(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6576438
(24)【登録日】2019年8月30日
(45)【発行日】2019年9月18日
(54)【発明の名称】カスタマイズ可能な耳挿入具
(51)【国際特許分類】
H04R 1/10 20060101AFI20190909BHJP
H04R 25/02 20060101ALI20190909BHJP
H04R 25/00 20060101ALI20190909BHJP
A61F 11/12 20060101ALI20190909BHJP
【FI】
H04R1/10 104A
H04R1/10 104B
H04R1/10 104Z
H04R1/10 104E
H04R25/02 C
H04R25/00 Z
A61F11/12 110
【請求項の数】31
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2017-514744(P2017-514744)
(86)(22)【出願日】2015年5月27日
(65)【公表番号】特表2017-521021(P2017-521021A)
(43)【公表日】2017年7月27日
(86)【国際出願番号】CA2015050479
(87)【国際公開番号】WO2015179975
(87)【国際公開日】20151203
【審査請求日】2018年5月23日
(31)【優先権主張番号】62/005,276
(32)【優先日】2014年5月30日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516358233
【氏名又は名称】レボル テクノロジーズ インク
【氏名又は名称原語表記】REVOL TECHNOLOGIES INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100091904
【弁理士】
【氏名又は名称】成瀬 重雄
(72)【発明者】
【氏名】ブラマー、ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】コーエン、ナビ
【審査官】
篠田 享佑
(56)【参考文献】
【文献】
特開2008−236147(JP,A)
【文献】
特開昭63−276398(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2013/0202141(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2011/0002491(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 1/10
A61F 11/12
H04R 25/00
H04R 25/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの外耳又は外耳道に挿入される、カスタマイズ可能な耳挿入具であって、下記を含む:
硬化前でかつ変形可能な状態の光硬化ポリマで形成されており、前記外耳または外耳道へ挿入されるよう構成された第一の変形可能な形状をもつ本体と;
前記本体に組み込まれている、前記光硬化ポリマの硬化に適する光源;
ここで、前記本体は、前記光源から発せられた光の適用により第二の保形性のある形状に硬化することができ、前記第二の形状は、外耳、外耳道、またはその両方の内面に密着するように適合するものである。
【請求項2】
本体にフィットするように構成されたスリーブをさらに持つ、請求項1に記載のカスタマイズ可能な耳挿入具。
【請求項3】
前記スリーブが、熱可塑性のポリウレタン、およびシリコーンを含む群の中から選ばれた材料で作られている、請求項2に記載のカスタマイズ可能な耳挿入具。
【請求項4】
さらに一つ以上のトランスデューサを有する請求項1に記載のカスタマイズ可能な耳挿入具。
【請求項5】
前記トランスデューサが、外耳または外耳道または両方の内部圧力を計測するように構成されている請求項4に記載のカスタマイズ可能な耳挿入具。
【請求項6】
前記トランスデューサが、前記本体に作用する圧力を計測するように構成されている、請求項4に記載のカスタマイズ可能な耳挿入具。
【請求項7】
一つ以上の前記トランスデューサが歪ゲージを含む、請求項4〜6のいずれか1項に記載のカスタマイズ可能な耳挿入具。
【請求項8】
さらに、少なくとも一つの聴覚システム部品を受け入れるように適応した空洞を含む、請求項1に記載のカスタマイズ可能な耳挿入具。
【請求項9】
前記空洞が、前記本体に当接する筐体内に位置する、請求項8に記載のカスタマイズ可能な耳挿入具。
【請求項10】
前記筐体が、前記本体に対し、取り外しできるように取り付けられている、請求項9に記載のカスタマイズ可能な耳挿入具。
【請求項11】
前記筐体が、さらに第一のフランジを有し、前記本体が、さらに第二のフランジを有し、前記第一のフランジは、前記第二のフランジに、取り外し可能な嵌め込み結合により組み合わされている、請求項9又は10に記載のカスタマイズ可能な耳挿入具。
【請求項12】
前記筐体が、さらに少なくとも一つの集積回路、電池、及び少なくとも一つの光源を収容する請求項9〜11のいずれか1項に記載のカスタマイズ可能な耳挿入具。
【請求項13】
少なくとも一つの前記の聴覚システム部品が、少なくとも一つのマイクロフォンを含む、請求項8〜12のいずれか1項に記載のカスタマイズ可能な耳挿入具。
【請求項14】
カスタマイズ可能な耳挿入具の内面上に配置された第一のマイクロフォン、及びカスタマイズ可能な耳挿入具の外面上に配置された第二のマイクロフォンをさらに含む、請求項13に記載のカスタマイズ可能な耳挿入具。
【請求項15】
前記第一のマイクロフォン及び前記第二のマイクロフォンが、外耳道から外部環境への音漏れ、及び外部環境から外耳道への音漏れのうち少なくとも一つを検出するように構成される請求項14に記載のカスタマイズ可能な耳挿入具。
【請求項16】
少なくとも一つの前記マイクロフォンが取り外し可能である、請求項13〜15のいずれか1項に記載のカスタマイズ可能な耳挿入具。
【請求項17】
少なくとも一つの前記聴覚システム部品は、少なくとも一つのスピーカである、請求項8に記載のカスタマイズ可能な耳挿入具。
【請求項18】
少なくとも一つの前記スピーカが、前記本体の前記空洞内に固定されるように構成される、請求項17に記載のカスタマイズ可能な耳挿入具。
【請求項19】
少なくとも一つの前記スピーカが、前記本体の前記空洞内に取り外し可能に挿入されるように構成される、請求項18に記載のカスタマイズ可能な耳挿入具。
【請求項20】
少なくとも一つの前記聴覚システム部品が、少なくとも一つの外耳、外耳道、またはその両方と外部環境とを、音孔を通じて流体連通する、請求項8〜19のいずれか1項に記載のカスタマイズ可能な耳挿入具。
【請求項21】
前記光源がLEDである、請求項1〜20のいずれか1項に記載のカスタマイズ可能な耳挿入具。
【請求項22】
第一の萎んだ状態から第二の膨らんだ状態へ操作可能である、前記本体内で配向された空気袋をさらに含む、請求項1に記載のカスタマイズ可能な耳挿入具。
【請求項23】
前記本体に当接し、第一の萎んだ状態から第二の膨らんだ状態へ操作可能である空気袋を含む、請求項1に記載のカスタマイズ可能な耳挿入具。
【請求項24】
前記空気袋がマイクロポンプと流体連通しており、前記マイクロポンプが前記空気袋を第一の萎んだ状態から、第二の膨らんだ状態へ膨らませるように操作可能である、請求項22又は23に記載のカスタマイズ可能な耳挿入具。
【請求項25】
前記本体の第一の形状が概略S字状である、請求項1〜24のいずれか1項に記載のカスタマイズ可能な耳挿入具。
【請求項26】
前記本体の外面が、さらに溝を有している、請求項1〜25のいずれか1項に記載のカスタマイズ可能な耳挿入具。
【請求項27】
使用者の外耳、外耳道、またはその両方の内部に適合するように、光硬化性でカスタマイズ可能な耳挿入具を較正する方法であり、
前記耳挿入具は、外耳又は外耳道への挿入のために構成された第一の変形可能な形状を持ち、硬化前でかつ変形可能な状態の光硬化性ポリマから構成された本体と、前記光硬化性ポリマを硬化するための光源とを備えており、前記光源は、前記本体に隣接して配置されており、
前記方法は以下を含む:
通信手段を用いて、一つ以上のフィードバック部品からの情報を受信すること;
前記情報を、既定の較正値を有するデータベースと比較すること;
実装の為の命令をカスタマイズ可能な前記耳挿入具の要素に出力すること;
ここで、前記実装は、少なくとも、前記光源により発せられた光の適用により、前記第一の変形可能な形状から第二の保形性のある形状に光硬化性でカスタマイズ可能な前記耳挿入具を硬化させる事を含み、前記第二の形状は、外耳、外耳道、またはその両方の内部表面にぴったりと一致するように合致するものである。
【請求項28】
前記耳挿入具は、空気袋をさらに備えており、前記実装は、さらに光硬化性でカスタマイズ可能な前記耳挿入具内で、第一の萎んだ状態から第二の膨らんだ状態へ前記空気袋を膨らませる事をさらに含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
一つ以上の前記フィードバック部品が、少なくとも一つのマイクロフォン、少なくとも一つのトランスデューサ、少なくとも一つの歪ゲージ、及び、少なくとも一つの使用者からの定性的な手動入力からなる群からの少なくともひとつを含む、請求項27又は28に記載の方法。
【請求項30】
前記方法が、使用者の機器のソフトウェアアプリケーションとして実装される、請求項27〜29のいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
前記方法が、カスタマイズ可能な前記耳挿入具の要素に対して出力される前記命令を、実装の為に使用者が操作することを許可するステップをさらに含む、請求項27〜30のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は装着可能(wearable)な技術に関し、特に、広く様々な分野で用いられるための、カスタム成型可能な耳挿入具に関するものである。
【0002】
カスタム・フィット型の耳装着具は人の耳によりうまくフィットする。カスタム耳装着具の優れた雑音抑制は、全て、または少なくとも非常に大きなレベルで背景雑音を除去できる事により、使用者が聞こうとする音の抑揚を向上させ、そして、潜在的に危険性の有る環境雑音から、使用者を守ることができる。もしカスタム・フィット型の耳装着具がイヤフォンとして用いられ、音楽の繊細な/静かな詳細を打ち負かす環境雑音が少なくなれば、使用者はより低い音量により音楽を聴くことができ、より安全な使用経験を得ることが可能になる。より具体的には、カスタム・フィット型の耳装着具は、音量レベルを低く保ち鼓膜の損傷危険性を少なくすることができ、そして提供される優れたフィット性と快適性のレベル向上は、障害を起す事無く、より長い時間聴く事を許す為、より低い危険性を使用者に提供する。
【0003】
カスタム・フィット型の耳装着具の二つの主な問題は、生産コストと、フィッティングプロセスである。例えば、平均的なカスタム・イヤーフォン一組のコストは、現在のところ、ほとんどの使用者が計画する予算を超過する。更に、カスタム耳装着具は、一般的に、外耳道の型をつくる為に、使用者に対し何度も聴覚機能訓練士を訪問させ、そのことは、追加費用と追加時間を発生させる。
【0004】
そのため、高い音響性能をもつカスタマイズできる耳装着具を、現在の産業標準よりも低い経済的価格で提供する事に対する需要がある。
【0005】
この背景情報は、本発明に関係する可能性があると出願者が信じる情報を明らかにする為に提供されている。いかなる前述の情報も、本発明に対する先行発明であると認める意図は無く、また解釈されるべきではない。
【0006】
本発明はカスタマイズ可能な耳挿入具を提供することができると考えられる。少なくとも一つの実施形態では、使用者の外耳、外耳道、またはその両方に挿入される、光硬化性ポリマにより構成されたカスタマイズ可能な耳挿入具は、使用者の外耳、外耳道、またはその両方へ挿入するように構成された第一の形状を持つ本体と、本体に隣接して設置され、その発した光により使用者の外耳、または外耳道、または両方の内部表面にぴったりくっつくように適合した第二の形状に本体を硬化させる光源とを持つ。
【0007】
別の実施形態では、本発明は、使用者の外耳、外耳道、またはその両方内部に適合する、光硬化性のカスタマイズ可能な耳装着具を較正する方法を提供し、その方法は、一つ以上のフィードバック部品(feedback modules)から通信手段を通して情報を受信し、その情報を既定の較正値のデータベースと比較し、カスタマイズ可能な耳挿入部に対して実装の為の指示を出力するステップを持ち、実装は、少なくとも、光源から発せられた光の適用により、使用者の外耳、または外耳道、または両方の内部表面にぴったりくっつくように適合する第二の形状に、光硬化性のカスタマイズ可能な耳挿入部を硬化させることを含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本発明の実施形態は以下の図と関連付ける事でよりよく理解されるだろう。
【0009】
【
図1】
図1は、本発明に基づく、カスタマイズ可能な耳装着具の一実施形態の側面断面図である。
【0010】
【
図2】
図2は、本発明に基づく、カスタマイズ可能な耳装着具の他の実施形態の側面断面図である。
【0011】
【
図3】
図3は、本発明に基づくカスタマイズ可能な耳装着具の異なる実施形態の斜視図である。
【0012】
定義
ここで用いられるように、「機器」という用語はその本来の意味を超え、ネットワークアクセス可能な任意の、装置として定義される。機器は、有線または無線である。少なくともひとつの実施形態では、機器は、パーソナルコンピュータ、タブレット、携帯機器、携帯電話、テレビ、音楽プレーヤ、携帯オーガナイザ、または任意の同様のネットワークアクセス可能な機器を含むことができる。少なくとも一つの実施形態では、機器は例えば、それらに限定されないが、宝石、時計、眼鏡、帽子、服、靴、靴下、及び、当業者であれば容易に考え得る、同様のネットワーク対応の着用可能技術である場合がある。少なくとも一つの実施形態では、機器は企業により所有されたパーソナルコンピュータ、タブレット、携帯機器、携帯電話、パーソナルオーガナイザ、または同様の何らかのネットワーク対応の電子機器である場合がある。
【0013】
ここで用いられるように、用語「アプリ」は機器に実装されるアプリケーションと定義できる。アプリケーションはダウンロードされ、外部ネットワークから最小限に取得された外来データと共に局所的に機器に組み込まれる場合がある。少なくとも一つの実施形態では、アプリケーションは、機器上の「シン・クライアント」であり、外部ネットワークから非常に大量の情報を取り込む。少なくとも一つの実施形態では、アプリケーションはネットワーククライアント(例えば、ウェブブラウザ、第三者の集約装置)を通してアクセスされる。少なくとも一つの実施形態では、アプリケーションの実装は、上述のような従来型の典型例の複合形を含む場合もある。
【0014】
ここでは、用語「通信手段」は、その通常の意味を超えて、耳装着具と機器(または信号の受信及び/又はデータパケットの受信を可能にする任意のサードパーティーの受信機構)との間の何らかの手段、として定義されることができる。少なくとも一つの実施形態では、通信手段は、デジタルで有り得て、通信ポート、無線送信器/受信器、有線、または光ファイバを含むが、それらだけに限定されない任意の必要なハードウェア要素を含み、及び、電話、e-mail、ファクス、Bluetooth(登録商標)、NFC、TCP/IP, FTP, XMLそしてIRC等を非限定的に含む機器が他の機器とデータパケットを交換する事を許すソフトウェアを含む。少なくとも一つの実施形態では、通信手段は、USB接続、Apple(登録商標) ライトニングケーブル、ファイアワイア、イーサネット、補助ケーブル、そして当業者が容易に知りえる同様の接続規格を含む。
【0015】
ここで用いられるように、用語「約」は、通常値から+/- 10%の変動を指す。そのような変動は、特別に言及されているか、いないかに関わらず、ここで与えられる値に常に含まれると理解されるべきである。
【0016】
別途定義されない限り、ここで用いられる、全ての技術的、そして科学的な語は、本発明の属する技術分野の当業者にとって共通に理解されるものと同じ意味を持つものとする。
【0017】
カスタマイズ可能な耳挿入具の概要
少なくとも一つの実施形態では、本発明は、当業者には常識的に理解されるように、カスタマイズ可能な耳挿入具が有益な、例えば、耳栓、補聴器、ヘッドフォン、イヤフォン、他の種類の応用等の、任意の数の応用に活用され得る、カスタマイズ可能な耳挿入具を提供する。
【0018】
少なくとも一つの実施形態では、カスタマイズ可能な耳挿入具は、使用者の外耳、外耳道、またはその両方の内部にカスタマイズされたフィットをするように、耳挿入具が光硬化されるような、フォトポリマを利用できる。
【0019】
図1に、本発明に基づく、カスタマイズ可能な耳挿入具(10)の一実施形態を示す。この実施形態では、外側のスリーブ(1)がカスタマイズ可能な耳挿入具(10)の外側を覆っている。硬化性樹脂が、カスタマイズ可能な耳挿入具(10)の本体(2)を形成する。少なくとも一つの実施形態では、硬化性樹脂として光硬化性ポリマが考えられるが、当業者が容易に思いつく他の構成も考えられる。
【0020】
少なくとも一つの実施形態では、使用者の外耳(outer ear)、または外耳道(ear canal)、またはその両方の中でのフィットを改善する為に、膨張し収縮する空気袋(bladder)(3)の役目をする、ガスで満たされた空洞を設けることができる。内部の空洞(5)は、本発明の特定の実施の形態の要求に応じて、任意に、例えば、少なくとも一つのスピーカ(6)、少なくとも一つの音孔(7)、空気袋と流体連通をするマイクロポンプ(8)、および少なくとも一つのマイクロフォン(9)等のオプション的な機器を収容することができると見なされることができる。さらに、需要と具体的応用における特定の構成に応じて、少なくとも一つの組み込まれた光源(4)が本体(2)、または空洞(5)、または他の場所(
図2参照)に格納できると考えられる。
【0021】
図2にカスタム化可能な耳挿入具(10)のさらに他の実施形態を示す。この実施形態では、外側のスリーブ(1)が耳部品(ear piece)の本体(2)を形成する硬化性樹脂を囲っている。スリーブ(1)と、及び/又は本体(2)は、例えば、クリップ、圧着結合、はめ込み結合、その他の任意の適した方法を含む統合された機械的取り付け方法(14)を持つことができ、そのためスリーブ(1)と本体(2)が機械的かつ分離可能に筐体(11)と接合することができる。
【0022】
この実施形態では、筐体(11)は任意に、少なくとも一つのスピーカ(6)、少なくとも一つの光源(4)、少なくとも一つのマイクロフォン(9)、バッテリ(12)、および集積回路(例えば、限定されないが、無線通信(例えばBluetooth)チップ)(13)を含むことができる。少なくとも一つの音孔(sound bore)(7)は、本体(2)とスリーブ(1)を通して音を伝道させるために、少なくとも一つのスピーカ(6)、または、少なくとも一つのマイクロフォン(9)による流体連通(fluidly communicates)を備え、それにより音を使用者の外耳道へ向ける。その他の実施形態では、少なくとも一つの音孔(7)は、本体(2)とスリーブ(1)を通して音を伝道するために少なくとも一つのスピーカ(6)、または少なくとも一つのマイクロフォン(9)による流体連通を備え、そしてそれにより音を外部環境に向けると考えられる。
【0023】
最後に、そして
図3に見られるように、幾つかの実施形態では、スリーブ(1)は、耳挿入具(10)についての使用者の外耳、外耳道、または両方内でのフィットとカスタマイズ作業とを改善する、少なくとも一つの溝(14)を持つと考えられる。
【0024】
本体部の概要
カスタマイズ可能な耳挿入具(10)は、
図1、2、及び3に見られるような複数の構成により構築される場合があると考えられる。少なくとも一つの実施形態では、カスタマイズ可能な耳挿入具(10)の構造は、本体(2)が使用者の外耳、外耳道、またはその両方内にフィットするように提供される。本体(2)は要求される剛性特性が維持される任意の材質によっても構成されることができる。少なくとも一つの実施形態では、そして上述されたように、本体(2)はフォトポリマ材で構成される場合があると考えられる。これらの実施形態では、ポリマは光硬化前と後では様々な異なる特性の属性を持つ場合があると考えられる。更に言えば、当業者が容易に知ることができるセグメントの電磁スペクトラムの中でも、例えば、可視光、紫外線、蛍光、等の任意の電磁スペクトラム、しかしそれらに制限されない、を用いてフォトポリマは硬化される場合があると考えられる。
【0025】
少なくとも一つの実施形態では、本体(2)は、その外側面に加えられた圧力に従って、本体(2)の形を変えることができるように、変形しやすく、柔軟な属性を持つフォトポリマ材によって作られる。本体(2)は、定められた変形能力内で、使用者の外耳、外耳道、または両方の内部形状の輪郭に本体(2)の変形しやすい特性が沿うように、使用者の外耳、外耳道、または両方の中に挿入される場合がある事と考えられる。本体(2)の柔軟性は、応用に応じて変更されることができる。
【0026】
例えば、子供用に作られた小さい本体は、より大きな変形仕様を必要とする場合がある。少なくとも一つの実施形態では、本体(2)は4500センチポイズの仕様特性をもつ改質ウレタンを用いて構成されると考えられる。しかしながら、当業者は他の構成も容易に理解するだろう。
【0027】
当業者により容易に理解されるように、本体(2)は、アクリレート、メタクリレート、ウレタン・アクリレート、及び、ウレタン・メタクリレート、または、当業者であれば容易に使用できる他の適した材質の一つ、または、組み合わせを含む場合があると考えられる。少なくとも一つの実施形態では、粘度は30から5000センチポイズの範囲であることができると考えられる。
【0028】
少なくとも一つの実施形態では、本体(2)の形状は、本体(2)の形状が人間の耳に大きな割合で輪郭に沿うように構成される。使用者の外耳、外耳道、または両方の中へ、本体(2)の形状が直感的に置かれるように、人間工学、そして解剖学モデルと知識は、本体(2)の構成に使われる場合がある。
【0029】
少なくとも一つの実施形態では、スリーブ(1)は、柔軟性のある本体(2)がスリーブ(1)の中に納まるように本体(2)に取り付けられている。少なくとも一つの実施形態では、本体(2)は、硬化前プロセス中に、本体の内部組成が影響を受けないよう機能する、柔軟な外殻を有する。スリーブ(1)は、硬化プロセス中、または硬化後プロセス中に外郭に固定されている場合がある。
【0030】
少なくとも一つの実施形態では、本体(2)はゲル状材料で構成されており、スリーブ(1)の内部に収容されている。スリーブ(1)の形状は、当業者が容易に理解されるように、例えば、耳輪部下肢(helix)、耳甲介腔(cavum concha)、耳甲介舟(cymba concha)、珠間切痕(intertragic notch),外耳(outer ear)、外耳道(ear canal)またはその両方の部分、を含む、人間の解剖学的構造(そして特に、使用者の外耳、外耳道、またはその両方)の相当する部分にフィットするように設計された要素を持つと考えられる。当事者であれば容易に理解されるように、スリーブ(1)は対耳輪(anti-helix)、耳珠(tragus)、対耳珠(anti-tragus)、外耳道(ear canal)の主要表面に接触するように設計される。
【0031】
少なくとも一つの実施形態では、本体(2)及び、スリーブ(1)は、覆い/本体が拡張し、収縮し、または、
図3にて見られるように大多数の人々の耳に適合するに必要なだけ変形可能にする、一つのまたは複数の溝を持つよう設計されると考えられる。
【0032】
幾つかの実施形態では、耳への機器の挿入中に、余分なフォトポリマの流出を可能にする為の凹型の表面領域を、本体(2)及びスリーブ(1)の外側面に持つよう設計されることができると考えられる。幾つかの実施形態では、手動で、または拡張可能な空気袋(3)を用いて凹型の表面に圧力を掛けることにより、フォトポリマを耳の中に戻すことができると考えられる。
【0033】
光源部概要
フォトポリマの本体(2)を硬化する為、本体(2)がその硬化に適合した種類の光源(4)に曝されるように、光源(4)を設けることができる。当業者によって容易に理解されるように、光源(4)の種類は、使用されるフォトポリマ次第である。光源(4)は、例えば、可視光、紫外線、蛍光、赤外線、青色光、その他の当業者であれば理解される他の分野のスペクトラムを含む光の中から発することができる。しかしながら、そして、当業者であれば容易に理解されるように、光源の適用は実装により様々である。
【0034】
少なくとも一つの実施形態では、光源(4)で使用される典型的な波長は365nmである。少なくとも一つの実施形態では、光源(4)で使用される典型的な波長は470nmである。しかしながら、他の実施形態では、光源(4)の波長はおよそ265nm〜500nmの範囲であることができる。
【0035】
少なくとも一つの実施形態では、光源は、光源(4)と本体(2)が共に結合されるように、カスタマイズ可能な耳挿入具(10)内に組み込まれると考えられる。幾つかの実装形態では、光源(4)は硬化後に本体(2)中に留まる。組み込まれた光源(4)は、LED、OLED、量子ドット、蛍光灯、極小白熱電球、レーザダイオード、及び、当業者にとって容易に理解される他の種類の可搬光源を含む、任意の種類の光源で有ることができると考えられる。
【0036】
少なくとも一つの実施形態では、光源(4)を、直接本体(2)の内面、及び/又はスリーブ(1)の内面に直接配置する事により、光源(4)は、カスタマイズ可能な耳挿入部(10)内に組み込まれることができる。少なくとも一つの実施形態では、組み込まれた光源(4)の取り付けは、光源(4)の柔軟な、または硬直した表面への配置により、スリーブ(1)、及び/又は本体(2)の内面に設置することを含む。例えば、化学蒸着(CVD)、物理蒸着(PVD)、スパッタリング、回転塗布、インクジェット印刷、及び/又は、スクリーン印刷により、直接、または間接な実装の為の配置が実現される場合がある。少なくとも一つの実施形態では、光源(4)は、硬化性ポリマ樹脂内部を拡散し、電流、及び/又は、カスタマイズ可能な耳挿入具(10)内に配置された光源により樹脂を刺激する手順を含む、量子ドットLEDである。
【0037】
光源(4)は、筐体(11)内の印刷回路基板(13)上や、筐体(11)内の内側又は外側表面に取り付けられた硬直したまたは柔軟な基板(13)上や、筐体(11)の内面及び/又は外面に直接配置される、などの、数々の配置を、本発明の具体的応用に適するように、取ることができると考えられる。光源(4)は、LED、OLED、量子ドット、蛍光灯、極小白熱電球(miniature incandescent bulbs)、レーザダイオード、及び、当業者にとって容易に理解される他の種類の可搬光源を含み、それらだけに限定されない、任意の可搬光源で有ると考えられる。直接、または間接的な実装の為の埋め込みは、当業者であれば容易に考えうる任意の技術の中で、化学蒸着(CVD)、物理蒸着(PVD)、スパッタリング、回転塗布、インクジェット印刷、及び/又は、スクリーン印刷により実現される場合がある。
【0038】
少なくとも一つの実施形態では、光源(4)はカスタマイズ可能な耳挿入具に取り付けることができ、そして、硬化後に取り除かれることができる。光源(4)は、光源(4)が本体(2)内部に組み込まれ得る、なおかつ、硬化後、光源(4)が本体(2)から物理的に取り除かれ得るような寸法に構築されることができる。取り付け可能な光源の種類は、LED、OLED、量子ドット、蛍光灯、極小白熱電球、レーザダイオード、及び当業者にとって容易に理解される他の種類の可搬の光源を含む、任意の可搬の光源を含む場合があり、かつそれらのみに限定されない。
【0039】
少なくとも一つの実施形態では、光源(4)は、本体(2)が変形可能な状態、または本体(2)が変形中の状態である任意の期間にも、光源(4)が本体(2)に固定されることなく本体(2)を硬化させる効果を与えるように、外部から活用される場合もある。光源(4)は、本体(2)から相対的に外部に置かれた部品として使用されるのみであり、いかなる配置、または寸法をも持つことができる。適した種類の外部光源は、LED、OLED、量子ドット、蛍光灯、極小白熱電球、ハロゲンランプ、UV発生器、赤外線発生器、スポットライト、集光源、レーザダイオード、及び当業者にとって容易に理解される他の種類の可搬の光源を含む、任意の可搬の光源を含み、またそれらのみに限定されない。
【0040】
少なくとも一つの実施形態では、光源(4)は、外部で活用でき、カスタマイズ可能な耳挿入具と光ファイバにより結合されることができる。少なくとも一つの実施形態では、光ファイバは、光源(4)からの光を本体(2)全体に伝達できる。光ファイバは、恒久的に、または除去可能な形で、本体(2)に取り付けられている場合があると考えられる。外部光源の種類には、LED、OLED、量子ドット、蛍光灯、極小白熱電球、ハロゲンランプ、UV発生器、赤外線発生器、スポットライト、焦点光源、レーザダイオード、及び当業者にとって容易に理解される他の種類の可搬の光源を含む、任意の可搬の光源を含むことができ、またそれらのみに限定されない。
【0041】
少なくとも一つの実施形態では、光源(4)は、カスタマイズ可能な耳挿入具(10)に組み込まれ、光源(4)はカスタマイズ可能な耳挿入具に組み込まれた光ファイバと結合することができる。組み込まれた光源は、LED、OLED、量子ドット、蛍光灯、極小白熱電球、レーザダイオード、及び当業者にとって容易に理解される他の種類の可搬の光源を含む、任意の可搬の光源を含む場合があり、かつそれらのみに限定されない。少なくとも一つの実施形態では、具体的な応用の要求により、組み込まれた光源(4)の取り付けは、柔軟な、または硬直した、基板(13)に光源を配置し、それを、スリーブ(1)、本体(2)、または、筐体(11)の内部に設置することを含む。
【0042】
少なくとも一つの実施形態では、窒化インジウムガリウム(InGaN)、窒化ガリウム(GaN)、及び、窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)等を含み、かつ、それらだけに限定されない特殊な半導体材料が光源(2)に関連して実装される。これらの特定の材料は、紫外線の放射を実現する。幾つかの実施形態では、光源(4)は、光源(4)の応用に応じて、数々の方法で電力を得る場合があると考えられる。光源(4)が外部にある実施形態の場合、光源(4)は独自の電源によって動作することができる。統合された実施形態において、光源(4)は光源に電力を供給する為に、ユーザ機器から通信手段(例えは、補助ケーブル、USBケーブル)を通じて電力を得る場合がある。少なくとも一つの実施形態では、光源は、電力消費を最適化するために、電圧及び/又は電流の調整回路を活用する。少なくとも一つの実施形態では、光源(4)は、自立した電力供給の為に組み込み電池(12)を統合することができる。
【0043】
硬化プロセス
硬化プロセスが、光源の種類とフォトポリマの選択の実施に依存することは、容易に理解されるだろう。いくつかの実施形態では、硬化プロセスは、選択されたフォトポリマの電磁放射誘発重合(electromagnetic radiation triggering polymerization)を利用する。幾つかの実施形態では、さまざまな単量体と多量体を含むフォトポリマは、光への暴露により架橋結合し、網状重合体(network polymer)として知られる物を形成し、効果的に硬化した網状重合体を構築する。
【0044】
当業者には容易に理解されるように、硬化プロセスは、数々の機構により開始され、数々のさまざまな入力や他のモジュールに対応する。一度開始されると硬化プロセスは、変形可能、かつ柔軟性のある第一の形状から、硬直し保形性のある(shape retentive)第二の形状に、本体(2)を変形させる為に、計算された時間継続される。
【0045】
少なくとも一つの実施形態では、硬化プロセスは、規定時間で硬化するよう、予め設定される場合があり、硬化の為に単一の周期を持つ。これは、光源(4)内の組み込み回路内にあらかじめプログラムされる場合がある。
【0046】
少なくとも一つの実施形態では、設定に依存して、硬化プロセスは10秒かかる場合がある。他の実施形態では、設定に依存して、当業者であれば容易に期待できる他の構成の中には、硬化に10分かかる場合もあると考えられる。
【0047】
少なくとも一つの実施形態では、本体(2)は、アクリレート、メタクリレート、ウレタン、ウレタン・アクリレート、ポリエステル、シリコーン、のポリマ群の一つ、または組み合わせで構成されていても良い。少なくとも一つの実施形態では、この光硬化性のポリマを硬化するLEDは、365nm〜500nmの波長の光を放射すると考えられる。
【0048】
少なくとも一つの実施形態では、硬化プロセスの開始は、ネットワーク対応機器を用いて、遠隔操作で行われる場合があると考えられる。これらの実施形態では、その機器は、カスタマイズ可能な耳挿入具との通信手段を用いて、特定の命令を提供し、次に光源は機器から与えられた命令を実装する。さらに、機器はアプリケーション「アプリ」からの命令、またはネットワークベースの命令(例えば、オンライン経由ウェブサイト較正、または、クラウドベースのサービス)を実装する場合があると考えられる。これらの実施形態では、機器を通じたオンライン設定の利用は、追加のパラメータを考慮に入れることができると考えられる。
【0049】
空気袋の実装
少なくとも一つの実施形態では、そして
図1に見られるように、空気袋(3)は内側の本体とポリマ樹脂との間に位置する。更に言えば、幾つかの実施例では、使われる構成に依存して、マイクロポンプ(8)は本体(2)または筐体(11)の内部に位置することができると考えられる。マイクロポンプ(8)は単一の、または二方向を持つ圧電、または電磁ダイアフラム式ポンプである場合があると考えられる。耳栓の応用事例では、マイクロポンプ(8)は空気袋(3)内に設置される場合がある。
【0050】
空気袋(3)は、耳装着具との通信手段を持つ機器を活用する事により、空気袋(3)へ与えられた入力に基づき、本体(2)を拡張、または収縮させることに活用されることができる。このように、空気袋システムを活用する事で、フィットを制御するように、アプリを実装することができると考えられる。
【0051】
空気袋(3)は、密閉されており、周辺の空気を含むるがそれに限定されない、充填ガスの温度を制御する手段により動作する場合がある。温度調整装置は、当業者であれば容易に理解される他の構成の中でも、例えば、抵抗熱源素子、またはペルチェ素子、を含むことができる。これらの実施形態では、空気袋(3)内ガスの熱拡張は、本体(2)の拡張、または収縮に活用される。幾つかの実施形態では、加熱素子と冷却素子は、空気袋(3)に含まれるか、本体(2)に含まれるか、スリーブ(1)の表面上か、内部本体の表面上か、筐体(11)の表面上か、筐体(11)内に、具体的応用の必要性に応じて、空気袋(3)と流体連通のために、含まれることができる。
【0052】
幾つかの実施形態では、空気袋(3)は筐体(11)と覆い(1)または本体(2)の間に位置すると考えられる。更に言えば、幾つかの実施例では、空気袋(3)は、スリーブ(1)の形態に統合された、一つの、または複数のポケットから構成できる。
【0053】
スリーブの実装
少なくとも一つの実施形態では、特定の実施形態に応じて、スリーブ(1)は、本体(2)及び/又は本体(2)及び光源(4)による構成の外面に適用されるように、カスタマイズされた耳挿入具(10)のために実装される。
【0054】
少なくとも一つの実施形態では、スリーブ(1)は本体の覆いとして物理的に機能すると考えられる。更に言うと、スリーブ(1)は応用に応じて、任意の種類の材質で構成することができると考えられる。ヘッドフォン応用では、使用される材質は、その下にあるスピーカ部品(6)からの出力が、事前に定められた満足できる音の品質で機能する事を可能にしなければならない。
【0055】
少なくとも一つの実施形態では、スリーブ(1)の構造は、下にある本体(2)にぴったり沿うことを可能にし、必要な弾性を提供する、任意の材料である。スリーブ(1)の材料は、泡状物質、シリコーン、綿、羊毛、ゴム、ポリマ、プラスティック、合成物質、自然物質、ラテックス、熱可塑性加硫物(thermoplastic vulcanizate)、熱可塑性エラストマ、熱可塑性ポリウレタン及び複数の材料の組み合わせがオーバーモールドされた物、を含む場合があり、かつそれらに限定されない。
【0056】
少なくとも一つの実施形態では、スリーブ(1)を、本体(2)に固定することができ、他の実施形態では、スリーブ(1)を本体(2)から取り外すことができると考えられる。
【0057】
幾つかの実施形態では、スリーブ(1)の選択された内側の又は外側の表面は、フォトポリマを通る光の伝播を補助する為に、反射材により被覆される場合があると考えられる。
【0058】
幾つかの実施形態では、フォトポリマに対する光の、意図しない/望まない暴露を遮断または減少させるために、スリーブ(1)の内側及び/又は外側の表面の範囲を選択するように、皮膜形成が適用されると考えられる。皮膜は、可視光、赤外線、及び/又は、紫外線スペクトラムの中で、全ての光の通過、または、選択された周波数帯域を遮断することができる。
【0059】
幾つかの実施形態では、フォトポリマに対する、意図しない/望まない光暴露を防ぐ又は減少させる為に、スリーブの材料の選択領域に添加物か混ぜられる場合があると考えられる。皮膜は、可視光、赤外線、及び/又は、紫外線スペクトラムの全ての光の通過、または、選択された周波数帯域を遮断する場合がある。
【0060】
耳挿入具がフィットする機構
耳挿入具のフィットは、さまざまな機構を活用して構成されると考えられる。少なくとも一つの実施形態では、耳挿入具が使用者に装着されている際に、さまざまな測定が可能であるように、本体(2)内にトランスデューサが実装される。トランスデューサは、本体(2)内への組み込み、又はスリーブ(1)への固定に十分な寸法を持つ。少なくとも一つの実施例では、トランスデューサは、通信手段により電力供給される。
【0061】
少なくとも一つの実施形態では、トランスデューサは、受信機に無線でデータ送信をするように適合されると考えられる。受信機は、トランスデューサからの送信を受信できるように設定された任意の機器である場合があると考えられる。例えば、少なくとも一つの実施形態では、機器は、ネットワーク対応機器である。幾つかの実施形態では、データを受信する機器は、使用者の個人情報の入力、聴覚機器の為の健康及び安全規格、当業者であれば容易に理解できる他の任意のガイドライン(限定されない)を含む様々な要因を元に、理想的な圧力を計算する。計算された補正は、望ましい設定の為に計算された補正を実装する為に、無線、または通信手段を通して、トランスデューサに送り返される。
【0062】
少なくとも一つの実施形態では、トランスデューサは圧力センサであると考えられる。圧力センサは、歪ゲージを含み、かつそれに限定されない任意の種類の圧力センサで良い。圧力センサは、耳挿入具の本体に対して押圧する耳の圧力を計測する。幾つかの実施形態では、データは記録され、センサ機構内に記憶される。データの転送は、互換性の有る機器が範囲に入ったときに無線で行われる場合がある、または、USBのような従来型の通信手段が用いられる物理接続がなされるまで待機することができる。
【0063】
少なくとも一つの実施形態では、事前設定された圧力が適用されることができる設定の機器上にアプリは実装される。幾つかの実施形態では、事前設定される圧力の使用者による設定を許す較正の選択肢がアプリ上に存在する場合がある。代わりに、フォトポリマの本体の硬化の前に、耳挿入具の使用者が圧力を調整する事を許す較正の選択肢がアプリ上に存在する場合がある。少なくとも一つの実施形態では、アプリは、フォトポリマの本体(2)が硬化中に動作可能である。使用者は、アプリにフィードバックを提供し、かつ本体(2)が彼らの耳に掛ける圧力をリアルタイムでカスタマイズする場合もある。幾つかの実施形態では、使用者は、他の使用者、製造者、医師、及び/又は産業の専門家により予め設定された及び/又は推奨された圧力の構成に対して、使用者の要望する適合を比べる場合がある。
【0064】
少なくとも一つの実施形態では、較正は、通信手段を通して、一つ以上のフィードバック部品から、フィードバックを受信する。例えば、フィードバック部品は、使用者の機器に接続されたUSBケーブルを通して繋がっている、一つ以上のマイクロフォン(9)である場合がある。フィードバック部品は、イヤフォン内の特定の場所に埋め込まれた、無線集積回路を通して使用者の機器と通信をする、一つ以上のマイクロフォンであってもよい。マイクロフォン(9)から使用者の機器に送られた情報は、較正のための予め設定された値の組と比較される。これらの値は使用者の機器が接続しているネットワーク対応のデータベースの一部である場合がある。このように、一つ、又はそれ以上のマイクロフォン(9)からのフィードバックを基にして、カスタマイズされた耳装着具がフィットするためには何の操作が要求されるかを決定するための比較の為に、マイクロフォン(9)からの情報は、データベースに送られる。そして、使用者は、使用者の機器が提供した手順に従い、マイクロフォンのフィードバックが、データベース内で予め設定された較正値と一定の閾値にて合致するまで、テストを繰り返す。
【0065】
空洞(cavity)の実施形態
少なくとも一つの実施形態では、カスタマイズ可能な耳挿入具(10)の本体(2)内に空洞(3)が予め構築される。空洞(3)はカスタマイズ可能な耳挿入具(10)の具体的応用事例に依存して、任意の数の目的に用いられる。少なくとも一つの実施形態では、空洞(3)は、聴覚システム部品の挿入を可能にする働きをする。少なくとも一つの実施形態では、空洞(3)はトランスデューサの挿入を可能にする働きをする。少なくとも一つの実施形態では、空洞(3)の形と構成は、要望される音響の応答プロファイルを可能にする働きをする。
【0066】
少なくとも一つの実施形態では、空洞(3)は、一つ以上の聴覚システムの部品、またはトランスデューサを取り付ける事を可能にする機構と共に構成される。取り付け部品は、使用者の意思により、取り付け、そして取り外され、交換できる。
【0067】
少なくとも一つの実施形態では、空洞(3)は、一つ以上の聴覚システム部品またはトランスデューサの実装が空洞(3)に固定され、製造中に一体化し、あるいはその後に部品が取りはずせないように構成される。
【0068】
マイクロフォンの実施形態
少なくとも一つの実施形態では、空洞(3)は、一つ以上のマイクロフォン(9)を収容するように構成される。当業者には容易に理解されるように、マイクロフォンは、カスタマイズ可能な耳挿入具(10)の応用事例に応じて、任意の数の目的に利用される場合がある。
【0069】
少なくとも一つの実施形態では、例えば、風量、風速、または環境音を検出する事により、マイクロフォン(9)は、カスタマイズ可能な耳挿入具(10)の較正に活用される。他の実施形態では、一つのマイクロフォンが本体の外側にあり、一つのマイクロフォンが本体(2)の内側にあるようにマイクロフォン(9)が構成される場合(例えば、本体の側面に潜在的なスピーカを持つ構成)がある。各々のマイクロフォンは、通信手段により音響情報を機器に送信する。機器は、カスタマイズ可能な耳挿入具(10)と使用者の耳の間の空気「漏れ」のような様々な測定基準を決定する。この場合、使用者の耳の中のカスタマイズ可能な耳挿入具(10)の適合を較正する為にマイクロフォンが使用される場合がある。マイクロフォンと、提供された情報との間のインターフェースは、使用者機器上のアプリを通して行われる場合がある。
【0070】
少なくとも一つの実施形態では、一つのマイクロフォンは耳挿入具の外側の音圧レベルを測定し、第二のマイクロフォンは、耳内にある耳挿入具の、近位端に近い部分の音圧を測定することが考えられる。これらの実施形態では、デシベルで計測される雑音レベルの減少量が、適切な密閉を実現したことの判定に使われる。
【0071】
少なくとも一つの実施形態では、較正は、カスタマイズ可能な耳挿入具(10)を硬化する前に、カスタマイズ可能な耳挿入具(10)の適合具合を較正する為に、マイクロフォンを活用した較正が活用される場合がある。マイクロフォンは、本体(2)上の、あらかじめ決定された位置におけるバイパス音圧レベルを計測するために用いられる場合がある。このように、アプリは、カスタマイズ可能な耳挿入具(10)の最適な空間的適合を保障するために正確な圧力をマップする、ために、マイクロフォンから送られた情報を活用する。
【0072】
少なくとも一つの実施形態では、当業者であれば容易に理解される技術を活用して、一つ以上のマイクロフォン(9)が周辺音の雑音キャンセルに用いられる場合がある。
【0073】
スピーカ実施形態
少なくとも一つの実施形態では、空洞(3)は、音響出力を提供する為に、一つ以上のスピーカ(6)を収容するように構成される。少なくとも一つの実施例では、使用者に音響出力を提供する為に、スピーカ(6)が本体(2)のモールド内部に完全に統合されるように、スピーカ(6)を音響機器に(固定されるか、取り外し可能に)取り付けることができる。
【0074】
少なくとも一つの実施形態では、環境条件に基づいた聴覚検査を使用者に提供する事により、カスタマイズ可能な耳挿入具(10)の較正にスピーカ(6)が活用される。スピーカ(6)と提供される情報の間のインターフェースは、使用者の機器上のアプリにより行われる場合がある。アプリは、理想的な聴覚反応のシミュレーションを含む場合があり、使用者の活動に基づいて、音響の応答と明晰さに関する調査を使用者に完了させる要求を含む場合がある。
【0075】
少なくとも一つの実施形態では、スピーカ(6)は、特定の周波数と音圧レベルの音色を提供し、較正に活用される。本体(2)の外部にマイクロフォンが用意された実施形態では、それらの音色の存在を計測する為に使用できる。そのため、デシベルで計測される雑音レベルの減少量は、いつ適切な密閉が実現されたかを判定する為に使用される。
【0076】
前述された本発明の実施形態は、例であり、様々に多様であることができる事は明らかである。この、そのような現在、又は、将来の多様性は、本発明の範囲からの逸脱と捕らえられるべきではなく、当業者によって明らかなように、全てのそのような変更は、後に続く請求の範囲に含まれるものとする。