特許第6576266号(P6576266)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6576266通信装置、通信制御方法及び通信制御プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6576266
(24)【登録日】2019年8月30日
(45)【発行日】2019年9月18日
(54)【発明の名称】通信装置、通信制御方法及び通信制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04W 76/34 20180101AFI20190909BHJP
   H04W 16/04 20090101ALI20190909BHJP
   H04M 1/00 20060101ALI20190909BHJP
【FI】
   H04W76/34
   H04W16/04
   H04M1/00 Q
【請求項の数】8
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-33321(P2016-33321)
(22)【出願日】2016年2月24日
(65)【公開番号】特開2017-152912(P2017-152912A)
(43)【公開日】2017年8月31日
【審査請求日】2018年3月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100124084
【弁理士】
【氏名又は名称】黒岩 久人
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【弁理士】
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(72)【発明者】
【氏名】藤本 貴
【審査官】 齋藤 浩兵
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−147040(JP,A)
【文献】 特表2015−525010(JP,A)
【文献】 特開2014−143461(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0237622(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0211676(US,A1)
【文献】 特開平03−041830(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24−7/26
H04W 4/00−99/00
H04M 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の無線通信端末と無線通信を行う通信装置であって、
前記通信装置との通信接続が確立している状態を示す接続状態にある前記無線通信端末の無線通信状況を特定する特定部と、
特定された前記無線通信状況が、前記接続状態から切断状態に変化させるべき状況で、無線通信端末との通信接続を切断する基準となる時間である第1時間にわたって変化していない無線通信端末の状態を、前記接続状態から前記通信装置との通信接続が確立していない状態を示す切断状態に変更し、特定された前記無線通信状況が示す、無線通信端末から受信する電波の電波強度が低下する傾向を示した後、当該無線通信状況が、前記接続状態から切断状態に変化させるべき状況で、前記第1時間よりも短い第2時間にわたって変化していない無線通信端末の状態を、前記接続状態から前記切断状態に変更する通信制御部と、
を備える通信装置。
【請求項2】
前記通信制御部は、前記無線通信状況が示す、前記無線通信端末から受信する電波の電波強度が、前記無線通信端末が前記通信装置との無線通信が可能なエリアの縁に位置している可能性が高い場合の電波強度に対応する第1閾値よりも低いことを示しているとともに、当該無線通信状況が前記第2時間にわたって変化していない無線通信端末との通信接続を前記切断状態に変更することを特徴とする、
請求項に記載の通信装置。
【請求項3】
前記通信制御部は、前記電波強度が前記第1閾値よりも高く、前記無線通信端末が前記エリアの縁よりも内側に位置している場合の電波強度に対応する第2閾値よりも高いことを示しているとともに、前記無線通信状況が前記第1時間にわたって変化していない無線通信端末の状態を前記切断状態に変更することを特徴とする、
請求項に記載の通信装置。
【請求項4】
前記通信制御部は、前記無線通信状況が示す、前記通信装置と前記無線通信端末との通信量が、前記無線通信端末のユーザが前記通信装置を利用して通信していない可能性が高い場合の通信量に対応する所定の閾値よりも小さいことを示しているとともに、前記無線通信状況が前記第2時間にわたって変化していない無線通信端末の状態を前記切断状態に変更することを特徴とする、
請求項1から3のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項5】
前記通信制御部は、前記無線通信状況の変化に基づいて当該無線通信端末の状態を前記切断状態に変更すると判定すると、当該無線通信端末に当該通信接続を維持するか否かを示す情報を送信し、当該通信接続を維持することを示す応答がない場合に、当該無線通信端末の状態を前記切断状態に変更することを特徴とする、
請求項1からのいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項6】
前記通信制御部は、前記接続状態にある前記無線通信端末が所定数以上である場合に、当該無線通信端末の状態を前記切断状態に変更するか否かを判定することを特徴とする、
請求項1からのいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項7】
複数の無線通信端末と無線通信を行うコンピュータにより実行される、
前記コンピュータとの通信接続が確立している状態を示す接続状態にある前記無線通信端末の無線通信状況を特定するステップと、
特定された前記無線通信状況が、前記接続状態から切断状態に変化させるべき状況で、無線通信端末との通信接続を切断する基準となる時間である第1時間にわたって変化していない無線通信端末の状態を、前記接続状態から前記コンピュータとの通信接続が確立していない状態を示す切断状態に変更し、特定された前記無線通信状況が示す、無線通信端末から受信する電波の電波強度が低下する傾向を示した後、当該無線通信状況が、前記接続状態から切断状態に変化させるべき状況で、前記第1時間よりも短い第2時間にわたって変化していない無線通信端末の状態を、前記接続状態から前記切断状態に変更するステップと、
を備える通信制御方法。
【請求項8】
複数の無線通信端末と無線通信を行うコンピュータを、
前記コンピュータとの通信接続が確立している状態を示す接続状態にある前記無線通信端末の無線通信状況を特定する特定部、及び
特定された無線通信状況が、前記接続状態から切断状態に変化させるべき状況で、無線通信端末との通信接続を切断する基準となる時間である第1時間にわたって変化していない無線通信端末の状態を、前記接続状態から前記コンピュータとの通信接続が確立していない状態を示す切断状態に変更し、特定された前記無線通信状況が示す、無線通信端末から受信する電波の電波強度が低下する傾向を示した後、当該無線通信状況が、前記接続状態から切断状態に変化させるべき状況で、前記第1時間よりも短い第2時間にわたって変化していない無線通信端末の状態を、前記接続状態から前記切断状態に変更する通信制御部、
として機能させる通信制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信装置、通信制御方法及び通信制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、無線基地局等のアクセスポイントにおいて、自身を介して通信を行っていない(いわゆるアクティブ状態でない)無線通信端末に割り当てられている無線リソースを有効活用し、自身を介して実際に通信を行う無線通信端末の数を増加させることが行われている。例えば、特許文献1には、無線基地局が、予め定められた数を超える無線通信端末から通信接続の確立要求が行われたことに応じて、当該端末のアプリケーションに対応するユーザデータの通信が一定時間にわたって行われていない無線通信端末との通信接続を切断し、新たな無線通信端末と通信接続を確立するシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014−143461号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、駅や繁華街等のエリアに設置されているアクセスポイントでは、当該エリアにとどまって通信を継続する意思を有していないユーザが近くを通り過ぎた場合であっても、当該ユーザの無線通信端末との通信接続が確立され、当該通信接続が長時間にわたって維持されてしまう。このようなアクセスポイントでは、当該エリアを通過する多くのユーザの無線通信端末との通信接続が維持され、当該アクセスポイントを利用して実際に通信を行う無線通信端末の数が限られてしまうという問題があった。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、実際に無線通信を行う無線通信端末との接続数を増加させることができる通信装置、通信制御方法及び通信制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様に係る通信装置は、複数の無線通信端末と無線通信を行う通信装置であって、前記通信装置との通信接続が確立している状態を示す接続状態にある前記無線通信端末の無線通信状況を特定する特定部と、特定された前記無線通信状況の変化に基づいて前記接続状態にある前記無線通信端末の状態を、前記通信装置との通信接続が確立していない状態を示す切断状態に変更する通信制御部と、を備える。
【0007】
前記通信制御部は、前記無線通信状況が第1時間にわたって変化していない無線通信端末を前記切断状態に変更してもよい。
前記通信制御部は、前記無線通信状況が示す、前記無線通信端末から受信する電波の電波強度が低下する傾向を示した後、当該無線通信状況が第1時間よりも短い第2時間にわたって変化していない無線通信端末の状態を前記切断状態に変更してもよい。
【0008】
前記通信制御部は、前記無線通信状況が示す、前記無線通信端末から受信する電波の電波強度が第1閾値よりも低いことを示しているとともに、当該無線通信状況が第2時間にわたって変化していない無線通信端末との通信接続を前記切断状態に変更してもよい。
前記通信制御部は、前記電波強度が第2閾値よりも高いことを示しているとともに、前記無線通信状況が第1時間にわたって変化していない無線通信端末の状態を前記切断状態に変更してもよい。
【0009】
前記通信制御部は、前記無線通信状況が示す、前記通信装置と前記無線通信端末との通信量が所定の閾値よりも小さいことを示しているとともに、前記無線通信状況が第2時間にわたって変化していない無線通信端末の状態を前記切断状態に変更してもよい。
前記通信制御部は、前記無線通信状況の変化に基づいて当該無線通信端末の状態を前記切断状態に変更すると判定すると、当該無線通信端末に当該通信接続を維持するか否かを示す情報を送信し、当該通信接続を維持することを示す応答がない場合に、当該無線通信端末の状態を前記切断状態に変更してもよい。
前記通信制御部は、前記接続状態にある前記無線通信端末が所定数以上である場合に、当該無線通信端末の状態を前記切断状態に変更するか否かを判定してもよい。
【0010】
本発明の第2の態様に係る通信制御方法は、複数の無線通信端末と無線通信を行うコンピュータにより実行される、前記コンピュータとの通信接続が確立している状態を示す接続状態にある前記無線通信端末の無線通信状況を特定するステップと、特定された前記無線通信状況の変化に基づいて前記接続状態にある前記無線通信端末の状態を、前記コンピュータとの通信接続が確立していない状態を示す切断状態に変更するステップと、を備える。
【0011】
本発明の第3の態様に係る通信制御プログラムは、複数の無線通信端末と無線通信を行うコンピュータを、前記コンピュータとの通信接続が確立している状態を示す接続状態にある前記無線通信端末の無線通信状況を特定する特定部、及び特定された無線通信状況の変化に基づいて前記接続状態にある前記無線通信端末の状態を、前記コンピュータとの通信接続が確立していない状態を示す切断状態に変更する通信制御部、として機能させる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、実際に無線通信を行う無線通信端末との通信接続の数を増加させることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本実施形態に係る通信装置の概要を示す図である。
図2】本実施形態に係る通信装置の構成を示す図である。
図3】本実施形態に係るログ情報の一例を示す図である。
図4】本実施形態に係る通信装置がログ情報を取得してから、通信切断された無線通信端末のログ情報を消去するまでの処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図5】本実施形態に係る通信切断処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[通信装置1の概要]
図1は、本実施形態に係る通信装置1の概要を示す図である。
通信装置1は、例えば、スマートフォン等の複数の無線通信端末2と無線通信を行う無線LANのアクセスポイントであり、駅や繁華街といった通行量が多い場所に設置されている。通信装置1は、自身が無線通信可能なエリアAの内部に位置する複数の無線通信端末2と通信接続されているとともに、インターネット等の通信ネットワークと接続されており、無線通信端末2と、通信ネットワークに接続されている通信機器との通信を中継する。
【0015】
通信装置1は、自身と通信接続されている複数の無線通信端末2の無線通信状況を特定し、特定された無線通信状況の変化に基づいて、自身を利用した実際の通信を行っていない無線通信端末2との通信接続を切断する。このようにすることで、通信装置1は、自身が無線通信可能なエリアAを通過する、自身を利用して通信を継続する意思を有していないユーザの無線通信端末2との通信接続を切断し、自身を利用して実際に通信を行う無線通信端末2との接続数を増加させることができる。
続いて、通信装置1の構成について説明する。
【0016】
[通信装置1の構成]
図2は、本実施形態に係る通信装置1の構成を示す図である。通信装置1は、無線部11と、通信部12と、記憶部13と、制御部14とを備える。
【0017】
無線部11は、無線通信端末2と無線通信を行う。具体的には、無線部11は、制御部14から出力された信号を変調してRF(Radio Frequency)信号を生成し、アンテナ(不図示)を介して当該RF信号を無線送信する。無線部11は、アンテナを介して受信したRF信号を復調し、復調により得られた信号を制御部14に出力する。
通信部12は、通信ネットワークを介して、通信ネットワークに接続されている外部装置と通信を行う。
【0018】
記憶部13は、例えば、ROM及びRAM等である。記憶部13は、通信装置1を機能させるための各種プログラムを記憶する。記憶部13は、通信装置1の制御部14を、ログ生成部141、特定部142、及び通信制御部143として機能させる通信制御プログラムを記憶する。記憶部13は、外部メモリ等の記憶媒体に記憶されたプログラムを読み取って記憶してもよく、通信ネットワークを介して外部機器からダウンロードされたプログラムを記憶してもよい。
【0019】
記憶部13は、制御部14によって生成される、無線通信端末2の無線通信状況を示すログ情報を記憶する。図3は、本実施形態に係るログ情報の一例を示す図である。図3に示すように、ログ情報は、端末識別情報と、生成時刻と、電波強度情報と、送信パケット数と、受信パケット数とを関連付けた情報である。
【0020】
端末識別情報は、無線通信端末2を識別する情報であり、例えばMACアドレスである。なお、端末識別情報は、MACアドレスに限らず、無線通信端末2を識別する情報であれば、他の情報であってもよい。生成時刻は、ログ情報が生成された時刻を示す情報である。電波強度情報は、通信装置1が無線通信端末2から受信した電波の強度(受信電波強度)を示す情報である。送信パケット数は、通信装置1から無線通信端末2に送信したパケット数を示す情報である。受信パケット数は、通信装置1が無線通信端末2から受信したパケット数を示す情報である。
【0021】
制御部14は、例えば、CPUである。制御部14は、記憶部13に記憶されている各種プログラムを実行することにより、通信装置1に係る機能を制御する。制御部14は、ログ生成部141と、特定部142と、通信制御部143とを備える。
【0022】
ログ生成部141は、通信装置1との通信接続が確立している複数の無線通信端末2のそれぞれの無線通信状況を示すログ情報を生成する。具体的には、ログ生成部141は、所定時間おき(例えば1秒おき)に、無線通信端末2から受信する電波の受信電波強度を測定するとともに、所定時間内に無線通信端末2に送信した送信パケットの数(送信パケット数)と、所定時間内に無線通信端末2から受信した受信パケットの数(受信パケット数)とを測定する。ログ生成部141は、測定した時刻を生成時刻とし、無線通信端末2を識別する端末識別情報と、生成時刻と、受信電波強度を示す電波強度情報と、送信パケット数と、受信パケット数とを関連付けてログ情報を生成し、当該ログ情報を記憶部13に記憶させる。
【0023】
特定部142は、記憶部13から、通信装置1との通信接続が確立している状態を示す接続状態にある無線通信端末2の無線通信状況を示すログ情報を取得することにより、当該無線通信端末2の無線通信状況を特定する。具体的には、特定部142は、ログ情報に含まれる端末識別情報に基づいて、複数の無線通信端末2のそれぞれに対応するログ情報を取得する。
【0024】
通信制御部143は、通信装置1との無線通信が可能なエリアに存在する無線通信端末2から、通信接続の接続要求を受信したことに応じて、当該無線通信端末2との通信接続を行う。
また、通信制御部143は、ログ情報が示す無線通信状況の変化に基づいて、通信装置1と接続状態にある無線通信端末2との通信接続を切断することにより、当該無線通信端末2の状態を、通信装置1との通信接続が確立していない状態を示す切断状態に変更する。
また、通信制御部143は、通信接続を切断した無線通信端末2に対応するログ情報を記憶部13から消去する。
【0025】
具体的には、通信制御部143は、ログ情報が示す無線通信状況が第1時間(例えば30秒)にわたって変化していない無線通信端末2との通信接続を切断する。例えば、通信制御部143は、ログ情報に含まれる生成時刻に基づいて、最新の測定が行われた時刻から第1時間前までのログ情報を特定する。そして、通信制御部143は、特定したログ情報に含まれる電波強度情報、送信パケット数、及び受信パケット数が変化していないか否かを判定することにより、ログ情報が示す無線通信状況が第1時間にわたって変化していないか否かを判定する。通信制御部143は、無線通信状況が第1時間にわたって変化していないと判定すると、当該ログ情報に含まれている端末識別情報が示す無線通信端末2との通信接続を切断する。ここで、通信制御部143は、無線通信状況が全く変化していない場合だけではなく、無線通信状況がほとんど変化していない場合も、無線通信状況が変化していないと判定してもよい。具体的には、通信制御部143は、特定したログ情報に含まれる電波強度情報、送信パケット数、及び受信パケット数の変化量が予め定められた所定量以下である場合も、無線通信状況が変化していないと判定してもよい。
【0026】
なお、通信制御部143は、通信装置1との通信接続が確立している状態を示す接続状態にある無線通信端末2が所定数以上である場合に、当該無線通信端末2の状態を切断状態に変更するか否かを判定するようにしてもよい。このようにすることで、通信装置1と接続が確立している無線通信端末2が多い場合に限定して、当該無線通信端末2の状態を切断状態に変更するか否かを判定することができる。
【0027】
また、通信制御部143は、ログ情報が示す無線通信状況の変化に基づいて無線通信端末2との通信接続を切断すると判定すると、当該無線通信端末2に当該通信接続を維持するか否かを示す情報を送信し、当該通信接続を維持することを示す応答がない場合に、当該通信接続を切断してもよい。例えば、通信制御部143は、無線通信端末2との通信接続を切断すると判定すると、当該無線通信端末2に当該通信接続を維持するか否かを示すメッセージを送信し、当該メッセージに対応する応答メッセージを所定時間以内に受信しない場合に、当該通信接続を切断する。このようにすることで、通信装置1は、通信接続を維持することを示す応答がなく、実際に無線通信を行っていない可能性が高い無線通信端末2との通信接続を切断することができる。
【0028】
また、通信制御部143は、ログ情報に含まれる電波強度情報、パケットの送受信量の変化が所定の条件を満たしている場合には、当該ログ情報が示す無線通信状況が第1時間(例えば、30秒)よりも短い第2時間(例えば、10秒)にわたって変化していないときに、当該ログ情報に対応する無線通信端末2との通信接続を切断するようにしてもよい。
【0029】
具体的には、通信制御部143は、ログ情報に含まれている電波強度情報が示す受信電波強度が低下する傾向を示した後、当該ログ情報が示す無線通信状況が第2時間にわたって変化していない場合に、当該ログ情報に対応する無線通信端末2との通信接続を切断する。受信電波強度が低下する傾向を示している場合、無線通信端末2が、通信装置1から遠ざかっていることを示しており、当該傾向が示された後に、ログ情報が示す無線通信状況が変化していない場合、無線通信端末2が、通信装置1との無線通信が可能なエリアから離れた可能性が高い。
【0030】
よって、通信装置1は、受信電波強度が低下する傾向を示した後に、無線通信状況が第2時間にわたって変化していない無線通信端末2との通信接続を切断することにより、自身との無線通信が可能なエリアから離れた可能性が高い無線通信端末2との通信接続を、第1期間を待たずに早期に切断することができる。
【0031】
また、通信制御部143は、ログ情報に含まれている電波強度情報が示す受信電波強度が第3時間にわたって第1閾値よりも低いことを示しているとともに、当該ログ情報が示す無線通信状況が第2時間にわたって変化していない場合、当該ログ情報に対応する無線通信端末2との通信接続を切断する。ここで、第3時間は、第1時間よりも短い時間であり、例えば、第2時間(例えば、10秒)である。受信電波強度が第1閾値よりも低いことを示している場合、無線通信端末2が、通信装置1との無線通信が可能なエリアの縁を通過している可能性が高い。また、受信電波強度が第1閾値よりも低いことを示した後、ログ情報が示す無線通信状況が変化していない場合、無線通信端末2が、通信装置1との無線通信が可能なエリアから離れた可能性が高い。
【0032】
よって、通信装置1は、受信電波強度が第1閾値よりも低く、無線通信状況が第2時間にわたって変化していない無線通信端末2との通信接続を切断することにより、自身との無線通信が可能なエリアから離れた可能性が高い無線通信端末2との通信接続を早期に切断することができる。
【0033】
また、通信制御部143は、ログ情報に含まれている通信装置1と無線通信端末2との通信量を示す情報が、通信量が第3時間にわたって所定の閾値よりも小さいことを示しているとともに、当該ログ情報が示す無線通信状況が第2時間にわたって変化していない場合、当該ログ情報に対応する無線通信端末2との通信接続を切断する。例えば、送信パケット数及び受信パケット数が所定の閾値よりも小さい場合、送信パケット及び受信パケットは、例えば、通信装置1が無線通信端末2に定期的に送信する制御信号等を示す情報である可能性が高く、無線通信端末2のユーザが、通信装置1を利用して通信を継続する意思を有していない可能性が高い。
【0034】
よって、通信装置1は、通信量が所定の閾値よりも低く、無線通信状況が第2時間にわたって変化していない無線通信端末2との通信接続を切断することにより、通信を継続する意思を有していないユーザの無線通信端末2との無線通信を早期に切断することができる。
【0035】
また、通信制御部143は、ログ情報に含まれている電波強度情報が、受信電波強度が第2閾値よりも高いことを示している場合には、所定の条件に該当するか否かを判定することなしに、ログ情報が示す無線通信状況が第1時間にわたって変化していないか否かを判定し、当該判定結果に基づいて無線通信端末との通信接続を切断してもよい。このようにすることで、通信装置1は、受信電波強度が高く通信装置1と通信を行う可能性が高い無線通信端末2については、所定の条件に該当するか否かを判定しないので、通信装置1の負荷を軽減することができる。
【0036】
[通信装置1における処理の流れ]
続いて、フローチャートを参照しながら、通信装置1がログ情報を取得してから、通信切断された無線通信端末2のログ情報を消去するまでの処理の流れについて説明する。図4は、通信装置1がログ情報を取得してから、通信切断された無線通信端末2のログ情報を消去するまでの処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0037】
まず、特定部142は、記憶部13から、通信装置1との通信接続が確立している無線通信端末2の無線通信状況を示すログ情報を取得する(S1)。
続いて、通信制御部143は、無線通信端末2との通信接続を切断するか否かを判定し、判定結果に基づいて通信接続を切断する通信切断処理を実行する(S2)。通信切断処理は、通信接続が確立している複数の無線通信端末2のそれぞれに対して行われる。通信切断処理の詳細については後述する。
【0038】
続いて、通信制御部143は、通信切断処理において、通信切断された無線通信端末2が存在するか否かを判定する(S3)。通信制御部143は、通信切断された無線通信端末2が存在すると判定すると、S4に処理を移し、通信切断された無線通信端末2が存在しないと判定すると、S1に処理を移す。
続いて、通信制御部143は、記憶部13から、通信切断された無線通信端末に対応するログ情報を消去する(S4)。この処理が終了すると、通信制御部143は、S1に処理を移す。
【0039】
[通信切断処理の流れ]
続いて、通信切断処理の流れについて説明する。図5は、通信切断処理の流れの一例を示すフローチャートである。
まず、通信制御部143は、ログ情報に含まれる受信電波強度が第2閾値よりも高いか否かを判定する(S21)。通信制御部143は、受信電波強度が第2閾値よりも高いと判定すると、S25に処理を移し、受信電波強度が第2閾値以下と判定すると、S22に処理を移す。
【0040】
続いて、通信制御部143は、最新の生成時刻よりも第2時間前の時刻から、第3時間前までの時間において、ログ情報に含まれる受信電波強度が低下する傾向を示しているか否かを判定する(S22)。通信制御部143は、受信電波強度が低下する傾向を示していると判定すると、S27に処理を移し、受信電波強度が低下する傾向を示していないと判定すると、S23に処理を移す。
【0041】
続いて、通信制御部143は、最新の生成時刻から第2時間前までの時間において、ログ情報に含まれる受信電波強度が第1閾値よりも低いか否かを判定する(S23)。通信制御部143は、受信電波強度が第1閾値よりも低いと判定すると、S27に処理を移し、第1閾値以上と判定すると、S24に処理を移す。ここで、第1閾値は、第2閾値よりも低い値である。
【0042】
続いて、通信制御部143は、最新の生成時刻から第2時間前までの時間において、ログ情報に含まれる受信パケット数が所定の閾値よりも低いか否かを判定する(S24)。通信制御部143は、受信パケット数が所定の閾値よりも低いと判定すると、S27に処理を移し、受信パケット数が所定の閾値以上と判定すると、S25に処理を移す。
なお、S22からS24の処理の順番は、本フローチャートに示したものに限らず、他の順番であってもよい。
【0043】
続いて、通信制御部143は、ログ情報が示す無線通信状況が最新の生成時刻から第1時間前までの時間において変化していないか否かを判定する(S25)。通信制御部143は、無線通信状況が変化していないと判定すると、S26に処理を移し、当該ログ情報に対応する無線通信端末2との通信接続を切断する。また、通信制御部143は、S25において、無線通信状況が変化したと判定すると、通信接続を切断せずに、本フローチャートに係る処理を終了する。
【0044】
S27において、通信制御部143は、ログ情報が示す無線通信状況が最新の生成時刻から第2時間前までの時間において変化していないか否かを判定する。通信制御部143は、無線通信状況が変化していないと判定すると、S28に処理を移し、当該ログ情報に対応する無線通信端末2との通信接続を切断する。また、通信制御部143は、S27において、無線通信状況が変化していると判定すると、通信接続を切断せずに、本フローチャートに係る処理を終了する。
【0045】
[本実施形態における効果]
以上説明したように、本実施形態に係る通信装置1は、自身との通信接続が確立している無線通信端末2の無線通信状況を示すログ情報を取得し、当該ログ情報が示す無線通信状況の変化に基づいて無線通信端末2との通信接続を切断する。このようにすることで、通信装置1は、自身が無線通信可能なエリアを通過する、自身を利用して通信を継続する意思を有していないユーザの無線通信端末2との通信接続を切断し、自身を利用して実際に通信を行う無線通信端末2との通信接続の数を増加させることができる。
【0046】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。また、上記実施の形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。特に、装置の分散・統合の具体的な実施形態は以上に図示するものに限られず、その全部又は一部について、種々の付加等に応じて、又は、機能負荷に応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。
【符号の説明】
【0047】
1・・・通信装置、11・・・無線部、12・・・通信部、13・・・記憶部、14・・・制御部、141・・・ログ生成部、142・・・特定部、143・・・通信制御部、2・・・無線通信端末
図1
図2
図3
図4
図5