(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
動力源により駆動されて走行可能な走行部と、機体前方に設けられ前進走行により雪を押して除雪するためのブレード部と、機体後方に設けられ機体を操作するための操作ハンドルを備えた歩行型ブレード除雪機において、
前記操作ハンドルとブレード部は、本体フレームに進行方向と直行する水平方向に設けた回動軸により保持され本体フレームに対し上下方向に回動する回動フレームを介して連結されていて、前記ブレード部は回動フレームに対し前後方向に回動及び固定自在に設けられていて、前記ブレード部は前記回動フレームの前方端部に設けた回動フレーム先端ブラケットに対し前後回動自在に取付けられる前後回動ブラケットおよび前記前後回動ブラケットに水平方向回動自在に取付けられたブレード水平回動ブラケットによって連結されていて、前記回動フレームと前記ブレード水平回動ブラケットには電動シリンダが架け渡されていて、回動操作及び固定操作は操作ハンドルに設けた回動操作部のシリンダ操作スイッチを操作することによって前記電動シリンダを作動させて行うことを特徴とした歩行型ブレード除雪機。
動力源により駆動されて走行可能な走行部と、機体前方に設けられ前進走行により雪を押して除雪するためのブレード部と、機体後方に設けられた機体を操作するための操作ハンドルを備えた歩行型ブレード除雪機において、
前記操作ハンドルとブレード部は、本体フレームに進行方向と直行する水平方向に設けた回動軸により保持され本体フレームに対し上下方向に回動する回動フレームを介して連結されていて、
前記ブレード部は回動フレームに対し前後方向に回動及び固定自在に設けられているとともに、ブレード部を平面視進行方向と直交する状態と、前後方向に傾斜させた状態に回動及び固定自在であり、それぞれの回動は操作ハンドルに設けた回動操作部によって操作される1つのシリンダによって行われることを特徴とした歩行型ブレード除雪機。
【背景技術】
【0002】
従来、除雪用のブレードを備えた歩行型の除雪機は、例えば、ブレードをフレームに可回動的に枢支して、任意の角度に回動係止できるように構成した実開昭55−136820号公報の「除雪用ブレード」(特許文献1)や除雪用ブレードを上昇可能であるとともに除雪用ブレードの角度を固定又は必要に応じて変え得るブレード回動装置を備えた特開2011−231454号公報の「歩行型除雪機」(特許文献2)が公知である。
【0003】
特許文献2に示す歩行型除雪機は、ブレード回動装置によりブレードを前後回動させることを可能としたことにより、雪を押すことに加えブレード部に雪を乗せて運搬が可能となり、雪の置き場所の制約が改善されている。しかしながら、歩行型のブレード型の除雪機は誰でも容易に使用できて、安価に購入できるものが望まれていて、本例の場合構造が複雑で、レバー21の操作等が必要であり、取り扱いも容易であるとは言えない。
【0004】
特許文献1に示す除雪機において、ブレードを傾斜させて除雪作業を行える構成が開示されている。除雪部を前進させて雪をブレード部で押して除雪作業が行われる。この場合ブレード部を回動させて多様な形状に変化させることができるため、作業状況に応じて使い分けが可能である。しかしながら、ブレードの左右方向の回動には腕11の長さを手動で調整してピンを挿入し固定する必要があり、容易に取扱できる構成ではない。また、前後の回動はトラクタのシリンダを使用して行われる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
除雪用ブレードによって雪を押して除雪作業を行うとき、雪を押し終わった後にそのまま後退すると、ブレードの前面に雪が付着して盛り上げた雪が崩れる場合がある。また、ブレードを進行方向に直交させての作業のみではなく、傾斜させて側方に雪を押しのけながら連続作業を行えると効率よい多様な作業が可能となる。
本願発明は、効率よく除雪作業が行え、女性や高齢者等比較的機械の取扱いに不慣れなユーザーでも簡単に使用できる除雪機であり、雪を押しての作業が多様に行え、且つ構造がシンプルで低コストで提供できる除雪機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、請求項1記載の除雪機は、動力源により駆動されて走行可能な走行部と、機体前方に設けられ前進走行により雪を押して除雪するためのブレード部と、機体後方に設けられ機体を操作するための操作ハンドルを備えた歩行型ブレード除雪機において、
前記操作ハンドルとブレード部は、本体フレームに進行方向と直行する水平方向に設けた回動軸により保持され本体フレームに対し上下方向に回動する回動フレームを介して連結されていて、前記ブレード部は回動フレームに対し前後方向に回動及び固定自在に設けられていて、
ブレード部は回動フレームの前方端部に設けた回動フレーム先端ブラケットに対し前後回動自在に取付けられる前後回動ブラケットおよび前後回動ブラケットに水平方向回動自在に取付けられたブレード水平回動ブラケットによって連結されていて、回動フレームとブレード水平回動ブラケットには電動シリンダが架け渡されていて、回動
操作及び固定
操作は操作ハンドルに設けた回動操作部
のシリンダ操作スイッチを操作することによって
電動シリンダを作動させて行うことを特徴とした歩行型ブレード除雪機。
【0008】
また、請求項2記載の除雪機は、動力源により駆動されて走行可能な走行部と、機体前方に設けられ前進走行により雪を押して除雪するためのブレード部と、機体後方に設けられた機体を操作するための操作ハンドルを備えた歩行型ブレード除雪機において、
前記操作ハンドルとブレード部は、本体フレームに進行方向と直行する水平方向に設けた回動軸により保持され本体フレームに対し上下方向に回動する回動フレームを介して連結されていて、
前記ブレード部は回動フレームに対し前後方向に回動及び固定自在に設けられているとともに、ブレード部を平面視進行方向と直交する状態と、前後方向に傾斜させた状態に回動及び固定自在であり、それぞれの回動は操作ハンドルに設けた回動操作部によって操作される1つのシリンダによって行われることを特徴とした歩行型ブレード除雪機である。
【発明の効果】
【0009】
ブレード部は回動フレームに対し前後方向に回動及び固定自在に設けられていて、回動及び固定は操作ハンドルに設けた回動操作部によって行うことができるため、雪を押して行って放擲位置で後退して離れるときに、ブレード部を前傾させ盛り上げた雪を一旦圧縮することでブレードに雪が付着するのを防止できて、盛り上げた雪を崩すことがなく、効率よい作業が行える。また、ブレードを平面視進行方向に対し直交させた状態と傾斜させた状態に回動固定できるため、多様な除雪作業が容易に行え、取り扱い性が良く、構造がシンプルな除雪機を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一例を示す歩行型ブレード除雪機の左側面図である。
【
図2】本発明の一例を示す歩行型ブレード除雪機の平面図である。
【
図3】本発明の歩行型ブレード除雪機のブレード部の右端を後退させて傾斜させた状態のブレード部の平面図である。
【
図4】本発明の歩行型ブレード除雪機のブレード部を断面した左側面図である。
【
図5】本発明の歩行型ブレード除雪機のブレードを前方に倒した状態の断面した左側面図である。
【
図6】ブレード部の水平回動をロックした状態のロックピン部の断面図である。
【
図7】ブレード部の水平回動のロックを解除した状態のロックピン部の断面図である。
【
図8】操作ハンドルに設けた回動操作部の右側面図である。
【
図9】ブレードを倒したときの作用を説明するためのブレード部の側面を示した説明図である。
【
図10】電動シリンダの伸縮ロッド先端部を示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
実施の一形態を、
図1乃至
図9に基づいて説明する。本例の説明においては、
図1に示す左側を進行方向前方側、右側を後方側、紙面と直交する側を左右方向として説明する。
【0012】
本発明の歩行型ブレード除雪機1は、走行用として左右にクローラベルト20を設け、前方部に駆動輪23と後方に従動輪25を位置させて巻着させたクローラベルト20を駆動する。クローラベルト20前方部には、左右のクローラベルト20の幅と同等若しくはこれより広い幅の除雪用ブレード部5が設けられ、後方部には作業者が左右握って操作するグリップ61を左右後端に設けた操作ハンドル60が設けられている。操作ハンドル60後端側には、走行方向を前後に切替える走行切換レバー63とグリップ61近傍に走行をON・OFFさせる走行レバー62が設けられている。本例においては、進行方向右側のグリップ61近傍内側に走行切換レバー63が設けられ、左側のグリップ61部に走行レバー62が設けられている。走行切換レバー63は右側の操作ハンドル60に設けた操作パネル64の中にある左右方向の軸芯周りに回動し、後述の電動モータ21を前進駆動させる前進位置と、後進駆動させる後進位置と、前進位置と後進位置との間に中立位置を設けて、この間で回動可能に構成されている。また、走行切換レバー63を設けた操作パネル64部の操作ハンドル60を挟んだ外側には、後述する回動操作部65が設けられている。
【0013】
操作ハンドル60は、前方に位置する除雪用ブレード部5と回動フレーム4を介して連結されていて、回動フレーム4は、前記左右クローラベルト20の内側左右を通り後方に延設され、側面視クローラベルト20の前後に配置された駆動輪23と従動輪25の回転軸間に位置する進行方向と直交する水平軸の回動支点軸46を中心に上下に回動可能に設けられている。操作ハンドル60のグリップ61部を握り、下方に押し下げると、回動フレーム4が回動支点軸46を中心に回動して前方部に連結されたブレード部5を上方に回動させることができる。
【0014】
図2は、本発明の歩行型ブレード除雪機1の平面図である。中央に位置する本体フレーム3の左右には、クローラベルト20が設けられ、左右クローラベルト20の中間部には走行用の電動モータ21を駆動するバッテリを内蔵したバッテリケース70と、電動モータ21を制御するための制御部8が設けられている。本体フレーム3からは左右方向にクローラベルト20を駆動する駆動輪23と従動輪25のそれぞれの回転軸が突設して設けられている。走行用のクローラベルト20は、前方に設けた駆動輪23と後部の従動輪25とに巻き掛けられていて、駆動輪23部に設けられた電動モータ21を正逆回転させて駆動される。本例の電動モータ21は、ホイールインモータタイプのモータを使用して駆動輪23と一体の構造となっている。左右のクローラベルト20の作動部分は、左右対称な構造となっている。
【0015】
クローラベルト20と本体フレーム3との間には丸パイプで構成された前記回動フレーム4が前後方向に延設されていて、本体フレーム3に駆動輪23と従動輪25の前後方向間に左右方向に突設されて設けた回動支点軸46が備えられ、これに回動フレーム4の回動ボスが挿入され、前方部にブレード部5、後方部に操作ハンドル60が連結されている。
【0016】
走行部2は、左右それぞれの駆動輪23と従動輪25と両輪間に架け渡されたクローラベルト20と駆動輪23に設けた電動モータ21からなる。駆動輪23部は左右対称の構造となっていて片側のみ説明する。電動モータ21は、ホイールインタイプのモータで駆動輪23部に一体で設けられていて、電動モータ21の外周を覆うモータケースは駆動輪23と一体に固着され、モータケース内に電動モータ21のステータとロータおよび減速部が内蔵されていて、本体フレーム3から水平に突設された回転軸を中心に電動モータ21が回転すると駆動輪23も同軸上で回転する構造となっている。
【0017】
電動モータ21部は、ほぼクローラベルト20の幅内に位置しているため、重心はクローラベルト20の幅内に位置して、構成部品の中でも比較的重量がある電動モータ21の重量は直接クローラベルト20の接地圧に作用して駆動力を向上させる。また、駆動輪23部に他の構成部品に比べ比較的重量の有る電動モータ21が位置することにより、歩行型ブレード除雪機1全体の重心を低く抑えることができるため、左右に傾斜した場合でも左右のクローラベルト20の駆動力の変化が少なく、転倒の危険性も少なく取り扱い性が良好な構造とすることができる。さらに、電動モータ21がクローラベルト20内に位置するため、全体の構成をコンパクトに構成できる。
【0018】
走行用クローラベルト20は、駆動輪23が前方に、後方には従動輪25が配置されて、これに巻き掛けられていて、駆動輪23部に設けた電動モータ21を正逆回転させて駆動輪23を回転させ駆動される。除雪用ブレード部5により雪を押す場合、駆動輪23は前方に向け正回転する。正回転することによりクローラベルト20の被接地面である上面側が前方に引っ張られた状態となる。後方の従動輪25は遊動状態であるためクローラベルト20の接地面側も張られた状態となり、クローラベルト20の接地面全体が均等に地面を押し付けて駆動力を有効に発揮する。一方駆動輪23が後方に位置する場合、クローラベルト20の上方部に弛みができやすく、比較的接地面部が緊張状態となりにくく駆動力を有効に伝達し難いため駆動輪23は前方側に配置するのが牽引性能上有利である。
【0019】
ブレード部5を上下回動させるための回動フレーム4の回動支点軸46は、本体フレーム3の下方部に左右方向水平に設けられ、本体フレーム3から左右方向の両端部を突設して設けられていて、突設部に回動フレーム4の回動ボスが回動自在に嵌合されている。本体フレーム3中央部にはバッテリケース70内に収納されたバッテリが位置している。バッテリは、側面視においてバッテリの重心が、走行用クローラベルト20の前後に配置された駆動輪23と従動輪25の回転軸間に位置するように位置づけられている。このことによりバッテリの重量がクローラベルト20の接地面に有効に作用して駆動力を向上させる。
【0020】
バッテリ部7と制御部8は、本体フレーム3に設けられている。バッテリ部7は、バッテリと該バッテリを内蔵したバッテリケース70とからなり、本体フレーム3の走行方向前方に位置して本体フレーム3から取外し自在に設けられている。バッテリケース70には、バッテリケース70の後方に位置する制御部8との連結のための連結カプラ(図示せず)が設けられ、下部には制御部8側から突設された水平方向のガイドピンとガイドピンが嵌合されるピン孔が設けられている。また、上面には取手72が設けられ、バッテリ部7を持ち運び可能としている。バッテリ部7の前方下部には本体フレーム3に固定するための固定レバー73が設けられていて、固定レバー73を水平回動させることにより本体フレーム3に固定および固定解除する。さらに、バッテリケース70の上方の前方部には夜間作業用のライト74及び該ライト74をON/OFFするライトスイッチが設けられている。
【0021】
制御部8は、制御部ケースに内蔵されて本体フレーム3に固着されていて、バッテリ部7側の前記連結カプラと着脱可能なカプラが設けられ、電源の導通が行われる。
【0022】
本体フレーム3のバッテリ部7が載せられる上面には、バッテリケース70をガイドする左右一対のガイド板が左右に突設されていて、バッテリ部7を連結又は分離する時にバッテリ部7の横ズレを防止して迅速且つ確実に行なうことができる。
【0023】
前方部に位置するブレード部5は、雪を押し出すメインのブレード本体50と、その下端部に位置するスクレーパ51で構成されている。ブレード本体50は、前方に開口部を向けた弓形で左右のクローラベルト20の外端と同等又はこれより幅が広く設けられている。ブレード本体50の下方端部にはブレード本体50のほぼ全幅にわたってスクレーパ51が取付けられている。スクレーパ51は前端部から後方に向け鋭角に傾斜していてブレード部5を雪面に押し付けて食込ませるためのもので、前進することにより雪をブレード本体50の前面の凹部面に沿って誘導して上昇させ前方に湾曲した上方部から前方に順次落とし込んで集めていく。
【0024】
図3、
図4、
図5、
図9によりブレード部5の前後回動について説明する。ブレード部5は、回動フレーム4の前方端部に設けた回動フレーム先端ブラケット40に対し前後方向回動可能に設けられている。
図4、
図5は、ブレード部5の
図2に示すA−A断面を示したもので、
図5はブレード本体50上方部を前方に傾倒させた状態を示している。
【0025】
ブレード本体50と回動フレーム先端ブラケット40は、回動フレーム先端ブラケット40に前後回動自在に取付けられる前後回動ブラケット47と前後回動ブラケット47に水平方向回動自在に取付けられブレード本体50を固着させたブレード水平回動ブラケット52によって連結されている。回動フレーム先端ブラケット40と前後回動ブラケット47は、前後回動ブラケット47の下方側に設けた進行方向と直交する方向の水平軸の前後回動支点軸41によって上方側が前後に揺動自在に連結されている。一方、ブレード本体50の左右中間部後面には、回動フレーム4側と連結するための取付ブラケット500が固着して設けられていて、前記前後回動ブラケット47に垂直方向に設けたブレード水平回動軸53によって水平方向回動自在に設けたブレード水平回動ブラケット52が取付けられている。ブレード水平回動ブラケット52には、ブレード本体50の取付ブラケット500が取付ピン54によって固着され取り付けられている。この構成によって、ブレード本体50は前後及び左右に回動可能な構造となっている。ブレード本体50は、取付ピン54を外すと、取外しできる。
【0026】
前後回動ブラケット47は、側面視前方に解放部を有したコ字状となっていて、コ字状内側にブレード水平回動ブラケット52が嵌挿され、ブレード水平回動軸53が垂直方向に両者を貫通した状態で保持されてブレード水平回動ブラケット52が水平方向回動自在となっている。また、回動フレーム4とブレード水平回動ブラケット52には電動シリンダ42が架け渡されている。電動シリンダ42は、基部側が回動フレーム4側に取付けられ、伸縮ロッドの先端部側がブレード水平回動ブラケット52側にそれぞれ水平回動及び上下回動自在に取付けられている。電動シリンダ42の基部側は、回動フレーム4に垂直方向に固着したシリンダ揺動軸45に一端を挿入した揺動ブラケット43の他端に電動シリンダ42の基部を水平方向のシリンダ基部軸44によって取付けている。伸縮するロッドの先端部側は、ブレード水平回動ブラケット52のブレード水平回動軸53中心より側方へオフセットした位置に連結されている。
図10は電動シリンダ42の伸縮するロッドの先端部側の断面を示したものである。電動シリンダ42は、ブレード水平回動ブラケット52に揺動ピン48を介して取り付けられている。揺動ピン48は、下向きのU字状のプレートとU字状のプレートから上方に垂設した軸部で構成されていて、U字状のプレートの内側に電動シリンダ42の伸縮するロッド端部が嵌合され進行方向と直交する水平方向にシリンダ可動端軸49が貫通して挿入されて電動シリンダ42を連結している。一方、上方に垂設した軸部をブレード水平回動ブラケット52のボス部に挿入して、水平方向回動自在に連結している。電動シリンダ42を伸縮することによって、回動フレーム先端ブラケット40の前後回動支点軸41を中心に前後回動ブラケット47、ブレード水平回動ブラケット52及びブレード本体50が前後に回動する。
【0027】
前後回動ブラケット47には、コ字状外側上方部に位置してブレード水平回動ロックピン55が設けられていて、ブレード水平回動ブラケット52の水平回動を固定および固定解除する。ブレード水平回動ロックピン55は、前後回動ブラケット47のコ字状外側から前後回動ブラケット47内側に嵌挿されているブレード水平回動ブラケット52側に出没自在となっていて、ブレード水平回動ブラケット52に設けた固定孔に挿通させることによってブレード水平回動ブラケット52の前後回動ブラケット47に対する水平回動を固定する。固定孔は、ブレード水平回動ブラケット52に取付けられたブレード本体50が平面視進行方向と直交する位置と、左右に傾斜した状態の位置に固定できるように設けられている。
【0028】
ブレード水平回動ロックピン55は、
図6、
図7に示すように、前後回動ブラケット47に垂設したボス470に内挿されスプリング56によって下方に付勢されている。スプリング56は、ボス470に内挿され、ボス470の上方入り口側をストッパ58によって止められて押圧されブレード水平回動ロックピン55をブレード水平回動ブラケット52側に付勢している。ストッパ58は、ボス470に水平方向に設けた止めネジ59によって固定されている。また、ブレード水平回動ロックピン55にはコントロールケーブル57の一端が連結されており、他端は、操作ハンドル60に設けた回動操作部65のロックピン操作レバー650に連結されていて、ロックピン操作レバー650を操作することによって、ブレード水平回動ロックピン55をブレード水平回動ブラケット52側に出没させることができる構造となっている。
【0029】
ブレード本体50を前後に回動させるときは、ブレード水平回動ロックピン55によってブレード水平回動ブラケット52の前後回動ブラケット47に対する水平回動をロックした状態で行い、電動シリンダ42の伸縮によって任意の位置で回動位置を調整して作業が行える。この構造により、ブレード本体50部で雪を押して行き、押し終わった後に後退する前にブレード本体50を前方に回動させ雪を押圧することが可能であり、押圧することによりブレード本体50から雪が離れ、後退しても盛り上げられた雪が崩れることがなく効率よい除雪作業が行える。
【0030】
また、ハンドル部6を保持した状態でブレード水平回動ブラケット52の回動を解除して電動シリンダ42を伸縮させると、回動抵抗がブレード本体50の前後方向の回動より水平方向の回動抵抗が少ないため、ブレード水平回動ブラケット52がブレード水平回動軸53を中心に水平回動する。ブレード水平回動ブラケット52にはブレード本体50が固着されているため、ブレード本体50がブレード水平回動軸53を中心に
図5に示すように平面視前後に回動する。ブレード本体50を平面視前後に回動させ傾斜させることによって、雪をブレード本体50の側方から連続的に放出して側方に筋状に盛り上げることができる。
【0031】
図8は、操作ハンドル60後端部に設けた回動操作部65を示したもので、走行切換レバー63を設けた操作パネル64部の操作ハンドル60を挟んで外側に設けられていて、ロックピン操作レバー650とシリンダ操作スイッチ652で構成されている。ロックピン操作レバー650は、前記前後回動ブラケット47に設けたブレード水平回動ロックピン55を操作するためのもので、操作ハンドル60に水平方向に設けた操作レバー回動軸651に前後方向回動自在に取付けられている。また、操作レバー回動軸651と回動端側のグリップとの間には、前記ブレード水平回動ロックピン55に連結されたコントロールケーブル57が連結されていて、ロックピン操作レバー650を後方に回動させると、ブレード水平回動ロックピン55がブレード水平回動ブラケット52側から抜けて、ブレード水平回動ブラケット52の回動が自由状態となる。
【0032】
シリンダ操作スイッチ652は、回動フレーム4とブレード水平回動ブラケット52に架け渡された電動シリンダ42を作動させ伸縮させるためのスイッチで、前方に倒すと電動シリンダが伸びて、後方に倒すと縮み、離すと中間位置の停止位置となる。
【0033】
制御部8には、バッテリとハンドル部6の電源スイッチ640と走行切替レバー63のスイッチと走行レバー62のスイッチとバッテリ残量計641とシリンダ操作スイッチ652と電動シリンダ42及び走行部2の左右の電動モータ21が配線されていて、各スイッチの操作により制御部8が電動モータ21を作動させる。操作ハンドル60の近傍の操作パネル64には、電源スイッチ640と前後進を切替える走行切換レバー63が設けられ、操作ハンドル60の左側のグリップ61部には走行レバー62が設けられ、グリップ61とともに握ると走行レバー62の基部に設けた走行レバースイッチがONされ制御部8が電動モータ21を回転させて走行が行われる。電源スイッチ640は、バッテリ75からの電源をON・OFFさせるためのもので、ONさせると制御部8及び電動モータ21の作動が可能になる。走行切換レバー63は、中間部に中立位置が設けられ、前方に傾倒させると前進、後方に傾倒させると後進方向に電動モータ21が回転するようになっていて、走行切換レバー63の基部に設けられ連動して作動する切換レバースイッチによって制御部8を切替える。操作パネル64に設けたバッテリ残量計641は、バッテリ75の電気容量の残量状態を示すメータである。
【0034】
制御部8は、バッテリ部7にカプラによって接続することにより通電される。バッテリ部7は別に設けた充電器により充電が可能で、充電カプラを備える。家庭用電源コンセントに接続し、充電カプラをバッテリ部7の連結カプラに接続することにより行なう。バッテリ部7は簡単に着脱できるため、冬場でも室内において比較的暖かいところで充電が可能であることから、充電効率もよく容易に充電作業が行なえる。
【0035】
バッテリ部7の上方の前方部に設けた夜間作業用のライト74は、該ライト74近傍に設けたライトスイッチをON/OFFすることにより使用することができる。また、バッテリ部7を本体フレーム3から取出した状態でも内蔵するバッテリからの電源が連結されているため、ライト74の使用が可能となっている。バッテリ部7は取手72が備えてあり希望の場所に容易に移動可能であるため、多目的に使用することができる。このため、冬季間の除雪作業の使用のみならず季節を問わず活用が可能となる。
【0036】
また、本機はエンジンを使用しない電動除雪機であるため、エンジン音が発生せず、市街地等において騒音による近隣への迷惑をかけずに作業が可能であり、作業時間帯等の制約がなく効率よく作業ができる。
【0037】
バッテリ部7の取外しは、バッテリケース70前方部の固定レバー73を回動させて固定を解除後、取手72を持って前方に本体フレーム3上をスライドさせる。これによりガイドピンとピン孔との連結を解除する。また、制御部8との連結カプラの連結を解除する。次いで垂直方向に持上げて取り外す。バッテリ部7の連結は前記とは反対の動作であり、挿入して本体フレーム3上に載せ、次いで後方にスライドさせ制御部8側に当接させる。これにより、ガイドピンとピン孔とを嵌合させる。その後固定レバー73によりバッテリ部7を本体フレーム3に固定する。
【0038】
本発明の歩行型ブレード除雪機1で除雪作業を行なうには、操作ハンドル60の操作パネル64に設けた電源スイッチ640をONにし、走行切換レバー63を前進又は後進に切替えて、操作ハンドル60の左右のグリップ61を握り、左側のグリップ61部に設けた走行レバー27をさらに握ると、制御部8は左右のクローラベルト20部の駆動輪23を駆動する電動モータ21を回転させ、クローラベルト20を駆動して移動させる。移動の際は、グリップ61部を少し押し下げて前方の除雪用ブレード部5を少し地面から上昇させ移動を行なう。操作パネル64には、バッテリ残量計641が設けられていて、バッテリ75の残量を知ることができる。
【0039】
目的の除雪場所に移動させ、走行切換レバー63を前進方向に切換え、前方の除雪用ブレード部5を雪面に接地させ、左右のグリップ61を握るとともに走行レバー62を握り前進させる。
図9の(a)に示すように、前進すると、ブレード本体50下端部のスクレーパ51が前方の雪に食込み順次雪を除雪用ブレード部5のブレード本体50前面に沿って上昇させ前方に湾曲した上方部から前方に順次落とし込んで集雪していく。次第に除雪用ブレード部5に雪が堆積してきたら、操作ハンドル60を少し押し下げるとともに、シリンダ操作スイッチ652を操作して電動シリンダ42を伸ばしてブレード本体50を前方に傾斜させる(
図9(b))。ブレード本体50を前方に傾斜させて雪を押圧することによって、雪がブレード本体50から離れやすくなるとともに、盛り上げられた雪が固められて崩れにくくなり効率よく除雪が行える。次に、電動シリンダ42を縮めてブレード本体の傾斜を戻し(
図9(c))、走行切換レバー63を後進に切換えて後退する。この動作を繰り返して除雪作業を行なう。また、操作ハンドル60のロックピン操作レバー650を操作して前後回動ブラケット47のブレード水平回動ロックピン55を解除し、シリンダ操作スイッチ652によって電動シリンダ42を伸縮させると、ブレード本体50が進行方向に対し平面視直交した状態から傾斜した状態となり、前進することによりブレード本体50の一側端部から側方に連続的に雪を排出して、側方に筋状に雪を盛り上げることができる。除雪条件によって各切換を行って作業を行う。