【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、上記目的は、
電気錠1が固定された扉2の閉扉状態を検出する閉扉検知装置であって、
前記電気錠1の施錠体3が進退するストライク4に配置されるトリガ5、マグネット6、および磁力調整部7と、
電気錠1に配置される磁気検出素子8とを有し、
前記トリガ5は、ストライク4表面から進退自在で、かつ突出方向に付勢されるとともに、
前記磁力調整部7は、トリガ5の縮退動作に同期してストライク4表面からの放出磁束を、電気錠1の施錠可能位置において前記磁気検出素子8による検出不能状態から検出可能状態に変更可能に形成される閉扉検知装置を提供することにより達成される。
【0010】
本発明において、扉2に固定される電気錠1には磁気検出素子8が、電気錠1の施錠体3が係脱するストライク4には、マグネット6と、マグネット6によるストライク4表面からの放出磁束を調整する磁力調整部7と、ストライク4表面から進退するトリガ5とが配置される。
【0011】
トリガ5は、突出方向に付勢されてストライク4表面から進退自在であり、磁力調整部7は、トリガ5の進退に伴ってストライク4表面からの放出磁束を検出可能状態と検出不能状態との間で変化させる。
【0012】
磁力調整部7は、ストライク4表面からの放出磁束を調整することができれば種々の周知の構造を採用することが可能であり、例えば、マグネット6とストライク4表面との間に鉄板等の磁気シールド壁を進退させ、あるいはマグネット6を磁気シールド壁によるシールド領域から退避させることにより簡単に実現することができる。この場合、磁気シールド壁は、マグネット6の磁束を完全に吸収する必要はなく、シールド状態においてマグネット6からの放出磁束を磁気検出素子8による検出不能状態になる程度に低くすれば足りるために、ネオジウム等の高価な材料を使用する必要はない。
【0013】
また、磁力調整部7は、磁気シールド壁を使用することなく実現することが可能であり、この場合、マグネット6をストライク4表面に対して離接移動することにより、あるいはマグネット6を回転させて磁束密度の高い磁極位置をストライク4表面に対して離接移動させることができる。
【0014】
したがって本発明において、マグネット6をストライク4に配置し、電気錠1側の磁気検出素子8により検出するように構成することにより、扉2とストライク4との機械的接近が磁気検出素子8での検出条件となるために、開扉状態での誤検出を磁気検出素子8の精度を過度に高めることなく完全に防止することが可能になる。
【0015】
また、ストライク4表面からの放出磁束はトリガ5の没入により磁気検出素子8により検出可能となるために、機械的なトリガ5の動作が実質的に施錠可能状態の判定条件に付加された状態となっている。このため、ストライク4に配置したマグネット6を電気錠1側の磁気検出素子8で検出した状態を施錠可能状態とする場合に比して、磁気検出素子8の検出閾値を高精度に管理することなく、高い検出精度を得ることができる。
【0016】
さらに、マグネット6、磁力調整部7、およびトリガ5はスペースが十分に取れるストライク4側に配置し、電気錠1側には磁気検出素子8が配置されるだけであるため、電気錠1内のスペースを有効に利用することができる。
【0017】
また、上記目的を達成するための本発明の他の態様として、
電気錠1が固定された扉2の閉扉状態を検出する閉扉検知装置であって、
前記電気錠1の施錠体3が進退するストライク4に配置されるトリガ5、およびマグネット6と、
電気錠1に配置される磁気検出素子8とを有し、
前記トリガ5は、ストライク4表面から突出方向に付勢されるとともに、前記マグネット6は、トリガ5の進退動作に同期して、トリガ5の突出状態に対応する初期位置と、トリガ5のストライク4への没入状態に対応し、電気錠1の施錠可能位置において前記磁気検出素子8による検出が可能になる検知位置との間を駆動される閉扉検知装置を構成することができる。
【0018】
さらに、上記目的を達成するための本発明の他の態様として、
前記磁気検出素子8にはマグネット6の磁極を検出するホールICが使用されるとともに、
前記マグネット6は、トリガ5の進退動作により回転駆動されて、初期位置と、前記ホールICに磁極が正対する検知位置との間を移動する閉扉検知装置を構成することができる。
【0019】
磁気検出素子8としてはリードスイッチ等を使用することが可能であるが、この場合、磁極がリード片の重合部位に重なった領域にOFF信号出力領域が存在し、さらに、それを挟む領域にON信号出力範囲が存在するために、マグネット6の初期位置から検知位置までの移動経路途上、あるいは初期位置への復帰経路上でのON信号出力がないようにマグネット6の移動経路を設定する必要がある。
【0020】
これに対し、磁気検出素子8としてホールICを使用し、かつ、マグネット6を回転させて磁極がホールICに正対する検知位置まで移動させる本発明において、ホールICの動作パターンには、磁極が接近する途上にOFF信号出力領域が存在しないために、回転中心位置精度を過度に管理することなく、高い検出精度を保持することが可能であり、かつ、マグネット6の回転駆動は一般的に簡単な構造で実現可能であるために、製造コストも低減させることができる。
【0021】
さらに、上記目的を達成するための本発明の他の態様として、
前記マグネット6は、トリガ5の没入寸法が所定値に達した際に検知位置まで駆動された後、その後のトリガ5の没入動作に対して検知位置に保持される閉扉検知装置を構成することができる。
【0022】
本発明において、トリガ5が所定量没入してマグネット6が検知位置まで移動した後、さらにトリガ5が没入しても、マグネット6はトリガ5の没入動作に追随することなく検知位置に保持される。この結果、設定した没入深さを超える方向に検出のクリアランスが設定されることとなり、このクリアランスをストライク4、あるいは電気錠1の取り付け精度の吸収、あるいは扉2とドア枠との間のチリ寸法の吸収に使用することができる。
【0023】
また、以上の検出装置には、
扉2に固定され、内部に磁気検出素子8を備えた電気錠1の施錠体3が係脱する電気錠用ストライクであって、
奥行き方向に深さを有するストライクボックス9の表面から突出する方向に付勢されて該ストライクボックス9内に進退自在に装着されるトリガ5と、
トリガ5の進退動作に同期して、トリガ5の突出状態に対応する初期位置と、トリガ5のストライクボックス9への没入状態に対応し、前記電気錠1の施錠可能位置において前記磁気検出素子8による検出が可能になる検知位置との間を駆動されるマグネット6とを有する電気錠用ストライクを使用することができ、
この場合、
前記トリガ5にはラック部10が形成されるとともに、
マグネット6は、前記ラック部10に噛合するピニオン部11が形成される合成樹脂製のマグネットケース12に弾発的に保持され、トリガ5の進退動作に伴って初期位置と検知位置との間を回転駆動される電気錠用ストライクを構成することができる。