【実施例1】
【0039】
[実施例1の説明:
図1〜
図8]
以下、本発明に係る実施例1として、複数色のLEDダイと透光性部材を備えたLED光源を用いた面状ライトユニットについて説明する。ここで、実施例1には、透光性部材に設けた凹凸形状の違い及び第2の反射部材の有無によって6つの実施形態が示されている。第1の実施形態は
図1〜
図3を用いて説明され、第2、第3、第4、第5、第6の実施形態はそれぞれ、
図4、
図5、
図6、
図7、
図8を用いて説明される。
【0040】
[実施例1の第1の実施形態の構成の説明:
図1〜
図3]
まず、第1の実施形態の面状ライトユニット100の構成について
図1〜
図3を用いて説明する。
図1(a)は、第1の実施形態の面状ライトユニット100の平面図を示し、(b)は正面図を示している。又、
図2は、面状ライトユニット100の分解斜視図であり、面状ライトユニット100をLED光源20と導光板31と第1の反射部材32の3つの要素に分解して示している。又、
図3(a)、
図3(b)は
図1(a)の切断線A−A部における拡大断面図、
図3(c)は比較例の同等部分の拡大断面図を示す。
尚、以下の説明において、導光板31の出射面50側を上側としたときに、LED光源20の上側を『上面』、下側を『下面』と称する。
又、面状ライトユニット100は、
図1(b)又は
図2において示される導光板31の出射面50側に液晶表示パネルを配設して使用され、このとき導光板31の出射面50からの出射光をバックライトとする。
【0041】
面状ライトユニット100の特徴は、透光性部材8の上面に複数の凹凸形状を設けたことである。又、凹凸形状の断面を三角形状とし、さらにその間隔が導光板31に向って長くなっている。
【0042】
図1(a)、(b)に示されるように、面状ライトユニット100のLED光源20は、基板1と、基板1に実装された複数のLEDダイと、複数のLEDダイを封止する透光性部材8とによって構成されている。又、複数のLEDダイは、赤色に発光するLEDダイ3(以下赤色LEDと呼ぶ)、緑色に発光するLEDダイ4(以下緑色LEDと呼ぶ)、青色に発光するLEDダイ5(以下青色LEDと呼ぶ)を含んでいて、青、緑及び赤色LED3〜5の発光が導光板31の入射面60に導かれるようになっている。尚、導光板31出射面50から出射する光は、青、緑及び赤LED3〜5の発光が混色し白色光となっている。
【0043】
基板1は基材や配線層を含む多層基板として構成されている。例えば、LEDダイを実装する実装面には配線パターンが形成されている。基板1に実装された各LEDダイに含まれる電極と配線パターンはワイヤー等によって接続されている。又、基板1には、図示しないFPCが接続されており、配線パターンを通じて各LEDダイに電流が供給されるようになっている。基板1の基材としては反射特性及び放熱特性の良いアルミナなどのセラミックス等が望ましい。すなわちLEDダイからの発光を効率良く取出すために、少なくともその表面が高反射材料で構成されることが好ましい。
【0044】
ここで、LED光源20は、実施例では、赤色LED3、緑色LED4、青色LED5を1組として基板1の水平方向に3組配列しているが、これに限定されるものではなく、青、緑及び赤色色LED3~5の配列や青、緑及び赤色LED3~5の数量は、要求される輝度やサイズ等に応じて決めることができる。
【0045】
透光性部材8は、基板1に実装された複数のLEDダイを封止するように基板1上に立方体状に構成されている。透光性部材8はシリコ―ンなどの透光性を有し耐熱性の高い透明材料を用いて金型等によって基板1上に形成することができる。又、透光性部材8の上面には、
図2(又は
図1)に示すように、基板1に配列されたLEDダイの配列方向に沿って、断面が三角形状の凹凸形状が複数列形成されている。これらの凹凸形状は金型等に設けられた凹凸面によって形成される。後述するように光の反射を好適に行うために全反射でなく鏡面反射を利用することもできる。
【0046】
図2(又は
図1)に示すようにLED光源20と導光板31の入射面60の接続部には接着部材30が設けられており、LED光源20は導光板31の入射面60に接着されている。この接続部に接着部材30を設けることにより、接続部における空隙を無くしフレネル損失を抑制することができる。ここで、接着部材30の屈折率は、透光性部材8の屈折率及び導光板31の屈折率と等しいことが望ましいが、少なくとも透光性部材8の屈折率と導光板31の屈折率の中間の値であることが望ましい。
【0047】
導光板31は、ポリエステルやアクリルなどの樹脂材料によって構成され、下面に微小突起(図示せず)を備え、LED光源20から導かれ導光板31内を伝搬する光を効率良く出射面50から上方に放射させる様になっている。又、導光板31は、透過率に優れその屈折率が前述したLED光源20を構成する透光性部材8や接着部材30の屈折率と近い値の材質であることが望ましい。
【0048】
第1の反射部材32は、LED光源20の下面側及び導光板31の下面側を覆うように配設され、導光板31の内部を反射しながら進んできた光が導光板31の下面から出射したとき、この光を導光板31に戻し無駄なく出射面50から出射させる機能を有する。
【0049】
以上のように構成された面状ライトユニット100は、赤色LED3、緑色LED4、青色LED5から発し透光性部材8の上面に向かう光に対し、透光性部材8の上面に設けられた断面が三角形状の凹凸形状によって、全反射を起こし易くしている。すなわち、LEDダイに近い領域においてホットスポットの一因になっていた光の多くの部分を、全反射によって適切に導光板へ導くことができるようになっている。
尚、主要な構成部品の寸法は概略、以下の様な寸法に設定している。
LEDダイ(3、4、5) 縦0.3mm×横0.3mm×厚さ0.1mm
基板1 縦1.0mm×横 57mm×厚さ0.6mm
透光性部材8 縦1.0mm×横 57mm×厚さ0.6mm
導光板31 縦100mm×横 57mm×厚さ0.6mm
第1の反射部材32 縦100mm×横 57mm×厚さ0.1mm
これらの寸法は、以下に説明する他の実施形態においても同様であるが、これに限定されるものではなく、本発明の要旨を満たすものであれば、任意に変更することができる。
【0050】
[実施例1の第1の実施形態の発光動作の説明:
図3]
次に、第1の実施形態の面状ライトユニット100の発光動作及び透光性部材8の凹凸形状の機能について、
図3を用いて説明する。
図3(a)、(b)は前述した
図1(a)に示す切断線A−A部における面状ライトユニット100の要部の拡大断面図を示し、
図1(b)に示す枠部(2点鎖線)を拡大したものである。ここで、
図3(a)は断面における発光と反射光を矢印にて示し、(b)は断面形状の詳細を示す。又、
図3(c)は、比較例として示す透光性部材15の上面が平坦な場合の面状ライトユニット190について、発光と反射光を矢印にて示している。
【0051】
まず、
図3(b)を用いて面状ライトユニット100の断面形状を詳細に説明する。透光性部材8に設けた凹凸形状は、断面が三角形状であり、5個の三角形状が設けられている(以下同様)。この三角形状の高さhは一定である。又、三角形状の頂点の間隔p1、p2、p3、p4、p5(ピッチ)はLEDダイ(緑色LED4)側から徐々に長くなっている。
【0052】
次に、
図3(a)を用いて発光と反射光の関係について詳細に説明する。
図3(a)は、前述のように面状ライトユニット100におけるLED光源20に含まれる透光性部材8の上面付近の拡大断面図であり、基板1の一部と緑色LED4の一部と透光性部材8の凹凸形状と接着部材30の一部と導光板31の一部を示している。ここでは、緑色LED4からの発光を模式的に表現し、緑色LED4の中央付近の発光点をP、緑色LED4の肩部の発光点をQ、緑色LED4の基部の発光点をRとしている。なお発光点P、Q、Rは緑色LED4上の点であるが、説明のため緑色LEDからわずかに離して図示している。発光点Pからの発光成分の内、導光板31に向かう水平成分はそのまま導光板31の方向に進む。発光点Pからの発光成分の内、垂直成分は、上方に向かい2番目の三角形状(底辺の幅がp2の凹凸形状)の斜面に入射するが、入射角が臨界角より小さいので屈折して外部に漏れる。発光点Pからの発光成分の内、斜めの成分(光線P1)は、4番目の三角形状(底辺の幅がp4の凹凸形状)の斜面のs点において臨界角θcとなり全反射によって導光板31側に導かれる。
【0053】
これに対し
図3(c)に示す比較例の面状ライトユニット190では、透光性部材15の上面が平坦面になっている。このとき発光点Pからの斜め成分の光線P2が臨界角θcとなる位置はt点である。ここで、光線P2が上面に入射する位置{入射位置(t点)}は、
図3(a)に示した臨界角θcの起きる入射位置(s点)よりも右側である。
つまり、面状ライトユニット190で臨界角θcが始まる位置(t点)に対し、面状ライトユニット100では三角形状の凹凸形状を設けてその斜面を利用することにより、臨角θcが始まる位置を緑色LED4側に近い位置(s点)にすることができる。
【0054】
又、発光点Q、発光点Rにおいても同様であり、それぞれの発光点Q、Rからの発する光の斜め成分が三角形状の斜面に入射することきに臨界角θcとなる位置を、緑色LED4側へ近づけることができる。つまり、緑色LED4に近い領域において、透光性部材15の上部が平坦面となっていたとき外部に漏れていた斜め成分(光線P1、Q1、R1)(
図3(c)参照)の大部分を、面状ライトユニット100は透光性部材8の上部に形成した凹凸形状による全反射によって導光板31側に適切に導くことができる。
ここで、透光性部材8の屈折率を仮にn=1.52とすると外部の媒質が空気(n=1.0)の場合、臨界角θcは約42°であり、臨界角θcより大きな入射角では全反射が起きる。
【0055】
以上説明したように、本発明の実施例1に含まれる第1の実施形態の面状ライトユニット100は、透光性部材8の上面に断面が三角形状の凹凸形状を設け、その斜面の角度と幅をLEDダイ(赤色LED3及び青色LED5については緑色LED4と同様である。)からの発光状態に合わせて好適な形状とすることにより、透光性部材8の上面を平坦な面にしたとすると外部に漏れていた発光の多くの部分を、全反射によって導光板31内を伝搬するように導くことができる。
【0056】
[実施例1の第1の実施形態の効果]
以上説明した実施例1の第1の実施形態によれば次に示す効果が得られる。
[効果]
複数色のLEDダイと透光性部材を備えたLED光源を用いた面状ライトユニットにおいて、透光性部材の上部に凹凸形状を設けるという簡単な構造によって、凹凸形状がないときLEDダイに近い領域で透光性部材の上部から外部に漏れてバックライト照明として利用できないか又はホットスポットの一因になっていた光の多くの部分を、全反射によって導光板へ適切に導くことができる。この結果、本実施形態の面状ライトユニット100は、ホットスポットを抑制し輝度の均一化を図りながら発光効率の向上を同時に改善することができる。
【0057】
尚、実施例では断面が三角形状の凹凸形状を透光性部材の上面に設けたが、この凹凸形状を下面に設けても良く、さらに凹凸形状を上面と下面に設けることによってホットスポットを抑制し発光効率を向上させることができる。又、凹凸形状の形状、数、高さ、間隔はこれに限定されるものではなく、本発明の要旨を満たすものであれば、任意に変更することができる。
又、凹凸形状の製造方法は、上記方法に限定されず、レーザ加工等による加工方法を採用しても良い。
【0058】
[実施例1の第2の実施形態の説明:
図4]
次に、実施例1の第2の実施形態の面状ライトユニット110について
図4を用いて説明する。
【0059】
第2の実施形態の面状ライトユニット110は、透光性部材9の上部に形成した三角形状の間隔を等ピッチにした構成を除き前述した第1の実施形態と同様であり、LEDダイに近い領域で透光性部材9の上面の全反射条件を改善することを目的としている。前述のように基本的な構成は第1の実施形態と同様であるので、同一要素には同一番号又は符号を付し、重複する説明は省略する。
【0060】
図4は、
図1(a)に示す切断線A−A部{
図1(a)を第2実施形態の面状ライトユニット110と読み替える}におけるLED光源20の要部の拡大断面図を示し、(a)で発光と反射光を説明し、(b)で断面が三角形状の凹凸形状の詳細を説明する。
【0061】
図4(b)に示すように面状ライトユニット110において、断面が三角形状の凹凸形状は高さがhで一定である。又、頂点の間隔(ピッチ)はpで一定である。
図4(a)に示すようにLEDダイに近い領域において、透光性部材9の上部が平坦面であるとしたときに全反射できずに外部に漏れていた斜め成分(光線P1、Q1、R1){
図3(c)参照}は、前述の実施形態1の
図3(a)と同様に、三角形状の斜面においてそれぞれ全反射によって導光板側へ導かれている。しかしながら、両図を比較すると、
図4(a)に示された斜め成分(光線R1)のように、一旦、全反射しても凹凸形状の垂直な部分に掛り透光性部材9の外部へ出てしまうものがある。例え斜め成分(光線R1)のように再び透光性部材1に入射できたとしても、損失が発生する。
【0062】
しかしながら、若干の損失が発生するといっても面状ライトユニット110は、凹凸形状の設計が比較的簡単であり、LEDダイの形状や配置、透光性部材の形状や材質に適合させることにより本発明の目的を満たすことができる。すなわち面状ライトユニット110の構成においても、平坦な面では外部に漏れていた光の多くの部分を、透光性部材上面の凹凸形状の全反射によって導光板に適切に導くことができ、ホットスポットの抑制による輝度の均一化と発光効率の向上を同時に改善できる。
【0063】
[実施例1の第3、第4、第5の実施形態の説明:
図5、
図6、
図7]
次に、実施例1の第3の実施形態の面状ライトユニット120、第4の実施形態130の面状ライトユニット130、第5の実施形態の面状ライトユニット140について、それぞれ、
図5、
図6、
図7を用いて説明する。
【0064】
第3の実施形態の面状ライトユニット120は、
図5に示すように、LEDダイに近い領域で透光性樹脂10の上面における全反射条件を改善することを目的として、三角形状の頂点の間隔を等ピッチpとし深さをh1〜h4と変化させた構成であることを特徴としている。
第4の実施形態の面状ライトユニット130は、
図6に示すように、同様な目的で、三角形状の間隔はLEDダイ4側から徐々にピッチを長くして、深さhは一定にして、凹凸形状の先端に平坦部fを設けた台形形状とした構成であることを特徴としている。
第5の実施形態の面状ライトユニット140は、
図7に示すように、同様な目的で、三角形状の凹凸形状について頂点の間隔をLEDダイ側から離れるにしたがって徐々に長くしながら深さを一定とし、さらにLEDダイの配列方向に細かく分割している構成であることを特徴としている。すなわち透光性部材12の上面に形成された凹凸形状は複数の独立小突起からなる構成である。言い換えるとこの凹凸形状は、1つの面が垂直な変形ピラミッド型の小突起を複数設け、それらを縦、横に配列した構成である。(
図7(b)は、
図7(a)のB部の拡大図を示している)
【0065】
実施例1の第3〜5の実施形態は、第2の実施形態に対しLEDダイに近い領域で透光性部材の上面の全反射を起こし易くするために、三角形状の高さ、間隔、形状を各種変化させたものであり、基本的な構成は第1、2の実施形態と同様である。そこで同一要素には同一番号又は同一符号を付し、重複する説明は省略した。
【0066】
以上説明したように、実施例1の第3〜5の実施形態はいずれも、LEDダイに近い領域の透光性部材10,11,12の上面において、凹凸形状の斜面を利用して斜め成分の光線が入射する入射角度を変えて全反射を起こし易くしている。これにより、透光性部材の上面が平坦であるとしたときに外部に漏れていた光線の多くの部分を、全反射によって導光板に適切に導くことができる。この結果、ホットスポットの抑制による輝度の均一化と発光効率の向上を同時に達成できるようにした面状ライトユニットを提供することができる。
【0067】
[実施例1の第6の実施形態の説明:
図8]
次に、実施例1の第6の実施形態の面状ライトユニット150、160について
図8を用いて説明する。
【0068】
ここで、第6の実施形態の面状ライトユニット150は、凹凸形状による全反射の効果に加えて、全反射では戻すことができない漏光をさらにLED光源にふくまれる透光性部材に戻すため透光性部材の上面側に第2の反射部材33を配設したものである。
【0069】
実施例1の第6の実施形態が第1〜5の実施形態と異なるところは、透光性部材8の上面に第2の反射部材33を配設したことであり、基本的な構成は第1の実施形態と同様であるので、同一要素には同一番号又は符号を付し、重複する説明は一部省略する。
【0070】
図8は、
図1(a)に示す切断線A−A{
図1において第6の実施形態と読み替える}におけるLED光源20の拡大断面図を示している。
図8において(a)に示す面状ライトユニット150は、実施形態1の面状ライトユニット100に対しLED光源20の上面側に第2の反射部材33を配設したものである。又、
図8において(b)に示す面状ライトユニット160においるLED光源20は、前述の面状ライトユニット150に用いたLED光源20に対し透光性部材8の下面側にも断面が三角の凹凸形状を設けたものである。
【0071】
図8(a)に示すように面状ライトユニット150は、LED光源20の上面に第の反射部材33を配設している。これにより、前述の凹凸形状による全反射だけでは戻すことができない光、即ち臨界角よりも入射角が小さい成分の光が透光部材8から外部に漏れたとしても、この漏光を反射部材33によって反射させて、再び透光性部材8へ戻し、導光板31へ導くことができる。
【0072】
図8(b)に示すように面状ライトユニット160は、LED光源20の透光性部材8の下面側にも断面が三角形状の凹凸形状を設けている。これにより、LED光源20の下面側においても、全反射を起こし易くしている。面状ライトユニット160は、この下面側の凹凸形状によりホットスポットを抑制させたり、下面側の凹凸形状で全反射できない漏光を第1の反射部材32によって透光性部材8に再入射させたりすることができる。
【0073】
[実施例1の第6の実施形態の効果]
以上説明した実施例1の第6の実施形態によれば次に示す効果が得られる。
[効果]
LED光源20の上面側に第2の反射部材33を配設することによって、透光性部材8の凹凸形状から漏れだす光を透光性部材8に戻すことができる。この結果、面状ライトユニット150、160は、輝度の均一化とともによりいっそう発光効率の向上を達成できる。
【0074】
尚、反射部材33の代わりに、凹凸形状の上面に蒸着等の加工方法によって金属の反射膜を設け、全反射のかわりに鏡面反射を利用しても良い。
【実施例2】
【0075】
[実施例2の第1の実施形態の説明:
図9〜
図10]
次に、実施例2の第1の実施形態の面状ライトユニット170について
図9〜
図10を用いて説明する。
【0076】
実施例2の第1の実施形態の面状ライトユニット170は、LED光源の構成が実施例1とは異なる。面状ライトユニット170においてLED光源21は、基板1と基板1上に実装されたLED素子21xから構成されている。LED素子21xは、サブマウント基板2と、サブマウント基板2上に実装された単一の青色LED5と、蛍光体を含有しサブマウント基板2の実装面と青色LED5を封止する透光性部材18から構成されたパッケージ部品である。すなわち面状ライトユニット170ではLED素子21xを基板1に配列して実装することで、実施例1と同様に面状ライトユニットの光源21を構成することができる。
【0077】
実施例2の第1の実施形態が実施例1の各実施形態と異なるところは、基板1に複数のLED素子21xを配列したことであり、他の基本的な構成は実施例1の各実施形態と同様であるので、同一要素には同一番号又は符号を付し、重複する説明は省略する。
【0078】
図9は、面状ライトユニット170を示し、(a)は平面図であり、(b)は正面図である。又、
図10は面状ライトユニット170の分解斜視図である。
【0079】
図9(a)、(b)に示すように、LED素子21xは、青色LED5をサブマウント基板2に実装し、青色LED5を、蛍光体を含有した透光性部材18で封止した構成となっている。そしてLED光源21は、LED素子21xを基板1に3個実装することにより構成されている。又、
図10に示すように、LED素子21xは透光性部材18の上面(又は下面)に実施例1の各実施形態と同様の凹凸形状を設けている。
【0080】
ここで、青色LED5から放射される青色光の一部は、透光性部材18内に分散する黄色蛍光体に吸収され、黄色蛍光体は黄色の蛍光を発する。そして、蛍光体に吸収されなかった青色光と黄色の蛍光は混色して白色光となる。このとき青色LED5を発し蛍光体に吸収されない青色光は、
図3(a)等に示した過程を辿るため均一性が高く発光効率の良い状態で導光板31の出斜面50から出射する。
【0081】
これに対し蛍光体から発した黄色光は、蛍光体から等方的に放射されるため導光板31に入射できない成分の割合が増加する。しかしながら当該黄色光は、透光性部材の上面が平坦であるとした場合に比べ、透光性部材18の上部に凹凸形状があるため導光板31に入射する成分の割合が増加する。すなわち面状ライトユニット170では当該黄色光も、透光性部材の上面が平坦であるとした場合にホットスポットの一因となっていた成分の多くの部分を適切に導光板に入射さることができる。
【0082】
[実施例2の第1の実施形態の効果]
以上説明した実施例2の第1の実施形態によれば次に示す効果が得られる。
[効果]
単色のLEDダイと蛍光体を含有した透光性部材からなるLED素子が含まれるLED光源を用いた面状ライトユニットは、簡単な構造によって、これまで導光板に入射できなかったり、導光板に入射できてもホットスポット発生の一因となっていたりした光の多くの部分を透光性部材の上面に形成した凹凸形状による全反射によって適切に導光板へ導くことができる。この結果、輝度の均一化と発光効率の向上を同時に達成することができる。
【0083】
尚、LED素子21xは、青色LED5を1個含む構成としたが、複数個を含む構成としても良い。又、
図9及び
図10に示したように面状ライトユニット170のLED光源21では、3個のLED素子21xを並べる構成としたが、LED素子21xの数量はこれに限定されず1個以上複数個設ける構成としても良い。
又、実施例1の様に、透光性部材の下面に凹凸形状を設けても良い。
又、実施例1の第6の実施形態と同様に、第2の反射部材をLED素子21xの上面側に設けても良い。
又、凹凸形状には蒸着等の加工方法によって金属の反射膜を設けても良い。
【実施例3】
【0084】
[実施例3の第1の実施形態の説明:
図11〜
図12]
次に、実施例3の第1の実施形態のLED素子21yについて
図11〜
図12を用いて説明する。
【0085】
実施例3の第1の実施形態のLED素子21yが
図9、10に示す実施例2の第1の実施形態の面状ライトユニット170に含まれるLED素子21xと異なる点は、LED光源22においてLED素子21yを構成する透光性部材16に設ける凹凸形状の適正化と、形成領域の適正化を行い、さらに蛍光体をLEDダイの周囲にのみ存在させた点である。他の基本的な構成はLED素子21yとLED素子21xで同様となるので、同一要素には同一番号又は符号を付し、重複する説明は省略する。
【0086】
図11(a)は、LED素子21yを含む面状ライトユニット200の斜視図を示し、
図11(b)は(a)に示すC−C断面の拡大図である。又、
図12は、
図11(b)に示す透光性部材16に設ける凹凸形状の緩斜面の角度αと導光板31への導光量との関係を示すグラフである。
【0087】
図11(a)に示すようにLED光源22を構成する3つのLED素子21yは、いわゆるパッケージLEDであり、青色LED5をサブマウント基板2に実装し透光性部材16で封止した構成となっている。ここで、
図11(b)に示すようにLED素子21yは、実施例2で説明した面状ライトユニット170のLED光源21に含まれるLED素子21xの構成と異なり、透光性部材16が透明であり、黄色蛍光体(蛍光体層y)が青色LED5の周囲の表面にのみ配置されている。このような構成とすることにより、実施例2で説明したような蛍光体から等方的に放射され導光板側へ入射できない無駄な光成分をほとんどなくすことができる。
【0088】
図11(b)に示すように、透光性部材16に設けられた凹凸形状の緩斜面が光軸となす角度をαとする。なお光軸とは青色LED5(LEDダイ)の中心を通り図の横方向に延びる直線である(図示せず)。また青色LED5の発光面の端点rを基準として端点rから凹凸形状の終端までの光軸方向の距離をLとする。また端点rから透光性部材16の上面(LED素子21yの凹凸形状を形成した側面)までの距離をDとする。そして、端点rから凹凸形状の終端を結ぶ線分と図の縦軸とがなす角をθc(後述するように臨界角に等しい)とする。
【0089】
ここで、発明者らは凹凸形状の緩斜面の角度αを変化させたときLED光源22側から導光板31側へ導光される光量の変化について実験を重ねた。その結果、
図12のグラフに示すデータが得られた。
図12は横軸が緩斜面の角度αを示し、縦軸が透光性部材16において青色LED5(LEDダイ)と対向する面(以下対向面とよぶ)を通過する光量を示し、曲線koがLED素子21yについて角度α対して対向面を通過する光量の関係を示している。曲線koによれば、角度αが0°<α≦40°であれば、凹凸のない平坦面の場合よりも対向面を通過する光量が増加し、特に5°≦α≦20°の範囲において、対向面を通過する光量が顕著になることを見いだした。
なおこの角度αについては、
図1〜10に示した面状ライトユニット100、110、120、130、140、150、160、170に含まれるLED光源20、21にも適用できる。
【0090】
次に、LED5の端点rと凹凸形状の終端とを結ぶ線分と図の縦軸とのなす角θcは、透光性部材16と空気との界面で全反射を起こす入射角(臨界角)を示し、透光性部材16の屈折率をn、空気の屈折率を1とした場合、次式で与えられる。なお青色LED5からみて距離Lより遠方の平坦部では、端点rを発し当該平坦部に入射する光は入射角が臨界角θcより大きくなるため全反射する。
【0091】
θc=sin−1(1/n) ・・・式1
【0092】
ここで、sin−1は逆三角関数(インバースサイン又はアークサインとよぶこともある)である。
【0093】
また、θcとDとLとの関係は次式で与えられる。
【0094】
L=Dtanθc ・・・式2
【0095】
上述した式1と式2よりLとDとnの関係式は次の式3で示すことができる。
【0096】
L=Dtan(sin−1(1/n)) ・・・式3
【0097】
このように、式3の関係を満たすようにL、D、nを決めることによって、透光性部材16の凹凸形状は、Lより先の導光板31では全反射するのでLより先に設ける必要がない。ここで、例えば透光性部材16の材質としてアクリルを用いた場合、屈折率n=1.4とし、D=0.6mmとすれば、L≒0.6mmとなる。
もしも仮に上述のLより遠方に凹凸形状を設けると、凹凸形状の急斜面から光が漏れ出してしまう。そこで上述のように、凹凸形状のL、D、nの関係を有する構成とすることによって、光線を導光板31の入射面60(
図1参照)へ導くなかで不用意な光の漏れを防止できる。
なおこのL、D、nに基づく凹凸形状の存在領域を設けることについては、
図1〜10に示した面状ライトユニット100、110、120、130、140、150、160、170に含まれるLED光源20、21にも適用できる。
【0098】
[実施例3の第1の実施形態の効果]
以上説明した実施例3の第1の実施形態によれば次に示す効果が得られる。
[効果]
透光性部材16の上面に形成した凹凸形状の緩斜面の角度αを0°<α≦40°の範囲に、好ましくは5°≦α≦20°の範囲に設定することによって対向面を通過する光量が増加し効率の良い導光を行うことができる。また、式3の関係を満たすようにL、D、nを決めることによって、透光性部材16の凹凸形状の適正な配置を決め不用意な光の漏れを防止することができる。これにより、導光効率に優れたLED素子又は面状ライトユニットを提供することができる。
【0099】
尚、実施例では透光性部材16の上面に設けた凹凸形状について角度αと式3の関係を説明したが下面に設けた凹凸形状についても同様である。またLED素子21yは、上下の側面に凹凸形状を備えていたが、左右の側面にも同様な凹凸形状を設けても良い。このようなLED素子は、面状バックライト以外の光源として使用することができる。またLED光源22は、3個のLED素子21yを並べる構成としたが、LED素子21yの数量はこれに限定されず1個以上複数個設ける構成でもよい。
【0100】
[実施例3の第2の実施形態の説明:
図13]
次に、実施例3の第2の実施形態のLED素子23を含む面状ライトユニット210について
図13を用いて説明する。
【0101】
LED素子23が
図11に示す実施例3の第1の実施形態のLED素子21yと異なる点は、LED素子23が複数色のLEDダイと透明な透光性部材16を用いた点、及びサブマント基板を省略しLEDダイを基板1に実装している点である。断面における基本的な構成(
図13(b)参照)は実施例3の第1の実施形態と同様(
図11(b)参照)であるので、同一要素には同一番号又は符号を付し、重複する説明は省略する。
【0102】
図13(a)は、LED素子23を含む面状ライトユニット210の斜視図を示し、
図13(b)は、(a)に示すD−D断面の拡大図である。
図13(a)に示すように、LED素子23は基板1に複数色のLEDダイを実装し、透光性部材16で封止した構成となっている。
【0103】
図13(b)において、透光性部材16に設けられた凹凸形状の緩斜面の角度α、端点rから光軸方向に凹凸形状の終端までの距離Lとしたとき、距離Lと端点rから透光性部材16の上面までの距離D及び臨界角θcとの関係は
図11(b)に示す実施例3と同様になる。尚、各LEDダイには蛍光体層は必要ない。
【0104】
[実施例3の第2の実施形態の効果]
以上に説明した実施例3の第2の実施形態によれば実施例3の第1実施形態と同様の効果が得られる。これにより、透光性部材16の適正な凹凸形状と適正な凹凸形状の配置を決めることができ、導光効率に優れたLED素子又は面状ライトユニットを提供することができる。
【0105】
尚、LED素子23は複数色のLEDダイ4と透明な透光性部材16を用いた構成としたが、複数の青色LEDダイを用い、実施例3の第1の実施形態のようにLEDダイの周辺にのみ蛍光体層yを設ける構成としてもよい。