(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
アルミニウム材と、その表面の少なくともいずれか一方に形成された酸化皮膜とを含み、前記酸化皮膜は表面側に形成された厚さ20〜500nmの多孔性アルミニウム酸化皮膜層と素地側に形成された厚さ3〜30nmのバリア型アルミニウム酸化皮膜層とから成り、前記多孔性アルミニウム酸化皮膜層には直径5〜30nmの小孔が形成されており、前記酸化皮膜に含有される水分が10μg/cm2以下であることを特徴とする表面処理アルミニウム材の製造方法であって、
表面処理されるアルミニウム材の電極と対電極とを用い、pH9〜13で液温35〜85℃のアルカリ性水溶液を電解溶液とし、周波数10〜100Hz、電流密度4〜50A/dm2及び電解時間5〜300秒間の条件で交流電解処理することにより、対電極に対向する前記アルミニウム材表面に酸化皮膜を形成し、当該酸化皮膜を形成したアルミニウム材を150℃を超える雰囲気に暴露する表面処理アルミニウム材の製造方法において、
交流電解処理の終了から、150℃を超える雰囲気に暴露して酸化皮膜を形成したアルミニウム材の表面温度が150℃に到達するまでの時間が24時間以内であり、前記150℃を超える雰囲気に暴露する時間t(秒)が、多孔性アルミニウム酸化皮膜層厚さをL(nm)及び雰囲気温度をT(℃)として、t≧20×(L/T)の関係を満たし、前記雰囲気の相対湿度が50%以下であることを特徴とする表面処理アルミニウム材の製造方法。
前記多孔性アルミニウム酸化皮膜層とバリア型アルミニウム酸化皮膜層との合計厚さの変動幅が、当該合計厚さの算術平均値の±50%以内である、請求項1に記載の表面処理アルミニウム材の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に、本発明の詳細を順に説明する。本発明に係る表面処理アルミニウム材は、その表面に酸化皮膜が形成されており、この酸化皮膜は表面側に形成された多孔性アルミニウム酸化皮膜層と素地側に形成されたバリア型アルミニウム酸化皮膜層とから成る。そして、多孔性アルミニウム酸化皮膜層には小孔が形成されている。
【0026】
A.アルミニウム材
本発明に用いるアルミニウム材としては、純アルミニウム又はアルミニウム合金が用いられる。アルミニウム合金の成分には特に制限無く、JISに規定される合金をはじめとする各種合金を使用することができる。形状としては特に制限されるものではないが、安定して処理皮膜を形成できることから平板状のものが好適に用いられる。用途に応じて、板厚を適宜選択することができるが、軽量化と成形性の観点から0.05〜2.0mmが好ましく、0.1〜1.0mmが更に好ましい。
【0027】
B.酸化皮膜
本発明に用いるアルミニウム材の表面には、表面側に形成された多孔性アルミニウム酸化皮膜層と素地側に形成されたバリア型アルミニウム酸化皮膜層とが形成されている。すなわち、アルミニウム材表面には、多孔性アルミニウム酸化皮膜層とバリア型アルミニウム酸化皮膜層の二層によって構成される酸化皮膜が設けられている。多孔性アルミニウム酸化皮膜層が強力な接着性や密着性を長期間発揮する一方で、バリア型アルミニウム酸化皮膜層によって、アルミニウム酸化皮膜層全体とアルミニウム素地が強固に結合する。
【0028】
B−1.多孔性アルミニウム酸化皮膜層
多孔性アルミニウム酸化皮膜層の厚さは、20〜500nmである。20nm未満では厚さが十分でないため、後述する小孔構造の形成が不十分になり易く接着力や密着力が低下する。一方、500nmを超えると、多孔性アルミニウム酸化皮膜層自体が凝集破壊し易くなり密着力が低下する。多孔性アルミニウム酸化皮膜層の厚さは、好ましくは50〜400nmである。
【0029】
多孔性アルミニウム酸化皮膜層は、その表面から深さ方向に向かう小孔を備える。小孔の直径は5〜30nmであり、好ましくは10〜20nmである。この小孔は、樹脂層や接着剤などとアルミニウム酸化皮膜との接触面積を増大させ、その接着力や密着力を増大させる効果を発揮するものである。小孔の直径が5nm未満であると、接触面積が不足するため十分な接着力や密着力が得られない。一方、小孔の直径が30nmを超えると、多孔性アルミニウム酸化皮膜層全体が脆くなって凝集破壊を生じ接着力や密着力が低下する。
【0030】
多孔性アルミニウム酸化皮膜層の表面積に対する小孔の全孔面積の比については、特に制限されるものではない。多孔性アルミニウム酸化皮膜層の見かけ上の表面積(表面の微小な凹凸等を考慮せず、長さと幅の乗算で表される面積)に対する小孔の全孔面積の比として、25〜75%が好ましい。25%未満では、接触面積が不足して十分な接着力や密着力が得られない場合がある。一方、75%を超えると、多孔性アルミニウム酸化皮膜層全体が脆くなって凝集破壊を生じ接着力や密着力が低下する場合がある。
【0031】
B−2.バリア型アルミニウム酸化皮膜層
バリア型アルミニウム酸化皮膜層の厚さは、3〜30nmである。3nm未満では、介在層として多孔性アルミニウム酸化皮膜層とアルミニウム素地との結合に十分な結合力を付与することができず、特に、高温・多湿等の過酷環境における結合力が不十分となる。一方、30nmを超えると、その緻密性ゆえにバリア型アルミニウム酸化皮膜層が凝集破壊し易くなり、かえって接着力や密着力が低下する。なお、バリア型アルミニウム酸化皮膜層の厚さは、好ましくは5〜25nmである。
【0032】
B−3.酸化皮膜に含有される水分量
酸化皮膜に含有される水分量は、10μg/cm
2以下でなければならない。具体的には、表面処理アルミニウム材の見かけの表面積部分(縦×横)1cm
2から検出される水分が10μg/cm
2以下である必要がある。酸化皮膜の構造を考慮すると、含有される水分はその大部分が多孔性アルミニウム酸化皮膜層の内部に吸着しているものと考えられる。酸化皮膜に含有される水分量が10μg/cm
2を超えると、特に長期間経過の際にその水分量に応じた水蒸気が発生し、この水蒸気によって酸化皮膜が体積膨張する。そして、この体積膨張によって酸化皮膜と樹脂等の接合物との剥離応力が発生するとともに、酸化皮膜と接合物の接合界面に生成していた水素結合が解離する。その結果、長期間経過後の接着力や密着力が低下する。なお、水分量の下限値については特に規定されるものではないが、後述の測定方法によれば0.1μg/cm
2前後が検出下限であることから、工業的な下限値も0.1μg/cm
2程度ということができる。なお、酸化皮膜に含有される水分量は、好ましくは6μg/cm
2以下である。
【0033】
B−4.酸化皮膜の全体厚さの変動幅
酸化皮膜全体の厚さ、すなわち、B−1に記載の多孔性アルミニウム酸化皮膜層とB−2に記載のバリア型アルミニウム酸化皮膜層との厚さの合計は、アルミニウム材のいかなる場所で測定しても、その変動幅が±50%以内であることが好ましく、±20%以内であることがより好ましい。すなわち、アルミニウム材表面における任意の複数箇所(10箇所以上が望ましく、これら各箇所においても10点以上の測定点とするのが望ましい)で測定した酸化皮膜全体厚さの平均値をT(nm)とした場合、これら複数測定箇所の全てにおける酸化皮膜全体厚さが(0.5×T)〜(1.5×T)の範囲にあることが望ましい。例えば、同一条件で作製した試料片を10個用意し、その各試料について酸化皮膜全体の厚さを各々10点測定することで、同一条件で作製した試料について合計100点の測定値を得る方法を挙げることができる。これに代わって、例えば長方形の試験片の縦横をそれぞれ5等分及び4等分に分割する線を引き、その交点(12個)近傍の酸化皮膜全体の厚さを各々10点測定することで、同一試料について合計120点の測定値を得る方法を挙げることができる。
【0034】
(0.5×T)未満の箇所が存在すると、その箇所の酸化皮膜がその周囲より薄くなる。そうすると、この薄い箇所では、接着剤や、接合されるべき樹脂層などと、酸化皮膜との間に隙間が生じ易くなり、十分な接触面積を確保できずに接着力や密着力が低下する場合がある。一方、(1.5×T)を超える箇所が存在すると、その箇所の酸化皮膜がその周囲より厚くなる。そうすると、この厚い箇所では、接合されるべき樹脂層などからの応力が集中し、相対的に接着力や密着力が低下する場合がある。
なお、上記のような酸化皮膜の全体厚さが薄い箇所や厚い箇所では、周囲と比較して光学的特性が異なるため、茶褐色や白濁色といった色調の変化として目視可能な場合がある。
【0035】
C.表面処理アルミニウム材製造方法
以上のような条件を満たした酸化皮膜を表面に備えた表面処理アルミニウム材を製造するための一つの方法として、表面処理されるアルミニウム材の電極と対電極とを用い、pH9〜13で液温35〜85℃のアルカリ性水溶液を電解溶液とし、周波数10〜100Hz、電流密度4〜50A/dm
2及び電解時間5〜300秒間の条件で交流電解処理することにより、対電極に対向するアルミニウム材表面に酸化皮膜を形成した後、150℃を超える雰囲気に暴露する方法を挙げることができる。
【0036】
交流電解処理工程において、電解溶液として用いるアルカリ性水溶液は、りん酸ナトリウム、りん酸水素カリウム、ピロりん酸ナトリウム、ピロりん酸カリウム及びメタりん酸ナトリウム等のりん酸塩;水酸化ナトリウム及び水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物;炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム等の炭酸塩;水酸化アンモニウム;或いは、これらの混合物の水溶液を用いることができる。後述するように電解溶液のpHを特定の範囲に保つ必要があることから、バッファー効果の期待できるりん酸塩系物質を含有するアルカリ性水溶液を用いるのが好ましい。このようなアルカリ性水溶液に含まれるアルカリ成分の濃度は、電解溶液のpHが所望の値になるように調整されるが、通常、1×10
−4〜1モル/リットル、好ましくは1×10
−3〜0.8モル/リットルである。なお、これらのアルカリ性水溶液には、汚れ成分に対する除去能力の向上のために界面活性剤を添加してもよい。
【0037】
電解溶液のpHは9〜13とする必要があり、9.5〜12とするのが好ましい。pHが9未満の場合には、電解溶液のアルカリエッチング力が不足するため多孔性アルミニウム酸化皮膜層の多孔質構造が不完全となる。一方、pHが13を超えると、アルカリエッチング力が過剰になるため多孔性アルミニウム酸化皮膜層が成長し難くなり、更にバリア型アルミニウム酸化皮膜層の形成も阻害される。
【0038】
電解溶液温度は35〜85℃とする必要があり、40〜70℃とするのが好ましい。電解溶液温度が35℃未満では、アルカリエッチング力が不足するため多孔性アルミニウム酸化皮膜層の多孔質構造が不完全となる。一方、85℃を超えるとアルカリエッチング力が過剰になるため、多孔性アルミニウム酸化皮膜層及びバリア型アルミニウム酸化皮膜層ともに成長が阻害される。
【0039】
アルカリ交流電解においては、多孔性アルミニウム酸化皮膜層とバリア型アルミニウム酸化皮膜層を含めた酸化皮膜全体の厚さは、電気量、すなわち電流密度と電解時間の積によって制御され、基本的に電気量が多いほど酸化膜全体の厚さが増加する。このような観点から、多孔性アルミニウム酸化皮膜層及びバリア型アルミニウム酸化皮膜層の交流電解条件は以下の通りとする。
【0040】
交流電解に用いる周波数は10〜100Hz、好ましくは20〜90Hzとする。10Hz未満では、電気分解としては直流的要素が高まる結果、多孔性アルミニウム酸化皮膜層の多孔質構造の形成が進行せず、緻密構造となってしまう。一方、100Hzを超えると、陽極と陰極の反転が速すぎるため、酸化皮膜全体の形成が極端に遅くなり、多孔性アルミニウム酸化皮膜層及びバリア型アルミニウム酸化皮膜層ともに、所定の厚さを得るには極めて長時間を要することになる。なお、交流電解における電解波形は特に限定されるものではなく、正弦波、矩形波、台形波、三角波等の波形を用いることができる。
【0041】
電流密度は4〜50A/dm
2、好ましくは5〜45A/dm
2とする。電流密度が4A/dm
2未満では、バリア型アルミニウム酸化皮膜層のみが優先的に形成されるために多孔性アルミニウム酸化皮膜層が得られない。一方、50A/dm
2を超えると、電流が過大になるため多孔性アルミニウム酸化皮膜層及びバリア型アルミニウム酸化皮膜層の厚さ制御が困難となり処理ムラが起こり易い。
【0042】
電解時間は5〜300秒、好ましくは10〜240秒とする。5秒未満の処理時間では、多孔性アルミニウム酸化皮膜層及びバリア型アルミニウム酸化皮膜層の形成が急激過ぎるため、いずれの酸化皮膜層も十分に形成されず、不定形のアルミニウム酸化物から構成される酸化皮膜となるためである。一方、300秒を超えると、多孔性アルミニウム酸化皮膜層及びバリア型アルミニウム酸化皮膜層が厚くなり過ぎ、再溶解の虞が生じ、更に生産性も低下する。
【0043】
なお上記製造方法において、酸化皮膜の厚み変動を小さくする目的で、電解溶液に含有される溶存アルミニウム濃度を5ppm以上1000ppm以下とするのが好ましく、
10ppm以上800ppm以下とするのがより好ましい。溶存アルミニウム濃度が5ppm未満の場合は、電解反応初期における酸化皮膜の形成反応が急激に生起するため、形成される酸化皮膜厚さが、処理工程におけるバラツキとして、例えば、アルミニウム材表面の汚れ状態やアルミニウム材の取り付け状態などの影響を受け易くなる。その結果、局部的に厚い酸化皮膜が形成されることになる。一方、溶存アルミニウム濃度が1000ppmを超える場合は、電解溶液の粘度が増大して電解工程においてアルミニウム材表面付近の均一な対流が妨げられるのと同時に、溶存アルミニウムが皮膜形成を抑制するように作用する。その結果、局部的に薄い酸化皮膜が形成されることになる。溶存アルミニウム濃度が上記範囲から外れると、アルミニウム材表面全体における多孔性アルミニウム酸化皮膜層とバリア型アルミニウム酸化皮膜層の合計厚さの変動幅を、この合計厚さの算術平均値の±50%内にすることが困難となり、その結果、得られる酸化皮膜の接着力と密着力の低下を招く場合がある。
【0044】
交流電解処理に使用する一対の電極のうち一方の電極は、電解処理されるべきアルミニウム材である。他方の対電極としては、例えば、黒鉛、アルミニウム、チタン電極等の公知の電極を用いることができるが、本発明においては、電解溶液のアルカリ成分や温度に対して劣化せず、導電性に優れ、更に、それ自身が電気化学的反応を起こさない材質のものを使用する必要がある。このような点から、対電極としては黒鉛電極が好適に用いられる。これは、黒鉛電極が化学的に安定であり、かつ、安価で入手が容易であることに加え、黒鉛電極に存在する多くの気孔の作用により交流電解工程において電気力線が適度に拡散するため、多孔性アルミニウム酸化皮膜層及びバリア型アルミニウム酸化皮膜層が共により均一になり易いためである。
【0045】
本発明においては、電解処理されるべきアルミニウム材及び対電極には共に平板状のものを用い、対向するアルミニウム材と対電極の面同士の縦と横の寸法をほぼ同一として、両電極を静止状態で電解操作を行なうのが好ましい。この場合、対電極に対向するアルミニウム材の一方の表面に酸化皮膜が形成される。ここで、対電極に対向していないアルミニウム材の他方の表面にも酸化皮膜を形成するには、一方の表面に酸化皮膜を形成して交流電解処理を一旦終了し、次いで、他方の表面を対電極に対向するように配置し直して同様に交流電解処理を行えばよい。また、アルミニウム材の形状が板材以外の丸棒や角材の場合においても、電解工程で対電極に対向していなかった表面を対電極に対向するように配置し直して電解工程を繰り返すことにより、所望の表面に酸化皮膜を形成することができる。
【0046】
以上のようにして得られたアルミニウム材は、150℃を超える雰囲気に暴露されることにより、酸化皮膜に含有される水分が効果的に除去される。150℃以下の温度環境では、水蒸気が多孔性アルミニウム酸化皮膜層の内部から脱出することができず、酸化皮膜の含有水分を除去することができない。なお、雰囲気としては、大気、窒素やアルゴンなどの不活性ガス、これら不活性ガスの混合ガス、大気と不活性ガスの混合ガス等を用いることができるが、経済性の観点から大気が好ましい。また、暴露される雰囲気の相対湿度は50%以下であることが好ましく、30%以下であることがより好ましい。相対湿度が50%を超えると、酸化皮膜に含有される水分が効果的に除去されない場合がある。
【0047】
また、150℃を超える雰囲気に暴露される時間については、暴露時間をt(秒)、多孔性アルミニウム酸化皮膜層の厚さをL(nm)、雰囲気温度をT(℃)として、t≧20×(L/T)の関係を満たすことが好ましい。これは、酸化皮膜に含有される水分の大部分が多孔性アルミニウム酸化皮膜層の内部に吸着しているという仮定に基づいた計算式であり、暴露時間は多孔性アルミニウム酸化皮膜層厚さに比例して多く、また雰囲気温度に反比例して短くなるものである。ここで、係数20は実験的に決定した定数である。なお、雰囲気温度の上限値については、好ましくは500℃、より好ましくは300℃である。
【0048】
更に、150℃を超える雰囲気暴露については、交流電解処理の終了から、150℃を超える雰囲気に暴露して酸化皮膜を形成したアルミニウム材の表面温度が150℃に到達するまでの時間が24時間以内であることが好ましく、12時間以内であることがより好ましい。交流電解工程によって生成した酸化皮膜に取り込まれた水分は、時間の経過に伴い、ごく微量ではあるがAl
2O
3・nH
2O(nは1〜3の整数)として水酸化アルミニウムに固定される場合がある。このように水酸化アルミニウムに固定された水分は、続いて実施される150℃を超える雰囲気暴露によって除去され難くなる場合がある。交流電解処理は、電解処理−水洗−乾燥の各工程を経て実施されるが、上記24時間以内の開始時点は、電解処理における電圧印加を停止した時点とする。一方、上記24時間以内の終了時点は、交流電解処理されたアルミニウム材の表面に熱電対などの温度計を接した状態でこれを150℃を超える雰囲気に暴露し、温度計が150℃を示した時点とする。通常は、150℃を超える雰囲気に暴露し始めてから、60秒程度で温度計が150℃を示す。
【0049】
なお、本発明における多孔性アルミニウム酸化皮膜層とバリア型アルミニウム酸化皮膜層の構造観察と厚さの測定には、透過型電子顕微鏡(TEM)による断面観察が好適に用いられる。具体的には、多孔性アルミニウム酸化皮膜層及びバリア型アルミニウム酸化皮膜層の厚さ、ならびに、多孔性アルミニウム酸化皮膜層の小孔の直径は、ウルトラミクロトームにより薄片試料を作製し、TEM観察することによって測定できる。
【0050】
また、酸化皮膜に含有される水分を測定するためには、昇温脱離ガス分析装置(TDS−MS)による表面微量水分測定法などを用いることができる。具体的には、密閉セル中で表面処理アルミニウム材を入れ、アルミニウム材の固相線温度より5〜10℃低い温度まで昇温速度10〜60℃/分で加熱する。そして、加熱中に発生するガス成分を質量分析計によって分析し、質量数(m/z)18の成分を定量化することによって測定できる。
【0051】
本発明においては、交流電解処理工程によって、アルミニウム材の表面の少なくともいずれか一方に酸化皮膜が形成され、その後に、前記少なくともいずれか一方の酸化皮膜の水分が150℃を超える雰囲気暴露によって低減される。アルミニウム材として板材を用いる場合には、一方の面のみを表面処理面としてもよく、或いは、両面を表面処理面としてもよい。また、アルミニウム材として板材以外の丸棒や角材の場合においても、所望の面に電解処理と150℃を超える雰囲気暴露を施して、この面を表面処理面とすることができる。
【0052】
E.表面処理アルミニウム材/樹脂層の接合体
本発明に係る表面処理アルミニウム材の表面処理した面に樹脂層を接合することにより、表面処理アルミニウム材/樹脂層の接合体が得られる。用いる樹脂層用の樹脂は、各種の熱可塑性及び熱硬化性樹脂を用いることができる。熱可塑性樹脂を用いる場合は、加熱して流動状態とした樹脂を多孔性アルミニウム酸化皮膜層に接触・浸透させ、次いで冷却固化することにより樹脂層が形成される。このような加熱固化による方法に代えて、接着剤を多孔性アルミニウム酸化皮膜層に接触・浸透させ、この接着剤を介して樹脂層を表面処理アルミニウム材に接合しても良い。なお、接着剤としては、液状タイプのものや、ホットメルトタイプのものを使用できる。
【0053】
本発明に係る表面処理アルミニウム材の表面処理した面に接合する樹脂層に用いる樹脂としては、アミノ基、アミド基、エステル基、カルボキシル基、エポキシ基及び水酸基から選択される極性官能基の少なくとも1種を有することが好ましい。
【0054】
樹脂が上記極性官能基を有することで、樹脂が多孔性アルミニウム酸化皮膜に含浸したことで生じるアンカー効果のみならず、極性官能基と酸化皮膜とがクーロン力、及び/又は、水素結合力で引き付けあうことで、一次密着性に優れる。更に、本発明に係る表面処理アルミニウム材の表面処理面に形成される酸化皮膜に含有される水分は10μg/cm
2以下であるため、酸化皮膜と樹脂との接合界面における接合力としてのクーロン力、及び/又は、水素結合力を水分が阻害せず、二次密着性に優れる。
【0055】
本発明に係る表面処理アルミニウム材の表面処理した面に接合する樹脂層に用いる樹脂とでは、式1で示される数値、すなわち、樹脂中の極性官能基の存在比率が0.01以上3.0以下となることが好ましい。
【0056】
式1の分子は、アミノ基、アミド基、エステル基、カルボキシル基、エポキシ基及び水酸基に由来する赤外吸収スペクトル、そのスペクトルが現れる波数範囲及び横軸で囲まれる領域の積分値である。すなわち、樹脂中に存在する極性官能基の存在量を規定している。また、式1の分母は、脂肪族炭化水素及びベンゼン環に由来する赤外吸収スペクトル、そのスペクトルが現れる波数範囲及び横軸で囲まれる領域の積分値である。具体的には
図1において模式的に示すように、脂肪族炭化水素及びベンゼン環に由来する赤外吸収スペクトルの線と、波数範囲を示す2835cm
−1と2975cm
−1を通る両垂線と、波数を表わす横軸の線で囲まれる領域、ならびに、脂肪族炭化水素及びベンゼン環に由来する赤外吸収スペクトルの線と、波数範囲を示す1575cm
−1と1625cm
−1を通る両垂線と、波数を表わす横軸の線で囲まれる領域の積分値である。なお、式1の分子の積分値もこれと同様にして求められる領域の積分値である。このように、樹脂中に存在する極性官能基以外の存在量を規定している。つまり、式1は、樹脂中の上記極性官能基の骨格構造に対する存在比率を規定しており、その値が大きいほど、その樹脂は極性成分に富むということができる。
【0057】
式1で示される数値が0.01以上3.0以下であると、酸化皮膜と樹脂の極性官能基との界面のクーロン力、及び/又は、水素結合力によって接合界面の結合力が増加し、かつ、樹脂のそのものの強度が増加するため、一次密着性及び二次密着性が向上する。
【0058】
熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリ塩化ビニル、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等)、ポリアミド、ポリフェニレンスルファイド、芳香族ポリエーテルケトン(ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトン等)、ポリスチレン、各種フッ素樹脂(ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン等)、エチレン-(メタ)アクリル酸共重合体、プロピレン-(メタ)アクリル酸共重合体、アクリル樹脂(ポリメタクリル酸メチル等)、ABS樹脂、ポリカーボネート、熱可塑性ポリイミド等を用いることができる。好ましくは、ポリエステル、ポリアミド、エチレン-(メタ)アクリル酸共重合体、プロピレン-(メタ)アクリル酸共重合体、熱可塑性ポリイミドである。
【0059】
また、熱硬化性樹脂を用いる場合は、硬化前の流動性を有する状態の樹脂を多孔性アルミニウム酸化皮膜層に接触・浸透させ、次いで硬化させればよい。また、このような硬化による方法に代えて熱可塑性樹脂と同様に、液状タイプやホットメルトタイプの接着剤を多孔性アルミニウム酸化皮膜層に接触・浸透させ、この接着剤を介して樹脂層を表面処理アルミニウム材に接合しても良い。熱硬化性樹脂としては、例えば、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ポリウレタン、熱硬化性ポリイミド等を用いることができる。
【0060】
なお、上記熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂を単一で用いてもよく、複数種の熱可塑性樹脂又は複数種の熱硬化性樹脂を混合したポリマーアロイとして用いてもよい。また、各種フィラーを添加することで、樹脂の強度や熱膨張率等の物性を改善してもよい。具体的には、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維等の各種繊維や、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、シリカ、タルク、ガラス、粘土等の公知のフィラーを用いることができる。
【実施例】
【0061】
以下、実施例及び比較例に基づいて、本発明の好適な実施の形態を具体的に説明する。
【0062】
実施例1〜
11、13、15、16、18〜25、27、29〜33及び比較例1〜12
アルミニウム材として、縦200mm×横400mm×板厚1.0mmのJIS5052−H34合金の平板を使用した。このアルミニウム合金板を一方の電極に用い、対電極には縦300mm×横500mm×板厚2.0mmの平板形状を有する黒鉛板を用いた。アルミニウム合金板の一方の面を対電極に対面させ、この対面した一方の面の表層に、表面側の多孔性アルミニウム酸化皮膜層と素地側のバリア型アルミニウム酸化皮膜層が形成されるように、両電極を配置した。ピロりん酸ナトリウムを主成分とするアルカリ水溶液を電解溶液として用いた。電解溶液のアルカリ成分濃度は、0.5モル/リットルとするとともに、塩酸及び水酸化ナトリウム水溶液(いずれも濃度0.1モル/リットル)によってpHの調整を行なった。表1、2に示す電解条件にて交流電解処理を実施して多孔性アルミニウム酸化皮膜層及びバリア型アルミニウム酸化皮膜層を形成するとともに、表1、2に示す条件にて150℃を超える大気雰囲気中での暴露を行った。なお、比較例11では、大気雰囲気温度を150℃未満とし、比較例12では、雰囲気暴露を行わなかった。表中において、「交流電解工程後150℃到達までの経過時間」とは、電解処理の電圧印加を停止した時点をスタートとしてアルミニウム材表面が150℃に到達するまでの時間である。以上のようにして、アルミニウム材の一方の面に、多孔性アルミニウム酸化皮膜層及びバリア型アルミニウム酸化皮膜層からなる酸化皮膜を形成した供試材を作製した。
【0063】
【表1】
【0064】
【表2】
【0065】
次いで、上記のようにして作製した供試材に対し、TEMによる断面観察ならびにTDS−MSによる水分量測定を実施した。TEM断面観察においては、多孔性アルミニウム酸化皮膜層とバリア型アルミニウム酸化皮膜層の厚さ、ならびに、多孔性アルミニウム酸化皮膜層の小孔の直径を測定するために、ウルトラミクロトームを用いて供試材から断面観察用薄片試料を作製した。次いで、この薄片試料をTEMにて断面観察し、観察視野(1μm×1μm)中の任意の10点における多孔性アルミニウム酸化皮膜層とバリア型アルミニウム酸化皮膜層の厚さ、ならびに、多孔性アルミニウム酸化皮膜層の小孔の直径を各点で測定し、それぞれの算術平均値を測定結果とした。またTDS−MS測定においては、昇温速度を30℃/分に設定し、620℃まで昇温して、水分子の単位面積当たり存在量を測定した。
【0066】
さらに、供試材全体の表面における多孔性アルミニウム酸化皮膜とバリア型アルミニウム酸化皮膜の合計厚さの変動を調べるために追加の断面TEM観察を行った。すなわち、先に作製した薄片試料とは別個かつ同様にして、ウルトラミクロトームにより薄片試料を更に9個作製した。そして、これら9個の薄片試料の各々について、多孔性アルミニウム酸化皮膜層とバリア型アルミニウム酸化皮膜層の厚さを10点測定した。そして、全部で10個の上記薄片試料における全100点の多孔性アルミニウム酸化皮膜層とバリア型アルミニウム酸化皮膜層の厚さの測定結果から、各点における多孔性アルミニウム酸化皮膜層とバリア型アルミニウム酸化皮膜層の厚さを足し算して合計厚さを求めて各点における酸化皮膜厚さとした。このようにして求めた100点の酸化皮膜厚さにおける最大値、最小値及び算術平均値を表3、4の「酸化皮膜全体厚さ」の欄に示した。更に、これら100点の酸化皮膜厚さの変動幅が算術平均値の±50%以内にあるか否かについても調べた。具体的には、算術平均値をT(nm)とした場合に、最大値及び最小値を含めた全ての合計厚さが(0.5×T)〜(1.5×T)の範囲にある場合を○とし、範囲にない場合を×とした。
【0067】
【表3】
【0068】
【表4】
【0069】
また、樹脂中の極性官能基の存在率を評価した。すなわち、測定波数範囲4000cm
−1〜650cm
−1、分解能1cm
−1のフーリエ変換型分光硬度計を用いて樹脂の赤外吸収スペクトルを測定した。次いで、測定した赤外吸収スペクトルとそのスペクトルが現れる波数範囲及び横軸で囲まれる領域を1cm
−1間隔で台形法を用いて数値積分し、その面積を求めた。得られた積分値を式1に代入しその値を計算することで、樹脂中の極性官能基の存在率を評価した。結果を表5〜7に示す。
【0070】
更に、上記供試材に対し、以下の方法にて接着剤を用いた密着性を評価した。
【0071】
〔一次密着性試験〕
上記供試材から長さ50mm、25mm幅に切断したものを2枚用意した。これら2枚の供試材の表面処理した面同士を全幅方向に沿って長さ方向に10mmの幅をもって重ね合わせ、その間に樹脂層を挟んで接合体を作製した。樹脂層に用いた樹脂は、市販の2液型エポキシ接着剤(主剤=変性エポキシ樹脂、硬化剤=変性ポリイミド、重量混合比=主剤100/硬化剤100)、ポリエチレン、ポリエステル及びエチレン-メタクリル酸共重合体から選択される樹脂又はその混合物である。このような接合体のせん断試験片を作製した。2枚の供試材の長さ方向の各端部を引張試験機により100mm/分の速度にて長さ方向に沿って反対向きに引張り、その荷重(せん断応力に換算)と剥離状態によって密着性を下記の基準で評価した。なお、せん断試験片は同じ供試材から10組の試験片を作製して、それぞれについて評価した。
○:せん断応力が20N/mm
2以上で、かつ、接着剤層自身が凝集破壊した状態
△:せん断応力が20N/mm
2以上であるものの、接着剤層と供試材が界面剥離した状態
×:せん断応力が20N/mm
2未満で、かつ、接着剤層と供試材が界面剥離した状態
結果を表5、6に示す。同表には、10組の試験片のうちの上記○、△、×の組数をそれぞれ示すが、全てが○の場合を合格、それ以外を不合格と判定した。
【0072】
【表5】
【0073】
【表6】
【0074】
【表7】
【0075】
〔長期安定性試験〕
上記の一次密着性試験と同様のせん断試験片を作製し、85℃の環境に2000時間放置した後、一次密着性試験と同様の試験を実施し、それぞれについて評価した。
○:せん断応力が20N/mm
2以上で、かつ、接着剤層自身が凝集破壊した状態
△:せん断応力が20N/mm
2以上であるものの、接着剤層と供試材が界面剥離した状態
×:せん断応力が20N/mm
2未満で、かつ、接着剤層と供試材が界面剥離した状態
結果を表5、6に示す。同表には、10組の試験片のうちの上記○、△、×の組数をそれぞれ示すが、○が5以上かつ×が0である場合を合格、それ以外を不合格と判定した。
【0076】
実施例1〜
11、13、15、16、18〜25、27、29〜33ではいずれも、酸化皮膜が本発明の規定を満たすため、一次密着性及び長期安定性がいずれも合格判定であった。これに対して比較例1〜12では、下記の理由により不合格判定であった。
【0077】
比較例1では、交流電解処理における電解溶液のpHが低過ぎたため、アルカリエッチング力が不足した。そのため、多孔性アルミニウム酸化皮膜層の小孔直径が不足し、一次密着性及び長期安定性が不合格であった。
【0078】
比較例2では、交流電解処理における電解溶液のpHが高過ぎたため、アルカリエッチング力が過剰になった。そのため、多孔性アルミニウム酸化皮膜層及びバリア型アルミニウム酸化皮膜層の厚さが不足し、それにより、溶存アルミニウムの効果ではなく、合計厚さの変動幅が±50%以内に収まらなかった。また、多孔性アルミニウム酸化皮膜層の小孔直径が過大となった。その結果、一次密着性及び長期安定性が不合格であった。
【0079】
比較例3では、交流電解処理における電解溶液の温度が低過ぎたため、アルカリエッチング力が不足した。そのため、多孔性アルミニウム酸化皮膜層の多孔質構造が不完全となり小孔直径が不足し、一次密着性及び長期安定性が不合格であった。
【0080】
比較例4では、交流電解処理における電解溶液の温度が高過ぎたため、アルカリエッチング力が過剰になった。そのため、多孔性アルミニウム皮膜層及びバリア型アルミニウム酸化皮膜層の厚さが不足し、それにより、溶存アルミニウムの効果ではなく、合計厚さの変動幅が±50%以内に収まらなかった。その結果、一次密着性及び長期安定性が不合格であった。
【0081】
比較例5では、交流電解処理における周波数が低過ぎたため、電気的状態が直流電解に近づいた。そのため、多孔性アルミニウム酸化皮膜層の形成が進行せず、バリア型アルミニウム酸化皮膜層の厚さが過大となった。そのため、一次密着性及び長期安定性が不合格であった。
【0082】
比較例6では、交流電解処理における周波数が高過ぎたため、陽極と陰極の反転が速過ぎた。そのため、多孔性アルミニウム酸化皮膜層の形成が極端に遅くなりその厚さが不足し、一次密着性及び長期安定性が不合格であった。
【0083】
比較例7では、交流電解処理における電流密度が低過ぎたため、バリア型アルミニウム酸化皮膜層が優先的に形成された。そのため、多孔性アルミニウム酸化皮膜層の厚さが不足し、一次密着性及び長期安定性が不合格であった。
【0084】
比較例8では、交流電解処理における電流密度が高過ぎたため、電解処理において電解溶液中にスパークが発生する等、制御が不安定になった。そのため、酸化皮膜全体が過剰に形成され、多孔性アルミニウム酸化皮膜層及びバリア型アルミニウム酸化皮膜層の厚さが過大となる一方で、酸化皮膜合計厚さが極端に少ない部分も発生した。それにより、溶存アルミニウムの効果ではなく、合計厚さの変動幅が±50%以内に収まらなかった。その結果、一次密着性及び長期安定性が不合格であった。
【0085】
比較例9では、交流電解処理における電解処理時間が短過ぎたため、多孔性アルミニウム酸化皮膜層及びバリア型アルミニウム酸化皮膜層が十分に形成されなかった。そのため、多孔性アルミニウム酸化皮膜層及びバリア型アルミニウム酸化皮膜層の厚さが不足し、一次密着性及び長期安定性が不合格であった。
【0086】
比較例10では、交流電解処理における電解処理時間が長過ぎたため、酸化膜全体が過剰に形成された。そのため、多孔性アルミニウム酸化皮膜層及びバリア型アルミニウム酸化皮膜層が厚くなり過ぎ、一次密着性及び長期安定性が不合格であった。
【0087】
比較例11及び12では、多孔性アルミニウム酸化皮膜層及びバリア型アルミニウム酸化皮膜層の形状は本発明の規定を満たしているため、一次密着性に優れていた。しかしながら、比較例11では、電解処理後の雰囲気暴露の温度が低過ぎ、比較例12では、雰囲気暴露が行われなかったため、酸化皮膜に含有された水分が除去できておらず、長期安定性が不合格であった。