特許第6575944号(P6575944)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6575944流体動圧オイル流、荷重容量、および軸受性能の最適化を促進するジャーナル軸受および方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6575944
(24)【登録日】2019年8月30日
(45)【発行日】2019年9月18日
(54)【発明の名称】流体動圧オイル流、荷重容量、および軸受性能の最適化を促進するジャーナル軸受および方法
(51)【国際特許分類】
   F16C 17/02 20060101AFI20190909BHJP
   F16C 37/00 20060101ALI20190909BHJP
   F16H 1/28 20060101ALI20190909BHJP
【FI】
   F16C17/02 Z
   F16C37/00 A
   F16H1/28
【請求項の数】12
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2015-534519(P2015-534519)
(86)(22)【出願日】2013年9月9日
(65)【公表番号】特表2015-530540(P2015-530540A)
(43)【公表日】2015年10月15日
(86)【国際出願番号】US2013058697
(87)【国際公開番号】WO2014051972
(87)【国際公開日】20140403
【審査請求日】2016年9月6日
(31)【優先権主張番号】13/630,116
(32)【優先日】2012年9月28日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】390041542
【氏名又は名称】ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100154922
【弁理士】
【氏名又は名称】崔 允辰
(74)【代理人】
【識別番号】100207158
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 研二
(72)【発明者】
【氏名】ガニメ,ジョージ・ハンナ
(72)【発明者】
【氏名】ホールマン,ダレン・リー
(72)【発明者】
【氏名】ツイスト,クリスティーナ・ペイジ
【審査官】 中島 亮
(56)【参考文献】
【文献】 特開平05−087196(JP,A)
【文献】 特開昭63−254222(JP,A)
【文献】 特開2011−085218(JP,A)
【文献】 特開平06−173954(JP,A)
【文献】 特開平06−294413(JP,A)
【文献】 実開昭62−138922(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16C 17/00 −17/26
F16C 33/00 −33/28
F16C 3/00 − 9/06
F16H 1/28 − 1/48
F16H 48/00 −48/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エピサイクリックギアボックス内で使用するためのジャーナル軸受であって、
固定の円弧形状を有し、高圧事象下で変形を受けるジャーナル軸受本体と、
前記ジャーナル軸受本体内に配置されたジャーナルピンと、
少なくとも1つの潤滑流体入口と
を備え、
前記流体入口が、荷重がかかった円弧部分内で、高圧事象中に前記ジャーナル軸受本体に作用する少なくとも1つの高圧領域に、潤滑流体の入力を提供し、それによって前記高圧事象中に前記ジャーナルピンと前記ジャーナル軸受本体との間で潤滑流体の自由な流れを可能にするように構成され、
前記潤滑流体入口が、前記ジャーナルピンに作用する高圧領域で前記ジャーナルピンに対して軸方向に延びるように構成されており、
前記高圧事象が、前記ジャーナル軸受本体に与えられる回転駆動力に反応したものである、
ジャーナル軸受。
【請求項2】
エピサイクリックギアボックス内で使用するためのジャーナル軸受であって、
固定の円弧形状を有し、高圧事象下で変形を受けるジャーナル軸受本体と、
前記ジャーナル軸受本体内に配置されたジャーナルピンと、
少なくとも1つの潤滑流体入口と
を備え、
前記流体入口が、荷重がかかった円弧部分内で、高圧事象中に前記ジャーナル軸受本体に作用する少なくとも1つの高圧領域に、潤滑流体の入力を提供し、それによって前記高圧事象中に前記ジャーナルピンと前記ジャーナル軸受本体との間で潤滑流体の自由な流れを可能にするように構成され、
前記潤滑流体入口が、前記ジャーナルピンに作用する高圧領域で前記ジャーナルピンの一部分の周りを円周方向に延びるように構成されており、
前記高圧事象が、前記ジャーナル軸受本体に与えられる回転駆動力に反応したものであ
ャーナル軸受。
【請求項3】
前記ジャーナルピンが、各ジャーナル軸受本体の前記固定の円弧形状を模倣し、それによって前記高圧事象中に前記ジャーナルピンと前記ジャーナル軸受本体との間で潤滑流体の自由な流れを可能にするように構成された非円形のジャーナルピンを備える請求項1または2記載のジャーナル軸受。
【請求項4】
前記ジャーナル軸受の荷重がかかっていない円弧部分で冷却流体の入力を提供するように構成された冷却流体入口をさらに備える、請求項1乃至3のいずれか1項記載のジャーナル軸受。
【請求項5】
前記ジャーナル軸受本体が、第1の高圧領域および第2の高圧領域を含む、請求項1乃至4のいずれか1項記載のジャーナル軸受。
【請求項6】
荷重がかかった円弧部分内で、高圧事象中に前記ジャーナル軸受本体に作用する前記第1の高圧領域に、潤滑流体の入力を提供するように構成された第1の潤滑流体入口をさらに備える、請求項5記載のジャーナル軸受。
【請求項7】
荷重がかかった円弧部分内で、高圧事象中に前記ジャーナル軸受本体に作用する前記第2の高圧領域に、潤滑流体の入力を提供するように構成された第2の潤滑流体入口をさらに備える、請求項6記載のジャーナル軸受。
【請求項8】
太陽歯車と、
前記太陽歯車の周りに前記太陽歯車と噛合関係で位置決めされた複数の遊星歯車と、
それぞれ前記複数の遊星歯車のうちの1つを回転可能に支持する複数のジャーナル軸受であって、前記複数のジャーナル軸受がそれぞれ、固定の円弧形状を有して高圧事象下で変形を受けるジャーナル軸受本体、前記ジャーナル軸受本体内に少なくとも部分的に配置されたジャーナルピン、および少なくとも1つの潤滑流体入口を含むように構成される、複数のジャーナル軸受と、
前記複数のジャーナルピンのそれぞれと固定の関係で構成された遊星キャリアと
を備え、
前記複数のジャーナル軸受のそれぞれの前記少なくとも1つの潤滑流体入口が、前記ジャーナル軸受本体の荷重がかかった円弧部分内で、高圧事象中に前記ジャーナル軸受本体に作用する高圧領域に、潤滑流体の入力を提供し、それによって前記高圧事象中に前記ジャーナルピンと前記ジャーナル軸受本体との間で潤滑流体の自由な流れを可能にするように構成され、
前記少なくとも1つの潤滑流体入口が、前記ジャーナルピンに作用する高圧領域で前記ジャーナルピンに対して軸方向に延びるように構成され
前記高圧事象が、前記ジャーナル軸受本体に与えられる回転駆動力に反応したものである、
エピサイクリックギアボックス。
【請求項9】
太陽歯車と、
前記太陽歯車の周りに前記太陽歯車と噛合関係で位置決めされた複数の遊星歯車と、
それぞれ前記複数の遊星歯車のうちの1つを回転可能に支持する複数のジャーナル軸受であって、前記複数のジャーナル軸受がそれぞれ、固定の円弧形状を有して高圧事象下で変形を受けるジャーナル軸受本体、前記ジャーナル軸受本体内に少なくとも部分的に配置されたジャーナルピン、および少なくとも1つの潤滑流体入口を含むように構成される、複数のジャーナル軸受と、
前記複数のジャーナルピンのそれぞれと固定の関係で構成された遊星キャリアと
を備え、
前記複数のジャーナル軸受のそれぞれの前記少なくとも1つの潤滑流体入口が、前記ジャーナル軸受本体の荷重がかかった円弧部分内で、高圧事象中に前記ジャーナル軸受本体に作用する高圧領域に、潤滑流体の入力を提供し、それによって前記高圧事象中に前記ジャーナルピンと前記ジャーナル軸受本体との間で潤滑流体の自由な流れを可能にするように構成され、
前記少なくとも1つの潤滑流体入口が、前記ジャーナルピンに作用する高圧領域で前記ジャーナルピンの一部分の周りを円周方向に延びるように構成され
前記高圧事象が、前記ジャーナル軸受本体に与えられる回転駆動力に反応したものである、
エピサイクリックギアボックス。
【請求項10】
前記ジャーナルピンが、前記ジャーナル軸受本体の前記固定の円弧形状を模倣し、それによって前記高圧事象中に前記ジャーナルピンと前記ジャーナル軸受本体との間で潤滑流体の自由な流れを可能にするように構成された非円形のジャーナルピンを備える請求項8または9記載のエピサイクリックギアボックス。
【請求項11】
遊星歯車ジャーナル軸受内で流体動圧オイル流を促進する方法であって、
固定の円弧ジャーナル軸受本体を設けるステップと、
前記固定の円弧ジャーナル軸受本体内にジャーナルピンを配置するステップと、
前記固定の円弧ジャーナル軸受本体内で、前記ジャーナルピンに作用する高圧領域で前記ジャーナルピンに対して軸方向に延びる潤滑流体入口に入力潤滑流体流を提供するステップと
を含み
記潤滑流体入口が、前記ジャーナル軸受本体の荷重がかかった円弧部分内で、高圧事象中に前記ジャーナル軸受本体に作用する高圧領域に、潤滑流体の入力を提供し、それによって前記高圧事象中に前記ジャーナルピンと前記ジャーナル軸受本体との間で潤滑流体の自由な流れを可能にするように構成され
前記高圧事象が、前記ジャーナル軸受本体に与えられる回転駆動力に反応したものである、方法。
【請求項12】
遊星歯車ジャーナル軸受内で流体動圧オイル流を促進する方法であって、
固定の円弧ジャーナル軸受本体を設けるステップと、
前記固定の円弧ジャーナル軸受本体内にジャーナルピンを配置するステップと、
前記固定の円弧ジャーナル軸受本体内で、前記ジャーナルピンに作用する高圧領域で前記ジャーナルピンの一部分の周りを円周方向に延びる潤滑流体入口に入力潤滑流体流を提供するステップと
を含み
記潤滑流体入口が、前記ジャーナル軸受本体の荷重がかかった円弧部分内で、高圧事象中に前記ジャーナル軸受本体に作用する高圧領域に、潤滑流体の入力を提供し、それによって前記高圧事象中に前記ジャーナルピンと前記ジャーナル軸受本体との間で潤滑流体の自由な流れを可能にするように構成され
前記高圧事象が、前記ジャーナル軸受本体に与えられる回転駆動力に反応したものである、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、一般に、ギアボックス内で使用するためのジャーナル軸受に関し、より詳細には、流体動圧オイル流、軸受荷重容量、および軸受性能の最適化を促進するように設計されたジャーナル軸受に関する。
【背景技術】
【0002】
ギアボックスは、風車、自動車、航空機、および機関車などの多くのシステムにおいて動力の伝達のために使用される。ギアボックスは、典型的には、ハウジング、シャフト、軸受、および歯車などの構成要素を含む。異なる速度の伝達要件を満たすために、様々なギアボックス設計が利用可能である。本明細書は、中心すなわち太陽歯車の周りを回る1つまたは複数の外歯車または遊星歯車からなるエピサイクリック歯車システムに関連する。
【0003】
概して、エピサイクリックギアボックスは、星型、遊星型、または差動型を特徴とする。星型のギアボックス内では、キャリアおよび軸受ジャーナルピンが固定され、入力トルク/速度は太陽歯車シャフトを通る。出力トルク/速度は輪歯車を通り、逆も同様である。1つの特定の例では、航空機内で星型のエピサイクリックギアボックスを使用し、回転子の回転に反応して航空機エンジン補機を駆動することが知られている。また、そのようなギアボックスの遊星歯車は、典型的には薄縁を有するように形成されることも知られている。これらの薄縁の遊星歯車およびそれらに関連する軸受は、大きい荷重にかけられ、したがってそのような要求の厳しい使用下で急速な摩耗を受けるが、これらの主要な摩耗構成要素の保守、修理、および交換のための即座のアクセス性を提供しない。より具体的には、遊星ギアボックス内で大きい荷重がかかった薄縁の遊星歯車の挙動を分析、試験、および理解した結果、遊星歯車の歪みが大きくなるという形で望ましくない挙動が生じることが明らかになった。こうした挙動は、遊星ピンの動作性能に悪影響を与え、軸受の焼き付きおよび故障を招くことがある。
【0004】
ギアボックス内の歯車、軸受、およびシャフトは、欠陥を有することがあり、時間とともに故障することがあり、または単に摩耗することがある。これらの損傷または摩耗した構成要素は、損傷または摩耗した状態が検出された後に交換することができる。しかし、典型的には、そのような交換のためにギアボックスの動作を停止させる結果、収益の損失が生じる。個々の構成要素のあらゆる故障は、ギアボックスの残留有用寿命(RUL)に影響を与える。星型のエピサイクリックギアボックスの保守に関連して、特に高荷重の歪みの場合、構成要素の部品に対する摩耗を最小化または解消する働きをするギアボックス軸受内の流体動圧オイルの流れは特に重要である。それぞれの軸受の本体と、関連するジャーナルピンとの間で流体動圧的な潤滑流体の流れが不足する結果、軸受および遊星歯車内の潤滑が不十分になり、その結果、ジャーナルピンとジャーナル軸受本体との間が直接接触することがある。この直接的な接触の結果、軸受は急速に摩耗し、荷重容量が減少し、焼き付きを受けやすくなることがある。
【0005】
したがって、ギアボックス軸受上の摩耗および断裂を最小化または解消する目的で、軸受内に構成要素部品の潤滑、特に流体動圧オイルの改善された流れが提供されるジャーナル軸受を含む、新しい改善されたエピサイクリックギアボックスが必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】欧州特許第0507436号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本出願は、エピサイクリックギアボックス内で使用するためのジャーナル軸受の一実施形態を対象とする。ジャーナル軸受は、ジャーナル軸受本体と、ジャーナルピンと、少なくとも1つの潤滑流体入口とを含む。ジャーナル軸受本体は、固定の円弧形状を有し、高圧事象下で変形を受ける。ジャーナルピンは、ジャーナル軸受本体内に配置される。少なくとも1つの潤滑流体入口は、荷重がかかった円弧部分内で、高圧事象中にジャーナル軸受本体に作用する少なくとも1つの高圧点近傍に、潤滑流体の入力を提供し、それによって高圧事象中にジャーナルピンとジャーナル軸受本体との間で潤滑流体の自由な流れを可能にするように構成される。
【0008】
本出願は、エピサイクリックギアボックスの別の実施形態をさらに対象とする。ギアボックスは、太陽歯車と、太陽歯車の周りに太陽歯車と噛合関係で位置決めされた複数の遊星歯車と、複数のジャーナル軸受とを含む。ジャーナル軸受はそれぞれ、複数の遊星歯車のうちの1つを回転可能に支持する。複数のジャーナル軸受はそれぞれ、ジャーナル軸受本体と、ジャーナルピンと、遊星キャリアと、少なくとも1つの潤滑流体入口とを含むように構成される。ジャーナル軸受本体は、固定の円弧形状を有し、高圧事象下で変形を受けるように構成される。ジャーナルピンは、ジャーナル軸受本体内に少なくとも部分的に配置される。遊星キャリアは、複数のジャーナルピンのそれぞれと固定の関係で構成される。複数のジャーナル軸受のそれぞれの少なくとも1つの潤滑流体入口は、ジャーナル軸受本体の荷重がかかった円弧部分内で、高圧事象中にジャーナル軸受本体に作用する高圧点近傍に、潤滑流体の入力を提供し、それによって高圧事象中にジャーナルピンとジャーナル軸受本体との間で潤滑流体の自由な流れを可能にするように構成される。
【0009】
本出願は、遊星歯車ジャーナル軸受内で流体動圧オイル流を促進する方法をさらに提供する。この方法は、固定の円弧ジャーナル軸受本体を設けるステップと、固定の円弧ジャーナル軸受本体近傍にジャーナルピンを配置するステップと、固定の円弧ジャーナル軸受本体内で潤滑流体入口に入力潤滑流体流を提供するステップとを含み、潤滑流体入口は、ジャーナル軸受本体の荷重がかかった円弧部分内で、高圧事象中にジャーナル軸受本体に作用する高圧点近傍に、潤滑流体の入力を提供し、それによって高圧事象中にジャーナルピンとジャーナル軸受本体との間で潤滑流体の自由な流れを可能にするように構成される。
【0010】
本出願の上記その他の特徴および改善形態は、以下の詳細な説明についていくつかの図面および添付の特許請求の範囲と照らし合わせて検討すれば、当業者には明らかになるであろう。
【0011】
本開示の上記その他の態様、特徴、および利点は、後の詳細な説明について添付の図面と併せて考慮すれば、より明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本明細書に記載する一実施形態によるジャーナル軸受を含むギアボックスの部分切欠図である。
図2】本明細書に記載する一実施形態によるジャーナル軸受および回転力を示す図1のギアボックスの一部分の端面図である。
図3】本明細書に記載する一実施形態によるジャーナル狭窄プロファイルを示す図1の遊星歯車のグラフ表示による端面図である。
図4】本明細書に記載する典型的な軸受間隙および圧力プロファイルを示す従来技術の遊星歯車およびジャーナル軸受の端面図である。
図5】本明細書に記載する荷重がかかっていない歯車動作状態中の狭窄プロファイルを示す従来技術のジャーナル軸受の一部分の概略端面図である。
図6】本明細書に記載する一実施形態による、荷重がかかっていない歯車動作状態下にあり、改善された流体入口を含む、図1のジャーナル軸受の一実施形態の一部分の概略端面図である。
図7】本明細書に記載する一実施形態による、荷重がかかった歯車動作状態下にあり、改善された流体入口を含む、図1のジャーナル軸受の一実施形態の一部分の概略端面図である。
図8】本明細書に記載する一実施形態による、荷重がかかった歯車動作状態下にあり、改善された流体入口および非円形の遊星ピンを含む、ジャーナル軸受の別の実施形態の一部分の概略端面図である。
図9】本明細書に記載する別の実施形態による非円形の遊星ピンおよび関連する狭窄プロファイルを示すジャーナル軸受のグラフ表示による端面図である。
図10】本明細書に記載する一実施形態による、荷重がかかった歯車動作状態下にあり、改善された流体入口を含む、ジャーナル軸受の別の実施形態の一部分の概略端面図である。
図11】本明細書に記載する一実施形態によるジャーナルピンの外部の簡略化された概略図である。
図12】本明細書に記載する一実施形態によるジャーナルピンの別の実施形態の外部の簡略化された概略図である。
図13】本明細書に図示または記載する1つまたは複数の実施形態による遊星歯車ジャーナル軸受内で流体動圧オイル流を促進する方法のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
適切に設計されたジャーナル軸受システムでは、流体力学的作用を介して、ジャーナルピンとジャーナル軸受本体との間の摩擦を最小化し、それによってジャーナルピンとジャーナル軸受本体との間の表面と表面の接触を、解消しない場合でも最小化する。本明細書に記載するエピサイクリックの星型歯車軸受などの流体動圧軸受では、潤滑流体膜内の圧力が、ジャーナルピンに対するジャーナル軸受本体の回転によって維持される。流体の潤滑の結果、ジャーナルピンとジャーナル軸受本体との間に、完全な膜または境界条件の潤滑性が得られる。典型的には、このタイプの軸受システムは、ジャーナルピンとジャーナル軸受本体との間の回転作用が生じるまで潤滑が生じないため、摩耗の影響をより受けやすい。回転速度が低い場合、その潤滑ではジャーナルピンとジャーナル軸受本体との間に完全な分離が得られないことがある。流体動圧状態下または高回転速度下では、ジャーナル軸受本体から離れる方へジャーナルピンを持ち上げる潤滑の「ウェッジ」が形成される。ジャーナル軸受本体またはジャーナルピンはまた、回転方向に対して互いに水平にわずかに移動する。本明細書に記載するように、狭窄圧力の影響下では、潤滑の「ウェッジ」は形成されず、潤滑流体流をジャーナル軸受本体の周りで「旋回」させてジャーナル軸受本体から出す。この結果、軸受内の潤滑が不十分になり、その結果、ジャーナルピンとジャーナル軸受本体との間が直接接触することがある。この直接接触の結果、軸受は急速に摩耗し、または軸受が完全に焼き付くことがある。
【0014】
いくつかの図全体にわたって同じ数字が同じ要素を指す図面を次に参照すると、ジャーナル軸受(本明細書に記載)の荷重がかかった円弧部分内に加圧潤滑流体の入力を提供するように構成された潤滑流体入口を含むギアボックス10の部分切欠図が、図1に示されている。一実施形態では、加圧潤滑流体は、周囲の圧力より大きい圧力で流体流入口に入力される。ギアボックス10は、典型的には、ギアボックスハウジング(図示せず)内に収容される。ギアボックスハウジングは、遊星キャリア12の周りに延び、ハウジングに対して固定の位置で遊星キャリア12を支持する。遊星キャリア12、より具体的には複数のジャーナル軸受11は、それぞれ固定のジャーナルピン14およびジャーナル軸受本体25を含み、各遊星歯車16の中心軸18の周りで軌道運動するように、複数の遊星歯車16を支持するように構成される。遊星歯車16の数は、固定のジャーナルピン14の数に等しい。したがって、図示の実施形態では、2つの遊星歯車16が設けられているが、任意の数の遊星歯車を含むことができる。遊星歯車16は、固定のジャーナルピン14より直径が実質上大きくなるように構成される。遊星歯車16のそれぞれは、複数の歯車の外歯20を有し、これらの歯は、図示の実施形態では平歯車の歯である。
【0015】
図示の実施形態では、ギアボックス10の中心軸22の周りに等しく隔置された2つの固定のジャーナルピン14が設けられる。複数の摺動型またはローラ形の軸受本体が、遊星歯車16に対して回転するように固定のジャーナルピン14を支持する。図示の実施形態では、軸受24が、ジャーナル軸受として構成される。具体的には、ジャーナル軸受本体25は、遊星キャリア12の端部部分、より具体的には固定のジャーナルピン14近傍に取り付けられ、それによって各ジャーナルピン14の第1の端部に係合して支持し、固定のジャーナルピン14のその端部を遊星キャリア12から直接支持する。
【0016】
ギアボックス10はまた、遊星キャリア12内に取り付けられて遊星歯車16によって取り囲まれた単一の太陽歯車26を含み、太陽歯車26の一部として太陽歯車シャフト28が形成されている。太陽歯車26は、太陽歯車26が中心軸22を中心としてギアボックスハウジングに対して回転するように、周囲の遊星歯車16との接触によって径方向に支持される。太陽歯車26は、ギアボックス10を通って制御配線(図示せず)を行うように、その軸22およびシャフト延長部(図示せず)の軸に沿って中空の穴(図示せず)を含むことができる。太陽歯車26は、遊星歯車16より直径が実質上小さくなるように構成される。
【0017】
太陽歯車26は、遊星歯車16上の歯車の外歯20と噛合係合する複数の平歯車または斜歯歯車の外歯30を有する。その結果、外部デバイスによって提供された入力回転駆動力32に反応して、太陽歯車シャフト28が軸22の周りを回転することで、太陽歯車26が中心軸22の周りを回転する。したがって、入力回転駆動力32は、太陽歯車26を通って遊星歯車16へ完全に伝達され、それぞれ中心軸18の周りを回転するように遊星歯車16を駆動する。
【0018】
ギアボックス10は、輪歯車34をさらに含む。輪歯車34は、典型的には、適した方法で外部デバイス(図示せず)に結合され、それによって輪歯車34は、回転出力トルク36を外部デバイス(図示せず)に作用させるように構成される。輪歯車34は、太陽歯車シャフト28から入力回転駆動力32を受け取る。入力回転駆動力32は太陽歯車26を介して変換されるものであり、入力回転駆動力32に反応して遊星歯車16が輪歯車34に対して回転するようになっている。
【0019】
輪歯車34は、一続きの平歯車または斜歯歯車の内歯38を含むように構成される。輪歯車34上の歯車の内歯38は、それぞれの遊星歯車16上の複数の歯車の外歯20と噛合係合するように構成される。図2に最もよく示されているように、太陽歯車シャフト28および太陽歯車26が中心軸22の周りを回転すること(方向矢印によって示す)に反応して、遊星歯車16(そのうちの1つのみを図2に示す)が独自の中心軸18の周りを軌道運動すること(方向矢印によって示す)で、輪歯車34が遊星キャリア12に対して回転する(方向矢印によって示す)。したがって、外部デバイスから太陽歯車シャフト28へ伝達される入力回転駆動力32は、回転出力トルク36として輪歯車34へ完全に伝達される。
【0020】
図1および図2を再び参照すると、動作中、入力トルク、より具体的には入力回転駆動力32は、太陽歯車26へ伝達され、次いで2つの遊星歯車16(そのうちの1つのみを図2に示す)間で、したがって2つの軸受本体25および2つのジャーナルピン14を含む2つのジャーナル軸受11間で分割され、回転出力トルク36として輪歯車34へ伝達される。この構成は、太陽歯車26によって提供される高いトルクを遊星歯車16間で分散させる。ジャーナル軸受25を潤滑するために、潤滑油などの入力潤滑流体(図示せず)が供給される。動作中、入力回転駆動力32、したがって入力トルクが星型の構成の太陽歯車26に加えられるとき、固定のジャーナルピン14は静止したままであるのに対して、遊星歯車16は独自の中心18の周りを回転する。加えて、輪歯車34は、太陽歯車26の回転とは反対の方向に回転する。
【0021】
図3に最もよく示されているように、狭窄プロファイルの図と図1のジャーナル軸受本体25の概略端面図とを組み合わせた図では、入力回転駆動力32(太陽歯車26にかかる)と、輪歯車34にかかる回転出力36、したがって出力トルクとを組み合わせる結果、それぞれの遊星歯車16、より具体的にはそれぞれの軸受本体25が変形し、関連するジャーナルピン14を複数の点42で狭窄することがある。それぞれの遊星歯車16の縁の厚さに応じて、それぞれのジャーナルピン14の外径(OD)と、関連する軸受本体25、したがって遊星歯車16の内径(ID)との間の間隙を、完全に閉鎖する可能性がある。この閉鎖により、場合によっては、潤滑油流がそれぞれの複数の軸受24のうちの大きい荷重がかかった部分に到達することを防止することがある。潤滑油流は、ジャーナル軸受24、したがって遊星歯車16のすべての部分を潤滑するのではなく、それぞれの歯車の荷重がかかった円弧部分に到達する前に、それぞれの遊星歯車16の側面を通って流出する。
【0022】
図4および図5を次に参照すると、軸受間隙および狭窄プロファイルを示す当技術分野で知られている単一の遊星歯車の端面図が示されている。図4は、軸受間隙および狭窄プロファイルを組み合わせた概略図に示す。図5は、軸受間隙および狭窄プロファイルを簡略化された概略図に示す。より具体的には、知られているエピサイクリック歯車50の一部分、より具体的にはジャーナル軸受本体52およびジャーナルピン54を備える軸受が示されている。ジャーナル軸受本体52内には潤滑剤供給開口56が形成されており、この潤滑剤供給開口56を通って、潤滑流体流57がジャーナル軸受本体52の内部へ導入される。潤滑剤供給開口56は、概して、軸方向に延びる開口として構成され、この開口内へ潤滑流体流57が入力される。一実施形態では、潤滑剤供給開口56は、図示のように、ジャーナル軸受本体52のうち、荷重がかかっていない円弧部分58上に位置決めされる。図4に概略的に示すように、歯車50の動作中、円周方向の圧力分配プロファイル60は、関連する遊星歯車(図示せず)、したがってジャーナル軸受本体52に作用する力に応じて変化する。より具体的には、図示のように、ジャーナルピン54の外径(OD)66とジャーナル軸受本体52の内径(ID)68との間の距離が最も近くなる点64で、最大圧力(Pmax)62に到達する。高圧点64の形成は、ジャーナル軸受本体52に力が作用する結果、ジャーナル軸受本体52が変形するために生じる。こうして、ジャーナル軸受本体52とジャーナルピン54との間の距離、ならびに潤滑剤供給開口56と高圧点64との間の距離が最小になるため、潤滑流体57は、点64を越えて流れて歯車50を潤滑することができなくなる。より具体的には、潤滑流体57は、それぞれの歯車の高圧点64近傍の荷重がかかった円弧部分69(図4)に到達する前に阻止される。その結果、歯車50は、摩耗を受け、荷重容量が減少し、焼き付きを受けやすくなる。
【0023】
図6〜11を次に参照すると、図1のギアボックス10などのエピサイクリック歯車内で使用するためのジャーナル軸受アセンブリおよびジャーナル軸受内で流体動圧オイル流を促進する方法の代替実施形態が示されている。複数の軸受アセンブリが示されており、各軸受アセンブリは、ジャーナル軸受本体と、ジャーナル軸受本体とジャーナルピンとの間で潤滑流体流の自由な流れを可能にする修正された潤滑流体入口とを含む。図6および図7を次に参照すると、図1のジャーナル軸受の一実施形態の一部分の概略端面図が示されている。より具体的には、図6には、本明細書に記載する一実施形態による、荷重がかかっていない歯車動作状態下にあり、改善された潤滑流体入口を含む、遊星穴および狭窄プロファイルが示されている。図7には、本明細書に記載する一実施形態による、荷重がかかった歯車動作状態下にあり、改善された流体入口を含む、変形した遊星穴および狭窄プロファイルを示す図1のジャーナル軸受の一実施形態の一部分の概略端面図が示されている。
【0024】
図6および図7には、ジャーナル軸受71を含むギアボックス70の一部分が示されており、ジャーナル軸受71は、ジャーナル軸受本体72と、ジャーナル軸受本体72内に少なくとも部分的に配置されたジャーナルピン74とから構成され、概して、円筒形の固定の円弧ジャーナル軸受として構成される。図示の実施形態では、ジャーナル軸受本体72は、入力回転駆動力またはトルクの影響下にあり、したがって、図7に最もよく示されているように、荷重がかかった状態下で動作するとき、複数の点または領域78および79における変形76の形で径方向のたわみを呈する。ジャーナル軸受本体72およびジャーナルピン74に作用する圧力の増大が、複数の軸方向位置、具体的には点78および79で確認されることに留意されたい。図6に最もよく示されているように、荷重がかかっていない動作状態中、潤滑流体流80は、ジャーナル軸受本体72とジャーナルピン74との間に存在する。図示のように、潤滑流体流80の存在を助けるために、ジャーナルピン74は、荷重がかかった円弧部分84(図7に最もよく示されている)内で、高圧事象中にジャーナル軸受本体に作用する知られている高圧点近傍に、潤滑流体80の入力を提供するように構成された潤滑流体流入口82を含む。前述のように、高圧点は、点78および79として示されている。この荷重がかかった円弧部分84内に潤滑流体入口82を位置決めすることで、高圧事象中にジャーナルピン74とジャーナル軸受本体72との間で潤滑流体80の自由な流れをさらに可能にする。典型的には、図4および図5を参照して前述したように、軸受内への潤滑の取り込みは、回転方向に円弧の前縁部から始まる。図6および図7に示すように、潤滑流体入口82を荷重がかかった円弧部分84へ円周方向に移動させることによって、軸受本体72の実際の円弧の長さが短くなり、それによって円弧中心の位置もまた変化させる。
【0025】
図8および図9を次に参照すると、大きい荷重がかかった動作状態下で、図1のジャーナル軸受11など、ジャーナル軸受92を通って切り取った、より具体的にはジャーナル軸受本体94および修正されたジャーナルピン96を通って切り取ったギアボックス90の一部分の概略横断面図が示されている。より具体的には、ジャーナル軸受92を含むギアボックス90の一部分が示されており、ジャーナル軸受92は、ジャーナル軸受本体94と、非円形のジャーナルピン96とから構成され、概して、円筒形の固定の円弧ジャーナル軸受として構成される。図示の実施形態では、ジャーナル軸受本体94は、入力回転駆動力またはトルクの影響下にあり、したがって複数の高圧点または領域100および102における変形98の形で径方向のたわみを呈する。前述の実施形態と同様に、ジャーナル軸受本体94および非円形のジャーナルピン96に作用する圧力の増大が、複数の軸方向位置、具体的には点102および104に示されていることに留意されたい。潤滑流体流104の存在を助けるために、ジャーナルピン96は、荷重がかかった円弧部分108(図8に最もよく示されている)内で、高圧事象中にジャーナル軸受本体94に作用する複数の高圧点102および104近傍に、潤滑流体104の入力を提供するように構成された複数の潤滑流体流入口106を含む。潤滑流体入口106を、それぞれ荷重がかかった円弧部分108内に位置決めすることで、高圧事象中に非円形のジャーナルピン96とジャーナル軸受本体94との間で潤滑流体104の自由な流れをさらに可能にする。それぞれの潤滑流体入口106を荷重がかかった円弧部分108へ円周方向に移動させることによって前述したように、軸受本体94の実際の円弧の長さが短くなり、それによって円弧中心の位置もまた変化させる。
【0026】
図8および図9に示す実施形態では、複数の円周方向に移動させた潤滑流体入口106を設けることに加えて、非円形のジャーナルピン96は修正されたジャーナルピンであり、ジャーナル軸受本体94と非円形のジャーナルピン96との間で潤滑流体流104の流れを可能にするように修正されている。非円形のジャーナルピン96が固定されており、回転しないという点で、ジャーナル軸受本体94の高圧または荷重がかかった円弧が、シャフト直径の特定の領域に制限される。より具体的には、図示の実施形態では、非円形のジャーナルピン96は、概して非円形の幾何形状を有するように構成され、したがって潤滑流体流104が高圧点102および104で遊星歯車またはジャーナル軸受本体94の内径(ID)を潤滑するのに十分なほど流動することを可能にするのに十分な間隙を生じさせる。非円形のジャーナルピン96は、固定の円弧型の軸受92を実質上模倣し、軸受92と同じ流体動圧の挙動をシミュレートするように構成される。完全な軸受または円筒形のジャーナル軸受、長円形またはレモン形の軸受、オフセット軸受、圧力ダム軸受、3ローブ軸受、4ローブ軸受などのマルチローブ軸受、および傾斜または旋回パッド軸受を含めて、様々な固定の円弧軸受が当技術分野でよく知られていることを理解されたい。記載の修正された非円形のジャーナルピンは、そのような任意の型のジャーナル軸受アセンブリ内へ組み込むことができ、ジャーナルピンがその中へ配置される軸受を実質上模倣するように構成することができることが予期される。
【0027】
図10に最もよく示されているように、代替実施形態では、ジャーナル軸受122を含むギアボックス120が開示されており、ジャーナル軸受122は、ジャーナル軸受本体124とジャーナルピン126とから構成され、概して、円筒形の固定の円弧ジャーナル軸受として構成される。図示の実施形態では、ジャーナル軸受本体124は、入力回転駆動力またはトルクの影響下にあり、したがって複数の高圧点または領域130および132における変形128の形で径方向のたわみを呈する。ジャーナルピン126は、荷重がかかった円弧部分138内で、高圧事象中にジャーナル軸受本体124に作用する高圧点132近傍に、潤滑流体136の入力を提供し、荷重がかかっていない円弧部分142内に、ジャーナル軸受122の冷却をさらに助けるための冷却流体流140の入力を提供するように構成された複数の流体流入口134を含む。潤滑流体入口134を、一方は荷重がかかった円弧部分138内に、他方は荷重がかかっていない円弧部分142内に位置決めすることで、高圧事象中に非円形のジャーナルピン96とジャーナル軸受本体94との間で潤滑流体104の自由な流れをさらに可能にし、ジャーナル軸受122に対する冷却をさらに提供する。潤滑流体入口134の少なくとも1つを荷重がかかった円弧部分108へ円周方向に移動させることによって前述したように、軸受本体124の実際の円弧の長さが短くなり、それによって円弧中心の位置もまた変化させる。
【0028】
図11および図12を次に参照すると、図1のジャーナルピン14に概して類似しているジャーナルピン152の一実施形態の外部の簡略化された概略図が示されている。より具体的には、図11には、潤滑流体の入力のために軸方向に延びる潤滑流体入口154を含むジャーナルピン152を備えるジャーナル軸受150の一部分が示されている。図示の実施形態では、潤滑流体(図示せず)は、ジャーナルピン152の軸126に対して実質上平行に、荷重がかかった円弧部分(前述)で、高圧事象中にジャーナルピン152に作用する高圧点近傍から、ジャーナルピン152内へ入力される。図示の実施形態では、潤滑流体を軸方向に入力することで、ジャーナル軸受のジャーナルピン152とジャーナル軸受本体(図示せず)との間に潤滑流体の連続的な流れを提供する。
【0029】
代替実施形態では、図12には、潤滑流体の入力のために円周方向に延びる潤滑流体入口164を含むジャーナルピン162を備えるジャーナル軸受160の一部分が示されている。前述の実施形態とは対照的に、図12の図示の実施形態では、潤滑流体(図示せず)は、ジャーナル本体152の軸156に対して実質上垂直に、ジャーナルピン162内へ入力される。より具体的には、潤滑流体入口164は、ジャーナルピン162の一部分の周り、より具体的には高圧事象中にジャーナルピン162に作用する高圧点近傍で荷重がかかった円弧部分(前述)の周りを、円周方向に延びるように構成される。図示の実施形態では、潤滑流体を円周方向に構成することで、ジャーナルピン162とジャーナル軸受本体(図示せず)との間に潤滑流体の連続的な流れを提供する。
【0030】
図13を次に参照すると、本明細書に図示または記載する1つまたは複数の実施形態による遊星歯車ジャーナル軸受内で流体動圧オイル流を促進する方法が示されている。概して170で示すこの方法は、固定の円弧ジャーナル軸受本体を設ける最初のステップ172を含む。ステップ174で、固定の円弧ジャーナル軸受本体内に少なくとも部分的にジャーナルピンが配置される。次に、ステップ176で、固定の円弧ジャーナル軸受本体内で少なくとも1つの潤滑流体入口に入力潤滑流体流が設けられる。潤滑流体入口は、ジャーナル軸受本体の荷重がかかった円弧部分内で、高圧事象中にジャーナル軸受本体に作用する少なくとも1つの高圧点近傍に、潤滑流体の入力を提供するように構成される。荷重がかかった円弧部分に潤滑流体を入力することで、高圧事象中にジャーナルピンとジャーナル軸受本体との間で潤滑流体の自由な流れを可能にする。
【0031】
したがって、ジャーナル軸受内に少なくとも部分的に配置されたジャーナルピンと、潤滑流体入口とを含むエピサイクリックギアボックスが提供され、潤滑流体入口は、荷重がかかった円弧部分内で、高圧事象中にジャーナル軸受本体に作用する高圧点近傍に、潤滑流体の入力を提供し、それによって高圧事象中にジャーナルピンとジャーナル軸受本体との間で潤滑流体の自由な流れを可能にするように構成される。潤滑流体入口は、ジャーナル軸受本体の周りで軸方向または円周方向に延びるように構成することができる。加えて、ジャーナルピンとジャーナル軸受本体との間に潤滑流体の流れをさらに提供するために、ジャーナルピンは、非円形の幾何形状とすることができ、ジャーナル軸受本体構造の形状を模倣し、非円形のジャーナルピンとジャーナル軸受本体との間で潤滑流体の自由な流れを可能にするように構成することができる。ジャーナルピンとジャーナル本体との間の潤滑流体の自由な流れにより、ジャーナル軸受本体および関連する遊星歯車に対して十分な潤滑を提供する。本明細書に開示する新規なジャーナル軸受設計は、流体動圧オイル流、軸受荷重容量の増大、および軸受性能の最適化を促進する。
【0032】
本開示について複数の例示的な実施形態を参照して記載したが、本開示の範囲から逸脱することなく、様々な変更を加えることができ、その要素を均等物で代用することができることが、当業者には理解されるであろう。加えて、本開示の本質的な範囲を逸脱することなく、特定の状況または材料を本開示の教示に適合させるために、多くの修正を加えることができる。したがって、本開示は、本開示を実施するために企図される最良の形態として開示する特定の実施形態に限定されるものではなく、本開示は、添付の特許請求の範囲の範囲内に入るあらゆる実施形態を含むことが意図される。
【符号の説明】
【0033】
10 ギアボックス
11 ジャーナル軸受
12 遊星キャリア
14 固定のジャーナルピン
16 遊星歯車
18 中心軸
20 歯車の外歯
22 中心軸
25 ジャーナル軸受本体
26 太陽歯車
28 太陽歯車シャフト
30 平歯車または斜歯歯車の外歯
32 入力回転駆動力
34 輪歯車
36 回転出力トルク
38 平歯車または斜歯歯車の内歯
42 点
50 エピサイクリック歯車
52 ジャーナル軸受本体
54 ジャーナルピン
56 潤滑剤供給開口
57 潤滑流体流
58 荷重がかかっていない円弧部分
60 円周方向の圧力分配プロファイル
62 最大圧力Pmax
64 点
66 外径(OD)
68 内径(ID)
69 荷重がかかっている円弧部分
70 ギアボックス
71 ジャーナル軸受
72 ジャーナル軸受本体
74 ジャーナルピン
76 変形
78 点または領域
79 点または領域
80 潤滑流体流
82 潤滑流体流入口
84 円弧部分
92 ジャーナル軸受
94 ジャーナル軸受本体
96 ジャーナルピン
98 変形
100 高圧点または領域
104 潤滑流体流
106 潤滑流体流入り口
108 円弧部分
102 高圧点または領域
120 ギアボックス
122 ジャーナル軸受
124 ジャーナル軸受本体
126 ジャーナルピン
128 変形
130 高圧点または領域
132 高圧点または領域
134 潤滑流体入口
136 潤滑流体
138 荷重がかかった円弧部分
140 冷却流体流
142 荷重がかかっていない円弧部分
150 ジャーナル軸受
152 ジャーナルピン
154 潤滑流体入口
156 軸
160 ジャーナル軸受
162 ジャーナルピン
164 潤滑流体入口
166 軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13