(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記接続エレメント(3)の材料の溶融温度と、前記結合エレメント(5)の材料の溶融温度との間の差は、300℃より大きく、特に好ましくは400℃より大きい、請求項1または2のいずれか1項記載のガラス板。
前記接続エレメント(3)は、少なくとも1種のクロム含有鋼を含み、好ましくは鉄66.5質量%〜89.5質量%、クロム10.5質量%〜20質量%、炭素0質量%〜1質量%、ニッケル0質量%〜5質量%、マンガン0質量%〜2質量%、モリブデン0質量%〜2.5質量%、ニオブ0質量%〜2質量%、およびチタン0質量%〜1質量%を含む、請求項4記載のガラス板。
建築物における、または陸上、空中もしくは水上での交通用の移動手段における、ことに鉄道車両または自動車における、好ましくはフロントウインドウ、リヤウインドウ、サイドウインドウ、および/またはルーフウインドウとして、ことに加熱可能なガラス板としてまたはアンテナ機能を備えたガラス板としての、請求項1から10までのいずれか1項記載のガラス板の使用。
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気接続エレメントおよびこれに取り付けられた結合エレメントを備えたガラス板、その製造方法およびその使用に関する。
【0002】
本発明は、ことに、例えば発熱導体またはアンテナ導体のような導電性構造を備えた車両用の電気接続エレメントを備えたガラス板に関する。導電性構造は、通常でははんだ付けされた電気接続エレメントを備えていて、この電気接続エレメントは結合エレメントを介して電装品と結合されている。結合エレメントは、フレキシブルな接続ケーブルであることができ、この接続ケーブルは、接続エレメントに直接取り付けられ、通常では接続エレメントと溶接されている。一般的に、結合ケーブルは規格化された差込コネクタを備えている。このガラス板は、結合エレメント込みで接続エレメントと一緒に組立式に製造することができる。車両ボディに組み込む場合に、この結合エレメントを、極めて簡単にかつ時間を節約して電気ケーブルを用いて電装品に、ことに差込接続を用いて結合することができる。
【0003】
このようなガラス板は、例えば欧州特許第0477069号明細書(EP 0 477 069 B1)、独国特許発明第4439645号明細書(DE 4439645 C1)または独国実用新案第9013380号明細書(DE 9013380 U1)から公知であり、この場合、フレキシブルな結合ケーブルは、この分野で通常の銅からなる平織りリボンとして形成されている。しかしながら、結合エレメントは、例えば欧州特許出願公開第1488972号明細書(EP 1 488 972 A1)から公知のように、好ましくは差込ブレードを備えた剛性の部分として形成されていてもよい。
【0004】
使用された材料の異なる熱膨張係数のために、製造および稼働の際に機械的応力が生じ、この機械的応力がガラス板に負荷をかけ、かつガラス板の破壊を引き起こすことがある。
【0005】
通常の接続エレメントは、良好な導電性のために銅から仕上げられている。しかしながら、銅とガラスとの熱膨張係数は極めて異なるので、ことにはんだ付けの際に加熱および冷却のために機械的応力が生じ、この機械的応力がガラス板またははんだ結合を損なうことがある。従来の鉛含有はんだは、電気接続エレメントとガラス板との間に生じる機械的応力を塑性変形によって補償することができる程の高い延性を有する。しかしながら、廃車ガイドライン2000/53/ECに基づき、EC内で、鉛含有はんだを鉛フリーはんだに置き換えなければならない。このガイドラインは、要約して、ELV(End of life vehicles)の省略記号で表される。この場合に、この目標は、廃棄電子機器の著しい拡大の趨勢で、極端に問題のある成分を製品から排除することである。該当する物質は、鉛、水銀およびカドミウムである。
【0006】
鉛フリーはんだは、一般に、明らかに僅かな延性を有し、したがって、鉛含有はんだと同様の程度では機械的応力を補償することができない。したがって、ことに鉛フリーはんだ材料を用いたはんだ付けの場合に、機械的応力を避けることに尽力しなければならず、これは、例えば接続エレメントの材料の適切な選択により可能である。基材、通常では石灰ソーダガラスと、接続エレメントとの熱膨張率の差が小さい場合、僅かな機械的応力しか生じない。
【0007】
接続エレメントのために特に適した材料として、国際公開第2012/152543号(WO 2012/152543 A1)に例示的にクロム含有鋼(またはステンレス鋼)が提案されていて、この鋼はさらに好ましくは低コストである。しかしながら、接続エレメントに取り付けられた結合エレメントは、さらに、高い伝導率を示す材料、ことに銅から作製されることが望ましい。
【0008】
国際公開第2014/079594号(WO 2014/079594 A1)には、接続エレメントを、堅固な結合エレメントと組合せることが提案されている。ガラス板と接触する接続エレメントの材料は、第1に適切な熱膨張係数に関して選択することができる。それに対して、この接続ケーブルと接触する結合エレメントの材料は、他の基準、例えば最適な導電性または良好な可塑性に関して選択することができる。
【0009】
この結合エレメントが、フレキシブルな接続ケーブルとしてもまたは堅固な曲げにくいエレメントとして構成されているとしても、一般に接続エレメントと溶接され、この場合にこの結合エレメントは、上述の先行技術から明らかとなるように、接続エレメントの、ガラス板とは反対側の上側に配置される。しかしながら、この配置は、ことにケーブルを結合エレメントに被せ嵌めする際に生じるような機械的負荷に関して問題があることが判明している。引張力、てこの力、および剪断力は、溶接結合に著しく負荷をかけ、このことが、溶接結合の損傷またはそれどころは破壊を引き起こしかねない。この結合は、特に、接続エレメントおよび結合エレメントについて、異なる溶融温度に基づき理想的には溶接することができない異なる材料を使用する場合に脆弱である。
【0010】
特開2004−189023号公報(JP 2004189023 A)および特開2015−069893号公報(JP 2015069893 A)は、それぞれ結合エレメントが、接続エレメントの、基材に向かう側の表面上に取り付けられている配置を示す。特開2004−189023号公報では、結合エレメントが接続エレメントの収容部内に差し込まれる。特開2015−069893号公報では、結合エレメントと接続エレメントとの間の結合は、圧着またははんだ付けにより行われる。
【0011】
したがって、本発明の課題は、電気接続エレメントおよびその上に取り付けられた結合エレメントを備え、この場合、接続エレメントと結合エレメントとの間の結合は、比較的高い負荷に耐えることができる、改善されたガラス板を提供することである。
【0012】
本発明の課題は、本発明の場合に、独立請求項1による電気接続エレメントを備えたガラス板により解決される。好ましい実施態様は、従属請求項から明らかになる。
【0013】
少なくとも1つの電気接続エレメントを備えた本発明によるガラス板は、少なくとも:
− 基材、
− この基材の領域上の導電性構造、
− 1つのブリッジ領域と少なくとも2つのはんだ付け脚部とを含み、このはんだ付け脚部が、はんだ材料を介して導電性構造の領域と結合されているブリッジ型の電気接続エレメント、および
− 接続エレメントに取り付けられた電気結合エレメント
を含む。
【0014】
本発明による接続エレメントは、ブリッジ型に形成されている。このような接続エレメントは、1つのブリッジ領域と少なくとも2つのはんだ付け脚部とを含む。はんだ付け脚部は、接触面を有し、この接触面は、はんだ材料を介して導電性構造と接触している。ブリッジ領域は、必須ではないが一般に平坦に形成されていて、かつ基材表面に対してほぼ平行に調整されている。ブリッジ領域は、基材と直接接触しておらず、基材の上方に配置されているので、ブリッジ領域と基材表面との間に空間が生じる。はんだ付け脚部は、ブリッジ領域の2つの向かい合う側から出発して基材表面方向に向かって延び、かつその端部に一般に、平坦でかつ基材表面に対してほぼ平行に配置されている部分を有する。この部分の、基材に向かう側の表面は、接触面(またははんだ付け面)を形成し、この接触面は、はんだ材料を介して、基材上の導電性構造と接触する。
【0015】
好ましくは、結合エレメントは、縦長に形成されていて、かつ接続エレメントの延在方向に対して平行でない延在方向を有する。接続エレメントの延在方向は、両方のはんだ付け脚部の間で最短の(仮想の)結合により生じる。特に好ましくは、結合エレメントの延在方向は、接続エレメントの延在方向に対して(ほぼ)垂直方向に向いている。
【0016】
結合エレメントは、ことに電気ケーブルを用いた電気接触を予定している。このケーブルは、基材上の導電性構造を外部機能エレメント、例えば電源供給部または受信機と結合する。このために、ケーブルは、接続エレメントから出発して、好ましくはガラス板の側縁を越えて、ガラス板から離れるように導かれる。ケーブルは、原則として、導電性構造の電気接触のために当業者に公知である任意の接続ケーブル、例えば平型導体、ワイヤ撚り線導体、またはソリッドワイヤ導体であってよい。結合エレメントとケーブルとの間の結合は、当業者に周知の任意の方式で、例えばはんだ付け、溶接、ねじ止めにより、導電性ケーブルを介してまたは差込接続として行うことができる。
【0017】
一般的に生じる引張力は、基材を基準として上に向かう成分を有する。結合エレメントが、慣用の方法様式で、ブリッジ領域の、基材とは反対側の表面に配置されている場合、この引張力は、結合エレメントと接続エレメントの間の結合に直接作用する。これは、特に、例えば異なる材料の溶接結合の場合に生じるように、結合が弱められている場合に、結合の破壊(ことに結合エレメントのいわゆる「引き剥がし」)を容易に引き起こすことがある。本発明の思想は、引張力を基材とは反対側の表面に作用させるのではなく、ブリッジ領域の、基材に向かう側の表面に作用させることにある。発明者は、これにより破壊のために必要な引張力は明らかに高められることを認識した。したがって、本発明による配置は、より高い力に耐え、かつ慣用のものよりも明らかに安定している。
【0018】
本発明は、2つの異なる様式で実現することができる:
− 第1の実施態様の場合に、結合エレメントは、ブリッジ領域の、基材に向かう側の表面に取り付けられている。
− 第2の実施態様の場合に、結合エレメントは、ブリッジ領域の、基材とは反対側の表面に取り付けられていて、かつブリッジ領域の周りを回るように案内されているので、この結合エレメントは、ブリッジ領域の、基材に向かう側の表面に当接する。結合エレメントは、基材とは反対側の表面から、ブリッジ領域の一方の側縁の周りを回り、ブリッジ領域の、基材に向かう側の表面に沿って延びる。好ましくは、この結合エレメントは、基材に向かう側の全体の表面に(完全に)当接している。このように、最適な安定性が達成される。しかしながら、基本的に、この結合エレメントは、表面の一部にだけ当接する、例えば、結合エレメントが周りを回って案内されている側縁に対峙する縁部に当接する場合で十分である。
【0019】
両方の実施態様の組み合わせも可能であり、この場合、結合エレメントは、ブリッジ領域の、基材とは反対側の表面に取り付けられていて、ブリッジ領域の周りを回るように案内され、かつ基材に向かう側の表面と当接するばかりか、この表面とも強固に結合、例えば溶接されている。よって、この結合のさらに向上された安定性を達成することができる。しかしながら、この製造はこれにより極めて手間がかかる。
【0020】
好ましい実施形態の場合に、本発明によるガラス板の結合エレメントは、ことに結合エレメントの、接続エレメントに対峙する端部を介して、電気接続ケーブルに結合されている。
【0021】
はんだ材料は、好ましい実施態様の場合に、鉛フリーである。これは、電気接続エレメントを備えた本発明のガラス板が環境に負担をかけないことを考慮して特に好ましい。鉛フリーのはんだ材料とは、本発明の主旨で、ECガイドライン「2002/95/EG zur Beschraenkung der Verwendung bestimmter gefaehrlicher Stoffe in Elektro- und Elektronikgeraeten(電気機器および電子機器における所定の危険な材料の使用制限についての2002/95/EC)」に従って、0.1質量%以下の鉛の割合を含む、好ましくは鉛を含まないはんだ材料であると解釈される。
【0022】
鉛フリーのはんだ材料の場合には、異なる材料からなる接続エレメントおよび結合エレメントを選択することが特に好ましい。鉛フリーのはんだ材料は機械的応力を良好には補償できないため、熱膨張係数に関して接続エレメントの材料を基材に合わせ、かつ良好な導電性に関して結合エレメントの材料を選択することが好ましい。2つの異なる材料の結合、ことに溶接結合が、同じ材料の結合よりも弱いため、本発明の安定性を向上する作用が特に好ましく作用する。
【0023】
好ましい実施態様の場合に、接続エレメントと結合エレメントとは異なる材料から形成されている。接続エレメントの材料の溶融温度と、結合エレメントの材料の溶融温度との間の差は、好ましい実施態様の場合に、200℃より大きく、好ましくは300℃より大きく、特に好ましくは400℃より大きい。このような接続エレメントにおいて、本発明による利点は、特別に寄与する、というのもこの結合、ことにこの分野で通常の溶接結合は、このような溶融温度の差の場合に特に脆弱であるためである。
【0024】
好ましい実施態様の場合には、この結合エレメントは、溶接結合を用いて接続エレメントに取り付けられている。このことは好ましい、というのも、溶接結合は、迅速でかつ安価に製造でき、かつ接続エレメントと結合エレメントとの結合のために一般に通常であるため、確立された工業プロセスを変更する必要がないためである。上述のように、本発明は異なる材料の溶接結合の際に特に好ましく作用する。しかしながら、これとは別に、他の結合技術を選択してもよい。例えば、接続エレメントと結合エレメントを、例えばクリンチ結合、はんだ付け結合、圧着結合によるか、または導電性接着材を用いて結合することもできる。この場合でも、本発明は安定性を増すように作用する、というのも脆弱な結合箇所は、引張力、剪断力またはてこの力により余り強く負荷がからないためである。
【0025】
好ましい実施態様の場合に、この結合エレメントはフレキシブルな接続ケーブルである。フレキシブルな接続ケーブルは、曲げ可能な導電性ケーブルである。接続ケーブルには、接続エレメントに結合されているワイヤエンドスリーブまたはクリンプ(接続ケーブルの周りに圧着された金属部分)が設けられていてもよい。
【0026】
フレキシブルな接続ケーブルは、好ましい実施態様の場合に、平織りリボンとして形成されている。平織りリボンは、頻繁に、編まれたワイヤ撚り線導体または「woven wire(金網)」ともいわれる。接続ケーブルは、これとは別に丸形ケーブルとして形成されたワイヤ撚り線導体を形成されていてもよく、このワイヤ撚り線導体は、一般にポリマーの絶縁スリーブを備えている。
【0027】
さらに好ましい実施態様の場合に、結合エレメントは堅固な金属小板である。堅固な金属小板とは、この場合に、剛性の、それもできる限り良好に変形可能であるが、曲げ可能でない金属小板を意味する。この金属小板は、変形の後に、所望の形状でおよび所望の位置に留まる。
【0028】
この結合エレメントは、フレキシブルな接続ケーブルとしてまたは堅固な金属小板として形成されていても、好ましい実施態様の場合に、接続エレメントに対峙する端部に、規格に合った平型コネクタで、ことに0.8mmの高さおよび4.8mmまたは6.3mmの幅、または1.2mmの高さおよび9.5mmの幅を有する車両用平型コネクタで形成されている。幅が6.3mmであるのが特に好ましい、というのも、この幅は、この分野で、DIN 46244による通常使用される車両用平型コネクタの幅に相当するためである。平型コネクタにより、電源供給部への電気ケーブルの簡単な接続が保証される。しかしながら、これとは別に、接続エレメントの電気接触は、はんだ付け結合、溶接結合、圧着結合、クリンチ結合、あるいはクランプ結合、または導電性接着剤を介して行ってもよい。
【0029】
基材は、好ましくはガラス、特に好ましくは石灰ソーダガラスを含む。基材は、好ましくはガラス板、ことに好ましくは窓用ガラス板、ことに車両用ガラス板である。しかしながら、基材は、基本的に他のガラス種、例えば石英ガラスまたはホウケイ酸塩ガラス、ポリマー、好ましくはポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカルボナート、ポリメチルメタクリラート、ポリスチレン、ポリブタジエン、ポリニトリル、ポリエステル、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリアクリラート、ポリアミド、ポリエチレンテレフタラートおよび/またはこれらのコポリマーまたは混合物を含んでいてもよい。
【0030】
基材は、好ましくは透明または半透明である。基材は、好ましくは0.5mm〜25mm、特に好ましくは1mm〜10mm、全く特に好ましくは1.5mm〜5mmの厚みを有する。
【0031】
好ましい実施態様の場合に、基材の熱膨張係数と、接続エレメントの熱膨張係数との間の差は、5×10
-6/℃未満、好ましくは3×10
-6/℃未満である。このような僅かな差により、はんだ付け工程による臨界的な熱応力は有利に避けることができ、かつ改善された付着が達成される。
【0032】
基材の熱膨張係数は、好ましくは8×10
-6/℃〜9×10
-6/℃である。基材は、好ましくは、0℃〜300℃の温度範囲で、好ましくは8.3×10
-6/℃〜9×10
-6/℃の熱膨張係数を有するガラス、ことに石灰ソーダガラスを含む。
【0033】
接続エレメントの熱膨張係数は、好ましい実施態様の場合に、0℃〜300℃の温度範囲で、4×10
-6/℃〜15×10
-6/℃、好ましくは9×10
-6/℃〜13×10
-6/℃、特に好ましくは10×10
-6/℃〜11.5×10
-6/℃、全く特に好ましくは10×10
-6/℃〜11×10
-6/℃、ことに10×10
-6/℃〜10.5×10
-6/℃である。
【0034】
この接続エレメントは、好ましくは少なくとも1種の鉄含有合金を含む。この接続エレメントは、特に好ましくは少なくとも鉄50質量%〜89.5質量%、ニッケル0質量%〜50質量%、クロム0質量%〜20質量%、コバルト0質量%〜20質量%、マグネシウム0質量%〜1.5質量%、ケイ素0質量%〜1質量%、炭素0質量%〜1質量%、マンガン0質量%〜2質量%、モリブデン0質量%〜5質量%、チタン0質量%〜1質量%、ニオブ0質量%〜1質量%、バナジウム0質量%〜1質量%、アルミニウム0質量%〜1質量%および/またはタングステン0質量%〜1質量%を含む。
【0035】
接続エレメントは、例えば、Kovar(FeCoNi)のような、通常では約5×10
-6/℃の熱膨張係数を有する、鉄−ニッケル−コバルト合金を含むことができる。Kovarの組成は、例えば鉄54質量%、ニッケル29質量%およびコバルト17質量%である。
【0036】
特に好ましい実施態様の場合に、接続エレメントはクロム含有鋼を含む。クロム含有鋼、ことにいわゆるステンレス鋼または不銹鋼は低コストに供給可能である。クロム含有鋼からなる接続エレメントは、さらに、例えば銅からなる多くの慣用の接続エレメントと比べて、高い剛性を有し、このことは接続エレメントの好ましい安定性を生じさせる。さらに、クロム含有鋼は、例えばチタンからなる多くの慣用の接続エレメントと比べて、比較的高い熱伝導性から生じる改善されたはんだ付け適性を有する。
【0037】
接続エレメントは、好ましくは、10.5質量%以上のクロム割合を有するクロム含有鋼を含む。モリブデン、マンガンまたはニオブのような他の合金成分は、改善された耐食性を生じさせるか、または引張強さまたは冷間加工性のような変更された機械特性を生じさせる。
【0038】
接続エレメントは、特に好ましくは、少なくとも、鉄66.5質量%〜89.5質量%、クロム10.5質量%〜20質量%、炭素0質量%〜1質量%、ニッケル0質量%〜5質量%、マンガン0質量%〜2質量%、モリブデン0質量%〜2.5質量%、ニオブ0質量%〜2質量%、およびチタン0質量%〜1質量%を含む。接続エレメントは、付加的に、バナジウム、アルミニウムおよび窒素を含む他の元素の混入物を含むことができる。
【0039】
接続エレメントは、全く特に好ましくは、少なくとも、鉄73質量%〜89.5質量%、クロム10.5質量%〜20質量%、炭素0質量%〜0.5質量%、ニッケル0質量%〜2.5質量%、マンガン0質量%〜1質量%、モリブデン0質量%〜1.5質量%、ニオブ0質量%〜1質量%、およびチタン0質量%〜1質量%を含む。接続エレメントは、付加的に、バナジウム、アルミニウムおよび窒素を含む他の元素の混入物を含むことができる。
【0040】
接続エレメントは、ことに、少なくとも、鉄77質量%〜84質量%、クロム16質量%〜18.5質量%、炭素0質量%〜0.1質量%、マンガン0質量%〜1質量%、ニオブ0質量%〜1質量%、モリブデン0質量%〜1.5質量%、およびチタン0質量%〜1質量%を含む。接続エレメントは、付加的に、バナジウム、アルミニウムおよび窒素を含む他の元素の混入物を含むことができる。
【0041】
特に適したクロム含有鋼は、EN 10 088−2による素材番号1.4016、1.4113、1.4509および1.4510の鋼である。
【0042】
結合エレメントは、好ましい実施態様の場合に、銅、例えば電解銅を含む。このような結合エレメントは、好ましく高い導電性を有する。さらに、このような結合エレメントは、好ましくは変形可能であり、このことは接続ケーブルとの結合のために望ましいかまたは必要であることがある。結合エレメントは、例えば、一定の角度を付けられていてよく、それにより接続ケーブルの接続方向を調節可能である。
【0043】
結合エレメントは、黄銅合金または青銅合金、例えば洋銀またはコンスタンタンのような銅含有合金を含んでいてもよい。
【0044】
結合エレメントは、好ましくは0.5μOhm・cm〜20μOhm・cm、特に好ましくは1.0μOhm・cm〜15μOhm・cm、全く特に好ましくは1.5μOhm・cm〜11μOhm・cmの電気抵抗を有する。
【0045】
結合エレメントは、特に好ましくは銅45.0質量%〜100質量%、亜鉛0質量%〜45質量%、スズ0質量%〜15質量%、ニッケル0質量%〜30質量%、およびケイ素0質量%〜5質量%を含む。
【0046】
結合エレメントの材料として、素材番号CW004A(かつては2.0065)を有する電解銅および素材番号CW505L(かつては2.0265)を有するCuZn30が特に適している。
【0047】
接続エレメントの材料の厚みは、好ましくは0.1mm〜4mm、特に好ましくは0.2mm〜2mm、全く特に好ましくは0.4mm〜1mm、例えば0.8mmである。同様のことが、結合エレメントについても、この結合エレメントが、堅固な小板として形成されている場合に当てはまる。材料の厚みは、好ましくは一定であり、このことは、このエレメントの簡単な製造の観点で特に好ましい。
【0048】
接続エレメントの寸法は、当業者により、個々の場合の要件に応じて自由に選択することができる。接続エレメントは、例えば、1mm〜50mmの長さおよび幅を有する。接続エレメントの長さは、好ましくは10mm〜30mm、特に好ましくは20mm〜25mmである。接続エレメントの幅は、好ましくは1mm〜30mm、特に好ましくは2mm〜10mmである。これらの寸法を有する接続エレメントは、特に良好に取り扱うことができ、かつ特にガラス板上の導電性構造の電気接触のために適している。
【0049】
本発明による導電性構造は、好ましくは5μm〜40μm、特に好ましくは5μm〜20μm、全く特に好ましくは8μm〜15μm、ことに10μm〜12μmの層厚を有する。本発明による導電性構造は、好ましくは銀、特に好ましくは銀粒子およびガラスフリットを含む。
【0050】
はんだ材料は、好ましくはスズおよびビスマス、インジウム、亜鉛、銅、銀またはこれらの組成物を含む。本発明によるはんだ組成物中のスズの割合は、3質量%〜99.5質量%、好ましくは10質量%〜95.5質量%、特に好ましくは15質量%〜60質量%である。ビスマス、インジウム、亜鉛、銅、銀またはこれらの組成物の割合は、本発明によるはんだ組成物中で、0.5質量%〜97質量%、好ましくは10質量%〜67質量%であり、この場合、ビスマス、インジウム、亜鉛、銅または銀の割合は0質量%であることができる。はんだ組成物は、ニッケル、ゲルマニウム、アルミニウム、またはリンを、0質量%〜5質量%の割合で含むことができる。本発明によるはんだ組成物は、全く特に好ましくは、Bi40Sn57Ag3、Sn40Bi57Ag3、Bi59Sn40Ag1、Bi57Sn42Ag1、In97Ag3、Sn95.5Ag3.8Cu0.7、Bi67In33、Bi33In50Sn17、Sn77.2In20Ag2.8、Sn95Ag4Cu1、Sn99Cu1、Sn96.5Ag3.5、Sn96.5Ag3Cu0.5、Sn97Ag3またはこれらの混合物を含む。
【0051】
好ましい実施態様の場合に、はんだ材料はビスマスを含む。ビスマス含有はんだ材料は、本発明による接続エレメントのガラス板との特に良好な付着を引き起こし、この場合ガラス板の損傷を避けることができることが明らかとなった。はんだ材料組成物のビスマスの割合は、好ましくは0.5質量%〜97質量%、特に好ましくは10質量%〜67質量%、全く特に好ましくは33質量%〜67質量%、ことに50質量%〜60質量%である。はんだ材料は、ビスマスの他に、好ましくはスズおよび銀、またはスズ、銀および銅を含む。特に好ましい実施態様の場合に、はんだ材料は、少なくとも、ビスマス35質量%〜69質量%、スズ30質量%〜50質量%、銀1質量%〜10質量%、および銅0質量%〜5質量%を含む。全く特に好ましい実施態様の場合に、はんだ材料は、少なくとも、ビスマス49質量%〜60質量%、スズ39質量%〜42質量%、銀1質量%〜4質量%、および銅0質量%〜3質量%を含む。
【0052】
さらに好ましい実施態様の場合に、はんだ材料は、スズ90質量%〜99.5質量%、好ましくは95質量%〜99質量%、特に好ましくは93質量%〜98質量%を含む。はんだ材料は、スズの他に、好ましくは銀0.5質量%〜5質量%および銅0質量%〜5質量%を含む。
【0053】
はんだ材料の層厚は、好ましくは6.0×10
-4m以下、特に好ましくは3.0×10
-4m未満である。
【0054】
はんだ材料は、接続エレメントのはんだ領域と導電性構造との間の空間から好ましくは1mm未満の流出幅で流出する。好ましい実施態様の場合に、最大流出幅は、0.5mm未満、ことに約0mmである。これは、ガラス板中の機械的応力の低減、接続エレメントの付着、およびはんだの節約の観点で特に好ましい。最大流出幅は、はんだ領域の外側辺と、はんだ材料が50μmの層厚を下回るはんだ材料溢流箇所との間の距離として定義される。最大流出幅は、はんだ付け工程後の凝固したはんだ材料について測定される。所望の最大流出幅は、はんだ材料体積、ならびに接続エレメントと導電性構造との間の鉛直方向の間隔の適切な選択により達成され、これは簡単な試験により測定することができる。接続エレメントと導電性構造との間の鉛直方向の間隔は、相応するプロセス金型により、例えば組み込まれたスペーサを備えた金型により予め定められていてよい。最大流出幅は負であってもよく、つまり電気接続エレメントのはんだ領域と導電性構造とから形成される空間内で後退されていてもよい。本発明によるガラス板の好ましい実施態様の場合に、最大流出幅は、電気接続エレメントのはんだ領域と導電性構造とから形成される空間内で凹型のメニスカスで後退されている。凹型のメニスカスは、例えば、はんだがまだ液状であるはんだ付け工程の際に、スペーサと導電性構造との間の鉛直方向の間隔の増大により生じる。この利点は、ガラス板中の、ことに大きなはんだ材料の溢流が存在する臨界的領域中での機械的応力の低減にある。
【0055】
好ましい発展形態の場合に、接続エレメントのはんだ面はスペーサを有する。このスペーサは、好ましくは接続エレメントと一体式に、例えばエンボス加工または深絞り加工により形成されている。このスペーサは、好ましくは0.5×10
-4m〜10×10
-4mの幅および0.5×10
-4m〜5×10
-4m、特に好ましくは1×10
-4m〜3×10
-4mの高さを有する。このスペーサにより、はんだ材料の均質で、均一な厚みでかつ均一に溶融した層が達成される。それにより、接続エレメントとガラス板との間の機械的応力を低減することができ、かつ接続エレメントの付着を改善することができる。このことは、ことに、鉛含有はんだ材料と比較して、その低い延性のために機械的応力を余り良好には補償できない鉛フリーはんだ材料の使用の際に特に好ましい。
【0056】
好ましい発展形態の場合に、接続エレメントの、基材とは反対側の表面上に少なくとも1つの接触隆起部を設けることができ、この接触隆起部は、はんだ付け工程の間の接続エレメントとはんだ工具との接触のために用いられる。接触隆起部は、好ましくは少なくとも接触領域で、はんだ工具によって凸型に湾曲して形成されている。接触隆起部は、好ましくは0.1mm〜2mm、特に好ましくは0.2mm〜1mmの高さを有する。接触隆起部の長さおよび幅は、好ましくは0.1〜5mm、全く特に好ましくは0.4mm〜3mmである。接触隆起部は、好ましくは、接続エレメントと一体式に、例えばエンボス加工または深絞り加工により形成されている。はんだ付けのために、接触側が平らに形成されている電極を使用することができる。電極表面は、接触隆起部と接触させられる。この場合、電極表面は、基材の表面に対して平行に配置されている。電極表面と接触隆起部との間の接触領域は、はんだ付け箇所を形成する。はんだ付け箇所の位置は、この場合、接触隆起部の凸型の表面の点により決定され、この点は、基材の表面に対して最大の鉛直方向の間隔を有する。はんだ付け箇所の位置は、接続エレメント上のはんだ付け電極の位置とは無関係である。これは、はんだ付け工程の間に再現可能で均一な熱分布を考慮して特に有利である。はんだ付け工程の間の熱分布は、接触隆起部の位置、大きさ、配置および形状によって決定される。
【0057】
接続エレメントおよび/または結合エレメントは、例えばニッケル、銅、亜鉛、スズ、銀、金またはこれらの合金またはこれらの層を含む、好ましくは銀またはスズを含む被覆(湿潤層)を有していてよい。これにより、接続エレメントのはんだ材料による改善された濡れ、および接続エレメントの改善された付着が達成される。さらに、このような被覆により、接続エレメントと結合エレメントとの導電性を高めることができる。
【0058】
好ましい実施態様の場合に、接続エレメントは、好ましくはニッケルおよび/または銅からなる接着媒介層を備え、かつ付加的に銀を含む層を備えている。本発明による接続エレメントは、全く特に好ましくは、ニッケル0.1μm〜0.3μmで被覆され、その上に任意に銅0.1μm〜10μm、およびその上に銀3μm〜20μで被覆されている。
【0059】
電気接続エレメントの形状は、接続エレメントと導電性構造との空間内の1つ以上のはんだ堆積部を形成することができる。はんだ堆積部および接続エレメントに対するはんだの濡れ特性は、空間からのはんだ材料の流出を妨げる。はんだ堆積部は長方形、円形または多角形に構成されていてよい。
【0060】
本発明は、さらに、
(a)ブリッジ型の電気接続エレメントを結合エレメントと結合し、
(b)接続エレメントのはんだ付け脚部の接触面上にはんだ材料を施し、
(c)はんだ材料を備えた接続エレメントを、基材の領域上に施されている導電性構造の領域上に配置し、かつ
(d)接続エレメントを導電性構造とエネルギー導入下で結合する、
本発明によるガラス板の製造方法を含む。
【0061】
接続エレメントと結合エレメントとの結合は、好ましくは溶接により行われるが、クリンチ、圧着、はんだ付け、接着またはクランプにより行ってもよい。
【0062】
結合エレメントは、ブリッジ領域の、基材に向かう側の表面と結合されるか、または基材とは反対側の表面と結合される。後者の場合には、結合エレメントは、ブリッジ領域の周りを回るように案内しなければならず、その後で電気ケーブルと結合される。結合エレメントが堅固に形成されている場合、これは、方法工程(c)の前に行われる。結合エレメントを、方法工程(a)の前に予備成形するかまたは方法工程(a)または(b)の後に変形することができる。結合エレメントがフレキシブルなケーブルとして形成されている場合、ブリッジ領域の周りを回るような案内は、はんだ付けの後で工程(d)において行うこともできる。
【0063】
はんだ材料は、好ましくは、小板または平らにされた液滴として、所定の層厚、体積、形状および配置で、接続エレメント上に施される。はんだ材料小板の層厚は、好ましくは0.6mm以下である。はんだ材料小板の形状は、好ましくは、接続エレメントの接触面の形状に従い、かつ例えば長方形、円形、楕円形または角が丸められた長方形または2つの向かい合う辺に半円を有する長方形である。
【0064】
電気接続エレメントと導電性構造との電気的結合の際のエネルギー導入は、好ましくは、パンチ式はんだ付け、熱極式はんだ付け、ピストン式はんだ付け、レーザー式はんだ付け、熱風式はんだ付け、誘導式はんだ付け、抵抗式はんだ付けを用いておよび/または超音波を用いて行われる。
【0065】
導電性構造は、自体公知の方法により、ことにスクリーン印刷法により、基材上に施すことができる。
【0066】
本発明は、さらに、建築物における、または陸上、空中もしくは水上での交通用の移動手段における、ことに鉄道車両または自動車における、好ましくはフロントウインドウ、リヤウインドウ、サイドウインドウ、および/またはルーフウインドウとして、ことに加熱可能なガラス板またはアンテナ機能を備えたガラス板としての、本発明によるガラス板の使用を含む。
【0067】
本発明を、図面および実施例を用いて詳細に説明する。図面は概略図であり、寸法通りではない。図面は、本発明を制限するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【
図1】電気接続エレメントを備えた本発明によるガラス板の実施態様の展開図。
【
図2】
図1による結合エレメントを備えた接続エレメントの断面図。
【
図3】
図1による結合エレメントを備えた接続エレメントの別の断面図。
【
図4】結合エレメントを備えた本発明による接続エレメントの他の実施形態の断面図。
【
図5】本発明による製造方法の実施態様のフローチャート。
【
図6】本発明による製造方法の別の実施態様のフローチャート。
【0069】
図1は、本発明によるガラス板(展開図)を示し、
図2は、本発明による接続エレメントの縦軸に沿った断面図を示す。
図3は、それに対して垂直方向の、ブリッジ領域を通過する結合エレメントの縦軸に沿った他の断面図を示す。ガラス板は、例えば、乗用車のリヤウインドウであり、かつ石灰ソーダガラスからなる3mmの厚みの、熱によりプレストレスがかけられた強化安全ガラスである基材1を含む。基材1は、例えば150cmの幅および80cmの高さを有する。基材1上には、導電性構造2が、発熱導体構造の形で印刷されている。導電性構造2は、銀粒子およびガラスフリットを含む。ガラス板の周縁領域には、導電性構造2が、約10mmの幅に拡張されていて、電気接続エレメント3のための接触面が形成される。接続エレメント3は、導電性構造2の、図示されていない接続ケーブルを介した外部電源供給部との電気接触のために用いられる。電気接触は、乗用車の外側の観察者にとって、導電性構造2と基材1との間の遮閉スクリーン印刷部6により隠されている。
【0070】
接続エレメント1はブリッジ状に形成されていて、1つのブリッジ領域3aと、向かい合って配置された2つのはんだ付け脚部3bとを有する。各はんだ付け脚部3bは、下側に平坦な面Kを有し、この場合、両方のはんだ付け脚部3bの面Kは、同一平面上にあり、かつはんだ付けするための接続エレメント3の接触面を形成する。この接触面Kは、はんだ材料4を介して、導電性構造2と持続的に、電気的にかつ機械的に結合されている。はんだ材料4は鉛フリーであり、ビスマス57質量%、スズ40質量%、および銀3質量%を含み、かつ250μmの厚みを有する。
【0071】
接続エレメント3には、結合エレメント5が取り付けられている。結合エレメント5は、ここでは図式的に堅固な小板として表されているが、フレキシブルな接続ケーブルとして、例えば平織りリボンとして形成されていてもよい。
【0072】
接続エレメント3と、結合エレメント5とは、それぞれ0.8mmの材料の厚みを有する。結合エレメント5から、例えば好ましくは規格に合った自動車差込コネクタが形成されていることができる。結合エレメント5について僅かな材料の厚みを使用することが望ましい場合には、偶数の倍数が0.8mmを生じる材料の厚み、つまり例えば0.4mmまたは0.2mmが推奨されるので、その折り重ねにより規格に合った差込コネクタの厚みを達成することができる。接続エレメント3は、例えば、24mmの長さおよび4mmの幅を有する。結合エレメント5は、例えば6.3mmの幅および27mmの長さを有する。
【0073】
温度変化による臨界的な機械的応力を避けるために、接続エレメント3の熱膨張係数は、基材1の熱膨張係数に合わせられている。接続エレメント3は、例えば、20℃〜300℃の温度範囲で10.5×10
-6/℃の熱膨張係数を有するEN10088−2による素材番号1.4509のクロム含有鋼(ThyssenKrupp Nirosta(登録商標)4509)からなる。車両用ガラス板は、一般に石灰ソーダガラスから作製されていて、これは約9・10
-6/℃の熱膨張係数を有する。膨張係数の僅かな差により、臨界的熱応力を避けることができる。
【0074】
結合エレメント5は、高い導電性および良好な変形性を有するべきであり、これは、接続ケーブルとの接触にとって有利である。したがって、結合エレメント5は、1.8μOhm・cmの電気抵抗を有する素材番号CW004Aの銅(Cu−ETP)からなる。結合エレメント5は、さらに酸化保護のためにスズメッキされているかまたは導電性の改善のために銀メッキされていてよい。
【0075】
接続エレメント3と、結合エレメント5とは、互いに溶接されている。異なる材料のために、溶接結合はもちろん弱められている。素材番号1.4509の鋼は、約1505℃の溶融温度を有し、それに対して銅は約1083℃を有する。融点の大きな相違は、溶接の際に問題を引き起こす。例えば、接続エレメント3は、表面溶融するために極めて高い温度に加熱されなければならない。この場合、結合エレメント5は損傷を受けることがある。結合エレメント5は、溶融しかつ焼き鈍された銅部分として、この配置の弱点を形成する。
【0076】
結合エレメントは、今まで通常のように、接続エレメントの、基材1とは反対側の表面II(上側)に配置されている場合、弱められた結合は、結合エレメントの剥離(「引き剥がし」)を引き起こしかねない、というのも、ことに結合エレメントにかかる引張力がこの結合に直接作用しかねないためである。この結合エレメント5は、接続エレメント3から剥がれかねない。この効果は、車両工業にとって許容可能であるよりも低い引張力の場合でも既に生じることがある。
【0077】
慣用の実施態様とは反対に、結合エレメント5は本発明の場合に上側IIにではなく、ブリッジ領域3aの、基材1に向かう側の表面I(下側)に取り付けられている(溶接されている)。一般的に、(基材1から見て)上方向に向かう力成分を有する引張力は、いわばブリッジ領域3aで変向され、したがって、弱められた結合に直接作用することができない。したがって、この結合は明らかにより高い引張力に耐えることができる。
【0078】
図4は、本発明の別の実施態様の結合エレメント5の縦軸に沿った断面図を示す。この結合エレメント5は、ブリッジ領域3aの、基材とは反対側の表面IIに溶接されている。そこから、この結合エレメント5は、ブリッジ領域3aの第1の側縁の周りを回って、かつ基材に向かう側の表面Iに沿って延び、この表面Iに結合エレメント5は完全に当接する。結合エレメント5は、第1の側縁とは反対側の、ブリッジ領域3aの側縁を越えて突き出している。結合エレメント5の端部に、電装品と結合するための電気接続ケーブルを差し込むことができる。この実施態様も、生じる引張力およびてこの力が表面Iに作用することを引き起こし、これが結合の安定性を高める。
【0079】
ブリッジ領域3aの周りを回るように結合エレメント5を案内することにより、この実施態様は、ことに、結合エレメント5がフレキシブルなケーブルとして形成されている場合に適している。しかしながら、堅固な結合エレメント5を相応して形成することもできる。
【0080】
図5および
図6は、それぞれ、本発明による接続エレメント3を備えた本発明によるガラス板の本発明による製造方法の実施例を示す。この方法工程の順序は実施例として解釈され、本発明を制限するものではない。例えば、結合エレメント5を、接触面K上にはんだ材料4を配置した後に初めてブリッジ領域3aと結合することも可能である。
【0081】
実施例1
一連のブリッジ型の接続エレメント3を、本発明の場合に、結合エレメント5と溶接しかつ固定した。引き続き、上方向に向かう200Nの引張力を、この結合エレメント5に及ぼした。同じ試験を、結合エレメントが慣用の方法様式で接続エレメント1の上側IIに取り付けられている接続エレメントを用いて実施した。この材料は、両方の場合に、
図1〜3において実施例に相応して選択されていた。
【0082】
慣用の配置の場合に、溶接結合は、この場合の85%で破壊された。本発明による配置により、この破壊を0%に低減することができた。
【0083】
実施例2
引張試験を、慣用の接続エレメントと、本発明による接続エレメント3とについて実施した。結合エレメントには、接続エレメント3と結合エレメント5との間の結合が破壊されるまで連続的に高められた上方向に向かう引張力を及ぼした。最大引張力について測定された値が、表1にまとめられている。測定値aおよびbは、この場合、異なる製造元の接続エレメント3に関する。
【0084】
表1
【表1】
【0085】
この測定結果から、本発明が負荷容量の2〜3倍の向上を引き起こすことを明らかに認識することができる。これは、当業者にとって予期できずかつ意外であった。本発明のどの構成がより高い負荷容量を提供するのかは、接続エレメントの具体的な構成に依存する。