(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記記憶部に、検尺部により生成される検尺パルスを計数する第1計数手段と第2計数手段を設け、前記主演算部は、前記第1計数手段の計数値に、前記車輪の直径により規定される移動長算出定数を乗算することにより、シート状物の移動長を算出し、
前記第2計数手段の計数値が、補正率で規定される補正実行パラメータと一致する毎に、前記第1計数手段の計数値を修正することにより、移動長の補正を行うことを特徴とする前記請求項2のシート状物の検尺装置。
前記移動長算出定数Pは、P=πR/m。mは車輪の1回転あたりの検尺パルス数であり、Rは車輪の直径であり、πは円周率であり、補正実行パラメータnは、n=1/r。rは補正率、単位は%、で表されることを特徴とする前記請求項3のシート状物の検尺装置。
前記記憶部に、前記車輪の直径を記憶する車輪直径記憶手段を設け、前記車輪直径記憶手段に記憶している前記車輪の直径に基づいて、前記移動長算出定数を決定することを特徴とする前記請求項4のシート状物の検尺装置。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
図1に本発明のブロック図を示す。
主演算部(2)はワンチップマイコンであり、検尺部(6)により生成される検尺パルスを計数し、シート状物の移動長の算出を行い。また、表示操作部(5)や設置角度検出部(4)などの制御を行う。
【0027】
記憶部(3)は、主演算部(2)が算出したシート状物の移動長の記憶や表示操作部(5)や設置角度検出部(4)などの制御を行う為に必要な制御パラメータを記憶する。
また、記憶部(3)には、第1計数手段(28)と第2計数手段(29)と車輪直径記憶手段(30)がある。
また、記憶部(3)は、電源をOFFしても記憶内容を保持できるEEPROMとワンチップマイコンに内蔵されているROMとRAMで構成されている。
【0028】
インターフェイス部(7)は、
検尺部(6)のA相パルスとB相パルス、および、長さリセット信号と枚数リセット信号をオープンコレクタ出力で外部機器に伝達する回路である。
【0029】
表示操作部(5)は、主演算部(2)が算出したシート状物の移動長の、長さと枚数などを表示する液晶表示部と長さリセットと枚数リセットなどを指示する為の複数のタクトスイッチからなる操作部で構成されている。
【0030】
車輪(9)は、筐体(図示せず)の外部にはみ出して左右1対の2輪を1本の軸で連結している。
また、車輪(9)は本発明の検尺装置(1)を装着する機器に応じて、直径が19.10mmの車輪(9)、直径が47.75mmの車輪(9)、直径が95.50mmの車輪(9)を選択して取り付けすることができる。
【0031】
検尺部(6)は、主に、周囲に磁石のN極とS極が交互に配置された円盤状の回転板(11)と、2つのMR素子(磁気変化に比例した抵抗値変化が得られる半導体チップ)からなる回転検出部(図示せず)から構成されており、 回転板(11)は、周囲に磁石のN極とS極が交互に配置された円盤であり、左右1対の2輪を連結する軸に、車輪(9)と同軸に取り付けられており、車輪(9)が回転することより回転板(11)も回転する。
回転検出部(図示せず)は、検尺部(6)の回転板(11)が回転することにより生じた磁界の変化を電気信号に変換し、OPアンプ回路によって、A相とB相の2つのパルス信号を生成し、主演算部(2)に取り込み、主演算部(2)は、A相パルス信号とB相パルス信号を4逓倍したものを検尺パルスとして計数してシート状物の移動長を算出し、この値を移動長として、記憶部(3)に記憶する。
本発明の検尺装置(1)では、車輪(9)が1回転すれば、検尺部(6)の回転板(11)も1回転し、A相パルスとB相パルスはそれぞれ15パルス生成され、主演算部(2)は、A相パルスとB相パルスを4逓倍して読み取ったものを検尺パルスとしているので、車輪(9)が1回転すれば、検尺パルスは60個発生する。
また、主演算部(2)は、A相パルスの位相とB相パルスの位相の関係を判別し、A相パルスの位相がB相パルスの位相に対して進んでいる状態を正転とし、この状態で生成される検尺パルスを計数して算出したシート状物の移動長を加算していき、
逆に、A相パルス信号の位相がB相パルス信号の位相に対して遅れている状態を逆転とし、この状態で生成される検尺パルスを計数して算出したシート状物の移動長を減算していく。
【0032】
設置角度検出部(4)は、主に、X軸とY軸とZ軸の3軸のMEMS加速度センサなどで構成し、MEMS加速度センサの出力電圧を主演算部(2)のA/D変換機能で読み取る。
MEMS加速度センサは、主演算部(2)などを実装した制御基板(図示せず)に実装し、制御基板(図示せず)は、検尺装置(1)が水平の状態にある時、MEMS加速度センサも水平になる様に取り付けているので、検尺装置(1)が水平状態にある時、MEMS加速度センサにはZ軸方向に重力加速度1Gが働いており、MEMS加速度センサZ軸出力端子には重力加速度1Gに相当する電圧が出力される。X軸方向には加速度は働いていないので、X軸出力端子にはMEMS加速度センサのオフセット電圧(初期値)が出力されている。
一方、検尺装置(1)をX軸方向に角θ傾けられた場合、MEMS加速度センサのX軸方向には、重力加速度1GのX軸方向の分力、Gsinθが働き、X軸出力端子にはGsinθに比例した電圧が出力される。
X軸出力端子電圧をVxとし、 角θ=sin-
1Vx/G と表される。
【0033】
本発明の検尺装置(1)では、設計段階で、出力電圧VxとX軸方向角θの関係をデータ採りして、割付け表として記憶部(3)に記憶させている。
具体的には、検尺装置(1)が、
図1−(b)に示す様に水平な状態にある時、X軸方向角=0度とし、検尺装置(1)の正面に設けられている表示操作部(5)が上方へ移動する方向に傾く角度を+のX軸方向角とし、表示操作部(5)が下方へ移動する方向に傾く角度を−のX軸方向角としている。
また、制御基板(図示せず)を電源電圧Vdd=5.00Vで駆動しており、MEMS加速度センサのX軸方向角のX軸出力端子電圧をVxは、
検尺装置(1)が水平(X軸方向角=0度)の時、出力電圧Vx=2.50Vであり、
検尺装置(1)が(X軸方向角=+90度)の時、出力電圧Vx=3.50Vであり、
検尺装置(1)が(X軸方向角=−90度)の時、出力電圧Vx=1.50Vとなる様な回路構成としており、
検尺装置(1)の設置角度に対して出力電圧Vxは比例して変化するので、
角度0度から+90度までの角度の時の出力電圧Vxを設計段階で測定し
出力電圧Vxが2.50V以上、2.61V以下の範囲にある時、X軸方向角=+10度
出力電圧Vxが2.61V以上、2.72V以下の範囲にある時、X軸方向角=+20度
出力電圧Vxが2.72V以上、2.83V以下の範囲にある時、X軸方向角=+30度
出力電圧Vxが2.83V以上、2.94V以下の範囲にある時、X軸方向角=+40度
出力電圧Vxが2.94V以上、3.05V以下の範囲にある時、X軸方向角=+50度
出力電圧Vxが3.05V以上、3.16V以下の範囲にある時、X軸方向角=+60度
出力電圧Vxが3.16V以上、3.27V以下の範囲にある時、X軸方向角=+70度
出力電圧Vxが3.27V以上、3.38V以下の範囲にある時、X軸方向角=+80度
出力電圧Vxが3.38V以上、3.49V以下の範囲にある時、X軸方向角=+90度
出力電圧Vxが3.49V以上の時、X軸方向角=+90度以上
と、出力電圧Vxの範囲とX軸方向角を割付け、
0度から−90度までの角度の時の出力電圧Vxは、
出力電圧Vxが2.50V以下、2.39V以上の範囲にある時、X軸方向角=−10度
出力電圧Vxが2.39V以下、2.28V以上の範囲にある時、X軸方向角=−20度
出力電圧Vxが2.28V以下、2.17V以上の範囲にある時、X軸方向角=−30度
出力電圧Vxが2.17V以下、2.06V以上の範囲にある時、X軸方向角=−40度
出力電圧Vxが2.06V以下、1.95V以上の範囲にある時、X軸方向角=−50度
出力電圧Vxが1.95V以下、1.84V以上の範囲にある時、X軸方向角=−60度
出力電圧Vxが1.84V以下、1.73V以上の範囲にある時、X軸方向角=−70度
出力電圧Vxが1.73V以下、1.62V以上の範囲にある時、X軸方向角=−80度
出力電圧Vxが1.62V以下、1.51V以上の範囲にある時、X軸方向角=−90度
出力電圧Vxが1.51V以下の時、X軸方向角=−90度以上
と、割付け、角度検出の最小単位を10度単位として、出力電圧VxとX軸方向角度の割付け表として記憶部(3)に記憶している。
【0034】
電池部(8)は市販されている単三サイズの電池が装着できる。
【0035】
係止部(10)は、本発明の検尺装置(1)を、壁紙糊付機やインクジェット壁紙コーティング機、フィルムラミネート機、布地捺染の前処理機など、シート状物を搬送する機器に装着する為の取り付け具であり、係止部(10)の形状は本発明の検尺装置(1)が装着される機器により異なる。
また、係止部(10)は、各機器の作業者の方向に表示操作部(5)が向く方向に検尺装置(1)を取り付ける形状としている。
【0036】
本発明の検尺装置(1)が、係止部(10)により各機器に装着される場合の設置角度は、各機器のシート状物の搬送経路に設置されるので、必ずしも水平ではなく、機器により設置角度は異なる。
【0037】
図2に本発明の検尺装置(1)の表示操作部(5)を示す。
長さ表示一の位(12)は、主演算部(2)が算出したシート状物の移動長の一の位を示す。
長さ表示十の位(13)は、主演算部(2)が算出したシート状物の移動長の十の位を示す。
長さ表示百の位(14)は、主演算部(2)が算出したシート状物の移動長の百の位を示す。
長さ表示千の位(15)は、主演算部(2)が算出したシート状物の移動長の千の位を示す。
レベルメーター(18)は、主演算部(2)が算出したシート状物の移動長の一の位以下を示す。
枚数表示一の位(16)は、主演算部(2)が算出したシート状物の枚数一の位を示す。
枚数表示十の位(17)は、主演算部(2)が算出したシート状物の枚数十の位を示す。
+補正表示(20)は、+補正が設定され、実行中であることを示す。
−補正表示(19)は、−補正が設定され、実行中であることを示す。
正回転表示(21)は、A相の位相がB相の位相に対し進んでおり、シート状物の移動長の加算が行われていることを示す。
逆回転表示(22)は、A相の位相がB相の位相に対し遅れており、シート状物の移動長の減算が行われていることを示す。
設定スイッチ(27)は設定値や、動作条件などを設定する際に使うスイッチである。
リセットスイッチ(26)は設定値や、動作条件などを取り消す際に使うスイッチである。
長さリセットスイッチ(25)は、移動長を0クリアする際に使うスイッチである。
枚数リセットスイッチ(24)は、移動長を0クリアする際に使うスイッチである。
電源スイッチ(23)は検尺装置(1)の電源をON/OFFする為のスイッチである。
【0038】
本発明の検尺装置(1)の使用方法を手動壁紙糊付機に装着して壁紙に糊付けをする場合を例として、
図3、
図4、
図6、
図7を用いて説明する。
作業者はまず、糊付けの事前準備をする必要があり、事前準備の最中には本発明の検尺装置(1)は手動壁紙糊付機に装着していない。
事前準備としては、手動壁紙糊付機の本体内の糊容器に糊を入れ、手回しハンドルで糊付けローラーを回転させて糊を糊付けローラーの表面に均一に付着させておく。続いて作業者は、手動壁紙糊付機の本体上部のフレームを開けて、壁紙原反から先頭を引き出して解反した壁紙を糊付けローラーの上において本体上部のフレームを閉める。
続いて作業者は、壁紙の先頭を更に引き出して、裏面に糊が付いた部分を20cmほど作り、本体正面に貼り付ける。
続いて作業者は、本体正面に貼り付いている壁紙を、手動壁紙糊付機の脚部のステンレスステーに沿って、カッターナイフで一直線に切断する。この切断した位置が、1枚目の壁紙の先頭部となる。
【0039】
以上で、事前準備ができたので、作業者は、本発明の検尺装置(1)の係止部(10)をカウンターステーに引っかけて、検尺装置(1)の車輪(9)を手動壁紙糊付機の本体上部フレームの平らなステーの上に通されている壁紙の上に置く。
手動壁紙糊付機に装着された場合は本発明の検尺装置(1)の設置角度はほぼ水平となる。
【0040】
続いて、作業者により検尺装置(1)の電源スイッチ(23)がONされると、本発明の検尺装置(1)の主演算部(2)は、記憶部(3)に記憶している、前回の長さと枚数を読み出して、前回の続きから実行する。
図6−(a)は、前回、枚数表示欄には枚数3枚を表示し、長さ表示の欄には長さ200cmを表示し、長さ表示の一の位の右側のレベルメーター(18)の下3つが点灯した状態で電源をOFFしたことを表している。
【0041】
作業者により、長さリセットスイッチ(25)が押されると、主演算部(2)は、
図6(b)の様に、長さ表示の欄は0クリアし、レベルメーター(18)は全て消灯し、
枚数カウント値に1加算する。
【0042】
続いて作業者により、枚数リセットスイッチ(24)が押されると、主演算部(2)は、
図6(c)の様に、枚数表示の欄は0クリアする。これで前準備が終わる。
【0043】
作業者は自分のメモを見て、1枚目の壁紙の長さがいくらであるかを認識して、本体正面に貼り付いている1枚目の壁紙の先端部の左右を両手で持って自分の方向へ引っ張って壁紙を手動壁紙糊付機の正面方向へ引き出す。
壁紙が手で引っ張られることにより糊付けローラーが回転し、糊付けローラーと歯車により連動されるドクターローラーも回転し、定められた厚みの糊が壁紙に付いて排出される。
【0044】
この時、壁紙の上に置かれている検尺装置(1)の車輪(9)が壁紙に従動回転し、車輪(9)の軸に取り付けられている検尺部(6)の回転板(11)が回転し、
検尺部(6)の回転板(11)に配置されているN極とS極による磁界変化がMR素子により検出され、OPアンプ回路により、A相パルスとB相パルスが生成される。
【0045】
本発明の検尺装置(1)では、壁紙が検尺装置(1)の後方から前方へ移動している時に、A相パルスの位相がB相パルスの位相に対して進む様にし、この状態の時に生成される検尺パルスを計数して算出した移動長は加算する様にしている。
【0046】
壁紙が前方へ2.5mm移動すると、主演算部(2)は、
図6(d)の様に、レベルメーター(18)の一番下を点灯させ、
記憶部(3)には、現在の移動長として、長さ+0.25cmを記憶する。
【0047】
更に、壁紙が前方へ引き出され、0.50cm移動すると、主演算部(2)は、
図7(a)の様に、レベルメーター(18)の一番下と下から2番目を点灯させ、
記憶部(3)には、現在の移動長として、長さ+0.50cmを記憶する。
【0048】
更に、壁紙が前方へ引き出され、0.75cm移動すると、主演算部(2)は、
図7(b)の様に、レベルメーター(18)の一番下と下から2番目と下から3番目を点灯させ、
記憶部(3)には、現在の移動長として、長さ+0.75cmを記憶する。
【0049】
更に、壁紙が前方へ引き出され、1.00cm移動すると、主演算部(2)は、
図7(c)の様に、レベルメーター(18)を全て消灯させ、長さ表示の欄には長さ1cmを表示し、
記憶部(3)には、現在の移動長として、長さ+1.00cmを記憶する。
【0050】
この様に、主演算部(2)は、引き出される壁紙の長さを、逐次、計数して表示するので、
作業者は壁紙を手で引っ張りながら表示部を目視し、長さ表示値が、自分が糊付けをしたい壁紙の長さに達したら手を止める。
図7(d)は、長さ300cmの糊付き壁紙を得ようとして作業者が手を止めたが少し引きすぎた状態を示している。長さ表示値は300cmであるが、レベルメーター(18)の下側2つが点灯しており、これは、実際の壁紙の長さは、300.50cm以上、300.75cm未満の範囲にあることを示しており、主演算部(2)は記憶部(3)に現在の移動長として、長さ+300.50cmを記憶する。
【0051】
作業者は、300.50cm以上300.75cm未満の壁紙を、300cmの壁紙として使っても支障がないのであれば、壁紙を手動壁紙糊付機の本体正面に貼り付けて、脚部のステンレスステーに沿って、カッターナイフで一直線に切断し、1枚の糊付き壁紙が得られる。
【0052】
支障があるのであれば、レベルメーター(18)を見ながら、壁紙の原反を手で少し逆に回転させて、この様な少しの長さなら、逆搬送することができる。
逆搬送された場合には、車輪(9)が逆回転し、検尺部(6)は、A相パルスの位相がB相パルスの位相に対して遅れたパルス生成するので、主演算部(2)は、この状態で計数した検尺パルスから算出した移動長は減算する。
図8(a)は、
図7(d)の状態から、検尺パルス2パルス分、壁紙を逆搬送された状態であり、主演算部(2)は、長さ表示部に300cmを表示し、実際の壁紙の長さは、300.00cm以上、300.25cm未満の範囲にあることを示しており、
レベルメーター(18)は全て消灯し、記憶部(3)に移動長として、長さ+300.00cmを記憶する。
【0053】
続いて、作業者により、1枚めの糊付けが終わったので、2枚めの糊付けを行う為に、表示操作部(5)の長さリセットスイッチ(25)が押されると、
図8(b)に示す様に、主演算部(2)は、長さ表示一の位(12)に0cmを表示し、枚数表示一の位(16)に1枚を表示し、記憶部(3)に現在の移動長として0.00cm、枚数として1枚を記憶する。
以上の操作により、1枚目の壁紙の糊付けが終わって、2枚の壁紙の糊付けを開始する。
【0054】
作業者が2枚目の糊付けをする為に壁紙を引っ張ると、主演算部(2)は、生成される検尺パルスを計数し、移動長を算出し、
図8(c)に示す様に、枚数表示が1枚の状態で、現在の移動長として、0cmから、加算して移動長を表示していく。
【0055】
続いて、本発明の検尺装置(1)の主演算手段が検尺装置(1)の設置角度を検出して検尺パルス計数動作を停止する処理動作を説明する。
処理STP1では、電源スイッチ(23)がONされ起動を開始した直後に処理STP1を実行する場合は、前回電源スイッチ(23)がOFFされた時に記憶した、補正処理の実行に必要な制御パラメータなどや移動長と枚数を記憶部(3)から読み出して表示操作部(5)に表示するので、前回の続きから糊付けを行う場合は(前回の移動長と枚数に今回の移動長と枚数を加算する場合は)、作業者はそのまま壁紙を引っ張り、最初から行う場合は長さリセットスイッチ(25)を押し、枚数リセットスイッチ(24)を押す。
【0056】
処理STP1と処理STP2と処理STP3と処理STP4と処理STP5と処理STP6は、1枚の壁紙の糊付け長さが、長さ0cmから作業者が糊付けしたい長さに到達するまでの間で、検尺装置(1)の設置角度が許容範囲を超えることがなければ、検尺パルスが1パルス生成される毎に繰り返し実行される主処理の流れである。
【0057】
長さリセットスイッチ(25)が押された場合は、第1計数手段(28)の計数値tを0リセットした後、処理STP7へ処理の流れを分岐する。
【0058】
処理STP7では、本発明の検尺装置(1)の、長さリセットスイッチ(25)が押された時点の、MEMS加速度センサのX軸出力端子の出力電圧Vxの値を読み取り、記憶部(3)に記憶している割付け表と照合してX軸方向角を求め、求めたX軸方向角を載置時の設置基準角度Xθ0として記憶部(3)に記憶する。
手動壁紙糊付機に装着された場合は、本発明の検尺装置(1)は、
図1−(a)の様に、ほぼ水平に設置さ、出力電圧Vxが2.50Vから2.61Vの範囲になるので、X軸方向角=+10度と求めて、設置基準角度Xθ0=+10度が記憶部(3)に記憶される。
【0059】
処理STP8は、表示操作部(5)に表示している現在の移動長を0クリアし、記憶部(3)に記憶している移動長を0クリアする。
【0060】
処理STP9は、表示部に表示している現在の枚数に1加算し、記憶部(3)に記憶している枚数も1加算する。
【0061】
処理STP2では、枚数リセットスイッチ(24)が押されなければ処理STP3を実行し、枚数リセットスイッチ(24)が押された場合は処理STP10を実行する。
【0062】
処理STP10では、表示操作部(5)に表示している枚数を0クリアし、記憶部(3)に記憶している枚数も0クリアする。
【0063】
処理STP3では、MEMS加速度センサのX軸出力端子の出力電圧Vxを読み取り、記憶部(3)に記憶している、出力電圧VxとX軸方向角θの割付け表から、現時点の装置設置角度を検出する。
例えば、X軸出力端子の出力電圧Vxが2.61Vから2.72Vの範囲であれば、X軸方向角=+30度となり、現時点の装置設置角度は+30度と検出し、
処理STP5で記憶部(3)に記憶している、載置時の設置基準角度=+10度と比較し、差が20度となるので、許容範囲を超えたと判定し、処理STP11へ処理の流れを分岐する。
許容範囲を超えていない場合は、処理STP4を実行する。
また、MEMS加速度センサのX軸出力端子の出力電圧Vxが、割付け表の範囲外である場合も許容範囲を超えていると判定し、処理STP11へ処理の流れを分岐する。
【0064】
処理STP11では、警告の為にブザー音を鳴し、表示操作部(5)に表示している移動長を点滅させる。
【0065】
処理STP12では、検尺装置(1)の傾きが許容範囲を超える直前の移動長を記憶部(3)に記憶する。
【0066】
処理STP13では、主演算部(2)は表示操作部(5)の複数のスイッチの状態を読んでおり、作業者により、枚数リセットスイッチと長さリセットスイッチが同時に押された場合、検尺パルスを計数する動作の再開指示であると認識し、処理STP12で記憶した移動長を読み出して、表示操作部(5)に表示し、処理を再び処理STP1に戻す。
【0067】
処理STP4では、主演算部(2)は、第1計数手段(28)の現在の計数値tを加算し、t←(t+1)とする。
【0068】
処理STP5は、主演算部(2)は、作業者により、補正が指示されていれば、
図5のフローに示す補正処理を実行し、補正が指示されていなければ、STP6へ処理の流れを分岐する。
【0069】
処理STP6は、主演算部(2)が、第1計数手段(28)で計数している検尺パルスから、壁紙の移動長を算出する処理である。
主演算部(2)は、移動長を、移動長L=t×Pとして算出する。
tは、第1計数手段(28)の現時点の計数値であり、
Pは車輪(9)の直径と車輪(9)が1回転する当たりに生成される検尺パルスの数により定まる移動長算出定数Pであり、
移動長算出定数PはP=πR/m。 (mは車輪(9)の1回転あたりに生成される検尺パルス数であり、Rは車輪(9)の直径であり、πは円周率である。)としている。
主演算部(2)は、表示操作部(5)に、現時点の移動長Lを表示すると同時に、記憶部(3)に現時点の移動長Lと現時点の第1計数手段(28)の現時点の計数値tを記憶する。
【0070】
以上で説明した処理ループを本発明の主演算部(2)は、主処理の処理STP1から処理STP6までを約25μ秒でループし、設置角度の検出する処理である処理STP3を約25μ秒毎に実行している。
糊を補充する為や、壁紙原反を交換する為などに、作業者により、本体上部フレームが全開位置まで開けられた場合、本体上部のカウンターステーに引っかけられている本発明の検尺装置(1)は、表示操作部(5)が上になる方向に(X軸方向に)、ほぼ水平の状態から+120度まで傾いていくが、本発明の検尺装置(1)では、傾きの許容範囲を20度未満と設定しているので、
本体上部フレームが約+30度まで開けられた時点で、処理STP3の判定の、現在の設置角度Xθ1と設置基準角度Xθ0の差が許容範囲を20度未満という条件を超えるので、
主演算部(2)は、本体上部フレームが約+30度開けられた時点で処理の実行を、処理STP3から処理STP9へ移行し、検尺パルスの計数を停止し、現在までの移動長を記憶部(3)に記憶する。
本体上部フレームが約+30度から+120度まで開けられていく間に、本体上部フレームのカウンターステーに装着されている検尺装置(1)が糊付けローラー(図示せず)に貼りついて保持されている壁紙の上を移動して車輪(9)が回転し、検尺パルスが発生するが、主演算部(2)は、この検尺パルスを計数しないので検尺誤差を生じることはない。
【0071】
また、本体上部のカウンターステーに引っかけられている本発明の検尺装置(1)を取り外す場合には、本発明の検尺装置(1)は、係止部(10)の先端を旋回中心としてX軸方向に−90度まで傾けなければ、外れないようにしているので、約+30度まで傾けられた時点で、現在の設置角度Xθ1と設置基準角度Xθ0の差が許容範囲(30度)を超えるので、主演算部(2)は検尺パルスの計数を停止し、現在までの移動長を記憶部(3)に記憶するので、主演算部(2)は、作業者がうっかり車輪(9)を回転させたことにより発生した検尺パルスを計数しないので検尺誤差を生じることはない。
【0072】
また、この状態で、糊の補充が終わり作業者により検尺カウント再開指示が出されると、主演算部(2)は現在の設置角度Xθ1と設置基準角度Xθ0の差が許容範囲を超える直前に記憶部(3)に記憶していた移動長を読み出して表示操作部(5)に表示し、この後発生する検尺パルスを計数して算出した移動長を、続きから加算していくので、1枚の壁紙の糊付けを行っている途中に、糊の補充が行われた場合でも、糊の補充前に搬送された壁紙の移動長に、糊の補充後に搬送された壁紙の移動長を加算し、連続した1枚の糊付き壁紙としての長を得ることができる。
【0073】
本発明の検尺装置(1)では、設置基準角度Xθ0と設置基準角度Yθ0を求める処理STP5を、長さリセットスイッチ(25)が押された直後に実行する処理としているが、処理STP5を処理STP1の中に入れて、電源スイッチ(23)が押されて起動した直後にだけ実行する様にしても同様の効果は得られる。
【0074】
また、本発明の検尺装置(1)では、長さリセットスイッチ(25)が押された時に、設置基準角度Xθ0と設置基準角度Yθ0を求める処理である処理STP5を起動させる様にしているが、処理STP5を起動させる為の専用のスイッチ(図示せず)を設けても同様の効果は得られる。
【0075】
また、本発明の検尺装置(1)の設置角度は装着される機器により異なる。手動壁紙糊付機に装着される場合の設置角度はほぼ水平であるが、インクジェット壁紙のコーティング機に装着される場合の設置角度は、搬送経路が斜めであるので、ほぼ45度になる。
また、布地捺染の前処理機に装着される場合は、糊付機部の搬送経路、加圧ローラー部の搬送経路、乾燥機部の搬送経路の、いずれの搬送経路に装着されるかによって設置角度は異なるので、載置時の設置基準角度Xθ0は、必ず、作業者が本発明の検尺装置(1)の装着を完了した時点に検出して記憶部(3)に記憶させるようにしている。
【0076】
また、現在の設置角度Xθ1と載置時の設置基準角度Xθ0の差の許容範囲は、本発明の検尺装置(1)を装着する機器によって設定変更できる様にしている。
【0077】
また、作業者により本発明の検尺装置(1)の装着が完了し、載置時の設置基準角度Xθ0を検出した際に、極端に設置角度が大きく、車輪(9)のスリップが生じる恐れがある場合は、警告を出す様にしても良い。
【0078】
また、本発明の検尺装置(1)では、出力電圧Vxの範囲とX軸方向角を、角度検出の最小単位を10度単位とした割付け表を記憶部(3)に記憶しているが、角度検出の最小単位を5度単位とした割付け表を記憶部(3)に記憶すればさらに細かい角度検出ができる。
【0079】
また、本発明の検尺装置(1)では、係止部(10)を用いて本発明の検尺装置(1)を装着した場合には、検尺装置(1)がY軸方向に傾くことはないので、X軸方向の角度のみを検出しているが、X軸方向の角度とY軸方向の角度を検出してもよいが、この場合、2チャンネルのA/D変換を行う必要があるので、主演算部(2)には処理速度の速いワンチップマイコンを使う必要がある。
【0080】
また、本発明の検尺装置(1)を、布地捺染の前処理機(図示せず)に装着した場合でも、捺染剤を補充する際や、布地にシワが生じかけた場合などに、検尺装置(1)を布地搬送経路から取り外す必要がある場合には、検尺装置(1)を、係止部(10)の先端を旋回中心としてX軸方向に−90度まで傾けなければ、外れないようにしているので、約+30度まで傾けられた時点で、現在の設置角度Xθ1と設置基準角度Xθ0の差が許容範囲(30度)を超えるので、主演算部(2)は検尺パルスの計数を停止し、現在までの移動長を記憶部(3)に記憶するので、主演算部(2)は、作業者がうっかり車輪(9)を回転させたことにより発生した検尺パルスを計数しないので検尺誤差を生じることはない。
【0081】
続いて、本発明の検尺装置(1)に補正値を設定する方法を説明する。
作業者により設定スイッチ(27)が押されると、主演算部(2)は設定モード処理(フロー図示せず)を実行し、枚数の表示の十の位にHを表示し、長さの表示の十の位に0を表示し、一の位にも0を表示する。
続いて作業者により、枚数リセットスイッチ(24)が押されると主演算部(2)は、0%→+0.2%→+0.4%から最大補正値+1.7%まで、最小補正値−1.7から、−1.7%→−1.4%→−1.2%と変化させるので、作業者は設定したい補正値を選択する。 あるいは、指示したい補正値の数値を直接、表示操作部(5)から入力してもよい。
主演算部(2)は選択された補正値を記憶部(3)へ記憶し、−補正が設定された場合は、 表示操作部(5)の−補正表示を点灯させ、+補正が設定された場合は+補正表示を点灯させる。
【0082】
続いて、本発明の検尺装置(1)の主演算部(2)が補正を実行するための補正式を説明する。
本発明では、移動長Lを算出する為の第1計数手段(28)とは別に、補正実行のタイミングを決定する為の第2計数手段(29)を設けている。
また、補正実行のタイミングを決定する為の制御パラメータとして、補正率により規定される、補正実行パラメータnを、n=1/r rは補正率で単位は%である。
として定めている。
【0083】
処理CTP1では、記憶部(3)に記憶している第2計数手段(29)の現時点の計数値sを読み出し、1カウントアップさせて、s←(s+1)として、記憶部(3)に記憶する。
【0084】
処理CTP2では、主演算部(2)は、第2計数手段(29)の現時点の計数値sが、補正実行パラメータnで定める計数値と一致しているかどうかを判別し、一致していなければ処理を
図4のフローの処理STP6に進め、第2計数手段(29)の現時点の計数値sが、補正実行パラメータnで定める計数値に一致していれば、補正を実行する為に、処理CTP3を実行する。
【0085】
処理CTP3では、現在、+の補正が指示されているか、−の補正が指示されているかを、記憶部(3)に記憶しているフラグを読んで、+の補正が指示されていれば処理CTP5へ、−の補正が指示されていれば処理CTP4へ分岐する為の処理である。
【0086】
処理CTP4は、−の補正を実行する処理である。
主演算部(3)は、記憶部(3)に記憶している第1計数手段(28)の現時点の計数値tを読み出し、t←(t−1)として、記憶部(3)に記憶する。
【0087】
処理CTP5は、+の補正を実行する処理である。
主演算部(3)は、記憶部(3)に記憶している第1計数手段(28)の現時点の計数値tを読み出し、t←(t+1)として、記憶部(3)に記憶する。
【0088】
処理CTP6では、主演算部(2)は、第2計数手段(29)の現時点の計数値sを0にリセットし、s←0として、記憶部(3)に記憶する。
【0089】
処理CTP6を実行した後、主演算部(2)は、
図4のフローで示す処理STP6を実行し、
移動長Lを算出する。
本発明の検尺装置(1)の主演算部(2)は、検尺パルスが1つ生成される毎に、
図5に示す補正処理を実行し、第2計数手段(29)の計数値sが補正制御パラメータnで定める計数値と一致する毎に、第1計数手段(28)の計数値tの値を修正することにより、検尺パルスをn=1/r個計数する毎に、移動長Lの補正を行うものである。
【0090】
続いて、移動長の補正の実行を具体的な数値を用いて説明する。
例えば、本発明の検尺装置(1)を布地捺染前処理機に装着した場合、布地の特性により、
表示操作部(5)に表示している移動長に対して、実際に搬送された布地が短い、という場合で、その割合が、表示操作部(5)の長さ表示が300cmを表示しているのに対して、実際の布地の長さが297.00cmであるという場合には、+1.0%の補正を指示すると誤差をなくすことができる。
+1.0%の補正が指示されている場合、補正制御パラメータnは、n=100/1.0=100となるので、主演算部(2)は、補正制御パラメータn=100を記憶部(3)に記憶し、第1計数手段(28)の計数値t=0、第2計数手段(29)の計数値s=0から
検尺パルスの計数を始め、検尺パルスを99個計数した時、第1計数手段(28)の計数値t=99で、第2計数手段(29)の計数値s=99であるので、
移動長Lは、L=99×2.5=247.50mmと算出する(99個ではまだ補正を実行しない)。
【0091】
そして、検尺パルスを100個計数した時、第1計数手段(28)の計数値t=100で、第2計数手段(29)の計数値s=100となり、第2計数手段(29)の計数値が補正制御パラメータn=100と一致するので、主演算部(2)は、第1計数手段(28)の計数値tに、t←(t+1)とするので、移動長L=101×2.5=252.50mmと算出する。(補正実行指示がなされていない場合には、移動長L=100×2.5=300.00mmと算出されるはずなので)。これは、移動長2.5mmの補正となり、+1.0%の補正となる。
【0092】
続いて、主演算部(2)は、第2計数手段(29)の計数値sをs=0にリセットし、第1計数手段(28)の計数値tはt=101から(続きから)、検尺パルスを計数し、
更に100個の検尺パルスを計数した時に、第1計数手段(28)の計数値tはt=201
となり、第2計数手段(29)の計数値sは再びs=100となり、第2計数手段(29)の計数値が補正制御パラメータn=100と一致するので、第1計数手段(28)の計数値tに、t←(t+1)と修正するので、移動長L=202×2.5=505.00mmと算出する。再び、移動長2.5mmの補正となり、+1.0%の補正となる。
以上のように、主演算部(2)は、+1.0%の補正が指示されている場合には、検尺パルスを100個計数する毎に、2.5mmの補正を行うことにより、+1.0%の補正を実行する。
【0093】
同様に、+0.5%の補正が指示されている場合には、補正実行パラメータn=100/0.5=200となるので、検尺パルスを200個計数する毎に、2.5mmの補正を行うことにより、+0.5%の補正を実行する。
【0094】
また、本発明の検尺装置(1)では、布地捺染前処理機の様に、布地の原反の全長が100m巻、200m巻のものを切断することなく処理を施し、移動長の表示の最小単位は数10cm単位ぐらいが適切な装置に装着する場合、車輪(9)を交換する様にしている。
本発明では、車輪(9)が交換された場合でも移動長が算出できる様にする為に、記憶部(3)に、車輪(9)の直径を記憶する車輪直径記憶手段(30)を設け、表示操作部(5)により、作業者が入力した車輪(9)の直径を記憶し、現在装着している車輪(9)の直径を用いて、移動長算出定数Pを再計算し、再計算により求めた移動長算出定数Pを使って、移動長Lを算出する。
布地捺染前処理機に装着された場合、車輪(9)の直径はR=95.50mmであるので
P=5.0mmとして、布地の移動長を、2.5cm単位で算出し、表示操作部(5)に表示する長さ表示の一の位は10cmとし、レベルメーター(18)は2.5cm単位として表示する。