(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の開度規制装置と建具の一実施形態について、図面を参照して説明する。
本実施形態の開度規制装置は、面材の開度の規制を解除可能な全半開装置(ストッパー装置)であり、本実施形態の建具に設けられる。以下では、建具が縦すべり出し窓である場合を例にとり、開度規制装置について説明する。
【0010】
図1は、本実施形態の建具1(縦すべり出し窓)の斜視図であり、室外側の上方からみた建具1の概略構成を示している。
図示のように、建具1は、枠体2と、枠体2に開閉可能に取り付けられた面材3と、面材3に取り付けられた操作ハンドル4と、面材3の開度を規制する開度規制装置5を備えている。ユーザー(操作者)は、操作ハンドル4を操作して、枠体2に対して面材3を移動させ、面材3を開閉する。ここでは、建具1は、室外側に向かって開く外開き窓であり、面材3は、枠体2に回動可能に取り付けられている。回動により、面材3は、室外側と枠体2側とに移動して、開閉する。
【0011】
枠体2は、建物の開口部に設置される方形状の窓枠(開口枠)であり、枠組みされた上枠2A、下枠2B、及び、一対の縦枠2C、2Dを有する。面材3は、枠体2の開口部2Eを開閉する方形状の障子であり、枠組みされた上框3A、下框3B、及び、一対の縦框3C、3Dを有する。また、面材3は、上框3A、下框3B、及び、一対の縦框3C、3Dの内側に嵌め込まれたパネル材3E(例えば、ガラス板)を有する。
【0012】
面材3の上框3Aと下框3Bが、ステイ(図示せず)により枠体2の上枠2Aと下枠2Bに回動可能に支持されている。面材3は、開き方向Hと閉じ方向Tに移動(回動)して、開閉する。面材3の開き方向Hは、枠体2に対して面材3が開くときの面材3の移動方向(回動方向)であり、面材3の閉じ方向Tは、枠体2に対して面材3が閉じるときの面材3の移動方向である。
【0013】
開度規制装置5は、枠体2と面材3に設けられて、面材3の開度を規制する規制状態(
図1に示す状態)と、面材3の開度の規制を解除する非規制状態(規制解除状態)とに切り替えられる。面材3の開度は、枠体2に対する面材3の開き角度であり、開度規制装置5の状態は、ユーザーの操作により切り替えられる。面材3は、開度規制装置5の各状態で開閉して、半開又は全開する。面材3の半開時に、面材3は、全開時の開度よりも小さい所定の開度で開いて、全閉位置と全開位置の間の位置(半開位置)に配置される。
【0014】
面材3を全閉位置と半開位置の間でのみ開閉するときに、規制状態の開度規制装置5により、面材3の開度が規制されて、面材3が半開よりも大きく開くのが防止される。開度規制装置5により、面材3は、半開位置で止められて、半開位置に配置される。面材3を全閉位置と全開位置の間で開閉するときには、開度規制装置5の状態が規制状態から非規制状態に切り替えられて、開度規制装置5による面材3の開度の規制が解除される。その状態では、開度規制装置5により面材3の開度が規制されずに、面材3が全開する。
【0015】
開度規制装置5は、枠体2と面材3の一方に支持されるアーム6と、枠体2と面材3の他方に設けられる連結機構7を有し、面材3が全閉した状態で、枠体2と面材3の間に配置される。開度規制装置5が非規制状態であるときに、アーム6は、面材3の開閉に伴い、連結機構7に対して相対的に移動する。開度規制装置5が規制状態であるときには、アーム6は、連結機構7により枠体2と面材3の他方に連結される。ここでは、アーム6は、面材3に支持され、枠体2に設けられる連結機構7により、枠体2に連結される。また、アーム6と連結機構7は、それぞれ縦框3Dと縦枠2Dの対向面に取り付けられ、縦框3Dと縦枠2Dの長手方向(ここでは、上下方向)に部分的にずらして配置される。面材3が全閉した状態で、縦框3Dと縦枠2Dの対向面は、互いに対向して配置される。
【0016】
図2は、
図1の矢印X1方向からみた開度規制装置5の正面図であり、規制状態の開度規制装置5を示している。また、
図2は、面材3の全閉時におけるアーム6の一部を破線で示している。
図示のように、アーム6は、細長い板状の回動部材であり、面材3に支持される支持部6Aと、枠体2に移動可能に連結される連結部6Bを有する。アーム6の支持部6Aが板状のアームベース10に回動可能に取り付けられて、アームベース10が面材3に取り付けられる。アーム6の支持部6Aは、アームベース10を介して、面材3に回動可能に支持される。アーム6の連結部6Bは、連結機構7に対して移動可能に連結され、連結機構7により枠体2に連結される。その状態で、連結機構7は、アーム6の連結部6Bを保持する。
【0017】
支持部6Aは、アーム6の一端部であり、連結部6Bは、アーム6の他端部である。アーム6が支持部6Aを中心に回動して、連結部6Bがアーム6の回動方向Kに移動する。開度規制装置5が非規制状態であるときには、連結部6Bと連結機構7の連結が解除されて、アーム6が面材3の縦框3Dの長手方向に沿って配置される。連結部6Bは、連結機構7及び枠体2に連結されず、アーム6は、面材3と共に開き方向Hと閉じ方向Tに移動する。開度規制装置5が規制状態であるときには、連結部6Bが連結機構7及び枠体2に連結される。その状態で、アーム6は、枠体2と面材3の間で回動して、面材3の開度を規制する。面材3が全閉した状態で、アーム6は、枠体2と面材3の間の空間に収容される。
【0018】
連結機構7は、枠体2(縦枠2D)に取り付けられるガイド部材20と、ガイド部材20に形成されたガイド溝30を有する。ガイド部材20は、縦枠2Dの長手方向(ここでは、上下方向)に延びるガイド溝30により、アーム6の連結部6Bをガイドする。開度規制装置5が規制状態であるときに、アーム6の連結部6Bがガイド部材20のガイド溝30に係合して、ガイド溝30が連結部6Bと連結する。その状態で、連結部6Bは、ガイド溝30により、ガイド方向(ガイド溝30の延びる方向)にガイドされて、ガイド溝30に沿って移動する。規制状態における面材3の開閉に伴い、連結機構7は、ガイド溝30により、アーム6の連結部6Bを移動させて、アーム6を回動方向Kに回動させる。その際、アーム6の連結部6Bは、ガイド溝30に沿って移動しつつ、アーム6の支持部6Aを中心に、アーム6の回動方向Kに移動する。
【0019】
図3は、本実施形態のアーム6を分解して示す斜視図であり、
図1の矢印X2方向からみたアーム6を示している。
図示のように、アーム6は、支持ピン11と、連結ピン12を有する。また、アーム6とアームベース10の間には、付勢部材13が配置される。支持ピン11は、アーム6の支持部6Aであり、アーム6の一端部をアームベース10に回動可能に取り付ける。連結ピン12は、アーム6の連結部6Bであり、アーム6の他端部に取り付けられる。
【0020】
連結ピン12は、連結機構7に向かって突出する係合突起(係合ピン)であり、ガイド溝30に配置された状態で、ガイド溝30に係合する。これにより、連結ピン12がガイド溝30により保持され、アーム6の連結部6B(連結ピン12)が連結機構7のガイド溝30に連結される。連結ピン12がガイド溝30によりガイドされて、連結ピン12の移動に伴い、アーム6が回動方向Kに回動する。
【0021】
付勢部材13は、円錐状のねじりコイルばねであり、支持ピン11の周りに配置される。付勢部材13の一端部13Aは、アームベース10の支持部10Aに支持され、付勢部材13の他端部13Bは、アーム6の装着部6Cに支持される。付勢部材13は、アーム6の装着部6Cを付勢することで、アーム6を付勢方向Fに付勢して回動させる。付勢部材13の付勢により、アーム6は、アームベース10の押さえ部10Bに接触して、押さえ部10Bにより押さえられる。押さえ部10Bにより、アーム6の回動が止められて、アーム6が縦框3Dの長手方向に沿って配置される。
【0022】
開度規制装置5が規制状態であるときに(
図2参照)、面材3の開き方向Hへの移動に伴い、アーム6の連結部6B(連結ピン12)が、ガイド溝30のガイド方向の一端部31から他端部32に向かって移動する。同時に、アーム6は、回動方向Kの一方側に回動して、アームベース10の押さえ部10Bから離れる。連結部6Bがガイド溝30の他端部32まで移動したときに、アーム6の回動が停止して、アーム6により、面材3の開き方向Hへの移動が止められる。これにより、面材3の開度が規制されて、面材3が半開する。
【0023】
面材3の閉じ方向Tへの移動に伴い、アーム6の連結部6Bが、ガイド溝30の他端部32から一端部31に向かって移動する。同時に、アーム6は、回動方向Kの他方側に回動して、アームベース10の押さえ部10Bに接近する。面材3が全閉したときに、アーム6がアームベース10の押さえ部10Bに接触して、アーム6の回動が停止する。また、開度規制装置5が非規制状態であるときには、アーム6は、付勢部材13の付勢により、押さえ部10Bに向かって回動して、押さえ部10Bに接触する。
【0024】
図4は、本実施形態の連結機構7を示す図であり、連結機構7の内部構造を破線で示している。
図4Aは、連結機構7の斜視図であり、
図4Bは、連結機構7の側面図である。
図5は、連結機構7を分解して示す斜視図である。
図示のように、連結機構7は、ガイド部材20にスライド可能に取り付けられたスライド部材40と、スライド部材40を付勢する付勢部材50と、スライド部材40を移動させる移動機構60と、アーム6の連結の解除を防止する防止機構70を有する。
【0025】
ガイド部材20は、ガイド溝30に加えて、枠体2に取り付けられる2つの取付部21と、ガイド溝30に並列する一対の壁部22と、ガイド溝30に繋がる開放部23を有する。スライド部材40は、一対の壁部22の間に配置されて、壁部22の延びる方向(ガイド溝30のガイド方向)にスライドする。一方の壁部22は、開放部23の位置で分割されて、開放部23の両側に配置される。開放部23は、ガイド溝30の一端部31に連続して形成されて、面材3の開き方向Hに向かって開放されている。
【0026】
ガイド溝30は、開放部23に向かって開放された一端部31と、閉鎖された他端部32と、アーム6の連結部6Bを収容する収容部33を有する。アーム6の連結部6Bは、ガイド溝30の一端部31を通過して、ガイド溝30内の領域(内部領域)とガイド溝30外の領域(外部領域P)(
図4A参照)とに移動する。ここでは、外部領域Pは、開放部23内の一部の領域である。アーム6の連結部6Bは、一端部31を通過して、ガイド溝30に出入りし、ガイド溝30と開放部23とに移動する。
【0027】
面材3が開かれるときに、アーム6の連結部6Bがガイド溝30の他端部32まで移動して、連結部6Bの回動方向Kの移動が停止する。ガイド溝30の収容部33は、ガイド溝30の他端部32から連続して形成された屈曲部であり、他端部32において、面材3の開き方向Hに向かって屈曲して、開き方向H側に形成される。規制状態で面材3が開かれるときに、アーム6の連結部6Bは、ガイド溝30の一端部31を通過して、ガイド溝30に入る。また、アーム6の連結部6Bは、ガイド溝30の一端部31から他端部32まで移動する。続いて、アーム6の連結部6Bは、面材3の開き方向Hに移動して、ガイド溝30の収容部33に収容される。
【0028】
ガイド溝30の収容部33は、他端部32まで移動したアーム6の連結部6Bを収容して、連結部6Bを停止させる。これにより、アーム6の回動が停止するとともに、面材3が半開位置で停止する。規制状態で面材3が閉じられるときには、アーム6の連結部6Bは、面材3の閉じ方向Tに移動して、収容部33から出る。続いて、アーム6の連結部6Bは、ガイド溝30の他端部32から一端部31まで移動して、ガイド溝30の一端部31を通過する。ガイド溝30は、一端部31を通過したアーム6の連結部6Bを外部領域Pに移動させる。これにより、アーム6の連結部6Bは、ガイド溝30から出て、開放部23に移動する。面材3が全閉した状態で、アーム6の連結部6Bは、ガイド溝30外の外部領域Pに配置されて、スライド部材40により外部領域Pに保持される。
【0029】
スライド部材40は、スライドにより移動する1つの可動部材であり、樹脂により成形されている。また、スライド部材40は、ガイド溝30に重ねて配置される溝部41と、ガイド部材20の開放部23に配置されるガイド部42と、ガイド溝30の他端部32に配置される封鎖部43と、移動機構60に接続される接続部44を有する。ガイド部42は、スライド部材40のスライド方向(移動方向)の中間部に形成されている。接続部44は、スライド部材40のスライド方向の一端部に形成されている。封鎖部43は、スライド部材40のスライド方向の他端部に形成されている。溝部41は、封鎖部43と接続部44の間に形成されている。
【0030】
開度規制装置5が規制状態であるときに、アーム6の連結部6Bは、溝部41内に配置されて、溝部41の長手方向に移動する。連結機構7は、スライド部材40の一部であるガイド部42と封鎖部43を有し、移動可能なガイド部42と封鎖部43により、アーム6の連結部6Bの移動を規制する。付勢部材50により付勢された状態で、スライド部材40は、ガイド溝30のガイド方向にスライドして移動する。これに伴い、ガイド部42と封鎖部43は、ガイド溝30のガイド方向に一体に移動する。
【0031】
付勢部材50は、コイルばねであり、スライド部材40のガイド部42とガイド部材20の突起24の間に配置されて、スライド部材40を下方に付勢する。突起24は、スライド部材40に向かって折り曲げられたガイド部材20の一部であり、スライド部材40の長孔45内に配置される。スライド部材40は、付勢部材50を圧縮しつつ上方に移動し、付勢部材50の付勢により下方に移動する。
【0032】
図6は、
図4に示す位置からスライドしたスライド部材40を含む連結機構7を示す図である。
図6Aは、連結機構7の斜視図であり、
図6Bは、連結機構7の側面図である。
図4、
図6に示すように、スライド部材40のスライド(移動)に伴い、ガイド部42は、アーム6の連結部6Bをガイドするガイド位置Q1(
図4A参照)と、アーム6の連結部6Bを解放する解放位置Q2(
図6A参照)との間で移動して、ガイド位置Q1と解放位置Q2とに配置される。同時に、封鎖部43は、ガイド溝30の収容部33を封鎖する封鎖位置R1(
図4A参照)と、ガイド溝30の収容部33を開放する開放位置R2(
図6A参照)との間で移動して、封鎖位置R1と開放位置R2とに配置される。付勢部材50は、ガイド部42をガイド位置Q1に向かって付勢し、封鎖部43を封鎖位置R1に向かって付勢する。
【0033】
ガイド部42は、外部領域Pを遮るように開放部23に突出して、開放部23内のガイド位置Q1に配置される。また、ガイド部42は、ガイド位置Q1から開放部23の外側(ガイド溝30の他端部32側)に向かって移動して、外部領域Pを遮らない解放位置Q2に配置される。これにより、開放部23の外部領域Pは、面材3の開き方向Hに向かって開放される。解放位置Q2は、ガイド位置Q1よりも上方の位置であり、ガイド部42は、ガイド位置Q1から上方に向かって移動する。付勢部材50の付勢により、ガイド部42は、解放位置Q2からガイド位置Q1に向かって移動して、ガイド位置Q1に配置される。
【0034】
封鎖部43は、収容部33の出入口を遮るように、ガイド溝30内の封鎖位置R1に配置される。また、封鎖部43は、封鎖位置R1からガイド溝30の外側に向かって移動して、収容部33の出入口を遮らない開放位置R2に配置される。これにより、収容部33は、面材3の閉じ方向Tに向かって開放される。開放位置R2は、封鎖位置R1よりも上方の位置であり、封鎖部43は、封鎖位置R1から上方に向かって移動する。付勢部材50の付勢により、封鎖部43は、開放位置R2から封鎖位置R1に向かって移動して、封鎖位置R1に配置される。
【0035】
移動機構60により、スライド部材40がスライドして、ガイド部42と封鎖部43が移動する。移動機構60は、連結機構7の操作に用いられる操作部材61を有し、1つの操作部材61の操作に伴い、ガイド部42と封鎖部43を共に移動させる。操作部材61により、スライド部材40のスライドが操作されて、ガイド部42と封鎖部43の移動が操作される。移動機構60は、ガイド部42をガイド位置Q1から解放位置Q2に移動させるとともに、封鎖部43を封鎖位置R1から開放位置R2に移動させる。
【0036】
移動機構60は、操作部材61(
図4、
図5参照)に加えて、操作部材61の動きをスライド部材40に伝達する伝達部材62と、3つの軸ピン(第1軸ピン63、第2軸ピン64、第3軸ピン65)を有する。操作部材61は、金属製の板状部材であり、面材3を全閉した状態で、枠体2と面材3の間に配置される。また、操作部材61は、一端部に形成された2つの取付孔61Aと、スライド部材40に向かって突出する突片61Bと、突片61Bに形成された連結孔61Cを有する。伝達部材62は、一端部に形成された支持孔62Aと、長孔62Bを有する。第1軸ピン63は、伝達部材62の支持孔62Aに配置された状態で、操作部材61の連結孔61Cに取り付けられて、伝達部材62を操作部材61に連結する。伝達部材62は、第1軸ピン63により、回動可能に支持される。
【0037】
ガイド部材20は、一対の壁部22に形成された支持孔25と、細長い貫通孔26を有する。スライド部材40は、接続部44に、長孔44A、貫通部44B、取付孔44C、及び、スリット44Dを有する。スライド部材40の取付孔44Cとスリット44Dは、接続部44の端部に位置し、取付孔44Cは、スリット44Dの両側に形成されている。スライド部材40の長孔44Aは、ガイド部材20の2つの支持孔25の間に配置され、ガイド部材20の貫通孔26は、スライド部材40の貫通部44Bとスリット44Dに重なる位置に配置される。
【0038】
第2軸ピン64は、操作部材61の取付孔61A、ガイド部材20の支持孔25、及び、スライド部材40の長孔44Aに配置された状態で、操作部材61の取付孔61Aに取り付けられる。第2軸ピン64により、操作部材61は、ガイド部材20に連結されて、回動可能に支持される。スライド部材40のスライド時には、長孔44A内における第2軸ピン64の位置が、長孔44Aの長手方向に変化する。
【0039】
操作部材61がガイド部材20に重なる状態で、伝達部材62は、ガイド部材20の貫通孔26とスライド部材40の貫通部44Bに配置され、伝達部材62の長孔62Bの端部は、スライド部材40のスリット44Dに配置される。第3軸ピン65は、スライド部材40の取付孔44Cと伝達部材62の長孔62Bに配置された状態で、スライド部材40の取付孔44Cに取り付けられる。長孔62B内における第3軸ピン65の位置は、長孔62Bの長手方向に変化する。
【0040】
連結機構7が操作されていないときには(
図4参照)、操作部材61は、ガイド部材20に重ねて配置されて、ガイド部材20の一部を覆う。連結機構7が操作されるときには、ユーザーにより、操作部材61は、ガイド部材20から起こされて、第2軸ピン64を中心に回動する(
図6参照)。操作部材61の回動に伴い、伝達部材62が操作部材61により引っ張られて変位し、第3軸ピン65が伝達部材62の長孔62Bの端部に接触する。また、伝達部材62は、第3軸ピン65を第2軸ピン64に向かって移動させて、操作部材61の動きを第3軸ピン65及びスライド部材40に伝達する。これにより、第3軸ピン65が上方に移動して、スライド部材40が第3軸ピン65と共に上方にスライドする。同時に、スライド部材40のガイド部42と封鎖部43が上方に移動する。
【0041】
この状態(
図6参照)から操作部材61の操作を中止すると、付勢部材50の付勢により、スライド部材40が下方にスライドして、ガイド部42、封鎖部43、及び、第3軸ピン65が下方に移動する(
図4参照)。同時に、伝達部材62が、第3軸ピン65により引っ張られて、操作前の位置まで変位する。操作部材61は、伝達部材62により引っ張られて、ガイド部材20に向かって倒され、操作前の位置まで回動する。これにより、連結機構7が操作前の状態に復帰する。このように、移動機構60は、操作部材61の操作に伴い、ガイド部42と封鎖部43を各位置Q1、Q2、R1、R2に移動させる。
【0042】
図7は、アーム6の連結部6Bによりスライドしたスライド部材40を含む連結機構7を示す図である。
図7Aは、連結機構7の斜視図であり、
図7Bは、連結機構7の側面図である。
図示のように、連結機構7が操作されていない状態では、面材3の閉じ方向Tの移動に伴い、スライド部材40のガイド部42が、アーム6の連結部6Bにより上方に向かって押される。これにより、ガイド部42が上方に移動するとともに、スライド部材40が上方にスライドする。その際、スライド部材40の長孔44Aが第2軸ピン64に対して変位し、第3軸ピン65が伝達部材62の長孔62Bの長手方向に変位する。これにより、連結部6Bとガイド部42との摺接によりスライド部材40(ガイド部42)がスライドする際に、操作部材61が回動(移動)することはない。
【0043】
次に、開度規制装置5の状態の切り替えについて説明する。
図8は、開度規制装置5の状態の切り替え過程を示す図である。
図8Aは、規制状態の開度規制装置5を示し、
図8Bは、非規制状態の開度規制装置5を示している。
開度規制装置5が規制状態(
図8A参照)であるときに、ガイド部42は、ガイド位置Q1に配置されて、外部領域Pのアーム6の連結部6Bをガイド溝30の一端部31にガイドする。全閉状態の面材3が開かれるときには、ガイド部42により、外部領域Pのアーム6の連結部6Bが面材3の開き方向Hに移動するのが阻止される。ガイド部42のガイドにより、アーム6の連結部6Bは、外部領域Pからガイド溝30の一端部31に向かって移動して、一端部31からガイド溝30に入る。
【0044】
ガイド部42は、外部領域Pのアーム6の連結部6Bを連結機構7に保持する保持部である。ガイド位置Q1において、ガイド部42は、アーム6の連結部6Bの連結機構7からの解放を阻止して、開度規制装置5を規制状態に維持する。開度規制装置5を非規制状態に切り替えるときには、面材3を所定位置まで開いた状態で、操作部材61を操作して、移動機構60により、ガイド部42をガイド位置Q1から解放位置Q2に移動させる(
図8B参照)。
【0045】
解放位置Q2において、ガイド部42は、外部領域Pのアーム6の連結部6Bを解放して、連結部6Bの連結機構7外への移動を許容する。また、ガイド部42の解放位置Q2への移動により、アーム6の連結部6Bと連結機構7(枠体2)の連結が解除され、開度規制装置5による面材3の開度の規制も解除される。この状態で、アーム6は、付勢部材13によって回動して、縦框3Dの長手方向に沿って配置される。また、アーム6の連結部6Bは、面材3と共に開き方向Hに移動して、連結機構7から離れる。これにより、開度規制装置5が、規制状態から非規制状態に切り替えられる。その後、操作部材61の操作を中止することで、付勢部材50の付勢により、ガイド部42がガイド位置Q1に復帰し、操作部材61が操作前の位置に復帰する。また、面材3は、開き方向Hに移動して全開される。
【0046】
図9は、
図8Aの矢印X3方向からみた開度規制装置5の平面図であり、枠体2と面材3の断面も示している。
図示のように、ガイド部42をガイド位置Q1から解放位置Q2に移動させるときに、操作部材61は、連結機構7から突出して、面材3に接触可能な位置に配置される。面材3が閉じ方向Tに移動したときには、操作部材61は、面材3に接触して、面材3が閉じられるのを阻止する。これにより、操作部材61を指等で操作しながら面材3を開閉する際に、指等が枠体2と面材3の間に挟まれるのが防止される。
【0047】
図10は、非規制状態から規制状態に切り替えられる開度規制装置5を示す図である。
図示のように、開度規制装置5が非規制状態で面材3が閉じられるときには、ガイド部42は、アーム6の連結部6Bにより押されて、ガイド位置Q1から解放位置Q2に向かって移動して、アーム6の連結部6Bを連結機構7内の外部領域Pに移動させる。その際、操作部材61を操作することなく、スライド部材40がスライドして、ガイド部42が移動する。
【0048】
具体的には、面材3が閉じられるのに伴い(
図10A参照)、アーム6の連結部6Bは、面材3と共に閉じ方向Tに移動して、ガイド位置Q1のガイド部42の傾斜部42Aに接触する。傾斜部42Aは、アーム6の連結部6Bの移動経路に配置され、ガイド部42の移動方向及び連結部6Bの移動方向に対して傾斜する。アーム6の連結部6Bは、面材3の閉じ方向Tに移動して、ガイド部42の傾斜部42Aを押し上げ、ガイド部42を解放位置Q2に向かって移動させる(
図10B参照)。これにより、開放部23の外部領域Pが開放されて、アーム6の連結部6Bが外部領域Pに向かって移動する。
【0049】
続いて、ガイド位置Q1のガイド部42によりガイド可能な外部領域Pまでアーム6の連結部6Bが移動して、連結部6Bがガイド部42から外れる。同時に、付勢部材50の付勢により、ガイド部42がガイド位置Q1に復帰する。これにより、アーム6の連結部6Bが連結機構7に連結されて、開度規制装置5が非規制状態から規制状態に切り替えられる。その後、面材3が半開されるときに(
図2参照)、アーム6の連結部6Bは、ガイド溝30の収容部33に収容される。面材3は半開位置で停止し、面材3の半開状態が維持される。
【0050】
図11、
図12は、規制状態における開度規制装置5の動作を示す図であり、連結機構7とアーム6の連結部6Bを示している。
図示のように、開度規制装置5が規制状態であるときに、封鎖部43は、封鎖位置R1に配置されて、ガイド溝30の収容部33を封鎖する。アーム6の連結部6Bがガイド溝30の他端部32まで移動するときには、封鎖部43は、アーム6の連結部6Bにより押されて、封鎖位置R1から開放位置R2に向かって移動して、アーム6の連結部6Bをガイド溝30の収容部33に収容する。その際、操作部材61を操作することなく、スライド部材40がスライドして、封鎖部43が移動する。
【0051】
具体的には、面材3が開かれるのに伴い、アーム6の連結部Bは、ガイド溝30の一端部31から他端部32まで移動して、封鎖位置R1の封鎖部43に接触する(
図11A参照)。続いて、アーム6の連結部6Bは、封鎖部43を押し上げて、封鎖部43を開放位置R2に向かって移動させる(
図11B参照)。これにより、ガイド溝30の収容部33が開放されて、アーム6の連結部6Bが収容部33に向かって移動する。アーム6の連結部6Bが収容部33に収容されたときに、連結部6Bが封鎖部43から外れて、付勢部材50の付勢により、封鎖部43が封鎖位置R1に復帰する(
図12A参照)。
【0052】
封鎖部43は、封鎖位置R1に配置されて、アーム6の連結部6Bを収容するガイド溝30の収容部33を封鎖する。封鎖位置R1において、封鎖部43は、アーム6の連結部6Bの収容部33外への移動を阻止して、連結部6Bを収容部33に保持する。従って、封鎖部43は、保持部でもある。アーム6の連結部6Bが収容部33に保持されることで、面材3の移動が阻止されて、面材3が半開位置に維持される。
【0053】
面材3を閉じるときには、操作部材61を操作して、移動機構60により、封鎖部43を封鎖位置R1から開放位置R2に移動させる(
図12B参照)。これにより、封鎖部43によるアーム6の連結部6Bの保持が解除される。また、開度規制装置5は、面材3を半開位置に維持する状態から面材3を開閉可能な状態に切り替えられる。面材3が閉じられるのに伴い、アーム6の連結部6Bは、面材3と共に閉じ方向Tに移動して、収容部33を出る。この状態で操作部材61の操作を中止することで、付勢部材50の付勢により、封鎖部43が封鎖位置R1に復帰し、操作部材61が操作前の位置に復帰する。また、面材3の閉じ方向Tへの更なる移動に伴い、アーム6の連結部6Bは、ガイド溝30の他端部32から一端部31に向かって移動する。その後、面材3が全閉される。
【0054】
開度規制装置5の防止機構70(
図4、
図5参照)により、アーム6の連結部6Bが連結機構7から解放されるのが防止されて、開度規制装置5が規制状態に維持される。防止機構70は、いわゆるチャイルドロックであり、収容部33の上方に配置される。また、防止機構70は、スライド部材40のスライドを制限するブロック状の制限部材71と、制限部材71をガイド部材20に取り付ける取付ピン72を有する。取付ピン72は、制限部材71の支持孔73に配置された状態で、ガイド部材20の取付孔27に取り付けられる。
【0055】
制限部材71は、取付ピン72により、回動可能に支持される。制限部材71の操作部74は、ガイド部材20の円弧状の操作口28に配置されて、操作口28内で、取付ピン72を中心に移動する。操作部74を移動させることで、制限部材71は、操作部74の移動方向に回動して、非接触位置(
図4Aに示す位置)と接触位置とに移動する。非接触位置の制限部材71は、スライド部材40(ここでは、封鎖部43)の移動経路外に配置されて、スライド途中のスライド部材40に接触しない。これに対し、接触位置の制限部材71は、スライド部材40の移動経路内に配置されて、スライド途中のスライド部材40に接触する。
【0056】
図13は、開度規制装置5の防止機構70の動作を示す斜視図である。
開度規制装置5を規制状態に維持するときには、面材3を所定位置まで開いて、面材3と連結機構7を面材3の開き方向Hにずらす。その状態で、操作部74を操作して、制限部材71を非接触位置から接触位置に移動させる(
図13A参照)。制限部材71は、封鎖部43の上方の接触位置に配置される。移動機構60の操作部材61が操作されたときには、スライド部材40がスライドして、スライド部材40の封鎖部43が制限部材71に接触する(
図13B参照)。これにより、スライド部材40、封鎖部43、及び、ガイド部42が停止する。
【0057】
防止機構70は、制限機構であり、接触位置の制限部材71により、スライド部材40のスライド、封鎖部43の移動、及び、ガイド部42の移動を制限する。移動機構60によりガイド部42がガイド位置Q1から解放位置Q2に向かって移動するときに、防止機構70は、解放位置Q2に向かうガイド部42の移動距離(又は、移動量)を制限する。防止機構70により、ガイド部42が移動途中で停止して、ガイド部42により、外部領域Pのアーム6の連結部6Bが連結機構7に保持される。防止機構70は、アーム6の連結部6Bのガイド部42からの解放を防止して、開度規制装置5を規制状態に維持する。
【0058】
防止機構70は、操作部74の操作(制限部材71の回動)に伴い、ガイド部42の移動を制限する制限状態と、ガイド部42の移動を制限しない非制限状態と、に切り替え可能である。具体的には、操作部74の操作により、制限部材71が、非接触位置から接触位置に移動して、接触位置に配置される。これにより、防止機構70が、非制限状態から制限状態に切り替えられる。制限状態の防止機構70は、ガイド位置Q1と解放位置Q2の間の制限位置Q3でガイド部42の移動を制限するとともに、ガイド位置Q1と制限位置Q3の間のガイド部42の移動を許容する。制限位置Q3は、ガイド部42の移動経路中における、アーム6の連結部6Bの解放を防止可能な位置である。
【0059】
操作部74の操作により、制限部材71が、接触位置から非接触位置に移動して、非接触位置に配置される。これにより、防止機構70が、制限状態から非制限状態に切り替えられる。非制限状態の防止機構70は、ガイド部42の移動の制限を解除して、ガイド位置Q1と解放位置Q2の間のガイド部42の移動を許容する。その結果、開度規制装置5の規制状態から非規制状態への切り替えが可能になる。これに対し、封鎖部43は、制限状態と非制限状態のいずれにおいても、封鎖位置R1と開放位置R2との間で移動可能である。
【0060】
防止機構70が制限状態と非制限状態のいずれの状態であるときでも、封鎖部43は、ガイド部42と共に移動して、封鎖位置R1と開放位置R2とに移動する。封鎖部43が開放位置R2に移動することで、ガイド溝30の収容部33に対するアーム6の連結部6Bの出入が許容される。アーム6の連結部6Bは、封鎖部43を開放位置R2に移動させて、収容部33に収容される。また、移動機構60により封鎖部43が開放位置R2に移動して、アーム6の連結部6Bが収容部33から出る。本実施形態では、防止機構70を制限状態にした上で操作部材61を操作することで、ガイド部42を制限位置Q3に移動した場合に、封鎖部43が開放位置R2に移動するため、アーム6の連結部6Bが収容部33から出ることが可能となる。
【0061】
以上説明したように、本実施形態の開度規制装置5では、開度が規制された面材3を半開状態に確実に維持して、面材3が閉じるのを防止することができる。また、開度規制装置5の状態を、簡単な構成で、容易に切り替えることができる。防止機構70により、開度規制装置5を規制状態に維持して、開度規制装置5が非規制状態に切り替えられるのを防止することもできる。防止機構70により開度規制装置5を規制状態に維持するときでも、封鎖部43の移動により、面材3の開閉を円滑に行うことができる。アーム6に触ることなく、操作部材61により移動機構60を操作するため、ユーザーに対する安全性を向上させることができる。
【0062】
付勢部材50によりガイド部42を下方に付勢して、ガイド部42を解放位置Q2からガイド位置Q1に移動させる。そのため、付勢部材50の付勢機能が消失したとしても、ガイド部42を自重でガイド位置Q1に復帰させることができる。これにより、開度規制装置5を規制状態に維持して、面材3が不用意に全開されるのを防止することができる。ガイド溝30の収容部33の上方に防止機構70を配置したため、連結機構7内のスペースを有効に活用して、連結機構7をコンパクトにすることができる。
【0063】
面材3が全閉した状態で、操作部材61は、建具1の外側に突出せず、枠体2と面材3の間に配置される。これに伴い、引っ掛かり等により、操作部材61が破損するのを防止することができる。また、開度規制装置5の状態の切り替え時には、操作部材61を操作するために、面材3を所定位置まで開く必要がある。そのため、面材3が全閉した状態で、不用意に操作部材61が操作されるのを防止して、開度規制装置5を規制状態に維持することができる。操作部材61の面材3に接触する部分に緩衝材を設けることで、操作部材61と面材3の破損を抑制することもできる。
【0064】
図14は、一部を変更した連結機構7を示す斜視図であり、
図5と同様に、分解した連結機構7を示している。
図示のように、ここでは、付勢部材50は、スライド部材40のガイド部42とブロック状の固定部材51の間に配置されて、スライド部材40を付勢する。固定ピン52が、固定部材51の貫通孔53に配置された状態で、ガイド部材20の固定孔29に固定される。これにより、固定部材51がガイド部材20に固定される。
【0065】
なお、付勢部材50により、スライド部材40のガイド部42以外の部分を付勢してもよい。また、ガイド部42が開放部23内のガイド位置Q1に配置された状態で、ガイド部42により、開放部23の一部を閉鎖してもよく、開放部23の全体を閉鎖してもよい。
【0066】
移動機構60に、回動可能な操作部材61以外の操作部材を設けるようにしてもよい。この場合には、例えば、スライド可能な操作部材、又は、プッシュ式の操作部材により、ガイド部42と封鎖部43の移動を操作する。また、移動機構60に操作部材61を設けずに、移動機構60により、ガイド部42と封鎖部43を移動させてもよい。この場合には、例えば、スライド部材40に形成した操作部を操作して、ガイド部42と封鎖部43を移動させる。防止機構70の制限部材71をスライド等により移動させてもよい。
【0067】
ガイド部42と封鎖部43を別の部材にして、移動機構60により、ガイド部42と封鎖部43を共に移動させてもよい。この場合には、例えば、ガイド部42と封鎖部43を接続部材により接続して連動させる。また、ガイド部42と封鎖部43は、同時に移動してもよく、異なるタイミングで移動してもよい。
【0068】
開度規制装置5の上下を反対にした状態で、開度規制装置5を枠体2と面材3に設けるようにしてもよい。アーム6を枠体2により支持し、連結機構7を面材3に設けてもよい。開度規制装置5を枠体2の上枠2Aと面材3の上框3Aに設けてもよく、開度規制装置5を枠体2の下枠2Bと面材3の下框3Bに設けてもよい。開度規制装置5は、面材の開度を規制する種々の建具(例えば、横すべり出し窓、倒し窓、その他の開き窓)に設けることができる。