(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
(本実施形態の概要)
初めに、本実施形態にて開示する蓄電素子の管理装置、蓄電装置、太陽光発電システム、劣化量の推定方法および劣化量を推定するコンピュータプログラムの概要について説明する。
【0010】
蓄電素子における満充電容量の劣化量を推定する蓄電素子の管理装置は、前記管理装置に電源が供給されている電源供給状態の時の前記蓄電素子の温度を測定する測定部と、前記管理装置に電源が供給されていない電源非供給状態の時間を計時する計時部と、制御部とを備える。前記制御部は、前記蓄電素子が電源非供給状態となる直前に測定された第1温度と、前記蓄電素子が電源供給状態
に復帰して最初に測定された第2温度とに基づいて内挿を行い
、第1温度測定時か
ら第2温度測定時までの前記蓄電素子の温度を決定することにより、決定された温度に基づいて満充電容量の劣化量を推定する。なお、内挿とは、線形補間(直線補間)、多項式補間、高次関数や三角関数などの曲線補間、ゼロ次関数(ステップ関数)補間を含むものである。
【0011】
蓄電装置は蓄電素子と、前記蓄電素子の管理装置とを備える。
太陽光発電システムは光を電力に変換して出力する光発電装置と、光発電装置によって発電した直流電流を交流電流に変換するパワーコンディショナと、前記蓄電装置とを備える。
【0012】
蓄電素子における満充電容量の劣化量を推定する劣化量の推定方法は、前記蓄電素子が電源非供給状態となる直前に測定された第1温度と、前記蓄電素子が電源供給状態に復帰し最初に測定された第2温度とに基づいて内挿を行い
、第1温度測定時か
ら第2温度測定時までの前記蓄電素子の温度を決定することにより、決定された温度に基づいて満充電容量の劣化量を推定する。
蓄電素子における満充電容量の劣化量を推定
するコンピュータプログラムは、前記蓄電素子が電源非供給状態となる直前に測定された第1温度と、前記蓄電素子が電源供給状態に復帰し最初に測定された第2温度とを取得
する取得ステップと、前記第1温度および
前記第2温度に基づいて内挿を行
う内挿ステップと
、第1温度測定時か
ら第2温度測定時までの前記蓄電素子の温度を決定
する温度決定ステップと、決定された温度に基づいて満充電容量の劣化量を推定
する推定ステップと、をコンピュータに実行させる。
【0013】
本発明者らは、管理装置に電源が供給されていない電源非供給状態である期間中、測定部が蓄電素子の温度を測定できないことに起因して蓄電素子における満充電容量の推定誤差が増大することに着目した。そして、本発明者らは、
電源非供給状態となる直前の第1温度と、
電源供給状態に復帰し最初に測定された第2温度とに基づいて第1温度測定時から第2温度測定時までの蓄電素子の温度を決定し、決定された温度に基づいて満充電容量の劣化量を推定すること見出した。第1温度測定時から第2温度測定時までの蓄電素子の温度を内挿することで、環境温度を予め記憶させたり、外部から温度情報を取得したりせずに、満充電容量の推定精度の低下を抑制することができる。
【0014】
前記制御部は、前記第1温度測定時から前記第2温度測定時までの時間における所定サンプリング時間毎の温度を決定し、前記所定サンプリング時間毎の温度に基づいて前記所定サンプリング時間毎の劣化量を決定することにより満充電容量の劣化量を推定してもよい。
【0015】
このような構成によると、所定サンプリング時間毎の温度に基づく蓄電素子の劣化量の推定を、直前に推定された所定サンプリング時間に基づく蓄電素子の劣化量を元に算出して第1温度測定時か
ら第2温度測定時までの時間における満充電容量の総劣化量を推定することができる。そのため、第1温度測定時か
ら第2温度測定時までの時
間における満充電容量の劣化量を一括して推定する場合に比べて、満充電容量の劣化量の推定精度の低下を抑制することができる。
【0016】
前記制御部は、前記第1温度測定時から前記第2温度測定時まで
の時間に
おける前記蓄電素子の温度が曲線的に変化すると仮定して前記所定サンプリング時間毎の温度を決定してもよい。
【0017】
本発明者らは、蓄電素子の通電後の蓄電素子温度の変化について研究し、管理装置に電源が供給されていない電源非供給状態における蓄電素子温度が曲線的に変化する(低下する場合の他、蓄電素子および周辺状況から上昇する場合も含む)ことを見出した。
【0018】
第1温度測定時から第2温度測定時まで、時間に対する蓄電素子の温度が曲線的に変化すると仮定して所定サンプリング時間毎の温度を補間(内挿)することにより、第1温度測定時から第2温度測定時までの時間における所定サンプリング時間毎の単位温度を直線的に補間する場合に比べて、満充電容量の推定精度の低下をさらに抑制することができる。
【0019】
前記制御部は、前記第2温度測定時の温度と、前記第1温度測定時の温度との平均温度を前記第1温度測定時から前記第2温度測定時までの時間における前記蓄電素子の温度として満充電容量の劣化量を推定してもよい。
第1温度測定時か
ら第2温度測定時までの蓄電素子の温度を平均温度として補間(内挿)することにより、満充電容量の劣化量を1回の演算だけで推定することができる。
【0020】
前記制御部は、前記第2温度測定時の温度と前記第1温度測定時の温度とのいずれか高い温度を前記第1温度測定時から前記第2温度測定時までの時間における前記蓄電素子の温度として満充電容量の劣化量を推定してもよい。
【0021】
第2温度測定時の温度と第1温度測定時の温度とのいずれか高い温度を、第1温度測定時か
ら第2温度測定時までの蓄電素子の温度として補間(内挿)することにより、満充電容量の劣化量が実際よりも少なく推定されることを防ぎつつ、1回の演算だけで満充電容量の劣化量を推定することができる。
【0022】
<実施形態1>
実施形態1について
図1から
図11を参照して説明する。
図1は、太陽の光を起電力とする太陽光発電システムPSを示しており、太陽光発電システムPSは、光発電装置PVと、パワーコンディショナPCと、蓄電装置10とを備えて構成されている。
【0023】
光発電装置P
Vは、光起電力効果によって光を電力に変換して出力するものであって、直流電流を発生させる。
パワーコンディショナPCは、光発電装置PVによって発電した直流電流を交流電流に変換する。電化製品などの負荷Eは、パワーコンディショナPCを介して光発電装置PVと接続されている。
【0024】
蓄電装置10は、
図2に示すように、組電池20と、電池管理装置(「管理装置」の一例、以下、「BMU」という)30と、電流検出抵抗50と、電流遮断装置51と、温度センサ(「測定部」の一例)52とを備える。
【0025】
組電池20と、電流検出抵抗50と、電流遮断装置51とは、通電路Lを介して直列に接続されている。組電池20の正極側は、電流遮断装置51を介して正極端子部12Pに接続され、負極側は、電流検出抵抗50を介して負極端子部12Nに接続されている。
【0026】
組電池20は、例えばグラファイト系材料の負極活物質と、リン酸鉄リチウムなどのリン酸鉄系の正極活物質とを使用した蓄電素子21を直列に複数(本実施形態では4つ)接続して構成されている。正極活物質は、二相共存反応型の活物質であってもよい。正極活物質は、一般式LiMPO
4で示される物質であり、Mは、Fe,Mn,Cr,Co,Ni,V,Mo,Mgのうちの何れか一つであってもよいが、これらに限定されない。負極活物質は、具体的には、黒鉛、易黒鉛化カーボン、難黒鉛化カーボン等の何れか一つである。
【0027】
電流検出抵抗50は、通電路Lの電流を検出する抵抗器であって、電流検出抵抗50の両端電圧をBMU30に出力する。
電流遮断装置51は、例えばNチャネルのFETなどの半導体スイッチやリレーからなる。電流遮断装置51は、BMU30からの駆動指令に応答して作動し、組電池20と正極端子部12Pとの間の通電を遮断する。
【0028】
温度センサ52は、接触式あるいは非接触式であって、BMU30と接続されており、組電池20の温度[℃]を測定してBMU30に出力する。
【0029】
BMU30は、電圧検出回路31と、中央処理装置であるCPU(「制御部」の一例)33と、メモリ34と、電流検出回路35と、計時部36とを備えて構成されている。BMU30は、正極端子部12Pと電流遮断装置51との間に接続される電力ラインL2と、組電池20と電流検出抵抗50との間に接続される電力ラインL3とを介して通電路Lに接続されることで組電池20から電力の供給を受けている。
【0030】
電流遮断装置51が組電池20と正極端子部12Pとの間の通電を遮断すると、BMU30には電力が供給されなくなる。
本実施形態の太陽光発電システムPSでは、蓄電装置10における組電池20の放電を抑制するために、太陽光発電システムPSの電源をオフ状態にすることに伴って、BMU30を通じて電流遮断装置51により通電を遮断する。そして、太陽光発電システムPSの電源をオン状態にする場合には、パワーコンディショナPCから供給される電力によりBMU30を通じて電流遮断装置51を通電状態に切り替える。
【0031】
電圧検出回路31は、複数(本実施形態では5本)のセル電圧検出ラインL1を介して、各蓄電素子21の両端にそれぞれ接続されており、各蓄電素子21のセル電圧および組電池20の電池電圧をCPU33に対して出力する。
【0032】
メモリ34は、例えばフラッシュメモリやEEPROM等の不揮発性メモリとされている。メモリ34には、各蓄電素子21または組電池20を管理する各種プログラム、各種プログラムの実行に必要なデータ(例えば、OCV−SOC相関関係や組電池20の初期の実容量)などが記憶されている。
【0033】
電流検出回路35は、電流検出抵抗50の両端電圧が入力されるようになっており、電流検出抵抗50の両端電圧と電流検出抵抗50の抵抗値とに基づいて、通電路Lに流れる電流を算出してCPU33に出力する。
【0034】
計時部36は、時間を計時するものである。計時部36は、温度センサ52による温度計測の時間および温度計測間の時間差を計測してCPU33に出力する。計時部36には、コンデンサなどからなる図示しないバックアップ電源が接続されており、電流遮断装置51により組電池20と正極端子部12Pとの間の通電が遮断された場合でも、継続して時刻を計時することができるようになっている。
【0035】
CPU33は、受信した各種の情報と、メモリ34から読み出したプログラムとに基づいて、各部の監視および制御を行う。
【0036】
一般に組電池は、充放電を繰り返すことによるサイクル劣化と、製造後の経過時間による経時劣化とにより、満充電容量が低下する。ここで、満充電容量とは、組電池が完全
に充電された状態から取り出し可能な容量である。なお、経時劣化が生じる要因としては、リチウムイオン二次電池の負極に形成されるSEI(Solid electrolyte interface)被膜が製造後の時間経過に伴って成長して厚くなることが例示できる。
【0037】
経時劣化に対しては、一般に、ルート則を用いた推定方法がある。ルート則は、満充電容量の低下量(劣化量)Qが、電池の放置によって経過した時間である経過時間Tiのルート(例えば、平方根)に比例するといった法則である。
【0038】
図3は、組電池20に対して通電後、電源オフして電池を放置した時の満充電容量の劣化量Qの時間的推移を示している。
図3は、縦軸が満充電容量の劣化量Q、横軸が電池の放置による経過時間TiであるQ−Ti相関グラフである。満充電容量の劣化量Qの時間的推移を表す容量変化曲線R1およびR2は、経過時間Tiに対するルート曲線となっている。ここで、
図3の
容量変化曲線(実線
)R1は、
容量変化曲線(破線
)R2よりも電池温度が低い設定となっている。
図3に示すように、電池温度が高いほど劣化量Qが増加する。
【0039】
図4のQ−
√Ti相関グラフは、横軸を電池の放置による経過時間Tiのルートとして表したものである。
図4のQ−√Tiの相関グラフに示すように、満充電容量の劣化量Qと電池の放置による経過時間
(√Ti
)とが比例関係となり、組電池20の満充電容量の推移が直線的な容量変化直線(劣化速度係数)kとして表される。
ここで、劣化速度係数kは、Eaを活性エネルギー、Aを頻度因子、Rを気体定数、Teを絶対温度とした場合、以下に示すアレニウスの反応速度式である(1)式として表すことができる。
【数1】
【0040】
そして、この(1)式の対数をとると
【数2】
となる。そして、
図5に示すように、アレニウスの反応速度式を直線式と見立てて、切片lnAと傾きEa/Rを実験的に求めることで、縦軸が劣化速度lnk、横軸が絶対温度Teであるlnk−Te相関グラフを以下の(2)式で表すことができる。
【数3】
劣化速度係数kは、一般に、経過時間が同一の場合、
図6に示すように、組電池のSOC(state of charge[%]:充電状態(満充電容量に対する残存容量の比率))が低いほどおおよそ小さくなる傾向にある。
図6は、縦軸が劣化速度係数k、横軸がSOCであるk−SOC相関グラフである。実線k35は、電池温度が35[℃]の時の劣化速度係数とSOCの関係を示す。破線k25は、電池温度が25[℃]の時の劣化速度係数とSOCの関係を示し、一点鎖線k10は、電池温度が10[℃]の時の劣化速度係数とSOCの関係を示している。
【0041】
組電池20の温度変化後のSOCに対応する(2)式をもとに、組電池20の温度変化前の電池温度と温度変化後の電池温度とにより劣化速度係数kを求め、以下の(3)式を用いることで、
図7に示すように、組電池20の経過時間における劣化量を推定することができる。ここで、Tiは前回の測定時から組電池20が放置された経過時間、Qnは経過時間Tiの終点における組電池20の劣化量(現時点での組電池20の劣化量)、Qn−1は経過時間Tiの始点における組電池20の劣化量(前回推定した時の組電池20の劣化量)、knは今回測定時の劣化速度係数(k=f(Te))である。図
7は、縦軸を満充電容量の劣化量Q、横軸を時間のルートとするQ−√時間の相関グラフであって、kn−1は前回測定時の劣化速度係数である。
【数4】
【0042】
つまり、前回の劣化量Qn−1に今回の経過時間Tiにおける劣化量を加算してゆくことで、組電池20の現在の劣化量Qnを推定することができる。そして、初期の電池容量から(3)式で算出した経時劣化量と別途求めたサイクル劣化量とを除算することで、現時点での組電池20の満充電容量を算出することができる。
【0043】
具体的には、CPU33は、温度センサ52および計時部36から常時あるいは定期的に入力される温度および前回の電池温度測定時からの経過時間と、SOCに基づいて、組電池20の経時劣化における総劣化量ΣQを推定する経時劣化推定処理を実行する。
【0044】
以下に、経時劣化推定処理について、
図8に示すフローチャートを参照しつつ説明する。
蓄電装置10では、組電池20の電池温度および前回の電池温度測定からの経過時間Tiが、温度センサ52および計時部36からCPU33に常時または定期的に入力され、前回の電池温度測定時における電池電圧と今回の電池温度測定時における電池電圧とが電圧検出回路31からCPU33に入力されている。
【0045】
そこで、経時劣化推定処理では、経過時間Tiと、経過時間Tiの始点(前回測定時)における始点温度Ti1および終点(今回の測定時)における終点温度Ti2と、始点および終点における電池電圧V1,V2とに基づいて処理を実行する。
【0046】
CPU33は、まず、メモリ34に記憶されたOCV−SOC相関関係に基づいて、始点および終点の電池電圧V1,V2から始点SOCと終点SOCを算出し、算出されたそれぞれのSOCに対応する(2)式を選択する(S11)。なお、それぞれのSOCに対応する(2)式の選択は、SOCの0%から100%の範囲においてSOCが10%毎の(2)式を、
図6などを用いて予め求めてメモリ34に記憶させておき、始点SOCと終点SOCを算出した際に、メモリ34から選択される。
【0047】
次に、始点SOCにより選択された(2)式と始点温度Ti1とに基づいて始点劣化速度係数k1を算出すると共に、終点SOCにより選択された(2)式と終点温度Ti2とに基づいて終点劣化速度係数k2を算出する(S12)。
【0048】
そして、始点劣化速度係数k1と終点劣化速度係数k2とに基づいて、
図9に示すように、経過時間Tiにおける劣化速度係数kuを以下の(4)式により算出する(S13)。ここで、SOC1は始点SOC、SOC2は終点SOC、SOCuは経過時間Ti中におけるSOCである。
【数5】
【0049】
次に、経過時間Tiにおける劣化速度係数kuが算出されたところで、上記の(3)式により、前回の劣化量Qn−1に今回の経過時間Tiにおける劣化量を加算することで、組電池20の現在の劣化量Qnを推定する(S14)。
【0050】
以上のようにして算出された経時劣化による劣化量と、別途算出されたサイクル劣化(充放電を繰り返すことによる劣化)の劣化量とを、初期の電池容量から
減算することで、現時点での組電池20の満充電容量を算出することができる。
そして、この経時劣化推定処理を定期的に繰り返すことで、組電池20の満充電容量を推定することができる。
【0051】
ところで、太陽光発電システムPSにおいて、蓄電装置10における組電池20の放電を抑制するために、太陽光発電システムPSの電源がオフ状態となり、これに伴って、蓄電装置10におけるBMU30の電源が供給されない電源非供給状態になる。すると、BMU30は、電源非供給状態の期間中は、経時劣化推定処理ができなくなってしまう。つまり、満充電容量の容量推定精度の低下が懸念される。
【0052】
そこで、本実施形態では、BMU30が電源非供給状態となる直前の最終測定時の最終温度(「第2温度」の一例)Tfと、BMU30の電源が復帰して電源供給状態となって最初に測定された初回測定時の初回温度(「第1温度」の一例)Tsと、初回測定時から最終測定時までの未測定時間Tbとに基づいて、
図10に示すように、未測定時間Tbにおける電池温度を直線
補間(「内挿」の一例)し、所定サンプリング時間毎の電池温度を推定することで所定サンプリング時間毎の劣化量、ひいては未測定時間Tb中の経時劣化における総劣化量ΣQを推定するオフ期間劣化推定処理を実行する。初回温度Tsと最終温度Tfとの取得が取得ステップに相当し、初回測定時から最終測定時までの未測定時間Tbとに基づいて未測定時間Tbにおける電池温度の直線
補間が内挿ステップに相当する。所定サンプリング時間毎の電池温度の推定が温度決定ステップに相当し、所定サンプリング時間毎の劣化量、ひいては未測定時間Tb中の経時劣化における総劣化量ΣQの推定が推定ステップに相当する。
【0053】
以下に、オフ期間劣化推定処理について、
図11に示すフローチャートを参照しつつ説明する。
オフ期間劣化推定処理では、CPU33は、まず、未測定時間Tbにおける最終温度Tfと初回温度Tsとの間の電池温度が直線的に変化したとして、未測定時間Tb中の電池温度を直線によって補間し、未測定時間Tbにおける単位時間あたりの温度変化量Tcを算出する(S21)。
【0054】
次に、CPU33は、未測定時間Tbを所定サンプリング時間毎に分割し、単位時間あたりの温度変化量Tcをもとに、所定サンプリング時間毎(Tb1,Tb2・・・Tbn)の電池温度である分割温度(Tu1,Tu2・・・Tun)を算出する(S22)。ここで、Tb1とは所定時間を分割した1番目の所定時間を表し、Tbnとは所定時間を分割したn番目の所定時間を表す。
【0055】
また、CPU33は、初回温度Tsの測定時の電池電圧とメモリ34に記憶されたOCV−SOC相関関係に基づいて、未測定時間Tb中のSOCを算出し、算出されたSOCに対応する上記の(2)式を選択する(S23)。
【0056】
そして、CPU33は、選択された(2)式と最終温度Tfとに基づいて最終時の劣化速度係数である最終係数kfを算出すると共に、選択された(2)式と未測定時間Tbにおいて最終測定時に最も近い所定時間Tb1の分割温度Tu1とに基づいて第1係数(分割温度Tu1の時の劣化速度係数)k1を算出する(S24)。
【0057】
次に、CPU33は、最終係数kfと第1係数k1とに基づいて、未測定時間Tbにおける劣化速度係数kf1を上記の(4)式により算出する
(S25)。なお、劣化速度係数kf1のfは、最終係数kfのfを表し、kf1の1は第1係数k1の1を表している。
【0058】
そして、未測定時間Tbにおける劣化速度係数kf1をもとに、上記の(3)式により、未測定時間Tbにおいて最終測定時に最も近い分割温度Tu1における組電池20の経時劣化における劣化量Q1を算出する。これにより、未測定時間Tbを所定サンプリング時間毎に分割した最初の劣化量Q1を得ることができる。
そして、劣化量Q1をもとに、満充電容量の劣化量を更新して未測定時間Tb中のSOCを算出し直し、算出し直されたSOCに対応する上記の(2)式を選択す
る。
【0059】
次に
、選択された(2)式と所定時間Tb2の分割温度Tu2とに基づいて第2係数(分割温度Tu2の時の劣化速度係数)k2を算出し、第1分係数k1と第2係数k2とに基づいて、未測定時間Tbにおける劣化速度係数k12を算出する。これにより、劣化量Q2を算出する。そして、劣化量Q2をもとに、満充電容量の劣化量を更新して未測定時間Tb中のSOCを算出し直す。
【0060】
このようにして、これを未測定時間Tbにおける所定サンプリング時間毎(Tb1,Tb2・・・Tbn)の劣化量(Q1,Q2・・・Qn)を順次繰り返して算出して前回の劣化量に今回の劣化量を加算していくことで、未測定時間Tbにおける組電池20の経時劣化における総劣化量ΣQを推定する(S26)。
【0061】
そして、未測定時間Tbにおける経時劣化の総劣化量ΣQを、経時劣化推定処理によって算出した組電池20の劣化量Qnに加算することで、未測定時間Tbにおける経時劣化を含めた組電池の満充電容量の推定をすることができる。
【0062】
つまり、BMU30の電源がオフとなった期間である未測定時間Tb中の劣化量も加算されて組電池20の満充電容量が推定されるから、例えば、BMUの電源がオフとなった期間の劣化量を推定しないもの場合に比べて、組電池20の満充電容量の推定精度が低下することを抑制することができる。
【0063】
以上のように、本実施形態によると、BMU30の電源がオフとなる直前の最終測定時の最終温度Tfと、電源がオンに復帰して最初に測定された初回測定時の初回温度Tsとに基づいて、未測定時間Tbにおける所定サンプリング時間毎(Tb1,Tb2・・・Tbn)の分割温度(Tu1,Tu2・・・Tun)を直線補間(内挿)して決定する。そして、分割温度に基づいて所定サンプリング時間毎
の劣化量(Q1,Q2・・・Qn)を算出し、未測定時間Tbにおける経時劣化の総劣化量ΣQを推定するから、例えば、BMUの電源がオフとなった期間の劣化量を推定しない場合に比べて、組電池20の満充電容量の推定精度が低下することを抑制することができる。また、例えば、環境温度を予め記憶させたり、外部から温度情報を取得したりせずに所定サンプリング時間毎の温度を決定することができる。
【0064】
また、本実施形態によると、未測定時間Tbにおける所定サンプリング時間毎(Tb1,Tb2・・・Tbn)の分割温度(Tu1,Tu2・・・Tun)に基づいて、所定サンプリング時間毎(Tb1,Tb2・・・Tbn)の劣化速度係数(kf1,k12,k23・・・kns)を算出し、これらの劣化速度係数(kf1,k12,k23・・・kns)に基づいて所定サンプリング時間毎(Tb1,Tb2・・・Tbn)の劣化量Qを推定する。そして、所定サンプリング時間毎(Tb1,Tb2・・・Tbn)の劣化量Qに基づいてSOCを算出し直して組電池20の経時劣化における総劣化量ΣQを推定しているから、例えば、未測定時間全体における満充電容量の劣化量を一括して推定する場合に比べて、未測定時間Tbにおける組電池20の総劣化量ΣQの推定精度が低下することを抑制することができる。ひいては、組電池20の満充電容量の推定精度を向上させることができる。
【0065】
<実施形態2>
次に、実施形態2について
図12から
図14を参照して説明する。
実施形態2は、実施形態1におけるオフ期間劣化推定処理のステップを一部変更したものであって、実施形態1と共通する構成、作用、および効果については重複するため、その説明を省略する。また、実施形態1と同じ構成については同一の符号を用いるものとする。
【0066】
本発明者らは、通電中の組電池20
が発熱して、環境温度よりも電池温度が上昇し、電源がオフになると、電池温度は環境温度まで下がることに着目した。そして、本発明者らは、電源オフ直後の電池温度の下がり方が、
図12および
図13で示すように、直線ではなく凹状のexp関数の曲線状に変化することを見出した。
【0067】
つまり、未測定時間Tbにおける組電池20の電池温度の時間的推移が、曲線的に変化すると仮定して、未測定時間Tbにおける組電池20の電池温度の時間的推移をexp関数モデルによって補間することで、電池温度の時間的推移を直線的に補間するものに比べて、組電池20の経時劣化の劣化量の推定精度を向上させることができることを見出した。
図12のグラフは、縦軸を電池温度、横軸を時間とする通電後の電池温度と時間推移との相関関係を示すグラフであって、実線Texpがexp関数モデルによって補間した電池温度の時間的推移を示しており、破線Torgが実際の電池温度の時間的推移(真値)を示している。
【0068】
実施形態2におけるオフ期間劣化推定処理では、BMU30の電源がオフとなる直前の最終測定時の最終温度Tfと、BMU30の電源がオンに復帰した状態において最初に測定された初回測定時の初回温度Tsとを用いて未測定時間Tb中の温度推移を以下に示すexp関数によりモデル化し、
図13に示すように、未測定時間Tbにおける電池温度を凹状の曲線的に
補間する。
【0069】
そして、所定サンプリング時間毎(Tb1,Tb2・・・Tbn)の分割温度(Tu1,Tu2・・・Tun)を推定することで所定サンプリング時間毎の劣化量(Q1,Q2・・・Qn)、ひいては未測定時間Tb中の経時劣化における総劣化量ΣQを推定するオフ期間劣化推定処理を実行する。
【0070】
以下に、実施形態2におけるオフ期間劣化推定処理について、
図14に示すフローチャートを参照しつつ説明する。
【0071】
オフ期間劣化推定処理では、CPU33は、まず、未測定時間Tbにおける最終温度Tfと初回温度Tsとの間の電池温度を、最終温度Tfと初回温度Tsとに基づいて、
図13に示すような、温度が凹状に低減変化するexp温度モデルを構築する(S31)。ここで、exp温度モデルは、電源がオフになった時点から電源がオンされて復帰するまでの時間に対する温度変化を表す温度モデルであって、yを温度、xを時間として、以下の(5)式からexp温度モデルを求める。
【数6】
【0072】
例えば、電源がオフになった時の温度と時間を温度T1と時間t1とし、電源がオンとなって復帰した時の温度と時間を時間t2と温度T2とする。
電源がオフになった時は、(y,x)=(t1,T1)であり、
【数7】
となる。
したがって、
【数8】
と求めることができる。
【0073】
一方、電源がオンになった時は、(y,x)=(t2,T2)であり、
【数9】
となる。したがって、
【数10】
と求めることができる。
つまり、exp温度モデルを以下の(5−1)式として求めることができる。
【数11】
【0074】
そして、CPU33は、未測定時間Tbを所定サンプリング時間毎に分割し、所定サンプリング時間毎(Tb1,Tb2・・・Tbn)の電池温度である分割温度(T
u1,T
u2・・・T
un)を、上記のexp温度モデルである(5−1)式により算出する(S32)。
【0075】
次に、CPU33は、実施形態1と同様に、
図14のS33からS36を実行する。
【0076】
以上のように、本実施形態によると、電源オフ直後の電池温度の下がり方が、直線ではなく凹状の曲線となるexp関数の(5−1)式により、未測定時間Tb中の温度推移を
補間して、所定サンプリング時間毎の分割温度における劣化量を推定しているから、例えば、未測定時間における所定サンプリング時間毎の単位温度を直線的に補間する場合に比べて、満充電容量の推定精度の低下をさらに抑制することができる。なお、蓄電素子やシステムの周辺温度、使用履歴、季節、場所、時間情報等から第二温度までの時間変化を予測し、最適なフィッティング関数を選択して内挿してもよい。
【0077】
<実施形態3>
次に、実施形態3について
図15から
図16を参照して説明する。
実施形態3は、実施形態1におけるオフ期間劣化推定処理のステップを一部変更したものであって、実施形態1と共通する構成、作用、および効果については重複するため、その説明を省略する。また、実施形態1と同じ構成については同一の符号を用いるものとする。
【0078】
実施形態3におけるオフ期間劣化推定処理では、
図15に示すように、BMU30の電源がオフとなる直前の最終測定時の最終温度Tfと、BMU30の電源がオンに復帰した状態において最初に測定された初回測定時の初回温度Tsとの平均温度Tmを未測定時間Tbにおける組電池20の電池温度として
補間する。そして、所定サンプリング時間毎の電池温度を推定することで所定サンプリング時間毎の劣化量、ひいては未測定時間Tb中の経時劣化における総劣化量を推定するオフ期間劣化推定処理を実行する。
【0079】
以下に、実施形態3におけるオフ期間劣化推定処理について、
図16に示すフローチャートを参照しつつ説明する。
オフ期間劣化推定処理では、CPU33は、まず、未測定時間Tbにおける最終温度Tfと初回温度Tsとの平均温度Tmを算出する(S41)。
【0080】
また、CPU33は、初回温度Tsの測定時の電池電圧とメモリ34に記憶されたOCV−SOC相関関係に基づいて、未測定時間Tb中のSOCを算出し、算出されたSOCに対応する上記の(2)式を選択する(S42)。
そして、選択された(2)式と平均温度Tmとに基づいて平均温度Tmの劣化温度係数である平均係数kmを算出する(S43)。
【0081】
次に、平均係数kmをもとに、上記の(3)式により、未測定時間Tbにおける組電池20の経時劣化の総劣化量ΣQを算出する(S44)。
【0082】
以上のように、本実施形態によると、未測定時間Tb中における組電池20の経時劣化の劣化量Qを1回の演算によって算出することができるから、例えば、BMUの電源がオフとなった期間の劣化量を推定しない場合に比べて、組電池20の満充電容量の推定精度が低下することを抑制することができると共に、演算回数が多いオフ期間劣化推定処理に比べて、CPU33の負担を軽減することができる。なお、最終温度と初回温度について重みを考慮して平均(重み平均)を取ってもよい。重みの付け方は、蓄電素子やシステムの周辺温度、使用履歴、季節、場所、時間情報等から判断してもよい。
【0083】
<実施形態4>
次に、実施形態4について
図17から
図18を参照して説明する。
実施形態4は、実施形態1におけるオフ期間劣化推定処理のステップを一部変更したものであって、実施形態1と共通する構成、作用、および効果については重複するため、その説明を省略する。また、実施形態1と同じ構成については同一の符号を用いるものとする。
【0084】
実施形態4におけるオフ期間劣化推定処理では、
図17に示すように、BMU30の電源がオフとなる直前の最終測定時の最終温度Tfと、BMU30の電源がオンに復帰した状態において最初に測定された初回測定時の初回温度Tsとのいずれか高い電池温度を未測定時間Tbにおける組電池20の電池温度として
補間する。そして、所定サンプリング時間毎の電池温度を推定することで所定サンプリング時間毎の劣化量、ひいては未測定時間Tb中の経時劣化における総劣化量を推定するオフ期間劣化推定処理を実行する。
【0085】
以下に、実施形態4におけるオフ期間劣化推定処理について、
図18に示すフローチャートを参照しつつ説明する。
オフ期間劣化推定処理では、CPU33は、まず、未測定時間Tbにおける最終温度Tfと初回温度Tsとを比較し、いずれか高い電池温度を未測定時間Tb中の未測定電池温度Tuとする(S51)。
【0086】
CPU33は、初回温度Tsの測定時の電池電圧とメモリ34に記憶されたOCV−SOC相関関係に基づいて、未測定時間Tb中のSOCを算出し、算出されたSOCに対応する上記の(2)式を選択する(S52)。
【0087】
そして、選択された(2)式と未測定電池温度Tuとに基づいて劣化速度係数kを算出し(S53)、上記の(3)式により、未測定時間Tbにおける組電池20の経時劣化の総劣化量ΣQを算出する(S54)。
【0088】
以上のように、本実施形態によると、未測定時間Tb中における組電池20の経時劣化の劣化量Qを1回の演算によって算出することができるから、例えば、BMU30の電源がオフとなった期間の劣化量を推定しない場合に比べて、組電池20の満充電容量の推定精度が低下することを抑制することができると共に、演算回数が多いオフ期間劣化推定処理に比べて、CPU33の負担を軽減することができる。
【0089】
本実施形態によると、最終温度Tfと初回温度Tsとを比較し、いずれか高い電池温度を未測定時間Tb中の未測定電池温度Tuとしているから、満充電容量の低下量が実際よりも少なく推定されることを防ぐことができる。
【0090】
<実施例>
本発明の実施例について
図19から
図22を参照して説明する。
本実施例は、実施形態1から実施形態4における組電池20の電池容量の時間的推移を示したグラフであり、
図19は実施形態1、
図20は実施形態2、
図21は実施形態3、
図22は実施形態4を示している。
これらのグラフにおいて、縦軸は組電池20の電池容量[Ah]を表したものであり、横軸は時間[day]を表している。
【0091】
また、各グラフ内における実線Aが、別途算出したサイクル劣化による劣化量と、本実施形態における経時劣化推定処理によって推定した劣化量と、オフ期間劣化推定処理によって推定した劣化量とを合計した場合の組電池20における劣化量の時間的推移であり、破線Bが組電池20における真の劣化量の時間的推移、二点鎖線Cがオフ期間劣化推定処理を実行しなかった場合(サイクル劣化の劣化量と、経時劣化推定処理の劣化量との合計)の時間的推移である。
【0092】
ここで、
図19から
図22の実線Aと破線Bと二点鎖線Cとを比較すると、いずれの実施形態においても、実線Aは、破線Bに比べて二点鎖線Cとの誤差が小さくなっている。
【0093】
詳細には、満充電容量の推定値と真値との誤差は、以下に示す(6)式の二乗平均誤差(RMSE)により算出することができる。ここで、Qexp(n)は満充電容量の推定値、Qorg(n)は満充電容量の真の劣化量(真値)、nはサンプリング数である。
【数12】
各実施形態の結果を比較すると、本実施形態のオフ期間劣化推定処理を実行しなかった場合のRMSEは、0.24であるものの、実施形態1のオフ期間劣化推定処理を実行した場合のRMSEは、0.01となっている。
【0094】
実施形態2のオフ期間劣化推定処理を実行した場合のRMSEは、0.03であり、実施形態3のRMSEは、0.01、実施形態4のRMSEは、0.01である。
【0095】
つまり、本実施形態のいずれかのオフ期間劣化推定処理を実行することで、オフ期間劣化推定処理を実行しなかった場合に比べて、満充電容量の劣化量の推定精度が低下することを抑制することができる。
本実施例では、実施形態2に比べて、実施形態1、実施形態3および実施形態4のRMSEが小さいという結果であったが、未測定時間中に組電池20の温度が徐々に変化した場合には、実施形態2の
二乗平均誤差(RMSE)が小さくなる傾向である。
【0096】
<他の実施形態>
本明細書で開示される技術は上記記述および図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような種々の態様も含まれる。
(1)上記実施形態では、蓄電装置10を太陽光発電システムPSに適用した。しかしながら、これに限らず、蓄電装置を他の設備や車両(自動車、二輪車、鉄道車両、産業用車両)、産業用機器(航空用、宇宙用、海洋用、港湾用)、電源機器などに適用してもよい。これらの利点としては、制御装置に電源供給されない場合(例えば、運転終了後から、次の運転再開(再始動)まで)であっても、その間の劣化推定を行うことができ、実際の劣化状態に近い予測を行うことが可能となる。それにより実際に近い蓄電素子の容量予測から正確な運転可能時間の予測ができたり、蓄電素子の寿命予測ができたり、適切な蓄電素子の交換時期が予測できたりなど、使用時の不具合や使用途中で停止してしまうといった心配がなくなる。
【0097】
(2)上記実施形態では、組電池20の電池温度により組電池20の劣化量を推定する構成とした。しかしながら、これに限らず、組電池を構成する蓄電素子毎の素子温度を測定し、蓄電素子毎の劣化量を算出して組電池の総劣化量を算出する構成にしてもよい。
【0098】
(3)上記実施形態では、蓄電素子21を4つ直列に接続することで組電池20を構成した。しかしながら、これに限らず、蓄電素子を3つ以下や5つ以上直列に接続して構成してもよい。或いは蓄電素子を並列とした構成でも構わない。
(4)上記実施形態では、1つの組電池20を電池管理装置30によって管理する蓄電装置10とした。しかしながら、これに限らず、蓄電素子を複数直列に接続した組電池と電池管理装置とを備えた蓄電装置を、複数直列に接続してバンクを構成してもよい。バンクを統括する別の制御装置を設けて、蓄電装置の電池管理装置と上位の制御装置とで機能を分担してもよい。電池管理装置はセンサ情報を取得して上位の制御装置にデータを送信する簡易的な電池管理装置(いわゆるセル監視装置:CMU)であってもよい。バンクを複数並列に接続して、ドメインを構成してもよい。ドメインを統括する別の制御装置を設けてもよい。
【0099】
(5)上記実施形態では、BMU30が蓄電装置10に備わっている構成とした。しかしながら、これに限らず、蓄電装置に出力部を設け、BMUが蓄電装置の外に独立して存在してもよく、或いは他の制御装置内にBMUが組み込まれたり、その制御装置のソフト処理の一部に組み込まれていても良い。更には、BMUの機能がシステム内に存在しなくてもよく、例えば出力部から通信手段を介して別のサーバーやクラウドなどにBMUの機能を持たせ、それらから演算結果、或いは具体的な出力結果(劣化推定量、推定蓄電容量、判定結果など)を蓄電装置に返す構成であってもよい。
(6)上記実施形態では、BMU30のCPU33がメモリ34から読み出した経時劣化推定処理を実行する構成とした。しかしながら、これに限らず、蓄電素子の劣化方法を、コンピュータプログラム、コンピュータプログラムを記憶した記憶媒体として実現してもよい。蓄電素子における満充電容量の劣化量を推定させるコンピュータプログラムは、前記蓄電素子が電源非供給状態となる直前に測定された第1温度と、前記蓄電素子が電源供給状態に復帰し最初に測定された第2温度とを取得させるステップと、前記第1温度および第2温度に基づいて内挿を行わせるステップと、前記第1温度測定時から前記第2温度測定時までの前記蓄電素子の温度を決定させるステップと、決定された温度に基づいて満充電容量の劣化量を推定させるステップと、を、コンピュータに実行させる。複数のコンピュータが、前記コンピュータプログラムの処理ステップを分担して実行してもよい。