(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
複数の記事の各々についてレコメンド評価値を演算し、前記レコメンド評価値に基づいて前記記事の掲載内容に関連する広告であるレコメンド広告を付与する記事の候補を選定する記事選定手段と、
前記記事選定手段によって選定された前記記事の候補の全部または一部の記事に対して前記記事の掲載内容に関連するレコメンド広告を決定するレコメンド広告決定手段と
を備え、
前記記事選定手段は、
前記レコメンド評価値を演算する対象記事の記事発行または記事発行後の所定時から所定期間における予測累計閲覧数に関する閲覧数評価値、前記対象記事の記事発行または記事発行後の所定時から所定期間における予測広告表示回数に関する表示回数評価値、及び前記対象記事の記事発行または記事発行後の所定時から所定期間における予測収益に関する収益性評価値の少なくとも一つを用いて、前記対象記事の前記レコメンド評価値を演算する演算手段と、
前記演算手段によって演算された各前記対象記事のレコメンド評価値に基づいて、複数の前記記事の中から前記レコメンド広告を付与する記事の候補を選定する選定手段と、
を備える広告付与装置。
前記演算手段は、前記対象記事の発行元メディアが過去に発行した記事の閲覧数実績データを用いて、前記対象記事の前記閲覧数評価値を演算する請求項1に記載の広告付与装置。
前記演算手段は、前記対象記事の発行元メディアが過去に発行した記事の閲覧数実績データであって、前記対象記事が属するカテゴリに関する前記閲覧数実績データを用いて前記閲覧数評価値を演算する請求項1に記載の広告付与装置。
前記演算手段は、前記対象記事の発行元メディアにおける広告の表示確率実績データを用いて表示確率評価値を演算し、前記表示確率評価値と前記閲覧数評価値とを用いて前記対象記事の表示回数評価値を演算する請求項1から請求項4のいずれかに記載の広告付与装置。
前記演算手段は、前記対象記事の発行元メディアにおける広告枠に対する競合倍率に関する競合倍率評価値と、前記表示確率評価値と、前記閲覧数評価値とを用いて前記表示回数評価値を演算する請求項5に記載の広告付与装置。
前記演算手段は、前記対象記事の発行元メディアの収益実績データであって、前記対象記事が属するカテゴリに関する前記収益実績データを用いて前記収益性評価値を演算する請求項1から請求項6のいずれかに記載の広告付与装置。
前記演算手段は、前記対象記事の記事発行から現在までの一定期間毎の広告表示回数の実績値から前記対象記事の広告の表示傾向を分析し、前記対象記事の発行元メディアから発行された複数の記事の中から前記対象記事の表示傾向と所定値以上の類似度を有する記事を抽出し、抽出した記事の表示回数実績データを用いて、前記対象記事における現時点から前記所定期間の終了時までの表示回数を予測して、前記表示回数評価値を算出する請求項1に記載の広告付与装置。
前記演算手段は、前記対象記事の記事発行から現時点までの一定期間毎の記事閲覧数の実績値から前記対象記事の記事閲覧傾向を分析し、前記対象記事の発行元メディアから発行された複数の記事の中から前記対象記事の記事閲覧傾向と所定値以上の類似度を有する記事を抽出し、抽出した記事の閲覧数実績データを用いて、前記対象記事における現時点から前記所定期間の終了時までの閲覧数を予測して、前記閲覧数評価値を算出する請求項1に記載の広告付与装置。
前記演算手段は、前記対象記事が発行されてからの経過時間及び前記対象記事の表示回数評価値の少なくともいずれか一方をパラメータとして含む演算式を用いて前記収益性評価値を演算する請求項1から請求項11のいずれかに記載の広告付与装置。
複数の記事の各々についてレコメンド評価値を演算し、前記レコメンド評価値に基づいて前記記事の掲載内容に関連する広告であるレコメンド広告を付与する記事の候補を選定する記事選定処理と、
前記記事選定処理において選定された前記記事の候補の全部または一部の記事に対して前記記事の掲載内容に関連するレコメンド広告を決定するレコメンド広告決定処理と
をコンピュータに実行させるための広告付与プログラムであって、
前記記事選定処理は、
前記レコメンド評価値を演算する対象記事の記事発行または記事発行後の所定時から所定期間における予測累計閲覧数に関する閲覧数評価値、前記対象記事の記事発行または記事発行後の所定時から所定期間における予測広告表示回数に関する表示回数評価値、及び前記対象記事の記事発行または記事発行後の所定時から所定期間における予測収益に関する収益性評価値の少なくとも一つを用いて、前記対象記事の前記レコメンド評価値を演算する演算処理と、
前記演算処理において演算された各前記対象記事のレコメンド評価値に基づいて、複数の前記記事の中から前記レコメンド広告を付与する記事の候補を選定する選定処理と、
を含む広告付与プログラム。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明の一実施形態に係る広告付与装置、広告付与方法、及び広告付与プログラムについて、図面を参照して説明する。
図1は本実施形態に係る広告配信システムの全体構成を示した図である。
図1に示すように、広告配信システム1は、メディア(媒体)サーバ10、広告主(広告代理店)サーバ11、広告配信サーバ12を主な構成として備えている。
図1において、メディアサーバ10、広告主サーバ11、広告配信サーバ12は、それぞれ1台ずつ図示されているが、これらの台数は図示した態様に限定されるものではなく、適宜状況に応じて増設可能である。これらメディアサーバ10、広告主サーバ11、広告配信サーバ12は、ネットワーク15を介して互いに通信可能に接続され、同じくネットワーク15に接続される多種多様のユーザ端末13に対してユーザ端末13からの閲覧請求に応じたサービス(例えば、記事や広告の配信等)を行う。ネットワーク15の一例としてインターネット回線があげられるが、他のネットワーク回線であってもよい。
【0013】
メディアサーバ10は、新聞・雑誌・ラジオ放送・テレビ放送等のマスメディアが有するサーバやポータルサイトが有するサーバであり、日々さまざまな記事がアップロードされている。メディアサーバ10は、ネットワーク15を介してユーザ端末13から記事の閲覧請求を受信すると、閲覧請求の対象となる記事をネットワーク15を介してユーザ端末13に向けて配信する。
【0014】
広告主サーバ11は、商品やサービスをユーザ端末13に提供するサーバである。例えば、消費者に商品、サービス等を提供する企業を一例とする法人等の広告主自身が有するサーバや、当該法人等からの要求に応じて当該法人等の商品、サービスに関する宣伝広告を行う広告代理店が有するサーバが一例として挙げられる。広告主サーバ11は、当該法人等の商品、サービスに関するさまざまな広告を広告データベースに格納している。
【0015】
ユーザ端末13は、パーソナルコンピュータ、タブレット端末等のいわゆる情報処理装置であり、インターネット等の通信を行うための通信部と、ユーザが入力操作を入力するための入力部と、情報を表示させる表示部を有する。例えば、ユーザ端末13は、ネットワーク15を介してメディアサーバ10にアクセスし、メディアサーバ10にアップロードされている記事(コンテンツ)を自身が有するウェブブラウザを用いて閲覧する。また、ユーザ端末13のウェブブラウザは、メディアサーバ10から取得した記事、例えば、HTML(HyperText Markup Language)等で記述された記事コンテンツを解釈し、解釈に従って広告配信サーバ12に対してメディアサーバ10から取得した記事の情報を送信するとともに広告を要求する。
【0016】
広告配信サーバ12は、例えば、ユーザ端末13から記事の情報及び広告の要求を受信した場合に、この記事に付与されている広告を後述する記事広告データベース32(
図3参照)の記事広告情報から抽出し、抽出した広告をユーザ端末13に対して送信する。これにより、例えば、ユーザ端末13のウェブページには、ユーザによって閲覧要求された記事とともにその記事に対して付与された広告が表示される。
また、広告配信サーバ12は、広告付与装置20を有している。広告付与装置20は、広告が付与されていない記事(例えば、新着記事等)に対して広告を付与する装置である。広告付与装置20によって付与された広告の情報は、記事の情報と関連付けられて広告付与装置20が備える記事広告データベース(
図3)に格納され、上述のように広告配信に利用される。なお、広告付与装置20の詳細については後述する。
【0017】
次に、本実施形態に係るメディアサーバ10、広告主サーバ11、及び広告配信サーバ12のハードウェア構成について
図2を参照して説明する。
図2に示すように、メディアサーバ10、広告主サーバ11、及び広告配信サーバ12はいずれも、いわゆるコンピュータシステムであり、例えば、CPU21と、CPU21が実行するプログラム等を記憶するためのROM(Read Only Memory)22と、各プログラム実行時のワーク領域として機能するRAM(Random Access Memory)23と、大容量記憶装置としてのハードディスクドライブ(HDD)24と、ネットワークに接続するための通信インターフェース25、キーボードやマウス等からなる入力部26、及びデータを表示する液晶表示装置等からなる表示部27等をそれぞれ備えている。これら各部は、バス28を介して接続されている。
CPU21が実行するプログラム等を記憶するための記憶媒体は、ROM22に限られず、磁気ディスク、光磁気ディスク、半導体メモリ等で構成される他の記録媒体であってもよい。
【0018】
上記ROM22には、各種プログラムが格納されており、CPU21がROM22からRAM23にプログラムを読み出し、実行することにより種々の機能を実現させる。
なお、メディアサーバ10、広告主サーバ11、及び広告配信サーバ12は、表示部27を必ずしも有している必要はない。また、メディアサーバ10、広告主サーバ11、広告配信サーバ12については、入力部26とネットワーク等で接続され、遠隔からの操作が可能な構成とされていてもよい。
【0019】
次に、本発明の第1実施形態に係る広告付与装置20について詳しく説明する。
図3は、広告付与装置20が備える機能の一例を示した機能ブロック図である。
図3に示すように、広告付与装置20は、例えば、記事データベース31、記事広告データベース32、記事選定部33、及びレコメンド広告決定部34を主な構成として備えている。
これら各部によって実現される後述の各種処理は、例えば、CPU21がROM22に記憶されている広告付与プログラムをRAM23に読み出して実行することにより実現されるものである。
【0020】
記事データベース31には、広告が付与されていない複数の記事の情報が格納されている。例えば、記事データベース31には、各メディア(媒体)から日々発行される最新記事が登録、蓄積される。
記事広告データベース32には、記事の情報とその記事に付与された広告の情報とが関連付けられた記事広告情報が格納される。
【0021】
記事選定部33は、記事データベース31に格納されている多数の記事の中から記事の掲載内容に関連する広告であるレコメンド広告を付与する記事の候補を選定する。
ここで、レコメンド広告を付与するにはサーチワードを特定し、サーチワードに基づいて広告主サーバ11を検索する必要があり、時間を要する。このため、記事データベース31に格納されている全ての記事に対してレコメンド広告を付与することは現実的に不可能である。したがって、レコメンド広告を付与する記事の候補を選定する必要があるが、この際、広告効果の面からレコメンド広告を付与する記事を選定することが好ましい。このような観点から、本実施形態における記事選定部33では、広告の表示回数(インプレッション:imp)がより多く見込める記事であって、収益性がより多く見込める記事をレコメンド広告を付与する記事の候補として選定することとしている。
具体的には、本実施形態における記事選定部33は、記事における予測広告表示回数に関する表示回数評価値及び記事の予測収益に関する収益性評価値を用いてレコメンド評価値を算出し、このレコメンド評価値を指標としてレコメンド広告を付与する記事の候補を選定する。
【0022】
図3に示すように、記事選定部33は、演算部41と、選定部42とを備えている。演算部41は、例えば、記事データベース31に格納されている多数の記事から順次1つの記事を対象記事として取得し、取得した対象記事のレコメンド評価値を演算する処理を繰り返し行う。より具体的には、演算部41は、対象記事の記事発行から所定期間における予測広告表示回数に関する表示回数評価値と、対象記事の記事発行から所定期間における予測収益に関する収益性評価値を用いて、各記事のレコメンド評価値を演算する。ここで、「所定期間」は、任意に設定することができるが、例えば、一般的な広告掲載期間を考慮して設定することが好ましい。例えば、所定期間は5日以上の期間に設定される。なお、表示回数評価値及び収益性評価値の演算手法の詳細については後述する。
【0023】
選定部42は、演算部41によって演算された各記事(対象記事)のレコメンド評価値に基づいて、記事データベース31に格納されている複数の記事の中からレコメンド広告を付与する記事の候補を選定する。例えば、選定部42は、レコメンド評価値が高い記事から順に予め設定されている数の記事を候補として選定する。
【0024】
レコメンド広告決定部34は、記事選定部33によって選定された記事の候補のうちの全部または一部の記事に対してレコメンド広告を付与する。レコメンド広告決定部34は、例えば、選定された記事の候補の中からレコメンド評価値の高い順に記事を順次抽出し、抽出した記事の掲載内容を分析して広告付与のためのサーチワードを特定し、特定したサーチワードを用いて広告主サーバ11を検索し、広告主サーバ11からサーチワードに関連する広告をレコメンド広告として取得する。なお、レコメンド広告の検索手法等については特に限定されず、公知の技術を適宜採用することが可能である。
【0025】
更に、レコメンド広告決定部34は、決定したレコメンド広告の情報(例えば、レコメンド広告を特定するための識別情報等)と、そのレコメンド広告が付与されたレコメンド記事の情報(例えば、記事を特定するための識別番号、記事の内容、記事本文から抽出されたサーチワード等)とを関連付けた記事広告情報を記事広告データベース32に格納する。
【0026】
次に、演算部41によって演算される表示回数評価値、収益性評価値、及びレコメンド評価値について詳しく説明する。
【0027】
〔1.表示回数評価値〕
まず、上述したように、表示回数評価値は、対象記事の記事発行から所定期間において当該対象記事に付与された広告がどの程度度表示されるのかを予測した結果に基づいて得られる評価値であり、例えば、
図4に示すように、対象記事の記事発行から所定期間における予測累計閲覧数に関する閲覧数評価値と、対象記事の記事発行から所定期間における表示枠の表示確率に関する表示確率評価値とを用いて演算される。具体的には、表示回数評価値は、後述する閲覧数評価値と表示確率評価値とを乗算することにより得ることができる。
【0028】
〔1−1.閲覧数評価値〕
例えば、記事の閲覧数は、その記事を発行しているメディアの影響を大きく受ける。例えば、知名度が高いメディアや大手のメディアが配信する記事は、知名度の低いメディアや小規模のメディアが配信する記事よりもユーザに読まれる確率が高い傾向にある。そこで、本実施形態では、各メディアにおける過去所定期間の閲覧数実績データからメディア毎の閲覧数評価値を演算する。なお、本実施形態では、閲覧数としてPV(ページビュー)またはアクセス数を用いることが可能である。
【0029】
閲覧数評価値として、例えば、対象記事の発行元メディアの過去所定期間の閲覧数実績データを統計的に処理することにより、対象記事の記事発行から所定期間における累計閲覧数を予測し、これを対象記事の閲覧数評価値として採用することができる。なお、過去の実績データから将来の動向を予測する方法については様々な方法が知られているため、それらの技術を適宜使用すればよい。
また、処理を簡素化するのであれば、例えば、直近の単位時間閲覧数または当日の閲覧数をメディア毎に取得し、これらの閲覧数を所定期間で積分した累計閲覧数を閲覧評価値として採用してもよい。あるいは、直近所定期間(例えば、数か月、数日等)における閲覧数から一日当たりの平均閲覧数をメディア毎に取得し、この平均閲覧数を所定期間で積分した累計閲覧数を閲覧評価値として採用してもよい。
【0030】
ここで重要なのは、上述したように、閲覧評価値は、対象記事の記事発行時から所定期間における累計閲覧数を予測した値に基づいているという点である。例えば、
図5に示すような閲覧数特性を有する2つの記事a、記事bがあったとする。この場合、閲覧数のピーク値のみを評価したならば、記事aの方が記事bよりも評価が高くなる。しかしながら、広告効果を考えた場合、閲覧数のピーク値よりも、記事発行から所定期間における累計閲覧数を評価した方が好ましい。このように、本実施形態では、記事発行から所定期間における記事の予測累計閲覧数を評価するので、ピーク値は際立っているが所定期間における累積閲覧数が比較的少ない記事よりも、ピーク値は際立っていないが所定期間における累積閲覧数が比較的多い記事を優先させることができる。
【0031】
本実施形態においては、メディア毎に上述した閲覧数評価値を予め計算し、この閲覧数評価値とメディアの情報とを関連付けた閲覧数情報を予め用意しておき、この閲覧数情報を用いて、各記事の発行元メディアに対応する閲覧数評価値を得る。なお、閲覧数情報の作成処理は、例えば、演算部41がレコメンド評価値の演算処理を行う前処理として行われても良いし、予め決められたタイミングで随時行われることとしてもよい。このように、メディアと閲覧数評価値とが関連付けられた閲覧数情報を用いて各記事の閲覧数評価値を得ることにより、処理負担を軽減することができるとともに処理時間を短縮することが可能となる。
【0032】
また、累計閲覧数は、同じメディアでも記事のカテゴリによってばらつきがある。例えば、政治に強いメディアがファッションに関する記事を配信した場合、政治に関する記事の閲覧数は安定的に高い値を示す一方、ファッションに関する記事の閲覧数はそれほど高い値を期待できない。また、政治に関する記事は例えば、
図5の記事aに示される閲覧特性を示す場合が多い一方で、ファッションに関する記事は
図5の記事bに示される閲覧特性を示すかもしれない。このように、記事のカテゴリによって閲覧数の特性やピーク値が異なる。
したがって、メディアだけでなく、記事のカテゴリも考慮して閲覧数評価値を算出することが好ましい。この場合、例えば、メディアの過去所定期間における閲覧数実績データを更に記事のカテゴリ別に分け、カテゴリ別の閲覧数実績データを用いて、各メディアにおける記事のカテゴリ毎の閲覧数評価値を得ればよい。この場合、メディア毎及び記事のカテゴリ毎に閲覧数評価値が関連付けられた閲覧数情報が予め用意される。
【0033】
〔1−2.表示確率評価値〕
表示確率評価値は、記事の表示枠の表示確率を予測した評価値である。この表示確率評価値も上述した閲覧数評価値と同様にメディア毎に評価することができる。例えば、各メディアの過去所定期間における広告枠の表示確率実績データを用いて、メディア毎に表示確率評価値を演算する。例えば、表示確率評価値として、過去所定期間における広告枠の表示確率の平均値や、広告枠の表示確率実績データを統計的手法を用いて処理することにより得られた評価値等を採用することができる。
【0034】
本実施形態においては、メディア毎に上述した表示確率評価値を予め計算し、この表示確率評価値とメディアの情報とを関連付けた表示確率情報を予め用意しておき、この表示確率情報を用いて、対象記事の表示確率評価値を得る。なお、表示確率情報の作成処理は、例えば、演算部41がレコメンド評価値の演算処理を行う前処理として行われても良いし、予め決められたタイミングで随時行われることとしてもよい。このように、メディアと表示確率評価値とが関連付けられた表示確率情報を用いて各対象記事の表示確率評価値を得ることにより、処理負担を軽減することができるとともに処理時間を短縮することが可能となる。
なお、上述した閲覧数評価値と同様に、表示確率評価値もカテゴリの影響を少なからず受ける。したがって、メディア毎かつ記事のカテゴリ毎に表示確率評価値を算出することとしてもよい。
【0035】
〔2.収益性評価値〕
収益性評価値は、対象記事にレコメンド広告を付与した場合に、記事発行から所定期間においてその広告から得られる予測広告収益に関する評価値である。
収益性評価値は、メディア毎に評価することができる。例えば、各メディアの過去所定期間の実績収益を用いて、メディア毎に収益評価値を算出する。収益評価値として、例えば、各メディアにおける1インプレッション当たりの実績収益率、広告枠1つ当たりの実績収益等を採用することができる。なお、上述した閲覧数評価値等と同様に、収益評価値についてもカテゴリの影響を少なからず受けるため、メディア毎かつ記事のカテゴリ毎に収益評価値を算出することとしてもよい。
【0036】
本実施形態においては、メディア毎に上述した収益性評価値を予め計算し、この収益性評価値とメディアの情報とを関連付けた収益性情報を予め用意しておき、この収益性情報を用いて、対象記事の収益性評価を得る。なお、収益性の作成処理は、例えば、演算部41がレコメンド評価値の演算処理を行う前処理として行われても良いし、予め決められたタイミングで随時行われることとしてもよい。このように、メディアと収益性評価値とが関連付けられた収益性情報を用いて各対象記事の収益性評価値を得ることにより、処理負担を軽減することができるとともに処理時間を短縮することが可能となる。
【0037】
〔3.レコメンド評価値〕
レコメンド評価値は、
図4に示すように、上述した表示回数評価値と収益性評価値とを用いて算出される。例えば、表示回数評価値と収益性評価値とをパラメータとして有する所定の演算式を保有しており、この演算式に表示回数評価値と収益性評価値とを代入することにより、レコメンド評価値を算出することが可能である。
例えば、レコメンド評価値は、表示回数評価値と収益性評価値とを単に乗算した値であってもよいし、これらに所定の重み付け係数を乗じて得る加重平均値であってもよい。レコメンド評価値を算出する演算式については、運用に応じて表示回数と収益性とのどちらを重視するのかによって適宜設定すればよい。
【0038】
次に、本実施形態に係る広告付与装置20によって実行される広告付与処理について、主に
図3及び
図4を参照して簡潔に説明する。なお、以下に説明する広告付与処理は、所定のタイミング、例えば、記事データベース31が更新されるタイミングで繰り返し行われる。
【0039】
まず、前処理として、所定のタイミングで上述した閲覧数評価値、表示確率評価値、収益性評価値がそれぞれメディア毎に演算され、メディアの情報と各評価値とが関連付けられた閲覧数情報、表示確率情報、収益性情報が作成され、所定の記憶領域に記憶される。なお、記事のカテゴリを考慮してこれらの情報が作成されてもよいことは上述した通りである。
【0040】
次に、演算部41は、記事データベース31に格納されている記事を対象記事として順次読み出し、読み出した対象記事に対してレコメンド評価値を演算する。具体的には、閲覧数情報、表示確率情報、収益性情報から当該対象記事の発行元メディア(及び記事カテゴリ)に関連付けられている閲覧数評価値、表示確率評価値、収益性評価値をそれぞれ取得する。続いて、取得した閲覧数評価値と表示確率評価値とを乗算することにより対象記事の表示回数評価値を得る。更に、収益性評価値及び表示回数評価値を所定の演算式に代入することにより、当該対象記事のレコメンド評価値を算出する。このような処理が記事毎に繰り返し行われることにより、記事データベース31に格納されている記事に対してレコメンド評価値が算出される。
【0041】
なお、本実施形態では、上述したように、メディア又はメディア及びカテゴリに応じて評価値を算出している。したがって、同じメディアから発行される記事、又は、同じメディア及び同じカテゴリの記事については、同じレコメンド評価値が算出されることとなる。このことから、予め記事データベース31に格納されている記事をメディア別(かつ、カテゴリ別)に分類し、それぞれに対して上述の方法でレコメンド評価値を付与すればよい。これにより、レコメンド評価値の演算処理を効率的に行うことが可能となる。
【0042】
このようにして各記事に対してレコメンド評価値が算出されると、選定部42はレコメンド評価値が高い順に所定数の記事を抽出し、抽出した記事をレコメンド広告を付与する記事の候補として選定する。選定された記事は、例えば、レコメンド広告を付与するレコメンドエンジンの待ち行列に登録される。このとき、レコメンド評価値が高いほど上位に配置される。
【0043】
レコメンド広告決定部34は、選定部42によって選定された記事の候補うち、レコメンド評価値が高い記事から順に記事を抽出し、抽出した記事に対してレコメンド広告を決定する。これにより、待ち行列に登録されている記事に対して順次レコメンド広告が付与され、記事の情報とレコメンド広告の情報とが関連付けられた記事広告情報が記事広告データベース32に格納されることとなる。
【0044】
以上説明したように、本実施形態に係る広告付与装置、広告付与方法、及び広告付与プログラムによれば、記事発行から所定期間における記事の予測広告表示回数に関する表示回数評価値と、記事発行から所定期間における記事の予測収益に関する収益性評価値とを用いてレコメンド評価値が演算され、このレコメンド評価値を指標としてレコメンド広告を付与する記事の候補が選定される。これにより、記事発行時から所定期間全域(例えば、広告掲載期間)における表示回数及び収益性を評価することが可能となる。この結果、表示回数及び収益性の観点から、より広告効果の高い適切な記事をレコメンド広告を付与する記事の候補として選定することが可能となる。この効果は、例えば、当日の記事のPVのみを評価してレコメンド広告を付与する記事を選定する場合や、過去のPVのピーク値のみを考慮して記事の候補を選定していた場合には得られない効果である。
【0045】
次に、本発明の第2実施形態に係る広告付与装置について説明する。本実施形態に係る広告付与装置は、上述した第1実施形態とほぼ同様の構成を有するが、演算部41による表示回数評価値の算出手法が異なる。以下、第1実施形態と共通する点については説明を省略し、異なる点について主に説明する。
【0046】
本実施形態において、表示回数評価値は、上述した第1実施形態と同様に、閲覧評価値と表示確率評価値とを乗算することにより得ることができる。本実施形態において、閲覧評価値は、対象記事における記事発行時から現在までの閲覧実績データと、対象記事の発行元メディアにおける過去の記事閲覧実績データとを用いて演算される。
【0047】
〔閲覧数評価値〕
対象記事の発行元メディアが発行している記事は多種多様であり、当然ながらよく読まれる記事と、あまり読まれない記事とがある。そのようなときに、それら記事を特に区別せずに、全ての記事についての過去所定期間における総累計閲覧数を用いて対象記事の閲覧数評価値を演算した場合、予測誤差が大きくなってしまい、予測精度が低下するおそれがある。
【0048】
そこで、本実施形態においては、対象記事の発行元メディアの過去所定期間における閲覧数実績データの中から、当該対象記事における記事発行から現在までの閲覧数実績の傾向と類似度の高い記事の閲覧実績データを抽出し、抽出した閲覧実績データを用いて現在以降の対象記事の累計閲覧数を予測する。これにより、対象記事と相関性の低い記事の情報を排除することが可能となり、閲覧数の予測精度の向上が期待できる。なお、対象記事の記事発行から現在までの閲覧数については、閲覧実績がすでに存在するため、実績値を用いればよい。
【0049】
具体的には、発行元メディアが過去に発行した複数の記事に関し、記事発行から所定期間(例えば、5日間)までの閲覧数実績を所定の単位期間毎(例えば、1時間毎、12時間毎、1日毎等)に記録しておく。これにより、記事発行から所定期間における各記事の閲覧数実績の分布(閲覧傾向)及び所定期間における総閲覧数が把握できる。そして、対象記事の記事発行から一定期間毎の閲覧数実績の分布(閲覧傾向)と類似する記事を抽出し、抽出した記事の累計閲覧数を統計的に処理することにより、対象記事の現在から所定期間における閲覧数を予測する。このように、閲覧数分布が類似する過去の記事を用いて、対象記事の現時点から将来における対象記事の閲覧数を予測することにより、全ての記事を用いて閲覧数を予測する場合に比べて、予測精度を向上させることが可能となる。
なお、記事発行から閲覧数が上昇し、その後下降する単純な閲覧傾向を示す記事だけでなく、週・月・年といったオーダーで周期的に閲覧数が増加するような季節性のある記事も存在するが、例えば、上記所定期間の設定を適切に行うことで、これらの特性もカバーすることが可能となる。
【0050】
〔表示確率評価値〕
表示確率評価値は、上述した第1実施形態に係る表示確率評価値を用いても良いが、例えば、広告表示枠の表示確率は広告表示枠の設置位置にも依存する。したがって、記事における広告枠の設置位置も加味して表示確率評価値を演算することとしてもよい。
また、表示確率については、メディアによっては記事鮮度によってスクロール率が異なる場合もある。したがって、例えば、上述した本実施形態における閲覧数評価値と同様に、記事発行から所定期間(例えば、5日間)までの表示確率を所定の単位期間毎(例えば、1時間毎、12時間毎、1日毎等)に記録しておき、これらの表示確率の分布を加味して類似度の高い過去の類似確率データを抽出し、抽出した表示確率データを用いて対象記事の表示確率を予測することとしてもよい。
【0051】
このようにして、閲覧数評価値と表示確率評価値とが算出されると、これらを乗じることにより表示回数評価値を得る。
【0052】
また、収益性評価値についても、メディア毎に広告一回表示当たりの収益性(CPM)が異なるほか、広告表示回数の大小、記事の新鮮度によっても変化するため、例えば、対象記事が発行されてからの経過期間や上記広告表示回数等を加味して収益性評価値を演算することとしてもよい。例えば、対象記事が発行されてからの経過期間に関するパラメータ、広告表示回数に関するパラメータを含む演算式を用いて、収益性評価値を演算することとしても良い。
【0053】
以上、本発明について上記実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。発明の要旨を逸脱しない範囲で上記実施形態に多様な変更又は改良を加えることができ、該変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。また、上記実施形態を適宜組み合わせてもよい。
【0054】
例えば、上記実施形態では、表示回数評価値及び収益性評価値を用いてレコメンド評価値を算出することとしたが、この例に限定されず、例えば、表示回数評価値のみ、収益性評価値のみを用いてレコメンド評価値を得ることとしても良い。また、表示回数評価値や収益性評価値を用いずに、閲覧数評価値のみを用いてレコメンド評価値を算出することとしてもよい。このように、レコメンド評価値は、閲覧数評価値、表示回数評価値、及び収益性評価値の少なくとも一つを用いて演算されればよい。
【0055】
また、表示回数評価値を演算する際に、広告枠に対する競合倍率に関する競合倍率評価値を更に用いて、記事発行から所定期間における広告の表示回数を予測することとしてもよい。例えば、近年、RTB(Real Time Bidding)といわれる、1つの広告枠に対して複数の広告主が入札を行い、最も入札額の高かった広告主がその広告枠を獲得するという方式のものがある。このような入札方式をとる広告枠が設けられた記事を提供するメディアの場合、1つの広告枠に対する倍率がどの程度なのかを考慮に入れて広告表示回数を予測することが必要となる。そこで、このような入札型の広告枠を持つ記事を考慮に入れて、各メディアにおける広告枠の競合倍率を評価する競合倍率評価値を演算し、この競合倍率評価値を更に用いて表示回数評価値を演算することとしてもよい。
【0056】
また、上述した各実施形態では、閲覧数評価値と表示確率評価値とを乗算することにより表示回数評価値を演算していたが、対象記事の表示回数実績がある場合には、その表示回数実績を用いて現時点から所定期間の終了時までの閲覧総数を予測することとしてもよい。この場合、例えば、対象記事の発行元メディアの過去所定期間における表示回数実績を単位時間毎に記録しておき、これらの表示回数実績のうち、対象記事の表示回数実績と類似度の高い、例えば、所定の値以上の類似度を持つ記事を抽出し、それらの記事の表示回数実績を用いて表示回数評価値を演算することとしてもよい。
【0057】
また、上述した各実施形態では、対象記事の記事発行から所定期間における予測累計閲覧数、予測広告表示回数、予測収益を演算することとしたが、この期間の始点は必ずしも対象記事の記事発行時である必要はない。例えば、所定期間の始点は、対象記事の記事発行後における所定時であってよく、記事発行から現在までの間に所定期間の始点が設定されてもよいし、現在より将来に所定期間の始点が設定されてもよい。また、所定期間の始点が現在よりも過去に設定されている場合には、始点から現在までの累計閲覧数等として実績値を利用することが可能である。