(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第1の中空部分を有する第1のフレーム要素と、第2の中空部分を有する第2のフレーム要素とを互いに非接触の状態で見込み方向に沿って並設し、かつ互いの間に第3の中空部分を構成する状態でこれら2つのフレーム要素の間を断熱材で連結することにより枠部材を構成した建具において、
前記第1のフレーム要素の第1の中空部分に長手方向に沿って第1の補強材を配設し、前記第3の中空部分を通過するように連結ネジを螺合することにより、前記第1の補強材及び前記第2のフレーム要素を互いに連結したことを特徴とする建具。
前記第3の中空部分に長手方向に沿って第2の補強材を配設し、前記連結ネジにより前記第1の補強材、前記第2の補強材及び前記第2のフレーム要素を互いに連結したことを特徴とする請求項1に記載の建具。
前記第2のフレーム要素の第2の中空部分に長手方向に沿って第3の補強材を配設し、前記連結ネジにより前記第1の補強材、前記第2のフレーム要素及び前記第3の補強材を互いに連結したことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の建具。
前記枠部材は、矩形状に構成した外枠部の上枠及び下枠の間に上下方向に沿って配設し、一方の縦枠との間に開きドアによって開閉される第1の開口を構成するとともに、他方の縦枠との間に面材によって閉じた状態に維持される第2の開口を構成する方立枠であり、
前記開きドアは、上下方向に沿った軸芯を中心に回転することによって前記第1の開口を開閉し、かつ戸先部分に設けたラッチを前記第1のフレーム要素の見込み方向に沿った壁部分に係合させることによって前記第1の開口を閉じた状態に維持するものであり、
前記第1の補強材は、少なくとも前記第1のフレーム要素において前記ラッチが係合される壁部分に沿った見込み部分と、前記第1のフレーム要素において前記第2のフレーム要素に対向する壁部分に沿った見付け部分とが一体のL字状を成す部分を含むことを特徴とする請求項1に記載の建具。
前記連結ネジは、前記枠部材の長手方向に沿って複数箇所に螺合するものであり、個々の軸芯を含む鉛直面が2以上となるように配列したことを特徴とする請求項4に記載の建具。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
断熱材としては、フレーム要素を構成する金属よりも熱伝導率の小さい樹脂が適用されるのが一般的である。このため、火災発生時等、枠部材が高温状態となった場合には、断熱材が先に溶融し、2つのフレーム要素の間が開いて火炎の貫通口が生じるおそれがある。特に、方立枠や無目枠については、両端部が枠部材に連結された構成であるため、上枠、下枠及び縦枠等、躯体に固定されたものに比べて上述した問題が顕著となるおそれがある。
【0005】
本発明は、上記実情に鑑みて、防火性を維持しつつ室内外の熱伝達を抑制することのできる建具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る建具は、第1の中空部分を有する第1のフレーム要素と、第2の中空部分を有する第2のフレーム要素とを互いに非接触の状態で見込み方向に沿って並設し、かつ互いの間に第3の中空部分を構成する状態でこれら2つのフレーム要素の間を断熱材で連結することにより枠部材を構成した建具において、前記第1のフレーム要素の第1の中空部分に長手方向に沿って第1の補強材を配設し、前記第3の中空部分を通過するように連結ネジを螺合することにより、前記第1の補強材及び前記第2のフレーム要素を互いに連結したことを特徴とする。
【0007】
この発明によれば、第1のフレーム要素が高温状態となった場合にも、第1の中空部分に配設した第1の補強材と第2のフレーム要素との間が連結ネジによって連結された状態を維持することになり、断熱材が溶融した場合にも、火炎の貫通口が生じるおそれがなくなる。
【0008】
また本発明は、上述した建具において、前記第3の中空部分に長手方向に沿って第2の補強材を配設し、前記連結ネジにより前記第1の補強材、前記第2の補強材及び前記第2のフレーム要素を互いに連結したことを特徴とする。
【0009】
この発明によれば、第1のフレーム要素が高温状態となった場合にも、第1の中空部分に配設した第1の補強材と第2のフレーム要素との間が連結ネジ及び第2の補強材によって連結された状態を維持することになり、断熱材が溶融した場合にも、火炎の貫通口が生じるおそれがなくなる。
【0010】
また本発明は、上述した建具において、前記第2のフレーム要素の第2の中空部分に長手方向に沿って第3の補強材を配設し、前記連結ネジにより前記第1の補強材、前記第2のフレーム要素及び前記第3の補強材を互いに連結したことを特徴とする。
【0011】
この発明によれば、第1のフレーム要素もしくは第2のフレーム要素のいずれが高温状態となった場合にも、第1の中空部分に配設した第1の補強材と第2の中空部分に配設した第3の補強材との間が連結ネジによって連結された状態を維持することになり、断熱材が溶融した場合にも、火炎の貫通口が生じるおそれがなくなる。
【0012】
また本発明は、上述した建具において、前記枠部材は、矩形状に構成した外枠部の上枠及び下枠の間に上下方向に沿って配設し、一方の縦枠との間に開きドアによって開閉される第1の開口を構成するとともに、他方の縦枠との間に面材によって閉じた状態に維持される第2の開口を構成する方立枠であり、前記開きドアは、上下方向に沿った軸芯を中心に回転することによって前記第1の開口を開閉し、かつ戸先部分に設けたラッチを前記第1のフレーム要素の見込み方向に沿った壁部分に係合させることによって前記第1の開口を閉じた状態に維持するものであり、前記第1の補強材は、少なくとも前記第1のフレーム要素において前記ラッチが係合される壁部分に沿った見込み部分と、前記第1のフレーム要素において前記第2のフレーム要素に対向する壁部分に沿った見付け部分とが一体のL字状を成す部分を含むことを特徴とする。
【0013】
この発明によれば、第1の補強材として、少なくとも第1のフレーム要素においてラッチが係合される壁部分に沿った見込み部分と、第2のフレーム要素に対向する壁部分に沿った見付け部分とが一体のL字状を成す部分を含むものを適用しているため、ラッチを介して開きドアを第1の補強材に係合させた状態を維持することが可能となる。従って、開きドアの戸先と方立枠との間が閉じた状態に維持され、火災発生時においても延焼を抑制することができる。
【0014】
また本発明は、上述した建具において、前記連結ネジは、前記枠部材の長手方向に沿って複数箇所に螺合するものであり、個々の軸芯を含む鉛直面が2以上となるように配列したことを特徴とする。
【0015】
この発明によれば、複数の連結ネジが異なる鉛直面上に位置するため、第1の補強材に対して第2のフレーム要素が位置ずれすることなく互いの姿勢を維持した状態となる。
【0016】
また本発明は、上述した建具において、前記
第2の補強材と前記第1のフレーム要素との間及び前記
第2の補強材と前記第2のフレーム要素との間の少なくとも一方に補強部断熱材を介在させたことを特徴とする。
【0017】
この発明によれば、
第2の補強材を通じた第1のフレーム要素と第2のフレーム要素との間の熱伝達がより確実に抑制される。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、第1のフレーム要素が高温状態となった場合にも、第1の中空部分に配設した第1の補強材と第2のフレーム要素との間が連結ネジによって連結された状態を維持することになり、断熱材が溶融した場合にも、火炎の貫通口が生じるおそれがなくなる。従って、枠部材に所望の防火性を維持しつつ室内外の熱伝達を抑制することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付図面を参照しながら本発明に係る建具の好適な実施の形態について詳細に説明する。
【0021】
(実施の形態1)
図1及び
図2は、本発明の実施の形態1である建具を示したものである。ここで例示する建具は、家屋の玄関に用いられる開きドアであり、枠体10を備えている。枠体10は、上枠11、下枠12及び左右の縦枠13,14を四周枠組みすることによって構成した矩形状の外枠部10Aと、上枠11及び下枠12の間に上下方向に沿って配設した方立枠(枠部材)15とを備えたものである。本実施の形態1では、
図1及び
図2からも明らかなように、上枠11及び下枠12の長手を二等分する中心線からずれた位置に方立枠15を配置するようにしている。具体的には、室外側から見た場合に左側に配置される左縦枠13に近接するように方立枠15が設けてあり、外枠部10Aの開口を主開口(第1の開口)10Aaと副開口(第2の開口)10Abとに二分している。
【0022】
主開口10Aaは、室外側から見た場合に右側に配置される右縦枠14と方立枠15との間に構成される幅の大きな開口である。この主開口10Aaには、右縦枠14が吊り元で方立枠15が戸先となり、室外側に向けて開くようにドアパネル20が開閉可能に配設してある。ドアパネル20は、図には明示していないが、表裏両面板の間にフォーム材等からなる断熱面材を配設することによって構成した、断熱ドアと称されるものである。副開口10Abは、左縦枠13と方立枠15との間に構成される幅の小さな開口である。この副開口10Abには、ガラスパネル(面材)30を配設することによってFIX窓が構成してある。ガラスパネル30は、
図3に示すように、スペーサ部材31を介して2枚のガラス32,33を接合して構成した複層ガラスと称されるものである。
【0023】
建具の方立枠15は、2つのフレーム要素15A,15Bを見込み方向に沿って並設し、かつ互いの間の2カ所をそれぞれ断熱材15Cで連結することにより構成したものである。2つのフレーム要素15A,15B及び2つの断熱材15Cによって囲まれた部分には、相互中空部分(第3の中空部分)15Dが構成されている。ここで、見込み方向とは、
図3中の矢印Aで示すように、建具の奥行きに沿った方向のことである。見込み方向に沿った平面については、見込み面と称する場合がある。また、後述する見付け方向とは、上枠11及び下枠12の場合、見込み方向に直交した上下に沿う方向であり、縦枠13,14の場合、見込み方向に直交した水平に沿う方向である。枠部材の長手方向とは、それぞれのフレーム要素を押し出し成形する場合の押し出し方向に一致する。方立枠15の場合には、
図4中の矢印Bで示すように、上下方向に沿った方向が長手方向となる。
【0024】
室外側に配置される第1のフレーム要素(以下、外方フレーム要素15Aという)は、アルミニウム合金等の金属材料によって成形した押し出し形材であり、長手方向の全長にわたってほぼ一様な断面を有するように構成してある。この外方フレーム要素15Aは、外方フレーム基部15Aa、左右の外方断熱材収容部15Ab及び支持ヒレ部15Acを有して構成してある。
【0025】
外方フレーム基部15Aaは、見付け方向に沿った2つの見付け壁15Aa1,15Aa2と、見込み方向に沿った2つの見込み壁15Aa3,15Aa4とを有した矩形断面の筒状を成すもので、筒内部に外方中空部分(第1の中空部分)15Adを有している。
【0026】
左右の外方断熱材収容部15Abは、外方フレーム基部15Aaにおいて室内側に位置する見付け壁15Aa2の外表面に設けた凹溝状の部分である。個々の外方断熱材収容部15Abは、それぞれが室内側に向けて開口するもので、見付け壁15Aa2の両側縁部において外方フレーム基部15Aaの長手方向に沿って延在している。
【0027】
支持ヒレ部15Acは、外方フレーム基部15Aaにおいて副開口10Abに臨む見込み面から見付け方向に沿って突出した薄板状部分であり、室内側に臨む面の突出端部に窓用タイト材AT1を保持している。窓用タイト材AT1は、支持ヒレ部15Acとガラスパネル30との間に介在する弾性部材であり、ガラスパネル30の表面に密着するように成形してある。
【0028】
室内側に配置される第2のフレーム要素(以下、内方フレーム要素15Bという)は、外方フレーム要素15Aと同様、長手方向の全長にわたってほぼ一様な断面を有するように、アルミニウム合金等の金属材料によって成形した押し出し形材である。この内方フレーム要素15Bは、内方フレーム基部15Ba、左右の内方断熱材収容部15Bb、戸当りヒレ部15Bc及び押縁装着部15Bdを有して構成してある。
【0029】
内方フレーム基部15Baは、外方フレーム基部15Aaと同じ見付け寸法を有した内方見付け壁15Ba1と、内方見付け壁15Ba1の両端部からそれぞれ室内側に向けて平行に延在した左右の内方見込み壁15Ba2,15Ba3とを有したものである。内方フレーム基部15Baにおいて左右の内方見込み壁15Ba2,15Ba3の間には、室内側の開口を覆う蓋部材15Eが着脱可能に装着してあり、互いの間に内方中空部分(第2の中空部分)15Fが構成されている。
【0030】
左右の内方断熱材収容部15Bbは、内方フレーム基部15Baの内方見付け壁15Ba1において外方フレーム要素15Aの外方断熱材収容部15Abに対向する部位に設けた凹溝状の部分である。個々の内方断熱材収容部15Bbは、それぞれが室外側に向けて開口するもので、内方フレーム基部15Baの長手方向に沿って延在している。
【0031】
戸当りヒレ部15Bcは、内方フレーム基部15Baにおいて主開口10Aaに臨む見込み面から見付け方向に沿って突出したもので、室外側に臨む面の突出端部にドア用タイト材AT2を保持している。ドア用タイト材AT2は、ドアパネル20が閉じられた場合にドアパネル20の室内側に臨む表面に接触し、ドアパネル20と方立枠15との間の気密性を確保するためのもので、弾性部材によって成形してある。
【0032】
押縁装着部15Bdは、押縁16を着脱可能に装着するためのものである。本実施の形態1では、内方フレーム基部15Baにおいて副開口10Abに臨む見込み面に、押縁係合片15Bd1及び押縁支持片15Bd2を設けることによって押縁装着部15Bdが構成してある。押縁係合片15Bd1は、内方フレーム基部15Baの副開口10Abに臨む見込み面において室外側に位置する縁部から見付け方向に沿って突出した薄板状部分である。押縁係合片15Bd1の突出端部には、係合受部15Bd1aが設けてある。押縁支持片15Bd2は、内方フレーム基部15Baの副開口10Abに臨む見込み面において押縁係合片15Bd1よりも室内側となる部位から見付け方向に沿って突出した薄板状部分である。押縁支持片15Bd2の突出端部には、見込み方向に沿った押縁支持面15Bd2aが設けてある。
【0033】
押縁16は、フレーム要素15A,15Bと同様、アルミニウム合金等の金属材料によって成形した押し出し形材である。本実施の形態1では、平板状を成す押縁基部16aと、押縁基部16aから延在した押縁ヒレ部16b及び係合片部16cとを有した押縁16を適用している。押縁基部16aは、一方の表面を介して押縁支持片15Bd2の押縁支持面15Bd2aに当接されるものである。押縁ヒレ部16bは、押縁基部16aの一側縁部から他方の表面側に直角に屈曲した平板状部分である。押縁ヒレ部16bの屈曲端部には、押縁タイト材AT3が接着してある。押縁タイト材AT3は、押縁ヒレ部16bとガラスパネル30との間に介在する弾性部材であり、ガラスパネル30の表面に密着するように成形してある。係合片部16cは、押縁基部16aの一方の表面から突出した平板状部分であり、延在端部に係合部16dを有している。
【0034】
この押縁16を内方フレーム要素15Bに装着するには、まず、係合片部16cを内方フレーム要素15Bの押縁係合片15Bd1と押縁支持片15Bd2との間に挿入する。その後、押縁基部16aを押縁支持面15Bd2aに当接させれば、押縁16は、係合片部16cの係合部16dが押縁係合片15Bd1の係合受部15Bd1aに係合した状態となる。このとき、押縁16の押縁ヒレ部16bは、外方フレーム要素15Aの支持ヒレ部15Acに対向した状態に配置され、支持ヒレ部15Acとの間に面材収容溝部15Gを構成することになる。従って、面材収容溝部15Gにガラスパネル30の周縁部を配置すれば、外方フレーム要素15Aの支持ヒレ部15Acと押縁16の押縁ヒレ部16bとの間にそれぞれのタイト材AT1,AT3を介してガラスパネル30が挟持された状態となる。
【0035】
これら外方フレーム要素15A及び内方フレーム要素15Bの間を連結する断熱材15Cは、アルミニウム合金よりも熱伝導率の小さい樹脂からなるものである。個々の断熱材15Cは、2つのフレーム要素15A,15Bが互いに非接触の状態を維持するように相互間において長手方向の全長にわたる部位に介在している。断熱材15Cとしては、予め成形したものを適用しても良いし、可塑性を有した液状のものをそれぞれの断熱材収容部15Ab,15Bbに注入して構成しても良い。
【0036】
さらに、この方立枠15には、外方フレーム要素15Aの外方中空部分15Adにその長手方向の全長にわたって外方補強材(第1の補強材)40が配設してある。外方補強材40は、鋼材やステンレス等、フレーム要素15A,15Bを構成するアルミニウム合金よりも融点の高い金属材料によって成形したものである。本実施の形態1では、平板状を成す外方基板部41と、外方基板部41の両側縁部からそれぞれ同一方向に向けて屈曲した一対の外方側板部42,43と、外方基板部41の上下両端縁部から外方側板部42,43と同一方向に向けて屈曲した一対の外方取付板部44,45とを有した外方補強材40を適用している。
【0037】
この外方補強材40は、
図3及び
図4に示すように、外方基板部41が外方フレーム基部15Aaにおいて主開口10Aaに臨む見込み壁15Aa4に対向する姿勢で外方中空部分15Adに挿入してあり、取付ネジ17により外方取付板部44,45を介して枠体10の上枠11及び下枠12にそれぞれ固定してある。図には明示していないが、外方補強材40の外方基板部41には、開きドアのラッチLが挿入して係合されるラッチ開口が形成してある。
【0038】
さらに、外方補強材40において外方フレーム基部15Aaの室内側に位置する見付け壁15Aa2に沿った外方側板部42には、内方フレーム要素15Bの内方フレーム基部15Baから内方見付け壁15ba1を介して複数の連結ネジ18が螺合してある。連結ネジ18は、外方補強材40と同様、鋼材等のアルミニウム合金よりも融点の高い金属材料によって構成されたものである。
図5に示すように、複数の連結ネジ18は、個々の軸芯が外方側板部42に直交する2つの鉛直面αに含まれるように千鳥状に配置したもので、それぞれが相互中空部分15Dを通過し、外方補強材40、外方フレーム要素15A及び内方フレーム要素15Bを互いに連結している。
【0039】
上記のように構成した方立枠15を備える建具によれば、外方フレーム要素15Aと内方フレーム要素15Bとの間が非接触の状態で断熱材15Cにより連結されているため、2つのフレーム要素15A,15Bの間の熱伝達が抑制され、例えば内方フレーム要素15Bや蓋部材15Eに結露が生じない等の利点がある。
【0040】
一方、室外で火災が発生して高温状態となった場合には、断熱材15Cが溶融することになり、断熱材15Cによる外方フレーム要素15Aと内方フレーム要素15Bとの間の連結状態が解除され、相互間隔が広がって火炎の貫通口が形成されるおそれがある。
【0041】
しかしながら、この建具の方立枠15によれば、上述したように、連結ネジ18によって外方補強材40、外方フレーム要素15A及び内方フレーム要素15Bが互いに連結した状態を維持することになる。特に、連結ネジ18を千鳥状に配置しているため、外方フレーム要素15Aと内方フレーム要素15Bとが互いに見付け方向に位置ずれをするおそれがなく、2つのフレーム要素15A,15Bの間に火炎の貫通口が生じる事態を確実に防止できる。これにより、上記建具によれば、延焼を防止することができ、防火性の点で有利となる。
【0042】
さらに、上述の建具によれば、外方補強材40として、開きドアのラッチLが係合される見込み壁15Aa4に沿った外方基板部41と、内方フレーム要素15Bに対向する見付け壁15Aa2に沿った外方側板部42とが一体のL字状を成す部分を含むものを適用している。従って、ラッチLを介して開きドアを外方補強材40に係合させた状態に維持することが可能となる。従って、開きドアの戸先と方立枠15との間が閉じた状態に維持され、火災発生時においても延焼を抑制することができる。
【0043】
なお、上述した実施の形態1では、連結ネジ18を千鳥状に配置しているが、連結ネジの配置状態は必ずしも実施のものに限らない。例えば、方立枠15の長手方向に沿って一列に連結ネジを配置するようにしても良いし、三列以上に配置したり、不規則に配置するようにしても構わない。
【0044】
(実施の形態2)
図6は、本発明の実施の形態2である建具の枠部材を示したものである。ここで例示する枠部材は、実施の形態1と同様の建具の方立枠15として用いられるもので、実施の形態1とは相互中空部分15Dに相互補強材(第2の補強材)50を設けた点が異なっている。以下、実施の形態1と異なる部分についてのみ詳述し、実施の形態1と同様の構成については同一の符号を付してそれぞれの詳細説明を省略する。
【0045】
すなわち、実施の形態2では、実施の形態1の構成に加えて相互中空部分15Dに相互補強材50を介在させ、連結ネジ18により外方補強材40、外方フレーム要素15A、相互補強材50及び内方フレーム要素15Bを互いに連結するようにしている。相互補強材50は、外方補強材40と同様、鋼材やステンレス等、フレーム要素15A,15Bを構成するアルミニウム合金よりも融点の高い金属材料によって成形したもので、方立枠15とほぼ同じ長手寸法を有している。
【0046】
本実施の形態2では、平板状を成す相互基板部51と、相互基板部51の両側縁部からそれぞれ同一方向に向けて屈曲した一対の相互側板部52,53とを有した相互補強材50を適用している。一方の相互側板部52には、外表面に断熱シート材(補強部断熱材)54が配設してある。相互補強材50の寸法は、相互側板部52,53の外表面距離に断熱シート材54の板厚を加算した値が、相互中空部分15Dの見込み寸法とほぼ等しくなるように設定してある。この相互補強材50は、断熱シート材54を介して一方の相互側板部52を外方フレーム基部15Aaの見付け壁15Aa2に当接し、かつ他方の相互側板部53を内方フレーム基部15Baの内方見付け壁15Ba1に当接した状態で相互中空部分15Dに配設してある。
【0047】
上記のように構成した方立枠15を備える建具によれば、外方フレーム要素15Aと内方フレーム要素15Bとの間が非接触の状態で断熱材15C及び断熱シート材54付き相互補強材50により連結されているため、2つのフレーム要素15A,15Bの間の熱伝達が抑制され、例えば内方フレーム要素15Bや蓋部材15Eに結露が生じない等の利点がある。
【0048】
一方、室外で火災が発生して断熱材15Cが溶融した場合にも、連結ネジ18により外方補強材40、外方フレーム要素15A、相互補強材50及び内方フレーム要素15Bを互いに連結するようにしているため、2つのフレーム要素15A,15Bの間に火炎の貫通口が生じるおそれがなく、延焼を防止することができるようになる。特に、内方フレーム要素15Bと外方フレーム要素15Aとの間に相互補強材50を介在させるようにしているため、連結ネジ18を方立枠15の長手方向に沿って一列に螺合するようにしても、内方フレーム要素15Bと外方フレーム要素15Aとが互いに見付け方向に位置ずれを招来するおそれがない。従って、連結ネジ18を螺合する数が減るため、方立枠15の組立作業が容易化し、かつ2つのフレーム要素15A,15Bの間に火炎の貫通口が生じる事態を確実に防止でき、防火性の点で有利となる。
【0049】
(変形例1)
相互補強材50を介在させる場合には、必ずしも上述した例に限らず、例えば
図7に示す変形例1のように、外方補強材40と相互補強材50とを直接接触させるように配置することも可能である。すなわち、この変形例1では、外方フレーム要素15Aの見付け壁15Aa2に複数の窓孔55を形成し、この窓孔55を介して相互補強材50の相互側板部52を外方補強材40の外方側板部42に当接させるようにしている。この変形例1で用いる相互補強材50は、窓孔55に挿通することのできる長手寸法を有したものであり、方立枠15の長手方向に沿って複数用意してある。
【0050】
この変形例1の方立枠15を備える建具においても、室外で火災が発生して断熱材15Cが溶融した場合、連結ネジ18により外方補強材40、相互補強材50及び内方フレーム要素15Bを互いに連結するようにしているため、2つのフレーム要素15A,15Bの間に火炎の貫通口が生じるおそれがなく、延焼を防止することができるようになる。特に、内方フレーム要素15Bと外方フレーム要素15Aとの間に相互補強材50を介在させるようにしているため、連結ネジ18を方立枠15の長手方向に沿って一列に螺合するようにしても、内方フレーム要素15Bと外方フレーム要素15Aとが互いに見付け方向に位置ずれを招来するおそれがない。従って、方立枠15の組立作業を容易化した上で2つのフレーム要素15A,15Bの間に火炎の貫通口が生じる事態を確実に防止でき、防火性の点で有利となる。
【0051】
しかも、外方フレーム要素15Aと内方フレーム要素15Bとの間を直接連結する部材がないため、断熱性が損なわれるおそれもない。
【0052】
(実施の形態3)
図8は、本発明の実施の形態3である建具の枠部材を示したものである。ここで例示する枠部材は、実施の形態1と同様の建具の方立枠15として用いられるもので、実施の形態1とは内方フレーム要素15Bの内方中空部分15Fに内方補強材(第3の補強材)60を設けた点が異なっている。以下、実施の形態1と異なる部分についてのみ詳述し、実施の形態1と同様の構成については同一の符号を付してそれぞれの詳細説明を省略する。
【0053】
すなわち、実施の形態3では、実施の形態1の構成に加えて内方フレーム要素15Bの内方中空部分15Fに内方補強材60を介在させ、連結ネジ18により外方補強材40、外方フレーム要素15A、内方補強材60及び内方フレーム要素15Bを互いに連結するようにしている。内方補強材60は、外方補強材40と同様、鋼材やステンレス等、フレーム要素15A,15Bを構成するアルミニウム合金よりも融点の高い金属材料によって成形したもので、方立枠15とほぼ同じ長手寸法を有している。
【0054】
本実施の形態3では、平板状を成す内方基板部61と、内方基板部61の両側縁部からそれぞれ同一方向に向けて屈曲した一対の内方側板部62,63とを有した内方補強材60を適用している。この内方補強材60は、内方基板部61を内方フレーム基部15Baの内方見付け壁15Ba1に当接した状態で内方中空部分15Fに配設してある。
【0055】
上記のように構成した方立枠15を備える建具によれば、外方フレーム要素15Aと内方フレーム要素15Bとの間が非接触の状態で断熱材15Cにより連結されているため、2つのフレーム要素15A,15Bの間の熱伝達が抑制され、例えば内方フレーム要素15Bや蓋部材15Eに結露が生じない等の利点がある。
【0056】
一方、室外で火災が発生して断熱材15Cが溶融した場合にも、連結ネジ18により外方補強材40、外方フレーム要素15A、内方補強材60及び内方フレーム要素15Bを互いに連結するようにしているため、2つのフレーム要素15A,15Bの間に火炎の貫通口が生じるおそれがなく、延焼を防止することができるようになる。
【0057】
(実施の形態4)
図9は、本発明の実施の形態4である建具の枠部材を示したものである。ここで例示する枠部材は、実施の形態3と同様の建具の方立枠15として用いられるもので、実施の形態3とは相互中空部分15Dに相互補強材50を設けた点が異なっている。以下、実施の形態3と異なる部分についてのみ詳述し、実施の形態3と同様の構成については同一の符号を付してそれぞれの詳細説明を省略する。
【0058】
すなわち、実施の形態4では、実施の形態3の構成に加えて相互中空部分15Dに相互補強材50を介在させ、連結ネジ18により外方補強材40、外方フレーム要素15A、相互補強材50及び内方フレーム要素15Bを互いに連結するようにしている。相互補強材50は、外方補強材40と同様、鋼材やステンレス等、フレーム要素15A,15Bを構成するアルミニウム合金よりも融点の高い金属材料によって成形したもので、方立枠15とほぼ同じ長手寸法を有している。本実施の形態4で適用する相互補強材50は、実施の形態2で適用したものと同様の構成であるため、同一の符号を付してそれぞれの詳細説明を省略する。
【0059】
上記のように構成した方立枠15を備える建具によれば、外方フレーム要素15Aと内方フレーム要素15Bとの間が非接触の状態で断熱材15C及び断熱シート材54付き相互補強材50により連結されているため、2つのフレーム要素15A,15Bの間の熱伝達が抑制され、例えば内方フレーム要素15Bや蓋部材15Eに結露が生じない等の利点がある。
【0060】
一方、室外で火災が発生して断熱材15Cが溶融した場合にも、連結ネジ18により外方補強材40、外方フレーム要素15A、相互補強材50、内方フレーム要素15B及び内方補強材60を互いに連結するようにしているため、2つのフレーム要素15A,15Bの間に火炎の貫通口が生じるおそれがなく、延焼を防止することができるようになる。特に、内方フレーム要素15Bと外方フレーム要素15Aとの間に相互補強材50を介在させるようにしているため、連結ネジ18を方立枠15の長手方向に沿って一列に螺合するようにしても、内方フレーム要素15Bと外方フレーム要素15Aとが互いに見付け方向に位置ずれを招来するおそれがない。従って、方立枠15の組立作業を容易化した上で2つのフレーム要素15A,15Bの間に火炎の貫通口が生じる事態を確実に防止でき、防火性の点で有利となる。
【0061】
(変形例2)
相互補強材50を介在させる場合には、必ずしも上述した例に限らず、例えば
図10に示す変形例2のように、外方補強材40と相互補強材50とを直接接触させるように配置することも可能である。すなわち、この変形例2では、外方フレーム要素15Aの見付け壁15Aa2に複数の窓孔55を形成し、この窓孔55を介して相互補強材50の相互側板部52を外方補強材40の外方側板部42に当接させるようにしている。この変形例2で用いる相互補強材50は、窓孔55に挿通することのできる長手寸法を有したものであり、方立枠15の長手方向に沿って複数用意してある。
【0062】
この変形例2の方立枠15を備える建具においても、室外で火災が発生して断熱材15Cが溶融した場合、連結ネジ18により外方補強材40、相互補強材50、内方フレーム要素15B及び内方補強材60を互いに連結するようにしているため、2つのフレーム要素15A,15Bの間に火炎の貫通口が生じるおそれがなく、延焼を防止することができるようになる。特に、内方フレーム要素15Bと外方フレーム要素15Aとの間に相互補強材50を介在させるようにしているため、連結ネジ18を方立枠15の長手方向に沿って一列に螺合するようにしても、内方フレーム要素15Bと外方フレーム要素15Aとが互いに見付け方向に位置ずれを招来するおそれがない。従って、方立枠15の組立作業を容易化した上で2つのフレーム要素15A,15Bの間に火炎の貫通口が生じる事態を確実に防止でき、防火性の点で有利となる。
【0063】
しかも、外方フレーム要素15Aと内方フレーム要素15Bとの間を直接連結する部材がないため、断熱性が損なわれるおそれもない。
【0064】
なお、上述した実施の形態1〜実施の形態4及び変形例1、変形例2では、いずれも外方補強材として室外側に位置する外方側板部43を有したものを例示しているが、必ずしもこれに限定されず、外方側板部は少なくとも外方基板部41及び室内側の外方側板部42を有したものであれば良く、外方基板部41及び外方側板部42のみを備えたL字状のものであっても良いし、外方側板部42,43の先端部間を連結する平板部を有した角筒状のものであっても構わない。
【0065】
また、上述した実施の形態1〜実施の形態4及び変形例1、変形例2では、いずれも枠体10の方立枠15についてのみ説明したが、上枠11や左右の縦枠13,14に同様の構成を適用しても構わない。また、無目枠を備える建具であれば、無目枠に適用することも可能である。