【文献】
Tobias Lindstrom Jensen et al.,Mutual Information Metrics for Fast Link Adaptation in IEEE 802.11n,Communications, 2008. ICC '08. IEEE International Conference on,2008年 5月,p.4910-4915
【文献】
Zan Yang,et al.,Scalable Video Broadcast Over Downlink MIMO-OFDM Systems,IEEE Transactions on Circuits and Systems for Video Technology,2013年 2月,Vol.23, No.2,p.212-223
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
情報ビット入力を誤り訂正符号化処理により符号化ビットを生成し、当該符号化ビットに対してデジタル変調された変調信号を受信するFPUシステムの受信装置であって、
受信信号から誤り訂正符号化の符号化ビットに対する対数尤度比を算出する復調手段と、
前記符号化ビットに対する対数尤度比に対して、平均相互情報量を算出する手段と、平均相互情報量と所要ビット誤り率を満たす復号手段入力相互情報量もしくは復調手段出力相互情報量から伝送中の符号化率または変調方式における伝送マージンと伝送中の符号化率または変調方式とは異なる符号化率または変調方式における伝送マージンを算出する手段と、
入力された符号化ビットに対する対数尤度比から前記誤り訂正符号化に対応した誤り訂正復号手段と、
ディスプレイにより表示を行う表示手段と、を備え
前記伝送マージンを算出する手段で算出された伝送マージンを前記表示手段に表示することを特徴とする受信装置。
情報ビット入力を誤り訂正符号化処理により符号化ビットを生成し、インタリーブ手段を備えるインタリーバにより所定の順序に並び替えられた当該符号化ビットに対して、デジタル変調された変調信号を受信する請求項1に記載された受信装置であって、
受信信号と事前情報に基づいて符号化ビットに対する対数尤度比を算出する復調手段と、
送信側の前記インタリーバで並び替えられたデータの順序を元の順序に再度並び替えるデインタリーブ手段を備えるデインタリーバ部と、
前記デインタリーバ部の、前段又は後段の少なくとも一方に配置される相互情報量算出手段とマージン算出手段を有し、
前記相互情報量算出手段は、前記デインタリーバ部の前段に配置された場合には、前記デインタリーバ部に入力される復調手段出力の符号化ビットに対する対数尤度比に対して、平均相互情報量を算出する手段を有し、前記デインタリーバ部の後段に配置された場合には、デインタリーバ部による並び替え後の復号手段入力の符号化ビットに対する対数尤度比に対して、平均相互情報量を算出する手段を有し、
前記マージン算出手段は、平均相互情報量算出手段により得られた平均相互情報量と所要ビット誤り率を満たす復調手段出力相互情報量もしくは復号手段入力相互情報量から伝送マージンを算出する手段を備え、
入力された符号化ビットに対する対数尤度比から前記誤り訂正符号化に対応した復号処理により、外部情報に基づく符号化ビットに対する対数尤度比を算出する復号手段と、
復号手段出力の符号化ビットを所定の順序に並び替えるインタリーブ手段を備えるインタリーバと、前記インタリーバ出力を復調手段の事前情報として入力する手段を備え、
前記誤り訂正復号手段によって得られた情報ビットに対する対数尤度比あるいは硬判定結果を算出する手段を備えることを特徴とする受信装置。
基地局と移動局を備え、前記基地局と前記移動局が、情報ビット入力を誤り訂正符号化処理により符号化ビットを生成し、当該符号化ビットに対してデジタル変調された変調信号を送受信するFPUの無線通信システムであって、
前記基地局では、誤り訂正符号化を施す手段とデジタル変調を施す手段と、受信処理部から通知された伝送マージンに基づいて、変調方式または符号化率の少なくともいずれか一方を変更して送信する手段を備えた送信処理部と、
前記移動局からのデジタル変調された変調信号を受信する手段と、受信信号から前記移動局で生成された伝送マージンを抽出する手段を備えた受信処理部を備え、
前記伝送マージンを誤り訂正符号化制御部に通知する手段を前記送信処理部又は前記受信処理部のいずれかを備え、
前記移動局では、誤り訂正符号化を施す手段とデジタル変調を施す手段と、フィードバック情報を含んだフレーム信号を送信する手段を備えた送信処理部と、
前記基地局からのデジタル変調された変調信号を受信する手段と、受信信号から符号化ビットを算出する復調手段を備え、前記符号化ビットに対する対数尤度比に対して平均相互情報量を算出する手段と、平均相互情報量算出手段により得られた平均相互情報量と所要ビット誤り率を満たす復号手段入力相互情報量もしくは復調手段出力相互情報量から伝送中の符号化率または変調方式における伝送マージンと伝送中の符号化率または変調方式とは異なる符号化率または変調方式における伝送マージンを算出する手段と、前記伝送マージンを算出する手段で算出された伝送マージンを表示する表示手段と、前記送信処理部に前記伝送マージンを通知する手段と、誤り訂正復号手段によって得られた情報ビットに対する対数尤度比を算出する手段と、前記情報ビットに対する対数尤度比の判定結果を算出する手段を備えた受信処理部を備え、
算出された伝送マージンに基づきフィードバック情報を生成する手段を前記送信処理部又は前記受信処理部のいずれかに備えることを特徴とする無線通信システム。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。(実施例1)
図1は本発明の一実施形態に係る第一のブロック図である。
以下、送信アンテナ2本と受信アンテナ2本で構成されるMIMO(Multiple Input Multiple Output)伝送システムにおいて説明を行うが、送信装置及び受信送信が1本のアンテナを有するSISO(Single Input Single Output)伝送システム、受信装置のみが2本以上の複数アンテナを有するSIMO(Single Input Multiple Output)伝送システムや送信装置のみが2本以上の複数アンテナを有するMISO(Multiple Input Single Output)伝送システムにおいても適用可能である。
【0018】
図1の受信装置は、受信系統1と受信系統2から構成され、受信系統1用のアンテナ101−1、受信系統2用のアンテナ101−2、受信系統1用のRF(Radio Frequency:無線)部102−1、受信系統2用のRF部102−2、復調部103、受信系統1用のデインタリーバ部104−1、受信系統2用のデインタリーバ部104−2、MUX(Multiplexer:マルチプレクサ)部105、復号部106、硬判定部107、相互情報量算出部108、マージン算出部109を備える。
【0019】
アンテナ101−1及びアンテナ101−2は送信装置から送信された無線信号を受信し、RF部102−1及びRF部102−2はそれぞれアンテナ101−1とアンテナ101−2で受信した搬送波周波数帯の受信信号からベースバンド信号にダウンコンバートし、復調部103にそれぞれ受信信号Y
1とY
2を出力する。本実施例において、添え字の1と2はそれぞれ受信系統1と受信系統2であることを示している。
【0020】
復調部103は、得られた受信信号Y
1とY
2を復調処理することで、符号化ビットLLRL
Ep,1とL
Ep,2(添え字のpはPosteriorの頭文字を示している)をそれぞれ算出する。ここで、符号化ビットとは、誤り訂正符号化後のビットを示し、誤り訂正符号化前のビットを以下、情報ビットと呼ぶ。ビットLLRは、当該ビットが0である尤度と1である尤度の比の対数で定義される。
例えば、MLD(Maximun Likelihood Detection)は、受信信号とレプリカ(伝送路推定結果から算出した理想受信点)の距離を利用することで、符号化ビットLLRL
Ep,1とLLRL
Ep,2を求める。この符号化ビットLLRL
Ep,1とLLRL
Ep,2を用いて、各系統での復調部103の出力LLRL
Ee,1とLLRL
Ee,2(添え字のeはExtrinsicの頭文字を示している)をそれぞれ(式1)(式2)に従い、算出する。
【数1】
L
Ea,1は受信系統1における事前情報に基づく符号化ビットLLR、L
Ea,2は受信系統2における事前情報に基づく符号化ビットLLRであり、本一実施例では、送信信号に関する事前情報がないため、L
Ea,1=L
Ea,2=0であり、L
Ee,1=L
Ep,1とL
Ee,2=L
Ep,2となる。算出した復調部103の出力LLRL
Ee,1をデインタリーバ部104−1、L
Ee,2をデインタリーバ部104−2に出力する。
【0021】
デインタリーバ部104−1とデインタリーバ部104−2は、それぞれ入力されたL
Ee,1とL
Ee,2に対して、送信装置で施されたインタリーブを元の順序に戻るように並び替える処理をそれぞれ施す。並び替え後の出力L
Da,1とL
Da,2をMUX部105に入力する。
MUX部105は入力されたL
Da,1とL
Da,2に対して、送信装置で施された系統間振り分け処理を元の順序に戻るように並び替える処理を施す。並び替え後の出力である復号部106の入力LLRL
Daを復号部106及び相互情報量算出部108に出力する。
復号部106は入力されたLLRL
Daに対して、例えば、最大事後確率復号などを用いて復号処理を行い、復号部106の出力情報ビットLLRL
Duを算出し、硬判定部107に出力する。
硬判定部107は、硬判定などの判定処理により得られる復号結果uを出力する。
【0022】
相互情報量算出部108は入力されたLLRL
Daに基づき、相互情報量を算出する。本発明の一実施例では、この相互情報量から伝送マージンを算出することにより、様々な伝送路環境であっても適切な伝送マージンを算出できる装置を提供することを特徴とする。以下、L
Daから相互情報量を算出する過程を示し、算出した相互情報量からマージンを算出する方法を説明する。
相互情報量I(X;Y)は、事象Yの値を知ることにより、確率変数Xに関する情報が事象Yにどれだけ含まれているかを定量的に示し、(式3)で求められる。
【数2】
ここで、H(X)は相互情報量における事前エントロピー、H(X|Y)は事後エントロピーと呼ばれる。
確率変数Xにおける事前エントロピーH(X)は(式4)で求められる。
【数3】
ここで、P(X=i)は確率変数Xがiとなる確率を表す。Xを送信装置での符号化ビットC
n(添え字のnは符号化後のビット系列のインデックスを示す)とすると、C
nは2値{0,1}を取るため、P(C
n=0)とP(C
n=1)をそれぞれP
0とP
1とすると事前エントロピーH(C
n)は次(式5)で求められる。
【数4】
P
0とP
1の生起確率は等確率を1/2とすると、H(C
n)は(式6)となる。
【数5】
次に、事後エントロピーH(C
n|Y)は(式7)で求められる。
【数6】
【0023】
符号化ビットC
nに対応する復号部106の入力LLRL
Da(C
n)を事象Yとすると、復号部106の入力LLRL
Da(C
n)が得られた条件下で、C
nが0と1である確率をそれぞれP’
0とP’
1とした時、事後エントロピーH(C
n|L
Da(C
n))は(式8)となる。
【数7】
(式3)に(式6)と(式8)を代入することにより、n番目の符号化後のビット系列における相互情報量をI
n=I(C
n;L
Da(C
n))とすると、相互情報量I
nは(式9)となる。
【数8】
【0024】
従って、相互情報量I
nはビット確率P’
0とP’
1で算出することが可能である。n番目の復号部106の入力の符号化ビットC
nが、0と1である確率をそれぞれP’
0(C
n),P’
1(C
n)とすると、復号部106の入力LLRL
Da(C
n)は(式10)で与えられる。
【数9】
(式9)を式変形することにより、P’
0(C
n)とP’
1(C
n)はそれぞれ(式11)(式12)で表わされる。
【数10】
(式9)に(式11)と(式12)を代入することにより、相互情報量I
nは(式13)となる。
【数11】
【0025】
従って、相互情報量算出部108では、相互情報量I
nを入力されたL
Da(C
n)より算出できる。
相互情報量I
nの算出方法としては、例えば、復号部106の入力LLRL
Da(C
n)が与えられた時の相互情報量I
nを算出する変換テーブルやテーブルを不要とするマクローリン展開を用いた近似計算などが挙げられる。(式13)の相互情報量は瞬時的な値であるため、そのばらつきは大きい。従って、符号化ビット数N(Nは自然数)に対するサンプル平均を取ることでばらつきを抑えた平均相互情報量I
Eを(式14)で算出し、マージン算出部109に出力する。
【数12】
【0026】
復調処理の相互情報量入出力特性は、アンテナ相関等の伝送路環境に依存するため、復調処理後の平均相互情報量I
Eは、受信CNRなどでは考慮されないアンテナ相関の影響が考慮された値となる。また、相互情報量算出部108で算出する平均相互情報量I
Eは、アンテナ相関に関するパラメータが不要である。
【0027】
図1は、デインタリーバ部104−1,104−2などによる遅延を考慮し、復号部106の入力LLRL
Daを用いて相互情報量を算出する手法を説明したが、復調部103の出力相互情報量と復号部106の入力相互情報量は間にデインタリーバ部104−1,104−2が接続されているだけで、相互情報量としては同値となる。従って、例えばシリアル伝送の復調部103の出力LLRをL
Eeとすると、上記で算出した平均相互情報量I
Eは符号化ビット数Nが十分多ければ、復号部106の入力LLRL
Daの代わりに復調部103の出力LLRL
Eeを用いても同値となるため、復調部103の出力LLRL
Eeを用いて、I
Eを算出しても良い。
また、各系統の復号部106の入力LLRL
Da,1とL
Da,2をMUX部105にて束ねて相互情報量を算出する例を説明したが、系統ごとに平均相互情報量I
Eを算出しても良い。
【0028】
マージン算出部109では、入力された平均相互情報量I
Eと計算機シミュレーション等により得られた所要ビット誤り率γ以下を達成する相互情報量I
Rに基づき、伝送マージンI
Mを(式15)で求めることができる。
【数13】
復号処理の相互情報量入出力特性は、伝送路特性や受信CNRに関わらず、誤り訂正符号化方式のみに従い、一意に決定される。この入出力特性より、復号部106の入力相互情報量に対するビット誤り率が算出可能であることは周知の技術であり、
図7のようにグラフで描くことが可能である。例えば、送信装置で畳み込み符号を用いる場合、符号化率rのみが可変のパラメータであれば、各符号化率(例えばr=1/2,2/3,3/4,5/6)に応じた所要ビット誤り率γを達成する相互情報量I
Rは事前に予め算出可能である。従って、各符号化率での相互情報量I
Rをテーブルとして記憶し、参照することにより、伝送中の符号化率と異なる符号化率の伝送マージンI
Mも算出することが可能である。例えば、
図8に示すように、送信装置で設定中の符号化率r=1/2における伝送マージンI
M,r12と異なる符号化率r=2/3における伝送マージンI
M,r23を同時に算出可能となる。
【0029】
また、符号化率と同様に各変調方式における伝送マージンも同時に算出することが可能である。計算機シミュレーション等により、各変調方式における復調部103出力のLLRに対する関係性を得ることができる。
【数14】
【0030】
(式15)より得られた伝送マージンI
Mを例えば、ディスプレイなどに表示させることで、受信装置を使用するユーザは伝送マージンI
Mを知ることが可能となる。
上記は、相互情報量を用いた伝送マージンI
Mの代表例であり、それに準ずる情報を提供しても良い。例えば、伝送マージンI
Mが0に近づいた場合に警報アラームを知らせるなどが挙げられる。
【0031】
上述の実施例により、復号部106の入力LLRL
Daより平均相互情報量I
Eを算出し、得られた平均相互情報量I
Eに基づき、伝送マージンI
Mを算出することで、アンテナ相関の影響を考慮した適切な伝送マージンを提供することが可能である。
【0032】
(実施例2) 次に、実施例2について、
図2を用いて説明する。
図2は本発明の一実施形態に係る第二のブロック図である。
図1と同一の符号を付した処理部については、第一のブロック図の説明と同一の動作であるため、説明は省略する。第二のブロック図は、第一のブロック図で説明した受信装置に複数回の反復処理を実施するターボ信号処理を備えていることを特徴とする。
以下、送信アンテナ2本と受信アンテナ2本で構成されるMIMO伝送システムにおいて説明を行うが、SISO伝送システム、SIMO伝送システムやMISO伝送システムにおいても適用可能である。
【0033】
ターボ信号処理は、復調部201と復号部204をデインタリーバ部202−1,202−2とインタリーバ部206−1,206−2を介して接続し、反復処理をしながら復調部201と復号部204間で符号化ビットLLRを相互に受け渡すことにより、復号性能を向上させる手法である。
【0034】
復調部201は、第一のブロック図と同様に、各系統でのRF部102−1,102−2より出力されるY
1とY
2及び各系統のインタリーバ部206−1,206−2から出力される事前情報に基づく復調部201の入力LLRL
Ea,1とL
Ea,2より、各系統での復調部201の出力LLRL
Ee,1とL
Ee,2を(式1)と(式2)に従い、算出する。得られた復調部201の出力LLRL
Ee,1はデインタリーバ部202−1、L
Ee,2はデインタリーバ部202−2に出力する。但し、第一回目の反復処理前ではL
Ea,1とL
Ea,2が得られていないため、L
Ee,1=L
Ep,1及びL
Ee,2=L
Ep,2である。
【0035】
デインタリーバ部202−1と202−2は、それぞれ入力されたL
Ee,1とL
Ee,2に対して、送信装置で施されたインタリーブを元の順序に戻るように並び替える処理を施す。並び替え後の復号部204の入力LLRL
Da,1とL
Da,をMUX部203に出力する。
MUX部203は、入力されたL
Da,1とL
Da,2に対して、送信装置で施された系統間振り分け処理を元の順序に戻るように並び替える処理を施す。並び替え後の出力である復号部204の入力LLRL
Daを復号部204及び相互情報量算出部108に出力する。
【0036】
復号部204は、入力されたL
Daに対して、例えば最大事後確率復号などを用いて復号処理を行い、事後情報に基づく符号化ビットLLRL
Dpを算出し、復号部204の出力LLRL
Deを(式16)に従い、算出する。
【数15】
L
Daは復号部204の事前情報に基づく符号化ビットLLRである。算出した復号部204の出力LLRL
DpをDEMUX(DeMultiplexer:デマルチプレクサ)部205に出力する。
DEMUX部205は、入力されたL
Dpに対して、送信装置で施された系統間振り分けと同じ処理を施す。振り分け後の受信系統1に対する出力L
De,1と受信系統2に対する出力L
De,2をそれぞれインタリーバ部206−1,206−2に出力する。
【0037】
インタリーバ部206−1,206−2では、入力されたL
De,1とL
De,2に対して、送信装置で施されたインタリーブと同様の並び替える処理を施す。並び替え後の復調部入力LLRL
Ea,1とL
Ea,2を復調部201に出力することで第一回目の反復処理が完了する。
【0038】
第二回目以降の反復処理では復調部201は、実施例1と同様に、各系統でのRF部102−1,102−2より出力されるY
1とY
2及び各系統のインタリーバ部206−1,206−2から出力される事前情報に基づく復調部201の入力LLRL
Ea,1とL
Ea,2より、各系統での復調部201の出力LLRL
Ee,1とL
Ee,2を(式1)と(式2)に従い、再度算出する。反復処理により、復号部204より得られる各系統での復調部201の出力LLRL
Ee,1とL
Ee,2を用いることで、符号化ビットに関する事前情報が増えた(言い換えれば、符号化ビットに関するあいまいさが減少した)状態で復調処理が行われる。従って、復調部201の出力LLRL
Ee,1とL
Ee,2から得られる平均相互情報量I
Eは増加する。
【0039】
以上の一連の処理を所定の回数だけ繰り返した後、復号部203では、実施例1と同様にL
Daに対して、例えば最大事後確率復号などを用いて復号処理を行い、L
Duを算出し、硬判定部107に出力する。
硬判定部107は、硬判定などの判定処理により得られる復号結果uを出力する。
【0040】
相互情報量算出部108は、
図1の第一のブロック図の動作説明と同様に(式14)に従い、平均相互情報量I
Eを算出する。
図2の第二のブロック図の動作説明はターボ信号処理に基づくため、反復処理ごとに平均相互情報量I
Eを算出しても良いし、1以上の任意の反復数において平均相互情報量I
Eを算出しても良い。
【0041】
マージン算出部108では、入力された平均相互情報量I
Eより、第一のブロック図の動作説明と同様に(式15)に従い、伝送マージンI
Mを算出する。例えば、反復処理回数を最大2回とした時、反復処理前の平均相互情報量と伝送マージンをそれぞれI
E,0とI
M,0、反復処理1回目の平均相互情報量と伝送マージンをそれぞれI
E,1とI
M,1、反復処理2回目の平均相互情報量と伝送マージンをそれぞれI
E,2とI
M,2とすると、
図9のような関係となる。反復処理に伴い、平均相互情報量が増加するため、伝送マージンも増加する。
【0042】
以上の第二のブロック図の動作説明により、受信装置が複数回の反復処理を実施するターボ信号処理を備えている場合において、復号部204の入力LLRL
Daより平均相互情報量I
Eを算出し、平均相互情報量I
Eに基づく伝送マージンI
Mを算出することで、アンテナ相関の影響に応じた適切な伝送マージンを提供することが可能である。
【0043】
(実施例3) 次に、実施例3について、
図3を用いて説明する。
図3は本発明の一実施形態に係る第三のブロック図である。
図1と同一の符号を付した処理部については、第一のブロック図と同一の動作であるため、説明は省略する。第三のブロック図は、他システムからの干渉信号の混入によるビット誤り率の劣化を抑圧するため、被干渉信号の消失訂正部を備えた構成である。以下、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing:直交周波数分割多重方式)変調された信号を受信する受信装置を想定して説明を行うが、シングルキャリア変調においても適用可能である。
【0044】
干渉検出部301では、例えば非特許文献2で開示されているCVI(Carrier Variance Information)を用いて、干渉波が混入しているl番目のサブキャリアの信号Y
lを検出し、消失訂正部302において、所定の閾値よりY
lの被干渉電力が所定の閾値より大きい場合は消失訂正処理を行う。消失訂正処理とは、データの消失処理を示しており、Y
lを0もしくは0に近似した値に変換する。消失訂正後の信号Y
dを復調部103に出力する。
【0045】
消失訂正処理を行わない場合は、本来、干渉波が混入してしまうことによりLLRの絶対値が低くなってしまうにも関わらず、干渉による受信レベルの増加に伴い、LLRが高いと誤認識し、復号結果に悪影響を及ぼしてしまう。そのため、消失訂正により干渉波が混入したサブキャリアの尤度を下げることで、受信特性が改善することができる。一方で消失訂正処理により、復号部106の入力LLRL
Da =0となるサンプルが生じるため、消失訂正処理後の平均相互情報量I
Eは、干渉波が混入していない時に比べて減少するため、数式15で算出する伝送マージンI
Mも減少する。
【0046】
また、消失訂正処理を行わずに算出した伝送マージンをディスプレイに表示し、被干渉信号による相互情報量の劣化量などを確認することも可能である。
図3では、復調部103前に干渉検出部301及び消失訂正部302を備えていたが、復調部103の後に備わっていても良い。
上記で説明した第三のブロック図の動作説明により、被干渉信号の消失訂正が施された受信信号Y
dに対して、相互情報量I
Mを算出することで、被干渉信号による受信レベルの変動が大きい場合においても適切な伝送マージンを設計することが可能となる。
【0047】
(実施例4) 次に、実施例4について
図4を用いて説明する。
実施例4は、実施例3で説明した消失処理訂正部を有し、受信装置で生成した伝送マージンを送信装置にフィードバックし、そのフィードバック情報に基づいて、送信装置はAMCを行う機能を備えた構成である。
以下に説明する実施例4は、TDD(Time Division Duplex:時分割複信)システムのフレーム構成を備える無線装置について説明を行うが、FDD(Frequency Division Duplex)システムのフレーム構成を備える無線装置においても適用可能である。
【0048】
実施例4の無線システムの構成について、
図4と
図5を用いて説明する。
図4は本発明の一実施形態に係るBSのブロック図である。
図5は本発明の一実施形態に係るMSのブロック図である。
実施例4の無線システムはBS(Base Station:基地局)400−1とMS(Mobile Station:移動局)400−2を備え、BS400−1とMS400−2間で無線通信を行う。
【0049】
ここで、実施例4で用いるTDDシステムのフレーム構成例について
図6を用いて説明する。
図6に示すように、1フレームはBSからMSへ送信を行うDL(Down Link)サブフレームと、MSからBSに送信を行うUL(Up Link)サブフレームがあり、両者の間には送受信の処理の切り替えるためのTTG(Transmit Transition Gap)及びRTG(Receive Transition Gap)が設けられている。DLサブフレームはプリアンブル、FCH(Frame Control Header:フレーム制御ヘッダ)、DLデータを含み、ULサブフレームはCQICH(Channel Quality Information Channel)とULデータを含む。
【0050】
BS400−1は、BS送信処理部401−1とBS受信処理部402−1を備える。以下、添え字のt1とr1はそれぞれBS送信処理部401−1とBS受信処理部402−1を示している。
BS送信処理部401−1は、符号化部403−1、インタリーバ部404−1、変調部405−1、フレーム構成部406−1、適応変調符号化制御部407を備え、符号化部403−1では入力された情報ビットb
t1に対して、誤り訂正符号化処理を施して符号化ビットC
t1を出力し、インタリーバ404−1では入力されたC
t1に対して、予め決められた順序にC
t1を並び替えた後の符号化ビットC
t1を出力し、変調部405−1では入力されたC
i,t1に対して、変調処理を施して変調信号X
t1を出力し、フレーム構成部406−1では入力されたX
t1に対して、フレーム同期を取るためのプリアンブルやFCHなどを組み合わせたフレームを構成して得られるX’
t1をRF部408−1に出力し、アンテナ409−1より無線信号を送信する。
【0051】
適応変調符号化制御部407は、BS受信処理部402−1より得られた伝送マージンI
M,r1に基づきMCS情報S
t1を生成し、符号化部403−1及び変調部405−1に出力する。MCS情報S
t1に基づき、次フレームにおいて符号化部403−1では符号化率を、変調部405−1では変調方式を設定する。
【0052】
また、BS受信処理部402−1は、フレーム抽出部410−1、干渉検出部411−1、消失処理部412−1、復調部413−1、デインタリーバ部414−1、復号部415−1、硬判定部416−1、CQICH抽出部417を備え、アンテナ409−1で受信された信号をRF部408−1でベースバンド信号にダウンコンバートし、フレーム抽出部410−1では入力されたY’
r1に対してフレーム同期を確立し、フレーム同期後の受信信号Y
r1を干渉検出部411−1、消失訂正部412−1及びCQICH抽出部417に出力する。
【0053】
干渉検出部411−1は入力されたY
r1に対して実施例3と同様に干渉波が混入しているl番目のサブキャリアの信号Y
l,r1を検出し、消失訂正部412−1において、所定の閾値よりY
l,r1の被干渉電力が所定の閾値より大きい場合は実施例3と同様の消失訂正を行う。消失訂正後の信号Y
d,r1を復調部413−1に出力する。
【0054】
復調部413−1は実施例1と同様に復調処理により、復調部413−1の出力LLRL
Ee,r1を算出してデインタリーバ部414−1に出力する。デインタリーバ部414−1は、MS送信処理部内のインタリーバ404−2で施されたビットの並び替えを元に戻すように並び替える処理を施した復号部415−1の入力LLRL
Ea,r1を復号部415−1に出力する。
【0055】
復号部415−1は、入力されたL
Da,r1に対して実施例1と同様の復号処理を施し、情報ビットLLRL
Du,r1を算出し、硬判定部413−1に出力する。硬判定部413−1では、入力されたL
Du,r1に対して硬判定などの判定処理により得られる復号結果u
r1を出力する。
CQICH抽出部417は、後述するULサブフレームに含まれるCQICHを抽出し、CQICH内に含まれる伝送マージンI
M,r1を適応変調符号化制御部407に出力する。
【0056】
MS400−2は、MS送信処理部401−2とMS受信処理部402−2を備えている。以下、添え字のt2とr2はそれぞれMS送信処理部401−2とMS受信処理部402−2を示している。
MS受信処理部402−2は、フレーム抽出部410−2、干渉検出部411−2、消失訂正部412−2、復調部413−2、デインタリーバ部414−2、復号部415−2、硬判定部416−2、相互情報量算出部418、マージン算出部419を備え、アンテナ408−2で受信された信号をRF部407−2でベースバンド信号にダウンコンバートし、フレーム抽出部409−2では入力されたY’
r2に対してフレーム同期を取り、フレーム同期後の受信信号Y
r2を干渉検出部411−2及び消失訂正部412−2に出力する。
【0057】
干渉検出部411−2は入力されたY
r2に対して実施例3と同様に干渉波が混入しているl番目のサブキャリアの信号Y
l,r2を検出し、消失訂正部411−2において、所定の閾値よりY
l,r2の被干渉電力が大きい場合は消失訂正を行う。消失訂正後の信号Y
d,r2を復調部413−2に出力する。
【0058】
復調部413−2では実施例1と同様の復調処理により、復調部413−2の出力の符号化ビットLLRL
Ee,r2を算出してデインタリーバ414−2に出力する。デインタリーバ部414−2では、BS送信処理部内のインタリーバ部で施されたビットの並び替えを元に戻すように並び替える処理を施した復号部415−2の入力LLRL
Da,r2を復号部415−2に出力する。
【0059】
復号部415−2は、入力されたL
Da,r2に対して実施例1と同様の復号処理を施し、情報ビットLLRL
Du,r2を算出し、硬判定部413−2に出力する。硬判定部413−2は、入力されたL
Du,r2に対して硬判定などの判定処理により得られる復号結果u
r2を出力する。
相互情報量算出部418では、入力されたL
Da,r2に対し、実施例1と同様に平均相互情報量I
E,r2算出し、マージン算出部419に出力する。
マージン算出部419は、入力されたI
E,r2に対し、実施例1と同様に相互情報量に基づいて伝送マージンI
M,r2を算出し、MS送信処理部401−2内のCQICH生成部420に出力する。
【0060】
CQICH生成部420は、入力されたI
M,r2をチャネル品質情報などのフィードバック情報と組み合わせ、フィードバック情報f
t2をフレーム構成部406−2に出力する。
MS送信処理部401−2は、符号化部403−2、インタリーバ部404−2、変調部405−2、フレーム構成部406−2、CQICH生成部420を備え、符号化部403−2では入力された情報ビットb
t2に対して、誤り訂正符号化処理を施して符号化ビットC
t2を出力し、インタリーバ部404−2では入力されたC
t2に対して、予め決められた順序にC
t2を並び替えた後の符号化ビットC
i,t2を出力し、変調部405−1では入力されたC
i,t2に対して、変調処理を施して変調信号X
t2を出力し、フレーム構成部406−1では入力されたX
t2に対して、レンジングやCQICHなどを組み合わせてULサブフレームを構成して得られるX’
t2をRF部407−2に出力し、アンテナ408−2より無線信号を送信する。
【0061】
このように、本実施例では、AMCにおける変調方式と符号化率を復号部415−2の入力LLRL
Da,r2より得られる平均相互情報量I
E,r2に基づいた伝送マージンI
M,r2に応じて設定することで、干渉信号による受信信号品質が劣化している場合においても適切な変調方式や符号化率を設定でき、伝送レートを改善することが可能である。
【0062】
実施例4では、BS400−1のみがAMCを備えた構成例で説明しているが、MS400−2にAMCを備えても良い。また、CQICH抽出部417及び適応変調制御部407は、BS送信処理部401−1とBS受信処理部402−1のいずれか片方に備わっていれば良い。
【0063】
実施例4は、実施例3で説明した消失訂正処理を備えた無線システムにおいて、AMCを備えた送信装置との双方向通信に拡張した例で説明したが、実施例1や実施例2においても拡張可能である。
【0064】
本発明の実施形態である無線通信システムは、高アンテナ相関環境や狭帯域な干渉信号が混入する環境においても適切な変調方式及び符号化率を選択して伝送レートの改善ができる。
【0065】
以上本発明について詳細に説明したが、本発明は、ここに記載された無線通信システムに限定されるものではなく、上記以外の無線通信システムに広く適用することができることは言うまでもない。