(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上方上枠部及び下方上枠部を有し、これら上方上枠部及び下方上枠部の間に浴室と脱衣室との間を連通する通気通路を構成した上枠を備え、前記下方上枠部と下枠との間に上下方向に沿って方立枠を設けることにより、一方の縦枠と前記方立枠との間に固定面材によって閉塞される第1の開口を構成するとともに、他方の縦枠と前記方立枠との間に可動面材によって開閉される第2の開口を構成する浴室用建具において、
上面に前記固定面材の下縁部を収容する下縁収容溝を有するとともに、下面に係合突起を有した面材保持部材を備え、
前記下枠には前記係合突起に係合する係合溝が形成され、
前記係合溝に前記係合突起を係合させることにより、前記下枠の上面に前記面材保持部材が取り付けられ、
前記下枠の上面において前記第2の開口に対応する部分には、前記係合溝を覆い隠すためのカバー部材が装着され、
前記下枠は、少なくとも前記浴室側に位置する縁部の上面が前記浴室に向けて漸次下方となるように傾斜したものであり、
前記カバー部材は、前記下枠の傾斜した上面に沿って延在するカバー上面を有し、
前記上方上枠部は、前記下方上枠部の前記浴室側に位置する部分を覆うように下方に向けて延在した見付けカバー部を有したものであり、前記固定面材の上縁部が前記見付けカバー部の下端部に支持されていることを特徴とする浴室用建具。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
通常、この種の浴室建具では、浴室と脱衣室との開口に対してほぼ半分となる部分に固定面材を配設し、可動面材によって開閉される開口の面積を小さくすることにより、浴室から脱衣室への水の浸入を抑えるように構成されている場合が多い。すなわち、上枠及び下枠の間に方立枠を配設し、一方の縦枠と方立枠との間に固定面材によって常時閉塞される第1の開口を設けるとともに、他方の縦枠と方立枠との間に可動面材によって開閉される第2の開口を設けるようにしている。こうした浴室建具によれば、開閉される第2の開口の面積が小さくなるため、浴室から脱衣室へ水が浸入する事態も少なくすることができる。また、固定面材と可動面材とを連窓する場合に必要となるアングル材等の連結部材が不要となるため、見込み方向に沿った寸法を小さく設定することができ、脱衣室を広く使うことができる等の利点もある。
【0005】
しかしながら、固定面材を設けた第1の開口においても下方上枠部の上方に浴室と脱衣室とを連通する通気通路が開口することになるため、固定面材と可動面材とを連窓する場合に比べて脱衣室へ水が浸入する事態が増えるおそれがある。特許文献1のように、第1の開口に配設される通気通路に固定面材を保持するための保持部材を配設し、通気通路を塞いでしまえば問題はない。しかしながら、保持部材を用意する分、部品点数が増えることになり、製造コストや組立作業の点では必ずしも好ましいとはいえない。
【0006】
本発明は、上記実情に鑑みて、部品点数を増やすことなく、脱衣室への水の浸入をより確実に防止することのできる浴室用建具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係る浴室用建具は、上方上枠部及び下方上枠部を有し、これら上方上枠部及び下方上枠部の間に浴室と脱衣室との間を連通する通気通路を構成した上枠を備え、前記下方上枠部と下枠との間に上下方向に沿って方立枠を設けることにより、一方の縦枠と前記方立枠との間に固定面材によって閉塞される第1の開口を構成するとともに、他方の縦枠と前記方立枠との間に可動面材によって開閉される第2の開口を構成する浴室用建具において、
上面に前記固定面材の下縁部を収容する下縁収容溝を有するとともに、下面に係合突起を有した面材保持部材を備え、前記下枠には前記係合突起に係合する係合溝が形成され、前記係合溝に前記係合突起を係合させることにより、前記下枠の上面に前記面材保持部材が取り付けられ、前記下枠の上面において前記第2の開口に対応する部分には、前記係合溝を覆い隠すためのカバー部材が装着され、前記下枠は、少なくとも前記浴室側に位置する縁部の上面が前記浴室に向けて漸次下方となるように傾斜したものであり、前記カバー部材は、前記下枠の傾斜した上面に沿って延在するカバー上面を有し、前記上方上枠部は、前記下方上枠部の前記浴室側に位置する部分を覆うように下方に向けて延在した見付けカバー部を有したものであり、前記固定面材の上縁部
が前記見付けカバー部の下端部に支持さ
れていることを特徴とする。
【0008】
この発明によれば、第1の開口においては固定面材によって上枠の通気通路が塞がれた状態となり、別途部品を要しないため、部品点数を増やすことなく脱衣室への水の浸入をより確実に防止することが可能となる。
【0009】
また本発明は、上述した浴室用建具において、前記見付けカバー部の下面において前記浴室側に偏った位置に前記固定面材の上縁部を収容する上縁収容溝を設けたことを特徴とする。
【0010】
この発明によれば、固定面材と上枠の見付けカバー部との段差が小さくなるため、浴室の掃除が容易となる。
【0012】
この発明によれば、下枠の上面から面材保持部材が突出するため、水密性の点で有利となる。
【0014】
この発明によれば、下枠に設けた係合溝がカバー部材によって覆われ、係合溝が外部に露出しないため、外観品質が損なわれるおそれがない。
【0016】
この発明によれば、係合溝に設けたカバー部材のカバー上面と下枠の上面とが一致するため、下枠において人が出入りする部分の上面の平坦化を図ることができる。
【0017】
また本発明
に係る浴室用建具は、上方上枠部及び下方上枠部を有し、これら上方上枠部及び下方上枠部の間に浴室と脱衣室との間を連通する通気通路を構成した上枠を備え、前記下方上枠部と下枠との間に上下方向に沿って方立枠を設けることにより、一方の縦枠と前記方立枠との間に固定面材によって閉塞される第1の開口を構成するとともに、他方の縦枠と前記方立枠との間に可動面材によって開閉される第2の開口を構成する浴室用建具において、前記上方上枠部は、前記下方上枠部の前記浴室側に位置する部分を覆うように下方に向けて延在した見付けカバー部を有したものであり、前記固定面材の上縁部が前記見付けカバー部の下端部に支持されており、前記方立枠は、前記脱衣室に臨む面にアタッチメントカバーが着脱可能に取り付けられるものであり、前記アタッチメントカバーを取り外した状態で、前記上枠及び前記下枠から立設した取付ブラケットに対して前記脱衣室から取付ネジを螺合することによって前記上枠及び前記下枠に取り付けられていることを特徴とする。
【0018】
この発明によれば、上枠及び下枠の見込み方向に沿った寸法の範囲で方立枠を上枠及び下枠に取り付けることが可能となり、方立枠の見込み方向に沿った寸法を小さく設定することが可能となる。
【0020】
この発明によれば、浴室からの水の浸入を防止することができ、かつ取付ネジが外部に露出しないため、外観品質を損なうおそれがない。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、第1の開口においては固定面材によって上枠の通気通路が塞がれた状態となり、別途部品を要しないため、部品点数を増やすことなく脱衣室への水の浸入をより確実に防止することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付図面を参照しながら本発明に係る浴室用建具の好適な実施の形態について詳細に説明する。
【0024】
(実施の形態1)
図1〜
図3は、本発明の実施の形態1である浴室用建具を示したものである。ここで例示する浴室用建具は、ホテルや介護施設等、水密性能に対する要求レベルが比較的低い建物の浴室と脱衣室との間の開口を設置対象とする片引き戸である。図からも明らかなように、この浴室建具は、枠体10を有している。枠体10は、上枠11、下枠12及び左右の縦枠13,14を四周枠組みすることによって構成した矩形状の主枠部10Aと、上枠11及び下枠12の間に上下方向に沿って配設した方立枠15とを備えたものである。本実施の形態1では、上枠11及び下枠12の長手をほぼ二等分する位置に方立枠15を配置し、主枠部10Aによって囲まれる開口を二分している。
【0025】
二分した主枠部10Aの開口のうち、脱衣室から見て左側に配置される左開口(第2の開口)10ALは、可動面材である障子20によって開閉され、脱衣室から浴室への出入口となる部分である。脱衣室から見て右側に配置される右開口(第1の開口)10ARは、透明樹脂パネルやガラスパネル等の透光性を有した固定面材30によって閉塞される部分である。主枠部10Aの右開口10ARにおいて固定面材30よりも脱衣室側となる部分には、左開口10ALを開いた場合に障子20を収納するための戸袋が構成される。障子20は、透明樹脂やガラス等の透光性を有した矩形状を成すパネル21と、パネル21の四周に装着した上框22、下框23及び左右の縦框24,25とを備えて構成したものである。この障子20は、脱衣室から見て右側に配置される縦框25を方立枠15に対して見込み方向に並設した場合に左開口10ALを閉じることのできる大きさに構成してある。
【0026】
上枠11、下枠12、左右の縦枠13,14及び方立枠15は、樹脂もしくはアルミニウム合金等の金属によって成形した押し出し形材であり、それぞれが長手方向の全長にわたってほぼ一様な断面形状を有するように構成してある。このうち主枠部10Aを構成する主枠部構成要素、つまり上枠11、下枠12及び左右の縦枠13,14は、互いに見込み方向に沿った寸法が同一である。これに対して方立枠15は、主枠部構成要素11,12,13,14よりも見込み方向に沿った寸法が短く構成してあり、浴室に臨む見付け面が主枠部10Aの浴室に臨む見付け面に合致した状態で上枠11及び下枠12に取り付けてある。本実施の形態1では、見込み方向に沿った寸法が主枠部構成要素11,12,13,14に対してほぼ1/3となる方立枠15を適用している。
【0027】
以下、枠体10の詳細構成について詳述し、併せて本発明の特徴部分について詳述する。なお、本明細書で用いる用語「見込み方向」は、図中の矢印Aで示すように、浴室用建具の奥行きに沿った方向である。見込み方向に沿った平面については、「見込み面」と称する場合がある。また、用語「見付け方向」は、上枠11及び下枠12あるいは上框22や下框23等の水平方向に沿って延在するものの場合、見込み方向に直交した上下に沿う方向であり、縦枠13,14や縦框24,25等の上下方向に沿って延在するものの場合、見込み方向に直交した水平に沿う方向である。枠や框の長手方向とは、それぞれを押し出し成形する場合の押し出し方向に一致する。
【0028】
上枠11は、
図3に示すように、互いに独立した上方上枠部111と下方上枠部112とを備え、これら上方上枠部111と下方上枠部112との間に通気通路Xを確保した状態で左右の縦枠13,14の上端部間に取り付けられたものである。上方上枠部111は、上方枠基部111A及び見付けカバー部111Bを有して構成してある。
【0029】
上方枠基部111Aは、見込み方向に沿ってほぼ水平に延在し、かつ浴室側となる縁部が下方に向けて湾曲したものである。上方枠基部111Aの下面には、見込み方向のほぼ中間となる位置にポケット111A1が設けてある。ポケット111A1は、上方枠基部111Aの長手に沿って形成したもので、その内部に換気制御弁40の基端支持部40aを回転可能に収容している。
【0030】
見付けカバー部111Bは、上下方向に沿って延在したもので、下半部の下方中空部111Baと、下方中空部111Baの浴室に臨む前壁111Ba1から連続して上方に延在する上方壁部111Bbとを有している。下方中空部111Baにおいて脱衣室に臨む後壁111Ba2の上端部には、上方枠基部111Aの湾曲した下端部が連結している。下方中空部111Baの下面には、上縁収容溝111Cが設けてある。上縁収容溝111Cは、固定面材30の上縁部を収容するためのもので、浴室側に偏った位置において下方に開口している。本実施の形態1では、下方中空部111Baの前壁111Ba1と後壁111Ba2との間に上下方向に延在する溝縦壁111Ba3を設けるとともに、溝縦壁111Ba3の上端から前壁111Ba1に溝上壁111Ba4を延在することにより、溝縦壁111Ba3と前壁111Ba1との間に上縁収容溝111Cを構成するようにしている。つまり、本実施の形態1では、上縁収容溝111Cと浴室との間に下方中空部111Baの前壁111Ba1のみが介在する構成である。上方壁部111Bbは、平板状を成し、上方枠基部111Aを超える位置まで上方に延在している。
【0031】
下方上枠部112は、下方枠基部112A、上トラック部112B及び弁座部112Cを有して構成してある。下方枠基部112Aは、上面壁112A1、下面壁112A2、浴室面壁112A3及び脱衣室面壁112A4によって囲まれた略角筒状を成すものである。図からも明らかなように、上面壁112A1において浴室側となる部分は、漸次下方となるようにわずかに傾斜している。この下方枠基部112Aは、上面壁112A1と上方上枠部111の上方枠基部111Aとの間及び浴室面壁112A3と下方中空部111Baの後壁111Ba2との間にそれぞれ隙間を確保した状態で左右の縦枠13,14の間に取り付けてある。下方枠基部112Aの脱衣室面壁112A4は、上方枠基部111Aの脱衣室側縁部よりも浴室側に位置し、かつ下方枠基部112Aの下面壁112A2は、下方中空部111Baの下面よりも上方に位置している。
【0032】
上トラック部112Bは、上述した障子20の上框22を上枠11の長手方向に沿って案内するためのものである。本実施の形態1では、下方枠基部112Aの下面壁112A2から鉛直方向に沿って延在した板状を成す上トラック部112Bが、下方上枠部112の長手に沿った全長に設けてある。この上トラック部112Bは、下端の位置が下方中空部111Baの下端位置とほぼ同じとなるように設けてある。
【0033】
弁座部112Cは、下方枠基部112Aの脱衣室面壁112A4から上方に突出した後に浴室側に向けて屈曲した部分であり、下方上枠部112の長手に沿った全長に設けてある。この弁座部112Cは、
図2中の二点鎖線で示すように、上方上枠部111のポケット111A1から換気制御弁40が自重によって垂下した場合に換気制御弁40の先端部が浴室側から当接可能となる位置に設けてある。
【0034】
上記の構成を有する上枠11においては、上方上枠部111の下方中空部111Baと下方上枠部112の上トラック部112Bとの間から上方上枠部111の上方枠基部111Aと下方上枠部112の上面壁112A1との間にわたって一連の通気通路Xが構成される。すなわち、本実施の形態1では、浴室側において上下方向に沿い、かつ下端が開口した通路部分と、この通路部分の上端から見付け方向に沿って脱衣室に開口する通路部分とを有した通気通路Xが上枠11に構成されることになる。但し、上述した換気制御弁40の先端が下方上枠部112の弁座部113Cに当接した場合、上記通気通路Xは、浴室と脱衣室との間がほぼ遮断された状態となる。
【0035】
下枠12は、見込み方向に沿ってほぼ水平に延在する下枠基部12aの上面に下トラック部12bを有している。下トラック部12bは、上述した障子20の下框23を下枠12の長手方向に沿って案内するためのものである。本実施の形態1では、上枠11に設けた上トラック部112Bに対応する部位から上方に突出した板状を成す下トラック部12bが、下枠12の長手に沿った全長に設けてある。下枠基部12aには、脱衣室側の縁部に台部12cが設けてある一方、浴室側の縁部に傾斜部12d及び凹座部12eが設けてある。台部12cは、下枠基部12aから上方に突出した後、脱衣室側に向けてほぼ水平に延在した部分である。傾斜部12dは、下枠基部12aから漸次可能に傾斜した部分である。凹座部12eは、上枠11の下方中空部111Baに対向して設けた水平に延在する部分である。この凹座部12eは、傾斜部12dの端縁よりも低い位置に段状となるように設けたもので、その上面に係合溝12fを有している。係合溝12fは、開口幅よりも内部の幅が広いT溝であり、開口が凹座部12eのほぼ中央に位置する状態で下枠12の長手に沿った全長に設けてある。
【0036】
左右の縦枠13,14は、
図1に示すように、それぞれ見込み方向に沿ってほぼ鉛直に延在する平板状の縦枠基部13a,14aと、縦枠基部13a,14aの浴室側縁部から主枠部10Aの外周方向に向けてほぼ直角に屈曲した縦枠見付け壁部13b,14bとを基本構成とするものである。
【0037】
脱衣室から見て左側の縦枠(以下、左縦枠13という)には、縦枠基部13aの内周側に位置する見込み面に一対のカバーヒレ部13c,13dが設けてある。これらのカバーヒレ部13c,13dは、縦枠基部13aの見込み面に対してほぼ直交する方向に突出した板状部分であり、それぞれがほぼ鉛直に沿う状態で左縦枠13の長手に沿った全長に設けてある。浴室側のカバーヒレ部13cには、突出した縁部において脱衣室に臨む部位にシール材13eが装着してある。これらのカバーヒレ部13c,13dは、左開口10ALを障子20によって閉じた場合に、脱衣室から見て左側に配置される縦框(以下、戸先框24という)の一部を互いの間に収容し、かつシール材13eを戸先框24の浴室に臨む見付け面に当接させることのできる位置に設けてある。
【0038】
脱衣室から見て右側の縦枠(以下、右縦枠14という)には、
図3に示すように、上枠11に設けた下方中空部111Baの前壁111Ba1に対応する部位に縦枠側支持ヒレ部14cが設けてある。縦枠側支持ヒレ部14cは、縦枠基部14aの見込み面に対してほぼ直交する方向に突出した板状部分であり、鉛直に沿う状態で右縦枠14の長手に沿って設けてある。縦枠側支持ヒレ部14cにおいて脱衣室に臨む見付け面には、脱衣室側に向けて突出した押縁係合ヒレ部14dが設けてある。押縁係合ヒレ部14dは、縦枠基部14aとの間に押縁50を装着するためのものである。押縁50は、平板状を成す押縁基部50aと、押縁基部50aから突出した一対の挿入ヒレ部50b,50cとを有したものである。押縁基部50aは、右縦枠14に設けた押縁係合ヒレ部14dとほぼ同じ幅を有したものである。挿入ヒレ部50b,50cは、押縁基部50aの一方の表面から互いに同一方向に向けてほぼ直角に突出したもので、互いに内方に撓めた場合に縦枠基部14aの見込み面と押縁係合ヒレ部14dとの間に挿入することのできる幅を有している。一方の挿入ヒレ部50bは、押縁基部50aの一方の縁部に設けてある。もう一方の挿入ヒレ部50cは、押縁基部50aの中間部に設けてある。押縁基部50aの他方の縁部は、挿入ヒレ部50b,50cと同じ方向に屈曲しており、押縁50を押縁係合ヒレ部14dに装着した場合に押縁係合ヒレ部14dとの間に固定面材30の側縁部を挟持することが可能である。
【0039】
方立枠15は、
図1及び
図2に示すように、見込み方向に沿った寸法が下枠基部12aの浴室側縁部から傾斜部12dまでの距離にほぼ等しくなるように構成したものである。本実施の形態1では、方立基部15A及び方立側支持ヒレ部15Bを有して方立枠15が構成してある。方立基部15Aは、
図1及び
図2に示すように、中空の柱状を成すもので、浴室面壁部15A1、左枠対向壁部15A2、右枠対向壁部15A3及び螺合支持壁部15A4を有している。浴室面壁部15A1は、見付け方向に沿ってほぼ鉛直に延在する平板状部分である。左枠対向壁部15A2及び右枠対向壁部15A3は、浴室面壁部15A1の両側縁部からそれぞれ脱衣室側に屈曲して延在する板状部分である。螺合支持壁部15A4は、左枠対向壁部15A2の中間部において右枠対向壁部15A3に対向する見込み面から右枠対向壁部15A3に向けて突出した平板状部分であり、浴室面壁部15A1と平行となるように設けてある。螺合支持壁部15A4の端縁は、脱衣室に向けて右枠対向壁部15A3と平行に延在する連結壁部15A5及び連結壁部15A5から右枠対向壁部15A3に向けて延在する脱衣室面壁部15A6を介して右枠対向壁部15A3に連結している。
【0040】
方立側支持ヒレ部15Bは、右開口10ARに臨む右枠対向壁部15A3から右枠対向壁部15A3に対してほぼ直交する方向に突出した板状部分であり、鉛直に沿う状態で方立枠15の長手に沿って形成してある。この方立側支持ヒレ部15Bは、右縦枠14に設けた縦枠側支持ヒレ部14cとの間に固定面材30を支持するためのもので、縦枠側支持ヒレ部14cに対向する位置に部位に設けてある。方立側支持ヒレ部15Bにおいて脱衣室に臨む見付け面には、脱衣室側に向けて突出した押縁係合ヒレ部15B1が設けてある。押縁係合ヒレ部15B1は、右枠対向壁部15A3との間に押縁50を装着するためのものである。押縁50は、縦枠側支持ヒレ部14cに適用するものと同様の構成を有したものであり、同一の符号を付して詳細説明を省略する。
【0041】
この方立枠15は、
図2に示すように、浴室面壁部15A1の外表面を、縦枠見付け壁部13b,14bの見付け面に合致させた状態で上方上枠部111の見付けカバー部111Bと下枠12との間に配置し、上端部を下方中空部111Baに螺合する一方、下端部を下枠12の取付ブラケット60に螺合することによって主枠部10Aに取り付けてある。より詳細に説明すると、方立枠15の上端部においては、螺合支持壁部15A4よりも浴室側に位置する部分を切除し、螺合支持壁部15A4を下方中空部111Baの後壁111Ba2に当接させた状態で脱衣室側から取付ネジSを螺合するようにしている。方立枠15の下端部においては、下枠12の上面から突出する取付ブラケット60の方立連結片60aを螺合支持壁部15A4に当接させた状態で脱衣室側から取付ネジSを螺合するようにしている。本実施の形態1で適用する取付ブラケット60は、方立連結片60aと下枠連結片60bとを有した略L字状を成すもので、方立連結片60aが鉛直方向に沿う状態で下枠連結片60bを介して下枠基部12aの水平に延在する部分に取り付けてある。
【0042】
取付ネジSを螺合した後においては、螺合支持壁部15A4を覆うように方立枠15にアタッチメントカバー16を装着し、取付ネジSや取付ブラケット60が外部に露出しないようにしている。アタッチメントカバー16は、樹脂もしくはアルミニウム合金等の金属によって成形した押し出し形材である。このアタッチメントカバー16は、左枠対向壁部15A2及び連結壁部15A5に設けた係合爪部15A7を介して方立枠15に着脱可能に装着してある。
【0043】
上枠11、右縦枠14、方立枠15及び下枠12によって囲まれた右開口10ARには、
図1及び
図3に示すように、下枠12との間に面材保持部材70を介在させて固定面材30を配設するようにしている。面材保持部材70は、見込み方向に沿った寸法が上枠11の見付けカバー部111Bとほぼ同じに構成した角筒状部材であり、右縦枠14から方立枠15までの間の全長に配置することのできる長さを有している。この面材保持部材70には、上面に下縁収容溝70aが設けてあるとともに、下面に係合突起70bが設けてある。下縁収容溝70aは、固定面材30の下縁部を収容するためのもので、浴室側に偏った位置において上方に開口している。本実施の形態1では、面材保持部材70の前壁70a1と後壁70a2との間に上下方向に延在する溝縦壁70a3を設けるとともに、溝縦壁70a3の下端から前壁70a1に溝下壁70a4を延在することにより、溝縦壁70a3と前壁70a1との間に下縁収容溝70aを構成するようにしている。つまり、本実施の形態1では、下縁収容溝70aと浴室との間に面材保持部材70の前壁70a1のみが介在する構成である。係合突起70bは、下枠12の係合溝12fに嵌合する断面を有したT字状を成すものである。この面材保持部材70は、下枠12の端面から係合溝12fに係合突起70bを挿入することによって下枠12に保持されることになる。
【0044】
固定面材30は、上縁部を上枠11の上縁収容溝111Cに収容させ、下縁部を面材保持部材70の下縁収容溝70aに収容させることによって右開口10ARに配設される。この状態においては、固定面材30の両側縁部がそれぞれ縦枠13,14の縦枠側支持ヒレ部14c及び方立枠15の方立側支持ヒレ部15Bに当接された状態となり、縦枠側支持ヒレ部14c及び方立側支持ヒレ部15Bにそれぞれ押縁50を装着することで固定面材30の両側縁部が縦枠13,14及び方立枠15に挟持された状態となる。固定面材30として樹脂パネルのように弾性変形が可能なものを適用する場合には、予め下枠12に面材保持部材70を取り付けておいても良いが、固定面材30とともに面材保持部材70を下枠12に保持させることが好ましい。すなわち、固定面材30の下縁部を予め下縁収容溝70aに収容させ、この状態から固定面材30の上面部を上縁収容溝111Cに収容させながら下枠12に面材保持部材70を取り付ければ良い。
【0045】
図1及び
図2からも明らかなように、左開口10ALに対しては、下枠12の係合溝12fが外部に露出しないように、凹座部12eにカバー部材80を配設するようにしている。カバー部材80は、弾性を有した樹脂によって成形したもので、カバー本体80aと係合突部80bとを有している。カバー本体80aは、凹座部12eに対応する幅を有し、上面(カバー上面)80a1が一方の縁部から他方の縁部に向けて傾斜したもので、左縦枠13から方立枠15までの間の全長に配置することのできる長さを有している。係合突部80bは、面材保持部材70の係合突起70bと同様、T字状を成すものである。このカバー本体80aは、下枠12の端面から係合溝12fに係合突部80bを挿入することによって下枠12に保持される。図からも明らかなように、下枠12に保持されたカバー部材80は、傾斜する上面81aが下枠12の傾斜部12dに沿って延在しており、傾斜部12dとの間を凹凸することなく連続している。このカバー部材80は、係合溝12fを覆い隠すのみならず、滑り止めの作用も奏する。
【0046】
上記のように構成した浴室用建具によれば、左開口10ALの上部に構成される上枠11の通気通路Xが浴室及び脱衣室にそれぞれ開口された状態となる。一方、右開口10ARの上部に構成される上枠11の通気通路Xは、浴室側の開口が固定面材30によって閉塞された状態となるため、別途部品によって右開口10ARの通気通路Xを塞ぐ必要がない。従って、部品点数を増やすことなく脱衣室への水の浸入を防止した上で浴室と脱衣室との間で換気を行うことが可能となる。
【0047】
しかも、浴室側においては、固定面材30と上枠11、右縦枠14、方立枠15及び面材保持部材70との間に大きな段差が生じない。つまり、上枠11においては、固定面材30と浴室との間に下方中空部111Baの前壁111Ba1のみが介在し、面材保持部材70においては、固定面材30と浴室との間に面材保持部材70の前壁70a1のみが介在する構成である。右縦枠14及び方立枠15においては、固定面材30と浴室との間にそれぞれの支持ヒレ部14c,15Bのみが介在する構成である。従って、意匠性の点で有利となるばかりでなく、汚れが付着する部分も小さくなるため、掃除が容易となる利点もある。
【0048】
また、固定面材30の上縁部を直接上枠11の上縁収容溝111Cに収容させるようにしているため、固定面材30を保持するための部品によって採光が遮られることがなく、浴室内外の採光面積を広く確保することができるようになる。
【0049】
さらに、下枠12と固定面材30との間に面材保持部材70を介在させるようにしているため、下枠12の上面を超えて浴室の防水パン(図示せず)に水が貯留された場合にも、面材保持部材70の高さ分だけ脱衣室側へ水の浸入を防止することができるようになる。しかも、左開口10ALにおいては、凹座部12eにカバー部材80を配設しているため、段差がなくなるばかりでなく、滑り止めとしても機能するため、浴室と脱衣室との間の人の出入りの際に躓いたり滑ったりするおそれがなくなる。
【0050】
またさらに、方立枠15は、上枠11から下方に突出した下方中空部111Baに取付ネジSを螺合することにより上端部を連結し、かつ下枠12から上方に突出した取付ブラケット60の方立連結片60aに取付ネジSを螺合することにより下端部を連結するようにしている。従って、主枠部10Aの外部に別途アングル材を配設して方立枠15を上枠11や下枠12に取り付ける必要がない。加えて、主枠部10Aにおいて固定面材30をもっとも浴室に近接した位置に配置するようにしている。これらの結果、この浴室建具によれば、見込み方向に沿った寸法を小さくすることができ、脱衣室を広く使うことができるようになる。
【0051】
(実施の形態2)
図4〜
図7は、本発明の実施の形態2である浴室用建具を示したものである。ここで例示する浴室用建具は、実施の形態1と同様、ホテルや介護施設等、水密性能に対する要求レベルが比較的低い建物の浴室と脱衣室との間の開口を設置対象とする折れ戸であり、実施の形態1とは障子、上枠の下方上枠部、脱衣室から見て左側に配置される左縦枠及び方立枠の構成が異なっている。以下、実施の形態1と異なる部分を中心に説明し、実施の形態1と同様の構成については同一の符号を付してそれぞれの詳細説明を省略する。
【0052】
実施の形態2の可動面材である障子120は、
図4及び
図5に示すように、上下方向に沿った軸芯を中心として互いに折り曲げ可能に連結した2枚の扉120A,120Bを備えて構成したものである。それぞれの扉120A,120Bは、透明樹脂やガラス等の透光性を有した矩形状を成すパネル121と、パネル121の四周に装着した上框122、下框123及び左右の縦框124,125とを備えて構成したものである。この障子120は、脱衣室側から見た場合に左側に配置される左扉120Aにおいて左側の縦框124を上下方向に貫通するように回転軸芯が設定してあり、この回転軸芯が回転中心となるように主枠部10Aの左開口(第2の開口)10ALに回転可能に配設してある。また脱衣室側から見た場合に右側に配置される右扉120Bには、右側の縦框125を上下方向に貫通するようにスライド軸芯が設定してあり、このスライド軸芯が回転中心、かつ上枠11及び下枠12の長手方向に沿ってスライド可能となるように支持してある。すなわち、この障子120では、2枚の扉120A,120Bが互いに180°開いた状態となった場合には、左開口10ALが閉じた状態となる。この状態から左扉120Aが回転軸芯を中心として浴室側に回転し、右側の縦框125が浴室側に突出すると、右扉120Bがスライド軸芯を中心として回転し、左側の縦框124が浴室側に突出するとともに、スライド軸芯が左縦枠13′に向けて漸次近接するように適宜スライドすることにより、2つの扉120A,120Bが浴室側に向けて凸となるように互いに折り畳まれた状態となる。これにより、主枠部10Aの左開口10ALを開放することが可能となる。
【0053】
上枠11は、
図5に示すように、互いに独立した上方上枠部111と下方上枠部113とを備え、これら上方上枠部111と下方上枠部113との間に通気通路Xを確保した状態で左右の縦枠13′,14の上端部間に取り付けられたものである。上方上枠部111は、実施の形態1の上方上枠部111と同様の構成を有したものである。
【0054】
下方上枠部113は、下方枠基部113A、上方当接ヒレ部113B及び弁座部113Cを有して構成してある。下方枠基部113Aは、上面壁113A1、下面壁113A2、浴室面壁113A3及び脱衣室面壁113A4によって囲まれた略角筒状を成すものである。上面壁113A1は、浴室側に向けて漸次下方となるようにわずかに傾斜している。浴室面壁113A3は、上面壁113A1から下方に延在した後、下半部が漸次浴室側に突出するようにわずかに傾斜している。浴室面壁113A3と下面壁113A2とによって構成される角部分には、支持溝113A5が設けてある。支持溝113A5は、開口幅よりも内部の幅が広いT溝であり、下方上枠部113の長手に沿った全長に設けてある。左開口10ALにおいて左縦枠13′に近接する部分には、支持溝113A5を介して下方上枠部113に軸支持ブラケット150が取り付けてある。軸支持ブラケット150は、左扉120Aの上框122から突出する上方軸部材122aを回転可能に支持するものである。なお、左扉120Aの下框123には、軸支持ブラケット123aが装着してある。この軸支持ブラケット123aには、下枠12の上面において上方軸部材122aと同一軸芯上となる部位から突出する下方軸部材151が回転可能に挿通している。従って、障子120の左扉120Aは、上方軸部材122a及び下方軸部材151の軸芯を中心として主枠部10Aに対して回転することになる。この下方枠基部113Aは、上面壁113A1と上方上枠部111の上方枠基部111Aとの間及び浴室面壁113A3と下方中空部111Baの後壁111Ba2との間にそれぞれ隙間を確保した状態で左右の縦枠13′,14の間に取り付けてある。下方枠基部113Aの脱衣室面壁113A4は、上方枠基部111Aの脱衣室側縁部よりも浴室側に位置し、かつ下方枠基部113Aの下面壁113A2は、下方中空部111Baの下面とほぼ同じ高さに位置している。
【0055】
上方当接ヒレ部113Bは、下方枠基部113Aの脱衣室面壁113A4から鉛直方向に沿って下方に延在した板状部分であり、下方上枠部113の長手に沿った全長に設けてある。この上方当接ヒレ部113Bには、下端部において浴室に臨む部分に上方タイト材113Baが設けてある。上方タイト材113Baは、障子120が閉じられた場合に2つの扉120A,120Bの上框122において脱衣室に臨む見付け面にそれぞれ当接し、上方当接ヒレ部113Bと障子120との間の気密を確保するものである。
【0056】
弁座部113Cは、下方枠基部113Aの脱衣室面壁113A4から上方に突出した後に浴室側に向けて屈曲した部分であり、下方上枠部113の長手に沿った全長に設けてある。この弁座部113Cは、
図5中の二点鎖線で示すように、上方上枠部111のポケット111A1から換気制御弁40が自重によって垂下した場合に換気制御弁40の先端部が浴室側から当接可能となる位置に設けてある。
【0057】
上記の構成を有する上枠11においては、上方上枠部111の下方中空部111Baと下方上枠部113の浴室面壁113A3との間から上方上枠部111の上方枠基部111Aと下方上枠部113の上面壁113A1との間にわたって一連の通気通路Xが構成される。すなわち、本実施の形態2では、浴室側において上下方向に沿い、かつ下端が開口した通路部分と、この通路部分の上端から見付け方向に沿って脱衣室に開口する通路部分とを有した通気通路Xが上枠11に構成されることになる。但し、上述した換気制御弁40の先端が下方上枠部113の弁座部113Cに当接した場合、上記通気通路Xは、浴室と脱衣室との間がほぼ遮断された状態となる。
【0058】
左右の縦枠13′,14は、
図4に示すように、それぞれ見込み方向に沿ってほぼ鉛直に延在する平板状の縦枠基部13a,14aと、縦枠基部13a,14aの浴室側縁部から主枠部10Aの外周方向に向けてほぼ直角に屈曲した縦枠見付け壁部13b,14bとを基本構成とするものである。
【0059】
左縦枠13′には、縦枠基部13aの内周側に位置する見込み面に左方当接ヒレ部13fが設けてある。左方当接ヒレ部13fは、縦枠基部13aにおいて上方当接ヒレ部113Bに対応する部位から方立枠15′に向けてほぼ鉛直方向に沿って延在した板状部分である。この左方当接ヒレ部13fには、突出端部において浴室に臨む部分に左方タイト材13gが設けてある。左方タイト材13gは、障子120が閉じられた場合に左扉120Aにおいて左側に配置される縦框124の脱衣室に臨む見付け面に当接し、左方当接ヒレ部13fと障子120との間の気密を確保するものである。なお、脱衣室から見て右側の縦枠(以下、右縦枠14という)は、実施の形態1と同様の構成を有したものである。
【0060】
方立枠15′は、
図6に示すように、見込み方向に沿った寸法が、上枠11に設けた下方中空部111Baの前壁111Ba1から下方枠基部113Aの脱衣室面壁113A4までの距離にほぼ等しくなるように構成したもので、
図4に示すように、方立基部15A、右方当接ヒレ部15C及び方立側支持ヒレ部15Bを有して構成してある。方立基部15Aは、角筒状を成すもので、浴室面壁部15A1、左枠対向壁部15A2、右枠対向壁部15A3及び螺合支持壁部15A4を有している。浴室面壁部15A1は、見付け方向に沿ってほぼ鉛直に延在する平板状部分である。左枠対向壁部15A2及び右枠対向壁部15A3は、浴室面壁部15A1の両側縁部からそれぞれ脱衣室側に屈曲して延在する板状部分である。螺合支持壁部15A4は、浴室面壁部15A1とほぼ平行となるように左枠対向壁部15A2及び右枠対向壁部15A3の間を連結するように設けた平板状部分である。図からも明らかなように、左枠対向壁部15A2及び右枠対向壁部15A3において螺合支持壁部15A4よりも突出する部分には、それぞれ係合爪部15A7が設けてある。
【0061】
右方当接ヒレ部15Cは、左枠対向壁部15A2において左方当接ヒレ部13fに対応する部位から左縦枠13′に向けてほぼ鉛直方向に沿って延在した板状部分である。この右方当接ヒレ部15Cには、突出端部において浴室に臨む部分に右方タイト材15Caが設けてある。右方タイト材15Caは、障子120が閉じられた場合に右扉120Bにおいて右側に配置される縦框125の脱衣室に臨む見付け面に当接し、右方当接ヒレ部15Cと障子120との間の気密を確保するものである。なお、方立側支持ヒレ部15Bは、実施の形態1と同様の構成を有したものである。
【0062】
この方立枠15′は、浴室面壁部15A1の外表面を、縦枠見付け壁部13b,14bの見付け面に合致させた状態で上方上枠部111及び下方上枠部113と下枠12との間に配置し、上端部を下方上枠部113の上方取付ブラケット160に螺合する一方、下端部を下枠12の下方取付ブラケット161に螺合することによって主枠部10Aに取り付けてある。
【0063】
より詳細に説明すると、方立枠15′の上端部においては、下方上枠部113の下面壁113A2から下方に突出する上方取付ブラケット160の上部方立連結片160aを方立基部15Aの内部から螺合支持壁部15A4に当接させ、この状態で脱衣室側から取付ネジSを螺合するようにしている。本実施の形態2で適用する上方取付ブラケット160は、上部方立連結片160aと上枠連結片160bとを有した略L字状を成すもので、上部方立連結片160aが鉛直方向に沿う状態で上枠連結片160bを介して下方上枠部113の支持溝113A5に取り付けてある。なお、下方上枠部113において方立枠15′を取り付ける部分については、上方当接ヒレ部113Bが切除してある。
【0064】
方立枠15′の下端部においては、下枠基部12aの上面から上方に突出する下方取付ブラケット161の下部方立連結片161aを方立基部15Aの内部から螺合支持壁部15A4に当接させ、この状態で脱衣室側から取付ネジSを螺合するようにしている。本実施の形態2で適用する下方取付ブラケット161は、下部方立連結片161aと下枠連結片161bとを有した略L字状を成すもので、下部方立連結片161aが鉛直方向に沿う状態で下枠連結片161bを介して下枠基部12aの水平に延在する部分に取り付けてある。
【0065】
取付ネジSを螺合した後においては、螺合支持壁部15A4を覆うように方立枠15′にアタッチメントカバー116を装着し、取付ネジSが外部に露出しないようにしている。アタッチメントカバー116は、樹脂もしくはアルミニウム合金等の金属によって成形した押し出し形材である。このアタッチメントカバー116は、左枠対向壁部15A2及び右枠対向壁部15A3に設けた係合爪部15A7を介して方立枠15′に着脱可能に装着してある。
【0066】
上枠11、右縦枠14、方立枠15′及び下枠12によって囲まれた右開口(第1の開口)10ARには、
図4及び
図7に示すように、下枠12との間に面材保持部材70を介在させて固定面材30を配設するようにしている。面材保持部材70及び固定面材30は、実施の形態1と同様の構成を有したものである。固定面材30は、上縁部を上枠11の上縁収容溝111Cに収容させ、下縁部を面材保持部材70の下縁収容溝70aに収容させることによって右開口10ARに配設される。この状態においては、固定面材30の両側縁部がそれぞれ縦枠13′,14の縦枠側支持ヒレ部14c及び方立枠15′の方立側支持ヒレ部15Bに当接された状態となり、縦枠側支持ヒレ部14c及び方立側支持ヒレ部15Bにそれぞれ押縁50を装着することで固定面材30の両側縁部が縦枠13′,14及び方立枠15′に挟持された状態となる。固定面材30として樹脂パネルのように弾性変形が可能なものを適用する場合には、予め下枠12に面材保持部材70を取り付けておいても良いが、固定面材30とともに面材保持部材70を下枠12に保持させることが好ましい。すなわち、固定面材30の下縁部を予め下縁収容溝70aに収容させ、この状態から固定面材30の上面部を上縁収容溝111Cに収容させながら下枠12に面材保持部材70を取り付ければ良い。
図4及び
図5からも明らかなように、左開口10ALの凹座部12eにカバー部材80を配設するのは、実施の形態1と同様である。
【0067】
上記のように構成した浴室用建具によれば、左開口10ALの上部に構成される上枠11の通気通路Xが浴室及び脱衣室にそれぞれ開口された状態となる。一方、右開口10ARの上部に構成される上枠11の通気通路Xは、浴室側の開口が固定面材30によって閉塞された状態となるため、別途部品によって右開口10ARの通気通路Xを塞ぐ必要がない。従って、部品点数を増やすことなく脱衣室への水の浸入を防止した上で浴室と脱衣室との間で換気を行うことが可能となる。
【0068】
しかも、浴室側においては、固定面材30と上枠11、右縦枠14、方立枠15′及び面材保持部材70との間に大きな段差が生じない。つまり、上枠11においては、固定面材30と浴室との間に下方中空部111Baの前壁111Ba1のみが介在し、面材保持部材70においては、固定面材30と浴室との間に面材保持部材70の前壁111Ba1のみが介在する構成である。右縦枠14及び方立枠15′においては、固定面材30と浴室との間にそれぞれの支持ヒレ部のみが介在する構成である。従って、意匠性の点で有利となるばかりでなく、汚れが付着する部分も小さくなるため、掃除が容易となる利点もある。
【0069】
また、固定面材30の上縁部を直接上枠11の上縁収容溝111Cに収容させるようにしているため、固定面材30を保持するための部品によって採光が遮られることがなく、浴室内外の採光面積を広く確保することができるようになる。
【0070】
さらに、下枠12と固定面材30との間に面材保持部材70を介在させるようにしているため、下枠12の上面を超えて浴室の防水パンに水が貯留された場合にも、面材保持部材70の高さ分だけ脱衣室側へ水の浸入を防止することができるようになる。しかも、左開口10ALにおいては、凹座部12eにカバー部材80を配設しているため、段差がなくなるばかりでなく、滑り止めとしても機能するため、浴室と脱衣室との間の人の出入りの際に躓いたり滑ったりするおそれがなくなる。
【0071】
またさらに、方立枠15′は、上枠11から下方に突出した上方取付ブラケット160の上部方立連結片160aに取付ネジSを螺合することにより上端部を連結し、かつ下枠12から上方に突出した下方取付ブラケット161の下部方立連結片161aに取付ネジSを螺合することにより下端部を連結するようにしている。従って、主枠部10Aの外部に別途アングル材を配設して方立枠15′を上枠11や下枠12に取り付ける必要がない。加えて、主枠部10Aにおいて固定面材30をもっとも浴室に近接した位置に配置するようにしている。これらの結果、この浴室建具によれば、見込み方向に沿った寸法を小さくすることができ、脱衣室を広く使うことができるようになる。
【0072】
なお、実施の形態2の主枠部10Aには、
図8の変形例に示すように、唯一の扉220からなる障子を回転可能に配設すれば、開き戸として浴室用建具を構成することも可能である。なお、
図8に示す変形例において実施の形態2と同様の構成については同一の符号が付してある。