特許第6576222号(P6576222)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6576222
(24)【登録日】2019年8月30日
(45)【発行日】2019年9月18日
(54)【発明の名称】温度調節計
(51)【国際特許分類】
   G05B 11/36 20060101AFI20190909BHJP
【FI】
   G05B11/36 507C
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-229361(P2015-229361)
(22)【出願日】2015年11月25日
(65)【公開番号】特開2017-97632(P2017-97632A)
(43)【公開日】2017年6月1日
【審査請求日】2018年9月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006666
【氏名又は名称】アズビル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】村上 和隆
【審査官】 影山 直洋
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−65538(JP,A)
【文献】 特開平8−44692(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 11/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御対象で測定された測定温度値を設定されている第1の時間間隔で受け付ける測定値受付部と、
前記測定値受付部が測定温度値を受け付けると、受け付けられた測定温度値と設定されている設定温度値との関係により前記制御対象を加熱・冷却する加熱・冷却部の動作制御のための制御値を生成する制御値生成部と、
前記制御値生成部が制御値を生成すると、設定されている条件に基づいて、前記測定値受付部が次に測定温度値を受け付けるまでの間、前記第1の時間間隔よりも短い第2の時間間隔で、現状の出力制御値から前記制御値生成部が生成した今回の制御値まで、設定されている変化率で前記加熱・冷却部の動作制御のために出力している出力制御値を更新して出力する更新部と
を備えることを特徴とする温度調節計。
【請求項2】
請求項1記載の温度調節計において、
前記制御値生成部は、受け付けられた測定温度値と設定されている設定温度値との差により前記制御値を生成し、
前記更新部は、前記加熱・冷却部の動作制御のために出力されている現状の出力制御値と、前記制御値生成部が生成した今回の制御値との差が、設定されている閾値より大きい場合、前記測定値受付部が次に測定温度値を受け付けるまでの間、現状の出力制御値から前記制御値生成部が生成した今回の制御値まで設定されている変化率で出力制御値を更新し、前記差が設定されている閾値を超えていない場合、前記制御値生成部が生成した今回の制御値で出力制御値を更新する
ことを特徴とする温度調節計。
【請求項3】
請求項1記載の温度調節計において、
時系列的に設定されている変化率で変化する設定温度値から構成されたトレンドデータを記憶する記憶部を備え、
前記制御値生成部は、前記測定値受付部が受け付けた測定温度値と、前記トレンドデータで決定される現時点における前記設定温度値との関係により前記制御対象を加熱・冷却する加熱・冷却部の動作制御のための制御値を生成し、
前記更新部は、現状における目標値となる前記設定温度値が変化している場合、前記測定値受付部が次に測定温度値を受け付けるまでの間、現状の出力制御値から前記制御値生成部が生成した今回の制御値まで、前記トレンドデータに設定されている変化率で出力制御値を更新する
ことを特徴とする温度調節計。
【請求項4】
制御対象で測定された測定温度値を第1の時間間隔で受け付ける測定値受付部と、
前記測定値受付部が受け付けた過去の測定温度値を元に前記制御対象の以後の温度変化を推定する状態推定部と、
前記測定値受付部が測定温度値を受け付けると、前記測定値受付部が受け付けた測定温度値と設定されている設定温度値との差により前制御対象を加熱・冷却する加熱・冷却部の動作制御のための制御値を生成する制御値生成部と、
前記制御値生成部が制御値を生成すると前記加熱・冷却部の動作制御のために出力している出力制御値を更新して出力する更新部と、
前記更新部による前回の出力制御値更新から次回の出力制御更新までの間、前記状態推定部が推定した前記制御対象の経時的に変化する温度変化を元に、前記第1の時間間隔よりも短い第2の時間間隔で、前記制御対象を加熱・冷却する加熱・冷却部の動作制御のための制御値を生成する補間制御値生成部と、
前記更新部による前回の出力制御値更新から次回の出力制御更新までの間、前記補間制御値生成部が生成した制御値で前記加熱・冷却部の動作制御のために出力している出力制御値を更新して出力する補間更新部と
を備えることを特徴とする温度調節計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御対象の温度を制御する温度調節計に関する。
【背景技術】
【0002】
各種温度環境等の温度を調節する温度調節計は、熱電対や測温抵抗体等の温度センサを用いて検出された監視対象の温度を数値表示し、また、検出した温度(PV値)と設定温度(SP値)とに従って加熱・冷却装置に対する制御出力(MV値)を求め、監視対象の温度を制御する。
【0003】
この種の温度調節計では、一般に、PV値の入力更新周期とMV値の出力更新周期は、同じ周期とされている。また、加熱装置となる金属ヒーターなどの突入電流の大きな素子を駆動する場合、機器の破損を防ぐため、制御開始直後は、ソフトスタート機能によりMV値を徐々に変化させている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特公平3−080944号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、アナログ値であるPV値をデジタル変換するコンバータの特性など、ハードウェア上の制約から、通常は入力更新周期の方が出力更新周期よりも遅い設定となっている。入力更新周期は、早くすると外来ノイズの影響を受けやすくなり、さらに温度調節計が制御している制御系自体が不安定になる要因になる。
【0006】
このため、従来の温度調節計では、遅い入力更新周期に出力更新周期を合わせており、このため、温度調節計における出力回路の応答速度を十分に生かせていないのが現状である。出力更新周期をより速くすることで、制御性をより向上させることができるが、従来の温度調節計では、上述したように、入力更新周期が早くできないため、出力更新周期をより速くすることが容易ではない。
【0007】
本発明は、以上のような問題点を解消するためになされたものであり、入力更新周期によらずに出力更新周期をより速くすることができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る温度調節計は、制御対象で測定された測定温度値を設定されている第1の時間間隔で受け付ける測定値受付部と、測定値受付部が測定温度値を受け付けると、受け付けられた測定温度値と設定されている設定温度値との関係により制御対象を加熱・冷却する加熱・冷却部の動作制御のための制御値を生成する制御値生成部と、制御値生成部が制御値を生成すると、設定されている条件に基づいて、測定値受付部が次に測定温度値を受け付けるまでの間、第1の時間間隔よりも短い第2の時間間隔で、現状の出力制御値から制御値生成部が生成した今回の制御値まで、設定されている変化率で加熱・冷却部の動作制御のために出力している出力制御値を更新して出力する更新部とを備える。
【0009】
上記温度調節計において、制御値生成部は、受け付けられた測定温度値と設定されている設定温度値との差により制御値を生成し、更新部は、加熱・冷却部の動作制御のために出力されている現状の出力制御値と、制御値生成部が生成した今回の制御値との差が、設定されている閾値より大きい場合、測定値受付部が次に測定温度値を受け付けるまでの間、現状の出力制御値から制御値生成部が生成した今回の制御値まで設定されている変化率で出力制御値を更新し、差が設定されている閾値を超えていない場合、制御値生成部が生成した今回の制御値で出力制御値を更新するようにすればよい。
【0010】
上記温度調節計において、時系列的に設定されている変化率で変化する設定温度値から構成されたトレンドデータを記憶する記憶部を備え、制御値生成部は、測定値受付部が受け付けた測定温度値と、トレンドデータで決定される現時点における設定温度値との関係により制御対象を加熱・冷却する加熱・冷却部の動作制御のための制御値を生成し、更新部は、現状における目標値となる設定温度値が変化している場合、測定値受付部が次に測定温度値を受け付けるまでの間、現状の出力制御値から制御値生成部が生成した今回の制御値まで、トレンドデータに設定されている変化率で出力制御値を更新するようにしてもよい。
【0011】
本発明に係る温度調節計は、制御対象で測定された測定温度値を第1の時間間隔で受け付ける測定値受付部と、測定値受付部が受け付けた過去の測定温度値を元に制御対象の以後の温度変化を推定する状態推定部と、測定値受付部が測定温度値を受け付けると、測定値受付部が受け付けた測定温度値と設定されている設定温度値との差により前制御対象を加熱・冷却する加熱・冷却部の動作制御のための制御値を生成する制御値生成部と、制御値生成部が制御値を生成すると加熱・冷却部の動作制御のために出力している出力制御値を更新して出力する更新部と、更新部による前回の出力制御値更新から次回の出力制御更新までの間、状態推定部が推定した制御対象の経時的に変化する温度変化を元に、第1の時間間隔よりも短い第2の時間間隔で、制御対象を加熱・冷却する加熱・冷却部の動作制御のための制御値を生成する補間制御値生成部と、更新部による前回の出力制御値更新から次回の出力制御更新までの間、補間制御値生成部が生成した制御値で加熱・冷却部の動作制御のために出力している出力制御値を更新して出力する補間更新部とを備える。
【発明の効果】
【0012】
以上説明したことにより、本発明によれば、入力更新周期によらずに出力更新周期をより速くすることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本発明の実施の形態1における温度調節計の構成を示す構成図である。
図2図2は、本発明の実施の形態1における温度調節計の動作例を説明するためのフローチャートである。
図3図3は、本発明の実施の形態2における温度調節計の構成を示す構成図である。
図4図4は、本発明の実施の形態2における温度調節計の動作例を説明するためのフローチャートである。
図5図5は、本発明の実施の形態3における温度調節計の構成を示す構成図である。
図6図6は、本発明の実施の形態3における温度調節計の動作例を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について図を参照して説明する。
【0015】
[実施の形態1]
はじめに、本発明の実施の形態1について図1を用いて説明する。図1は、本発明の実施の形態1における温度調節計101の構成を示す構成図である。この温度調節計101は、測定値受付部102、制御値生成部103、更新部104を備える。
【0016】
測定値受付部102は、制御対象の温度測定部121で測定された測定温度値を設定されている第1の時間間隔で受け付ける。
【0017】
制御値生成部103は、測定値受付部102が測定温度値を受け付けると、受け付けられた測定温度値と設定されている設定温度値との関係により、制御対象を加熱・冷却する加熱・冷却部122の動作制御のための制御値を生成する。制御値生成部103は、受け付けられた測定温度値と設定されている設定温度値との差により制御値を生成する。
【0018】
更新部104は、制御値生成部103が制御値を生成すると、設定されている条件に基づいて、測定値受付部102が次に測定温度値を受け付けるまでの間、第1の時間間隔よりも短い第2の時間間隔で、現状の出力制御値から制御値生成部103が生成した今回の制御値まで、設定されている変化率で、加熱・冷却部122の動作制御のために出力している出力制御値を更新して出力する。
【0019】
更新部104は、加熱・冷却部122の動作制御のために出力されている現状の出力制御値と、制御値生成部103が生成した今回の制御値との差が、設定されている閾値より大きい場合、測定値受付部102が次に測定温度値を受け付けるまでの間、現状の出力制御値から制御値生成部103が生成した今回の制御値まで設定されている変化率で出力制御値を更新する。
【0020】
次に、本発明の実施の形態1における温度調節計の動作例についいて図2のフローチャートを用いて説明する。
【0021】
まず、ステップS101で、測定値受付部102が、制御対象の温度測定部121で測定された測定温度値を受け付けると(ステップS101のy)、ステップS102で、制御値生成部103が、受け付けられた測定温度値と設定されている設定温度値との差により、制御対象を加熱・冷却する加熱・冷却部122の動作制御のための制御値を生成する。
【0022】
次に、ステップS103で、更新部104が、加熱・冷却部122の動作制御のために出力されている現状の出力制御値と、制御値生成部103が生成した今回の制御値との差が、設定されている閾値を超えているかどうかを比較する。現状の出力制御値と生成された今回の制御値との差が閾値を超えていない場合(ステップS103のy)、ステップS104で、更新部104が、生成された今回の制御値で出力制御値を更新する。この場合、第1の時間間隔で、次に測定値受付部102が、制御対象の温度測定部121で測定された測定温度値を受け付けるまで、生成された今回の制御値による出力制御値が、継続して出力されることになる。このような場合、今回の更新によって大きな制御の変化が無いため、より短い間隔で出力を更新しても制御性の向上は見込めないので、生成された今回の制御値による出力制御値を継続出力してもよいものと判断できる。
【0023】
一方、現状の出力制御値と生成された今回の制御値との差が閾値を超えている場合(ステップS103のn)、ステップS105で、更新部104が、第1の時間間隔よりも短い第2の時間間隔において、現状の出力制御値から制御値生成部が生成した今回の制御値まで、設定されている変化率で出力制御値を更新する。このとき更新された出力制御値と直前の出力制御値との差は、生成された今回の制御値と直前の出力制御値との差よりも小さくなる。言い換えると、ステップS105においては、生成された今回の制御値と直前の出力制御値との差よりも、今回更新する出力制御値と直前の出力制御値との差が小さくなるように、今回更新する出力制御値を設定(生成)する。
【0024】
この後、測定値受付部102が測定温度値を受け付ける第1の時間間隔より短い第2の時間間隔の時間が経過すると(ステップS106のy)、ステップS103に戻り、現状の出力制御値と生成された今回の制御値との差が、閾値を超えているかどうかを判定する。また、上述したステップS103〜ステップS106を、測定値受付部102が、次に測定温度値を受け付けるまで繰り返す(ステップS107のn)。
【0025】
ステップS105の出力制御値更新をした後では、現状の出力制御値が、今回の制御値により近づいている。従って、測定値受付部102が、次に測定温度値を受け付けるまで、上述したステップS103〜ステップS106を繰り返すことで、いずれ、ステップS103の判断において、現状の出力制御値と生成された今回の制御値との差が、閾値より小さくなる。
【0026】
上述したように、更新部104により、測定値受付部102が測定温度値を受け付ける第1の時間間隔より短い第2の時間間隔で出力制御値を更新するようにしたので、入力更新周期によらずに出力更新周期をより速くすることができる。
【0027】
また、制御値生成部103により生成された今回の制御値が、この制御値が生成された時点における現状の出力制御値より大きく異なっていても、ステップS103〜ステップS107を繰り返すことで、更新1回当たりの出力制御値の変化がより小さくなるので、加熱・冷却部122における温度変化が急峻となる温度制御が抑制できるようになる。
【0028】
[実施の形態2]
次に、本発明の実施の形態2について図3を用いて説明する。図3は、本発明の実施の形態2における温度調節計201の構成を示す構成図である。この温度調節計201は、測定値受付部202、制御値生成部203、更新部204、および記憶部205を備える。
【0029】
測定値受付部202は、制御対象の温度測定部221で測定された測定温度値を設定されている第1の時間間隔で受け付ける。記憶部205は、時系列的に設定されている変化率で変化する設定温度値から構成されたトレンドデータを記憶している。トレンドデータは、制御対象における温度制御に用いられる。
【0030】
制御値生成部203は、測定値受付部202が測定温度値を受け付けると、受け付けられた測定温度値と設定されている設定温度値との関係により、制御対象を加熱・冷却する加熱・冷却部222の動作制御のための制御値を生成する。制御値生成部203は、測定値受付部202が受け付けた測定温度値と、トレンドデータで決定される現時点における設定温度値との関係により制御対象を加熱・冷却部222の動作制御のための制御値を生成する。
【0031】
更新部204は、制御値生成部203が制御値を生成すると、設定されている条件に基づいて、測定値受付部202が次に測定温度値を受け付けるまでの間、第1の時間間隔よりも短い第2の時間間隔で、現状の出力制御値から制御値生成部203が生成した今回の制御値まで、設定されている変化率で、加熱・冷却部222の動作制御のために出力している出力制御値を更新して出力する。
【0032】
更新部204は、記憶部205に記憶されているトレンドデータにおいて現状における目標値となる設定温度値が変化している場合、測定値受付部202が次に測定温度値を受け付けるまでの間、現状の出力制御値から制御値生成部203が生成した今回の制御値まで、トレンドデータに設定されている変化率で出力制御値を更新する。
【0033】
次に、本発明の実施の形態2における温度調節計の動作例についいて図4のフローチャートを用いて説明する。
【0034】
まず、ステップS201で、測定値受付部202が、制御対象の温度測定部221で測定された測定温度値を受け付けると(ステップS201のy)、ステップS202で、制御値生成部203が、受け付けられた測定温度値と設定されている設定温度値との差により、制御対象を加熱・冷却する加熱・冷却部222の動作制御のための制御値を生成する。
【0035】
次に、ステップS203で、更新部204が、記憶部205に記憶されているトレンドデータにおいて現状における目標値となる設定温度値が変化してかどうかを判断する。今回の測定温度受け付けから、第1の時間間隔後の、次回の測定温度受け付けまでの間のトレンドデータにおける設定温度値が変化しているかどうかを判断する。例えば、設定温度値が所定値以上変化しているかどうかを判断する。
【0036】
トレンドデータが変化していない場合(ステップS203のn)、ステップS204で、更新部204が、生成された今回の制御値で出力制御値を更新する。この場合、第1の時間間隔で、次に測定値受付部202が、制御対象の温度測定部221で測定された測定温度値を受け付けるまで、生成された今回の制御値による出力制御値が、継続して出力されることになる。トレンドデータが変化していない場合、今回の制御値と次に測定温度値を受け付けて生成する制御値とは、同様の値となるため、上述したように、生成された今回の制御値による出力制御値を継続して出力すればよいものとなる。
【0037】
一方、トレンドデータが変化している場合(ステップS203のy)、更新部204が、第1の時間間隔よりも短い第2の時間間隔で、測定値受付部202が次に測定温度値を受け付けるまでの間、現状の出力制御値から制御値生成部203が生成した今回の制御値まで、トレンドデータに設定されている変化率で出力制御値を更新する(ステップS205,ステップS206,ステップS207)。
【0038】
通常、トレンドデータにおける第2の時間間隔の変化は、第1の時間間隔の変化よりも小さくなるので、上述したことにより、ステップS205において更新された出力制御値と直前の出力制御値との差は、第1の時間間隔で出力制御値を更新する場合の差よりも小さくなる。
【0039】
上述したように、更新部204により、測定値受付部202が測定温度値を受け付ける第1の時間間隔より短い第2の時間間隔で出力制御値を更新するようにしたので、入力更新周期によらずに出力更新周期をより速くすることができる。
【0040】
また、制御値生成部203により生成された今回の制御値が、この制御値が生成された時点における現状の出力制御値より大きく異なっていても、ステップS203〜ステップS207を繰り返すことで、更新1回当たりの出力制御値の変化がより小さくなるので、加熱・冷却部222における温度変化が急峻となる温度制御が抑制できるようになる。
【0041】
[実施の形態3]
次に、実施の形態3について、図5を用いて説明する。図5は、本発明の実施の形態3における温度調節計301の構成を示す構成図である。この温度調節計301は、測定値受付部302、制御値生成部303、更新部304、状態推定部305、補間制御値生成部306、補間更新部307、を備える。
【0042】
測定値受付部302は、制御対象の温度測定部321で測定された測定温度値を第1の時間間隔で受け付ける。
【0043】
制御値生成部303は、測定値受付部302が測定温度値を受け付けると、測定値受付部302が受け付けた測定温度値と設定されている設定温度値との差により前制御対象を加熱・冷却する加熱・冷却部322の動作制御のための制御値を生成する。
【0044】
更新部304は、制御値生成部303が制御値を生成すると加熱・冷却部322の動作制御のために出力している出力制御値を更新して出力する。
【0045】
状態推定部305は、測定値受付部302が受け付けた過去の測定温度値を元に制御対象の以後の温度変化を推定する。例えば、よく知られたモデル予測により、温度変化を推定すればよい。
【0046】
補間制御値生成部306は、更新部304による前回の出力制御値更新から次回の出力制御更新までの間、状態推定部305が推定した制御対象の経時的に変化する温度変化を元に、第1の時間間隔よりも短い第2の時間間隔で、制御対象を加熱・冷却する加熱・冷却部322の動作制御のための制御値を生成する。
【0047】
補間更新部307は、更新部304による前回の出力制御値更新から次回の出力制御更新までの間、補間制御値生成部306が生成した制御値で加熱・冷却部322の動作制御のために出力している出力制御値を更新して出力する。
【0048】
次に、本発明の実施の形態3における温度調節計の動作例についいて図6のフローチャートを用いて説明する。
【0049】
まず、ステップS301で、測定値受付部302が、制御対象の温度測定部321で測定された測定温度値を受け付けると(ステップS301のy)、ステップS302で、制御値生成部303が、受け付けられた測定温度値と設定されている設定温度値との差により、制御対象を加熱・冷却する加熱・冷却部322の動作制御のための制御値を生成する。制御値生成部303が制御値を生成すると、ステップS303で、更新部304が、加熱・冷却部322の動作制御のために現在出力している出力制御値を更新する。
【0050】
一方、測定値受付部302が、制御対象の温度測定部321で測定された測定温度値を受け付けていない間は(ステップS301のn)、ステップS304で、状態推定部305が、制御対象の経時的に変化する温度変化を推定する。次に、ステップS305で、補間制御値生成部306が、状態推定部305が推定した制御対象の経時的に変化する温度変化を元に、制御対象を加熱・冷却する加熱・冷却部322の動作制御のための制御値を生成する。次に、ステップS306で、補間制御値生成部306が生成した制御値で加熱・冷却部322の動作制御のために出力している出力制御値を更新して出力する。
【0051】
次に、ステップS307で、第1の時間間隔よりも短い第2の時間間隔の時間が経過したことを判断する。第2の時間間隔の時間が経過すると(ステップS307のy)、制御終了まで、ステップS301〜ステップS307を繰り返す(ステップS308)。
【0052】
ステップS304〜ステップS306における補間制御値生成部306が生成した制御値による出力制御値の更新は、更新部304による前回の出力制御値更新から次回の出力制御更新までの間(第1の時間間隔で)、第1の時間間隔よりも短い第2の時間間隔で繰り返す(ステップS307)。
【0053】
上述したように、本発明の実施の形態3によれば、測定値受付部302が測定温度値を受け付ける第1の時間間隔より短い第2の時間間隔で出力制御値を更新するようにしたので、入力更新周期によらずに出力更新周期をより速くすることができる。
【0054】
また、制御値生成部303により生成された今回の制御値が、この制御値が生成された時点における現状の出力制御値より大きく異なっていても、ステップS304〜ステップS306を繰り返すことで、更新1回当たりの出力制御値の変化がより小さくなるので、加熱・冷却部322における温度変化が急峻となる温度制御が抑制できるようになる。
【0055】
以上に説明したように、本発明によれば、入力更新周期によらずに出力更新周期をより速くすることができる。
【0056】
なお、本発明は以上に説明した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想内で、当分野において通常の知識を有する者により、多くの変形および組み合わせが実施可能であることは明白である。
【符号の説明】
【0057】
101…温度調節計、102…測定値受付部、103…制御値生成部、104…更新部、121…温度測定部、122…加熱・冷却部、201…温度調節計、202…測定値受付部、203…制御値生成部、204…更新部、205…記憶部、221…温度測定部、222…加熱・冷却部、301…温度調節計、302…測定値受付部、303…制御値生成部、304…更新部、305…状態推定部、306…補間制御値生成部、307…補間。
図1
図2
図3
図4
図5
図6