【文献】
J. Biol. Chem.,1996年,Vol. 271, No. 41,pp. 25167-25172
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
Saccharomyces cerevisiae、Schizosaccharomyces pombe、Yarrowia lipolytica、Candida glabrata、Ashbya gossypii、Cyberlindnera jadinii、Pichia pastoris、Kluyveromyces lactis、Hansenula polymorpha、Candida boidinii、Arxula adeninivorans、Xanthophyllomyces dendrorhousまたはCandida albicans種の酵母細胞である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の組み換え微生物。
レバウジオシドAが、ステビオールまたはステビオールグリコシドをそのC−13ヒドロキシル基でグリコシル化できるポリペプチド;ステビオールグリコシドの13−O−グルコース、19−O−グルコース、または、13−O−グルコースおよび19−O−グルコースの両方のC3’をベータ1,3グリコシル化できるポリペプチド;ステビオールまたはステビオールグリコシドをそのC−19カルボキシル基でグリコシル化できるポリペプチド;ならびに、ステビオールグリコシドの13−O−グルコース、19−O−グルコース、または、13−O−グルコースおよび19−O−グルコースの両方のC2’をベータ1,2グリコシル化できるポリペプチドを発現する微生物において合成される、請求項7に記載の方法。
レバウジオシドDが、ステビオールまたはステビオールグリコシドをそのC−13ヒドロキシル基でグリコシル化できるポリペプチド;ステビオールグリコシドの13−O−グルコース、19−O−グルコース、または、13−O−グルコースおよび19−O−グルコースの両方のC3’をベータ1,3グリコシル化できるポリペプチド;ステビオールまたはステビオールグリコシドをそのC−19カルボキシル基でグリコシル化できるポリペプチド;ならびに、ステビオールグリコシドの13−O−グルコース、19−O−グルコース、または、13−O−グルコースおよび19−O−グルコースの両方のC2’をベータ1,2グリコシル化できるポリペプチドを発現する微生物において合成される、請求項7に記載の方法。
レバウジオシドMが、ステビオールの13−OHをグリコシル化できるポリペプチド;ステビオールグリコシドの13−O−グルコース、19−O−グルコース、または、13−O−グルコースおよび19−O−グルコースの両方のC3’をベータ1,3グリコシル化できるポリペプチド;ステビオールまたはステビオールグリコシドをそのC−19カルボキシル基でグリコシル化できるポリペプチド;ならびに、ステビオールグリコシドの13−O−グルコース、19−O−グルコース、または、13−O−グルコースおよび19−O−グルコースの両方のC2’をベータ1,2グリコシル化できるポリペプチドを発現する微生物において合成される、請求項7に記載の方法。
微生物が、配列番号104、115、または122で示されるアミノ酸配列に少なくとも90%の配列同一性を有するポリペプチドをコードする遺伝子を過剰発現する、請求項7〜11のいずれか一項に記載の方法。
レバウジオシドMを単独でまたは少なくとも1つの他のステビオールグリコシドと一緒に含むステビオールグリコシド組成物を、細胞培養物から回収することをさらに含む、請求項7〜14のいずれか一項に記載の方法。
回収されたステビオールグリコシド組成物が、ステビア草のステビオールグリコシド組成物と比較してレバウジオシドMについて濃縮され、および、植物由来ステビア抽出物から得られたステビオールグリコシド組成物と比較して、ステビア草由来成分の減少したレベルを有する、請求項17に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0029】
詳細な説明
別段の定めがない限り、本明細書に用いられる全ての技術および科学用語は、本発明が属する技術分野における当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載のものと類似または同等の方法および材料は本発明を実施するために用いられ得るが、好適な方法および材料が以下に記載される。本明細書で挙げられる全ての刊行物、特許出願、特許および他の参考文献は、その全体が参照によって組み込まれる。矛盾がある場合には、本明細書が、定義も含めて優先される。さらに、材料、方法および例は例示的に過ぎず、限定することは意図されていない。本発明の他の特徴および利点は以下の詳細な説明から明らかとなる。出願人は、特許法の標準慣行に従って移行句「を含む」、「から本質的になる」、または「からなる」を用い、任意の開示される発明を択一的にクレームする権利を有する。
【0030】
当業者に周知の方法が、本発明の遺伝子発現構築物および組み換え細胞を構築するために用いられ得る。それらの方法は、インビトロ組み換えDNA技術、合成技術、インビボ組み換え技術およびポリメラーゼ連鎖反応(PCR)技術を含む。例えば、Maniatis et al, 1989, MOLECULAR CLONING: A LABORATORY MANUAL, Cold Spring Harbor Laboratory, New York;Ausubel et al, 1989, CURRENT PROTOCOLS IN MOLECULAR BIOLOGY, Greene Publishing Associates and Wiley Interscience, New York;およびPCR Protocols: A Guide to Methods and Applications (Innis et al, 1990, Academic Press, San Diego, CA)に記載の技術を参照。
【0031】
本発明を詳しく説明する前に、いくつかの用語が定義される。本明細書で用いられる場合、単数形の「a」、「an」および「the」は、文脈が明らかに別段に指示しない限り複数の指示物も包含する。例えば、「核酸」と言うことは1つまたは2つ以上の核酸を意味する。
【0032】
「好ましくは」、「一般に」、および「通常は」などの用語は、本明細書において、クレームされる発明の範囲を限定するためまたはクレームされる発明の構造もしくは機能にとって特定の特徴が決定的、必須、もしくは、さらに重要であるということを意味するためには用いられないことに留意する。むしろ、それらの用語は、本発明の特定の態様に用いられるかまたは用いられない択一的または付加的な特徴を強調することを意図されているに過ぎない。
【0033】
本発明を説明し定義するために、用語「実質的に」が、任意の量的な比較、数値、測定または他の表現に帰せられる内在的な不確実性の程度を表すために本明細書において用いられることに留意する。用語「実質的に」は、その対象の事物の基本的な働きの変化をもたらすことなく量的表現が記載の参照物から変動し得る程度を表すために本明細書において同じく用いられる。
【0034】
本明細書で用いられる場合、用語「ポリヌクレオチド」、「ヌクレオチド」、「オリゴヌクレオチド」および「核酸」は、交換可能に用いられてDNA、RNA、その誘導体またはそれらの組み合わせを含む核酸を指し得る。
【0035】
本明細書で用いられる場合、用語「および/または」は、複数の構成要素を組み合わせてまたは互いを含めないで表すために用いられる。例えば、「x、yおよび/またはz」は、「x」単独、「y」単独、「z」単独、「x、yおよびz」、「(xおよびy)またはz」、「xおよび(yまたはz)」または「xまたはyまたはz」を指し得る。いくつかの態様において、「および/または」は、組み換え細胞が含む外来性の核酸を示すために用いられ、組み換え細胞はある群から選択される1つまたは2つ以上の外来性の核酸を含む。いくつかの態様において、「および/または」は、ステビオールグリコシドの生産を示すために用いられ、ある群から選択される1つまたは2つ以上のステビオールグリコシドが生産される。いくつかの態様において、「および/または」はステビオールグリコシドの生産を指すために用いられ、1つまたは2つ以上のステビオールグリコシドが次のステップの1つまたは2つ以上によって生産される:組み換え微生物を培養すること、組み換え微生物によって1つまたは2つ以上のステビオールグリコシドを合成すること、および、1つまたは2つ以上のステビオールグリコシドを単離すること。
【0036】
本願は、ステビオールグリコシドの排出に関わる組み換え宿主の輸送系の改変によって、ステビオールグリコシド組成物を効率的に生産するために用いられ得る材料および方法を記載する。いくつかの態様において、本明細書に記載の組み換え宿主は少なくとも1つのステビオールグリコシドを生産でき、抗生物質を能動的に排出する輸送体などの異種輸送体を発現できる。いくつかの態様において、本明細書に記載の組み換え宿主は少なくとも1つのステビオールグリコシドを生産し、宿主の内在性の輸送体遺伝子の発現が改変および/または転写因子遺伝子の発現が改変され、転写因子は少なくとも1つの内在性の輸送体遺伝子の発現を制御する。抗生物質を能動的に分泌する内在性の輸送体の発現を改変することは特に有用である。いくつかの態様において、内在性の輸送体遺伝子、転写因子遺伝子または両方の複数の発現が改変される。かかる組み換え宿主は、その発現がステビオールグリコシド(例えば、レバウジオシドA、レバウジオシドB、レバウジオシドD、レバウジオシドEまたはレバウジオシドM)の生産をもたらす1つまたは2つ以上の生合成遺伝子を含み得る。かかる生合成遺伝子は13−モノグルコシドβ‐1,2グリコシルトランスフェラーゼおよび/または19−モノグルコシドβ‐1,2−グルコシルトランスフェラーゼ(例えばUGT91D2eおよびEUGT11)および他のUDPグリコシルトランスフェラーゼ(例えばUGT74G1、UGT76G1および/またはUGT85C2)を含み、組み換え宿主によるステビオールグリコシドの生産を可能にする。
【0037】
一側面において、本願は少なくとも1つのステビオールグリコシドを合成できる組み換え微生物に関し、これが輸送体遺伝子である少なくとも1つの遺伝子、少なくとも1つの輸送体遺伝子の発現を制御する転写因子遺伝子または両方の改変された発現を含む。一態様において、輸送体遺伝子は内在性の輸送体遺伝子または異種輸送体遺伝子であり得る。別の態様において、輸送体遺伝子はABC輸送体またはMFS輸送体をコードし、輸送体遺伝子、輸送体遺伝子または転写因子遺伝子は、PDR1、PDR3、PDR5、PDR8、PDR10、PDR11、PDR12、PDR15、PDR18、YORl、AUS1、SNQ2、PDR12、STE6、THI73、NFT1、ADP1、FLR1、QDR1、QDR2、QDR3、DTR1、TPO1、TPO2、TPO4、TPO3、AQR1、AZR1、ENB1、SGE1、YHK8、GEX2、HOL1、ATR1、HXT11、ENB1、ARN1、ARN2、SSU1、THI7、TPN1、SEO1、SIT1またはDTR1である。
【0038】
別の態様において、組み換え微生物の標的遺伝子の改変された発現は、輸送体遺伝子または転写因子遺伝子の過剰発現または減少した発現を含む。さらに別の態様において、組み換え微生物は、複数の内在性の輸送体遺伝子または転写因子遺伝子の過剰発現または減少した発現を含む。一態様において、組み換え微生物は、各遺伝子座を破壊することによって、PDR5、PDR10、PDR15、およびSNQ2遺伝子の減少した発現を含む。別の態様において、組み換え微生物は、各遺伝子座を破壊することによって、PDR1、PDR3、PDR5、PDR1O、PDR15、SNQ2およびTPO1遺伝子の減少した発現を含む。
【0039】
さらなる態様において、本出願の組み換え微生物は、次の外来性の核酸の1つまたは2つ以上を含む:スクロース輸送体およびスクロースシンターゼをコードする1つまたは2つ以上の組み換え遺伝子;GGPPSポリペプチドをコードする核酸;ent−コパリル二リン酸シンターゼポリペプチドをコードする核酸;カウレンシンターゼ(KS)ポリペプチドをコードする核酸;カウレンオキシダーゼ(KO)ポリペプチドをコードする核酸;ステビオールシンターゼ(KAH)ポリペプチドをコードする核酸;シトクロムP450レダクターゼ(CPR)ポリペプチドをコードする核酸;UGT85C2ポリペプチドをコードする核酸;UGT76Gポリペプチドをコードする核酸;UGT74G1ポリペプチドをコードする核酸;UGT91D2ポリペプチドをコードする核酸;またはEUGT11ポリペプチドをコードする核酸。一態様において、組み換え微生物は、UGT85C2、UGT76G1およびUGT91D2ポリペプチドをコードする外来性の核酸を含む。別の態様において、組み換え微生物は、UGT85C2、UGT76G1、UGT74G1およびUGT91D2ポリペプチドをコードする外来性の核酸を含む。さらに別の態様において、組み換え微生物は、UGT85C2、UGT76G1、UGT74G1およびEUGT11ポリペプチドをコードする外来性の核酸を含む。さらに別の態様において、組み換え微生物は、UGT85C2、UGT76G1、UGT74G1、UGT91D2(特に91D2e、91D2m、91D2e−bおよびそれらの機能的なホモログを含む)、および、EUGT11ポリペプチドをコードする外来性の核酸を含む。
【0040】
別の側面において、本出願はレバウジオシドを生産する方法に関し、これは本明細書に記載の組み換え微生物を、培養培地中で、GGPPS;ent−コパリル二リン酸シンターゼ(CDPS)ポリペプチド;カウレンオキシダーゼ(KO)ポリペプチド;カウレンシンターゼ(KS)ポリペプチド;ステビオールシンターゼ(KAH)ポリペプチド;シトクロムP450レダクターゼ(CPR)ポリペプチド;UGT85C2ポリペプチド;UGT74G1ポリペプチド;UGT76G1ポリペプチド;UGT91D2ポリペプチド;またはEUGT11ポリペプチドをコードする遺伝子が発現される条件下において培養することを含み、それらの遺伝子の発現を誘導またはそれらの遺伝子を構成的に発現すること;組み換え微生物によってレバウジオシドを含む化合物の1つまたは2つ以上を合成すること;および、レバウジオシドを含む化合物の1つまたは2つ以上を単離することを含む。一態様において、レバウジオシドは、レバウジオシドA、レバウジオシドB、レバウジオシドD、レバウジオシドEまたはレバウジオシドMである。別の態様において、組み換え微生物は、YOR1、SNQ2、PDR1またはFLR1を過剰発現する。
【0041】
一態様において、組み換え微生物は、これらに限定されないが、Agaricus、Aspergillus、Bacillus、Candida、Corynebacterium、Escherichia、Fusarium/Gibberella、Kluyveromyces、Laetiporus、Lentinus、Phaffia、Phanerochaete、Pichia、Physcomitrella、Rhodoturula、Saccharomyces、Schizosaccharomyces、Sphaceloma、XanthophyllomycesおよびYarrowiaの属から選択される、本明細書に記載の微生物である。別の態様において、組み換え微生物は、Saccharomyces cerevisiae、Schizosaccharomyces pombe、Yarrowia lipolytica、Candida glabrata、Ashbya gossypii、Cyberlindnera jadinii、Pichia pastoris、Kluyveromyces lactis、Hansenula polymorpha、Candida boidinii、Arxula adeninivorans、Xanthophyllomyces dendrorhousまたはCandida albicans種の酵母細胞である。
【0042】
さらに別の側面において、本出願はステビオールグリコシドの排出を変化させる方法に関し、ステビオールグリコシドを生産するために本明細書に記載の方法を用い、少なくとも1つの組み換え遺伝子が発現されること;ステビオールグリコシドが合成される条件下において培地中で組み換え微生物を培養すること;輸送体遺伝子である少なくとも1つの遺伝子、少なくとも1つの輸送体遺伝子の発現を制御する転写因子遺伝子または両方を発現すること;および、培養ステップの間に生産されたステビオールグリコシドを単離すること、を含む。
【0043】
I.ステビオールおよびステビオールグリコシドの生合成ポリペプチド
A.ステビオール生合成ポリペプチド
異種輸送体および/もしくは転写因子の遺伝子を発現すること、または、上記の内在性の輸送体遺伝子の発現を改変することに加えて、本明細書に記載の宿主は、イソプレノイド前駆体からステビオールへの変換に関与する遺伝子産物を含有および発現する。
【0044】
ステビオールを生産するための生化学的経路は、ゲラニルゲラニル二リン酸の生成、(−)コパリル二リン酸への環化、その後のステビオールを生成する酸化およびヒドロキシル化を含む。したがって、組み換え微生物によるゲラニルゲラニル二リン酸からステビオールへの変換は、カウレンシンターゼ(KS)をコードする遺伝子、カウレンオキシダーゼ(KO)をコードする遺伝子およびステビオールシンテターゼ(KAH)をコードする遺伝子の発現を含む。ステビオールシンテターゼはカウレン酸13−ヒドロキシラーゼとしても公知である。
【0045】
好適なKSポリペプチドが公知である。例えば、好適なKS酵素は、Stevia rebaudiana、Zea mays、Populus trichocarpaおよびArabidopsis thalianaによって作られるものを含む。表2およびPCT出願第PCT/US2012/050021号およびPCT/US2011/038967号(これらはその全体が参照によって本明細書に組み込まれる)を参照。
【0047】
好適なKOポリペプチドは公知である。例えば、好適なKO酵素は、Stevia rebaudiana、Arabidopsis thaliana、Gibberella fujikoroiおよびTrametes versicolorによって作られるものを含む。表3ならびにPCT出願第PCT/US2012/050021号およびPCT/US2011/038967号(これらはその全体が参照によって組み込まれる)を参照。
【0049】
好適なKAHポリペプチドは公知である。例えば、好適なKAH酵素は、Stevia rebaudiana、Arabidopsis thaliana、Vitis viniferaおよびMedicago trunculataによって作られるものを含む。例えば、表4、PCT出願第PCT/US2012/050021号およびPCT/US2011/038967号、米国特許公開公報第2008/0271205号および2008/0064063号ならびにGenbank登録No.gi189098312(配列番号11)およびGenBank登録ABD60225、GL89242710(配列番号12)を参照(これらはその全体が参照によって本明細書に組み込まれる)。Arabidopsis thaliana由来のステビオールシンテターゼはCYP714A2に分類される。
【0051】
さらに、PCT出願第PCT/US2012/050021号によって記載され同定されたStevia rebaudiana由来のKAHポリペプチドは、組み換え宿主に特に有用である。S.rebaudiana KAH(SrKAHe1、配列番号18)および酵母による発現用にコドン最適化されたS.rebaudiana KAHをコードするヌクレオチド配列が同PCT出願に記載されており、S.rebaudiana KAHのコードされるアミノ酸配列(配列番号19)も同様である。S.rebaudiana KAHは、S.cerevisiaeによって発現されたときに、Yamaguchi et al.(米国特許公開公報第2008/0271205A1号)記載のArabidopsis thaliana ent−カウレン酸ヒドロキシラーゼと比較して、かなり高いステビオールシンターゼ活性を示す。S.rebaudianaのKAHポリペプチドは、米国特許公開公報第2008/0271205号のKAHに対して20%未満の同一性を、米国特許公開公報第2008/0064063号のKAHに対して35%未満の同一性を有する。
【0052】
いくつかの態様において、組み換え微生物は、KOおよび/またはKAHポリペプチドをコードする組み換え遺伝子を含有する。かかる微生物は、シトクロムP450レダクターゼ(CPR)ポリペプチドをコードする組み換え遺伝子をも通常は含有する。なぜなら、KOおよび/またはKAHポリペプチドの一部の組み合わせは外来性のCPRポリペプチドの発現を必要とするからである。特に、輸送体由来のKOおよび/またはKAHポリペプチドの活性は、外来性のCPRポリペプチドをコードする組み換え遺伝子の包含によってかなり増大し得る。好適なCPRポリペプチドは公知である。例えば、好適なCPR酵素は、Stevia rebaudianaおよびArabidopsis thalianaによって作られるものを含む。例えば、表5ならびにPCT出願第PCT/US2012/050021号およびPCT/US2011/038967号(これらはその全体が参照によって本明細書に組み込まれる)を参照。
【0054】
例えば、Stevia rebaudiana KAHe1によってコードされるステビオールシンターゼは、遺伝子NCP1によってコードされるS.cerevisiae CPR(YHR042W)によって活性化される。SrKAHe1によってコードされるステビオールシンターゼのさらに良好な活性化が、遺伝子ATR2(配列番号99)によってコードされるArabidopsis thaliana CPRまたは遺伝子CPR7(配列番号23)もしくはCPR8(配列番号24)によってコードされるS.rebaudiana CPRが共発現されるときに観察される。A.thalianaのポリペプチドATR1(配列番号25)およびATR2(配列番号26)ならびにS.rebaudianaのCPR7(配列番号27)およびCPR8(配列番号28)ポリペプチドのアミノ酸配列はPCT出願第PCT/US2012/050021号によって示されている。
【0055】
これらの遺伝子の組み換え微生物による発現は、ゲラニルゲラニル二リン酸からステビオールへの変換をもたらす。
【0056】
B.ステビオールグリコシド生合成ポリペプチド
上記の輸送変異に加えて、本明細書に記載の宿主細胞はステビオールをステビオールグリコシドに変換できる。かかる宿主(例えば微生物)は、1つまたは2つ以上のUDPグリコシルトランスフェラーゼ(UGTとしても知られる)をコードする遺伝子を含有する。UGTは、活性化した糖ヌクレオチドの単糖ユニットをアクセプター部分(この場合、ステビオールの−OHまたは−COOH部分、ステビオールグリコシドのグルコース部分またはステビオール誘導体)に転移させる。UGTは配列相同性に基づいて種々のファミリーおよびサブファミリーに分類されている。Li et al. J. Biol. Chem. 276:4338-4343 (2001)。
【0057】
B.1.ルブソシド生合成ポリペプチド
ルブソシドの生合成はステビオールの13−OHおよび19−COOHのグリコシル化を必要とする。
図1参照。微生物などの組み換え宿主によるステビオールからルブソシドへの変換は、UGTの85C2および74G1をコードする遺伝子(単数または複数)の発現によって達成され得、それらはそれぞれグルコースユニットをステビオールの13−OHまたは19−COOHに転移させる。
【0058】
好適なUGT85C2はウリジン5’−ジホスホグルコシル:ステビオール13−OHトランスフェラーゼおよびウリジン5’−ジホスホグルコシル:ステビオール−19−O−グルコシド13−OHトランスフェラーゼとして機能する。機能的なUGT85C2ポリペプチドは、ステビオールおよびステビオール−19−O−グルコシド以外のステビオールグリコシド基質を利用するグルコシルトランスフェラーゼ反応も触媒し得る。
【0059】
好適なUGT74G1ポリペプチドは、ウリジン5’−ジホスホグルコシル:ステビオール19−COOHトランスフェラーゼおよびウリジン5’−ジホスホグルコシル:ステビオール−13−O−グルコシド19−COOHトランスフェラーゼとして機能する。機能的なUGT74G1ポリペプチドは、ステビオールおよびステビオール−13−O−グルコシド以外のステビオールグリコシド基質を利用するまたはウリジン二リン酸グルコース以外のドナーの糖部分を転移させるグリコシルトランスフェラーゼ反応をも触媒し得る。
【0060】
機能的なUGT74G1および機能的なUGT85C2を発現する組み換え微生物は、培地中のフィードストックとしてステビオールが用いられたときに、ルブソシドおよび両方のステビオールモノシド(すなわちステビオール13−O−モノグルコシドおよびステビオール19−O−モノグルコシド)を作り得る。かかる遺伝子の1つまたは2つ以上は宿主内に天然に存在し得る。しかしながら、通常は、かかる遺伝子はそれらを天然に有さない宿主(例えば微生物)に形質転換された組み換え遺伝子である。
【0061】
本明細書で用いられる場合、用語「組み換え宿主」は、少なくとも1つの組み込まれたDNA配列によってゲノムが補われた宿主を指すことが意図される。かかるDNA配列は、天然に存在しない遺伝子、通常はRNAに転写または蛋白質に翻訳(「発現」)されないDNA配列および非組み換え宿主内に導入したい他の遺伝子またはDNA配列を含むが、これらに限定されない。当然のことながら、通常は、本明細書に記載の組み換え宿主のゲノムは、1つまたは2つ以上の組み換え遺伝子の安定した導入によって補われる。一般に、導入されるDNAはDNAのレシピエントである宿主に元々内在していない。しかし、所与の宿主からDNAセグメントを単離して、次に同じ宿主内にそのDNAの1つまたは2つ以上のさらなるコピーを導入し、例えば遺伝子の産物の生産を向上させるかまたは遺伝子の発現パターンを改変するということは、本発明の範囲内である。いくつかの例では、導入されるDNAは内在性の遺伝子またはDNA配列を改変またはさらには置換し、これが例えば相同組み換えまたは部位特異的変異導入による。好適な組み換え宿主は微生物を含む。
【0062】
用語「組み換え遺伝子」は、レシピエントの宿主内に導入される遺伝子またはDNA配列を指し、同一または類似の遺伝子またはDNA配列がかかる宿主内に予め存在しているかどうかに関わらない。この場合の「導入される」または「補われる」は、人為的に導入されることまたは補われることを意味するものとして当該分野では理解される。したがって、組み換え遺伝子は別の種に由来するDNA配列であり得、または同じ種に由来または存在するDNA配列であり得るが、組み換え法によって宿主内に取り込まれて組み換え宿主を生ずる。当然のことながら、宿主内に導入される組み換え遺伝子は、形質転換されようとする宿主内に通常存在するDNA配列と同一であり得、導入されてそのDNAの1つまたは2つ以上のさらなるコピーを提供することによって、そのDNAの遺伝子産物の過剰発現または改変された発現を可能にする。
【0063】
好適なUGT74G1およびUGT85C2ポリペプチドは、Stevia rebaudianaによって作られるものを含む。ステビア由来の機能的なUGT74G1およびUGT85C2ポリペプチドをコードする遺伝子は、Richman et al. Plant J. 41: 56-67 (2005)によって報告されている。S.rebaudianaのUGT74G1(配列番号29)およびUGT85C2(配列番号30)ポリペプチドのアミノ酸配列はそれぞれPCT出願第PCT/US2012/050021号の配列番号1および3に示されている)。UGT74G1(配列番号100)およびUGT85C2(配列番号31)ならびに酵母による発現用に最適化されたUGT配列、例えばUGTの85C2(配列番号32)、91D2e、91D2e−b、EUGT11および76G1をコードするヌクレオチド配列が提供される。「機能的なホモログ」の項の下記のUGT85C2およびUGT74G1バリアントも参照。例えば、UGT85C2ポリペプチドは位置65、71、270、289および389の置換を含有し得、用いられ得る(例えばA65S、E71Q、T270M、Q289HおよびA389V)。
【0064】
いくつかの態様において、組み換え宿主は微生物である。組み換え微生物はルブソシドを生産するためにステビオールを含有する培地を用いて増殖させられ得る。しかしながら別の態様において、組み換え微生物は、ステビオールの生合成に関与する1つまたは2つ以上の組み換え遺伝子、例えばCDPS遺伝子、KS遺伝子、KO遺伝子および/またはKAH遺伝子を発現する。好適なCDPSポリペプチドは公知である。
【0065】
例えば、好適なCDPS酵素は、Stevia rebaudiana、Streptomyces clavuligerus、Bradyrhizobium japonicum、Zea maysおよびArabidopsisによって作られるものを含む。例えば、表6ならびにPCT出願第PCT/US2012/050021号およびPCT/US2011/038967号(これらはその全体が参照によって本明細書に組み込まれる)を参照。
【0066】
いくつかの態様において、未改変のポリペプチドのアミノ末端にある葉緑体トランジットペプチドを欠くCDPSポリペプチドが用いられ得る。例えば、PCT公報第PCT/US2012/050021号の
図14に示されたZea mays CDPSのコード配列の5’末端から、最初の150ヌクレオチドが除去される。このようにすることは、葉緑体トランジットペプチドをコードするアミノ酸配列のアミノ末端の50残基を除去する。末端欠失CDPS遺伝子は新たなATG翻訳開始部位が取り付けられて、プロモーター(通常は構成的または高発現プロモーター)と作動可能に連結され得る。複数コピーの末端欠失コード配列が微生物内に導入されるときには、プロモーターによるCDPSポリペプチドの発現は、ent−カウレン生合成に向かう増大した炭素フラックスをもたらす。
【0068】
CDPS−KS二機能性蛋白質も用いられ得る。表7に示されているCDPS−KS二機能性酵素をコードするヌクレオチド配列が酵母による発現用に改変された(PCT出願第PCT/US2012/050021号参照)。Gibberella fujikuroi由来の二機能性酵素も用いられ得る。
【0070】
したがって、CDPS遺伝子、KS遺伝子、KO遺伝子およびKAH遺伝子をUGT74G1およびUGT85C2遺伝子に加えて含有する微生物は、ステビオールモノシドおよびルブソシドを両方生産でき、ステビオールをフィードストックとして用いる必要がない。
【0071】
いくつかの態様において、組み換え微生物は、ゲラニルゲラニル二リン酸シンターゼ(GGPPS)をコードする組み換え遺伝子をさらに発現する。好適なGGPPSポリペプチドは公知である。例えば、好適なGGPPS酵素は、Stevia rebaudiana、Gibberella fujikuroi、Mus musculus、Thalassiosira pseudonana、Streptomyces clavuligerus、Sulfulobus acidocaldarius、Synechococcus sp.およびArabidopsis thalianaによって作られるものを含む。表8ならびにPCT出願第PCT/US2012/050021号およびPCT/US2011/038967号(これらはその全体が参照によって本明細書に組み込まれる)を参照。
【0073】
いくつかの態様において、組み換え微生物は、ジテルペン生合成またはテルペノイド前駆体の生産に関与する組み換え遺伝子、例えば下記のメチルエリトリトール−4−リン酸(MEP)経路の遺伝子またはメバロン酸(MEV)経路の遺伝子をさらに発現でき、減少したホスファターゼ活性を有し、および/または本明細書に記載のスクロースシンターゼ(SUS)を発現する。別の態様において、何らかのGGPP/FPP前駆体の利用可能性を変化させるために、内在性の遺伝子(例えばDPP1)が不活性化または欠失させられ得る。
【0074】
B.2.レバウジオシドA、レバウジオシドB、レバウジオシドD、レバウジオシドEおよびレバウジオシドM生合成ポリペプチド
レバウジオシドAの生合成はアグリコンのステビオールのグルコシル化を必要とする。具体的には、レバウジオシドAは、13−O−ステビオールモノシドを生成するステビオールの13−OHのグルコシル化、ステビオール−1,2−ビオシドを生成するステビオールモノシドの13−O−グルコースのC−2’のグルコシル化、ステビオシドを生成するステビオール−1,2−ビオシドのC−19カルボキシルのグルコシル化、および、ステビオシドのC−13−O−グルコースのC−3’のグルコシル化によって生成し得る。各グルコシル化反応が起こる順序は様々であり得る。
図1参照。
【0075】
レバウジオシドBの生合成はアグリコンのステビオールのグルコシル化を必要とする。具体的には、レバウジオシドBは、13−O−ステビオールモノシドを生成するステビオールの13−OHのグルコシル化、ステビオール−1,2−ビオシドを生成するステビオールモノシドの13−O−グルコースのC−2’のグルコシル化、および、ステビオール−1,2−ビオシドのC−13−O−グルコースのC−3’のグルコシル化によって生成し得る。各グルコシル化反応が起こる順序は様々であり得る。
【0076】
レバウジオシドEおよび/またはレバウジオシドDの生合成はアグリコンのステビオールのグルコシル化を必要とする。具体的には、レバウジオシドEは、ステビオール−13−O−グルコシドを生成するステビオールの13−OHのグルコシル化、ステビオール−1,2−ビオシドを生成するステビオール−13−O−グルコシドの13−O−グルコースのC−2’のグルコシル化、1,2−ステビオシドを生成する1,2−ビオシドのC−19カルボキシルのグルコシル化、および、レバウジオシドEを生成する1,2−ステビオシドの19−O−グルコースのC−2’のグルコシル化によって生成し得る。レバウジオシドDは、レバウジオシドEのC−13−O−グルコースのC−3’のグルコシル化によって生成し得る。各グリコシル化反応が起こる順序は様々であり得る。例えば、19−O−グルコースのC−2’のグルコシル化が経路の最終ステップであり得、その場合にはレバウジオシドAは経路の中間体となる。
図1参照。
【0077】
組み換え宿主によるステビオールからレバウジオシドA、レバウジオシドB、レバウジオシドD、レバウジオシドMおよび/またはレバウジオシドEへの変換が、次の機能的なUGTを発現することによって達成され得るということが発見された:EUGT11、91D2、74G1、85C2および76G1。すなわち、これらのUGTの組み合わせを発現する組み換え微生物は、ステビオールがフィードストックとして用いられたときにレバウジオシドAおよびレバウジオシドDを生産し得る。通常は、それらの遺伝子の1つまたは2つ以上は、それらを天然には有さない微生物に形質転換された組み換え遺伝子である。本明細書でSM12UGTと呼ぶUGTがUGT91D2の代用となり得ることも発見された。
【0078】
いくつかの態様において、5つ未満の(例えば1、2、3または4つの)UGTが宿主内で発現される。例えば、機能的なEUGT11を発現する組み換え微生物は、レバウジオシドAがフィードストックとして用いられたときにレバウジオシドDを生産し得る。UGTの85C、91D2eまたはEUGT11、好ましくは91D2eおよび76G1を発現する組み換え微生物は、レバウジオシドBを生産できる。EUGT11、76G1および91D12(例えば91D2e)を発現する組み換え微生物は、ルブソシドまたは1,2−ステビオシドがフィードストックとして用いられるときにレバウジオシドDを生産できる。もう1つの代替として、3つの機能的なUGTのEUGT11、74G1、76G1、および任意に91D2、を発現する組み換え微生物は、培地中にモノシドのステビオール−13−O−グルコシドが添加された場合にレバウジオシドDを生産し得る。同様に、組み換え微生物によるステビオール−19−O−グルコシドからレバウジオシドDへの変換は、UGTのEUGT11、85C2、76G1および91D2(例えば91D2e)をコードする遺伝子の発現によって、ステビオール−19−O−グルコシドが添加されるときに達成され得る。通常は、これらの遺伝子の1つまたは2つ以上は、それらを天然には有さない宿主に形質転換された組み換え遺伝子である。
【0079】
レバウジオシドMポリペプチド
組み換え宿主によるステビオールからレバウジオシドMへの変換は、次の機能的なUGTの組み合わせを発現することによって達成され得る:91D2、EUGT11、74G1、85C2および76G1。
図1参照。多コピー数プラスミドを用いること、または、強力なプロモーターもしくは遺伝子の複数のインテグレーションコピーもしくは遺伝子の高コピー数の選択を受けるエピソームを用いることによって、高レベルでEUGT11を発現することは特に有用である。したがって、これらのUGTの組み合わせを発現する組み換え微生物は、レバウジオシドA(85C2、76G1、74G1、91D2e)、レバウジオシドD(85C2、76G1、74G1、91D2e、EUGT11)、レバウジオシドE(85C2、74G1、91D2e、EUGT11)またはレバウジオシドM(85C2、76G1、74G1、91D2e、EUGT11)を生産し得る。
図1参照。通常は、それらの遺伝子の1つまたは2つ以上は、それらを天然には有さない微生物に形質転換された組み換え遺伝子である。本明細書でSM12UGTと呼ぶUGTがUGT91D2の代用となり得るということも発見された。
【0080】
図1に示された個々のレバウジオシドの標的指向型生産は、UDP−グリコシルトランスフェラーゼ活性の相対レベルを調節することによって達成される。これは、UGTをコードする遺伝子の差別的なコピー数、差別的なプロモーター強度、および/または、目的の産物を指向する増大した特異性/活性を有する変異体の使用によって達成され得る。
図1参照。例えば、他のUGTと比較してEUGT11が低レベルで発現されると、低レベルのレバウジオシドD、EおよびMが生成するが、これはレバウジオシドAの生成に有利となる。高レベルのEUGT11発現は、レバウジオシドMを生成するためにUGT76G1が反応する19−O1,2ジグルコシド基質をより多くもたらす。これはUGT76G1ポリペプチドの好ましい活性ではないので、UGT76G1のさらなるコピーまたは変異体の異形は、レバウジオシドDからのレバウジオシドMの生成速度を改善し得る。好適なUGT76G1は、アクセプター分子の19−OグルコースのC−3’へのグルコース部分の転移も触媒し、アクセプター分子はステビオールの19−O位に1,2グリコシド部分を有し得る。
【0081】
好適なUGT74G1およびUGT85C2ポリペプチドは上記のものを含む。好適なUGT76G1は、アクセプター分子のステビオール1,2グリコシドのC−13−O−グルコースのC−3’にグルコース部分を付加する。すなわち、UGT76G1は、例えばウリジン5’−ジホスホグルコシル:ステビオール13−O−1,2グルコシドC−3’グルコシルトランスフェラーゼおよびウリジン5’−ジホスホグルコシル:ステビオール−19−O−グルコース,13−O−1,2ビオシドC−3’グルコシルトランスフェラーゼとして機能する。機能的なUGT76G1ポリペプチドは、グルコース以外の糖を含有するステビオールグリコシド基質を利用するグルコシルトランスフェラーゼ反応をも触媒し得る。好適なUGT76G1ポリペプチドは、S.rebaudianaによって作られ、Richman et al. Plant J. 41: 56-67 (2005) によって報告されたものを含む。S.rebaudiana UGT76G1ポリペプチド(例えば配列番号85)のアミノ酸配列はPCT公報第PCT/US2012/050021号に記載されており、UGT76G1ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列も同様であり、酵母による発現用に最適化される。「機能的なホモログ」の項に記載のUGT76G1バリアントも参照。
【0082】
好適なEUGT11またはUGT91D2ポリペプチドはウリジン5’−ジホスホグルコシル:ステビオール−13−O−グルコシドトランスフェラーゼ(ステビオール−13−モノグルコシド1,2−グルコシラーゼとも呼ばれる)として機能し、アクセプター分子のステビオール−13−O−グルコシドの13−O−グルコースのC−2’にグルコース部分を転移させる。
【0083】
好適なEUGT11またはUGT91D2ポリペプチドはウリジン5’−ジホスホグルコシル:ルブソシドトランスフェラーゼとしても機能し、アクセプター分子のルブソシドの13−O−グルコースのC−2’にグルコース部分を転移させて、ステビオシドを生産する。EUGT11ポリペプチドは、さらにアクセプター分子のルブソシドの19−O−グルコースのC−2’にグルコース部分を効率的に転移させて、19−O−1,2−ジグリコシル化ルブソシドを生産できる。EUGT11は、19−O−グルコース置換されたステビオールグリコシド分子へのグルコース分子の転移が特に効率的である。
【0084】
機能的なEUGT11またはUGT91D2ポリペプチドは、ステビオール−13−O−グルコシドおよびルブソシド以外のステビオールグリコシド基質を利用する反応をも触媒し得る。例えば、機能的なEUGT11ポリペプチドは基質としてステビオシドを効率的に利用でき、19−O−グルコース残基のC−2’にグルコース部分を転移させて、レバウジオシドEを生産する。機能的なEUGT11およびUGT91D2ポリペプチドは基質としてレバウジオシドAを利用でき、レバウジオシドAの19−O−グルコース残基のC−2’にグルコース部分を転移させて、レバウジオシドDを生産する。EUGT11(配列番号51)は、反応が同様の条件下(すなわち同様の時間、温度、純度および基質濃度)において実施される場合には、UGT91D2e(配列番号54)の速度よりも少なくとも20倍速い(例えば、少なくとも25倍または少なくとも30倍速い)速度で、レバウジオシドAをレバウジオシドDに変換できる。したがって、EUGT11は、同様の条件下においてインキュベーションされた場合にUGT91D2eよりも大量のRebDを生産する。
【0085】
さらに、機能的なEUGT11はかなりのC−2’19−O−ジグリコシル化活性を基質のルブソシドまたはステビオシドに対して示すが、UGT91D2eはより少ないジグリコシル化活性をそれらの基質に対して有する。したがって、機能的なEUGT11はステビオールグリコシド基質特異性の違いによってUGT91D2eと区別され得る。
【0086】
機能的なEUGT11またはUGT91D2ポリペプチドは、C−13位に1,3結合したグルコースを有するステビオール化合物に、グルコース部分を通常は転移させない。すなわち、ステビオール1,3−ビオシドおよび1,3−ステビオシドへのグルコース部分の転移は大部分の条件下においては検出可能なレベルで起こらない。
【0087】
好適なEUGT11ポリペプチドは、Oryza sativaのEUGT11ポリペプチド(GenBank登録No.AC133334、配列番号51)を含み得る。例えば、EUGT11ポリペプチドは、少なくとも70%の配列同一性(例えば、少なくとも75、80、85、90、95、96、97、98または99%の配列同一性)を配列番号51に示されたアミノ酸配列に対して有するアミノ酸配列を有し得る。EUGT11のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列も配列番号52に示されており、同様に酵母による発現用のコドン最適化されたヌクレオチド配列は配列番号53に示されている。
【0088】
好適な機能的なUGT91D2ポリペプチドは、UGT91D2eおよびUGT91D2mと呼ばれるポリペプチドを含む。Stevia rebaudianaの例示的なUGT91D2eポリペプチドのアミノ酸配列が配列番号54に示されている(PCT出願第PCT/US2012/050021号のヌクレオチド配列番号5によってコードされる)。ポリペプチドをコードするS.rebaudianaヌクレオチド配列、ポリペプチドをコードし且つ酵母による発現用にコドン最適化されたヌクレオチド配列(配列番号158)、S.rebaudianaの例示的なUGT91D2mポリペプチドのアミノ酸配列および例示的なUGT91D2mポリペプチドをコードする核酸配列も開示されている。例示的なUGT91D2mのアミノ酸配列は配列番号55に示されている。アミノ酸残基206、207および343に置換を有するUGT91D2バリアントも用いられ得る。例えば、野生型UGT92D2eと比較してG206R、Y207CおよびW343R変異を有するアミノ酸配列が用いられ得る。さらに、アミノ酸残基211および286の位置に置換を有するUGT91D2バリアントが用いられ得る。例えば、UGT91D2バリアントは位置211のロイシンに対するメチオニンの置換と位置286のバリンに対するアラニンの置換とを含み得る。「機能的なホモログ」の項に記載のUGT91D2バリアントも参照。
【0089】
上記のように、本明細書においてSM12UGTと呼ばれるUGTはUGT91D2の代用となり得る。好適な機能的なSM12UGTポリペプチドはIpomoea purpurea(日本アサガオ)によって作られるものを含み、Morita et al. Plant J. 42: 353-363 (2005) に記載されている。I.purpurea IP3GGTポリペプチド(配列番号56)をコードするアミノ酸配列は、PCT出願第PCT/US2012/050021号によって配列番号76を用いて示されており、ポリペプチドをコードし且つ酵母による発現用にコドン最適化されたヌクレオチド配列(配列番号57)も同様である。別の好適なSM12UGTポリペプチドは、R25S変異を有するBp94B1ポリペプチドである。Osmani et al. Plant Phys. 148: 1295-1308 (2008) およびSawada et al. J. Biol. Chem. 280: 899-906 (2005) 参照。Bellis perennis(ヒナギク)のUGT94B1ポリペプチドのアミノ酸配列(配列番号58)は、PCT出願第PCT/US2012/050021号によって配列番号78を用いて示されており、ポリペプチドをコードし且つ酵母による発現用にコドン最適化されたヌクレオチド配列(配列番号59)も同様である。
【0090】
いくつかの態様において、組み換え微生物は、レバウジオシドA、レバウジオシドB、レバウジオシドD、レバウジオシドEおよび/またはレバウジオシドMを生産するために、ステビオール−13−O−グルコシドまたはステビオール−19−O−グルコシドを含有する培地を用いて増殖させられる。かかる態様において、微生物は機能的なEUGT11、機能的なUGT74G1、機能的なUGT85C2、機能的なUGT76G1および機能的なUGT91D2をコードする遺伝子を含有および発現し、ステビオール、ステビオールモノシドの1つまたは両方、または、ルブソシドがフィードストックとして用いられた場合にはレバウジオシドA、レバウジオシドB、レバウジオシドD、レバウジオシドEおよび/またはレバウジオシドMを蓄積できる。
【0091】
別の態様において、組み換え微生物は、レバウジオシドA、レバウジオシドB、レバウジオシドD、レバウジオシドEおよび/またはレバウジオシドMを生産するためにルブソシドを含有する培地を用いて増殖させられる。かかる態様において、微生物は、機能的なEUGT11、機能的なUGT76G1および機能的なUGT91D2をコードする遺伝子を含有および発現し、ルブソシドがフィードストックとして用いられる場合にはレバウジオシドA、レバウジオシドB、レバウジオシドD、レバウジオシドEおよび/またはレバウジオシドMを生産できる。
【0092】
別の態様において、組み換え微生物は、ステビオール生合成に関与する1つまたは2つ以上の遺伝子、例えばCDPS遺伝子、KS遺伝子、KO遺伝子および/またはKAH遺伝子を発現する。すなわち、例えば、CDPS遺伝子、KS遺伝子、KO遺伝子およびKAH遺伝子をEUGT11、UGT74G1、UGT85C2、UGT76G1および任意に機能的なUGT91D2(例えばUGT91D2e)に加えて含有する微生物は、レバウジオシドA、レバウジオシドB、レバウジオシドD、レバウジオシドEおよび/またはレバウジオシドMを生産できるが、培養培地にステビオールを含ませる必要がない。別の例では、CDPS遺伝子、KS遺伝子、KO遺伝子およびKAH遺伝子をUGT74G1、UGT85C2、UGT76G1および任意に機能的なUGT91D2(例えばUGT91D2e)に加えて含有する微生物は、レバウジオシドAを生産できるが、培養培地にステビオールを含ませる必要がない。さらに別の例では、CDPS遺伝子、KS遺伝子、KO遺伝子およびKAH遺伝子をUGT85C2、UGT76G1、および任意に機能的なUGT91D2(例えばUGT91D2e)に加えて含有する微生物は、レバウジオシドBを生産できるが、培養培地にステビオールを含ませる必要がない。
【0093】
いくつかの態様において、組み換え宿主は、ステビオール生合成経路の増大したフラックスのためのジテルペン前駆体ゲラニルゲラニル二リン酸の増大したレベルを提供するために、組み換えGGPPS遺伝子をさらに含有および発現する。
【0094】
いくつかの態様において、組み換え宿主は、ゲラニルゲラニル二リン酸、ent−カウレン酸またはファルネシルピロリン酸を消費する非ステビオール経路の発現をサイレンシングするための構築物をさらに含有し、それによってステビオールおよびステビオールグリコシドの生合成経路の増大したフラックスを提供する。例えば、エルゴステロールなどのステロール生産経路へのフラックスはERG9遺伝子の下方制御によって減少し得る。下記の項C.4参照。ジベレリンを生産する細胞では、ジベレリン合成が下方制御されて、ent−カウレン酸からステビオールへのフラックスを増大させ得る。カロテノイド生産生物では、ステビオールへのフラックスは1つまたは2つ以上のカロテノイド生合成遺伝子の下方制御によって増大し得る。いくつかの態様において、組み換え微生物は、ジテルペン生合成またはテルペノイド前駆体の生産に関与する組み換え遺伝子、例えばMEPもしくはMEV)経路の遺伝子をさらに発現でき、減少したホスファターゼ活性を有し、および/または、SUSを発現する。
【0095】
当業者には当然のことながら、種々のUGT遺伝子の相対的な発現レベルを調整することによって、組み換え宿主は所望の割合でステビオールグリコシド産物を特異的に生産するように仕立てられ得る。ステビオール生合成遺伝子およびステビオールグリコシド生合成遺伝子の転写制御は、当業者にとって公知の技術を用いて、転写の活性化および抑制の組み合わせによって達成され得る。インビトロ反応に関して当業者にとっては当然のことながら、組み合わせた種々のレベルのUGT酵素の添加または組み合わせた種々のUGTの相対的な活性に影響する条件下での添加は、各ステビオールグリコシドの所望の割合に向けて合成を導くであろう。当業者には当然のことながら、レバウジオシドDもしくはEのより高い割合またはレバウジオシドDまたはEへのより効率的な変換は、13−O−グルコシド反応(基質はレバウジオシドAおよびステビオシド)と比較して19−O−グルコシド反応により高い活性を有するジグリコシル化酵素によって得られる。
【0096】
いくつかの態様において、微生物などの組み換え宿主が、レバウジオシドDが濃縮されたステビオールグリコシド組成物を生産し、これは少なくとも3重量%レバウジオシドDを超える全ステビオールグリコシド、例えば、少なくとも4%のレバウジオシドD、少なくとも5%のレバウジオシドD、10〜20%のレバウジオシドD、20〜30%のレバウジオシドD、30〜40%のレバウジオシドD、40〜50%のレバウジオシドD、50〜60%のレバウジオシドD、60〜70%のレバウジオシドD、70〜80%のレバウジオシドDを有する。
【0097】
いくつかの態様において、微生物などの組み換え宿主が、少なくとも90%のレバウジオシドD、例えば90〜99%のレバウジオシドDを有するステビオールグリコシド組成物を生産する。存在する他のステビオールグリコシドはステビオールモノシド、ステビオールグルコビオシド、レバウジオシドA、レバウジオシドEおよびステビオシドを含み得る。いくつかの態様において、宿主(例えば微生物)によって生産されたレバウジオシドDが濃縮された組成物はさらに精製され得、精製されたレバウジオシドDまたはレバウジオシドEは他のステビオールグリコシド、香味料または甘味料と混合されて、所望の味付けシステムまたは甘味組成物を得ることができる。例えば、組み換え宿主によって生産されたレバウジオシドDが濃縮された組成物は、別の組み換え宿主によって生産されたレバウジオシドAもしくはFが濃縮された組成物と、ステビア抽出物から精製されたレバウジオシドAもしくはFと、またはインビトロで生産されたレバウジオシドAもしくはFと、組み合わせられる。
【0098】
いくつかの態様において、レバウジオシドA、レバウジオシドB、レバウジオシドD、レバウジオシドEおよび/またはレバウジオシドMは、ステビオールおよび/またはステビオールグリコシドなどの前駆体分子(植物抽出物由来のステビオールグリコシドの混合物を含む)を含有する原料を添加された生組み換え細胞を用いて生産され得る。これらの組み換え細胞はUGTポリペプチドの全てまたは適切な組み合わせを発現して、そのステビオールから特定のグルコシル化レバウジオシドのそれぞれへのグルコシル化を実現する。いくつかの態様において、組み換え細胞は任意に輸送体を発現し、それによって透過処理剤が添加される必要なくレバウジオシドを効率的に排出し得る。原料は細胞増殖中または細胞増殖後に添加され得る。生細胞は懸濁液としてまたは固定化されてあり得る。生細胞は、ビーズ(例えばアルギン酸カルシウムまたはナトリウムビーズ)によって捕捉され得る。生細胞は中空糸管型反応器システムにつながれ得る。生細胞は濃縮され、膜反応器システムによって捕捉され得る。生細胞は発酵培養液中または反応緩衝液中にあり得る。いくつかの態様において、細胞内への基質の効率的な移動のために透過処理剤が用いられる。いくつかの態様において、細胞は、トルエンなどの溶剤によってまたはTriton-XもしくはTweenなどの界面活性剤によって透過処理される。
【0099】
いくつかの態様において、細胞は、界面活性剤(例えば臭化セチルトリメチルアンモニウム(CTAB)などのカチオン性界面活性剤)によって透過処理される。いくつかの態様において、細胞は、周期的な機械的衝撃(例えばエレクトロポレーションまたは軽い浸透圧ショック)によって透過処理される。細胞は1つの組み換えUGTまたは複数の組み換えUGTを含有し得る。例えば、細胞がUGT76G1およびEUGT11を含有して、それによってステビオシドとRebAとの混合物がRebDに効率的に変換され得る。いくつかの態様において、生細胞は項IIIAに記載の宿主細胞である。いくつかの態様において、生細胞はE.coliなどのグラム陰性細菌である。いくつかの態様において、生細胞はBacillusなどのグラム陽性細菌である。いくつかの態様において、生細胞はAspergillusなどの真菌種またはSaccharomycesなどの酵母である。いくつかの態様において、用語「生細胞の生体触媒」は、生細胞が上記(例えば培地中にあって任意に透過処理される)のように増殖させられ、rebAまたはステビオシドなどの基質が提供され、細胞の酵素を用いて最終産物に変換されるプロセスを指すために用いられる。細胞は生存可能であってもなくてもあり得、生体内変換反応中に増殖してもしなくてもあり得る。対照的に、発酵では、細胞は増殖培地によって培養されてグルコースなどの炭素およびエネルギー源を添加され、最終産物は生細胞によって生産される。
【0100】
C.他のポリペプチド
その発現がステビオールまたはステビオールグリコシドのより効率的またはより大規模な生産を容易にするさらなるポリペプチドの遺伝子も、組み換え宿主内に導入され得る。例えば、組み換え微生物は、ゲラニルゲラニル二リン酸シンターゼ(GGPPS。GGDPSとも呼ばれる)をコードする1つまたは2つ以上の遺伝子も含有し得る。別の例としては、組み換え宿主は、ラムノースシンテターゼをコードする1つまたは2つ以上の遺伝子またはUDP−グルコースデヒドロゲナーゼおよび/もしくはUDP−グルクロン酸デカルボキシラーゼをコードする1つまたは2つ以上の遺伝子を有し得る。別の例として、組み換え宿主は、シトクロムP450レダクターゼ(CPR)をコードする1つまたは2つ以上の遺伝子をも有し得る。組み換えCPRの発現は、NADP+の回転を容易にして、NADPH(これはテルペノイド生合成のコファクターとして利用される)を再生する。NADHPレベルを再生するためには他の方法も用いられ得る。NADPHが制限要因となる状況では、株は外来性のトランスヒドロゲナーゼ遺伝子を含むようにさらに改変され得る。例えばSauer et al. J. Biol. Chem. 279: 6613-6619 (2004) 参照。所望のコファクターレベルが増大するようにNADH/NADPHの比を減少させるまたは改変するための他の方法は、当業者にとって公知である。
【0101】
別の例として、組み換え宿主は、MEP経路またはメバロン酸経路の1つまたは2つ以上の酵素をコードする1つまたは2つ以上の遺伝子を有し得る。かかる遺伝子は、ジテルペン生合成経路への炭素フラックスを増大させ、経路によって生成されるイソペンテニル二リン酸およびジメチルアリル二リン酸からゲラニルゲラニル二リン酸を生産できるので有用である。このように生産されたゲラニルゲラニル二リン酸は、ステビオール生合成ポリペプチドおよびステビオールグリコシド生合成ポリペプチドの発現によって、ステビオールおよびステビオールグリコシドの生合成に向けられ得る。
【0102】
別の例として、組み換え宿主はスクロースシンターゼをコードする1つまたは2つ以上の遺伝子を有し得、さらに必要ならばスクロース取り込み遺伝子を有し得る。スクロースシンターゼ反応は、発酵宿主または生細胞のバイオコンバージョンプロセスのUDP−グルコースプールを増大させるために用いられ得る。これはグリコシル化中に生じたUDPとスクロースとからUDP−グルコースを再生し、効率的なグリコシル化を可能にする。一部の生物では、内在性のインベルターゼの破壊はスクロースの分解を防ぐために有利である。例えば、S.cerevisiae SUC2インベルターゼが破壊され得る。スクロースシンターゼ(SUS)は任意の適当な生物由来であり得る。例えば、限定なしに、Arabidopsis thaliana、Stevia rebaudianaまたはCoffea arabica由来のスクロースシンターゼのコード配列が、好適なプロモーターの制御下にある発現プラスミド中にクローニングされて、微生物によって発現され得る。スクロースシンターゼは、かかる株によって、スクロース輸送体(例えばA.thaliana SUC1輸送体またはその機能的なホモログ)および1つまたは2つ以上のUGT(例えばUGT85C2、UGT74G1、UGT76G1およびUGT91D2e、EUGT11またはそれらの機能的なホモログの1つまたは2つ以上)と組み合わせて発現され得る。スクロースを含有する培地によって宿主を培養することは、UDP−グルコースおよび1つまたは2つ以上のグルコシド(例えばステビオールグリコシド)の生産を促進し得る。
【0103】
スクアレンシンターゼ(SQS)をコードするERG9遺伝子の発現が組み換え宿主内にあって減らされて、組み換え宿主内でスクアレンシンターゼの前駆体の増加が起こるようにもできる。SQSはEC2.5.1.21に分類され、ステロールの生産をもたらす生合成経路の第1段階の酵素である。ファルネシルピロリン酸から中間体のプレスクアレンピロリン酸を経るスクアレンの合成を触媒する。この酵素はテルペノイド/イソプレノイドの生合成の重要な分岐点酵素であり、ステロール経路のイソプレン中間体のフラックスを制御すると考えられている。この酵素は場合によってはファルネシル二リン酸ファルネシルトランスフェラーゼ(FDFT1)と呼ばれる。SQSの機構は、ファルネシルピロリン酸の2つのユニットをスクアレンに変換することである。SQSは真核生物または高等生物の酵素であると考えられる。ただし、少なくとも1つの原核生物は機能的に類似の酵素を有することが示されている。
【0104】
その不活性化によってステビオールまたはステビオールグリコシドのより効率的またはより大規模な生産を容易にするポリペプチドの遺伝子が、組み換え宿主内にあって改変され得る。例えば、ホスファターゼ(例えば、DPP1遺伝子によってコードされる酵母ジアシルグリセロールピロリン酸ホスファターゼおよび/またはLPP1遺伝子によってコードされる酵母脂質リン酸ホスファターゼ)をコードする内在性の遺伝子が不活性化されて、その結果としてファルネシルピロリン酸(FPP)からファルネソールへの分解が減少し、ゲラニルゲラニルピロリン酸(GGPP))からゲラニルゲラニオール(GGOH)への分解が減少し得る。かかる遺伝子は、相同組み換え、変異導入、または転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)などの公知技術によって不活性化または発現を減少させられ得る。
【0105】
C.1.MEP生合成ポリペプチド
いくつかの態様において、組み換え宿主は、イソプレノイド生合成のためにメチルエリトリトール−4−リン酸(MEP)経路に含まれる酵素をコードする1つまたは2つ以上の遺伝子を含有する。MEP経路の酵素は、デオキシキシルロース−5−リン酸シンターゼ(DXS)、D−1−デオキシキシルロース−5−リン酸レダクトイソメラーゼ(DXR)、4−ジホスホシチジル−2−C−メチル−D−エリトリトールシンターゼ(CMS)、4−ジホスホシチジル−2−C−メチル−D−エリトリトールキナーゼ(CMK)、4−ジホスホシチジル−2−C−メチル−D−エリトリトール2,4−シクロ二リン酸シンターゼ(MCS)、1−ヒドロキシ−2−メチル−2(E)−ブテニル−4−二リン酸シンターゼ(HDS)および1−ヒドロキシ−2−メチル−2(E)−ブテニル−4−二リン酸レダクターゼ(HDR)を含む。1つまたは2つ以上のDXS遺伝子、DXR遺伝子、CMS遺伝子、CMK遺伝子、MCS遺伝子、HDS遺伝子および/またはHDR遺伝子が組み換え微生物内に組み込まれ得る。Rodriguez-Concepcion and Boronat, Plant Phys. 130: 1079-1089 (2002) 参照。
【0106】
DXS、DXR、CMS、CMK、MCS、HDSおよび/またはHDRポリペプチドをコードする好適な遺伝子は、E.coli、Arabidopsis thaliana、およびSynechococcus leopoliensisによって作られるものを含む。DXRポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は、例えば米国特許第7,335,815号に記載されている。
【0107】
C.2.メバロン酸生合成ポリペプチド
いくつかの態様において、組み換え宿主は、イソプレノイド生合成のためにメバロン酸経路に含まれる酵素をコードする1つまたは2つ以上の遺伝子を含有する。宿主の形質転換に適した遺伝子は、メバロン酸経路の酵素、例えば末端欠失3−ヒドロキシ−3−メチル-グルタリル(HMG)−CoAレダクターゼ(tHMG)、および/またはメバロン酸キナーゼ(MK)をコードする遺伝子、および/またはホスホメバロン酸キナーゼ(PMK)をコードする遺伝子、および/またはメバロン酸ピロリン酸デカルボキシラーゼ(MPPD)をコードする遺伝子をコードする。したがって、1つまたは2つ以上のHMG−CoAレダクターゼ遺伝子、MK遺伝子、PMK遺伝子、および/またはMPPD遺伝子が微生物などの組み換え宿主内に取り込まれ得る。
【0108】
メバロン酸経路ポリペプチドをコードする好適な遺伝子は公知である。例えば、好適なポリペプチドは、E.coli、Paracoccus denitrificans、Saccharomyces cerevisiae、Arabidopsis thaliana、Kitasatospora griseola、Homo sapiens、Drosophila melanogaster、Gallus gallus、Streptomyces sp. KO-3988、Nicotiana attenuata、Kitasatospora griseola、Hevea brasiliensis、Enterococcus faeciumおよびHaematococcus pluvialisによって作られるものを含む。例えば、表9、米国特許第7,183,089号、5,460,949号および5,306,862号ならびにPCT出願第PCT/US2012/050021号およびPCT/US2011/038967号(これらはその全体が参照によって本明細書に組み込まれる)を参照。
【0110】
C.3.スクロースシンターゼポリペプチド
スクロースシンターゼ(SUS)は、UDP−糖を生成するためのツールとして用いられ得る。SUS(EC2.4.1.13)は、UDP−グルコースおよび果糖のスクロースおよびUDPからの生成を触媒する。そのようにしてUGTの反応によって生成したUDPは、スクロース存在下においてUDP−グルコースに変換され得る。例えば、Chen et al. (2001) J. Am. Chem. Soc. 123:8866-8867、Shao et al. (2003) Appl. Env. Microbiol. 69:5238-5242、Masada et al. (2007) FEBS Lett. 581: 2562-2566およびSon et al. (2009) J. Microbiol. Biotechnol. 19:709-712参照。
【0111】
スクロースシンターゼはUDP−グルコースを生成およびUDPを除去するために用いられ得、種々の系において化合物の効率的なグリコシル化を容易にする。例えば、スクロース輸送体およびSUSを導入することによって、スクロースを利用する能力を欠く酵母がスクロースを利用して増殖するようにできる。例えばSaccharomyces cerevisiaeは効率的なスクロース取り込み系を有さず、スクロースを利用するには細胞外のSUC2に依存している。内在性のS.cerevisiae SUC2インベルターゼを破壊することと組み換えSUSを発現することとの組み合わせは、細胞内のスクロースを代謝できるが細胞外のものは代謝できない酵母株をもたらした(Riesmeier et al. ((1992) EMBO J. 11 :4705-4713)。この株は、cDNA発現ライブラリーによる形質転換とスクロースを取り込む能力を獲得した形質転換体の選抜とによってスクロース輸送体を単離するために用いられた。
【0112】
組み換えスクロースシンターゼとスクロース輸送体とのインビボにおける共発現は、増大したUDP−グルコース利用可能性と望ましくないUDPの除去とをもたらし得る。例えば、組み換えスクロースシンターゼ、スクロース輸送体、およびグリコシルトランスフェラーゼの機能的な発現は、天然のスクロース分解系(S.cerevisiaeの場合はSUC2)のノックアウトと組み合わされると、増大した量のグリコシル化化合物(ステビオールグリコシドなど)を生産できる細胞を作製するために用いられ得る。このより高いグリコシル化能は、少なくとも(a)UDP−グルコースをよりエネルギー効率良く生産するためのより高い能力と、(b)増殖培地からのUDPの除去と(UDPはグリコシル化反応を阻害し得るため)に帰せられる。
【0113】
スクロースシンターゼはあらゆる好適な生物に由来し得る。例えば限定なしに、Arabidopsis thaliana(例えば配列番号7
8)またはCoffea arabica(例えば配列番号80)由来のスクロースシンターゼのコード配列(例えばPCT/US2012/050021の配列番号178、179および180参照)が、好適なプロモーターの制御下にある発現プラスミドにクローニングされて、宿主(例えば微生物または植物)によって発現され得る。SUSコード配列はSUC2(スクロース加水分解酵素)欠損S.cerevisiae株によって発現されて、酵母による細胞外のスクロースの分解を回避し得る。スクロースシンターゼは、かかる株によって、スクロース輸送体(例えば、A.thaliana SUC1輸送体またはその機能的なホモログ)および1つまたは2つ以上のUGT(例えばUGT85C2、UGT74G1、UGT76G1、EUGT11およびUGT91D2eまたはそれらの機能的なホモログの1つまたは2つ以上)と組み合わせて発現され得る。スクロースを含有する培地によって宿主を培養することは、UDP−グルコースおよび1つまたは2つ以上のグルコシド(例えばステビオールグルコシド)の生産を促進し得る。尚、場合によっては、スクロースシンターゼおよびスクロース輸送体が、特定の化合物(例えばステビオール)の生産用の組み換え体である宿主細胞によってUGTと一緒に発現され得る。
【0114】
C.4.スクアレンシンターゼポリペプチド
内在性のスクアレンシンターゼ遺伝子の発現は、本明細書に記載の組み換え宿主内にあって改変され得、例えば、スクアレンシンターゼをコードする遺伝子のプロモーターまたはスクアレンシンターゼをコードするオープンリーディングフレーム(ORF)の5’末端のゲノム配列の一部に対してそれぞれ相同な、2つの領域を含有する核酸構築物を用いる。酵母では、例えば、かかる構築物は、ERG9プロモーターまたはERG9オープンリーディングフレームの5’末端のゲノム配列の一部に対してそれぞれ相同な2つの領域を含有し得る。構築物は、酵母の野生型ScKex2または野生型ScCyc1などのプロモーターをさらに含み得る。プロモーターは、その3’末端にヘアピンなどの異種挿入物をさらに含み得る。ORFによってコードされるポリペプチドは、少なくとも70%の同一性をスクアレンシンターゼ(EC2.5.1.21)またはその生物活性断片に対して有し、この断片は少なくとも100アミノ酸の重ね合わせの範囲において少なくとも70%の配列同一性をスクアレンシンターゼに対して有する。例えばPCT/US2012/050021参照。
【0115】
異種挿入物は、ヘアピンループを有するヘアピンの2次構造エレメントを適用し得る。異種挿入物の配列は一般式(I):
−X1−X2−X3−X4−X5
を有する。
X2は少なくとも4個の連続したヌクレオチドを含み、これはX4の少なくとも4個の連続したヌクレオチドに対して相補的であり、X4と一緒になってヘアピン2次構造エレメントを形成する。X3は任意であるが、存在する場合には、X2とX4との間にヘアピンループを形成することに関与するヌクレオチドを含む。
【0116】
X1およびX5は、それぞれ任意に1つまたは2つ以上のヌクレオチドを含む。X2の少なくとも4ヌクレオチドの連続した配列がX4の少なくとも4ヌクレオチドの連続した配列に対して相補的である限り、X2およびX4はそれぞれいずれか好適な個数のヌクレオチドからなり得る。いくつかの態様において、X2およびX4は同数のヌクレオチドからなる。
【0117】
異種挿入物は、ヘアピンを完成させるに足りるほど長いが、異種挿入物の直ぐ3’側にインフレームで存在するORFの限定的な翻訳を可能にするに足りるほど短い。通常は、異種挿入物は、長さ10〜50ヌクレオチド、例えば長さ10〜30ヌクレオチド、15〜25ヌクレオチド、17〜22ヌクレオチド、18〜21ヌクレオチド、18〜20ヌクレオチドまたは19ヌクレオチドである。
【0118】
X2は例えば4〜25ヌクレオチドの範囲、例えば4〜20、4〜15、6〜12、8〜12または9〜11ヌクレオチドの範囲からなり得る。
X4は、例えば4〜25ヌクレオチドの範囲、例えば4〜20、4〜15、6〜12、8〜12または9〜11ヌクレオチドの範囲からなり得る。
【0119】
いくつかの態様において、X2は、X4のヌクレオチド配列に対して相補的なヌクレオチド配列からなり、X2の全ヌクレオチドはX4のヌクレオチド配列に対して相補的である。
X3は不在であり得る。すなわちX3は0個のヌクレオチドからなり得る。X3が1〜5ヌクレオチドの範囲、例えば1〜3ヌクレオチドの範囲からなることも可能である。
【0120】
X1は不在であり得る。すなわちX1は0個のヌクレオチドからなり得る。X1が1〜25ヌクレオチドの範囲、例えば1〜20、1〜15、1〜10、1〜5または1〜3ヌクレオチドの範囲からなることも可能である。
X5は不在であり得る。すなわち、X5は0個のヌクレオチドからなり得る。X5が1〜5ヌクレオチドの範囲、例えば1〜3ヌクレオチドの範囲からなることも可能である。
【0121】
異種挿入物は、本明細書に記載の要件を満たす任意の適当な配列であり得る。例えば、異種挿入物はtgaattcgttaacgaattc(配列番号81)、tgaattcgttaacgaactc(配列番号82)、tgaattcgttaacgaagtc(配列番号83)またはtgaattcgttaacgaaatt(配列番号84)を含み得る。
【0122】
特定の機序に拘束されるものではないが、酵母によるERG9の発現は、RNAとリボソームとの結合を少なくとも部分的に立体的に妨害して、スクアレンシンターゼの翻訳を減少させることによって減らされ得る。構築物を用いることは、ファルネシルピロリン酸からスクアレンへの回転率を下げ得、ならびに/またはファルネシルピロリン酸、イソペンテニルピロリン酸、ジメチルアリルピロリン酸、ゲラニルピロリン酸およびゲラニルゲラニルピロリン酸からなる群から選択される化合物の蓄積を増強し得る。
【0123】
場合によっては、本明細書に記載の組み換え宿主を培養時にスクアレンシンターゼ阻害剤を含むことが有利であり得る。例えばラパキスタットによるスクアレンシンターゼの薬物的阻害は当分野では公知である。他のスクアレンシンターゼ阻害剤はザラゴジン酸およびRPR107393を含む。したがって一態様において、本明細書に定められる方法(単数または複数)の培養ステップはスクアレンシンターゼ阻害剤の存在下において実施される。
【0124】
いくつかの態様において、本明細書に記載の組み換え酵母宿主はERG9オープンリーディングフレームに変異を有する。
いくつかの態様において、本明細書に記載の組み換え酵母宿主はERG9[Δ]::HIS3欠失/挿入アレルを含有する。
【0125】
D.機能的なホモログ
本明細書に記載のポリペプチドの機能的なホモログも、組み換え宿主によってステビオールまたはステビオールグリコシドを生産する際の使用に好適である。機能的なホモログは、参照ポリペプチドに対する配列類似性を有し、且つ参照ポリペプチドの生化学的または生理的機能(単数または複数)の1つまたは2つ以上を果たすポリペプチドである。機能的なホモログおよび参照ポリペプチドは天然に存在するポリペプチドであり得、配列類似性は収斂または分岐進化イベントに起因し得る。したがって、機能的なホモログは、文献中、ホモログもしくはオルソログまたはパラログと呼ばれることもある。天然に存在する機能的なホモログのバリアント(例えば、野生型のコード配列の変異体によってコードされるポリペプチド)は、それら自体が機能的なホモログとなり得る。機能的なホモログは、ポリペプチドのコード配列の部位特異的変異導入によって、または異なる天然に存在するポリペプチド同士のコード配列に由来するドメインを組み合わせることによって、作製され得る(「ドメインスワッピング」)。本明細書に記載の機能的なUGTポリペプチドをコードする遺伝子を改変するための技術は公知であり、特に指向性進化技術、部位特異的変異導入技術およびランダム変異導入技術を含み、望ましくポリペプチドの特異的活性を増大させる、基質特異性を改変する、発現レベルを改変する、細胞内局在部位を改変する、または、ポリペプチド間相互作用を改変する、ために有用であり得る。かかる改変ポリペプチドは機能的なホモログと考えられる。用語「機能的なホモログ」は場合によっては機能的に相同なポリペプチドをコードする核酸に適用される。
【0126】
機能的なホモログは、ヌクレオチドおよびポリペプチド配列アラインメントの分析によって同定され得る。例えば、ヌクレオチドあるいはポリペプチド配列のデータベース上でクエリーを行うことは、ステビオールまたはステビオールグリコシド生合成ポリペプチドあるいは輸送体遺伝子もしくは蛋白質または少なくとも1つの輸送体遺伝子の発現を制御する転写因子遺伝子もしくは蛋白質のホモログを同定できる。配列解析は非冗長データベースのBLAST、Reciprocal BLASTまたはPSI-BLAST解析を含み、GGPPS、CDPS、KS、KO、KAHまたは輸送体もしくは転写因子のアミノ酸配列を参照配列として用い得る。アミノ酸配列は場合によってヌクレオチド配列から推測される。40%超の配列同一性を有するデータベースのポリペプチドは、ステビオールまたはステビオールグリコシド生合成ポリペプチドの機能的なホモログとしてまたは輸送体蛋白質もしくは少なくとも1つの輸送体遺伝子の発現を制御する転写因子の機能的なホモログとしての適性について、さらなる検討の候補となる。アミノ酸配列の類似性は、保存的アミノ酸置換、例えば1つの疎水性残基からもう1つの疎水性残基への置換または1つの極性残基からもう1つの極性残基への置換を可能にする。必要ならば、さらに検討されるべき候補数を絞り込むためにかかる候補のマニュアル検査が実施され得る。マニュアル検査は、ステビオール生合成ポリペプチドまたは輸送体蛋白質もしくは少なくとも1つの輸送体遺伝子の発現を制御する転写因子の中に存在するドメイン(例えば保存された機能ドメイン)を有するように見える候補を選択することによって実施され得る。
【0127】
保存された領域は、ステビオールもしくはステビオールグリコシド生合成ポリペプチドまたは輸送体遺伝子もしくは少なくとも1つの輸送体遺伝子の発現を制御する転写因子の1次アミノ酸配列中にあり、繰返し配列である、何らかの2次構造(例えばヘリックスおよびβシート)を形成する、正もしくは負荷電ドメインを示す、または、蛋白質モチーフもしくはドメインに相当する領域を位置づける、ことによって同定され得る。例えば、様々な蛋白質モチーフおよびドメインのコンセンサス配列を記載しているPfamウェブサイト参照(ワールドワイドウェブ上、sanger.ac.uk/Software/Pfam/およびpfam.janelia.org/)。Pfamデータベースに含まれる情報はSonnhammer et al. Nucl. Acids Res. 26: 320-322 (1998)、Sonnhammer et al. Proteins 28: 405-420 (1997)およびBateman et al. Nucl. Acids Res. 27: 260-262 (1999) に記載されている。保存された領域は、近縁種由来の同一または同族のポリペプチド同士の配列をアラインメントすることによっても確認され得る。近縁種は好ましくは同じ科であり得る。いくつかの態様において、2種類の種に由来する配列のアラインメントが十分である。
【0128】
通常は、少なくとも約40%のアミノ酸配列同一性を示すポリペプチド同士は、保存された領域を同定するために有用である。同族のポリペプチドの保存された領域は少なくとも45%のアミノ酸配列同一性(例えば少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%または少なくとも90%のアミノ酸配列同一性)を示す。いくつかの態様において、保存された領域は少なくとも92%、94%、96%、98%または99%のアミノ酸配列同一性を示す。
【0129】
例えば、組み換え宿主によってステビオールグリコシドを生産するのに好適なポリペプチドは、EUGT11、UGT91D2e、UGT91D2m、UGT85CおよびUGT76Gの機能的なホモログを含む。かかるホモログは、90%超(例えば少なくとも95%または99%)の配列同一性を、PCT出願第PCT/US2012/050021号に記載のEUGT11、UGT91D2e、UGT91D2m、UGT85CまたはUGT76Gのアミノ酸配列に対して有する。EUGT11、UGT91D2、UGT85CおよびUGT76Gポリペプチドのバリアントは、1次アミノ酸配列の10個以下のアミノ酸置換、例えば7個以下のアミノ酸置換、5個もしくは保存的アミノ酸置換または1〜5個の置換を通常は有する。ただしいくつかの態様において、EUGT11、UGT91D2、UGT85CおよびUGT76Gポリペプチドのバリアントは10個以上のアミノ酸置換(例えば10、15、20、25、30、35、10〜20、10〜35、20〜30または25〜35個のアミノ酸置換)を有し得る。置換は保存的であり得、いくつかの態様において非保存的であり得る。UGT91D2eポリペプチドの非保存的な変化の限定しない例は、グリシンからアルギニンおよびトリプトファンからアルギニンを含む。UGT76Gポリペプチドの非保存的置換の限定しない例は、バリンからグルタミン酸、グリシンからグルタミン酸、グルタミンからアラニン、および、セリンからプロリンを含む。UGT85Cポリペプチドの変化の限定しない例は、ヒスチジンからアスパラギン酸、プロリンからセリン、リシンからトレオニン、および、トレオニンからアルギニンを含む。
【0130】
いくつかの態様において、有用なUGT91D2ホモログは、予測されるループの外側のポリペプチド領域にアミノ酸置換(例えば保存的アミノ酸置換)を有し得る。例えば、残基20〜26、39〜43、88〜95、121〜124、142〜158、185〜198および203〜214はN末端ドメインの予測されるループであり、残基381〜386はUGT91D2e(配列番号54参照)のC末端ドメインの予測されるループである。例えば、有用なUGT91D2ホモログは少なくとも1つのアミノ酸置換を残基1〜19、27〜38、44〜87、96〜120、125〜141、159〜184、199〜202、215〜380または387〜473の位置に含み得る。いくつかの態様において、UGT91D2ホモログは、残基30、93、99、122、140、142、148、153、156、195、196、199、206、207、211、221、286、343、427および438からなる群から選択される1つまたは2つ以上の残基の位置にアミノ酸置換を有し得る。例えば、UGT91D2の機能的なホモログは、残基206、207および343の1つまたは2つ以上のアミノ酸置換、例えば残基206のアルギニン、残基207のシステインおよび残基343のアルギニンを有し得る。例えば配列番号86参照。
【0131】
UGT91D2の他の機能的なホモログは次の1つまたは2つ以上を有し得る:残基30のチロシンまたはフェニルアラニン、残基93のプロリンまたはグルタミン、残基99のセリンまたはバリン、残基122のチロシンまたはフェニルアラニン、残基140のヒスチジンまたはチロシン、残基142のセリンまたはシステイン、残基148のアラニンまたはトレオニン、残基152のメチオニン、残基153のアラニン、残基156のアラニンまたはセリン、残基162のグリシン、残基195のロイシンまたはメチオニン、残基196のグルタミン酸、残基199のリシンまたはグルタミン酸、残基211のロイシンまたはメチオニン、残基213のロイシン、残基221のセリンまたはフェニルアラニン、残基253のバリンまたはイソロイシン、残基286のバリンまたはアラニン、残基427のリシンまたはアスパラギン、残基438のアラニン、および、残基462のアラニンまたはトレオニン。別の態様において、UGT91D2の機能的なホモログは、残基211のメチオニンおよび残基286のアラニンを含有する。
【0132】
いくつかの態様において、有用なUGT85Cホモログは1つまたは2つ以上のアミノ酸置換を残基9、10、13、15、21、27、60、65、71、87、91、220、243、270、289、298、334、336、350、368、389、394、397、418、420、440、441、444および471に有し得る。有用なUGT85Cホモログの限定しない例は、(配列番号30に関して)残基65(例えば残基65の例えばセリン)、残基65且つ残基15(残基15のロイシン)、270(例えば、残基270のメチオニン、アルギニンまたはアラニン)、418(例えば残基418のバリン)、440(例えば残基440の残基のアスパラギン酸)、または441(例えば残基441のアスパラギン)、残基13(例えば残基13のフェニルアラニン)、15、60(例えば残基60のアスパラギン酸)、270、289(例えば残基289のヒスチジン)、および418の置換、残基13、60および270の置換、残基60および87の置換(例えば残基87のフェニルアラニン)、残基65、71(例えば残基71のグルタミン)、220(例えば残基220のトレオニン)、243(例えば残基243のトリプトファン)および270の置換、残基65、71、220、243、270および441の置換、残基65、71、220、389(例えば残基389のバリン)および394(例えば残基394のバリン)の置換、残基65、71、270および289の置換、残基220、243、270および334の置換(例えば残基334のセリン)あるいは残基270および289の置換、を有するポリペプチドを含む。次のアミノ酸変異は85C2ポリペプチドの活性低下をもたらさなかった:V13F、F15L、H60D、A65S、E71Q、I87F、K220T、R243W、T270M、T270R、Q289H、L334S、A389V、I394V、P397S、E418V、G440DおよびH441N。活性なクローン中に見られたさらなる変異は、K9E、K10R、Q21H、M27V、L91P、Y298C、K350T、H368R、G420R、L431P、R444GおよびM471Tを含む。いくつかの態様において、UGT85C2は置換を位置65(例えばセリン)、71(グルタミン)、270(メチオニン)、289(ヒスチジン)および389(バリン)に有する。
【0133】
ヒトMDM2蛋白質の最初の158アミノ酸のN末端インフレーム融合物を有するStevia rebaudiana UGTの74G1、76G1および91D2eならびに合成PMIペプチドの4つの繰り返し(4×TSFAEYWNLLSP、配列番号87)のN末端インフレーム融合物を有するStevia rebaudiana UGT85C2のアミノ酸配列は、配列番号88、89、90および91に示されている。
【0134】
いくつかの態様において、有用なUGT76Gホモログは、1つまたは2つ以上のアミノ酸置換を配列番号85の残基29、74、87、91、116、123、125、126、130、145、192、193、194、196、198、199、200、203、204、205、206、207、208、266、273、274、284、285、291、330、331および346の位置に有し得る。
【0135】
有用なUGT76Gホモログの限定しない例は、残基74、87、91、116、123、125、126、130、145、192、193、194、196、198、199、200、203、204、205、206、207、208および291、残基74、87、91、116、123、125、126、130、145、192、193、194、196、198、199、200、203、204、205、206、207、208、266、273、274、284、285および291、または、残基74、87、91、116、123、125、126、130、145、192、193、194、196、198、199、200、203、204、205、206、207、208、266、273、274、284、285、291、330、331および346の位置に置換を有するポリペプチドを含む。表10参照。
【0137】
例えばEUGT11またはUGT91D2eの基質特異性を改変するための方法は当業者にとって公知であり、限定なしに、部位特異的/合理的変異導入法、ランダム指向性進化法およびランダム変異導入/飽和技術が酵素の活性部位近辺において実施される組み合わせを含む。例えばOsmani et al. Phytochemistry 70: 325-347 (2009)を参照。
【0138】
候補配列は、参照配列の長さの80%〜200%、例えば参照配列の長さの82、85、87、89、90、93、95、97、99、100、105、110、115、120、130、140、150、160、170、180、190または200%の長さを通常は有する。機能的なホモログポリペプチドは、参照配列の長さの95%〜105%、例えば参照配列の長さの90、93、95、97、99、100、105、110、115もしくは120%またはその間の任意の範囲の長さを通常は有する。任意の候補核酸またはポリペプチドが参照核酸またはポリペプチドに対して示す同一性(%)は、次のように決められる。参照配列(例えば核酸配列またはアミノ酸配列)が、1つまたは2つ以上の候補配列に対して計算機プログラムClustalW(version 1.83、デフォルトのパラメータ)を用いてアラインメントされる。これは、核酸またはポリペプチド配列のアラインメントがそれらの全長に渡って実行されることを可能にする(グローバルアラインメント)。Chenna et al., Nucleic Acids Res., 31(13):3497-500 (2003)。
【0139】
ClustalWは、参照と1つまたは2つ以上の候補配列との間のベストマッチを計算してそれらをアラインメントする。その結果として同一性、類似性および差異が決定され得る。1つまたは2つ以上の残基のギャップが参照配列、候補配列または両方に挿入されて、配列アラインメントが最大化され得る。核酸配列の高速ペアワイズアラインメントには次のデフォルトパラメータが用いられる:word size:2、window size:4、scoring method:%、number of top diagonals:4、gap penalty:5。核酸配列のマルチプルアラインメントには次のパラメータが用いられる:gap opening penalty:10.0、gap extension penalty:5.0、weight transitions:yes。蛋白質配列の高速ペアワイズアラインメントには、次のパラメータが用いられる:word size:1、window size:5、scoring method:%、number of top diagonals:5、gap penalty:3。蛋白質配列のマルチプルアラインメントには次のパラメータが用いられる:weight matrix:blosum、gap opening penalty:10.0、gap extension penalty:0.05、hydrophilic gaps:on、hydrophilic residues:Gly、Pro、Ser、Asn、Asp、Gln、Glu、ArgおよびLys、residue-specific gap penalties:on。ClustalWの出力は、配列間の関係性を反映した配列アラインメントである。ClustalWは、例えばワールドワイドウェブのベイラー医科大学の検索ランチャーサイト(searchlauncher.bcm.tmc.edu/multi-align/multi-align.html)およびワールドワイドウェブの欧州バイオインフォマティクス研究所サイト(ebi.ac.uk/clustalw)において実行され得る。
【0140】
候補の核酸またはアミノ酸配列が参照配列に対して示すパーセント同一性を求めるために、配列はClustalWを用いてアラインメントされ、アラインメント中の同一のマッチの個数が参照配列の長さによって除算され、結果は100によって乗算される。尚、パーセント同一性の値は小数第1位に丸められ得る。例えば、78.11、78.12、78.13および78.14は切り下げられて78.1となるが、78.15、78.16、78.17、78.18および78.19は切り上げられて78.2となる。
【0141】
当然のことながら、機能的なUGTは、酵素が果たすグルコシル化または他の酵素活性には関与しないさらなるアミノ酸を含み得る。したがって、かかるポリペプチドはそうでない場合よりも長くなり得る。例えば、EUGT11ポリペプチドは、精製タグ(例えばHISタグまたはGSTタグ)、葉緑体トランジットペプチド、ミトコンドリアトランジットペプチド、アミロプラストペプチド、シグナルペプチドまたは排出タグをアミノまたはカルボキシ末端に付加されて含み得る。いくつかの態様において、EUGT11ポリペプチドがレポーター(例えば緑色蛍光蛋白質または黄色蛍光蛋白質)として働くアミノ酸配列を含む。
【0142】
II.ステビオールおよびステビオールグリコシドの生合成核酸
本明細書に記載のポリペプチドをコードする組み換え遺伝子は、そのポリペプチドを発現するのに好適な1つまたは2つ以上の制御領域とセンスの向きに作動可能に連結されたそのポリペプチドのコード配列を含む。多くの微生物はポリシストロニックmRNAから複数の遺伝子産物を発現できるので、複数のポリペプチドが必要に応じてそれらの微生物では1つの制御領域の制御下で発現され得る。コード配列および制御領域は、制御領域が配列の転写または翻訳を制御するのに有効であるように制御領域およびコード配列が位置する場合に、作動可能に連結されていると見なされる。通常は、コード配列の翻訳の読み枠の翻訳開始部位はモノシストロニック遺伝子の制御領域の1〜約50ヌクレオチド下流に位置する。
【0143】
多くの場合には、本明細書に記載のポリペプチドのコード配列は組み換え宿主以外の種において見出され、すなわち異種核酸である。したがって、組み換え宿主が微生物である場合、コード配列は他の原核もしくは真核微生物由来、植物由来または動物由来であり得る。しかしながら場合によっては、コード配列は宿主にとって天然の配列であり、その生物内に再導入される。天然の配列は、外来性の核酸に連結された非天然配列(例えば、組み換え核酸構築物中の天然の配列の外側にある非天然の制御配列)の存在によって、天然に存在する配列から多くの場合に判別され得る。さらに、安定に形質転換された外来性の核酸は、天然の配列が見出される位置以外の位置に通常はインテグレートされる。「制御領域」は、転写または翻訳の開始および速度ならびに転写または翻訳の産物の安定性および/または移動性に影響するヌクレオチド配列を有する核酸を指す。
【0144】
制御領域は、限定なしに、プロモーター配列、エンハンサー配列、応答エレメント、蛋白質認識部位、誘導性エレメント、蛋白質結合配列、5’および3’非翻訳領域(UTR)、転写開始部位、終結配列、ポリアデニル化配列、イントロンならびにそれらの組み合わせを含む。制御領域は少なくともコア(基本)プロモーターを通常は含む。制御領域は、少なくとも1つの調節エレメント、例えばエンハンサー配列、上流エレメントまたは上流活性化領域(UAR)も含み得る。制御領域は、制御領域が配列の転写または翻訳を制御するのに有効であるように制御領域およびコード配列を配置することによって、コード配列と作動可能に連結される。例えば、コード配列とプロモーター配列とを作動可能に連結するためには、コード配列の翻訳の読み枠の翻訳開始部位はプロモーターの1〜約50ヌクレオチド下流に通常は位置する。しかしながら、制御領域は翻訳開始部位の約5,000ヌクレオチドも上流に、または、転写開始部位の約2,000ヌクレオチドも上流に位置し得る。
【0145】
含まれるべき制御領域の選択はいくつかの因子によって左右され、効率、選択性、誘導性、所望の発現レベルおよび特定の培養ステージにおける優先的発現を含むが、これらに限定されない。コード配列に対して制御領域を適切に選択および配置することによってコード配列の発現を調節することは、当業者にとって慣行である。当然のことながら、複数の制御領域、例えばイントロン、エンハンサー、上流の活性化領域、転写ターミネーターおよび誘導性エレメントが存在し得る。
【0146】
ステビオールおよび/またはステビオールグリコシドの生産の特定の局面にとって有用な「モジュール」として、1つの組み換え核酸構築物の中に1つまたは2つ以上の遺伝子が組み合わされ得る。複数の遺伝子を組み合わせてモジュール、特にポリシストロニックなモジュールとすることは、様々な種へのモジュールの使用を容易にする。例えば、ステビオール生合成遺伝子クラスターまたはUGT遺伝子クラスターが組み合わされて1つのポリシストロニックなモジュールとなり、その結果として、好適な制御領域の挿入後にモジュールが様々な種に導入されるようにできる。別の例として、各UGTコード配列が別の制御領域と作動可能に連結されてUGTモジュールを生ずるように、UGT遺伝子クラスターが組み合わされ得る。かかるモジュールは、モノシストロニックな発現が必要であるまたは望ましい種に用いられ得る。ステビオールまたはステビオールグリコシドの生産にとって有用な遺伝子に加えて、組み換え構築物は、複製起点と適切な種による構築物の維持のための1つまたは2つ以上の選択マーカーとを通常はさらに含有している。
【0147】
当然のことながら、遺伝暗号の縮重性ゆえに、複数の核酸が1つの特定のポリペプチドをコードし得る。すなわち、多くのアミノ酸ではそのアミノ酸のコドンとして働く複数のヌクレオチドトリプレットが存在している。したがって所与のポリペプチドのコード配列中のコドンは、特定の宿主による最適な発現が得られるように、その宿主(例えば微生物)の適切なコドンバイアス表を用いて改変され得る。単離された核酸として、それらの改変配列は精製された分子として存在し得、ベクターまたはウィルス中に取り込まれて組み換え核酸構築物用のモジュールを構築するために用いられ得る。
【0148】
場合によっては、代謝中間体をステビオールまたはステビオールグリコシド生合成に向けるために、内在性のポリペプチドの1つまたは2つ以上の機能を阻害することが望ましい。例えば、スクアレンエポキシダーゼの下方制御によって、ステビオールまたはステビオールグリコシドの生産をさらに増大させるために、酵母株によるステロールの合成を下方制御することが望ましくあり得る。別の例として、一部の内在性の遺伝子産物の分解作用(例えば、2次代謝産物のグルコース部分を除去するグリコヒドロラーゼまたは本明細書に記載のホスファターゼ)を阻害することが望ましくあり得る。別の例として、ステビオールグリコシドの輸送に関与する膜輸送体の発現が阻害されて、それによってグリコシル化ステビオシドの排出が阻害され得る。ステビオールグリコシドの排出が微生物の培養中に所望の期間阻害され、それによって回収時のグリコシド産物(単数または複数)の収量を増大させ得るという点で、かかる制御は有利であり得る。かかる場合には、ポリペプチドまたは遺伝子産物の発現を阻害する核酸が、株に形質転換される組み換え構築物中に含まれ得る。または変異導入が用いられて、機能を阻害することが望まれる遺伝子の変異体を作製し得る。
【0149】
III.輸送体の発現
本願は、内在性の輸送体遺伝子の発現が改変されたまたは異種輸送体遺伝子が発現された組み換え宿主細胞に関する。いくつかの態様において、内在性のプロモーターを異なるプロモーターによって置換することによって内在性の輸送体の発現が改変されて、輸送体蛋白質の増大した発現をもたらし得る(例えば発現の少なくとも5%の増大、例えば発現の少なくとも10%、15%、20%または25%の増大)。例えば、内在性のプロモーターが構成的または誘導性プロモーターによって置換されて、これが輸送体の増大した発現をもたらし得る。輸送体の増大した発現をもたらす別のプロモーターによって内在性の遺伝子のプロモーターを置換するために、相同組み換えが用いられ得る。別の態様において、誘導性または構成的プロモーターと内在性の輸送体または転写因子遺伝子とが、相同組み換えを用いてゲノムの異なる遺伝子座にインテグレーションされ得る。別の態様において、微生物による輸送体の過剰発現をもたらすプロモーターを有する外来性のプラスミドを用いて、微生物内に輸送体遺伝子が導入され得る。さらに別の態様において、外来性のプラスミドは輸送体遺伝子の複数コピーを含有し得る。さらなる態様において、内在性の輸送体は、組み換え微生物の天然の機構を用いて過剰発現されるように誘導され得る(例えば熱ショック、ストレス、重金属または抗生物質の曝露)。例えば、オリゴマイシンおよび/またはカドミウムが培養培地に添加されて(YOR1の発現がこれらの分子によって誘導され得る)、YOR1の発現を増大させ、それによってステビオールグリコシドの排出を増大させ得る。例えば、Hallstrom & Moye-Rowley (1998) JBC 273(4): 2098-104、Nagy et al, (2006) Biochimie. 88(11): 1665-71およびKatzmann et al., (1995) Mol Cell Biol. 15(12):6875-83を参照。
【0150】
本明細書に記載のように、一部の内在性の輸送体の発現を増大させることまたは組み換え宿主によって異種輸送体を発現すること(例えば、S.cerevisiaeなどの微生物によってS.rebaudiana輸送体を発現すること)は、ステビオールグリコシドをより効率的に生産および分泌する能力をその宿主に与え得る。宿主の培養時に生産された細胞外および/または細胞内のステビオールグリコシドの量は、本明細書に記載のように液体クロマトグラフィー−質量分析(LC−MS)によって測定され得る。
【0151】
輸送体(膜輸送蛋白質とも呼ばれる)は、生体膜を横切る分子およびイオンの移動に関与する膜蛋白質である。輸送体は、それ自体が局在して物質を通過させる膜にまたがっている。輸送体は、促進された拡散によってまたは能動輸送によって種々の物質を移動するように働き得る。輸送蛋白質は輸送体分類データベースの種々の基準に従って分類されている。Saier Jr. et al., Nucl. Acids Res., 37:D274-278 (2009) を参照。形質膜輸送体の2つのファミリーは現存する生物において普遍的だと考えられている。ATP結合カセット(ABC)輸送体およびMajor Facilitatorスーパーファミリー(MFS)輸送体である。ATP結合カセット輸送体(ABC輸送体)は膜貫通蛋白質であり、アデノシン三リン酸(ATP)の加水分解エネルギーを利用して、膜を通して種々の基質のトランスロケーションを行う。これらは、様々な基質(代謝産物、脂質およびステロールならびに薬物を含む)を細胞外および細胞内の膜を通して輸送できる。蛋白質はそれらのATP結合カセットドメインの配列および構成に基づいてABC輸送体に分類される。通常は、ABCファミリー輸送体は多成分1次性能動輸送体であり、ATP加水分解に応答して分子を輸送できる。内在性のABC輸送体遺伝子の限定しない例は、PDR5、PDR10、PDR15、SNQ2、YOR1、YOL075cおよびPDR18の遺伝子(またはその機能的なホモログ)を含む。
【0152】
Major Facilitatorスーパーファミリー(MFS)輸送体は、化学浸透イオン勾配に応じて小さい溶質を輸送できるポリペプチドである。Saier, Jr. et al., J. Mol. Microbiol. Biotechnol. 1: 257-279 (1999)。MFS輸送体ファミリーは場合によっては単輸送体−共輸送体−対向輸送体ファミリーとも呼ばれる。MFS輸送体は特に糖の取り込みおよび薬物排出系で働く。MFS輸送体は保存されたMFS特異的モチーフを通常は有する。内在性のMFS輸送体遺伝子の限定しない例は、TPO1、TPO3およびFLR1遺伝子座の遺伝子(またはその機能的なホモログ)を含む。
【0153】
他の輸送体ファミリーは、SMR(小型の多剤耐性)ファミリー、RND(耐性−根粒形成−細胞分裂)ファミリーおよびMATE(多剤・毒性化合物排出)ファミリーを含む。SMRファミリーのメンバーは4つのαヘリックスの膜貫通鎖を特徴とする内在性膜蛋白質であり、広範な殺菌剤、親油性第4級アンモニウム化合物(QAC)およびアミノグリコシド耐性に対する細菌の耐性をもたらす。Bay and Turner, BMC Evol Biol, 9: 140 (2009)を参照。例えば、Escherichia coliのEmrE排出輸送体(GenBank BAE76318.1、配列番号92)はアミノグリコシド耐性に関与する。ホモオリゴマーであり、正荷電の芳香族系薬物(すなわちメチルビオロゲンまたはエチジウム)を2個のプロトンと引き換えに排出する。
【0154】
RNDファミリーのメンバーはグラム陰性細菌を含めて広く存在しており、多くの抗生物質および化学療法薬の能動的排出を触媒する。Nikaido and Takatsuk, Biochim Biophys Acta., 1794(5):769-81 (2009) を参照。例示的な蛋白質はEscherichia coliのAcrABであり、これはエリスロマイシンD輸送に関与する(GenBank:BAE76241.1(配列番号93)およびAAA23410.1(配列番号94))。
【0155】
MATEファミリーメンバーは12個の膜貫通(TM)ドメインを含有している。MATEファミリーのメンバーは原核生物、Saccharomyces cerevisiaeおよびSchizosaccharomyces pombeなどの酵母ならびに植物に見出されている。Diener et al., Plant Cell. 13(7): 1625-1638 (2001)。MATEファミリーのメンバーはナトリウムまたはプロトン対向輸送体である。例示的な標的分子はE.coliのydhE(GenBank AAB47941.1、配列番号95)であり、フルオロキノロン、カナマイシン、ストレプトマイシン、他のアミノグリコシドおよびベルベリンを輸送する。
【0156】
A.転写因子
転写因子の発現の改変も、輸送体の発現を増大させるために用いられ得る。例えば、酵母の転写因子PDRlおよび/またはPDR3は、ABC輸送体PDR5、SNQ2、およびYOR1をコードする遺伝子の発現を制御する。したがって、いくつかの態様において、内在性のPDR1およびPDR3遺伝子座のプロモーターが異なるプロモーターによって置換されて、転写因子の増大した発現をもたらし得る。これは、内在性の輸送体の増大した生産をもたらし得る。別の態様において、微生物による転写因子の過剰発現をもたらすプロモーターを有する外来性のプラスミドを用いて、転写因子が微生物内に導入され得る。さらに別の態様において、外来性のプラスミドは転写因子の複数コピーも有し得る。さらなる態様において、内在性の転写因子は、組み換え微生物の天然の機構を用いて活性化または過剰発現誘導され得る(例えば熱ショック、ストレス、重金属または抗生物質の曝露)。
【0157】
B.ステビオール経路中間体の排出を変化させる遺伝子の同定
ステビオール経路中間体の排出を変化させる遺伝子を同定するための方法が本明細書に開示される。かかる方法は、少なくとも1つの内在性の輸送体遺伝子を不活性化すること、または少なくとも1つの輸送体遺伝子の発現を改変することを含み得る。通常は変異体微生物のライブラリーが調製され、ライブラリーの各変異体は別々の内在性の輸送体遺伝子を不活性化されている。いくつかの態様において、別の内在性の輸送体遺伝子の発現がライブラリーの各微生物について改変される。改変が加えられる元の微生物はステビオールグリコシド経路遺伝子を欠いており得るが、必要ならばかかる遺伝子の1つまたは2つ以上を含み得る。通常は、ステビオールグリコシド経路遺伝子の非存在下において改変を加え、所望の種々の標的グリコシド産物の生産を容易にする経路遺伝子を次に導入することがより便利である。1つまたは2つ以上のステビオールグリコシド経路遺伝子を含有する変異体微生物は、ステビオールまたはステビオールグリコシドが合成される条件の培地によって培養され、微生物によって生産された細胞外および/または細胞内のステビオールグリコシド経路の中間体の量は本明細書に記載のように(例えばLC-MSを用いて)測定される。
【0158】
特徴付けされる中間体(単数または複数)は、微生物の問題となっている具体的な経路に応じて決まる。例えば、76G1、74G1、91D2e、および85C2のUGTを発現する微生物(下記)は、標的産物のレバウジオシドAをステビオールから中間体化合物のステビオール−19−O−グルコシド(19−SMG)、ルブソシドおよびステビオシドを経て合成できる。
図1参照。したがって、レバウジオシドAが標的産物である場合、微生物によって培養上清中に排出された19−SMGの量および微生物内に保持された19−SMGの量が測定され得る。微生物の培養によって生産された1つの中間体の量または各中間体の量が測定され得る。変異体微生物によって生産された細胞外の経路中間体(単数または複数)の量が輸送体遺伝子に関して野生型の相当する微生物によって生産された量よりも多い場合、内在性の輸送体遺伝子はステビオール経路中間体の排出を変化させるものとして同定される。輸送体が他の中間体の排出を変化させるかどうかを確認するために同様の方法が用いられ得る。
【0159】
IV.内在性の輸送体の不活性化
本願は、1つまたは2つ以上の不活性化された内在性の輸送体遺伝子を含む組み換え宿主に関し得る。内在性の輸送体遺伝子は、通常は、遺伝子の発現を破壊すること、または、変異を有する宿主の輸送体活性を減少させるかもしくはさらには完全に排除する変異を導入すること(例えば1つまたは2つ以上の内在性の輸送体遺伝子の破壊)によって不活性化される。その結果として、宿主は破壊された遺伝子によってコードされる輸送体について輸送体の減少した発現または活性を有する。
【0160】
いくつかの態様において、ノックアウトされる輸送体はより高分子量のレバウジオシド(例えばRebA)の排出に特異性を有し得、したがって培地中へのRebAの排出が望まれる株による過剰発現に有用であり得る。経路のUGTの発現によるグリコシル化活性の比率の適切なバランスによって、より低分子量のステビオールグリコシドはさらにグリコシル化された後に培地中に排出される。例えば、UGT74G1およびUGT85C2酵素と比較してUGT76G1およびUGT91D2eならびに/またはEUGT11のより高い発現レベルは、より容易に排出されるステビオールモノグルコシドの蓄積を妨げ得る。UGTの活性レベルが輸送速度よりも高い(したがってグリコシル化速度がより速い)場合、より高分子量のステビオールグリコシドが生産されることになる。
【0161】
多くの輸送体は重複する基質特異性を有しており、一部の輸送体の破壊は他の輸送体の上方制御によって補償されるので、複数の不活性化された輸送体遺伝子を有する宿主を作製することが多くの場合に有用である。例えば、本明細書に記載のように、PDR5、PDR10、PDR15およびSNQ2遺伝子座は下記例に記載の通り破壊され得る。いくつかの態様において、TPO1、PDR5、PDR10、PDR15およびSNQ2遺伝子座が下記例に記載のように破壊され得る。
【0162】
不活性化され得るさらなる輸送体遺伝子は、同族の配列(例えば、酵母PDR5、PDR10、PDR15およびSNQ2遺伝子座に見出される配列)の機能に基づいて同定され得る。内在性の輸送体遺伝子は、遺伝子を破壊する変異によって不活性化され得る。例えば、遺伝子置換ベクターは、相同組み換えを得るのに十分な長さの輸送体遺伝子の一部を5’および3’末端の外側に有する選択マーカー遺伝子を含むようにして構築され得る。選択マーカーは、宿主細胞の栄養要求性を相補する任意の数の遺伝子のものであり得、抗生物質耐性を提供し得、または、変色をもたらし得る。プラスミドDNAもarsエレメントも含まない遺伝子置換ベクターの線状化されたDNA断片が、次に公知の方法を用いて細胞内に導入される。ゲノム中への線状断片のインテグレーションと輸送体遺伝子の破壊とは選択マーカーに基づいて確認され得、例えばサザンブロット分析によって証明され得る。所産の細胞は、輸送体の遺伝子座への選択マーカーの挿入によって不活性化された変異体輸送体遺伝子を含有する。欠失−破壊遺伝子置換ベクターは、公知技術を用いて同様に構築され、相同組み換えによって内在性の輸送体遺伝子にインテグレーションされ、それによってその遺伝子を不活性化し得る。いくつかの態様において、所望の破壊変異が導入されたことを確認した後に、宿主細胞のゲノムから選択マーカーが除去され得る。例えばGossen et al. (2002) Ann. Rev. Genetics 36: 153-173および米国出願公開公報第20060014264号参照。
【0163】
内在性の輸送体遺伝子は、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)または改変ジンクフィンガーヌクレアーゼを用いて所望の挿入または欠失変異を導入することによっても不活性化され得る。米国特許公開公報第2012-0178169号参照。いくつかの態様において、野生型輸送体遺伝子配列にヌクレオチドの挿入、ヌクレオチドの欠失またはトランジションもしくはトランスバージョン点変異をもたらす変異を導入することによって、内在性の輸送体遺伝子が不活性化される。輸送体遺伝子中に導入され得る変異の他の種類は、野生型配列の重複および逆位を含む。変異は輸送体遺伝子座のコード配列および非コード配列(例えば制御領域、イントロンおよび他の非翻訳配列)に対して加えられ得る。コード配列中の変異は、1つまたは2つ以上のアミノ酸の挿入、1つまたは2つ以上のアミノ酸の欠失および/または非保存的アミノ酸置換をその遺伝子産物にもたらし得る。場合によっては、輸送体遺伝子の配列は複数の変異または複数種類の変異を含む。コード配列のアミノ酸の挿入または欠失は、例えば、所産の遺伝子産物の基質結合ポケットの配座を破壊し得る。
【0164】
アミノ酸の挿入または欠失は遺伝子産物の活性に重要な触媒部位も破壊し得る。多数の連続したアミノ酸の挿入または欠失は、より小数の挿入または欠失アミノ酸と比較して遺伝子産物を非機能的にする可能性が高いということは当該分野で公知である。非保存的置換は遺伝子産物の電荷または疎水性のかなりの変化をもたらし得る。非保存的アミノ酸置換は残基側鎖の嵩にもかなりの変化を引き起こし得る(例えばアラニン残基によるイソロイシン残基の置換)。非保存的置換の例は、非極性アミノ酸の代わりの塩基性アミノ酸または酸性アミノ酸の代わりの極性アミノ酸を含む。
【0165】
いくつかの態様において、輸送体遺伝子の変異はアミノ酸の変化をもたらさないが、コードされる輸送体のアミノ酸配列を変化させないとは言え、転写レベルを改変し(例えば転写を増大または減少させる)、翻訳レベルを減少させ、DNAまたはmRNAの2次構造を改変し、転写もしくは翻訳機構の結合部位を改変し、または、tRNA結合効率を減少させ得る。
【0166】
輸送体遺伝子座の変異は、インビトロにおける輸送体遺伝子配列の部位特異的変異導入の後に、上記のように宿主ゲノムに変異を導入するための相同組み換えによって誘発され得る。ただし、細胞の集団に遺伝子変異を導入する変異導入剤を用いて、宿主の細胞に突然変異誘発を引き起こすことによっても変異は引き起こされ得る。突然変異誘発は、インビトロ変異導入および相同組み換えがあまり十分に確立されていないかまたは不便であるような種または株にとって特に有用である。具体的な種または株のための変異原性物質または放射線の用量は実験的に決定され、致死性または不稔性を特徴とする閾値レベル未満の変異頻度が得られるようにする。
【0167】
A.転写因子
転写因子の発現の改変も、輸送体の発現を減少させるまたは排除するために用いられ得る。例えば、酵母の転写因子PDR1および/またはPDR3は、ABC輸送体PDR5、SNQ2およびYOR1をコードする遺伝子の発現を制御する。PDR1および/またはPDR3の遺伝子座を破壊することまたは発現を減少させることは、ステビオールグリコシド中間体の排出の検出可能な減少をもたらし得る。したがって、いくつかの態様において、酵母宿主が、不活性化された内在性のPDR1およびPDR3遺伝子座を複数の不活性化された輸送体遺伝子と一緒に含有しており、いずれか1つの輸送体または転写因子の不活性化によって提供されるものよりも中間体の排出の大きな減少を提供する。別の態様において、転写因子を破壊することまたはその発現を減少させることによってステビオールグリコシドの排出を減少させるものと同定された転写因子が、ステビオールグリコシドの排出を増大させるために組み換え微生物によって過剰発現され得る。
【0168】
B.ステビオール経路中間体の排出を変化させる遺伝子の同定
ステビオール経路中間体の排出を変化させる遺伝子を同定するための方法が本明細書に開示される。かかる方法は、少なくとも1つの内在性の輸送体遺伝子を不活性化すること、破壊すること、または、その発現を減少させることを含む。通常は変異体微生物のライブラリーが調製され、ライブラリーの各変異体は、不活性化された、破壊された、または、減少した発現を有する別々の内在性の輸送体遺伝子を有する。変異が引き起こされる元の微生物はステビオールグリコシド経路遺伝子を欠いており得るが、かかる遺伝子の1つまたは2つ以上を有し得る。通常は、ステビオールグリコシド経路遺伝子の非存在下において変異を発生させ、所望の種々の標的グリコシド産物の生産を容易にする経路遺伝子を次に導入することが便利である。1つまたは2つ以上のステビオールグリコシド経路遺伝子を含有する変異体微生物は、ステビオールまたはステビオールグリコシドが合成される条件の培地によって培養され得、微生物によって生産された細胞外および/または細胞内のステビオールグリコシド経路の中間体の量が測定され得る。
【0169】
特徴付けされる中間体(単数または複数)は、微生物の問題の具体的な経路によって決まる。例えば、76G1、74G1、91D2eおよび85C2 UGTを発現する微生物(下記)は、標的産物のレバウジオシドAをステビオールから中間体化合物のステビオール−19−O−グルコシド(19−SMG)、ステビオール−13−O−グルコース(13−SMG)、ルブソシドおよびステビオシドを経て合成できる。
図1参照。すなわち、レバウジオシドAが標的産物である場合、培養上清中に微生物によって排出された19−SMGの量と微生物内に保持された19−SMGの量とが測定され得る(例えば液体クロマトグラフィー−質量分析(LC−MS)を用いる)。微生物の培養によって生産された個別の中間体の量または各中間体の量が測定され得る。変異体微生物によって生産された細胞外の経路中間体(単数または複数)の量が輸送体遺伝子に関して野生型の相当する微生物によって生産された量よりも多い場合、内在性の輸送体遺伝子はステビオール経路中間体の排出を変化させるものとして同定される。同様の方法は、輸送体が他の中間体の排出を変化させるかどうかを確認するために用いられ得る。
【0170】
V.宿主
いくつもの原核生物および真核生物が、本明細書に記載の組み換え微生物を構築する際の使用に好適である(例えば、グラム陰性細菌、酵母および真菌)。ステビオールまたはステビオールグリコシドの生産株としての使用に選ばれた種および株が、どの生産遺伝子が株にとって内在性であるのか、どの遺伝子が存在しないのかを確認するために先ず分析された。内在性の相当物が株内に存在しない遺伝子は組み立てられて1つまたは2つ以上の組み換え構築物にされ、欠けている機能(単数または複数)を補うために次にその株に形質転換された。
【0171】
例示的な原核および真核種は以下でより詳しく説明される。ただし当然のことながら、他の種も好適であり得る。例えば、好適な種はSaccharomycetesであり得る。さらなる好適な種は、Agaricus、Aspergillus、Bacillus、Candida、Corynebacterium、Escherichia、Fusarium/Gibberella、Kluyveromyces、Laetiporus、Lentinus、Phaffia、Phanerochaete、Pichia、Physcomitrella、Rhodoturula、Saccharomyces、Schizosaccharomyces、Sphaceloma、XanthophyllomycesおよびYarrowiaからなる群から選択される属であり得る。
【0172】
かかる属の例示的な種は、Lentinus tigrinus、Laetiporus sulphureus、Phanerochaete chrysosporium、Pichia pastoris、Physcomitrella patens、Rhodoturula glutinis 32、Rhodoturula mucilaginosa、Phaffia rhodozyma UBV-AX、Xanthophyllomyces dendrorhous、Fusarium fujikuroi/Gibberella fujikuroi、Candida utilisおよびYarrowia lipolyticaを含む。いくつかの態様において、微生物は子のう菌、例えばGibberella fujikuroi、Kluyveromyces lactis、Schizosaccharomyces pombe、Aspergillus nigerまたはSaccharomyces cerevisiaeであり得る。いくつかの態様において、微生物は原核生物、例えばEscherichia coli、Rhodobacter sphaeroidesまたはRhodobacter capsulatusであり得る。当然のことながら、一部の微生物は対象の遺伝子をハイスループット的にスクリーニングおよび試験するために用いられ得、所望の生産性または増殖性を有する他の微生物はステビオールグリコシドの大規模生産に用いられ得る。
【0173】
Saccharomyces cerevisiaeおよび関連酵母種
Saccharomyces cerevisiaeは合成生物学の汎用されるシャシー(chassis)生物であり、組み換え微生物プラットフォームとして用いられ得る。変異体、プラスミド、代謝の詳しいコンピューターモデルおよび他の情報のライブラリーがS.cerevisiaeに関して利用可能であり、産物収量を向上させるための種々のモジュールの合理的設計を可能にする。組み換え微生物を作るための方法は公知である。ステビオール生合成遺伝子クラスターが、酵母(特にSaccharomycetes)によって、いくつもの公知のプロモーターのいずれのものも用いて発現され得る。テルペンを過剰生産する株が公知であり、ステビオールおよびステビオールグリコシドの生産に利用可能なゲラニルゲラニル二リン酸の量を増大させるために用いられ得る。Saccharomyces cerevisiaeは例示的なSaccharomyces種である。
【0174】
Aspergillus spp.
A.oryzae、A.nigerおよびA.sojaeなどのAspergillus種は食品生産に広く用いられる微生物であり、組み換え微生物プラットフォームとしても用いられ得る。A.nidulans、A.fumigatus、A.oryzae、A.clavatus、A.flavus、A.nigerおよびA.terreusのゲノムについてはヌクレオチド配列が入手可能であり、フラックスを増強して産物収量を増大させるための内在性の経路の合理的設計および改変を可能にする。Aspergillusでは代謝モデルならびにトランスクリプトーム解析およびプロテオミクス研究が進展している。A.nigerはクエン酸およびグルコン酸などのいくつもの食品成分の商業生産用に培養されている。したがって、A.nigerなどの種はステビオールおよびステビオールグリコシドなどの食品成分の生産に通常は好適である。
【0175】
Escherichia coli
Escherichia coliは合成生物学のもう1つの汎用されるプラットフォーム生物であり、組み換え微生物プラットフォームとして同じく用いられ得る。Saccharomycesと同様に、変異体、プラスミド、代謝の詳細なコンピューターモデルおよび他の情報のライブラリーがE.coliに関して利用可能であり、産物収量を向上させるための種々のモジュールの合理的設計を可能にする。Saccharomycesに関する上記のものと同様の方法が、組み換えE.coli微生物を作るために用いられ得る。
【0176】
Agaricus、GibberellaおよびPhanerochaete spp.
Agaricus、GibberellaおよびPhanerochaete spp.は培養によって大量のジベレリンを生産することが公知であるので、有用であり得る。すなわち、大量のステビオールおよびステビオールグリコシドを生産するためのテルペン前駆体が内在性の遺伝子によって予め生産されている。したがって、ステビオールまたはステビオールグリコシド生合成ポリペプチドの組み換え遺伝子を含有するモジュールは、メバロン酸またはMEP経路遺伝子を導入する必要なしに、かかる属の種に導入され得る。
【0177】
Arxula adeninivorans(Blastobotrys adeninivorans)
Arxula adeninivoransは二形性酵母であり(42℃の温度以下ではパン酵母のように出芽酵母として増殖し、この閾値を超えると糸状形態で増殖する)、際立った生化学的特質を有する。様々な基質を利用して増殖でき、硝酸塩を資化できる。天然プラスチックを生産できる株の作製または環境試料中のエストロゲンのバイオセンサーの開発に、首尾よく応用されて来た。
【0178】
Yarrowia lipolvtica
Yarrowia lipolyticaは二形性酵母であり(Arxula adeninivorans参照)、様々な基質を利用して増殖できる。産業応用の高い可能性を有するが、組み換え産物は未だ市販されていない。
【0179】
Rhodobacter spp.
Rhodobacterは組み換え微生物プラットフォームとしての使用であり得る。E.coliと同様に、利用可能な変異体のライブラリーおよび適当なプラスミドベクターが存在しており、産物収量を向上させるための種々のモジュールの合理的設計を可能にする。カロテノイドおよびCoQ10の増大した生産のために、Rhodobacterの多膜性の細菌種においてイソプレノイド経路が操作されている。米国特許公開公報第20050003474号および20040078846号参照。E.coliに関する上記のものと同様の方法が、組み換えRhodobacter微生物を作るために用いられ得る。
【0180】
Candida boidinii
Candida boidiniiはメチロトローフ酵母である(メタノールによって増殖できる)。他のメチロトローフ種(例えばHansenula polymorphaおよびPichia pastoris)と同様に、異種蛋白質の生産用の優れたプラットフォームを提供する。排出される外来蛋白質の複数グラム範囲の収量が報告されている。計算手法のIPROは、Candida boidiniiキシロースレダクターゼのコファクター特異性をNADPHからNADHに実験的に切り換えた変異を最近になって予測した。
【0181】
Hansenula polymorpha(Pichia angusta)
Hansenula polymorphaはもう1つのメチロトローフ酵母である(Candida boidinii参照)。さらに、様々な他の基質を利用して増殖でき、耐熱性であり、硝酸塩を資化できる(Kluyveromyces lactisも参照)。これは、B型肝炎ワクチン、C型肝炎の治療用のインスリンおよびインターフェロンα−2a、さらには様々な工業用酵素の生産に利用されて来た。
【0182】
Kluyveromyces lactis
Kluyveromyces lactisはケフィアの生産に通常用いられる酵母である。いくつかの糖、最も重要には乳糖(これは牛乳およびホエイ中に存在する)を用いて増殖できる。特にチーズ生産用のキモシン(子牛の胃に通常存在する酵素)の生産に首尾よく応用されて来た。生産は40,000L規模の発酵槽内で行われる。
【0183】
Pichia pastoris
Pichia pastorisはメチロトローフ酵母である(Candida boidiniiおよびHansenula polymorpha参照)。外来蛋白質の生産用の効率的なプラットフォームを提供する。プラットフォームの種々の要素はキットとして入手可能であり、蛋白質の生産用に学会では世界的に用いられている。複雑なヒトN−グリカンを生産できる株が設計されている(酵母のグリカンはヒトで見出されるものと類似であるが、同一ではない)。
【0184】
Physcomitrella spp.
Physcomitrella苔は、懸濁培養によって増殖させた場合には、酵母または他の真菌培養物と類似の性質を有する。この属は、他の種類の細胞では生産することが困難であり得る植物の2次代謝産物の生産用に、重要な種類の細胞となりつつある。
【0185】
VI.ステビオールグリコシドを生産する方法
本明細書に記載の組み換え微生物は、ステビオールまたはステビオールグリコシドを生産するための方法に用いられ得る。例えば、方法は、ステビオールおよび/またはステビオールグリコシド生合成遺伝子が発現される条件の培養培地中で組み換え微生物を増殖させることを含み得る。組み換え微生物は流加式または連続式プロセスによって増殖させられ得る。通常は、組み換え微生物は発酵槽内において所定の温度で所望の時間(単数または複数)増殖させられる。方法に用いられる具体的な微生物に応じて、他の組み換え遺伝子、例えばイソペンテニル生合成遺伝子およびテルペンシンターゼおよびシクラーゼ遺伝子も存在して発現され得る。基質および中間体、例えばイソペンテニル二リン酸、ジメチルアリル二リン酸、ゲラニルゲラニル二リン酸、カウレンおよびカウレン酸のレベルは、培養培地から試料を抽出して公開された方法による分析に供することによって測定され得る。
【0186】
組み換え微生物が所望の時間の培養によって増殖させられた後に、当該分野で公知の種々の技術を用いて培養物からステビオールおよび/または1つまたは2つ以上のステビオールグリコシドが回収され得る。いくつかの態様において透過処理剤が添加されて、フィードストックが宿主内に入り産物が出て来るのを促進し得る。例えば、培養された微生物の粗溶解物が遠心されて上清を得ることができる。所産の上清は次にクロマトグラフィーカラム(例えばC18カラム)にかけられ、水で洗浄して親水性化合物を除去した後に、メタノールなどの溶媒による目的の化合物(単数または複数)の溶出を行い得る。化合物(単数または複数)は調製用HPLCによってさらに精製され得る。WO2009/140394も参照。
【0187】
生産されるステビオールグリコシド(例えばレバウジオシドAまたはレバウジオシドD)の量は、約1mg/L〜約2000mg/L、例えば約1〜約10mg/L、約3〜約10mg/L、約5〜約20mg/L、約10〜約50mg/L、約10〜約100mg/L、約25〜約500mg/L、約100〜約1,500mg/Lまたは約200〜約1,000mg/L、少なくとも約1,000mg/L、少なくとも約1,200mg/L、少なくとも約少なくとも1,400mg/L、少なくとも約1,600mg/L、少なくとも約1,800mg/Lまたは少なくとも約2,000mg/Lであり得る。通常は、より長い培養時間はより大量の産物をもたらす。したがって、組み換え微生物は1日間〜7日間、1日間〜5日間、3日間〜5日間、約3日間、約4日間または約5日間培養され得る。
【0188】
当然のことながら、本明細書に記載の種々の遺伝子およびモジュールは1つの微生物ではなく2つまたは3つ以上の組み換え微生物内に存在し得る。複数の組み換え微生物が用いられるときには、それらは混合培養によって増殖させられてステビオールおよび/またはステビオールグリコシドを生産し得る。例えば、第1の微生物が、ステビオールを生産するための1つまたは2つ以上の生合成遺伝子と内在性の輸送体の第1のグループのヌル変異とを含み得、第2の微生物が、ステビオールグリコシド生合成遺伝子と内在性の輸送体の第2のグループのヌル変異とを含む。
【0189】
代わりに、2つまたは3つ以上の微生物がそれぞれ別々の培養培地によって増殖させられ得る。第1の培養培地の産物(例えばステビオール)が第2の培養培地中に導入されて変換され、次の中間体にまたはレバウジオシドAなどの最終産物になり得る。第2または最終の微生物によって生産された産物が次に回収される。微生物同士は、内在性の輸送体の変異の同一または異なるグループを有し得る。同様に当然のことながら、いくつかの態様において、組み換え微生物は培養培地以外の栄養源を用いて、発酵槽以外のシステムを用いて増殖させられる。
【0190】
ステビオールグリコシド類は、様々な食品の系統において必ずしも等しい性能を有さない。したがって、選ばれたステビオールグリコシド組成物の合成を行う能力を有することが望ましい。本明細書に記載の組み換え宿主は、特定のステビオールグリコシド(例えばレバウジオシドD)が選択的に濃縮されて一貫した味質を有する組成物を生産できる。したがって、本明細書に記載の組み換え微生物は、所与の食品に求められる甘味質に適合するように調整され且つバッチ間で一貫した各ステビオールグリコシドの割合を有する組成物の生産を容易にし得る。本明細書に記載の微生物は、ステビア抽出物中に見出される望ましくない植物副産物を生産しない。したがって、本明細書に記載の組み換え微生物によって生産されるステビオールグリコシド組成物は、ステビア草由来の組成物とは区別可能である。
【0191】
VII.ステビオールグリコシド、組成物および食品
本明細書に開示の方法によって得られるステビオールグリコシドおよび組成物は、食品、ダイエタリー・サプリメントおよび甘味料組成物を作るために用いられ得る。例えば、実質的に純粋なステビオールまたはステビオールグリコシド、例えばレバウジオシドAまたはレバウジオシドDは、アイスクリーム、炭酸飲料、フルーツジュース、ヨーグルト、焼き物、チューインガム、ハードおよびソフトキャンディならびにソースなどの食品中に含まれ得る。実質的に純粋なステビオールまたはステビオールグリコシドは、医薬品、薬用製品、ダイエタリー・サプリメントおよび栄養補助剤などの非食品の製品中にも含まれ得る。実質的に純粋なステビオールまたはステビオールグリコシドは、農産業およびペット産業向けの動物用飼料中にも含まれ得る。または、ステビオールおよび/またはステビオールグリコシドの混合物が作られ得、それぞれが特定のステビオールまたはステビオールグリコシドを生産する組み換え微生物を個別に培養することと、ステビオールまたはステビオールグリコシドを実質的に純粋な状態で各微生物から回収することと、次にそれらの化合物を組み合わせて所望の割合で各化合物を含有する混合物を得ることとによって作られ得る。本明細書に記載の組み換え微生物は、現行のステビア産物と比較してより精密で一貫した混合物が得られることを可能にする。もう1つの代替では、実質的に純粋なステビオールまたはステビオールグリコシドが、食品中に他の甘味料(例えばサッカリン、ブドウ糖、スクロース、果糖、エリトリトール、アスパルテーム、スクラロース、モナチンまたはアセスルファムカリウム)と一緒に組み込まれ得る。ステビオールまたはステビオールグリコシドの他の甘味料に対する重量比は、最終的な食品の十分な風味を達成するように適宜変更され得る。例えば米国特許公開公報第2007/0128311号参照。いくつかの態様において、ステビオールまたはステビオールグリコシドは、香味調節剤としての香味(例えば柑橘系)を加えられ得る。
【0192】
本明細書に記載の組み換え微生物によって生産された組成物は、食品中に組み込まれ得る。例えば、組み換え微生物によって生産されたステビオールグリコシド組成物は、食品中に約20mgステビオールグリコシド/kg食品〜約1800mgステビオールグリコシド/kg食品の量(乾燥重量基準)で組み込まれ得、これはステビオールグリコシドおよび食品の種類に左右される。例えば、組み換え微生物によって生産されたステビオールグリコシド組成物は、デザート、冷製菓子(例えばアイスクリーム)、乳製品(例えばヨーグルト)または飲料(例えば炭酸飲料)中に組み込まれて、食品が最大で500mgステビオールグリコシド/kg食品を乾燥重量基準で有するようにできる。組み換え微生物によって生産されたステビオールグリコシド組成物は、焼き物(例えばビスケット)中に組み込まれて食品が最大で300mgステビオールグリコシド/kg食品を乾燥重量基準で有するようにできる。組み換え微生物によって生産されたステビオールグリコシド組成物はソース(例えばチョコレートシロップ)または野菜製品(例えばピクルス)中に組み込まれて、食品が最大で1000mgステビオールグリコシド/kg食品を乾燥重量基準で有するようにできる。組み換え微生物によって生産されたステビオールグリコシド組成物はパンに組み込まれて、食品が最大で160mgステビオールグリコシド/kg食品を乾燥重量基準で有するようにできる。組み換え微生物、植物または植物細胞によって生産されたステビオールグリコシド組成物は、ハードまたはソフトキャンディ中に組み込まれて、食品が最大で1600mgステビオールグリコシド/kg食品を乾燥重量基準で有するようにできる。組み換え微生物、植物または植物細胞によって生産されたステビオールグリコシド組成物は果実加工品(例えば、フルーツジュース、フルーツフィリング、ジャムおよびゼリー)に組み込まれて、食品が最大で1000mgステビオールグリコシド/kg食品を乾燥重量基準で有するようにできる。
【0193】
例えば、かかるステビオールグリコシド組成物は90〜99%レバウジオシドAとステビア草由来の汚染物の検出不可能な量とを有し得、食品中に乾燥重量基準で25〜1600mg/kg、例えば100〜500mg/kg、25〜100mg/kg、250〜1000mg/kg、50〜500mg/kgまたは500〜1000mg/kgで組み込まれ得る。
【0194】
かかるステビオールグリコシド組成物はレバウジオシドBが濃縮された組成物であって3%超のレバウジオシドBを有し得、食品中に組み込まれて製品中のレバウジオシドBの量が乾燥重量基準で25〜1600mg/kg、例えば100〜500mg/kg、25〜100mg/kg、250〜1000mg/kg、50〜500mg/kgまたは500〜1000mg/kgとなるようにできる。通常は、レバウジオシドBが濃縮された組成物はステビア草由来の汚染物の検出不可能な量を有する。
【0195】
かかるステビオールグリコシド組成物は、レバウジオシドDが濃縮された組成物であって、3%超のレバウジオシドDを有し得、食品中に組み込まれて、製品中のレバウジオシドDの量が乾燥重量基準で25〜1600mg/kg、例えば100〜500mg/kg、25〜100mg/kg、250〜1000mg/kg、50〜500mg/kgまたは500〜1000mg/kgとなるようにできる。通常は、レバウジオシドDが濃縮された組成物は、ステビア草由来の汚染物の検出不可能な量を有する。
【0196】
かかるステビオールグリコシド組成物はレバウジオシドEが濃縮された組成物であって3%超のレバウジオシドEを有し得、食品中に組み込まれて製品中のレバウジオシドEの量が乾燥重量基準で25〜1600mg/kg、例えば100〜500mg/kg、25〜100mg/kg、250〜1000mg/kg、50〜500mg/kgまたは500〜1000mg/kgとなるようにできる。通常は、レバウジオシドEが濃縮された組成物は、ステビア草由来の汚染物の検出不可能な量を有する。
【0197】
かかるステビオールグリコシド組成物は、レバウジオシドMが濃縮された組成物であって3%超のレバウジオシドMを有し得、製品中のレバウジオシドMの量が乾燥重量基準で25〜1600mg/kg、例えば100〜500mg/kg、25〜100mg/kg、250〜1000mg/kg、50〜500mg/kgまたは500〜1000mg/kgとなるように食品中に組み込まれ得る。通常は、レバウジオシドMが濃縮された組成物は、ステビア草由来の汚染物の検出不可能な量を有する。
【0198】
いくつかの態様において、実質的に純粋なステビオールまたはステビオールグリコシドが卓上甘味料または「cup-for-cup」品中に組み込まれる。かかる製品は、当業者にとって公知の1つまたは2つ以上の増量剤、例えばマルトデキストリンによって適切な甘味度まで通常は希釈される。レバウジオシドA、レバウジオシドB、レバウジオシドD、レバウジオシドEまたはレバウジオシドMが濃縮されたステビオールグリコシド組成物は、小袋のパッケージであって、例えば乾燥重量基準で10,000〜30,000mgステビオールグリコシド/kg製品、卓上用であり得る。
【0199】
本発明は以下の例によってさらに説明されるが、クレーム中に示される本発明の範囲を限定するものではない。
【0200】
例
例1.LC−MS分析の手順
LC−MS分析は、Ultimate 3000 UPLCシステム(Dionex)を用いて行った。Waters Acquity UPLC(登録商標)BEHシールドRP18カラム(2.1×50mm、1.7μm粒子、130Å細孔径)が取り付けられており、これは加熱エレクトロスプレーイオン(HESI)源を備えたTSQ Quantum Access(ThermoFisher Scientific)トリプル四重極型(triple quadropole)質量分析計に接続されている(別段の定めがある場合を除く)。溶出は、溶出剤B(0.1%ギ酸を含むMeCN)および溶出剤A(0.1%ギ酸を含む水)の移動相を用いて、勾配を25%から47%Bまで増大させ(min.0.0〜4.0)、47%から100%Bまで増大させ(min.4.0〜5.0)、100%Bをmin.5.0から6.5の再平衡化まで維持することによって実施した。流速は0.4ml/min、カラム温度は35℃であった。ステビオールグリコシドはSIM(選択イオンモニタリング)を用いて次のm/z曲線で検出した。
【0202】
ステビオールグリコシドのレベルは、LGC Standards社の真正性確認用標準から得られた校正曲線と比較することによって定量した。例えば、0.5〜100μΜレバウジオシドAの標準溶液を、校正曲線を作成するために通常用いた。
【0203】
例2.レバウジオシド生産酵母株の構築
A. 酵母株EFSC2772を、3つの栄養要求性改変、すなわちURA3、LEU2およびHIS3の欠失を有する野生型Saccharomyces cerevisiae株から構築した。野生型株は、標準的な遺伝学的方法を用いて操作し得、通常の2倍体または1倍体酵母株として用い得る。EFSC2772は、4つのDNA構築物のゲノムインテグレーションによってステビオールグリコシド生産酵母に改造した。各構築物は複数の遺伝子を含有し、それらを相同組み換えによって酵母ゲノム中に導入した。さらに、構築物1および2を相同組み換えによって組み立てた。
【0204】
第1の構築物は、8つの遺伝子を含有し、DPP1遺伝子座に挿入した。該構築物は、DPP1(ホスファターゼ)を破壊して部分欠失させる。挿入されたDNAは次を含有する:natMX遺伝子(選択マーカー)を発現するAshbya gossypii TEFプロモーター、該遺伝子の後にA.gossypii由来のTEFターミネーターが続く;GeneArtによってコドン最適化されたStevia rebaudiana UGT85C2(GenBank AAR06916.1、配列番号32)であって、天然の酵母GPD1プロモーターから発現され、該遺伝子の後に天然の酵母CYC1ターミネーターが続く;S.rebaudiana CPR−8(配列番号24)であって、天然の酵母TPI1プロモーターを用いて発現され、該遺伝子の後に天然の酵母TDH1ターミネーターが続く;Arabidopsis thalianaカウレンシンターゼ(配列番号96、GenBank AEE36246.1に類似)であって、天然の酵母PDC1プロモーターから発現され、該遺伝子の後に天然の酵母FBA1ターミネーターが続く;Synechococcus sp. GGPPS(GenBank ABC98596.1、配列番号97)であって、天然の酵母TEF2プロモーターを用いて発現され、該遺伝子の後に天然の酵母PGI1ターミネーターが続く;DNA2.0によってコドン最適化されたS.rebaudiana KAHe1(配列番号18)であって、天然の酵母TEF1プロモーターから発現され、該遺伝子の後に天然の酵母ENO2ターミネーターが続く;S.rebaudiana KO−1(GenBank ABA42921.1、gi 76446107、配列番号98)であって、天然の酵母FBA1プロモーターを用いて発現され、該遺伝子の後に天然の酵母TDH2ターミネーターが続く;および、Zea maysの末端欠失CDPSであって、天然の酵母PGK1プロモーターを用いて発現され、該遺伝子の後に天然の酵母ADH2ターミネーターが続く。
【0205】
第2の構築物は、YPRCΔ15遺伝子座に挿入し、次を含有した:kanMX遺伝子(選択マーカー)の前にあるA.gossypii由来のTEF1プロモーター、該遺伝子の後にA.gossypiiのTEF1ターミネーターが続く;GeneArtによってコドン最適化されたA.thaliana ATR2(配列番号99)であって、天然の酵母PGK1プロモーターによって発現され、該遺伝子の後に天然の酵母ADH2ターミネーターが続く;S.rebaudiana UGT74G1(GenBank AAR06920.1、配列番号100)であって、天然の酵母TPI1プロモーターから発現され、該遺伝子の後に天然の酵母TDH1ターミネーターが続く;GeneArtによってコドン最適化されたS.rebaudiana UGT76G1(GenBank AAR06912、配列番号101)であって、天然の酵母TEF1プロモーターから発現され、該遺伝子の後に天然の酵母ENO2ターミネーターが続く;および、GeneArtによってコドン最適化されたS.rebaudiana UGT91D2e−bであって、これは、アミノ酸の改変L211MおよびV286Aを有するUGT91D2eポリペプチドを産生し(野生型配列のUGT91D2eアミノ酸配列である配列番号54;コドン最適化されたヌクレオチド配列は配列番号102に示されている)、天然の酵母GPD1プロモーターから発現され、その後に天然の酵母CYC1ターミネーターが続く。
【0206】
第1および第2の構築物を、接合および解剖によって組み合わし、同一の胞子クローンにした。この酵母株は、次に、2つの連続したイベントによって構築物3および4を用いて形質転換した。
【0207】
構築物3は遺伝子PRP5とYBR238Cとの間にインテグレートされ、次を有した:K.lactis LEU2遺伝子を発現するKluyveromyces lactis LEU2プロモーター、該遺伝子の後にK.lactisのLEU2ターミネーターが続く;DNA2.0によって最適化されたS.rebaudiana KAHe1(配列番号18)を発現する天然の酵母GPD1プロモーター、該遺伝子の後に天然の酵母CYC1ターミネーターが続く;および、Zea maysの末端欠失CDPS(配列番号103)を発現する天然の酵母TPI1プロモーター、該遺伝子の後に天然の酵母TPI1ターミネーターが続く。
【0208】
構築物4は遺伝子ECM3とYOR093Cとの間のゲノムにインテグレートされ、次を有した:K.pneumoniae hphMX遺伝子を発現するA.gossypiiのTEFプロモーター、該遺伝子の後にA.gossypiiのTEF1ターミネーターが続く;Synechococcus sp. GGPPS(配列番号97)であって、天然の酵母GPD1プロモーターから発現され、該遺伝子の後に天然の酵母CYC1ターミネーターが続く;その後に、A.thalianaカウレンシンターゼ(配列番号96)を発現する天然の酵母TPI1プロモーター、該遺伝子の後に天然の酵母TPI1ターミネーターが続く。
【0209】
株を、2つのプラスミドp413TEF(HIS3マーカーを有するCEN/ARSシャトルプラスミド)およびp416−TEF(URA3マーカーを有するCEN/ARSシャトルプラスミド)の形質転換による導入によって原栄養性にさせた。これをEFSC2772と呼んだ。
【0210】
LC−MSによって証明されたところでは、合計した細胞内および細胞外の産物濃度は、EFSC2772の2つの別々のバッチで920〜1660mg/LのRebAおよび約300〜320mg/LのRebDであった。高い方の力価の結果を得たとき、約700mg/LのRebAを培養液から検出した。さらに、大きなピークがRebBに関して見られた。当業者には当然のことながら、UGT74G1のさらなるコピーまたはUGT74G1の上方制御は、RebBからRebAへの変換をさらに増大させることになる。逆にRebBが標的グリコシドである場合、UGT74G1を破壊し得るかまたは染色体から欠失し得る。
【0211】
B. EFSC2763酵母株を、3つの栄養要求性改変(すなわちURA3、LEU2およびHIS3の欠失)を有する野生型Saccharomyces cerevisiae株から作製した。株の遺伝学的性質は安定しており、通常の2倍体または1倍体酵母株として用いられ得る。EFSC2763は、4つのDNA構築物のゲノムインテグレーションによってステビオールグリコシド生産酵母に改造された。各構築物は複数の遺伝子を含有し、それらは相同組み換えによって酵母ゲノム中に導入された。さらに、構築物1および2が相同組み換えによって組み立てられた。
【0212】
第1の構築物は、8つの遺伝子を含有し、DPP1遺伝子座に挿入され、DPP1を破壊して部分的に欠失させる。挿入されたDNAは次を含有する:NatMX遺伝子(選択マーカー)を発現するA.gossypii TEFプロモーター、該遺伝子の後にA.gossypiiのTEFターミネーターが続く;GeneArtによってコドン最適化されたS.rebaudiana UGT85C2(配列番号32)であって、天然の酵母GPD1プロモーターによって発現され、該遺伝子の後に天然の酵母CYC1ターミネーターが続く;S.rebaudiana CPR−8(配列番号24)であって、TPI1プロモーターを用いて発現され、該遺伝子の後に天然の酵母TDH1ターミネーターが続く;A.thalianaカウレンシンターゼ(KS−5、配列番号96)であって、PDC1プロモーターから発現され、該遺伝子の後に天然の酵母FBA1ターミネーターが続く;Synechococcus sp. GGPPS(GGPPS−7、配列番号97)であって、TEF2プロモーターを用いて発現され、該遺伝子の後に天然の酵母PFI1ターミネーターが続く;DNA2.0によってコドン最適化されたS.rebaudiana KAHe1(配列番号18)であって、TEF1プロモーターから発現され、該遺伝子の後にENO2ターミネーターが続く;S.rebaudiana KO−1(配列番号98)であって、FBA1プロモーターを用いて発現され、該遺伝子の後に天然の酵母TDH2ターミネーターが続く;および、Zea maysの末端欠失CDPS(配列番号103)であって、PGK1プロモーターを用いて発現され、該遺伝子の後に天然の酵母ADH2ターミネーターが続く。
【0213】
第2の構築物をYPRCΔ15遺伝子座に挿入した。該構築物は次を含有する:KanMX遺伝子(選択マーカー)を発現するA.gossypiiの天然の酵母TEFプロモーター、該遺伝子の後にA.gossypiiのTEFターミネーターが続く;GeneArtによってコドン最適化されたA.thaliana ATR2(配列番号9)であって、PGK1プロモーターから発現され、該遺伝子の後に酵母ADH2ターミネーターが続く;S.rebaudiana UGT74G1(配列番号100)であって、TPI1プロモーターから発現され、該遺伝子の後に酵母TDH1ターミネーターが続く;GeneArtによってコドン最適化されたS.rebaudiana UGT76G1(配列番号101)であって、TEF1プロモーターから発現され、該遺伝子の後に酵母ENO2ターミネーターが続く;および、GeneArtによってコドン最適化されたS.rebaudiana UGT91D2e−b(配列番号102)であって、GPD1プロモーターから発現され、該遺伝子の後に酵母CYC1ターミネーターが続く。
【0214】
第1および第2の構築物を、接合および解剖によって組み合わし、同一の胞子クローンとした。この酵母株は、後に2つの連続したイベントによって構築物3および4で形質転換した。
【0215】
構築物3を、遺伝子PRP5とYBR238Cとの間にインテグレートし、次を含有した:K.lactis LEU2遺伝子を発現するA.gossypiiのTEFプロモーター、該遺伝子の後にA.gossypiiのTEFターミネーターが続く;DNA2.0によって最適化されたS.rebaudiana KAHe1(配列番号18)を発現するGPD1プロモーター、該遺伝子の後にCYC1ターミネーターが続く;および、Zea maysの末端欠失CDPS(配列番号103)を発現するTPI1プロモーター。
【0216】
構築物4を遺伝子ECM3とYOR093Cとの間のゲノムにインテグレートし、発現カセットは次を含有した:K.pneumoniae hph遺伝子(配列番号157。Gritz et al, (1983) Gene 25: 179-88を参照)を発現するA.gossypiiのTEFプロモーター、該遺伝子の後にA.gossypiiのTEFターミネーターが続く;Synechococcus sp. GGPPSであって、GPD1プロモーターから発現され、該遺伝子の後にCYC1ターミネーターが続く;および、A.thalianaカウレンシンターゼを発現するTPI1プロモーター。4つの用いられた遺伝マーカーを後に除去した。
【0217】
細胞および培養液の全ステビオールグリコシドのDMSO抽出後に行われたLC−MSによって分析したところでは、深底ウェルプレートで320RPMの振とうによって30℃のSC(合成完全)培地の3ml中、4日間の増殖後に、EFSC2763は40〜50μΜまたは2〜3μΜ/OD600のレバウジオシドAを生産する。
【0218】
C. 株EFSC2797を、YORW遺伝子座へのもう1つの構築物の追加によって株EFSC2763から作製した。この追加の構築物は次の通りである。S.pombeのHIS遺伝子(選択マーカー)を発現するA.gossypii TEFプロモーター、該遺伝子の後にA.gossypiiのTEFターミネーターが続く;S.rebaudiana KO−1(配列番号98)であって、GPD1プロモーターを用いて発現され、該遺伝子の後に天然の酵母tCYC1ターミネーターが続く;S.rebaudiana CPR−8(配列番号24)であって、TPI1プロモーターを用いて発現され、該遺伝子の後に天然の酵母TDH1ターミネーターが続く;A.thalianaカウレンシンターゼ(KS−5、配列番号96)であって、PDC1プロモーターから発現され、該遺伝子の後に天然の酵母FBA1ターミネーターが続く;Oryza sativa EUGT11(配列番号53)であって、TEF2プロモーターから発現され、該遺伝子の後に酵母PGI1ターミネーターが続く;DNA2.0によってコドン最適化されたS.rebaudiana KAHe1(配列番号18)であって、TEF1プロモーターから発現され、該遺伝子の後にENO2ターミネーターが続く;Zea mays末端欠失CDPS(配列番号103)であって、PGK1プロモーターから発現され、該遺伝子の後にADH2ターミネーターが続く。
【0219】
細胞(細胞は24ウェルプレートによって4日間30℃で増殖させた)および培養液からの全ステビオールグリコシドのDMSO抽出後に行われたLC−MS分析は、EFSC2797が種々の量のRebA、RebB、RebD、RebMおよびルブソシドを生産するということを実証した(下の表12参照)。
【0221】
D. EFSC3248酵母株を上記の同じ元の野生型Saccharomyces cerevisiae株から作製し、表13に記載の次の遺伝子を上記と同様の方法を用いてインテグレートした。さらに、この株は接合型の切り換えを防ぐためにHO−である。
【0223】
例3.輸送体を過剰発現する酵母株の構築
レバウジオシドを生産する酵母株は、上記例2ならびに国際出願第PCT/US2011/038967(WO/2011/153378)号およびPCT/US2012/050021(WO/2013/022989)号(両方ともその全体が本明細書においては参照によって組み込まれる)に記載されている。同様の株の振とうフラスコ研究による観察は、上清中のRebAの割合が経時的に増大するということを示唆した。この効果は細胞の溶解の結果ではないと確認された。Saccharomyces cerevisiaeのステビオールグリコシド排出に及ぼす種々の輸送体の影響を確認するために、輸送体遺伝子の内在性のプロモーターをTEF1構成的プロモーターに置換することによって、Saccharomyces cerevisiae株のライブラリーを構築した。
【0224】
lox P部位によって挟まれたTEFプロモーターおよびHIS5(Schizosaccharomyces pombe)マーカーからなるカセットを構築した。特異的な尾部を有するプライマーをカセットのPCR増幅に用い、産物は上記のRebA生産EFSC2763の相同組み換えによって目的の遺伝子の上流にインテグレートした。コザック配列を、遺伝子の始まりにアニーリングするプライマー尾部に付加し、したがって開始コドンの直前に配置した。カセットの正しい挿入は、PCRによってTEF1プロモーターにアニーリングするフォワードプライマーと特定の輸送体遺伝子にアニーリングする特異的リバースプライマーとを用いて確認した。表14に44個の輸送関連遺伝子の一覧を記載する。内在性のプロモーターを置換するためにTEF1構成的プロモーターを用いた。
【0226】
44株をRebA排出について試験した。重複した培養物を、3mlの合成完全(SC)培地によって48時間インキュベートした(30℃、310rpm、24ウェルプレート)。上清試料が培養物の100μLの遠心によって得られた(4000rcf、7min)。上清の25μLを2倍量の50%DMSOに添加した。
【0227】
これらの試料をLC−MSによって上清(細胞不含)試料として分析した。用いたLC−MS法は例1と同様であったが、ただしPhenomenex(登録商標)kinetex C18カラム(150×2.1mm、2.6μm粒子、100Å細孔径)を用い、40〜50%Bではより浅い勾配を用いた。これによって通常より長い保持時間がもたらされる。元の試料の残りの上清を除去し、ペレットを100μlの水で洗浄した。ペレットを100μlの50%DMSO中に再懸濁し、80℃まで10分間加熱した後、試料を遠心した(4000rcf、5min)。再懸濁されたペレットから得られた上清の25μLを等量の50%DMSOおよび等量の水に添加した後、試料をフィルタープレートに移した。試料をフィルタープレートから回収し(2000rcf、2min)、LC‐MSを用いてペレット試料として測定した。結果は
図2に示す。
【0228】
株「12_YOR1」は、EFSC2763対照株と比較して、ペレットよりも上清についてRebAのより高いパーセンテージを示した。「18_ADP1」および「EFSC2763」株は、他の株よりも合計で少ないRebAを生産した。「40_THI7」は試料間の大きな偏差を示した。YOR1過剰発現株を再度試験した。第2の実験では、YOR1過剰発現株「YOR1_OE」はEFSC2763対照株よりも少ない全RebAを生産したが、それでも対照株より上清中のRebAの高いパーセンテージを示した(
図3)。輸送体候補のメッセンジャーRNAレベルが測定され、多くの場合に発現レベルは野生型レベルからあまり増大していなかった。
【0229】
9つの候補(PDR1、PDR3、PDR13、SNQ2、YOR1_BY、YOR1_IS1、FLR1、AZR1およびDTR1)を、レバウジオシドの生産および排出について、別の生産株EFSC2797(上記)によって2ミクロンプラスミド(PSB314)を用いて再試験した。重複した培養物を、3mlの合成完全(SC)培地中で48時間インキュベートした(30℃、310rpm、24ウェルプレート)。上清試料が培養物の100μLの遠心によって得られた(13,000rcf、5min)。上清の50マイクロリットルを等量の100%DMSOに添加した。これらの試料をLC−MSによって上清試料として分析した。全培養液試料を等体積の100%DMSOと混合し、80℃まで10分間加熱した後に、試料を遠心し(4000rcf、5min)、液体部分をLC−MSによって「全」ステビオールグリコシドのレベルとして分析した。培養上清中に排出された種々のステビオールグリコシドの量(RebA、RebB、RebD、RebM、ルブソシド、13−SMG、1.2ステビオシド、1.2ビオシドおよび不明なステビオールグリコシド(4.13min.のLC−MSピーク)を含む)および全培養液中の全量を、例1に記載のようにLC−MSによって測定した。結果は
図4A〜Mにある。排出のプロットされたパーセンテージは、「全」量によって除算された上清の数値である(
図4A〜K)。または、マイクロモル/OD600の濃度をプロットし(
図4J〜K)、上清もしくは全量の濃度をプロットした(
図4L〜M)。
【0230】
各9つの候補遺伝子の個別の過剰発現(PDR1、PDR3、PDR13、SNQ2、YOR1_BY、YOR1_IS1、FLR1、AZR1およびDTR1)は、種々のステビオールグリコシドを、対照株と比較して上清中により高いパーセンテージおよび/または濃度で排出するということを実証した(対照は空のPSB314プラスミドを有するEFSC2797。
図4A〜Mでは「PSB314」として示されている)。YOR1_BY(配列番号148)は、BY4741ゲノムDNAから増幅しURA栄養要求性マーカーを有する2ミクロンプラスミド(P426−GPD)にクローニングしたYOR1遺伝子のDNA配列を示す。YOR1_IS1(配列番号149)は、さらなる野生型Saccharomyces cerevisiaeゲノムDNAから増幅しURA栄養要求性マーカーを有する2ミクロンプラスミド(P426−GPD)にクローニングしたYOR1遺伝子のDNA配列を示す。例えば、株「SNQ2」は、より高いパーセンテージのRebA、RebB、RebD、RebM、1.2ステビオシド、1.2ビオシドおよび不明なステビオールグリコシド(4.13min)を上清中に示したが、全生産量は空のPSB314プラスミドを含むEFSC2797対照株(
図4〜6では「PSB314」または「空プラスミド」として示されている)と比較して同じである。株「YOR1_IS1」は、より高いパーセンテージのRebB、RebD、ルブソシド、1.2ステビオシド、1.2ビオシドおよび不明なステビオールグリコシド(4.13min)を、全量試料よりも上清についてEFSC2797対照株と比較して示した。さらに、SNQ2およびYOR1の過剰発現は、対照と比較して上清中のRebDおよびRebAの濃度の増大を示した(
図4J〜M参照)。
【0231】
上記9つの候補のうち4つを、レバウジオシドの生産および排出について、生産するEFSC2797株によって再度試験した。輸送体を過剰発現するPSB314の2ミクロンプラスミドを用いた。培養物は3mlの合成完全(SC)培地−URA(選択圧)によって72時間インキュベートされた(30℃、310rpm、24ウェルプレート)。上清試料が培養物の100μLの遠心によって得られた(13,000rcf、5min)。上清の50マイクロリットルを50μLの100%DMSOに添加した。これらの試料をLC−MSによって上清試料として分析した。細胞懸濁液の50μLを50μLの100%DMSOと混合し、80℃に10分間加熱した後、試料を遠心した(4000rcf、5min)。液体部分をLC−MSによって「全量」試料として測定した。培養上清中に排出された種々のステビオールグリコシドの量(RebA、RebB、RebD、RebM、ルブソシド、13−SMG、1.2ステビオシド、1.2ビオシドおよび不明なステビオールグリコシド(4.13min.のLC−MSピーク)を含む)および全培養液中の全量を、例1に記載のようにLC−MSによって測定した。曲線下面積(AUC)を、Xcaliburソフトウェア(Thermo)を用いてデータ処理時に積分によって計算した。排出された量を示す結果(AUC)は
図5A〜Dにあり、結果は上清中に排出されたパーセントを示し(上清/全量値の比)、
図5E〜Iに示されている。
【0232】
4つの候補遺伝子のそれぞれの単独の過剰発現(PDR1、SNQ2、YOR1_BY、YOR1_IS1およびFLR1)は、種々のステビオールグリコシドを、対照株(空のPSB314プラスミドを有するEFSC2797。
図5A〜Iでは「PSB314」として示されている)と比較して上清中により高いパーセンテージおよび/または濃度で排出したということを示した。例えば、株「YOR1_BY」および「YOR1_IS1」は両方とも、EFSC2797対照株と比較して、全量よりも上清について高いパーセンテージのRebA、RebB、1.2ステビオシドおよび不明なステビオールグリコシド(4.13min)を示した。さらに、別々に過剰発現されたSNQ2、YOR1、PDR1およびFLR1は、対照と比較して上清中のRebBのAUCの増大を示した(
図5A〜D参照)。4つの候補遺伝子のそれぞれの単独の過剰発現は、対照と比較してEFSC2797酵母株のOD600によって測定された増殖速度を有意に変えなかった(
図6参照)。
【0233】
例4.Stevia輸送体を過剰発現する酵母株
6つの推定上のS.rebaudiana RebA輸送体をパイロシークエンスデータから同定した。SrDTX24(配列番号150)、SrMRP1O(配列番号151)、SrPDR12(配列番号152)、SrMRP2(配列番号153)、SrMRP4a(配列番号154)およびSrMRP4b(配列番号155)である。推定上の輸送体のうちの5つ、SrDTX24、SrMRP1O、SrPDR12、SrMRP4aおよびSrMRP4bがさらなる解析用に選択し、クローニングした。クローニングされた輸送体配列は、安定なRebA生産S.cerevisiaeによって発現した。ステビオールグリコシド排出のレベルを測定し、
図7に示す。
【0234】
例5.酵母のレバウジオシド輸送体を同定するための方法
4重輸送体変異体酵母株の構築
レバウジオシドを生産する酵母株は、上記の例2ならびに国際出願第PCT/US2011/038967(WO/2011/153378)号およびPCT/US2012/050021(WO/2013/022989)号(両方とも本明細書においてはその全体が参照によって組み込まれる)に記載されている。同様の株の振とうフラスコ研究による観察は、分子の分子量が増大するにつれて減少するように見える効率でS.cerevisiae細胞からステビオールグリコシドが排出されるということを示唆した。種々の輸送体がS.cerevisiaeによるステビオールグリコシドの排出に及ぼす影響を確認するために、それぞれ内在性の輸送体の破壊を有するS.cerevisiae変異体のライブラリーを構築した。
【0235】
形質膜に局在するABCおよびMFS輸送体が、S.cerevisiae株BY4741および/またはBY4742において(BY4741はATCC201388として入手可能であり、BY4742はATCC201389として入手可能である。Brachmann, et al., Designer deletion strains derived from Saccharomyces cerevisiae S288C: a useful set of strains and plasmids for PCR-mediated gene disruption and other applications, Yeast 14: 115-32, 1998を参照)、45〜65bpの遺伝子特異的長鎖尾部を有するプライマーによって増幅された抗生物質マーカーカセットを用いて単独で破壊した。カセットを株に形質転換し、特定の輸送体遺伝子を抗生物質マーカーカセットの相同組み換えによって破壊した。天然の輸送体遺伝子の破壊をPCRによって確認し、天然の遺伝子の上流配列に特異的なフォワードプライマーと抗生物質マーカーカセットの内部に位置するリバースプライマーとを用いた。変異体ライブラリーは合計で34個の輸送体(14個のABC、19個のMFSおよび1個のその他)および2つの転写因子を包含した。表15参照。
【0237】
1次分析は、これらの36遺伝子の変異体のうち酵母PDR5、PDR10、PDR15およびSNQ2遺伝子座によってコードされる輸送体が、培養培地中への19−SMGおよびルブソシドなどのステビオールグリコシドの排出に対して検出可能な影響を有するということを示した。TPO1、TPO3、YOR1、YOL075c、PDR18およびFLR1遺伝子座によってコードされる酵母の内在性の輸送体ならびにPDR1およびPDR3遺伝子座によってコードされる転写因子も、PDR5、PDR10、PDR15およびSNQ2のものよりも低い程度ではあったが、ステビオールグリコシド排出に対して検出可能な影響を有した。ステビオールグリコシドの排出を変化させる複数の輸送体を同定したので、酵母によるステビオールグリコシドの排出を単一の輸送体が専ら担っているとは考えられない。
【0238】
複数の輸送体の破壊がステビオールグリコシド排出に及ぼす影響を確認するために、4重破壊変異体(pdr5、pdr1O、pdr15、snq2)を作製した。形質転換による相同組み換えを可能にする尾部としてPDR10外側配列を有するプライマーを用いてPCRによって調製された選択マーカー−欠失カセットによって、欠失変異体pdr15(BY4742に基づくS.cerevisiae株によって作製した)を形質転換した。同様にして、snq2欠失株を作製し(BY4741に基づく)、プライマー尾部としてPDR5外側配列を用いた第2の選択マーカー−欠失カセットによって形質転換した。所産の2つの2重変異体株(pdr15−pdr10およびsnq2−pdr5)が掛け合わされて、全ての4つの輸送体遺伝子が破壊された胞子産物を作製した。破壊は単独破壊変異体について記載のプライマー戦略を用いてPCRによって確認し、4重pdr5、pdrlO、pdrl5、snq2破壊変異体の生成をもたらした。これを4×破壊変異体と呼ぶ。
【0239】
4×破壊変異体を、4つのStevia rebaudiana UGTの76G1、74G1、91D2eおよび85C2をコードする2ミクロンプラスミドによって形質転換した。WO2011/153378A1参照。4つのUGTを発現する4×破壊変異体の培養物を、ヒスチジンおよびウラシルを欠く合成完全(SC)培地の2〜3mlを含む13ml培養管によって終夜予備増殖させた。UGTプラスミドを有するがPDR5、PDR10、PDR15、SNG2遺伝子座は野生型の元株の培養物を、対照として供した。
【0240】
翌日に、0.25のOD
600単位を遠心し、100μΜステビオールを含む新鮮な培地中に再懸濁し、培養管中で30℃で2h振とうした。培養物の100μL分取分を遠心し、等体積のDMSOを上清に添加した。細胞ペレットをH
2Oで洗浄し、続いて200μLの50%DMSO中に再懸濁した。混合物を次にボルテックスし、80℃で10分間加熱し、残骸を取り除くために遠心した。所産の溶液(細胞ペレット試料)を、19−SMGの量についてLC−MSによって例1に記載のものと同様の方法を用いて分析した。ただしPhenomenex(登録商標)kinetex C18カラム(150×2.1mm、2.6μm粒子、100Å細孔径)を用い、より浅い勾配を40〜50%Bに用いた。これによって通常より長い保持時間がもたらされる。結果を
図8に示し、4×破壊変異体株によって作られた全19−SMGのうち約90%がペレット中にあるということを示している。対照的に、野生型株によって作られた全19−SMGのうちわずかに約25%しかペレット中にはない。
【0241】
4つのS.rebaudiana UGTを発現する4×破壊変異体株を、レバウジオシドAの生産について試験した。前培養した細胞を、OD
600=20まで250μLのステビオール含有培地(SC−His−Ura、100μΜステビオール)中に濃縮した。24時間のインキュベーション(30℃、200rpm)後に細胞を回収した。培養物の100μL分取分を遠心し、等体積のDMSOをこの試料の上清に添加した。細胞ペレットをH
2Oで1回洗浄し、200μLの50%DMSOをペレットに添加した。試料をボルテックスし、80℃まで10分間加熱し、遠心した。2つのDMSO混合物の上清をプールし、ステビオールグリコシド含量をLC−MSによってPhenomenex(登録商標)kinetex C18カラムを用いて分析した。結果を
図9に示す。それらの結果は、4つのS.rebaudiana UGTを発現する野生型株と比較して、4つのS.rebaudiana UGTを発現する4×変異体株ではRebAの蓄積の大きな増大が観察されたということを示している。これらの結果は、モノグルコシド中間体は4×変異体株によって排出される可能性がより低く、その代わりにこれらの酵母株の細胞質におけるさらなるグリコシル化の基質として働くということを示唆している。ただし、ノックアウトされた輸送体の一部は、RebAなどのより高分子量のレバウジオシドの排出に特異性を有し得、培地中へのRebAの排出が望ましい株による過剰発現に有用であり得る。経路のUGTの発現によるグリコシル化活性の比率の適切なバランスによって、より低分子量のステビオールグリコシドはさらにグリコシル化されてから培地中に排出される。例えば、UGT74G1およびUGT85C2酵素と比較して、UGT76G1およびUGT91D2eならびに/またはEUGT11 UGTのより高い発現レベルは、より容易に排出されるステビオールモノグルコシドの蓄積を妨げることになる。UGT活性レベルが特定のステビオールグリコシドの輸送速度よりも高い(したがってグリコシル化速度がより速い)場合、より高分子量のステビオールグリコシドが生産されることになる。
【0242】
7×輸送体変異体酵母株の構築
上記の4重輸送体変異体の結果に基づき、7×輸送体破壊変異体(pdr15−pdr10−snq2−pdr5−tpo1−pdr1−pdr3)を作製した。pdr1およびpdr3の2重変異体をBY4741バックグラウンドで作製した。二重変異体を作製するのに用いたマーカーを次に除去した。所産の二重変異体を選択マーカー−欠失カセットによって形質転換した。カセットは、形質転換による相同組み換えを可能にする尾部としてTPO1外側配列を有するプライマーを用いて、PCRによって調製した。3重変異体pdr1−pdr3−tpo1を上記の4×破壊変異体(BY4742に基づく)と掛け合わせた。所産の胞子から、全ての7つの位置が破壊された株が見出された。遺伝子の破壊をPCRによって確認した。標的遺伝子を置換するカセットの場合には、遺伝子の破壊を確認するために上記のPCR戦略を用いた。pdr1およびpdr3遺伝子座については、各遺伝子の上流および下流の配列にアニーリングするように設計されたフォワードおよびリバースプライマーを用いて、破壊を確認した。PCR産物は全てのクローンで存在し、短いPCR産物が標的遺伝子の喪失を示した。
【0243】
上記の4つのS.rebaudiana UGTを、4×および7×輸送体破壊変異体ならびに野生型株のゲノム中にインテグレートした。相同組み換えを用いた。ステビオール勾配の経時実験を、野生型、4×および7×変異体株がステビオールグリコシド蓄積に及ぼす影響を検討するために実施した。4×および7×破壊変異体株(それぞれ4つのS.rebaudiana UGTを発現する)の前培養された細胞を、400μLのステビオール含有培地(SC−Ura、0μΜ、20μΜ、50μΜ、100μΜまたは250μΜステビオール)中でOD
600=1まで濃縮した。株は96深底ウェルプレートによって30℃、320rpmで増殖させた。培養の約0、1、2、4、8または24時間後に、各培養物の50μL分取分を遠心し、等体積のDMSOを各分取分の上清に添加した。ステビオールグリコシド含量をLC−MSによって上記のようにPhenomenex(登録商標)kinetex C18カラムを用いて分析した。
【0244】
結果を
図10〜12に示す。
図10に示すように、野生型株は19−SMGおよび13−SMGを細胞外の培養液中に排出した。
図11および
図12に示すように、4×および7×輸送体破壊変異体は19−SMGおよび13−SMGを細胞外の培養液中に分泌しなかった。しかしながら、4×および7×輸送体破壊変異体は野生型株よりも大量の1,3−ビオシドを実際に排出した(
図12参照)。これらのデータは、内在性の輸送体を破壊することが酵母のステビオールグリコシドの蓄積に影響するということを示している。
【0245】
上記データは、単独または組み合わせでの酵母の内在性の輸送体のノックアウトとステビオールグリコシドの増大した滞留のスクリーニングとが、培地中へのステビオールグリコシド排出を改善する過剰発現のために、見込みのある輸送体を同定する優れた方法であるということを例示している。
【0246】
輸送体変異体のさらなるスクリーニング
より高分子量のレバウジオシドの排出に酵母遺伝子のノックアウトが及ぼす影響を、例2に記載の酵母株EFSC3248によって試験した。染色体上の個々の輸送体遺伝子(PDR5、SNQ2、YOR1、YHK8およびFLR1)の破壊は、以前に記載のように相同組み換えによって実施した。96時間のインキュベーション(30℃、200rpm)後に細胞を回収した。培養物の100μL分取分を遠心し、同体積の100%DMSOを上清に添加した。混合物の80マイクロリットルを「上清」試料としてLC−MSによって分析した。100μLの100%DMSO中の細胞懸濁液の100マイクロリットルを、80℃で10分間加熱し、次に遠心した。混合物をボルテックスし、80℃で10分間加熱し、残骸を除くために遠心した。所産の溶液の40マイクロリットルを40μLのDMSO(50%)と混合し、試料を「全量」試料としてLC−MSによって分析した。培養上清中に排出された種々のステビオールグリコシドの量(RebA、RebB、RebD、RebM、ルブソシド、13−SMG、1.2ステビオシド、1.2ビオシドおよび不明なステビオールグリコシド(4.13min.のLC−MSピーク)を含む)および全培養液中の全量を、例1に記載のようにLC−MSによって測定した。そのデータは、1つの内在性の酵母輸送体遺伝子の破壊が、培養培地の上清中の種々のステビオールグリコシドの排出されるパーセンテージ(
図13D〜F)または量(
図13A〜C)の減少をもたらすということを実証している。具体的には、SNQ2、YOR1およびFLR1の破壊は、上清もしくは酵母株中に排出されるRebA、RebBおよびRebDの減少または酵母株のRebA、RebBおよびRebDの濃度の減少を、対照と比較してもたらした(
図13A〜F参照。
図13の対照は「EFSC3248」である)。
【0247】
その具体的な態様を参照して詳しく本発明を説明してきたが、当然のことながら、添付のクレームにおいて定められる本発明の範囲から逸脱することなく種々の改変および変形が可能である。より具体的には、本発明のいくつかの側面が本明細書において特に有利なものとされているが、本発明は本発明のそれらの特定の側面に必ずしも限定されないと考えられる。