(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】
図1は、本発明の実施の形態1である形材の接合構造が適用された建具、すなわち本発明の実施の形態1である建具を室内側から見た場合を簡略的に示す外観図である。
【
図2】
図2は、
図1に示した開口枠の要部、すなわち下枠と左縦枠とを分解して示す斜視図である。
【
図3】
図3は、
図2に示した要部を模式的に示す説明図である。
【
図4】
図4は、開口枠の構成要素を四周枠組みした際の下枠と左縦枠とを模式的に示す説明図である。
【
図5】
図5は、
図4に示した状態から下枠が左縦枠から離隔する方向に変位した状態を模式的に示す説明図である。
【
図6】
図6は、
図5に示した状態から隙間に水が進入した状態を模式的に示す説明図である。
【
図7】
図7は、本発明の実施の形態2である形材の接合構造が適用された建具、すなわち本発明の実施の形態2である建具を室内側から見た場合を簡略的に示す外観図である。
【
図8】
図8は、
図7に示した開口枠の要部、すなわち下枠と左縦枠とを分解して示す斜視図である。
【
図9】
図9は、
図8に示した要部を模式的に示す説明図である。
【
図10】
図10は、
図9に示したシール材の製造工程の一部を示すものであり、(a)はゴム層を構成する材料を作成する手順を示す説明図であり、(b)は膨潤層を構成する材料を作成する手順を示す説明図である。
【
図11】
図11は、
図9に示したシール材の製造工程の一部を示すものであり、(a)及び(b)はゴム層の作成工程を示す説明図であり(c)は膨潤層の作成工程を示す説明図である。
【
図12】
図12は、開口枠の構成要素を四周枠組みした際の下枠と左縦枠とを模式的に示す説明図である。
【
図13】
図13は、
図12に示した状態から下枠が左縦枠から離隔する方向に変位した状態を模式的に示す説明図である。
【
図14】
図14は、
図13に示した状態から隙間に水が進入した状態を模式的に示す説明図である。
【
図15】
図15は、本発明の実施の形態2のシール材の変形例を模式的に示す説明図である。
【
図16】
図16は、本発明の実施の形態2のシール材の変形例を模式的に示す説明図である。
【
図17】
図17は、本発明の実施の形態2のシール材の変形例を模式的に示す説明図である。
【
図18】
図18は、本発明の実施の形態2のシール材の変形例を模式的に示す説明図である。
【
図19】
図19は、本発明の実施の形態2のシール材の変形例を模式的に示す説明図である。
【
図20】
図20は、本発明の実施の形態2のシール材の変形例を模式的に示す説明図である。
【
図21】
図21は、本発明の実施の形態2のシール材の変形例を模式的に示す説明図である。
【
図22】
図22は、本発明の実施の形態2のシール材の変形例を模式的に示す説明図である。
【
図23】
図23は、本発明の実施の形態2のシール材の変形例を模式的に示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る形材の接合構造及び建具の好適な実施の形態について詳細に説明する。
【0028】
<実施の形態1>
図1は、本発明の実施の形態1である形材の接合構造が適用された建具、すなわち本発明の実施の形態1である建具を室内側から見た場合を簡略的に示す外観図である。ここで例示する建具は、開口枠10に左右2枚の障子20を備え、開口枠10に対して2枚の障子20を左右方向に開閉移動させる、引き違い窓と称されるものである。
【0029】
開口枠10は、上枠11、下枠(第1形材)12及び左右一対の縦枠13,14を四周枠組みすることによって構成された矩形開口を形成するものである。これら上枠11、下枠12及び左右一対の縦枠13,14は、例えばアルミニウム等の金属材料の押出形材である。このような開口枠10は、上枠11、下枠12及び左右一対の縦枠13,14のそれぞれを家屋の壁等の躯体1に形成された躯体開口2に対してその開口縁部に沿うように取り付けられている。
【0030】
障子20は、それぞれ上框21、下框22及び左右一対の縦框23,24を四周框組みすることによって構成された框の内部に面材25を保持させたものである。これら上框21、下框22及び左右一対の縦框23,24は、例えばアルミニウム等の金属材料の押出形材である。
【0031】
ところで、上記建具の開口枠10を構成する下枠12の左端面12aと、左側の縦枠(第2形材、以下、左縦枠ともいう)13の下側の接合面13aとの間には、
図2に示すように、シール材30を介在させている。尚、
図2の例では、下枠12の左端面12aと左縦枠13の下側の接合面13aとの間だけを示しているが、上記建具においては、下枠12の右端面12bと右側の縦枠(以下、右縦枠ともいう)14の下側の接合面14aとの間、上枠11の左端面11aと左縦枠13の上側の接合面13bとの間、並びに上枠11の右端面11bと右縦枠14の上側の接合面14bとの間にも同様の構成を有するシール材30が介在されている。
【0032】
ここで下枠12の左端面12a及び右端面12b、並びに上枠11の左端面11a及び右端面11bは、金属材料の押出形材をその長手方向に直交する方向に切断することで形成される小口である。また、この小口は、アルマイト処理等の化学的な表面処理やヤスリがけ等の物理的な表面処理が施されていないことが好ましい。
【0033】
かかるシール材30は、
図3に模式的に示すように、シート状の形態を成すものである。このシール材30は、例えば不織布や寒冷紗等からなる基材31の表面及び裏面にブチルゴム等の未加硫ゴム部材を有するゴム層32が形成され、更に一方のゴム層32の表面に膨潤材33が塗布されて形成されている。膨潤材33は、高吸水性樹脂(SAP:Super Absorbent Polymer)よりなるものであり、多量の水を吸収してゲル化し、その水を保持する機能を有するものである。このような膨潤材33が、シール材30の一方の表面を構成するよう一方のゴム層32の表面に塗布されている。
【0034】
そして、上枠11、下枠12及び左右一対の縦枠13,14を四周枠組みする際に、
図4に示すように、下枠12の左端面12aがシール材30を介して左縦枠13の下側の接合面13aに接合される。このとき、下枠12に押圧されることで、下枠12の左端面12aと左縦枠13の下側の接合面13aとの間に介在するシール材30は圧縮変形することとなる。尚、下枠12の右端面12bと右縦枠14の下側の接合面14aとの間、上枠11の左端面11aと左縦枠13の上側の接合面13bとの間、並びに上枠11の右端面11bと右縦枠14の上側の接合面14bとの間に介在するシール材30も同様に圧縮変形することとなる。
【0035】
以上のような接合構造を有する開口枠10を躯体1の躯体開口2に設置する作業を行う場合において、該開口枠10の運搬時の運搬方法により下枠12に対してその左端面12aが左縦枠13の下側の接合面13aから離脱する方向に力が作用してしまったり、あるいは上記躯体開口2を構成する要素の寸法誤差等により下枠12に対してその左端面12aが左縦枠13の下側の接合面13aから離脱する方向に力が作用してしまったりすると、
図5に示すように、下枠12の左端面12aとシール材30及び膨潤材33との間に隙間が生ずることがある。
【0036】
このように隙間が生じてしまい、更に該隙間に雨水等の水が進入した場合、上記接合構造では、
図6に示すように、膨潤材33が該水を吸収して膨張することで該水が隙間を通過することを抑制することができ、結果的に止水性能を確保することができる。
【0037】
以上説明したような本実施の形態1である接合構造によれば、下枠12の左端面12aと、左縦枠13の接合面13aに貼付されたシール材30との間に隙間が生じても、シール材30の表面、すなわち左縦枠13に当接される表面を構成する膨潤材33が該隙間に進入する水を吸収して膨張するので、該隙間を水が通過することを抑制し、止水性能を確保することができ、これにより、下枠12の左端面12aが左縦枠13の接合面13aから離隔する方向に変位しても止水性能を良好なものとすることができる。
【0038】
特に、下枠12等の左端面12a等が金属材料の押出形材をその長手方向に直交する方向に切断することで形成される小口であって、アルマイト処理等の化学的な表面処理やヤスリがけ等の物理的な表面処理が施されていないので、該左端面12a等は、鋭利な部分を多数有している。そのため、下枠12等がシール材30を押圧する場合に、該下枠12等の左端面12a等が該シール材30の表面を傷つけて容易に破壊させることができ、これにより表面の膨潤材33を容易に表出させることができる。
【0039】
<実施の形態2>
図7は、本発明の実施の形態2である形材の接合構造が適用された建具、すなわち本発明の実施の形態2である建具を室内側から見た場合を簡略的に示す外観図である。ここで例示する建具は、開口枠40に左右2枚の障子50を備え、開口枠40に対して2枚の障子50を左右方向に開閉移動させる、引き違い窓と称されるものである。
【0040】
開口枠40は、上枠41、下枠(第1形材)42及び左右一対の縦枠43,44を四周枠組みすることによって構成された矩形開口を形成するものである。これら上枠41、下枠42及び左右一対の縦枠43,44は、例えばアルミニウム等の金属材料の押出形材である。このような開口枠40は、上枠41、下枠42及び左右一対の縦枠43,44のそれぞれを家屋の壁等の躯体3に形成された躯体開口4に対してその開口縁部に沿うように取り付けられている。
【0041】
障子50は、それぞれ上框51、下框52及び左右一対の縦框53,54を四周框組みすることによって構成された框の内部に面材55を保持させたものである。これら上框51、下框52及び左右一対の縦框53,54は、例えばアルミニウム等の金属材料の押出形材である。
【0042】
ところで、上記建具の開口枠40を構成する下枠42の左端面42aと、左側の縦枠(第2形材、以下、左縦枠ともいう)43の下側の接合面43aとの間には、
図8に示すように、シール材60を介在させている。尚、
図8の例では、下枠42の左端面42aと左縦枠43の下側の接合面43aとの間だけを示しているが、上記建具においては、下枠42の右端面42bと右側の縦枠(以下、右縦枠ともいう)44の下側の接合面44aとの間、上枠41の左端面41aと左縦枠43の上側の接合面43bとの間、並びに上枠41の右端面41bと右縦枠44の上側の接合面44bとの間にも同様の構成を有するシール材60が介在されている。
【0043】
ここで下枠42の左端面42a及び右端面42b、並びに上枠41の左端面41a及び右端面41bは、金属材料の押出形材をその長手方向に直交する方向に切断することで形成される小口である。また、この小口は、アルマイト処理等の化学的な表面処理やヤスリがけ等の物理的な表面処理が施されていないことが好ましい。
【0044】
かかるシール材60は、
図9に模式的に示すように、シート状の形態を成すものである。このシール材60は、例えば不織布や寒冷紗等からなる基材61の表面及び裏面にブチルゴム等の未加硫ゴム部材を有するゴム層62が形成され、更に一方のゴム層62の表面に、膨潤材64が未加硫ゴム部材と混練されてなる膨潤層63が積層されて形成されている。膨潤材64は、高吸水性樹脂(SAP:Super Absorbent Polymer)よりなるものであり、多量の水を吸収してゲル化し、その水を保持する機能を有するものである。
【0045】
かかるシール材60においては、全体の厚みに対する膨潤層63の厚みの比が0.2以上であることが好ましく、更に0.2〜0.5であることがより好ましい。シール材60の全体の厚みに対して膨潤層63の厚みが0.2以上あることにより、シール材60が下枠42に押圧されて圧縮変形する場合に、膨潤層63に含まれる膨潤材64を十分な量だけ表出させることができる。
【0046】
このようなシール材60は次のようにして製造される。まず、
図10の(a)に示すように、ゴム層62を形成するための未加硫ゴム部材65を他の成分66とともに混練するとともに、
図10の(b)に示すように、膨潤層63を形成するための未加硫ゴム部材65とSAPよりなる膨潤材64とを混練する。
【0047】
次に、
図11の(a)に示すように、一対のローラ71,72間に例えば不織布等の基材61を搬送させつつ、該基材61の一面に未加硫ゴム部材65と他の成分66とを混練させたものを塗布してゴム層62を形成する。このようにして基材61の一面にゴム層62を形成した後に、
図11の(b)に示すように、一対のローラ71,72間にゴム層62が一面に形成された基材61を搬送させながら、該基材61の他面に未加硫ゴム部材65と他の成分66とを混練させたものを塗布してゴム層62を形成する。これにより、基材61の両面にゴム層62が形成される。
【0048】
そして、
図11の(c)に示すように、両面にゴム層62が形成された基材61を一対のローラ71,72間に搬送させながら、一方のゴム層62の表面に未加硫ゴム部材65と膨潤材64とを混練させたものを塗布して膨潤層63を形成する。このように膨潤層63が形成されたものを適当な大きさに裁断することで上記シール材60が製造される。
【0049】
このようにして製造されるシール材60においては、膨潤層63を構成する膨潤材64が未加硫ゴム部材65と混練されているので、表面に現れていない。
【0050】
そして、上枠41、下枠42及び左右一対の縦枠43,44を四周枠組みする際に、
図12に示すように、下枠42の左端面42aがシール材60を介して左縦枠43の下側の接合面43aに接合される。このとき、下枠42に押圧されることで、下枠42の左端面42aと左縦枠43の下側の接合面43aとの間に介在するシール材60は圧縮変形することとなる。すなわち、ゴム層62及び膨潤層63が圧縮変形することとなる。尚、下枠42の右端面42bと右縦枠44の下側の接合面44aとの間、上枠41の左端面41aと左縦枠43の上側の接合面43bとの間、並びに上枠41の右端面41bと右縦枠44の上側の接合面44bとの間に介在するシール材60も同様に圧縮変形することとなる。
【0051】
このようにシール材60が圧縮変形されることで、シール材60の表面の一部が破壊、つまり膨潤層63の未加硫ゴム部材65の一部が破壊され、これにより変形部分の表面、すなわち下枠42との境界部分には膨潤材64が表出することになる。
【0052】
以上のような接合構造を有する開口枠40を躯体3の躯体開口4に設置する作業を行う場合において、該開口枠40の運搬時の運搬方法により下枠42に対してその左端面42aが左縦枠43の下側の接合面43aから離脱する方向に力が作用してしまったり、あるいは上記躯体開口4を構成する要素の寸法誤差等により下枠42に対してその左端面42aが左縦枠43の下側の接合面43aから離脱する方向に力が作用してしまったりすると、
図13に示すように、下枠42の左端面42aとシール材60との間に隙間が生ずることがある。
【0053】
このように隙間が生じてしまい、更に該隙間に雨水等の水が進入した場合、上記接合構造では、
図14に示すように、表出する膨潤材64が該水を吸収して膨張することで該水が隙間を通過することを抑制することができ、結果的に止水性能を確保することができる。
【0054】
以上説明したような本実施の形態2である接合構造によれば、下枠42の左端面42aと、左縦枠43の接合面43aに貼付されたシール材60との間に隙間が生じても、シール材60の膨潤層63を構成する膨潤材64が該隙間に進入する水を吸収して膨張するので、該隙間を水が通過することを抑制し、止水性能を確保することができ、これにより、下枠42の左端面42aが左縦枠43の接合面43aから離隔する方向に変位しても止水性能を良好なものとすることができる。
【0055】
特に、シール材60の膨潤層63を構成する膨潤材64が未加硫ゴム部材65と混練されていて常態においては表面に現れないので、該シール材60が接合構造に用いられる前に該シール材60に水分等が付着しても膨潤材64が膨張することを抑制できる。従って、接合構造を形成する際にシール材60の膨潤材64が膨張して接合構造の形成を阻害する虞れがない。そして、接合構造の形成時にシール材60の圧縮変形により膨潤材64が下枠42との境界部分に表出するので、上述したように隙間に進入する水を吸収して膨張する結果、隙間を水が通過することを抑制して止水性能を向上させることができる。これにより、シール材60の取扱性を良好なものとしながら、止水性能を良好なものとすることができる。
【0056】
また、下枠42等の左端面42a等が金属材料の押出形材をその長手方向に直交する方向に切断することで形成される小口であって、アルマイト処理等の化学的な表面処理やヤスリがけ等の物理的な表面処理が施されていないので、該左端面42a等は、鋭利な部分を多数有している。そのため、下枠42等がシール材60を押圧する場合に、該下枠42等の左端面42a等が該シール材60の表面を構成する膨潤層63を傷つけて容易に破壊させることができ、これにより膨潤層63より膨潤材64を容易に表出させることができる。
【0057】
以上、本発明の好適な実施の形態1及び実施の形態2について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、種々の変更を行うことができる。
【0058】
上述した実施の形態2では、シール材60を構成するゴム層62が未加硫ゴム部材65を含有して構成されていたが、本発明においては、シール材を構成するゴム層は、例えば合成ゴム材等で構成されていて、第1形材に押圧される際に弾性変形するものであってもよい。この場合でも、シール材が第1形材に押圧されて圧縮変形する際に膨潤層の未加硫ゴム部材の一部が破壊されることで膨潤材が第1形材との境界部分に表出することとなり、止水性能を良好なものとすることができる。
【0059】
上述した実施の形態2では、膨潤材64を有する膨潤層63がシール材60の一方の表面を形成していたが、本発明においては、シール材が第1形材に押圧されて圧縮変形する際に、膨潤材が第1形材との境界部分に表出することができれば、膨潤層はシール材の表面を形成していなくてもよい。つまり、
図15に示すように、シール材80は、シート状の形態を成すもので、例えば不織布等からなる基材61の表面及び裏面にブチルゴム等の未加硫ゴム部材を有するゴム層62が形成され、更に一方のゴム層62の表面に、膨潤材64が未加硫ゴム部材と混練されてなる膨潤層63が積層されて形成され、更に膨潤層63の表面に塗装やコーティングによる表層81が形成されてもよい。
【0060】
かかるシール材80においても、全体の厚みに対する膨潤層63の厚みの比が0.2以上であることが好ましく、更に0.2〜0.5であることがより好ましい。シール材80の全体の厚みに対して膨潤層63の厚みが0.2以上あることにより、シール材80が第1形材(下枠42等)に押圧されて圧縮変形する場合に、膨潤層63に含まれる膨潤材64を十分な量だけ表出させることができる。
【0061】
上述した実施の形態2では、膨潤材64を有する膨潤層63がシール材60の一方の表面を形成していたが、本発明においては、シール材が第1形材に押圧されて圧縮変形する際に、膨潤材が第1形材との境界部分に表出することができれば、膨潤層はシール材の表面を形成していなくてもよい。すなわち、
図16に示すように、シール材82は、シート状の形態を成すもので、例えば不織布等からなる基材61の表面に膨潤材64が未加硫ゴム部材と混練されてなる膨潤層63が積層されるとともに、該基材61の裏面にブチルゴム等の未加硫ゴム部材を有するゴム層62が形成され、更に膨潤層63の表面にブチルゴム等の未加硫ゴム部材を有するゴム層62が積層されて形成されてもよい。
【0062】
かかるシール材82においても、全体の厚みに対する膨潤層63の厚みの比が0.2以上であることが好ましく、更に0.2〜0.5であることがより好ましい。シール材82の全体の厚みに対して膨潤層63の厚みが0.2以上あることにより、シール材82が第1形材(下枠42等)に押圧されて圧縮変形する場合に、膨潤層63に含まれる膨潤材64を十分な量だけ表出させることができる。
【0063】
上述した実施の形態2では、膨潤材64を有する膨潤層63がシール材60の一方の表面を形成していたが、本発明においては、シール材が第1形材に押圧されて圧縮変形する際に、膨潤材が第1形材との境界部分に表出することができれば、膨潤層はシール材の表面を形成していなくてもよい。すなわち、
図17に示すように、シール材83は、膨潤材64が未加硫ゴム部材と混練されてなる膨潤層のみで形成されていてもよい。
【0064】
また本発明においては、シール材は次のような構成を有してもよい。すなわち、
図18に示すように、シール材84は、シート状の形態を成すもので、例えば不織布等からなる基材61の表面に膨潤材64が未加硫ゴム部材と混練されてなる膨潤層63が積層されるとともに、該基材61の裏面にブチルゴム等の未加硫ゴム部材を有するゴム層62が形成されてもよい。つまり、
図16に示した例でも一緒であるが膨潤層63が基材61と隣接していてもよい。
【0065】
かかるシール材84においても、全体の厚みに対する膨潤層63の厚みの比が0.2以上であることが好ましく、更に0.2〜0.5であることがより好ましい。シール材84の全体の厚みに対して膨潤層63の厚みが0.2以上あることにより、シール材84が第1形材(下枠42等)に押圧されて圧縮変形する場合に、膨潤層63に含まれる膨潤材64を十分な量だけ表出させることができる。
【0066】
このような構成によれば、膨潤層63の製造過程において膨潤材64に吸収された水蒸気等を、基材61を通じて外部に放出することができる。そのため、膨潤材64に吸収された水蒸気等が例えば高温雰囲気下にてシール材84の内部にて気化してしまうことを抑制することができる。尚、ここでは膨潤層63と基材61とが隣接する場合について説明したが、本発明においては、膨潤層63と例えば不織布等からなるガス抜き層とが隣接していればよく、膨潤層63と基材61とが必ずしも隣接していなくてもよい。
【0067】
上述した実施の形態2では、下枠42の左端面42aがシール材60を押圧する場合に、
図12に示すように膨潤層63が分断されていたが、本発明においては、
図19に示すように、下枠42に押圧される領域においても膨潤層63が残留した状態で圧縮変形してもよい。このようにシール材60が圧縮変形されることで、シール材60の表面の一部が破壊、つまり膨潤層63の未加硫ゴム部材65の一部が破壊され、これにより変形部分の表面、すなわち下枠42との境界部分には膨潤材64が表出することになる。
【0068】
かかる接合構造を有する開口枠40を躯体3の躯体開口4に設置する作業を行う場合において、該開口枠40の運搬時の運搬方法により下枠42に対してその左端面42aが左縦枠43の下側の接合面43aから離脱する方向に力が作用してしまったり、あるいは上記躯体開口4を構成する要素の寸法誤差等により下枠42に対してその左端面42aが左縦枠43の下側の接合面43aから離脱する方向に力が作用してしまったりすると、
図20に示すように、下枠42の左端面42aとシール材60との間に隙間が生ずることがある。このように隙間が生じてしまい、更に該隙間に雨水等の水が進入した場合、上記接合構造では、
図21に示すように、表出する膨潤材64が該水を吸収して膨張することで該水が隙間を通過することを抑制することができ、結果的に止水性能を確保することができる。
【0069】
上述した実施の形態2では、下枠42の左端面42aがシール材60を押圧する場合に、
図12に示すように膨潤層63が分断されていたが、本発明においては、膨潤層63だけでなく基材61までも大きく圧縮変形してもよい。このようにシール材60が圧縮変形されることで、シール材60の表面の一部が破壊、つまり膨潤層63の未加硫ゴム部材65の一部が破壊され、これにより変形部分の表面、すなわち下枠42との境界部分には膨潤材64が表出することになる。
【0070】
かかる接合構造を有する開口枠40を躯体3の躯体開口4に設置する作業を行う場合において、該開口枠40の運搬時の運搬方法により下枠42に対してその左端面42aが左縦枠43の下側の接合面43aから離脱する方向に力が作用してしまったり、あるいは上記躯体開口4を構成する要素の寸法誤差等により下枠42に対してその左端面42aが左縦枠43の下側の接合面43aから離脱する方向に力が作用してしまったりすると、
図22に示すように、下枠42の左端面42aとシール材60との間に隙間が生ずることがある。このように隙間が生じてしまい、更に該隙間に雨水等の水が進入した場合、上記接合構造では、
図23に示すように、表出する膨潤材64が該水を吸収して膨張することで該水が隙間を通過することを抑制することができ、結果的に止水性能を確保することができる。
【0071】
このように膨潤層63だけでなく基材61までも大きく圧縮変形してしまう場合には、下枠42の押圧に追従して膨潤層63がゴム層62の内部に大きく入り込み、下枠42と表出した膨潤材64との重ね合わさる幅が大きくなり止水性能の向上を図ることができる。
【0072】
上述した実施の形態1及び実施の形態2では、上枠11等は、例えばアルミニウム等の金属材料の押出形材であったが、本発明においては、上枠等の第1形材は、樹脂材料又は金属と樹脂との複合材料からなる押出形材であってもよい。