【実施例】
【0053】
<3.実施例>
以下、本発明の実施例について説明する。本実施例では、アクリル系熱伝導組成物からなる層を有する熱伝導性シートを作製した。そして、各熱伝導性シートについて、熱伝導率の測定、圧縮率の測定、及びアウトガス量の測定を行った。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0054】
熱伝導性シートの作製、熱伝導率の測定、圧縮率の測定、及びアウトガス量の測定は、次のように行った。
【0055】
[熱伝導性シートの作製]
ポリビニルアセタール(エスレックBX−1、積水化学(株))とスチレン−ビニルイソプレンブロック共重合体(ハイブラー5125、(株)クラレ)とを8:2の割合で混合して支持樹脂組成物を得た。この支持樹脂組成物をバーコーターでPETフィルムに塗布し、厚み0.5mmの支持樹脂層を形成した。
【0056】
支持樹脂層上にアクリル系熱伝導組成物を塗布し、アクリル系熱伝導組成物面と支持樹脂層面の両側から紫外線を1mW/cm
2の照射強度で同時に5分間照射して支持樹脂層上に熱伝導樹脂層を形成し、厚み0.005mmの支持樹脂層と厚み1.0mmの熱伝導樹脂層とからなる熱伝導性シートを作製した。
【0057】
[熱伝導率の測定]
アクリル系熱伝導組成物をバーコーターでPETフィルムに塗布し、アクリル系熱伝導組成物面と支持樹脂層面の両側から紫外線を1mW/cm
2の照射強度で同時に10分間照射して支持樹脂層上に厚み1.0mmの熱伝導樹脂層を形成した。熱伝導樹脂層の厚み方向の熱伝導率は、ASTMD5470に準拠した熱伝導率測定装置を用い、荷重1kgf/cm
2をかけて測定した。
【0058】
[圧縮率の測定]
アクリル系熱伝導組成物をバーコーターでPETフィルムに塗布し、アクリル系熱伝導組成物面と支持樹脂層面の両側から紫外線を1mW/cm
2の照射強度で同時に10分間照射して支持樹脂層上に厚み1.0mmの熱伝導樹脂層を形成した。熱伝導樹脂層の圧縮率は、初期の厚さと荷重1kgf/cm
2をかけた際の厚さとを測定して算出した。
【0059】
[アウトガス量の測定]
前述のように作製した熱伝導シートを用いてアストガス量を測定した。熱伝導性シートのアウトガス量は、パージ&トラップ法にて測定した。熱伝導性シートをアンプル瓶に封入し、パージ&トラップ装置にて150℃で15分間加熱してガスを採取し、次いでGC/MS装置に導入し、発生するガス量をテトラデカン換算で求めた。
【0060】
〔1.チオール化合物の官能数、及び添加量の影響について〕
<実施例1>
表1に示すように、単官能アクリレートとしてLAを100質量部、可塑剤としてセバシン酸エステル(DIDA)を73質量部、ポリプロピレングリコールジアクリレートを7.4質量部、4官能チオールを3.42質量部、酸化防止剤を1.9質量部、二次酸化防止剤を1.9質量部、アシルフォスフィンオキサイド系光開始剤を0.2質量部、α−ヒドロキシケトン系光開始剤を0.43質量部、平均粒径(D50)60〜80μmの水酸化アルミニウムを551質量部、及び平均粒径(D50)7.4μmの水酸化アルミニウムを551質量部、ミキサーに仕込んで混練し、アクリル系熱伝導組成物を得た。そして、前述の方法により、熱伝導性シートを作製した。
【0061】
表1に示すように、実施例1の熱伝導樹脂層の熱伝導率は、2.0W/m・Kであり、圧縮率は18.3%であった。また、熱伝導シートをパージ&トラップ装置にて測定した結果、アセトン、イソプロピルアルコール等のケトン、アルコール系のガスが6.768μg/g、トルエン、エチルベンゼン、キシレン等の芳香族系のガスが2.358μg/g、光開始剤分解物のガスが22.512μg/g、ドデカノールのガスが77.4μg/g、BHTのガスが1.7μg/g、LAのガスが11.0μg/g、及びその他のガスが38.5μg/g発生し、全アウトガス量は、160.4μg/gであった。
【0062】
<実施例2>
表1に示すように、単官能アクリレートとしてLAを100質量部、可塑剤としてセバシン酸エステル(DIDA)を73質量部、ポリプロピレングリコールジアクリレートを7.4質量部、3官能チオールを3.42質量部、酸化防止剤を1.8質量部、二次酸化防止剤を1.9質量部、アシルフォスフィンオキサイド系光開始剤を0.2質量部、α−ヒドロキシケトン系光開始剤を0.44質量部、平均粒径(D50)60〜80μmの水酸化アルミニウムを553質量部、及び平均粒径(D50)7.4μmの水酸化アルミニウムを553質量部、ミキサーに仕込んで混練し、アクリル系熱伝導組成物を得た。そして、前述の方法により、熱伝導性シートを作製した。
【0063】
表1に示すように、実施例2の熱伝導樹脂層の熱伝導率は、2.0W/m・Kであり、圧縮率は12.7%であった。また、熱伝導シートをパージ&トラップ装置にて測定した結果、アセトン、イソプロピルアルコール等のケトン、アルコール系のガスが5.991μg/g、トルエン、エチルベンゼン、キシレン等の芳香族系のガスが2.097μg/g、光開始剤分解物のガスが19.375μg/g、ドデカノールのガスが75.5μg/g、BHTのガスが1.8μg/g、LAのガスが17.9μg/g、及びその他のガスが40.0μg/g発生し、全アウトガス量は、162.7μg/gであった。
【0064】
<実施例3>
表1に示すように、単官能アクリレートとしてLAを100質量部、可塑剤としてセバシン酸エステル(DIDA)を76質量部、ポリプロピレングリコールジアクリレートを12.2質量部、2官能チオールを3.8質量部、酸化防止剤を1.9質量部、二次酸化防止剤を1.9質量部、アシルフォスフィンオキサイド系光開始剤を0.2質量部、α−ヒドロキシケトン系光開始剤を0.44質量部、平均粒径(D50)60〜80μmの水酸化アルミニウムを577質量部、及び平均粒径(D50)7.4μmの水酸化アルミニウムを577質量部、ミキサーに仕込んで混練し、アクリル系熱伝導組成物を得た。そして、前述の方法により、熱伝導性シートを作製した。
【0065】
表1に示すように、実施例3の熱伝導樹脂層の熱伝導率は、1.8W/m・Kであり、圧縮率は14.2%であった。また、熱伝導シートをパージ&トラップ装置にて測定した結果、アセトン、イソプロピルアルコール等のケトン、アルコール系のガスが3.216μg/g、トルエン、エチルベンゼン、キシレン等の芳香族系のガスが3.623μg/g、光開始剤分解物のガスが24.969μg/g、ドデカノールのガスが62.0μg/g、BHTのガスが2.0μg/g、LAのガスが17.2μg/g、及びその他のガスが40.7μg/g発生し、全アウトガス量は、153.7μg/gであった。
【0066】
<比較例1>
表1に示すように、単官能アクリレートとしてLAを100質量部、可塑剤としてセバシン酸エステル(DIDA)を73質量部、ポリプロピレングリコールジアクリレートを7.5質量部、酸化防止剤を1.8質量部、二次酸化防止剤を1.8質量部、アシルフォスフィンオキサイド系光開始剤を0.2質量部、α−ヒドロキシケトン系光開始剤を0.41質量部、平均粒径(D50)60〜80μmの水酸化アルミニウムを543質量部、及び平均粒径(D50)7.4μmの水酸化アルミニウムを543質量部、ミキサーに仕込んで混練し、アクリル系熱伝導組成物を得た。そして、前述の方法により、熱伝導性シートを作製した。
【0067】
表1に示すように、比較例1の熱伝導樹脂層の熱伝導率は、1.6W/m・Kであり、圧縮率は1.6%であった。また、熱伝導シートをパージ&トラップ装置にて測定した結果、アセトン、イソプロピルアルコール等のケトン、アルコール系のガスが5.995μg/g、トルエン、エチルベンゼン、キシレン等の芳香族系のガスが2.362μg/g、光開始剤分解物のガスが10.425μg/g、ドデカノールのガスが87.1μg/g、BHTのガスが1.4μg/g、LAのガスが10.7μg/g、及びその他のガスが42.9μg/g発生し、全アウトガス量は、161.0μg/gであった。
【0068】
<比較例2>
表1に示すように、単官能アクリレートとしてLAを100質量部、可塑剤としてセバシン酸エステル(DIDA)を72質量部、ポリプロピレングリコールジアクリレートを7.4質量部、2官能チオールを3.45質量部、酸化防止剤を1.8質量部、二次酸化防止剤を1.8質量部、アシルフォスフィンオキサイド系光開始剤を0.2質量部、α−ヒドロキシケトン系光開始剤を0.43質量部、平均粒径(D50)60〜80μmの水酸化アルミニウムを551質量部、及び平均粒径(D50)7.4μmの水酸化アルミニウムを551質量部、ミキサーに仕込んで混練し、アクリル系熱伝導組成物を得た。そして、前述の方法により、熱伝導性シートを作製した。
【0069】
表1に示すように、比較例2の熱伝導樹脂はシート化できなかった。この熱伝導樹脂をパージ&トラップ装置にて測定した結果、アセトン、イソプロピルアルコール等のケトン、アルコール系のガスが8.483μg/g、トルエン、エチルベンゼン、キシレン等の芳香族系のガスが0.819μg/g、光開始剤分解物のガスが5.029μg/g、ドデカノールのガスが7.3μg/g、BHTのガスが0.6μg/g、LAのガスが2.4μg/g、及びその他のガスが4.1μg/g発生し、全アウトガス量は、28.9μg/gであった。
【0070】
<比較例3>
表1に示すように、単官能アクリレートとしてLAを100質量部、可塑剤としてセバシン酸エステル(DIDA)を73質量部、ポリプロピレングリコールジアクリレートを7.6質量部、1官能チオールを3.40質量部、酸化防止剤を1.8質量部、二次酸化防止剤を1.8質量部、アシルフォスフィンオキサイド系光開始剤を0.2質量部、α−ヒドロキシケトン系光開始剤を0.42質量部、平均粒径(D50)60〜80μmの水酸化アルミニウムを553質量部、及び平均粒径(D50)7.4μmの水酸化アルミニウムを553質量部、ミキサーに仕込んで混練し、アクリル系熱伝導組成物を得た。そして、前述の方法により、熱伝導性シートを作製した。
【0071】
表1に示すように、比較例3の熱伝導樹脂はシート化できなかった。この熱伝導樹脂をパージ&トラップ装置にて測定した結果、アセトン、イソプロピルアルコール等のケトン、アルコール系のガスが5.510μg/g、トルエン、エチルベンゼン、キシレン等の芳香族系のガスが0.718μg/g、光開始剤分解物のガスが3.737μg/g、ドデカノールのガスが13.8μg/g、BHTのガスが1.2μg/g、LAのガスが4.6μg/g、及びその他のガスが10.7μg/g発生し、全アウトガス量は、40.4μg/gであった。
【0072】
<比較例4>
表1に示すように、単官能アクリレートとしてLAを100質量部、可塑剤としてセバシン酸エステル(DIDA)を73質量部、ポリプロピレングリコールジアクリレートを7.6質量部、4官能チオールを1.85質量部、酸化防止剤を1.9質量部、二次酸化防止剤を1.8質量部、アシルフォスフィンオキサイド系光開始剤を0.2質量部、α−ヒドロキシケトン系光開始剤を0.44質量部、平均粒径(D50)60〜80μmの水酸化アルミニウムを553質量部、及び平均粒径(D50)7.4μmの水酸化アルミニウムを553質量部、ミキサーに仕込んで混練し、アクリル系熱伝導組成物を得た。そして、前述の方法により、熱伝導性シートを作製した。
【0073】
表1に示すように、比較例4の熱伝導樹脂層の熱伝導率は、2.0W/m・Kであり、圧縮率は4.19%であった。また、熱伝導シートをパージ&トラップ装置にて測定した結果、アセトン、イソプロピルアルコール等のケトン、アルコール系のガスが0.636μg/g、トルエン、エチルベンゼン、キシレン等の芳香族系のガスが0.504μg/g、光開始剤分解物のガスが21.157μg/g、ドデカノールのガスが90.8μg/g、BHTのガスが1.1μg/g、LAのガスが12.5μg/g、及びその他のガスが44.4μg/g発生し、全アウトガス量は、171.1μg/gであった。
【0074】
<比較例5>
表1に示すように、単官能アクリレートとしてLAを100質量部、可塑剤としてセバシン酸エステル(DIDA)を75質量部、ポリプロピレングリコールジアクリレートを7.5質量部、4官能チオールを5.06質量部、酸化防止剤を1.8質量部、二次酸化防止剤を1.8質量部、アシルフォスフィンオキサイド系光開始剤を0.2質量部、α−ヒドロキシケトン系光開始剤を0.43質量部、平均粒径(D50)60〜80μmの水酸化アルミニウムを552質量部、及び平均粒径(D50)7.4μmの水酸化アルミニウムを552質量部、ミキサーに仕込んで混練し、アクリル系熱伝導組成物を得た。そして、前述の方法により、熱伝導性シートを作製した。
【0075】
表1に示すように、比較例5の熱伝導樹脂はシート化できなかった。この熱伝導樹脂をパージ&トラップ装置にて測定した結果、アセトン、イソプロピルアルコール等のケトン、アルコール系のガスが2.358μg/g、トルエン、エチルベンゼン、キシレン等の芳香族系のガスが0.527μg/g、光開始剤分解物のガスが11.377μg/g、ドデカノールのガスが12.4μg/g、BHTのガスが0.8μg/g、LAのガスが4.6μg/g、及びその他のガスが8.2μg/g発生し、全アウトガス量は、40.2μg/gであった。
【0076】
【表1】
LA:ラウリルアクリレート
DIDS:セバシン酸ジイソデシル
ポリプロピレングリコールジアクリレート:M−270、東亞合成(株)
4官能チオール:ペンタエリスリトール テトラキス(3−メルカプトブチレート)(カレンズMT PE1、昭和電工(株))
3官能チオール:1,3,5−トリス(3−メルカプトブチリルオキシエチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン(カレンズMT NR1、昭和電工(株))
2官能チオール:1,4−ビス(3−メルカプトブチリルオキシ)ブタン(カレンズMT BD1、昭和電工(株))
1官能チオール:(カレンズMT EHMP、昭和電工(株))
酸化防止剤:3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸ステアリル(AO−50、(株)ADEKA)
二次酸化防止剤:1,1−ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ペンチルフェニル)メタンのアクリル酸モノエステル(Sumilizer GP、住友化学(株))
アシルフォスフィンオキサイド系光開始剤:ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド(Irgacure819、BASFジャパン(株))
α−ヒドロキシケトン系光開始剤:オリゴ〔2−ヒドロキシ−2−メチル−1−{4−(1−メチルビニル)フェニル}プロパノン(esacure one、Lamberti(株))
【0077】
比較例1のように、チオール化合物を添加しなかった場合、圧縮率が低く、柔軟性のある熱伝導性シートを得ることができなかった。また、比較例2のように、実施例1,2とポリプロピレングリコールジアクリレートの添加量が略同一の場合、シート化できなかった。これは、架橋しなかった2官能チオールが残存したためであると考えられる。また、比較例3のように、1官能チオールを添加した場合、シート化できなかった。これは、1官能チオールが架橋せずに残存したためであると考えられる。また、比較例4のように、チオール化合物の添加量が少なすぎる場合、圧縮率が低く、柔軟性が得られない。また、比較例5のようにチオール化合物の添加量が多すぎる場合、シート化できなかった。これは、架橋しなかったチオール化合物が残存したためであると考えられる。
【0078】
一方、実施例1〜3のように、チオール化合物として多官能チオールを添加した場合、10%以上の圧縮率が得られ、優れた柔軟性を得ることができた。また、実施例3のように、実施例1,2よりもポリプロピレングリコールジアクリレートの添加量が多い場合、2官能チオールでも優れた柔軟性を得ることができた。
【0079】
〔2.単官能アクリレート、及び多官能(メタ)アクリレートの影響について〕
<実施例4>
表2に示すように、単官能アクリレートとしてISTAを100質量部、可塑剤としてDIDSを73.8質量部、多官能(メタ)アクリレートとしてポリプロピレングリコールジアクリレートを7.4質量部、多官能チオールを3.5質量部、酸化防止剤を1.8質量部、二次酸化防止剤を2.0質量部、アシルフォスフィンオキサイド系光開始剤を0.2質量部、α−ヒドロキシケトン系光開始剤を0.43質量部、平均粒径(D50)60〜80μmの水酸化アルミニウムを543質量部、及び平均粒径(D50)7.4μmの水酸化アルミニウムを543質量部、ミキサーに仕込んで混練し、アクリル系熱伝導組成物を得た。そして、前述の方法により、熱伝導性シートを作製した。
【0080】
表2に示すように、実施例4の熱伝導樹脂層の熱伝導率は、1.659W/m・Kであり、圧縮率は33.89%であった。また、熱伝導シートをパージ&トラップ装置にて測定した結果、全アウトガス量は、113.7μg/gであった。
【0081】
<実施例5>
表2に示すように、単官能アクリレートとしてLAを100質量部、可塑剤としてDIDSを72.5質量部、多官能(メタ)アクリレートとしてポリエチレングリコールジアクリレートを4.6質量部、多官能チオールを3.7質量部、酸化防止剤を1.8質量部、二次酸化防止剤を1.8質量部、アシルフォスフィンオキサイド系光開始剤を0.2質量部、α−ヒドロキシケトン系光開始剤を0.40質量部、平均粒径(D50)60〜80μmの水酸化アルミニウムを550質量部、及び平均粒径(D50)7.4μmの水酸化アルミニウムを550質量部、ミキサーに仕込んで混練し、アクリル系熱伝導組成物を得た。そして、前述の方法により、熱伝導性シートを作製した。
【0082】
表2に示すように、実施例5の熱伝導樹脂層の熱伝導率は、2.019W/m・Kであり、圧縮率は10.44%であった。また、熱伝導シートをパージ&トラップ装置にて測定した結果、全アウトガス量は、162.7μg/gであった。
【0083】
<比較例6>
表2に示すように、単官能アクリレートとしてLAを100質量部、可塑剤としてDIDSを70.8質量部、多官能(メタ)アクリレートとしてポリエチレングリコールジアクリレートを7.5質量部、多官能チオールを3.4質量部、酸化防止剤を1.8質量部、二次酸化防止剤を1.8質量部、アシルフォスフィンオキサイド系光開始剤を0.2質量部、α−ヒドロキシケトン系光開始剤を0.40質量部、平均粒径(D50)60〜80μmの水酸化アルミニウムを539質量部、及び平均粒径(D50)7.4μmの水酸化アルミニウムを539質量部、ミキサーに仕込んで混練し、アクリル系熱伝導組成物を得た。そして、前述の方法により、熱伝導性シートを作製した。
【0084】
表2に示すように、実施例5の熱伝導樹脂層の熱伝導率は、1.662W/m・Kであり、圧縮率は4.87%であった。また、熱伝導シートをパージ&トラップ装置にて測定した結果、全アウトガス量は、145.1μg/gであった。
【0085】
【表2】
LA:ラウリルアクリレート
ISTA:イソステアリルアクリレート
DIDS:セバシン酸ジイソデシル
ポリプロピレングリコールジアクリレート:M−270、東亞合成(株)
ポリエチレングリコールジアクリレート:M−240、東亞合成(株)
多官能チオール:ペンタエリスリトール テトラキス(3−メルカプトブチレート)(カレンズMT PE1、昭和電工(株))
酸化防止剤:3−(3,5−次−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸ステアリル(AO−50、(株)ADEKA)
二次酸化防止剤:1,1−ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ペンチルフェニル)メタンのアクリル酸モノエステル(Sumilizer GP、住友化学(株))
アシルフォスフィンオキサイド系光開始剤:ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド(Irgacure819、BASFジャパン(株))
α−ヒドロキシケトン系光開始剤:オリゴ〔2−ヒドロキシ−2−メチル−1−{4−(1−メチルビニル)フェニル}プロパノン(esacure one、Lamberti(株))
【0086】
実施例4のように、単官能(メタ)アクリレートとして、イソステアリルアクリレート(ISTA)を用いた場合、ラウリルアクリレート(LA)を用いた実施例1よりも、高い圧縮率が得られ、さらにアウトガス量を低減させることができた。
【0087】
実施例5のように、多官能(メタ)アクリレートとして、ポリエチレングリコールジアクリレートを用いた場合、ポリプロピレングリコールジアクリレートを用いた実施例1よりも、圧縮率が低下した。また、比較例6のように、ポリエチレングリコールジアクリレートを実施例1と略同量添加した場合、さらに圧縮率が低下した。これは、ポリエチレングリコールジアクリレートがポリプロピレングリコールジアクリレートよりも直鎖の炭素数が小さいためであると考えられる。
【0088】
〔3.多官能(メタ)アクリレートの種類の影響について〕
<実施例6>
表3に示すように、単官能アクリレートとしてLAを100質量部、セバシン酸エステルとしてDIDSを77.2質量部、異種重合性モノマーを5.81質量部、多官能チオールを5.59質量部、酸化防止剤を1.88質量部、二次酸化防止剤を1.81質量部、アシルフォスフィンオキサイド系光開始剤を0.06質量部、α−ヒドロキシケトン系光開始剤を0.15質量部、平均粒径(D50)60〜80μmの水酸化アルミニウムを587.0質量部、及び平均粒径(D50)7.4μmの水酸化アルミニウムを587.0質量部、ミキサーに仕込んで混練し、アクリル系熱伝導組成物を得た。そして、前述の方法により、熱伝導性シートを作製した。
【0089】
表3に示すように、実施例6の熱伝導樹脂層の熱伝導率は、1.943W/m・Kであり、圧縮率は12.68%であった。また、熱伝導シートをパージ&トラップ装置にて測定した結果、アセトン、イソプロピルアルコール等のケトン、アルコール系のガスが3.182g/g、トルエン、エチルベンゼン、キシレン等の芳香族系のガスが1.014μg/g、光開始剤分解物のガスが6.752μg/g、ドデカノールなどのガスが30.9μg/g、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)のガスが0.6μg/g、LAのガスが13.4μg/g、及びその他のガスが39.5μg/g発生し、全アウトガス量は、95.3μg/gであった。
【0090】
<実施例7>
表3に示すように、単官能アクリレートとしてISTAを100質量部、セバシン酸エステルとしてDIDSを75.4質量部、異種重合性モノマーを6.83質量部、多官能チオールを5.76質量部、酸化防止剤を1.92質量部、二次酸化防止剤を1.92質量部、アシルフォスフィンオキサイド系光開始剤を0.06質量部、α−ヒドロキシケトン系光開始剤を0.17質量部、平均粒径(D50)60〜80μmの水酸化アルミニウムを586.5質量部、及び平均粒径(D50)7.4μmの水酸化アルミニウムを586.5質量部、ミキサーに仕込んで混練し、アクリル系熱伝導組成物を得た。そして、前述の方法により、熱伝導性シートを作製した。
【0091】
表3に示すように、実施例7の熱伝導樹脂層の熱伝導率は、1.796W/m・Kであり、圧縮率は27.09%であった。また、熱伝導シートをパージ&トラップ装置にて測定した結果、アセトン、イソプロピルアルコール等のケトン、アルコール系のガスが7.158g/g、トルエン、エチルベンゼン、キシレン等の芳香族系のガスが2.561μg/g、光開始剤分解物のガスが4.441μg/g、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)のガスが0.5μg/g、及びその他のガスが51.6μg/g発生し、全アウトガス量は、66.3μg/gであった。
【0092】
<実施例8>
表3に示すように、単官能アクリレートとしてISTAを100質量部、セバシン酸エステルとしてDIDSを77.2質量部、ポリプロピレングリコールジアクリレートを11.35質量部、多官能チオールを5.52質量部、酸化防止剤を1.92質量部、二次酸化防止剤を1.91質量部、アシルフォスフィンオキサイド系光開始剤を0.03質量部、α−ヒドロキシケトン系光開始剤を0.07質量部、平均粒径(D50)60〜80μmの水酸化アルミニウムを586.5質量部、及び平均粒径(D50)7.4μmの水酸化アルミニウムを586.5質量部、ミキサーに仕込んで混練し、アクリル系熱伝導組成物を得た。そして、前述の方法により、熱伝導性シートを作製した。
【0093】
表3に示すように、実施例8の熱伝導樹脂層の熱伝導率は、1.740W/m・Kであり、圧縮率は23.76%であった。また、熱伝導シートをパージ&トラップ装置にて測定した結果、アセトン、イソプロピルアルコール等のケトン、アルコール系のガスが4.006g/g、トルエン、エチルベンゼン、キシレン等の芳香族系のガスが4.522μg/g、光開始剤分解物のガスが2.210μg/g、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)のガスが2.1μg/g、及びその他のガスが83.2μg/g発生し、全アウトガス量は、96.0μg/gであった。
【0094】
<実施例9>
表3に示すように、単官能アクリレートとしてLAを50.5質量部、ISTAを49.5質量部、セバシン酸エステルとしてDIDSを77.1質量部、異種重合性モノマーを6.46質量部、多官能チオールを5.72質量部、酸化防止剤を1.93質量部、二次酸化防止剤を1.93質量部、アシルフォスフィンオキサイド系光開始剤を0.06質量部、α−ヒドロキシケトン系光開始剤を0.16質量部、平均粒径(D50)60〜80μmの水酸化アルミニウムを587.8質量部、及び平均粒径(D50)7.4μmの水酸化アルミニウムを587.8質量部、ミキサーに仕込んで混練し、アクリル系熱伝導組成物を得た。そして、前述の方法により、熱伝導性シートを作製した。
【0095】
表3に示すように、実施例9の熱伝導樹脂層の熱伝導率は、1.943W/m・Kであり、圧縮率は15.53%であった。また、熱伝導シートをパージ&トラップ装置にて測定した結果、アセトン、イソプロピルアルコール等のケトン、アルコール系のガスが8.479g/g、トルエン、エチルベンゼン、キシレン等の芳香族系のガスが2.274μg/g、光開始剤分解物のガスが3.625μg/g、ドデカノールなどのガスが13.9μg/g、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)のガスが0.6μg/g、LAのガスが4.0μg/g、及びその他のガスが56.1μg/g発生し、全アウトガス量は、88.9μg/gであった。
【0096】
<実施例10>
表3に示すように、単官能アクリレートとしてISTAを100質量部、セバシン酸エステルとしてDIDSを99.9質量部、ポリプロピレングリコールジアクリレートを9.95質量部、多官能チオールを4.14質量部、酸化防止剤を2.16質量部、二次酸化防止剤を2.13質量部、アシルフォスフィンオキサイド系光開始剤を0.15質量部、α−ヒドロキシケトン系光開始剤を0.34質量部、平均粒径(D50)60〜80μmの水酸化アルミニウムを640.9質量部、及び平均粒径(D50)7.4μmの水酸化アルミニウムを640.9質量部、ミキサーに仕込んで混練し、アクリル系熱伝導組成物を得た。そして、前述の方法により、熱伝導性シートを作製した。
【0097】
表3に示すように、実施例10の熱伝導樹脂層の熱伝導率は、1.747W/m・Kであり、圧縮率は23.29%であった。また、熱伝導シートをパージ&トラップ装置にて測定した結果、アセトン、イソプロピルアルコール等のケトン、アルコール系のガスが14.294g/g、トルエン、エチルベンゼン、キシレン等の芳香族系のガスが10.750μg/g、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)のガスが11.7μg/g、LAのガスが3.3μg/g、及びその他のガスが30.1μg/g発生し、全アウトガス量は、70.2μg/gであった。
【0098】
<実施例11>
表3に示すように、単官能アクリレートとしてISTAを100質量部、セバシン酸エステルとしてDIDSを100.3質量部、異種重合性モノマーを6.85質量部、多官能チオールを4.06質量部、酸化防止剤を2.10質量部、二次酸化防止剤を2.10質量部、アシルフォスフィンオキサイド系光開始剤を0.14質量部、α−ヒドロキシケトン系光開始剤を0.35質量部、平均粒径(D50)60〜80μmの水酸化アルミニウムを641.4質量部、及び平均粒径(D50)7.4μmの水酸化アルミニウムを641.4質量部、ミキサーに仕込んで混練し、アクリル系熱伝導組成物を得た。そして、前述の方法により、熱伝導性シートを作製した。
【0099】
表3に示すように、実施例11の熱伝導樹脂層の熱伝導率は、1.773W/m・Kであり、圧縮率は25.33%であった。また、熱伝導シートをパージ&トラップ装置にて測定した結果、アセトン、イソプロピルアルコール等のケトン、アルコール系のガスが11.445g/g、トルエン、エチルベンゼン、キシレン等の芳香族系のガスが6.776μg/g、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)のガスが12.1μg/g、LAのガスが3.5μg/g、及びその他のガスが30.4μg/g発生し、全アウトガス量は、64.2μg/gであった。
【0100】
<実施例12>
表3に示すように、単官能アクリレートとしてISTAを100質量部、セバシン酸エステルとしてDIDAを81.0質量部、ポリプロピレングリコールジアクリレートを8.15質量部、多官能チオールを3.81質量部、酸化防止剤を1.90質量部、二次酸化防止剤を1.90質量部、アシルフォスフィンオキサイド系光開始剤を0.07質量部、α−ヒドロキシケトン系光開始剤を0.13質量部、平均粒径(D50)60〜80μmの水酸化アルミニウムを581.0質量部、及び平均粒径(D50)7.4μmの水酸化アルミニウムを581.0質量部、ミキサーに仕込んで混練し、アクリル系熱伝導組成物を得た。そして、前述の方法により、熱伝導性シートを作製した。
【0101】
表3に示すように、実施例12の熱伝導樹脂層の熱伝導率は、1.675W/m・Kであり、圧縮率は23.38%であった。また、熱伝導シートをパージ&トラップ装置にて測定した結果、アセトン、イソプロピルアルコール等のケトン、アルコール系のガスが2.827g/g、トルエン、エチルベンゼン、キシレン等の芳香族系のガスが2.936μg/g、光開始剤分解物のガスが7.528μg/g、ドデカノールなどのガスが22.8μg/g、ISTAのガスが19.3μg/g、及びその他のガスが32.3μg/g発生し、全アウトガス量は、87.7μg/gであった。
【0102】
<実施例13>
表3に示すように、単官能アクリレートとしてISTAを100質量部、セバシン酸エステルとしてDIDAを123.5質量部、異種重合性モノマーを3.35質量部、ポリプロピレングリコールジアクリレートを5.88質量部、多官能チオールを5.65質量部、酸化防止剤を2.35質量部、二次酸化防止剤を2.35質量部、アシルフォスフィンオキサイド系光開始剤を0.08質量部、α−ヒドロキシケトン系光開始剤を0.16質量部、平均粒径(D50)60〜80μmの水酸化アルミニウムを717.7質量部、及び平均粒径(D50)7.4μmの水酸化アルミニウムを717.7質量部、ミキサーに仕込んで混練し、アクリル系熱伝導組成物を得た。そして、前述の方法により、熱伝導性シートを作製した。
【0103】
表3に示すように、実施例13の熱伝導樹脂層の熱伝導率は、1.525W/m・Kであり、圧縮率は48.27%であった。また、熱伝導シートをパージ&トラップ装置にて測定した結果、アセトン、イソプロピルアルコール等のケトン、アルコール系のガスが2.974g/g、トルエン、エチルベンゼン、キシレン等の芳香族系のガスが1.841μg/g、光開始剤分解物のガスが7.275μg/g、ドデカノールなどのガスが16.7μg/g、ISTAのガスが7.1μg/g、及びその他のガスが30.0μg/g発生し、全アウトガス量は、65.8μg/gであった。
【0104】
<実施例14>
表3に示すように、単官能アクリレートとしてISTAを100質量部、セバシン酸エステルとしてDIDAを81.0質量部、異種重合性モノマーを2.17質量部、ポリプロピレングリコールジアクリレートを4.10質量部、多官能チオールを3.87質量部、酸化防止剤を1.92質量部、二次酸化防止剤を1.90質量部、アシルフォスフィンオキサイド系光開始剤を0.09質量部、α−ヒドロキシケトン系光開始剤を0.13質量部、平均粒径(D50)60〜80μmの水酸化アルミニウムを581.0質量部、及び平均粒径(D50)7.4μmの水酸化アルミニウムを581.0質量部、ミキサーに仕込んで混練し、アクリル系熱伝導組成物を得た。そして、前述の方法により、熱伝導性シートを作製した。
【0105】
表3に示すように、実施例16の熱伝導樹脂層の熱伝導率は、1.048W/m・Kであり、圧縮率は81.27%であった。また、熱伝導シートをパージ&トラップ装置にて測定した結果、アセトン、イソプロピルアルコール等のケトン、アルコール系のガスが4.248g/g、トルエン、エチルベンゼン、キシレン等の芳香族系のガスが1.790μg/g、光開始剤分解物のガスが4.753μg/g、ドデカノールなどのガスが22.4μg/g、ISTAのガスが5.8μg/g、及びその他のガスが37.4μg/g発生し、全アウトガス量は、76.4μg/gであった。
【0106】
【表3】
LA:ラウリルアクリレート
ISTA:イソステアリルアクリレート
DIDS:セバシン酸ジイソデシル
DIDA:アジピン酸ジイソデシル
異種重合性モノマー:アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル(VEEA)
ポリプロピレングリコールジアクリレート:M−270、東亞合成(株)
多官能チオール:ペンタエリスリトール テトラキス(3−メルカプトブチレート)(カレンズMT PE1、昭和電工(株))
酸化防止剤:3−(3,5−次−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸ステアリル(AO−50、(株)ADEKA)
二次酸化防止剤:1,1−ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ペンチルフェニル)メタンのアクリル酸モノエステル(Sumilizer GP、住友化学(株))
アシルフォスフィンオキサイド系光開始剤:ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド(Irgacure819、BASFジャパン(株))
α−ヒドロキシケトン系光開始剤:オリゴ〔2−ヒドロキシ−2−メチル−1−{4−(1−メチルビニル)フェニル}プロパノン(esacure one、Lamberti(株))
【0107】
実施例6と実施例7との比較より、単官能(メタ)アクリレートとして、ラウリルアクリレートよりもアルキル基の炭素数が大きいイソステアリルアクリレートを用いることにより、アウトガスを低減させることができることがわかった。
【0108】
また、例えば、実施例7と実施例8との比較より、多官能(メタ)アクリレートとして、同一分子内に(メタ)アクリロイル基とビニルエーテル基とを有するモノマーを用いることにより、アウトガスを低減させることができることがわかった。
【0109】
また、例えば実施例10と実施例12との比較より、可塑剤として、アジピン酸ジイソデシル(DIDS)の代わりにセバシン酸ジイソデシル(DISA)を用いても、優れた柔軟性が得られ、低アウトガスを実現できることがわかった。すなわち、アジピン酸エステル、ピメリン酸エステル、スベリン酸エステル、アゼライン酸エステル、セバシン酸エステルから選択される少なくとも1種を用いることにより、優れた柔軟性が得られ、低アウトガスを実現できることがわかった。
【0110】
〔4.可塑剤の種類の影響について〕
<比較例7>
表4に示すように、単官能アクリレートとしてLAを100質量部、可塑剤としてアセチル化モノグリセラドを100.0質量部、ポリプロピレングリコールジアクリレートを9.7質量部、多官能チオールを4.1質量部、酸化防止剤を2.1質量部、二次酸化防止剤を2.1質量部、アシルフォスフィンオキサイド系光開始剤を0.1質量部、α−ヒドロキシケトン系光開始剤を0.2質量部、平均粒径(D50)60〜80μmの水酸化アルミニウムを640.1質量部、及び平均粒径(D50)7.4μmの水酸化アルミニウムを640.1質量部、ミキサーに仕込んで混練し、アクリル系熱伝導組成物を得た。そして、前述の方法により、熱伝導性シートを作製した。
【0111】
表4に示すように、比較例7の熱伝導樹脂はシート化できなかった。この熱伝導樹脂をパージ&トラップ装置にて測定した結果、アセトン、イソプロピルアルコール等のケトン、アルコール系のガスが6.928g/g、トルエン、エチルベンゼン、キシレン等の芳香族系のガスが3.612μg/g、光開始剤分解物のガスが1.484μg/g、ドデカノールのガスが26.8μg/g、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)のガスが1.4μg/g、LAのガスが146.6μg/g、及びその他のガスが395.2μg/g発生し、全アウトガス量は、582.0μg/gであった。
【0112】
<比較例8>
表4に示すように、単官能アクリレートとしてLAを100質量部、可塑剤としてポリエーテルエステル系を72.2質量部、ポリカルボジイミドを5.0質量部、ポリプロピレングリコールジアクリレートを11.2質量部、多官能チオールを5.6質量部、酸化防止剤を1.9質量部、二次酸化防止剤を1.9質量部、アシルフォスフィンオキサイド系光開始剤を0.1質量部、α−ヒドロキシケトン系光開始剤を0.1質量部、平均粒径(D50)60〜80μmの水酸化アルミニウムを585.5質量部、及び平均粒径(D50)7.4μmの水酸化アルミニウムを585.5質量部、ミキサーに仕込んで混練し、アクリル系熱伝導組成物を得た。そして、前述の方法により、熱伝導性シートを得た。
【0113】
表4に示すように、比較例8の熱伝導樹脂層の熱伝導率は、2.05W/m・Kであり、圧縮率は20.24%であった。また、熱伝導シートをパージ&トラップ装置にて測定した結果、アセトン、イソプロピルアルコール等のケトン、アルコール系のガスが1.251g/g、トルエン、エチルベンゼン、キシレン等の芳香族系のガスが1.193μg/g、光開始剤分解物のガスが8.647μg/g、ドデカノールのガスが31.5μg/g、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)のガスが2.2μg/g、LAのガスが118.8μg/g、及びその他のガスが97.7μg/g発生し、全アウトガス量は、261.4μg/gであった。
【0114】
【表4】
LA:ラウリルアクリレート
アセチル化モノグリセラド(リケマールPL−012、理研ビタミン(株))
ポリエーテルエステル系樹脂(W262、DIC(株))
ポリカルボジイミド(Elastostab H01、Elastogran(株))
ポリプロピレングリコールジアクリレート:M−270、東亞合成(株)
多官能チオール:ペンタエリスリトール テトラキス(3−メルカプトブチレート)(カレンズMT PE1、昭和電工(株))
酸化防止剤:3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸ステアリル(AO−50、(株)ADEKA)
二次酸化防止剤:1,1−ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ペンチルフェニル)メタンのアクリル酸モノエステル(Sumilizer GP、住友化学(株))
アシルフォスフィンオキサイド系光開始剤:ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド(Irgacure819、BASFジャパン(株))
α−ヒドロキシケトン系光開始剤:オリゴ〔2−ヒドロキシ−2−メチル−1−{4−(1−メチルビニル)フェニル}プロパノン(esacure one、Lamberti(株))
【0115】
比較例7,8では、可塑剤として、アセチル化モノグリセラド、ポリエーテルエステル系樹脂、ポリカルボジイミドを用いているため、アウトガス量が200ppm以上であった。よって、可塑剤として、アジピン酸エステル、ピメリン酸エステル、スベリン酸エステル、アゼライン酸エステル、セバシン酸エステルから選択される少なくとも1種を用いることにより、優れた柔軟性が得られ、低アウトガスを実現できることがわかった。