(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
内周側に突出する左右一対の芯金突起が周方向に沿って間隔を空けた状態で複数組埋設されたクローラベルトと、前記クローラベルトの接地側部分に内接して、前記クローラベルトの幅方向において前記左右一対の芯金突起に外れ止め作用する接地転輪と、前記クローラベルトの非接地側部分に内接して、前記幅方向において前記左右一対の芯金突起に外れ止め作用する上部転輪と、前記クローラベルトの前後一方側の端部に内接して、前記クローラベルトに回転駆動力を付与する駆動輪と、前記クローラベルトの前後方向に沿って位置変更可能であると共に、前記クローラベルトの前後他方側の端部に内接して、前記クローラベルトに張り作用する緊張輪と、が備えられたクローラ走行装置に対して、前記クローラベルトを着脱する際に使用するクローラベルト着脱用工具であって、
作業床に対して平面移動自在であると共に、前記接地側部分の外周面を載置支持可能なベース部と、
前記ベース部から立設されたフレーム部と、
前記ベース部の上方に配置された状態、かつ、上下スライド可能な状態で、前記フレーム部に片持ち状に支持され、前記非接地側部分の内周面を載置支持可能なリフトアップ部と、
前記リフトアップ部の上下位置を変更可能なアクチュエータと、が備えられ、
前記左右一対の芯金突起の間隔よりも幅狭であると共に前記上部転輪の前後に位置する前記芯金突起の離間距離よりも長く、前記リフトアップ部に、非連結状態で載置支持される棒状のサポート部材が備えられているクローラベルト着脱用工具。
前記ベース部は、前記前後方向に対応する方向に沿って延びる一対の前後向き部材と、前記幅方向に対応する方向に沿って延び、前記一対の前後向き部材に亘る複数の横向き部材と、を備えた平面視枠状に構成され、
前記フレーム部に、上下方向に沿って延びる一対の支柱が備えられ、前記一対のアーム部の夫々は、前記支柱に個別に支持され、
前記一対の支柱は、前記前後方向に対応する方向で隣り合う前記横向き部材の間において、前記一対の前後向き部材の一方に、前記前後方向に対応する方向に沿ってスライド移動可能に支持され、
前記一対の支柱を離間させる際、前記一対の支柱の下端部の両方が夫々前記横向き部材に当接することで、前記一対の支柱の離間移動が規制される請求項3または4に記載のクローラベルト着脱用工具。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種のクローラ走行装置においては、クローラベルトを取り外す場合、緊張輪の張り作用を解除して緩み状態になったクローラベルトを横外側に引き出す。このため、クローラベルトを接地転輪及び上部転輪に対してその外周側に浮かせて、芯金突起の接地転輪や上部転輪との係合を外す必要があるが、従来、クローラベルトが大重量物になりがちであるので、取り外し作業に多大な労力及び多くの作業者が必要になっている。クローラベルトを装着する場合も、同様である。
【0005】
本発明は、クローラベルトを楽に着脱できるクローラベルト着脱用工具を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、
内周側に突出する左右一対の芯金突起が周方向に沿って間隔を空けた状態で複数組埋設されたクローラベルトと、前記クローラベルトの接地側部分に内接して、前記クローラベルトの幅方向において前記左右一対の芯金突起に外れ止め作用する接地転輪と、前記クローラベルトの非接地側部分に内接して、前記幅方向において前記左右一対の芯金突起に外れ止め作用する上部転輪と、前記クローラベルトの前後一方側の端部に内接して、前記クローラベルトに回転駆動力を付与する駆動輪と、前記クローラベルトの前後方向に沿って位置変更可能であると共に、前記クローラベルトの前後他方側の端部に内接して、前記クローラベルトに張り作用する緊張輪と、が備えられたクローラ走行装置に対して、前記クローラベルトを着脱する際に使用するクローラベルト着脱用工具であって、
作業床に対して平面移動自在であると共に、前記接地側部分の外周面を載置支持可能なベース部と、
前記ベース部から立設されたフレーム部と、
前記ベース部の上方に配置された状態、かつ、上下スライド可能な状態で、前記フレーム部に片持ち状に支持され、前記非接地側部分の内周面を載置支持可能なリフトアップ部と、
前記リフトアップ部の上下位置を変更可能なアクチュエータと、が備えられ
、
前記左右一対の芯金突起の間隔よりも幅狭であると共に前記上部転輪の前後に位置する前記芯金突起の離間距離よりも長く、前記リフトアップ部に、非連結状態で載置支持される棒状のサポート部材が備えられている。
また、本発明は、
内周側に突出する左右一対の芯金突起が周方向に沿って間隔を空けた状態で複数組埋設されたクローラベルトと、前記クローラベルトの接地側部分に内接して、前記クローラベルトの幅方向において前記左右一対の芯金突起に外れ止め作用する接地転輪と、前記クローラベルトの非接地側部分に内接して、前記幅方向において前記左右一対の芯金突起に外れ止め作用する上部転輪と、前記クローラベルトの前後一方側の端部に内接して、前記クローラベルトに回転駆動力を付与する駆動輪と、前記クローラベルトの前後方向に沿って位置変更可能であると共に、前記クローラベルトの前後他方側の端部に内接して、前記クローラベルトに張り作用する緊張輪と、が備えられたクローラ走行装置に対して、前記クローラベルトを着脱する際に使用するクローラベルト着脱用工具であって、
作業床に対して平面移動自在であると共に、前記接地側部分の外周面を載置支持可能なベース部と、
前記ベース部から立設されたフレーム部と、
前記ベース部の上方に配置された状態、かつ、上下スライド可能な状態で、前記フレーム部に片持ち状に支持され、前記非接地側部分の内周面を載置支持可能なリフトアップ部と、
前記リフトアップ部の上下位置を変更可能なアクチュエータと、が備えられ、
前記フレーム部は、前記ベース部のうち、前記幅方向に対応する方向の一方側の端部から立設され、
前記ベース部のうち、前記フレーム部が立設された箇所よりも平面視中央側の箇所に、前記アクチュエータの下部を支持する下支持部が備えられ、
前記リフトアップ部のうち、平面視で前記下支持部と対応する箇所に、前記アクチュエータの上部を支持する上支持部が備えられ、
前記アクチュエータは、前記上支持部と前記下支持部とに亘る状態で設けられている。
また、本発明は、
内周側に突出する左右一対の芯金突起が周方向に沿って間隔を空けた状態で複数組埋設されたクローラベルトと、前記クローラベルトの接地側部分に内接して、前記クローラベルトの幅方向において前記左右一対の芯金突起に外れ止め作用する接地転輪と、前記クローラベルトの非接地側部分に内接して、前記幅方向において前記左右一対の芯金突起に外れ止め作用する上部転輪と、前記クローラベルトの前後一方側の端部に内接して、前記クローラベルトに回転駆動力を付与する駆動輪と、前記クローラベルトの前後方向に沿って位置変更可能であると共に、前記クローラベルトの前後他方側の端部に内接して、前記クローラベルトに張り作用する緊張輪と、が備えられたクローラ走行装置に対して、前記クローラベルトを着脱する際に使用するクローラベルト着脱用工具であって、
作業床に対して平面移動自在であると共に、前記接地側部分の外周面を載置支持可能なベース部と、
前記ベース部から立設されたフレーム部と、
前記ベース部の上方に配置された状態、かつ、上下スライド可能な状態で、前記フレーム部に片持ち状に支持され、前記非接地側部分の内周面を載置支持可能なリフトアップ部と、
前記リフトアップ部の上下位置を変更可能なアクチュエータと、が備えられ、
前記リフトアップ部に、前記フレーム部に片持ち状に支持される一対のアーム部が備えられ、
前記一対のアーム部は、前記前後方向に対応する方向の離間距離を変更可能な状態で前記フレーム部に支持されている。
【0007】
本構成によると、緊張輪を緩めた状態で、アクチュエータによってリフトアップ部をリフトアップすると、ベース部によってクローラベルトの接地側部分が支持されて接地転輪と芯金突起との係合が外れた状態、かつ、リフトアップ部によってクローラベルトの非接地側部分が支持されて上部転輪と芯金突起との係合が外れた状態を作り出せる。この状態で工具を平面移動させることで、軽い作業負担でクローラベルトを取り外すことが可能となる。また、クローラベルトの取付け作業においても、同様に軽い作業負担で作業を行うことができる。
本構成によると、サポート部材によって、クローラベルトのうち、上部転輪の前後に亘るある程度長い部分を垂れさがらない状態でしっかりと支持でき、リフトアップ部によるベルトの持ち上げによる芯金突起と上部転輪との係合解除の確実性が向上する。
本構成によると、アーム部同士の離間幅を変更でき、サイズの異なる種々のクローラ走行装置に対応できる。
本構成によると、アクチュエータによってクローラベルトのうち出来るだけ幅方向中央側部分を支えることができる。
【0008】
本発明をより好適なものにするよう、つぎの如き構成を備えた。
前記ベース部は、前記前後方向に対応する方向に長い細長形状に構成され、
前記ベース部の長手方向の長さは、前記接地側部分の前後長さの半分以上であるという構成を備えた。
【0009】
本構成によると、ベース部材によって、クローラベルトのうち、接地側部分の前後に亘るある程度長い部分を垂れさがらない状態でしっかりと支持でき、ベルトの弛緩による芯金突起と接地転輪との係合解除の確実性が向上する。
【0010】
【0011】
【0012】
本発明をより好適なものにするよう、つぎの如き構成を備えた。
前記一対のアーム部は、前記上部転輪の前後幅よりも大きな間隔を空けた状態
で備えられているという構成を備えた。
【0013】
本構成によると、上部転輪に芯金突起が係合している状態のまま、上部転輪の前後にアーム部を差し込むことができ、セッティングの作業性が向上する。
【0014】
【0015】
【0016】
本発明をより好適なものにするよう、つぎの如き構成を備えた。
前記ベース部は、前記前後方向に対応する方向に沿って延びる一対の前後向き部材と、前記幅方向に対応する方向に沿って延び、前記一対の前後向き部材に亘る複数の横向き部材と、を備えた平面視枠状に構成され、
前記フレーム部に、上下方向に沿って延びる一対の支柱が備えられ、前記一対のアーム部の夫々は、前記支柱に個別に支持され、
前記一対の支柱は、前記前後方向に対応する方向で隣り合う前記横向き部材の間において、前記一対の前後向き部材の一方に、前記前後方向に対応する方向に沿ってスライド移動可能に支持され、
前記一対の支柱を離間させる際、前記一対の支柱の下端部の両方が夫々前記横向き部材に当接することで、前記一対の支柱の離間移動が規制されるという構成を備えた。
【0017】
本構成によると、支柱の離間幅を変更するとき、横向き部材をストッパに兼用できる。
【0018】
本発明をより好適なものにするよう、つぎの如き構成を備えた。
前記フレーム部に、前記ベース部に支持される基部と、前記基部に取り付け取外し可能に支持され、かつ、前記リフトアップ部を支持する上部と、が備えられ、
前記リフトアップ部に、前記上部が貫通可能な貫通部が備えられ、
前記上部として、長さが異なる複数の部材が備えられているという構成を備えた。
【0019】
本構成によると、フレーム部の上部を交換することで、リフトアップ部の上下移動範囲を変更することができ、サイズの異なる種々のクローラ走行装置に対応できる。
【0020】
本発明をより好適なものにするよう、つぎの如き構成を備えた。
前記支柱に、前記ベース部に支持される基部と、前記基部に取り付け取外し可能に支持され、かつ、前記アーム部を支持する上支柱部と、が備えられ、
前記アーム部に、前記上支柱部が貫通可能な貫通部が備えられ、
前記上支柱部として、長さが異なる複数の部材が備えられているという構成を備えた。
【0021】
本構成によると、上支柱部を交換することで、リフトアップ部の上下移動範囲を変更することができ、サイズの異なる種々のクローラ走行装置に対応できる。
【0022】
【0023】
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
クローラベルト着脱用工具1は、コンバインなどに装備される
図5に示す如きクローラ走行装置10に対して、クローラベルト11を着脱する際に使用するものである。
【0026】
[クローラ走行装置10の構成について]
クローラ走行装置10は、
図5に示すように、クローラベルト11の前後方向に間隔を空けて並ぶ状態で、クローラベルト11の接地側部分11aに内接する接地転輪12と、クローラベルト11の非接地側部分11bに内接する上部転輪13と、クローラベルト11の前方側の端部に内接して、クローラベルト11に回転駆動力を付与する駆動輪14と、クローラベルト11の後方側の端部に内接して、クローラベルト11に張り作用する緊張輪15と、を備えている。
【0027】
クローラベルト11には、クローラベルト11の内周側に突出する左右一対の芯金突起16a(
図5参照)がクローラベルト11の周方向に沿って間隔を空けた状態で複数組埋設されている。詳述すると、クローラベルト11は、ゴム製のクローラベルト本体を備えている。クローラベルト本体のうちの周方向に沿って間隔を空けて並ぶ複数箇所に芯金16が埋設されている。各芯金16に、クローラベルト本体の内周側にクローラベルト本体の横幅方向に並んで突出する左右一対の芯金突起16aが設けられている。
【0028】
接地転輪12は、走行機体(図示せず)に連結されたトラックフレーム17に回転可能に支持されている。接地転輪12は、
図5に示すように、クローラベルト11の幅方向において左右一対の芯金突起16aに外れ止め作用する。具体的には、接地転輪12は、左右一対の芯金突起16aの両横外側に外れ止め作用するよう、いわゆる外転輪型に構成されている。
【0029】
上部転輪13は、走行機体のフレーム部(図示せず)に回転可能に支持されている。上部転輪13は、
図5に示すように、クローラベルト11の幅方向において左右一対の芯金突起16aに外れ止め作用する。具体的には、上部転輪13は、左右一対の芯金突起16aの両横外側に外れ止め作用するよう、いわゆる外転輪型に構成されている。
【0030】
駆動輪14は、ミッションケース(図示せず)に回転駆動可能に支持され、ミッションケースを介して走行機体に支持されている。
図5に示すように、駆動輪14は、周部に回転方向に間隔を空けて並ぶ状態で設けられた複数の伝動突部を備えている。駆動輪14は、伝動突部が芯金間に入り込むことにより、クローラベルト11と係合し合ってクローラベルト11に回転駆動力を付与する。
【0031】
緊張輪15は、張力調節機構18を介してトラックフレーム17の後部に支持されている。緊張輪15は、
図5に示すように、左右の芯金突起16aどうしの間でクローラベルト11に内接する。張力調節機構18を操作することにより、緊張輪15の取付位置をクローラベルト11の前後方向に沿う方向に変更でき、クローラベルト11を駆動用の張り状態と、取り外し用の弛み状態とに切り換えることができる。
【0032】
[クローラベルト着脱用工具1の構成について]
図1〜4に示すように、クローラベルト着脱用工具1は、ベース部2と、ベース部2から立設されたフレーム部3と、ベース部2の上方に配置された状態でフレーム部3に上下スライド可能に支持されたリフトアップ部4と、リフトアップ部4の上下位置を変更可能なアクチュエータ5と、を備えている。リフトアップ部4は、フレーム部3に片持ち状に支持されている。本実施例では、アクチュエータ5を、油圧ジャッキによって構成している。油圧ジャッキは、シリンダ部5aとポンプ部5bと脱着可能なレバーハンドル5c(
図4参照)とを備え、
図7に示すように、ポンプ部5bをレバーハンドル5cによって操作することで、シリンダ部5aが伸縮作動してリフトアップ部4に作用する。
【0033】
ベース部2は、
図1,2に示すように、クローラベルト11の前後方向に対応する方向に長い細長形状に構成されている。ベース部2の軽量化を図りつつ、接地側部分11aの前後に亘る長い部分を垂れさがらない状態でしっかり支持できる。ベース部2は、ベース部2の前後方向長さL1が接地側部分11aの前後長さL2(
図5参照)の半分以上の長さとなるように構成されている。
【0034】
具体的には、ベース部2は、
図1,2に示すように、クローラベルト11の前後方向に対応する方向に沿って延びる一対の角パイプ材製の前後向き部材2aと、クローラベルト11の幅方向に対応する方向に沿って延び、一対の前後向き部材2aに亘る複数の角パイプ材製の横向き部材2bと、を備えた平面視枠状に構成されている。前後向き部材2aは、接地側部分11aの前後長さの半分以上の前後長さを備えている。横向き部材2bの長さは、前後向き部材2aの長さより短い。本実施例では、4つの横向き部材2bを設けている。4つに限らず、3つや5つなどいくつの横向き部材2bを設けてもよい。
【0035】
図1,2,3,4,5に示すように、リフトアップ部4は、一対の角パイプ材製のアーム部4aと、一対のアーム部4aを一体的に昇降するように連結する角パイプ材製の連結部材4bとを備えている。一対のアーム部4aは、上部転輪13の前後幅よりも大きな間隔D(
図2参照)を空けた状態でフレーム部3に片持ち状に支持されている。
【0036】
一対のアーム部4aは、クローラベルト11の前後方向に対応する方向の離間距離を変更可能な状態でフレーム部3に支持されている。
【0037】
具体的には、
図1,2,3に示すように、フレーム部3に、上下方向に沿って延びる一対の角パイプ材製の支柱3aが備えられている。一対の支柱3aは、クローラベルト11の前後方向に対応する方向で隣り合う横向き部材2bの間において、一対の前後向き部材2aにおける一方の前後向き部材2aに、前後方向に対応する方向に沿ってスライド移動可能に支持されている。詳述すると、支柱3aの基部30に、前後向き連結筒部31が備えられている。前後向き連結筒部31が前後向き部材2aにスライド可能に支持されている。
【0038】
リフトアップ部4の一対のアーム部4aの基部40に、上下向き連結筒部41と、前後向き支持筒部42とが備えられている。一対のアーム部4aの上下向き連結筒部41が一対の支柱3aに個別にスライド可能に支持されている。リフトアップ部4の連結部材4bは、一対のアーム部4aの前後向き支持筒部42にスライド可能に内嵌されている。
【0039】
一対の支柱3aの一方又は両方を前後向き部材2aに沿わせてスライド移動させることにより、一対の支柱3aの離間距離を変更できる。支柱3aをスライド移動させると、連結部材4bがシリンダ部5aによって支持されているので、アーム部4aが連結部材4bに対してスライドしつつ、支柱3aと共に移動する。これにより、一対の支柱3aの離間距離を変更することにより、アーム部4a同士の離間幅を変更できる。一対の支柱3aを離間させる際、前側の支柱3aの下端部がこの支柱3aより前側の横向き部材2bに当接し、後側の支柱3aの下端部がこの支柱3aより後側の横向き部材2bに当接する。一対の支柱3aの離間距離を変更するとき、横向き部材2bがストッパとなって、一対の支柱3aの離間移動が規制される。
【0040】
フレーム部3に、ベース部2に支持される基部と、この基部に取り付け取外し可能に支持され、かつ、リフトアップ部4を支持する上部とが備えられている。リフトアップ部4に、上部が貫通可能な貫通部が備えられている。
【0041】
図1,2,3,4に示すように、支柱3aに、フレーム部3の基部としての基部30と、フレーム部3の上部としての上支柱部33とが備えられている。
【0042】
支柱3aの基部30には、前後向き連結筒部31と、前後向き連結筒部31に固定された上下向き支持筒部32とが備えられている。前後向き連結筒部31が前後向き部材2aに支持されていることで、フレーム部3の基部がベース部2に支持されている。
【0043】
上支柱部33が上下向き支持筒部32に取り付け取外し可能に支持されていることで、フレーム部3の上部が基部30に取り付け取外し可能に支持されている。上支柱部33の上下向き支持筒部32への固定は、脱着可能な連結ピン34によって行なわれる。アーム部4aに、上支柱部33が貫通可能な貫通部として上下向き連結筒部41が備えられている。上支柱部33として、長さが異なる複数の部材が備えられている。
【0044】
フレーム部3は、
図1,2,4に示すように、ベース部2のうち、クローラベルト11の幅方向に対応する方向の一方の端部から立設されている。具体的には、フレーム部3は、一対の前後向き部材2aのうちの一方の前後向き部材2aから立設されている。ベース部2のうち、フレーム部3が立設された箇所よりも平面視中央側の箇所に下支持部50が備えられている。リフトアップ部4のうち、平面視で下支持部50と対応する箇所に上支持部51が備えられている。具体的には、上支持部51は、連結部材4bに備えられている。アクチュエータ5は、上支持部51と下支持部50とに亘る状態で設けられ、アクチュエータ5の下部が下支持部50に支持され、アクチュエータ5の上部が上支持部51に支持されている。具体的には、アクチュエータ5のうちのシリンダ部5aの上部が上支持部51に支持され、シリンダ部5aの下部が下支持部50に支持されている。アクチュエータ5の支持をクローラベルト11の出来るだけ幅方向中央側部分に作用させることができる
【0045】
クローラベルト着脱用工具1(以下、着脱用工具1と略称する。)によるクローラベルト11の取り外しは、
図5〜10に示す取外し要領に基づいて行う。
【0046】
図5に示すように、地面などの作業床6に位置させた走行機体の横端側をジャッキアップなどによって作業床6から持ち上げ、作業床6から浮上したクローラ走行装置10に着脱用工具1を配置する。すなわち、着脱用工具1をリフトアップ部4の遊端部が位置する側からクローラ走行装置10に向けてその横外側から移動させ、ベース部2がクローラベルト11における接地側部分11aの下方に入り込み、両アーム部4aが上部転輪13の前後に位置する状態になるように、リフトアップ部4がクローラベルト11における非接地側部分11bのうちの上部転輪13の近くの部位の下方に入り込む状態に配置する。非接地側部分11bにおける上部転輪13の前後側を一対のアーム部4aによってしっかり持ち上げることができる。このとき、ベース部2に設けてあるキャスタ型の転輪7(
図3,4参照)によって着脱用工具1を軽く移動操作できる。
【0047】
着脱用工具1のクローラ走行装置10への配置ができると、
図6に示すように、張力調節機構18によって緊張輪15をクローラベルト11に対する張り作用を解除した状態にし、緩み状態になったクローラベルト11の接地側部分11aの外周面をベース部2に載置支持させて、接地転輪12と芯金突起16aとの係合が外れた状態を得る。
【0048】
次に、
図7に示すように、アクチュエータ5をレバーハンドル5cによって駆動操作して、リフトアップ部4をアクチュエータ5によって上昇させ、非接地側部分11bの内周面を両アーム部4aに載置支持させて、上部転輪13と芯金突起16aとの係合を外す。
【0049】
芯金突起16aが上部転輪13から外れると、
図8に示すように、着脱用工具1の後側をクローラ走行装置10の横外側へ平面移動させ、クローラベルト11の後端側を緊張輪15から横外側へ引き出す。このとき、着脱用工具1を少し後側へ移動させつつ横外側へ移動させると、クローラベルト11の後端部が緊張輪15に対して後側に移動し、クローラベルト11が緊張輪15からより外れ易い。
【0050】
クローラベルト11が緊張輪15から外れると、
図9に示すように、着脱用工具1を駆動輪14が位置する側(前側)へ平面移動させ、クローラベルト11の全体を前側へ移動させて、クローラベルト11と駆動輪14との咬み合いを外す。クローラベルト11の駆動輪14との咬み合いが外れると、
図10に示すように、着脱用工具1をクローラ走行装置10の横外側へ平面移動させ、クローラベルト11の全体を走行機体の横外側へ取出す。
【0051】
クローラベルト11を取り付ける場合、取り外す場合の工程順と逆の工程順で作業する。
【0052】
非接地側部分11bの長さが長いなどのクローラ走行装置10の場合、
図11に示すように、サポート部材20を使用すると有利である。
【0053】
サポート部材20は、
図11に示すように、リフトアップ部4に非連結状態で載置支持させ得る棒状の部材によって構成してある。サポート部材20の横幅は、左右一対の芯金突起16aの間隔よりも幅狭になっている、サポート部材20の前後長さは、上部転輪13の前後に位置する芯金突起16aの離間距離よりも長くなっている。
【0054】
サポート部材20を使用することにより、非接地側部分11bのうち、上部転輪13の前後に亘って、サポート部材20の長さに対応する長さで位置する部分を垂れないようにサポート部材20によって支持できる。
【0055】
上部転輪13の外径や数が異なるなど、サイズが異なるクローラ走行装置10の場合、一対のアーム部4aが上部転輪13の前後に分れて位置するように、アーム部4a同士の離間幅を変更することができ、サイズが異なるクローラ走行装置10にも対応できる。
【0056】
フレーム部3の上部として、長さが異なる複数の部材を備えることにより、上部転輪13の高さ位置が異なるなどタイプが異なるクローラ走行装置10に対応できる。すなわち、たとえば、上部転輪13の高さ位置が異なる場合、長さが異なる上部を基部30に付け替えることにより、フレーム部3の上下長さを変更でき、リフトアップ部4の昇降ストロークを上部転輪13の高さ位置に対応させて調節できる。
【0057】
〔別実施形態〕
(1)上記した実施例では、アクチュエータ5を油圧ジャッキによって構成した例を示したが、アクチュエータ5としては、油圧シリンダ、エアシリンダ、ねじジャッキなどを採用可能である。
【0058】
(2)上記した実施例では、リフトアップ部4に、上部転輪13の前後で非接地側部分11bを載置支持する一対のアーム部4aを備えた例を示したが、上部転輪13の前側と後側とのいずれか一方だけで非接地側部分11bを載置支持するアーム部を備えることも可能である。
【0059】
(3)上記した実施例では、フレーム部3に一対の上支柱部33を備えた例を示したが、一対の上支柱部33に替えての上部として、一つの柱部材を備えてもよい。この場合、リフトアップ部4を、フレーム部に昇降可能に支持される一つの基端側アーム部と、基端側アーム部から前後に二又に分れて延びる一対の先端側アーム部とによって構成してもよい。
【0060】
(4)上記した実施例では、支柱3aの離間距離の変更によってアーム部4aの間隔を変更する例を示したが、支柱3aをベース部2に固定し、一対のアーム部4aを支柱3aに前後移動可能に支持することにより、アーム部4aの間隔変更を可能にしてもよい。
【0061】
(5)上記した実施例では、前後向き部材2a、横向き部材2b、上支柱部33、アーム部4aを角パイプ材によって構成した例を示したが、丸パイプ部材、アングル部材など具体形状が異なる各種の部材によって構成してもよい。