(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6576073
(24)【登録日】2019年8月30日
(45)【発行日】2019年9月18日
(54)【発明の名称】画像検査方法の誤り識別の信頼性をテストするための方法
(51)【国際特許分類】
G06T 1/00 20060101AFI20190909BHJP
G01N 21/892 20060101ALI20190909BHJP
B41F 33/00 20060101ALI20190909BHJP
【FI】
G06T1/00 310A
G01N21/892 A
B41F33/00 280
【請求項の数】6
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2015-71750(P2015-71750)
(22)【出願日】2015年3月31日
(65)【公開番号】特開2015-197928(P2015-197928A)
(43)【公開日】2015年11月9日
【審査請求日】2017年9月27日
(31)【優先権主張番号】10 2014 004 556.0
(32)【優先日】2014年3月31日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】390009232
【氏名又は名称】ハイデルベルガー ドルツクマシーネン アクチエンゲゼルシヤフト
【氏名又は名称原語表記】Heidelberger Druckmaschinen AG
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】フランク シューマン
(72)【発明者】
【氏名】フランク ゾルトヴェーデル
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル ブラット
【審査官】
山田 辰美
(56)【参考文献】
【文献】
特開2005−098777(JP,A)
【文献】
特開2007−160785(JP,A)
【文献】
特開平11−048456(JP,A)
【文献】
特開2013−120101(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 1/00
B41F 33/00
G01N 21/892
IEEE Xplore
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
計算機を用いて画像検査方法の誤り識別の信頼性をテストするための方法において、
該方法は、
・ 誤りのない参照画像(2)と、複数の固有の誤り要素(3)とを重畳することにより、誤りを有するテスト画像(4)を形成するステップと、
・ 当該誤りを有するテスト画像(4)を用いて前記画像検査方法を実行するステップと、
・ 当該画像検査方法によって検出した誤り(5)と、前記テスト画像(4)に付加した既知の誤りに起因して予想される誤りの量とを比較するステップと、
・ 検出した誤りと、予想される誤りとの間の相違に基づいて前記画像検査方法の信頼性(8)を評価するステップとを有しており、
前記信頼性の前記テストを有する前記画像検査方法は、印刷機械に対する印刷プロセスの一部分であり、
印刷ジョブの前段階のデータ(1)から前記誤りのない参照画像(2)を得る、
または、
前記印刷機械における印刷ジョブにしたがって形成されかつスキャンされた印刷画像のデジタルデータから、前記誤りのない参照画像(2)を得る、
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、
前記信頼性の前記テストは、テストすべき前記画像検査方法の手動で起動および停止可能な、オプションの構成部分である、
ことを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の方法において、
前記誤り要素(3)は、サイズおよび配置が異なる点または領域から構成されている、
ことを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項3に記載の方法において、
前記信頼性の前記テストにより、異なる誤りの量、前記重畳におけるコントラスト、または色の誤りを含む異なる誤りの識別について前記画像検査方法をテストする、
ことを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項1から4までのいずれか1項に記載の方法において、
前記画像検査方法の信頼性(8)が、あらかじめ設定した判定基準に適合しない場合、手動または自動で当該画像検査方法を新たにパラメタ設定する、
ことを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項1から5までのいずれか1項に記載の方法において、
前記計算機上において少なくとも所定の時間間隔でバックグランドで自動的に前記方法を実行する、
ことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念に記載した特徴を有する、画像検査方法における誤り識別の信頼性をテストするための方法に関する。
【0002】
本発明が取り扱っているのは、テスト自動化の技術分野である。
【背景技術】
【0003】
従来の公知技術では、上記のテスト対象の画像検査方法が使用されて、印刷ジョブの実行の枠内で仕上がった印刷生成物に誤りが生じていないかがチェックされる。ここでは印刷されたこの画像が、デジタルカメラによってスキャンされ、サーバに送信され、そこで前段階のデータから形成した参照画像と比較されるかまたは印刷された参照画像と比較される。ここでは比較アルゴリズムのパラメタ設定に応じて、再デジタル化された印刷画像と、上記の参照画像との間の偏差が誤りとして識別されて表示される。画像検査の自動化されたチェックは行われていない。それにもかかわらず、画像検査において発生し得る誤りであって、誤りを有する印刷が識別されないことになり得る誤りを識別するため、種々異なる誤り対象体で満たされた印刷版(誤り版とも称される)が作製される。すなわち、この印刷版には、例えば点列、カンマおよびピリオドを有するテキスト、または複数の点の斜線など、この印刷版を印刷した際に印刷誤りを引き起こす誤り要素が含まれているのである。これらの印刷誤りは、画像検査方法の枠内で検査される。これにより、この画像検査方法がまだ正しく機能しているか否かを、すなわちまだ正しくパラメタ設定されているか否かをテストすることができるのである。しかしながらこの過程には極めて大きなコストがかかる。なぜならば、画像検査方法のこのようなテストに対し、専用の印刷刷版を特別に作製し、さらにこのテストの実行中には本来の印刷ジョブを中断しなければならないからである。このテスト方法が自動化されれば、印刷プロセスそれ自体が大いに加速されると共に、実行のためのコストも低減されることになるのである。
【0004】
自動化されたテストシステムは、多くの分野に、殊にソフトウェア開発に適用される。一例は、自動車部門における制御装置開発である。ここでは、センサデータを検出し、評価し、この評価に依存してアクチュエータを駆動制御することが役割である制御装置に、極めて多くのさまざまなテストシナリオが課されるのである。これらのテストシナリオには第1に、例えば、給電線路または所定の接続線路における断線または短絡などのようなハードウェアの損傷が含まれる。また第2にはデータエラーがテストされる。例えば損傷または故障したセンサによって測定範囲外の値が供給される。またはデータエラーは、もはや応答することができないアクチュエータによって発生する。複数のセンサ値が互いに矛盾している場合も、このことは上記の制御装置によって識別しなければならない。これらの誤りのカテゴリはすべて、自動化されたテストシステムにおいて互いに任意に組み合わせることができる。上記の制御装置は、これらの誤りを識別し、そのプログラミングに対応してこの誤りに応答しなくてはならない。自動化されたシステムを使用することにより、上記のプログラミングおよび/または構成において発生し得る誤りを早期に識別してこれを取り除くことができる。これによりコストも時間も節約される。これらのコストや時間は、上記の自動化されたシステムを使用しない場合、すでに現場にある装置の誤りを後で探索する際に、大量に調達せざるを得ないものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、画像検査方法用の自動化されたテストを開示することであり、この自動化されたテストでは、画像検査の機能において、例えば誤ったパラメタ設定または測定装置の欠陥または誤った取り付けによって発生し得る誤りが早期に識別される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題の本発明による解決は、請求項1に記載した特徴を有する方法に示されている。計算機を用いて画像検査方法の誤り識別の信頼性を検査するための方法にはつぎのステップが含まれている。すなわち、この方法には、
1. 誤りのない参照画像と、複数の固有の誤り要素とを重畳することにより、誤りを有するテスト画像を形成するステップと、
2. 上記の誤りを有するテスト画像を用いて上記の画像検査方法を実行するステップと、
3. この画像検査方法によって検出した誤りと、上記のテスト画像に付加した誤りとを比較するステップと、
4. 検出した誤りと、予想される誤りとの間の違いに基づいて上記の画像検査方法の信頼性を評価するステップとが含まれているのである。
【0007】
ここでは上記の参照画像の作成に続き、上記の誤りを有するテスト画像を形成する。この参照画像は、上記の印刷ジョブの既知の前段階のデータから形成される。上記の誤り要素を介して上記のテスト画像に差し挟まれた誤りのうちのいくつが上記の画像検査によって検出されたかという事実により、この画像検査方法の調整されたフィルタパラメタがまだ正しいか否かについての情報が得られる。このことの利点は、印刷オペレータが、上記の画像検査の品質に対する推測を直ちに手に入れられる。これにより、印刷オペレータは、誤りの際に直ちに介入して、上記の検査方法を新たに設定するか、または誤りを取り除き、これによって発生し得る刷り損じを少なくすることができる。さらに誤り版を、すなわち、あらかじめ設定した誤りを検査する検査システムをテストするためのこれらのあらかじめ設定した誤りを有する印刷版を、もはや作製する必要がないため、時間もコストも低減される。上記の誤り版の作製および使用により、全体的な印刷プロセスを実行するための時間が長くなっていたのである。これによってさらに、上記の画像検査方法を格段に頻繁にテストすることができ、したがって従来公知の技術において可能であったよりも、偏差をより早期に識別することができるのである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
上記の方法の有利な発展形態でありしたがって好適な発展形態は、対応する従属請求項と、対応する図面を用いた以下の説明とから得られる。
【0010】
本発明による方法の有利な実施形態において上記の信頼性テストは、テストすべき画像検査方法のオプションの構成部分であり、これは、ユーザによって手動で起動または停止することができる。すなわち、印刷オペレータは、印刷ジョブの複雑さに応じて上記のテスト法を任意に付加的にスイッチオンすることができるのである。複雑な印刷画像により、画像検査方法に対してより高い要求が課されるため、この画像検査方法に対してより頻繁なチェックが必要である。
【0011】
本発明による方法の有利な発展形態では、上記の信頼性テストを有する画像検査方法は、印刷機械に対する印刷プロセスの一部分である。すなわち、この画像検査方法は、印刷生成物の品質をチェックするのに利用され、本発明のテスト方法はこの目的のために最適化されている。ここでは印刷機械に組み込まれたデジタルカメラにより、印刷された枚葉紙を検出し、つぎにこれがネットワークに接続された計算機(サーバ)に伝送され、そこで参照画像と照らし合わされる。
【0012】
本発明による方法の有利な発展形態では、印刷ジョブの前段階のデータから、誤りのない参照画像が得られる。したがってこの参照画像は、画像内容、画像配置および画像形式について顧客データの入力から得られる画像である。この参照画像は、印刷ジョブの確認のために顧客に提供されると共に、印刷プロセスにおいて品質チェックのためにも利用される。択一的には上記の参照画像を、印刷ジョブ中に印刷されかつスキャンされた印刷画像とすることも可能である。この場合にスキャンされた有利には誤りのない印刷画像に複数の固有の誤り要素を重畳して、誤りを有するテスト画像を形成する。
【0013】
本発明による方法の有利な発展形態では、上記の誤り要素は、サイズおよび配置が大きく異なる点または領域から構成される。幾何学形状が大きく異なる点群、点の斜線または領域は、上記の参照画像に重畳されて上記のテストすべき誤り画像が得られる。
【0014】
本発明による方法の有利な発展形態では、上記のテスト方法により、異なる誤りの量、上記の重畳におけるコントラスト、または色の誤りなどのような大きく異なる誤りの識別について画像検査方法がテストされる。上記の画像検査によってこれらの誤りタイプを識別しなければならない。これらの誤りタイプの出現の仕方および頻度は、上記の参照画像と重畳するための対応する誤り要素を選択することによって制御することができる。
【0015】
本発明の方法の有利な発展形態では、上記の画像検査方法の信頼性が、あらかじめ設定した判定基準に適合しない場合、手動および/または自動でこの画像検査方法を新たにパラメタ設定する。これによって保証されるのは、偏差が大きすぎる場合に上記の画像検査方法を新たに構成して較正することである。これが行われない場合には、実際の印刷時に発生するすべての誤りが検出されることは保証されないことになり得る。
【0016】
本発明による方法の有利な発展形態では、この方法は、上記の計算機上において少なくとも所定の間隔で自動的にバックグランドで実行される。これによって保証されるのは、印刷機械のオペレータが、上記の誤り識別の信頼性についてのテストを定期的に実行するのを忘れてしまないようにすることである。ここでは印刷ジョブ中にはつねにテストが実行され、しかもこのテストが印刷動作を妨害しない場合にはつねに実行されるようにすることができる。このテストによって、誤りがあることが確認された場合、オペレータには視覚的または音響的に通知される。誤り時にはこのオペレータには自動的に通知が行われるため、オペレータは画像検査システムが動作可能であるかについて心配する必要はないのである。
【実施例】
【0017】
上記の方法およびこの方法の機能的に有利な発展形態を以下、少なくとも1つの有利な実施例に基づく対応する図面を参照して詳しく説明する。図面において互いに対応する要素にはそれぞれ同じ参照符号が付されている。
【0018】
有利な実施例は以下のようになっている。ここでは、画像検査を制御して監視するグラフィックアプリケーションソフトウェアが設けられている。このソフトウェアには、新しいメニュー項目が追加され、このメニュー項目を介し、ユーザは上記のテスト方法を起動および停止することができる。例示的な流れは
図3に示されている。現在の印刷プロセスに対して最初に起動すると、参照画像2と、事前に選択されかつ上記のソフトウェアに格納された誤り要素3とから、重畳により、誤りを有するテスト画像4が形成される。参照画像2は、前段階のデータ1から形成される。それはこの参照画像が実行中の画像検査にすでに必要になるからである。テスト画像4は、画像検査のため、参照画像2を作成した直後に作成して、このテスト方法を起動した際に直ちに利用できるようにすることも可能である。
図1において例示的に示した誤り要素3は、上記のソフトウェアに格納されており、所望の誤りタイプに応じてユーザが選択することができる。これらの誤り要素は、サイズ、配置およびコントラストが大きく異なる点および領域からなる。別の選択肢は、網点面積値が大きく異なる色要素、種々異なる文字(例えば中国/日本またはアラブの文字)のテキスト、および掻き傷、孔などを象形または配向したものである。元々の参照画像2に重畳することにより、誤り要素3を所期のように選択することによって定められる画像誤りが形成される(
図2にシンボリックに視覚的に示されている)。例えば、上記の重畳において種々異なるコントラスト、誤りの量または色の欠落が形成される。
【0019】
通常の画像検査方法の枠内において、印刷した上記の画像は、スキャンされて、サーバに送信され、このサーバ計算機上で動作するプログラムにより、種々の比較アルゴリズムを用いて参照画像2と照らし合わせされる。偏差は誤り5として識別され、分類され、画像検査方法を制御するプログラムにより、ディスプレイを介してユーザに示される。ここでこのディスプレイは、印刷機械の表示器とすることも、別の計算機のモニタとすることも可能であり、このディスプレイを介して上記の画像検査方法がグラフィックアプリケーションソフトウェアによって監視される。画像検査用の検査方法が起動される場合、スキャンした画像6の代わりに上記の作成した誤りテスト画像4がサーバに送信される。この誤りテスト画像4も上記のプログラムにより、参照画像2と照らし合わせされる。ここで重要であるのは、この画像検査方法が、誤り検査画像4と照らしあわす際に、スキャンした画像6を照らし合わす場合と同じ設定で作動されることである。誤り画像4において識別された誤り5は、前もって参照画像2に重畳された誤り要素3によって既知となっている予想される誤りと比較される。取り込まれた誤りのうちのいくつが上記のアルゴリズムによって識別されるかという事実に基づき、上記の画像検査がどの程度の信頼性で動作しているかを評価することができる。この信頼性が、ユーザによって前もって決定された所定の判定基準を下回っている場合、このことは上記のグラフィックアプリケーションソフトウェアによって上記のディスプレイに表示される。この場合にユーザは印刷プロセスを中断して上記の検査方法を新たに較正することができる。上記の画像検査方法の設定が自動で行われる場合、上記のソフトウェアは自動的に再較正をトリガすることができる。
【0020】
検査方法が起動されている場合に、上記の誤りテスト画像を、実際にテストすべきでありかつスキャンした画像6と並列に処理するか否か、すなわち、上記の画像検査方法が、印刷された上記の画像に対して引き続いて動作するか、または上記の検査方法を実行するために上記の画像検査を停止し、ひいては印刷プロセスを停止しなければならないか否かは、サーバないしはプログラムの性能およびその可用性に依存する。2つの変形形態が考えられる。
【符号の説明】
【0021】
1 前段階のデータ、 2 参照画像、 3 誤り要素、 4 模擬された誤りテスト画像、 5 検査結果、 6 デジタル化された画像、 7 検査パラメタ、 8 テスト結果