(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6576269
(24)【登録日】2019年8月30日
(45)【発行日】2019年9月18日
(54)【発明の名称】骨折の修復状態のモニタリング装置
(51)【国際特許分類】
A61D 1/00 20060101AFI20190909BHJP
A61B 5/107 20060101ALI20190909BHJP
A01K 67/00 20060101ALI20190909BHJP
【FI】
A61D1/00 Z
A61B5/107 130
A01K67/00 D
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-41638(P2016-41638)
(22)【出願日】2016年3月4日
(65)【公開番号】特開2017-153830(P2017-153830A)
(43)【公開日】2017年9月7日
【審査請求日】2018年5月31日
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成26年度独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「SIP(戦略的イノベーション創造プログラム)/革新的設計生産技術 三次元異方性カスタマイズ化設計・付加製造拠点の構築と地域実証」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】000005821
【氏名又は名称】パナソニック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001298
【氏名又は名称】特許業務法人森本国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】古重 徹
(72)【発明者】
【氏名】車谷 和道
(72)【発明者】
【氏名】大西 当正
(72)【発明者】
【氏名】寺西 正俊
【審査官】
中村 一雄
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許第06034296(US,A)
【文献】
特表2008−501488(JP,A)
【文献】
特開2011−139865(JP,A)
【文献】
特表2009−525155(JP,A)
【文献】
米国特許第06540746(US,B1)
【文献】
特開2015−092886(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61D 1/00
A01K 67/00
A61B 5/107
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
動物の骨の骨折部を固定する固定プレートと、
前記固定プレートに配置される歪センサと、
前記歪センサで測定される前記固定プレートの歪の測定値から前記骨折部の修復状態を判定する分析システムと、を有し、
前記固定プレートと前記骨とを螺合する複数の固定ネジをさらに有し、少なくとも一つの前記固定ネジは固定力を調整可能な構造の固定力調整ネジであり、
前記固定プレートは、前記骨と向かい合う面に形成されて前記固定プレートより弾性力の大きな複数の突起形状を有し、前記固定力調整ネジにより前記骨と前記固定プレートの固定力を弱めた時に、前記複数の突起形状が弾性変形し、前記複数の突起形状と前記骨の表面との密着面積が減少する構成である
ことを特徴とする骨折の修復状態のモニタリング装置。
【請求項2】
前記分析システムは、前記骨折部の修復状態に応じてあらかじめ設定された閾値と前記測定値とを比較することにより前記骨折部の修復状態が判定される構成であることを特徴とする請求項1記載の骨折の修復状態のモニタリング装置。
【請求項3】
前記分析システムは、前記測定値の変化をグラフ化する演算部と、前記骨折部の修復状態を判定する修復状態判定部とを含むことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の骨折の修復状態のモニタリング装置。
【請求項4】
前記固定プレートは、前記骨と向かい合う面に形成される凹状の非密着形状部を有し、前記骨と前記非密着形状部での前記固定プレートの表面との間に隙間を有することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の骨折の修復状態のモニタリング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は骨折部の修復状態をモニタリングする装
置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、動物の骨折治療では獣医により固定プレートを骨折部に取り付ける処置の後、定期的にレントゲンで骨折部の修復状態を確認していた。また、動物の日常生活の活動状態をモニタリングして骨折部の修復状態を判断する場合もあった。
【0003】
一定期間継続して動物の活動状態を測定する場合、動物に装着した3次元加速度センサの信号から、動物の向きや動きが把握できるデータを算出するとともに、加速度センサの信号から運動量の指標となるデータを算出することにより、動物の動きの激しさも把握できるモニタリング装置が用いられていた。
【0004】
従来のモニタリング装置では、3次元加速度センサの信号から得られる動物の向きと運動量により、例えば歩行中といった動物の活動状態は把握することできる。このように動物の活動状態を把握することにより、骨折治療の過程において、骨折部が全く修復していない状態では、動物が歩行中に骨折している足を地面に着けないため、このような行動を検知することにより骨折部が修復していない状態を検出することができる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−217928号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来のモニタリング装置によると、骨折部の修復が進行している状態では、骨折部が折れた骨と骨とを固定する固定プレートによって支えられているために歩行状態に問題がないのか、骨の修復が進み癒合した状態の骨で支えられているのかの判断が困難であった。つまり、動物の活動状態から骨折部の修復状態を類推しているだけであるため、正確な骨折部の修復状態を診断することが困難であった。特に、骨折部が修復している状態であるのかを判断することは動物の活動状態をモニタリングするだけでは困難であり、骨折部の修復状態を把握するにはレントゲンなどに頼らざるを得ないという課題を有していた。
【0007】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、骨折部の修復状態を簡便かつ正確に把握することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の骨折の修復状態のモニタリング装置は、動物の骨の骨折部を固定する固定プレートと、前記固定プレートに配置される歪センサと、前記歪センサで測定される前記固定プレートの歪の測定値から前記骨折部の修復状態を判定する分析システムと
、を有
し、前記固定プレートと前記骨とを螺合する複数の固定ネジをさらに有し、少なくとも一つの前記固定ネジは固定力を調整可能な構造の固定力調整ネジであり、前記固定プレートは、前記骨と向かい合う面に形成されて前記固定プレートより弾性力の大きな複数の突起形状を有し、前記固定力調整ネジにより前記骨と前記固定プレートの固定力を弱めた時に、前記複数の突起形状が弾性変形し、前記複数の突起形状と前記骨の表面との密着面積が減少する構成であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
以上のように、骨折部を固定する固定プレートの歪を測定し、歪の測定値から骨折部の修復状態を判断することにより、骨折部の修復状態を簡便かつ正確に把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施の形態1における骨折部の固定状態を例示する図
【
図2】本発明の実施の形態1における固定プレートに配置した歪センサの配置例を示す図
【
図3】本発明の実施の形態1におけるモニタリング装置の構成例を示す図
【
図4】本発明の実施の形態1におけるモニタリング方法のフローを例示する図
【
図5】本発明の実施の形態1における歪最大値Jの算出方法を例示する図
【
図6】本発明の実施の形態1における閾値と歪の値との関係を例示する図
【
図7】本発明の実施の形態1における歪の値の経時変化を例示する図
【
図8】本発明の実施の形態1における歪の測定結果から犬の一日の運動量を推測する様子を例示する図
【
図9】本発明の実施の形態2における骨折部の固定状態を例示する図
【
図10】本発明の実施の形態2における固定プレートの突起形状を例示する図
【
図11】本発明の実施の形態2における固定プレートの突起形状を例示する図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下本発明の実施の形態における骨折の修復状態のモニタリング装置及びモニタリング方法について、犬の骨折治療の過程を例にして図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
図1は犬の骨折治療におけるプレート固定法の例を説明する図であり、骨折した骨をプレートで固定した状態を示す。
図2は本発明の歪センサの配置状態の例を説明する図であり、固定プレートの平面図及び側面図を示す。
【0013】
図1に示すように、骨折の治療の際には、まず、骨折した骨は、骨折部11において骨折した骨を元の位置(正常な位置)に戻される。さらに、固定プレート12が骨折部11をまたいで折れた骨に密着され、固定プレート12と骨折した骨とが複数の固定ネジ14、15で螺合されることにより、固定プレート12は骨折した骨に固定される。歪センサ13は固定プレート12に取り付けられ、歩行などの運動により固定プレート12に負荷がかかったときに生じる固定プレート12の変形を検出する。
図2に示すように、歪センサ13は固定プレート12の骨折部11と向かい合う面の反対面に配置され、負荷がかかったときに前記固定プレート12の変形量が大きくなる位置に配置される。
【0014】
図3は骨折の治癒過程を観察するモニタリング装置の構成を例示するブロック構成図であり、例として、動物の例である犬の脚が骨折した状態を示す。
図1で説明した固定プレートに配置された歪センサは骨折治療部50に取り付けられる。メモリ装置51は、脚等の骨折治療部50の近傍に取り付けられており、歪センサの信号を測定データとして一時保存する。メモリ装置51は、保存されるデータを分析システム52に無線または有線で送信する送信器(図示せず)を内蔵する。送信器(図示せず)はメモリ装置51の外部に備えてもよい。モニタリング装置は、歪センサ,メモリ装置51及び分析システム52から構成される。分析システム52は測定データから骨折部の修復状態を分析する。分析システム52は測定データをグラフ化し後述する歪最大値Jを算出する歪データ演算部53と、骨折部の修復状態を判定する修復状態判定部54と、歪センサの測定データやグラフなどを保存するデータ保存部55とで構成されている。修復状態判定部54はあらかじめ1または複数の閾値が設定される。閾値は、骨折部の修復状態に応じた歪の値を示す。修復状態判定部54はこれらの閾値と測定された歪の値とを比較し、閾値との大小関係から骨折部の修復状態を判断する。修復状態判定部54はCPU等の演算装置(図示せず)を備え、このような判断処理を行う。また、前記分析システム52は、閾値の設定等、各種設定値の入力操作を行う入力装置61と、設定値を入力する設定画面や歪センサの測定データから分析される判定結果が表示される表示装置60とを備えることもできる。分析システム52は対象となる動物に取り付けることもでき、その場合、入力装置61及び表示装置60は必要な際のみに接続する構成とする。
【0015】
尚、分析システム52は、歪データ演算部53と修復状態判定部54とデータ保存部55とを備える構成に限らず、少なくとも歪センサからの測定データを受信し、測定データから歪最大値Jを算出し、歪最大値Jと1または複数の閾値を比較して骨折部の修復状態を判定する構成であれば良い。
【0016】
図4に本発明の実施の形態1における骨折部の修復状態をモニタリングするフローの例を示す。
図5は実施の形態1の骨折部の修復状態をモニタリング方法における閾値の設定例を説明する図、
図6は歪の値と修復状態との関係を例示する図、
図7は固定プレート装着後の経過日数と歪の値との関係を例示する図、
図8は歪の値と行動パターンとの関係を例示する図である。
【0017】
歪データは骨折部の修復状態を判定するために用いられ、例えば1日の中で決まった時間に測定され収集されたデータであるとする。測定は、例えば駆け足等で骨折部に負荷がかかる状態で測定される。負荷がかかる状態は、運動量の違いによる歪データの差異を抑えるため、常に同じ活動状態(駆け足等)とする。
【0018】
以下
図1〜
図8を参照して本発明の骨折の修復状態のモニタリング方法の例を説明する。
まず上記前提条件で歪センサのデータが収集され(
図4のSTEP1)、犬に装着したメモリ装置51に一時保存される(
図4のSTEP2)。次に一時保存された測定データを分析システムへ転送する(
図4のSTEP3)。転送された測定データは歪データ演算部53にてグラフ化されるとともに(
図4のSTEP4)、歪最大値Jが算出される。
【0019】
ここで、歪最大値Jは骨折部11に及ぼす歪の影響を指標する値である。
図5に示すように、測定された歪の値は経時的に変化する。歪最大値Jは、事前に設定する一定時間内(例えば10秒間)で、歪データの大きい順に例えば10点を集計し、それらを平均化することにより求められる。算出された歪最大値Jは、骨折部11の修復状態を判定する歪最大値Jとして分析システム52内のデータ保存部55に保存される(
図4のSTEP5)。
【0020】
次に、修復状態判定部54は事前に設定した閾値と算出された歪最大値Jとを比較する。例えば閾値は複数設定され、骨折部11の修復している程度に応じた歪の大きさとして、修復の程度に応じた閾値が設定される。
図6に示すように、骨が修復されていないときは固定プレート12よって体重が支えられるため、固定プレート12側に負荷がかかり歪データは大きくなる。骨の修復が進むと骨と固定プレート12の両方で体重を支えるため固定プレート12にかかる負荷は徐々に小さくなる。このような傾向を踏まえて、例えばJ1>J2>J3>J4となるように4つの閾値J1〜J4を設定する。これらの閾値は、歪最大値JがJ≧J1の時は修復率50%以下、J1>J≧J2の時は修復率50より大きく70%以下、J2>J≧J3の時は修復率70より大きく80%以下、J3>J≧J4の時は修復率80より大きく90%以下、J<J4の時は回復となるように設定される。そして、歪最大値Jと閾値J1〜J4とを比較し、歪最大値Jがどの範囲に入るかを確認することにより修復状態を判定する(
図4のSTEP6−1〜STEP10)。尚、歪最大値Jではなく単に歪の測定値と閾値を比較しても良い。また、歪最大値Jまたは歪の測定値が閾値のどの範囲に入るかではなく、最も値の近い閾値を検出し、その閾値に対応する修復率を判定結果としても良い。骨の修復状態を判定する閾値は、骨折した骨の太さや骨折箇所、犬の犬種や年齢など個体差等により骨の修復速度が異なるため、個体ごとに適切な値を設定することが好ましい。
【0021】
また、歪最大値Jのデータを継続してモニタリングすることで、
図7のように固定プレート12装着後から回復に到る過程における固定プレート12の歪の値の変化をグラフ化できる。時間経過により歪の値が小さくなることから、経時的に骨折部11の修復状態が良化していく過程が把握できるため、歪センサ13の測定データに基づき、修復状態に応じた適度なリハビリを行うことも可能となる。何か異常があった場合でもグラフをみて定量的に修復の以上状態を判断できるため、早めの対処が可能となる。
【0022】
また、収集した歪センサの測定データを分析することにより、犬の行動パターンも把握することができる。例えば、
図8に示すように、歪の大きさや歪の変化の態様により、犬が一日の大半を睡眠しているのか、静止状態であるのか、動作状態であるのか犬がどのような行動をしているのか等のおおまかな犬の活動状態が把握される。このように日々モニタリングしている歪の変化から骨折部11の修復状態のデータに異常があった場合、日常的に激しい運動を行っていないかなど、活動状態から異常の原因を推測することもできる。
【0023】
以上のように骨折部にかかる負荷を歪センサで測定することで、レントゲンでの確認を最小限に抑えながら、骨折治療開始から骨が回復するまでの期間において、骨折部の修復状態の経過を日常的に、容易かつ正確に把握することができるようになる。また、対象となる動物の行動も予測することができ、治療方針やリハビリ方針の結果にフィードバックすることができる。また、修復状態に異常があった場合、予想される日々の行動から、異常の原因を推定し、治療の一助とすることができる。
【0024】
(実施の形態2)
骨折治療において固定プレートを使用して折れた骨を固定する場合、骨折部に固定プレートが密着していると仮骨が形成され難い。骨折部は仮骨が形成されることにより骨が修復されるため、骨折部全面に仮骨が形成されないと骨折部の修復が不完全となり、固定プレートを外した際に再骨折する可能性が高くなる。また固定プレートを長期間、骨と固定した状態にしておくと、骨が細く痩せてもろくなることがあり、再骨折する可能性が高くなる。
【0025】
図9は本発明の実施の形態2における固定プレートの形状を例示する図である。
図10,
図11は実施の形態2における突起形状の構成を例示する図である。
図9〜
図11において、
図1と同じ構成要素については同じ符号を用い、説明を省略する。
【0026】
実施の形態2における骨折の修復状態のモニタリング装置において、固定プレート22と折れた骨21を螺合するネジ部は、例えば固定力が調整可能な構造の固定力調整ネジ16である。尚、固定力調整ネジ16で固定力を調整する際、切開せずに調整できるように固定力調整ネジ16の頭部は皮膚から露出した状態にしておくことが好ましい。固定プレート22と折れた骨21との螺合は、全てのねじとして固定ネジ14,15を用いてもよいし、全てのねじとして固定力調整ネジ16を用いてもよいし、固定ネジ14,15と固定力調整ネジ16とを組み合わせてもよい。
【0027】
また、固定プレート22は、骨折部11の仮骨23の形成、及び骨の修復を阻害しないように、骨折部11と密着しない非密着形状部12aと、折れた骨21の表面に密着する複数の突起形状12bとを有している。非密着形状部12aは固定プレート22の骨折部11と向かいあう面に設けられ、骨折部11と固定プレート22とが接しないように固定プレート22に設けられた固定プレート22の凹部である。非密着形状部12aにおいて、骨21と固定プレート22との間には隙間が形成され、骨21と固定プレート22とは接触しない。突起形状12bは、固定プレート22の骨21と向かいあう対向面に設けられた突起である。突起形状12bを設けることにより、骨21に固定プレート22が装着された際に、固定プレート22は突起形状12bの先端のみで骨21と接し、固定プレート22の対向面の全面が骨21と接することなく適度な隙間が形成される。このように、固定プレート22が非密着形状部12aを備えることにより骨折部21と固定プレート22とが接しないため、骨折部11に仮骨23が形成されることが阻害されない。また、固定プレート22が突起形状12bを備えることにより、骨の修復が阻害されることが抑制される。歪センサ13は固定プレート12の非密着形状部12aが形成された面に対する裏面に形成されることが好ましいが、骨21と接触せず、固定ネジの邪魔にならない領域に設けられれば良い。非密着形状部12aと突起形状12bとの両方を備える構成が言及されているが、いずれか一方を備える構成とすることもできる。
【0028】
実施の形態2における骨折の修復状態のモニタリング装置においても、実施の形態1と同様に、骨折部11を固定する固定プレート22の歪を測定し、歪の測定値から骨折部11の修復状態を判断することにより、骨折部11の修復状態を簡便かつ正確に把握することができる。さらに、骨折部11の修復状態は、固定プレート22と前記骨折部11の骨とを固定した状態で、歪データを測定して修復状態を判定し、骨折部の修復状態の経過を日常的に把握することができる。
【0029】
突起形状12bは固定プレート22より弾性力が大きいことが好ましい。固定プレート22に配置された歪センサ13のデータから判定された前記骨折部11の修復状態に応じ、例えば修復率が70〜80%と判定された場合、固定力調整ネジ16を緩め固定力を低下させる。その際、
図11に示すように、複数の突起形状12bが弾性変形するため、折れた骨21と突起形状12bとの密着面積が減少し、固定力を容易に低下させることができ、より骨の修復が阻害され難くなる。また、複数の突起形状12bの弾性変形の反発性で固定力調整ネジ16の緩みも防止できる。
【0030】
骨折治療において、骨の修復過程で形成される仮骨に適切な負荷を掛けると、骨癒合が促進される性質があることが知られている。そのため、骨折部11の修復状態に応じて負荷を掛けることで骨の修復を促す効果が向上し、骨折部11の早期回復が期待され、再骨折が発生するリスクが抑えられるようになる。
【0031】
尚、上記各実施の形態において、犬にかぎらず全ての動物の骨折の修復状態の確認に用いることができる。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明は、骨折部の修復状態を簡便かつ正確に把握することができ、骨折部の修復状態をモニタリングする装置及び方法等に有用である。
【符号の説明】
【0033】
11 骨折部
12 固定プレート
12a 非密着形状部
12b 突起形状
13 歪センサ
14 固定ネジ
15 固定ネジ
16 固定力調整ネジ
21 骨
22 固定プレート
23 仮骨
50 骨折治療部
51 メモリ装置
52 分析システム
53 歪データ演算部
54 修復状態判定部
55 データ保存部
60 表示装置
61 入力装置