(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
バッグ本体、および、前記バッグ本体に設けられ、前記バッグ本体を持ち運ぶのに用いられるハンドルおよび/またはショルダーベルトを含むバッグに用いられる、バッグの緩衝具であって、
筒状のケース、
外周面に突縁部を有し、前記ケース内の軸方向の一方側に組み付けられる筒状の支持部材、
前記ケースの軸方向に変位自在となるように前記支持部材に挿嵌され、その軸方向の一端側が前記バッグに直接または間接に取り付けられる案内ロッド、
前記案内ロッドの軸方向に沿って前記案内ロッドの周囲に配置され、コイル中心線の長さ方向に圧縮荷重を受けるコイルばね、
前記案内ロッドの軸方向の他端側に配設され、前記ケースおよび前記案内ロッドが互いに離れる方向に相対的に変位したときに、前記コイルばねを前記支持部材側に圧縮する押圧部、および
前記ケースの軸方向の他方側に、咬合部により支持されるように組み付けられ、前記バッグに直接または間接に取り付けられる連結部を含み、
前記支持部材は、前記案内ロッドの軸方向でみて、前記コイルばねの圧縮方向に配置され、
前記咬合部は、
前記ケース内の軸方向の他端側で、前記ケースの軸中心線と直交する方向に配設される複数の咬合凹凸部が互いに咬合して形成され、前記ケース内の軸方向に間隔を隔てて一列以上配列される咬合列、および
前記咬合列の内、前記ケース内の軸方向の他端側に最も近い位置に配置される外側咬合列の近傍で、前記ケースの軸方向にみて前記ケースの内側寄りの位置に配設され、前記連結部が係着される係着部を含み、
前記連結部は、前記係着部に係着されると共に、前記外側咬合列により支持されることを特徴とする、バッグの緩衝具。
前記案内ロッドは、当該案内ロッドの軸方向の一端部に、前記ケースの軸方向の一端側から露出する取付部を含むことを特徴とする、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のバッグの緩衝具。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、このような従来のゴルフバッグでは、上記したように、それを持ち運ぶ際には便利なものとなっているものの、10数本のゴルフクラブ、ゴルフボール、ゴルフ用靴等のゴルフ用品が収納されたゴルフバッグは、その重量が10数Kg〜20数Kgの重量物となるため、例えば、ゴルフバッグを持ち運んでいるときの状態から、ゴルフバッグを所望の場所に自立させた状態に配置する場合、使用者に大きな負担を掛けるものとなっていた。
【0005】
すなわち、この従来のゴルフバッグでは、一方の手で取っ手を把持した状態から、ゴルフバッグを自立させる場合、例えば、把持している手でゴルフバッグを持ち上げながら、もう一方の手でゴルフバッグの高さ方向の中間部を抱えるようにして引き起こした後、ゴルフバッグを自立させる動作が必要となる。また、肩ベルトを肩に掛けた状態から、ゴルフバッグを自立させる場合、例えば、一旦、一方の手で取っ手を把持すると共に、もう一方の手で上部リング側の肩ベルトの部位を把持した後、ゴルフバッグを自立させる動作が必要となる。前者の場合および後者の場合の両方とも、一連の動作をスムーズに行なうことは困難であると共に、一連の動作に起因して、使用者に対しては、大きな負担を掛けるものとなっていた。
【0006】
ところで、この従来のゴルフバッグにおいて、上記したように、取っ手を把持した状態ないし肩ベルトを肩に掛けた状態から、当該ゴルフバッグを自立させる場合に、例えば、取っ手の把持位置および肩ベルトの肩掛け位置を変更し、ゴルフバッグの重量中心の位置と、取っ手の把持位置ないし肩ベルトの肩掛け位置とが垂直線上で一致しないように偏移させ、当該ゴルフバッグを回転させることにより、ゴルフバッグを自立させることが考えられる。つまり、取っ手の把持位置または肩ベルトの肩掛け位置を中心にして発生する回転モーメントを利用することにより、ゴルフバッグを自立させる方向に回転させて床面や地面に立て置くようにするものである。
【0007】
ところが、ゴルフバッグを自立させる方向に回転させるとき、回転モーメントの力が付加されたゴルフバッグの総重量は、大きな荷重となって、瞬間的に使用者の手首、腕、肘、肩、背中、腰、膝等に作用し、相当の負担が掛かるものとなっていた。この場合、ゴルフバッグの収納物の重量が大きくなればなるほど、ゴルフバッグの総重量も大きくなって、前記回転モーメントもさらに大きいものとなるので、瞬間的に使用者に掛かる荷重も大きいものとなる。したがって、使用者に対しては、より一層、大きな負担を掛けるものとなっていた。
【0008】
一方で、このような従来のゴルフバッグでは、自立させた状態から、それを持ち運ぶために、その場で瞬時に、取っ手を把持してゴルフバッグを持ち上げる場合、あるいは、肩ベルトを肩に掛けてゴルフバッグを担ぎ上げたりする場合、さらに、肩ベルトを担いだ状態で、階段やゴルフ場の起伏のある場所を歩行する場合に、使用者の手首、腕、肩、背中、腰、肘、膝等に大きな動荷重(衝撃荷重および繰返し荷重)を掛けるものとなり、これまた、使用者に大きな負担を強いるものであった。
【0009】
そこで、本発明の発明者は、上記したような問題点を解消するために、例えば、その一端部がゴルフバッグの上端部の上部リングに係止され、且つ、その他端部がゴルフバッグの中間部の下部リングに係止された肩ベルトにおいて、当該上部リングと肩ベルトの一端部との間に、
図29に示す緩衝具1を配設することを考案した。
【0010】
すなわち、この緩衝具1は、たとえば
図26の(A),(B),(C)に示すように、円筒状のケース2を含み、ケース2の軸方向の一端側および他端側には、それぞれ、カバー3aおよび3bが形成される。カバー3a,3bは、その略中央に貫通孔4a,4bを有する。ケース2とカバー3a,3bとの接続部は、例えば、インサート成形によってねじ式の接続構造を有する。ケース2の中には、緩衝体として、長さ方向を有する引張コイルばね5が収納される。この引張コイルばね5は、一定の内径で複数巻回したばね鋼線材同士を密着させる方向に力が作用する弾性部材である。また、引張コイルばね5の長さ方向の両側の端末部には、フック状に加工された一対のフック部5a,5bが形成される。
【0011】
さらに、一対のフック部5a,5bには、リードバー6a,6bが係着される。リードバー6a,6bは、その軸方向の両側に長孔7,7を有する。一対のフック部5a,5bは、それぞれ、リードバー6a,6bの軸方向の一方側の長孔7,7に係着される。リードバー6a,6bの軸方向の他方側の長孔7,7は、それぞれ、カバー3a,3bの外側に露出されるように、リードバー6a,6bの軸方向の他端側が、カバー3a,3bの貫通孔4a,4bに挿通される。また、カバー3a,3bの外側に露出されたリードバー6a,6bの長孔7,7には、それぞれ、二重リング等の連結環8a,8bが取着される。
【0012】
この緩衝具1は、一方の連結環8aが当該ゴルフバッグの上部リングに取着され、他方の連結環8bが肩ベルトの一端部に取着されることによって、ゴルフバッグの肩ベルトに取り付けられる。このゴルフバッグでは、肩ベルトに配設した緩衝具1の緩衝作用によって、ゴルフバッグの重量による動荷重は緩和され、使用者の手首、腕、肩、背中、腰、肘、膝等に掛かる負担が軽減される。
【0013】
しかしながら、この緩衝具1では、緩衝体として、引張コイルばね5が形成され、この引張コイルばね5の両端末部には、ばね鋼線材の端部を加工して係着用のフック部5a,5bが形成され、フック部5a,5bの形成には急激な形状変化を伴うものとなっている。そのため、緩衝具1に大きな動荷重(衝撃荷重および繰返し荷重)が作用したとき、フック部5a,5bの根元部において応力集中による疲労破壊が発生してフック部5a,5bの根元部およびフック部5a,5bとリードバー6a,6bとの係着箇所が破損することがあり、延いては、当該破損時の衝撃によってカバー3a,3bも破損することがあった。したがって、この緩衝具1では、安定的に緩衝機能を発揮させることができず、その結果、当該緩衝具1がセットされたバッグを携行した場合、使用者の手、腕、肩、背中への負担を軽減することができない虞があった。
【0014】
また、この緩衝具1では、円筒状のケース2の中に、引張コイルばね5のフック部5a,5bとリードバー6a,6bとを係着させた状態で収納した後、ケース2とカバー3a,3bとをねじ接続し、さらに、リードバー6a,6bと連結環8a,8bとを取着することにより、当該緩衝具1が組付けられるため、複雑で且つ脆弱な組付け構造を有するものとなり、また、組付け作業にも手間が掛かるものとなっている。
【0015】
さらに、この緩衝具1では、引張コイルばね5のフック部5a,5bを、リードバー6a,6bおよび連結環8a,8bを介して、被取付体対象に取り付けられるので、ケース2内におけるフック部5a,5bおよびリードバー6a,6bの占有するスペースが長くなる上、一方で、引張コイルばね5の緩衝動作に関わる有効長を十分に確保し、緩衝機能を有効に発揮させるためには、当該引張コイルばね5の有効長を長くする必要があるので、どうしても、当該引張コイルばね5を組み込むスペースも長くなる。そのため、この緩衝具1では、ケース2の長さが長くなり、延いては、緩衝具1の全長も長くならざるを得ない。すなわち、この緩衝具1では、比較的長さの短いスペースに、十分に緩衝機能を発揮させるための有効長を確保しつつ、緩衝体を組み込むことが困難なものとなっていた。
したがって、この緩衝具1では、ゴルフバッグ以外にも、手提げタイプ、肩掛けタイプ、背負いタイプおよびそれらを2つ以上兼用するタイプのバッグ、例えば、ボストンバッグ、トランク、旅行用バスケット、スポーツバッグ、リュックサック、ビジネスバッグ、スーツケース、道具袋、買物袋などに採用するのには、不向きなものであった。
【0016】
それゆえに、本発明の主たる目的は、強固で簡単な組付け構造を有し、安定的に緩衝機能を発揮させることができる、バッグの緩衝具を提供することであり、他の目的は、比較的長さの短いコンパクトなバッグの緩衝具を提供することである。本発明のさらに他の目的は、使用者に負担をかけることなく、簡単にゴルフバッグを所望の場所に自立させた状態で配置するゴルフバッグの自立誘導具として用いることが可能なバッグの緩衝具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
請求項1に係る本発明は、バッグ本体と、バッグ本体に設けられ、バッグ本体を持ち運ぶのに用いられるハンドルおよび/またはショルダーベルトとを含むバッグに用いられる、バッグの緩衝具であって、筒状のケースと、外周面に突縁部を有し、ケース内の軸方向の一方側に組み付けられる筒状の支持部材と、ケースの軸方向に変位自在となるように支持部材に挿嵌され、その軸方向の一端側がバッグに直接または間接に取り付けられる案内ロッドと、案内ロッドの軸方向に沿って案内ロッドの周囲に配置され、コイル中心線の長さ方向に圧縮荷重を受けるコイルばねと、案内ロッドの軸方向の他端側に配設され、ケースおよび案内ロッドが互いに離れる方向に相対的に変位したときに、コイルばねを支持部材側に圧縮する押圧部と、ケースの軸方向の他方側に、咬合部により支持されるように組み付けられ、バッグに直接または間接に取り付けられる連結部とを含み、支持部材は、案内ロッドの軸方向でみて、コイルばねの圧縮方向に配置され
、咬合部は、ケース内の軸方向の他端側で、ケースの軸中心線と直交する方向に配設される複数の咬合凹凸部が互いに咬合して形成され、ケース内の軸方向に間隔を隔てて一列以上配列される咬合列と、咬合列の内、ケース内の軸方向の他端側に最も近い位置に配置される外側咬合列の近傍で、ケースの軸方向にみてケースの内側寄りの位置に配設され、連結部が係着される係着部とを含み、連結部は、係着部に係着されると共に、外側咬合列により支持されることを特徴とする、バッグの緩衝具である。
請求項1に係る本発明によれば、上記した構成を有しているので、ハンドルおよび/またはショルダーベルトを介してバッグを持ち運ぶ際に、当該緩衝具の案内ロッドおよび連結部にバッグの荷重が作用すると、ケースの軸方向にみて、ケースおよび案内ロッドが互いに離れる方向に相対移動する。それによって、押圧部と支持部材とが互いに近づくように移動し、コイルばねは、支持部材側と押圧部との間で圧縮されてコイルばねのばね反力を生じる。このとき、バッグの動荷重による使用者の手首、腕、肘、肩、背中、腰、膝等への負担は、コイルばねの圧縮によるばね反力によって吸収され、緩和・軽減される。バッグは、コイルばねの圧縮に伴うばね反力に抗して動作するので、持ち運び動作が終了して、バッグのハンドルおよび/またはショルダーベルトに掛かっていた荷重が取り除かれると、ケースおよび案内ロッドが互いに近づく方向に相対移動して初期状態に戻る。つまり、バッグはハンドルおよび/またはショルダーベルトを介してバッグを持ち運ぶ前の静止状態に戻る。
案内ロッドは、支持部材の内周面に沿って案内され、スムーズにケースの軸方向に安定して変位するため、軸心に対する横振れおよび振動が生じ難いものとなっている。さらに、コイルばねは、支持部材の外周面に沿って圧縮するため、コイル中心線に対する横振れおよび振動が生じ難いものとなり、その結果、コイルばねが案内ロッドに当接して擦れることを防止し、また、コイルばねが圧縮されたときの座屈も防止することが可能となり、コイルばねを保護するものとなっている。
すなわち、支持部材は、案内ロッドおよびコイルばねの横振れおよび振動を規制して、当該案内ロッドおよびコイルばねを保護する機能を有するものとなっている。また、コイルばねの圧縮による当該コイルばねと案内ロッドとの摩擦抵抗も少なくなるため、コイルばねは、円滑に圧縮されるものとなっている。
一方、連結部は、咬合部によって支持されるように、ケースの軸方向の他方側に組み付けられているので、強固に組み付けられ、ケースから抜け出難いものとなっている。そのため、ハンドルおよび/またはショルダーベルトを介してバッグを持ち運ぶ際に、当該緩衝具の案内ロッドおよび連結部にバッグの荷重が作用した場合でも、この連結部はバッグから外れ難いものとなっている。
また、請求項1に係る本発明によれば、上記した構造を有しているので、ケースの軸方向の他端側は、咬合列において、互いに咬合する複数の咬合凹凸部の密接による摩擦抵抗により、強固な構造を有するものとなっている。また、連結部は、係着部により係着され、且つ、強固な咬合構造を有した咬合列の1つである外側咬合列によって支持されているため、より一層強固にケースに安定して保持されるものとなっている。
そのため、このバッグの緩衝具に大きな荷重が作用したとしても、不用意に連結部がケースから外れたり、それによるケースの破損を防止することが可能となっている。
請求項2に係る本発明は、請求項1に係る発明に従属する発明であって、ケースは、間隔を隔てて横並びに配置される複数の収納部を含み、支持部材は、間隔を隔てて横並びに配置され、外周面に突縁部を有する筒状の複数の支持部材と、複数の支持部材の外周面の突縁部を連接する支持部材連接部とを含み、案内ロッドは、複数の収納部に組み付けられ、間隔を隔てて横並びに配置される複数の直線状の案内ロッドと、複数の案内ロッドの軸方向の一端部を連接し、ケースの軸方向の一端側から露出するロッド連接部とを含み、コイルばねは、案内ロッドの軸方向に沿って案内ロッドの周囲に配置され、コイル中心線の長さ方向に圧縮荷重を受ける複数のコイルばねとを含み、押圧部は、複数のコイルばねを複数の支持部材側に圧縮する複数の押圧部を含むことを特徴とする、バッグの緩衝具である。
請求項2に係る本発明によれば、上記した構造を有しているので、特に、案内ロッド、コイルばね、押圧部の各部材を横並びに配列した状態で1つのケース内に収納して、所謂、ツインタイプのコンパクトな構成とすることが可能となっている。この場合、所定の長さを有する単一のコイルばねで得られる緩衝機能を、たとえば当該単一のコイルばねの長さの半分の長さを有する一対の2つのコイルばねと代替しても、当初の設定した緩衝機能を維持することが可能となる。
一方で、ゴルフバッグのように大形で比較的重量のあるバッグでは、有効長の長いコイルばねを採用することによりケースの長さが長くなってもあまり不都合は感じられないが、ビジネスバック等のように中形,小形で比較的重量も小さいバッグでは、必要以上の緩衝機能を得るために、ケースの長さが長くなることは、不具合を生じるものとなり、美観の点においても優れたものではない。
したがって、ツインタイプのコンパクトな構成とする請求項2に係る本発明によるバッグの緩衝具は、手提げタイプ、肩掛けタイプ、背負いタイプおよびそれらを2つ以上兼用するタイプの小形,中形のバッグに適用されて好適なものとなる。
請求項3に係る本発明は、請求項1または請求項2に係る発明に従属する発明であって、ケースは、ケースの軸方向の中間部の一方側から他方側にかけて配設され、案内ロッドの軸方向の他端から中間部に至る部位と、支持部材の軸方向の一端から中間部に至る部位と、コイルばねの長さ方向の一端から他端に至る部位と、押圧部とが収納される収納部と、支持部材の少なくとも軸方向の中間部が嵌合される嵌合凹部と、支持部材の突縁部が係止される係止凹部とを含み、収納部と嵌合凹部と係止凹部とは連通され、コイルばねは、ケースの軸方向にみて、押圧部と、収納部および嵌合凹部の境界部との間に、配置されることを特徴とする、バッグの緩衝具である。
請求項3に係る本発明によれば、上記した構成を有しているので、ケースおよび案内ロッドが互いに離れる方向に相対的に変位したときでも、支持部材は、その突縁部がケースの係止凹部に係止される。そのため、支持部材は、当該変位に連動して変位することが規制され、安定して位置決めされる。
請求項4に係る本発明は、請求項1〜請求項3のいずれか1項に係る発明に従属する発明であって、押圧部は、コイルばねの長さ方向の一端部に対向して、案内ロッドの軸方向の他端部に着脱自在に配置されるリング部材と、案内ロッドの軸方向の他端部に締結される締結部材とを含み、ケースおよび案内ロッドが互いに離れる方向に相対的に変位したときに、締結部材は、リング部材を介してコイルばねを圧縮することを特徴とする、バッグの緩衝具である。
請求項4に係る本発明によれば、上記した構成を有しているので、コイルばねは、その長さ方向の一端部がリング部材の面に当接され、その長さ方向の他端部がコイル中心線の長さ方向にみて、収納部と嵌合凹部との境界部の面に当接される。すなわち、コイルばねの長手方向の両側を面で安定して支持することが可能となるため、コイルばねを安定して案内ロッドの周囲に間隔を隔てて正確に位置決めして配置することが可能となっている。
請求項5に係る本発明は、請求項1〜請求項4のいずれか1項に係る発明に従属する発明であって、前記案内ロッドは、当該案内ロッドの軸方向の一端部に、前記ケースの軸方向の一端側から露出する取付部を含むことを特徴とする、バッグの緩衝具である。
請求項5に係る本発明によれば、上記した構成を有しているので、緩衝具と、バッグのバッグ本体および/またはショルダーベルトとの間に、取付部を直接または間接に取り付けることが可能となっている
。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、強固で簡単な組付け構造を有し、安定的に緩衝機能を発揮させることができる、バッグの緩衝具を提供することができ、また、比較的長さの短いコンパクトなバッグの緩衝具を提供することである。さらに、本発明によれば、使用者に負担をかけることなく、簡単にゴルフバッグを所望の場所に自立させた状態で配置するゴルフバッグの自立誘導具として用いることが可能なバッグの緩衝具を提供することができる。
【0019】
本発明の上述の目的、その他の目的、特徴および利点は、図面を参照して行う以下の発明を実施するための形態の説明から一層明らかとなろう。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1は、本発明に係るバッグの緩衝具の実施の形態の一例を示す図であって、
図1(A)は正面図であり、
図1(B)は平面図である。
図2は、
図1(A)の線A−Aにおける断面図である。
図3は、
図1(A)および
図1(B)に示す緩衝具の分解斜視図である。
図4は、
図1(A)および
図1(B)に示す緩衝具のケースの2つの半体を示す図であって、
図3(A)は一方の半体の平面図であり、
図3(B)は他方の半体を示す平面図であり、
図3(C)は一方および他方の半体の正面図である。
この実施の形態に係るバッグの緩衝具は、バッグ本体と、バッグ本体に設けられ、バッグ本体を持ち運ぶのに用いられるハンドルおよび/またはショルダーベルトとを含むバッグに用いられる、バッグの緩衝具である。このバッグの緩衝具の構造について、添付の図面を参照しながら、以下、詳細に説明する。
【0022】
この実施の形態に係るバッグの緩衝具10は、
図1〜
図4に示すように、たとえばTRP(サーモプラスチックラバー)等の弾性材料で形成された円筒状のケース12を含む。このケース12は、ケース12の軸中心線に沿って分割した、略同一形状の一対の2つの半体12A,12Bを突き合わせて接合した一体構造を有するものである。ケース12の胴部14の外周面には、把持部としての役割を担う被覆部16が形成されている。以下の説明では、被覆部16を便宜上「把持部16」と読み替えることにする。
この把持部16の外表面には、間隔を隔てて多数の突起部18が配設されている。多数の突起部18は、シボ加工等により形成されている。そのため、この把持部16を使用者が把持した場合、当該把持部16の材質面の点で、手にフィットして持ち易く、且つ、当該把持部16の突起部18が形成されている点で、滑り止め機能を有するものとなっている。なお、ケース12は、TRP(サーモプラスチックラバー)に限定されるものではなく、それ以外のラバーおよびシリコーン樹脂等の弾性材料で形成されてもよい。また、仮に、ケース12を金属材料、木質材料、硬質樹脂材料等の剛性を有する材料で形成したとしても、当該ケース12の外表面(露出面)に弾性材料からなるシート状物または布生地等を巻回するように構成し、把持部16を形成するようにしてもよい。
【0023】
次に、このケース12内に組み付けられる主たる部材およびその配置について、たとえば
図3、
図4、
図5および
図6を参照しながら、以下、説明する。
このケース12には、たとえば
図3および
図5に示すように、ケース12内の軸方向の一方側に、たとえば円筒状の支持部材20が配設される。この支持部材20は、その外周面に、鍔部となる突縁部22を有し、ケース12内の軸方向の一方側に組み付けられる。この突縁部22は、支持部材20の半径方向に延び設けられ、たとえば円環状に形成されている。支持部材20には、たとえば断面円形の案内ロッド24が挿嵌される。
【0024】
案内ロッド24は、ケース12の軸方向に沿って移動自在(変位自在)となり、案内ロッド24の軸方向の一端側は、支持部材20により支持される。案内ロッド24の軸方向の一端部には、たとえばアイで形成された取付部26が形成されている。この取付部26は、
図1および
図5に示すように、ケース12の軸方向の一端側からケースの外方に露出し、直接または間接にバッグ(
図1〜
図3では、図示せず。)に取り付けられるものとなっている。この場合、ケース12は、その軸方向の一端側に、取付部26の根元部側、つまり、案内ロッド24の軸方向の一端部をケース12から露出させるために、挿通孔27を有している。
また、案内ロッド24の軸方向の他端部には、たとえば
図5に示すように、所定の長さをもって雄ねじ面28が形成されている。この雄ねじ面28には、後述する締結部材36の雌ねじ面38と螺合されるものとなっている。案内ロッド24には、たとえばアイ付きの長ボルトが用いられてもよい。
この実施の形態に係るバッグの緩衝具10では、案内ロッド24の取付部26が、バッグ本体と、ハンドルおよび/またはショルダーベルトとの間で、ハンドルおよび/またはショルダーベルト側に、直接または間接に取り付けられる。
【0025】
さらに、案内ロッド24の周囲には、たとえば
図3および
図5に示すように、コイル中心線の長さ方向に圧縮荷重を受けるコイルばねとして、たとえば円筒状の圧縮コイルばね30が配置される。圧縮コイルばね30は、案内ロッド24の軸方向に沿って配置される。案内ロッド24の軸方向の他端側には、押圧部32が着脱自在に取り付けられる。押圧部32は、たとえば
図6に示すように、ケース12および案内ロッド24が互いに離れる方向に相対的に変位したときに、圧縮コイルばね30を上記した支持部材20の側に圧縮するものである。
【0026】
この押圧部32は、たとえば円環状のリング部材34を含む。リング部材34は、たとえばワッシャで形成されている。リング部材34は、
図3および
図5に示すように、圧縮コイルばね30の長さ方向の一端部に対向して、案内ロッド24の軸方向の他端部に着脱自在に配置される。また、押圧部32は、案内ロッド24の軸方向の他端部に締結される締結部材36を含む。締結部材36は、その内周面に、たとえば雌ねじ面38が形成されている。締結部材36は、案内ロッド24の軸方向の他端部に締結される。締結部材36は、たとえばナットで形成されている。締結部材36は、案内ロッド24の雄ねじ面28に、着脱自在に締結される。この締結部材36は、ケース12と案内ロッド24とが、互いに離れる方向に相対的に移動したときに、リング部材34を介して圧縮コイルばね30を圧縮するものである。このバッグの緩衝具10では、たとえば
図6に示すように、上記した支持部材20が、案内ロッド24の軸方向でみて、圧縮コイルばね30の圧縮方向に配置されている。
【0027】
一方、ケース12の軸方向の他方側には、連結部40が配設される。連結部40は、咬合部42により支持されるようにケース12に組み付けられ、バッグ(
図1〜
図5では、図示せず。)に直接または間接に取り付けられる。連結部40としては、Dカン、茄子カン、丸カン、角カン等の連結金具が適宜用いられ得る。
この実施の形態のバッグの緩衝具10では、連結部40が、バッグ本体と、ハンドルおよび/またはショルダーベルトとの間で、前記バッグ本体側に、直接または間接に取り付けられる。
【0028】
咬合部42は、
図2,
図3および
図4に示すように、ケース12内の軸方向の他端側で、ケース12の軸中心線と直交する方向に配設されるたとえば2列の咬合列44,46を含む。2列の咬合列44,46は、ケース12内の軸方向に間隔を隔てて配列される。2列の咬合列44,46は、それぞれ、複数の咬合凹凸部48が互いに咬合して形成されている。
この場合、2列の咬合列44,46の内、ケース12内の軸方向の他端側に最も近い位置に配置される咬合列44は、外側咬合列として形成される。それで、この咬合列44を便宜上、外側咬合列44と称する。この外側咬合列44の近傍で、且つ、ケース12の軸方向にみて、ケース12の内側寄りの位置には、上記した連結部40が係着される係着部50が配設されている。連結部40は、係着部50に係着されると共に、外側咬合列44により支持されるものとなっている。
【0029】
一方、ケース12は、たとえば
図3および
図4に示すように、たとえば断面略半円形で同一形状の2つの半体12A,12Bを含む。2つの半体12A,12Bは、開放された側同士が突き合わされて、超音波溶着等の適宜な方法により溶着され、一体的に接合されるものである。それにより、2つの半体12A,12Bは、略円筒状のケース12として形成される。2つの半体12A,12Bは、
図4(A),(B)に示すように、それぞれ、平面視矩形で断面半円形の半体収納部52A,52Bを含み、2つの半体12A,12Bが一体化されたときに、ケース12は、その内側に、半体収納部52A,52Bによって、略円柱状の収納部52を有するものとなる。
【0030】
そこで、上記した主たる部材が組み付けられるケース12の内部構造について、たとえば
図3,
図4および
図5等を参照しながら、以下、説明する。
ケース12の2つの半体12A,12Bには、それぞれ、ケース12の軸方向の中間部の一方側から他方側にかけて、たとえば断面略半円形で平面視略矩形の1つの半体収納部52A,52Bが具備される。2つの半体収納部52A,52Bには、それぞれ、案内ロッド24の軸方向の他端から中間部に至る部位54と、支持部材20の軸方向の一端から中間部に至る部位56と、圧縮コイルばね30の長さ方向の一端から他端に至る部位58と、押圧部32のリング部材34,締結部材36とが収納される。
【0031】
また、ケース12の2つの半体12A,12Bには、それぞれ、支持部材20の少なくとも軸方向の中間部が嵌合される嵌合凹部60と、支持部材20の突縁部22が係止される係止凹部62とを具備している。嵌合凹部60は、支持部材20の軸中心線に沿って分割した断面形状に対応して、断面略半円形に形成されている。同様に、係止凹部62は、突縁部22の軸中心線に沿って分割した断面形状に対応して、断面略半円形に形成されている。
さらに、収納部52と嵌合凹部60と係止凹部62とは、連通されている。
圧縮コイルばね30は、ケース12の軸方向にみて、押圧部32のリング部材34の一方主面と、収納部52および前記嵌合凹部60の境界部の面64との間に、配置される。
【0032】
この実施の形態に係るバッグの緩衝具10では、例えば、一方の半体12Aの半体収納部52Aに、上記した主たる部材が組み付けられ、さらに、半体収納部52Bを具備する他方の半体12Bが、一方の半体12Aの上に突き合わされて被せられる。その後、2つの半体12A,12Bが超音波溶着等の適宜な方法により溶着され、一体的に接合されることによって、バッグの緩衝具10が得られるものとなる。
【0033】
図7は、
図1(A)および
図1(B)に示す緩衝具の使用状態の一例を示す図であって、特に、この緩衝具をゴルフバッグに取り付けた状態の一例を示す斜視図である。
図8は、
図7に示すゴルフバッグを肩に掛けて持ち運ぶときの状態の一例を示す斜視図である。
上述したバッグの緩衝具10は、たとえばゴルフバッグの適切な箇所に装着されて、当該ゴルフバッグを自立させた状態で所望する場所に配置することを支援する自立誘導具として用いることができる。そこで、このバッグの緩衝具10が装着され得るゴルフバッグの一例について、たとえば
図7を参照しながら、以下、説明する。
図7は、
図1〜
図6で示したバッグの緩衝具10をゴルフバッグ100に取り付けた状態の一例を示す斜視図である。
ゴルフバッグ100は、ゴルフバッグ本体102を含む。ゴルフバッグ本体102は、その高さ方向の上端部に口枠部104で補強された口部104Aを有する。ゴルフバッグ本体102内には、口部104Aを介して、多数のゴルフクラブ(図示せず)が収納される。また、ゴルフバッグ本体102には、当該ゴルフバッグ本体102を持ち運ぶ際に便利なように、ゴルフバッグ本体102の一側面に、ハンドル106が配設されている。ハンドル106は、たとえばプラスチック材料でC字状に形成され、ゴルフバッグ本体102の高さ方向の上部に配設される。この場合、ハンドル106は、その一端部が取着部材108を介して口枠部104に取着され、その他端部がゴルフバッグ本体102の一側面の高さ方向の上部に取着されている。
【0034】
さらに、ゴルフバッグ本体102には、当該ゴルフバッグ本体102を肩に掛けて持ち運ぶときに便利なように、ショルダーベルト110が取着されている。このショルダーベルト110は、その長手方向の一端部が、適宜な連結部材を介して、ゴルフバッグ本体102の一側面の高さ方向の中間部に取着され、その長手方向の他端部が、上述したバッグの緩衝具10と適宜な連結部材とを介して、取着部材108に取着されている。
すなわち、ショルダーベルト110の長手方向の一端部は、Dカン112、茄子カン114、Dカン116等の適宜な連結部材を介して、ゴルフバッグ本体102の一側面の高さ方向の中間部に設けられた取着部材118に、着脱自在に連結されている。また、ショルダーベルト110の長手方向の他端部は、Dカン120、茄子カン122等の適宜な連結部材を介して、バッグの緩衝具10の取付部26と連結されている。さらに、バッグの緩衝10の連結部40は、茄子カン123およびカラビナ124等の連結部材を介して、ゴルフバッグ本体102の取着部材108に設けられたDカン126に、着脱自在に連結されている。
なお、前記した連結部材としては、Dカン、茄子カン以外にも、丸カン(リングカン)、角カン(手カン)、三角カン、Cカン、二重カン(二重リング)等のその他のカンを用いるようにしてもよく、また、カラビナ以外にも、スイベル、猿カン、回転カン、レバーカン、あるいは、ユニバーサルジョイント、ボールジョイント等、その他、適宜な連結部材が採用され得るものである。
【0035】
図7に示すゴルフバッグ100では、上述した構成を具備しているので、ショルダーベルト110の他端とゴルフバッグ100の口部104Aの近傍との間に、つまり、ショルダーベルト110の上端に、バッグの緩衝具10を着脱自在に取着することができる。そのため、このゴルフバッグ100では、バッグの緩衝具10とショルダーベルト110とを、互いに近接した位置で、且つ、同一直線上に配置することが可能となって、例えば、ショルダーベルト110を肩に掛けた状態から、バッグの緩衝具10の把持部16を当該肩側の手で速やかに把持してゴルフバッグ100を容易に自立させることができる。
【0036】
図7に示すゴルフバッグ100では、緩衝具10の連結部40と、ゴルフバッグ100の口部104Aの近傍とを、茄子カン123およびカラビナ124を介して、容易に連結させることができ、さらに、緩衝具10の取付部26と、ショルダーベルト110の他端とを、茄子カン122を介して、容易に連結させることが可能となっている。つまり、当該ゴルフバッグ100では、特に、緩衝具10の連結部40および緩衝具10の取付部26を介して、ゴルフバッグ100の口部104Aの近傍と、ショルダーベルト110の他端との間に、バッグの緩衝具10を簡単に着脱自在に取着することができるものとなっている。
【0037】
図7に示すゴルフバッグ100において、例えば、ショルダーベルト110を肩に掛けてゴルフバッグ100を持ち運んでいる状態、つまり、
図8に示すように、ゴルフバッグ本体102が床面ないし地面とほぼ平行ないし所定の傾きをもって横向きになっている状態から下に降ろす場合、使用者は、
図9に示すように、肩からショルダーベルト110を外して、一方の手でハンドル106を把持するとともに、他方の手でバッグの緩衝具10の把持部16を把持することによって、緩衝具10の把持部16を力学的支点(回転中心)にして、ゴルフバッグ本体102の下端側を容易に床面ないし地面に自立させる方向に回転させることができる。このとき、ゴルフバッグ本体102を自立させる方向に回転させるときの支点(回転中心)となる緩衝具10の把持部16は、ゴルフバッグ本体102の高さ方向の中央よりも上側、つまり、ゴルフバッグ本体102の口枠部104の近傍に配置されるため、
図11に示すように、ゴルフバッグ本体102の下端部および支点O(緩衝具10の把持部16)間の距離Lが長くなり、回転モーメントの大きさが大きくなる。したがって、ゴルフバッグ本体102を容易に回転させて、床面や地面に素早く自立させることができる。
【0038】
この場合、従来のゴルフバッグ(例えば、特許文献1参照。)のように、回転モーメントの力が付加されることにより、ゴルフバッグ100の総重量が大きな荷重となって、瞬間的に、使用者に相当の負担が掛かることが危惧されるが、
図7に示すゴルフフバッグ100では、特に、バッグの緩衝具10の把持部16が圧縮コイルばね30を有しているので、この圧縮コイルばね30のばねの反力(弾性力)を利用した緩衝作用によって、瞬間的に使用者に掛かる動荷重(衝撃荷重および繰り返し荷重)を吸収して緩和させることができる。そのため、従来技術のように、この動荷重による使用者の手首、肘、肩、腰、膝等に掛かる負担を大幅に軽減させることができる。
したがって、
図7に示すゴルフフバッグ100によれば、使用者に負担をかけることなく、簡単に、ゴルフバッグ100を所望の場所に自立させた状態で配置することが可能となっている。
【0039】
発明者の実験によれば、
図7に示すゴルフバッグ100に荷重を掛けたときに、このバッグの緩衝具10が取着されたゴルフバッグ100では、緩衝具10が取着されていない従来のゴルフバッグに比べて、圧縮コイルばね30の緩衝作用によって、当該ゴルフバッグ100に掛かる荷重(負荷)が、大幅に軽減されることがわかった。
この場合、ロードセルにより荷重を検出する荷重試験機に、所定の重量(98Nおよび196N)の錘Wを取り付けた試料として、バッグの緩衝具10をぶら下げ、静止状態より鉛直下方向に500mm/秒の一定速度で30mm移動させて振動させ、ロードセルに掛かる荷重値を測定した。この場合、比較試験のために、バッグの緩衝具10を取り付けた場合と、当該緩衝具10を取り付けていない場合について荷重値を測定した。
この試験には、
図12および
図13に示すように、インストロン社製のエレクトロダイナミック試験機E3000を用いた。
図15および
図16に、「試験経過時間(推移時間)とロードセル検出荷重値」の関係を示したグラフを示す。
図15は、錘Wの重量が98Nのときのグラフであり、
図16は、錘Wの重量が196Nのときのグラフである。
図15に示すグラフで示されているように、錘Wの重量が98Nの場合で、バッグの緩衝具10を取り付けていない場合には、瞬間的に掛かる荷重が最大略680Nであるのに対して、緩衝具10を取り付けた場合には、最大略440Nとなっていて、大幅に軽減されていることがわかる。同様に、
図16に示すグラフで示されているように、錘Wの重量が196Nの場合で、バッグの緩衝具10を取り付けていない場合には、瞬間的に掛かる荷重が最大略1010Nであるのに対して、緩衝具10を取り付けた場合には、最大略710Nとなっていて、大幅に軽減されていることがわかる。
【0040】
したがって、
図7に示すゴルフバッグ100では、ハンドル106を把持した状態またはショルダーベルト110を肩に掛けた状態から、ゴルフバッグ本体102を自立させる場合、また、当該ゴルフバッグを自立させた状態から、その場で瞬時に、ショルダーベルト110を肩に掛けてゴルフバッグ100を持ち上げる場合、あるいは、ハンドル106を把持してゴルフバッグ100を持ち上げる場合、さらには、ショルダーベルト110を肩に掛けた状態で、階段やゴルフ場の起伏のある場所を歩行する場合、瞬間的に、使用者の手首、肩、腰、肘、膝等に掛かる大きな動荷重を、このバッグの緩衝具10の圧縮コイルばね30の緩衝作用によって緩和させ、使用者に掛かる負担を大幅に軽減させることが可能となっている。
【0041】
図7に示すゴルフバッグ100によれば、使用者は、上述したように、ハンドル106および緩衝具10の協働作用により、ゴルフバッグ本体102を簡単に自立させることが可能となっているが、例えば、ショルダーベルト110を肩に掛けてゴルフバッグ100を持ち運んでいる状態(例えば、
図8参照。)から下に降ろす場合、使用者は、肩からショルダーベルト110を外して、一方の手でこの緩衝具10の把持部16を把持することによって、自立誘導具10の把持部16を力学的支点(回転中心)にして、ゴルフバッグ本体102の下端側を容易に床面ないし地面に自立させる方向に回転させるようにしてもよい(例えば、
図8に示す状態から
図10に示す状態を参照。)。
【0042】
また、
図1〜
図6で示したバッグの緩衝具をゴルフバッグに取り付ける場合、バッグの緩衝具10をショルダーベルト110に連結させる取り付け方法(たとえば
図7〜
図10に示す。)をとることなく、このバッグの緩衝具10を、直接、口部104Aまたは口部104Aの近傍に着脱自在に取り付けるようにすることも可能である(図示せず)。バッグの緩衝具10の連結部40および取付部26のどちらか一方を、たとえば
図7に示すゴルフバッグ100の口部104Aまたは当該口部104Aの近傍に着脱自在に取着することが可能となっているために、このバッグの緩衝具10をゴルフバッグ100の口部104Aまたは当該口部104Aの近傍に後付けすることが自在となり、しかも、後付けする箇所の選定における自由度を高いものとすることが可能となっている。
このゴルフバッグのハンドル106を把持した状態またはショルダーベルト110を肩に掛けた状態から、ゴルフバッグ本体102を自立させる場合、使用者は、上述した
図7に示すゴルフバッグ100のときと同様に、バッグの緩衝具10の把持部16を把持し、当該緩衝具10を中心にして、ゴルフバッグ本体102を自立させる方向に回転させることによって、ゴルフバッグ100を自立させることができる。
【0043】
この場合、従来のゴルフバッグ(例えば、特許文献1参照。)のように、回転モーメントの力が付加されることにより、ゴルフバッグ100の総重量が大きな荷重となって、瞬間的に、使用者に相当の負担が掛かることが危惧されるが、
図7〜
図10に示すゴルフフバッグ100のときと同様に、緩衝具10の圧縮コイルばね30の緩衝作用によって、瞬間的に使用者に掛かる動荷重を吸収して緩和させることができる。そのため、従来技術のように、この動荷重による使用者の手首、肘、肩、腰、膝等に掛かる負担を大幅に軽減させることができる。
【0044】
上記した各ゴルフバッグ100では、使用者が、ゴルフバッグ100を持ち運んでいる状態から当該ゴルフバッグを自立させる場合、あるいは、ゴルフバッグ100が立て置かれた状態から当該ゴルフバッグ100を持ち上げるとき、その動作は、緩衝具10の把持部16を把持することにより、緩衝具10の把持部16を当該動作の基点とすることができる。この場合、緩衝具10は、ゴルフバッグ100の口部104Aの近傍に着脱自在に取り付けられているため、前記した動作が行われる場合、ゴルフバッグ100は、その口部104Aが略上を向く態様となるように保持される。したがって、
図7に示すゴルフバッグ100によれば、従来のゴルフバッグ(例えば、特許文献1参照。)のように、多数のゴルフクラブ等が収納されたゴルフバッグを持ち上げたときに、ゴルフバッグの口部からゴルフクラブが不意に飛び出るようなこともない。
【0045】
図16は、本発明に係るバッグの緩衝具の実施の形態の他の例を示す図であって、特に、その内部構造を示す要部平面図である。
図17は、
図16に示す緩衝具において、荷重が作用したときの圧縮コイルばねの圧縮状態を示す要部平面図である。
このバッグの緩衝具10では、たとえば
図1〜
図6に示すバッグの緩衝具10と比べて、特に、ケース12内に組み込まれるコイルばねの個数および組合せが相違している。すなわち、
図1〜
図6に示すバッグの緩衝具10では、ケース12内に1つの圧縮コイルばね30が配置されたが、
図16,
図17に示すバッグの緩衝具10では、1つの圧縮コイルばね30に加えて、たとえば1つの円錐ばね66が、案内ロッド24の軸方向に縦並びに配置されている。この場合、案内ロッド24の軸方向の中央部には、たとえば円環状の他のリング部材68が着脱自在に配置され、案内ロッド24の軸方向の他端部に配置されたリング部材34と他のリング部材68との間に、円錐ばね66が配置されている。
【0046】
このようにして、圧縮コイルばね30と円錐ばね66とが案内ロッド24の軸方向に直列に配置されて組み合わされたこのバッグの緩衝具10では、たとえば
図7〜
図10に示すゴルフバッグ100でいうと、緩衝具10に掛かるゴルフバッグバッグ100の荷重が、円錐ばね66の緩衝作用を経て圧縮コイルばね30の緩衝作用が働く。この場合、当該荷重により、先ず、円錐ばね66のばねが圧縮していくと、コイル径の大きいほうから線間接触が始まり、それ以降、順次線間接触が進む。線間接触した部分はばね作用がなくなる。つまり、円錐ばね66は、線間接触が進むにつれてばねが硬くなるという非線形ばね特性を有する。そして、次に、円錐ばね66の緩衝作用に引き続いて、圧縮コイルばね30の緩衝作用が働くので、使用者に掛かる負担をスムーズに緩和していくことができる。また、円錐ばね66は、圧縮時コイルの密着高さを低くすることができるため、スペース的に、ケース12の軸方向の長さをより一層小さくすることが可能となる。
そのため、
図16,
図17に示すバッグの緩衝具10によれば、荷重の大きさが異なる多種のバッグに対応することが可能となっている。
【0047】
図18は、本発明に係るバッグの緩衝具の実施の形態のさらに他の例を示す要部分解斜視図である。このバッグの緩衝具10では、たとえば
図1〜
図6に示すバッグの緩衝具10と比べて、特に、案内ロッド24の軸方向の一端部に配設される取付部が相違している。すなわち、
図1〜
図6に示すバッグの緩衝具10では、取付部26がアイで形成されたが、
図18に示すバッグの緩衝具10では、取付部26として、たとえば二重リング70が用いられている。この場合、案内ロッド24は、その軸方向の一端部に長孔72を有し、二重リング70は長孔72に係着される。
【0048】
図19は、
図1(A)および
図1(B)に示す緩衝具の使用状態の他の例を示す図であって、特に、この緩衝具をたとえばビジネスバッグに取り付けた状態の一例を示す斜視図である。
このビジネスバッグ200は、バッグ本体202を含む。バッグ本体202の上部には、手提げ用のハンドル204が配設されている。また、バッグ本体202の長さ方向の両側には、それぞれ、Dカン等の連結具208が配設されている。さらに、バッグ本体200には、ショルダーベルト210が着脱自在に取付可能となっている。ショルダーベルト210は、その両端部に丸カン等の連結具212を有し、当該連結具212には、茄子カン等の連結具214が取着されている。ショルダーベルト210は、その連結具214とバッグ本体202の連結具208とが係着されることにより、バッグ本体202に着脱自在に取り付けられる。この場合、本実施の形態に係るバッグの緩衝具10は、その連結部40がバッグ本体202の一方の連結具208に着脱自在に取り付けられ、取付部26がショルダーベルト210の一端側の連結具214に着脱自在に取り付けられる。
【0049】
図20は、本発明に係るバッグの緩衝具の実施の形態のさらに他の例を示す図であって、
図20(A)は正面図であり、
図20(B)は内部構造を示す要部平面図である。
図21は、
図20(A)および
図20(B)に示すバッグの緩衝具の分解斜視図である。
図22は、
図20(A)および
図20(B)に示すバッグの緩衝具の主として、案内ロッド、支持部材、圧縮コイルばね、押圧部(リング部材,締結部材)の配置を説明するための分解斜視図である。
図23は、
図20(A),20(B)および
図21に示す緩衝具において、荷重が作用したときの圧縮コイルばねの圧縮状態を示す要部平面図である。
このバッグの緩衝具10は、たとえば
図1〜
図6に示すバッグの緩衝具10と比べて、特に、ケース内に組み付けられる、支持部材、案内ロッド、圧縮コイルばね、押圧部の各部材の個数およびそれらの配置が相違している。
図1〜
図6に示すバッグの緩衝具10では、1つのケース12内に、それぞれ、単一の支持部材20、案内ロッド24、圧縮コイルばね30、押圧部32を組み込んだ構成としているのに対して、
図20〜
図23に示すバッグの緩衝具10では、支持部材20、案内ロッド、圧縮コイルばね、押圧部の各部材を横並びに配列した状態で1つのケース内に収納して、所謂、ツインタイプのコンパクトな構成としている点で相違している。
【0050】
すなわち、
図20〜
図23に示すバッグの緩衝具10では、特に、
図21に示すように、ケース12が、間隔を隔てて横並びに配置されるたとえば2つの収納部74,76を含む。2つの収納部74および76は、それぞれ、半体収納部74A,74Bおよび半体収納部76A,76Bで構成されている。半体収納部74A,74Bおよび半体収納部76A,76Bは、それぞれ、収納部74および76が仕切部77により仕切られて配設されている。また、ケース12内の軸方向(長さ方向)には、ケース12の幅方向に間隔を隔てて横並びに、たとえば筒状の2つの支持部材78A,78Bが配設されている。2つの支持部材78A,78Bの外周面には、それぞれ、突縁部80A,80Bが形成されている。この2つの突縁部80A,80Bは、支持部材連接部82によって連接され、たとえば長円状に一体化された構造となっている。
【0051】
また、2つの収納部74,76には、2つの案内ロッド84A,84Bが組み付けられている。つまり、2つの案内ロッド84A,84Bは、間隔を隔てて横並びに配置されている。この2つの案内ロッド84A,84Bは、その軸方向の一端部が、たとえば略円弧状のロッド連接部86によって連接されている。2つの案内ロッド84A,84Bと、ロッド連接部86とは、一体的に形成され、たとえば略U字形の案内ロッド84を構成している。この案内ロッド84のロッド連接部86は、ケース12の軸方向の一端側から露出するように、ケース12に組み付けされるものとなっている。すなわち、ロッド連接部86は、取付部としての機能も有するものとなっている。以下、このロッド連結部86を便宜上「取付部」と称することもある。
【0052】
この場合、たとえば
図21に示すように、半体収納部74A,74Bおよび半体収納部76A,76Bは、その軸方向(長さ方向)の一端部に、2つの案内ロッド84A,84Bの軸方向の他端側のロッド連接部86を露出させるために、たとえば断面半円状の挿通凹部85A,85Bがそれぞれ配設されている。半体収納部74A,74Bおよび半体収納部76A,76Bが上下に突き合わされることにより、挿通凹部85A,85Bは、2つの案内ロッド84A,84Bの軸方向の他端側のロッド連接部86を露出させるための挿通孔87A,87Bとなる。
【0053】
さらに、ケース12内には、2つの案内ロッド84A,84Bの軸方向に沿って、2つの案内ロッド84A,84Bの周囲に、たとえば2つの圧縮コイルばね88A,88Bが配置されている。また、ケース12内には、2つの圧縮コイルばね88A,88Bを2つの支持部材78A,78B側に圧縮する2つの押圧部90A,90Bが配置されている。2つの押圧部90A,90Bは、2つのリング部材92A,92Bと2つの締結部材94A,94を有するものである。
【0054】
また、このケース12A内およびケース12B内の軸方向の他端側には、それぞれ、
図20(B)および
図21に示すように、ケース12の軸中心線と直交する方向に配設されるたとえば2列の咬合列96A,96Bを有する咬合部96を含む。2列の咬合列96A,96Bは、ケース12A内およびケース12B内の軸方向に間隔を隔てて配列される。2列の咬合列96A,96Bは、それぞれ、複数の咬合凹凸部97A,97Bが互いに咬合して形成されている。この場合、2列の96A,96Bの内、ケース12A内およびケース12B内の軸方向の他端側に最も近い位置に配置される咬合列96Aは、外側咬合列として形成される。さらに、各外側咬合列96Aの近傍で、且つ、ケース12A,12Bの軸方向にみて、ケース12A,12Bの内側寄りの位置には、上記した連結部40が係着される係着部95A,95Bが配設されている。連結部40は、係着部95A,95Bに係着されると共に、外側咬合列96Aにより強固に支持されるものとなっている。
【0055】
図24は、
図20(A),20(B)および
図21に示す緩衝具の使用状態の他の例を示す図であって、
図24(A)は、緩衝具をたとえばボストンバッグに取り付けた状態の一例を示す斜視図であり、
図24(B)は、緩衝具の斜視図である。
このボストンバッグ300は、バッグ本体302を含む。バッグ本体302の上部には、手提げ用のハンドル304が配設されている。また、バッグ本体302の長さ方向の両側上部には、それぞれ、Dカン等の連結具308が配設されている。さらに、バッグ本体302には、ショルダーベルト310が着脱自在に取付可能となっている。ショルダーベルト310は、その両端部に茄子カン等の連結具312が取着されている。ショルダーベルト310は、その連結具312とバッグ本体302の連結具308とが係着されることにより、バッグ本体302に着脱自在に取り付けられる。この場合、本実施の形態に係るバッグの緩衝具10は、その連結部40がバッグ本体302の一方の連結具308に着脱自在に取り付けられ、取付部86がショルダーベルト310の一端側の連結具312に着脱自在に取り付けられる。
【0056】
図25は、
図20(A),20(B)および
図21に示す緩衝具の使用状態のさらに他の例を示す図であって、
図25(A)は、緩衝具をたとえば各種のショルダーバッグに取り付けた状態の一例を示す斜視図であり、
図25(B)は、緩衝具の斜視図である。
このショルダーバッグ400は、バッグ本体402を含む。バッグ本体402の長さ方向の両側面部には、それぞれ、環状の止め布等の止め具404が配設されている。さらに、バッグ本体402には、ショルダーベルト406が着脱自在に取付可能となっている。ショルダーベルト406は、その両端部に茄子カン等の連結具408が取着されている。ショルダーベルト406は、その連結具408とバッグ本体402の止め具404とが係着されることにより、バッグ本体402に取り付けられている。この場合、本実施の形態に係るバッグの緩衝具10は、その連結部40がバッグ本体402の一方の止め具404に取り付けられ、取付部86がショルダーベルト406の一端側の連結具408に着脱自在に取り付けられる。
【0057】
本実施の形態に係るバッグの緩衝具10では、例えば、上記した、
図19に示すビジネスバッグ200、
図24に示すボストンバッグ300および
図25に示すショルダーバッグ400に用いられた場合、以下に示す共通の作用・効果を有するものとなっている。
すなわち、このバッグの緩衝具10が適用されたバッグ(200,300,400)において、ハンドル(204,304)および/またはショルダーベルト(210,310,406)を介してバッグ本体(202,302,402)を持ち運ぶ際に、当該緩衝具10の取付部(26,86)を介して案内ロッド(24,84A,84B)に、および、連結部40を介してケース12にバッグの荷重が作用すると、ケース12の軸方向にみて、ケース12および案内ロッド(24,84A,84B)が互いに離れる方向に相対移動する。
【0058】
それによって、押圧部(32,90A,90B)のリング部材(34,92A,92B)と、支持部材(20,78A,78B)とが、互いに近づくように移動し、圧縮コイルばね(30,88A,88B)は、支持部材(20,78A,78B)側と押圧部(32,90A,90B)との間で圧縮されて圧縮コイルばね(30,88A,88B)のばね反力を生じる。このとき、バッグ(200,300,400)の動荷重による使用者の手首、腕、肘、肩、背中、腰、膝等への負担は、圧縮コイルばね(30,88A,88B)の圧縮によるばね反力によって吸収され、緩和・軽減される。
【0059】
バッグ(200,300,400)は、圧縮コイルばね(30,88A,88B)の圧縮に伴うばね反力に抗して動作するので、持ち運び動作が終了して、バッグ(200,300,400)のハンドル(204,304)および/またはショルダーベルト(210,310,406)に掛かっていた荷重が取り除かれると、ケース12および案内ロッド(24,84A,84B)が互いに近づく方向に相対移動して初期状態に戻る。つまり、バッグ(200,300,400)は、ハンドル(204,304)および/またはショルダーベルト(210,310,406)を介して、バッグ(200,300,400)を持ち運ぶ前の静止状態に戻る。
【0060】
案内ロッド(24,84A,84B)は、支持部材(20,78A,78B)の内周面に沿って案内され、スムーズにケース12の軸方向に安定して変位するため、案内ロッド(24,84A,84B)の軸心に対する横振れおよび振動が生じ難いものとなっている。さらに、圧縮コイルばね(30,88A,88B)は、支持部材(20,78A,78B)の外周面に沿って圧縮するため、圧縮コイルばね(30,88A,88B)のコイル中心線に対する横振れおよび振動が生じ難いものとなり、その結果、圧縮コイルばね(30,88A,88B)が案内ロッド(24,84A,84B)に当接して擦れることを防止し、また、圧縮コイルばね(30,88A,88B)が圧縮されたときの座屈も防止することが可能となり、圧縮コイルばね(30,88A,88B)を保護するものとなっている。
【0061】
すなわち、支持部材(20,78A,78B)は、案内ロッド(24,84A,84B)および圧縮コイルばね(30,88A,88B)の横振れおよび振動を規制して、当該案内ロッド(24,84A,84B)および圧縮コイルばね(30,88A,88B)を保護する機能を有するものとなっている。また、圧縮コイルばね(30,88A,88B)の圧縮による当該圧縮コイルばね(30,88A,88B)と案内ロッド(24,84A,84B)との摩擦抵抗も少なくなるため、圧縮コイルばね(30,88A,88B)は、円滑に圧縮されるものとなっている。
【0062】
一方、この緩衝具10の連結部40は、咬合部(42,96)によって支持されるように、ケース12の軸方向の他方側に組み付けられているので、強固に組み付けられ、ケース12から抜け難いものとなっている。そのため、ハンドル(204,304)および/またはショルダーベルト(210,310,406)を介してバッグ(200,300,400)を持ち運ぶ際に、当該緩衝具10の案内ロッド(24,84A,84B)および連結部40にバッグ(200,300,400)の荷重が作用した場合でも、この連結部40はバッグ本体(202,302,402)および/またはショルダーベルト(210,310,406)から外れ難いものとなっている。
【0063】
また、
図24に示すボストンバッグ300、および、
図25に示すショルダーバッグ400に適用されるバッグの緩衝具10では、特に、案内ロッド84A,84B、圧縮コイルばね88A,88B、押圧部90A,90Bの各部材を横並びに配列した状態で1つのケース12内に収納した構造となっているため、所謂、ツインタイプのコンパクトな構造とすることができる。この場合、所定の長さを有する単一の圧縮コイルばねで得られる緩衝機能を、当該単一の圧縮コイルばねの長さの半分の長さを有する一対の2つのコイルばねと代替しても、当初の設定した緩衝機能を維持することができる。
【0064】
一方で、たとえば
図7〜
図10に示すゴルフバッグ100のように大形で比較的重量のあるバッグでは、有効長の長い圧縮コイルばね30を採用することによりケース12の長さが長くなってもあまり不都合は感じられないが、例えば、
図19に示すビジネスバック200、
図24に示すボストンバッグ300および
図25に示すショルダーバッグ400等のように中形,小形で比較的重量も小さいバッグでは、必要以上の緩衝機能を得るために、ケースの長さが長くなることは、不具合を生じるものとなり、美観の点においても優れたものではない。したがって、ツインタイプのコンパクトな構成とする、たとえば
図20〜
図23に示すバッグの緩衝具10は、手提げタイプ、肩掛けタイプ、背負いタイプおよびそれらを2つ以上兼用するタイプの小形,中形のバッグのハンドルおよび/またはショルダーベルトに適用されて好適なものとなっている。
【0065】
また、本実施の形態に係るバッグの緩衝具10は、上述したいずれのバッグ(ゴルフバック100,ビジネスバッグ200,ボストンバッグ300およびショルダーバッグ400)のいずれにおいても、ケース12および案内ロッド(24,84A,84B)が互いに離れる方向に相対的に移動(変位)したとき、支持部材(20,78A,78B)は、その突縁部(22,80A,80B)がケース12の係止凹部62に係止される。すなわち、支持部材(20,78A,78B)は、このケース12および案内ロッド(24,84A,84B)の相対移動に連動して移動することが規制され、ケース12内に安定して位置決めされるものとなっている。
【0066】
さらに、圧縮コイルばね(30,88A,88B)は、その長さ方向の一端部がリング部材(34,92A,92B)の面に当接され、その長さ方向の他端部が当該圧縮コイルばね(30,88A,88B)のコイル中心線の長さ方向にみて、収納部(52,74,76)と嵌合凹部60との境界部64の面(境界面)に当接される。
すなわち、圧縮コイルばね(30,88A,88B)の長さ方向の両側を面で安定して支持することが可能となるため、圧縮コイルばね(30,88A,88B)を安定して案内ロッド(24,84A,84B)の周囲に間隔を隔てて正確に位置決めして配置することができる。
【0067】
また、案内ロッド(24,84A,84B)は、当該案内ロッド(24,84A,84B)の軸方向の一端部に、ケース12の軸方向の一端側から露出する取付部(26,86)を具備しているので、バッグ(200,300,400)のバッグ本体(202,302,402)と、ショルダーベルト(210,310,406)および/またはハンドル(204,304)との間に、当該取付部(26,86)を直接または間接に取り付けることができる。さらに、連結部40は、ケース12の軸方向の他方側に、ケース12の外方に露出する連結部40を具備しているので、バッグ(200,300,400)のバッグ本体(202,302,402)と、ショルダーベルト(210,310,406)および/またはハンドル(204,304)との間に、当該連結部40を直接または間接に取り付けることができる。
【0068】
また、ケース12の軸方向の他端側は、咬合列(44,46,96A,96B)において、互いに咬合する複数の咬合凹凸部(48,97A,97B)の密接による摩擦抵抗により、強固な構造を有するものとなっている。また、連結部40は、係着部(50,95A,95B)により係着され、しかも、強固な咬合構造を有した咬合列(44,46,96A,96B)の1つである外側咬合列(44,96A)によって支持されているため、より一層強固にケース12に安定して保持されるものとなっている。
そのため、このバッグの緩衝具10に大きな荷重が作用したとしても、不用意に連結部40がケース12から外れたり、それによって、ケース12の破損を防止することが可能となる。
【0069】
さらに、本実施の形態に係るバッグの緩衝具10は、当該緩衝具10を製造する際に、案内ロッド(24,84A,84B)、支持部材(20,78A,78B)、圧縮コイルばね(30,88A,88B)、押圧部(32,90A,90B)のリング部材(34,92A,92B)および締結部材(36,94A,94B)、連結部40の各部材を容易にケース12内に組み付けることができ、2つの半体(12A,12B)を突き合わせて超音波溶着等の方法により接合すれば、2つの半体(12A,12B)を密封された状態で強固に一体化することができる。そのため、ケース12に組み付けられる各部材の信頼性の向上を図ることができる。
【0070】
なお、
図1〜
図6に示されたバッグの緩衝具10では、支持部材20および突縁部22が、それぞれ、ケース12の半体12A,12Bの収納部52A,52Bの嵌合凹部60および係止凹部62に組み付けられる構造を有するものであったが、当該支持部材20および突縁部22は、支持部材20および突縁部22の半体、この場合、支持部材20の軸中心線に沿って、支持部材20および突縁部22を分割した略同一形状の2つの半体を、ケースの半体12A,12Bの収納部52A,52B内に、一体的に形成した構造のものであってもよい。
同様に、
図20〜
図23に示されたバッグの緩衝具10においても、支持部材78A,78Bは、支持部材78A,78Bの軸中心線に沿って、支持部材78A,78Bおよび突縁部80A,80Bを分割した略同一形状の2つの半体を、半体収納部74A,74B,76A,76B内に、一体的に形成した構造のものであってもよい。
【0071】
また、
図1〜
図6に示されたバッグの緩衝具10では、押圧部32のリング部材34が締結部材36とともに、案内ロッド24の軸方向の他端側に着脱自在に取り付けられる構成を有するものであったが、例えば、リング部材34を案内ロッド24の軸方向の一端部に一体的に形成し、締結部材36を不要とすることも可能である。
【0072】
さらに、上記した各実施の形態に係るバッグの緩衝具10の使用状態において、ショルダーベルト(110,210,310,406)に当該緩衝具10を取り付ける場合、案内ロッド(24,84A,84B)の取付部(26,86)は、ショルダーベルト(110,210,310,406)の長さ方向の一端部および/または他端部に、直接または間接に取り付けられ、連結部40は、バッグ(100,200,300,400)のバッグ本体(102,202,302,402)に、直接または間接に取り付けられているが、それとは反対に、連結部40をショルダーベルト(110,210,310,406)の長さ方向の一端部および/または他端部に直接または間接に取り付け、案内ロッド(24,84A,84B)の取付部(26,86)をバッグ(100,200,300,400)のバッグ本体(102,202,302,402)に直接または間接に取り付けるようにすることも可能である。