(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
被乾燥物を乾燥させるための乾燥室を形成するケーシングと、前記ケーシング内で上下に段状に配されて被乾燥物を順次に下段側へと送る複数のベルトコンベヤとを備える乾燥装置であって、
前記ベルトコンベヤは、
水平方向に所定の軸間距離を有して配される第一ホイール、及び第二ホイールと、
搬送方向側端部を支点として重力作用により回動可能で被乾燥物が載置されるバタフライプレートを複数個無端状に連結して構成され、前記第一ホイール、及び前記第二ホイールに巻き掛け装着されて周回する無端ベルト体と、
前記無端ベルト体の上部領域における前記バタフライプレートを所定の落下位置で重力作用により回動させて、前記バタフライプレート上に載置されている被乾燥物を、前記無端ベルト体の下部領域における前記バタフライプレート上へと落下させる上側被乾燥物落下手段と、
前記無端ベルト体の下部領域における前記バタフライプレートを所定の落下位置で重力作用により回動させて、前記バタフライプレート上に載置されている被乾燥物を、前記無端ベルト体の下部領域の下方へと落下させる下側被乾燥物落下手段と、
前記無端ベルト体が前記第一ホイール、及び/又は前記第二ホイールに巻き掛かっている領域を前記バタフライプレートが移動する際に、前記第一ホイール、及び/又は前記第二ホイールの外周に沿うように前記バタフライプレートを案内するガイド手段と、
を備え、
前記ガイド手段は、前記バタフライプレートにおける前記無端ベルト体の内周側の部位に当接する内側ガイド部材と、前記内側ガイド部材の案内によって前記バタフライプレートにおける搬送方向側端部が下側に搬送方向反対側端部が上側になるように回動された前記バタフライプレートにおける前記無端ベルト体の外周側の部位に当接し前記無端ベルト体の外周側への回動を規制しつつ前記バタフライプレートを案内する外側ガイド部材とにより構成される乾燥装置。
前記内側ガイド部材は、前記第一ホイール、及び/又は前記第二ホイールの回転軸線と同軸で前記第一ホイール、及び/又は前記第二ホイールに取り付けられる円筒状部材により構成され、
前記外側ガイド部材は、前記ケーシングに取り付けられる湾曲板状部材により構成される請求項1に記載の乾燥装置。
【背景技術】
【0002】
近年、重油等の化石燃料に代わる燃料として、植物等の有機物に由来するバイオマス燃料が注目されている。バイオマス燃料は、その生長過程で大気中のCO
2を取り込んだ有機物であることから、これを燃焼させても大気中のCO
2を増加させない「カーボンニュートラル」という特質を有している。
【0003】
バイオマス燃料が例えば木質チップである場合、木質チップの有効熱量は、木質チップに含まれる水分に応じて増減する。通常、伐採直後の木質資源を木質チップに成形した場合、木質チップの水分率は50%前後であり、有効熱量となる低位発熱量は8000kJ/kg程度である。これは木質資源が絶対量として有する高位発熱量約20000kJ/kgに対して半分以下の熱量であり、木質チップのバイオマス燃料としての有効性と価値を大きく上げるためには、木質チップの水分率を低減して、木質チップを改質することが重要である。このような木質チップの改質は、燃料としての品質向上、すなわち単位質量当たりの熱量の増加となり、木質チップを燃料として消費する燃焼施設におけるボイラやポンプ、送風機等の付属設備の負担を軽減することになり、設備コストの低減や、長寿命化に貢献することになる。
【0004】
また、木質チップの水分量は、燃焼設備の炉内燃焼状況(温度や圧力)に影響を及ぼし、木質チップの水分量が高い水準で推移した場合、燃焼設備の安定運転を阻害することになる。日常環境下での木質チップは、50%程度の水分率のため、燃焼設備において安定的に燃焼させるためには、燃料として使用する前に乾燥処理を行い、水分率を低減する必要がある。
【0005】
従来、木質チップの乾燥処理として、発電タービンに供給される蒸気の一部を抽出し、抽出した蒸気を用いて木質チップを乾燥させるという方法や、FIT(固定価格買取制度)発電において、電力単価評価が低い建築廃材等を燃料として用い、別途設けられたボイラで蒸気を生成し、生成した蒸気を用いて木質チップを乾燥させるという方法がある。
【0006】
また、斜め下向きに傾斜が付されたロータリキルンの回転ドラムの内部に木質チップを投入するとともに、例えば、燃料である木質チップの燃焼熱を回転ドラムに対し供給して、投入された木質チップを回転ドラムの回転動作によって撹拌しながら回転ドラムの傾斜に沿って下流側へと送ることにより木質チップを乾燥させる木質チップの乾燥処理方法もある。
【0007】
さらに、木質チップ等のバイオマス燃料を乾燥するのに適用し得る乾燥機が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
特許文献1に係る乾燥装置において、上下のガイドが途切れた領域では、板材の搬送方向側端部が上側に搬送方向反対側端部が下側に位置するような垂下状態の姿勢で板材が移動している。このため、板材の搬送方向側端部と搬送方向反対側端部との間の長さ寸法が比較的長い場合には、板材の下端部(搬送方向反対側端部)が第一スプロケット、又は第二スプロケットの軸に衝突して、スプロケット軸、及び板材が共に損傷する虞がある。また、コンベヤベルトが第一スプロケット、又は第二スプロケットに巻き掛かっている領域を板材が移動するときには、板材の下端部がスプロケット軸に当接した状態で板材の上端部がスプロケットの外周に沿うように下降するため、板材における搬送方向側端部と搬送方向反対側端部とが上下逆転し、搬送方向反対側端部が思案点を越えると、板材が重力作用により一気にスプロケットの外側に向けて回動されて反転してしまい、隣の板材に衝突して隣り合う板材同士が共に損傷する虞がある。
【0014】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、乾燥能力を向上させることができるとともに、バタフライプレートの反転に起因するバタフライプレートの損傷を未然に防ぐことができる乾燥装置、及び乾燥システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するための本発明に係る乾燥装置の特徴構成は、
被乾燥物を乾燥させるための乾燥室を形成するケーシングと、前記ケーシング内で上下に段状に配されて被乾燥物を順次に下段側へと送る複数のベルトコンベヤとを備える乾燥装置であって、
前記ベルトコンベヤは、
水平方向に所定の軸間距離を有して配される第一ホイール、及び第二ホイールと、
搬送方向側端部を支点として重力作用により回動可能で被乾燥物が載置されるバタフライプレートを複数個無端状に連結して構成され、前記第一ホイール、及び前記第二ホイールに巻き掛け装着されて周回する無端ベルト体と、
前記無端ベルト体の上部領域における前記バタフライプレートを所定の落下位置で重力作用により回動させて、前記バタフライプレート上に載置されている被乾燥物を、前記無端ベルト体の下部領域における前記バタフライプレート上へと落下させる上側被乾燥物落下手段と、
前記無端ベルト体の下部領域における前記バタフライプレートを所定の落下位置で重力作用により回動させて、前記バタフライプレート上に載置されている被乾燥物を、前記無端ベルト体の下部領域の下方へと落下させる下側被乾燥物落下手段と、
前記無端ベルト体が前記第一ホイール、及び/又は前記第二ホイールに巻き掛かっている領域を前記バタフライプレートが移動する際に、前記第一ホイール、及び/又は前記第二ホイールの外周に沿うように前記バタフライプレートを案内するガイド手段と、
を備えることにある。
【0016】
本構成の乾燥装置によれば、ケーシング内で上下に段状に配設される複数のベルトコンベヤのそれぞれにおいて、無端ベルト体における上部領域のバタフライプレートと下部領域のバタフライプレートとによって被乾燥物が搬送されるので、乾燥処理量の減少や、設備の大型化を招くことなく、乾燥室内での被乾燥物の滞留時間を長くすることができ、乾燥能力を向上させることができる。なお、被乾燥物が搬送中に落下を繰り返し撹拌される回数も増えるため、被乾燥物の乾燥がより促進されるとともに、被乾燥物に含まれる水分を一定値以下にできるという効果がある。
また、本構成の乾燥装置によれば、無端ベルト体が第一ホイール、及び/又は第二ホイールに巻き掛かっている領域をバタフライプレートが移動する際に、第一ホイール、及び/又は第二ホイールの外周に沿うようにバタフライプレートを案内するガイド手段が設けられているので、第一ホイール、及び/又は第二ホイールの軸にバタフライプレートが衝突するのを確実に防ぐことができるとともに、バタフライプレートが重力作用により第一ホイール、及び/又は第二ホイールの外側に向けて一気に回動して隣のバタフライプレートに衝突するのを確実に防ぐことができ、バタフライプレートの反転に起因するバタフライプレートの損傷を未然に防ぐことができる。さらに、ガイド手段によるバタフライプレートの案内によって無端ベルト体が安定した動きになり、よりスムーズな搬送動作を実現することができる。
【0017】
本発明に係る乾燥装置において、
前記ガイド手段は、前記バタフライプレートにおける前記無端ベルト体の内周側の部位に当接する内側ガイド部材と、前記バタフライプレートにおける前記無端ベルト体の外周側の部位に当接する外側ガイド部材とにより構成されることが好ましい。
【0018】
本構成の乾燥装置によれば、バタフライプレートにおける無端ベルト体の内周側の部位に当接する内側ガイド部材によって無端ベルト体の内周側へのバタフライプレートの回動が規制され、バタフライプレートにおける無端ベルト体の外周側の部位に当接する外側ガイド部材によって無端ベルト体の外周側へのバタフライプレートの回動が規制されるので、第一ホイール、及び/又は第二ホイールの外周に沿うようにバタフライプレートを確実に案内することができる。
【0019】
本発明に係る乾燥装置において、
前記内側ガイド部材は、前記第一ホイール、及び/又は前記第二ホイールの回転軸線と同軸で前記第一ホイール、及び/又は前記第二ホイールに取り付けられる円筒状部材により構成され、
前記外側ガイド部材は、前記ケーシングに取り付けられる湾曲板状部材により構成されることが好ましい。
【0020】
本構成の乾燥装置によれば、第一ホイール、及び/又は第二ホイールの回転軸線と同軸で第一ホイール、及び/又は第二ホイールに取り付けられる円筒状部材によって内側ガイド部材が構成され、ケーシングに取り付けられる湾曲板状部材によって外側ガイド部材が構成されるので、第一ホイール、及び/又は第二ホイールの外周に沿うようにバタフライプレートを案内する機能を簡易な構成で実現することができる。
【0021】
次に、上記課題を解決するための本発明に係る乾燥システムの特徴構成は、
上記に記載の乾燥装置を用いて被乾燥物を乾燥させる乾燥システムであって、
排熱を吸収した熱媒体と大気から吸引した空気との間での熱交換により前記乾燥室に導入される乾燥用空気を生成する熱交換器を備えることにある。
【0022】
本構成の乾燥システムによれば、例えば、バイオマス発電設備におけるボイラ等から排出される排ガスが持つ排熱を利用し、この排熱を吸収した熱媒体と大気から吸引した空気との間での熱交換により加温されて生成された乾燥用空気を用いて乾燥装置により被乾燥物が乾燥されるので、発電タービンに供給される蒸気の一部を用いて木質チップ(被乾燥物)を乾燥したり、建築廃材等を燃料として別途設けたボイラにより発生させた蒸気を用いて木質チップ(被乾燥物)を乾燥したりするといった従来の乾燥システムと比べて、発電量を低下させたり、別途燃料を消費したりすることなく、被乾燥物を乾燥することができ、従来の乾燥システムと比べてランニングコストを低く抑えることができる。また、大気から生成した乾燥用空気を用いるとともに、乾燥室内での被乾燥物の滞留時間が長く乾燥能力が高められた乾燥装置を用いて被乾燥物を乾燥するようにされているので、水分率が高い被乾燥物でも効果的に乾燥することができる。
【0023】
本発明に係る乾燥システムにおいて、
規定の大きさの被乾燥物を選別し、選別した被乾燥物を前記乾燥装置へと定量供給する被乾燥物供給装置を備えることが好ましい。
【0024】
本構成の乾燥システムによれば、被乾燥物供給装置によって規定の大きさの被乾燥物が乾燥装置へと定量供給されるので、乾燥装置によって乾燥処理が施された被乾燥物の水分率のバラツキを抑えることができ、品質が安定した被乾燥物を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明について、
図1〜
図8を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態及び実施例では、乾燥対象としてバイオマス燃料、特に、木質チップを例に挙げて説明する。ただし、本発明は、以下に説明する実施形態や図面、実施例に記載される構成に限定されることは意図しない。
【0027】
図1には、本発明の一実施形態に係る乾燥システムの全体概略構成を示すブロック図が示されている。
【0028】
<全体構成>
図1に示される乾燥システム1は、排熱から熱エネルギを回収し乾き度の高い乾燥用空気を生成する排熱エネルギ回収装置2と、規定の範囲のサイズの木質チップを選別し定量供給する木質チップ供給装置3と、排熱エネルギ回収装置2で生成した乾燥用空気を用いて、木質チップ供給装置3から定量供給される木質チップを乾燥する乾燥装置4とを備えて構成されている。
【0029】
排熱エネルギ回収装置2の上流側には、燃焼ボイラ設備5が設けられている。燃焼ボイラ設備5は、木質チップを燃焼するように構成された燃焼炉11と、燃焼炉11の下流側に設けられるボイラ12と、ボイラ12の下流側に設けられるエコノマイザ13と、エコノマイザ13の下流側に設けられるマルチサイクロン14と、マルチサイクロン14の下流側に設けられるバグフィルタ15と、バグフィルタ15の下流側に設けられる誘引通風機16及び煙突17とを備え、燃焼炉11で燃焼されるに伴い発生した排ガスが、誘引通風機16の作動により、燃焼炉11からボイラ12及びエコノマイザ13へと順に送られて熱回収され、熱回収された排ガスに含まれるダスト等がマルチサイクロン14及びバグフィルタ15で取り除かれ、ダスト等が取り除かれた排ガスが後述する熱交換器21を経て煙突17を介して排出される。なお、燃焼ボイラ設備5は、ボイラ12に接続されたタービン(図示省略)を用いて発電機を駆動して発電するように構成されていてもよい。
【0030】
<排熱エネルギ回収装置>
排熱エネルギ回収装置2は、バグフィルタ15と誘引通風機16との間の排ガス流れ管路の途中に配設される熱交換器21を備えている。この排熱エネルギ回収装置2においては、誘引通風機16の作動によって除塵後の排ガスが熱交換器21に送り込まれるとともに、送風機22によって大気から吸引した空気が熱交換器21に送り込まれるように構成されており、排熱を吸収した熱媒体である排ガスと、大気から吸引した空気との間において熱交換器21により熱交換が行われて乾燥用空気が生成されるようになっている。生成された乾燥用空気は、乾燥装置4における後述するケーシング41内に導入される。また、熱交換器21において熱交換に供された後の排ガスは、誘引通風機16の作動によって煙突17を介して排出される。
【0031】
<木質チップ供給装置>
木質チップ供給装置3は、主として、木質チップ原料貯留部31と、振動スクリーン32と、木質チップの搬送高さを揃える木質チップ均し機構33aがコンベヤ33bに付設されてなる定量調整機33とを備えて構成されている。この木質チップ供給装置3においては、木質チップ原料貯留部31に貯留されている規定サイズよりも大きいサイズの木質チップや小さいサイズの木質チップを含む木質チップ原料を、供給コンベヤ34、スクリューコンベヤ35及び連絡コンベヤ36を介して振動スクリーン32に送り込み、振動スクリーン32によって篩い分けられた規定の範囲のサイズの木質チップを、フライトコンベヤ37を介して定量調整機33に送り、定量調整機33によって規定の範囲のサイズの木質チップを一定量ずつ乾燥装置4における後述するケーシング41内へと供給することができるようになっている。こうして、規定の大きさの木質チップが乾燥装置4へと定量供給されるので、乾燥装置4によって乾燥処理が施された木質チップの水分率のバラツキを抑えることができ、品質が安定した木質チップを得ることができる。
【0032】
<乾燥装置>
乾燥装置4は、主として、乾燥室を形成する外観視直方体形状のケーシング41と、ケーシング41内で上下に段状に配設される複数(本例では4基)のベルトコンベヤ42とを備えて構成されている。
【0033】
<ケーシング>
ケーシング41の一側面部には、乾燥用空気を導入するための所要の乾燥用空気導入口43が設けられ、排熱エネルギ回収装置2によって生成された乾燥用空気が、乾燥用空気導入口43を通してケーシング41の内部に送り込まれるようになっている。ケーシング41の上部には、乾燥用空気を排出するための複数の乾燥用空気排出口44が設けられ、乾燥用空気導入口43を通してケーシング41の内部に送り込まれた乾燥用空気が、木質チップの乾燥のために使用された後に、乾燥用空気排出口44を通してケーシング41の外部に排出されるようになっている。なお、乾燥用空気排出口44を通してケーシング41の外部に排出された乾燥用空気は、誘引通風機45の作動より、集塵装置46に導入されて除塵された後に排気される。さらに、ケーシング41の上部には、定量調整機33によって一定量ずつ送り出される規定の範囲のサイズの木質チップが投入される木質チップ投入口47が設けられている。ここで、複数の乾燥用空気排出口44及び木質チップ投入口47は、ケーシング41の上部の一端縁から他端縁に向かう方向に順に一列に並ぶように配置されている。
【0034】
乾燥装置4においては、木質チップ投入口47を通してケーシング41内に投入された木質チップを、ケーシング41内に配設された4基のベルトコンベヤ42により順次に下段側へと落下するように蛇形(S字形)に搬送しながら、乾燥用空気導入口43を通してケーシング41内に導入された乾燥用空気を用いて乾燥するようにされている。このようにして乾燥された木質チップは、最下段のベルトコンベヤ42の下方に配設される所要の排出コンベヤ48,49により、予め定められた製品置場へと搬送される。
【0035】
図2には、本発明の一実施形態に係る乾燥装置の縦断面図が示されている。また、
図3には、本発明の一実施形態に係る乾燥装置を構成するベルトコンベヤを示す図で、平面図(a)、及び正面図(b)がそれぞれ示されている。
【0036】
<ベルトコンベヤ>
図2に示されるように、ケーシング41内で上下に段状に配設される4基のベルトコンベヤ42は、基本的に同一構造である。各ベルトコンベヤ42は、主として、一対の第一ホイール51(片側のみ図示)、一対の第二ホイール52(片側のみ図示)、及び無端ベルト体53を備えて構成されている。
【0037】
<第一ホイール>
一対の第一ホイール51は、何れも外周部にローラチェーンを掛けることが可能な歯を有するスプロケットホイールであって、ケーシング41の長さ方向の一側においてケーシング41の幅方向に所定間隔を有して対向配置され、互いの回転中心部同士が第一シャフト55によって連結されている。第一シャフト55は、ケーシング41を構成する幅方向の両側壁部に軸受部材(図示省略)を介して回転自在に支持されている。第一シャフト55には、電動モータ(図示省略)からの回転動力が動力伝達機構(図示省略)を介して伝達されるようになっており、電動モータの作動によって第一ホイール51が回転駆動される。
【0038】
<第二ホイール>
一対の第二ホイール52は、何れも第一ホイール51と同様に外周部にローラチェーンを掛けることが可能な歯を有するスプロケットホイールであって、ケーシング41の長さ方向の他側においてケーシング41の幅方向に所定間隔を有して対向配置され、互いの回転中心部同士が第二シャフト56によって連結されている。第二シャフト56は、ケーシング41を構成する幅方向の両側壁部に軸受部材(軸受部材)を介して回転自在に支持されている。
【0039】
第一ホイール51と第二ホイール52とにおいては、水平方向における軸間距離が所定値に設定される一方で、鉛直方向の軸間距離が0に設定されており、ベルトコンベヤ42の全体が水平状態で配置されている。なお、第一ホイール51と第二ホイール52との鉛直方向の軸間距離を0よりも大きい所定値に設定して、ベルトコンベヤ42を傾斜配置する態様もある。
【0040】
<無端ベルト体>
図3(a)に示されるように、無端ベルト体53は、主として、第一無端ローラチェーン61、第二無端ローラチェーン62及び複数のバタフライプレート63により構成されている。
【0041】
[無端ローラチェーン]
第一無端ローラチェーン61は、一対の第一ホイール51のうちの一方の第一ホイール51と、一対の第二ホイール52のうちの一方の第二ホイール52とに巻き掛け装着されるものであり、第二無端ローラチェーン62は、他方の第一ホイール51と他方の第二ホイール52とに巻き掛け装着されるものである。
【0042】
第一無端ローラチェーン61と第二無端ローラチェーン62とは基本的に同一構造のものであり、何れの無端ローラチェーン61,62も、複数の内リンク部材65と複数の外リンク部材66とを交互に回動自在に連結し無端環状に形成してなるものであり、内リンク部材65と外リンク部材66との連結部に回転自在に装着された大径ローラ67がホイール51,52の歯に噛み合うように構成されている。大径ローラ67は、ホイール51,52の歯の形状に倣って回転することで動力を伝達しつつホイール51,52の歯との接触摩擦を軽減するとともに、後述する上側チェーンレールガイド68及び下側チェーンレールガイド69上で転動しながら、内リンク部材65及び外リンク部材66がそれらチェーンレールガイド68,69に接触しないように支持してチェーンレールガイド68,69に沿って無端ローラチェーン61,62をスムーズに移動させる役目をする。
【0043】
図3(b)に示されるように、第一ホイール51と第二ホイール52との間には、上側チェーンレールガイド68及び下側チェーンレールガイド69がそれぞれ配設されている。上側チェーンレールガイド68は、無端ローラチェーン61,62における第一ホイール51及び第二ホイール52に対し上側領域部分を支え、下側チェーンレールガイド69は、無端ローラチェーン61,62における第一ホイール51及び第二ホイール52に対し下側領域部分を支える役目をする。各チェーンレールガイド68,69は、第一ホイール51と第二ホイール52との間で無端ローラチェーン61,62の進む方向を定め、無端ローラチェーン61,62の移動を案内する。
【0044】
[バタフライプレート]
図3(a)に示されるように、第一無端ローラチェーン61と第二無端ローラチェーン62との間には、複数のバタフライプレート63が、無端ローラチェーン61,62の全周に亘って周方向に一列に並ぶように配設され、無端ローラチェーン61,62を介して複数のバタフライプレート63が無端状に連結されることで無端ベルト体53が構成されている。
【0045】
図4には、
図3(a)のA部を一部破断して示す拡大図が、
図5には、
図3(a)のB−B線断面図が、
図6には、
図3(b)のC−C線要部断面図が、それぞれ示されている。
【0046】
図4に示されるように、バタフライプレート63は、無端ローラチェーン61,62の周方向に所定間隔を有して配設される第一横棒71及び第二横棒72を備えている。第一横棒71及び第二横棒72における端部同士、及び一端と他端との間の部分は、当該横棒71,72の長手方向に等間隔で配設される複数(本例では5枚)の連結板73によって連結されている。第一横棒71、第二横棒72及び対向する一対の連結板73の間には、乾燥対象である木質チップを載置することができる所定開口率のパンチングメタル(多孔板)74が組み込まれている。
【0047】
第一横棒71及び第二横棒72のうち、ベルトコンベヤ42の搬送方向側に配設される第一横棒71の一端部は、軸受部材75を介して第一無端ローラチェーン61における内リンク部材65に回動自在に支持され、第一横棒71の他端部は、軸受部材75を介して第二無端ローラチェーン62における内リンク部材65に回動自在に支持されている。一方、第二横棒72は、第一無端ローラチェーン61及び第二無端ローラチェーン62に直接的に支持されておらず、無端ローラチェーン61,62に対し自由に動くことができるようにされている。これにより、バタフライプレート63は、第一横棒71を支点として上下方向に回動自在となっている。
【0048】
図5に示されるように、第一ホイール51及び第二ホイール52に対し上側に位置する複数のバタフライプレート63の下方には、これらバタフライプレート63に木質チップが載置されている状態を保ちつつ搬送方向に移動するようにそれらバタフライプレート63を案内し、且つ下側から支えるレール部材81,82が配設されている。また、第一ホイール51及び第二ホイール52に対し下側に位置する複数のバタフライプレート63の下方には、これらバタフライプレート63に木質チップが載置されている状態を保ちつつ搬送方向に移動するようにそれらバタフライプレート63を案内し、且つ下側から支えるレール部材83,84が配設されている。
【0049】
レール部材81は、第一横棒71及び第二横棒72のそれぞれの一端部と他端部との間の部分に配設される3枚の連結板73にそれぞれ対応するように配置されている(レール部材82,83,84についても同様)。
【0050】
図6に示されるように、レール部材81は、ケーシング41の長さ方向に適宜間隔をあけてケーシング41の幅方向の両側壁部の適所に架設される複数のビーム部材85上に敷設されている(レール部材82,83,84についても同様)。なお、バタフライプレート63は、搬送方向への移動の際に、連結板73がレール部材81〜84上で摺動することにより、木質チップを載置している状態を保ちつつ搬送方向への移動が案内されるので、レール部材81〜84上でバタフライプレート63をスムーズに移動させるために、レール部材81〜84の少なくとも上部部分を、金属や樹脂、複合材料等からなる摺動材で構成し、必要に応じて潤滑油を適宜に塗布しておくのがよい。
【0051】
図7には、
図5の要部拡大図で、D部拡大図(a)、及びE部拡大図(b)がそれぞれ示されている。
図7(a)及び(b)に示されるように、ベルトコンベヤ42は、上側被乾燥物落下手段91と、下側被乾燥物落下手段92とを備えている。
【0052】
<上側被乾燥物落下手段>
図7(a)に示されるように、上側被乾燥物落下手段91は、第一ホイール51、及び第二ホイール52(
図5参照)に対し上側に位置するバタフライプレート63のパンチングメタル74の上面に載置されて搬送されている木質チップMを、第一ホイール51、及び第二ホイール52(
図5参照)に対し下側に位置するバタフライプレート63のパンチングメタル74の上面へと落下させる役目をする。本実施形態において、上側被乾燥物落下手段91は、木質チップMを落下させようとする位置において、当該落下位置を挟むように搬送方向の前後にレール部材82とレール部材81とをバタフライプレート63が入り込むような隙間を存して配設することにより、言い換えれば木質チップMを落下させようとする位置においてレール部材81,82を設けないようにすることにより、木質チップMを落下させようとする位置でバタフライプレート63が、軸受部材75によって支持される第一横棒71を支点として重力作用により下向きに回動するようにして、パンチングメタル74に載置されている木質チップMを落下させるように構成されている。ここで、上側被乾燥物落下手段91において、木質チップMを落下させる位置は、無端ベルト体53における第一ホイール51、及び第二ホイール52に対し上側の上部領域(以下、「無端ベルト体53の上部領域」と略称する。)の搬送方向の終端近傍に設定されている。
【0053】
<下側被乾燥物落下手段>
図7(b)に示されるように、下側被乾燥物落下手段92は、第一ホイール51、及び第二ホイール52(
図5参照)に対し下側に位置するバタフライプレート63のパンチングメタル74の上面に載置されて搬送されている木質チップMを、下方へと落下させる役目をする。本実施形態において、下側被乾燥物落下手段92は、上側被乾燥物落下手段91と同様に、木質チップMを落下させようとする位置において、当該落下位置を挟むように搬送方向の前後にレール部材84とレール部材83とをバタフライプレート63が入り込むような隙間を存して配設することにより、言い換えれば木質チップMを落下させようとする位置においてレール部材83,84を設けないようにすることにより、木質チップMを落下させようとする位置でバタフライプレート63が、軸受部材75によって支持される第一横棒71を支点として重力作用により下向きに回動するようにして、パンチングメタル74に載置されている木質チップMを落下させるように構成されている。ここで、下側被乾燥物落下手段92において、木質チップMを落下させる位置は、無端ベルト体53における第一ホイール51、及び第二ホイール52に対し下側の下部領域(以下、「無端ベルト体53の下部領域」と略称する。)の搬送方向の終端近傍に設定されている。
【0054】
<突上げ部材>
図7(a)に示されるように、無端ベルト体53の上部領域の搬送方向終端近傍に設定された木質チップ落下位置の搬送方向側には、第一横棒71を支点として下向きに回動されたバタフライプレート63を搬送方向への移動に伴う連結板73との衝突により突き上げるようにする突上げ部材95がレール部材82と一体構成で配設されている。また、
図7(b)に示されるように、無端ベルト体53の下部領域の搬送方向終端近傍に設定された木質チップ落下位置の搬送方向側には、第一横棒71を支点として下向きに回動されたバタフライプレート63を搬送方向への移動に伴う連結板73との衝突により突き上げるようにする突上げ部材96がレール部材84と一体構成で配設されている。
【0055】
図8には、
図5の要部拡大図で、F部拡大図(a)、及びG部拡大図(b)がそれぞれ示されている。
【0056】
<ガイド手段>
図8(a)及び(b)に示されるように、乾燥装置4は、無端ベルト体53が第一ホイール51、及び第二ホイール52に巻き掛かっている領域をバタフライプレート63が移動する際に、第一ホイール51、及び第二ホイール52の外周に沿うようにバタフライプレート63を案内するガイド手段100A,100Bを備えている。
【0057】
ガイド手段100A,100Bは、バタフライプレート63における無端ベルト体53の内周側の部位に当接する内側ガイド部材101A,101Bと、バタフライプレート63における無端ベルト体53の外周側の部位に当接する外側ガイド部材102A,102Bとにより構成されている。
【0058】
[内側ガイド部材]
図8(a)に示されるように、内側ガイド部材101Aは、第一ホイール51の回転軸線(第一シャフト55の回転軸線)と同軸で第一ホイール51の内側面における外周寄りの部位に取り付けられる円筒状部材により構成され、バタフライプレート63の連結板73における無端ベルト体53の内周側の部位に当接する外周面を有している。
【0059】
図8(b)に示されるように、内側ガイド部材101Bは、上記の内側ガイド部材101Aと基本的に同構造であり、第二ホイール52の回転軸線(第二シャフト56の回転軸線)と同軸で第二ホイール52の内側面における外周寄りの部位に取り付けられる円筒状部材により構成され、バタフライプレート63の連結板73における無端ベルト体53の内周側の部位に当接する外周面を有している。
【0060】
[外側ガイド部材]
図8(a)に示されるように、外側ガイド部材102Aは、第一ホイール51の回転軸線上(第一シャフト55の回転軸線上)の点を中心として所定曲率半径で帯状板を略半円弧状に湾曲形成した湾曲板状部材により構成され、バタフライプレート63の連結板73における無端ベルト体53の外周側の部位に当接する内周面を有している。
【0061】
図8(b)に示されるように、外側ガイド部材102Bは、上記の外側ガイド部材102Aと基本的に同構造であり、第二ホイール52の回転軸線上(第二シャフト56の回転軸線上)の点を中心として所定曲率半径で帯状板を略半円弧状に湾曲形成した湾曲板状部材により構成され、バタフライプレート63の連結板73における無端ベルト体53の外周側の部位に当接する内周面を有している。
【0062】
図8(a)及び(b)に示されるように、外側ガイド部材102A,102Bは、何れも所要のステー103を介してケーシング41(
図2参照)に取り付けられている。
【0063】
<作動説明>
以上に述べたように構成される乾燥システム1の作動について説明する。
【0064】
図1に示されるように、本実施形態の乾燥システム1においては、燃焼ボイラ設備5からのダスト等が取り除かれた排ガスと、送風機22によって大気から吸引した空気との間において熱交換器21により熱交換が行われて約120℃程度の乾燥用空気(熱風)が生成される。生成された乾燥用空気は、乾燥装置4におけるケーシング41内に乾燥用空気導入口43を介して導入される。一方、木質チップ供給装置3の定量調整機33から規定の範囲のサイズの木質チップが一定量ずつ乾燥装置4におけるケーシング41内に木質チップ投入口47を介して供給される。
【0065】
図2に示されるように、木質チップ投入口47を介してケーシング41内に供給された木質チップMは、最上段(第四段目)に位置するコンベヤ42上に落下され、無端ベルト体53における第一ホイール51及び第二ホイール52に対し上側の上部領域のバタフライプレート63上に載置される。このバタフライプレート63上に載置された木質チップMは、第一ホイール51の
図2中矢印方向の回転により、第二ホイール52から第一ホイール51に向かう方向に搬送される。
【0066】
図7(a)に示されるように、木質チップMが載置されているバタフライプレート63がレール部材81とレール部材82との間に位置すると、レール部材81,82によって支持されなくなって自由に回動できる状態になるため、バタフライプレート63が第一横棒71を支点として重力作用により下向きに回動する。これにより、バタフライプレート63のパンチングメタル74に載置されている木質チップMが落下され、無端ベルト体53における第一ホイール51及び第二ホイール52に対し下側の下部領域のバタフライプレート63上に載置される。このバタフライプレート63上に載置された木質チップMは、
図2に示されるように、第一ホイール51から第二ホイール52に向かう方向に搬送される。なお、レール部材81とレール部材82との間で重力作用により下向きに回動して垂れ下がったバタフライプレート63は、当該バタフライプレート63の搬送方向への移動に伴い、突上げ部材95(レール部材82)と衝突して突き上げられ、木質チップMが載置可能な状態に復帰される。
【0067】
図8(a)に示されるように、バタフライプレート63がレール部材82を搬送方向側に越えた後に、無端ベルト体53が第一ホイール51に巻き掛かっている領域をバタフライプレート63が移動する際には、側面視で第一ホイール51の外周に沿うように配設される内側ガイド部材101A、及び外側ガイド部材102Aによってバタフライプレート63が案内される。これにより、第一シャフト55にバタフライプレート63が衝突するのを確実に防ぐことができるとともに、バタフライプレート63が重力作用により第一ホイール51の外側に向けて一気に回動して隣のバタフライプレート63に衝突するのを確実に防ぐことができる。こうして、第一シャフト55を傷付けたり汚染したりせず、また、バタフライプレート63の反転に起因するバタフライプレート63の損傷を未然に防ぐことができる。また、バタフライプレート63が必要以上に回動しないため、軸受部材75(
図4参照)によって支持される第一横棒71の端部の摩耗が少なくなるという効果がある。
【0068】
図7(b)に示されるように、木質チップMが載置されているバタフライプレート63がレール部材83とレール部材84との間に位置すると、レール部材83,84によって支持されなくなって自由に回動できる状態になるため、バタフライプレート63が第一横棒71を支点として重力作用により下向きに回動する。これにより、バタフライプレート63のパンチングメタル74に載置されている木質チップMが落下され、第三段目に位置するベルトコンベヤ42上に落下される。
【0069】
図8(b)に示されるように、バタフライプレート63がレール部材84を搬送方向側に越えた後に、無端ベルト体53が第二ホイール52に巻き掛かっている領域をバタフライプレート63が移動する際には、側面視で第二ホイール52の外周に沿うように配設される内側ガイド部材101B、及び外側ガイド部材102Bによってバタフライプレート63が案内される。これにより、第二シャフト56にバタフライプレート63が衝突するのを確実に防ぐことができる。また、
図8(b)中矢印で示される回転方向とは逆方向に回転される場合に、バタフライプレート63が重力作用により第二ホイール52の外側に向けて一気に回動して隣のバタフライプレート63に衝突するのを確実に防ぐことができる。こうして、第二シャフト56を傷付けたり汚染したりせず、また、バタフライプレート63の反転に起因するバタフライプレート63の損傷を未然に防ぐことができる。また、バタフライプレート63が必要以上に回動しないため、軸受部材75(
図4参照)によって支持される第一横棒71の端部の摩耗が少なくなるという効果がある。
【0070】
乾燥装置4においては、バタフライプレート63が内側ガイド部材101A、及び外側ガイド部材102Aによって案内されることにより、無端ベルト体53が安定した動きになり、よりスムーズな搬送動作を実現することができる。
【0071】
以下、同様にして、
図2に示されるように、第三段目、第二段目及び第一段目のベルトコンベヤに42より木質チップMが順次に下段側へと搬送される。こうして、4基のベルトコンベヤ42によって順次に下段側へと搬送される木質チップMは、ケーシング41内に導入される乾燥用空気によって乾燥される。このようにして乾燥された木質チップMは、ケーシング41の下部に設けられた木質チップ排出口99を介してケーシング41の外部へと排出され、
図1に示されるように、最下段のベルトコンベヤ42の下方に配設される所要の排出コンベヤ48,49により、予め定められた製品置場へと搬送される。
【0072】
上記のように、ケーシング41内で上下に段状に配設される4基のベルトコンベヤ42のそれぞれにおいて、無端ベルト体53における上部領域の外周面と下部領域の内周面とによって木質チップMが搬送されるので、無端ベルト体53における上部領域の外周面のみで木質チップMを搬送していた従来のベルトコンベヤを用いる場合と比べて木質チップMの搬送距離を理論上最大2倍程度にまで延長することができ、乾燥処理量の減少や、設備の大型化を招くことなく乾燥室内での木質チップMの滞留時間を長くすることができて、乾燥能力を向上させることができる。また、木質チップMが搬送中に落下を繰り返し撹拌される回数も増えるため、木質チップMの乾燥がより促進されるとともに、被乾燥物に含まれる水分が均一化されるという効果がある。
【0073】
また、乾燥システム1においては、燃焼ボイラ設備5から排出される排ガスが持つ排熱を利用し、この排熱を吸収した熱媒体と大気から吸引した空気との間での熱交換により加温されて生成された乾燥用空気を用いて乾燥装置4により木質チップMが乾燥されるので、発電タービンに供給される蒸気の一部を用いて木質チップ(被乾燥物)を乾燥したり、建築廃材等を燃料として別途設けたボイラにより発生させた蒸気を用いて木質チップ(被乾燥物)を乾燥したりするといった従来の乾燥システムと比べて、発電量を低下させたり、別途燃料を消費したりすることなく、木質チップMを乾燥することができ、従来の乾燥システムと比べてランニングコストを低く抑えることができる。また、大気を加温した乾燥用空気を用いるとともに、ケーシング41内での木質チップMの滞留時間が長く乾燥能力が高められた乾燥装置4を用いて木質チップMを乾燥するようにされているので、水分率が高い木質チップMでも効果的に乾燥することができる。
【実施例】
【0074】
次に、本発明の乾燥装置、及び乾燥システムの実施例について説明する。
【0075】
<実施例>
乾燥システム1の運転時間が46.5hで、乾燥装置4での滞留時間を50分として、木質チップを乾燥させた。このときの木質チップの水分率の変化を表1に示す。
【0076】
【表1】
【0077】
表1に示される結果から、本発明に係る乾燥装置4、及び乾燥システム1は、高い水分率(50重量%以上)の木質チップでも低い水分率(25重量%程度)にまで乾燥することができ、乾燥効率が高いことが分かる。
【解決手段】無端ベルト体53の上部領域におけるバタフライプレート63上に載置されている木質チップMを、無端ベルト体53の下部領域におけるバタフライプレート63上へと落下させる上側被乾燥物落下手段91と、無端ベルト体53の下部領域におけるバタフライプレート63上に載置されている木質チップMを、無端ベルト体53の下部領域の下方へと落下させる下側被乾燥物落下手段92と、第一ホイール51、及び第二ホイール52の外周に沿うようにバタフライプレート63を案内するガイド手段100A,100Bとを備える乾燥装置4。