【文献】
Proc. Natl. Acad. Sci. USA,2010年,vol.107, no.29,pp.13075-13080, Support. Info. pp.1-2
【文献】
J. Med. Chem.,2012年 3月,vol.55, no.10,pp.4539-4550
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B細胞悪性腫瘍は、慢性リンパ球性白血病(CLL)、小リンパ球性リンパ腫(SLL)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、活性化したB細胞びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(ABC−DLBCL)、胚中心びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(GCB DLBCL)、縦隔原発B細胞リンパ腫(PMBL)、非ホジキンリンパ腫、バーキットリンパ腫、濾胞性リンパ腫、免疫芽球性大細胞型リンパ腫、前駆Bリンパ芽球性リンパ腫、前駆B細胞急性リンパ性白血病、ヘアリーセル白血病、マントル細胞リンパ腫、B細胞前リンパ球性白血病、リンパ形質細胞性リンパ腫/ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、脾臓周辺帯リンパ腫、形質細胞性骨髄腫、形質細胞腫、節外性辺縁帯B細胞リンパ腫、節性辺縁帯B細胞リンパ腫、縦隔(胸腺)大細胞型B細胞リンパ腫、血管内大細胞型B細胞リンパ腫、原発性滲出性リンパ腫、または、リンパ腫様肉芽腫症である、請求項9に記載の方法。
B細胞悪性腫瘍は、マントル細胞白血病(MCL)、慢性リンパ球性白血病(CLL)、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症(WM)、小リンパ球性リンパ腫(SLL)、濾胞性リンパ腫(FL)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、辺縁帯リンパ腫(MZL)からなる群から選択される、請求項9に記載の方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本明細書には、Bruton型チロシンキナーゼ(BTK)の阻害剤を用いて患者の処置に対して患者の耐性を与える、B細胞受容体経路の変異の同定が記載されている。いくつかの実施形態では、BTK阻害剤は、Btkに共有的および/または不可逆的に結合する阻害剤である。いくつかの実施形態では、BTK阻害剤は、共有的および/または不可逆的にBTKのシステイン481に結合する阻害剤である。いくつかの実施形態において、BTK阻害剤はイブルチニブである。いくつかの実施形態では、患者はB細胞増殖性疾患を患っている。いくつかの実施形態では、患者はB細胞悪性腫瘍を患っている。いくつかの実施形態では、患者は白血病またはリンパ腫を患っている。いくつかの実施形態では、患者は非ホジキンリンパ腫を患っている。いくつかの実施形態では、患者は、慢性リンパ球性白血病(CLL)、マントル細胞白血病(MCL)、濾胞性リンパ腫(FL)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、または、多発性骨髄腫(MM)を患っている。いくつかの実施形態では、患者は、細胞腫または肉腫のような固形腫瘍を患っている。
【0007】
本明細書には、BTKのシステイン481に共有的および/または不可逆的に結合するBTK阻害剤による阻害に対してキナーゼの耐性を与える、Bruton型チロシンキナーゼ(BTK)の変異の同定が、記載されている。本明細書には、単離した変異BTKポリペプチドと、変異BTKポリペプチドをコード化する単離した核酸が記載されている。本明細書に記載される変異の同定により、BTK阻害剤による治療に適した患者を選択し、BTK阻害剤治療を受ける患者をモニタリングし、そして、BTK阻害剤による治療計画を修飾することができる。本明細書には、変異BTKポリペプチドと、変異BTKポリペプチドをコード化する核酸を検知するための診断方法、および、そのような方法の使用が記載されている。同様に、本明細書には、変異BTKポリペプチドを阻害する第2世代のBTK阻害剤の同定のための方法も記載されている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本明細書には、特定の実施形態において、被験体が、共有結合のおよび/または不可逆的なBruton型チロシンキナーゼ(BTK)阻害剤による治療に対して、反応しないまたは反応しにくくなるかどうかを決定するための方法が記載されており、該方法は、(a)被験体からのBTKポリペプチドをコード化する核酸分子を含むサンプルを試験する工程であって、それによって、コード化されたBTKポリペプチドが、配列番号:1と表記されるアミノ酸配列のアミノ酸位置481に対応するアミノ酸位置で修飾されているかどうかを決定する、工程、および、(b)被験体が修飾を有している場合、共有結合のおよび/または不可逆的なBTK阻害剤による治療に対する耐性を有する、または、耐性を有するようになると、被験体を特徴づける工程、を含む。いくつかの実施形態では、方法は、被験体からサンプルを得る工程をさらに含む。
【0009】
本明細書には、特定の実施形態において、被験体における共有結合のおよび/または不可逆的なBTK阻害剤を用いた阻害に対して耐性を有しているとしてBTKを特徴づける方法が、記載されており、該方法は、(a)被験体からのBTKポリペプチドをコード化する核酸分子を含むサンプルを試験する工程であって、それによって、コード化されたBTKポリペプチドが、配列番号:1と表記されるアミノ酸配列のアミノ酸位置481に対応するアミノ酸位置で修飾されているかどうかを決定する、工程、および、(b)被験体が修飾を有している場合、共有結合のおよび/または不可逆的なBTK阻害剤による阻害に対して耐性を有するとして、被験体を特徴づける工程、を含む。いくつかの実施形態では、方法は、被験体からサンプルを得る工程をさらに含む。
【0010】
本明細書には、特定の実施形態において、癌の処置のために共有結合のおよび/または不可逆的なBTK阻害剤を投与される被験体が、治療に対する耐性を進行させたか、または、進行させる可能性が高いかどうかをモニタリングする方法が記載されており、該方法は、(a)被験体からのBTKポリペプチドをコード化する核酸分子を含むサンプルを試験する工程であって、それによって、コード化されたBTKポリペプチドが配列番号:1と表記されるアミノ酸配列のアミノ酸位置481に対応するアミノ酸位置で修飾されているかどうかを決定する工程、および、(b)被験体が修飾を有している場合、共有結合のおよび/または不可逆的なBTK阻害剤を用いた治療に対して耐性を有する、または、耐性を有するようになるとして、被験体を特徴づける工程、を含む。いくつかの実施形態では、方法は、被験体が修飾を有している場合、BTK阻害剤を用いた処置を中止する工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、方法は、被験体が修飾を有していない場合、BTK阻害剤を用いた処置を継続する工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、方法は、被験体が修飾を有している場合、修飾されたキナーゼを阻害する第2世代のBTK阻害剤を投与する工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、方法は、被験体からサンプルを得る工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、方法は、被験体が修飾を有している場合、LYN、SYK、JAK、PI3K、PLCγ、MAPK、MEK、またはNFκBの阻害剤を投与する工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、方法は、被験体が修飾を有している場合、C481に結合しないBTKの共有結合阻害剤を投与する工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、方法は、被験体が修飾を有している場合、BTKの可逆的な阻害剤を投与する工程をさらに含む。
【0011】
本明細書には、特定の実施形態において、癌の処置のために共有結合のおよび/または不可逆的なBTK阻害剤を投与される被験体の治療を最適化するための方法が記載されており、該方法は、(a)被験体からのBTKポリペプチドをコード化する核酸分子を含むサンプルを試験する工程であって、それによって、コード化されたBTKポリペプチドが配列番号:1と表記されるアミノ酸配列のアミノ酸位置481に対応するアミノ酸位置で修飾されているかどうかを決定する工程、および、(b)被験体が修飾を有している場合に、不可逆的なBTK阻害剤を用いた処置を中止する、あるいは、被験体が修飾を有していない場合に、不可逆的なBTK阻害剤を用いた処置を継続する工程、を含む。いくつかの実施形態では、方法は、被験体が修飾を有している場合、修飾されたキナーゼを阻害する第2世代のBTK阻害剤を投与する工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、方法は、被験体からサンプルを得る工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、方法は、被験体が修飾を有している場合、LYN、SYK、JAK、PI3K、PLCγ、MAPK、MEK、またはNFκBの阻害剤を投与する工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、方法は、被験体が修飾を有している場合、C481に結合しないBTKの共有結合阻害剤を投与する工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、方法は、被験体が修飾を有している場合、BTKの可逆的な阻害剤を投与する工程をさらに含む。
【0012】
本明細書には、特定の実施形態において、第2世代のBTK阻害剤による治療のために被験体を選ぶ方法が記載されており、該方法は、(a)被験体からのBTKポリペプチドをコード化する核酸分子を含むサンプルを試験する工程であって、それによって、コード化されたBTKポリペプチドが配列番号:1と表記されるアミノ酸配列のアミノ酸位置481に対応するアミノ酸位置で修飾されているかどうかを決定する工程、および、(b)被験体が修飾を有している場合に、被験体を、第2世代のBTK阻害剤による治療を受ける候補であると特徴付ける工程、を含む。いくつかの実施形態では、方法は、被験体が修飾を有している場合、修飾されたキナーゼを阻害する第2世代のBTK阻害剤を投与する工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、方法は、被験体からサンプルを得る工程をさらに含む。
【0013】
いくつかの実施形態では、修飾は、BTKポリペプチドのアミノ酸位置481でのアミノ酸の置換または欠失を含む。いくつかの実施形態では、修飾は、BTKポリペプチドのアミノ酸位置481において、ロイシン、イソロイシン、バリン、アラニン、グリシン、メチオニン、セリン、トレオニン、フェニルアラニン、トリプトファン、リジン、アルギニン、ヒスチジン、プロリン、チロシン、アスパラギン、グルタミン、アスパラギン酸、およびグルタミン酸の中から選択されたアミノ酸に、システインを置換することである。いくつかの実施形態では、修飾は、BTKポリペプチドのアミノ酸位置481において、セリン、メチオニン、またはトレオニンの中から選択されたアミノ酸に、システインを置換することである。いくつかの実施形態では、修飾は、BTKポリペプチドのアミノ酸位置481においてセリンにシステインを置換することである。いくつかの実施形態では、修飾は、BTKポリペプチドのアミノ酸位置481をコード化する核酸の欠失を含む。
【0014】
方法のいくつかの実施形態において、アッセイで使用される核酸分子はRNAまたはDNAである。方法のいくつかの実施形態において、アッセイで使用される核酸分子は、ゲノムDNAである。方法のいくつかの実施形態において、アッセイで使用される核酸分子は、全RNAである。方法のいくつかの実施形態において、アッセイで使用される核酸分子は、mRNAである。方法のいくつかの実施形態において、方法は、RNAサンプルからmRNAを単離する工程をさらに含む。
【0015】
方法のいくつかの実施形態において、試験する工程は、BTKポリペプチドのアミノ酸位置481をコード化する核酸のポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増幅を行う工程を含む。いくつかの実施形態では、PCR増幅は、BTKポリペプチドのアミノ酸位置481をコード化する領域に隣接する1対のオリゴヌクレオチドプライマーを使用する工程を含む。いくつかの実施形態では、方法は、増幅された核酸の配列を決定する工程を含む。
【0016】
方法のいくつかの実施形態において、試験する工程は、配列特異的な核酸プローブに核酸を接触させる工程を含み、配列特異的な核酸プローブは、(a)アミノ酸位置481で修飾される修飾BTKをコード化する核酸に結合し、および、(b)アミノ酸位置481でシステインを有する野生型のBTKをコード化する核酸に結合しない。方法のいくつかの実施形態において、試験する工程は、配列特異的な核酸プローブを使用するPCR増幅を含む。
【0017】
いくつかの実施形態では、方法で使用されるサンプルは、被験体からの1つ以上の腫瘍細胞を含む。いくつかの実施形態では、方法で使用されるサンプルは、循環腫瘍DNA(ctDNA)を含む。
【0018】
方法のいくつかの実施形態において、方法で使用される核酸は、被験体からの腫瘍細胞サンプルから単離する。いくつかの実施形態では、サンプルは、腫瘍生検サンプル、血液サンプル、血清サンプル、リンパ液サンプル、または骨髄穿刺液である。
【0019】
方法のいくつかの実施形態において、BTK阻害剤は、野生型のBTKのシステイン481に共有結合する、共有結合のおよび/または不可逆的なBTK阻害剤である。いくつかの実施形態では、BTK阻害剤は、イブルチニブ(PCI−32765)、PCI−45292、PCI−45466、AVL−101、AVL−291、AVL−292、または、ONO−WG−37の中から選択される。いくつかの実施形態において、BTK阻害剤はイブルチニブである。
【0020】
方法のいくつかの実施形態において、被験体は癌を患っている。いくつかの実施形態では、癌は血液の癌である。いくつかの実施形態では、癌はB細胞悪性腫瘍である。いくつかの実施形態では、癌は白血病、リンパ腫、または骨髄腫の中から選択される。いくつかの実施形態では、B細胞悪性腫瘍は、慢性リンパ球性白血病(CLL)、小リンパ球性リンパ腫(SLL)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、活性化したB細胞びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(ABC−DLBCL)、胚中心びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(GCB DLBCL)、縦隔原発B細胞リンパ腫(PMBL)、非ホジキンリンパ腫、バーキットリンパ腫、濾胞性リンパ腫、免疫芽球性大細胞型リンパ腫、前駆Bリンパ芽球性リンパ腫、前駆B細胞急性リンパ性白血病、ヘアリーセル白血病、マントル細胞リンパ腫、B細胞前リンパ球性白血病、リンパ形質細胞性リンパ腫/ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、脾臓周辺帯リンパ腫、形質細胞性骨髄腫、形質細胞腫、節外性辺縁帯B細胞リンパ腫、節性辺縁帯B細胞リンパ腫、縦隔(胸腺)大細胞型B細胞リンパ腫、血管内大細胞型B細胞リンパ腫、原発性滲出性リンパ腫、または、リンパ腫様肉芽腫症である。いくつかの実施形態では、被験体は固形腫瘍を患っている。
【0021】
方法のいくつかの実施形態において、被験体は、サンプルを得る前に不可逆的なBTK阻害剤で処置される。いくつかの実施形態では、サンプルは、不可逆的なBTK阻害剤の第1の投与後、1週、2週、3週、1か月、2か月、3か月、4か月、5か月、6か月、7か月、8か月、9か月、10か月、11か月、12か月、14か月、16か月、18か月、20か月、22か月、または24か月目に得られる。いくつかの実施形態では、サンプルは、不可逆的なBTK阻害剤を用いた処置の経過中に、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10回得られる。いくつかの実施形態では、被験体は、不可逆的なBTK阻害剤が最初に投与されたときに、不可逆的なBTK阻害剤を用いた処置に反応する。
【0022】
本明細書では、特定の実施形態において、修飾されたBTKを阻害する化合物を選別する方法が記載されており、該方法は、(a)修飾されたBTKを提供する工程であって、修飾されたBTKが、配列番号:1と表記されるアミノ酸配列のアミノ酸位置481に対応するアミノ酸位置で、修飾されている、工程、(b)修飾したBTKを試験化合物に接触させる工程、および、(c)BTK活性の値を検知する工程であって、活性の減少は、化合物が修飾されたBTKを阻害していることを示す、工程、を含む。いくつかの実施形態では、修飾は、BTKポリペプチドの位置481におけるアミノ酸の置換または欠失である。いくつかの実施形態では、修飾は、BTKポリペプチドのアミノ酸位置481において、ロイシン、イソロイシン、バリン、アラニン、グリシン、メチオニン、セリン、トレオニン、フェニルアラニン、トリプトファン、リジン、アルギニン、ヒスチジン、プロリン、チロシン、アスパラギン、グルタミン、アスパラギン酸、およびグルタミン酸の中から選択されたアミノ酸に、システインを置換することである。いくつかの実施形態では、修飾は、BTKポリペプチドのアミノ酸位置481において、セリン、メチオニン、およびトレオニンの中から選択されたアミノ酸に、システインを置換することである。いくつかの実施形態では、修飾は、BTKポリペプチドのアミノ酸位置481において、セリンにシステインを置換することである。いくつかの実施形態では、BTK活性の値の検知は生体外のキナーゼアッセイによって評価される。いくつかの実施形態では、キナーゼアッセイで使用される基質は、PLCγ、ERK1/2、またはAKTである。いくつかの実施形態では、キナーゼアッセイで使用される基質は、ペプチド基質である。いくつかの実施形態では、イブルチニブは陰性対照として使用される。
【0023】
いくつかの実施形態では、修飾されたBTKポリペプチドは、BTKを試験化合物に接触させる前に、修飾されたBTKポリペプチドを発現する宿主細胞から精製される。いくつかの実施形態では、宿主細胞は、修飾されたBTKポリペプチドを安定的に発現する。いくつかの実施形態では、修飾されたBTKポリペプチドは、免疫親和性またはクロマトグラフィーによって精製される。いくつかの実施形態では、細胞は、内在性の野生型BTKの発現には不十分である。いくつかの実施形態では、細胞は、ニワトリDT40 BTK−/−B細胞、または、ヒトBTK−/−B細胞である。いくつかの実施形態では、細胞は非B細胞である。いくつかの実施形態では、細胞は哺乳動物の非B細胞である。いくつかの実施形態では、細胞はCHO細胞またはJurkatT細胞である。いくつかの実施形態では、細胞は非哺乳動物の細胞である。いくつかの実施形態では、細胞は、昆虫細胞、細菌細胞、酵母細胞、または、植物細胞である。
【0024】
本明細書では、特定の実施形態において、配列番号:1と表記されたアミノ酸配列のアミノ酸位置481に対応するアミノ酸位置において修飾を含むBTK活性を備える、単離したBTKポリペプチドまたはその変異体が記載されており、修飾は、共有結合のおよび/または不可逆的なBTK阻害剤を用いた阻害に対して、修飾されたBTKポリペプチドまたはその変異体の耐性を与える。いくつかの実施形態では、修飾は、共有結合のおよび/または不可逆的なBTK阻害剤を用いた処置に対して癌細胞の耐性を与える。いくつかの実施形態では、修飾は、配列番号:1で表記される野性型BTKと比較して、位置481におけるアミノ酸の置換を含む。いくつかの実施形態では、置換はC481Sである。いくつかの実施形態では、修飾はアミノ酸位置481の欠失を含む。いくつかの実施形態では、BTKポリペプチドは、配列番号:1と表記される野性型BTKと比較して、位置481におけるアミノ酸の置換と、1つ以上の追加のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、BTKポリペプチドは、配列番号:2と表記されるアミノ酸の配列、または、配列番号:2と表記される配列を有するポリペプチドに、少なくとも、または、少なくとも約60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上の配列同一性を有する変異体を含み、位置481におけるアミノ酸はシステインではない。いくつかの実施形態では、単離したBTKポリペプチドまたはその変異体は、組換えタンパク質である。いくつかの実施形態では、単離したBTKポリペプチドまたはその変異体は、精製されたタンパク質である。いくつかの実施形態では、単離したBTKポリペプチドまたはその変異体は、細胞から精製される。いくつかの実施形態では、細胞は、原核細胞または真核細胞である。いくつかの実施形態では、細胞は、哺乳動物細胞、細菌細胞、酵母細胞、昆虫細胞、植物細胞、または両生動物の細胞である。いくつかの実施形態では、細胞は霊長類の細胞である。いくつかの実施形態では、細胞はヒトの細胞である。いくつかの実施形態では、修飾されたBTKポリペプチドは組換えポリペプチドである。
【0025】
本明細書では、特定の実施形態において、本明細書で提供される修飾されたBTKポリペプチドをコード化する、単離した核酸分子が提供される。いくつかの実施形態では、核酸はDNAまたはRNAの分子である。いくつかの実施形態では、核酸はcDNA分子である。いくつかの実施形態では、核酸は、PCR増幅産物である。いくつかの実施形態では、核酸は組換え分子である。いくつかの実施形態では、核酸は合成分子である。いくつかの実施形態では、核酸は、配列番号:3と表記された核酸の配列であって、位置481においてアミノ酸をコード化する核酸コドンが修飾され、それによって、コドンがシステインをコード化しない、配列、あるいは、配列番号:3と表記された配列を有するポリペプチドと少なくとも、または、少なくとも約60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上の配列同一性を有する変異体を含み、位置481でアミノ酸をコード化する核酸コドンはシステインをコード化しない。いくつかの実施形態では、核酸は、配列番号:7と表記された核酸の配列、または、配列番号:7と表記された配列を有する核酸と少なくとも、または、少なくとも約60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上の配列同一性を有する変異体を含み、位置481でアミノ酸をコード化する核酸コドンは、システインをコード化しない。いくつかの実施形態では、核酸は、配列番号:8と表記された核酸の配列、または、配列番号:8と表記された配列を有する核酸と少なくとも、または、少なくとも約60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上の配列同一性を有する変異体を含み、位置481でアミノ酸をコード化する核酸コドンは、システインをコード化しない。いくつかの実施形態では、核酸は、配列番号:22と表記された核酸の配列、または、配列番号:22と表記された配列を有する核酸と少なくとも、または、少なくとも約60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上の配列同一性を有する変異体を含み、位置481でアミノ酸をコード化する核酸コドンは、システインをコード化しない。いくつかの実施形態では、核酸は、配列番号:23と表記された核酸の配列、または、配列番号:23と表記された配列を有する核酸と少なくとも、または、少なくとも約60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上の配列同一性を有する変異体を含み、位置481でアミノ酸をコード化する核酸コドンは、システインをコード化しない。いくつかの実施形態では、修飾したBTKポリペプチドは組換えポリペプチドである。
【0026】
本明細書では、特定の実施形態において、本明細書で提供される修飾されたBTKポリペプチドをコード化する核酸分子を含むベクターが記載されている。いくつかの実施形態において、ベクターはウイルスベクターまたはプラスミドベクターである。いくつかの実施形態において、核酸はプロモーターに動作可能に結合する。いくつかの実施形態において、プロモーターは、構成的プロモーターまたは誘導性プロモーターである。本明細書では、特定の実施形態において、本明細書で提供される修飾されたBTKポリペプチドをコード化する核酸分子を含む宿主細胞、あるいは、本明細書で提供される修飾されたBTKポリペプチドをコード化する核酸分子を含むベクターが提供される。いくつかの実施形態では、細胞は原核細胞または真核細胞である。いくつかの実施形態では、細胞は、哺乳動物細胞、細菌細胞、酵母細胞、昆虫細胞、植物細胞、または両生動物の細胞である。いくつかの実施形態では、細胞は霊長類の細胞である。いくつかの実施形態では、細胞はヒトの細胞である。本明細書では、特定の実施形態において、宿主細胞によって発現された変異PTX3BTKポリペプチドが、記載されている。
【0027】
本明細書では、特定の実施形態において、配列番号:1と表記されたアミノ酸配列のアミノ酸位置481に対応するアミノ酸位置で修飾を含むBTK活性を有する変異BTKポリペプチドまたはその変異体を含むキットが記載されている。いくつかの実施形態では、修飾は、BTKポリペプチドのアミノ酸位置481においてセリンにシステインを置換することである。
【0028】
本明細書では、特定の実施形態において、本明細書で提供される変異BTKポリペプチド、または、本明細書で提供される修飾されたBTKポリペプチドをコード化する核酸を含むマイクロチップが記載されている。いくつかの実施形態では、修飾は、BTKポリペプチドのアミノ酸位置481においてセリンにシステインを置換することである。
【0029】
本明細書では、特定の実施形態において、本明細書で提供される修飾されたBTKポリペプチドをコード化する単離した核酸、または、そのような核酸を含むベクターを含むキットが、記載されている。いくつかの実施形態では、修飾は、BTKポリペプチドのアミノ酸位置481においてセリンにシステインを置換することである。
【0030】
本明細書では、特定の実施形態において、アミノ酸位置481で修飾を含む修飾されたBTKポリペプチドを検知するための1つ以上の試薬を含むキットが記載されている。いくつかの実施形態では、キットは、C481Sである修飾を有する変異BTKポリペプチドを含むマイクロチップを含む。
【0031】
本明細書では、特定の実施形態において、アミノ酸位置481で修飾を含む変異BTKポリペプチドをコード化する核酸を検知するための1つ以上の試薬を含むキットが記載されている。いくつかの実施形態では、キットは、C481Sである修飾を有する変異BTKポリペプチドをコード化する核酸を含むマイクロチップを含んでいる。
【0032】
本明細書では、特定の実施形態において、修飾とアミノ酸位置481を有する修飾されたBTKポリペプチドに結合する単離した抗体が記載されており、抗体は、配列番号:1と表記されたアミノ酸の配列を有する野生型のBTKポリペプチドに結合しない、または、低親和性で結合する。いくつかの実施形態では、修飾は、BTKポリペプチドのアミノ酸位置481においてセリンにシステインを置換することである。
【0033】
本明細書では、特定の実施形態において、被験体内での共有結合のおよび/または不可逆的なBTK阻害剤を用いた阻害に対して耐性を有する修飾されたBTKを検知するためのシステムが記載されており、該システムは、(a)被験体からのBTKポリペプチドをコード化する核酸分子を含むサンプル、および、(b)配列番号:1と表記されたアミノ酸配列のアミノ酸位置481に対応するアミノ酸位置で修飾される変異BTKポリペプチドまたはその一部をコード化する核酸を含むマイクロアレイ、を含む。いくつかの実施形態では、マイクロアレイはマイクロチップに含まれる。
【0034】
本明細書では、特定の実施形態において、被験体内での共有結合のおよび/または不可逆的なBTK阻害剤を用いた阻害に対して耐性を有する修飾されたBTKを検知するためのシステムが記載されており、該システムは、(a)被験体からのBTKポリペプチドをコード化する核酸分子を含むサンプル、および、(b)配列特異的な核酸プローブであって、(i)アミノ酸位置481で修飾される修飾BTKをコード化する核酸に結合し、および、(ii)アミノ酸位置481でシステインを有する野生型のBTKをコード化する核酸には結合しない、核酸プローブ、を含む。
【0035】
本明細書では、特定の実施形態において、被験体内での共有結合のおよび/または不可逆的なBTK阻害剤を用いた阻害に対して耐性を有する修飾されたBTKを検知するためのシステムが記載されており、該システムは、(a)被験体からのBTKポリペプチドをコード化する核酸分子を含むサンプル、および、(b)BTKポリペプチドのアミノ酸481をコード化する核酸領域に隣接する一対のオリゴヌクレオチドプライマー、を含む。
【0036】
本明細書には、特定の実施形態において、血液の癌を患っている患者の維持療法の方法が記載されており、方法は:(a)治療上有効な量の共有結合のおよび/または不可逆的なBTK阻害剤の投与を含む維持療法計画を患者に施す工程、および、(b)被験体が、配列番号:1と表記されたアミノ酸配列のアミノ酸位置481に対応するアミノ酸位置で修飾をもたらすBTKをコード化する内因性遺伝子の変異を有しているかどうかを決定するために、維持療法計画の経過中にあらかじめ決められた時間間隔で、患者をモニタリングする工程、を含む。いくつかの実施形態において、モニタリングする工程は、(a)被験体からのBTKポリペプチドをコード化する核酸分子を含むサンプルを試験する工程であって、それによって、コード化されたBTKポリペプチドが配列番号:1と表記されるアミノ酸配列のアミノ酸位置481に対応するアミノ酸位置で修飾されているかどうかを決定する、工程、を含む。いくつかの実施形態では、方法は、被験体が変異を有している場合、維持療法計画を中止する工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、方法は、被験体が変異を有していない場合、維持療法計画を継続する工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、方法は、被験体が変異を有している場合、修飾されたBTKを阻害する第2世代のBTK阻害剤を投与する工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、方法は、被験体が修飾を有している場合、LYN、SYK、JAK、PI3K、PLCγ、MAPK、MEK、またはNFκBの阻害剤を投与する工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、方法は、被験体が修飾を有している場合、C481に結合しないBTKの共有結合阻害剤を投与する工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、方法は、被験体が修飾を有している場合、BTKの可逆的な阻害剤を投与する工程をさらに含む。いくつかの実施形態において、BTKポリペプチド内の修飾は、C481Sである。いくつかの実施形態では、核酸の変異は、配列番号:3と表記されたヌクレオチドの配列の核酸位置1635に対応する核酸位置で、シトシンにグアニンを変異させることである。いくつかの実施形態では、核酸の変異は、配列番号:3と表記されたヌクレオチドの配列の核酸位置1634に対応する核酸位置で、アデニンにチミンを変異させることである。いくつかの実施形態では、あらかじめ決められた時間間隔は、毎月、2か月ごと、3か月ごと、4か月ごと、5か月ごと、6か月ごと、7か月ごと、8か月ごと、9か月ごと、10か月ごと、11か月ごと、または、毎年である。いくつかの実施形態では、サンプルは1以上の癌細胞を含む。いくつかの実施形態では、サンプルはctDNAを含む。いくつかの実施形態では、方法は、不可逆的なBTK阻害剤を用いた処置の前に、被験体からのサンプルを試験する工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、血液の癌は、B細胞悪性腫瘍である。いくつかの実施形態では、癌は白血病、リンパ腫、または骨髄腫である。いくつかの実施形態では、癌は、慢性リンパ球性白血病(CLL)、小リンパ球性リンパ腫(SLL)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、活性化したB細胞びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(ABC−DLBCL)、胚中心びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(GCB DLBCL)、縦隔原発B細胞リンパ腫(PMBL)、非ホジキンリンパ腫、バーキットリンパ腫、濾胞性リンパ腫、免疫芽球性大細胞型リンパ腫、前駆Bリンパ芽球性リンパ腫、前駆B細胞急性リンパ性白血病、ヘアリーセル白血病、マントル細胞リンパ腫、B細胞前リンパ球性白血病、リンパ形質細胞性リンパ腫/ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、脾臓周辺帯リンパ腫、形質細胞性骨髄腫、形質細胞腫、節外性辺縁帯B細胞リンパ腫、節性辺縁帯B細胞リンパ腫、縦隔(胸腺)大細胞型B細胞リンパ腫、血管内大細胞型B細胞リンパ腫、原発性滲出性リンパ腫、または、リンパ腫様肉芽腫症である。いくつかの実施形態では、被験体は固形腫瘍を患っている。いくつかの実施形態では、B細胞悪性腫瘍は慢性リンパ性白血病(CLL)である。いくつかの実施形態では、不可逆的なBTK阻害剤は、イブルチニブ、PCI−45292、PCI−45466、AVL−101、AVL−291、AVL−292、またはONO−WG−37の中から選択される。いくつかの実施形態において、不可逆的なBTK阻害剤はイブルチニブである。いくつかの実施形態では、イブルチニブは、1日当たり約10mgから1日当たり約2000mg、1日当たり約50mgから1日当たり約1500mg、1日当たり約100mgから1日当たり約1000mg、1日当たり約250mgから1日当たり約850mg、または、1日当たり約300mgから1日当たり約600mgの1日投与量で投与される。いくつかの実施形態では、イブルチニブは、1日当たり約140mg、1日当たり420mg、1日当たり560mg、または、1日当たり840mgの1日投与量で投与される。
【0037】
本明細書では、特定の実施形態において、癌の処置のためにBTK阻害剤を投与される被験体が、治療に対する耐性を生じさせたか、または、生じさせる可能性が高いかどうかをモニタリングする方法が記載されており、該方法は、(a)被験体からのPLCγ2ポリペプチドをコード化する核酸分子を含むサンプルを試験する工程であって、それによって、コード化されたPLCγ2ポリペプチドが、配列番号:11と表記されたアミノ酸配列のアミノ酸位置665または707に対応するアミノ酸位置で修飾されているかどうかを決定する、工程、および、(b)被験体が修飾を有している場合、BTK阻害剤による治療に対する耐性を有する、または、有するようになる可能性が高いと被験体を特徴づける工程、を含む。いくつかの実施形態では、方法は、被験体が修飾を有している場合、BTK阻害剤を用いた処置を中止する工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、方法は被験体が修飾を有していない場合、BTK阻害剤を用いた処置を継続する工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、方法は、被験体からサンプルを得る工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、方法は、被験体が修飾を有している場合、LYN、SYK、JAK、PI3K、MAPK、MEK、またはNFκBの阻害剤を投与する工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、修飾は、PLCγ2中でのR665WまたはS707Fの置換を含む。いくつかの実施形態において、BTK阻害剤は、共有結合のまたは不可逆な阻害剤である。
【0038】
本明細書では、特定の実施形態において、癌の処置のために不可逆的なBTK阻害剤を投与される被験体の治療を最適化するための方法が記載されており、該方法は、(a)被験体からのPLCγ2ポリペプチドをコード化する核酸分子を含むサンプルを試験する工程であって、それによって、コード化されたPLCγ2ポリペプチドが、配列番号:11と表記されたアミノ酸配列のアミノ酸位置665に対応するアミノ酸位置で修飾されているかどうかを決定する、工程、および、(b)被験体が修飾を有している場合、不可逆的なBTK阻害剤を用いた処置を中止するか、または、被験体が修飾を有していない場合、不可逆的なBTK阻害剤を用いた処置を継続する工程、を含む。いくつかの実施形態では、方法は、被験体が修飾を有している場合、修飾されたキナーゼを阻害する第2世代のBTK阻害剤を投与する工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、方法は、被験体からサンプルを得る工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、方法は、被験体が修飾を有している場合、LYN、SYK、JAK、PI3K、MAPK、MEK、またはNFκBの阻害剤を投与する工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、修飾は、PLCγ2中でのR665WまたはS707Fの置換を含む。いくつかの実施形態において、BTK阻害剤は、共有結合性のまたは不可逆な阻害剤である。
【0039】
方法のいくつかの実施形態において、アッセイで使用される核酸分子は、RNAまたはDNAである。方法のいくつかの実施形態において、核酸分子はcDNAである。いくつかの実施形態において、アッセイで使用される核酸分子はゲノムDNAである。方法のいくつかの実施形態において、アッセイで使用される核酸分子は、全RNAである。方法のいくつかの実施形態において、アッセイで使用される核酸分子はmRNAである。方法のいくつかの実施形態において、方法は、核酸サンプルからmRNAを単離させる工程をさらに含む。
【0040】
方法のいくつかの実施形態において、試験する工程は、PLCγ2ポリペプチドのアミノ酸位置665または707をコード化する核酸のポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増幅を行う工程を含む。いくつかの実施形態では、PCR増幅は、PLCγ2ポリペプチドのアミノ酸位置665または707をコード化する領域に隣接する1対のオリゴヌクレオチドプライマーを使用することを含む。いくつかの実施形態では、方法は、増幅した核酸の配列を決定する工程を含む。
【0041】
方法のいくつかの実施形態において、試験する工程は、配列特異的な核酸プローブに核酸を接触させる工程であって、配列特異的な核酸プローブが、(a)アミノ酸位置665で修飾される修飾PLCγ2をコード化する核酸に結合し、および、(b)アミノ酸位置665または707でアルギニンを有する野生型PLCγ2をコード化する核酸に結合しない、工程を含む。方法のいくつかの実施形態において、試験する工程は、配列特異的な核酸プローブを用いるPCR増幅を含む。
【0042】
いくつかの実施形態では、方法で使用されるサンプルは、被験体からの1つ以上の腫瘍細胞を含む。いくつかの実施形態では、方法で使用されるサンプルは、循環腫瘍DNA(ctDNA)を含む。
【0043】
方法のいくつかの実施形態において、方法で使用される核酸は、被験体からの腫瘍細胞サンプルから単離される。いくつかの実施形態では、サンプルは、腫瘍生検サンプル、血液サンプル、血清サンプル、リンパ液サンプル、または骨髄穿刺液である。
【0044】
いくつかの実施形態では、BTK阻害剤は、イブルチニブ(PCI−32765)、PCI−45292、PCI−45466、AVL−101、AVL−291、AVL−292、またはONO−WG−37の中から選択される。いくつかの実施形態において、PLCγ2阻害剤はイブルチニブである。
【0045】
方法のいくつかの実施形態において、被験体は癌を患っている。いくつかの実施形態では、癌は血液の癌である。いくつかの実施形態では、癌はB細胞悪性腫瘍である。いくつかの実施形態では、癌は、白血病、リンパ腫、または骨髄腫の中から選択される。いくつかの実施形態では、B細胞悪性腫瘍は、慢性リンパ球性白血病(CLL)、小リンパ球性リンパ腫(SLL)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、活性化したB細胞びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(ABC−DLBCL)、胚中心びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(GCB DLBCL)、縦隔原発B細胞リンパ腫(PMBL)、非ホジキンリンパ腫、バーキットリンパ腫、濾胞性リンパ腫、免疫芽球性大細胞型リンパ腫、前駆Bリンパ芽球性リンパ腫、前駆B細胞急性リンパ性白血病、ヘアリーセル白血病、マントル細胞リンパ腫、B細胞前リンパ球性白血病、リンパ形質細胞性リンパ腫/ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、脾臓周辺帯リンパ腫、形質細胞性骨髄腫、形質細胞腫、節外性辺縁帯B細胞リンパ腫、節性辺縁帯B細胞リンパ腫、縦隔(胸腺)大細胞型B細胞リンパ腫、血管内大細胞型B細胞リンパ腫、原発性滲出性リンパ腫、または、リンパ腫様肉芽腫症である。いくつかの実施形態では、被験体は固形腫瘍を患っている。
【0046】
方法のいくつかの実施形態において、被験体は、サンプルを得る前にBTK阻害剤で処置される。いくつかの実施形態では、サンプルは、不可逆的なBTK阻害剤の第1の投与後、1週、2週、3週、1か月、2か月、3か月、4か月、5か月、6か月、7か月、8か月、9か月、10か月、11か月、12か月、14か月、16か月、18か月、20か月、22か月、または24か月目に得られる。いくつかの実施形態では、サンプルは、BTK阻害剤を用いた処置の経過中に、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10回得られる。いくつかの実施形態では、被験体は、BTK阻害剤が最初に投与されたときに、BTK阻害剤を用いた処置に反応する。
【0047】
本明細書では、特定の実施形態において、アミノ酸位置665で修飾を含む修飾されたPLCγ2ポリペプチドを検知するための1つ以上の試薬を含むキットが記載されている。いくつかの実施形態では、キットは、R665WまたはS707Fである修飾を有する変異PLCγ2ポリペプチドを含むマイクロチップを含んでいる。
【0048】
本明細書では、特定の実施形態において、アミノ酸位置665または707で修飾を含む変異PLCγ2ポリペプチドをコード化する核酸を検知するための1つ以上の試薬を含むキットが記載されている。いくつかの実施形態では、キットは、R665WまたはS707Fである修飾を有する変異PLCγ2ポリペプチドをコード化する核酸を含むマイクロチップを含んでいる。
【0049】
本明細書では、特定の実施形態において、被験体での不可逆的なBTK阻害剤を用いた阻害に対して耐性を与える修飾されたPLCγ2を検知するためのシステムが記載されており、該システムは、(a)被験体からのPLCγ2ポリペプチドをコード化する核酸分子を含むサンプル、および、(b)配列番号:11と表記されたアミノ酸配列のアミノ酸位置665または707に対応するアミノ酸位置で修飾される、変異PLCγ2ポリペプチドまたはその一部をコード化する核酸を含むマイクロアレイ、を含む。いくつかの実施形態では、マイクロアレイはマイクロチップに含まれる。
【0050】
本明細書では、特定の実施形態において、被験体におけるBTK阻害剤を用いた阻害に対して耐性を与える修飾されたPLCγ2を検知するためのシステムが記載されており、該システムは、(a)被験体からのPLCγ2ポリペプチドをコード化する核酸分子を含むサンプル、および、(b)配列特異的な核酸プローブであって、(i)アミノ酸位置665または707で修飾される修飾PLCγ2をコード化する核酸に結合し、および、(ii)アミノ酸位置665でアルギニンを、または、位置707でセリンを有する野生型のPLCγ2をコード化する核酸には結合しない、核酸プローブ、を含む。
【0051】
本明細書では、特定の実施形態において、被験体のBTK阻害剤を用いた阻害に対して耐性を与える修飾されたPLCγ2を検知するためのシステムが記載されており、該システムは、(a)被験体からのPLCγ2ポリペプチドをコード化する核酸分子を含むサンプル、および、(b)PLCγ2ポリペプチドのアミノ酸665または707をコード化する核酸領域に隣接する一対のオリゴヌクレオチドプライマー、を含む。
【0052】
本明細書では、特定の実施形態において、血液の癌を患っている患者の維持療法の方法が記載されており、該方法は、(a)治療上有効な量のBTK阻害剤を投与する工程を含む維持療法計画を患者に施す工程、および、(b)維持療法計画の経過にわたってあらかじめ決められた時間間隔で患者をモニタリングする工程であって、それによって、被験体が、配列番号:11と表記されたアミノ酸配列のアミノ酸位置665または707に対応するアミノ酸位置で修飾をもたらすPLCγ2をコード化する内因性遺伝子の変異を有しているかどうかを決定する、工程、を含む。いくつかの実施形態において、モニタリングする工程は、(a)被験体からのPLCγ2ポリペプチドをコード化する核酸分子を含むサンプルを試験する工程であって、それによって、コード化されたPLCγ2ポリペプチドが、配列番号:11と表記されたアミノ酸配列のアミノ酸位置665または707に対応するアミノ酸位置で修飾されているかどうかを決定する、工程を含む。いくつかの実施形態では、方法は、被験体に変異がある場合、BTK阻害剤を用いた処置を中止する工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、方法は、被験体に変異がない場合、BTK阻害剤を用いた処置を継続する工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、方法は、被験体が修飾を有している場合、LYN、SYK、JAK、PI3K、MAPK、MEK、またはNFκBの阻害剤を投与する工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、PLCγ2ポリペプチド中の修飾は、R665WまたはS707Fである。いくつかの実施形態では、あらかじめ決められた時間間隔は、毎月、2か月ごと、3か月ごと、4か月ごと、5か月ごと、6か月ごと、7か月ごと、8か月ごとである。
【0053】
いくつかの実施形態では、BTK阻害剤は、1日当たり約10mgから1日当たり約2000mg、1日当たり約50mgから1日当たり約1500mg、1日当たり約100mgから1日当たり約1000mg、1日当たり約250mgから1日当たり約850mg、または、1日当たり約300mgから1日当たり約600mgの1日投与量で投与される。いくつかの実施形態では、イブルチニブは、1日当たり約140mg、1日当たり420mg、1日当たり560mg、または、1日当たり840mgの1日投与量で投与される。いくつかの実施形態では、BTK阻害剤は共有結合のおよび/または不可逆的なBTK阻害剤である。いくつかの実施形態では、BTK阻害剤は、イブルチニブ(PCI−32765)、PCI−45292、PCI−45466、AVL−101、AVL−291、AVL−292、またはONO−WG−37の中から選択される。いくつかの実施形態において、BTK阻害剤はイブルチニブである。
【0054】
本明細書では、特定の実施形態において、癌の処置のためにBTK阻害剤を投与される被験体が、治療に対する耐性を生じさせたか、または、生じさせる可能性が高いかどうかをモニタリングする方法が記載されており、該方法は、(a)被験体からのCARD11ポリペプチドをコード化する核酸分子を含むサンプルを試験する工程であって、それによって、コード化されたCARD11ポリペプチドが、配列番号:19と表記されたアミノ酸配列のアミノ酸位置232に対応するアミノ酸位置で修飾されているかどうかを決定する、工程、および、(b)被験体が修飾を有している場合、BTK阻害剤による治療に対する耐性を有する、または、有するようになる可能性が高いと被験体を特徴づける工程、を含む。いくつかの実施形態では、方法は、被験体が修飾を有している場合、BTK阻害剤を用いた処置を中止する工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、方法は、被験体が修飾を有していない場合、BTK阻害剤を用いた処置を継続する工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、方法は、被験体からサンプルを得る工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、方法は、被験体が修飾を有している場合、LYN、SYK、JAK、PI3K、MAPK、MEK、またはNFκBの阻害剤を投与する工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、修飾は、CARD11でのL232LL挿入を含む。いくつかの実施形態において、BTK阻害剤は、共有結合性のまたは不可逆な阻害剤である。
【0055】
本明細書では、特定の実施形態において、癌の処置のために不可逆的なBTK阻害剤を投与される被験体の治療を最適化する方法が記載されており、該方法は、(a)被験体からのCARD11ポリペプチドをコード化する核酸分子を含むサンプルを試験する工程であって、それによって、コード化されたCARD11ポリペプチドが、配列番号:19と表記されたアミノ酸配列のアミノ酸位置232に対応するアミノ酸位置で修飾されているかどうかを決定する、工程、および、(b)被験体が修飾を有している場合、不可逆的なBTK阻害剤を用いた処置を中止するか、または、被験体が修飾を有していない場合、不可逆的なBTK阻害剤を用いた処置を継続する工程、を含む。いくつかの実施形態では、方法は、被験体が修飾を有している場合、修飾されたキナーゼを阻害する第2世代のBTK阻害剤を投与する工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、方法は、被験体からサンプルを得る工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、方法は、被験体が修飾を有している場合、LYN、SYK、JAK、PI3K、MAPK、MEK、またはNFκBの阻害剤を投与する工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、修飾は、CARD11でのL232LL挿入を含む。いくつかの実施形態において、BTK阻害剤は、共有結合性のまたは不可逆な阻害剤である。
【0056】
方法のいくつかの実施形態において、アッセイで使用される核酸分子は、RNAまたはDNAである。方法のいくつかの実施形態において、核酸分子はcDNAである。方法のいくつかの実施形態において、アッセイで使用される核酸分子は、ゲノムDNAである。方法のいくつかの実施形態において、アッセイで使用される核酸分子は、全RNAである。方法のいくつかの実施形態において、アッセイで使用される核酸分子は、mRNAである。方法のいくつかの実施形態において、方法は、RNAサンプルからmRNAを単離する工程をさらに含む。
【0057】
方法のいくつかの実施形態において、試験する工程は、CARD11ポリペプチドのアミノ酸位置232をコード化する核酸のポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増幅を行う工程を含む。いくつかの実施形態では、PCR増幅は、CARD11ポリペプチドのアミノ酸位置232をコード化する領域に隣接する一対のオリゴヌクレオチドプライマーを使用することを含む。いくつかの実施形態では、方法は、増幅した核酸の配列を決定するを含む。
【0058】
方法のいくつかの実施形態において、試験する工程は、配列特異的な核酸プローブに核酸を接触させる工程であって、配列特異的な核酸プローブが、(a)アミノ酸位置232で修飾される修飾CARD11をコード化する核酸に結合し、および、(b)野生型のCARD11をコード化する核酸に結合しない、工程、を含む。方法のいくつかの実施形態において、試験する工程は、配列特異的な核酸プローブを使用するPCR増幅を含む。
【0059】
いくつかの実施形態では、方法で使用されるサンプルは、被験体からの1つ以上の腫瘍細胞を含む。いくつかの実施形態では、方法で使用されるサンプルは、循環腫瘍DNA(ctDNA)を含む。
【0060】
方法のいくつかの実施形態において、方法で使用される核酸は、被験体からの腫瘍細胞サンプルから単離させる。いくつかの実施形態では、サンプルは、腫瘍生検サンプル、血液サンプル、血清サンプル、リンパ液サンプル、または骨髄穿刺液である。
【0061】
いくつかの実施形態では、BTK阻害剤は、イブルチニブ(PCI−32765)、PCI−45292、PCI−45466、AVL−101、AVL−291、AVL−292、またはONO−WG−37の中から選択される。いくつかの実施形態において、BTK阻害剤はイブルチニブである。
【0062】
方法のいくつかの実施形態において、被験体は癌を患っている。いくつかの実施形態では、癌は血液の癌である。いくつかの実施形態では、癌はB細胞悪性腫瘍である。いくつかの実施形態では、癌は白血病、リンパ腫、または骨髄腫の中から選択される。いくつかの実施形態では、B細胞悪性腫瘍は、慢性リンパ球性白血病(CLL)、小リンパ球性リンパ腫(SLL)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、活性化したB細胞びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(ABC−DLBCL)、胚中心びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(GCB DLBCL)、縦隔原発B細胞リンパ腫(PMBL)、非ホジキンリンパ腫、バーキットリンパ腫、濾胞性リンパ腫、免疫芽球性大細胞型リンパ腫、前駆Bリンパ芽球性リンパ腫、前駆B細胞急性リンパ性白血病、ヘアリーセル白血病、マントル細胞リンパ腫、B細胞前リンパ球性白血病、リンパ形質細胞性リンパ腫/ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、脾臓周辺帯リンパ腫、形質細胞性骨髄腫、形質細胞腫、節外性辺縁帯B細胞リンパ腫、節性辺縁帯B細胞リンパ腫、縦隔(胸腺)大細胞型B細胞リンパ腫、血管内大細胞型B細胞リンパ腫、原発性滲出性リンパ腫、または、リンパ腫様肉芽腫症である。いくつかの実施形態では、被験体は固形腫瘍を患っている。
【0063】
方法のいくつかの実施形態において、被験体は、サンプルを得る前にBTK阻害剤で処置される。いくつかの実施形態では、サンプルは、不可逆的なBTK阻害剤の第1の投与後、1週、2週、3週、1か月、2か月、3か月、4か月、5か月、6か月、7か月、8か月、9か月、10か月、11か月、12か月、14か月、16か月、18か月、20か月、22か月、または24か月目に得られる。いくつかの実施形態では、サンプルは、BTK阻害剤を用いた処置の経過中に、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10回得られる。いくつかの実施形態では、被験体は、BTK阻害剤が最初に投与されたときに、BTK阻害剤を用いた処置に反応する。
【0064】
本明細書では、特定の実施形態において、アミノ酸位置232で修飾を含む修飾されたCARD11ポリペプチドを検知するための1つ以上の試薬を含むキットである。いくつかの実施形態では、キットは、L232LLである修飾を有する変異CARD11ポリペプチドを含むマイクロチップを含んでいる。
【0065】
本明細書では、特定の実施形態において、アミノ酸位置232で修飾を含む変異CARD11ポリペプチドをコード化する核酸を検知するための1つ以上の試薬を含むキットである。いくつかの実施形態では、キットは、L232LLである修飾を有する変異CARD11ポリペプチドをコード化する核酸を含むマイクロチップを含んでいる。
【0066】
本明細書では、特定の実施形態において、被験体における不可逆的なBTK阻害剤を用いた阻害に対して耐性を与える修飾されたCARD11を検知するためのシステムが記載されており、該システムは、(a)被験体からのCARD11ポリペプチドをコード化する核酸分子を含むサンプル、および、(b)配列番号:19と表記されたアミノ酸配列のアミノ酸位置232に対応するアミノ酸位置で修飾される変異CARD11ポリペプチドまたはその一部をコード化する核酸を含むマイクロアレイ、を含む。いくつかの実施形態では、マイクロアレイはマイクロチップに含まれる。
【0067】
本明細書では、特定の実施形態において、被験体のBTK阻害剤を用いた阻害に対して耐性を与える修飾されたCARD11を検知するためのシステムが記載されており、該システムは、(a)被験体からのCARD11ポリペプチドをコード化する核酸分子を含むサンプル、および、(b)配列特異的な核酸プローブであって、(i)アミノ酸位置232で修飾される修飾CARD11をコード化する核酸に結合し、および、(ii)野生型のCARD11をコード化する核酸には結合しない、核酸プローブ、を含む。
【0068】
本明細書では、特定の実施形態において、被験体のBTK阻害剤を用いた阻害に対して耐性を与える修飾されたCARD11を検知するためのシステムが記載されており、該システムは、(a)被験体からのCARD11ポリペプチドをコード化する核酸分子を含むサンプル、および、(b)CARD11ポリペプチドのアミノ酸232をコード化する核酸領域に隣接する一対のオリゴヌクレオチドプライマー、を含む。
【0069】
本明細書では、特定の実施形態において、血液の癌を患っている患者の維持療法の方法が記載されており、該方法は、(a)治療上有効な量のBTK阻害剤を投与する工程を含む維持療法計画を患者に施す工程、および、(b)維持療法計画の経過にわたってあらかじめ決められた時間間隔で患者をモニタリングする工程であって、それによって、被験体が、配列番号:19と表記されたアミノ酸配列のアミノ酸位置232に対応するアミノ酸位置で修飾をもたらすCARD11をコード化する内因性遺伝子の変異を有しているかどうかを決定する、工程、を含む。いくつかの実施形態において、モニタリングする工程は、(a)被験体からのCARD11ポリペプチドをコード化する核酸分子を含むサンプルを試験する工程であって、それによって、コード化されたCARD11ポリペプチドが、配列番号:19と表記されたアミノ酸配列のアミノ酸位置232に対応するアミノ酸位置で修飾されているかどうかを決定する、工程、を含む。いくつかの実施形態では、方法は、被験体に変異がある場合、BTK阻害剤を用いた処置を中止する工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、方法は、被験体に変異がない場合、BTK阻害剤を用いた処置を継続する工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、方法は、被験体が修飾を有している場合、LYN、SYK、JAK、PI3K、MAPK、MEK、またはNFκBの阻害剤を投与する工程をさらに含む。いくつかの実施形態において、CARD11ポリペプチド中の変異はL232LLである。いくつかの実施形態では、あらかじめ決められた時間間隔は、毎月、2か月ごと、3か月ごと、4か月ごと、5か月ごと、6か月ごと、7か月ごと、8か月ごとである。
【0070】
いくつかの実施形態では、BTK阻害剤は、1日当たり約10mgから1日当たり約2000mg、1日当たり約50mgから1日当たり約1500mg、1日当たり約100mgから1日当たり約1000mg、1日当たり約250mgから1日当たり約850mg、または、1日当たり約300mgから1日当たり約600mgの1日投与量で投与される。いくつかの実施形態では、イブルチニブは、1日当たり約140mg、1日当たり420mg、1日当たり560mg、または、1日当たり840mgの1日投与量で投与される。いくつかの実施形態では、BTK阻害剤は共有結合のおよび/または不可逆的なBTK阻害剤である。いくつかの実施形態では、BTK阻害剤は、イブルチニブ(PCI−32765)、PCI−45292、PCI−45466、AVL−101、AVL−291、AVL−292、またはONO−WG−37の中から選択される。いくつかの実施形態において、BTK阻害剤はイブルチニブである。
【発明を実施するための形態】
【0072】
<特定の化学用語>
他に定義されない限り、本明細書で用いられる全ての技術的および科学的な用語は、請求項に係る主題が属する当該分野の知識を有する者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。特許、特許出願、公開された出願および出版物、GENBANK配列、ウェブサイト、および他の出版物は、本明細書での開示全体にわたって、他に明記されない限り、引用によりそのまま組み込まれる。本明細書の用語に複数の定義がある場合、この表題の定義が優先される。URLまたは他のそのような識別子またはアドレスについて言及する場合、そのような識別子は変更可能であり、とりわけ、インターネット上の特定の情報は変動することがあり得るが、同等の情報はインターネットおよび/または適切なデータベースを検索するなどして、容易に入手することができることが理解されよう。そのようなものについての言及は、そのような情報の利用可能性と好適な普及を証拠づけるものである。一般に、細胞培養、細胞感染症、抗体産生、および分子生物学的方法の手続きは、当該技術で一般に使用される方法である。そのような標準的な技術は、例えば、Sambrook et al. (2000) and Ausubel et al. (1994)などのレファレンスマニュアルで見られる。
【0073】
本明細書で用いられるように、単数形「a、「an」、および「the」は、文脈で他に明確に指示されていない限り、複数の指示対象を含む。本出願では、単数の使用は、特別に別記しない限り、複数を含んでいる。本明細書で使用されるように、「または」の使用は、特に明記しない限り、「および/または」を意味する。さらに、用語「含んでいる(including)」の使用は、「含む(include)」、「includes」、および、「含まれる(included)」といった他の形態と同じく、限定されない。
【0074】
本明細書で使用されているように、範囲および量は、「約(about)」特定の値または範囲として表すことができる。「約」は正確な量も含んでいる。従って、「約5μg」は「約5μg」も「5μg」も意味する。一般に、用語「約」は、実験の誤差内であると予想される量を含んでいる。
【0075】
本明細書で使用されているように、Bruton型チロシンキナーゼ(BTK)ポリペプチドは、限定されないが、組み換え生成されたタンパク質、合成により生成されたタンパク質、天然のBTKタンパク質、および、細胞または組織から抽出されたBTKタンパク質を含む、任意のBTKタンパク質またはポリペプチドを指す。BTKポリペプチドは、限定されないが、ヒト起源およびヒト以外の起源の動物を含む様々な種からの関連するポリペプチドを含んでいる。ヒト以外の起源のBTKポリペプチドとしては、限定されないが、ヒト以外の霊長類(例えばチンパンジーと類人猿)、マウス(例えばマウスとラット)、イヌ科の動物(canine)(イヌ)、ネコ科の動物(ネコ)、ウサギのような動物(leporine)(ウサギ)、鳥類(avian)(鳥)、ウシ亜科の動物(雌ウシ)、ヒツジのような動物(ovine)(ヒツジ)、ブタのような動物(porcine)(ブタ)、ウマ科の動物(equine)(ウマ)、魚類(piscine)(サカナ)、カエル(ranine)(カエル)、および、他の哺乳動物または非哺乳動物のBTKポリペプチドが挙げられる。例証的なBTKポリペプチドとしては、例えば、マウス(GenBank Accession No.AAB47246)、イヌ(GenBank Accession No.XP_549139)、ラット(GenBank Accession No.NP_001007799)、ニワトリ(GenBank Accession No.NP_989564)、または、ゼブラフィッシュ(GenBank Accession No.XP_698117)からのオルソログと、Bruton型チロシンキナーゼの1以上の基質(例えば、アミノ酸配列AVLESEEELYSSARQ」を有するペプチド基質)に対するキナーゼ活性を示す、前述のいずれかの融合タンパク質が挙げられる。典型的なBTKポリペプチドとしては、限定されないが、配列番号:1、2、および、4−6が挙げられる。BTKポリペプチドは、野生型のBTK、対立遺伝子多型アイソフォーム、腫瘍または血液悪性腫瘍で見られる変異を含む体細胞変異、核酸からの合成分子、ヒト組織および細胞から単離したタンパク質、および、その修飾形態が挙げられる。本明細書で提供されるBTKポリペプチドは、1つ以上のアミノ酸の欠失、追加、または置換によって、一次アミノ酸配列を修飾することで、さらに修飾することができる。BTKポリペプチドは、キナーゼ活性などのBTK活性を有する、任意のBTKポリペプチドまたはその一部を含んでいる。
【0076】
本明細書で使用されているように、変異BTKポリペプチド、変異BTKタンパク質、修飾されたBTKポリペプチドまたは修飾されたBTKタンパク質は、本明細書では交互に使用されており、1つ以上のアミノ酸位置で修飾されるBTKポリペプチドを指す。典型的な修飾は、限定されないが、アミノ酸の置換、欠失、または追加を含んでいる。
【0077】
本明細書で使用されているように、用語「BTK阻害剤」または「BTKアンタゴニスト」は、BTKポリペプチドの少なくとも1つの活性を阻害するまたは低下させる剤を指す。BTK活性は直接的および間接的な活性を含む。典型的な直接的な活性は、限定されないが、標的分子との会合または標的基質のリン酸化(すなわちキナーゼ活性)を含んでいる。典型的な間接的な活性は、限定されないが、例えば、NF−κBを媒介とした遺伝子転写の活性化といった、下流の生物学的事象の活性化または阻害を含んでいる。
【0078】
本明細書で使用されているように、用語「不可逆的な阻害剤」は、標的タンパク質(例えばキナーゼ)と接触すると、タンパク質との、または、タンパク質内での、新しい共有結合の形成を引き起こし、それによって、標的タンパク質の生物活性(例えば、リン酸転移酵素活性)の1つ以上が、不可逆的な阻害剤のその後の存在の有無に関わらず減少するまたは破壊される、化合物を指す。
【0079】
本明細書で使用されているように、用語「不可逆的なBtk阻害剤」は、Btkのアミノ酸残基と共有結合を形成することができるBtkの阻害剤を指す。1つの実施形態では、Btkの不可逆的な阻害剤は、Btkのシステイン残基と共有結合を形成することができる。特定の実施形態では、不可逆的な阻害剤は、Btkのシステイン481残基(または、そのホモログ)、あるいは、別のチロシンキナーゼの類似の対応する位置のシステイン残基と、共有結合を形成することができる。
【0080】
本明細書で使用されているように、BTK活性の阻害は、阻害剤のない状態での同じ活性と比較して、阻害剤のある状態でのBTK活性の任意の減少を指す。
【0081】
本明細書で使用されているように、「共有結合のおよび/または不可逆的なBTK阻害剤に対する耐性を与える」との用語は、共有結合のおよび/または不可逆的なBTK阻害剤による阻害に対するBTKの感受性の任意の減少を指す。本明細書で提供されたいくつかの実施形態において、システイン481のBTKの修飾は、共有結合のおよび/または不可逆的なBTK阻害剤に対する耐性を与える。いくつかの実施形態では、修飾は、BTKへの阻害剤の結合を防ぐ。いくつかの実施形態において、阻害剤はBTKに可逆的に結合する。いくつかの実施形態では、修飾されたBTKに結合するための阻害剤の親和性は、野生型のBTKへの結合と比較して減少する。
【0082】
本明細書で使用されているように、用語「第2世代のBTK阻害剤」は、システイン481でアミノ酸修飾を含むBTKポリペプチドの少なくとも1つの活性を阻害する剤を指す。いくつかの実施形態では、第2世代のBTK阻害剤は、野生型のBTKポリペプチドの活性も阻害する。いくつかの実施形態では、第2世代のBTK阻害剤は、野生型のBTKポリペプチドの活性を阻害しない。
【0083】
本明細書で使用されているように、用語「第1世代のBTK阻害剤」は、野生型のBTKポリペプチドの活性を阻害するが、システイン481でアミノ酸修飾を含むBTKポリペプチドの阻害を減じる剤を指す。いくつかの実施形態では、第1世代のBTK阻害剤は、共有結合のおよび/または不可逆的なBTK阻害剤である。
【0084】
「癌」および「癌性の」という用語は、一般に制御されない細胞増殖を特徴とする哺乳動物の生理的な状態のこと指すまたは記載している。癌の例としては、限定されないが、リンパ腫と白血病のようなB細胞リンパ増殖性障害(BCLD)、および、固形腫瘍が挙げられる。「B細胞関連癌」または「B細胞系統の癌」によって、調節不全のまたは制御されない細胞増殖がB細胞に関連付けられる癌の任意の種類を意図している。
【0085】
癌の文脈における「難治性」によって、いて、特定の治療薬を用いる治療に対する耐性を有する、または、該治療に反応しない、特定の癌を意図している。癌は、特定の治療薬を用いた第1の治療期間の間に、あるいは、該治療薬を用いたその後の治療期間中に、特定の治療薬を用いた処置の発症から(すなわち、治療薬への最初の曝露に反応しない)、あるいは、治療薬に対する耐性を進行させた結果として、治療薬を用いた治療に対して難治性であることもある。
【0086】
本明細書で使用されているように、「維持療法」は、最初の治療に対する有益な反応(例えば、寛解)後に、再発(癌の再発)のリスクを低下させるのに役立つ化学療法または別の処置の継続使用を意味する。維持療法を進行癌(例えば、治癒することができない癌)の患者に用いて、進行癌がさらに成長して転移するのを防いでもよい。
【0087】
「BTKを媒介としたシグナル伝達」によって、直接的または間接的にBTKの活性に依存する生物活性のいずれかを意図している。BTKを媒介としたシグナル伝達の例は、信号である、BTK発現細胞の増殖と生存、および、BTK発現細胞中の1つ以上のBTKシグナル伝達経路の刺激をもたらすシグナルである。
【0088】
BTK「シグナル伝達経路」または「シグナル変換経路」は、BTKの活性に起因する、少なくとも1つの生化学反応または一群の生化学反応であって、シグナル経路を通って伝達されると、シグナル伝達カスケードで1以上の下流の分子の活性化をもたらすシグナルを生成する反応を意味するように意図されている。シグナル伝達経路は多くのシグナル伝達分子を含んでおり、これは、細胞表面から、細胞の原形質膜を超えて、一連のシグナル伝達分子の1以上を介して、細胞の細胞質を介して、場合によっては、細胞の核へとシグナルを伝達する。本発明にとってとりわけ興味深いことは、NF−κBシグナル伝達経路を介したNF−κBの活性化を制御する(あるいは増強するまたは阻害する)シグナル伝達経路である。
【0089】
用語「核酸」は、一本鎖または二本鎖形態のデオキシリボヌクレオチド、デオキシリボヌクレオシド、リボヌクレオシド、または、リボヌクレオチド、およびこれらのポリマーを指す。特に明記されない限り、この用語は、基準核酸として類似する結合特徴を有し、かつ、自然発生のヌクレオチドに類似する方法で代謝される、天然のヌクレオチドの既知のアナログを含む核酸を包含している。とりわけ他の方法で限定されない限り、この用語は、PNA(ペプチド核酸(peptidonucleic acid)、アンチセンス技術で使用されるDNAのアナログ(例えば、ホスホロチオエート、ホスホロアミデート(phosphoroamidates))を含むオリゴヌクレオチド・アナログを指す。他の方法で明記されない限り、特定の核酸配列は、保存的に修飾されたその変異体(限定されないが、縮重コドン置換を含む)、および、明示された配列と同様に相補的な配列も暗に含んでいる。具体的には、縮重コドン置換は、1つ以上の選択された(またはすべての)コドンの第3位置が混合基および/またはデオキシイノシンの残基で置換される配列を生成することで達成される(Batzer et al. (1991)Nucleic Acid Res. 19:5081; Ohtsuka et al. (1985) J. Biol. Chem. 260:2605−2608; and Cassol et al. (1992)Mol. Cell. Probes 6, 327−331; and Rossolini et al. (1994) Mol. Cell. Probes 8:91−98)。
【0090】
用語「アミノ酸」は、アミノ酸アナログ、および、自然発生のアミノ酸に類似した方法で機能するアミノ酸模倣物と同様に、自然発生の、および、非自然発生のアミノ酸も指す。天然にコード化されたアミノ酸は、20の共通のアミノ酸(アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、および、バリン)と、ピロリジン(pyrolysine)およびセレノシステインである。アミノ酸アナログは、自然発生のアミノ酸(すなわち、水素、カルボキシル基、アミノ基、および、ホモセリン、ノルロイシン、メチオニンスルフォキシド、メチオニンメチルスルホニウムなどのR基に結合されるα炭素)と同じ基本的な化学構造を有している薬剤を指す。そのようなアナログは、R基(ノルロイシンなど)を修飾しているか、または、ペプチド主鎖を修飾しているが、自然発生のアミノ酸と同じ基本的な化学構造を保持する。
【0091】
アミノ酸は、その一般に知られた3文字の記号またはIUPAC−IUB生化学命名法委員会(Biochemical Nomenclature Commission)によって推奨された1文字の記号によって本明細書では呼ばれる。ヌクレオチドも同様に、その一般に容認された1文字のコードによって呼ばれる。
【0092】
用語「ポリペプチド」、「ペプチド」、および「タンパク質」は、アミノ酸残基のポリマーを指すために本明細書では交互に使用される。この用語は、自然発生のアミノ酸ポリマーにも、1つ以上のアミノ酸残基が非自然発生のアミノ酸(例えばアミノ酸アナログ)であるアミノ酸ポリマーにも適用される。この用語は、完全長のタンパク質を含む任意の長さのアミノ酸鎖を包含しており、アミノ酸残基は共有結合のペプチド結合によって結合される。
【0093】
本明細書で使用されているように、ポリペプチドのアミノ酸の配列、または、核酸分子中のヌクレオチドの配列の修飾に関する修飾は、アミノ酸とヌクレオチドのそれぞれの欠失、挿入および置換を含んでいる。
【0094】
2つのアミノ酸配列、または、2つの核酸の相同率を測定するために、配列を、最適な比較目的のために位置合わせすることが可能である(例えば、第2のアミノまたは核酸配列との最適なアライメントのために、最初のアミノ酸の配列、または、核酸配列に、ギャップを導入する)。その後、対応するアミノ酸位置またはヌクレオチド位置でのアミノ酸残基またはヌクレオチドを、比較することができる。第1の配列の位置が、第2の配列の対応する位置と同じアミノ酸残基またはヌクレオチドによって占領されている場合、分子はその位置で同一である。2つの配列間の相同率は、配列によって共有される同一の位置の数の関数である(すなわち、%同一性=同一の位置の#/位置の合計の#(例えばオーバーラップする位置)x100)。いくつかの実施形態において、2つの配列は同じ長さである。
【0095】
2つの配列間の相同率を決定するために、KarlinとAltschulのアルゴリズム(1990)Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87:2264−2268, modified as in Karlin and Altschul (1993) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:5873−5877が用いられる。そのようなアルゴリズムは、Altschul, et al. (1990) J. Mol. Biol. 215:403−410のNBLASTとXBLASTのプログラムへ組み込まれる。BLASTヌクレオチド探索は、本明細書に記載または開示された核酸分子に相同のヌクレオチド配列を得るために、NBLASTプログラム(score=100、wordlength=12)を用いて行われる。BLASTタンパク質探索は、XBLASTプログラム(score=50、wordlength=3)で行なわれる。比較目的のためにギャップを入れた(gapped)アライメントを達成するために、Altschul et al.(1997) Nucleic Acids Res. 25:3389−3402に記載されるように、Gapped BLASTを利用する。BLASTおよびGapped BLASTプログラムを利用する際には、それぞれのプログラムのデフォルトのパラメーター(例えばXBLASTとNBLAST)が使用される。より詳細については、全米バイオテクノロジー情報センターのウェブサイトを参照のこと(ワールド・ワイド・ウェブでncbi.nlm.nih.gov)。本明細書に記載の方法で使用するに適しているタンパク質は、本明細書に記載の任意のタンパク質のアミノ酸配列と比較して、1〜15のアミノ酸変化、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、または15のアミノ酸の置換、欠失、または追加を有するタンパク質をさらに含んでいる。他の実施形態では、変更したアミノ酸配列は、本明細書に記載の任意のタンパク質のアミノ酸配列と、少なくとも75%、例えば、77%、80%、82%、85%、88%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または、100%同一である。そのような配列を変化させたタンパク質は、変更されたアミノ酸配列が本明細書に記載の組成物および方法において十分な生物活性を機能的に維持する限り、本明細書に記載の方法に適している。アミノ酸置換が行われる場合、置換は保存的なアミノ酸置換でなければならない。共通のアミノ酸の中で、例えば、「保存的なアミノ酸置換」は、以下の基のそれぞれ内部のアミノ酸の中での置換によって例証される:(1)グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、および、イソロイシン、(2)フェニルアラニン、チロシン、および、トリプトファン、(3)セリンおよびトレオニン、(4)アスパラギン酸およびグルタミン酸、(5)グルタミンおよびアスパラギン、ならびに、(6)リジン、アルギニン、および、ヒスチジン。当業者は、一般に、ポリペプチドの必須ではない領域の1つのアミノ酸置換では、生物活性がほとんど変化しないことを認識している(参照、例えば、Watson et al. Molecular Biology of the Gene, 4th Edition, 1987, The Benjamin/Cummings Pub. co., p.224を参照)。これに応じて、BLOSUM62表は、関連するタンパク質の500を超える基の高度に保存された領域を表わす、タンパク質配列部分の約2000の局所的な多重アライメントに由来するアミノ酸置換行列である(Henikoff et al (1992) Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 89:10915−10919)。したがって、BLOSUM62置換頻度は、実施形態によっては、本明細書で記載または開示されたアミノ酸配列に導入される保存的なアミノ酸置換を定義するために、使用される。化学的性質(上記)だけに基づいてアミノ酸置換を設計することは可能であるが、「保存的なアミノ酸置換」という言葉は、好ましくは、−1よりも大きなBLOSUM62値によって表わされる置換を指す。例えば、置換が0、1、2、または3のBLOSUM62値を特徴とする場合、アミノ酸置換は保存的である。このシステムによれば、好ましい保存的なアミノ酸置換は少なくとも1(例えば1、2、または3)のBLOSUM62値を特徴とするが、より好ましい保存的なアミノ酸置換は、少なくとも2(例えば、2または3)のBLOSUM62値を特徴とする。
【0096】
本明細書で使用されているように、対応する残基は位置合わせした座で生じる残基を指す。関連するポリペプチドまたは変異ポリペプチドは、当業者に既知の任意の方法によって位置合わせされる。そのような方法は典型的には一致点を最大にするものであり、手作業のアライメントを使用するような、および、利用可能な(例えばBLASTP)、ならびに、当業者に知られている、多くのアライメントプログラムを使用する方法を含んでいる。ポリペプチドの配列を位置合わせすることによって、当業者は、ガイドとして、保存された同一のアミノ酸残基を用いて、対応する残基を同定することができる。対応する位置は、例えば、タンパク質構造のコンピューターでシミュレートされたアライメントを用いることで、構造のアライメントに基づくことができる。他の場合には、対応する領域を同定することができる。
【0097】
本明細書で使用されているように、対立形質の変異体または対立形質の変更形態は、遺伝子(すなわち、対立遺伝子によってコード化される)の基準形態とは異なる遺伝子によってコード化されたポリペプチドを言う。典型的に、遺伝子の基準形態は、種の集団または1つの基準メンバーからのポリペプチドの野性型形態および/または優勢な形態をコード化する。一般に、種の間に変異体を含む対立形質の変異体は、典型的には、同じ種からの野性型および/または優勢な形態と、少なくとも80%、90%、またはそれ以上のアミノ酸同一性を有しており、同一性の程度は、遺伝子に依存するとともに、比較が異種間であるか同一種間であるかに依存する。一般に、同一種内の対立形質の変異体は、ポリペプチドの野性型および/または優勢な形態との96%、97%、98%、99%以上の同一性を含む、野性型および/または優勢な形態との少なくとも約80%、85%、90%、または95%以上の同一性を有している。
【0098】
本明細書で使用されているように、用語「十分に精製される」は、精製前に対象の成分を通常伴う、または該成分に相互作用する、他の成分を実質的に含まないまたは本質的に含まない対象成分を指している。ほんの一例として、対象成分は、対象成分の調合剤が、汚染成分の(乾重量で)約30%未満、約25%未満、約20%未満、約15%未満、約10%未満、約5%未満、約4%未満、約3%未満、約2%未満、あるいは、約1%未満を含有している際に、「十分に精製され」得る。したがって、「十分に精製された」対象成分は、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%以上の精製レベルを有することができる。
【0099】
本明細書で使用されているように、種変異体は、種の間の同じポリペプチドの変異体を指す。一般に、異種間の変異体は、ポリペプチドの野性型および/または優勢な形態との96%、97%、98%、99%、またはそれ以上の同一性を含む、野性型および/または優勢な形態との少なくとも約60%、70%、80%、85%、90%、または95%以上の同一性を有している。
【0100】
本明細書で使用されているような用語「被験体」は、治療、観察、または実験の対象である動物を指す。ほんの一例として、被験体は、限定されないがヒトを含む哺乳動物であってもよいが、これに限定されない。
【0101】
本明細書で使用されているように、IC50は、最大反応を測定するアッセイにおいて、最大反応の50%阻害、例えば、Btkの阻害を達成する、特定の試験化合物の量、濃度、または用量を指す。
【0102】
本明細書で使用されているように、EC50は、特定の試験化合物によって誘発され、引き起こされ、または、強められる特定の反応の最大発現の50%で用量依存性の反応を引き出す、特定の試験化合物の1回分の用量、濃度、または量を指す。
【0103】
本明細書で使用されているように、「処置する(treat)」、「処置している(treating)」、及び「処置(treatment)」という用語は、および、他の文法的な同等物は、疾患または疾病の1以上の症状を軽減、減少、または改善すること、疾患または疾病の1以上の追加の症状の出現、重症度、または頻度を改善、予防、または、減少させること、疾患または疾病の1以上の症状の根底にある代謝の原因を改善または予防すること、疾患または疾病を抑制すること、例えば、疾患または疾病の進行を停止すること、疾患または疾病を緩和すること、疾患または疾病を退行させること、疾患または疾病により生じる状態を緩和すること、あるいは、疾患または疾病の症状を予防的および/または治療的に抑制すること、を含む。非限定的な例において、予防的な利益については、本明細書に開示された第3世代のBTK阻害化合物は、特定の障害を進行させる危険のある、特定の障害を進行させやすい、あるいは、障害の生理的な症状の1つ以上を報告している個体に、投与される。いくつかの実施形態では、本明細書に開示された第3世代のBTK阻害化合物は、1つ以上の治療薬を用いた処置の後に、被験体に投与される。いくつかの実施形態では、本明細書に開示された第3世代のBTK阻害化合物は、1つ以上の治療薬を用いた処置と組み合わせて被験体に投与される。
【0104】
本明細書で使用されているように、予防または予防法とは、疾患または疾病を進行させる危険性の低下を指す。
【0105】
用語「有効な量」、「治療上有効な量」、または、「薬学的に有効な量」とは、本明細書で使用されるように、障害を処置するのに十分なBTK阻害剤化合物の量を指す。いくつかの実施形態において、その結果は、障害の徴候、症状、または原因の減少および/または軽減、あるいは、生物系の任意の他の所望の変化である。例えば、治療用途に「有効な量」とは、障害の臨床的に有意な減少をもたらすのに必要とされる、本明細書で開示されるBTK阻害剤化合物を含む組成物の量である。いかなる個体の場合でも、適切な「有効な」量は、適切な技術(例えば、用量増加試験)を駆使して定められる。
【0106】
本明細書で用いられるような用語「薬学的に許容可能な」とは、本明細書に記載されるBTK阻害剤化合物の生物学的活性または特性を抑制せず、かつ、比較的無毒である、材料(例えば、担体または希釈剤)を指す(すなわち、この材料は、望ましくない生物学的効果を引き起こさずに、または、物質が含まれる組成物のいかなる成分とも有害な方法では相互作用せずに、個体に投与可能される)。
【0107】
本明細書で使用されているように、対照とは、試験パラメーターで処置されないことを除けば、試験サンプルと実質的に同一であるサンプル、あるいは、それが血漿サンプルである場合、所望の疾病の影響を受けなかった正常なボランティアからのものであり得る、サンプル、のことを指す。対照は内部対照でもあり得る。
【0108】
本明細書で使用されているように、用語「被験体」、「個体」、または、「患者」は、交互に使用される。これらの用語のいずれも、医療専門家(例えば、医者、看護師、医師助手、看護助手、ホスピスの従事者)の監督を必要とするものと解釈されないものとする。本明細書で使用されているように、被験体は、哺乳動物(例えばヒトまたはヒト以外の動物)および非哺乳動物を含む任意の動物であり得る。本明細書で提供される方法および組成物の1つの実施形態において、哺乳動物はヒトである。
【0109】
本明細書で使用されているように、「接触させる」とは、物質に触れる、物質に接触する、または、物質を接近させる行為のことを指す。「接触させる」ことは、流体または半流体の混合物中で成分を混合させることにより達成することができる。
【0110】
<概観:癌におけるBTK機能および薬剤耐性>
薬剤耐性は、感染症と癌を含む、薬物のいくつかの領域に影響する問題である。癌治療の間に、癌細胞集団が分裂を繰り返すことで拡大すると自発的なランダム変異が生じ、そのなかには耐性と、従って生存優位性を与えるものもある。本明細書では、不可逆的なBTK阻害剤イブルチニブを用いるCLLの患者の処置中に発生したBTK遺伝子の変異が記載されている。イブルチニブを用いた約18か月の処置の後に、別々の研究の3人の患者は、リンパ球絶対数(ALC)の上昇とリンパ節の大きさの増加を示した。1人の患者でイブルチニブ投与量を1日当たり560mgから1日当たり840mgまで増やしても、疾患は悪化し続けた。血液サンプルを患者から単離し、BTKをコード化するmRNAをサンプルに含まれる細胞から分析した。2人の患者でBTKタンパク質中に変異が生じたことが分かった。1人の患者では、BTKをコード化する核酸は、システイン−481コドン、TGC、のTCC(セリン)への置換をもたらす、グアニン(g)−1635からシトシン(c)−1635のミスセンス変異を有していた。別の患者では、BTKをコード化する核酸は、システイン−481コドン、TGC、のAGC(セリン)への置換をもたらす、チミン(t)−1634からアデニン(a)−1634へのミスセンス変異を有していた。イブルチニブを用いた処置で同じ患者から初期に採取したサンプルは、これらの変異を含んでいなかった。システイン−481コドンの変異は、イブルチニブ処置によって与えられた選択圧に対する腫瘍による適応応答を示唆している。
【0111】
耐性変異の獲得は、イマチニブ(グリベック)およびEGFR阻害剤であるゲフィチニブとエルロチニブを含む、腫瘍内科学におけるすべての主なチロシンキナーゼ阻害剤に関して記載されている。重度のCMLでは、患者の66%はイマチニブで再発し、慢性的なCML患者の5%は最初の数年以内に再発する。これらの再発患者の30−50%は、標的キナーゼ(ABL)中で耐性変異を獲得している。そのような患者は、ダサチニブ、ニロチニブなどを含む他の治療に進むが、患者の大部分は結局新しい耐性変異で再発する。肺癌では、エルロチニブとゲフィチニブは、優れた耐久性のある臨床的な結果をもたらしたが、そのほぼすべては耐性によって12−18か月以内に効果がなくなる。このような耐性を有する患者の50%までが、T790Mと呼ばれる標的キナーゼ(EGFR)の中に変異を有しており、これは1つのアミノ酸を変化させる。
【0112】
本明細書には、セリン(C481S)について野生型のBTKの位置481でシステインのアミノ酸置換を含む修飾されたBTKポリペプチドと、そのポリペプチドをコード化する核酸が記載されている。同様に、本明細書には、本明細書に記載の修飾されたBTK核酸およびポリペプチドを生成する方法も記載されている。同様に、本明細書には、本明細書に記載の修飾されたBTK核酸およびポリペプチド、ならびに、本明細書に記載の修飾されたBTK核酸およびポリペプチドを検知するための試薬を含む、組成物、組み合わせ、およびキットが記載されている。同様に、第2世代BTK阻害剤を含むBTK阻害剤を含む、分子に相互作用する変異BTKを同定するために修飾されたBTKポリペプチドを使用する方法が提供される。同様に、本明細書には、合成核酸である修飾されたBTK核酸も記載されている。同様に、本明細書には、cDNA分子である修飾されたBTK核酸も記載されている。同様に、本明細書には、合成核酸である修飾されたBTK核酸によって生成された修飾されたBTKポリペプチドも記載されている。同様に、本明細書には、cDNA分子である修飾されたBTK核酸によって生成された修飾されたBTKポリペプチドも記載されている。同様に、本明細書には、BTKゲノムDNAを含まない修飾されたBTK核酸も記載されている。同様に、本明細書には、非メチル化した修飾されたBTK核酸も記載されている。同様に、本明細書には、BTKイントロン配列を含まない修飾されたBTK核酸も記載されている。同様に、本明細書には、BTKのゲノム配列の2つ以上のエキソンからのヌクレオチドの配列を含む修飾されたBTK核酸も記載されている。いくつかの実施形態では、修飾されたBTK核酸は、野生型のBTKポリペプチドの位置481に対応する位置でセリンをコード化するヌクレオチドの配列を含む。
【0113】
本明細書に記載されるように、例えばC481Sのような、BTKでのアミノ酸位置481での変異の同定により、1つ以上の耐性変異を有する変異BTKの阻害に有効な阻害剤の設計およびスクリーニングが可能となる。そのような阻害剤は臨床用途や治療用途に役立つ。いくつかの実施形態では、阻害剤は、例えばB細胞悪性腫瘍のような血液の癌などの癌の処置に役立つ。
【0114】
本明細書に記載されるように、いくつかの実施形態では、被験体は、例えばC481SなどのBTK中のアミノ酸位置481での変異を同定するために、スクリーニングされる。いくつかの実施形態では、そのような変異の同定により、癌治療の癌治療の処方または変更が可能となる。いくつかの実施形態では、そのような変異の同定を用いて、例えば、変異C481Sの活性を抑制する阻害剤(すなわち第2世代のBTK阻害剤)による治療といった、特定の治療について被験体を階層化する。いくつかの実施形態では、そのような変異の同定を用いて、例えば、B細胞癌のような血液の癌といったBTKを媒介とした疾患または疾病の再発の危険性の高い被験体を特徴付ける。いくつかの実施形態では、そのような変異の同定を用いて、例えば、イブルチニブなどの共有結合のおよび/または不可逆的なBTK阻害剤といった、特定のBTK阻害剤に対して反応しない被験体を特徴づける。
【0115】
本明細書に記載されるように、実施例において、BCR経路の下流のタンパク質中の個別の変異は、BTK阻害剤による治療を受ける患者においても同定された。例えば、PLCγ2とCARD11の変異が同定された。PLCγ2については、R665とS707のアミノ酸置換をもたらしたミスセンス変異が見られた(例えばR665WとS707F)。CARD11については、位置L232でのロイシンの挿入が観察された(すなわちL232LL)。このような変異は、それぞれのタンパク質について恒常的な活性をもたらすことが予想される。したがって、本明細書では、治療のための患者を選択するためにそのような変異をスクリーニングし、BTK阻害剤治療を受ける患者をモニタリングし、および、維持療法などの処置計画を最適化する方法が提供される。
【0116】
<変異BTKポリペプチド>
本明細書では、変異BTKポリペプチドが提供される。いくつかの実施形態では、変異BTKポリペプチドは、単離した変異BTKポリペプチドである。いくつかの実施形態では、単離した変異BTKポリペプチドは、非天然の変異BTKポリペプチドである。いくつかの実施形態では、単離した変異BTKポリペプチドは、組換え型変異BTKポリペプチドである。典型的には、本明細書で提供される変異BTKポリペプチドは、少なくとも1つのBTK活性を示す。例えば、変異BTKポリペプチドは、一般に、例えば、標的分子との結合または標的基質(すなわちキナーゼ活性)のリン酸化などのBTK活性を保持する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される変異BTKポリペプチドは、野生型のBTKポリペプチドと比較してキナーゼ活性を減少させた。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される変異BTKポリペプチドは、野生型のBTKポリペプチドと比較して、キナーゼ活性を増加させた。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される変異BTKポリペプチドは、野生型のBTKポリペプチドと比較して、同等のキナーゼ活性を有している。いくつかの実施形態では、変異BTKポリペプチドは、組換えタンパク質である。いくつかの実施形態では、変異BTKポリペプチドは宿主細胞から精製される。
【0117】
いくつかの実施形態では、変異BTKポリペプチドは、共有結合のおよび/または不可逆的なBTK阻害剤による阻害に対して耐性を与える、1つ以上のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、不可逆的なBTK阻害剤は、野生型のBTKポリペプチドのキナーゼ活性を阻害する。いくつかの実施形態では、変異BTKポリペプチドは、配列番号:1と表記される野生型のBTKのアミノ酸位置481でシステインに共有結合する共有結合のおよび/または不可逆的なBTK阻害剤による阻害に対して耐性を与える、1つ以上のアミノ酸置換を含んでいる。いくつかの実施形態では、変異BTKポリペプチドは、イブルチニブ、PCI−45292、PCI−45466、AVL−101、AVL−291、AVL−292、またはONO−WG−37である、共有結合のおよび/または不可逆的なBTK阻害剤による阻害に対して耐性を与える、1つ以上のアミノ酸置換を含んでいる。いくつかの実施形態では、変異BTKポリペプチドは、イブルチニブである共有結合のおよび/または不可逆的なBTK阻害剤による阻害に対して耐性を与える、1つ以上のアミノ酸置換を含んでいる。
【0118】
本明細書では、配列番号:1と表記されるアミノ酸配列のアミノ酸位置481に対応するアミノ酸位置で修飾を含むBTK活性を有する単離したBTKポリペプチドまたはその変異体が提供されており、修飾は、共有結合のおよび/または不可逆的なBTK阻害剤を用いた阻害にたいする、修飾されたBTKポリペプチドまたは変異体の耐性を与える。
【0119】
いくつかの実施形態では、修飾は、配列番号:1と表記される野性型BTKと比較して、アミノ酸位置481でアミノ酸の置換または欠失を含む。いくつかの実施形態では、修飾は、配列番号:1と表記される野性型BTKと比較して、位置481でアミノ酸の置換を含む。いくつかの実施形態では、修飾は、BTKポリペプチドのアミノ酸位置481で、ロイシン、イソロイシン、バリン、アラニン、グリシン、メチオニン、セリン、トレオニン、フェニルアラニン、トリプトファン、リジン、アルギニン、ヒスチジン、プロリン、チロシン、アスパラギン、グルタミン、アスパラギン酸、およびグルタミン酸の中から選択されたアミノ酸に、システインを置換することである。いくつかの実施形態では、修飾は、BTKポリペプチドのアミノ酸位置481で、セリン、メチオニンまたはトレオニンの中から選択されたアミノ酸に、システインを置換することである。いくつかの実施形態では、修飾は、BTKポリペプチドのアミノ酸位置481で、セリンにシステインを置換することである。いくつかの実施形態では、置換はC481Sである。いくつかの実施形態では、修飾は、配列番号:1と表記される野生型のBTKポリペプチドのアミノ酸位置481の欠失を含む。
【0120】
いくつかの実施形態では、変異BTKポリペプチドは、配列番号:1と表記される野性型BTKと比較して、位置481でのアミノ酸の置換と、1以上の追加のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、変異BTKポリペプチドは、配列番号:2と表記されるアミノ酸の配列、または、配列番号:2と表記される配列を有するポリペプチドと少なくともまたは少なくとも約60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上の配列同一性を有する変異体を含み、位置481におけるアミノ酸はシステインではない。いくつかの実施形態では、変異BTKポリペプチドは、配列番号:2と表記されたアミノ酸の配列を含む。いくつかの実施形態では、変異BTKポリペプチドは、アミノ酸位置481に対応する位置でセリンを有し、および、配列番号:2と表記される配列を有するポリペプチドと65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%のアミノ酸配列同一性を有しているポリペプチドを含む。
【0121】
いくつかの実施形態では、変異BTKポリペプチドは、アミノ酸位置481で修飾を、および、1つ以上の追加のアミノ酸位置で修飾を含む。いくつかの実施形態では、変異BTKポリペプチドは、アミノ酸位置481で修飾を、および、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20以上アミノ酸位置で修飾を含む。いくつかの実施形態では、変異BTKポリペプチドは、位置481で修飾を、および、1つの追加のアミノ酸位置で修飾を含む。いくつかの実施形態では、変異BTKポリペプチドは、アミノ酸位置481でセリンを、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20またはそれ以上の追加のアミノ酸位置で修飾を含む。いくつかの実施形態では、変異BTKポリペプチドは、位置481でセリンを、1つの追加のアミノ酸位置で修飾を含む。いくつかの実施形態では、アミノ酸位置481の修飾は、C481Sである置換である。
【0122】
いくつかの実施形態では、変異BTKポリペプチドは、配列番号:2と表記された変異BTKポリペプチドの一部を含む。いくつかの実施形態では、その一部は、BTKポリペプチドの活性を示す。いくつかの実施形態では、変異BTKポリペプチドは、配列番号:2と表記された変異BTKポリペプチドのアミノ酸位置481で修飾を含む、BTKポリペプチドのキナーゼドメインを含む。
【0123】
いくつかの実施形態では、変異BTKポリペプチドは、位置481での修飾と、例えば、Vihinen et al. (1999) Hum. Mutat. 13: 280−285, de Weer et al. Hum. Mol. Genet. (1994) 3 (1): 161−166; Perez de Diego et al. (2008) Clin Exp Immunol. 152(1):33−8; Kenegane et al. (2000) Clin Exp Immunol. 120(3): 512*517, Li et al. (1995) Immunity 2:451−460 and Baraldi et al. (1999) Structure 7:449−460に記載されているBTK修飾の中から選択された修飾を含む。いくつかの実施形態では、アミノ酸位置481での修飾はC481Sである置換である。いくつかの実施形態では、1つ以上の追加の修飾は、アミノ酸位置L11、K12、S14、K19、F25、K27、R28、R33、Y39、Y40、E41、I61、V64、R82、Q103、V113、S115、T117、Q127、C154、C155、T184、P189、P190、Y223、W251、R288、L295、G302、R307、D308、V319、Y334、L358、Y361、H362、H364、N365、S366、L369、I370M、R372、L408、G414、Y418、I429、K430、E445、G462、Y476、M477、C502、C506、A508、M509、L512、L518、R520、D521、A523、R525、N526、V535、L542、R544、Y551、F559、R562、W563、E567、S578、W581、A582、F583、M587、E589、S592、G594、Y598、A607、G613、Y617、P619、A622、V626、M630、C633、R641、F644、L647、L652、V1065、およびA1185での置換の中から選択される。いくつかの実施形態では、1つ以上の追加の修飾は、L11P、K12R、S14F、K19E、F25S、K27R、R28H、R28C、R28P、T33P、Y3S9、Y40C、Y40N、E41K、I61N、V64F、V64D、R82K、Q103QSFSSVR、V113D、S115F、T117P、Q127H、C154S、C155G、T184P、P189A、Y223F、W251L、R288W、R288Q、L295P、G302E、R307K、R307G、R307T、D308E、V319A、Y334S、L358F、Y361C、H362Q、H364P、N365Y、S366F、L369F、I370M、R372G、L408P、G414R、Y418H、I429N、K430E、E445D、G462D、G462V、Y476D、M477R、C502F、C502W、C506Y、C506R、A508D、M509I、M509V、L512P、L512Q、L518R、R520Q、D521G、D521H、D521N、A523E、R525G、R525Q、N526K、V535F、L542P、R544G、R544K、Y551F、F559S、R562W、R562P、W563L、E567K、S578Y、W581R、A582V、F583S、M587L、E589D、E589K、E589G、S592P、G594E、Y598C、A607D、G613D、Y617E、P619A、P619S、A622P、V626G、M630I、M630K、M630T、C633Y、R641C、F644L、F644S、L647P、L652P、V1065I、およびA1185Vの中から選択される。
【0124】
いくつかの実施形態では、変異BTKポリペプチドは、配列番号:2と表記された変異BTKポリペプチドの一部を含む。いくつかの実施形態では、その一部は、BTKポリペプチドの活性を示す。例えば、いくつかの実施形態において、その一部はキナーゼ活性を示す。いくつかの実施形態では、変異BTKポリペプチドは、配列番号:2と表記された変異BTKポリペプチドのアミノ酸位置481で修飾を含むBTKポリペプチドのキナーゼドメインを含んでいる。いくつかの実施形態では、変異BTKポリペプチドは、配列番号:2と表記された変異BTKポリペプチドのアミノ酸位置481で修飾を含むBTKポリペプチドのキナーゼドメインから本質的になる。いくつかの実施形態では、変異BTKポリペプチドは、配列番号:2と表記された変異BTKポリペプチドのおよそアミノ酸位置397からおよそアミノ酸位置652までのアミノ酸の配列を含む。いくつかの実施形態では、変異BTKポリペプチドは、配列番号:2と表記された変異BTKポリペプチドのおよそアミノ酸位置402かあらおよそアミノ酸位置652までアミノ酸の配列を含む。
【0125】
いくつかの実施形態では、BTKポリペプチドは、異種のポリペプチドに結合された配列番号:1と表記された野生型のBTKポリペプチドのアミノ酸位置481で修飾を含むBTKポリペプチドのキナーゼドメインを含む融合タンパク質である。いくつかの実施形態では、アミノ酸位置481での修飾はC481Sであるアミノ酸置換である。融合タンパク質の生成方法は、当該技術では知られており、標準の組換えDNA技術を含んでいる。例えば、いくつかの実施形態では、異なるポリペプチド配列をコード化するDNAフラグメントは、従来の技術に従って、例えば、ライゲーションのための平滑な末端またはねじれた末端の終端、適切な終端を提供するための制限酵素消化、必要に応じた付着末端の充填、望ましくない結合を防ぐためのアルカリホスファターゼによる処置、および、酵素ライゲーションを採用することによって、インフレームとともに連結される。いくつかの実施形態では、融合遺伝子は、自動DNA合成装置を含む従来の技術によって合成することができる。いくつかの実施形態では、遺伝子フラグメントのPCR増幅はアンカープライマーを使用して実行することができ、アンカープライマーは、キメラ遺伝子配列を生成するために、アニール処理されて再増幅することができる2つの連続する遺伝子フラグメント間の補足的なオーバーハングを生じさせる(例えば、Current Protocols in Molecular Biology, eds. Ausubel et al. John Wiley & Sons: 1992)。いくつかの実施形態では、融合部分(例えば、GSTポリペプチド)をコード化する発現ベクターは市販で入手可能である。修飾されたBTKポリペプチドをコード化する核酸をそのような発現ベクターにクローン化することができるため、融合部分は修飾されたBTKポリペプチドにインフレームで結合する。
【0126】
いくつかの実施形態では、配列番号:1と表記された野生型のBTKポリペプチドのアミノ酸位置481での修飾を含むBTKポリペプチドは、ペプチドタグに結合する。いくつかの実施形態では、ペプチドタグは、タグ特異的な抗体によって認識されたエピトープタグである。いくつかの実施形態において、タグは、限定されないが、c−myc、V−5、ヘマグルチニン(HA)、FLAG、タグのようなエピトープタグである。いくつかの実施形態において、タグは、限定されないが、ビオチン、strep−タグ、キチン結合タンパク質(CBP)、マルトース結合タンパク質(MBP)、グルタチオン−S−転移酵素(GST)、または、ポリ(His)タグなどのアフィニティータグである。いくつかの実施形態では、配列番号:1と表記された野生型のBTKポリペプチドのアミノ酸位置481で修飾を含むBTKポリペプチドは、検知可能なタンパク質または実体、例えば、発光、化学発光、生物発光、または、蛍光のタンパク質または実体に結合される。いくつかの実施形態では、蛍光タンパク質は、緑(GFP)、赤(RFP)、シアン(CFP)、黄色(YFP)、または青(BFP)の蛍光タンパク質である。いくつかの実施形態では、配列番号:1と表記された野生型のBTKポリペプチドのアミノ酸位置481で修飾を含むBTKポリペプチドは、酵素、例えば、ルシフェラーゼ、または、β−ガラクトシダーゼに結合する。
【0127】
いくつかの実施形態では、本明細書では、本明細書で提供される変異BTKポリペプチドを含むアレイが提供される。いくつかの実施形態では、変異BTKポリペプチドはマイクロチップに結合される。いくつかの実施形態では、変異BTKポリペプチドは、マイクロチップに直接結合される。いくつかの実施形態では、変異BTKポリペプチドは、リンカーによってマイクロチップに間接的に結合される。いくつかの実施形態では、本明細書では、本明細書で提供される変異BTKポリペプチドを含むマイクロチップ・アレイが提供されている。
【0128】
<変異BTKポリペプチドをコード化する核酸>
本明細書では、変異BTKポリペプチドをコード化する核酸が提供される。本明細書では、本明細書に記載の変異BTKポリペプチドのいずれかをコード化する核酸が本明細書で提供されている。特定のポリペプチドをコード化する核酸を推定する方法は、当該技術では知られており、標準的な分子生物学的技術を含んでいる。本明細書で提供される変異BTKポリペプチドをコード化する典型的な核酸が提供されている。遺伝子コードの縮重により、同じポリペプチドをコード化する多くの変異体核酸が存在すると理解されている。本明細書で提供される変異BTKポリペプチドをコード化する核酸は、そのような変異体を包含する。いくつかの実施形態では、変異BTK核酸は合成核酸である。いくつかの実施形態では、変異BTK核酸はcDNA分子である。いくつかの実施形態では、変異BTK核酸はゲノムDNAを包含していない。いくつかの実施形態では、変異BTK核酸は非メチル化される。いくつかの実施形態では、変異BTK核酸は、BTKのゲノムイントロン配列を包含していない。いくつかの実施形態では、変異BTK核酸は、BTKポリペプチドの位置481をコード化するコドン配列を含む核酸を含む、BTKのゲノム配列の2つ以上のエキソンからのヌクレオチドの配列を含む。いくつかの実施形態では、変異BTK核酸は、野生型のBTKポリペプチドの位置481に対応する位置でセリンをコード化するヌクレオチドの配列を含む。
【0129】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される修飾されたBTKポリペプチドをコード化する核酸は、DNAまたはRNAの分子である。いくつかの実施形態では、変異BTKポリペプチドをコード化する核酸は、コード化されたポリペプチドが、配列番号:1と表記される野生型のBTKポリペプチドのアミノ酸位置481に対応する位置でアミノ酸であるシステインの置換を含む修飾を含んでいる。いくつかの実施形態では、核酸は、配列番号:3と表記される核酸の配列であって、位置481でアミノ酸をコード化する核酸コドンは修飾され、それによって、コドンがシステインをコード化しない、配列、あるいは、配列番号:3と表記される配列を有するポリペプチドと少なくともまたは少なくとも約60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上の配列同一性を有している変異体であって、位置481でアミノ酸をコード化する核酸コドンがシステインをコード化しない、変異体を含む。
【0130】
いくつかの実施形態において、核酸修飾は、ミスセンス変異、または、BTKポリペプチドをコード化する1つ以上のコドンの欠失である。いくつかの実施形態では、修飾は、BTKポリペプチドのアミノ位置481でシステインをコード化する核酸コドンを変化させるミスセンス変異である。いくつかの実施形態では、BTKポリペプチドのアミノ位置481でシステインをコード化する核酸コドンは、TGCまたはTGTである。いくつかの実施形態では、BTKポリペプチドのアミノ位置481でシステインをコード化する核酸コドンは、TGCである。いくつかの実施形態では、BTKポリペプチドのアミノ位置481でシステインをコード化する核酸コドンは、TGTである。いくつかの実施形態では、修飾は、TGCから、セリンをコード化する核酸コドンまで、BTKポリペプチドのアミノ位置481でシステインをコード化する核酸コドンを変化させる。いくつかの実施形態では、修飾は、TGTから、セリンをコード化する核酸コドンまで、BTKポリペプチドのアミノ位置481でシステインをコード化する核酸コドンを変化させる。いくつかの実施形態では、セリンをコード化する核酸コドンは、TCT、TCC、TCA、TCG、AGT、またはAGCの中から選択される。
【0131】
いくつかの実施形態では、修飾は、配列番号:3と表記される核酸中の核酸位置1634でアデニン(a)の代わりにチミン(t)の置換を含むミスセンス変異である。いくつかの実施形態では、修飾は、TGCからAGC(セリン)まで、BTKポリペプチドのアミノ位置481でシステインをコード化する核酸コドンを変化させる。いくつかの実施形態では、変異BTKポリペプチドをコード化する核酸は、配列番号:7はまたは22と表記されるヌクレオチドの配列を含む。
【0132】
いくつかの実施形態では、修飾は、配列番号:3と表記される核酸中の核酸位置1635でシトシン(g)の代わりにグアニン(g)の置換を含むミスセンス変異である。いくつかの実施形態では、修飾は、TGCからTCC(セリン)まで、BTKポリペプチドのアミノ位置481でシステインをコード化する核酸コドンを変化させる。いくつかの実施形態では、変異BTKポリペプチドをコード化する核酸は、配列番号8はまたは23と表記されるヌクレオチドの配列を含む。
【0133】
いくつかの実施形態において、変異BTKポリペプチドをコード化する核酸は、配列番号:7または22と表記されるヌクレオチドの配列を有する核酸と65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%のヌクレオチド酸配列同一性を有する核酸を含み、コード化された変異BTKポリペプチドは、アミノ酸位置481に対応する位置で野生型のBTKポリペプチドに対する修飾を含んでいる。いくつかの実施形態において、変異BTKポリペプチドをコード化する核酸は、配列番号:8または23と表記されるヌクレオチドの配列を有する核酸と65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%のヌクレオチド酸配列同一性を有する核酸を含み、コード化された変異BTKポリペプチドは、アミノ酸位置481に対応する位置で野生型のBTKポリペプチドに対する修飾を含む。いくつかの実施形態において、変異BTKポリペプチドをコード化する核酸は、配列番号:7または22と表記されるヌクレオチドの配列を有する核酸と65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%のヌクレオチド酸配列同一性を有する核酸を含み、コード化された変異BTKポリペプチドは、アミノ酸位置481に対応する位置でシステインを含まない。いくつかの実施形態において、変異BTKポリペプチドをコード化する核酸は、配列番号:8または23と表記されるヌクレオチドの配列を有する核酸と65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%のヌクレオチド酸配列同一性を有する核酸を含み、コード化された変異BTKポリペプチドは、アミノ酸位置481に対応する位置でシステインを含まない。いくつかの実施形態において、変異BTKポリペプチドをコード化する核酸は、配列番号:7または22と表記されるヌクレオチドの配列を有する核酸と65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%のヌクレオチド酸配列同一性を有する核酸を含み、コード化された変異BTKは、アミノ酸位置481に対応する位置でセリンを含む。いくつかの実施形態において、変異BTKポリペプチドをコード化する核酸は、配列番号:8または23と表記されるヌクレオチドの配列を有する核酸と65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%のヌクレオチド酸配列同一性を有する核酸を含み、コード化された変異BTKは、アミノ酸位置481に対応する位置でセリンを含む。
【0134】
いくつかの実施形態では、変異BTKポリペプチドをコード化する本明細書で提供される核酸は、単離した核酸である。いくつかの実施形態では、変異BTKポリペプチドをコード化する本明細書で提供される核酸は、DNA分子である。いくつかの実施形態では、変異BTKポリペプチドをコード化する本明細書で提供され核酸は、cDNA分子である。いくつかの実施形態では、変異BTKポリペプチドをコード化する本明細書で提供される核酸は、RNA分子である。いくつかの実施形態では、変異BTKポリペプチドをコード化する本明細書で提供される核酸は、阻害性のRNA分子(すなわちRNAi)である。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される核酸は、相補的であるか、あるいは、変異BTKポリペプチドをコード化する核酸に結合する、核酸分子である。
【0135】
いくつかの実施形態では、変異BTKポリペプチドをコード化する本明細書で提供される核酸は、アミノ酸位置481を含む本明細書で提供される変異BTKポリペプチドの一部をコード化する。いくつかの実施形態では、コドンは、システインでないアミノ酸をコード化する。いくつかの実施形態では、コドンは、セリンであるアミノ酸をコード化する。いくつかの実施形態では、変異BTKポリペプチドをコード化する本明細書で提供される核酸は、本明細書で提供される変異BTKポリペプチドの1つ以上のドメインをコード化する。いくつかの実施形態では、変異BTKポリペプチドをコード化する本明細書で提供される核酸は、本明細書で提供される変異BTKポリペプチドのキナーゼドメインをコード化する。
【0136】
いくつかの実施形態では、変異BTKポリペプチドまたはその一部をコード化する本明細書で提供される核酸は、位置481でシステインでないアミノ酸をコード化する核酸を含む。いくつかの実施形態では、変異BTKポリペプチドまたはその一部をコード化する本明細書で提供される核酸は、アミノ酸位置481でセリンをコード化する核酸を含む。
【0137】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される核酸は、変異BTKポリペプチドの一部をコード化するオリゴヌクレオチドである。いくつかの実施形態において、本明細書で提供される核酸は、アミノ酸位置481に対応するアミノ酸をコード化するヌクレオチドコドンを含む変異BTKポリペプチドの一部をコード化するオリゴヌクレオチドである。いくつかの実施形態では、コドンは、システインではないアミノ酸をコード化する。いくつかの実施形態では、コドンは、セリンであるアミノ酸をコード化する。
【0138】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される核酸は、本明細書で提供される修飾されたBTKポリペプチドをコード化する核酸分子を含むベクターである。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される核酸は、本明細書で提供される変異BTKポリペプチドをコード化する核酸を含むベクター(発現ベクター)である。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される変異BTKポリペプチドをコード化する核酸は、プロモーターに動作可能に結合する。いくつかの実施形態において、プロモーターは、構成的プロモーターまたは誘導性プロモーターである。いくつかの実施形態では、本明細書では、本明細書で提供される修飾されたBTKポリペプチドをコード化するベクターまたは核酸分子を含む宿主細胞が提供されている。いくつかの実施形態では、細胞は原核細胞または真核細胞である。同様に、本明細書では、宿主細胞によって発現される変異BTKポリペプチドも記載されている。
【0139】
いくつかの実施形態において、ベクターはウイルスベクターまたはプラスミドベクターである。いくつかの実施形態において、ウイルスベクターはDNAウイルスベクターまたはRNAウイルスベクターである。典型的なウイルスベクターとしては、限定されないが、ワクシニア、アデノウイルス、アデノ関連ウイルス(AAV)、レトロウイルス、または、ヘルペスウィルスのベクターが挙げられる。
【0140】
いくつかの実施形態では、本明細書では、本明細書で提供される変異BTKポリペプチドのいずれかをコード化する核酸を含むアレイが提供される。いくつかの実施形態では、変異BTK核酸はマイクロチップに結合される。いくつかの実施形態では、変異BTK核酸はマイクロチップに直接的に結合される。いくつかの実施形態では、変異BTK核酸は、リンカーによってマイクロチップに間接的に結合される。いくつかの実施形態では、本明細書では、本明細書で提供される変異BTKポリペプチドのいずれかをコード化する核酸を含むマイクロチップ・アレイが提供される。
【0141】
<核酸とポリペプチドの産生>
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される変異BTKポリペプチドをコード化する単離した核酸分子は、標準的な組換え方法によって生成される。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される変異BTKポリペプチドをコード化する単離した核酸分子は、ゲノムDNAからの変異BTK配列の増幅によって生成される。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される変異BTKポリペプチドをコード化する単離した核酸分子は、BTK配列特異的なプライマーを用いるポリメラーゼ連鎖反応によって生成される。いくつかの実施形態では、変異BTKポリペプチドをコード化する単離した核酸分子
【0142】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される変異BTKポリペプチドをコード化する単離した核酸分子は、発現ベクターに挿入され、宿主細胞または非細胞抽出液中で発現する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される変異BTKポリペプチドをコード化する単離した核酸分子は、細胞または非細胞の抽出液中でコード化ポリペプチドを発現させるためにプロモーターに動作可能に結合する。いくつかの実施形態において、プロモーターは、構成的プロモーターである。いくつかの実施形態において、プロモーターは、誘導性プロモーターである。
【0143】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される変異BTKポリペプチドをコード化する核酸分子は、細胞に対して「外因性」であり、このことは、それが、ベクターが導入されようとしている細胞に対して異質なものであるか、あるいは、配列が、細胞内ではあるが、配列が通常は見られない宿主細胞の核酸内の位置にある配列に相同であることを意味している。ベクターとしては、プラスミド、コスミド、ウイルス(バクテリオファージ、動物ウイルス、および植物ウイルス)、および、人工染色体(例えは、YAC)が挙げられる。当業者は、共に引用により本明細書に組み込まれるSambrook et al., 1989 and Ausubel et al., 1996に記載される標準的な組換え技術によってベクターを構築するために十分な知識を身につけているだろう。
【0144】
細胞中のタンパク質の発現のための方法は、当該技術において周知であり、細胞、例えば、動物と植物の細胞内での発現を含んでいる。本明細書で提供される変異BTKポリペプチドの発現のための典型的な動物細胞は、限定されないが、細菌、酵母菌、昆虫細胞、両生動物および哺乳動物の細胞(例えば、ヒト、霊長類、げっ歯類、ウシ、および、ヒツジの細胞)を含む。いくつかの実施形態では、変異BTKをコード化する核酸は、宿主細胞のゲノムに統合される。
【0145】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される変異BTKポリペプチドの発現のための方法は、変異BTKポリペプチドが細胞によって産生されるように、変異BTKポリペプチドをコード化する発現ベクターを含む宿主細胞を培養する工程を含む。いくつかの方法では、変異ポリペプチドとしての核酸コード化は、シグナル配列が変異BTKポリペプチドを含む融合ペプチドとして発現されるように、シグナル配列をコード化する核酸に接続される。いくつかの実施形態では、シグナル配列は、宿主細胞による変異BTKポリペプチドの分泌を可能にする。
【0146】
いくつかの実施形態において、変異BTKポリペプチドは、変異ポリペプチドを発現する宿主細胞から単離される。いくつかの実施形態において、抽出物は宿主細胞から調製され、変異BTKポリペプチドは、限定されないが、BTKポリペプチドに特異的な、または、とりわけ変異BTKポリペプチドに特異的な抗体を用いるクロマトグラフィーまたは免疫親和性などの精製法によって単離される。
【0147】
<抗体>
本明細書では、アミノ酸位置481で修飾を有する修飾されたBTKポリペプチドに結合する単離した抗体が与えられ、抗体は、配列番号:1と表記されたアミノ酸の配列を有する野生型のBTKポリペプチドに対して結合しないか、または、低親和性で結合する。いくつかの実施形態では、修飾は、BTKポリペプチドのアミノ酸位置481においてセリンにシステインを置換することである。
【0148】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される変異BTKポリペプチドは、変異BTKポリペプチドを特異的に認識するが野生型のBTKポリペプチドを認識しない抗体を用いて、検知される。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される変異BTKポリペプチドは、アミノ酸位置481でセリンを有する変異BTKポリペプチドを特異的に認識するが、野生型のBTKポリペプチドを認識しない抗体を用いて、検知される。いくつかの実施形態では、抗体は、本明細書で提供される変異BTKポリペプチドの1つ以上の対立形質形態に対して作成される。ペプチドまたはタンパク質上でエピトープを特異的に認識する抗体を誘発するために抗原として特異的なタンパク質またはオリゴペプチドを使用する技術は周知である。1つの実施形態では、標的遺伝子の所望の対立形質形態のDNA配列は、適切な発現ベクターへの挿入によってクローン化され、原核生物または真核生物の宿主細胞中のタンパク質に翻訳される。タンパク質は回復し、抗原として使用されて特異的な抗体の産生を誘発する。別の実施形態では、標的遺伝子の所望の対立形質形態のDNAは、PCR技術によって増幅され、その後、特異的な抗体の産生を誘発するために抗原として使用されるタンパク質にインビトロで翻訳される。別の実施形態では、代替的な対立遺伝子のDNA配列は、特異的な抗体の産生を誘発するために抗原として使用される対立遺伝子のアミノ酸配列を表わす合成ペプチドの生成を基礎として使用される。
【0149】
いくつかの実施形態では、抗体は、標準的なモノクローナル抗体技術によって生成されるか、あるいは、組換えベースの発現システムによって生成される。一般にAbbas, Lichtman, and Pober, Cellular and Molecular Immunology, W. B. Saunders Co. (1991)を参照する。用語「抗体」は、抗原に特異的に結合することができるFabおよびF(ab’)2といった抗体のフラグメントまたは誘導体と同様に、無処置の抗体分子も含むように意図している。そのようにして産生された抗体は、抗体を作成するために抗原として使用された対立形質形態内で作られた変異タンパク質のみを優先的に結合する。対立遺伝子に特異的な抗体を生成する方法は、米国特許第6,200,754号と、米国特許第6,054,273号とに記載されており、これに含まれるものはすべて引用によって本明細書に組み込まれる。
【0150】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗体はヒト化した抗体を含む。「ヒト化した抗体」は、ヒト以外のドナーの免疫グロブリンに由来するそのCDRを有する操作した抗体の一種のことを言い、分子の残りの免疫グロブリンに由来する部分は1つ以上のヒト免疫グロブリンに由来している。いくつかの実施形態では、フレームワーク支持残基は、結合親和性を保存するために変更される(例えば、Queen et al. Proc. Natl. Acad Sci USA, 86:10029−10032 (1989), Hodgson et al. Bio/Technology, 9:421 (1991)を参照)。いくつかの実施形態では、適切なヒト受容体抗体は、ドナー抗体のヌクレオチドおよびアミノ酸配列への相同によって、従来のデータベース、例えば、KABATRデータベース、Los Alamosデータベース、Swiss Proteinデータベースから選ばれた抗体である。いくつかの実施形態では、(アミノ酸ベースで)ドナー抗体のフレームワーク領域への相同によって特徴付けられるヒト化した抗体は、ドナーCDRの挿入のための重鎖定常領域および/または重鎖可変フレームワーク領域を提供するのに適している。いくつかの実施形態では、軽鎖定常または可変のフレームワーク領域を提供することができる適切な受容体抗体が、同様のやり方で選択される。いくつかの実施形態では、受容体抗体の重鎖と軽鎖は、同じ受容体抗体から始まる。いくつかの実施形態では、受容体抗体の重鎖と軽鎖は、異なる受容体抗体から始まる。先行技術は、そのようなヒト化した抗体を産生する複数のの方法を記載している。例えば、EP−A−0239400およびEP−A−054951を参照。
【0151】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される変異BTKポリペプチドに特異的な抗体を用いて、当該技術分野の既知の技術を駆使して、サンプル(例えば、分析サンプル、細胞サンプル、細胞抽出液、生体サンプル、患者のサンプル)中で、本明細書で提供される変異BTKポリペプチドの存在を検知する。これらの技術は、例えば、ウェスタンブロット、免疫組織化学的検査、間接免疫蛍光法、および抗体マイクロアレイを含んでいる。いくつかの実施形態では、変異BTKポリペプチドを特異的に認識する抗体は、第2世代のBTK阻害剤である。いくつかの実施形態では、変異BTKポリペプチドの生物活性を抑制するために変異BTKポリペプチドを特異的に認識する抗体の能力は、第2世代のBTK阻害剤の同定について本明細書に記載の方法を使用するので決定することができる。
【0152】
<変異BTKポリペプチドと変異BTKポリペプチドをコード化する核酸を検知するための診断アッセイ>
本明細書では、被験体中の変異BTKポリペプチドと被験体中の変異BTKポリペプチドをコード化する核酸の検出を含む診断方法が提供される。いくつかの実施形態では、被験体はBTK媒介性の疾患または疾病を患っている。いくつかの実施形態では、被験体はBTKを媒介とした疾患を有しており、これはB細胞癌である。いくつかの実施形態では、診断方法は、共有結合のおよび/または不可逆的なBTK阻害剤を用いる治療に対する耐性を有するB細胞癌を患っている被験体をスクリーニングうすること、共有結合のおよび/または不可逆的なBTK阻害剤を用いた処置について被験体を特定すること、共有結合のおよび/または不可逆的なBTK阻害剤を用いた処置に応答しそうなまたは応答しそうにない被験体を特定すること、共有結合のおよび/または不可逆的なBTK阻害剤を用いた処置に対して耐性を進行させる可能性の高い被験体であるかどうか予測すること、共有結合のおよび/または不可逆的なBTK阻害剤による治療を受ける被験体の治療をモニタリングすること、共有結合のおよび/または不可逆的なBTK阻害剤による治療を受ける被験体の治療を最適化すること、および、この組み合わせのために用いられる。いくつかの実施形態では、方法は、第2世代のBTK阻害剤による治療を受ける被験体を選択する工程を含む。いくつかの実施形態では、方法は、変異BTKを阻害する第2世代のBTK阻害剤を被験体に投与する工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、BTK修飾は、共有結合のおよび/または不可逆的なBTK阻害剤を用いた処置に対して癌細胞の耐性を与える。
【0153】
いくつかの実施形態では、検知された変異BTKポリペプチドは、配列番号:1と表記された野生型のBTKポリペプチドのアミノ酸位置481に対応する位置で修飾を含む。いくつかの実施形態では、検知された変異BTKポリペプチドは、配列番号:1と表記された野生型のBTKポリペプチドのアミノ酸位置481に対応する位置でセリンへのアミノ酸システインの置換を含む。いくつかの実施形態では、アミノ酸位置481で修飾を含む変異BTKポリペプチドを有する被験体は、共有結合のおよび/または不可逆的なBTK阻害剤を用いた阻害に対して耐性を有する。いくつかの実施形態では、アミノ酸位置481で修飾を含む変異BTKポリペプチドを有する被験体は、イブルチニブである共有結合のおよび/または不可逆的なBTK阻害剤を用いた阻害に対して耐性を有する。いくつかの実施形態では、アミノ酸位置481で修飾を含む変異BTKポリペプチドを有する被験体は、野生型のBTKのシステイン481に共有結合する共有結合のおよび/または不可逆的なBTK阻害剤を用いた阻害に対して耐性を有する。いくつかの実施形態では、アミノ酸位置481で修飾を含む変異BTKポリペプチドを有する被験体は、共有結合のおよび/または不可逆的なBTK阻害剤(すなわち、イブルチニブ、PCI−45292、PCI−45466、AVL−101、AVL−291、AVL−292、または、ONO−WG−37)による阻害に対して耐性を有する。いくつかの実施形態では、アミノ酸位置481で修飾を含む変異BTKポリペプチドを有する被験体は、イブルチニブである共有結合のおよび/または不可逆的なBTK阻害剤を用いた阻害に対して耐性を有する。
【0154】
いくつかの実施形態では、被験体が共有結合のおよび/または不可逆的なBTK阻害剤による治療にあまり反応しない、または、反応しなくなる可能性が高いかどうかを決定する方法が提供され、該方法は、(a)被験体からのBTKポリペプチドをコード化する核酸分子を含むサンプルを試験する工程であって、それによって、コード化されたBTKポリペプチドが配列番号:1と表記されるアミノ酸配列のアミノ酸位置481に対応するアミノ酸位置で修飾されているかどうかを決定する工程、および、(b)被験体が修飾を有している場合、共有結合のおよび/または不可逆的なBTK阻害剤による治療に対する耐性を有する、または、耐性を有するようになると、被験体を特徴づける工程、を含む。いくつかの実施形態では、工程(a)はエキソビボで行なわれる。いくつかの実施形態では、方法は、被験体が修飾を有していない場合、BTK阻害剤を用いた処置を継続する工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、方法は、被験体が修飾を有している場合、修飾されたキナーゼを阻害する第2世代のBTK阻害剤を投与する工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、方法は、被験体が修飾を有している場合、LYN、SYK、JAK、PI3K、PLCγ、MAPK、MEK、またはNFκBの阻害剤を投与する工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、方法は、被験体が修飾を有している場合、C481に結合しないBTKの共有結合阻害剤を投与する工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、方法は、被験体が修飾を有している場合、BTKの可逆的な阻害剤を投与する工程をさらに含む。方法のいくつかの実施形態において、被験体は癌を患っている。いくつかの実施形態では、癌は血液の癌である。いくつかの実施形態では、癌はB細胞悪性腫瘍である。典型的なB細胞悪性腫瘍が本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、癌は白血病、リンパ腫、または骨髄腫の中から選択される。いくつかの実施形態において、方法は、被験体からサンプルを得る工程をさらに含む。
【0155】
いくつかの実施形態では、被験体中での共有結合のおよび/または不可逆的なBTK阻害剤を用いた阻害に対して耐性を有するものとしてBTKを特徴づける方法が提供されており、該方法は、(a)被験体からのBTKポリペプチドをコード化する核酸分子を含むサンプルを試験する工程であって、それによって、コード化されたBTKポリペプチドが配列番号:1と表記されるアミノ酸配列のアミノ酸位置481に対応するアミノ酸位置で修飾されているかどうかを決定する工程、および、(b)被験体が修飾を有している場合、共有結合のおよび/または不可逆的なBTK阻害剤による阻害に対して耐性を有するとして、被験体を特徴づける工程、を含む。いくつかの実施形態では、工程(a)はエキソビボで行なわれる。いくつかの実施形態では、方法は、被験体が修飾を有していない場合、BTK阻害剤を用いた処置を継続する工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、方法は、被験体が修飾を有している場合、修飾されたキナーゼを阻害する第2世代のBTK阻害剤を投与する工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、方法は、被験体が修飾を有している場合、LYN、SYK、JAK、PI3K、PLCγ、MAPK、MEK、またはNFκBの阻害剤を投与する工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、方法は、被験体が修飾を有している場合、C481に結合しないBTKの共有結合阻害剤を投与する工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、方法は、被験体が修飾を有している場合、BTKの可逆的な阻害剤を投与する工程をさらに含む。方法のいくつかの実施形態において、被験体は癌を患っている。いくつかの実施形態では、癌は血液の癌である。いくつかの実施形態では、癌はB細胞悪性腫瘍である。典型的なB細胞悪性腫瘍が本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、癌は白血病、リンパ腫、または骨髄腫の中から選択される。いくつかの実施形態において、方法は、被験体からサンプルを得る工程をさらに含む。
【0156】
いくつかの実施形態では、癌の処置のために共有結合のおよび/または不可逆的なBTK阻害剤を投与される被験体が、治療に対する耐性を進行させたか、または、進行させる可能性が高いかどうかをモニタリングする方法が記載されており、該方法は、(a)被験体からのBTKポリペプチドをコード化する核酸分子を含むサンプルを試験する工程であって、それによって、コード化されたBTKポリペプチドが配列番号:1と表記されるアミノ酸配列のアミノ酸位置481に対応するアミノ酸位置で修飾されているかどうかを決定する工程、および、(b)被験体が修飾を有している場合、共有結合のおよび/または不可逆的なBTK阻害剤を用いた治療に対して耐性を有する、または、耐性を有するようになるとして、被験体を特徴づける工程、を含む。いくつかの実施形態では、工程(a)はエキソビボで行なわれる。いくつかの実施形態では、方法は、被験体が修飾を有している場合、BTK阻害剤を用いた処置を中止する工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、方法は、被験体が修飾を有していない場合、BTK阻害剤を用いた処置を継続する工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、方法は、被験体が修飾を有している場合、修飾されたキナーゼを阻害する第2世代のBTK阻害剤を投与する工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、方法は、被験体が修飾を有している場合、LYN、SYK、JAK、PI3K、PLCγ、MAPK、MEK、またはNFκBの阻害剤を投与する工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、方法は、被験体が修飾を有している場合、C481に結合しないBTKの共有結合阻害剤を投与する工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、方法は、被験体が修飾を有している場合、BTKの可逆的な阻害剤を投与する工程をさらに含む。方法のいくつかの実施形態において、被験体は癌を患っている。いくつかの実施形態では、癌は血液の癌である。いくつかの実施形態では、癌はB細胞悪性腫瘍である。典型的なB細胞悪性腫瘍が本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、癌は白血病、リンパ腫、または骨髄腫の中から選択される。いくつかの実施形態において、方法は、被験体からサンプルを得る工程をさらに含む。
【0157】
いくつかの実施形態では、癌の処置のために共有結合のおよび/または不可逆的なBTK阻害剤を投与される被験体の治療を最適化する方法が提供され、該方法は、(a)被験体からのBTKポリペプチドをコード化する核酸分子を含むサンプルを試験する工程であって、それによって、コード化されたBTKポリペプチドが配列番号:1と表記されるアミノ酸配列のアミノ酸位置481に対応するアミノ酸位置で修飾されているかどうかを決定する工程、および、(b)被験体が修飾を有している場合、不可逆的なBTK阻害剤を用いた処置を中止するか、または、被験体が修飾を有していない場合、不可逆的なBTK阻害剤を用いた処置を継続する工程、を含む。いくつかの実施形態では、方法は、被験体が修飾を有している場合、修飾されたキナーゼを阻害する第2世代のBTK阻害剤を投与する工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、工程(a)はエキソビボで行なわれる。いくつかの実施形態では、方法は、被験体が修飾を有している場合、LYN、SYK、JAK、PI3K、PLCγ、MAPK、MEK、またはNFκBの阻害剤を投与する工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、方法は、被験体が修飾を有している場合、C481に結合しないBTKの共有結合阻害剤を投与する工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、方法は、被験体が修飾を有している場合、BTKの可逆的な阻害剤を投与する工程をさらに含む。方法のいくつかの実施形態において、被験体は癌を患っている。いくつかの実施形態では、癌は血液の癌である。いくつかの実施形態では、癌はB細胞悪性腫瘍である。典型的なB細胞悪性腫瘍が本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、癌は白血病、リンパ腫、または骨髄腫の中から選択される。いくつかの実施形態において、方法は、被験体からサンプルを得る工程をさらに含む。
【0158】
いくつかの実施形態では、第2世代のBTK阻害剤による治療を受ける被験体を選ぶ方法が提供され、該方法は、(a)被験体からのBTKポリペプチドをコード化する核酸分子を含むサンプルを試験する工程であって、それによって、コード化されたBTKポリペプチドが配列番号:1と表記されるアミノ酸配列のアミノ酸位置481に対応するアミノ酸位置で修飾されているかどうかを決定する工程、および、(b)被験体が修飾を有している場合に、被験体を、第2世代のBTK阻害剤による治療を受ける候補であると特徴付ける工程、を含む。いくつかの実施形態では、方法は、被験体が修飾を有している場合、修飾されたキナーゼを阻害する第2世代のBTK阻害剤を投与する工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、工程(a)はエキソビボで行なわれる。方法のいくつかの実施形態において、被験体は癌を患っている。いくつかの実施形態では、癌は血液の癌である。いくつかの実施形態では、癌はB細胞悪性腫瘍である。典型的なB細胞悪性腫瘍が本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、癌は白血病、リンパ腫、または骨髄腫の中から選択される。いくつかの実施形態において、方法は、被験体からサンプルを得る工程をさらに含む。
【0159】
いくつかの実施形態では、修飾は、BTKポリペプチド中のアミノ酸位置481におけるアミノ酸の置換または欠失を含む。いくつかの実施形態では、修飾は、BTKポリペプチドのアミノ酸位置481で、ロイシン、イソロイシン、バリン、アラニン、グリシン、メチオニン、セリン、トレオニン、フェニルアラニン、トリプトファン、リジン、アルギニン、ヒスチジン、プロリン、チロシン、アスパラギン、グルタミン、アスパラギン酸、およびグルタミン酸の中から選択されたアミノ酸に、システインを置換することである。いくつかの実施形態では、修飾は、BTKポリペプチドのアミノ酸位置481で、セリン、メチオニンまたはトレオニンの中から選択されたアミノ酸に、システインを置換することである。いくつかの実施形態では、修飾は、BTKポリペプチドのアミノ酸位置481においてセリンにシステインを置換することである。いくつかの実施形態では、修飾は、BTKポリペプチドのアミノ酸位置481をコード化する核酸の欠失を含む。
【0160】
方法のいくつかの実施形態において、アッセイで使用される核酸分子はRNAまたはDNAである。方法のいくつかの実施形態において、アッセイで使用される核酸分子はゲノムDNAである。方法のいくつかの実施形態において、アッセイで使用される核酸分子は全RNAである。方法のいくつかの実施形態において、アッセイで使用される核酸分子はmRNAである。方法のいくつかの実施形態において、方法は、RNAサンプルからmRNAを単離する工程をさらに含む。方法のいくつかの実施形態において、アッセイで使用される核酸分子はcDNAである。方法のいくつかの実施形態において、方法は、cDNAへ核酸サンプルを逆転写する工程をさらに含む。方法のいくつかの実施形態において、方法は、cDNAを分析する工程を含む。いくつかの実施形態では、サンプルは、循環腫瘍DNA(ctDNA)、核酸(ctRNA)またはマイクロRNAを含む血漿または血清のサンプルである(例えば、Chan et al. (2007) Br J Cancer. 96(5):681−5を参照)。
【0161】
いくつかの実施形態では、ゲノムの核酸サンプルは核酸増幅方法によって増幅される。いくつかの実施形態では、核酸増幅方法はポリメラーゼ連鎖反応(PCR)である。いくつかの実施形態では、ゲノムの核酸サンプルは、BTK遺伝子に特異的な1セットのヌクレオチドプライマーを使用して増幅される。いくつかの実施形態では、ヌクレオチドプライマーのセットは、BTKポリペプチドのアミノ酸位置481をコード化する核酸配列に隣接する。いくつかの実施形態では、増幅生成物は、BTKポリペプチドのアミノ酸位置481をコード化する核酸である。いくつかの実施形態では、配列特異的なプライマーは、蛍光標識、生物発光標識、化学発光標識、放射性同位体、酵素標識、検知可能な基質、または、第2の検知可能な分子と結合するペプチドまたは分子といった、検知可能な分子に共役する。
【0162】
変異BTKポリペプチドをコード化する核酸中の1つの点突然変異と、サンプル中のBTKポリペプチドのアミノ酸変化とを検知するために、当該技術分野では様々な方法が利用可能である。核酸中の変異と変異ポリペプチドを検出するための以下の方法は、典型的なものであり、排他的であることを意味していない。
【0163】
方法のいくつかの実施形態において、サンプルを試験する工程は、BTKポリペプチドのアミノ酸位置481をコード化する核酸のポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増幅を行う工程を含む。いくつかの実施形態では、PCR増幅は、BTKポリペプチドのアミノ酸位置481をコード化する領域に隣接する1対のオリゴヌクレオチドプライマーを使用すること、および、アミノ酸位置481を含むBTKポリペプチドまたはその一部をコード化する核酸配列を増幅することを含む。いくつかの実施形態では、方法は、増幅された核酸の配列を決定する工程を含む。いくつかの実施形態では、方法は、配列特異的なプライマーを使用して、増幅された核酸の配列を決定する工程を含む。いくつかの実施形態では、方法は、増幅したPCRフラグメントをベクターに連結し、その後、アミノ酸位置481を含むBTKポリペプチドまたはその一部をコード化する核酸の配列を決定する工程を含む。いくつかの実施形態では、方法は、ベクター配列に特異的プライマーを使用して、増幅した核酸の配列を決定する工程を含む。
【0164】
本明細書で提供される方法で使用される典型的な配列決定方法は、当該技術において周知であり、限定されないが、ジデオキシまたは連鎖停止法、Maxam−Gilbert配列、大規模並列処理シグネチャー配列決定(massively parallel signature sequencing)(またはMPSS)、ポロニー配列決定法(polony sequencing)、ピロシーケンシング、Illumina染色シーケンシング(dye sequencing)、SOLiD(または、連結による配列決定)配列決定、イオン半導体シーケンシング、DNAナノボールシーケンシング、heliscopeシーケンシング、および一分子リアルタイム(SMRT)シーケンシングを含んでいる。
【0165】
方法のいくつかの実施形態において、サンプルを試験する工程は、ピロシーケンシングを含む。ピロシーケンシングは合成による配列決定に基づく。ピロシーケンシングは、ジデオキシヌクレオチドによる連鎖停止よりもむしろ、ヌクレオチドの取り込み時のピロリン酸放出の検知に依存するという点で、サンガーシーケンシングとは異なる。「合成によって配列決定する」ことは、配列決定されるDNAの一本鎖を取り、その後、その相補鎖を酵素的に合成することを含んでいる。ピロシーケンシング方法は、別の化学発光酵素を用いてDNAポリメラーゼ(DNA合成酵素)の活性を検知することに基づく。該方法を用いて、DNAの一本鎖に沿って相補鎖を、一度に1つの塩基対で合成することによりDNAの一本鎖の配列を決定し、どの塩基対がそれぞれの工程で実際に加えられたかを検知することができる。鋳型DNAは不動であり、A、C、G、およびTのヌクレオチドの溶液を連続して加えて、反応から取り除く。ヌクレオチド溶液が鋳型の第1の不対塩基を補完するときにのみ、光が生成される。化学発光シグナルを生成する溶液の配列により、鋳型の配列を決定することができる。該方法は、混合種個体群への多重対立形質の変異が変異を測定することができ、白血病細胞の不均質な集団中の変異を検知することができる。
【0166】
方法のいくつかの実施形態において、サンプルを試験する工程は、配列特異的な核酸プローブに核酸を接触させる工程であって、配列特異的な核酸プローブが、(a)アミノ酸位置481で修飾される修飾BTKをコード化する核酸に結合し、(b)アミノ酸位置481でシステインを有する野生型のBTKをコード化する核酸に結合しない、工程を含む。いくつかの実施形態では、サンプルを試験する工程は、(a)変異BTK核酸配列に特異的なオリゴヌクレオチドプローブにサンプルを接触させる工程であって、それによって、変異核酸配列がサンプル中に存在する場合に、プローブDNA複合体が形成される、工程、および、(b)プローブDNA複合体を検知する工程、を含む。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドプローブは、BTKポリペプチドのアミノ酸481に対応する位置でセリンをコード化する核酸に特異的である。いくつかの実施形態では、配列特異的なプローブは、蛍光標識、生物発光標識、化学発光標識、放射性同位体、酵素標識、検知可能な基質、または、第2の検知可能な分子と結合するペプチドまたは分子といった、検知可能な分子に共役する。
【0167】
方法のいくつかの実施形態において、試験する工程は、対立遺伝子に特異的なPCRを使用する工程を含む。いくつかの実施形態では、単一のヌクレオチド変化は、PCRベースの切断された多形配列(CAPS)マーカーを用いてPCRによって検知可能であり、該マーカーは、変異配列(Michaels et al (1998) Plant J. 14(3):381−5)、または、限定されないが、フルオロフォアなどの検知可能な部分に付着した配列特異的なヘアピンプローブ(Mhlanga and Malmberg (2001) Methods 25:463−471)中に制限部位を形成する。いくつかの実施形態では、配列特異的なプローブは、蛍光標識、生物発光標識、化学発光標識、放射性同位体、酵素標識、検知可能な基質、または、第2の検知可能な分子と結合するペプチドまたは分子といった、検知可能な分子に共役する。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドプローブは、BTKポリペプチドのアミノ酸481に対応する位置でセリンをコード化する核酸に特異的である。
【0168】
いくつかの実施形態において、変異BTKをコード化するDNAは、BEAMing(ビーズ、増幅、エマルジョン、磁気)PCR配列決定方法によって評価される(例えば、Li et al. (2006) Nat Methods. 3(2):95−7; Li et al. (2006) Nat Methods. 3(7):551−9; and Diehl et al. (2008) Nat Med. 14(9): 985−990を参照)。BEAMingは、個々のDNA分子を油中水型乳剤中の電磁ビーズに付着させ、その後、区画化したPCR増幅にさらす技術である。ビーズに結合したDNAの変異状態は、変異または野生型のBTKについて、蛍光の対立遺伝子に特異的なプローブに対するハイブリダイゼーションによって決定される。その後、フローサイトメトリーを用いて、血漿または血清中に存在する変異DNAの値の量を定量化する(例えば、Higgins et al. (2012) Clin Cancer Res 18: 3462−3469を参照)
【0169】
いくつかの実施形態では、サンプルを試験する工程は、高速液体クロマトグラフィー(D−HPLC)を変性させる工程を含む。D−HPLCは、電解質勾配に対する電荷密度に従って、DNAフラグメントを分離するために設計されたカートリッジ・マトリックス内のヘテロ二本鎖/ホモ二本鎖DNA種の差次的な保持動態に依存する。(例えば、Frueh et al (2003) Clin Chem Lab Med. 41(4):452−61を参照)。
【0170】
いくつかの実施形態では、サンプルを試験する工程は、アミノ酸位置システイン481で不可逆的なBTK阻害剤に共有結合した野生型のBTKポリペプチド、および、不可逆的なBTK阻害剤に共有結合しない変異C481S BTKポリペプチドにおけるpI差を測定するためにNanoProを使用する工程を含む。NanoProは、等電点の小さな差に基づいてタンパク質を分離することができる器具である。共役していない変異BTKと比較して、不可逆的なBTK阻害剤によるシステイン481の共有結合修飾は、BTKに対する薬物の結合を検知するために使用されるその等電点を変化させる。
【0171】
いくつかの実施形態において、サンプルを試験する工程は、マイクロアレイを使用する工程を含む。いくつかの実施形態では、変異BTKをコード化するDNAの存在は、オリゴヌクレオチドアレイを用いて評価される(例えば、Hastia et al. (1999) J Med Genet. 36(10):730−6を参照)。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドアレイはマイクロチップに含まれる。いくつかの実施形態では、1つのヌクレオチドの変化はマイクロチップを用いて検知可能である。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される変異BTKポリペプチドまたはその一部をコード化する核酸は、位置481でシステインでないアミノ酸をコード化する核酸を含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される変異BTKポリペプチドまたはその一部をコード化する核酸は、アミノ酸位置481でセリンをコード化する核酸を含む。
【0172】
方法のいくつかの実施形態において、変異BTKを検出するためのサンプルは、BTKポリペプチドを含むタンパク質サンプルである。そのような実施例において、試験する工程は、変異BTKポリペプチドに特異的な抗体を用いて変異を検知する工程を含む。いくつかの実施形態では、変異BTKポリペプチドを検知する方法は、被験体からサンプルを提供する工程であって、サンプルがBTKポリペプチドを含む、工程と、変異BTKポリペプチドとの結合に特異的であり、野生型のBTKポリペプチドとは結合しないか、低親和性でしか結合しない抗体に、サンプルを接触させることによって、変異BTKポリペプチドが存在しているかどうかについてサンプルを試験する工程であって、変異BTKポリペプチドが存在すると、抗体変異BTKポリペプチド複合体が作成される、工程を含む。いくつかの実施形態では、該方法は、抗体変異BTKポリペプチド複合体を検知する工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、方法は、検出試薬を用いて抗体変異BTKポリペプチド複合体を検知する工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、変異BTK特異抗体は、蛍光標識、生物発光標識、化学発光標識、放射性同位体、酵素標識、検知可能な基質、または、第2の検知可能なタンパク質(例えば第2の抗体)に結合するペプチドまたは分子といった、検知可能な分子に共役する。いくつかの実施形態では、変異BTK特異抗体の結合は、検知可能な分子をアッセイすることにより検知される。いくつかの実施形態では、変異BTK特異抗体の結合は、第2の(例えば、抗IgG)抗体を使用することにより検知される。
【0173】
方法のいくつかの実施形態において、被験体はBTKを媒介とした疾患または障害を患っている。方法のいくつかの実施形態において、被験体はB細胞増殖性障害を患っている。方法のいくつかの実施形態において、被験体は癌を患っている。いくつかの実施形態では、癌は血液の癌である。いくつかの実施形態では、癌はB細胞悪性腫瘍である。いくつかの実施形態では、癌は白血病、リンパ腫、または骨髄腫の中から選択される。いくつかの実施形態では、B細胞悪性腫瘍は、慢性リンパ球性白血病(CLL)、小リンパ球性リンパ腫(SLL)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、活性化したB細胞びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(ABC−DLBCL)、胚中心びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(GCB DLBCL)、縦隔原発B細胞リンパ腫(PMBL)、非ホジキンリンパ腫、バーキットリンパ腫、濾胞性リンパ腫、免疫芽球性大細胞型リンパ腫、前駆Bリンパ芽球性リンパ腫、前駆B細胞急性リンパ性白血病、ヘアリーセル白血病、マントル細胞リンパ腫、B細胞前リンパ球性白血病、リンパ形質細胞性リンパ腫/ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、脾臓周辺帯リンパ腫、形質細胞性骨髄腫、形質細胞腫、節外性辺縁帯B細胞リンパ腫、節性辺縁帯B細胞リンパ腫、縦隔(胸腺)大細胞型B細胞リンパ腫、血管内大細胞型B細胞リンパ腫、原発性滲出性リンパ腫、または、リンパ腫様肉芽腫症である。いくつかの実施形態では、被験体は固形腫瘍を患っている。
【0174】
いくつかの実施形態では、被験体は固形腫瘍を患っている。いくつかの実施形態では、被験体は肉腫、細胞腫、神経線維腫症(neurofibromatoma )、または、リンパ腫を患っている。
【0175】
いくつかの実施形態において、被験体は、肺、胸、結腸、脳、前立腺、肝臓、膵臓、食道、腎臓、胃、甲状腺、膀胱、子宮、子宮頚部、または卵巣の癌を患っている。いくつかの実施形態では、被験体は転移性癌を患っている。いくつかの実施形態では、被験体は、急性リンパ芽球性白血病、急性リンパ芽球性白血病、急性骨髄性白血病、急性前骨髄球性白血病、腺癌、腺腫、副腎癌、副腎皮質癌、エイズ関連の癌、エイズ関連リンパ腫、肛門癌、垂癌、星細胞腫、基底細胞癌、胆管癌、膀胱癌、骨癌、骨肉腫/悪性線維性組織球腫、脳幹神経膠腫、脳腫瘍、細胞腫、小脳星細胞腫、大脳星細胞腫/悪性神経膠腫、脳室上衣細胞腫、髄芽腫、テント上方原始神経外胚葉性腫瘍、視覚路または視床下部の神経膠腫、乳癌、気管支腺腫/カルチノイド、バーキットリンパ腫、カルチノイド腫瘍、細胞腫、中枢神経系リンパ腫、子宮頚部癌、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性骨髄増殖性疾患、結腸癌、皮膚T細胞リンパ腫、線維形成性小円形細胞腫瘍、子宮内膜癌、脳室上衣細胞腫、類表皮癌、食道癌、ユーイング肉腫、頭蓋外胚細胞腫瘍、性腺外胚細胞腫瘍、肝臓外胆管癌、目癌/眼球内黒色腫、目癌/網膜芽細胞腫、胆嚢癌、胆石腫瘍、胃癌、消化管カルチノイド腫瘍、胃腸間質性腫瘍、巨細胞腫、多形神経膠芽腫、神経膠腫、毛様細胞腫瘍、頭頚部癌、心臓癌、肝細胞癌/肝臓癌、ホジキンリンパ腫、増殖、過形成性角膜神経腫瘍、上皮内癌、下咽頭癌、腸の神経節腫、島細胞腫、カポージ肉腫、腎臓/腎細胞の癌、喉頭癌、平滑筋腫腫瘍、唇および口腔の癌、脂肪肉腫、肝臓癌、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、リンパ腫、マクログロブリン血症、悪性カルチノイド、骨の悪性線維性組織球症、悪性高カルシウム血症、悪性黒色腫、マルファン症候群様の体質腫瘍(marfanoid habitus tumor)、髄様癌、メラノーマ、メルケル細胞癌、中皮腫、転移性皮膚癌、転移性頸部扁平上皮癌、口腔癌、粘膜神経腫、多発性骨髄腫、菌状息肉腫、骨髄異形成症候群、骨髄腫、骨髄増殖性疾患、鼻腔および副鼻腔の癌、上咽頭癌、頚部癌、神経組織癌、神経芽腫、口腔癌、口腔咽頭癌、骨肉腫、卵巣癌、卵巣上皮性腫瘍、卵巣胚細胞腫、膵癌、副甲状腺癌、陰茎癌、咽頭癌、褐色細胞腫、松果体星細胞腫、松果体胚腫、松果体芽腫、下垂体腺腫、胸膜肺芽腫、真性赤血球増加、原発性脳腫瘍、前立腺癌、直腸癌、腎細胞腫瘍、細網肉腫、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、唾液腺癌、セミノーマ、セザリー症候群、皮膚癌、小腸癌、軟部組織肉腫、扁平上皮癌、頚部扁平上皮癌、胃癌、テント上方原始神経外胚葉性腫瘍、精巣癌、咽喉癌、胸腺腫、甲状腺癌、局所皮膚病変、栄養膜腫瘍、尿道癌、子宮癌/子宮内膜癌、子宮肉腫、膣癌、外陰癌、ヴァルデンストレームマクログロブリン血症、または、ウィルムス腫瘍である癌を患っている。
【0176】
いくつかの実施形態では、被験体は再発した癌を患っている。いくつかの実施形態では、被験体は難治性癌を患っている。いくつかの実施形態では、被験体は難治性癌を患っており、共有結合のおよび/または不可逆的なBTK阻害剤を用いた処置が癌には効かない。いくつかの実施形態では、被験体は難治性癌を患っており、被験体は、共有結合のおよび/または不可逆的なBTK阻害剤を用いた処置に対する感受性の低下を示している。いくつかの実施形態では、被験体は難治性癌を患っており、被験体は、共有結合のおよび/または不可逆的なBTK阻害剤の特定の投与量に対する感受性の低下を示している。いくつかの実施形態では、被験体は難治性癌を患っており、被験体は、重症化、または、癌の1つ以上の症状の出現(すなわち疾患の進行)を示している。いくつかの実施形態では、被験体は、癌の退行の低下を示す。いくつかの実施形態では、退行は癌の停滞である。いくつかの実施形態では、被験体は再発性または難治性の液の癌を患っている。いくつかの実施形態では、被験体は再発性または難治性のB細胞悪性腫瘍を患っている。
【0177】
いくつかの実施形態において、被験体は、血液の癌を患っている疑いがあるか、または、血液の癌を患う危険性が高い。いくつかの実施形態において、被験体は、B細胞悪性腫瘍を有している疑いがあるか、または、B細胞悪性腫瘍を患う危険性が高い。いくつかの実施形態において、被験体は、白血病、リンパ腫、または骨髄腫を患っている疑いがあるか、または、その危険性が高い。
【0178】
いくつかの実施形態では、被験体は、血液の癌の1つ以上の症状を示す。いくつかの実施形態では、被験体は、B細胞悪性腫瘍の1つ以上の症状を示す。いくつかの実施形態では、被験体は、白血病、リンパ腫、または骨髄腫の1つ以上の症状を示す。いくつかの実施形態では、被験体は、限定されないが、異常なB細胞機能、異常なB細胞の大きさまたは形状、異常なB細胞の数、疲労、発熱、寝汗、頻繁な感染、リンパ節腫大、蒼白さ、貧血、出血または打撲が起きやすいこと、食欲低下、体重減少、骨または関節の痛、頭痛、および、点状出血(petechie)などの1つ以上の症状を示す。
【0179】
いくつかの実施形態では、被験体は、自己免疫性疾患、例えば、炎症性腸疾患、関節炎、狼瘡、関節リウマチ、乾癬性関節炎、変形性関節症、スチル病、若年性関節炎、糖尿病、重症筋無力症、橋本病、オード甲状腺炎(Ord’s thyroiditis)、グレーブス病、シェーグレン症候群、多発性硬化症、ギラン−バレー症候群、急性散在性脳脊髄膜炎、アジソン病、オプソクローヌスミオクローヌス症候群、強直性脊椎炎(spondylitisis)、抗リン脂質抗体症候群、再生不良性貧血、自己免疫性肝炎、セリアック病、グッドパスチャー症候群、特発性血小板減少性紫斑病、視神経炎、強皮症、原発性胆汁性肝硬変、ライター症候群、高安動脈炎、側頭動脈炎、温式自己免疫溶血性貧血、ヴェーゲナー肉芽腫症、乾癬、全身性脱毛症、ベーチェット病、慢性疲労、自律神経異常症、子宮内膜症、間質性膀胱炎、神経ミオトニー、強皮症、または、外陰部痛に苛まされている。
【0180】
他の実施形態では、被験体は、異種免疫疾病または疾患、例えば、移植片対宿主病、移植、輸血、アナフィラキシー、アレルギー、1型過敏症、アレルギー性結膜炎、アレルギー性鼻炎、または、アトピー性皮膚炎に苦しんでいる。
【0181】
特定の実施形態では、被験体は、炎症性疾患、例えば、喘息、虫垂炎、眼瞼炎、細気管支炎、気管支炎、滑液包炎、子宮頚管炎、胆管炎、胆嚢炎、大腸炎、結膜炎、膀胱炎、涙腺炎、皮膚炎、皮膚筋炎、脳炎、心内膜炎、子宮内膜炎、腸炎、全腸炎、顆炎、精巣上体炎、筋膜炎、結合組織炎、胃炎、胃腸炎、肝炎、化膿性汗腺炎、喉頭炎、乳腺炎、髄膜炎、脊髄炎、心筋炎、筋炎、腎炎、卵巣炎、精巣炎、骨炎、耳炎、膵炎、耳下腺炎、心膜炎、腹膜炎、咽頭炎、胸膜炎、静脈炎、間質性肺炎、肺炎、直腸炎、前立腺炎、腎盂腎炎、鼻炎、卵管炎、副鼻腔炎、口内炎、滑膜炎、腱炎、扁桃炎、ぶどう膜炎、膣炎、血管炎、または、外陰部炎に苛まされている。
【0182】
さらなる実施形態において、被験体は、血栓塞栓障害、例えば、心筋梗塞、狭心症、血管形成後の再閉塞、血管形成後の再狭窄、大動脈冠動脈バイパス後の再閉塞、大動脈冠動脈バイパス後の再狭窄、脳卒中、一過性虚血、末梢動脈閉塞性障害、肺塞栓症、または深部静脈血栓症に苦しんでいる。
【0183】
いくつかの実施形態では、被験体は、疾患または疾病の処置のために、1つ以上の治療薬を投与されるか、または、投与されている。いくつかの実施形態では、被験体は、疾患または疾病の処置のために、BTK阻害剤を投与されるか、または、投与されている。いくつかの実施形態では、被験体は、疾患または疾病の処置のために、BTK阻害剤に加えて、1つ以上の治療薬を投与されるか、または、投与されている。
【0184】
いくつかの実施形態では、被験体は、疾患または疾病の処置のために、1つ以上の化学療法剤を投与されるか、または、投与されている。いくつかの実施形態では、被験体は、癌の処置のために、BTK阻害剤を投与されるか、または、投与されている。いくつかの実施形態では、被験体は、癌の処置のために、BTK阻害剤に加えて、1つ以上の化学療法剤を投与されるか、または、投与されている。
【0185】
いくつかの実施形態では、方法で使用されるサンプルは、生物からの任意の組織または流体からのものである。サンプルは、限定されないが、全血、分離した骨髄、骨髄穿刺液、胸膜液、腹水、中央の髄液、腹部の流体、膵液、脳脊髄液、脳液、腹水、心膜液、尿、唾液、気管支洗浄液、汗、涙、耳流体、痰、陰嚢水腫流体、精液、膣液、ミルク、羊水、および、呼吸器、腸管、または尿生殖路の分泌物を含んでいる。特定の実施形態において、サンプルは腫瘍生検サンプルである。特定の実施形態では、サンプルは、リンパ系または循環系の一部であるかそれに関連する流体または組織からのものである。いくつかの実施形態では、サンプルは、静脈、動脈、末梢、組織、臍帯血のサンプルである、血液サンプルである。特定の実施形態では、サンプルは、1つ以上の末梢血単核細胞(PBMC)を含む血液細胞サンプルである。いくつかの実施形態では、サンプルは、1つ以上の循環腫瘍細胞(CTC)を包含している。いくつかの実施形態では、サンプルは、1つ以上の播種性腫瘍細胞(DTC、例えば、骨髄穿刺液サンプル中)を含む。
【0186】
組織および流体サンプルに含まれる細胞から核酸およびタンパク質を単離するための方法は、当該技術において周知である。特定の実施形態では、被験体から得られたサンプルは、被験体から腫瘍生検に含まれる細胞から単離される。特定の実施形態では、被験体から得られたサンプルは、骨髄穿刺液中の細胞から単離される。特定の実施形態では、被験体から得られたサンプルは、血清サンプル中に含まれる細胞から単離される。特定の実施形態では、被験体から得られたサンプルは、リンパサンプル中に含まれる細胞から単離される。特定の実施形態では、サンプルは、細胞には含まれない循環腫瘍核酸を含む。
【0187】
いくつかの実施形態では、サンプルは、周知のかつ所定の臨床的な方法を用いてサンプルを得る任意の適切な手段によって、被験体から得られる。被験体から流体サンプルを得るための手続きは周知である。例えば、全血とリンパを採取して処理する手続きは周知のものであり、提供される方法で使用されるサンプルを得るために使用することができる。典型的には、血液サンプルの採取については、抗凝固剤(例えば、EDTA、あるいは、クエン酸およびヘパリン、または、CPD(クエン酸、リン酸、デキストロース)、または、匹敵する物質)は、血液の凝固を防ぐためにサンプルに加えられる。いくつかの実施例において、血液サンプルは、血液サンプルの凝固を防ぐために、EDTAの量を含む採取チューブに集められる。
【0188】
いくつかの実施形態では、サンプルは、組織生検であり、例えば、針生検、CTで誘導された針生検、吸引生検、内視鏡生検、気管支鏡生検、気管支洗浄、切開生検、切採生検、細切採取法、薄片生検、皮膚生検、骨髄生検、および、ループ式電気焼灼切除法(LEEP)によって得られる。典型的には、壊死していない無菌の生検または検体は、100mg以上で得られるが、100mg未満、50mg以下、10mg以下、または、5mg以下などのようにより少なくてもよく、あるいは、100mg以上、200mg以上、または500mg以上、1gm以上、2gm以上、3gm以上、4gm以上、または、5gm以上など、より大きくてもよい。アッセイのために抽出されるサンプルの大きさは、限定されないが、行なわれるアッセイの数、組織サンプルの健康、癌の種類、および、患者の状態を含む多くの因子に依存する。いくつかの実施形態では、組織は、無菌のチューブまたは培養皿のような無菌の容器に置かれ、適切な培地に随意に浸される。一般に、当該技術において周知のように、細胞は、機械的な手段および/または酵素処置によって、細胞懸濁液へと分離される。一般に、細胞は集められ、その後、核酸を単離するための標準的な手順に移されて、アッセイされる。
【0189】
いくつかの実施形態では、被験体からのサンプルの採取は、等間隔で、例えば、1日、2日、3日、4日、5日、6日、1週、2週、3週、4週、1か月、2か月、3か月、4か月、5か月、6か月、1年、毎日、毎週、日刊新聞、週刊誌、隔月、3カ月毎、2年毎、1年毎に行なわれる。
【0190】
いくつかの実施形態では、サンプルの採取は、1つ以上の抗癌剤を用いて処置と比べて、あらかじめ決められた時間、または、規則的な間隔で行なわれる。いくつかの実施形態では、抗癌剤は、白血病、リンパ腫、または骨髄腫の処置のために投与される。白血病、リンパ腫、または骨髄腫の処置のための典型的な抗癌剤は、アドリアマイシン(ドキソルビシン)、ベグザー、ベンダムスチン、ブレオマイシン、ブレノキサン(blenoxane)、ボルテゾミブ、ダカルバジン、デルタゾン(deltasone)、シスプラチン、シクロホスファミド、シトキサン、DTICダカルバジン、ダサチニブ、ドキソルビシン、エトポシド、フルダラビン、グラニセトロン、カイトリル、レナリドミド、マチュレーン(matulane)、メクロレタミン、ムスタルゲン(mustargen)、ムスチン(mustine)、ナツラン、リツキサン(リツキシマブ、抗CD20抗体)、VCR、ネオサール(neosar)、ナイトロジェンマスタード、オンコビン、オンダンセトロン、オラゾン(orasone)、プレドニゾン、プロカルバジン、サリドマイド、VP−16、ベルバン(velban)、ベルベ(velbe)、ベルサール(velsar)、ベペシド(VePesid)、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ゼバリン(登録商標)、ゾフラン(zofran)、幹細胞移植、放射線療法または併用療法、例えば、ABVD(アドリアマイシン、ブレオマイシン、ビンブラスチン、およびダカルバジン)、ChlvPP(クロラムブシル、ビンブラスチン、プロカルバジン、およびプレドニゾロン)、Stanford V(ムスチン)、ドキソルビシン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ブレオマイシン、エトポシド、および、ステロイド)、BEACOPP(ブレオマイシン、エトポシド、ドキソルビシン、シクロホスファミド、ビンクリスチン、プロカルバジン、およびプレドニゾロン)、BEAM(カルムスチン(BiCNU)エトポシド、シタラビン(Ara−C、サイトシンアラビノサイド)、およびメルファラン)、CHOP(シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、および、プレドニゾン)、R−CHOP(リツキシマブ、ドキソルビシン、シクロホスファミド、ビンクリスチン、およびプレドニゾン)、EPOCH(エトポシド、ビンクリスチン、ドキソルビシン、シクロホスファミド、およびプレドニゾン)、CVP(シクロホスファミド、ビンクリスチン、およびプレドニゾン)、ICE(イホスファミド−カルボプラチン−エトポシド)、R−ACVBP(リツキシマブ、ドキソルビシン、シクロホスファミド、ビンデシン、ブレオマイシン、およびプレドニゾン)、DHAP(デキサメタゾン、高用量シタラビン、(AraC)、シスプラチン)、R−DHAP(リツキシマブ、デキサメタゾン、高用量シタラビン(Ara C)、シスプラチン)、ESHAP(エトポシド(VP−16)、メチル−プレドニゾロン、および、高用量シタラビン(Ara−C)、シスプラチン)、CDE(シクロホスファミド、ドキソルビシン、およびエトポシド)、ベルケイド(登録商標)(ボルテゾミブ)とドキシル(登録商標)(リポソームドキソルビシン)、レブラミド(登録商標)(レナリドミド)とデキサメタゾン、および、ボルテゾミブとデキサメタゾンを含む。いくつかの実施形態では、抗癌剤は、フルダラビンである。いくつかの実施形態では、抗癌剤は、ベンダムスチンである。いくつかの実施形態では、抗癌剤は、リツキサンである。いくつかの実施形態では、抗癌剤は、ダサチニブである。いくつかの実施形態では、サンプルは、処置の前、最中、後、あるいは、抗癌剤を用いた連続的な処置の間に、あらかじめ決められた時間に、または、規則的な時間間隔で、採取される。特定の実施例において、サンプルは、抗癌治療を施す前に、かつ、処置が行われた後の規則的な間隔で、被験体から得られる。
【0191】
いくつかの実施形態では、サンプルの採取は、共有結合のおよび/または不可逆的なBTK阻害剤を用いた処置と比較して、あらかじめ決められた時間に、または、規則的な時間間隔で行なわれる。例えば、サンプルは、処置の前、最中、後、あるいは、連続的な処置の間に、あらかじめ決められた時間に、または、規則的な時間間隔で、採取される。特定の実施例において、サンプルは、共有結合のおよび/または不可逆的なBTK阻害剤の投与前に、および、不可逆的なBTK阻害剤を用いた処置が行われた後に、規則的な間隔で、被験体から得られる。いくつかの実施形態では、被験体は、共有結合のおよび/または不可逆的なBTK阻害剤と1つ以上の追加の抗癌剤を投与される。いくつかの実施形態では、被験体は、共有結合のおよび/または不可逆的なBTK阻害剤と、不可逆的なBTK阻害剤でない1つ以上の追加の抗癌剤を投与される。いくつかの実施形態では、被験体は、1つ以上の不可逆的なBTK阻害剤を投与される。いくつかの実施形態では、被験体は、野生型のBTKのシステイン481に共有結合する1つ以上の不可逆的なBTK阻害剤を投与される。いくつかの実施形態では、不可逆的なBTK阻害剤は、イブルチニブ、PCI−45292、PCI−45466、AVL−101、AVL−291、AVL−292、またはONO−WG−37である。いくつかの実施形態において、不可逆的なBTK阻害剤はイブルチニブである。
【0192】
本明細書で提供される方法のいずれかで使用される追加のBTK阻害剤は、例えば、米国特許第7,547,689、7,960,396、および、米国特許公開第2009−0197853 A1、および、米国特許公開第2012−0065201 A1で見られ、これらはすべて参照することでそのまま組み込まれる。本明細書で提供される方法のいずれかで使用されるの追加のBTK阻害剤は、例えば、US20100029610、WO09051822、WO10123870、WO09158571、WO11034907、WO12021444、WO11029046、WO08110624、WO10080481、WO10144647、WO10056875、WO05047290、WO06053121、WO06099075、WO08033834、WO08033857、WO08033858、WO09137596、WO10056875、WO10068788、WO10068806、WO10068810、WO11140488、WO12030990、WO12031004、WO2010056875、WO05066156、WO10056875、US20120316148、WO09048307、WO09147190、WO11162515、WO11162515、WO06036941、WO10126960、WO07136790、WO12025186、WO2013010380、WO2013010868、WO2013010869、WO2013008095、WO11152351、WO2013060098、WO2013060098、WO07002325、WO07002433、WO07013896、WO09143024、WO10065898、WO2012158764、WO2012158785、WO2012158795、WO2012158810、WO09053269、WO09156284、WO2012020008、WO2012156334、WO2013024078、WO08057252、WO03081210、WO03087051、US20130059847A1、WO06065946、WO07027594、および、WO08092199で見られ、これらはすべて参照することでそのまま本明細書に組み込まれる。
【0193】
いくつかの実施形態では、被験体は、1つ以上の可逆的なBTK阻害剤と組み合わせて、野生型のBTKのシステイン481に共有結合する共有結合のおよび/または不可逆的なBTK阻害剤を投与される。例えば、いくつかの実施形態では、被験体は、結合に関してシステイン481に依存しない1つ以上の可逆的なBTK阻害剤と組み合わせて、野生型のBTKのシステイン481に共有結合する共有結合のおよび/または不可逆的なBTK阻害剤を投与される。可逆的なBTK阻害剤は当該技術で知られており、限定されないが、ダサチニブ、PC−005、RN486、PCI−29732、または、テレイン酸(terreic acid)を含んでいる。特定の実施形態では、不可逆的なBTK阻害剤イブルチニブは、可逆的なBTK阻害剤ダサチニブと組み合わせて投与される。
【0194】
いくつかの実施形態では、サンプルは、不可逆的なBTK阻害剤の第1の投与後、1週、2週、3週、1か月、2か月、3か月、4か月、5か月、6か月、7か月、8か月、9か月、10か月、11か月、12か月、14か月、16か月、18か月、20か月、22か月、24か月、26か月、28か月、30か月、32か月、34か月、36か月目、またはそれよりも後に得られる。いくつかの実施形態では、サンプルは、不可逆的なBTK阻害剤にまだ曝露していない被験体に不可逆的なBTK阻害剤の第1の投与後、1週、2週、3週、1か月、2か月、3か月、4か月、5か月、6か月、7か月、8か月、9か月、10か月、11か月、12か月、14か月、16か月、18か月、20か月、22か月、24か月、26か月、28か月、30か月、32か月、34か月、36か月以上後に、得られる。いくつかの実施形態では、サンプルは、再発性または難治性の癌を患っている被験体に不可逆的なBTK阻害剤の第1の投与後、1週、2週、3週、1か月、2か月、3か月、4か月、5か月、6か月、7か月、8か月、9か月、10か月、11か月、12か月、14か月、16か月、18か月、20か月、22か月、24か月、26か月、28か月、30か月、32か月、34か月、36か月以上後に、得られる。いくつかの実施形態では、サンプルは、不可逆的なBTK阻害剤を用いた処置の間に、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10回以上得られる。いくつかの実施形態では、被験体は、不可逆的なBTK阻害剤が最初に投与される際の不可逆的なBTK阻害剤を用いた処置に反応する。
【0195】
<維持療法>
本明細書では、B細胞増殖性障害を患っている被験体の維持療法のための方法が提供される。いくつかの実施形態では、B細胞細胞増殖性疾患は癌である。いくつかの実施形態では、癌は血液の癌である。いくつかの実施形態では、維持療法のための方法は、最初の治療期間にわたって共有結合のおよび/または不可逆的なBTK阻害剤を用いて血液の癌を処置する工程と、その後の維持療法計画を含む。いくつかの実施形態では、維持療法のための方法は、6か月以上にわたって、例えば、6か月、7か月、8か月、9か月、10か月、11か月、12か月、13か月、14か月、15か月、16か月、17か月、18か月、19か月、20か月、21か月、22か月、23か月、24か月、25か月、26か月、27か月、28か月、29か月、30か月、31か月、32か月、33か月、34か月、35か月、3年、4年、5年、6年、7年、8年、9年、10年以上にわたって、共有結合のおよび/または不可逆的なBTK阻害剤で血液の癌を処置する工程を含む。いくつかの実施形態では、不可逆的なBtk阻害剤は、野生型のBtkのシステイン481と共有結合する。いくつかの実施形態では、不可逆的なBTK阻害剤は、イブルチニブ、PCI−45292、PCI−45466、AVL−101、AVL−291、AVL−292、またはONO−WG−37の中から選択される。いくつかの実施形態において、不可逆的なBTK阻害剤はイブルチニブである。
【0196】
典型的な方法では、血液の癌を患っている被験体は、治療上の有効な量の共有結合のおよび/または不可逆的なBTK阻害剤で処置され、被験体は、被験体がBTKのシステイン481で修飾をもたらすBTKをコード化する内因性遺伝子の変異を獲得するかどうかを決定するために、あらかじめ決められた時間間隔でモニタリングされる。いくつかの実施形態において、モニタリングは、被験体からのBTKポリペプチドをコード化する核酸分子を含むサンプルを試験する工程であって、それによって、コード化されたBTKポリペプチドが配列番号:1と表記されるアミノ酸配列のアミノ酸位置481に対応するアミノ酸位置で修飾されているかどうかを決定する工程、を含む。いくつかの実施形態では、修飾はC481Sである。いくつかの実施形態では、サンプルは1つ以上の癌細胞またはctDNAを包含している。いくつかの実施形態では、1つ以上の癌細胞またはctDNAを包含しているサンプルは、被験体が、共有結合のおよび/または不可逆的なBTK阻害剤を用いた処置の前に、または、その処置の初期に、野性型BTKを発現するかどうかを決めるために、不可逆的なBTK阻害剤を用いた処置の前に、または、不可逆的なBTK阻害剤を用いた処置の初期に(例えば、約1週から約2か月後に)、被験体から得られる。
【0197】
いくつかの実施形態では、血液の癌を患っている患者における維持療法の方法が提供され、該方法は、(a)治療上有効な量の共有結合のおよび/または不可逆的なBTK阻害剤の投与を含む維持療法計画を患者に施す工程、および、(b)維持療法計画の経過にわたってあらかじめ決められた時間間隔で患者をモニタリングする工程であってそれによって、被験体が、配列番号:1と表記されたアミノ酸配列のアミノ酸位置481に対応するアミノ酸位置で修飾をもたらすBTKをコード化する内因性遺伝子の変異を有しているかどうかを決定する、工程を含む。いくつかの実施形態において、モニタリングする工程は、被験体からのBTKポリペプチドをコード化する核酸分子を含むサンプルを試験する工程であって、それによって、コード化されたBTKポリペプチドが配列番号:1と表記されるアミノ酸配列のアミノ酸位置481に対応するアミノ酸位置で修飾されているかどうかを決定する工程、を含む。いくつかの実施形態では、修飾はC481Sである。いくつかの実施形態では、サンプルは1つ以上の癌細胞またはctDNAを包含している。いくつかの実施形態では、1つ以上の癌細胞またはctDNAを包含しているサンプルは、被験体が、共有結合のおよび/または不可逆的なBTK阻害剤を用いた処置の前に、または、その処置の初期に、野性型BTKを発現するかどうかを決めるために、不可逆的なBTK阻害剤を用いた処置の前に、または、不可逆的なBTK阻害剤を用いた処置の初期に(例えば、約1週から約2か月後に)、被験体から得られる。
【0198】
いくつかの実施形態では、方法は、被験体が修飾を有している場合、BTK阻害剤を用いた処置を中止する工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、方法は、被験体が修飾を有していない場合、BTK阻害剤を用いた処置を継続する工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、方法は、被験体が修飾を有している場合、修飾されたキナーゼを阻害する第2世代のBTK阻害剤を投与する工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、方法は、被験体が修飾を有している場合、LYN、SYK、JAK、PI3K、PLCγ、MAPK、MEK、またはNFκBの阻害剤を投与する工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、方法は、被験体が修飾を有している場合、C481に結合しないBTKの共有結合阻害剤を投与する工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、方法は、被験体が修飾を有している場合、BTKの可逆的な阻害剤を投与する工程をさらに含む。
【0199】
いくつかの実施形態では、変異は、BTKのシステイン481をコード化するコドン中のミスセンス変異である。いくつかの実施形態において、変異は、アミノ酸位置481で別のアミノ酸とのシステインの置換をもたらすミスセンス変異である。いくつかの実施形態において、変異は、アミノ酸位置481でセリンに対するシステインの置換をもたらすミスセンス変異である。いくつかの実施形態では、変異は、システイン−481コドン、TGC、からTCC(セリン)への置換をもたらす、グアニン−1635からシトシン−1635へのミスセンス変異である。いくつかの実施形態では、変異は、システイン−481コドン、TGC、からAGC(セリン)への置換をもたらす、チミン(t)−1634からアデニン(a)−1634へのミスセンス変異である。
【0200】
いくつかの実施形態では、被験体が、BTKポリペプチドのシステイン481で修飾をもたらすBTKをコード化する内因性の遺伝子コ中に変異を獲得するかどうかを決定するために、被験体は、毎月、2か月ごと、3か月ごと、4か月ごと、5か月ごと、6か月ごと、7か月ごと、8か月ごと、9か月ごと、10か月ごと、11か月ごと、または、毎年、モニタリングされる。
【0201】
いくつかの実施形態では、血液の癌は、B細胞悪性腫瘍である。いくつかの実施形態では、癌は白血病、リンパ腫、または骨髄腫の中から選択される。いくつかの実施形態では、B細胞悪性腫瘍は、慢性リンパ球性白血病(CLL)、小リンパ球性リンパ腫(SLL)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、活性化したB細胞びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(ABC−DLBCL)、胚中心びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(GCB DLBCL)、縦隔原発B細胞リンパ腫(PMBL)、非ホジキンリンパ腫、バーキットリンパ腫、濾胞性リンパ腫、免疫芽球性大細胞型リンパ腫、前駆Bリンパ芽球性リンパ腫、前駆B細胞急性リンパ性白血病、ヘアリーセル白血病、マントル細胞リンパ腫、B細胞前リンパ球性白血病、リンパ形質細胞性リンパ腫/ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、脾臓周辺帯リンパ腫、形質細胞性骨髄腫、形質細胞腫、節外性辺縁帯B細胞リンパ腫、節性辺縁帯B細胞リンパ腫、縦隔(胸腺)大細胞型B細胞リンパ腫、血管内大細胞型B細胞リンパ腫、原発性滲出性リンパ腫、または、リンパ腫様肉芽腫症である。いくつかの実施形態では、被験体は固形腫瘍を患っている。いくつかの実施形態では、B細胞悪性腫瘍は慢性リンパ性白血病(CLL)である。
【0202】
いくつかの実施形態では、維持療法は、多サイクルの投与を含む。いくつかの実施形態では、投与のサイクルは、1か月、2か月、3か月、4か月、6か月、6か月、7か月、8か月、9か月、10か月、11か月、12か月以上である。いくつかの実施形態では、投与のサイクルは、そのサイクルにわたって、不可逆的なBTK阻害剤の1回の治療与量の投与を含む。いくつかの実施形態では、投与のサイクルは、サイクルにわたって、不可逆的なBTK阻害剤の2回以上の異なる投与量を含む。いくつかの実施形態では、不可逆的なBTK阻害剤の投与量は、連続するサイクルの間、異なる。いくつかの実施形態では、不可逆的なBTK阻害剤の投与量は、連続するサイクルの間、増加する。いくつかの実施形態では、不可逆的なBTK阻害剤の投与量は、連続するサイクルの間、同じである。
【0203】
いくつかの実施形態では、維持療法は、不可逆的なBTK阻害剤の一日の投与量の投与を含む。いくつかの実施形態では、投与される不可逆的なBTK阻害剤の一日の投与量は、1日当たり10mgから1日当たり約2000mg、例えば、1日当たり約50mgから1日当たり約1500mg、例えば、1日当たり約100mgから1日当たり約1000mg、例えば1日当たり約250mgから1日当たり約850mg、例えば1日当たり約300mgから1日当たり約600mgで投与される。特定の実施形態では、不可逆的なBTK阻害剤の維持量は1日当たり約840mgである。特定の実施形態では、不可逆的な阻害剤がイブルチニブである場合、維持量は1日当たり約840mgのイブルチニブである。特定の実施形態では、不可逆的なBTK阻害剤の維持量は1日当たり約560mgである。特定の実施形態では、不可逆的な阻害剤がイブルチニブである場合、維持量は1日当たり約560mgのイブルチニブである。特定の実施形態では、維持量は1日当たり約420mgである。特定の実施形態では、不可逆的な阻害剤がイブルチニブである場合、維持量は1日当たり約420mgのイブルチニブである。特定の実施形態では、不可逆的なBTK阻害剤の維持量は1日当たり約140mgである。特定の実施形態では、不可逆的な阻害剤がイブルチニブである場合、維持量は1日当たり約140mgのイブルチニブである。
【0204】
いくつかの実施形態では、不可逆的なBTK阻害剤は、1日1回、1日2回、1日3回、または、それ以上頻繁に投与される。特定の実施形態では、不可逆的なBTK阻害剤は、1日当たり1回投与される。いくつかの実施形態では、イブルチニブである不可逆的なBTK阻害剤は、1日1回、1日2回、1日3回、またはそれ以上頻繁に投与される。特定の実施形態では、イブルチニブである不可逆的なBTK阻害剤は1日1回投与される。
【0205】
いくつかの実施形態では、不可逆的なBTK阻害剤の投与量は経時的に増加する。いくつかの実施形態では、イブルチニブである不可逆的なBTK阻害剤の投与量は経時的に増加する。いくつかの実施形態では、不可逆的なBTK阻害剤の投与量は、あらかじめ決められた時間にわたって、約1.25mg/kg/日から、約12.5mg/kg/日に増加する。いくつかの実施形態では、イブルチニブである不可逆的なBTK阻害剤の投与量は、あらかじめ決められた時間にわたって、約1.25mg/kg/日から、約12.5mg/kg/日に増加する。いくつかの実施形態において、あらかじめ決められた時間は、1か月以上、2か月以上、3か月以上、4か月以上、5か月以上、6か月以上、7か月以上、8か月以上、9か月以上、10か月以上、11か月以上、12か月以上、18か月以上、24か月以上、またはそれ以上である。
【0206】
いくつかの実施形態では、投与のサイクルは、追加の治療薬と組み合わせて、不可逆的なBTK阻害剤の投与を含む。いくつかの実施形態において、追加の治療薬は、不可逆的なBTK阻害と同時に、連続して、または、断続的に投与される。いくつかの実施形態において、追加の治療薬は抗ガン剤である。いくつかの実施形態において、追加の治療薬は、白血病、リンパ腫、または骨髄腫の処置のための抗癌剤である。共有結合のおよび/または不可逆的なBTK阻害剤と組み合わせて投与される典型的な抗癌剤は、本明細書にわたって提供される。特定の実施形態では、抗癌剤は抗CD20抗体(例えば、リツキサン)である。特定の実施形態中では、抗癌剤はベンダムスチンである。いくつかの実施形態において、追加の抗癌剤は、不可逆的なBTK阻害剤である。いくつかの実施形態では、追加の抗癌剤は、BTKとの結合に関してシステイン481に依存しない、可逆的なBTK阻害剤である。いくつかの実施形態において、追加の抗癌剤はダサチニブである。
【0207】
いくつかの実施形態では、血液の癌の処置のために共有結合のおよび/または不可逆的なBTK阻害剤を用いた維持療法を受ける被験体が、治療に対する耐性を進行させたか、あるいは、進行させる可能性が高いかどうかをモニタリングする方法が提供されており、該方法は、(a)被験体からのBTKポリペプチドをコード化する核酸分子を含むサンプルを試験する工程であって、それによって、コード化されたBTKポリペプチドが配列番号:1と表記されるアミノ酸配列のアミノ酸位置481に対応するアミノ酸位置で修飾されているかどうかを決定する工程、および、(b)被験体が修飾を有している場合、共有結合のおよび/または不可逆的なBTK阻害剤を用いた治療に対して耐性を有する、または、耐性を有するようになるとして、被験体を特徴づける工程、を含む。いくつかの実施形態では、工程(a)はエキソビボで行なわれる。いくつかの実施形態では、方法は、被験体が修飾を有している場合、BTK阻害剤を用いた処置を中止する工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、方法は、被験体が修飾を有していない場合、BTK阻害剤を用いた処置を継続する工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、方法は、被験体が修飾を有している場合、修飾されたキナーゼを阻害する第2世代のBTK阻害剤を投与する工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、方法は、被験体が修飾を有している場合、LYN、SYK、JAK、PI3K、PLCγ、MAPK、MEK、またはNFκBの阻害剤を投与する工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、方法は、被験体が修飾を有している場合、C481に結合しないBTKの共有結合阻害剤を投与する工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、方法は、被験体が修飾を有している場合、BTKの可逆的な阻害剤を投与する工程をさらに含む。方法のいくつかの実施形態において、被験体は癌を患っている。いくつかの実施形態では、血液の癌は、B細胞悪性腫瘍である。典型的なB細胞悪性腫瘍が本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、癌は白血病、リンパ腫、または骨髄腫の中から選択される。いくつかの実施形態において、方法は、被験体からのサンプルを得る工程をさらに含む。
【0208】
いくつかの実施形態では、血液の癌の処置のために共有結合のおよび/または不可逆的なBTK阻害剤を用いた維持療法を受ける被験体の治療を最適化する方法が提供され、該方法は、(a)被験体からのBTKポリペプチドをコード化する核酸分子を含むサンプルを試験する工程であって、それによって、コード化されたBTKポリペプチドが配列番号:1と表記されるアミノ酸配列のアミノ酸位置481に対応するアミノ酸位置で修飾されているかどうかを決定する工程、(b)被験体が修飾を有している場合、共有結合のおよび/または不可逆的なBTK阻害剤を用いた処置を中止するか、あるいは、被験体が修飾を有していない場合、共有結合のおよび/または不可逆的なBTK阻害剤を用いた処置を継続する、工程を含む。いくつかの実施形態では、方法は、被験体が修飾を有している場合、修飾されたキナーゼを阻害する第2世代のBTK阻害剤を投与する工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、方法は、被験体が修飾を有している場合、LYN、SYK、JAK、PI3K、PLCγ、MAPK、MEK、またはNFκBの阻害剤を投与する工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、方法は、被験体が修飾を有している場合、C481に結合しないBTKの共有結合阻害剤を投与する工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、方法は、被験体が修飾を有している場合、BTKの可逆的な阻害剤を投与する工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、工程(a)はエキソビボで行なわれる。いくつかの実施形態では、血液の癌は、B細胞悪性腫瘍である。典型的なB細胞悪性腫瘍が本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、癌は白血病、リンパ腫、または骨髄腫の中から選択される。いくつかの実施形態では、方法は、被験体からサンプルを得る工程をさらに含む。
【0209】
<変異BTKと相互作用する分子の同定>
本明細書では、変異BTKポリペプチドと相互に作用する薬剤のスクリーニングに、変異BTKポリペプチドを使用する方法が提供されている。いくつかの実施形態では、変異BTKポリペプチドと相互に作用する薬剤も変異BTKを阻害する。したがって、本明細書では、変異BTK(すなわち、第2世代BTK阻害剤)を阻害する薬剤のスクリーニングに、変異BTKポリペプチドを使用する方法が提供されている。いくつかの実施形態では、方法は、B細胞癌の処置のために第2世代のBTK阻害剤を同定するべく使用される。いくつかの実施形態では、方法は、例えば、イブルチニブのような共有結合のおよび/または不可逆的なBTK阻害剤を用いた処置に対して耐性を有するB細胞癌などの癌の処置のために、第2世代のBTK阻害剤の同定に使用される。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法を使用して同定された第2世代のBTK阻害剤は、野生型のBTKポリペプチドも阻害する。したがって、いくつかの実施形態では、提供される方法を使用して同定された第2世代のBTK阻害剤は、変異BTKポリペプチドおよび野生型のBTKポリペプチドを阻害する。いくつかの実施形態では、第2世代のBTK阻害剤は、野生型のBTKポリペプチドの活性を抑制しない。
【0210】
いくつかの実施形態では、第2世代のBTK阻害剤を同定する方法は、(a)修飾されたBTKを提供する工程であって、修飾されたBTKが、配列番号:1と表記されたアミノ酸配列のアミノ酸位置481に対応するアミノ酸位置で修飾される、工程、(b)修飾したBTKを試験化合物に接触させる工程、および、(c)BTK活性の値を検知する工程であって、活性の減少は、化合物が修飾されたBTKを阻害していることを示す、工程、を含む。いくつかの実施形態において、細胞は、BTK活性の値を検知する前に、約1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、8時間、10時間、12時間、14時間、16時間、18時間、20時間、22時間、24時間以上、試験化合物と接触する。
【0211】
いくつかの実施形態では、BTK中の修飾は、BTKポリペプチドのアミノ酸位置481でのアミノ酸の置換または欠失である。いくつかの実施形態では、修飾は、BTKポリペプチドのアミノ酸位置481で、ロイシン、イソロイシン、バリン、アラニン、グリシン、メチオニン、セリン、トレオニン、フェニルアラニン、トリプトファン、リジン、アルギニン、ヒスチジン、プロリン、チロシン、アスパラギン、グルタミン、アスパラギン酸、およびグルタミン酸の中から選択されたアミノ酸に、システインを置換することである。いくつかの実施形態では、修飾は、BTKポリペプチドのアミノ酸位置481において、セリン、メチオニン、およびトレオニンの中から選択されたアミノ酸に、システインを置換することである。いくつかの実施形態では、修飾は、BTKポリペプチドのアミノ酸位置481においてセリンにシステインを置換することである。したがって、いくつかの実施形態では、提供される方法を使用して同定された第2世代のBTK阻害剤は、BTKポリペプチドのアミノ酸位置481で修飾を有する変異BTKポリペプチドを阻害する。いくつかの実施形態では、提供される方法を使用して同定された第2世代のBTK阻害剤は、BTKポリペプチドのアミノ酸位置481でセリンを有する変異BTKポリペプチドを阻害する。いくつかの実施形態では、提供される方法を使用して同定された第2世代のBTK阻害剤は、野生型のBTKポリペプチドを阻害する。
【0212】
いくつかの実施形態では、BTK活性の値を検知することは、生体外のキナーゼアッセイによって評価される。いくつかの実施形態では、キナーゼアッセイで使用される基質はPLCγである。いくつかの実施形態では、キナーゼアッセイで使用される基質は、ペプチド基質である。いくつかの実施形態では、修飾されたBTKがイブルチニブのような特定の不可逆的な阻害剤を用いた阻害に対して耐性を有する場合、阻害剤は比較のための対照として使用される。いくつかの実施形態では、野生型のBTKポリペプチドは比較のために使用される。
【0213】
いくつかの実施形態では、BTK活性の値の検知は、BTKの直接の基質のリン酸化の値、または、細胞内のBTKキナーゼ・カスケード中のリン酸化した標的の値を測定することによって評価される、いくつかの実施形態では、細胞はBリンパ球、単球、またはマクロファージである。いくつかの実施形態では、細胞は、リンパ腫、白血病、または骨髄腫細胞株のような癌細胞株である。いくつかの実施形態では、細胞株は、MCL、DBCL、または濾胞性リンパ腫細胞株である。いくつかの実施形態では、細胞株は、DT40 BTKノックアウト細胞株のようなBTKノックアウトBリンパ腫細胞株である。いくつかの実施形態では、リン光体に特異的な抗体は、試験化合物のある状態またはない状態で、細胞中のPLCγ、ERK1/2(MAPK)、および、AKTなどの特定のBTK標的のリン酸化の値を検知するために使用される。いくつかの実施形態では、細胞はまず、試験化合物への曝露の前、最中に、後に、BCRシグナル伝達経路を活性化するために刺激される。いくつかの実施形態において、細胞は、試験化合物への曝露の前、最中に、後に、BCRシグナル伝達経路を活性化するために、抗IgMまたは抗IgG治療で最初に刺激される。リン酸化されたタンパク質を検知する方法は当該技術では知られており、例えば、ウェスタンブロット法または免疫組織化学法を含んでいる。
【0214】
いくつかの実施形態では、修飾されたBTKポリペプチドは、修飾されたBTKポリペプチドを発現する宿主細胞から精製される。いくつかの実施形態では、修飾されたBTKポリペプチドは組換えタンパク質である。いくつかの実施形態では、精製されたBTKは、BTK活性の値を試験するために使用される。いくつかの実施形態では、修飾されたBTKポリペプチドは、免疫親和性またはクロマトグラフィーによって精製される。
【0215】
いくつかの実施形態では、修飾されたBTKポリペプチドをコード化する核酸でトランスフェクトされ得、かつ、BTK活性をモニタリングすることができる宿主細胞株が、該方法で使用される。いくつかの実施形態では、宿主細胞は野生型のBTKを発現しない。いくつかの実施形態では、宿主細胞は内因性の野生型のBTKの発現には不十分である。いくつかの実施形態では、修飾されたBTKポリペプチドを発現する宿主細胞は、修飾されたBTKポリペプチドを安定的に発現する。いくつかの実施形態では、修飾されたBTKポリペプチドをコード化する核酸は、細胞のゲノムに統合される。
【0216】
いくつかの実施形態では、宿主細胞は、ニワトリのDT40 BTK−/−B細胞またはヒトBTK−/−B細胞である。いくつかの実施形態では、細胞は非B細胞である。いくつかの実施形態では、細胞は哺乳動物の非B細胞である。いくつかの実施形態では、細胞はCHO細胞またはJurkatT細胞である。いくつかの実施形態では、細胞は非哺乳動物の細胞である。いくつかの実施形態では、細胞は、昆虫細胞、細菌細胞、酵母細胞、または、植物細胞である。
【0217】
いくつかの実施形態では、BTK活性の値は、共有結合のおよび/または不可逆的なBTK阻害剤を用いた処置に対して耐性を有する細胞株を使用して評価される。いくつかの実施形態では、細胞株は、共有結合のおよび/または不可逆的なBTK阻害剤を用いた長期的な曝露による耐性について選択された、耐性を有するMCL(例えば、MinoまたはJeko)、DLBCL(例えば、OCI−Ly1、OCI−Ly2、OCI−Ly3、OCI−Ly4、OCI−Ly6、OCI−Ly7、OCI−Ly10、OCI−Ly18、OCI−Ly19、U2932、HBL−1、RIVAまたはTMD8)、または、濾胞性リンパ腫(例えば、DoHH2、Granta 519、またはHF−1)細胞株である。いくつかの実施形態では、選択はインビトロで行われる。いくつかの実施形態では、選択は、癌細胞を投与された動物モデルにおいてインビボで行なわれる。いくつかの実施形態では、耐性を有するMCLまたはDLBCL細胞株は、アミノ酸位置C481でのBTKの修飾を包含している。いくつかの実施形態では、修飾はC481Sである。
【0218】
Btk阻害のための細胞機能性アッセイは、様々な濃度の候補であるBtk阻害剤化合物の不在下または存在下で、細胞株におけるBtk媒介性の経路を刺激すること(例えば、ラモス細胞のBCR活性化)に反応して1つ以上の細胞のエンドポイントを測定することを含んでいる。BCR活性化に対する反応を決定するための有用なエンドポイントは、例えば、Btkの自己リン酸化、Btk標的タンパク質(例えばPLC−γ)のリン酸化、および、細胞質のカルシウム流出を含んでいる。
【0219】
いくつかの実施形態では、下流の転写標的アッセイは、試験化合物の存在下または不在下で、BTK活性を決定するために使用される。いくつかの実施形態では、下流の転写標的アッセイは、NF−κBベースのアッセイである。いくつかの例において、レポータータンパク質をコード化する遺伝子は、BCR経路シグナル伝達に高感度なNF−κB反応性プロモーターに動作可能に結合され、BTKが阻害されると阻害される。いくつかの実施形態では、レポーター遺伝子は、ルシフェラーゼの中から選択されたタンパク質、蛍光タンパク質、生物発光タンパク質、または酵素をコード化する。いくつかの実施形態では、アッセイは、レポーターおよび変異BTKを含む宿主細胞を含んでいる。試験化合物の存在下または不在下で遺伝子発現の値を検出することは、試験化合物が変異BTKの存在下でBCR経路を阻害するかどうか示している。いくつかの実施形態では、試験化合物は変異BTKを直接阻害する。
【0220】
多くの無細胞生化学的アッセイ(例えばキナーゼアッセイ)と、細胞機能性アッセイ(例えばカルシウム流出)のためのハイスループットアッセイが、当業者に周知である。さらに、ハイスループットスクリーニング・システムは、市販で入手可能である(例えば Zymark Corp., Hopkinton, MA; Air Technical Industries, Mentor, OH; Beckman Instruments, Inc. Fullerton, CA; Precision Systems, Inc., Natick, MA等を参照)。これらのシステムは、一般に、アッセイに適切な検出器における、サンプルと試薬のピペッティング、液体の分注、時間制限を設けたインキュベーション、マイクロプレートの最終的な数値のリード数を含む、全体の手順を自動化する。自動化システムによって、過度に努力することなく、多くのBtk阻害剤化合物の同定と特徴付けを可能にする。
【0221】
いくつかの実施形態では、BTK活性の値の検知はインビボのアッセイによって評価される。いくつかの実施形態では、BTK活性の値の検知は、動物モデルで評価される。いくつかの実施形態において、動物モデルは、白血病のマウスモデルの1つである。そのような動物モデルは当該技術では知られており、例えば、AMLおよびCLLのマウスモデルを含んでいる(例えば、Zuber, (2009) Genes and Development 23(7):877−89 and Pekarsky et al. (2007) J Cell Biochem. 100(5):1109−18を参照)。いくつかの実施形態において、動物モデルは、システイン481で修飾される修飾されたBTKを発現する遺伝子導入動物である。いくつかの実施形態では、試験化合物は、システイン481で修飾される修飾されたBTKを発現する遺伝子導入動物に投与され、BTKの活性は本明細書に記載の1つ以上のアッセイによって評価される。いくつかの実施形態では、アッセイは、試験化合物を投与された遺伝子導入動物から単離したBTKポリペプチド用いて行なわれるキナーゼアッセイであり、対照と比較された。いくつかの実施形態では、1つ以上のBTK標的のリン酸化の値は、試験化合物を投与された遺伝子導入動物からのB細胞サンプル中で評価され、対照と比較された。いくつかの実施形態では、対照は、試験化合物を投与されていない動物からのサンプルである。いくつかの実施形態では、対照は、共有結合のおよび/または不可逆的なBTK阻害剤を投与された動物からのサンプルである。
【0222】
<キット製品>
本明細書に記載の診断および治療用途で使用するために、キットおよび製品も本明細書中で記載される。このようなキットは、例えば、バイアル、チューブなどの1以上の容器を収容するために仕切られた運搬装置、包装、あるいは、容器を含み、容器の各々は、本明細書に記載の方法で使用される個別の要素の1つを含む。適切な容器としては、例えば、ボトル、バイアル、注射器、および、試験管を含む。容器は、例えば、ガラスまたはプラスチックなどの任意の許容可能な物質から形成される。
【0223】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるキットは、被験体中の修飾されたBTKポリペプチドをコード化する核酸を検知するためにしようされるか、あるいは、被験体中の修飾されたBTKポリペプチドを検出するために使用される。いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるキットは、1つ以上の共有結合のおよび/または不可逆的なBTK阻害剤を用いて診断に役立つガイドとして使われる。いくつかの実施形態において、キットは、第2世代のBTKアンタゴニストを用いた処置について患者を選択するために、共有結合のおよび/または不可逆的なBTK阻害剤に対する耐性を有するとして、または、耐性を有する可能性が高いとして被験体を識別するために、共有結合のおよび/または不可逆的なBTK阻害剤に対する耐性の進行をモニタリングするために、あるいは、これらの組み合わせのために、用いられる。本明細書で提供されるキットは、修飾されたBTKポリペプチドをコード化する核酸を検出するために、修飾されたBTKポリペプチドを検出するために、被験体からの細胞のBTK活性を検出するために、生体外またはインビボでBTK活性を検出するために、あるいは、これらの組み合わせのために、1つ以上の試薬を含む。典型的な試薬は、限定されないが、オリゴヌクレオチド、PCR試薬、緩衝液、抗体、キナーゼ活性を決定するためのBTK基質、酵素の染色のための基質、色素原(chromagens)または他の材料、例えば、スライド、容器、マイクロタイタープレート、および、随意に、方法を実施するための指示書を含む。当業者は、様々な材料を接触させるために使用することができる他の多くの可能な容器およびプレートおよび試薬を認識するであろう。キットはさらに対照サンプル、例えば、核酸またはタンパク質、例えば、本明細書で提供される変異BTKポリペプチド、本明細書で提供される修飾されたBTKポリペプチドをコード化する核酸などを含むことができる。いくつかの実施形態では、キットは、変異BTK発現の検出のためのオリゴヌクレオチドプライマーの1以上のセットを含む。
【0224】
いくつかの実施形態では、容器は、本明細書に記載の方法によって同定された1つ以上の共有結合のおよび/または不可逆的なBTK阻害剤、あるいは、1つ以上の第2世代のBTK阻害剤を、随意に、本明細書に開示されるように、組成物中において、または、別の薬剤と組み合わせて、含むことができる。容器は、随意に、投与のためのシリンジ、針、投薬カップまたはバイアルのような材料を有している。このようなキットは随意に、本明細書中に記載の方法での使用に関する、同定についての記載、ラベル、または取扱説明書とともに、化合物を含む。
【0225】
いくつかの実施形態では、キットは、配列番号:1と表記されたアミノ酸配列のアミノ酸位置481に対応するアミノ酸位置で修飾を含むBTK活性を有する修飾されたBTKポリペプチドまたはその変異体を含む。いくつかの実施形態では、修飾は、BTKポリペプチドのアミノ酸位置481においてセリンにシステインを置換することである。いくつかの実施形態では、キットは、本明細書で提供される修飾されたBTKポリペプチドをコード化する単離した任意の核酸、または、そのような核酸を含むベクターを含んでいる。いくつかの実施形態では、修飾は、BTKポリペプチドのアミノ酸位置481においてセリンにシステインを置換することである。
【0226】
いくつかの実施形態において、キットは、本明細書で提供される修飾されたBTKポリペプチド、または、本明細書で提供される修飾されたBTKポリペプチドをコード化する核酸を含むマイクロチップを含んでいる。いくつかの実施形態では、修飾は、BTKポリペプチドのアミノ酸位置481においてセリンにシステインを置換することである。
【0227】
<共有結合のおよび/または不可逆的なBTK阻害剤を用いた処置に対して耐性を有する細胞株の産生>
本明細書では、共有結合のおよび/または不可逆的なBTK阻害剤を用いた処置に対して耐性を有するB細胞癌細胞株を産生する方法が提供される。いくつかの実施形態では、B細胞癌細胞株は、野生型のBTKのシステイン481に共有結合する共有結合のおよび/または不可逆的なBTK阻害剤を用いた処置に対して耐性を有する。いくつかの実施形態では、B細胞癌細胞株は、イブルチニブ、PCI−45292、PCI−45466、AVL−101、AVL−291、AVL−292、またはONO−WG−37を用いた処置に対して耐性を有する。いくつかの実施形態では、B細胞癌細胞株はイブルチニブを用いた処置に対して耐性を有する。いくつかの実施形態では、提供される方法によって生成された耐性を有する細胞株は、修飾されたBTKタンパク質を発現する。いくつかの実施形態では、BTKタンパク質は、配列番号:1と表記されたアミノ酸配列のアミノ酸位置481に対応するアミノ酸位置で修飾される。
【0228】
いくつかの実施形態では、方法は、共有結合のおよび/または不可逆的なBTK阻害剤にB細胞癌細胞株(すなわち親の細胞株)を接触させる工程と、あらかじめ決められた時間にわたって細胞を培養する工程を含む。いくつかの実施形態では、方法は、あらかじめ決められた時間にわたって、不可逆的なBTK阻害剤の濃度を増加させて細胞を培養する工程を含む。いくつかの実施形態では、不可逆的なBTK阻害剤の濃度は、約0.01μMから約100μM、例えば、0.1μMから約10μMまでに及ぶ。いくつかの実施形態では、細胞は、不可逆的なBTK阻害剤の約0.05μM、0.1μM、0.5μM、および1μMで培養されている。いくつかの実施形態では、不可逆的なBTK阻害剤の濃度は、2、3、4、5、6、7、8、9または10倍以上増加させる。いくつかの実施形態では、不可逆的なBTK阻害剤の濃度を3倍増加させる。いくつかの実施形態では、細胞は、不可逆的なBTK阻害剤の存在下で、1日、2日、3日、4日、5日、6日、1週、2週、3週、4週、1か月、1.5か月、2か月、2.5か月、3か月以上、培養される。いくつかの実施形態では、細胞は、2日ごと、3日ごと、4日ごと、5日ごと、6日ごと、毎週、または、それ以上に、分けられ、再度蒔かれる。いくつかの実施形態では、不可逆的なBTK阻害剤を含む培地は、毎日、2日ごとに、3日ごとに、4日ごとに、5日ごとに、6日ごとに、毎週、または、それ以上に、一新する。いくつかの実施形態では、不可逆的なBtk阻害剤は、野生型のBtkのシステイン481と共有結合する。いくつかの実施形態では、不可逆的なBTK阻害剤は、イブルチニブ、PCI−45292、PCI−45466、AVL−101、AVL−291、AVL−292、またはONO−WG−37である。いくつかの実施形態において、不可逆的なBTK阻害剤はイブルチニブである。
【0229】
いくつかの実施例において、親のB細胞癌細胞株は、白血病、リンパ腫、または骨髄腫の細胞株である。いくつかの実施例において、親のB細胞癌細胞株は、DLBCL細胞株である。典型的なDLBCL細胞株は、限定されないが、OCI−LY10、OCI−Ly3、U2932、RIVA、HBL−1またはTMD8細胞株を含むABC−DLBCL細胞株、および、限定されないが、OCI−Ly19またはOCI−Ly7を含むGCB−DLBCL細胞株を含んでいる。いくつかの実施例において、親のB細胞癌細胞株はMCL細胞株である。一般的なMCL細胞株は、限定されないが、MinoおよびJeko細胞株を含む。いくつかの実施例において、親のB細胞癌細胞株は、濾胞性リンパ腫細胞株である。典型的な濾胞性リンパ腫細胞株は、限定されないが、DoHH2、Granta 519、および、HF−1細胞株を含んでいる。
【0230】
いくつかの実施形態では、耐性を有する細胞株は、B細胞受容体経路活性化の増加によって同定される。いくつかの実施形態では、B細胞受容体経路活性化の増加は、処置された細胞株の下流の標的が、イブルチニブの存在下の親の細胞株と比較して、イブルチニブの存在下でリン酸化の増加を示すかどうかを試験することによって、同定される。いくつかの実施例において、リン酸化された下流の標的は、リン酸化されたRAFまたはリン酸化されたMEKである。いくつかの実施形態では、耐性を有する細胞株は、イブルチニブのみを用いた処置に対して耐性を有するが、イブルチニブとMEK阻害剤を用いた処置には感度が高い。
【0231】
<イブルチニブ耐性を有する患者における非BTK変異−その検出、組成物、およびその用途>
本明細書に記載されるように、特定の例において、BTK以外のタンパクの変異は、例えば、共有結合のおよび/または不可逆阻害剤のようなBTK阻害剤を用いた処置に対して患者の耐性をもたらす。いくつかの実施形態では、変異は、BTK経路の下流のエフェクタータンパク質にある。いくつかの実施形態では、変異は機能獲得型変異である。いくつかの実施形態では、変異は、BTK経路の下流のエフェクタータンパク質の構成的な活性化を生じさせる。
【0233】
いくつかの実施形態では、下流のエフェクタータンパク質は、ホスホリパーゼCγ2(PLCγ2)である。PLCは、リン脂質ホスファチジルイノシトール4,5−ビスリン酸(PIP2)を切断して、ジアシルグリセロール(DAG)とイノシトール1,4,5−トリスホスファート(IP3)にする。DAGは、薄膜に結合したままであり、IP3は可溶性構造として細胞質ゾルに放出される。その後、IP3は細胞質ゾルを介して拡散し、IP3受容体、滑面小胞体(ER)中の特定のカルシウムチャネルに結合する。これにより、カルシウムの細胞質ゾルの濃度は増加し、細胞内の変化および活性のカスケードが生じる。加えて、カルシウムとDAGは一緒に作用してプロテインキナーゼCを活性化し、これが他の分子BTKキナーゼ経路をリン酸化して、細胞活動を変化させる。いくつかの実施形態では、変異PLCγ2ポリペプチドは、構造的に活性である(すなわち、BTKによるリン酸化を必要としない)。
【0234】
いくつかの実施形態では、PLCγ2内の変異は、BTK阻害剤を用いた処置に対して患者の耐性をもたらす。いくつかの実施形態では、変異はPLCγ2中の機能獲得型変異である。いくつかの実施形態では、変異はPLCγ2の構成的な活性化をもたらす。いくつかの実施形態では、PLCγ2の構成的な活性化は、細胞内のカルシウムの動員、細胞外のシグナル制御されたキナーゼ(ERK)の活性化、および、c−Jun NH2末端基キナーゼ(JNK)マイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MAPK)経路をもたらす。いくつかの実施形態では、PLCγ2中の変異は、PLCγ2中の位置R665に対応するアミノ酸中のアミノ酸置換をもたらす。いくつかの実施形態では、PLCγ2中の変異は、トリプトファン(R665W)へのアルギニンの置換をもたらす。いくつかの実施形態では、PLCγ2中の変異は、PLCγ2中の位置S707に対応するアミノ酸中のアミノ酸置換をもたらす。いくつかの実施形態では、PLCγ2中の変異は、フェニルアラニン(S707F)へのセリンの置換をもたらす。
【0235】
修飾されたBTKポリペプチドの検出のための本明細書で提供される方法のいずれかは、PLCγ2ポリペプチドの検出に適用することができる。例えば、変異PLCγ2ポリペプチドは、変異PLCγ2ポリペプチドの検出のために、ゲノムまたはPLCγ2の変異特異的な抗体において体細胞変異を検出するために変異特異的な核酸を使用して、PCR方法によって検知することができる。
【0236】
いくつかの実施形態では、変異PLCγ2ポリペプチドをコード化する核酸が提供される。いくつかの実施形態では、変異PLCγ2ポリペプチドをコード化する核酸ベクターが提供される。いくつかの実施形態において、ベクターはウイルスベクターである。いくつかの実施形態では、変異PLCγ2ポリペプチドをコード化する核酸を含む宿主細胞が提供される。いくつかの実施形態では、発現されたPLCγ2ポリペプチドを含む宿主細胞が提供される。
【0237】
本明細書で提供される方法、および、核酸発現ベクターと宿主細胞の使用を含む、本明細書で提供される修飾されたBTKポリペプチドと核酸の産生の技術で知られている方法のいずれかは、本明細書に提供される変異PLCγ2ポリペプチドと核酸の産生にも適用することができる。
【0238】
本明細書では、変異PLCγ2ポリペプチドが提供される。いくつかの実施形態では、変異PLCγ2ポリペプチドは組換えタンパク質である。いくつかの実施形態では、変異PLCγ2ポリペプチドは宿主細胞から精製される。
【0239】
いくつかの実施形態では、変異PLCγ2ポリペプチドは、BTK阻害剤による阻害に対して耐性を与える、1つ以上のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、変異PLCγ2ポリペプチドは、イブルチニブ、PCI−45292、PCI−45466、AVL−101、AVL−291、AVL−292、またはONO−WG−37である、共有結合のおよび/または不可逆的なBTK阻害剤による阻害に対して耐性を与える、1つ以上のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、変異PLCγ2ポリペプチドは、BTK阻害剤による阻害に対して耐性を与える、1つ以上のアミノ酸置換を包含している。
【0240】
本明細書では、配列番号:11と表記されたアミノ酸配列のアミノ酸位置665または707に対応するアミノ酸位置で修飾を含むPLCγ2活性を有する単離したPLCγ2ポリペプチドまたはその変異体が提供される。
【0241】
いくつかの実施形態では、修飾は、配列番号:11と表記された野性型PLCγ2と比較して、アミノ酸位置665または707でアミノ酸の置換または欠失を含む。いくつかの実施形態では、修飾は、配列番号:11と表記された野性型PLCγ2と比較して、位置665または707でアミノ酸の置換を含む。いくつかの実施形態では、修飾は、PLCγ2ポリペプチドのアミノ酸位置665で、ロイシン、イソロイシン、バリン、アラニン、グリシン、メチオニン、システイン、トレオニン、フェニルアラニン、トリプトファン、リジン、セリン、ヒスチジン、プロリン、チロシン、アスパラギン、グルタミン、アスパラギン酸、および、グルタミン酸の中から選択されたアミノ酸へ、位置665でアルギニンを置換することである。いくつかの実施形態では、修飾は、PLCγ2ポリペプチドのアミノ酸位置665においてトリプトファンへアルギニンを置換することである。いくつかの実施形態では、置換はR665Wである。いくつかの実施形態では、修飾は、PLCγ2ポリペプチドのアミノ酸位置707で、ロイシン、イソロイシン、バリン、アラニン、グリシン、メチオニン、システイン、トレオニン、フェニルアラニン、トリプトファン、リジン、アルギニン、ヒスチジン、プロリン、チロシン、アスパラギン、グルタミン、アスパラギン酸、および、グルタミン酸の中から選択されたアミノ酸へ、位置707でアルギニンを置換することである。いくつかの実施形態では、修飾は、PLCγ2ポリペプチドのアミノ酸位置707においてフェニルアラニンへセリンを置換することである。いくつかの実施形態では、置換はS707Wである。
【0242】
いくつかの実施形態では、変異PLCγ2ポリペプチドは、配列番号:11と表記された野性型PLCγ2と比較して、位置665または707でアミノ酸の置換と、1つ以上の追加のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、変異PLCγ2ポリペプチドは、アミノ酸位置665または707での修飾と、1つ以上の追加のアミノ酸位置での修飾を含む。いくつかの実施形態では、変異PLCγ2ポリペプチドは、アミノ酸位置665または707での修飾と、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17の、18、19、または20以上アミノ酸位置での修飾とを含む。いくつかの実施形態では、アミノ酸位置665での修飾は、R665Wである置換である。いくつかの実施形態では、アミノ酸位置707での修飾は、S707Fである置換である。
【0243】
いくつかの実施形態では、PLCγ2ポリペプチドは、配列番号:11と表記された野生型のPLCγ2ポリペプチドのアミノ酸位置665または707での修飾を含み、ペプチドタグに結合する。いくつかの実施形態では、ペプチドタグは、タグに特異的な抗体によって認識されるエピトープタグである。いくつかの実施形態において、タグは、エピトープタグ、例えば、限定されないが、c−myc、V−5、ヘマグルチニン(HA)、FLAG、タグである。いくつかの実施形態において、タグは、アフィニティータグ、例えば、限定されないが、ビオチン、strep−タグ、キチン結合タンパク質(CBP)、マルトース結合タンパク質(MBP)、グルタチオン−S−転移酵素(GST)、または、ポリ(His)タグである。いくつかの実施形態では、PLCγ2ポリペプチドは、配列番号:11と表記された野生型のPLCγ2ポリペプチドのアミノ酸位置665または707での修飾を含み、検知可能なタンパク質または部分、例えば、発光、化学発光、生物発光、蛍光のタンパク質または部分に結合する。いくつかの実施形態では、蛍光タンパク質は、緑(GFP)、赤(RFP)、シアン(CFP)、黄色(YFP)、または青(BFP)の蛍光のタンパク質である。いくつかの実施形態では、PLCγ2ポリペプチドは、配列番号:11と表記された野生型のPLCγ2ポリペプチドのアミノ酸位置665または707での修飾を含み、酵素(例えば、ルシフェラーゼ、または、β−ガラクトシダーゼ)に結合する。
【0244】
本明細書では、変異PLCγ2ポリペプチドをコード化する核酸が提供される。本明細書では、本明細書に記載される変異PLCγ2ポリペプチドのいずれかをコード化する核酸が提供される。特定のポリペプチドをコード化する核酸を推定する方法は、当該技術では知られており、標準的な分子生物学技術を含んでいる。本明細書で提供される変異PLCγ2ポリペプチドをコード化する典型的な核酸が提供されている。遺伝子コードの縮重により、同じポリペプチドをコード化する多くの変異体核酸が存在すると理解されている。本明細書で提供される変異PLCγ2ポリペプチドをコード化する核酸は、そのような変異体を含んでいる。
【0245】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される修飾されたPLCγ2ポリペプチドをコード化する核酸は、DNAまたはRNAの分子である。いくつかの実施形態では、変異PLCγ2ポリペプチドをコード化する核酸は、コード化されたポリペプチドが配列番号:11と表記される野生型のPLCγ2ポリペプチドのアミノ酸位置665または707に対応する位置でアミノ酸アルギニンの置換を含む修飾を含んでいる。いくつかの実施形態では、核酸は、配列番号:12と表記される核酸の配列を含み、位置665でアミノ酸をコード化する核酸コドンは修飾され、それによって、コドンは、アルギニン、または、配列番号:12と表記される配列を有するポリペプチドと少なくともまたは少なくとも約60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上の配列同一性を有する変異体を、コード化せず、位置665でアミノ酸をコード化する核酸コドンは、アルギニンををコード化せず、あるいは、位置707でアミノ酸をコード化する核酸コドンはセリンをコード化しない。
【0246】
いくつかの実施形態において、核酸修飾は、ミスセンス変異であるか、または、PLCγ2ポリペプチドをコード化する1つ以上のコドンの欠失である。いくつかの実施形態では、修飾は、PLCγ2ポリペプチドのアミノの位置665でアルギニンをコード化する核酸コドンを変更するミスセンス変異である。いくつかの実施形態では、修飾は、PLCγ2ポリペプチドのアミノの位置707でセリンをコード化する核酸コドンを変更するミスセンス変異である。
【0247】
いくつかの実施形態では、PLCγ2ポリペプチドのアミノの位置665でアルギニンをコード化する核酸コドンは、CGT、CGC、CGA、CGG、AGA、またはAGGである。いくつかの実施形態では、修飾は、PLCγ2ポリペプチドのアミノの位置665でアルギニンをコード化する核酸コドンを、トリプトファンをコード化する核酸コドンに変更する。いくつかの実施形態では、トリプトファンをコード化する核酸コドンは、TGGである。
【0248】
いくつかの実施形態では、PLCγ2ポリペプチドのアミノの位置707でセリンをコード化する核酸コドンは、TCT、TCC、TCA、TCG、AGT、またはAGCである。いくつかの実施形態では、修飾は、PLCγ2ポリペプチドのアミノの位置707でセリンをコード化する核酸コドンを、フェニルアラニンをコード化する核酸コドンに変更する。いくつかの実施形態では、フェニルアラニンをコード化する核酸コドンは、TTTまたはTTCである。
【0249】
いくつかの実施形態では、方法は、被験体が、BTK阻害剤を用いた治療に反応しないか、または、反応しなくなる可能性が高いかどうかを決定し、該方法は、(a)被験体からのPLCγ2ポリペプチドをコード化する核酸分子を含むサンプルを試験する工程であって、それによって、コード化されたPLCγ2ポリペプチドが、配列番号:11と表記されたアミノ酸配列のアミノ酸位置665または707に対応するアミノ酸位置で修飾されているかどうかを決定する、工程、および、(b)被験体が修飾を有している場合、被験体がBTK阻害剤による治療に対する耐性を有するか、あるいは、耐性を有するようになる可能性が高いとして被験体を特徴づける工程、を含む。いくつかの実施形態では、方法は、被験体からサンプルを得る工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、修飾は、PLCγ2中にR665WまたはS707Fの置換を含む。いくつかの実施形態において、BTK阻害剤は、共有結合性のまたは不可逆な阻害剤である。
【0250】
本明細書では、特定の実施形態において、癌の処置のためにBTK阻害剤を投与される被験体が、治療に対する耐性を生じさせたか、または、生じさせる可能性が高いかどうかをモニタリングする方法が記載されており、該方法は、(a)被験体からのPLCγ2ポリペプチドをコード化する核酸分子を含むサンプルを試験する工程であって、それによって、コード化されたPLCγ2ポリペプチドが、配列番号:11と表記されたアミノ酸配列のアミノ酸位置665または707に対応するアミノ酸位置で修飾されているかどうかを決定する、工程、および、(b)被験体が修飾を有している場合、BTK阻害剤による治療に対する耐性を有する、または、有するようになる可能性が高いと被験体を特徴づける工程、を含む。いくつかの実施形態では、方法は、被験体が修飾を有している場合、BTK阻害剤を用いた処置を中止する工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、方法は、被験体が修飾を有していない場合、BTK阻害剤を用いた処置を継続する工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、方法は、被験体からサンプルを得る工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、方法は、被験体が修飾を有している場合、LYN、SYK、JAK、PI3K、MAPK、MEK、またはNFκBの阻害剤を投与する工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、修飾は、PLCγ2中にR665WまたはS707Fの置換を含む。いくつかの実施形態において、BTK阻害剤は、共有結合性のまたは不可逆な阻害剤である。
【0251】
本明細書では、特定の実施形態において、癌の処置のために不可逆的なBTK阻害剤を投与される被験体の治療を最適化する方法が記載されており、該方法は、(a)被験体からのPLCγ2ポリペプチドをコード化する核酸分子を含むサンプルを試験する工程であって、それによって、コード化されたPLCγ2ポリペプチドが、配列番号:11と表記されたアミノ酸配列のアミノ酸位置665に対応するアミノ酸位置で修飾されているかどうかを決定する、工程、および、(b)被験体が修飾を有している場合、不可逆的なBTK阻害剤を用いた処置を中止するか、または、被験体が修飾を有していない場合、不可逆的なBTK阻害剤を用いた処置を継続する工程、を含む。いくつかの実施形態では、方法は、被験体が修飾を有している場合、修飾されたキナーゼを阻害する第2世代のBTK阻害剤を投与する工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、方法は、被験体からサンプルを得る工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、方法は被験体が修飾を有している場合、LYN、SYK、JAK、PI3K、MAPK、MEK、またはNFκBの阻害剤を投与する工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、修飾は、PLCγ2中にR665WまたはS707Fの置換を含む。いくつかの実施形態において、BTK阻害剤は、共有結合性のまたは不可逆な阻害剤である。
【0252】
方法のいくつかの実施形態において、アッセイで使用される核酸分子は、RNAまたはDNAである。方法のいくつかの実施形態において、核酸分子は、方法のcDNAである。いくつかの実施形態において、アッセイで使用される核酸分子はゲノムDNAである。方法のいくつかの実施形態において、アッセイで使用される核酸分子は全RNAである。方法のいくつかの実施形態において、アッセイで使用される核酸分子はmRNAである。方法のいくつかの実施形態において、方法は、RNAサンプルからmRNAを単離する工程をさらに含む。
【0253】
方法のいくつかの実施形態において、試験する工程は、PLCγ2ポリペプチドのアミノ酸位置665または707をコード化する核酸のポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増幅を行う工程を含む。いくつかの実施形態では、PCR増幅は、PLCγ2ポリペプチドのアミノ酸位置665または707をコード化する領域に隣接する1対のオリゴヌクレオチドプライマーを使用することを含む。いくつかの実施形態では、方法は、増幅された核酸の配列を決定する工程を含む。
【0254】
方法のいくつかの実施形態において、試験する工程は、配列特異的な核酸プローブに核酸を接触させる工程であって、配列特異的な核酸プローブが、(a)アミノ酸位置665または707で修飾される修飾PLCγ2をコード化する核酸に結合し、および、(b)アミノ酸位置665または707でアルギニンを有する野生型PLCγ2をコード化する核酸に結合しない、工程を含む。方法のいくつかの実施形態において、試験する工程は、配列特異的な核酸プローブを使用するPCR増幅を含む。
【0255】
いくつかの実施形態では、方法で使用されるサンプルは、被験体からの1つ以上の腫瘍細胞を含む。いくつかの実施形態では、方法で使用されるサンプルは、循環腫瘍DNA(ctDNA)を含む。
【0256】
方法のいくつかの実施形態において、方法で使用される核酸は、被験体からの腫瘍細胞サンプルから単離される。いくつかの実施形態では、サンプルは、腫瘍生検サンプル、血液サンプル、血清サンプル、リンパ液サンプル、または骨髄穿刺液である。
【0257】
いくつかの実施形態では、BTK阻害剤は、イブルチニブ(PCI−32765)、PCI−45292、PCI−45466、AVL−101、AVL−291、AVL−292、またはONO−WG−37の中から選択される。いくつかの実施形態において、PLCγ2はイブルチニブである。
【0258】
方法のいくつかの実施形態において、被験体は癌を患っている。いくつかの実施形態では、癌は血液の癌である。いくつかの実施形態では、癌はB細胞悪性腫瘍である。いくつかの実施形態では、癌は白血病、リンパ腫、または骨髄腫の中から選択される。いくつかの実施形態では、B細胞悪性腫瘍は、慢性リンパ球性白血病(CLL)、小リンパ球性リンパ腫(SLL)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、活性化したB細胞びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(ABC−DLBCL)、胚中心びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(GCB DLBCL)、縦隔原発B細胞リンパ腫(PMBL)、非ホジキンリンパ腫、バーキットリンパ腫、濾胞性リンパ腫、免疫芽球性大細胞型リンパ腫、前駆Bリンパ芽球性リンパ腫、前駆B細胞急性リンパ性白血病、ヘアリーセル白血病、マントル細胞リンパ腫、B細胞前リンパ球性白血病、リンパ形質細胞性リンパ腫/ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、脾臓周辺帯リンパ腫、形質細胞性骨髄腫、形質細胞腫、節外性辺縁帯B細胞リンパ腫、節性辺縁帯B細胞リンパ腫、縦隔(胸腺)大細胞型B細胞リンパ腫、血管内大細胞型B細胞リンパ腫、原発性滲出性リンパ腫、または、リンパ腫様肉芽腫症である。いくつかの実施形態では、被験体は固形腫瘍を患っている。
【0259】
方法のいくつかの実施形態において、被験体は、サンプルを得る前にBTK阻害剤で処置される。いくつかの実施形態では、サンプルは、不可逆的なBTK阻害剤の1回目の投与後、1週、2週、3週、1か月、2か月、3か月、4か月、5か月、6か月、7か月、8か月、9か月、10か月、11か月、12か月、14か月、16か月、18か月、20か月、22か月、または24か月目に得られる。いくつかの実施形態では、サンプルは、BTK阻害剤を用いた処置の経過中に、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10回得られる。いくつかの実施形態では、被験体は、BTK阻害剤が最初に投与されたときに、BTK阻害剤を用いた処置に反応する。
【0260】
本明細書では、特定の実施形態において、アミノ酸位置665で修飾を含む修飾されたPLCγ2ポリペプチドを検知するための1つ以上の試薬を含むキットが記載されている。いくつかの実施形態では、キットは、R665WまたはS707Fである修飾を有する変異PLCγ2ポリペプチドを含むマイクロチップを含んでいる。
【0261】
本明細書では、特定の実施形態において、アミノ酸位置665または707で修飾を含む変異PLCγ2ポリペプチドをコード化する核酸を検知するための1つ以上の試薬を含むキットが記載されている。いくつかの実施形態では、キットは、R665WまたはS707Fである修飾を有する変異PLCγ2ポリペプチドをコード化する核酸を含むマイクロチップを含んでいる。
【0262】
本明細書では、特定の実施形態において、被験体中で不可逆的なBTK阻害剤を用いた阻害に対して耐性を与える、修飾されたPLCγ2を検知するためのシステムが記載されており、該システムは、(a)被験体からのPLCγ2ポリペプチドをコード化する核酸分子を含むサンプル、および、および、配列番号:11と表記されたアミノ酸配列のアミノ酸位置665または707に対応するアミノ酸位置で修飾される、変異PLCγ2ポリペプチドまたはその一部をコード化する核酸を含むマイクロアレイ、を含む。いくつかの実施形態では、マイクロアレイはマイクロチップに含まれる。
【0263】
本明細書では、特定の実施形態において、被験体においてBTK阻害剤を用いた阻害に対して耐性を与える修飾されたPLCγ2を検知するためのシステムが記載されており、該システムは、(a)被験体からのPLCγ2ポリペプチドをコード化する核酸分子を含むサンプル、および、および、(b)配列特異的な核酸プローブであって、(i)アミノ酸位置665または707で修飾される修飾PLCγ2をコード化する核酸に結合し、および、(ii)アミノ酸位置665でアルギニンを、または、位置707でセリンを有する野生型のPLCγ2をコード化する核酸には結合しない、核酸プローブ、を含む。
【0264】
本明細書では、特定の実施形態において、被験体のBTK阻害剤を用いた阻害に対して耐性を与える修飾されたPLCγ2を検知するためのシステムが記載されており、該システムは、(a)被験体からのPLCγ2ポリペプチドをコード化する核酸分子を含むサンプル、および、(b)PLCγ2ポリペプチドのアミノ酸665または707をコード化する核酸領域に隣接する一対のオリゴヌクレオチドプライマー、を含む。
【0265】
本明細書では、特定の実施形態において、血液の癌を患っている患者における維持療法の方法が提供され、該方法は、(a)治療上有効な量のBTK阻害剤を投与する工程を含む維持療法計画を患者に施す工程、および、(b)維持療法計画の経過にわたってあらかじめ決められた時間間隔で患者をモニタリングする工程であって、それによって、被験体が、配列番号:11と表記されたアミノ酸配列のアミノ酸位置665または707に対応するアミノ酸位置で修飾をもたらすPLCγ2をコード化する内因性遺伝子の変異を有しているかどうかを決定する、工程、を含む。いくつかの実施形態において、モニタリングする工程は、(a)被験体からのPLCγ2ポリペプチドをコード化する核酸分子を含むサンプルを試験する工程であって、それによって、コード化されたPLCγ2ポリペプチドが、配列番号:11と表記されたアミノ酸配列のアミノ酸位置665または707に対応するアミノ酸位置で修飾されているかどうかを決定する、工程、を含む。いくつかの実施形態では、方法は、被験体に変異がある場合、BTK阻害剤を用いた処置を中止する工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、方法は、被験体に変異がない場合、BTK阻害剤を用いた処置を継続する工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、方法は、被験体が修飾を有している場合、LYN、SYK、JAK、PI3K、MAPK、MEK、またはNFκBの阻害剤を投与する工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、PLCγ2ポリペプチド中の修飾は、R665WまたはS707Fである。いくつかの実施形態では、あらかじめ決められた時間間隔は、毎月、2か月ごと、3か月ごと、4か月ごと、5か月ごと、6か月ごと、7か月ごと、8か月ごとである。
【0266】
いくつかの実施形態では、BTK阻害剤は、1日当たり約10mgから1日当たり約2000mg、1日当たり約50mgから1日当たり約1500mg、1日当たり約100mgから1日当たり約1000mg、1日当たり約250mgから1日当たり約850mg、または、1日当たり約300mgから1日当たり約600mgの1日投与量で投与される。いくつかの実施形態では、イブルチニブは、1日当たり約140mg、1日当たり420mg、1日当たり560mg、または、1日当たり840mgの1日投与量で投与される。いくつかの実施形態では、BTK阻害剤は、共有結合のおよび/または不可逆的なBTK阻害剤である。いくつかの実施形態では、BTK阻害剤は、イブルチニブ(PCI−32765)、PCI−45292、PCI−45466、AVL−101、AVL−291、AVL−292、またはONO−WG−37の中から選択される。いくつかの実施形態において、BTK阻害剤はイブルチニブである。
【0268】
いくつかの実施形態では、下流のエフェクタータンパク質は、CARDを含むMAGUKタンパク質1(Carma1)としても知られているカスパーゼ動員ドメインを含むタンパク質11(CARD11)である。CARD11は、一般に多重タンパク質複合体の組立において分子のスキャフォールドとして機能するMAGUK(薄膜関連グアニル酸キナーゼ)ファミリーに属する。MAGUK家族は、SH3ドメイン、PDZドメイン、および、グアニル酸キナーゼに相同のGuKドメインを含む。加えて、CARD11は、アミノ末端CARDドメイン(カスパーゼ動員ドメイン)を含んでいる。このドメインは、アポトーシスとNF−κB活性化の制御に関与するCARDドメインを含む多くのタンパク質との相互作用を形成する際に、重要な役割を果たしている。CARD11はリンパ球において優勢的に発現し、Bcl10のCARDドメインと結合する。過剰発現されると、CARD11は、Bcl10のリン酸化とNF−κBの活性化をもたらす。
【0269】
いくつかの実施形態では、CARD11での変異は、BTK阻害剤を用いた処置に対して患者の耐性をもたらす。いくつかの実施形態では、変異はCARD11での機能獲得型変異である。いくつかの実施形態では、変異はNF−κBを媒介とする転写の構成的な活性化をもたらす。いくつかの実施形態では、CARD11の変異は、CARD11においてアミノ酸位置232でアミノ酸挿入をもたらす。いくつかの実施形態では、CARD11の変異は、アミノ酸位置L232でロイシンの挿入をもたらす。いくつかの実施形態では、修飾はL232LLである。いくつかの実施形態では、CARD11の変異は、アミノ酸位置L232でイソロイシンの挿入につながる。いくつかの実施形態では、修飾は、L232ILまたはL232LIである。
【0270】
修飾されたBTKポリペプチドを検知するための本明細書で提供される方法のいずれかは、CARD11ポリペプチドの検出にも適用することができる。例えば、変異CARD11ポリペプチドは、ゲノム中の体細胞変異の検出のために変異特異的な核酸を、または、変異CARD11ポリペプチドの検出のためにCARD11変異特異的な抗体を使用することによって、PCR方法により検知することができる。
【0271】
いくつかの実施形態では、変異CARD11ポリペプチドをコード化する核酸が提供されている。いくつかの実施形態では、変異CARD11ポリペプチドをコード化する核酸ベクターが提供されている。いくつかの実施形態において、ベクターはウイルスベクターである。いくつかの実施形態では、変異CARD11ポリペプチドをコード化する核酸を含む宿主細胞が提供されている。いくつかの実施形態では、発現されたCARD11ポリペプチドを含む宿主細胞が提供されている。
【0272】
核酸発現ベクターと宿主細胞の使用を含む、本明細書で提供される修飾されたBTKポリペプチドおよび核酸の産生のための当該技術中で知られている本明細書で提供される方法のいずれかは、本明細書で提供される変異CARD11ポリペプチドと核酸の産生にも適用することができる。
【0273】
本明細書では、変異CARD11ポリペプチドが提供される。いくつかの実施形態では、変異CARD11ポリペプチドは、組換えタンパク質である。いくつかの実施形態では、変異CARD11ポリペプチドは宿主細胞から精製される。
【0274】
いくつかの実施形態では、変異CARD11ポリペプチドは、BTK阻害剤による阻害に対して耐性を与える、1つ以上のアミノ酸置換を包含している。いくつかの実施形態では、変異CARD11ポリペプチドは、共有結合のおよび/または不可逆的なBTK阻害剤による阻害に対して耐性を与える、1つ以上のアミノ酸置換を包含している。いくつかの実施形態では、変異CARD11ポリペプチドは、イブルチニブ、PCI−45292、PCI−45466、AVL−101、AVL−291、AVL−292、またはONO−WG−37である共有結合のおよび/または不可逆的なBTK阻害剤による阻害に対して耐性を与える、1つ以上のアミノ酸置換を包含している。いくつかの実施形態では、変異CARD11ポリペプチドは、BTK阻害剤による阻害に対して耐性を与える1つ以上のアミノ酸置換を包含している。
【0275】
本明細書では、配列番号:19と表記されたアミノ酸配列のアミノ酸位置L232に対応するアミノ酸位置で修飾を含むCARD11活性を有する単離したCARD11ポリペプチドまたはその変異体が提供される。
【0276】
いくつかの実施形態では、修飾は、配列番号:19と表記された野性型CARD11と比較して、アミノ酸位置L232でアミノ酸の置換または欠失を含む。いくつかの実施形態では、修飾は、配列番号:19と表記された野性型CARD11と比較して、位置L232でアミノ酸の置換を含む。いくつかの実施形態では、修飾は、CARD11ポリペプチド(例えば、L232LL)のアミノ酸232でのロイシンの挿入である。
【0277】
いくつかの実施形態では、変異CARD11ポリペプチドは、配列番号:19と表記された野性型CARD11と比較して、CARD11ポリペプチドのアミノ酸232でのロイシンの挿入と、1以上の追加のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、変異CARD11ポリペプチドは、アミノ酸232でのロイシンの挿入と、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20以上のアミノ酸位置での修飾を含む。いくつかの実施形態では、アミノ酸位置232での修飾はL232LLである。
【0278】
いくつかの実施形態では、CARD11ポリペプチドは、配列番号:19と表記された野生型のCARD11ポリペプチドのアミノ酸位置232で修飾を含み、ペプチドタグに結合する。いくつかの実施形態では、ペプチドタグは、タグに特異的な抗体によって認識されるエピトープタグである。いくつかの実施形態において、タグは、限定されないが、c−myc、V−5、ヘマグルチニン(HA)、FLAG、タグなどのエピトープタグである。いくつかの実施形態において、タグは、アフィニティータグ、例えば、限定されないが、ビオチン、strep−タグ、キチン結合タンパク質(CBP)、マルトース結合タンパク質(MBP)、グルタチオン−S−転移酵素(GST)、または、ポリ(His)タグである。いくつかの実施形態では、CARD11ポリペプチドは、配列番号:19と表記された野生型のCARD11ポリペプチドのアミノ酸位置232で修飾を含み、検知可能なタンパク質または部分、例えば、発光、化学発光、生物発光、蛍光のタンパク質または部分に結合する。いくつかの実施形態では、蛍光のタンパク質は、緑(GFP)、赤(RFP)、シアン(CFP)、黄色(YFP)また、は青(BFP)の蛍光のタンパク質である。いくつかの実施形態では、CARD11ポリペプチドは、配列番号:19と表記された野生型のCARD11ポリペプチドのアミノ酸位置232で修飾を含み、酵素(例えば、ルシフェラーゼ、または、β−ガラクトシダーゼ)に結合する。
【0279】
本明細書では、変異CARD11ポリペプチドをコード化する核酸が提供される。本明細書では、本明細書に記載の変異CARD11ポリペプチドのいずれかをコード化する核酸が提供される。特定のポリペプチドをコード化する核酸を推定する方法は、当該技術では知られており、標準的な分子生物学技術を含んでいる。本明細書で提供される変異CARD11ポリペプチドをコード化する典型的な核酸が提供されている。遺伝子コードの縮重により、同じポリペプチドをコード化する多くの変異体核酸が存在すると理解されている。本明細書で提供される変異CARD11ポリペプチドをコード化する核酸は、そのような変異体を包含する。
【0280】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される修飾されたCARD11ポリペプチドをコード化する核酸は、DNAまたはRNAの分子である。いくつかの実施形態では、変異CARD11ポリペプチドをコード化する核酸は、コード化されたポリペプチドが、配列番号:19と表記される野生型のCARD11ポリペプチドのアミノ酸位置232に対応する位置でアミノ酸の挿入を含む、修飾を含んでいる。いくつかの実施形態では、核酸は、配列番号:20と表記された核酸の配列、または、配列番号20と表記された配列を有するポリペプチドと少なくともまたは少なくとも約60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上の配列同一性を有する変異体を含んでいる。
【0281】
いくつかの実施形態では、方法は、被験体が、BTK阻害剤を用いた治療に反応しないか、または、反応しなくなる可能性が高いかどうかを決定し、該方法は、(a)被験体からのCARD11ポリペプチドをコード化する核酸分子を含むサンプルを試験する工程であって、それによって、コード化されたCARD11ポリペプチドが、配列番号:19と表記されたアミノ酸配列のアミノ酸位置232に対応するアミノ酸位置で修飾されているかどうかを決定する、工程、および、(b)被験体が修飾を有している場合、被験体がBTK阻害剤による治療に対する耐性を有するか、あるいは、耐性を有するようになる可能性が高いとして被験体を特徴づける工程、を含む。いくつかの実施形態では、方法は、被験体からサンプルを得る工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、修飾は、CARD11中のL232LL挿入を含む。いくつかの実施形態において、BTK阻害剤は、共有結合性のまたは不可逆な阻害剤である。
【0282】
本明細書では、特定の実施形態において、癌の処置のためにBTK阻害剤を受ける被験体が、治療に対する耐性を生じさせたか、または、生じさせる可能性が高いかどうかをモニタリングする方法が記載されており、該方法は、(a)被験体からのCARD11ポリペプチドをコード化する核酸分子を含むサンプルを試験する工程であって、それによって、コード化されたCARD11ポリペプチドが、配列番号:19と表記されたアミノ酸配列のアミノ酸位置232に対応するアミノ酸位置で修飾されているかどうかを決定する、工程、(b)被験体が修飾を有している場合、BTK阻害剤による治療に対する耐性を有する、または、有するようになる可能性が高いと被験体を特徴づける工程、を含む。いくつかの実施形態では、方法は、被験体が修飾を有している場合、BTK阻害剤を用いた処置を中止する工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、方法は、被験体が修飾を有していない場合、BTK阻害剤を用いた処置を継続する工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、方法は、被験体からサンプルを得る工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、方法は被験体が修飾を有している場合、LYN、SYK、JAK、PI3K、MAPK、MEK、またはNFκBの阻害剤を投与する工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、修飾は、CARD11中のL232LL挿入を含む。いくつかの実施形態において、BTK阻害剤は、共有結合性のまたは不可逆な阻害剤である。
【0283】
本明細書では、特定の実施形態において、癌の処置のために不可逆的なBTK阻害剤を受ける被験体の治療を最適化する方法が記載されており、該方法は、(a)被験体からのCARD11ポリペプチドをコード化する核酸分子を含むサンプルを試験する工程であって、それによって、コード化されたCARD11ポリペプチドが、配列番号:19と表記されたアミノ酸配列のアミノ酸位置232に対応するアミノ酸位置で修飾されているかどうかを決定する、工程、および、(b)被験体が修飾を有している場合、不可逆的なBTK阻害剤を用いた処置を中止するか、または、被験体が修飾を有していない場合、不可逆的なBTK阻害剤を用いた処置を継続する工程、を含む。いくつかの実施形態では、方法は、被験体が修飾を有している場合、修飾されたキナーゼを阻害する第2世代のBTK阻害剤を投与する工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、方法は、被験体からサンプルを得る工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、方法は被験体が修飾を有している場合、LYN、SYK、JAK、PI3K、MAPK、MEK、またはNFκBの阻害剤を投与する工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、修飾は、CARD11中のL232LL挿入を含む。いくつかの実施形態において、BTK阻害剤は、共有結合性のまたは不可逆な阻害剤である。
【0284】
方法のいくつかの実施形態において、アッセイで使用される核酸分子は、RNAまたはDNAである。方法のいくつかの実施形態において、核酸分子は、方法のcDNAである。いくつかの実施形態において、アッセイで使用される核酸分子はゲノムDNAである。方法のいくつかの実施形態において、アッセイで使用される核酸分子は全RNAである。方法のいくつかの実施形態において、アッセイで使用される核酸分子はmRNAである。方法のいくつかの実施形態において、方法は、RNAサンプルからmRNAを単離する工程をさらに含む。
【0285】
方法のいくつかの実施形態において、試験する工程は、CARD11ポリペプチドのアミノ酸位置232をコード化する核酸のポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増幅を行うことを含む。いくつかの実施形態では、PCR増幅は、CARD11ポリペプチドのアミノ酸位置232をコード化する領域に隣接する一対のオリゴヌクレオチドプライマーを使用することを含む。いくつかの実施形態では、方法は、増幅された核酸の配列を決定する工程を含む。
【0286】
方法のいくつかの実施形態において、試験する工程は、配列特異的な核酸プローブで核酸を接触させる工程であって、配列特異的な核酸プローブが、(a)アミノ酸位置232で修飾される修飾CARD11をコード化する核酸に結合し、および、(b)野生型のCARD11をコード化する核酸に結合しない、工程、を含む。方法のいくつかの実施形態において、試験する工程は、配列特異的な核酸プローブを使用するPCR増幅を含む。
【0287】
いくつかの実施形態では、方法で使用されるサンプルは、被験体からの1つ以上の腫瘍細胞を包含している。いくつかの実施形態では、方法で使用されるサンプルは、循環腫瘍DNA(ctDNA)を包含している。
【0288】
方法のいくつかの実施形態において、方法で使用される核酸は、被験体からの腫瘍細胞サンプルから単離される。いくつかの実施形態では、サンプルは、腫瘍生検サンプル、血液サンプル、血清サンプル、リンパ液サンプル、または骨髄穿刺液である。
【0289】
いくつかの実施形態では、BTK阻害剤は、イブルチニブ(PCI−32765)、PCI−45292、PCI−45466、AVL−101、AVL−291、AVL−292、またはONO−WG−37の中から選択される。いくつかの実施形態において、CARD11阻害剤はイブルチニブである。
【0290】
方法のいくつかの実施形態において、被験体は癌を患っている。いくつかの実施形態では、癌は血液の癌である。いくつかの実施形態では、癌はB細胞悪性腫瘍である。いくつかの実施形態では、癌は白血病、リンパ腫、または骨髄腫の中から選択される。いくつかの実施形態では、B細胞悪性腫瘍は、慢性リンパ球性白血病(CLL)、小リンパ球性リンパ腫(SLL)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、活性化したB細胞びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(ABC−DLBCL)、胚中心びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(GCB DLBCL)、縦隔原発B細胞リンパ腫(PMBL)、非ホジキンリンパ腫、バーキットリンパ腫、濾胞性リンパ腫、免疫芽球性大細胞型リンパ腫、前駆Bリンパ芽球性リンパ腫、前駆B細胞急性リンパ性白血病、ヘアリーセル白血病、マントル細胞リンパ腫、B細胞前リンパ球性白血病、リンパ形質細胞性リンパ腫/ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、脾臓周辺帯リンパ腫、形質細胞性骨髄腫、形質細胞腫、節外性辺縁帯B細胞リンパ腫、節性辺縁帯B細胞リンパ腫、縦隔(胸腺)大細胞型B細胞リンパ腫、血管内大細胞型B細胞リンパ腫、原発性滲出性リンパ腫、または、リンパ腫様肉芽腫症である。いくつかの実施形態では、被験体は固形腫瘍を患っている。
【0291】
方法のいくつかの実施形態において、被験体はサンプルを得る前にBTK阻害剤で処置される。いくつかの実施形態では、サンプルは、不可逆的なBTK阻害剤の第1の投与後、1週、2週、3週、1か月、2か月、3か月、4か月、5か月、6か月、7か月、8か月、9か月、10か月、11か月、12か月、14か月、16か月、18か月、20か月、22か月、または24か月目に得られる。いくつかの実施形態では、サンプルは、BTK阻害剤を用いた処置の経過中に、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10回得られる。いくつかの実施形態では、被験体は、BTK阻害剤が最初に投与されたときに、BTK阻害剤を用いた処置に反応する。
【0292】
本明細書では、特定の実施形態において、アミノ酸位置232で修飾を含む修飾されたCARD11ポリペプチドを検出するための1つ以上の試薬を含むキットである。いくつかの実施形態では、キットは、L232LLである修飾を有する変異CARD11ポリペプチドを含むマイクロチップを含んでいる。
【0293】
本明細書では、特定の実施形態において、アミノ酸位置232で修飾を含む変異CARD11ポリペプチドをコード化する核酸を検知するための1つ以上の試薬を含むキットである。いくつかの実施形態では、キットは、L232LLである修飾を有する変異CARD11ポリペプチドをコード化する核酸を含むマイクロチップを含んでいる。
【0294】
本明細書では、特定の実施形態において、被験体の不可逆的なBTK阻害剤を用いた阻害に対して耐性を与える、修飾されたCARD11を検知するためのシステムが記載されており、該システムは、(a)被験体からのCARD11ポリペプチドをコード化する核酸分子を含むサンプル、および、(b)配列番号:19と表記されたアミノ酸配列のアミノ酸位置232に対応するアミノ酸位置で修飾される変異CARD11ポリペプチドまたはその一部をコード化する核酸を含むマイクロアレイ、を含む。いくつかの実施形態では、マイクロアレイはマイクロチップに含まれる。
【0295】
本明細書では、特定の実施形態において、被験体のBTK阻害剤を用いた阻害に対して耐性を与える修飾されたCARD11を検知するためのシステムが記載されており、該システムは、(a)被験体からのCARD11ポリペプチドをコード化する核酸分子を含むサンプル、および、(b)配列特異的な核酸プローブであって、(i)アミノ酸位置232で修飾される修飾CARD11をコード化する核酸に結合し、および、(ii)野生型のCARD11をコード化する核酸には結合しない、核酸プローブ、を含む。
【0296】
本明細書では、特定の実施形態において、被験体のBTK阻害剤を用いた阻害に対して耐性を与える修飾されたCARD11を検知するためのシステムが記載されており、該システムは、(a)被験体からのCARD11ポリペプチドをコード化する核酸分子を含むサンプル、および、(b)CARD11ポリペプチドのアミノ酸232をコード化する核酸領域に隣接する一対のオリゴヌクレオチドプライマー、を含む。
【0297】
本明細書では、特定の実施形態において、血液の癌を患っている患者における維持療法の方法が提供され、該方法は、(a)治療上有効な量のBTK阻害剤を投与する工程を含む維持療法計画を患者に施す工程、および、(b)維持療法計画の経過にわたってあらかじめ決められた時間間隔で患者をモニタリングする工程であって、それによって、被験体が、配列番号:19と表記されたアミノ酸配列のアミノ酸位置232に対応するアミノ酸位置で修飾をもたらすCARD11をコード化する内因性遺伝子の変異を有しているかどうかを決定する、工程、を含む。いくつかの実施形態において、モニタリングする工程は、(a)被験体からのCARD11ポリペプチドをコード化する核酸分子を含むサンプルを試験する工程であって、それによって、コード化されたCARD11ポリペプチドが、配列番号:19と表記されたアミノ酸配列のアミノ酸位置232に対応するアミノ酸位置で修飾されているかどうかを決定する、工程、を含む。いくつかの実施形態では、方法は、被験体に変異がある場合、BTK阻害剤を用いた処置を中止する工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、方法は、被験体に変異がない場合、BTK阻害剤を用いた処置を継続する工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、方法は、被験体が修飾を有している場合、LYN、SYK、JAK、PI3K、MAPK、MEK、またはNFκBの阻害剤を投与する工程をさらに含む。いくつかの実施形態において、CARD11ポリペプチドの修飾はL232LLである。いくつかの実施形態では、あらかじめ決められた時間間隔は、毎月、2か月ごと、3か月ごと、4か月ごと、5か月ごと、6か月ごと、7か月ごと、8か月ごとである。
【0298】
いくつかの実施形態では、BTK阻害剤は、1日当たり約10mgから1日当たり約2000mg、1日当たり約50mgから1日当たり約1500mg、1日当たり約100mgから1日当たり約1000mg、1日当たり約250mgから1日当たり約850mg、または、1日当たり約300mgから1日当たり約600mgの1日投与量で投与される。いくつかの実施形態では、イブルチニブは、1日当たり約140mg、1日当たり420mg、1日当たり560mg、または、1日当たり840mgの1日投与量で投与される。いくつかの実施形態では、BTK阻害剤は、共有結合のおよび/または不可逆的なBTK阻害剤である。いくつかの実施形態では、BTK阻害剤は、イブルチニブ(PCI−32765)、PCI−45292、PCI−45466、AVL−101、AVL−291、AVL−292、またはONO−WG−37の中から選択される。いくつかの実施形態において、BTK阻害剤はイブルチニブである。
【実施例】
【0299】
これらの実施例は、説明目的で提供されるものに過ぎず、本明細書で提供される特許請求の範囲を制限するものではない。
【0300】
<実施例1>
この実施例において、Bruton型チロシンキナーゼ(BTK)の変異は、共有結合のBTK阻害剤イブルチニブを用いた治療を受ける白血病患者で同定された。
【0301】
慢性リンパ球性白血病(CLL)に苦しむ患者は、1日当たり560mgの投与量で、複数サイクルのイブルチニブ治療で処置された。約18か月の処置の後、1人の患者は臨床的な疾患進行を示した。進行は、リンパ球絶対数(ALC)の上昇とリンパ節のサイズの増加を特徴としていた。その後、イブルチニブの投与量を、1日当たり560mgから840mgに増やした。しかしながら、投与量の増加では疾患進行を阻害しなかった。その後の研究のもう一人の患者は、ベンダムスチンとリツキサンを組み合わせて420mgのイブルチニブのサイクルで処置した。この患者も約12か月の処置の後に臨床的な疾患進行を示した。
【0302】
全血は、研究の前に、処置中に、そして、設定されたIWCLL評価基準により患者が疾患を進行させたとみなされたときに、採取した。全血は、血液凝固薬としてクエン酸ナトリウムを用いて、BDバキュテナー細胞調製チューブ(CPT)へと集められた。集めた全血を採決後48時間以内に分析部位に送り、そこで、CPT採取チューブをすぐに、RTで1800のRCFで水平ローター遠心分離機で20分間、遠心分離した。血漿層下の末梢血単核細胞(PBMC)層は、上部の血漿成分の吸入後に、ピペットで注意深く集めた。集めた細胞を5分間、Sigma Red Blood Cell(RBC)Lysingバッファー(Cat No.R7757)中で再懸濁して、余ったRBCを取り除き、その後、PBSで2度洗浄して溶解を止め、遠心分離にかけて細胞ペレットを集めた。いくつかの例において、PBMCペレットは、この時点でB細胞、T細胞、または単球の濃縮のために、電磁ビーズで選別した。以下に記載の核酸アッセイのために、PBMC細胞ペレットをQiagen RLT Lysisバッファー中で再懸濁し、分析まで−80°Cの冷凍庫に入れた。その後のアッセイで保存して使用するために、細胞ペレットを生細胞として凍らせ、90%のFBSと、ペレットに優しくゆっくりと液滴で加えられた10%DMSO溶液で再懸濁した。これらのバイアルは、Minister Frostyの容器(Nalgene(登録商標))の中であらかじめ冷やしておき、液体窒素タンクで永久的に保存する24時間前に−80°Cの冷凍庫に置いた。
【0303】
全DNA、RNA、およびタンパク質を、Qiagen All Prepキットを使用して、PBMCから単離した。BTK mRNAの第1鎖のcDNAを、以下の逆方向BTKプライマー(BTK#2Rと呼ぶ):5’−aagtgaaattggggcttgtg−3’(配列番号:9)を使用して、Agilent Technologies(catalog#600184)から購入されたキットを用いて、逆転写によって合成した。反応についてはメーカーの指示に従った。鋳型RNA、遺伝子に特異的なプライマー、dNTP混合物、および、バッファーをミクロチューブで混合した。混合物を5分間65°Cで変性させ、プライマーを5分間25°Cでアニール処理した。その後、DTTおよびAccuScript High Fidelity逆転写酵素を加え、DNAを30〜90分間42°Cで伸長させ、4°Cまで冷やし、その後、−20°Cで維持した。
【0304】
逆転写反応からのmRNA−cDNAハイブリッドを、その後、Agilent TechnologiesからのPfuUltra II HSポリメラーゼを用いて、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって増幅させた。1〜3マイクロリットルの逆転写反応をPCR反応で使用した。同じ逆方向プライマーBTK#2Rを、順方向プライマー:(BTK#2Fと呼ばれる)5’−agtcccaccttccaagtcct−3’(配列番号:10)と共に使用した。サーモサイクラーを使用する増幅には、以下のPCRプロトコルを用いた:工程1−2分間95°Cで変性させる、工程2−30秒間95°Cで変性させ、30秒間55°でアニール処理し、1.25分間68°Cで伸長させる、工程3−工程2を39回繰り返す、工程4−5分間68°Cで伸長させ、4°Cに冷やし、その後、−20°Cで維持する。PCR生成物の10%は、エチジウムブロマイド・アガロースゲル電気泳動によって分析した。その後、サンプルの残りを、QiaQuick PCR生成物精製キットを用いて精製した。
【0305】
BTKオープンリーディングフレーム全体の両方の鎖の配列の決定は、Sequetechによって設計され合成されたプライマーを使用して、Sequetech Corporation(カリフォルニア州マウンテンビュー)で行なわれた。BTK(受入番号NM_000061.2)の野性型mRNA配列は、配列番号:3と表記される。耐性を有する患者#1のDNA配列(200−004/200−007)は、配列番号:7と表記される。耐性を有する患者#2のDNA配列(350−105)は配列番号:8と表記される。配列決定によると、処置でイブルチニブ/初期に受ける前に、2人の患者から集めた細胞中のmRNA配列は野生型であり、すなわち、RNAは、BTKのアミノ酸タンパク質配列の位置481で正常なシステインをコード化することが明らかとなった。耐性を有する患者からの処置における研究終了時(EOS)/後期からの細胞では、mRNAの配列は、mRNAがBTKの位置481でシステインの代わりにセリンをコード化するように、変更される。耐性を有する患者#1はチミン(t)−1634からアデニン(a)−1634でミスセンス変異を有していた(すなわち、t1634a)。この変異は、システイン−481コドン(TGC)をAGC(セリン)に変化させる。耐性を有する患者#2は、グアニン(g)−1635からシトシン(c)−1635でミスセンス変異を有していた(すなわち、g1635c)。この変異は、システイン−481コドン(TGC)をTCC(セリン)に変化させる。
【0306】
非常に高感度な対立遺伝子に特異的なPCRアッセイ(1%の分析感度)は、再発したサンプルのゲノムDNAでの変異の存在をさらに確認し、これは、変異が患者の処置中に取得されたことを示唆するものであった。ゲノムBTK DNAのPCRについては、以下の4つのプライマーが使用された:BTKg−F1:TGATGGGCTCCAAATCCCTG(配列番号:13)、BTKg−R1:AATGATGGCACCAGCAGC(配列番号:14)、BTKg−F2:AATCCCTGCTTGCTTCCACA(配列番号:15)、BTKg−R2:TTGATGGGCTCAGCACTGG(配列番号:16)。
【0307】
配列を決定するためのサンプルの調製のための別の方法では、全RNAは、QIAamp RNA Blood MiniKitを使用して、処置の前、および、疾患進行の後に、患者のPBMCから単離した。mRNAはpolyA選択を用いて最初に精製され、グロビンRNA(発現分析)のために取り除き、その後、化学的に断片化した。mRNAフラグメントは、逆転写のランダムヘキサマープライマーを用いて、一本鎖cDNAに変換した。次に、第2の鎖を生成して二本鎖のcDNAを作成し、その後、末端を修復し、分子のそれぞれの末端で単一のA塩基を追加した。その後、フローセル表面への付着を可能にするアダプターは、フラグメントの各末端に連結される。アダプターは、独特のインデックス配列(発現分析)を包含しており、これにより、多重化の間にライブラリをプールすることができる。その後、PCRを行って連結した材料を増幅して濃縮することでcDNAライブラリを作成し、その後、クラスターの生成と、TruSeq SBSキットを用いる直接的なIllumina(Illumina HiSeq 2000)合成による配列決定が続く。対の末端の配列決定は、個別の配列決定レーン中で、それぞれのサンプルを用いて行われた。平均して88x範囲/サンプルで1億以上のリード数がもたらされた。
【0308】
<実施例2>
この実施例において、BTK C481S変異を発現する細胞株が生成される。BTK C481S変異をコード化する核酸は、発現ベクター構築物に挿入され、それによって、核酸はプロモーターに動作可能に結合されて、変異タンパク質が発現される。BTK C481S構築物は、組換えタンパク質産生のために昆虫細胞などの細胞株に、または、CHO細胞またはJurkatT細胞、または、ニワトリDT40 BTK−/−B細胞株、または、ヒトBTKノックアウトB細胞株などのBTKを欠く細胞株に安定的にトランスフェクトされる。
【0309】
細胞株は、第2世代の化合物をスクリーニングするために、または、キナーゼアッセイのような生体外のアッセイで使用される精製されたタンパク質を産生するために、使用される。
【0310】
生体外のアッセイについては、C481S BTK組換えタンパク質は、昆虫細胞などの細胞の中で生成され、均一になるまで精製され、および、普遍的なタンパク質または特定の下流の基質(PLCγなど)を含む様々な基質に対するそのチロシンキナーゼに特異的な活性について評価し、そして、生体外のキナーゼアッセイにさらした(C481S、ATP、補助因子Mg/Mn、ペプチド基質)。PCi−32765(イブルチニブ)は陰性対照として使用される。
【0311】
ニワトリDT40BTK−/−またはヒトBTK−/−は、野性型BTKまたはC481S BTKのいずれかで安定的にトランスフェクトされ、HTSタイプの機能アッセイで用いられる。1つの実施例では、細胞を抗IgM/Gで刺激して、B細胞受容体(BCR)を、したがって、これらの細胞株の下流のBTKを連結して活性化する。18時間の刺激の後、表面CD69活性化は、連続する希釈した化合物を用いて、および、この化合物を用いずに、これらの細胞の中で評価される。C481Sに共有結合するBTK阻害剤は、細胞洗い出し実験後に、CD69を阻害し減少させることが予想される。
【0312】
<実施例3>
イブルチニブは、キナーゼ活性の強力かつ不可逆な阻害をもたらす活性部位におけるC481のスルフヒドリル基を用いたマイケル付加によって、BCRシグナル伝達の本質的な成分であるBTKに共有結合する(Honigberg et al, PNAS 107(29): 13075−13080)。構造モデルは、C481S変異がこの共有結合を破壊させるが、酵素の活性部位(
図1)に適合するイブルチニブの能力までは破壊しないことを実証している。BCRシグナル伝達に応じて、LYNとSYKはY551でBTKをリン酸化し、キナーゼの活性化につながるY223でのBTK自己リン酸化を引き起こす。したがって、Y223のリン酸化はこのようにしてBTK酵素活性を反映する。免疫ブロット法分析によると、患者がイブルチニブに応答する際には、p−BTK(Y223)は基準と比較して減少し、疾患再発とともに増加した(
図2A、レーン3および4)ことが示された。p−ERKの変化はp−BTKと同様の傾向を示しており、患者の臨床反応中に減少し、その後、疾患再発時に基準よりも上昇し、4週間後に再評価した際にはさらに増加していた。他方では、p−AKTは、イブルチニブの処置で増加し、臨床経過に依存しては変化しなかった。全体として、p−BTKとp−ERKの値の変化は互いに相関しており、変異によりイブルチニブの存在下でBCRシグナル伝達が可能となることを示唆している。
【0313】
典型的な方法では、部位Y551のBTKリン酸化、および、特定の関連するシグナル伝達の事象は、ヒトBTKをコード化するプラスミドでトランスフェクトされる培養細胞(例えば、HEK293T細胞)を用いてフローサイトメトリーアッセイによりモニタリングされる。HEK293T細胞の発現は、BTK中のY551部位の構成的なリン酸化を生じさせ、これは、蛍光結合した抗体(BD Biosciences catalog #558134)を用いて、フローサイトメトリーによってこれは検知可能である。HEK293T細胞中のBTKの発現によっても、T202/Y204でのErkのリン酸化をもたらし、これは、BD Biosciences catalog #612566を用いて、フローサイトメトリーによって検知可能である。BTK中のY551とErk中のT202/Y204のリン酸化は、イブルチニブ(および、ダサチニブ)を用いた処置によって用量依存的に阻害され、BTKのキナーゼ不活性変異が野性型またはC481S BTKの代わりに発現されると、構成的なリン酸化は生じず、このことは、このようなリン酸化事象が生じるには、BTKキナーゼ活性が必要であることを示している。全BTKのの発現レベルは、BD Biosciences catalog#558527を用いて、フローサイトメトリーによってモニタリングされる。
【0314】
細胞を調製するための典型的な手順は、以下のとおりである:HEK293T細胞を10cmのプレートに播種し、一晩中付着させる。CMVプロモーターによる制御下で、ヒト野性型またはC481S変異BTK、あるいは、C481A変異BTKまたはK430A変異BTK(カルボキシル末端6His融合)を含むプラスミドを用いたリン酸カルシウム法を駆使して、この細胞をトランスフェクトする。トランスフェクションの約16時間後、細胞を分離させ、マルチウェルプレートに播種する。約24時間後、細胞をイブルチニブまたは他の阻害剤で処置し、パラホルムアルデヒドでもとの場所で固定するか、あるいは、あるいは、機械的に分離させ、新鮮な薬剤を含まない培地に洗い流し、1.5時間インキュベートして、その後、固定した。透過処理した細胞を、指定のBD Biosciencesの蛍光標識した抗体で染色し、BD CantoIIフロサイトメーター上で分析した。FlowJoソフトウェアとFluorescence−minus−one対照を用いて、陽性細胞集団上でゲート制御し、ゲートはそれぞれのサンプルに等しく適用される。全陽性細胞数はBTK発現細胞の比率として得られる。
【0315】
<実施例4>
この実施例において、患者の遺伝子発現データを分析した。確立している27遺伝子のBCR発現シグネチャー(Blood. 2011 Jan 13;117(2):563−74)を用いる遺伝子発現のRNA−Seqデータは、応答する患者のBCR特性が基準となる前処置と比較してダウンレギュレートしたことを実証している(
図2B)。しかしながら、遺伝子のこのクラスターの発現は、初期の評価時と4週間後の両方の再発段階で増加した。
【0316】
RNA−Seqを実現するために、QIAamp RNA Blood Mini Kitを用いて、全RNAを処置の前と疾患進行の後に、患者のPBMCから単離した。polyAの選択を用いてmRNAをまず精製し、グロビンRNA(発現分析)のために取り除き、その後、化学的に断片化した。mRNAフラグメントを、逆転写のランダムヘキサマープライマーを用いて、一本鎖cDNAに変換した。次に、第2の鎖を生成して二本鎖のcDNAを作成し、その後、末端を修復して、分子のそれぞれの末端で単一のA塩基を追加した。フローセル表面への付着を可能にするアダプターをその後、フラグメントのそれぞれの末端に連結する。アダプターは、独特のインデックス配列(発現分析)を包含しており、これにより、多重化の間にライブラリをプールすることができる。その後、PCRを行って、連結した材料を増幅して濃縮することでcDNAライブラリを作成し、その後、クラスターの生成と、TruSeq SBSキットを用いる直接的なIllumina(Illumina HiSeq 2000)合成による配列決定が続く。対の末端の配列決定は、個別の配列決定レーン中で、それぞれのサンプルを用いて行われた。 平均して88x範囲/サンプルで1億以上のリード数がもたらされた。リード数は、Bowtie2アライナー を含むTopHat packageを用いて、HG19ゲノムアセンブリに位置合わせした。ゲノムまたは潜在的なPCR複製物にマッピングされないリード数は、samtoolsを用いて除外された。カフスリンクとcuffmergeは、転写物発現の値を定量化するために用いられた。100万のマップされたリード数(RPKM)当たりの1キロベース当たりのリード数が計算され、それぞれの転写物配列にマッピングされたリード数は、kbの鋳型長さによって正常化され、全体のトランスクリプトームマップするリード数によって分割された。BCRシグネチャー遺伝子の階層的クラスター分析は、Cluster3.0ソフトウェアを使用して実行され、ヒートマップはTreeViewを用いて生成された。
【0317】
顕著に、遺伝子発現の変化の傾向は、p−BTKおよびp−ERKの変化の傾向と類似していた。総合すれば、変異分析、シグナル伝達、および、遺伝子発現解析プロファイリングからのデータは、1)BTK C481S変異を獲得することにより、イブルチニブの存在下でCLL細胞のBCRシグナル伝達が可能となること、および、2)処置の経過にわたってBCRシグナル伝達活性は、患者の疾患の状態と相互に関連することを、強く示唆したものである。
【0318】
<実施例5>
この実施例は、イブルチニブが、応答する患者の末梢血からのCLL細胞の増殖を阻害するが、BTK C481S変異で再発した患者からの細胞の増殖を阻害しないということを実証している。Ki−67+細胞の数と細胞の大きさは、応答する患者においてイブルチニブによる処置の経過中に減少したが、変異で再発した患者の処置ではそうではなかった。現在の患者からの一連のサンプルの分析は、応答しているサンプル中に、4.5%から0.53%までのKi−67+陽性細胞の割合の減少を示した。再発1において、Ki−67+細胞の数は5.3%に増え、その後、再発2の8.0%まで増加した(
図3A)。増殖に対するイブルチニブの影響を立証するさらなる証拠として、再発後の増殖の増加を反映する細胞の大きさの変化も実証された(
図4)。現在の研究では、増殖性のCLL集団の大きさは、再発したサンプルでは、19−20%から35−36%まで増加した(
図3B、第2の欄)。イブルチニブ(250または500nM)による患者のCLL細胞の処置は、事前のRxおよび応答性のサンプルにおけるBrdUの取り込みを完全に遮断した(
図3B、上の二列、第3と第4の欄VS第2の欄)。しかしながら、再発したサンプルでは、いくつかの増殖性のCLL細胞は残った(
図3B、下の二列、第2、第3、第4欄VS第1欄)。したがって、イブルチニブに対するCLLの生体外での増殖反応は、イブルチニブ処置に対して患者の臨床経過および獲得した耐性に一致する。
【0319】
フローサイトメトリーで使用される抗体は、BD(カリフォルニア州サンノゼ)から購入され、説明書に従って使用した:CD3−V500、CD19−APCCy7、CD19−APC、CD5−PerCPCy5.5、CD5−FITC、CXCR4−PECy7、CXCR4−PE、CD38−PE、CD62L−PE、CCR7−V450、CXCR3−Alexa488、CXCR5−Alexa647、CD49d−APC、CD29−PE、CD44−V450、CD54−PE、CD11a−APC、CD11c−V450、CD18−FITC、CD40−PECy7、Ki67−Alexa488、Ig k軽鎖APC、Ig l軽鎖FITC。ウェスタンブロット法に使用された抗体:ERK1と2に対するphospho−p44/42MAP キナーゼ[T202/Y204]、PKB/AKTに対するphospho−AKT[Ser473](マサチューセッツ州イプスウィッチのNew England Biokabs)、BTKに対するphospho−BTK[Y551](BD Bioscience)、BTKに対するphospho−BTK[Y223](カリフォルニア州バーリンゲームのEpitomics)、および、PLCγ2に対するphosphoPLCγ2[Y759](BD Bioscience)、抗ERK2(C−14;カリフォルニア州サンタクルーズのSanta Cruz Biotechnology)、抗AKT(H−136;Santa Cruz Biotechnology)、抗BTK(クローン53;BD Bioscience)、ヤギF(ab)’2、抗ヒトIgM(LE/AF;アラバマ州バーミンガムのSouthern Biotech)、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)−結合したウサギ抗マウス、および、HRP結合したヤギ抗ウサギ(ヒューストン州テキサスのDAKO)。
【0320】
<実施例6>
この実施例は、BCRまたは代替的な経路の他の阻害剤が、CLL増殖を抑止し、C481S変異によって引き起こされた耐性を無効にすることができることを実証している。生体外のCLL増殖モデルを用いて、イブルチニブに加えて、GS−1101(CAL−101、PI3Kdelta阻害剤)、ダサチニブ(下流のBCRはLYNおよびBTKを標的とする)、PRT062070(SYK/JAKの二重阻害剤)、PRT060318(非常に特異的なSYK阻害剤、ref)、および、トファシチニブ(JAK阻害剤)で、細胞を処置した。
図3Cは、イブルチニブとGS−1101が増殖を31%から12−14%に減少させたこと、その一方で、トファシチニブが増殖を21%までしか減らせなかったことを示している。ダサチニブ、および、SYKに対する活性を有する2つの阻害剤(PRT062070とPRT060318)は、増殖を完全に阻害した。これらの結果は、BTK変異CLL細胞は、BCR阻害に高感度なままであることを示唆するものである。したがって、LYN、SYK、JAK、PI3K、PLCγ、MAPK、MEK、NFκBの追加または代替的な阻害剤、BTKの他の共有結合阻害剤、または、BTKの他の可逆的な阻害剤も、C481S変異を有する患者に有効であると予想される。
【0321】
<実施例7>
イブルチニブ単独のまたは組み合わせた治療の初期の治験には、平均して14か月イブルチニブを投与された246人のCLL患者が登録された。ゲノムの比較分析の前のRNAseqと全エクソームの配列(WES)の配列決定は、基準時に、かつ、進行性の疾患(PD)の再発後に行なわれ、3人の患者のサンガーシーケンシングによって、イブルチニブに対する耐性を獲得したことが確認された。RNAseqとWESのデータは、TopHatおよびBWAソフトウェアを用いて揃えた。1つのヌクレオチド変化(SNV)が、SAMtools mpileupを使用して同定された。従来の化学療法によって再発した患者と比較すると、最小のゲノムの変化は、相対的なゲノムの安定を反映する、イブルチニブに対する耐性を有する患者において得られた。SNVは再発サンプルに特有の3人の患者で発見された。3人の患者のうちの2人が、BTKの位置481でシステインからセリンへの置換をそれぞれコード化する異なるSNVを有していた(C481S)。BMX、ITK、TEC、および、BLK中の相同するシステイン残基は、野生型であった(WT)。イブルチニブによる組換えC481Sの阻害は、WTの1/25倍の効能しかなく、細胞の中で発現したC481Sを共有結合することができない。第3の患者は、WT BTKを有していたが、潜在的な機能獲得型、すなわち、構成的なPLCγ2活性化と一貫して、BTKの基質であるR665W置換をコード化する、PLCγ2のエキソン19中にc1993tを獲得した。
【0322】
イブルチニブに初期に応答し、その後、薬剤耐性を有するようになった患者に関する後の研究では、2つの追加の変異が同定された。核酸の配列決定により、処置の初めに得られた患者の血液サンプルは野生型であり、一方で、医師の指定する疾患の信号に採取されたサンプルは、以下の部位で変化したことが明らかになった:1)1人の患者はPLCγ2の変異を獲得したことが分かった。変異はインフレームの単一ヌクレオチド点突然変異:c2120t(すなわち、PLCγ2コード化領域のシトシンの代わりに、位置2120でのチミン)である。変異は、コドン707におけるセリンのフェニルアラニンへの置換を含むPLCγ2タンパク質をもたらす(S707F)。2)1人の患者はCARD11の変異を獲得したことが分かった。変異は、CARD11コード化領域のヌクレオチド位置694と695の間での3つのチミンヌクレオチドの挿入である。変異は694_695insTTTと名付けられた。変異は、ロイシン−232とリジン−233の間のロイシン・コドンの挿入を含むCARD11タンパク質をもたらす。変異はL232_K233insLまたはL232LLと呼ばれる(CARD11 mRNAの翻訳のための代替的な開始部位があることに注意する。いくつかの例においては、この部位におけるCARD11変異は、232の代わりに位置225として知られている)。
【0323】
S707F変異は、PLCγ2タンパク質の恒常的活性をもたらす機能獲得型変異であると予想される。PLCγ2中の同様の変異(S707Y)は、Zhou et al. in American Journal of Human Genetics (2012) 91;713−720で記載されており、PLCγ2タンパク質に恒常的活性を与え、自己炎症性および免疫不全性の疾患をもたらす。R665W変異のように、S707Fは、自己抑制的なカルボキシル末端SH2ドメインにある。PLCγ2がBTKの下流にあると仮定すると、機能獲得型の構成的なPLCγ2活性を与える効果により、イブルチニブに対する耐性を有する薬剤が支持される。
【0324】
CARD11 L232LL変異タンパク質は、恒常的活性を有すると予想される。同様の変異は、Lenz et al. in Science (2008) 319; 1676−1679で記載されるように、B細胞リンパ腫患者のサンプル(232と233の間のイソロイシン挿入)で見られた。Lenzらによって記載されたように、変異は、下流のNF−kB経路の恒常的活性を与え、細胞の生存を高めた。PLCγ2のように、CARD11は、Btkの下流で活性化されるタンパク質である。CARD11は、BtkとPLCg2の下流のエフェクターであるPKCbetaによって、リン酸化および活性化される。したがって、恒常的活性を与えるCARD11中の機能獲得型変異は、Btkを迂回し、イブルチニブのようなBtk阻害剤の存在下で細胞が成長と抗アポトーシス性のシグナル伝達経路を活性化することを可能にすることもある。L232LL変異は、CARD11オリゴマー化とNF−kBの活性化にとって重要なアミノ末端コイルドコイルドメインにあり、ここではCARD11の複数の異なる変異がB細胞リンパ腫の患者の検体で見つかっている。
【0325】
本明細書中に記載される例および実施形態は、例示を目的に過ぎず、当業者に提示される様々な改良または変更は、本出願の精神と範囲に、および、添付の請求項の範囲に含まれるものとする。