(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
溶融ガラスを収容する下部構造と、前記下部構造の上部に形成された上部構造と、前記上部構造を支持する支持部材と、を有するガラス溶融窯において、前記上部構造の下端に配置される電鋳耐火物製タックストーンであって、
前記上部構造の側壁を支える本体部分と、前記本体部分よりも前記ガラス溶融窯の内部側に突出し、前記下部構造の上方に配置されるように形成された炉内側部分と、で構成され、
前記本体部分の底面の少なくとも一部に凹部を有することを特徴とする電鋳耐火物製タックストーン。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の耐火物、耐火物の製造方法およびガラス溶融窯について、以下、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0017】
〔ガラス溶融窯〕
まず、本実施形態におけるガラス溶融窯について説明する。
図1は、本実施形態のガラス溶融窯の概略構成を示す断面図である。
【0018】
図1に示したように、本実施形態のガラス溶融窯10は、その構造については従来と同様である。すなわち、ガラス溶融窯10は、溶融ガラス50を収容する下部構造11と、下部構造11の上部に設けられた上部構造12と、上部構造12を支持する支持部材13と、を有して構成される。
【0019】
ここで、下部構造11は、溶融ガラス50を収容できるように底部111と該底部111に垂直に設けられた側壁112とで構成されている。この下部構造11は、ガラスの溶解槽であり、いずれも溶融ガラス50と直接接触するため、耐熱性および耐食性に優れた耐火物で形成されている。ここで用いられる耐火物としては、一般に、耐熱性、耐食性等の良好な電鋳耐火物が用いられ、具体的にはアルミナ・ジルコニア・シリカ質、ジルコニア質電鋳耐火物が挙げられる。
【0020】
また、上部構造12は、下部構造11の上部に形成されたもので、下部構造11の側壁112から続く側壁121と、上部構造12の該側壁121の上部に迫構造(アーチ構造)で形成される天井122とで構成されている。この上部構造12は、いずれも溶融ガラス50とは直接接触しないが、溶融ガラス50の蒸気や高温の燃焼ガス等と接触するため、やはり、耐熱性および耐食性に優れた耐火物で形成されている。ここで用いられる耐火物としては、一般に、耐熱性、耐食性、圧縮強度に優れた電鋳耐火物、焼成耐火物が用いられる。具体的には側壁121用としては、一般に、アルミナ・ジルコニア・シリカ質、アルミナ質、ジルコニア質などの電鋳耐火物、およびジルコン質、アルミナ・ジルコニア・シリカ質などの焼成耐火物が挙げられ、天井122用としては、シリカ質焼成耐火物、アルミナ・ジルコニア・シリカ質、アルミナ質などの電鋳耐火物が挙げられる。焼成耐火物とは、原料粉末を固めて窯で焼成することにより作られる耐火物である。焼結耐火物、結合耐火物と呼ばれることもある。
【0021】
また、この上部構造12の下端は、その上部構造12を安定して支持しつつ、ガラス溶融窯10の内部温度の低下を抑制できるように、特徴的な構造を有している。なお、この構造自体は従来のガラス溶融窯でも採用されたものであり、本実施形態における特徴ではない。この構造について、以下説明する。
図2は、
図1のガラス溶融窯10の一部拡大図であり、下部構造11と上部構造12との接続部分を説明するための図である。
【0022】
図2において、下部構造11の側壁112は、炉内側の耐火レンガ112aと炉外側の断熱レンガ112bとで構成されている例を示している。また、上部構造12の側壁121は、炉内側の耐火レンガ121aと炉外側の断熱レンガ121bとで構成されている例を示している。これらの耐火レンガおよび断熱レンガは、いずれも、直方体形状に形成されたレンガを積み上げ、また、並べて厚みを出すことで、所定の特性を発揮するように構成されている。ここで用いる耐火レンガおよび断熱レンガとしては、ガラス溶融窯に適用可能な公知の耐火レンガおよび断熱レンガを用いることができる。
【0023】
そして、上部構造12の下端には、タックストーン123が設けられている。このタックストーン123は、後述する支持部材13の上に配置され、かつ、下部構造11の上に配置される。すなわち、このタックストーン123は、ガラス溶融窯10内の温度低下を抑制するように下部構造11の上に配置され、かつ、上部構造12を支持する支持部材13の上に配置され、上部構造12の荷重が下部構造11にそのまま負荷されることがないようにするため、他の耐火物と異なり特徴的な形状となっている。
【0024】
タックストーン123と下部構造11との間は、焼成耐火物などの定形耐火物やモルタルなどの不定形耐火物、セラミックスファイバーのような断熱材で充填されることが好ましい。耐火物で充填することにより、タックストーン123と下部構造11との間に隙間ができず、放熱を抑えることができる。
タックストーン123は、支持部材13と接触して設けられることが好ましい。支持部材13と接触して設けられることにより、ガラス溶融窯10内の温度低下の抑制効果が高くなる。
【0025】
支持部材13は、上部構造12の荷重を支持するための部材である。この支持部材13は、上部構造12の支持構造の一部である(支持部材13以外の支持構造については図示を省略している)。この支持部材13は、上部構造12(具体的には、上部構造12の下端に設けられたタックストーン123)とは上記のように接触して設けられることが好ましい。
【0026】
この支持部材13は、一般に、平板状に形成された金属製の支持部材である。また、支持部材13は、上部構造12を安定して支持できればよく、所定の強度および耐熱性を有する公知の支持部材を用いることができる。
【0027】
支持部材13としては、一般構造用圧延鋼材(JIS G3101)が一般的に用いられ、許容引っ張り応力が330MPa以上であることが好ましい。引っ張り強度が330MPa以上であれば、支持部材の使用量を減らすることができる。引っ張り強度は400MPa以上がより好ましい。
【0028】
支持部材13は、耐熱温度が350℃以上であることが好ましい。ここで、耐熱温度とは「圧力容器の構造−一般事項」(JIS B8265)で指定される許容引っ張り応力を満たす温度のことで、支持部材13は、350℃における許容引っ張り強度が82MPa以上であることが望ましい。
このような支持部材としてはSS330、SS400等で形成されたものが例示できる。
【0029】
〔タックストーン〕
次に、本実施形態において特徴的な、タックストーンについて説明する。タックストーン123は、上記した通り、上部構造12の下端に配置され、使用されるもので、下部構造11の上にも配置されるように設けられる。また、タックストーン123は、上部構造12を支持する支持部材13と直接接触するように設けられることが好ましい。
【0030】
そして、このタックストーン123は、
図3に示したように、上部構造12の側壁を支え、その荷重が直接かかる本体部分と、該本体部分よりもガラス溶融窯の内部側に突出するように形成された炉内側部分と、を有する。すなわち、本体部分は、上部構造12を形成する側壁121(121a、121b)の鉛直方向下方に存在する領域を指し、側壁121と支持部材13とで挟まれた上部構造12の荷重が直接負荷される領域である。ここで、炉内側部分は、本体部分よりもガラス溶融窯の内部側に突出するように形成される。さらに、炉内側部分が下方にも突出するように形成されていてもよい。この構造は、支持部材13との接触を面で安定して行うことができるように平坦に形成された下端面を有する本体部分と支持部材13よりも下方で下部構造11と接触し、支持部材13と下部構造11とが互いに影響されずに独立した部材として配置されることを可能とするものである。
【0031】
そして、本実施形態で用いるタックストーン123の最も特徴的な形状は、その本体部分において、支持部材13との接触面の少なくとも一部に凹部を有する点にある。これは、例えば、
図4Aおよび
図4Bに示したように、支持部材13との接触面において、その一部に凹部123aが形成されている点が、従来形状のタックストーンとは異なる。すなわち、
図4Aには、タックストーン123の左側面図を、
図4Bには、その背面図を示した。なお、ここでは、
図1に示した断面図のガラス溶融窯10の内部側からタックストーンを見た図を正面図とした。なお、
図7A〜7Cでも同様にして表した。
【0032】
図4Aにおいては、凹部123aは外部からは認識できないため、透視的に破線で示している。また、
図4Bにおいては、凹部123aとして、支持部材13の上に配置される面(本体部分の底面)を結んだ支持部材13との境界部分についても破線で示している。すなわち、境界部分を示す破線に対して凹んだ部分(破線と、該破線よりも上方に示した破線で囲われた部分)が本体部分に形成された凹部123aである。また、
図4Bにおいては、本体部分から繋がって炉内側部分にも凹部123aが形成されている。この炉内側部分の凹部123aは、上記境界部分よりも下方に向かって形成されているため、この凹部123aは境界部分を示す破線よりも下方に示した破線部分(タックストーンの輪郭を示す実線と重なっている)で囲われた部分として示している。
【0033】
このタックストーン123としては、例えば、電鋳耐火物が用いられる。電鋳耐火物は、原料を完全に溶融した後、鋳型内で凝固して得られるもので、得られる耐火物は晶出した結晶が絡み合いながら、その粒間や粒界をマトリックスガラス相が埋めるような微細構造を呈し、低気孔率で緻密な組織を有するため、高耐熱性、高耐食性、耐摩耗性等の点で優れたものである。
【0034】
このタックストーン123としては、ガラス溶融窯10の内部が一般に1300℃以上の高温となるため、その内部温度以上の耐熱性を有し、かつ、上部構造12のほとんどの荷重がかかる場所であり、高い圧縮強度も求められる。タックストーン123の耐熱温度は、1500℃以上が好ましく、1600℃以上がより好ましく、1700℃以上が特に好ましい。ここで、耐火物の耐熱温度は、JIS R2209で規定される荷重軟化温度T
2(℃)である。また、常温の圧縮強度は、100MPa以上が好ましく、200MPa以上がより好ましく、300MPa以上が特に好ましい。
【0035】
タックストーン123は、耐食性、強度に優れた内部気孔の少ない緻密な組織から構成されることが望ましく、その嵩比重は、2.5〜6.5であることが好ましい。ここで、嵩比重は、測定した重量を、外寸を計測して求められる体積で除した値である。嵩比重は3.0〜6.5であることがより好ましい。
タックストーン123の真比重は、耐熱性、耐食性、強度に優れた組成から構成されるため、3.0〜6.5であることが好ましい。ここで、真比重は、各組成の比重とその組成比から算出される値である。真比重は3.0〜5.5であることがより好ましい。
【0036】
この電鋳耐火物としては、公知の電鋳耐火物であれば用いることができ、例えば、アルミナ・シリカ質、アルミナ質、アルミナ・ジルコニア・シリカ質、ジルコニア質、マグネシア・クロム質、クロム・アルミナ質、アルミナ・ジルコニア・シリカ・クロム質、等が挙げられ、なかでも、アルミナ・ジルコニア・シリカ質が、アルカリに対する耐食性が良好であり好ましい。より具体的には、この電鋳耐火物として、ZB−1681(AGCセラミックス株式会社製、商品名)等が挙げられる。
【0037】
また、このタックストーン123の凹部123aには、
図5に示したように、断熱材124を設けて断熱性能を向上させたタックストーンとすることが好ましい。ここで用いる断熱材としては、タックストーンに用いるのに十分な耐熱性を有するものであれば、公知の断熱材を限定されずに用いることができる。なお、耐熱性としては、使用時のタックストーンの温度以上の耐熱性を有するものであればよく、ガラス溶融窯10の内部温度以上、例えば、1300℃以上、の熱に耐え得るものが好ましい。また、良好な断熱性能を発揮するためには、断熱材の1000℃における熱伝導率が、2.0[W/m・K]以下が好ましく、1.0[W/m・K]以下がより好ましく、0.6[W/m・K]以下が特に好ましい。
【0038】
なお、ここで用いる断熱材としては、断熱キャスタブルが好ましい。断熱キャスタブルを用いることで、タックストーン123の凹部123aの形状に合わせて、無用な隙間を生じることなく断熱材をタックストーン123と一体化させて設けることができる。一体化させることで、ガラス溶融窯の施工時のハンドリング性を向上させるとともに、ガラス溶融窯内部の放熱を効果的に抑制できる断熱性が良好なタックストーンを得ることができる。
【0039】
また、断熱材として、断熱性能の異なる2種類以上の断熱材を用いることができる。2種類の断熱材を用いる場合には、
図6に示したように、第1の断熱材124aと第2の断熱材124bとを積層して形成すればよい。第1の断熱材124aにより炉内からの放熱が抑えられるため、第2の断熱材124bは第1の断熱材124aよりも耐熱性に劣る耐熱温度が低い断熱材でも使用することができる。一般的に断熱材は耐熱温度を高くしようとすると断熱性が低下する、つまり熱伝導率が高くなるが、第2の断熱材124bには断熱性の高い材料、すなわち、熱伝導率の低い材料を使用できる。
【0040】
第1の断熱材124aの1000℃における熱伝導率は、0.2〜2.0[W/m・K]が好ましい。第2の断熱材124bの1000℃における熱伝導率は、0.02〜0.5[W/m・K]が好ましい。
第1の断熱材124aの1000℃における熱伝導率Aと第2の断熱材124bの1000℃における熱伝導率Bの比A/Bは4〜100であることが好ましい。A/Bは20〜100であれば、炉内からの放熱を抑えやすい。
第1の断熱材124aの耐熱温度は、1300℃以上が好ましく、1400℃以上がより好ましい。第2の断熱材124bの耐熱温度は、800℃以上が好ましく、900℃以上がより好ましい。
【0041】
このような2層構成とすることで、第1の断熱材124aで低減した熱を第2の断熱材124bで効果的に断熱でき、ガラス溶融窯10外部への放熱を抑制できる。また、このような2層構成とすることで、その組み合わせによって、トータルの断熱材としての断熱性能を向上させることができる。
【0042】
ここで用いることができる断熱材としては、断熱キャスタブル等の不定形耐火物、セラミックファイバー、断熱ボード、断熱レンガ等のいずれも用いることができる。なお、この断熱材としては、断熱キャスタブルが好ましい。断熱キャスタブルは、流し込みで施工するためタックストーン123の凹部123aを隙間なく充填することができ、耐熱性を比較的良好に保ちつつ、高い断熱性を有しているためである。
【0043】
ここで、断熱キャスタブルは、耐火性骨材と、水硬性セメントまたは化学結合剤を混合した耐火物であり、水を混ぜて流し込みによって成形が可能な不定形耐火物である。ここで、断熱性を高めるためには、耐火性骨材として中空の骨材を使用することで達成できる。また、耐火性骨材としては、アルミナ質、ジルコニア質、アルミナ・ジルコニア質、アルミナ・ジルコニア・シリカ質等が挙げられ、なかでも、耐熱性の点でアルミナ・ジルコニア質が好ましい。
【0044】
ここで使用できる断熱キャスタブルとしては、より具体的には、TMT−1600(AGCセラミックス株式会社製、商品名)等が挙げられる。
【0045】
セラミックファイバーは、シリカやアルミナなどを原料とし、原料を溶融、もしくは原料と高分子を溶解させ、得られた液体を繊維化させて製造される。セラミックファイバーはフェルト、ブロック、後述するボードなど各種成形品も製品化されている。セラミックファイバーとしては、1600バルク(イソライト工業株式会社製、商品名)等が挙げられる。
【0046】
断熱ボードは、無機バインダーを用いたり耐熱繊維で被膜したりすることでボード状に成形された、セラミックファイバーや無機粒子等から成る耐火断熱材を指す。
断熱ボードとしては、TMT−MP(AGCセラミックス株式会社製、商品名)等が挙げられる。
【0047】
断熱レンガは、耐火物中に多数の小気泡を付与した耐火レンガであり、一般的には焼成耐火物と同様に原料粉末を焼成して製造される。
断熱レンガとしては、A−7(イソライト工業株式会社製、商品名)等が挙げられる。
【0048】
なお、断熱ボードや断熱レンガ等の定形耐火物は、凹部123aを隙間なく充填させるためには、形状の加工や耐熱接着材の使用等が必要となり、不定形耐火物に比べ手間が増えるためコストが増大する傾向がある。
【0049】
なお、2層構成とする場合には、上記の断熱材を適宜組み合わせて使用できるが、炉内温度に耐えられる耐熱温度の高い断熱キャスタブルを第1の断熱材124aとして用い、第2の断熱材124bとしては第1の断熱材124aよりも断熱性に優れた熱伝導率が低い断熱ボード等を用いることが好ましい。第2の断熱材124bの温度が第2の断熱材124bの耐熱温度を超えないように、第1の断熱材124aの厚みが設計される。第1の断熱材124aの厚みは、第2の断熱材124bを保護し、断熱効果を高めるため、30mm以上であることが好ましく、40mm以上であることがより好ましく、50mm以上であることがさらに好ましい。一方、第1の断熱材124aの厚みは、タックストーン123の強度及び第1の断熱材124aの温度の上昇を考慮すると、100mm以下であることが好ましく、90mm以下であることがより好ましく、80mm以下であることがさらに好ましい。
【0050】
第2の断熱材124bの厚みは、断熱効果を高めるため、10mm以上であることが好ましく、20mm以上であることがより好ましく、30mm以上であることがさらに好ましい。一方、第2の断熱材124bの厚みは、第2の断熱材124bの耐熱温度を超えることを防ぐため、60mm以下であることが好ましく、50mm以下であることがより好ましく、40mm以下であることがさらに好ましい。
【0051】
また、
図4A〜4Bは、本実施形態のタックストーンの一例を示したものであり、
図7A〜7Cに示すような形状のタックストーンとすることもできる。なお、
図7Aは、本実施形態の変形例であるタックストーンの左側面図、
図7Bは背面図、
図7Cは右側面図、である。
【0052】
図7A〜7Cに示したタックストーン223は、支持部材との接触面(本体部分の底面)において凹部223aを有し、この凹部223aは、タックストーン123の凹部123aよりも広く設けられている。すなわち、タックストーン123は、支持部材13との接触を左右両端(
図4B参照)で行う両脚タイプであるのに対し、タックストーン223は、支持部材13との接触を左端(
図7B参照)のみの片端で行う片脚タイプである。この凹部223aには、上記と同様に断熱材を設けることができる。
【0053】
このタックストーン223は、支持部材13との接触面を片側のみとしたことから、凹部223aの空間を大きくでき、断熱性をより高いものとできる。なお、この片脚タイプは自立できないため、底面まで伸びる脚が形成されている側部の上部に、隣接するタックストーンが契合可能な段差を有している。すなわち、タックストーン223の複数個を並べたときに安定するように、隣接するタックストーンに支持される突出部223bと、該突出部223bと契合可能な段差となる切り欠き部223cと、を有する。
【0054】
このタックストーン223は、
図8に示すように、その複数個を並べたとき、この突出部223bと切欠き部223cとがそれぞれ隣接するタックストーン223の切欠き部223c、突出部223bと契合し、安定して整列できる。なお、
図8においては、凹部223aに断熱材124を設けた例を示している。
【0055】
ここで、タックストーンの大きさについて、
図9Aおよび
図9Bを参照しながら説明する。
図9Aは、タックストーン123の左側面図、
図9Bは背面図を示し、それぞれ各部分の大きさについて符号を付して示している。ここで、タックストーン123について、厚さをt
a、高さをh
a、幅をw
a、とする。
【0056】
タックストーン123の厚さt
aは、特に限定されずに、その用途等に応じて適宜変更できる。その大きさは、ガラス溶融窯のタックストーンとしては、典型的には300〜700mmであり、耐食性と断熱性、それらの費用対効果を考慮すると450〜600mmであることがより好ましい。この厚さt
aは、
図9Aに示しているように、t
1とt
2とt
3とt
4を合計した厚さである。
【0057】
t
1は、タックストーン123の支持部材13と接触する部分の厚さである。すなわち、上部構造12の大部分(タックストーンの上に積み上げられた側壁を構成する耐火レンガ121a、断熱レンガ121bと、天井122)の荷重がかかる部位であり、十分に安定して支えることができる厚さとする。このt
1部分は、支持部材13の形状に合わせて平坦に形成されている。また、t
1は、断熱材124が形成され、断熱性能に影響を与える重要な部分でもある。
【0058】
したがって、このt
1は、支持部材13との接触領域を十分に確保することができ、かつ、断熱性を十分に確保できる厚さとすればよく、例えば、100〜600mmが好ましく、225〜420mmがより好ましい。
【0059】
t
2は、その平坦部分から下部構造12との接合部となる炉内側部分へ繋げる中間部分である。t
2はt
1と合わせて、本体部分の厚さとなる。このt
2は、平坦部分から炉内側部分へ滑らかに繋げられればよく、例えば、0〜150mmが好ましく、25〜150mmがより好ましい。なお、このt
2部分にはt
1と同様に断熱材124が形成される領域であるため、断熱性能への影響を与える部分でもある。
【0060】
t
3は、タックストーン123の炉内側部分のうち、上記凹部123aが本体部分から連続して形成された部分を指し、断熱材が形成される厚さである。t
3部分は、t
1およびt
2と合わせて、断熱材124が形成される領域を表し、断熱性能に影響を与える重要な部分でもある。このt
3は、炉内側部分における断熱性能と耐食性のバランスを考慮し、例えば、断熱性を重視する場合は、20〜250mmが好ましく、50〜300mmがより好ましい。例えば、耐食性を重視する場合は、0〜150mmが好ましく、0〜50mmがより好ましい。
【0061】
t
4は、タックストーン123の炉内側部分の電鋳耐火物の厚さであり、t
3と合わせて炉内側部分の厚さとなる。炉内側部分はガラス溶融窯10の炉内雰囲気に触れ常に侵食されるため、t
4の厚みはタックストーン123の耐食性に影響を与える重要な部分である。すなわち、ガラス溶融窯10の予定稼働年数、例えば10年間の稼働で受ける侵食に、十分耐えられる厚さとする。そのため、このt
4の厚さは、タックストーン123のその他の形状や生産するガラス、生産温度等にも影響されるが、例えば、耐食性を重視する場合は、100〜350mmが好ましく、175〜3500mmがより好ましい。例えば、断熱性を重視する場合は、50〜200mmが好ましく、50〜100mmがより好ましい。
【0062】
t
3とt
4の比t
3/t
4は、0.0〜2.5であることが好ましい。下部構造の寸法と合わせるために、t
3を大きくする場合はt
4を小さくすることが好ましい。断熱性を重視する場合はt
3/t
4が0.2以上あることが好ましく、t
3/t
4は0.1以上がより好ましい。一方、耐食性を重視する場合はt
3/t
4が0.1以下が好ましく、t
3/t
4は0.05がより好ましい。
【0063】
さらに、t
1とt
2を合計した厚さ(t
1+t
2)を本体部分の厚さt
bとし、t
3とt
4を合計した厚さ(t
3+t
4)を炉内側部分の厚さt
iとしたとき、t
bは150〜600mmが好ましく、t
iは100〜350mmが好ましい。また、これら本体部分の厚さt
bと炉内側部分の厚さt
iとの比(t
b/t
i)は、1.0〜6.0が好ましい。この比(t
b/t
i)が小さいと炉内側部分が厚く耐食性が良好となる。この比(t
b/t
i)が大きいと支持部材で支える面積が大きくなり安定性が良好となる傾向がある。
【0064】
タックストーン123の高さh
aは、特に限定されずに、その用途等に応じて適宜変更できる。その大きさは、ガラス溶融窯のタックストーンとしては、典型的には200〜400mm程度であり、耐食性と断熱性及び強度、それらの費用対効果を考慮すると300〜350mmが好ましい。
【0065】
h
1は、タックストーン123の本体部の高さから凹部の高さt
3を除いた高さである。すなわち、上部構造12の大部分の荷重がかかる部位であり、十分に安定して支えることができる高さ(厚さ)とする。このh
1の高さは、使用する材料の強度等にも影響されるが、例えば、60〜280mmが好ましく、100〜220mmがより好ましい。
【0066】
h
2は、タックストーン123の本体部よりも下方に突出した部分の高さである。すなわち、支持部材13との接触面から下部構造11と接合するために形成された炉内側部分の下端面までの高さである。このh
2は、支持部材13の挿入スペースを確保するための高さでもあり、かつ、支持部材13の存在に影響されずに、炉内側部分の下端面が確実に下部構造11と密接することを可能とする高さを有する。このh
2の高さは、使用する支持部材13の厚さに応じて設定すればよく、例えば、20〜120mmが好ましく、40〜90mmがより好ましい。
【0067】
h
3は、タックストーン123の本体部分における凹部123aの高さである。すなわち、形成される断熱材の高さともなり、タックストーン123に付与される断熱性能に大きく影響を与える重要な部分である。このh
3の厚さは、使用する材料の熱伝導率等にも影響されるが、例えば、30〜130mmが好ましく、50〜100mmがより好ましい。
【0068】
タックストーン123の幅w
aは、特に限定されずに、その用途等に応じて適宜変更できる。その大きさは、ガラス溶融窯のタックストーンとしては、典型的には200〜700mmであり、断熱材124の体積と、タックストーン123の1個当たりにかかる荷重を考慮すると、300〜550mmが好ましい。
【0069】
w
1およびw
2は、タックストーン123の支持部材13との接触部分となる脚の幅である。w
1とw
2はそれぞれが脚の幅を表し、支持部材13との接触部分の幅は、w
1+w
2となる。これは、上部構造12の大部分の荷重がかかる部位でもあり、十分に安定して支えることができる幅とする。このw
1およびw
2の幅は、使用する材料の強度等にも影響されるが、例えば、それぞれ15〜100mmが好ましく、40〜100mmがより好ましい。さらに、このw
1およびw
2の幅は、かかる荷重を均等にするため、同じ幅とすることが好ましい。
【0070】
w
3は、タックストーン123の凹部123aの幅である。すなわち、形成される断熱材の幅ともなり、タックストーン123に付与される断熱性能に大きく影響を与える重要な部分である。このw
3の幅は、使用する材料の熱伝導率等にも影響されるが、例えば、150〜500mmが好ましく、270〜670mmがより好ましい。
【0071】
w
aとw
3の比w
a/w
3は、1.05〜2.3であることが好ましい。耐荷重性を重視する場合はw
a/w
3が1.1以上あることが好ましく、w
a/w
3は1.13以上がより好ましい。一方、断熱性を重視する場合は、w
a/w
3は1.5以下が好ましく、w
a/w
3は1.3以下がより好ましい。
【0072】
また、タックストーン123は、凹部の容量が2.0〜20.0Lであることが好ましい。凹部の容量が2.0L以上であれば、十分な量の断熱材を設けることができ、ガラス溶融窯内部の放熱を効果的に抑制できる。凹部の容量は5.0L以上であることがより好ましく、7.0L以上であることがさらに好ましい。一方、凹部の容量が20L以下であれば、タックストーン123の
図9Aに示すt
4の厚みを増し耐食性を向上させるとともに、
図9Bに示すh
1の厚みを増し耐荷重性を向上させることができる。凹部の容量は16.0L以下であることがより好ましく、10.0L以下であることがさらに好ましい。
【0073】
上記のタックストーンの大きさは、両脚タイプの場合を説明したものであり、片脚タイプの場合には、その形状の違いに応じて適宜変更することができる。例えば、タックストーンの幅において、支持部材13との接触部分となる脚の幅は1つであるため、上記説明したw
1またはw
2に比べて幅を1.0〜2.0倍程度とすることが好ましく、1.0〜1.9倍程度とすることがより好ましい。このようにすることで、上部構造12の荷重をしっかりと受けながら、凹部を両脚タイプよりも大きく形成でき、その結果、断熱材の形成領域を広くできるため、タックストーンの断熱性能を向上させることができる。
【0074】
また、片脚タイプでは、
図7A〜7Cに示したように、突出部223bと切欠き部223cとを有することが特徴的であるが、この突出部223bの突出幅および切欠き部223cの切り欠き幅は、いずれも20〜60mm程度が好ましい。20mm以上であれば
図8に示すように安定して整列させやすい。60mm以下であれば昇温時の膨張による突出部223bと切欠き部223cの干渉を抑えつつ、断熱材の幅w
3を広く取ることができる。また、この突出部223bの高さおよび切欠き部223cの高さは、いずれも80〜200mm程度が好ましい。80mm以上であれば
図8に示すように安定して整列させやすい。200mm以上では切欠き部223cと凹部223aが過剰に接近し、タックストーン223の厚みが薄くなり、強度が不足するため好ましくない。
【0075】
上記のように、本実施形態の構成とすることで、耐荷重を良好に保持しながら、断熱性を向上させることができるタックストーンを得ることができる。このタックストーンが断熱材を有する場合、該断熱材には無用な荷重がかかることがないため、強度等を気にすることなく、所望の断熱性能を有する材料を選定できる。
【0076】
〔耐火物の製造方法〕
本実施形態の耐火物の製造方法は、所定の耐火物組成となる割合で調合した耐火物原料を溶融し、溶融した耐火物原料を鋳型に流し込み、冷却、固化して、上記説明したタックストーンを製造するものである。この製造方法においては、公知の手法により耐火物を製造すればよい。以下、各工程について詳細に説明する。
【0077】
まず、目的の耐火物組成となるようにアルミナ、ジルコニア、シリカ、炭酸ナトリウムなどの各原料を所定の割合で混合し、耐火物原料を調合する。次いで、得られた耐火物原料を電気炉等で加熱溶融する。ここで、電気炉における耐火物原料の加熱温度は、1700℃以上が好ましく、1800〜2100℃がより好ましい。電気炉は、アーク電気炉が好ましい。電気炉の電極は黒鉛電極を使用できる。
【0078】
次に、溶融した耐火物原料を鋳型に流し込み、徐冷して固化させる。ここで鋳型は目的の耐火物形状が得られるように形成されている。また、耐火物製造においては、得られた耐火物の鋳塊の表面を切削、研磨等により加工して製品形状とする場合もあり、その場合は、鋳型はその点を考慮して実製品の大きさよりも大きく形成する。
【0079】
また、徐冷は、溶融耐火物を鋳型に流し込んだ後、耐火物を取り扱える温度まで放冷することをいう。取り扱える温度としては、50℃以下が好ましい。亀裂の発生率を低下させるため、徐冷の時間は、7日以上が好ましく、15日以上がより好ましい。
【0080】
本実施形態においては、目的とする耐火物形状が、所定の位置に凹部を有するものであるため、鋳型として凹部を形成するようにしておけばよい。また、従来の凹部を有しないタックストーンを製造するための鋳型をそのまま利用し、凹部となる部分に後で除去可能な中子を配置して、溶融鋳造により製造することもできる。この場合、一旦鋳塊と中子とを一体的に形成し、中子を後から除去することで所定の形状の凹部を有するタックストーンを製造することができる。
【0081】
このようにして得られた凹部を有するタックストーンの凹部に、断熱材を形成することで、断熱性を向上させたタックストーンを得ることができる。ここで、断熱材としては、上記タックストーンの説明で記載したとおりの断熱材が使用できる。
【0082】
なお、上記は、凹部を形成した後、断熱材を後から形成する場合について説明したが、中子の代わりに、そのまま製品として使用可能な断熱材を配置しておくと、鋳造により得られる鋳塊が、断熱材と一体化して得られる。この場合、そのまま断熱性能を向上させたタックストーンとして用いることができ、中子の除去および断熱材の形成という工程を省略することができる。この製造方法によれば、タックストーンの製造工程が簡略化され、製造コストも低減することができる。
【0083】
〔ガラス溶融窯〕
本実施形態のガラス溶融窯は、溶融ガラスを収容する下部構造と、下部構造の上部に密接して形成された上部構造と、上部構造を支持する支持部材と、を有し、上部構造の下端にはタックストーンが設けられる。ここで、タックストーンとして、上記した本実施形態のタックストーンを用いることを特徴としている。それ以外の構成については、公知のガラス溶融窯における構成とすればよい。このガラス溶融窯としては、
図1に例示したガラス溶融窯が挙げられる。
【実施例】
【0084】
以下に本発明の実施例および比較例を示す。
【0085】
(実施例1)
アルミナ、ジルコニア、シリカ、炭酸ナトリウムなどの耐火物原料を、所定の割合となるように混合し、耐火物組成物とした。この耐火物組成物を、3本の黒鉛電極を備えた3000kVAの単相交流アーク電気炉に装入し、通電加熱により1800〜2000℃の温度で完全に熱溶融した。次に、凹部を形成するための中子として、予め所定形状とされた断熱キャスタブルを所定の位置に配置し、徐冷剤である珪砂の中に埋めていた鋳型に、溶湯を流し込み、鋳造後、鋳型を脱型し、室温付近の温度になるまで放冷した。
【0086】
鋳塊と一体に形成されている断熱キャスタブルを破砕して取り除き、切削、研磨して、
図1に示す凹部を有する両脚タイプのタックストーンを得た。得られたタックストーンの大きさは、t
aが491mm(t
1が316mm、t
2が50mm、t
3が25mm、t
4が100mm)、h
aが300mm(h
1が162mm、h
2が66mm、h
3が72mm)、w
aが450mm(w
1が55mm、w
2が55mm、w
3が340mm)、である。また、このときの凹部の容量は10.0Lである。
【0087】
また、得られたタックストーンについて、その組成、真比重、圧縮強度、について表1に示した。ここで真比重は、各組成の比重とその組成比から算出した値である。圧縮強度は、JIS R2206に準拠して測定した値である。なお、このタックストーンは、ZB−1681(AGCセラミックス株式会社、商品名)に相当する電鋳耐火物である。
【0088】
【表1】
【0089】
次に、断熱材としては、断熱キャスタブル(AGCセラミックス株式会社製、商品名:TMT−1600)を用い、凹部の側面に木材及び発泡スチロールの板を設置し、凹部に水と混練した断熱キャスタブルを流し込んで、約1日放置し硬化させ、高さ57mm(h
3の一部)の断熱材1を形成した。
【0090】
さらに、硬化した断熱キャスタブルの表面に、気硬性モルタル(AGCセラミックス株式会社製、商品名:TMA)を塗布し、支持部材との接触面となる厚さ15mmの板状に形成された断熱材2(AGCセラミックス株式会社製、商品名:TMT−MP10RHY;熱伝導率(400℃) 0.026W/m・K)を貼りつけて、凹部に2層の断熱材を有するタックストーンを得た。なお、このとき、炉内側部分の断熱材は、断熱キャスタブルのみで形成されるようにした。
【0091】
ここで用いた断熱材1は、表2に示した化学組成を有する断熱キャスタブルを用いて形成された断熱材である。表2には、得られる断熱材の特性を併せて示した。ここで、比重は嵩比重であり、断熱材の重量を測定し、外寸を計測して算出した体積で除することにより求めた。最高使用温度は、次の方法で求めた。まず、断熱材を複数個用意した。この断熱材を、50℃刻みの異なる温度で加熱されるように、それぞれ一定温度で3時間加熱処理し、断熱材が溶融して断熱材のエッジが変形しているかを観察した。このとき、断熱材のエッジが変形していない最も高い温度を最高使用温度とした。
ここで、熱伝導率は、JIS R2251−1に準拠し熱線法で測定した値である。
【0092】
【表2】
【0093】
ここで用いた断熱材2は、主にシリカ粒子から成り、ガラスクロスで被覆、成形された断熱ボードである。表3には、断熱ボードの特性を示した。ここで、比重は嵩比重であり、断熱材の重量を測定し、外寸を計測して算出した体積で除することにより求めた。熱伝導率は、ISO 8320、ASTM C177 GHP法で測定した値である。
【0094】
【表3】
【0095】
(実施例2)
実施例1と同様の操作により、
図7A〜7Cに示した片脚タイプのタックストーンを製造した。得られたタックストーンの大きさは、
図9A〜9Bで説明すると、t
aが491mm(t
1が291mm、t
2が50mm、t
3が25mm、t
4が125mm)、h
aが300mm(h
1が162mm、h
2が66mm、h
3が72mm)、w
aが450mm(w
1が60mm、w
2は0mm、w
3が390mm)、である。また、この片脚タイプのタックストーンは、突出部と切欠き部が、それぞれ幅30mm、高さ100mmの大きさで設けられている。すなわち、タックストーンの突出部まで含めた幅は480mmである。また、このときの凹部の容量は9.8Lである。
【0096】
さらに、得られたタックストーンに、実施例1と同様にして断熱材1と断熱材2を積層して、凹部に2層の断熱材を有するタックストーンを得た。
【0097】
(断熱シミュレーション)
また、本発明の耐火物について断熱効果を見積もるため、有限体積法による、3次元伝熱計算プログラムを用いてコンピューターシミュレーションを実施した。
ここで、ガラス溶融窯に用いるタックストーンとして、従来例の凹部を有していないタックストーンを用いた場合と、本発明の凹部を有するタックストーンを用いた場合と、それぞれのガラス溶融窯の外部への放熱量を計算し、その差を求めた。このとき、タックストーン以外の条件は同一のものとし、ガラス溶融窯内部(炉内面)の温度は1600℃に加熱した条件とした。
【0098】
なお、このタックストーンの材料としては、アルミナ・ジルコニア・シリカ質の電鋳耐火物を想定し、その熱伝導率(30℃)は5.813[W/m・K]とした。また、タックストーンの寸法は、
図9A及び9Bにおいて、それぞれ次の通りとした。
従来例の耐火物(タックストーン)として、t
aは500mm、t
1+t
2は375mm、t
3は0mm、t
4は150mm、h
aは305mm、h
1は239mm、h
2は66mm、w
aは450mmとし、断熱材は設けられていない。
本発明の耐火物(タックストーン)としては、t
aは515mm、t
1+t
2は375mm、t
3は25mm、t
4は125mm、h
aは305mm、h
1は165mm、h
2は66mm、h
3は74mm、w
aは450mm、w
1(w
2)は30mm、w
3は390mmとし、凹部には耐火物(タックストーン)側から高さ59mm、熱伝導率(30℃)0.480[W/m・K]の断熱キャスタブルと、高さ15mm、熱伝導率(30℃)0.050[W/m・K]の断熱ボードを形成したものとした。
【0099】
その結果、本発明のタックストーンを使用した場合、従来と比較して窯の外周1m長さ辺り2.8kW/m放熱量が削減される結果となった。この結果より、例えば大きさ15m×10mの溶融窯の全周50mに本発明のタックストーンを使用した場合、140kWの省エネ効果が見込まれる。
【0100】
以上の通り、本実施形態のタックストーンは、耐熱性、耐食性等の耐火物の有する特性を保持しながら、凹部を設けることにより断熱性を向上させることができるものである。実際に、凹部内に断熱材を設けることで、断熱性を向上させた、ガラス溶融窯での使用に好適な、タックストーンが得られる。