特許第6576259号(P6576259)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6576259
(24)【登録日】2019年8月30日
(45)【発行日】2019年9月18日
(54)【発明の名称】閉扉検知装置
(51)【国際特許分類】
   E05B 41/00 20060101AFI20190909BHJP
   E05F 7/00 20060101ALI20190909BHJP
【FI】
   E05B41/00 F
   E05F7/00 F
【請求項の数】7
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-18669(P2016-18669)
(22)【出願日】2016年2月3日
(65)【公開番号】特開2017-137675(P2017-137675A)
(43)【公開日】2017年8月10日
【審査請求日】2018年10月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000170598
【氏名又は名称】株式会社アルファ
(74)【代理人】
【識別番号】100093986
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 雅男
(74)【代理人】
【識別番号】100128864
【弁理士】
【氏名又は名称】川岡 秀男
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 清文
【審査官】 藤脇 昌也
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭62−257595(JP,A)
【文献】 実開昭58−134553(JP,U)
【文献】 特開平06−050036(JP,A)
【文献】 実開昭59−038362(JP,U)
【文献】 実開昭48−053270(JP,U)
【文献】 特開2004−285688(JP,A)
【文献】 米国特許第06225903(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 1/00 − 85/28
E05F 1/00 − 13/04,17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気錠が固定された扉の閉扉状態を検出する閉扉検知装置であって、
前記電気錠の施錠体が進退するストライクに配置されるトリガ、マグネット、および磁力調整部と、
電気錠に配置される磁気検出素子とを有し、
前記トリガは、ストライク表面から進退自在で、かつ突出方向に付勢されるとともに、
前記磁力調整部は、トリガの縮退動作に同期してストライク表面からの放出磁束を、電気錠の施錠可能位置において前記磁気検出素子による検出不能状態から検出可能状態に変更可能に形成される閉扉検知装置。
【請求項2】
電気錠が固定された扉の閉扉状態を検出する閉扉検知装置であって、
前記電気錠の施錠体が進退するストライクに配置されるトリガ、およびマグネットと、
電気錠に配置される磁気検出素子とを有し、
前記トリガは、ストライク表面から突出方向に付勢されるとともに、前記マグネットは、トリガの進退動作に同期して、トリガの突出状態に対応する初期位置と、トリガのストライクへの没入状態に対応し、電気錠の施錠可能位置において前記磁気検出素子による検出が可能になる検知位置との間を駆動される閉扉検知装置。
【請求項3】
前記磁気検出素子にはマグネットの磁極を検出するホールICが使用されるとともに、
前記マグネットは、トリガの進退動作により回転駆動されて、初期位置と、前記ホールICに磁極が正対する検知位置との間を移動する請求項2記載の閉扉検知装置。
【請求項4】
前記マグネットは、トリガの没入寸法が所定値に達した際に検知位置まで駆動された後、その後のトリガの没入動作に対して検知位置に保持される請求項2または3記載の閉扉検知装置。
【請求項5】
扉に固定され、内部に磁気検出素子を備えた電気錠の施錠体が係脱する電気錠用ストライクであって、
奥行き方向に深さを有するストライクボックスの表面から突出する方向に付勢されて該ストライクボックス内に進退自在に装着されるトリガと、
トリガの進退動作に同期して、トリガの突出状態に対応する初期位置と、トリガのストライクボックスへの没入状態に対応し、前記電気錠の施錠可能位置において前記磁気検出素子による検出が可能になる検知位置との間を駆動されるマグネットとを有する電気錠用ストライク。
【請求項6】
前記トリガにはラック部が形成されるとともに、
マグネットは、前記ラック部に噛合するピニオン部が形成される合成樹脂製のマグネットケースに弾発的に保持され、トリガの進退動作に伴って初期位置と検知位置との間を回転駆動される請求項5記載の電気錠用ストライク。
【請求項7】
扉の閉扉状態を検出する閉扉検知装置であって、
前記扉の扉枠に配置されるトリガ、マグネット、および磁力調整部と、
扉に配置される磁気検出素子とを有し、
前記トリガは、ストライク表面から進退自在で、かつ突出方向に付勢されるとともに、
前記磁力調整部は、トリガの縮退動作に同期して扉枠表面からの放出磁束を、扉の閉塞状態において前記磁気検出素子による検出不能状態から検出可能状態に変更可能に形成される閉扉検知装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、閉扉検知装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電気錠を施解錠操作する際に、扉が閉扉状態か否かを検出するために使用される閉扉検知装置としては、特許文献1に記載のものが知られている。
【0003】
この従来例において、検出装置は、電気錠のケース内に該ケースから進退するトリガ杆と、トリガ杆の進退に伴って回転駆動される連結レバーと、連結レバーの回転動作により回転駆動される永久磁石と、検磁素子とを収容して形成される。
【0004】
扉が閉じられると、トリガ杆はストライクに当接して電気錠内に没入し、これに伴って永久磁石は検磁素子による検知可能位置に回転駆動されて閉扉状態が検出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012-214999号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上述した従来例において、永久磁石と検磁素子とは同一筐体内で、かつ回転駆動された際には検出可能な範囲に配置されるために、検磁素子におけるON、OFFの閾値を厳格に設定する必要があり、各部の寸法の厳格な管理に対する製造コストと、検出精度がトレードオフの関係になってしまうという欠点がある。
【0007】
本発明は、以上の欠点を解消すべくなされたものであって、開閉扉検出精度が高く、かつ、製造コストも低減することのできる閉扉検知装置の提供を目的とする。
【0008】
また、本発明の他の目的は、上記閉扉検知装置に使用可能な電気錠用ストライクの提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、上記目的は、
電気錠1が固定された扉2の閉扉状態を検出する閉扉検知装置であって、
前記電気錠1の施錠体3が進退するストライク4に配置されるトリガ5、マグネット6、および磁力調整部7と、
電気錠1に配置される磁気検出素子8とを有し、
前記トリガ5は、ストライク4表面から進退自在で、かつ突出方向に付勢されるとともに、
前記磁力調整部7は、トリガ5の縮退動作に同期してストライク4表面からの放出磁束を、電気錠1の施錠可能位置において前記磁気検出素子8による検出不能状態から検出可能状態に変更可能に形成される閉扉検知装置を提供することにより達成される。
【0010】
本発明において、扉2に固定される電気錠1には磁気検出素子8が、電気錠1の施錠体3が係脱するストライク4には、マグネット6と、マグネット6によるストライク4表面からの放出磁束を調整する磁力調整部7と、ストライク4表面から進退するトリガ5とが配置される。
【0011】
トリガ5は、突出方向に付勢されてストライク4表面から進退自在であり、磁力調整部7は、トリガ5の進退に伴ってストライク4表面からの放出磁束を検出可能状態と検出不能状態との間で変化させる。
【0012】
磁力調整部7は、ストライク4表面からの放出磁束を調整することができれば種々の周知の構造を採用することが可能であり、例えば、マグネット6とストライク4表面との間に鉄板等の磁気シールド壁を進退させ、あるいはマグネット6を磁気シールド壁によるシールド領域から退避させることにより簡単に実現することができる。この場合、磁気シールド壁は、マグネット6の磁束を完全に吸収する必要はなく、シールド状態においてマグネット6からの放出磁束を磁気検出素子8による検出不能状態になる程度に低くすれば足りるために、ネオジウム等の高価な材料を使用する必要はない。
【0013】
また、磁力調整部7は、磁気シールド壁を使用することなく実現することが可能であり、この場合、マグネット6をストライク4表面に対して離接移動することにより、あるいはマグネット6を回転させて磁束密度の高い磁極位置をストライク4表面に対して離接移動させることができる。
【0014】
したがって本発明において、マグネット6をストライク4に配置し、電気錠1側の磁気検出素子8により検出するように構成することにより、扉2とストライク4との機械的接近が磁気検出素子8での検出条件となるために、開扉状態での誤検出を磁気検出素子8の精度を過度に高めることなく完全に防止することが可能になる。
【0015】
また、ストライク4表面からの放出磁束はトリガ5の没入により磁気検出素子8により検出可能となるために、機械的なトリガ5の動作が実質的に施錠可能状態の判定条件に付加された状態となっている。このため、ストライク4に配置したマグネット6を電気錠1側の磁気検出素子8で検出した状態を施錠可能状態とする場合に比して、磁気検出素子8の検出閾値を高精度に管理することなく、高い検出精度を得ることができる。
【0016】
さらに、マグネット6、磁力調整部7、およびトリガ5はスペースが十分に取れるストライク4側に配置し、電気錠1側には磁気検出素子8が配置されるだけであるため、電気錠1内のスペースを有効に利用することができる。
【0017】
また、上記目的を達成するための本発明の他の態様として、
電気錠1が固定された扉2の閉扉状態を検出する閉扉検知装置であって、
前記電気錠1の施錠体3が進退するストライク4に配置されるトリガ5、およびマグネット6と、
電気錠1に配置される磁気検出素子8とを有し、
前記トリガ5は、ストライク4表面から突出方向に付勢されるとともに、前記マグネット6は、トリガ5の進退動作に同期して、トリガ5の突出状態に対応する初期位置と、トリガ5のストライク4への没入状態に対応し、電気錠1の施錠可能位置において前記磁気検出素子8による検出が可能になる検知位置との間を駆動される閉扉検知装置を構成することができる。
【0018】
さらに、上記目的を達成するための本発明の他の態様として、
前記磁気検出素子8にはマグネット6の磁極を検出するホールICが使用されるとともに、
前記マグネット6は、トリガ5の進退動作により回転駆動されて、初期位置と、前記ホールICに磁極が正対する検知位置との間を移動する閉扉検知装置を構成することができる。
【0019】
磁気検出素子8としてはリードスイッチ等を使用することが可能であるが、この場合、磁極がリード片の重合部位に重なった領域にOFF信号出力領域が存在し、さらに、それを挟む領域にON信号出力範囲が存在するために、マグネット6の初期位置から検知位置までの移動経路途上、あるいは初期位置への復帰経路上でのON信号出力がないようにマグネット6の移動経路を設定する必要がある。
【0020】
これに対し、磁気検出素子8としてホールICを使用し、かつ、マグネット6を回転させて磁極がホールICに正対する検知位置まで移動させる本発明において、ホールICの動作パターンには、磁極が接近する途上にOFF信号出力領域が存在しないために、回転中心位置精度を過度に管理することなく、高い検出精度を保持することが可能であり、かつ、マグネット6の回転駆動は一般的に簡単な構造で実現可能であるために、製造コストも低減させることができる。
【0021】
さらに、上記目的を達成するための本発明の他の態様として、
前記マグネット6は、トリガ5の没入寸法が所定値に達した際に検知位置まで駆動された後、その後のトリガ5の没入動作に対して検知位置に保持される閉扉検知装置を構成することができる。
【0022】
本発明において、トリガ5が所定量没入してマグネット6が検知位置まで移動した後、さらにトリガ5が没入しても、マグネット6はトリガ5の没入動作に追随することなく検知位置に保持される。この結果、設定した没入深さを超える方向に検出のクリアランスが設定されることとなり、このクリアランスをストライク4、あるいは電気錠1の取り付け精度の吸収、あるいは扉2とドア枠との間のチリ寸法の吸収に使用することができる。
【0023】
また、以上の検出装置には、
扉2に固定され、内部に磁気検出素子8を備えた電気錠1の施錠体3が係脱する電気錠用ストライクであって、
奥行き方向に深さを有するストライクボックス9の表面から突出する方向に付勢されて該ストライクボックス9内に進退自在に装着されるトリガ5と、
トリガ5の進退動作に同期して、トリガ5の突出状態に対応する初期位置と、トリガ5のストライクボックス9への没入状態に対応し、前記電気錠1の施錠可能位置において前記磁気検出素子8による検出が可能になる検知位置との間を駆動されるマグネット6とを有する電気錠用ストライクを使用することができ、
この場合、
前記トリガ5にはラック部10が形成されるとともに、
マグネット6は、前記ラック部10に噛合するピニオン部11が形成される合成樹脂製のマグネットケース12に弾発的に保持され、トリガ5の進退動作に伴って初期位置と検知位置との間を回転駆動される電気錠用ストライクを構成することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、マグネットをストライクに、磁気検出素子を電気錠に各々配置したために、開扉状態での磁気検出素子によるマグネットの検出は完全に防止され、さらに、マグネットの検出条件は、トリガの動作を条件とするために、開閉扉検出精度を高くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明を示す図である。
図2】電気錠用ストライクを示す図で、(a)は(b)の2A-2A線断面図、(b)は正面図、(c)はトリガ部分の斜視図である。
図3】電気錠用ストライクの分解斜視図である。
図4】電気錠用ストライクの要部を示す図で、(a)はトリガとマグネットケースを示す図、(b)はトリガが突出状態のときのマグネットを示す図、(c)はマグネットが検知位置に達したときのトリガの状態を示す図、(d)はトリガが完全に没入したときのマグネットの状態を示す図である。
図5】電気錠を示す図である。
図6】施錠状態の電気錠を示す図で、(a)は側面図、(b)は(a)の6B方向矢視図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1以下に引き戸用電気錠1に採用された本発明の実施の形態を示す。本発明の閉扉検知装置は、引き戸(扉2)に固定される電気錠1と、戸枠13に固定されるストライク4とを有し、電気錠1には磁気検出素子8としてのホールICが、ストライク4にはマグネット6が配置される。
【0027】
図1に示すように、扉2が閉扉位置、すなわち、電気錠1の施錠体3(本例においてはデッドボルト)がストライク4に係止可能な位置まで移動すると、ホールIC8は閉扉検出信号を出力し、コネクタ14を介して利用者が電気錠1を操作するための錠制御装置15に伝達される。
【0028】
錠制御装置15は、利用者からの施錠操作を受けた場合、あるいは自動施錠動作に設定されている場合、施錠動作を、ホールIC8からの閉扉検出信号の出力を条件とすることにより、ストライク4への係止不能位置でのデッドボルトの駆動を防止する。
【0029】
図2、3に示すように、ストライク4は、前後方向を深さ方向とするボックス形状のストライクボックス9内にトリガ5と、マグネット6とを収容して形成され、ストライクボックス9の前方開口は、トリガ角穴16aとストライク角穴16bとが開設されたフロントプレート16により閉塞される。なお、以下、本明細書において、図1における上方を「上方」とし、電気錠1に対しては、図1の左側、ストライク4に対しては、右側を「前方」として説明する。
【0030】
トリガ5は、図3に示すように、トリガ本体部5aの両側壁にラック部10を有し、ストライク4から突出した状態での衣服等の引っ掛かりを防止するために、トリガ本体部5aの先端部は、両側面、および上面が傾斜面5bとされて、平面視、および側面視において先細りの三角形状に形成される。また、トリガ本体部5aの両側面の傾斜面5bは、該ストライク4、および電気錠1を開き扉2に使用する際に、閉扉する扉2に当接して没入方向の分力を得る当接面となる。
【0031】
このトリガ5は、左右方向に分割されたケース半体17aを連結したトリガケース17内に前後方向に移動自在に保持される。図2(a)に示すように、トリガ5は圧縮スプリング18により前方に付勢されており、トリガケース17をストライクボックス9内に固定した状態で、トリガ本体部5aの前端がフロントプレート16のトリガ角穴16aから突出する(図2(c)参照)。
【0032】
一方、マグネット6は、磁力調整部7を構成する合成樹脂製のマグネットケース12に保持されてトリガケース17内に収容される。図2、3に示すように、マグネットケース12はマグネット6を収容可能なボックス形状に形成され、開放端縁に形成される係止爪12aをマグネット6に弾発係止させることにより内部のマグネット6の脱落が規制される。
【0033】
また、マグネットケース12は左右側壁部にピニオン部11を有しており、該ピニオン部11の中心から突設される軸部12bをトリガケース17の軸受凹部17bに嵌合させることにより、該トリガケース17内で回転自在に保持される。
【0034】
マグネットケース12にトリガ5、およびマグネットケース12を装着した状態において、図4に示すように、ピニオン部11とラック部10とは噛合しており、トリガ5の進退に対応してマグネットケース12が回転する。トリガ5の進退とトリガ5の回転位置との関係は、トリガ5が図4(b)に示す突出状態においては、マグネットケース12は底壁を下方に向けた初期位置に保持され、図4(c)に示す所定の突出量(L)まで没入した状態で底壁がフロントプレート16に正対する検知位置まで回転する。
【0035】
また、マグネットケース12のラック部10は、トリガ5の突出量が(L)に達するまでマグネットケース12のピニオン部11に噛合する範囲のみに形成されており、マグネットケース12は、図4(c)の状態まで回転した後は、トリガ5が図4(d)に示すように、完全に没入するまで、同一の回転姿勢を保持する。
【0036】
本例において、マグネット6はS極をマグネットケース12に底壁に向けて収容されており、図4(c)の状態で、S極がフロントプレート16に正対する。
【0037】
さらに、ストライクボックス9には係止体19が固定される。係止体19は、鎌係止片19aと、この鎌係止片19aの両側縁に折り返される取付片19bとを有し、取付片19bをストライクボックス9の底壁、およびフロントプレート16に係止させて固定される。
【0038】
これに対して、上記電気錠1は、図5に示すように、錠ケース20内に配置されるアクチュエータとしてのモータ21、錠回転体22、および上記デッドボルト3を駆動するためのデッドドライブリンク23を備える。
【0039】
上記錠回転体22には、回転プレート24が連結されており、モータ21の動力は、ギア列25、第1、第2リンク26、27に伝達されて回転プレート24を回転駆動する。
【0040】
第1リンク26と第2リンク27とはピン対偶により連結されており、第1リンク26の他端はギア列25の最終段ギア25aに形成される長孔状のギアガイド25bに摺動自在に連結されるとともに、第2リンク27の他端は回転プレート24に回転自在に連結され、第1、第2リンク26、27の連結点は、錠ケース20に形成された長孔状のリンクガイド孔20aに摺動自在に連結される。
【0041】
一方、上記デッドボルト3は、前後方向に摺動自在であり、該デッドボルト3に設けられる上下方向に長いドライブガイド3aにデッドドライブピン28が摺動自在に挿入される。
【0042】
このデッドドライブピン28は、一端が上記回転プレート24に連結されるデッドドライブリンク23の他端部に固定されるとともに、錠ケース20に設けられた前後方向に長いピンガイド20bに摺動自在に挿入される。
【0043】
したがってこの実施の形態において、図5に示す、デッドボルト3が錠ケース20内に収納された解錠状態からモータ21を施錠方向に回転すると、ギア列25の最終段ギア25aは反時計回りに回転し、図6に示すように、第1、第2リンク26、27は上方に引き上げられ、回転プレート24は反時計回りに回転する。
【0044】
回転プレート24の回転に伴ってデッドドライブリンク23に固定されたデッドドライブピン28は前方に移動してデッドボルト3は突出方向に押し出されて施錠状態に移行する。
【0045】
また、上記ピンガイド20bの前端は、下方に向けて延設されており、デッドボルト3の施錠状態への移動に伴ってデッドドライブピン28がピンガイド20bの延設部20cに落ち込んで、デッドボルト3の解錠状態への移動を規制する。
【0046】
さらに、図6(b)に示すように、デッドボルト3は鋼板をコ字形状に折り曲げたデッド本体3bの翼片間に鎌部材29を挟み込んで形成される。鎌部材29は、前端に係止フック部29aを、後端にカム突部29bを各々下方に向けて突設させて形成されており、デッド本体3bの前端部において鎌回転軸29c周りに回転自在に連結される。
【0047】
鎌部材29は重心を調整することにより図5において反時計回りの回転モーメントが与えられており、デッドボルト3が解錠状態のとき、カム突部29bが錠ケース20に形成されたカムガイド20d上に支承されることにより、係止フック部29aは、先端がデッド本体3b内に収容される姿勢に保持される。
【0048】
この状態からデッドボルト3が施錠位置に移動すると、鎌部材29のカム突部29bはカムガイド20dの支えを失うことから、鎌部材29は、反時計回りに回転して図6(a)に示すように、係止フック部29aがデッド本体3bの先端から下方に突出する姿勢に移行し、図1に示すように、ストライク4の鎌係止片19aに係止して扉2の移動を規制する。
【0049】
以上の施錠状態からモータ21を解錠方向に駆動すると、図6(a)から回転プレート24が時計回りに回転駆動され、これに伴ってデッドライブピン28が一旦上方に駆動されてピンガイド20bの延設部20cから離脱し、この後、デッドボルト3を後方に移動させ解錠姿勢に移行させる。デッドボルト3の解錠位置への移動に伴って鎌部材29のカム突部29bがカムガイド20d上に乗り上げることから鎌部材29は鎌回転軸29c周りに時計回りに回転して図5の解錠状態に復帰する。
【0050】
さらに、回転プレート24が連結される錠回転体22には図外のシリンダ錠、あるいはサムターン装置の回転軸を挿通させるための軸挿通孔22aが設けられ、シリンダ錠等への操作によりデッドボルト3の操作を行うことができる。シリンダ錠等による操作に際し、施解錠位置で節度感を付与するために、回転プレート24と錠ケース20との間にはクリックスプリングとして動作するコイルスプリング30が介装される。
【0051】
また、上記ホールIC8は、図外の実装基板上に実装され、錠ケース20の正面壁に配置される。このホールIC8は、図1に示すように、マグネット6が検知位置まで回転した際に該マグネット6に正対する位置に配置され、この状態で、マグネット6の磁束によりON出力をするように調整される。
【0052】
なお、以上においては、本発明を引き戸に適用した実施の形態を示したが、開き戸に適用することも可能であり、この場合、電気錠1は上述のものと同一のものを使用し、ストライク4は係止体19を交換し、フロントプレート16のストライク角穴16bをデッドボルト3が挿通可能な程度まで小さくして使用することができる。
【符号の説明】
【0053】
1 電気錠
2 扉
3 施錠体
4 ストライク
5 トリガ
6 マグネット
7 磁力調整部
8 磁気検出素子
9 ストライクボックス
10 ラック部
11 ピニオン部
12 マグケットケース
図1
図2
図3
図4
図5
図6