(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
荷箱を搭載した車両には、土砂等の運搬だけでなく、建設機械等の運搬も行うものがあり、荷箱に対して、土砂等の排出動作(ダンプ動作)や接地する程度まで後方スライド動作を可能とする油圧式の駆動装置が設けられている。
【0003】
荷箱は、床面部に対してフロントパネル、左右のサイドゲート及びテールゲートが立設されてなる。例えば、
図6(a)に示す荷箱90においては、テールゲート91は下側の下部ヒンジ92と上側の上部ヒンジ93によって起立姿勢で固定されている。
【0004】
荷箱90に土砂が積載されているとき、この土砂は荷箱90のダンプ動作によって車両後方に排出される。ダンプ操作の際、下部ヒンジ92によるロックが解除され、テールゲート91は
図6(b)のように上部ヒンジ93を回転中心にして下開きされる(矢印A91)。一方、荷箱90に建設機械が積まれているとき、この建設機械は荷箱90の後方スライド動作によって積みおろしが可能となる。この後方スライド動作の際、上部ヒンジ93によるロックが解除され、テールゲート91は下部ヒンジ92を回転中心にして上開きされる(矢印A92)。
【0005】
下部ヒンジ92及び上部ヒンジ93は、単に起立姿勢のテールゲート91を固定するだけでなく、テールゲート91の上開き又は下開きの動作を支持する支持部材でもあり、その支持強度を向上できる構成も紹介されている(特許文献1及び特許文献2)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
建設機械が積みおろしされる上記荷箱90に関して、渡し板として利用されるテールゲート91を建設機械が移動することで、上部ヒンジ93が経年変化する恐れに着目した。
【0008】
図6(b)のとおり、係合アーム931の端部に固定された係止ピン932と、テールゲート91が起立状態のときに係止ピン932を係止する係止ブラケット933とを有している。なお、荷箱90の左右後部には固定柱94が立設されており、係止ブラケット933は固定柱94の上部に固定されている。
【0009】
また、テールゲート91は固定柱94の後方で起立するため、係合アーム931は上部がL91の長さだけ前方に張り出す。さらに、係止ピン932は、
図6(c)のとおり、係止アーム931の上部で車両幅方向外側に突出して設けられているため、係止アーム931の下方側ほど内側に張り出す厚肉部931aが設けられている。
【0010】
しかしながら、この厚肉部931aによって建設機械の積みおろしに必要な開口幅L900がテールゲート91の車両幅方向の長さL92よりも小さくなる。開口幅L900が小さいほど、荷箱90に積載できる建設機械の大きさも制限されてしまう。
【0011】
特に、開口幅L900が小さいと、建設機械に対して荷箱90の車両幅方向における内寸法に余裕がない場合に、建設機械が厚肉部931aを踏みつけてしまうことがある。この厚肉部931aはテールゲート91の上端部からさらに上方に張り出しており、テールゲート91が上開きされた状態だと、その張り出し部分である厚肉部931aが建設機械によって踏みつけられる負荷を直接受ける。こうした建設機械による踏みつけが繰り返されると、厚肉部931aが損傷して係合アーム931に強度低下が生じる恐れがある。また、厚肉部931aや係合アーム931が変形すると、係止ブラケット933に対する係止ピン932の相対位置が僅かに変化し、上部ヒンジ93の係合に関する円滑操作が困難となって煩雑になる恐れもある。
【0012】
本発明は、これらの点を鑑みてなされており、車両に搭載された荷箱に対して、建設機械の積みおろしに対する開口幅を大きくし、テールゲートを介して建設機械の荷箱への積みおろしが可能で、経年変化を抑制できる上部ヒンジを備えた「車両に搭載された荷箱」の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明では、「車体枠上に設けられた駆動装置によって、当該車体枠上で傾動及びスライドされる車両に搭載された荷箱」を対象とし、上記課題を解決するために以下の第1又は第2の手段を用いる。
【0014】
第1の手段として、床面部に対して上開き及び下開きが可能なテールゲートと、床面部の左右それぞれの後方部で当該床面部に対して立設される立設部と、左右それぞれの前記立設部に設けられるとともに前記テールゲートの上開き規制及び前記下開きされる前記テールゲートの下開き支持が可能な係合部と、テールゲートの側部に固定されて前記係合部と係合する被係合部とを備えた構成にする。この構成において、被係合部は、テールゲートの側部に対して溶着された支持部と、当該支持部に対して車両幅方向外側に突出するとともに上開き規制及び下開き支持の際に係合される突出部を有し、支持部は、テールゲートの後面部に対して溶着がなされる溶着部と、テールゲートの上端面部に対して略垂直方向に交差状態で張り出される張出部とを有する構成とする。
【0015】
また、テールゲートの上部における側方部位には後方側が開口された状態の切り欠き部が設けられており、被係合部は、前記支持部が前記切り欠き部に位置するように設けられている構成としても良い。
【0016】
また、溶着部は、前記後面部に対する第1溶着部と、テールゲートの前面部に対する第2溶着部と、テールゲートの上端面部に対する第3溶着部とを有する構成にしても良い。
その他にも前記支持部は1枚板状の金属体であり、前記突出部は前記金属体の上部に設けられている構成にしても良い。
【0017】
次に、第2の手段として、床面部に対して上開き及び下開きが可能なテールゲートと、床面部の左右それぞれの後方部で当該床面部に対して立設される立設部と、左右それぞれの前記立設部に設けられるとともにテールゲートの上開き規制及び下開きされるテールゲートの下開き支持が可能な係合部と、テールゲートの上部に固定されて前記係合部と係合する被係合部とを備えた構成にする。この構成において、係合部は、一端が立設部側に支持されて当該支持された部位を中心に上下回動可能なアーム部を有し、被係合部は、テールゲートに対して車両幅方向外側に突出する突出部を有し、アーム部は、上開き規制及び下開き支持の際に突出部を係止する係止部を有するとともにテールゲートの上端面部に対して略垂直方向に交差状態で張り出された状態となるように設けられている構成とする。
【0018】
また、前記立設部には、上端部の一部が切り欠かれてなる部位が設けられ、前記係止部は、少なくとも車両走行状態において前記切り欠かれてなる部位に位置するとともに、前記切り欠かれてなる部位に対し、前記アーム部の上下回動によって収容状態又は脱出状態のいずれかに切り替え可能に設けられている構成としても良い。
【発明の効果】
【0019】
傾動及びスライドが可能な状態で車体枠に搭載されるとともに、上開き及び下開きが可能なテールゲートを備えた本発明の「車両に搭載された荷箱」であれば、テールゲートの上方領域ではテールゲートに対して略鉛直かつ交差状態で被係合部又は係合部が張り出すだけの構成となるので、建設機械の積みおろしに必要な開口幅を大きく確保できる。
【0020】
また、開口幅を大きく確保することで、建設機械の積みおろしの際に、建設機械によって被係合部及び係合部が踏みつけられることもない。その結果、これら被係合部及び係合部の変形等を防止できるので、被係合部と係合部の係合を常に簡易かつ安定した状態にすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態の一例について、図面を用いて説明する。
【0023】
図1は、第1実施形態に係る車両DTの側面図を示している。この車両DTは、その前後方向を長手方向とする車体枠1と、その車体枠1に搭載された荷箱2と、車体枠1と荷箱2の間に設けられて荷箱2を車両後方側に傾動可能及びスライド可能な油圧式の駆動装置3とを有する。この車両DTは、
図1(a)のように、車体枠1の後部のヒンジ1aを介して荷箱2を車両後方に傾動可能(ダンプ可能)な状態、又は
図1(b)のように、荷箱2を車両後方にスライドさせてその後端を接地させることで、建設機械CTの積みおろしが可能なスライド状態にすることができる。なお、荷箱2は、傾動可能な状態又はスライド状態のいずれの状態にする場合であっても、駆動装置3におけるシリンダの伸長作動が行われる。
【0024】
荷箱2は、床面部(不図示)と、床面部の前端に立設されたフロントパネル(前壁)21と、床面部の左右に立設されて左右方向に回動可能なサイドゲート22と、床面部の後端に立設されて前後方向に回動可能なテールゲート23と、床面部の左右後部に立設された固定柱(立設部)24とを有する。
【0025】
テールゲート23は、荷箱2が傾動状態のとき(
図1(a))には、車両DTの側面から見て上部23aはロック状態で下部23bが回動する下開き動作が行われる。このとき、荷箱2に積載された土砂等の排出が行われる。また、テールゲート23は、荷箱2がスライド状態のとき(
図1(b))には、同じく側面から見て下部23bはロック状態で上部23aが回動する上開き動作が行われる。このとき、荷箱2に対する建設機械CTの積みおろしが行われる。
【0026】
テールゲート23の上開き動作又は下開き動作の切り替えは、上部23aと下部23bのそれぞれでのロック操作又はロック解除操作が必要となる。なお、上部23aの各操作は作業者の手動によって行われ、下部23bの各操作は車両DTに備えられた既知の機構(例えば、特開2009−184620号(
図1)など)によって機械的に行われる。
【0027】
テールゲート23は、土砂等が積載される荷箱2の一部であるとともに建設機械CTの渡し板でもあるので、所望の強度を有する重量物となっている。そのため、上開き動作(
図1(a))において、テールゲート23の上部23aは安定した強度でロックされており、そのロック状態は
図1(c)のとおりとなる。当図は水平状態の荷箱2を車両後方側から見た後面図である。テールゲート23及び固定柱24には、テールゲート23の上部23a側をロックする上部ヒンジ25が設けられており、床面部の後端部から下垂するテールパネルTPとテールゲート23には、テールゲート23の下部23bをロックする下部ヒンジ26が設けられている。なお、車両DTが走行状態のときなどでは、テールゲート23は図示のとおり、起立状態で上部23a及び下部23bのいずれもロックされている。
ここで、上部ヒンジ25の構成について
図2を用いて具体的に説明する。
【0028】
上部ヒンジ25は、
図2(a)に示すとおり、立設部である固定柱24の上部24aから突出するように固定された係合部251と、テールゲート23の上部23aにおいて車両幅方向の側部に固定された被係合部252とを左右それぞれに備えている。テールゲート23が起立状態のときに、係合部251による被係合部252への係合操作が作業者によって行われることで、テールゲート23の上部23aがロック状態とされる。
【0029】
係合部251は、板状の2枚のホルダ2511が左右に重ね合わせられてなり、その上部に略U字状に切り欠かれて車両後方側に開口した溝部2512を有する。さらに、係合部251は、上下に回動可能で当該回動によって溝部2512の開口部分を遮蔽状態又は開口状態に切り替え可能なハンドル2513も有する。ハンドル2513は、作業者が把持する棒状の把持部2513aと、把持部2513aの先端に固着された略C字状の回転部2513bとを有する。なお、溝部2512の内周縁部には、回転部2513bが車両幅方向を軸方向として回転可能にガイドするガイド部(不図示)が設けられており、作業者が把持部2513aを上下回動させることで、回転部2513bによって溝部2512の開口部分の遮蔽状態又は開口状態が切り替えられる。
図2(b)は
図2(a)の拡大図であり、係合部251と被係合部252との係合状態についてさらに詳細に説明する。
【0030】
被係合部252は、車両幅方向と略垂直方向に交差するようにテールゲート23の上方側に張り出した1枚の平板状の支持プレート2521と、張り出した支持プレート2521の上部において車両幅方向外側に突出状態で固定された係止ピン2522とを有する。係止ピン2522は、テールゲート23が起立状態のときに上述の溝部2512の開口部分から内周縁部側に収納される位置及び大きさで設けられている。係止ピン2522の収納状態のときにハンドル2513を操作して溝部2512の開口部分を遮蔽することで、係止ピン2522は、係合部251に咥え込まれるような挟持状態で係止される。つまり、この係止によって、係合部251は被係合部252に係合されて、テールゲート23の上部23aがロック状態となる。つまり、支持プレート2521が被係合部252が係合部251に係合される際の支持部として機能し、係止ピン2522が係合部251に係止される突出部として機能する。なお、このロック状態を解除操作する際には、ハンドル2513を操作して回転部2513bの開口部分を溝部2512の開口部分に略一致させることで、係止ピン2522がその開口部分から外方に脱出可能とする。
【0031】
テールゲート23の上部23aには、車両幅方向端部が切り欠かれてなる切り欠き部230aが設けられており、支持プレート2521はこの切り欠き部230a内で固定されている。テールゲート23は金属板の折り曲げ加工によって形成されており、本実施形態では折り曲げ加工時において、折り曲げ加工後のテールゲート23の上部23aの端部が上方及び側方に開口しつつ、前後に貫通した状態となるように予め切り欠き部230aが設けられている。
【0032】
支持プレート2521は、図示のようにテールゲート23の上部23aの隅部で矩形状の切り欠き部230aに一部が挿入された状態で設けられており、上部23aに溶着される溶着部25211と、溶着部25211より上側に位置して車両幅方向と略垂直方向に交差状態で張り出した張出部25212とを有する。
【0033】
溶着部25211は、テールゲート23の上部23aのうち、起立状態で車両後方側を向いた後面部に対して溶着される第1溶着部25211aと、同状態で車両前方側を向いた前面部に対して溶着される第2溶着部25211bと、同状態で鉛直上側を向いた上端面部に対して溶着される第3溶着部(不図示)とを有する。支持プレート2521が、テールゲート23に対して上記の各面部と溶着されることによって、支持プレート2521は、テールゲート23に対して大きな接合強度を得ることができる。また、こうした接合強度を有していることで、係止ピン2522から支持プレート2521が張り出し長さH1(
図2(a)参照)だけ張り出しつつ、テールゲート23の下開き動作時を行った場合であっても、吊下状態のテールゲート23に対して所定の接合強度を有することができる。こうしたテールゲート23は、土砂等を排出する荷箱2の傾動時(
図1(a)参照)に、下部ヒンジ26によるロックが機械的に解除されて下開き動作が行われる。このとき、テールゲート23は、上部ヒンジ25によって安定した吊下状態となる。
【0034】
さらに、図示する平板状の支持プレート2521となっていることで、テールゲート23の両端部寄りの上方側に、車両幅方向を長手方向とした水平なテールゲート23の上部23aと、上部23aから略垂直に交差する方向に突出した被係合部252(支持プレート2521)とで挟まれて支持プレート2521に隣接する部分に開放スペースSが形成されている。この開放スペースSは、建設機械の積みおろしに必要な開口幅L1をテールゲート23の幅L2と比較してほとんど変わらない程度、具体的には、左右の支持プレート2521の厚みD1程度しか変わらない大きさにできる。また、係止ピン2522は車両幅方向内寄りの支持プレート2521だけで支持されているので、被係合部252としての車両幅方向における設置領域も抑制でき、開口幅L1の大きさを確保する点でも好ましい。
また、係止ピン2522の支持に支持プレート2521以外の支持部材を別途設置する必要もなく、テールゲート23の重量増加を防止できる。
【0035】
その他、上述した開口幅L1を確保しつつ、係止ピン2522を支持する支持プレート2521は、車両幅方向内側にだけ設けられた構成なので、固定柱24よりも被係合部252が車両幅方向外側に位置することがなく、車両DTの幅寸法Wdtが大きくなることを防止できる。
【0036】
こうした開口幅L1を有する車両DTは、建設機械CTの積みおろしの際に、建設機械CTによって被係合部252が踏みつけられることを回避できる。建設機械CTの積み下ろし時(
図1(b)参照)には、作業者が手動で上部ヒンジ25のロックを解除し、テールゲート23を上開きする。建設機械を運転する運転手は渡し板となるテールゲート23を確認しながら、建設機械CTの積みおろしを行う。このとき、テールゲート23に対して微小面積しか有さない被係合部252まで視認しながらの運転は困難となるが、上述の開口幅L1が確保されていると、ほぼテールゲート23を確認するだけでも建設機械CTが被係合部252と干渉することがない。そのため、被係合部252の損傷や変形も防止できる。その結果、支持プレート2521の上部に設けられた係止ピン2522もテールゲート23や係合部251との相対位置が変化しない。したがって、係止ピン2522は、安定して溝部2512の適所に収納される。係止ピン2522が適所に収納されるので、作業者はハンドル2513の操作に関して不測の負荷が生じないので、円滑で簡易な操作を行うことができる。また、適所に係止ピン2522が収納された状態であれば、テールゲート23の上部23aを常に安定したロック状態にすることもできる。つまり、テールゲート23の上開き動作の規制及び下開き動作の支持に関して、所定レベルを安定して維持できる。
【0037】
特に、
図2(c)で示すように車両DTでは、係合部251と被係合部252が、車両前後方向において車両後端部からL4の長さの大きさ分だけ前方側で係合する構成を備えている。なお、
図2(c)では支持プレート2521の形状説明のため、支持プレート2521のみを実線で示し、他の部位は一点鎖線で示している。
【0038】
この長さL4を有する構成は、荷箱2が傾動してテールゲート23が下開きする際(
図1(a)参照)に、その下開き角度が大きくする効果を奏するものとなっている。その構成に伴って、支持プレート2521は、図示のとおり、テールゲート23の側面と重畳する第1プレート部2521sと、第1プレート部2521sから上側でさらに前側に延出した第2プレート部2521tと、第1プレート部2521sから前側に延出した第3プレート部2521uとを有する形状となる。本実施形態では、上述した第1溶着部25211aは第1プレート部2521sの車両後方端部、第2溶着部25211bは第2プレート部2521tの下端部、第3溶着部25211cは第3プレート部2521uの車両後方側端部となっている。
【0039】
支持プレート2521は、切り欠き部230aを備えているので、第2溶着部25211bや第3溶着部だけでなく、第1溶着部25211aも有することができるので、テールゲート23に対する接合強度が大きくなる。
【0040】
なお、本実施形態では切り欠き部230aは隅部に設けられた矩形状としたが、同じテールゲート23の上部23aで前後方向及び上方向に開口した凹状のスリット230aとしても良い。このとき、スリット230aは、支持プレート2521の厚みD1と略同じ大きさの幅を有しており、このスリット230a支持プレート2521が差し込まれた構成となる。切り欠き部230aがいずれの形状であっても、その後方端面2521Rが露出状態となっていれば良い。また、
図2(c)では支持プレート2521は車両後方側には突出せずにテールゲート23と略面一状態となっているが、僅かであれば前後方向にずれた位置に後方端面2521Rが設けられた構成でも良い。その他、本実施形態に係る支持プレート2521は1枚の金属プレートからなるが、薄膜の金属プレートが複数枚重ね合わされてなるものでも良い。
【0041】
また、本実施形態では、切り欠き部230aに支持プレート2521を挿入して溶着される構成としたが、
図3の各変形例に示す支持プレート3521、4521が適宜用いられた構成にすることもできる。
【0042】
まず、
図3(a)の側面図に示すように、テールゲート23の厚みD10に対してその一部となる長さL31の深さの溝形状の切り欠き部230bがテールゲート23に設けられ、その切り欠き部230bに支持プレート3521の一部となる下垂後部3521aが挿入された構成にすることもできる。
【0043】
下垂後部3521aはテールゲート23の後面部に対して溶着される第1溶着部(不図示)を有している。また、溝形状の切り欠き部230bにおける底面部2301bに対して溶着される第4溶着部3521dも有している。第1溶着部、又は第4溶着部3521dを有することで、上述した形態と同様に高い接合強度を得ることができる。
【0044】
次の変形例として
図3(b)の後面図に示すように、テールゲート23の側面部に対して支持プレート4521が固定された構成にすることもできる。なお、
図3(b)では説明の便宜上、支持プレート4521に斜線を付して表示している。
【0045】
図示のとおり、支持プレート4521はテールゲート23の高さHtの分だけ車両側方から見て重畳する重畳部を有しており、当該重畳部においてテールゲート23の後面部に対して溶着される第1溶着部を有し、テールゲート23の上端面部に対して溶着される第2溶着部、テールゲート23の前面部に対して溶着される第3溶着部とを有している。
【0046】
当該変形例においては、溶着領域(鉛直方向の長さ)が大きくなるのでさらに大きな接合強度を得ることができる。また、テールゲート23が切り欠き部230a、230bが設けられた構成を回避することができるので、テールゲート23自体の耐久性能の向上にもつながる。
【0047】
次に、本発明の第2実施形態に係る係合部及び被係合部で構成される上部ヒンジについて、
図4を用いて説明する。なお、本実施形態では、第1実施形態と比較して、主に係合部及び被係合部の構成が異なるため、その異なる部分を中心に説明するものとし、同様の構成については同じ符号を用いている。
【0048】
図4(a)の要部側面図に示すように、上部ヒンジ45は係合部451と被係合部452を有し、立設部となる固定柱44と起立状態のテールゲート23の上部に設けられている。固定柱44の後方側上部には矩形状の切り欠き部441が設けられており、この切り欠き部441において、係合部451と被係合部452が係合されてなる。
【0049】
図4(b)の後面図に示すように、係合部451は、2枚のプレート部材4511aが対向配置されてなる略L字状のアーム4511と、アーム4511の一端部において上下回動可能に設けられたハンドル4512とを有する。なお、固定柱24の上部には支持基部となる支持ブラケット451aが固定されており、この支持ブラケット451aに対して、アーム4511はその他端部(回動基端部)において、軸部451bを中心に上下回動可能に連結されている。
【0050】
本実施形態でも係合部451と被係合部452の係合には、第1実施形態と同様に、溝部に係止ピンが収納されて、収納状態の係止ピンに対してハンドル操作で係止ピンを挟持状態とする機構が構成されているが、それぞれの部材が設けられている部位が第1実施形態とは異なっている。
【0051】
本実施形態に係る溝部4511cは、アーム4511の一端部側(回動先端側)に設けられており、テールゲート23が起立状態の際に切り欠き部441に位置している。ハンドル4512は、把持部4512aと回転部4512bを有しており、この回転部4512bが車両幅方向を軸方向として回転可能であるとともに溝部4511cの内周縁部に設けられたガイド部(不図示)に沿った状態で設けられている。つまり、溝部4511cは、アーム4511の上下回動に伴って切り欠き部441に収容状態又は脱出状態に切り替え可能で、ハンドル4512はこの溝部4511cの回動とともに移動する。なお、回転部4512bは、側面から見てこの溝部4511cと略同じ位置において、2枚のプレート部材4511aに挟設されている。
【0052】
被係合部452は、テールゲート23の車両前方面に溶着された基部4521と、この基部4521からさらに車両幅方向外側に突出する上記の突出部4522とが一体的に連設されてなる。基部4521は、断面略半円状で車両幅方向を長手方向とする形状で平坦部分がテールゲートの車両前方面に当接した状態で溶着されており、突出部4522は、断面略円状で車両幅方向を長手方向とする形状を有している。この突出部4522が、上述した溝部4511cに収納される係止ピンとなって係合部451と被係合部452の係合に機能する。
【0053】
係合部451及び被係合部452は、
図4(c)の拡大図に示すとおり、アーム4511が固定柱24の鉛直方向上側に突出し、被係合部452は突出部4522がテールゲート23の外側に突出するだけなので、第1実施形態と同様に起立状態のテールゲート23の上方領域において、アーム4511に隣接する開放スペースSが形成される。
【0054】
本実施形態では、溝部4511cと突出部(係止ピン)4522の係合位置が、基部4521と略一致する高さ位置となっており、当該係合位置がテールゲート23よりもさらに上側に張り出す構成を回避できる。したがって、車両幅方向を長手方向とする基部4521が設けられていても、当該基部4521をテールゲート23から上方に張り出す構成とせずに、車両前方面に直接溶着された構成にでき、建設機械CTに踏みつけられた場合でもその負荷を簡易にテールゲート23に分散させることができる。つまり、第1実施形態と同様に、上部ヒンジ45の経年変化を防止でき、溝部4511cに対する突出部4522の相対位置の変化を防止できる。その結果、テールゲート23の上開き動作の規制及び下開き動作の支持が所定レベルを安定して維持できる。なお、基部4521に関しては、テールゲート23の車両前方面に溶着された構成としているが、当該車両前方面又はテールゲート23の側面部に切り欠き部を設けて、基部4521が当該切り欠き部に収納されることで、基部4521がテールゲート23の車両前方面に対して露出しない構成にしても良い。
【0055】
また、本実施形態に係るテールゲート23でも、上述した被係合部452以外の支持部材を別途設置する必要もなく、テールゲート23の重量増加を防止できる。
【0056】
その他、上述した開口幅L1を確保しつつ、突出部(係止ピン)4522は車両幅方向内寄りの位置でテールゲート23に溶着されているだけなので、固定柱24よりも被係合部252が車両幅方向外側に位置することがなく、車両DTの幅寸法Wdtが大きくなることを防止できる。
【0057】
さらに本実施形態によれば、テールゲート23が下開き動作する際のテールゲート23の開き角度を大きくでき、荷箱2に積載される土砂等の排出性能を向上できる。その詳細について
図5の模式図を用いて説明する。
【0058】
荷箱2の傾動時、
図5(a)のように固定柱44が矢印A1に沿って時計回りに回転し、この回転に伴って軸部451bを中心にアーム4511が矢印A2に沿って反時計回りに回動する。このアーム4511の回動によって、テールゲート23も矢印A2に沿って下開き動作する。このときのテールゲート23の第1次開き角度、具体的には傾動状態の荷箱23に対するテールゲート23の下開き動作の角度は、軸部451bに対する係合部451、被係合部452、及びテールゲート23の全体における重心位置によって決定される。
【0059】
また、テールゲート23は、軸部451bだけではなく係合部451と被係合部452との係合部分によっても下開き動作が支持されている。そのため、
図5(b)のように、テールゲート23はさらに被係合部452を中心にして矢印A3に沿って回転する。このときの第2次開き角度、具体的には第1次開き角度に対してさらなるテールゲート23の下開き動作の角度は、被係合部452に対するテールゲート23の重心位置によって決定される。また、重心位置だけでなく、排出される土砂等に押される場合でも、テールゲート23がさらに車両後方側に下開きできるので好ましい。車両DTが車両後方側に下がる傾斜地に停車する場合でも、本実施形態に係る構成であれば、さらに下開きが行われるので好ましい。なお、第2次開き角度に至る際には、テールゲート23の姿勢変更によって上述した第1次開き角度も僅かに拡大される。
【0060】
したがって、本実施形態に係る係合部451及び被係合部452によって、荷箱2の傾動角度(ダンプ角度)を大きくすることなく、テールゲート23の開き角度を大きくできる。なお、上記傾動角度を大きくすることがないので、荷箱2の傾動に基づく車両DTの転倒防止状態を維持できる。
【0061】
本実施形態では、軸部451b及び突出部(係止ピン)4522によって、テールゲート23の下開き動作の回転中心を2つ有する構成としたが、軸部451b及び突出部4522の位置に関しては、車両DTの幅寸法Wdtを超えない範囲において、適宜変更可能である。また、アーム4511も略L字状に限定するものではなく、軸部451bを低くして突出部4522と略同じ高さ位置とすることで、テールゲート23が起立状態の際に車両前後方向を長手方向として水平状態の形状としても良い。
【0062】
以上のとおり、本発明に係る「車両DTに搭載された荷箱2」は、車両後方側に傾動する構成としたが、車両側方側に傾動するものにも適用できる。また、サイドゲート22は左右方向に回動可能な構成としたが、回動不能で常時起立状態のサイドゲートとしても良い。なお、この場合、固定柱24が設けられていない荷箱として、サイドゲートの後部に上述した上部ヒンジ(ホルダ2511、又は支持ブラケット451a若しくはアーム4511)などが設けられた荷箱としても良い。