特許第6576422号(P6576422)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6576422
(24)【登録日】2019年8月30日
(45)【発行日】2019年9月18日
(54)【発明の名称】光治療装置及び光治療装置の光出射方法
(51)【国際特許分類】
   A61N 5/06 20060101AFI20190909BHJP
【FI】
   A61N5/06 Z
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-243632(P2017-243632)
(22)【出願日】2017年12月20日
(65)【公開番号】特開2019-107349(P2019-107349A)
(43)【公開日】2019年7月4日
【審査請求日】2018年2月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000572
【氏名又は名称】アンリツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119677
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100115794
【弁理士】
【氏名又は名称】今下 勝博
(72)【発明者】
【氏名】秋山 昂一
(72)【発明者】
【氏名】坂本 英之
【審査官】 安田 昌司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−021978(JP,A)
【文献】 特開2014−150889(JP,A)
【文献】 特開2011−189020(JP,A)
【文献】 特開2014−124213(JP,A)
【文献】 特開2016−214376(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 5/06
A61B 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光感受性物質に吸収される波長の治療光を出力する治療光源(11)と、
前記治療光源から出力された治療光を導く治療光用光ファイバ(11F)と、
前記光感受性物質の吸収波長とは異なる波長のガイド光を出力するガイド光源(12)と、
前記ガイド光源から出力されたガイド光を導くガイド光用光ファイバ(12F)と、
前記治療光用光ファイバ及び前記ガイド光用光ファイバの端部が共通の光ファイバ(17F)の端部に融着接続またはコネクタ接続され、前記治療光用光ファイバで導かれた治療光と前記ガイド光用光ファイバで導かれたガイド光を前記共通の光ファイバに結合させる光結合部(17)と、
を備え、
前記共通の光ファイバで導かれた前記治療光及び前記ガイド光を、内視鏡に用いられるプローブに出射する、
光治療装置。
【請求項2】
前記ガイド光用光ファイバのコア径が、前記治療光用光ファイバのコア径よりも小さく、
前記共通の光ファイバのコア径が、前記治療光用光ファイバ及び前記ガイド光用光ファイバのコア径よりも大きく、
前記共通の光ファイバのコア径が、前記プローブに用いられている光ファイバのコア径と等しい、
請求項1に記載の光治療装置。
【請求項3】
前記光感受性物質はタラポルフィンナトリウムであり、
前記治療光の波長が664nmであり、
前記ガイド光の波長が520nmである、
請求項1又は2に記載の光治療装置。
【請求項4】
光感受性物質に吸収される波長の治療光を出力する光治療装置の光出射方法であって、
ガイド光源(12)が前記光感受性物質の吸収波長とは異なる波長のガイド光をガイド光用光ファイバ(12F)に出力し、光結合部(17)が前記ガイド光用光ファイバで導かれたガイド光を共通の光ファイバ(17F)に結合させ、前記共通の光ファイバから内視鏡に用いられるプローブに前記ガイド光を出射するガイド光出射手順と、
治療光源(11)が前記治療光を治療光用光ファイバ(11F)に出力し、前記光結合部が前記治療光用光ファイバで導かれた治療光を前記共通の光ファイバ(17F)に結合させ、前記共通の光ファイバから前記プローブに前記治療光を出射する治療光出射手順と、
を備え
前記光結合部は、前記治療光用光ファイバ及び前記ガイド光用光ファイバの端部が前記共通の光ファイバの端部に融着接続またはコネクタ接続されている、光治療装置の光出射方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光治療装置及び光治療装置の光出射方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光感受性物質を用いた光線力学的治療法(photodynamic therapy:以下、「PDT」と略する。)が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。PDTは、腫瘍親和性のある光感受性物質を投与し、光感受性物質が腫瘍組織に集積した状況で治療光を照射することで、治療光と光感受性物質との光化学反応によって生成される一重項酸素(活性酸素の一種)の強い酸化作用により、腫瘍組織を選択的に変性、壊死させる、低侵襲な治療法である。PDTの治療光を発生させるために、光治療装置が用いられる。
【0003】
内視鏡のプローブからPDTの治療光の照射を可能にすることで、食道、胃及び大腸などの内視鏡で観察しうる任意の部位にPDTを適用することが可能になる。腫瘍組織に集積した光感受性物質に治療光を照射する際に、治療光の照射位置を確認することが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】WO2016/151888
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方で、光治療装置は小型で動作が安定していることが望ましい。そこで、本開示は、内視鏡のプローブからPDTの治療光の照射するための光治療装置において、装置の小型化を可能にし、かつプローブを動かした場合であっても安定して治療光及びガイド光をプローブから照射可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る光治療装置は、
光感受性物質に吸収される波長の治療光を出力する治療光源(11)と、
前記治療光源から出力された治療光を導く治療光用光ファイバ(11F)と、
前記光感受性物質の吸収波長とは異なる波長のガイド光を出力するガイド光源(12)と、
前記ガイド光源から出力されたガイド光を導くガイド光用光ファイバ(12F)と、
前記治療光用光ファイバ及び前記ガイド光用光ファイバの端部が共通の光ファイバ(17F)の端部に融着接続またはコネクタ接続され、前記治療光用光ファイバで導かれた治療光と前記ガイド光用光ファイバで導かれたガイド光を前記共通の光ファイバに結合させる光結合部(17)と、
を備え、
前記共通の光ファイバで導かれた前記治療光及び前記ガイド光を、内視鏡に用いられるプローブに出射する。
【0007】
本開示に係る光治療装置の光出射方法は、
光感受性物質に吸収される波長の治療光を出力する光治療装置の光出射方法であって、
ガイド光源(12)が前記光感受性物質の吸収波長とは異なる波長のガイド光をガイド光用光ファイバ(12F)に出力し、光結合部(17)が前記ガイド光用光ファイバで導かれたガイド光を共通の光ファイバ(17F)に結合させ、前記共通の光ファイバから内視鏡に用いられるプローブに前記ガイド光を出射するガイド光出射手順と、
治療光源(11)が前記治療光を治療光用光ファイバ(11F)に出力し、前記光結合部が前記治療光用光ファイバで導かれた治療光を前記共通の光ファイバ(17F)に結合させ、前記共通の光ファイバから前記プローブに前記治療光を出射する治療光出射手順と、
を備え
前記光結合部は、前記治療光用光ファイバ及び前記ガイド光用光ファイバの端部が前記共通の光ファイバの端部に融着接続またはコネクタ接続されている
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、光結合部を用いて治療光及びガイド光を共通の光ファイバで導くため、内視鏡のプローブからPDTの治療光の照射するための光治療装置において、装置の小型化を可能にし、かつプローブを動かした場合であっても安定して治療光及びガイド光をプローブから照射可能にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示に係る光治療システムの第1例を示す概略構成図である。
図2】光照射部から出射される治療光とガイド光の第1例を示す。
図3】光照射部から出射される治療光とガイド光の第2例を示す。
図4】本開示に係る光治療システムの第2例を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本開示は、以下に示す実施形態に限定されるものではない。これらの実施の例は例示に過ぎず、本開示は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した形態で実施することができる。なお、本明細書及び図面において符号が同じ構成要素は、相互に同一のものを示すものとする。
【0011】
図1に、本開示に係る光治療システムの構成の一例を示す。本開示に係る光治療システムは、光治療装置10、内視鏡先端部20及び撮像装置30を備える。光治療装置10は、治療光源11、ガイド光源12、制御部13及び操作部14を備える。撮像装置30は、記憶部31、画像処理部32及び表示装置33を備える。撮像装置30は、光治療装置10に備わっていてもよい。また、表示装置33は撮像装置30の外部に備わっていてもよい。内視鏡先端部20は、光ファイバ21及び光照射部22からなるプローブと、撮像部23、信号線24を備える。内視鏡先端部20は、内視鏡に用いられる任意の構造を用いることができる。
【0012】
撮像部23は、内視鏡の先端付近の画像、特にガイド光Lが照射される位置を含むその周辺部位を撮像する。撮像部23からの映像は信号線24で撮像装置30に伝達される。画像処理部32は、撮像部23からの映像を表示装置33に表示する。これにより、光治療装置10の操作者は、治療光Lを照射すべき部位を視認することができる。記憶部31は、撮像部23の撮像データを蓄積する。
【0013】
画像処理部32は、撮像部23からの映像を取得すると、ガイド光Lの外縁を検出し、表示装置33に表示される映像上にガイド光Lの外縁を表示してもよい。緑色光の視認性は個人差があるため、画像処理部32が緑色光を検出することで、ガイド光Lの視認性の個人差を解消することができる。撮像部23からの映像に含まれるガイド光Lの検出は、ガイド光源12から出力された光を予め撮像部23で撮像し、撮像部23から出力される色度を取得しておけばよい。このときに、撮像部23に階調を調整する機能が備わっている場合はその特性を考慮する。
【0014】
治療光源11は、治療光Lを発生する任意の光源である。ガイド光源12は、ガイド光Lを発生する任意の光源である。治療光源11からの治療光Lは光ファイバ11Fで光結合部17に導かれる。ガイド光源12からのガイド光Lは、光ファイバ12Fで光結合部17に導かれる。光結合部17とポートPLとは光ファイバ17Fで接続される。光結合部17に入射した治療光L及びガイド光Lは、光ファイバ17Fに入射され、ポートPLに導かれる。
【0015】
内視鏡先端部20の光ファイバ21は、ポートPLに接続される。これにより、治療光L及びガイド光Lが光ファイバ21に導かれ、光照射部22から内視鏡先端部20の外部に出射される。光照射部22は、内視鏡先端部20の先端に配置され、光ファイバ21で導波された治療光L及びガイド光Lを内視鏡先端部20の先端から出射する。
【0016】
治療光L及びガイド光Lは、共に光ファイバ17F及び21を伝搬し、光照射部22から出射され、同じ位置に出射される。このため、治療光Lを照射すべき位置にガイド光Lの位置を合わせておくことで、所望の位置に治療光Lを照射することができる。
【0017】
図2に、光照射部22から出射される治療光L及びガイド光Lの第1例を示す。光照射部22は、内視鏡先端部20の長軸方向の先端から、放射状の治療光Lを出射する。放射状の治療光Lは、直径Rを有する。この場合、光照射部22は、治療光Lと同心円形状のガイド光Lを出射する。直径Rと直径Rは略等しいことが好ましいが、直径Rは直径Rの中心付近のみであってもよい。
【0018】
図3に、光照射部22から出射される治療光L及びガイド光Lの第2例を示す。光照射部22は、内視鏡先端部20の長軸方向の先端から周方向に向かって、直線状の治療光Lを出射する。直線状の治療光Lは、内視鏡先端部20の長軸方向への光照射部22の長さで定められる縦方向の長さDTLと、内視鏡先端部20の周方向への角度で定められる長さDTSを有する。この場合、光照射部22は、内視鏡先端部20の長軸方向への光照射部22の長さで定められる縦方向の長さDGLと、内視鏡先端部20の周方向への角度で定められる長さDGSと、を有するガイド光Lを出射する。長さDTLと長さDGLは等しく、長さDTSと長さDGSは等しいことが好ましい。長さDTSと長さDGSを定める内視鏡先端部20の周方向への角度は、任意であり、内視鏡先端部20の全周方向であってもよい。
【0019】
治療光源11の出力波長は、光線力学的治療法すなわちPDTに用いることの可能な光感受性物質の吸収波長とすることができる。ガイド光源12の出力波長は、光感受性物質の吸収波長とは異なりかつ光照射部位の色とは異なる色彩の波長である。光感受性物質がタラポルフィンナトリウムの場合、概ね405nm、510nm、664nmをピークとする吸収波長がある。そのため、治療光Lの波長を664nmとし、ガイド光Lの波長を血液の色とは補色関係にある495以上570nm以下の緑色光、特に520nmとすることが好ましい。また、光感受性物質がポルフィマーナトリウムの場合、概ね630nmに吸収波長があるので、治療光Lの波長を630nmとする。この場合もガイド光Lの波長はタラポルフィンナトリウムの場合と同様でよい。
【0020】
光ファイバ11F及び21は、内視鏡に適用可能な光ファイバであり、石英ガラスで形成され、予め定められたコア径を有する。例えば、光ファイバ21のコア径は400μmであり、光ファイバ11Fのコア径は200μmである。このときのクラッド径は、例えば、光ファイバ21で460μm、光ファイバ11Fで230μmとすることができる。
【0021】
このように、本開示では、光ファイバ21のコア径は光ファイバ11Fのコア径よりも大きい。また、光ファイバ11F及び12Fが共通の光ファイバ17Fに結合される。そこで、本開示では、光ファイバ17Fのコア径及びクラッド径を、光ファイバ21と等しくしている。ポートPLでは、コア径の等しい共通の光ファイバ17Fと光ファイバ21とが光コネクタで接続される。これにより、光ファイバ17Fで伝搬された治療光L及びガイド光Lを、容易に光ファイバ21に入射させることができる。
【0022】
内視鏡先端部20を動かした際にポートPLに振動が加わる。このときに、本開示は、ポートPLと光結合部17の間に光ファイバ17Fが配置されている。このため、本開示は、ポートPLに伝達した振動が光結合部17に伝わりにくく、これによって治療光源11及びガイド光源12の安定動作を可能にしている。
【0023】
ガイド光源12は、ガイド光Lが治療部位上に照射されたときに、撮像部23で撮像可能な出力強度のガイド光Lを出力する。このため、PDTに足りる出力強度の治療光Lを導く光ファイバ11Fに比べ、光ファイバ12Fのコア径を小さくすることができる。例えば、光ファイバ11Fのコア径が200μmの場合、光ファイバ12Fのコア径を105μmとすることができる。このときのクラッド径は、例えば、光ファイバ12Fで125μmとすることができる。このように、光ファイバ12Fには、光通信で一般的に用いられる光ファイバを用いることができる。
【0024】
本実施形態では、治療光源11の出力強度とガイド光源12の出力強度が異なり、光ファイバ11Fのコア径と光ファイバ12Fのコア径とが異なる。そのため、光ファイバ11F及び光ファイバ12Fの少なくともいずれかに、これらの識別を容易にする表示が設けられていることが好ましい。例えば、光ファイバ11F及び光ファイバ12Fの被覆の色が異なることが好ましい。これにより、コア径の小さい光ファイバ12Fが出力強度の大きい治療光源11に接続されるのを防ぐことができる。
【0025】
光ファイバ17Fのコア径は光ファイバ11F及び12Fのコア径よりも大きい。そこで、本開示の光結合部17では、光ファイバ11Fの端面と光ファイバ17Fの端面とが融着接続され、光ファイバ12Fの端面と光ファイバ17Fの端面とが融着接続されている。このように、光結合部17がミラーなどの空間系の光学系を用いないことで、省スペース化が可能であるとともに振動や衝撃に対しても強くなる。そのため、本開示は、出力強度の高い治療光Lを治療光源11が出力する場合であっても、光治療装置10の動作を安定させることができる。
【0026】
ここで、光結合部17は、融着接続に替えて、1対1のコネクタ接続としてもよい。この場合、一方のコネクタに形成されているフェルールには光ファイバ17Fを導き、他方のコネクタに形成されているフェルールには光ファイバ11Fと光ファイバ12Fとを束ねて導くようにする。
【0027】
操作部14は、操作者が光治療装置10の各種設定を行うものである。操作部14は、光照射部22からの治療光Lの出射のON/OFFを制御する治療光スイッチ(不図示)、光照射部22からのガイド光Lの出射のON/OFFを制御するガイド光スイッチ(不図示)、を備える。治療光スイッチ及びガイド光スイッチは、フットスイッチとして設けられていることが好ましい。
【0028】
本開示に係る光治療装置10は、ガイド光出射手順と、治療光出射手順と、を実行する。
【0029】
ガイド光出射手順について説明する。画像処理部32が、撮像部23からの撮像データを表示装置33に表示する。操作部14からガイド光スイッチをONにする制御信号が入力されると、制御部13は、ガイド光源12にガイド光Lを出力させる。光照射部22からガイド光Lが出射されると、撮像部23がガイド光Lの照射された映像を撮像し、表示装置33がその映像を表示する。
【0030】
操作者は、表示装置33に表示された映像に基づいて、治療光Lを照射すべき位置にガイド光Lが照射されているか否かを確認する。このとき、本実施形態では、ガイド光Lが緑色光であるため、内視鏡の映像におけるガイド光Lを容易に視認することができる。治療光Lを照射すべき位置にガイド光Lが照射されていない場合、操作者は、表示装置33に表示された映像を見ながら、治療光Lを照射すべき位置にガイド光Lを移動させる。この確認後、光治療装置10は、治療光出射手順を実行する。
【0031】
ここで、操作部14は、ガイド光Lの照射範囲を可変であることが好ましい。この場合、制御部13は、ガイド光Lの照射範囲の変化に伴って、治療光Lの照射範囲を変化させる。また、制御部13は、ガイド光Lの照射範囲の変化に伴って、ガイド光Lの出力強度を調節することが好ましい。
【0032】
例えば、操作部14からガイド光Lの照射範囲を広げる制御信号が入力されると、制御部13は、照射範囲を広げる制御信号を光照射部22に出力し、ガイド光源12の出力強度を上げる。一方で、操作部14からガイド光Lの照射範囲を狭める制御信号が入力されると、制御部13は、照射範囲を狭める制御信号を光照射部22に出力し、ガイド光源12の出力強度を下げる。このように、本開示は、ガイド光Lの出力強度を調整することで、ガイド光Lの視認性を維持しつつ、ガイド光Lの過度の照射を避けることができる。
【0033】
治療光出射手順について説明する。操作部14から治療光スイッチをONにする制御信号が入力されると、制御部13は、治療光源11に治療光Lを出力させる。これにより、光照射部22から治療光Lが出射される。本開示では、治療光Lとガイド光Lの位置が一致しているため、ガイド光Lで確認された位置に治療光Lを照射することができる。
【0034】
ガイド光出射手順及び治療光出射手順を繰り返すことで、光感受性物質の集積している腫瘍組織に的確に治療光Lを照射することができる。なお、制御部13は、治療光スイッチをONにする制御信号を入力された際に、ガイド光源12の出力を停止することが好ましい。これにより、治療光Lの照射される部位への負荷を減らすことができる。このとき、制御部13は、ガイド光LをOFFにした旨を、表示装置33に表示することが好ましい。
【0035】
以上説明したように、本開示は、光結合部17及び光ファイバ17Fを用いるため、光治療装置10を大型化させずに治療光L及びガイド光Lをプローブに導くことができる。ここで、本開示は、ポートPLと光結合部17が光ファイバ17Fを介して接続されているため、プローブを動かした場合の治療光L及びガイド光Lへの影響が小さい。このため、本開示は、プローブを動かした場合であっても安定して治療光L及びガイド光Lをプローブから照射することができる。
【0036】
なお、図1では光治療装置10に1つの治療光源11が備わる例を示したが、本開示の光治療装置10は複数の治療光源を備えていてもよい。例えば、図4に示すように、光治療装置10に治療光源11及び18が備わっていてもよい。この場合、光結合部17において、光ファイバ11F、12F及び18Fが光ファイバ17Fに融着接続またはコネクタ接続される。制御部13は、治療光Lを出力する治療光源として、治療光源11又は18のいずれかを選択する。このように、光治療装置10が複数の治療光源を備えることで、制御部13は、出力強度や出力波長の安定している治療光源を選択することができる。したがって、本開示は、安定して治療光L及びガイド光Lをプローブから照射することができる。
【0037】
また、本開示に係る光治療装置10は光免疫療法(photoimmunotherapy:PIT)に対しても使用可能である。光免疫療法では、がんの部分に付随する抗体と対になっている、波長700nmの近赤外線を吸収波長に持つフタロシアニンと呼ばれる色素を用いる。そこで、フタロシアニンを光感受性物質に用い、波長700nmの近赤外線を治療光に用いることで、本開示に係る光治療装置10をPITにも適用することができる。この場合も、ガイド光Lの波長を血液の色とは補色関係にある495以上570nm以下の緑色光、特に520nmとすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本開示は医療機器産業に適用することができる。
【符号の説明】
【0039】
10:光治療装置
11、18:治療光源
12:ガイド光源
13:制御部
14:操作部
20:内視鏡先端部
22:光照射部
23:撮像部
30:撮像装置
31:記憶部
32:画像処理部
33:表示装置
図1
図2
図3
図4