特許第6576421号(P6576421)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6576421末端変性共役ジエン−ビニル芳香族炭化水素共重合体およびその合成方法、ゴム組成物およびタイヤ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6576421
(24)【登録日】2019年8月30日
(45)【発行日】2019年9月18日
(54)【発明の名称】末端変性共役ジエン−ビニル芳香族炭化水素共重合体およびその合成方法、ゴム組成物およびタイヤ
(51)【国際特許分類】
   C08C 19/25 20060101AFI20190909BHJP
   C08L 15/00 20060101ALI20190909BHJP
   C08K 3/36 20060101ALI20190909BHJP
   B60C 1/00 20060101ALI20190909BHJP
【FI】
   C08C19/25
   C08L15/00
   C08K3/36
   B60C1/00 Z
【請求項の数】5
【外国語出願】
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2017-240837(P2017-240837)
(22)【出願日】2017年12月15日
(65)【公開番号】特開2018-95881(P2018-95881A)
(43)【公開日】2018年6月21日
【審査請求日】2017年12月15日
(31)【優先権主張番号】105141716
(32)【優先日】2016年12月16日
(33)【優先権主張国】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】594006345
【氏名又は名称】奇美實業股▲分▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100177426
【弁理士】
【氏名又は名称】粟野 晴夫
(72)【発明者】
【氏名】戴 嘉宏
(72)【発明者】
【氏名】謝 官霖
【審査官】 水野 明梨
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2014/050341(WO,A1)
【文献】 特開2012−149239(JP,A)
【文献】 特開2016−047883(JP,A)
【文献】 特開昭60−137913(JP,A)
【文献】 特開昭63−006034(JP,A)
【文献】 特開2014−129525(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08C 19/00−19/44
C08F 6/00−246/00
C08F 301/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
共役ジエンモノマーで形成された構造単位およびビニル芳香族炭化水素モノマーで形成された構造単位を含む活性末端を有する共役ジエン−ビニル芳香族炭化水素共重合体を生成し、前記共役ジエンモノマーで形成された前記構造単位と前記ビニル芳香族炭化水素モノマーで形成された前記構造単位との重量比が2:1〜5:1であることと、
前記活性末端を有する共役ジエン−ビニル芳香族炭化水素共重合体を式(1)で表される化合物と反応させて、前記式(1)で表される化合物で変性された末端を有する共役ジエン−ビニル芳香族炭化水素共重合体を生成することと、
を含み、
【化1】
式(1)中、
1が、置換または非置換の炭素数2〜4のアルキレン基であり、
2が、置換または非置換の炭素数2〜4のアルキレン基、−(O−C24)−、および−OR3を含む基であり、
3が、水素または置換または非置換の炭素数1〜3のアルキル基であり、
xが、25〜35であり、
yが、220〜350であり、
zが、25〜35であり、
複数のR1が、同じであっても、異なっていてもよく、
複数のR2が、同じであっても、異なっていてもよい末端変性共役ジエン−ビニル芳香族炭化水素共重合体の合成方法。
【請求項2】
末端を有する末端変性共役ジエン−ビニル芳香族炭化水素共重合体であって、前記末端が、式(1)で表される化合物で変性されており、
【化2】
式中、
1が、置換または非置換の炭素数2〜4のアルキレン基であり、
2が、置換または非置換の炭素数2〜4のアルキレン基、−(O−C24)−、および−OR3を含む基であり、
3が、水素または置換または非置換の炭素数1〜3のアルキル基であり、
xが、25〜35であり、
yが、220〜350であり、
zが、25〜35であり、
複数のR1が、同じであっても、異なっていてもよく、
複数のR2が、同じであっても、異なっていてもよく、
前記末端変性共役ジエン−ビニル芳香族炭化水素共重合体において、共役ジエンモノマーを含む構造単位とビニル芳香族炭化水素モノマーを含む構造単位との重量比が、2:1〜5:1である末端変性共役ジエン−ビニル芳香族炭化水素共重合体。
【請求項3】
ホワイトカーボンおよび請求項に記載の前記末端変性共役ジエン−ビニル芳香族炭化水素共重合体を含むゴム組成物。
【請求項4】
請求項に記載の前記ゴム組成物を含むタイヤ。
【請求項5】
共役ジエンモノマーで形成された構造単位およびビニル芳香族炭化水素モノマーで形成された構造単位を含む活性末端を有する共役ジエン−ビニル芳香族炭化水素共重合体を生成し、前記共役ジエンモノマーで形成された前記構造単位と前記ビニル芳香族炭化水素モノマーで形成された前記構造単位との重量比が2:1〜5:1であることと、
前記活性末端を有する前記共役ジエン−ビニル芳香族炭化水素共重合体を第1変性剤と反応させて、中間生成物を生成することと、
前記中間生成物中に残留した前記活性末端を有する前記共役ジエン−ビニル芳香族炭化水素共重合体を第2変性剤と反応させて、末端変性共役ジエン−ビニル芳香族炭化水素共重合体を生成することと、
を含み、
式中、
前記第1変性剤が、
【化3】
基を含有する化合物であり、Mが、硫黄原子または酸素原子であり、
前記第2変性剤が、下記の式(1)で表される化合物であり、
【化4】
1が、置換または非置換の炭素数2〜4のアルキレン基であり、
2が、置換または非置換の炭素数2〜4のアルキレン基、−(O−C24)−、および−OR3を含む基であり、
3が、水素または置換または非置換の炭素数1〜3のアルキル基であり、
xが、25〜35であり、
yが、220〜350であり、
zが、25〜35であり、
複数のR1が、同じであっても、異なっていてもよく、
複数のR2が、同じであっても、異なっていてもよく、
前記共役ジエンモノマーとビニル芳香族炭化水素モノマーとの合計量100重量部に対し、前記第1変性剤の用量が、0.010重量部〜0.070重量部であり、前記第2変性剤の用量が、0.430重量部〜0.520重量部である末端変性共役ジエン−ビニル芳香族炭化水素共重合体の合成方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オレフィン重合体に関するものであり、特に、末端変性共役ジエン−ビニル芳香族炭化水素共重合体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
共役ジエン−ビニル芳香族炭化水素共重合体は、タイヤを作るために使用することができるため、省エネルギーおよび交通安全を考慮すると、転がり抵抗(rolling resistance)やすべり抵抗(skid resistance)等の特性が非常に重要になる。周知の方法では、共役ジエン−ビニル芳香族炭化水素共重合体にカーボンブラック(carbon black)を添加することにより、タイヤの強度を上げている。
【0003】
しかしながら、近年、オイル資源の減耗や地球温暖化等の環境問題により、タイヤ産業は、カーボンブラックをホワイトカーボン(white carbon)(主成分:SiO2、例えば、シリカ(silica))に置き換えて、タイヤの転がり抵抗を下げ、エネルギー損失を減らす目的を達成することのできる技術を開発し始めた。ホワイトカーボンは、カーボンブラックと比較して、共役ジエン−ビニル芳香族炭化水素共重合体の中に均一に分散させるのが難しいため、ホワイトカーボンと共役ジエン−ビニル芳香族炭化水素共重合体の相容性および混合均質性を増やす必要がある。
【0004】
周知の方法では、共役ジエン−ビニル芳香族炭化水素共重合体の合成反応にポリシロキサン変性剤(例えば、東レダウコーニング(Dow Corning Toray)社製のBY16−876)を追加して、変性された共役ジエン−ビニル芳香族炭化水素共重合体を取得している。しかしながら、変性された共役ジエン−ビニル芳香族炭化水素共重合体とホワイトカーボンは、依然として混合相容性効果が不十分である。そのため、ホワイトカーボンとの混合相容性が高い変性共役ジエン−ビニル芳香族炭化水素共重合体を取得し、この共重合体で作られたタイヤに低い転がり抵抗特性と優れたすべり特性を提供することが、当業者にとって重要な目標となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、末端変性共役ジエン−ビニル芳香族炭化水素共重合体およびその合成方法、ゴム組成物およびタイヤを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、共役ジエンモノマーで形成された構造単位およびビニル芳香族炭化水素モノマーで形成された構造単位を含む活性末端を有する共役ジエン−ビニル芳香族炭化水素共重合体を生成し、共役ジエンモノマーで形成された構造単位とビニル芳香族炭化水素モノマーで形成された構造単位との重量比が2:1〜5:1であることと;活性末端を有する共役ジエン−ビニル芳香族炭化水素共重合体を式(1)で表される化合物と反応させて、式(1)で表される化合物で変性された末端を有する共役ジエン−ビニル芳香族炭化水素共重合体を生成することを含む末端変性共役ジエン−ビニル芳香族炭化水素共重合体の合成方法を提供する。
【0007】
【化1】
【0008】
式中、R1は、置換または非置換の炭素数2〜4のアルキレン基であり、R2は、置換または非置換の炭素数2〜4のアルキレン基、−(O−C24)−、および−OR3を含む基であり、R3は、水素または置換または非置換の炭素数1〜3のアルキル基であり、xは、25〜35であり、yは、220〜350であり、zは、25〜35であり、複数のR1は、同じであっても、異なっていてもよく、複数のR2は、同じであっても、異なっていてもよい。
【0009】
本発明は、また、末端を有する末端変性共役ジエン−ビニル芳香族炭化水素共重合体を提供する。前記末端が、式(1)で表される化合物である。
【0010】
【化2】
【0011】
式中、R1は、置換または非置換の炭素数2〜4のアルキレン基であり、R2は、置換または非置換の炭素数2〜4のアルキレン基、−(O−C24)−、および−OR3を含む基であり、R3は、水素または置換または非置換の炭素数1〜3のアルキル基であり、xは、25〜35であり、yは、220〜350であり、zは、25〜35であり、複数のR1は、同じであっても、異なっていてもよく、複数のR2は、同じであっても、異なっていてもよく、前記末端変性共役ジエン−ビニル芳香族炭化水素共重合体において、共役ジエンモノマーを含む構造単位とビニル芳香族炭化水素モノマーを含む構造単位との重量比は、2:1〜5:1である。
【0012】
本発明は、また、ホワイトカーボンおよび上述した末端変性共役ジエン−ビニル芳香族炭化水素共重合体を含むゴム組成物を提供する。
【0013】
本発明は、また、上述したゴム組成物を含むタイヤを提供する。
【0014】
本発明は、また、共役ジエンモノマーで形成された構造単位およびビニル芳香族炭化水素モノマーで形成された構造単位を含む活性末端を有する共役ジエン−ビニル芳香族炭化水素共重合体を生成し、共役ジエンモノマーで形成された構造単位とビニル芳香族炭化水素モノマーで形成された構造単位との重量比が2:1〜5:1であることと;活性末端を有する共役ジエン−ビニル芳香族炭化水素共重合体を第1変性剤と反応させて、中間生成物を生成することと;中間生成物中に残留した活性末端を有する共役ジエン−ビニル芳香族炭化水素共重合体を第2変性剤と反応させて、末端変性共役ジエン−ビニル芳香族炭化水素共重合体を生成することを含む末端変性共役ジエン−ビニル芳香族炭化水素共重合体の合成方法を提供する。第1変性剤は、
【化3】

基を含有する化合物であり、Mは、硫黄原子または酸素原子であり、第2変性剤は、下記の式(1)で表される化合物である。
【0015】
【化4】
【0016】
式中、R1は、置換または非置換の炭素数2〜4のアルキレン基であり、R2は、置換または非置換の炭素数2〜4のアルキレン基、−(O−C24)−、および−OR3を含む基であり、R3は、水素または置換または非置換の炭素数1〜3のアルキル基であり、xは、25〜35であり、yは、220〜350であり、zは、25〜35であり、複数のR1は、同じであっても、異なっていてもよく、複数のR2は、同じであっても、異なっていてもよく、共役ジエンモノマーとビニル芳香族炭化水素モノマーとの合計量100重量部に対し、第1変性剤の用量は、0.010重量部〜0.070重量部であり、第2変性剤の用量は、0.430重量部〜0.520重量部である。
【0017】
本発明は、また、共役ジエンモノマーとビニル芳香族炭化水素モノマーを重合させて、共役ジエン−ビニル芳香族炭化水素共重合体を形成し、その後、第1変性剤および第2変性剤で変性することにより生成された末端変性共役ジエン−ビニル芳香族炭化水素共重合体を提供する。末端変性共役ジエン−ビニル芳香族炭化水素共重合体において、共役ジエンモノマーで形成された構造単位とビニル芳香族炭化水素モノマーで形成された構造単位との重量比は、2:1〜5:1であり、第1変性剤は、
【化5】

基を含有する化合物であり、Mは、硫黄原子または酸素原子であり、第2変性剤は、下記の式(1)で表される化合物である。
【0018】
【化6】
【0019】
式中、R1は、置換または非置換の炭素数2〜4のアルキレン基であり、R2は、置換または非置換の炭素数2〜4のアルキレン基、−(O−C24)−、および−OR3を含む基であり、R3は、水素または置換または非置換の炭素数1〜3のアルキル基であり、xは、25〜35であり、yは、220〜350であり、zは、25〜35であり、複数のR1は、同じであっても、異なっていてもよく、複数のR2は、同じであっても、異なっていてもよく、共役ジエンモノマーで形成された構造単位とビニル芳香族炭化水素モノマーで形成された構造単位との合計量100重量部に対し、第1変性剤の用量は、0.010重量部〜0.070重量部であり、第2変性剤の用量は、0.430重量部〜0.520重量部である。
【0020】
本発明は、また、カーボンブラック、ホワイトカーボン、および上述した末端変性共役ジエン−ビニル芳香族炭化水素共重合体を含むゴム組成物を提供する。
【0021】
本発明は、また、上述したゴム組成物を含むタイヤを提供する。
【発明の効果】
【0022】
以上のように、本発明は、末端変性共役ジエン−ビニル芳香族炭化水素共重合体およびその合成方法、ゴム組成物およびタイヤを提供する。本発明の末端変性共役ジエン−ビニル芳香族炭化水素共重合体から得られたゴム組成物は、優れたすべり抵抗および低い転がり抵抗を有し、且つカーボンブラックおよびホワイトカーボンとの相容性が非常に優れているため、優れたすべり抵抗および低い転がり抵抗を有するタイヤを作ることができる。
【0023】
本発明の上記および他の目的、特徴、および利点をより分かり易くするため、幾つかの実施形態を以下に説明する。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態に基づき、末端変性共役ジエン−ビニル芳香族炭化水素共重合体の合成方法について説明する。
【0025】
本明細書において、ある基が置換されたかどうか明記されていない場合、当該基は、置換または非置換の基を示すことができる。例えば、「アルキル基」は、置換または非置換のアルキル基を示すことができる。また、ある基を「Cx」により描写している時は、当該基の主鎖がX個の炭素原子を有することを意味する。
【0026】
本明細書において、化合物の構造を骨格式(skeleton formula)で表す時がある。この種の表示方法は、炭素原子、水素原子、および炭素−水素結合を省略することができる。もちろん、構造式において官能基が明確に描写されている場合は、その描写を基準とする。
【0027】
本明細書において、「phr(part per hundred rubber)」を添加物量の単位として使用する時があるが、これは、ゴム合成の分野において一般的な専門用語であり、「ゴム100重量部当たりに添加される重量部」を意味する。また、いわゆる「ゴム」は、ここで、共役ジエン−ビニル芳香族炭化水素共重合体を指す。また、本明細書では、重合反応に関する説明において、共役ジエン−ビニル芳香族炭化水素共重合体の重量を共役ジエンモノマーとビニル芳香族炭化水素モノマーの重量合計と同じとみなす 。つまり、phrを使用して重合反応における添加物の量を示す時、その基準は、100重量部の共役ジエン−ビニル芳香族炭化水素共重合体であっても、100重量部の共役ジエンモノマーおよびビニル芳香族炭化水素モノマーであってもよい。

末端変性共役ジエン−ビニル芳香族炭化水素共重合体の合成方法
【0028】
本発明は、重量比が2:1〜5:1の共役ジエンモノマーおよびビニル芳香族炭化水素モノマーを有機アルカリ金属化合物の存在下で反応させて、共役ジエンモノマーで形成された構造単位およびビニル芳香族炭化水素モノマーで形成された構造単位を含む活性末端を有する共役ジエン−ビニル芳香族炭化水素共重合体を生成し、共役ジエンモノマーで形成された構造単位とビニル芳香族炭化水素モノマーで形成された構造単位との重量比が2:1〜5:1であることと;活性末端を有する共役ジエン−ビニル芳香族炭化水素共重合体を式(1)で表される化合物と反応させて、式(1)で表される化合物で変性された末端を有する共役ジエン−ビニル芳香族炭化水素共重合体を生成することを含む末端変性共役ジエン−ビニル芳香族炭化水素共重合体の合成方法を提供する。
【0029】
【化7】
【0030】
式中、R1は、置換または非置換の炭素数2〜4のアルキレン基であり、R2は、置換または非置換の炭素数2〜4のアルキレン基、−(O−C24)−、および−OR3を含む基であり、R3は、水素または置換または非置換の炭素数1〜3のアルキル基であり、xは、25〜35であり、yは、220〜350であり、zは、25〜35であり、複数のR1は、同じであっても、異なっていてもよく、複数のR2は、同じであっても、異なっていてもよい。
【0031】
以下、上述した合成方法において使用されるモノマーおよび試剤について詳しく説明する。
共役ジエンモノマー
【0032】
1つの実施形態において、共役ジエンモノマーは、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2−エチル−1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル−ブタジエン、2−メチル−ペンタジエン、4−メチル−ペンタジエン、2,4−ヘキサジエン、またはその組み合わせであってもよい。
【0033】
重合から得られる共役ジエン−ビニル芳香族炭化水素共重合体は、共役ジエン構造単位およびビニル芳香族炭化水素構造単位を含む。ここで、「構造単位」(またはモノマー単位)とは、共役ジエンモノマーまたはビニル芳香族炭化水素モノマーの重合反応により形成された構造を指す。
【0034】
1つの実施形態において、共役ジエン構造単位は、1,3−ブタジエン構造単位、イソプレン構造単位、1,3−ペンタジエン構造単位、2−エチル−1,3−ブタジエン構造単位、2,3−ジメチル−ブタジエン構造単位、2−メチルペンタジエン構造単位、4−メチルペンタジエン構造単位、2,4−ヘキサジエン構造単位、またはその組み合わせであってもよい。
【0035】
1つの実施形態において、共役ジエンモノマーを1,4−重合および/または1,2−重合において反応させ、1,4−構造単位(1,4−ビニル構造とも称す、以下、1,4−構造)および/または1,2−構造単位(1,2−ビニル構造とも称す、以下、1,2−構造)を形成することができる。具体的に説明すると、「1,4−重合」とは、共役ジエンモノマーの1および4の位置において炭素により共役ジエンモノマーを他のモノマーに結合させることを指す。この方法で得られた1,4−構造は、さらに、シス(cis)−構造とトランス(trans)−構造に分割することができる。同様に、「1,2−重合」とは、共役ジエンモノマーの1および2の位置において炭素により共役ジエンモノマーを他のモノマーに結合させることを指す。1,2−重合から得られた1,2−構造は、側鎖においてビニル基を有する構造である。1,4−構造および1,2−構造は、重合体連鎖において共存することができる。例えば、1,3−ブタジエンモノマーで重合を行った時、1,2−ポリブタジエン構造単位または1,4−ポリブタジエン構造単位を生成することができる。
【0036】
1つの実施形態において、共役ジエン構造単位全体(すなわち、1,4−構造単位と1,2−構造単位の合計)における1,2−構造の比率は、10%〜90%の間であってもよい。1つの実施形態において、共役ジエン構造単位における1,2−構造の比率は、50%〜90%の間であり、好ましくは、55%〜70%の間である。
ビニル芳香族炭化水素モノマー
【0037】
1つの実施形態において、ビニル芳香族炭化水素モノマーは、スチレン、α−メチルスチレン、またはその組み合わせであってもよい。
【0038】
重合から得られた共役ジエン−ビニル芳香族炭化水素共重合体は、共役ジエン構造単位およびビニル芳香族炭化水素構造単位を含む。ここで、「構造単位」(またはモノマー単位)とは、共役ジエンモノマーまたはビニル芳香族炭化水素モノマーの重合反応により形成された構造を指す。
【0039】
1つの実施形態において、ビニル芳香族炭化水素構造単位は、スチレン構造単位、α−メチルスチレン構造単位、またはその組み合わせであってもよい。
有機アルカリ金属化合物
【0040】
1つの実施形態において、有機アルカリ金属化合物は、例えば、エチルリチウム、n−プロピルリチウム、イソプロピルリチウム、n−ブチルリチウム、n−ペンチルリチウム、フェニルリチウム、トリルリチウム、またはその組み合わせである。本発明において、有機アルカリ金属化合物は、重合反応の開始剤として使用される。
式(1)で表される化合物
【0041】
1つの実施形態において、式(1)で表される化合物は、下記の構造を有する。
【0042】
【化8】
【0043】
式中、R1は、置換または非置換の炭素数2〜4のアルキレン基であり、R2は、置換または非置換の炭素数2〜4のアルキレン基、−(O−C24)−、および−OR3を含む基であり、R3は、水素または置換または非置換の炭素数1〜3のアルキル基であり、xは、25〜35であり、yは、220〜350であり、zは、25〜35であり、複数のR1は、同じであっても、異なっていてもよく、複数のR2は、同じであっても、異なっていてもよい。
【0044】
本発明の1つの実施形態において、R2は、−(C24)−(O−C24n−OR3であり、R3は、水素または置換または非置換の炭素数1〜3のアルキル基であり、nは、3〜8である。
【0045】
1つの実施形態において、式(1)で表される化合物は、重量平均分子量が約40000であり、xが25〜35であり、好ましくは、27〜33であり、最も好ましくは、29〜31であり;yが220〜350であり、好ましくは、250〜300であり、最も好ましくは、260〜280であり;zが25〜35であり、好ましくは、27〜33であり、最も好ましくは、29〜31であり、nが3〜8であり、好ましくは、5〜6である(ポリエチレ酸化物官能基の分子量は、約350である。)。
【0046】
本発明の1つの実施形態において、共役ジエンモノマーとビニル芳香族炭化水素モノマーとの合計量100重量部に対し、式(1)で表される化合物の量は、0.001重量部〜1重量部であってもよい。
溶媒
【0047】
1つの実施形態において、重合反応は、溶媒の存在下で行うことができる。溶媒は、ペンタン、ヘキサン、またはヘプタン等の脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン、またはメチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素;ベンゼン、トルエン、またはキシレン等の芳香族炭化水素のような非極性溶媒(ただし、これに限定されない)、またはこれらの溶媒の混合物を含むことができる。
分岐剤
【0048】
1つの実施形態において、末端変性共役ジエン−ビニル芳香族炭化水素共重合体の合成方法は、さらに、共役ジエンモノマーとビニル芳香族炭化水素モノマーの反応において分岐剤を追加して、単一分子鎖上の変性に用いる活性部位を増やし、変性効果を向上させることを含む。分岐剤は、エポキシ化アマニ油(epoxidized linseed oil)等のポリエポキシド(polyepoxide);アジピン酸エチル(diethyl adipate)等のポリエステル(polyester);四塩化ケイ素(silicon tetrachloride)等のポリハライド(polyhalide);ベンゼン−1,2,4−トリイソシアネート(benzene-1,2,4-triisocyanate )等のポリイソシアネート(polyisocyanate):トリ(1−アジリジニル)ホスフィンオキシド(tri(1-aziridinyl)phosphine oxide)等のポリイミン(polyimine);1,4,7−ナフタレントリカルボアルデヒド(1,4,7-naphthalene tricarboxaldehyde)等のポリアルデヒド(polyaldehyde);2,4,6−ヘプタントリオン(2,4,6-heptanetrione)等のポリケトン(polyketone);ピロメリト酸無水物(pyromellitic dianhydride)等のポリ酸無水物(polyanhydride);ジビニルベンゼン(divinylbenzene, DVB)等のポリビニルベンゼン化合物(polyvinylbenzene compound)、またはこれらの化合物の組み合わせであってもよい。本発明において、DVBを使用するのが好ましい。
微細構造調節剤
【0049】
1つの実施形態において、共役ジエンモノマーとビニル芳香族炭化水素モノマーの重合反応は、微細構造調節剤の存在下で行うことができる。微細構造調節剤を使用することにより、共役ジエンモノマーとビニル芳香族炭化水素モノマーをランダム共重合させることができる。微細構造調節剤は、極性化合物であってもよく、1つの実施形態において、微細構造調節剤は、ビニル化剤(vinylating agent)または1,2−ビニル構造剤(1,2-vinyl configuration agent)として使用することができる。
【0050】
1つの実施形態において、微細構造調節剤は、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジメトキシベンゼン、または2,2−ビス(2−テトラヒドロフリル)プロパン等のエーテル;テトラメチルエチレンジアミン、ジピペリジノエタン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、またはキヌクリジン(quinuclidine)等の第三級アミン化合物;カリウムt−ペントキシド、カリウムt−ブトキシド、ナトリウムt−ブトキシド、またはナトリウムt−ペントキシド等のアルカリ金属アルコキシレート化合物;トリフェニルホスフィン(triphenyl phosphine)等のホスフィン化合物;アルキルスルホン酸化合物またはアリールスルホン酸化合物を含む(ただし、本発明はこれに限定されない)。極性化合物は、単独で使用しても、または2つ以上を混合して使用してもよい。
【0051】
1つの実施形態において、微細構造調節剤の量は、実際の要求とその調整構造の効果に応じて選択可能である。一般的に、微細構造調節剤は、実際に、重合開始剤1モルに対し、0.01モル〜100モルであってもよい。1つの実施形態において、微細構造調節剤の量は、0.05phr〜0.5phrであってもよい。所望の1,2−構造の量に基づいて、適量の極性化合物(ビニル化剤)を微細構造調節剤として使用することができる。
不良溶媒
【0052】
1つの実施形態において、反応システムにアルコール(例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール)等の末端変性共役ジエン−ビニル芳香族炭化水素共重合体の不良溶媒を追加することにより、末端変性共役ジエン−ビニル芳香族炭化水素共重合体を沈殿させる、あるいは溶媒よりも高い沸点温度を有する熱水または水蒸気を使用して溶媒を除去し、末端変性共役ジエン−ビニル芳香族炭化水素共重合体を混合物から分離することができる。
末端変性共役ジエン−ビニル芳香族炭化水素共重合体
【0053】
本発明は、また、活性末端を有する共役ジエン−ビニル芳香族炭化水素共重合体を式(1)で表される化合物で変性することによって生成された式(1)で表される化合物で変性された末端を有する共役ジエン−ビニル芳香族炭化水素共重合体を含む末端変性共役ジエン−ビニル芳香族炭化水素共重合体を提供する。活性末端を有する共役ジエン−ビニル芳香族炭化水素共重合体は、有機アルカリ金属化合物の存在下で共役ジエンモノマーとビニル芳香族炭化水素モノマーを重合させることにより形成される。
【0054】
【化9】
【0055】
式中、R1は、置換または非置換の炭素数2〜4のアルキレン基であり、R2は、置換または非置換の炭素数2〜4のアルキレン基、−(O−C24)−、および−OR3を含む基であり、R3は、水素または置換または非置換の炭素数1〜3のアルキル基であり、xは、25〜35であり、yは、220〜350であり、zは、25〜35であり、複数のR1は、同じであっても、異なっていてもよく、複数のR2は、同じであっても、異なっていてもよく、式(1)で表される化合物で変性された末端を有する共役ジエン−ビニル芳香族炭化水素共重合体において、共役ジエンモノマーで形成された構造単位とビニル芳香族炭化水素モノマーで形成された構造単位との重量比は、2:1〜5:1である。
【0056】
共役ジエンモノマー、ビニル芳香族炭化水素モノマー、有機アルカリ金属化合物、および式(1)で表される化合物は、上記で説明しているため、ここでは繰り返し説明しない。末端変性共役ジエン−ビニル芳香族炭化水素共重合体の製造過程において、溶媒、分岐剤、微細構造調節剤、または不良溶媒等の試剤も追加することができるが、その用量、種類、および構造は、上記で説明しているため、ここでは繰り返し説明しない。
末端変性共役ジエン−ビニル芳香族炭化水素共重合体の合成方法
【0057】
本発明は、また、重量比が2:1〜5:1の共役ジエンモノマーおよびビニル芳香族炭化水素モノマーを有機アルカリ金属化合物の存在下で反応させて、共役ジエンモノマーで形成された構造単位およびビニル芳香族炭化水素モノマーで形成された構造単位を含む活性末端を有する共役ジエン−ビニル芳香族炭化水素共重合体を生成し、共役ジエンモノマーで形成された構造単位とビニル芳香族炭化水素モノマーで形成された構造単位との重量比が2:1〜5:1であることと;活性末端を有する共役ジエン−ビニル芳香族炭化水素共重合体を第1変性剤と反応させて、中間生成物を生成することと;中間生成物中に残留した活性末端を有する共役ジエン−ビニル芳香族炭化水素共重合体を第2変性剤と反応させて、末端変性共役ジエン−ビニル芳香族炭化水素共重合体を生成することを含む別の末端変性共役ジエン−ビニル芳香族炭化水素共重合体の合成方法を提供する。第1変性剤は、
【化10】

基を含有する化合物であり、Mは、硫黄原子または酸素原子であり、第2変性剤は、下記の式(1)で表される化合物である。
【0058】
【化11】
【0059】
式中、R1は、置換または非置換の炭素数2〜4のアルキレン基であり、R2は、置換または非置換の炭素数2〜4のアルキレン基、−(O−C24)−、および−OR3を含む基であり、R3は、水素または置換または非置換の炭素数1〜3のアルキル基であり、xは、25〜35であり、yは、220〜350であり、zは、25〜35であり、複数のR1は、同じであっても、異なっていてもよく、複数のR2は、同じであっても、異なっていてもよく、共役ジエンモノマーとビニル芳香族炭化水素モノマーとの合計量100重量部に対し、第1変性剤の用量は、0.010重量部〜0.070重量部であり、第2変性剤の用量は、0.430重量部〜0.520重量部である。
【0060】
共役ジエンモノマー、ビニル芳香族炭化水素モノマー、有機アルカリ金属化合物、および式(1)で表される化合物は、上記で説明しているため、ここでは繰り返し説明しない。末端変性共役ジエン−ビニル芳香族炭化水素共重合体の製造過程において、溶媒、分岐剤、微細構造調節剤、または不良溶媒等の試剤も追加することができるが、その用量、種類、および構造は、上記で説明しているため、ここでは繰り返し説明しない。
第1変性剤
【0061】
1つの実施形態において、第1変性剤は、
【化12】
基を含有する化合物であり、Mは、硫黄原子または酸素原子である。
【化13】
基を含有する化合物は、例えば、アミド化合物、イミド化合物、ラクタム化合物、ウレア化合物、またはイソシアヌル酸誘導体である。
【0062】
1つの実施形態において、アミド化合物は、ホルムアミド(formamide)、N,N−ジメチルホルムアミド(N,N-dimethylformamide)、アセトアミド(acetamide)、N,N−ジメチルアミノアセトアミド(N,N-dimethylaminoacetamide)、N,N−ジメチル−N’,N’−メチルアミノアセトアミド(N,N-dimethyl-N’,N’-dimethylaminoacetamide)、N,N−ジメチル−N’ −エチルアミノアセトアミド(N,N-dimethyl-N’-ethylaminoacetamide)、アクリルアミド(acrylamide)、N,N−ジメチルアクリルアミド(N,N-dimethylacrylamide)、N,N−ジメチルメタクリルアミド(N,N-dimethylmethacrylamide)、ニコチンアミド(nicotinamide)、イソニコチンアミド(isonicotinamide)、ピコリン酸アミド(picolinic acid amide)、N,N−ジメチルイソニコチンアミド(N,N-dimethylisonicotinamide)、コハク酸アミド(succinic acid amide)、フタル酸アミド(phthalic acid amide)、N,N,N’,N’−テトラメチルフタル酸アミド(N,N,N’,N’-tetramethylphthalic acid amide)、オキサミド(oxamide)、N,N,N’,N’−テトラメチルオキサミド(N,N,N’,N’-tetramethyloxamide)、N,N−ジメチル−2−フランカルボン酸アミド(N,N-dimethyl-2-furan carboxylic acid amide)、キノリン−2−カルボン酸アミド(quinoline-2-carboxylic acid amide)、N−エチル−N−メチル−キノリンカルボン酸アミド(N-ethyl-N-methyl-quinoline carboxylic acid amide)、またはその類似化合物を含む。
【0063】
1つの実施形態において、イミド化合物は、コハク酸イミド(succinic imide)、N−メチルコハク酸イミド(N-methylsuccinic imide)、マレイミド(maleimide)、フタルイミド(phthalimide)、N−メチルフタルイミド(N-methylphthalimide)、1,2−シクロヘキサンジカルボキシイミド(1,2-cyclohexanedicarboxyimide)、またはその類似化合物を含む。
【0064】
1つの実施形態において、ラクタム化合物は、ε−カプロラクタム(ε-caprolactam)、N−メチル−ε−カプロラクタム(N-methyl-ε-caprolactam)、2−ピロリドン(2-pyrrolidone)、N−メチル−2−ピロリドン(N-methyl-2-pyrrolidone)、2−ピペリドン(2-piperidone)、N−メチル−2−ピペリドン(N-methyl-2-piperidone)、2−キノロン(2-quinolone)、N−メチル−2−キノロン(N-methyl-2-quinolone)、またはその類似化合物を含む。
【0065】
1つの実施形態において、ウレア化合物は、ウレア、N,N’−ジメチルウレア(N,N’-dimethylurea)、N,N’−ジエチルウレア(N,N’-diethylurea)、N,N,N’,N’−テトラメチルウレア(N,N,N’,N’-tetramethylurea)、N,N−ジメチル−N’,N’−ジフェニルウレア(N,N-dimethyl-N’,N’-diphenylurea)、またはその類似化合物を含む。カルバメート誘導体(carbamate derivative)は、メチルカルバメート(methyl carbamate)、N,N−ジメチルメチルカルバメート(N,N-dimethyl methyl carbamate)、またはその類似化合物を含む。イソシアヌル酸誘導体は、イソシアヌル酸、またはその類似化合物を含む。
【0066】
1つの実施形態において、第1変性剤は、アミド化合物、イミド化合物、ラクタム化合物、ウレア化合物、イソシアヌル酸誘導体、またはその組み合わせを含むことができる。
【0067】
1つの実施形態において、第1変性剤は、好ましくは、ホルムアミドである。
【0068】
第1変性剤は、単独で使用しても、または2つ以上を混合して使用してもよい。
【0069】
本発明の1つの実施形態において、共役ジエンモノマーとビニル芳香族炭化水素モノマーとの合計量100重量部に対し、第1変性剤の用量は、0.010重量部〜0.030重量部であり、第2変性剤の用量は、0.480重量部〜0.520重量部である。
【0070】
本発明の1つの実施形態において、共役ジエンモノマーとビニル芳香族炭化水素モノマーとの合計量100重量部に対し、第1変性剤と第2変性剤との合計量は、0.51重量部〜0.55重量部であってもよい。
末端変性共役ジエン−ビニル芳香族炭化水素共重合体
【0071】
本発明は、また、共役ジエンモノマーとビニル芳香族炭化水素モノマーを重合させて共役ジエン−ビニル芳香族炭化水素共重合体を形成し、その後、第1変性剤および第2変性剤で順番に変性することにより生成された別の末端変性共役ジエン−ビニル芳香族炭化水素共重合体を提供する。末端変性共役ジエン−ビニル芳香族炭化水素共重合体において、共役ジエンモノマーで形成された構造単位とビニル芳香族炭化水素モノマーで形成された構造単位との重量比は、2:1〜5:1であり、第1変性剤は、
【化14】
基を含有する化合物であり、Mは、硫黄原子または酸素原子であり、第2変性剤は、下記の式(1)で表される化合物である。
【0072】
【化15】
【0073】
式中、R1は、置換または非置換の炭素数2〜4のアルキレン基であり、R2は、置換または非置換の炭素数2〜4のアルキレン基、−(O−C24)−、および−OR3を含む基であり、R3は、水素または置換または非置換の炭素数1〜3のアルキル基であり、xは、25〜35であり、yは、220〜350であり、zは、25〜35であり、複数のR1は、同じであっても、異なっていてもよく、複数のR2は、同じであっても、異なっていてもよく、共役ジエンモノマーで形成された構造単位とビニル芳香族炭化水素モノマーで形成された構造単位との合計量100重量部に対し、第1変性剤の用量は、0.010重量部〜0.070重量部であり、第2変性剤の用量は、0.430重量部〜0.520重量部である。
【0074】
共役ジエンモノマー、ビニル芳香族炭化水素モノマー、有機アルカリ金属化合物、および式(1)で表される化合物は、上記で説明しているため、ここでは繰り返し説明しない。末端変性共役ジエン−ビニル芳香族炭化水素共重合体の製造過程において、溶媒、分岐剤、微細構造調節剤、または不良溶媒等の試剤も追加することができるが、その用量、種類、および構造は、上記で説明しているため、ここでは繰り返し説明しない。
【0075】
本発明の1つの実施形態において、共役ジエンモノマーで形成された構造単位とビニル芳香族炭化水素モノマーで形成された構造単位との合計量100重量部に対し、第1変性剤の用量は、0.010重量部〜0.030重量部であり、第2変性剤の用量は、0.480重量部〜0.520重量部である。
ゴム組成物
【0076】
本発明は、また、ホワイトカーボンおよび上述した末端変性共役ジエン−ビニル芳香族炭化水素共重合体を含むゴム組成物を提供する。末端変性共役ジエン−ビニル芳香族炭化水素共重合体は、例えば、式(1)で表される化合物を使用して変性される。
【0077】
本発明は、また、カーボンブラック、ホワイトカーボン、および上述した末端変性共役ジエン−ビニル芳香族炭化水素共重合体を含むゴム組成物を提供する。末端変性共役ジエン−ビニル芳香族炭化水素共重合体は、例えば、第1変性剤および式(1)で表される化合物を使用して変性される。
【0078】
本発明は、また、ゴム組成物の製造方法を提供する。1つの実施形態において、ゴム組成物の製造方法は、ゴムとシリコン含有材料を混合して、ゴム組成物を得ることを含み、ゴムは、上記で詳述した末端変性共役ジエン−ビニル芳香族炭化水素共重合体のうちのいずれかを含む。1つの実施形態において、ゴムは、末端変性共役ジエン−ビニル芳香族炭化水素共重合体および別の未変性共役ジエン−ビニル芳香族炭化水素共重合体を含み、別の未変性共役ジエン−ビニル芳香族炭化水素共重合体は、末端変性共役ジエン−ビニル芳香族炭化水素共重合体を形成するために使用された未変性共役ジエン−ビニル芳香族炭化水素共重合体と同じであっても、異なっていてもよい。
【0079】
末端変性共役ジエン−ビニル芳香族炭化水素共重合体および別の未変性共役ジエン−ビニル芳香族炭化水素共重合体は、それぞれ共役ジエン構造単位およびビニル芳香族炭化水素構造単位を含むことができ、共役ジエン構造単位は、ビニル構造(1,2−構造)を含む。1つの実施形態において、末端変性共役ジエン−ビニル芳香族炭化水素共重合体の共役ジエン構造単位におけるビニル構造の比率は、実質的に、別の未変性共役ジエン−ビニル芳香族炭化水素共重合体の共役ジエン構造単位におけるビニル構造の比率と同じである。
【0080】
本発明の末端変性共役ジエン−ビニル芳香族炭化水素共重合体を含むゴム組成物には、ゴム産業において通常使用される様々な試剤または添加剤も添加することができる。ゴム組成物に添加することのできる物質は、充填剤、酸化防止剤、カップリング剤、加硫助剤(vulcanization aid)(加硫活性剤または加硫促進剤)、加硫剤、抗老化剤、または作動油(operating oil)を含む。
【0081】
1つの実施形態において、充填剤は、例えば、ホワイトカーボン等のシリコン含有材料であってもよく、ホワイトカーボンの用量は、使用したゴム100重量部につき、10重量部〜100重量部であってもよく、好ましくは、20重量部〜90重量部である。ホワイトカーボンとともに、カーボンブラックを使用してもよく、カーボンブラックの用量は、使用したゴム100重量部につき、2重量部〜100重量部であってもよく、好ましくは、5重量部〜90重量部である。適切な酸化防止剤は、少なくとも1つのヒンダードフェノール(hindered phenol)官能基を有するフェノール化合物であり、例えば、チバ(CIBA)社製のIRGANOX(R)1076であってもよい。あるいは、酸化防止剤は、ジアルキルフェニルトリフォスファイト(dialkylphenyl triphosphite)酸化防止剤;ナフチルアミン(naphthylamine)、ジフェニルアミン(diphenylamine)、およびp−フェニレンジアミン(p-phenylenediamine)から選択されるアミノ化酸化防止剤;およびトリアルキルフェノール(trialkylphenol)、ヒドロキノン(hydroquinone)、およびポリフェノール(polyphenol)から選択されるフェノール系酸化防止剤であってもよい。酸化防止剤の用量は、使用したゴム100重量部につき、0.2重量部〜1重量部であってもよい。
【0082】
カップリング剤は、例えば、ビス−(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド(bis-(3-triethoxysilylpropyl)tetrasulfide)、ビス−(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド(bis-(3-triethoxysilylpropyl)disulfide)、ビス−(2−トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド(bis-(2-triethoxysilylethyl)tetrasulfide)、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン(3-mercaptopropyltriethoxysilane)、3−トリエトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド(3-triethoxysilyl propyl-N,N-dimethylthiocarbamoyl tetrasulfide)、または3−トリエトキシシリルプロピルベンゾチアゾールテトラスルフィド(3-triethoxysilylpropyl benzothiazole tetrasulfide)であり、カップリング剤の用量は、使用したゴム100重量部につき、15重量部〜100重量部であってもよく、好ましくは、5重量部〜10重量部である。
【0083】
加硫助剤は、加硫活性剤および加硫促進剤を含む。
【0084】
加硫活性剤は、例えば、酸化亜鉛またはステアリン酸である。
【0085】
適切な加硫促進剤は、メルカプトベンゾチアゾール(mercaptobenzothiazole)、スルフェンアミド(sulfenamide)、グアニジン(guanidine)、ジチオカルバメート(dithiocarbamate)、チオウレア(thiourea)、またはチオカルボネート(thiocarbonate)であってもよい。好ましくは、例えば、シクロヘキシルベンゾチアゾールスルフェンアミド(cyclohexylbenzothiazole sulfenamide)および/またはジシクロヘキシルベンゾチアゾールスルフェンアミド(dicyclohexylbenzothiazole sulfenamide)および/またはブチルベンゾチアゾールスルフェンアミド(butylbenzothiazole sulfenamide)等のスルフェンアミド(sulfonamide)促進剤を使用する。N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド(N-cyclohexyl-2-benzothiazole sulfenamide, CBS)およびジフェニルグアニジン(diphenyl guanidine, DPG)が好ましい。
【0086】
加硫剤は、例えば、硫黄または有機硫黄提供者である。加硫助剤(加硫活性剤および加硫促進剤)と加硫剤との合計量は、使用したゴム100重量部につき、0.1重量部〜15重量部であってもよく、好ましくは、0.5重量部〜5重量部である。
【0087】
抗老化剤は、例えば、N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−1,4−フェニレンジアミン(N-(1,3-dimethylbutyl)-N’-phenyl-1,4-phenylendiamine, 6PPD)であり、抗老化剤の用量は、使用したゴム100重量部につき、1重量部〜10重量部であってもよい。
【0088】
本発明は、また、上述したゴム組成物を含むタイヤを提供する。
【実施例】
【0089】
実施例1
末端変性共役ジエン−ビニル芳香族炭化水素共重合体の合成
まず、800gのシクロヘキサンを反応容器中に加えて溶媒とし、反応システムの温度を45℃に維持した。次に、0.64gの2,2−ジ(2−テトラヒドロフリル)プロパン(2,2-di(2-tetrahydrofuryl)propane, DTHFP)を反応容器中に加えて微細構造調節剤とした。次に、0.08gのn−ブチルリチウム(n-butyl lithium)を反応容器中に加えて重合反応の開始剤とした。次に、ビニル芳香族炭化水素モノマーとして使用した44.7gのスチレン(styrene)および共役ジエンモノマーとして使用した168.3gの1,3−ブタジエン(1,3-butadiene)を反応容器中に加えて重合反応を行った。次に、7.46gの1,3−ブタジエンを加えて反応させた。この時、サンプリングして溶媒を除去した後、共重合体中の1,2−構造の含有量をIRまたはNMRを使用して測定した。その結果、ブタジエン構造単位全体における1,2−構造の比率は、63%であることがわかった。共重合体のスチレン構造単位は、ブタジエン構造単位全体およびスチレン構造単位全体の約21wt%を占め、ブタジエン構造単位は、ブタジエン構造単位全体およびスチレン構造単位全体の約79wt%を占める。
【0090】
約5分後、0.53重量部の式(1)で表される化合物を加えて変性剤とし、10分間反応させた後、熱水を用いてシクロヘキサンを除去してから、乾燥後に末端変性共役ジエン−ビニル芳香族炭化水素共重合体を得た。
ゴム組成物の製造
【0091】
100重量部の上述した末端変性共役ジエン−ビニル芳香族炭化水素共重合体と下記の物質をバンバリー(Banbury)式ミキサーで混合した。ホワイトカーボン(60重量部)、オイル(10重量部)、酸化防止剤(1重量部)、酸化亜鉛(3重量部)、およびステアリン酸(2重量部)を加えて混合した。温度が150℃に上昇した後に混合物を排出し、その後、24時間老化させた。硫化用ローラーミキサー中で1.8重量部のCBS、1.7重量部のDPG、および1.7重量部の硫黄を排出したゲル混合物に加えて、ゴム組成物を得た。ゴム組成物の製造に使用した材料の情報は、下記の通りである:
a. ホワイトカーボン(シリカ、7000GR、ウルトラシルエボニック(ULTRASIL EVONIK)社製)
b. オイル(処理留出物芳香系抽出物(treated distillate aromatic extract, TDAE)、Vivtec 500、H&R社製)
c. 酸化防止剤(IRGANOX(R) 1076、チバ(CIBA)社製)
d. 酸化亜鉛(ZnO、HA社製)
e. ステアリン酸(TPSA1865)
f. N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド
(N-cyclohexyl-2-benzothiazole sulfenamide)(CBS、フレキシス(FLEXSYS)社製)
g.ジフェニルグアニジン(Diphenyl guanidine)(DPG、フレキシス(FLEXSYS)社製)
h.硫黄(トライアングル(Triangle Brand))
【比較例1】
【0092】
比較例1の末端変性共役ジエン−ビニル芳香族炭化水素共重合体およびゴム組成物は、実施例1と同じステップで製造した。しかしながら、相違点は、式(1)で表される化合物をBY−16−876(東レダウコーニング社製)に置き換えて、変性剤としたことである。
【0093】
BY−16−876の構造は、下記の通りである。
【0094】
【化16】
【0095】
式中、R1は、 炭素数2〜4のアルキレン基であり、R2は、−(CH23−(O−C24−(O−CH(CH3)CH2−OR3 であり、R3は、水素または炭素数1〜6のアルキル基であり、mは、5〜30の整数であり、nは、5〜35の整数であり、pおよびqは、それぞれ2〜30の整数である。
実施例2
末端変性共役ジエン−ビニル芳香族炭化水素共重合体の合成
【0096】
まず、800gのシクロヘキサンを反応容器中に加えて溶媒とし、反応システムの温度を45℃に維持した。次に、0.64gの2,2−ジ(2−テトラヒドロフリル)プロパン(DTHFP)を反応容器中に加えて微細構造調節剤とした。次に、0.08gのn−ブチルリチウムを反応容器中に加えて重合反応の開始剤とした。次に、ビニル芳香族炭化水素モノマーとして使用した44.7gのスチレンおよび共役ジエンモノマーとして使用した168.3gの1,3−ブタジエンを反応容器中に加えて重合反応を行った。次に、7.46gの1,3−ブタジエンを加えて反応させた。この時、サンプリングして溶媒を除去した後、共重合体中の1,2−構造の含有量をIRまたはNMRを使用して測定した。その結果、ブタジエン構造単位全体における1,2−構造の比率は、63%であることがわかった。共重合体のスチレン構造単位は、ブタジエン構造単位全体およびスチレン構造単位全体の約21wt%を占め、ブタジエン構造単位は、ブタジエン構造単位全体およびスチレン構造単位全体の約79wt%を占める。
【0097】
約5分後、共役ジエンモノマーとビニル芳香族炭化水素モノマーとの合計量100重量部に対し、0.012重量部のホルムアミドを加えて第1変性剤とし、10分間反応させた後、0.511重量部の式(1)で表される化合物を加えて第2変性剤とし、10分間反応させた後、熱水を用いてシクロヘキサンを除去してから、乾燥後に末端変性共役ジエン−ビニル芳香族炭化水素共重合体を得た。得られた末端変性共役ジエン−ビニル芳香族炭化水素共重合体は、重量平均分子量が630000であり、数平均分子量が345000であった。
ゴム組成物の製造
【0098】
100重量部の上述した末端変性共役ジエン−ビニル芳香族炭化水素共重合体と下記の物質をバンバリー式ミキサーで混合した。ホワイトカーボン(40重量部)、オイル(10重量部)、酸化防止剤(1重量部)、カーボンブラック(20重量部)、酸化亜鉛(3重量部)、およびステアリン酸(2重量部)を加えて混合した。温度が150℃に上昇した後に混合物を排出し、その後、24時間老化させた。硫化用ローラーミキサー中で1.8重量部のCBS、1.7重量部のDPG、および1.7重量部の硫黄を排出したゲル混合物に加えて、ゴム組成物を得た。ゴム組成物の製造に使用した材料の情報は、下記の通りである:
a. ホワイトカーボン(シリカ、7000GR、ウルトラシルエボニック(ULTRASIL EVONIK)社製)
b. オイル(処理留出物芳香系抽出物(treated distillate aromatic extract, TDAE)、Vivtec 500、H&R社製)
c. 酸化防止剤(IRGANOX(R) 1076、チバ(CIBA)社製)
d. カーボンブラック(ISAF−HS N234、CSRC社製)
e. 酸化亜鉛(ZnO、HA社製)
f. ステアリン酸(TPSA1865)
g. N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド(N-cyclohexyl-2-benzothiazole sulfenamide)(CBS、フレキシス(FLEXSYS)社製)
h. ジフェニルグアニジン(Diphenyl guanidine)(DPG、フレキシス(FLEXSYS)社製)
i. 硫黄(トライアングル(Triangle Brand))
実施例3〜4、比較例2
【0099】
実施例3〜4および比較例2の末端変性共役ジエン−ビニル芳香族炭化水素共重合体およびゴム組成物は、実施例2と同じステップで製造した。しかしながら、相違点は、第1変性剤および第2変性剤の用量(重量部)である。実施例3〜4および比較例2の第1変性剤および第2変性剤の用量は、下記の表1に示した通りである。
【0100】
【表1】
評価方法
0℃における損失正接(tanδ(0℃))の測定および60℃における損失正接(tanδ(60℃))の測定
【0101】
粘弾性測定装置(ティー・エイ・インスツルメント(TA Instruments)社製、型式DMA Q800)を用いて各ゴム組成物の特性を測定した。測定モードは、伸縮モードであり、測定周波数は、20Hzであり、測定項目は、正接(Tanδ)であり、損失正接の測定における温度上昇率は、3℃/分であった。損失正接の測定における温度は、0℃と60℃を選択した。0℃の損失正接が高ければ高いほど、ゴム組成物のすべり抵抗が優れていることを示し、60℃の損失正接が低ければ低いほど、ゴム組成物の転がり抵抗が低く、タイヤに適用した時に運搬媒体の燃料が消費しにくいことを示す。

ペイン効果(ΔE’=E’(0.5%)−E’(10%))
【0102】
粘弾性測定装置(ティー・エイ・インスツルメント(TA Instruments)社製、型式DMA Q800)を用いて各ゴム組成物の特性を測定した。測定モードは、伸縮モードであり、測定周波数は、20Hzであった。測定項目は、動的貯蔵弾性率(E)であり、動的貯蔵弾性率(E)の測定温度は、60℃に設定され、測定の変形量は、0.5%〜10%であった。0.5%の変形量で測定した動的貯蔵弾性率から10%の変形量で測定した動的貯蔵弾性率を差し引くことによって、動的貯蔵弾性率差(ΔE’)を得た。動的貯蔵弾性率差(ΔE’)の値が小さければ小さいほど、ゴム組成物は、カーボンブラックおよびホワイトカーボンとの相容性が良くなる。
【0103】
実施例1および比較例1の評価結果は、表2に示した通りである。
【0104】
【表2】
【0105】
表2を参照すると、実施例1では、式(1)で表される化合物を変性剤として使用してゴム組成物を製造し、比較例1では、式(1)で表される化合物を変性剤として使用せずにゴム組成物を製造した。実験結果が示すように、実施例1のゴム組成物の0℃における損失正接(tanδ(0℃))は、比較例1のゴム組成物よりも高いため、式(1)で表される化合物を変性剤として使用することによって得られたゴム組成物は、すべり抵抗が比較的優れていることを示す。実施例1のゴム組成物の60℃における損失正接(tanδ(60℃))は、比較例1のゴム組成物よりも低いため、式(1)で表される化合物を変性剤として使用することによって得られたゴム組成物は、転がり抵抗が比較的低く、タイヤに適用した時に運搬媒体の燃料が消費しにくいことを示す。実施例1のゴム組成物の動的貯蔵弾性率差(ΔE’)は、比較例1のゴム組成物よりも少ないため、式(1)で表される化合物を変性剤として使用することによって得られたゴム組成物は、ホワイトカーボンとの相容性が比較的良いことを示す。
【0106】
実施例2〜4および比較例2の評価結果は、表3に示した通りである。
【0107】
【表3】
【0108】
表3を参照すると、実験結果が示すように、実施例2〜4のそれぞれのゴム組成物の動的貯蔵弾性率差(ΔE’)は、比較例2のゴム組成物よりも少ないため、共役ジエンモノマーとビニル芳香族炭化水素モノマーとの合計量100重量部に対し、0.010重量部〜0.070重量部の用量の第1変性剤および0.430重量部〜0.520重量部の用量の第2変性剤を使用すると、活性末端を有する共役ジエン−ビニル芳香族炭化水素共重合体を変性した共重合体から得られたゴム組成物は、カーボンブラックとホワイトカーボンとの相容性が比較的良いことを示す。
【0109】
実施例2〜3のそれぞれのゴム組成物の動的貯蔵弾性率差(ΔE’)は、比較的低い値を有し、第1変性剤の量は、0.010重量部〜0.030重量部であり、第2変性剤の量は、0.480重量部〜0.520重量部であるため、共役ジエンモノマーとビニル芳香族炭化水素モノマーとの合計量100重量部に対し、用量が0.010重量部〜0.030重量部の第1変性剤および0.480重量部〜0.520重量部の第2変性剤を使用すると、活性末端を有する共役ジエン−ビニル芳香族炭化水素共重合体を変性した共重合体から得られたゴム組成物は、カーボンブラックおよびホワイトカーボンとの相容性が比較的良いことを示す。
【0110】
また、実施例2〜3のそれぞれのゴム組成物の第1変性剤と第2変性剤との合計量は、0.51重量部〜0.55重量部であるため、共役ジエンモノマーとビニル芳香族炭化水素モノマーとの合計量100重量部に対し、合計量が0.51重量部〜0.55重量部の第1変性剤と第2変性剤を使用すると、活性末端を有する共役ジエン−ビニル芳香族炭化水素共重合体を変性した共重合体から得られたゴム組成物は、カーボンブラックおよびホワイトカーボンとの相容性が比較的良いことを示す。
【0111】
以上のように、本発明は、末端変性共役ジエン−ビニル芳香族炭化水素共重合体およびその合成方法、ゴム組成物およびタイヤを提供する。本発明の末端変性共役ジエン−ビニル芳香族炭化水素共重合体から得られたゴム組成物は、優れたすべり抵抗および低い転がり抵抗を有し、且つカーボンブラックおよびホワイトカーボンとの相容性が非常に優れているため、優れたすべり抵抗および低い転がり抵抗を有するタイヤを作ることができる。
【0112】
以上のごとく、この発明を実施形態により開示したが、もとより、この発明を限定するためのものではなく、当業者であれば容易に理解できるように、この発明の技術思想の範囲内において、適当な変更ならびに修正が当然なされうるものであるから、その特許権保護の範囲は、特許請求の範囲および、それと均等な領域を基準として定めなければならない。
【産業上の利用可能性】
【0113】
本発明の末端変性共役ジエン−ビニル芳香族炭化水素共重合体および本発明の末端変性共役ジエン−ビニル芳香族炭化水素共重合体から得られたゴム組成物は、優れたすべり抵抗および低い転がり抵抗を有するタイヤを作ることができる。