特許第6576058号(P6576058)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6576058
(24)【登録日】2019年8月30日
(45)【発行日】2019年9月18日
(54)【発明の名称】パイプの増肉成形方法
(51)【国際特許分類】
   B21J 5/08 20060101AFI20190909BHJP
【FI】
   B21J5/08 A
【請求項の数】1
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2015-47475(P2015-47475)
(22)【出願日】2015年3月10日
(65)【公開番号】特開2016-165745(P2016-165745A)
(43)【公開日】2016年9月15日
【審査請求日】2018年2月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006655
【氏名又は名称】日本製鉄株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】503378420
【氏名又は名称】日鉄ステンレス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090273
【弁理士】
【氏名又は名称】國分 孝悦
(72)【発明者】
【氏名】山本 修治
(72)【発明者】
【氏名】濱田 純一
(72)【発明者】
【氏名】矢川 敦久
(72)【発明者】
【氏名】藤永 充博
【審査官】 豊島 唯
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−275896(JP,A)
【文献】 特開平11−333537(JP,A)
【文献】 特表平10−507410(JP,A)
【文献】 特開2014−205187(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21J 1/00− 13/14
B21J 17/00− 19/04
B21K 1/00− 31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パイプの端部を増肉するパイプの増肉成形方法であって、
小径部、前記小径部に続き、径が拡大する傾斜面部、及び前記傾斜面部に続く大径部を有するマンドレルと、
小径孔部、前記小径孔部に続き、孔径が拡大する傾斜孔面部、及び前記傾斜孔面部に続く大径孔部を有するダイと、
前記マンドレルの前記小径部及び前記ダイの前記小径孔部に沿って配置される第1据込パンチと、
前記マンドレルの前記大径部及び前記ダイの前記大径孔部に沿って配置される第2据込パンチとを用い、
被加工材であるパイプを前記ダイと前記マンドレルとの間に挿入し、前記第1据込パンチで前記パイプの第1端部を据え込んで、また、前記第2据込パンチで前記パイプの第2端部を据え込んで、増肉成形を行う工程と、
前記第2据込パンチにより前記パイプの前記第2端部を拘束した状態で前記マンドレルを前記パイプから引き抜く工程と、
前記第1据込パンチにより前記パイプの前記第1端部を押し上げて、前記ダイより前記パイプを取り出す工程と、
を行うことにより、前記第1端部が内面側に増肉され、前記第2端部が外面側に増肉された増肉パイプを成形することを特徴とするパイプの増肉成形方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パイプの端部を増肉するパイプの増肉成形方法関する。
【背景技術】
【0002】
パイプの端部を増肉するための従来技術として、例えば特許文献1に開示されているものがある。特許文献1の方法では、図1(a)に示すように、上ダイ2と下ダイ3との中にパイプ1を配設し、据込パンチ4を矢印方向に押圧して、図1(b)に示すように、パイプ1の端部の増肉を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭59−88210号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の方法では、分割したダイ2、3を用いることから、両端を増肉成形後にパイプをダイ2、3及び据込パンチ4から取り外すことが可能である。しかし、図1(c)に示すように、増肉成形時にパイプ1の外表面が上ダイ2と下ダイ3との隙間に食い込むことを考慮して、ダイ2、3に面取り2a、3aが施されているが、分割されたダイ2、3の境界部にバリが発生するという問題がある。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、バリが発生することなくパイプの端部を増肉できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明のパイプの増肉成形方法は、パイプの端部を増肉するパイプの増肉成形方法であって、小径部、前記小径部に続き、径が拡大する傾斜面部、及び前記傾斜面部に続く大径部を有するマンドレルと、小径孔部、前記小径孔部に続き、孔径が拡大する傾斜孔面部、及び前記傾斜孔面部に続く大径孔部を有するダイと、前記マンドレルの前記小径部及び前記ダイの前記小径孔部に沿って配置される第1据込パンチと、前記マンドレルの前記大径部及び前記ダイの前記大径孔部に沿って配置される第2据込パンチとを用い、被加工材であるパイプを前記ダイと前記マンドレルとの間に挿入し、前記第1据込パンチで前記パイプの第1端部を据え込んで、また、前記第2据込パンチで前記パイプの第2端部を据え込んで、増肉成形を行う工程と、前記第2据込パンチにより前記パイプの前記第2端部を拘束した状態で前記マンドレルを前記パイプから引き抜く工程と、前記第1据込パンチにより前記パイプの前記第1端部を押し上げて、前記ダイより前記パイプを取り出す工程と、を行うことにより、前記第1端部が内面側に増肉され、前記第2端部が外面側に増肉された増肉パイプを成形することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、バリが発生することなくパイプの端部を増肉することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】従来のプレス金型を示す図であり、(a)が増肉成形前の状態を示す断面図、(b)が増肉成形後の状態を示す断面図、(c)が(a)のX−X線断面図である。
図2】実施形態に係るプレス金型の増肉成形前の状態を示す断面図である。
図3】実施形態に係るプレス金型のパイプの端部の増肉成形後の状態を示す断面図である。
図4】実施形態に係りプレス金型のマンドレルをパイプから引き抜いた後の状態を示す断面図である。
図5】実施形態に係るプレス金型のパイプをダイから取り出し後の状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。
図2図5は、実施形態に係るプレス金型の概略構成を示す断面図である。プレス金型は、プレス機に設置されている。なお、プレス金型の側断面は軸対称であるため、各図においては中心軸20から片側部分のみを示す。
【0010】
プレス金型は、互いに中心軸20が同軸上に配置される、マンドレル22と、第1据込パンチ23と、第2据込パンチ24と、ダイ25とを備える。マンドレル22、第1据込パンチ23、及び第2据込パンチ24は図示しない昇降機構により昇降移動する可動式であるのに対して、ダイ25は固定式である。昇降機構には、油圧、サーボモータ等を用いることができる。
【0011】
被加工材となるパイプ21は、一端から他端にかけて一定肉厚のパイプである。被加工材となるパイプ21には、普通鋼、ステンレス鋼、アルミ、チタン等の塑性加工が可能な材料を用いることができる。
【0012】
マンドレル22は、小径部22aと、小径部22aに続き、径が拡大する略円錐台側面状の傾斜面部22bと、傾斜面部22bに続く大径部22cとを有する。大径部22cの外径は、パイプ21の内径と略同等である。小径部22aの外径は、パイプ21の第1端部21aの増肉を行うため、大径部22cの外径より小さい。
【0013】
ダイ25は、小径孔部25aと、小径孔部25aに続き、孔径が拡大する略円錐台側面状の傾斜孔面部25bと、傾斜孔面部25bに続く大径孔部25cとを有する。小径孔部25aの内径は、パイプ21の外径と略同等である。大径孔部25cの内径は、パイプ21の第2端部21bの増肉を行うため、小径孔部25aの内径より大きい。
【0014】
第1据込パンチ23は、マンドレル22の小径部22a及びダイ25の小径孔部25aに沿って配置され、略円筒状である。第1据込パンチ23の内径は、マンドレル22の小径部22aの外径と略同等である。第1据込パンチ23の外径は、ダイ25の小径孔部25aの内径と略同等である。
【0015】
第2据込パンチ24は、マンドレル22の大径部22c及びダイ25の大径孔部25cに沿って配置され、略円筒状である。第2据込パンチ24の内径は、マンドレル22の大径部22cの外径と略同等である。第2据込パンチ24の外径は、ダイ25の大径孔部25cの内径と略同等である。
【0016】
以下、実施形態に係るプレス金型によるパイプ21の増肉成形動作について説明する。
図2に示すように、被加工材であるパイプ21をダイ25とマンドレル22との間に挿入する。この状態では、マンドレル22の小径部22aとパイプ21の第1端部21aとの間、及び、ダイ25の大径孔部25cとパイプ21の第2端部21bとの間に増肉のための空間が形成される。
【0017】
次に、図3に示すように、第1据込パンチ23及び第2据込パンチ24により、それぞれパイプ21の第1端部21a及び第2端部21bを据え込み、増肉成形を行う。増肉成形後のパイプには符号31を付すこととする。パイプ31では、第1端部31aが内面側に増肉され、第2端部31bが外面側に増肉される。
この場合に、第1据込パンチ23によりパイプ21の第1端部21aを据え込んだ後に、第2据込パンチ24によりパイプ21の第2端部21bを据え込んでもよい。或いは、第2据込パンチ24によりパイプ21の第2端部21bを据え込んだ後に、第1据込パンチ23によりパイプ21の端部21aを据え込んでもよい。或いは、両パンチ23、24によりパイプ21の両端部21a、21bを同時に据え込んでもよい。
【0018】
次に、図4に示すように、第2据込パンチ24によりパイプ31の第2端部31bを拘束した状態でマンドレル22をパイプ31から引き抜く。パイプ31の第2端部31bは外面側(すなわち、ダイ25側)に増肉されているが、内面側(すなわち、マンドレル22側)には増肉されていないので、マンドレル22をパイプ31から引き抜くことができる。
【0019】
次に、図5に示すように、第1据込パンチ23によりパイプ31の第1端部31aを押し上げて、ダイ25よりパイプ31を取り出す。
【0020】
以上のように、一方の端部を内面側に増肉し、他方の端部を外面側に増肉することにより、一体型のダイを用いても、増肉成形後のパイプをプレス金型から取り出すことが可能となる。一体型のダイを用いて、パイプの両端を内面側又は外面側のいずれかにだけ増肉した場合、増肉成形後のパイプをプレス金型から取り外すことはできない。
そして、一体型のダイを用いているので、バリが発生することなくパイプの端部を増肉することができる。
【0021】
本発明を適用した増肉パイプの用途は特に限定するものでは無いが、特に自動車や二輪車等に搭載される内燃機関(エンジン)の排気部品(例えば排気装置のセンターパイプ)等に使用される鋼管に適用することが有効である。自動車や二輪車に使用される部品は、燃費効率や熱効率等の観点から軽量化が要求されている。自動車や二輪車に使用される部品の中でエキゾーストマニホールドからマフラーにいたる排気管は、高温の排気ガスが流れるため、耐熱性、耐食性に優れたステンレス鋼管が使用されている。通常、これらの部品は一定肉厚の鋼管を曲げ、拡管等の成型が施された後、他部品との接合が成される。しかしながら、耐熱性、耐食性及び構造的な観点から、各部品に必ずしも一定肉厚の鋼管が必要では無い。
【0022】
以上、本発明を実施形態と共に説明したが、上記実施形態は本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
上記実施形態ではパイプの両端を増肉した例を示したが、本発明は、片方の端部のみを内面側又は外面側に増肉することも含む。また、増肉成形を施した後に、必要に応じて熱処理等の後処理を行ってもかまわない。
【符号の説明】
【0023】
20…中心軸
21…パイプ
21a…パイプの第1端部
21b…パイプの第2端部
22…マンドレル
22a…小径部
22b…傾斜面部
22c…大径部
23…第1据込パンチ
24…第2据込パンチ
25…ダイ
25a…小径孔部
25b…傾斜面部
25c…大径孔部
31…増肉成形後のパイプ
31a…増肉成形後のパイプの第1端部
31b…増肉成形後のパイプの第2端部
図1
図2
図3
図4
図5