特許第6576023号(P6576023)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ コナミゲーミング インコーポレーテッドの特許一覧

特許6576023ゲーミングマシン、ゲームの提供方法およびプログラム
<>
  • 特許6576023-ゲーミングマシン、ゲームの提供方法およびプログラム 図000002
  • 特許6576023-ゲーミングマシン、ゲームの提供方法およびプログラム 図000003
  • 特許6576023-ゲーミングマシン、ゲームの提供方法およびプログラム 図000004
  • 特許6576023-ゲーミングマシン、ゲームの提供方法およびプログラム 図000005
  • 特許6576023-ゲーミングマシン、ゲームの提供方法およびプログラム 図000006
  • 特許6576023-ゲーミングマシン、ゲームの提供方法およびプログラム 図000007
  • 特許6576023-ゲーミングマシン、ゲームの提供方法およびプログラム 図000008
  • 特許6576023-ゲーミングマシン、ゲームの提供方法およびプログラム 図000009
  • 特許6576023-ゲーミングマシン、ゲームの提供方法およびプログラム 図000010
  • 特許6576023-ゲーミングマシン、ゲームの提供方法およびプログラム 図000011
  • 特許6576023-ゲーミングマシン、ゲームの提供方法およびプログラム 図000012
  • 特許6576023-ゲーミングマシン、ゲームの提供方法およびプログラム 図000013
  • 特許6576023-ゲーミングマシン、ゲームの提供方法およびプログラム 図000014
  • 特許6576023-ゲーミングマシン、ゲームの提供方法およびプログラム 図000015
  • 特許6576023-ゲーミングマシン、ゲームの提供方法およびプログラム 図000016
  • 特許6576023-ゲーミングマシン、ゲームの提供方法およびプログラム 図000017
  • 特許6576023-ゲーミングマシン、ゲームの提供方法およびプログラム 図000018
  • 特許6576023-ゲーミングマシン、ゲームの提供方法およびプログラム 図000019
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6576023
(24)【登録日】2019年8月30日
(45)【発行日】2019年9月18日
(54)【発明の名称】ゲーミングマシン、ゲームの提供方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   A63F 5/04 20060101AFI20190909BHJP
   A63F 13/80 20140101ALI20190909BHJP
   A63F 13/52 20140101ALI20190909BHJP
【FI】
   A63F5/04 540
   A63F5/04 620
   A63F5/04 651
   A63F13/80 H
   A63F13/52
【請求項の数】15
【全頁数】29
(21)【出願番号】特願2014-164781(P2014-164781)
(22)【出願日】2014年8月13日
(65)【公開番号】特開2016-39888(P2016-39888A)
(43)【公開日】2016年3月24日
【審査請求日】2017年6月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】501405122
【氏名又は名称】コナミゲーミング インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100161425
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 鉄平
(72)【発明者】
【氏名】中村 大輔
【審査官】 三田村 陽平
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2004/0023714(US,A1)
【文献】 国際公開第2014/035815(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0190044(US,A1)
【文献】 特開2011−056078(JP,A)
【文献】 特開2008−036162(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0018868(US,A1)
【文献】 特開2011−004827(JP,A)
【文献】 特開2009−201946(JP,A)
【文献】 特開2008−228948(JP,A)
【文献】 特開2001−276302(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0111577(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 5/04
A63F 13/00−13/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プレイヤーの操作を受け付ける操作部と、
シンボルを有する複数のリールが表示されるディスプレイ部と、
前記操作部および前記ディスプレイ部と接続され、前記操作部をプレイヤーが操作したことに応じて前記複数のリールを回転および停止させ、停止した前記複数のリールにより前記ディスプレイ部に形成されたシンボルの組み合わせについて配当を支払う制御部とを備え、
前記複数のリールの少なくとも一つは、第一のシンボルセットから選ばれたシンボルを静的に表示する静的シンボル領域と、第二のシンボルセットに含まれるシンボルを表示するとともに前記複数のリールとは独立して回転および停止するサブリールを表示する動的シンボル領域とを有し、
前記制御部は、前記複数のリールを所定の方向に回転させつつ前記複数のリールの前記動的シンボル領域に表示された前記サブリールを前記所定の方向に回転させて前記動的シンボル領域内のシンボルを変動させる処理と、前記複数のリールを停止させる処理と、前記動的シンボル領域において前記サブリールを停止させて前記動的シンボル領域内のシンボルの変動を停止させる処理との組み合わせにより、前記ディスプレイ部に表示されるシンボルを変動させるゲーミングマシン。
【請求項2】
前記動的シンボル領域はそれぞれ一つのシンボルを表示する複数のセルからなり、
前記制御部は、当該セルに表示されたシンボルをそれぞれ変動させる請求項1に記載のゲーミングマシン。
【請求項3】
前記複数のセルは、前記少なくとも一つのリールに連続して配置されていることを特徴とする請求項2に記載のゲーミングマシン。
【請求項4】
前記サブリールは、三次元コンピュータグラフィックスにより立体的に表示されている請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のゲーミングマシン。
【請求項5】
前記制御部は、所定の条件に応じて前記動的シンボル領域をなすセルの数を変更する請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のゲーミングマシン。
【請求項6】
前記制御部は、リール毎に同じ種類のシンボルが表示されるように、前記サブリールを同期して回転および停止させる請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のゲーミングマシン。
【請求項7】
前記制御部は、前記ディスプレイ部に表示されている前記動的シンボル領域の全てが同じ種類のシンボルを表示するように、前記サブリールを同期して回転および停止させる請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のゲーミングマシン。
【請求項8】
前記制御部は、前記複数のリールを停止した後に前記サブリールの回転を停止する請求項1から請求項7のいずれか一項に記載のゲーミングマシン。
【請求項9】
前記第二のシンボルセットは、それぞれ配当に対して所定の倍率を付与する機能を有するシンボルを含む請求項1から請求項8のいずれか一項に記載のゲーミングマシン。
【請求項10】
前記第二のシンボルセットは、前記第一のシンボルセットのサブセットを含む請求項1から請求項8のいずれか一項に記載のゲーミングマシン。
【請求項11】
前記制御部は、トリガーイベントの発生に応じて、前記第二のシンボルセットに含まれるシンボルの種類を変更または追加する請求項1から請求項10のいずれか一項に記載のゲーミングマシン。
【請求項12】
前記制御部は、前記第二のシンボルセットにワイルドシンボルを追加する請求項11に記載のゲーミングマシン。
【請求項13】
所定の条件を満たしたときに提供される特別ゲームと、前記所定の条件を満たしていないときに提供される通常ゲームとを備え、
前記制御部は、前記特別ゲーム中は、前記複数のリールの回転中に前記動的シンボル領域に表示された前記サブリールを前記所定の方向に回転させて前記動的シンボル領域内のシンボルを変動させ、前記通常ゲーム中は、前記複数のリールの回転中に前記動的シンボル領域に表示された前記サブリールを回転させず前記動的シンボル領域内のシンボルを変動させない、請求項1から請求項12のいずれか一項に記載のゲーミングマシン。
【請求項14】
プレイヤーの操作を受け付ける操作部と、シンボルを有する複数のリールが表示されるディスプレイ部と、前記操作部および前記ディスプレイ部と接続された制御部とを備え、前記複数のリールの少なくとも一つは、第一のシンボルセットから選ばれたシンボルを静的に表示する静的シンボル領域と、第二のシンボルセットに含まれるシンボルを表示するとともに前記複数のリールとは独立して回転および停止するサブリールを表示する動的シンボル領域とを有するゲーミングマシンでゲームを提供する方法であって、
前記制御部が、
前記操作部がプレイヤーの操作を受け付けたことに応じて、前記制御部は、前記複数のリールを所定の方向に回転させつつ前記複数のリールの前記動的シンボル領域に表示された前記サブリールを前記所定の方向に回転させて前記動的シンボル領域内のシンボルを変動させる処理と、前記複数のリールを停止させる処理と、前記動的シンボル領域において前記サブリールを停止させて前記動的シンボル領域内のシンボルの変動を停止させる処理との組み合わせにより、前記ディスプレイ部に表示されるシンボルを変動させるステップと、
前記複数のリールの回転を停止する処理と、前記サブリールの回転を停止する処理との組み合わせにより、前記ディスプレイ部に表示されるシンボルを停止させるステップと、
前記ディスプレイ部に形成されたシンボルの組み合わせについて配当を支払うステップとを実行するゲームの提供方法。
【請求項15】
プレイヤーの操作を受け付ける操作部と、シンボルを有する複数のリールが表示されるディスプレイ部と、前記操作部および前記ディスプレイ部と接続され、前記複数のリールの少なくとも一つは、第一のシンボルセットから選ばれたシンボルを静的に表示する静的シンボル領域と、第二のシンボルセットに含まれるシンボルを表示するとともに前記複数のリールとは独立して回転および停止するサブリールを表示する動的シンボル領域とを有するコンピュータで実行されるプログラムであって、
前記コンピュータに、
前記操作部がプレイヤーの操作を受け付けたことに応じて、前記複数のリールを所定の方向に回転させつつ前記複数のリールの前記動的シンボル領域に表示された前記サブリールを前記所定の方向に回転させて前記動的シンボル領域内のシンボルを変動させる処理と、前記複数のリールを停止させる処理と、前記動的シンボル領域において前記サブリールを停止させて前記動的シンボル領域内のシンボルの変動を停止させる処理との組み合わせにより、前記ディスプレイ部に表示されるシンボルを変動させる機能と、
前記複数のリールの回転を停止する処理と、前記サブリールの回転を停止する処理との組み合わせにより、前記ディスプレイ部に表示されるシンボルを停止させる機能と、
前記ディスプレイ部に形成されたシンボルの組み合わせについて配当を支払う機能とを実現させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲーミングマシン、ゲームの提供方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
スロットマシンに代表されるゲーミングマシンは、手軽に楽しめるギャンブルを提供する機器としてカジノの顧客に人気が高く、近時の統計ではカジノでの売上の半数以上をゲーミングマシンによる売り上げが占めているという報告も一部でなされている。初期のスロットマシンは、コインの投入を受け付けて、ハンドル操作に応じて機械的に構成されたリールを回転および停止させ、単一のペイライン上に停止したシンボルの組み合わせにより勝敗を判定するという単純な機器であった。しかしながら、近時におけるゲーミングマシンは、コンピュータ制御されたステッピングモータで物理的なリールを高い精度で駆動するメカニカルスロットマシン、コンピュータに接続されたディスプレイで仮想的なリールを表示するビデオスロットマシン、または同様の技術を他のカジノゲームへ適用した各種ゲーミングマシンへと高度化が進んでいる。これらゲーミングマシンを開発するメーカーにとっては、ゲーミングマシンの機能性を向上するとともに、カジノ顧客をプレイヤーとして引き付ける力の強い魅力的なゲームを提供することが重要なテーマになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許8,574,059号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
以上のようなゲーミングマシンにおいては、複数行および複数列のマトリクス状にシンボルを表示し、複数設定されたペイライン上に停止したシンボルの組み合わせについて入賞判定を行うものが知られている。このようなゲーミングマシンとして、列の数と同数のリールを用いて各列のシンボルを一つのリール上で表示するものが知られている。また、複数の小型のリール(独立リール;independent reel)がマトリクス状に配置されており、各リールがそれぞれ独立して回転および停止することにより1つのシンボルを変動表示するゲーミングマシンも知られている。上記特許文献1には独立リールを有するゲームマシンが開示されている。しかしながら、本技術分野ではこれら従来のゲーミングマシンよりも変化に富んだゲームの進行を実現し、さらに高いエンタテインメント性をプレイヤーに提供することができるゲーミングマシンが求められていた。
【0005】
本発明の種々の側面は、上記事情に鑑みてなされたものであって、従来のゲーミングマシンよりも変化に富んだゲームの進行を実現し、さらに高いエンタテインメント性をプレイヤーに提供することができるゲーミングマシン、ゲームの提供方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面にかかるゲーミングマシンは、プレイヤーの操作を受け付ける操作部と、シンボルを有する複数のリールが表示されるディスプレイ部と、操作部およびディスプレイ部と接続され、操作部をプレイヤーが操作したことに応じて複数のリールを回転および停止させ、停止した複数のリールによりディスプレイ部に形成されたシンボルの組み合わせについて配当を支払う制御部とを備え、複数のリールの少なくとも一つは、第一のシンボルセットから選ばれたシンボルを静的に表示する静的シンボル領域と、第二のシンボルセットに含まれるシンボルを変動させながら表示した後に当該変動を停止して所定のシンボルを示す動的シンボル領域とを有し、制御部は、複数のリールを回転させる処理と、動的シンボル領域においてシンボルの種類を変動させる処理との組み合わせにより、ディスプレイ部に表示されるシンボルを変動させる。
【0007】
また、本発明の一側面にかかるゲームの提供方法は、プレイヤーの操作を受け付ける操作部と、シンボルを有する複数のリールが表示されるディスプレイ部と、操作部およびディスプレイ部と接続された制御部とを備え、複数のリールの少なくとも一つは、第一のシンボルセットから選ばれたシンボルを静的に表示する静的シンボル領域と、第二のシンボルセットに含まれるシンボルを変動させながら表示した後に当該変動を停止して所定のシンボルを示す動的シンボル領域とを有するゲーミングマシンでゲームを提供する方法であって、制御部が、操作部がプレイヤーの操作を受け付けたことに応じて、制御部は、複数のリールを回転させる処理と、動的シンボル領域においてシンボルの種類を変動させる処理との組み合わせにより、ディスプレイ部に表示されるシンボルを変動させるステップと、複数のリールの回転を停止する処理と、動的シンボル領域に表示されたシンボルの種類の変動を停止させる処理との組み合わせにより、ディスプレイ部に表示されるシンボルを停止させるステップと、ディスプレイ部に形成されたシンボルの組み合わせについて配当を支払うステップとを実行する。
【0008】
さらに、本発明の一側面にかかるプログラムは、プレイヤーの操作を受け付ける操作部と、シンボルを有する複数のリールが表示されるディスプレイ部と、操作部およびディスプレイ部と接続され、複数のリールの少なくとも一つは、第一のシンボルセットから選ばれたシンボルを静的に表示する静的シンボル領域と、第二のシンボルセットに含まれるシンボルを変動させながら表示した後に当該変動を停止して所定のシンボルを示す動的シンボル領域とを有するコンピュータで実行されるプログラムであって、コンピュータに、操作部がプレイヤーの操作を受け付けたことに応じて、複数のリールを回転させる処理と、動的シンボル領域においてシンボルの種類を変動させる処理との組み合わせにより、ディスプレイ部に表示されるシンボルを変動させる機能と、複数のリールの回転を停止する処理と、動的シンボル領域に表示されたシンボルの種類の変動を停止させる処理との組み合わせにより、ディスプレイ部に表示されるシンボルを停止させる機能と、ディスプレイ部に形成されたシンボルの組み合わせについて配当を支払う機能とを実現させる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一側面によれば、従来のゲーミングマシンよりも変化に富んだゲームの進行を実現し、さらに高いエンタテインメント性をプレイヤーに提供することができるゲーミングマシン、ゲームの提供方法およびプログラムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は第1の実施形態にかかるゲーミングマシンの斜視図である。
図2図2図1のゲーミングマシンのブロック図である。
図3図3図1のゲーミングマシンのシンボル表示領域の一例を示した模式図である。
図4図4図3のシンボル表示領域に表示されるリール配列の一例を示した図である。
図5図5図3のシンボル表示領域に表示されるシンボルのシンボルセットを示した図である。
図6図6はワイルドサブリールに回転表示されるシンボルを示した図である。
図7図7はシンボル表示領域に設定されたペイラインの一例を示した図である。
図8図8は通常ゲーム中におけるワイルドスタックの表示状態を示した図である。
図9図9は特別ゲーム中におけるワイルドスタックの表示状態を示した図である。
図10図10図1のゲーミングマシンの状態遷移図である。
図11図11図1のゲーミングマシンの動作を説明するフローチャートである。
図12図12図11における特別ゲームの処理を説明するフローチャートである。
図13図13は第2の実施形態にかかるゲーミングマシンのシンボル表示領域に表示されるリール配列の一例を示した図である。
図14図14は第2の実施形態のリールのシンボル領域に表示されるシンボルのシンボルセットを示した図である。
図15図15はインナーリールの表示状態を示した図である。
図16図16はインナーリールに回転表示されるシンボルを示した図である。
図17図17は第2の実施形態にかかるゲーミングマシンの動作を説明するフローチャートである。
図18図18は動的シンボル領域の変形例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態にかかるゲーミングマシンについて説明する。なお、各図において同一または相当部分には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0012】
(第1の実施形態)
第1の実施形態にかかるゲーミングマシンは、所定の遊技価値をプレイヤーから受け付けてゲーム結果を生成し、ゲーム結果に応じた配当をプレイヤーへ提供するものである。図1は本発明の第1の実施形態にかかるゲーミングマシン1の斜視図ある。図1に示すように、このゲーミングマシン1は、上部ディスプレイ21を備えた第1キャビネット20、下部ディスプレイ26を備えた第2キャビネット25、プレイヤートラッキングユニット57を収容した第3キャビネット30、および、コントロールパネル41を備えるとともに各部を制御する制御部50を収容した第4キャビネット40から構成された筐体10を有している。以下、各構成について説明する。
【0013】
筐体10の上部には第1キャビネット20が設けられており、第1キャビネット20の下に第2キャビネット25が設けられている。第1キャビネット20に設けられた上部ディスプレイ21および第2キャビネット25に設けられた下部ディスプレイ26は、いずれも液晶表示装置や有機EL表示装置等のフラットパネルディスプレイ装置であり、それぞれ制御部50に制御されることにより後述するゲーム画面をプレイヤーへ提供する表示部(ディスプレイ部)27として機能する。
【0014】
第3キャビネット30は、第2キャビネット25の下に設けられている。第3キャビネット30の前面左右にはスピーカ31が設けられており、制御部50に制御されることによりサウンドをプレイヤーへ提供する。また、第3キャビネット30の前面中央には、プレイヤートラッキングユニット57が収容されている。プレイヤートラッキングユニット57は、プレイヤー識別カードを認識するカードリーダ81と、プレイヤーに情報を提示するディスプレイ82と、プレイヤーによる入力を受け付けるキーパッド83とを有している。このようなプレイヤートラッキングユニット57は、後述する制御部50または外部システムと協調動作することにより、プレイヤーがカードリーダ81に挿入したプレイヤー識別カードに記録された情報を読み取って、当該情報または外部システムと通信することにより取得した情報をディスプレイ82に表示する。また、プレイヤーからの入力をキーパッド83で受け付け、入力に応じてディスプレイ82の表示を変化させ、必要に応じて外部システムとの通信を行う。
【0015】
第4キャビネット40は、第3キャビネット30の下側に配置されている。第4キャビネット40には、一部がその前側に張り出すようにして、コントロールパネル41が設けられている。コントロールパネル41には、紙幣/チケット識別ユニット42、プリンタユニット43および操作部44が設けられている。
【0016】
紙幣/チケット識別ユニット42は、紙幣またはチケットが挿入される挿入口を露出させた状態でコントロールパネル41に配置されており、挿入口の奥には各種センサで紙幣/チケットを識別する識別部が設けられ、第4キャビネット40内部の識別部出側には紙幣/チケット貯留部が設けられている。紙幣/チケット識別ユニット42は、ゲームを実行する対価としての遊技価値である紙幣、チケット(バウチャー、クーポンを含む)を受け付けて識別し、後述する制御部50へ通知する。
【0017】
プリンタユニット43は、チケットが出力されるチケット出力口を露出させた状態でコントロールパネル41に配置されており、チケット出力口の奥には印刷用紙に所定の情報を印刷する印刷部が設けられ、印刷部の用紙入側には印刷用紙を収容した収容部が設けられている。プリンタユニット43は、後述する制御部50の制御下で、ゲーミングマシン1からのクレジット払い出し処理に対応した情報を用紙に印刷してチケットを出力する。出力されたチケットは、他のゲーミングマシンの紙幣/チケット識別ユニットに挿入することで払い出されたクレジットをゲームプレイに利用することも可能であり、または、カジノ内のキオスク端末やカジノケージで換金することも可能である。
【0018】
操作部44は、ゲーミングマシン1に対するプレイヤーの各種の指示を受け付けるボタン群である。操作部44は、たとえば、スピンボタン45と、設定ボタン群46とを有している。スピンボタン45は、後述するゲームの開始(リールの回転開始)の指示を受け付ける。設定ボタン群46は、ベットボタン群、ライン指定ボタン群、マックスベットボタン、ペイアウトボタン等を含む。ベットボタン群は、ベットするクレジット量(ベット数)に関する指示操作をプレイヤーから受け付ける。ライン指定ボタン群は、後述するライン判定の対象とされるべきライン(以下、有効ラインと呼ぶ。)を指定する指示操作をプレイヤーから受け付ける。マックスベットボタンは、一度にベットすることができる最大クレジット量のベットに関する指示操作をプレイヤーから受け付ける。ペイアウトボタンは、ゲーミングマシン1に蓄積されたクレジットの払い出しを指示する指示操作をプレイヤーから受け付ける。
【0019】
また、第4キャビネット40の内部には、制御部50をなす中央処理装置(以下、CPUと略称する。)51、インタフェース部52、メモリ53およびストレージ54等を搭載した制御ボードが内蔵されている。制御ボードは、第1キャビネット20、第2キャビネット25、第3キャビネット30および第4キャビネット40に搭載された上記構成要素のそれぞれと、インタフェース部52を介して通信可能に構成され、CPU51でメモリ53またはストレージ54に記録されたプログラムを実行することで各部の動作を制御して、プレイヤーにゲームを提供する。
【0020】
図2は本実施形態にかかるゲーミングマシン1の機能ブロック図を示している。ゲーミングマシン1は、制御部50を備えている。制御部50は、CPU51と、CPUに接続されてメモリバス、各種拡張バス、シリアル、USB、イーサネット(登録商標)等の通信機能を提供するチップセットを含んだインタフェース部52と、インタフェース部52を介してCPU51が参照可能なメモリ53およびストレージ54とを備えたコンピュータユニットとして構成されている。メモリ53は、揮発性の記憶媒体であるRAM、不揮発性の記憶媒体であるROM、書き換え可能な不揮発性の記憶媒体であるEEPROMを含む構成とすることができる。ストレージ54は、外部記憶装置としての機能を制御部50に提供するものであり、取り外し可能な記憶媒体であるメモリカード、光磁気ディスク等の読み取り装置を使用することができ、ハードディスクを利用することも可能である。
【0021】
インタフェース部52には、CPU51およびメモリ53およびストレージ54の他に、紙幣/チケット識別ユニット55、プリンタユニット56、プレイヤートラッキングユニット57、グラフィックコントローラ58、入力コントローラ84およびサウンドアンプ85が接続されている。なお、ゲーミングマシン1に装飾的な照明を提供するイルミネーションが設けられている場合には、インタフェース部52に、当該イルミネーションを制御部50の制御下で制御して装飾的な照明効果を提供するイルミネーションコントローラが接続されていてもよい。
【0022】
以上のようなメモリ53およびストレージ54を有する制御部50は、メモリ53およびストレージ54に格納されたプログラムを実行することにより各部を制御して、プレイヤーにゲームを提供するものである。ここで、たとえばメモリ53のEEPROMに制御部50の基本機能を提供するオペレーティングシステムおよびサブシステムのプログラムならびにデータを格納し、ストレージ54にゲームを提供するアプリケーションのプログラムおよびデータを格納する構成としても良い。このような構成によれば、ストレージ54を交換することでゲームの切り替えまたは更新を容易に行うことが可能である。なお、制御部50は複数のCPUを有するマルチプロセッサ構成としてもよい。
【0023】
以下、制御部50に接続された各ブロックについて説明する。
【0024】
紙幣/チケット識別ユニット55は、上述した紙幣/チケット識別ユニット42に対応し、紙幣またはチケットを挿入口で受け付けて紙幣種別またはクレジット払い出し処理に対応した情報を識別すると制御部50へ通知する部分である。紙幣/チケット識別ユニット55が制御部50へ上記情報を通知すると、制御部50は通知された内容に応じてゲーム内で使用可能なクレジット量を増加させる。プリンタユニット56は、上述したプリンタユニット43に対応し、上述した設定ボタン群46のペイアウトボタンの操作を受け付けた制御部50の制御下で、ゲーミングマシン1からのクレジット払い出し処理に対応した情報が印刷されたチケットを印刷して出力する。
【0025】
プレイヤートラッキングユニット57は、制御部50と協調動作して、プレイヤーの情報等をカジノ管理システムとの間で送受信する。グラフィックコントローラ58は、制御部50の制御下で、上部ディスプレイ21および下部ディスプレイ26を制御して各種グラフィックデータを含むディスプレイイメージを表示する。サウンドアンプ85は、制御部50の制御下でスピーカ31を駆動し、アナウンス、効果音、BGM等の各種サウンドを提供する。
【0026】
また、インタフェース部52は、ゲーミングマシン1の外部と通信を行うための各種通信インタフェースを有しており、たとえばイーサネット86、87、シリアル出力88により外部ネットワークと通信を行うことが可能である。本実施形態では、一例として公知のサーバサイドゲーミングネットワーク(図2のServer Based Gaming)、G2Sネットワーク(図2のGame to System)、スロット情報システム(図2のSlot Data System)とそれぞれ通信を行う場合を示す。
【0027】
図3は、本実施形態にかかるゲーミングマシン1が提供するゲーム画面を模式的に示した図である。このようなゲーム画面は、制御部50が所定のプログラムを実行することにより、表示部27(上部ディスプレイ21および/または下部ディスプレイ26)に表示される。本実施形態では、下部ディスプレイ26にゲーム画面が表示される態様を示す。図3に示されるように、このゲーム画面はシンボルを表示するためのシンボル表示領域60を有している。このようなゲーム画面を使用して、本実施形態のゲーミングマシン1は、所定の遊技価値を代償としてシンボル表示領域60に表示したシンボルを再表示することでゲーム結果を表示し、ゲーム結果に含まれるシンボルの入賞組合せに応じた配当を支払うスロットマシンとして動作する。
【0028】
なお、図3では省略しているが、表示部27には、シンボル表示領域60以外に、クレジット量、ベット数、入賞により得られたクレジット量(WIN数)等を表示する領域、装飾領域も設けることができる。
【0029】
シンボル表示領域60は、シンボルの停止位置である複数のセル64で構成されている。具体的には、シンボル表示領域60は3行5列の格子状に配置された15個のセルで構成されている。なお、以下においては、表示部27の横方向を行方向と、縦方向を列方向と呼ぶことがある。
【0030】
シンボル表示領域60の各セル64には、図4に示すように仮想リールセット70をなす仮想リールストリップ71〜75のリール配列に基づいて、仮想リールストリップ71〜75それぞれのリール配列のシンボルが部分的に表示される。ここで、仮想リールストリップ71〜75とは、制御部50がメモリ53またはストレージ54に有するプログラムを使用して表現したデータ構造であって、図4に示すように複数のシンボルが一列に並べられた状態を表現したものである。また、仮想リールセット70とは、このような仮想リールストリップ71〜75の総称である。本実施形態において、仮想リールストリップ71〜75は、それぞれ3個のシンボルが、シンボル表示領域60に表示されている。
【0031】
図4に示した仮想リールストリップ71〜75はそれぞれ20個のシンボル領域76を有する。各シンボル領域76には、図5(a)に示す13種類のシンボルセット(第一のシンボルセット)および図5(b)に示す4種類のマルチプライヤワイルドシンボルのシンボルセット(第二のシンボルセット)のいずれか一つが表示される。なお、図4等においては、宝箱やダイヤ等の各種ピクチャーシンボルを、簡略的に「PIC−a」、「PIC−b」、「PIC−c」、「PIC−d」、「PIC−e」と表している。また、図4等において、ワイルドシンボルを「Wild」で表し、スキャッタシンボルを「Scatter」で表している。
【0032】
ワイルドシンボルとは、後述する通常ゲームにおける入賞判定の際に他のシンボルとして通用するシンボル(すなわち、他のシンボルとして代用されるシンボル)であり、不特定のシンボルと入賞組合せを構成することができる。マルチプライヤワイルドシンボルとは、倍数が適用されたワイルドシンボルであり、当該シンボルが入賞組合せを構成するときに、当該シンボルに適用された倍数が入賞配当の額に乗算される。なお、マルチプライヤワイルドシンボルには、入賞配当に所定の倍数が乗算されることをプレイヤーに明示的に示すために、倍数を示す図柄が採用され得る。スキャッタシンボルとは、後述する特別ゲームの当選判定の際に用いられるシンボルであり、シンボル表示領域60内に出現したスキャッタシンボルの数に応じた特別ゲームが提供される。
【0033】
上述した仮想リールストリップ71〜75のシンボル領域76は、静的シンボル領域78と動的シンボル領域79とを含んでいる。
【0034】
静的シンボル領域78は、シンボルを静的に表示するシンボル領域であり、図4に示すリール配列では、ワイルドシンボルを除く12種類のシンボルを表示しているシンボル領域76が静的シンボル領域78である。静的シンボル領域78のシンボルは、予め定義された順に並んでおり、仮想リールストリップ71〜75上にあたかも印刷されているかのように振る舞う。すなわち、静的シンボル領域78のシンボルは、仮想リールストリップ71〜75の回転に伴い、仮想リールストリップ71〜75の回転速度と同じ回転速度で移動する。
【0035】
動的シンボル領域79は、シンボルを変動させながら表示することの可能なシンボル領域である。動的シンボル領域79は、より詳しくは、所定の条件が満たされたときに、シンボルを変動させながら表示し、その後、当該変動を停止して所定種類のシンボルを表示するシンボル領域である。本実施形態において、動的シンボル領域79は、通常ゲーム中は動的シンボル領域79においてシンボルを変動させず、前述の特別ゲームを提供する際にシンボルを変動させる。
【0036】
本実施形態において、動的シンボル領域79は複数のシンボル領域76で構成されており、シンボルを変動させる際には各シンボル領域76内にサブリールが仮想的に表示される。サブリールは、仮想リールストリップ71〜75により規定されたリールとは独立して回転および停止する独立リールであり、サブリールが回転することによりシンボル領域76にシンボルを変動させながら表示することができる。なお、各サブリールは、三次元コンピュータグラフィックスにより、シンボル領域76内において左右方向(シンボル表示領域60の行方向)に沿って延びる円筒状のリールとして立体的に表示される。
【0037】
図4のリール配列では、仮想リールストリップ72、73、74がそれぞれ動的シンボル領域79を含んでおり、各動的シンボル領域79はワイルドスタック(連続する3つの「Wild」からなる連続シンボル群)を表示している3つのシンボル領域76で構成されている。これら動的シンボル領域79は、通常ゲーム中には回転しないサブリール上にワイルドシンボルをそれぞれ表示し、特別ゲーム中には適宜回転するサブリールをそれぞれ表示する。以下では、説明の便宜上、仮想リールストリップ72、73、74の動的シンボル領域79に表示される上述のサブリールを、ワイルドサブリールと称す。
【0038】
各ワイルドサブリールは、特別ゲーム中には、図5(b)に示すシンボルセット(第2のシンボルセット)から選ばれたマルチプライヤワイルドシンボルを変動させながら表示し、その後、当該変動を停止してマルチプライヤワイルドシンボルのいずれかを表示する。
【0039】
以下、本実施形態におけるサブリール(すなわち、ワイルドサブリール)についてより詳しく説明する。仮想リールストリップ74の動的シンボル領域79に表示されるワイルドサブリールは、偶数個(たとえば8個)のセルからなり、図6に示すように、マルチプライヤワイルドシンボルの「2×」を表示するセルとマルチプライヤワイルドシンボルの「3×」を表示するセルとが交互に並んでいる。同様に、仮想リールストリップ73の各ワイルドサブリールでは、マルチプライヤワイルドシンボルの「2×」を表示するセルとマルチプライヤワイルドシンボルの「4×」を表示するセルとが交互に並んでおり、仮想リールストリップ72の各ワイルドサブリールでは、マルチプライヤワイルドシンボルの「2×」を表示するセルとマルチプライヤワイルドシンボルの「5×」を表示するセルとが交互に並んでいる。
【0040】
また、同一の仮想リールストリップ72〜74に並んだ3つのワイルドサブリールは、回転する際には互いに同期して回転し、仮想リールストリップ72〜74毎に同じ種類のマルチプライヤワイルドシンボルを変動表示および停止表示する。3つのワイルドサブリールが互いに同期しているとは、3つのリールが同じ向きに同じ回転速度で回転することにより、常に同一のシンボルを表示することをいう。一例として、仮想リールストリップ74では、一つのワイルドサブリールが「2×」のマルチプライヤワイルドシンボルを停止表示するときには、他の2つのサブリールも「2×」のマルチプライヤワイルドシンボルを停止表示し、また、一つのワイルドサブリールが「3×」のマルチプライヤワイルドシンボルを停止表示するときには、他の2つのワイルドサブリールも「3×」のマルチプライヤワイルドシンボルを停止表示する。さらに、変動表示の際も、任意のタイミングにおいて、一つのワイルドサブリールに表示されるシンボルの変動表示と、他の2つのワイルドサブリールに表示されるシンボルの変動表示とが一致する。
【0041】
ゲームを開始した制御部50は、上述した仮想リールストリップ71〜75のそれぞれについてランダムに停止位置を決定し、仮想リールストリップ71〜75が現在位置から移動して、停止位置で停止する動作を、表示部27(たとえば下部ディスプレイ26)を用いて表現する。これにより、シンボル表示領域60には、仮想リールストリップ71〜75に配置されたシンボルが縦方向に連続的に移動(スクロール)し、連続性を維持したまま一つのセル64に一つのシンボルが表示されるように停止する。
【0042】
シンボル表示領域60には、入賞を判定する際に使用するペイラインが設定されている。ペイラインは、左端の列のセルから右端の列のセルに跨るように設定され、入賞判定の対象となる複数のセル64を組み合わせたラインである。設定されているペイラインのうち有効なラインの数は、プレイヤーによる操作部44の設定ボタン群46に含まれるライン指定ボタン群の操作によって選択される。制御部50は、ゲーム結果であるシンボル配列について、たとえば設定されたペイライン上に同一シンボルが所定の数を超えて並んでいる場合に入賞したと判定し、シンボルの種類および数に応じた配当をプレイヤーに支払う。本実施形態のゲーミングマシン1においては、シンボル表示領域60の3行5列のセルについて所定数のペイライン(LINE1〜40)が設定されている(図7参照)。入賞判定の方式は、左端の列のセルから所定数の同一シンボルが所定のペイライン上に並んでいる場合を入賞と判定するものでもよいし、右端の列のセルから所定数の同一シンボルが所定のペイライン上に並んでいる場合を入賞と判定するものでもよく、所定のペイライン上の隣接する列のいずれかに所定数の同一シンボルが並んでいる場合を入賞と判定するものであっても構わない。
【0043】
なお、セル64の境界線は、プレイヤーが視覚を通じて把握できる態様で表示部27上に表示されてもよいし、表示が省略されてもよい。すなわち、セル64はシンボル停止位置としてゲーミングマシン1の内部で論理的に、あるいは観念的に規定されていれば足り、それらの境界が視認できることは必ずしも必要とされない。
【0044】
本実施形態のゲーミングマシン1は、所定の条件を満たしていない場合に提供される通常ゲーム(メインゲーム、プライムゲームとも称される。)と、トリガーイベントとして所定の条件を満たした場合に提供される特別ゲーム(ボーナスゲーム、フィーチャーゲームとも称され、遊技対価を消費することなく提供されるフリーゲームを含む。)との二種類のゲームを提供する。通常ゲームおよび特別ゲームにおいては、ゲーム結果であるシンボル配列のうちシンボル表示領域60に表示されたシンボルが入賞判定の対象となる。
【0045】
上述した動的シンボル領域79は、通常ゲームにおいては、ワイルドシンボル以外のシンボルを表示する静的シンボル領域78と同様に、静的にシンボル(すなわち、ワイルドシンボル)を表示する。すなわち、仮想リールストリップが回転すると、図8(a)に示すように、リールの回転に伴って動的シンボル領域79はワイルドシンボルを固定表示したまま回転し、その後、仮想リールストリップが停止すると、動的シンボル領域79のワイルドシンボルも停止する。このとき、動的シンボル領域79の停止位置が、シンボル表示領域60内であれば、図8(b)に示すように、シンボル表示領域60に動的シンボル領域79のワイルドシンボルが停止表示される。
【0046】
上述した動的シンボル領域79は、特別ゲームにおいては、ワイルドサブリールを回転させてシンボルを変動させながら表示した後、当該変動を停止して所定種類のマルチプライヤワイルドシンボルのいずれかを表示する。ここで、ワイルドサブリールを回転させる態様の一例について説明する。まず、特別ゲームが開始すると、制御部50は、図9(a)に示すように、仮想リールストリップを回転させるとともに、動的シンボル領域79においてワイルドサブリールも回転させる。そして、制御部50は、仮想リールストリップのそれぞれについて停止位置を決定して、全ての仮想リールストリップを停止表示する。仮想リールストリップが停止した後も、図9(b)に示すように、シンボル表示領域60におけるワイルドサブリールの回転を継続する。そして、制御部50は、シンボル表示領域60に表示されたワイルドサブリールについて停止位置を決定して、全てのワイルドサブリールを停止表示させる。その結果、図9(c)に示すように、動的シンボル領域79のワイルドサブリール上にマルチプライヤワイルドシンボルの一つが停止表示される。
【0047】
なお、制御部50による仮想リールストリップおよびワイルドサブリールの停止位置の決定タイミングは、上述したタイミングに限定されるものではない。たとえば、特別ゲームの開始時に取得した乱数に基づいて、仮想リールストリップおよびワイルドサブリールの両方の停止位置を決定してもよい。また、制御部50による仮想リールストリップおよびワイルドサブリールそれぞれの回転開始および回転停止のタイミングについても、上述したタイミングに限定されるものではない。たとえば、制御部50は、まず最初に、仮想リールストリップのみを回転および停止させ、その後にワイルドサブリールの回転を開始させてもよい。このような態様では、シンボル表示領域60におけるシンボルの変動を仮想リールストリップの回転および停止による段階とワイルドサブリールの回転および停止による段階との二段階で提供するため、入賞するまでの過程をプレイヤーへ段階的に提示してプレイヤーが感じる期待感および興奮を効果的に向上させることができる。また、制御部50は、仮想リールストリップを回転させるとともにワイルドサブリールを回転させ、所定のタイミングで仮想リールストリップの回転とワイルドサブリールの回転を同時に停止させてもよい。このような態様では、仮想リールストリップおよびワイルドサブリールによるシンボルの変動が一度に停止するので、リズミカルで小気味好いゲームをプレイヤーに提供することができる。
【0048】
次に、本実施形態にかかるゲーミングマシン1の動作について図10を参照しながら説明する。図10は、以上のように構成された本実施形態にかかるゲーミングマシン1の状態遷移図を示すものである。図10に示される通り、ゲーミングマシン1は、停止状態、入力待ち状態、クレジット払い出し状態、クレジット蓄積状態、アトラクト動作状態、ゲーム提供状態の各状態をとる。以下各状態について説明する。
【0049】
停止状態とはゲーミングマシン1が起動されていない状態のことである。停止状態のゲーミングマシン1は、所定の起動操作を受け付けると起動および初期化され、所定のプログラムが制御部50により実行されて下部ディスプレイ26にゲーム画面が表示され、入力待ち状態となる。
【0050】
入力待ち状態のゲーミングマシン1は、紙幣/チケット識別ユニット55が紙幣またはチケットを識別すると、対応するクレジットの情報をゲーミングマシン1内に蓄積するクレジット蓄積状態へ移行し、クレジットの蓄積が終了すると入力待ち状態に復帰する。また、入力待ち状態のゲーミングマシン1は、クレジットの情報が蓄積された状態でペイアウトボタンの操作を受け付けると、蓄積されたクレジットの払い出し処理を行うクレジット払い出し状態へ移行し、クレジット払い出し処理に対応した情報を印刷したチケットをプリンタユニット56から出力するとともに、ゲーミングマシン1内に蓄積されたクレジットをゼロに戻す。これらの処理を終えたゲーミングマシン1は、入力待ち状態へ復帰する。
【0051】
入力待ち状態にあるゲーミングマシン1は、所定時間操作されなかった場合に、上部ディスプレイ21および下部ディスプレイ26にアトラクト画面を表示するアトラクト動作状態へ移行する。アトラクト動作状態にあるゲーミングマシン1は、何らかの操作を受け付けると入力待ち状態へ復帰する。なお、アトラクト画面とは、カジノ内の顧客に対してゲーミングマシン1の存在をアピールする画面であり、所定の画像および/または動画からなるものである。
【0052】
入力待ち状態のゲーミングマシン1は、クレジットが内部に蓄積された状態でライン選択ボタン、ベット数選択ボタンまたはマックスベットボタンの操作を受け付けることによりゲームのライン数およびベット数を設定し、スタートボタンの操作を受け付けることにより設定されたライン数×クレジット量だけクレジット量を減少させるとともにゲーム提供状態へ移行する。ゲーム提供状態においては、図11に示すフローチャートに従ってゲームを提供する。
【0053】
以下、ゲーミングマシン1の制御方法として、ゲーム提供状態における動作を、図11に示すフローチャートを参照しながら説明する。
【0054】
入力待ち状態でライン数およびベット数を設定され、スタートボタンの操作を受け付けることによりゲーム提供状態に移行したゲーミングマシン1は、制御部50で上部ディスプレイ21および下部ディスプレイ26を制御することにより、通常ゲームを開始する。
【0055】
まず、S16では、シンボル表示領域60に表示されているリール(1)〜リール(5)のスピンを開始する。より具体的には、シンボル表示領域60に表示されているシンボルの列を、それぞれ対応する仮想リールストリップ71〜75に規定された順番でスクロールさせて、リールが回転している状態を仮想的に表示する。続いてS18の処理では、制御部50が初期処理としてパラメーターであるn=1を設定する。
【0056】
次にS20の処理では、制御部50が乱数を取得する。制御部50が乱数を取得する方法はゲーミングマシン1が設置される地域の規定に従うものであればよく、特定の方法には限定されない。また、制御部50は、リール(1)〜リール(5)のスピン開始時やスピン開始前に、予め必要な数の乱数(たとえば、各リールの停止位置を決定するための5つの乱数)を取得しておいてもよい。この場合には、停止位置の決定や特別ゲームの当選、入賞の有無の判定をゲームの早い段階で完了して記憶しておくことができる。乱数の取得後には、S22へと処理が進められる。
【0057】
S22の処理では、S20の処理で取得された乱数に基づいて、制御部50がリール(n)の停止位置を決定する。ここでリール(n)の停止位置は、対応する仮想リールストリップ71〜75の停止位置に相当する。したがって、その停止位置は、たとえば仮想リールストリップ71〜75のシンボルのそれぞれに数値または数値範囲を関連付けて規定し、取得した乱数を含む数値または数値範囲が関連付けられたシンボルの位置として決定することができる。この場合に、各シンボルに関連付けられた数値または数値範囲を不均一に規定することにより、停止位置となる確率に勾配または偏りを設けることもできる。リール(n)の停止位置を決定した後、S24へと処理が進められる。
【0058】
S24の処理では、制御部50がn=n+1とする。設定後、S26へと処理が進められる。S26の処理では、制御部50がn>5を満たすか否かを判定する。n>5を満たさない場合には、S20へと処理が進められる。これにより、n>5を満たすまで、S20〜S26の処理が繰り返し実行される。これによりリール(1)からリール(5)について停止位置が決定される。S26でn>5を満たす場合には、リール(1)からリール(5)の全てについて停止位置が決定したことを意味するため、S28へと処理が進められる。
【0059】
S28の処理では、S22の処理で決定された各仮想リールストリップ71〜75の停止位置に基づいて、制御部50がリール(1)〜リール(5)を停止させる。より具体的には、シンボル表示領域60においてスクロール表示されているシンボルの列を、それぞれの仮想リールストリップ71〜75について決定された停止位置で停止する。
【0060】
S28の処理の後、S30の処理では、制御部50はシンボル表示領域60の表示されたシンボルが特別ゲームを提供する所定の条件を満たしているかを判定する。特別ゲームの当選条件としては、たとえば、ペイライン上に所定のシンボルの入賞組合せが成立したこと(ライン判定)、および/または、シンボル表示領域60内に所定数以上の特定シンボル(スキャッタシンボル)が出現したこと(スキャッタ判定)を挙げることができる。
【0061】
本実施形態では、特別ゲームの当選判定にスキャッタ判定を用いる。図4に示したとおり、仮想リールストリップ71〜75にそれぞれ1つのスキャッタシンボルを含んでおり、仮想リールセット70全体で5つのスキャッタシンボルを含んでいるが、シンボル表示領域60内に3つ以上のスキャッタシンボルが表示されたときに、制御部50は、特別ゲームを提供する条件が満たされたと判定する。本実施形態では、特別ゲームとして、遊技価値を消費しないフリーゲームを所定回数提供する。制御部50は、特別ゲームとして提供するフリーゲームの回数を、スキャッタシンボルの数に応じて決定する。すなわち、制御部50は、シンボル表示領域60内に3つ以上のスキャッタシンボルが表示されて特別ゲームが提供を決定した際、スキャッタシンボルが2つ表示されているときには3回のフリーゲームを、スキャッタシンボルが3つ表示されているときには8回のフリーゲームを、スキャッタシンボルが4つ表示されているときには12回のフリーゲームを、スキャッタシンボルが5つ表示されているときには20回のフリーゲームを提供することを決定する。
【0062】
S30で特別ゲームを提供する所定の条件を満たしていると判定された場合には、S31で特別ゲーム提供フラグZがZ=1にセットされる。S31でフラグをセットした後、S32では特別ゲームが提供されることを上部ディスプレイ21または下部ディスプレイ26に予告表示する。
【0063】
S30で特別ゲームを提供する所定の条件を満たしていると判定された場合にはS32の後で、満たしていると判定されなかった場合はS30の後に、S33において制御部50はシンボル表示領域60に表示されたシンボルが入賞しているかを判定する。たとえば、上記ライン判定および/またはスキャッタ判定が特別ゲームを提供する所定の条件とは別の条件で適用され、入賞しているか否かが判定される。入賞していると判定された場合には、S34の処理で、所定の遊技価値(クレジット)である配当をプレイヤーへ付与するために、その配当に相当するクレジットがゲーミングマシン1に蓄積されているクレジットに加算される。
【0064】
S33で入賞していると判定された場合にはS34の後で、入賞していると判定されなかった場合にはS33の後に、続いてS35の処理でフラグZがZ=1にセットされているかが判定され、Z=1に設定されていると判定されている場合には、S36へと処理が進められて、制御部50は特別ゲームして上述した所定回数のフリーゲームを提供する。なお、フリーゲーム中に所定の条件を満たしている場合、特別ゲームを提供することに替えて、別の所定の条件を満たしている場合にフリーゲームの回数を追加する等の修正を加えて処理を進める。
【0065】
所定回数のフリーゲームが終了すると、S36に続くS37でフラグZをZ=0にリセットし、ゲーミングマシン1はゲーム提供状態を終了し、入力待ち状態へ戻る。また、S35でフラグZがZ=1にセットされていないと判定された場合も、ゲーミングマシン1はゲーム提供状態を終了し、入力待ち状態へ戻る。以上でゲーム提供状態における動作は終了する。
【0066】
ここで、S36において提供される複数回のフリーゲームのうちの1回分について、図12のフローチャートを参照しつつ説明する。
【0067】
制御部50は、まずS41において、上述したS16と同様に、シンボル表示領域60に表示されているリール(1)〜リール(5)のスピンを開始する。リールスピン中、仮想リールストリップ71〜75の静的シンボル領域78のシンボルに関しては、仮想リールストリップ71〜75の回転速度と同じ回転速度で移動する。また、リールスピン中、仮想リールストリップ71〜75の動的シンボル領域79のシンボルに関しては、動的シンボル領域79自体は仮想リールストリップ71〜75の回転速度と同じ回転速度で移動するが、動的シンボル領域79内においてもシンボルを変動させる。
【0068】
S41に続くS42の処理では、制御部50が上述したS18〜S26と同様の処理を繰り返し行い、リール(1)〜(5)の停止位置を決定する。
【0069】
S43の処理では、制御部50は、上述したS20における乱数取得と同様にして乱数を取得し、その乱数を用いて、サブリールに停止表示させるマルチプライヤワイルドシンボルを決定する。制御部50は、S41のスピン開始時やスピン開始前に、必要な数の乱数(たとえば、各ワイルドサブリールの倍数を決定するための最大3つの乱数)を一度にまとめて取得しておいてもよい。
【0070】
S44の処理では、S42の処理で決定された各仮想リールストリップ71〜75の停止位置に基づいて、制御部50がリール(1)〜リール(5)をシンボル表示領域60の左側から順に全て停止させる(図8(a)および図8(b)参照)。リール(1)〜リール(5)が停止した時点では、サブリールはまだ回転を続けている。
【0071】
S45の処理では、制御部50は、シンボル表示領域60に表示されているワイルドサブリールの回転を停止させる(図8(b)および図8(c)参照)。ワイルドサブリールが、シンボル表示領域60の複数のリールに表示されている場合には、左のリールから順に停止させる。
【0072】
S46において制御部50は、シンボル表示領域60に表示されたシンボルが入賞しているかを判定する。入賞していると判定された場合には、S47の処理で、所定の遊技価値(クレジット)である配当を算出して、算出した配当に相当するクレジットがゲーミングマシン1に蓄積されているクレジットに加算される。配当を算出する際、シンボル表示領域60のペイライン上に成立しているシンボルの入賞組合せから入賞種別を決定し、その後、当該入賞組合せにワイルドサブリールのマルチプライヤワイルドシンボルが含まれる場合には、制御部50は当該マルチプライヤワイルドシンボルの倍数を入賞配当に乗じてプレイヤーに付与する。
【0073】
なお、マルチプライヤワイルドシンボルが入賞組合せを構成するときのみ配当に所定の倍数を乗じる態様であってもよく、また、マルチプライヤワイルドシンボルがシンボル表示領域60に表示されている場合に全ての入賞組み合わせの総額配当に対して所定の倍数を乗じる態様であってもよい。配当に倍数を乗じるやり方は、ゲームの種類や内容に応じて適宜変更することができる。
【0074】
入賞組合せが2つ以上のマルチプライヤワイルドシンボルで構成される場合には、マルチプライヤワイルドシンボルそれぞれの倍数の積を配当に乗じる。たとえば、入賞組合せが2つのマルチプライヤワイルドシンボルで構成される場合に、一方のマルチプライヤワイルドシンボルの倍数が「2」で、もう一方のマルチプライヤワイルドシンボルの倍数が「3」のときには、配当に倍数「6」を乗じる。なお、マルチプライヤワイルドシンボルそれぞれの倍数の和を乗じる態様であってもよい。上記いずれの態様であっても、1つのマルチプライヤワイルドシンボルで入賞組み合わせを構成するよりも、2つ以上のマルチプライヤワイルドシンボルで入賞組み合わせを構成するほうが、配当が多くなる。
【0075】
S36の特別ゲームでは、制御部50は、S41〜S47で示したフリーゲームを、S30において決定された回数おこなう。
【0076】
以上において説明した第1の実施形態にかかるゲーミングマシンおよびそのゲーム提供方法によれば、制御部50は、フリーゲーム中に仮想リールセット70を回転させるとともに、仮想リールストリップ72〜74上の動的シンボル領域79に配置されたワイルドサブリールを回転させることで、表示されるマルチプライヤワイルドシンボルの種類を変動させている。そして、仮想リールセット70の全リールの回転を停止させた後に、ワイルドサブリールの回転を停止させ、表示されるマルチプライヤワイルドシンボルの種類を確定させている。
【0077】
すなわち、本実施形態によれば、仮想リールセット70が回転している間、ワイルドサブリールではマルチプライヤワイルドシンボルの種類が変動する変動表示がおこなわれるので、静的シンボル領域78に表示されるシンボルと動的シンボル領域79におけるマルチプライヤシンボルの種類の変動に応じて、ゲーム結果の期待値は大きく変動し、プレイヤーに変化に富んだゲーム進行を提供することができる。
【0078】
また、本実施形態では、仮想リールセット70の回転が停止し、静的シンボル領域78に表示されるシンボルによってシンボル表示領域60のシンボルの組み合わせの一部が確定しても、動的シンボル領域79のワイルドサブリールの回転が停止するまでは、シンボル表示領域60全体でのシンボルの組み合わせは確定しない。すなわち、仮想リールセット70の回転が停止した後であっても、ワイルドサブリールがどの種類のマルチプライヤワイルドシンボルで停止するかによって、多種多様なゲーム結果がプレイヤーに提供される。したがって、本実施形態によれば、最後まで(すなわち、最終的なゲーム結果が表示されるまで)目が離せないゲーム進行を提供することができる。
【0079】
このように、第1の実施形態にかかるゲーミングマシンおよびそのゲーム提供方法によれば、プレイヤーに最後まで変化に富んだゲーム展開を提供することができ、高いエンタテインメント性のゲームを実現することができる。別の観点からは、リールの回転中であってもリールの回転停止後であっても、ワイルドサブリールのマルチプライヤワイルドシンボルが変動している間は、ゲーム結果が判明せず推測もできないので、ワイルドサブリールのシンボル変動が停止するまでプレイヤーのゲーム結果に対する興味を持続させることができると表現することもできる。
【0080】
また、上述したとおり、ワイルドサブリールのシンボルセットは、仮想リールストリップ72〜74でそれぞれ異なる。特に、停止順が最初の仮想リールストリップ74のワイルドサブリールは低い倍数のマルチプライヤワイルドシンボル(すなわち、「2×」と「3×」)のみで構成されており、仮想リールストリップ74のワイルドサブリールの次の停止順である仮想リールストリップ73のワイルドサブリールはより高い倍数のマルチプライヤワイルドシンボル(すなわち、「4×」)を含み、さらに、停止順が最後の仮想リールストリップ72のワイルドサブリールはより高い倍数のマルチプライヤワイルドシンボル(すなわち、「5×」)を含んでいる。
【0081】
そのため、最初に停止表示される仮想リールストリップ74のワイルドサブリールで、小さいほうの倍数のマルチプライヤワイルドシンボル(すなわち、「2×」)が表示されたときであっても、その後に停止表示される仮想リールストリップ72、73のワイルドサブリールで、より大きな倍数のマルチプライヤワイルドシンボル(すなわち、「4×」や「5×」)が表示されれば、高額配当が生じうる。そのため、プレイヤーは、最初に停止される仮想リールストリップ74の倍数が小さい場合であっても、仮想リールストリップ72の倍数が判明するまでの間、高額配当を期待しつつゲームに興味を持ち続けることができる。なお、最初に停止される仮想リールストリップ74の倍数が大きい場合にも、プレイヤーは、その後に停止表示される仮想リールストリップ72、73で、大きいほうの倍数に決定されることを期待して、さらに高額な配当を期待しつつゲームに興味を持ち続ける。
【0082】
さらに、上述したとおり、同一の仮想リールストリップ72〜74に並んだ3つのワイルドサブリールは、回転する際には互いに同期して回転している。そのため、同一の仮想リールストリップ72〜74に並んだ3つのワイルドサブリールのうち、複数のワイルドサブリールがシンボル表示領域60に表示された場合であっても、シンボルの視認性が高くなっている。すなわち、複数のワイルドサブリールはいずれも常に同じ表示内容であるため、プレイヤーは一種類の表示内容を認識すればよく、全てのワイルドサブリールに表示された内容を個々に認識する必要がない。そのため、ゲーム中の不要な視線移動や注意力の分散が低減され、プレイヤーは快適にゲームを楽しむことができる。なお、同一の仮想リールストリップ72〜74に、回転速度や回転方向が異なるワイルドサブリールを並べて表示する場合には、プレイヤーは、ワイルドサブリールを一つ一つ注視する必要がある上、そのような表示を目障りに感じる。
【0083】
なお、仮想リールストリップ72〜74間でも、ワイルドサブリールを互いに同期するように回転させてもよい。たとえば、3つの仮想リールストリップ72〜74の全てにおいてワイルドサブリールがシンボル表示領域60に表示された場合には、仮想リールストリップ72〜74のそれぞれのワイルドサブリールを互いに同期回転させてもよい。この場合も、同一の仮想リールストリップ72〜74のワイルドサブリールが同期回転する場合と同様に、複数のワイルドサブリールはいずれも常に同じ表示内容であるため、プレイヤーは一種類の表示内容を認識すればよく、全てのワイルドサブリールに表示された内容を個々に認識する必要がない。そのため、ゲーム中の不要な視線移動や注意力の分散が低減され、プレイヤーは快適にゲームを楽しむことができる。
【0084】
(第2の実施形態)
以下、添付図面を参照して本発明の第2の実施形態にかかるゲーミングマシンについて説明する。本実施形態にかかるゲーミングマシンは、第1の実施形態にかかるゲーミングマシンと同様に、所定の遊技価値をプレイヤーから受け付けてゲーム結果を生成し、ゲーム結果に応じた配当をプレイヤーへ提供するものである。本実施形態にかかるゲーミングマシンの主要なハードウェア構成は第1の実施形態にかかるゲーミングマシン1と同一であるため、図示およびハードウェア構成に関する説明は省略する。制御部の構成および状態遷移についても同一であるが、ゲームを提供するアプリケーションプログラムは相違しており、ゲーム提供状態における動作も相違する。以下では、これらの相違点を中心に説明する。
【0085】
本実施形態では、上述した第1の実施形態とは、シンボル表示領域60に表示されるリール配列およびシンボルセットの種類が相違する。図13は本実施形態にかかるリール配列の一例を示した図であり、図14は本実施形態にかかるシンボルセットを示した図である。
【0086】
図13に示すように、第2の実施形態では、仮想リールセット70’の各仮想リールストリップ71’〜75’が動的シンボル領域79としてインナーリール群(5つの「Inner」からなる連続リール群)を有しており、動的シンボル領域79が5つのシンボル領域76で構成されている。本実施形態においては、動的シンボル領域79をなすインナーリールは、通常ゲーム中に図14(b)に示すシンボルセット(第2のシンボルセット)のシンボルを変動させながら表示し、その後、当該変動を停止して第2のシンボルセットのシンボルのいずれかを表示する。
【0087】
なお、本実施形態においてシンボルを静的に表示する静的シンボル領域78は、図13に示すリール配列では、インナーリール群を除く、図14(a)の13種類のシンボルを表示しているシンボル領域76である。
【0088】
上述した動的シンボル領域79をなすインナーリールは、通常ゲームにおいて、インナーリールを回転させてシンボルを変動させながら表示した後、当該変動を停止して図14(b)に示すシンボルセットのうちのいずれかのシンボルを表示する。ここで、インナーリールを回転させる態様の一例について説明する。まず、通常ゲームが開始すると、制御部50は、図16(a)に示すように、仮想リールストリップを回転させるとともに、動的シンボル領域をなすインナーリールも回転させる。この際、図15に示すように、第二のシンボルセットで構成された仮想リールストリップのシンボル配列に従って、インナーリールのシンボルが変動表示される。そして、制御部50は、仮想リールストリップのそれぞれについて停止位置を決定して、全ての仮想リールストリップを停止表示する。仮想リールストリップが停止した後も、図16(b)に示すように、シンボル表示領域60に表示されたインナーリールの回転を継続する。そして、制御部50は、シンボル表示領域60に表示されたインナーリールについて停止位置を決定して、全てのインナーリールを停止表示させる。その結果、図16(c)に示すように、動的シンボル領域79のインナーリール上に第二のシンボルセットのうちのいずれかのシンボルが停止表示される。
【0089】
なお、制御部50による仮想リールストリップおよびインナーリールの停止位置の決定タイミングは、上述したタイミングに限定されるものではない。たとえば、通常ゲームの開始時に取得した乱数の値に基づいて、仮想リールストリップおよびインナーリールの両方の停止位置を決定してもよい。また、制御部50による仮想リールストリップおよびインナーリールそれぞれの回転開始および回転停止のタイミングについても、上述したタイミングに限定されるものではない。たとえば、制御部50は、まず最初に、仮想リールストリップのみを回転および停止させ、その後にインナーリールの回転を開始させてもよい。このような態様では、シンボル表示領域60におけるシンボルの変動を仮想リールストリップの回転および停止による段階とインナーリールの回転および停止による段階との二段階で提供するため、入賞するまでの過程をプレイヤーへ段階的に提示してプレイヤーが感じる期待感および興奮を効果的に向上させることができる。また、制御部50は、仮想リールストリップを回転させるとともにインナーリールを回転させ、所定のタイミングで仮想リールストリップの回転とインナーリールの回転を同時に停止させてもよい。このような態様では、仮想リールストリップおよびインナーリールによるシンボルの変動が一度に停止するので、リズミカルで小気味好いゲームをプレイヤーに提供することができる。
【0090】
インナーリールは、第1の実施形態のワイルドサブリール同様、リールとは独立して回転および停止する独立リールであり、インナーリールが回転することによりシンボル領域76内のシンボルを変動させながら表示することができる。また、各インナーリールは、三次元コンピュータグラフィックスにより、シンボル領域76内において左右方向(シンボル表示領域60の行方向)に沿って延びる円筒状のリールとして立体的に表示される。
【0091】
以下、第2の実施形態にかかるゲーミングマシン1のゲーム制御方法として、ゲーム提供状態における動作を、図17に示すフローチャートを参照しながら説明する。
【0092】
入力待ち状態でライン数およびベット数を設定され、スタートボタンの操作を受け付けることによりゲーム提供状態に移行したゲーミングマシン1は、制御部50で上部ディスプレイ21および下部ディスプレイ26を制御することにより、通常ゲームを開始する。
【0093】
まず、S16では、シンボル表示領域60に表示されているリール(1)〜リール(5)のスピンを開始する。また、S16では、リール(1)〜リール(5)のスピン開始と同時に、各インナーリールの変動表示も開示する。続いてS18の処理では、制御部50が初期処理としてパラメーターであるn=1を設定する。
【0094】
次にS20の処理では、制御部50が乱数を取得し、乱数の取得後には、S22へと処理が進められる。S22の処理では、S20の処理で取得された乱数に基づいて、制御部50がリール(n)の停止位置を決定する。リール(n)の停止位置を決定した後、S23へと処理が進められる。
【0095】
S23の処理では、リール(n)のインナーシンボル群に停止表示させるシンボル種別を、図14(b)に示すシンボルセットの中から決定する。シンボル種別の決定は、一例として、S20の処理で取得した乱数とテーブルとを用いて決定することができる。テーブルは、図14(b)に示した11種類のシンボルが必ずしも同じ割合(すなわち、1/11)で決定される必要はなく、シンボルの決定確率に勾配または偏りを設けてもよい。この場合、上記テーブルにおいて各シンボルに関連付けられた数値または数値範囲を調整することにより、勾配または偏りを調整することができる。
【0096】
S24の処理では、制御部50がn=n+1とする。設定後、S26へと処理が進められる。S26の処理では、制御部50がn>5を満たすか否かを判定する。n>5を満たさない場合には、S20へと処理が進められる。これにより、n>5を満たすまで、S20〜S26の処理が繰り返し実行される。これによりリール(1)からリール(5)について停止位置が決定される。S26でn>5を満たす場合には、リール(1)からリール(5)の全てについて停止位置が決定したことを意味するため、S28へと処理が進められる。
【0097】
S28の処理では、S22の処理で決定された各仮想リールストリップ71〜75の停止位置に基づいて、制御部50が左から順番にリール(1)〜リール(5)を全て停止させる(図16(a)および図16(b)参照)。より具体的には、シンボル表示領域60においてスクロール表示されているシンボルの列を、それぞれの仮想リールストリップ71〜75について決定された停止位置で停止させる。なお、リール(1)〜リール(5)が停止した時点では、図16(b)に示すようにインナーリールはまだ回転を続けている。
【0098】
S29の処理では、制御部50は、シンボル表示領域60に表示されているインナーリールの回転を停止させる(図16(b)および図16(c)参照)。
【0099】
S28の処理の後、S30の処理では、上述した第1の実施形態のS30同様、制御部50はシンボル表示領域60の表示されたシンボルが特別ゲームを提供する所定の条件を満たしているかを判定する。S30における当選判定は、シンボル表示領域60において、静的シンボル領域78に静的に表示しているシンボルと、動的シンボル領域79のインナーリールが停止表示させたシンボルとによって判定される。
【0100】
第2の実施形態におけるS31以降の処理は、第1の実施形態の処理と同様であるため、説明を省略する。なお、第2の実施形態における特別ゲームでは、S30の当選判定に基づき、一般的なフリーゲームを提供してもよいし、第1の実施形態のようなワイルドサブリールを用いたフリーゲームを提供してもよい。
【0101】
以上において説明した第2の実施形態にかかるゲーミングマシンおよびそのゲーム提供方法によれば、第1の実施形態にかかるゲーミングマシンおよびそのゲーム提供方法と同様に、変動表示されるインナーリールによりプレイヤーに変化に富んだゲーム進行を提供することができ、さらには多種多様なゲーム結果がプレイヤーに提供される。したがって、本実施形態でも、最後まで目が離せないゲーム進行を提供することができる。
【0102】
なお、第2の実施形態では、制御部50は、トリガーイベントして特別ゲームに当選し、フリーゲームが実行されている間、インナーリールのリールストリップを構成するセルの数を増減してもよい。このようなセル数の増減は、インナーリールのシンボル出現率に影響する。たとえば、インナーリールを構成するセルの数が20である場合には、シンボルの出現率は平均5%となるが、インナーリールを構成するセルの数が10である場合には、シンボルの出現率は平均10%となる。すなわち、インナーリールを構成するセルの数が多いほど、シンボル出現率の平均値は細かくなり、シンボル出現率を細かく調整することができる。
【0103】
また、インナーリールを構成するセルの数を増減する際には、併せて、インナーリールのシンボルの種類を増減してもよい。特別ゲームに当選したときに、インナーシンボルのセルの数およびシンボルの種類を調整することで、フリーゲーム中におけるインナーリールの各シンボルの出現率を調整することができる。一例として、通常ゲーム中のインナーリールが4つのセルかつ4種類のシンボルで構成されている場合には各種シンボルの出現率は平均25%であるが、特別ゲームに当選したときにインナーシンボルのセルの数およびシンボルの種類を減らして、フリーゲーム中のインナーリールが2つのセルかつ2種類のシンボルで構成される場合には、各種シンボルの出現率が平均50%にアップする。反対に、特別ゲームに当選したときにインナーシンボルのセルの数およびシンボルの種類を増やして、フリーゲーム中のインナーリールが5つのセルかつ5種類のシンボルで構成される場合には、各種シンボルの平均出現率が20%にダウンする。このように、フリーゲーム中におけるインナーリールの各シンボルの出現率を調整することで、フリーゲーム中の入賞確率や入賞配当を、通常ゲーム中の入賞確率や入賞配当から変動させることができる。
【0104】
また、制御部50は、トリガーイベントとして特別ゲームに当選し、フリーゲームが実行されている間、第二のシンボルセットに含まれるシンボルの種類を変更または追加してもよい。たとえば、第二のシンボルセットに含まれるシンボルの一部をワイルドシンボルに変更したり、第二のシンボルセットにワイルドシンボルを追加したりすることができる。この場合には、インナーリールにワイルドシンボルが所定の確率で出現することで、入賞しやすくなる。
【0105】
また、上述した動的シンボル領域79は上述したサブリール(すなわち、ワイルドサブリール、インナーリール)の代わりに、図18に示すようなホイール80であってもよい。ホイール80は、図14(b)に示した第2のシンボルサブセットの中の複数のシンボルを含み、動的シンボル領域79内において反時計回りに回転する。それにより、ホイール80では、矢印が指し示すシンボルを変動される。このようなホイール80であっても、上述したサブリール同様、リールの回転中にシンボルを変動させるため、ゲーム結果が判明せず推測もできない。そのため、最終的にゲーム結果が判明するインナーリールの回転停止までゲーム結果に対する興味を持続させることができる。
【0106】
なお、上述したゲーミングマシン1の制御部50の機能は、コンピュータによりプログラムが実行されることでも実現され得る。すなわち、1又は複数のコンピュータを、上述した制御部50と同様に機能させるプログラムが作成可能である。このようなプログラムを実行させることにより実現される機能は、上述した制御部50と同様であり、すなわち、操作部44がプレイヤーの操作を受け付けたことに応じて、複数のリール(たとえば、5つのリール(1)〜(5))を回転させる処理と、動的シンボル領域79においてシンボルの種類を変動させる処理との組み合わせにより、下部ディスプレイ26のシンボル表示領域60に表示されるシンボルを変動させる機能と、複数のリールの回転を停止する処理と、動的シンボル領域に表示されたシンボルの種類の変動を停止させる処理との組み合わせにより、下部ディスプレイ26のシンボル表示領域60に表示されるシンボルを停止させる機能と、下部ディスプレイ26のシンボル表示領域60に形成されたシンボルの組み合わせについて配当を支払う機能とが実現される。
【0107】
上記プログラムは、たとえば、ROM又は半導体メモリ等のコンピュータにより読み取り可能な記録媒体に記録されて、提供され得る。
【0108】
上述したとおり、本発明の実施形態にかかるゲーミングマシンは、プレイヤーの操作を受け付ける操作部と、シンボルを有する複数のリールが表示されるディスプレイ部と、前記操作部および前記ディスプレイ部と接続され、前記操作部をプレイヤーが操作したことに応じて前記複数のリールを回転および停止させ、停止した前記複数のリールにより前記ディスプレイ部に形成されたシンボルの組み合わせについて配当を支払う制御部とを備え、前記複数のリールの少なくとも一つは、第一のシンボルセットから選ばれたシンボルを静的に表示する静的シンボル領域と、第二のシンボルセットに含まれるシンボルを変動させながら表示した後に当該変動を停止して所定のシンボルを示す動的シンボル領域とを有し、制御部は、複数のリールを回転させる処理と、動的シンボル領域においてシンボルの種類を変動させる処理との組み合わせにより、ディスプレイ部に表示されるシンボルを変動させる。
【0109】
このようなゲーミングマシンにおいては、リールが静的シンボル領域と動的シンボル領域とを含み、リールを回転させる処理と、動的シンボル領域においてシンボルの種類を変動させる処理との組み合わせによってディスプレイ部に表示されるシンボルが変動する。上記2つの処理を組み合わせることで、プレイヤーに変化に富んだゲーム進行を提供することができ、さらには多種多様なゲーム結果がプレイヤーに提供される。したがって、最後まで目の離せないゲーム進行を提供することができ、これにより高いエンタテインメント性をプレイヤーに提供することができる。
【0110】
また、動的シンボル領域はそれぞれ一つのシンボルを表示する複数のセルからなり、前記制御部は、当該セルに表示されたシンボルをそれぞれ変動させる態様であってもよい。さらに、前記複数のセルは、前記少なくとも一つのリールに連続して配置されている態様としてもよい。たとえば、連続する複数のセルからなる動的シンボル領域としては、第1の実施形態において示した3セル連続するワイルドサブリールや、第2の実施形態において示した5セル連続するインナーリールなどがある。このように動的シンボル領域を連続したセルで構成することで、一つのリールに複数の動的シンボル領域が表示される可能性が高くなり、動的シンボル領域においてシンボルを変動させることで、より変化に富んだゲーム進行を提供することができる。また、一つのリールに複数の動的シンボル領域が表示される可能性が高くなるため、高額配当を期待できる動的シンボル領域(たとえば、マルチプライヤワイルドシンボルが表示されるワイルドサブリール)である場合には、プレイヤーの高額配当への期待を高めることができる。この場合には、さらにセルの数等を調整することにより、多様な態様の動的シンボル領域を実現することができる。
【0111】
また、制御部は、シンボルを表示するとともに前記リールとは独立して回転および停止するサブリールを前記セルに表示して、当該サブリールを回転させることによりシンボルを変動させる態様であってもよい。動的シンボル領域をサブリールの態様で表示することで、サブリール同士を同期させて回転させるような表示態様が実現可能となる。
【0112】
また、上記のサブリールは、三次元コンピュータグラフィックスにより立体的に表示されている態様であってもよい。この場合、プレイヤーを視覚的に惹きつけることができ、また、奥行きを利用した演出等を行うことができる。なお、サブリールの立体的表示には、色の濃淡を変化させたり影を付けたりする公知の立体的表現を利用することができる。
【0113】
また、制御部は、シンボルを表示するとともに前記リールとは独立して回転および停止するホイールを前記セルに表示して、当該ホイールを回転させることによりシンボルを変動させる態様であってもよい。
【0114】
また、制御部は、トリガーイベントの発生に応じて動的シンボル領域をなすセルの数を変更する態様であってもよい。たとえば、特別ゲームとして提供されるフリーゲーム等のゲーム中に、トリガーイベントが発生したことに応じて、動的シンボル領域を構成するセルの数を変更することができる。
【0115】
また、制御部は、リール毎に同じ種類のシンボルが表示されるように動的シンボル領域を同期して変動させる態様であってもよい。動的シンボル領域が同期せずに回転速度や回転方向が異なるようにしてシンボルを変動させた場合には、シンボルの視認性が低くかつ目障りに感じることがあるが、動的シンボル領域におけるシンボルの変動を同期させることで、シンボルの高い視認性を得ることができ、目障りに感じることもない。
【0116】
また、前記ディスプレイ部に表示されている前記動的シンボル領域の全てが同じ種類のシンボルを表示するように、前記動的シンボル領域を同期して変動させる態様であってもよい。この場合も、リール毎に動的シンボル領域におけるシンボルの変動を同期させる場合と同様、シンボルの高い視認性を得ることができ、目障りに感じることもない。また、リール毎に動的シンボル領域におけるシンボルの変動を同期させる場合と組み合わせることで、さらなる視認性向上を図ることができる。さらに、この場合には前記動的シンボル領域の全てで同じ種類のシンボルを表示させることにより、プレイヤーの高額配当への期待を高めることができる。
【0117】
また、制御部は、複数のリールを停止した後に動的シンボル領域におけるシンボルの変動を停止する態様であってもよい。この場合には、リールが停止することにより静的シンボル領域78に表示されるシンボルが確定しても、動的シンボル領域が停止するシンボルによって、多種多様なゲーム結果がプレイヤーに提供され、最後まで目の離せないゲーム進行を提供することができる。
【0118】
また、第二のシンボルセットは、それぞれ配当に対して所定の倍率を付与する機能を有するシンボルを含む態様であってもよい。このようなシンボル(マルチプライヤシンボルまたはマルチプライヤワイルドシンボル)は、高額配当につながるため、シンボル表示領域に表示することでプレイヤーに高額配当の期待感を与える。そのため、上記シンボルが、動的シンボル領域が表示するシンボルセットに含まれる場合、動的シンボル領域がシンボル表示領域60に停止したときに、プレイヤーの高額配当への期待を高めることができる。
【0119】
また、第二のシンボルセットは、第一のシンボルセットのサブセットを含む態様であってもよい。たとえば、第一のシンボルセットに含まれるシンボルのうち、比較的高い配当をもたらすシンボルのみからなるサブセットを第二のシンボルセットとすることができる。この場合、動的シンボル領域には配当の低いシンボルは出現せずに配当の高いシンボルのみが出現することになるので、動的シンボル領域に停止したシンボルは高い配当の入賞組み合わせを形成する。これにより、動的シンボル領域におけるシンボルの変動によって高額当選が発生する態様のゲームをプレイヤーに提供することができる。このような構成に加えて、さらに動的シンボル領域をなすセルを連続した位置に設けること、動的シンボル領域をリール毎に同期させて変動させること、または、ディスプレイに表示されている動的シンボル領域の全てを同期して変動させることにより、一層ゲーム結果が大きく変化する態様とすることも可能である。
【0120】
また、制御部は、トリガーイベントの発生に応じて、第二のシンボルセットに含まれるシンボルの種類を変更または追加する態様であってもよい。制御部は、第二のシンボルセットにワイルドシンボルを追加する態様であってもよい。この場合、第二のシンボルセットに含まれるシンボルの一部をワイルドシンボルに変更したり、第二のシンボルセットにワイルドシンボルを追加したりすることができる。この場合には、ワイルドシンボルが所定の確率で出現することで入賞確率が向上し、これにより変化に富んだゲームを提供することができる。
【0121】
本発明は上記第1の実施形態および第2の実施形態に限られるものではなく、種々変形が可能である。たとえば、上記実施形態ではスロットマシンの態様でゲームを提供するゲーミングマシンについて説明したが、これに限られるものではなく、ポーカー、ブラックジャックといったビデオカードゲーム、ビンゴ、キノ、ホイールゲーム等の態様でゲームを提供してもよい。また、本発明をパチンコ機やパチスロ機に適用することも可能である。
【0122】
動的シンボル領域がサブリールの場合、サブリールの回転方向は、シンボル表示領域60の列方向(リールの回転方向と平行な方向)に限らず、シンボル表示領域60の行方向(リールの回転方向と直交する方向)であってもよい。
【0123】
ワイルドサブリールやインナーリールの数は、適宜増減することができる。また、ワイルドサブリールやインナーリールを設けるリールの数も、適宜増減することができる。
【0124】
また、上記実施形態では、遊技価値として紙幣またはチケットを示し、これらを紙幣/チケット識別装置で受け付けて、プリンタユニットでチケットを出力する態様について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。遊技価値は、硬貨、紙幣、コイン、メダル、チケット等の有体物、又はこれらと同等の価値を有する電子データを含む概念である。たとえば、コインアクセプターでコインを受け付けて、コインホッパーからコインを支払う態様であっても構わない。プレイヤーを識別してサーバ上のアカウントに蓄積されたクレジットを使用し、アカウントへクレジットを払い出す態様であってもよく、磁気カード、ICカード等の記憶媒体に記録されたクレジットの情報を読み取って使用し、記憶媒体へ書き込むことでクレジットを払い出す態様であってもよい。
【0125】
また、上記実施形態では特別ゲームとしてフリーゲームを提供する場合を示したが、通常ゲームとは異なる仮想リールストリップを使用したボーナスゲームを提供してもよい。また、通常ゲーム中に取得された乱数の値に応じて提供されるフィーチャーゲームとすることもできる。
【0126】
また、特別ゲームを提供する所定の条件についても、スキャッタ判定またはライン判定に限られるものではなく、たとえばベット数が所定の値を超えている場合に特別ゲームを提供する構成としてもよい。通常ゲーム中に取得された乱数の値に応じて特別ゲームを提供する構成とすることも可能である。
【0127】
また、上記実施形態では特別ゲームとして所定回数のフリーゲームを提供する態様を示したが、回数を限定することなく特別ゲームを提供してもよい。この場合には、特定シンボルの組み合わせ、特別ゲーム中に取得された乱数の値等を特別ゲームの終了条件とし、終了条件を満たすまで特別ゲームを提供する構成とすることができる。
【符号の説明】
【0128】
1…ゲーミングマシン、21…上部ディスプレイ、26…下部ディスプレイ、27…表示部、44…操作部、50…制御部、51…CPU、60…シンボル表示領域、76…シンボル領域、78…静的シンボル領域、79…動的シンボル領域、70、70’…仮想リールセット、71〜75、71’〜75’…仮想リールストリップ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18