(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6576420
(24)【登録日】2019年8月30日
(45)【発行日】2019年9月18日
(54)【発明の名称】両頭側面フライス盤
(51)【国際特許分類】
B23Q 3/06 20060101AFI20190909BHJP
B23C 1/04 20060101ALI20190909BHJP
B23C 1/14 20060101ALI20190909BHJP
B23Q 1/52 20060101ALI20190909BHJP
B23Q 1/01 20060101ALI20190909BHJP
B23Q 3/18 20060101ALN20190909BHJP
【FI】
B23Q3/06 302H
B23C1/04
B23C1/14
B23Q1/52
B23Q1/01 T
B23Q1/01 F
!B23Q3/18 D
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-238485(P2017-238485)
(22)【出願日】2017年12月13日
(65)【公開番号】特開2019-104085(P2019-104085A)
(43)【公開日】2019年6月27日
【審査請求日】2017年12月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】599057663
【氏名又は名称】株式会社和田機械
(74)【代理人】
【識別番号】110001704
【氏名又は名称】特許業務法人山内特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】島崎 章
【審査官】
山本 忠博
(56)【参考文献】
【文献】
特開2007−229828(JP,A)
【文献】
特開2014−111304(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23C 1/04,1/14,
B23Q 3/06,3/18,1/00−1/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向して配置された2台の加工ヘッドと、
前記2台の加工ヘッドの間を通過するように移動自在に設けられており、下フレーム部と上フレーム部とからなる加工フレームと、
前記下フレーム部に設けられた、垂直な軸線回りに第1制御モータで回転される割出し台と、
前記上フレーム部に設けられた、前記割出し台上のワークをクランプする上部クランプ機構とを備えており、
前記上部クランプ機構は、クランプシリンダと、そのロッドと、該ロッドの下端に連結された押具とからなり、
前記押具は前記割出し台の軸線と同一軸線上で昇降動作し、該押具で前記割出し台との間でワークを挟んでクランプ動作するものであり、
前記第1制御モータは、その出力軸が前記割出し台に直結されたダイレクト駆動モータであり、
前記ロッドをその軸心回りに回転させる第2制御モータを備えており、該第2制御モータは、その出力軸が前記上部クランプ機構を構成するクランプシリンダに直結されたダイレクト駆動モータであり、かつ前記出力軸の軸心に貫通孔が形成されており、該貫通孔に前記クランプシリンダのロッドが貫通している
ことを特徴とする両頭側面フライス盤。
【請求項2】
前記第1制御モータおよび前記第2制御モータは、サーボモータであって、共に同期して回転し、同一角度だけ前記割出し台および前記上部クランプ機構を回転させる
ことを特徴とする請求項1記載の両頭側面フライス盤。
【請求項3】
前記上フレーム部は、
前記上部クランプ機構を取付ける天板と、
該天板の一端と前記下フレーム部との間に連結された支持コラムと、
前記天板の他端と前記下フレーム部との間に連結された変形抑制コラムとからなる
ことを特徴とする請求項1記載の両頭側面フライス盤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、両頭側面フライス盤に関する。さらに詳しくは、ワークの対向する2面を同時加工できる両頭側面フライス盤に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の両頭側面フライス盤として、つぎの従来技術(特許文献1参照)がある。
この従来技術は、矩形状ワークの対向する2面のフライス加工を行う数値制御装置内蔵のフライス盤である。
【0003】
この両頭側面フライス盤は、第1および第2の2個のヘッドの主軸にフライスが取付けられており、この第1、第2のヘッド間に配設された移動路に沿ってワークを固定するテーブルが、移動可能に設けられている。
前記一対のフライスは、駆動モータで回転される主軸の回転に伴い、割出し台上のテーブルに位置決め固定されたワークの対向する2面に対して同時にフライス加工を施すことができる。
【0004】
このフライス盤では、テーブルを跨ぐように、C形フレームがベース上に立設され、そのC形フレームに押圧シリンダが下向きに取付けられている。この押圧シリンダはC形フレームで片持ち支持されている。
押圧シリンダのロッドで昇降するブラケットには、押圧具が垂直な軸線回りに回動可能に取付けられ、かつ押圧具を回転させるモータが取付けられている。そして、押圧具の軸線は、位置決めセット場所に停止したと仮定されるテーブルの回転軸線と合致するように設定されている。ただし、押圧シリンダの軸線とモータおよび押圧具の軸線は横方向に偏心した位置にある。
【0005】
上記従来技術のフライス盤では、押圧シリンダのロッドの下方向への伸長によって押圧具が、割出し台上のテーブルに位置決めセットされたワークを押圧することにより、ワークはテーブル上で固定される。そして、ワークを固定状態にした割出し台は、その回転軸線回りに回転できる。
【0006】
しかるに、上記従来技術では、押圧シリンダが片持ち支持されていることから、押圧シリンダで押圧具をワークに押し付けてテーブルとの間で強力に挟み付けても、C形フレーム自体に変形が生じやすい。また、押圧シリンダの出力軸と押圧具の軸線が横方向に偏位していることから、押圧具に曲げ変位が生じることがある。
【0007】
これらの変形や曲げ変位によって、押圧シリンダとテーブルを回転させる割出し台との軸線にズレが生ずると、ワークの固定が正確にできなくなる。
また、ワークが一体物でなく、複数枚の薄板ワークを積層したものであると、各枚の薄板ワーク間で若干の滑りが生じ、ワーク全体の側面がズレてくるので、正確な端面加工ができなくなる、という問題もある。
とくに、上記の問題は押圧シリンダによる押圧力を大きくしたとき、つまり大きなクランプ力が必要なときに発生しやすい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2012−76183号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は上記事情に鑑み、ワークの正確な端面加工が行える両頭側面フライス盤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1発明の両頭側面フライス盤は、対向して配置された2台の加工ヘッドと、前記2台の加工ヘッドの間を通過するように移動自在に設け
られており、下フレーム部と上フレーム部とからなる加工フレームと
、前記下フレーム部に設けられた、垂直な軸線回りに第1制御モータで回転される割出し台と、前記上フレーム部に設けられた
、前記割出し台上のワークをクランプする上部クランプ機構と
を備えており、前記上部クランプ機構は、クランプシリンダと、そのロッドと、該ロッドの下端に連結された押具とからなり、前記押具は前記割出し台の軸線と同一軸線上で昇降動作し、該押具で前記割出し台との間でワークを挟んでクランプ動作するものであり、前記第1制御モータは、その出力軸が前記割出し台に直結されたダイレクト駆動モータであり、前記ロッドをその軸心回りに回転させる第2制御モータを備えており、該第2制御モータは、その出力軸が前記上部クランプ機構を構成するクランプシリンダに直結されたダイレクト駆動モータであり、かつ前記出力軸の軸心に貫通孔が形成されており、該貫通孔に前記クランプシリンダのロッドが貫通していることを特徴とする
。
第2発明の両頭側面フライス盤は、第
1発明において、前記第1制御モータおよび前記第2制御モータは、サーボモータであって、共に同期して回転し、同一角度だけ前記割出し台および前記上部クランプ機構を回転させることを特徴とする。
第
3発明の両頭側面フライス盤は、第1発明において、前記上フレーム部は、前記上部クランプ機構を取付ける天板と、該天板の一端と前記下フレーム部との間に連結された支持コラムと、前記天板の他端と前記下フレーム部との間に連結された変形抑制コラムとからなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
第1発明によれば、
つぎの効果を奏する。
a)下フレーム部に設けられた割出し台と上フレーム
部に設けられた上部クランプ機構とは同一軸線上に配置しているので、クランプ力を高めても上部クランプ機構に曲げ変形など発生しにくく、ワークを充分大きな力でクランプできる。このため、ワークの端面を正確な角度で加工することができる。
b)第1制御モータおよび第2制御モータとしてダイレクトモータを用いており、しかも第2制御モータの軸心を通る貫通孔にクランプシリンダのロッドが貫通しているので、割出し台も上部クランプ機構もコンパクトに構成でき、かつ、ギヤを用いていないのでバックラッシュ等の回転角の誤差の発生を防止できる。
第
2発明によれば、第1および第2制御モータは、同期して起動停止し、また同一角度しか回転しないので、割出し台とワークとの間、また上部クランプ機構とワークとの間に回転ズレが全く生じない。このため、極めて正確な両面加工が可能となる。
第
3発明によれば、上部クランプ機構が両持ちの上フレーム部で支持されているので、クランプ力を高めても上フレーム部に変形や歪が発生しにくく、ワークを充分大きな力でクランプできる。このため、ワークの端面を正確な角度で加工することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施形態に係る両頭側面フライス盤の要部側面図である。
【
図2】
図1に示す割出し台まわりの要部断面図である。
【
図3】
図1に示す上部クランプ機構まわりの要部断面図である。
【
図4】本発明に係る両頭側面フライス盤の全体側面図である
【
図5】
図4に示す両頭側面フライス盤の全体正面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
つぎに、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
まず、本実施形態の両頭側面フライス盤の基本構成を説明する。
【0014】
図4および
図5において、符号1はベースを示しており、このベース1の上面には、前後方向(
図4では紙面の左右方向、
図5では表裏方向)にレール2が設けられている。そして、このレール2上を移動自在に加工フレーム3が取付けられている。この加工フレーム3は、下フレーム部4とその上方に設けた上フレーム部5とからなる。下フレーム部4の上面には割出し台6を備え、割出し台6の上面にはテーブル63を備え、テーブル63上にワークWを載せるようになっている。
【0015】
上フレーム部5には上部クランプ機構7が取付けられていて、その軸心は、割出し台6の回転中心を通る軸心と一致している。この上部クランプ機構7は、割出し台6と上部クランプ機構7の間(具体的にはテーブル63と後述する押具73との間)にワークWを挟んで、ワークWを割出し台4上に固定することができる。そして、加工フレーム3をレール2に沿って移動させれば、ワークWを加工フレーム3とともに前後に移動させることができる。
【0016】
一方、前記ベース1の左右には、左右一対の加工ヘッド10,10が設けられており、その主軸台11,11は、ベース1の中心線(2本のレール2の間の中間)に対し接近離間方向に移動自在である。
前記一対の主軸台11,11には、一対の主軸がそれぞれ回転自在に支持されており、この一対の主軸は、互いに軸心が一致するように、水平に設けられている。この一対の主軸の向かいあった一端部には、カッタ13,13がそれぞれ取付けられており、各主軸の他端部は、主軸台11の上部に設けられたモータ14の主軸と連結されている。
このため、モータ14、14を駆動させれば、カッタ13、13を回転させることができる。
【0017】
以上の基本構成であるので、本実施形態の両頭側面フライス盤によれば、割出し台6上のテーブル63上面にワークWを取付け、ワークWを加工するに必要な量だけ一対の加工ヘッド10,10を加工フレーム3に向けて移動させ、モータ13を駆動させてカッタ13を回転し、加工フレーム3によってワークWを前後方向に送れば、カッタ13によってワークWの表裏両面を一度に切削することができる。
【0018】
つぎに、本発明の特徴部分を、
図1〜
図3に基づき説明する。
本発明の特徴は、上部クランプ機構7を支持する上フレーム部5と、割出し台6と上部クランプ機構7の軸心を一致させる構造にある。
【0019】
まず、
図1に示すように、上フレーム部5は門形構造とされている。すなわち、本実施形態の上フレーム部5は、上部クランプ機構7を取付ける天板51と、この天板51の一端と下フレーム部4との間に連結された支持コラム52と、天板51の他端と下フレーム部4との間に連結された変形抑制コラム53とからなる。
【0020】
本実施形態のように、天板51を、その両端で支持コラム52と変形抑制コラム53で支持すると、両持ち型の門形構造となる。天板51は板状である必要はなく、上部クランプ機構7を強固に固定するに適した構造の部材であればよい。
支持コラム52は、天板51および上部クランプ機構7を支持するに充分な圧縮荷重と曲げ荷重に耐える剛性をもつ部材であればよい。
変形抑制コラム53は、クランプ時に発生する天板51のそり上りを抑制するための充分な引張り強度に耐える強度をもった部材であればよい。
支持コラム52と変形抑制コラム53はそれぞれの機能を果すため、一般的にいって、支持コラム52は太い柱状部材で構成され、変形抑制コラム53は棒状の部材で構成される。
【0021】
この両持ち門形構造によれば、上部クランプ機構7が大きなクランプ力を発揮しても上フレーム部5に変形や歪が発生しにくい。このため、ワークWを充分大きな力でクランプしても、割出し台
6の軸線と一致させられている上部クランプ機構7の軸線が互いにズレることなく、一致していた状態のままに保たれる。このため、クランプ時にワークWが割出し台4上で微動することはない。また、板状部材を積層したワークWであっても、各板状部材間でズレが発生することはない。よって、ワークWの端面を正確な角度で加工することができる。
【0022】
つぎに、割出し台6および上部クランプ機構7まわりを説明する。
(割出し台まわり)
図1および
図2に示すように、前記加工フレーム3の下フレーム部4には既述のごとく割出し台6が設けられている。
【0023】
前記割出し台6は、ワークWの外周面を任意の数に等分する装置であり、第1制御モータ8に連結されている。第1制御モータ8のモータ本体81は下フレーム部4に固定され、その主軸82が、割出し台6の回転軸61に直接結合されている。62は回転軸61を支持するスラスト軸受である。ワークWを固定するテーブル63は回転軸62に連結されている。
【0024】
この第1制御モータ8は、制御性の高いサーボモータであり、構造的には割出し台6を直接駆動するよう構成したダイレクトモータである。ダイレクトモータを用いると、普通のサーボモータに必要とされる減速機を用いない構成であるので、第1制御モータ8はコンパクトとなり、歯車減速機に不可避なバックラッシュが生じないので、割出し角度を正確にできるという利点がある。
【0025】
(上部クランプ機構7まわり)
図1および
図3に示すように、前記上部クランプ機構7はクランプシリンダ71とロッド72を備えており、このロッド72の下端には押具73が連結されている。
【0026】
上部クランプ機構7の上フレーム部5への固定には、固定ハウジング55が用いられている。固定ハウジング55は外側ハウジング56と内側ハウジング57からなる。外側ハウジング56は第2制御モータ9を収容する形状をもち、上フレーム部5の天板51上に固定されている。
【0027】
第2制御モータ9のモータ本体91は上フレーム部5の天板51に固定され、その主軸92は内側ハウジング57に固定されている。この内側ハウジング57は、クランプシリンダ71に固定されている。
内側ハウジング57は、スラストベアリング58を介して外側ハウジング56に対し回転自在となっている。
【0028】
第2制御モータ9は、ダイレクトモータであり、その軸心には貫通孔93が形成されている。この貫通孔93に押圧シリンダ7のロッド72が貫通している。このようにロッド72が第2制御モータ9を貫通していることにより、ロッド72と押具73を含む上部クランプ機構7の軸線は、前記割出し台6の回転中心を通る軸線と正確に一致することとなっている。このため、クランプ力を高めても上部クランプ機構7に曲げ変形などが発生しにくく、ワークWを充分大きな力でクランプできる。このため、ワークWの端面を正確な角度で加工することができる。
【0029】
上記構成により、第2制御モータ9を回転させると、内側ハウジング57を介してクランプシリンダ71を回転させ、ひいてはロッド72と押具73を回転させることができる。
【0030】
この第2制御モータ9は、制御性の高いサーボモータであり、構造的には上部クランプ機構のロッド72を直接駆動するよう構成したダイレクトモータである。ダイレクトモータは普通のサーボモータに必要とされる減速機を用いない構成であるので、第2制御モータまわりはコンパクトな構成となる。また、歯車減速機に不可避なバックラッシュが生じないので、割出し角度を正確にできるという利点が得られる。
【0031】
第1制御モータ8と第2制御モータ9は、いずれも制御用のサーボモータであって、共に同期して回転し、同一角度だけ割出し台6および上部クランプ機構7を回転させることができる。
このように、第1および第2制御モータ8、9は、同期して起動停止し、また同一角度しか回転しないので、割出し台6とワークWとの間、また上部クランプ機構7とワークWとの間に回転ズレが全く生じない。このため、極めて正確な割出しが行える。
【0032】
つぎに、本実施形態の利点を説明する。
(1)本実施形態では、下フレーム部4に設けられた割出し台6と上フレーム5に設けられた上部クランプ機構7とは同一軸線上に配置しているので、クランプ力を高めても上部クランプ機構7に曲げ変形などが発生しにくく、ワークWを充分大きな力でクランプできる。このため、ワークWの端面を正確な角度で加工することができる。
(2)上部クランプ機構7が両持ちの上フレーム部5で支持されているので、クランプ力を高めても上フレーム部5に変形や歪が発生しにくく、ワークWを充分大きな力でクランプできる。このため、ワークWの端面を正確な角度で加工することができる。
【0033】
(3)本実施形態では、割出し台6上のワークWを回転させるとき上部クランプ機構7も同期して回転させるが、この同期運転は第1および第2制御モータ8、9を同期回転させることで行われる。したがって、ワークWの上面(押具73との間)と下面(割出し台6との間)で回転ズレは全く生じない。
このため、ワークWの一対の側面と他の対の側面との間の直角を正確に出すことができる。また、ワークWが複数枚を積層したものであっても、各枚のワークW間の回転ズレも生じないので、全てのワークWを正確に端面加工することができる。
【符号の説明】
【0034】
1 ベース
2 レール
3 加工フレーム
4 下フレーム部
5 上フレーム部
6 割出し台
7 上部クランプ機構
8 第1制御モータ
9 第2制御モータ
51 天板
52 支持コラム
53 変形抑制コラム