生成に関する制御情報は、ベアラ分割の実行時に、PCell110(第1のMAC PDU)に適用されるPBRとSCell120(第2のMAC PDU)に適用されるPBRの間で重み付けを行うための設定値(ウェイト値)を含んでもよい。また、当該制御情報は、ベアラ分割の実行時に、ベアラ分割の対象とされるEPS bearerの論理チャネルに与えられるPBRとベアラ分割の対象とされないEPS bearerの論理チャネルに与えられるPBRの間で重み付けを行うための設定値(ウェイト値)を含んでもよい。
【0036】
(5)端末測定報告(UE measurement report)に関する制御情報
LTEでは、端末測定報告(UE Measurement Report)のトリガとなる以下のイベントが規定されている。
・Event A1 (Serving becomes better than threshold)
・Event A2 (Serving becomes worse than threshold)
・Event A3 (Neighbour becomes offset better than PCell)
・Event A4 (Neighbour becomes better than threshold)
・Event A5 (PCell becomes worse than threshold1 and neighbour becomes better than threshold2)
・Event A6 (Neighbour becomes offset better than SCell)
【0037】
ここで、Serving (cell)は、UE2がデータ通信に使用可能なようにネットワーク(つまり、eNB)から設定され且つアクティベートされたセル(cell configured and activated by network)それぞれを指す。例えば、従来のCAでUE2が2つのセルを使用している場合、当該2つのセルがどちらもserving cellとなり、どちらに注目するか(つまり、どちらのserving cellに対して比較をするか)は、当該measurement reportの設定(configuration)が行われたセルがどちらかで決まってもよい。つまり、当該設定が通知されたセル(UE2が当該設定を受信したセル)がserving cellとなってもよい。一方、neighbour (cell)は基本的にserving cell以外のセルである。ただし、Event A3及びA5では、注目する(つまり、比較の基準となる)serving cell以外のserving cellもneighbour cellとしてもよい。
【0038】
端末測定報告に関する制御情報は、上記イベントのいずれかを含んでもよいし、ベアラ分割時の為に新規に定義されたイベントを含んでもよい。上記イベントのいずれかを含む場合、PCellはMeNB11のセル110でもよいし、SeNB12のセル120でもよい。また、SCellはMeNB11のセル110以外のセル(もしそれが設定されていた場合)でもよいし、SeNB12のセル120又はSeNB12のセル120以外のセル(もしそれが設定されていた場合)でもよい。一方、新規イベントとしては、例えば以下のイベントが考えられる。尚、イベントの番号は一例であり、これに限定されない。
・Event A7 (Neighbour becomes offset better than Pseudo PCell)
・Event A8 (Pseudo PCell becomes worse than threshold1 and neighbour becomes better than threshold2)
・Event A9 (Neighbour of SeNB becomes better than threshold)
・Event A10 (Neighbour of SeNB becomes offset better than SCell)
【0039】
続いて以下では、ベアラ分割を伴うDual Connectivity(例えば、inter-node radio resource aggregation)を開始するための制御手順のいくつかの例について説明する。図3は、ベアラ分割を伴うDual Connectivityを開始するための制御手順の一例を示すシーケンス図である。図3の例では、UE2があるサービス(例えば、FTP download)を開始するためにRRC_IDLE状態からRRC_CONNECTED状態に遷移する手順において、ベアラ分割を伴うDual Connectivityの設定が行われる。E-UTRAN1は、UE2にベアラ分割が必要である(又は効果がある)と判断したことに応じて、ベアラ分割のための設定を開始する。さらに、図3の例では、1つのEPS BearerがPCell110を経由するPrimary RB (P-RB)及びSCell120を経由するSecondary RB(S-RB)の両方にマッピングされる。図3の例では、UE2は、始めにPCell110においてP-RBを確立し、その後にSCell120においてS-RBを確立する。
【0040】
ステップS11では、UE2は、E-UTRAN1との間でConnection Establishment 手順を実行する。ステップS11のConnection Establishment 手順では、まずMeNB11とUE2の間にRRC connectionが確立され(ステップ1)、その後に初期セキュリティ活性化(initial security activation)とDRB(つまり、P-RB)の確立が行われる(ステップ2)。ステップ1は、UE2からMeNB11へのRRC Connection Requestメッセージの送信、MeNB11からUE2へのRRC Connection Setupメッセージの送信、及びUE2からMeNB11へのRRC Connection Setup Completeメッセージの送信を含む。ステップ2は、MeNB11からUE2へのRRC Connection Reconfigurationメッセージの送信、及びUE2からMeNB11へのRRC Connection Reconfiguration Completeメッセージの送信を含む。P-RBの設定情報は、ステップ2のRRC Connection Reconfigurationメッセージに含まれる。
【0041】
ステップS12では、E-UTRAN1は、UE2にS-RB設定(Bearer Split Configuration)を送信する。S-RB設定の送信は、MeNB11によって行われてもよいし、MeNB11及びSeNB12の組み合わせによって行われてもよい。言い換えると、S-RB設定の一部がMeNB11からUE2に送信され、S-RB設定の残りがSeNB12からUE2に送信されてもよい。S-RB設定の送信は、図3に示されるように、RRC Connection Reconfigurationメッセージを用いて行われてもよい。
【0042】
ステップS13では、UE2は、E-UTRAN1にS-RB設定の完了を報告する。UE2は、S-RB設定の完了をMeNB11に報告してもよいし、SeNB12に報告してもよいし、これら両方に報告してもよい。S-RB設定の完了報告は、図3に示されるように、RRC Connection Reconfiguration Completeメッセージを用いて行われてもよい。
【0043】
ステップS14では、E-UTRAN1は、S-RBの使用開始(Bearer Split Activation)をUE2に通知する。S-RBの使用開始の通知は、MeNB11によって行われてもよいし、SeNB12によって行われてもよい。なお、ステップS14は、省略されてもよい。この場合、ステップS13の完了に応じて、S-RBの使用が開始されてもよい。
【0044】
図3のステップS12においてE-UTRAN1からUE2に送信されるS-RB設定(Bearer Split Configuration)は、上述した“access stratumの第1の制御情報”に相当する。S-RB設定(Bearer Split Configuration)は、例えば、以下に示す4つのメッセージに含まれる設定要素の総称(論理的名称)である。これらの設定要素は、1つの情報要素(Information Element: IE)としてUE2に送られてもよいし、複数の情報要素(IE)として送られてもよい。
・DRB-ToAddMod_Sbearer
・RadioResourceConfigCommon_Sbearer
・RadioResourceConfigDedicated_Sbearer
・BearerSplitResourceConfig
【0045】
DRB-ToAddMod_Sbearerは、S-RB設定(例えば、eps-BearerIdentity, drb-Identity, pdcp-Config, 及びrlc-Config)を示す。既に述べたように、S-RBのeps-BearerIdentity及びdrb-Identityは、P-RBのeps-BearerIdentity及びdrb-Identityと同じであってもよい。しかしながら、P-RBのdrb-Identityは、P-RBのそれと異なってもよい。
【0046】
RadioResourceConfigCommon_Sbearerは、S-RBのリソース設定(例えば、prach-Config, pdsch-ConfigCommon, pusch-ConfigCommon, pucch-ConfigCommon, uplinkPowerControlCommon, 及びtdd-Config, dl-Bandwidth)を示す。言い換えると、RadioResourceConfigCommon_Sbearerは、S-RBが設定(確立)されるセルの共通無線リソース情報を含む。
【0047】
RadioResourceConfigDedicated_Sbearerは、S-RBのリソース設定(例えば、physicalConfigDedicated, 及びmac-MainConfig)を示す。言い換えると、RadioResourceConfigDedicated_Sbearerは、S-RBが設定(確立)されるセルの個別無線リソース情報を含む。上述したDRB-ToAddMod_Sbearerは、このIEの要素の1つとして送信されてもよい。
【0048】
BearerSplitResourceConfigは、ベアラ分割のための具体的な設定を示す。ベアラ分割のための具体的な設定は、ベアラ分割の実行時に利用される機能に関する制御パラメータを含む。これらの制御パラメータは、ベアラ分割の実行時にはベアラ分割の非実行時とは異なる設定が必要とされる機能、又はベアラ分割の実行時にのみ適用される新しい(特別な)機能の設定に利用される。これらの制御パラメータは、既に述べたように、(a)scheduling request(SR)及びrandom access channel(RACH)に関する制御情報、(b)UL送信電力制御(UL power control)に関する制御情報、及び(c)UL MAC PDUの生成(例えば、logical channel prioritization: LCP)に関する制御情報のうち少なくとも1つを含んでもよい。
【0049】
図4は、ベアラ分割を伴うDual Connectivityを開始するための制御手順の他の例を示すシーケンス図である。図4の例を図3の例と比べると、図4の例は、UE2がRRC_IDLE状態からRRC_CONNECTED状態に遷移する手順においてP-RB及びS-RBが同時に設定される点が図3の例と異なる。
【0050】
ステップS21〜S25では、UE2は、E-UTRAN1との間でConnection Establishment 手順を実行する。すなわち、ステップS21〜S25は、図3のステップS11に対応する。ステップS21〜S23はRRC connectionの確立手順(ステップ1)であり、ステップS24〜S25はDRBの確立手順(ステップ2)である。
【0051】
ステップS21では、UE2は、RRC Connection RequestメッセージをE-UTRAN1に送信する。ステップS22では、E-UTRAN1は、RRC Connection SetupメッセージをUE2に送信する。このRRC Connection Setupメッセージは、PCell110の設定とSCell120の設定の両方を含む。ステップS23では、UE2は、RRC Connection Setup CompleteメッセージをE-UTRAN1に送信する。このRRC Connection Setup Completeメッセージは、PCell110及びSCell120の設定完了を示す。
【0052】
ステップS24では、DRB(つまり、P-RB及びS-RBの両方)を確立するために、E-UTRAN1は、RRC Connection ReconfigurationメッセージをUE2に送信する。このRRC Connection Reconfigurationメッセージは、P-RB設定とS-RB設定の両方を含む。ステップS25では、UE2は、RRC Connection Reconfiguration CompleteメッセージをE-UTRAN1に送信する。このRRC Connection Reconfiguration Completeメッセージは、P-RB及びS-RBの設定完了を示す。
【0053】
ステップS25では、E-UTRAN1は、S-RBの使用開始(Bearer Split Activation)をUE2に通知する。図3のステップS14と同様に、ステップS25は省略されてもよい。
【0054】
図4の手順において、ステップS22で送信されるSCell設定の一部(例えば、BearerSplitResourceConfig)は、ステップS24で送信されてもよい。
【0055】
図4の手順におけるE-UTRAN1による処理は、MeNB11によって行われてもよいし、MeNB11及びSeNB12の組み合わせによって行われてもよい。
【0056】
図3及び図4の例は、UE2がRRC_IDLE状態からRRC_CONNECTED状態に遷移する際に、ベアラ分割を伴うDual Connectivityを開始するための制御又はシグナリングが行われる例を示した。しかしながら、ベアラ分割を伴うDual Connectivityを開始するための制御又はシグナリングは、UE2が既にPCell110においてRRC_CONNECTED状態であり且つEPC3との間でECM-CONNECTED状態であり、PCell110を経由してEPC3からサービスを受けているとき(EPS Bearerが設定されているとき)に行われてもよい。
【0057】
以上の説明から理解されるように、本実施形態は、ベアラ分割を伴うDual Connectivityを開始するために必要な制御手順又はシグナリングを提供することができる。
【0058】
<第2の実施形態>
本実施形態は、上述した第1の実施形態の変形について説明する。本実施形態に係る無線通信システムの構成例は図2と同様である。本実施形態では、MeNB11は、基地局間インタフェース(例えば、Xnインタフェース)を介してSeNB12とシグナリングメッセージを交換し、ベアラ分割を伴うDual Connectivity(例えばinter-node radio resource aggregation)の設定をSeNB12に適用する。例えば、MeNB11は、ベアラ分割を伴うDual Connectivityを開始するために必要な第2の制御情報(つまり、ベアラ分割の設定情報)をSeNB12に送信してもよい。このとき、SeNB12は、MeNB11から受信した第2の制御情報(ベアラ分割の設定情報)を受け入れ可能であるかを判定してよい。もし受け入れ可能でない場合、SeNB12は、受け入れ不可能であることをMeNB11に通知してもよいし、受け入れ可能な代替設定をMeNB11に提案してもよい。なお、当該第2の制御情報(ベアラ分割の設定情報)の内容は、前述の第1の制御情報の内容と少なくとも一部が共通していてもよい。さらに、Xnインタフェースの代わりに、X2インタフェースや、S1インタフェースを介してMeNB11とSeNB12がシグナリングメッセージを交換してもよい。
【0059】
図5は、本実施形態において、ベアラ分割を伴うDual Connectivityを開始するための制御手順の一例を示すシーケンス図である。図5の例では、図3の例と同様に、UE2があるサービス(例えば、FTP download)を開始するためにRRC_IDLE状態からRRC_CONNECTED状態に遷移する手順において、ベアラ分割を伴うDual Connectivityの設定が行われる。MenB11は、UE2にベアラ分割が必要である(又は効果がある)と判断したことに応じて、ベアラ分割のための設定を開始する。図5の例では、図3の例と同様に、1つのEPS BearerがPCell110を経由するPrimary RB (P-RB)及びSCell120を経由するSecondary RB(S-RB)の両方にマッピングされる。図5の例では、図3の例と同様に、UE2は、始めにPCell110においてP-RBを確立し、その後にSCell120においてS-RBを確立する。
【0060】
MeNB11とUE2の間で行われるステップS31の処理は、図3に示されたステップS11の処理と同様とすればよい。図5のステップS32では、MeNB11は、ベアラ分割(の実行又は設定)をSeNB12に要求する。ステップS33では、SeNB12は、ベアラ分割(の実行又は設定)の受け入れ可否をMeNB11に応答する。SeNB12においてベアラ分割(の実行又は設定)が受諾された場合、ステップS34〜S36の処理が行われる。MeNB11とUE2の間で行われるステップS34〜S36の処理は、図3に示されたステップS12〜S14の処理と同様とすればよい。
【0061】
図5のステップS32においてMeNB11からSeNB12にベアラ分割の要求が送信される際に、ベアラ分割の設定情報が送信されてもよい。ベアラ分割の設定情報は、例えば、ベアラ分割の対象とされるEPS bearerとS-RBとのマッピングを示す。ベアラ分割の設定情報は、ベアラ分割の対象とされるEPS bearer のEPS bearer identityとS-RBのRadio Bearer identity(DRB-identity)を含んでもよい。これに代えて、ベアラ分割の設定情報は、EPS bearerのEPS bearer identityを含み、S-RBのRadio Bearer identity(DRB-identity)を含まなくてもよい。この場合、SeNB12は、S-RBのRadio Bearer identity(DRB-identity)を決定し、決定したS-RBのRadio Bearer identity(DRB-identity)をステップS33においてMeNB11に通知してもよい。
【0062】
図5のステップS32においてMeNB11からSeNB12に送信されるベアラ分割の設定情報は、図3のステップS12(及び図5のステップS34)で送信される以下の情報の少なくとも1つを含んでもよい。
・DRB-ToAddMod_Sbearer
・ベアラ分割の対象となるSeNBのセルの識別情報(例えば、ECGI及び/又はPCI)
・RadioResourceConfigCommon_Sbearer
・RadioResourceConfigDedicated_Sbearer
・BearerSplitResourceConfig
【0063】
これらに加えて又はこれらの代わりに、ベアラ分割の設定情報は、以下に示す情報の少なくとも1つを含んでもよい。
・UE2の識別情報(例えば、C-RNTI及び/又はTMSI)
・セキュリティに関する情報
・無線リソース使用に関する情報
【0064】
セキュリティに関する情報は、例えば、KeNB、KeNB*、NextHopChainingCount、SecurityAlgorithmConfig、などが考えられる。しかし、その他のaccess stratum (AS) layerのセキュリティに関する情報でもよい。無線リソース使用に関する情報は、例えば、SeNB12におけるリソースの使用状況(Resource Status)の報告の要求、及び/又は当該報告の周期、などが考えられる。
【0065】
以上の説明から理解されるように、本実施形態は、ベアラ分割を伴うDual Connectivityを開始するために必要な、MeNB11とSeNB12の間の制御手順又はシグナリングを提供することができる。
【0066】
<第3の実施形態>
本実施形態は、上述した第1及び第2の実施形態の変形について説明する。本実施形態に係る無線通信システムの構成例は図2と同様である。本実施形態に係るMeNB11は、第2の実施形態と同様に、基地局間インタフェース(例えば、Xnインタフェース)を介してSeNB12とシグナリングメッセージを交換し、ベアラ分割を伴うDual Connectivityの設定をSeNB12に適用する。
【0067】
図6は、本実施形態において、ベアラ分割を伴うDual Connectivityを開始するための制御手順の一例を示すシーケンス図である。図6の例では、図4の例と同様に、UE2がRRC_IDLE状態からRRC_CONNECTED状態に遷移する手順においてP-RB及びS-RBが同時に設定される。
【0068】
MeNB11とUE2の間で行われるステップS41〜S43の処理は、図4に示されたステップS21〜S23の処理と同様とすればよい。図6のステップS44では、MeNB11は、EPC3との間でNAS Service Setupを行い、EPS Bearerを設定する(NAS接続確立)。このとき、MeNB11は、ベアラ分割の要求又はベアラ分割を行うことの通知などをEPC3(具体的にはMME)に送信してもよい。
【0069】
MeNB11とSeNB12の間で行われるステップS45及びS46の処理は、図5に示されたステップS32及びS33の処理と同様とすればよい。すなわち、ステップS45では、MeNB11は、ベアラ分割の実行(設定)をSeNB12に要求する。ステップS46では、SeNB12は、ベアラ分割の実行(設定)の受け入れ可否をMeNB11に応答する。
【0070】
MeNB11とUE2の間で行われるステップS47〜S49の処理は、図4に示されたステップS24〜S26の処理と同様とすればよい。なお、ステップS45及びS46の手続きでSeNB12においてベアラ分割の実行(設定)が受諾されたことに応じて、MeNB11は、ステップS47において、P-RB設定とS-RB設定の両方を含むRRC Connection ReconfigurationメッセージをUE2に送信すればよい。これに対して、SeNB12においてベアラ分割の実行(設定)が拒否された場合、MeNB11は、ステップS47において、P-RB設定を含むがS-RB設定を含まないRRC Connection ReconfigurationメッセージをUE2に送信すればよい。
【0071】
以上の説明から理解されるように、本実施形態は、ベアラ分割を伴うDual Connectivityを開始するために必要な、MeNB11とSeNB12の間の制御手順又はシグナリングを提供することができる。
【0072】
続いて以下では、上述した第1〜第3の実施形態に係るMeNB11、SeNB12、及びUE2の構成例について説明する。図7は、MeNB11の構成例を示すブロック図である。無線通信部111は、UE2から送信された上りリンク信号(uplink signal)をアンテナを介して受信する。受信データ処理部113は、受信された上りリンク信号を復元する。得られた受信データは、通信部114を経由して他のネットワークノード、例えばEPC3のServing Gateway(S-GW)又はMME、又は他のeNBに転送される。例えば、UE2から受信された上りユーザーデータは、EPC3内のS-GWに転送される。また、UE2から受信された制御データのうちNASの制御データは、EPC3内のMMEに転送される。さらに、受信データ処理部113は、SeNB12に送信される制御データを通信制御部115から受信し、これを通信部114を経由してSeNB12に送信する。
【0073】
送信データ処理部112は、UE2宛てユーザーデータを通信部114から取得し、誤り訂正符号化、レートマッチング、インタリービング等を行なってトランスポートチャネルを生成する。さらに、送信データ処理部112は、トランスポートチャネルのデータ系列に制御情報を付加して送信シンボル列を生成する。無線通信部111は、送信シンボル列に基づく搬送波変調、周波数変換、信号増幅等の各処理を行って下りリンク信号(downlink signal)を生成し、これをUE2に送信する。さらに、送信データ処理部112は、UE2に送信される制御データを通信制御部115から受信し、これを無線通信部111を経由してUE2に送信する。
【0074】
通信制御部115は、ベアラ分割を伴うDual Connectivityを制御する。通信制御部115は、ベアラ分割を伴うdual connectivityのために必要なaccess stratumの第1の制御情報を、送信データ処理部112及び無線通信部111を介して、UE2に送信するよう構成されている。また、第2及び第3の実施形態では、通信制御部115は、ベアラ分割の対象とされるEPS bearerとS-RBとのマッピングを示す無線ベアラ(RB)設定情報を、通信部114を介して、SeNB12に送信するよう構成されている。
【0075】
図8は、SeNB12の構成例を示すブロック図である。図8に示された無線通信部121、送信データ処理部122、受信データ処理部123、及び通信部124の機能及び動作は、図7に示されたMeNB11の対応する要素、すなわち無線通信部111、送信データ処理部112、受信データ処理部113、及び通信部114と同様である。
【0076】
SeNB12の通信制御部125は、ベアラ分割を伴うDual Connectivityを制御する。第2及び第3の実施形態では、通信制御部125は、ベアラ分割の対象とされるEPS bearerとS-RBとのマッピングを示す無線ベアラ(RB)設定情報を、通信部124を介して、MeNB11から受信するよう構成されている。
【0077】
図9は、UE2の構成例を示すブロック図である。無線通信部21は、Dual Connectivityをサポートし、異なるeNB(MeNB11及びSeNB12)によって運用される複数のセル(PCell110及びSCell120)において同時に通信できるよう構成されている。具体的には、無線通信部21は、アンテナを介して、MeNB11若しくはSeNB12又はこれら両方から下りリンク信号を受信する。受信データ処理部22は受信された下りリンク信号から受信データを復元してデータ制御部23に送る。データ制御部23は、受信データをその目的に応じて利用する。また、送信データ処理部24及び無線通信部21は、データ制御部23から供給される送信データを用いて上りリンク信号を生成し、MeNB11若しくはSeNB12又はこれら両方に向けて送信する。
【0078】
UE2の通信制御部25は、ベアラ分割を伴うDual Connectivityを制御する。通信制御部25は、第1の実施形態で説明されたように、ベアラ分割を伴うdual connectivityのために必要なaccess stratumの第1の制御情報をE-UTRAN1(MeNB11又はSeNB12)から受信し、ベアラ分割を伴うdual connectivityの通信を第1の制御情報に基づいて制御する。
【0079】
<その他の実施形態>
第1〜第3の実施形態で説明されたベアラ分割を伴うDual Connectivityに関するMeNB11、SeNB12、及びUE2における通信制御は、いずれもApplication Specific Integrated Circuit(ASIC)を含む半導体処理装置を用いて実現されてもよい。また、これらの処理は、少なくとも1つのプロセッサ(e.g. マイクロプロセッサ、Micro Processing Unit(MPU)、Digital Signal Processor(DSP))を含むコンピュータシステムにプログラムを実行させることによって実現されてもよい。具体的には、シーケンス図等を用いて説明されたアルゴリズムをコンピュータシステムに行わせるための命令群を含む1又は複数のプログラムを作成し、当該プログラムをコンピュータに供給すればよい。
【0080】
このプログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)、Compact Disc Read Only Memory(CD-ROM)、CD-R、CD-R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、Programmable ROM(PROM)、Erasable PROM(EPROM)、フラッシュROM、Random Access Memory(RAM))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0081】
また、第1〜第3の実施形態では、主にLTEシステムに関して説明を行った。しかしながら、既に述べたように、これらの実施形態は、LTEシステム以外の無線通信システム、例えば、3GPP UMTS、3GPP2 CDMA2000システム(1xRTT, HRPD)、GSM/GPRSシステム、又はWiMAXシステム等に適用されてもよい。
【0082】
さらに、上述した実施形態は本件発明者により得られた技術思想の適用に関する例に過ぎない。すなわち、当該技術思想は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、種々の変更が可能であることは勿論である。
【0083】
この出願は、2013年10月31日に出願された日本出願特願2013−227472を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
【符号の説明】
【0084】
1 Evolved UTRAN(E-UTRAN)
2 User Equipment(UE)
3 Evolved Packet Core(EPC)
11 Master eNodeB(MeNB)
12 Secondary eNodeB(SeNB)
25 通信制御部
110 Primary Cell(PCell)
120 Secondary Cell(SCell)
115 通信制御部
125 通信制御部
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9