特許第6576617号(P6576617)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6576617アクリル系熱伝導組成物、及び熱伝導性シート
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6576617
(24)【登録日】2019年8月30日
(45)【発行日】2019年9月18日
(54)【発明の名称】アクリル系熱伝導組成物、及び熱伝導性シート
(51)【国際特許分類】
   C08F 2/44 20060101AFI20190909BHJP
   C08F 2/48 20060101ALI20190909BHJP
   C08L 33/06 20060101ALI20190909BHJP
   H01L 23/36 20060101ALI20190909BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20190909BHJP
【FI】
   C08F2/44 Z
   C08F2/48
   C08L33/06
   H01L23/36 D
   H05K7/20 F
【請求項の数】10
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2014-106581(P2014-106581)
(22)【出願日】2014年5月22日
(65)【公開番号】特開2015-221862(P2015-221862A)
(43)【公開日】2015年12月10日
【審査請求日】2017年5月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000108410
【氏名又は名称】デクセリアルズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100113424
【弁理士】
【氏名又は名称】野口 信博
(72)【発明者】
【氏名】松島 昌幸
【審査官】 中西 聡
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−221863(JP,A)
【文献】 特開2008−111053(JP,A)
【文献】 特開2010−138357(JP,A)
【文献】 特開2009−102484(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/024810(WO,A1)
【文献】 特開2009−216829(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 2/00−2/60,6/00−246/00
C08L 1/00−101/14
H01L 23/36
H05K 7/20
B32B 1/00−43/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
単官能(メタ)アクリレートと、多官能(メタ)アクリレートと、光重合開始剤と、熱伝導性粒子と、可塑剤と、チオール化合物とを含有し、
前記可塑剤が、アジピン酸エステル、ピメリン酸エステル、スベリン酸エステル、アゼライン酸エステル、セバシン酸エステルから選択される少なくとも1種であり、
前記チオール化合物が、多官能チオールであり、
前記多官能(メタ)アクリレートが、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1分子内に(メタ)アクリロイル基とビニルエーテル基とを有するモノマーから選択される少なくとも1種を含み、
当該アクリル系熱伝導組成物を両面側から同時に紫外線を1mW/cmの照射強度で10分間照射して光硬化させてなる熱伝導樹脂層の圧縮率が、厚み1.0mm、荷重1kgf/cmの条件において10%以上であるアクリル系熱伝導組成物。
【請求項2】
前記多官能(メタ)アクリレートの含有量が、前記単官能(メタ)アクリレート100質量部に対し、3質量部以上15質量部以下である請求項1記載のアクリル系熱伝導組成物。
【請求項3】
前記チオール化合物が、3官能チオール又は4官能チオールの少なくともいずれか1種である請求項1又は2記載のアクリル系熱伝導組成物。
【請求項4】
前記チオール化合物の含有量が、前記単官能(メタ)アクリレート100質量部に対し、3質量部以上8質量部以下である請求項1乃至3のいずれか1項に記載のアクリル系熱伝導組成物。
【請求項5】
前記可塑剤が、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸から選択される1種と、イソデシルアルコール、イソウンデシルアルコール、イソドデシルアルコール、イソトリデシルアルコールから選択される1種とをエステル化したジカルボン酸エステルである請求項1乃至4のいずれか1項に記載のアクリル系熱伝導組成物。
【請求項6】
前記可塑剤が、アジピン酸ジイソデシル、ピメリン酸ジイソデシル、スベリン酸ジイソデシル、アゼライン酸ジイソデシル、セバシン酸ジイソデシルから選択される少なくとも1種である請求項1乃至5のいずれか1項に記載のアクリル系熱伝導組成物。
【請求項7】
前記可塑剤の含有量が、前記単官能(メタ)アクリレート100質量部に対し、30質量部以上250質量部以下である請求項1乃至6のいずれか1項に記載のアクリル系熱伝導組成物。
【請求項8】
前記単官能(メタ)アクリレートが、炭素数8〜22の直鎖又は分岐鎖アルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートである請求項1乃至7のいずれか1項に記載のアクリル系熱伝導組成物。
【請求項9】
前記光重合開始剤が、アシルフォスフィンオキサイド系光開始剤又はα−ヒドロキシケトン系光開始剤の少なくとも1種である請求項1乃至8のいずれか1項に記載のアクリル系熱伝導組成物。
【請求項10】
単官能(メタ)アクリレートと、多官能(メタ)アクリレートと、光重合開始剤と、熱伝導性粒子と、可塑剤と、チオール化合物とを含有し、前記可塑剤が、アジピン酸エステル、ピメリン酸エステル、スベリン酸エステル、アゼライン酸エステル、セバシン酸エステルから選択される少なくとも1種であり、前記チオール化合物が、多官能チオールであり、前記多官能(メタ)アクリレートが、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート又はポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートの少なくとも1種を含むアクリル系熱伝導組成物を光硬化させてなる熱伝導樹脂層を有し、
前記熱伝導樹脂層の圧縮率が、厚み1.0mm、荷重1kgf/cmの条件において10%以上である熱伝導性シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品等の放熱対策に用いられるアクリル系熱伝導組成物、及び熱伝導性シートに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子機器の高性能化に伴い、電子部品等の放熱対策が必要となっている。また、ハードディスク装置、レーザー装置等の精密機器は、放熱対策とともに部材より生じるアウトガス対策が必要となる。
【0003】
例えば、ハードディスク装置は、記憶量の向上のためにヘッドが高密度化しており、また、アクセス速度を上げるために記録媒体をモーターで高速に回転させる必要がある。このため、モーターの発する熱を効率よく放熱する必要があるとともに、アウトガスのヘッド等への付着等の事態を回避する必要がある。
【0004】
熱伝導性シートは、耐熱性、柔軟性等の観点から主にシリコーン系樹脂が多く用いられているが、シリコーン系樹脂は、少なからず低分子シロキサンガスが発生するため、接点障害を引き起こす虞がある。
【0005】
このため、非シリコーン系のアクリル系の熱伝導性シートが、開発されている(例えば、特許文献1参照。)。しかしながら、従来のアクリル系の熱伝導性シートは、柔軟性が損なわれているため、発熱体や放熱体に対して優れた密着性が得られなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−123624号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、このような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、優れた柔軟性を有するシートが形成可能なアクリル系熱伝導組成物、及び熱伝導性シートを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、鋭意検討を行った結果、可塑剤として、特定のジカルボン酸エステル、及びチオール化合物を用いることにより、優れた柔軟性が得られることを見出した。
【0009】
すなわち、本発明に係るアクリル系熱伝導組成物は、単官能(メタ)アクリレートと、多官能(メタ)アクリレートと、光重合開始剤と、熱伝導性粒子と、可塑剤と、チオール化合物とを含有し、前記可塑剤が、アジピン酸エステル、ピメリン酸エステル、スベリン酸エステル、アゼライン酸エステル、セバシン酸エステルから選択される少なくとも1種であり、前記チオール化合物が、多官能チオールであり、前記多官能(メタ)アクリレートが、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート又はポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートの少なくとも1種を含み、当該アクリル系熱伝導組成物を両面側から同時に紫外線を1mW/cmの照射強度で10分間照射して光硬化させてなる熱伝導樹脂層の圧縮率が、厚み1.0mm、荷重1kgf/cmの条件において10%以上であることを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る熱伝導性シートは、単官能(メタ)アクリレートと、多官能(メタ)アクリレートと、光重合開始剤と、熱伝導性粒子と、可塑剤と、チオール化合物とを含有し、前記可塑剤が、アジピン酸エステル、ピメリン酸エステル、スベリン酸エステル、アゼライン酸エステル、セバシン酸エステルから選択される少なくとも1種であり、前記チオール化合物が、多官能チオールであり、前記多官能(メタ)アクリレートが、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート又はポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートの少なくとも1種を含むアクリル系熱伝導組成物を光硬化させてなる熱伝導樹脂層を有し、前記熱伝導樹脂層の圧縮率が、厚み1.0mm、荷重1kgf/cmの条件において10%以上であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、可塑剤がアジピン酸エステル、ピメリン酸エステル、スベリン酸エステル、アゼライン酸エステル、セバシン酸エステルから選択される少なくとも1種であり、チオール化合物が、多官能チオールであるため、優れた柔軟性を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施の形態に係る熱伝導性シートの一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら下記順序にて詳細に説明する。
1.アクリル系熱伝導組成物
2.熱伝導性シート
3.実施例
【0014】
<1.アクリル系熱伝導組成物>
本発明の一実施形態として示すアクリル系熱伝導組成物は、(A)単官能(メタ)アクリレートと、(B)多官能(メタ)アクリレートと、(C)光重合開始剤と、(D)熱伝導性粒子と、(E)可塑剤と、(F)チオール化合物とを含有し、(E)可塑剤が、アジピン酸エステル、ピメリン酸エステル、スベリン酸エステル、アゼライン酸エステル、セバシン酸エステルから選択される少なくとも1種である。なお、本明細書において、(メタ)アクリレートとは、アクリル酸エステル(アクリレート)とメタクリル酸エステル(メタクリレート)とを包含する意味である。
【0015】
[(A)単官能(メタ)アクリレート]
単官能(メタ)アクリレートとしては、特に限定されないが、低アウトガスの観点から、直鎖又は分岐鎖アルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートが好ましく用いられる。アルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、n−ペンチル(メタ)アクリレート、イソペンチル(メタ)アクリレート、n−へキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシルアクリレート、n−ヘプチル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、n−デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、n−ドデシル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、n−トリデシル(メタ)アクリレート、n−テトラデシル(メタ)アクリレート、n−ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、n−ラウリル(メタ)アクリレートなどが挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、柔軟性を付与する観点から、炭素数8〜18の直鎖又は分岐鎖アルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートを用いることが好ましく、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−ドデシル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレートを好ましく用いることができる。
【0016】
[(B)多官能(メタ)アクリレート]
多官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートなどの2官能の(メタ)アクリレート:トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどの3官能以上の(メタ)アクリレートが挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、柔軟性を付与する観点から、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート又はポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートの少なくとも1種を用いることが好ましい。
【0017】
また、多官能(メタ)アクリレートとして、同一分子内に異なる2種以上の重合性官能基を有する異種重合性モノマーを用いることが好ましい。ラジカル重合性基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基、スチリル基、アクリレート基、メタクリレート基などが挙げられ、カチオン重合性基としては、ビニルエーテル基、エポキシ基、オキセタニル基、グリシジル基などが挙げられる。これらの異種重合性モノマーの中でも、硬化性の観点から、同一分子内に(メタ)アクリロイル基とビニルエーテル基とを有するモノマーを用いることが好ましい。
【0018】
同一分子内に(メタ)アクリロイル基とビニルエーテル基とを有するモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸1−メチル−2−ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸4−ビニロキシブチル、(メタ)アクリル酸6−ビニロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸4−ビニロキシシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸4−ビニロキシメチルシクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸2−(2−ビニロキシイソプロポキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−{2−(2−ビニロキシエトキシ)エトキシ}エチルなどが挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、低アウトガスの観点から、(メタ)アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチルを用いることが好ましい。
【0019】
また、多官能(メタ)アクリレートのアクリル系熱伝導組成物中の含有量は、柔軟性や低アウトガスの観点から、単官能(メタ)アクリレート100質量部に対し、1質量部以上50質量部以下、好ましくは3質量部以上15質量部以下である。
【0020】
[(C)光重合開始剤]
光重合開始剤としては、ベンゾフェノン系、ベンゾイン系、ベンゾインアルキルエーテル系、ベンジルジメチルケタール系、α−ヒドロキシケトン系、アシルフォスフィンオキサイド系などが挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、円滑な光硬化を実現する観点から、アシルフォスフィンオキサイド系又はα−ヒドロキシケトン系の少なくとも1種を用いることが好ましい。
【0021】
アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤としては、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイドなどが挙げられる。
【0022】
α−ヒドロキシケトン系光重合開始剤としては、オリゴ〔2−ヒドロキシ−2−メチル−1−{4−(1−メチルビニル)フェニル}プロパノン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]−フェニル−2−メチル−プロパン−1−オン等を挙げることができる。
【0023】
光重合開始剤のアクリル系熱伝導組成物中の含有量は、適正な硬化物性を得る観点から、単官能(メタ)アクリレート100質量部に対し、0.05質量部以上5.0質量部、好ましくは0.1質量部以上3.0質量部以下である。
【0024】
[(D)熱伝導性粒子]
熱伝導性粒子としては、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムなどの金属水酸化物、アルミニウム、銅、銀などの金属、アルミナ、マグネシアなどの金属酸化物、窒化アルミ、窒化ホウ素、窒化珪素などの窒化物、カーボンナノチューブなどが挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、良好な難燃性と絶縁性とを実現する点から、水酸化アルミニウム、アルミナ、窒化アルミニウム、酸化マグネシウムから選択される1種以上を用いることが好ましい。
【0025】
また、熱伝導性粒子として、樹脂との界面強化や樹脂に対する分散性の向上のため、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、ステアリン酸などで処理したものを用いてもよい。
【0026】
また、熱伝導性粒子の平均粒径は、0.5μm以上100μm以下とすることが好ましく、特に、分散性と熱伝導性の点から、平均粒径3μm以上20μm以下の小径のフィラーと、平均粒径25μm以上100μm以下の大径のフィラーを併用することが好ましい。
【0027】
熱伝導性粒子のアクリル系熱伝導組成物中の含有量は、単官能(メタ)アクリレート100質量部に対し、100質量部以上2000質量部、好ましくは300質量部以上1000質量部以下である。熱伝導性粒子の含有量が少なすぎると、熱伝導性シートの熱伝導性を十分に高めることが困難となり、熱伝導性粒子の含有量が多すぎると、熱伝導性シートの柔軟性が低下する傾向がある。また、平均粒径の異なる2種の熱伝導性フィラーを使用する場合、小径のフィラーと大径のフィラーの配合比は15:85〜90:10とすることが好ましい。
【0028】
[(E)可塑剤]
可塑剤は、アジピン酸エステル、ピメリン酸エステル、スベリン酸エステル、アゼライン酸エステル、セバシン酸エステルから選択される少なくとも1種である。このようなジカルボン酸エステルは、アジピン酸(HOOC−(CH−COOH)、ピメリン酸(HOOC−(CH−COOH)、スベリン酸(HOOC−(CH−COOH)、アゼライン酸(HOOC−(CH−COOH)、セバシン酸(HOOC−(CH−COOH)から選択されるジカルボン酸とアルコールとを常法でエステル化することにより得ることができる。
【0029】
アルコールとしては、直鎖状又は分岐状のいずれを用いてエステル化してもよい。直鎖状アルコールとしては、例えば、ブチルアルコール、ヘキシルアルコール、オクタノール、デシルアルコールなどが挙げられる。また、分岐状アルコールとしては、例えば、イソブチルアルコール、イソヘプチルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール、イソオクチルアルコール、3,5,5−トリメチルヘキシルアルコール、イソノニルアルコール、イソデシルアルコール、イソウンデシルアルコール、イソドデシルアルコール、イソトリデシルアルコールなどが挙げられる。
【0030】
これらの中でも、柔軟性の付与の観点から、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸から選択される1種と、イソデシルアルコール、イソウンデシルアルコール、イソドデシルアルコール、イソトリデシルアルコールから選択される1種とをエステル化したジカルボン酸エステルを用いることが好ましい。
【0031】
さらに、これらのジカルボン酸エステルの中でも、低アウトガスの観点から、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸から選択される1種とイソデシルアルコールとをエステル化した、アジピン酸ジイソデシル、ピメリン酸ジイソデシル、スベリン酸ジイソデシル、アゼライン酸ジイソデシル、セバシン酸ジイソデシルから選択される少なくとも1種を用いることが好ましい。
【0032】
可塑剤のアクリル系熱伝導組成物中の含有量は、単官能(メタ)アクリレート100質量部に対し、30質量部以上250質量部以下、好ましくは50質量部以上150質量部以下であることが好ましい。可塑剤の含有量が少なすぎると、熱伝導性シートの柔軟性が損なわれるとともに低アウトガスを実現するのが困難となり、可塑剤の含有量が多すぎると、熱伝導性シートの強度不足となる場合がある。
【0033】
[(F)チオール化合物]
チオール化合物は、架橋剤として機能し、熱伝導性シートに柔軟性を付与する。チオール化合物としては、2官能以上の多官能チオールが用いられる。2官能以上の多官能チオールとしては、1,3,5−トリス(3−メルカプトブチルオキシエチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、2−メチル−2−((3−メルカプト−1−オキソプロピル)−メチル)プロパン−1,3−ジイルビス(3−メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリスチオグリコール、2,4,6−トリメルカプト−S−トリアジンなどの3官能チオール化合物、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート、ジペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネートなどの4官能チオール化合物、ジペンタエリスリトールペンタキスチオグリコレートなどの5官能チオール化合物、ジペンタエリスリトールヘキサキスチオグリコレートなどの6官能チオール化合物などが挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、柔軟性を付与する観点から、3官能チオール又は4官能チオールの少なくともいずれか1種を用いることが好ましい。
【0034】
チオール化合物のアクリル系熱伝導組成物中の含有量は、適正な柔軟性を付与する観点から、単官能(メタ)アクリレート100質量部に対し、0.1質量部以上10.0質量部、好ましくは3質量部以上8質量部以下である。
【0035】
[他の成分]
また、アクリル系熱伝導組成物には、他の成分として、酸化防止剤、熱劣化防止剤、難燃剤、着色剤などを配合することができる。
【0036】
酸化防止剤としては、熱劣化で発生するラジカルの捕捉する一次酸化防止剤、熱劣化で発生する過酸化物を分解する二次酸化防止剤などが挙げられ、これらは単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0037】
一次酸化防止剤は、パーオキシラジカルを補足して樹脂の酸化劣化を防止するためのものであり、従来公知の一次酸化防止剤を適用することができ、好ましくはフェノール系酸化防止剤を使用することができる。フェノール系酸化防止剤としては、ヘキサメチレンビス〔(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸アミド〕、4,4′−チオビス(6−tert−ブチル−m−クレゾール)、2,2′−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2′−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、ビス〔3,3−ビス(4−ヒドロキシ−3−tert−ブチルフェニル)ブチリックアシッド〕グリコールエステル、2,2′−エチリデンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2′−エチリデンビス(4−sec−ブチル−6−tert−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、ビス〔2−tert−ブチル−4−メチル−6−(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルベンジル)フェニル〕テレフタレート、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2,4,6−トリメチルベンゼン、1,3,5−トリス〔(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシエチル〕イソシアヌレート、テトラキス〔メチレン−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン、2−tert−ブチル−4−メチル−6−(2−アクリロイルオキシ−3−tert−ブチル−5−メチルベンジル)フェノール、3,9−ビス〔1,1−ジメチル−2−{(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}エチル〕−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカン、トリエチレングリコールビス〔(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート〕、n‐オクタデシル‐3‐(4′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−tert−ブチルフェニル)ブタンなどが挙げられる。これらの中でも、n−オクタデシル−3−(4′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−tert−ブチルフェニル)ブタンを用いることが好ましい。
【0038】
一次酸化防止剤のアクリル系熱伝導組成物中の含有量は、一次酸化防止剤の適正な添加効果を実現し且つ硬化が阻害されないようにする観点から、単官能(メタ)アクリレート100質量部に対し、0.5質量部以上4.0質量部以下、好ましくは1.0質量部以上3.0質量部以下である。
【0039】
二次酸化防止剤は、ヒドロオキサイドラジカルを分解して樹脂の酸化劣化を防止するためのものであり、従来公知の二次酸化防止剤を適用することができ、好ましくはリン系酸化防止剤を使用することができる。リン系酸化防止剤としては、トリスノニルフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス〔2−tert−ブチル−4−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニルチオ)−5−メチルフェニル〕ホスファイト、トリデシルホスファイト、オクチルジフェニルホスファイト、ジ(デシル)モノフェニルホスファイト、ジ(トリデシル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ジ (ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4,6−トリ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、テトラ(トリデシル)イソプロピリデンジフェノールジホスファイト、テトラ(トリデシル)−4,4’−n−ブチリデンビス(2−tert−ブチル−5−メチルフェノール)ジホスファイト、ヘキサ(トリデシル)−1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタントリホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ビフェニレンジホスホナイト、9,10−ジハイドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−オキサイド、2,2′−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェニル)−2−エチルヘキシルホスファイト、4−[3−[(2,4,8,10−テトラ−tert−ブチルジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン)−6−イルオキシ]プロピル]−2−メチル−6−tert−ブチルフェノール等を挙げることができる。中でも、4−[3−[(2,4,8,10−テトラ−tert−ブチルジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン)−6−イルオキシ]プロピル]−2−メチル−6−tert−ブチルフェノールを好ましく挙げることができる。
【0040】
二次酸化防止剤のアクリル系熱伝導組成物中の含有量は、二次酸化防止剤の適正な添加効果を実現し且つ硬化が阻害されないようにする観点から、単官能(メタ)アクリレート100質量部に対し、0.5質量部以上8.0質量部以下、好ましくは0.8質量部以上4.0質量部以下である。
【0041】
また、一次酸化防止剤100質量部に対する二次酸化防止剤の配合量は、二次酸化防止剤の適正な添加効果を実現し且つ硬化阻害が生じないようにする観点から、好ましくは50〜270質量部、より好ましくは80〜130質量部である。
【0042】
熱劣化防止剤は、熱と酸素との作用により生じたポリマーラジカルを補足し、安定なラジカル化合物として保持し、アクリル系熱伝導組成物の熱と酸素による熱劣化を防止する。熱劣化防止剤としては、1,1−ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ペンチルフェニル)メタンのアクリル酸モノエステルを挙げることができる。
【0043】
熱劣化防止剤のアクリル系熱伝導組成物中の含有量は、熱劣化防止剤の適正な添加効果を実現し且つ硬化が阻害されないようにする観点から、単官能(メタ)アクリレート100質量部に対し、0.1質量部以上4.0質量部以下、好ましくは0.2質量部以上3.0質量部以下である。
【0044】
また、一次酸化防止剤100質量部に対する熱劣化防止剤の配合量は、劣化防止剤の適正な添加効果を実現し且つ硬化阻害が生じないようにする観点から、好ましくは10質量部以上130質量部以下、より好ましくは20質量以上100質量部以下である。
【0045】
このような構成からなるアクリル系熱伝導組成物は、可塑剤として、アジピン酸エステル、ピメリン酸エステル、スベリン酸エステル、アゼライン酸エステル、セバシン酸エステルから選択される少なくとも1種を含み、チオール化合物として、多官能チオールを含むため、シートに優れた柔軟性を付与することができるととともに、アウトガスの発生を抑制することができる。
【0046】
<2.熱伝導性シート>
次に、前述したアクリル系熱伝導組成物を用いた熱伝導性シートについて説明する。本発明の一実施形態として示す熱伝導性シートは、(A)単官能(メタ)アクリレートと、(B)多官能(メタ)アクリレートと、(C)光重合開始剤と、(D)熱伝導性粒子と、(E)可塑剤と、(F)チオール化合物とを含有し、(E)可塑剤が、アジピン酸エステル、ピメリン酸エステル、スベリン酸エステル、アゼライン酸エステル、セバシン酸エステルから選択される少なくとも1種であるアクリル系熱伝導組成物を光硬化させてなる熱伝導樹脂層を有する。
【0047】
図1は、本発明の一実施の形態に係る熱伝導性シートの一例を示す断面図である。この熱伝導性シートは、前述のアクリル系熱伝導組成物を光硬化させてなる熱伝導樹脂層11と、熱伝導樹脂層11を支持する支持樹脂層12とを備える。また、熱伝導樹脂層11面に使用時には剥離される剥離フィルム13が貼付されている。
【0048】
熱伝導樹脂層11は、前述のアクリル系熱伝導組成物が光硬化したものである。熱伝導樹脂層11の熱伝導率は、1.0W/m・K以上であることが好ましい。また、熱伝導樹脂層11の荷重1kgf/cm時の圧縮率は、10%以上であることが好ましい。圧縮率が高いほど、熱伝導樹脂層が圧縮され易く、柔軟性が優れており、発熱体や放熱体に対して優れた密着性が得られる。
【0049】
支持樹脂層12としては、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、エチレン−アクリル共重合体樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂などの熱可塑性樹脂が挙げられる。これらの中でも、ポリビニルアセタール樹脂又はポリビニルブチラール樹脂にスチレン・イソプレンブロック共重合体を添加したものを好ましく用いることができる。また、支持樹脂層12は、着色剤により、黒色、白色などに着色されていてもよい。
【0050】
剥離フィルム13としては、例えば、シリコーンなどの剥離剤をPET(Polyethylene Terephthalate)、OPP(Oriented Polypropylene)、PMP(Poly-4-methylpentene-1)、PTFE(Polytetrafluoroethylene)などに塗布したものを用いることができる。
【0051】
熱伝導性シートは、例えば、次のように製造することができる。先ず、ポリビニルアセタール樹脂にスチレン−ビニルイソプレンブロック共重合体を添加して支持樹脂組成物を調製し、支持樹脂組成物をバーコーターでPETフィルムに塗布して支持樹脂層12を形成する。そして、支持樹脂層12上にアクリル系熱伝導組成物を塗布し、アクリル系熱伝導組成物面と支持樹脂層面の両側から紫外線を所定の条件で照射して支持樹脂層12上に熱伝導樹脂層11を形成する。これにより、支持樹脂層12と熱伝導樹脂層11とからなる熱伝導性シートを製造することができる。
【0052】
このように熱伝導樹脂層11の可塑剤として、アジピン酸エステル、ピメリン酸エステル、スベリン酸エステル、アゼライン酸エステル、セバシン酸エステルから選択される少なくとも1種を含み、チオール化合物として、多官能チオールを含むため、優れた柔軟性を得ることができる。さらに、150℃、15分間、保管加温した際のアウトガス量を200ppm以下とすることが可能となる。また、熱伝導性シートは、熱伝導率、柔軟性を損なわずに、アウトガスが低減されているため、ハードディスク装置、レーザー装置等の精密機器に好適に使用することができる。
【実施例】
【0053】
<3.実施例>
以下、本発明の実施例について説明する。本実施例では、アクリル系熱伝導組成物からなる層を有する熱伝導性シートを作製した。そして、各熱伝導性シートについて、熱伝導率の測定、圧縮率の測定、及びアウトガス量の測定を行った。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0054】
熱伝導性シートの作製、熱伝導率の測定、圧縮率の測定、及びアウトガス量の測定は、次のように行った。
【0055】
[熱伝導性シートの作製]
ポリビニルアセタール(エスレックBX−1、積水化学(株))とスチレン−ビニルイソプレンブロック共重合体(ハイブラー5125、(株)クラレ)とを8:2の割合で混合して支持樹脂組成物を得た。この支持樹脂組成物をバーコーターでPETフィルムに塗布し、厚み0.5mmの支持樹脂層を形成した。
【0056】
支持樹脂層上にアクリル系熱伝導組成物を塗布し、アクリル系熱伝導組成物面と支持樹脂層面の両側から紫外線を1mW/cmの照射強度で同時に5分間照射して支持樹脂層上に熱伝導樹脂層を形成し、厚み0.005mmの支持樹脂層と厚み1.0mmの熱伝導樹脂層とからなる熱伝導性シートを作製した。
【0057】
[熱伝導率の測定]
アクリル系熱伝導組成物をバーコーターでPETフィルムに塗布し、アクリル系熱伝導組成物面と支持樹脂層面の両側から紫外線を1mW/cmの照射強度で同時に10分間照射して支持樹脂層上に厚み1.0mmの熱伝導樹脂層を形成した。熱伝導樹脂層の厚み方向の熱伝導率は、ASTMD5470に準拠した熱伝導率測定装置を用い、荷重1kgf/cmをかけて測定した。
【0058】
[圧縮率の測定]
アクリル系熱伝導組成物をバーコーターでPETフィルムに塗布し、アクリル系熱伝導組成物面と支持樹脂層面の両側から紫外線を1mW/cmの照射強度で同時に10分間照射して支持樹脂層上に厚み1.0mmの熱伝導樹脂層を形成した。熱伝導樹脂層の圧縮率は、初期の厚さと荷重1kgf/cmをかけた際の厚さとを測定して算出した。
【0059】
[アウトガス量の測定]
前述のように作製した熱伝導シートを用いてアストガス量を測定した。熱伝導性シートのアウトガス量は、パージ&トラップ法にて測定した。熱伝導性シートをアンプル瓶に封入し、パージ&トラップ装置にて150℃で15分間加熱してガスを採取し、次いでGC/MS装置に導入し、発生するガス量をテトラデカン換算で求めた。
【0060】
〔1.チオール化合物の官能数、及び添加量の影響について〕
<実施例1>
表1に示すように、単官能アクリレートとしてLAを100質量部、可塑剤としてセバシン酸エステル(DIDA)を73質量部、ポリプロピレングリコールジアクリレートを7.4質量部、4官能チオールを3.42質量部、酸化防止剤を1.9質量部、二次酸化防止剤を1.9質量部、アシルフォスフィンオキサイド系光開始剤を0.2質量部、α−ヒドロキシケトン系光開始剤を0.43質量部、平均粒径(D50)60〜80μmの水酸化アルミニウムを551質量部、及び平均粒径(D50)7.4μmの水酸化アルミニウムを551質量部、ミキサーに仕込んで混練し、アクリル系熱伝導組成物を得た。そして、前述の方法により、熱伝導性シートを作製した。
【0061】
表1に示すように、実施例1の熱伝導樹脂層の熱伝導率は、2.0W/m・Kであり、圧縮率は18.3%であった。また、熱伝導シートをパージ&トラップ装置にて測定した結果、アセトン、イソプロピルアルコール等のケトン、アルコール系のガスが6.768μg/g、トルエン、エチルベンゼン、キシレン等の芳香族系のガスが2.358μg/g、光開始剤分解物のガスが22.512μg/g、ドデカノールのガスが77.4μg/g、BHTのガスが1.7μg/g、LAのガスが11.0μg/g、及びその他のガスが38.5μg/g発生し、全アウトガス量は、160.4μg/gであった。
【0062】
<実施例2>
表1に示すように、単官能アクリレートとしてLAを100質量部、可塑剤としてセバシン酸エステル(DIDA)を73質量部、ポリプロピレングリコールジアクリレートを7.4質量部、3官能チオールを3.42質量部、酸化防止剤を1.8質量部、二次酸化防止剤を1.9質量部、アシルフォスフィンオキサイド系光開始剤を0.2質量部、α−ヒドロキシケトン系光開始剤を0.44質量部、平均粒径(D50)60〜80μmの水酸化アルミニウムを553質量部、及び平均粒径(D50)7.4μmの水酸化アルミニウムを553質量部、ミキサーに仕込んで混練し、アクリル系熱伝導組成物を得た。そして、前述の方法により、熱伝導性シートを作製した。
【0063】
表1に示すように、実施例2の熱伝導樹脂層の熱伝導率は、2.0W/m・Kであり、圧縮率は12.7%であった。また、熱伝導シートをパージ&トラップ装置にて測定した結果、アセトン、イソプロピルアルコール等のケトン、アルコール系のガスが5.991μg/g、トルエン、エチルベンゼン、キシレン等の芳香族系のガスが2.097μg/g、光開始剤分解物のガスが19.375μg/g、ドデカノールのガスが75.5μg/g、BHTのガスが1.8μg/g、LAのガスが17.9μg/g、及びその他のガスが40.0μg/g発生し、全アウトガス量は、162.7μg/gであった。
【0064】
<実施例3>
表1に示すように、単官能アクリレートとしてLAを100質量部、可塑剤としてセバシン酸エステル(DIDA)を76質量部、ポリプロピレングリコールジアクリレートを12.2質量部、2官能チオールを3.8質量部、酸化防止剤を1.9質量部、二次酸化防止剤を1.9質量部、アシルフォスフィンオキサイド系光開始剤を0.2質量部、α−ヒドロキシケトン系光開始剤を0.44質量部、平均粒径(D50)60〜80μmの水酸化アルミニウムを577質量部、及び平均粒径(D50)7.4μmの水酸化アルミニウムを577質量部、ミキサーに仕込んで混練し、アクリル系熱伝導組成物を得た。そして、前述の方法により、熱伝導性シートを作製した。
【0065】
表1に示すように、実施例3の熱伝導樹脂層の熱伝導率は、1.8W/m・Kであり、圧縮率は14.2%であった。また、熱伝導シートをパージ&トラップ装置にて測定した結果、アセトン、イソプロピルアルコール等のケトン、アルコール系のガスが3.216μg/g、トルエン、エチルベンゼン、キシレン等の芳香族系のガスが3.623μg/g、光開始剤分解物のガスが24.969μg/g、ドデカノールのガスが62.0μg/g、BHTのガスが2.0μg/g、LAのガスが17.2μg/g、及びその他のガスが40.7μg/g発生し、全アウトガス量は、153.7μg/gであった。
【0066】
<比較例1>
表1に示すように、単官能アクリレートとしてLAを100質量部、可塑剤としてセバシン酸エステル(DIDA)を73質量部、ポリプロピレングリコールジアクリレートを7.5質量部、酸化防止剤を1.8質量部、二次酸化防止剤を1.8質量部、アシルフォスフィンオキサイド系光開始剤を0.2質量部、α−ヒドロキシケトン系光開始剤を0.41質量部、平均粒径(D50)60〜80μmの水酸化アルミニウムを543質量部、及び平均粒径(D50)7.4μmの水酸化アルミニウムを543質量部、ミキサーに仕込んで混練し、アクリル系熱伝導組成物を得た。そして、前述の方法により、熱伝導性シートを作製した。
【0067】
表1に示すように、比較例1の熱伝導樹脂層の熱伝導率は、1.6W/m・Kであり、圧縮率は1.6%であった。また、熱伝導シートをパージ&トラップ装置にて測定した結果、アセトン、イソプロピルアルコール等のケトン、アルコール系のガスが5.995μg/g、トルエン、エチルベンゼン、キシレン等の芳香族系のガスが2.362μg/g、光開始剤分解物のガスが10.425μg/g、ドデカノールのガスが87.1μg/g、BHTのガスが1.4μg/g、LAのガスが10.7μg/g、及びその他のガスが42.9μg/g発生し、全アウトガス量は、161.0μg/gであった。
【0068】
<比較例2>
表1に示すように、単官能アクリレートとしてLAを100質量部、可塑剤としてセバシン酸エステル(DIDA)を72質量部、ポリプロピレングリコールジアクリレートを7.4質量部、2官能チオールを3.45質量部、酸化防止剤を1.8質量部、二次酸化防止剤を1.8質量部、アシルフォスフィンオキサイド系光開始剤を0.2質量部、α−ヒドロキシケトン系光開始剤を0.43質量部、平均粒径(D50)60〜80μmの水酸化アルミニウムを551質量部、及び平均粒径(D50)7.4μmの水酸化アルミニウムを551質量部、ミキサーに仕込んで混練し、アクリル系熱伝導組成物を得た。そして、前述の方法により、熱伝導性シートを作製した。
【0069】
表1に示すように、比較例2の熱伝導樹脂はシート化できなかった。この熱伝導樹脂をパージ&トラップ装置にて測定した結果、アセトン、イソプロピルアルコール等のケトン、アルコール系のガスが8.483μg/g、トルエン、エチルベンゼン、キシレン等の芳香族系のガスが0.819μg/g、光開始剤分解物のガスが5.029μg/g、ドデカノールのガスが7.3μg/g、BHTのガスが0.6μg/g、LAのガスが2.4μg/g、及びその他のガスが4.1μg/g発生し、全アウトガス量は、28.9μg/gであった。
【0070】
<比較例3>
表1に示すように、単官能アクリレートとしてLAを100質量部、可塑剤としてセバシン酸エステル(DIDA)を73質量部、ポリプロピレングリコールジアクリレートを7.6質量部、1官能チオールを3.40質量部、酸化防止剤を1.8質量部、二次酸化防止剤を1.8質量部、アシルフォスフィンオキサイド系光開始剤を0.2質量部、α−ヒドロキシケトン系光開始剤を0.42質量部、平均粒径(D50)60〜80μmの水酸化アルミニウムを553質量部、及び平均粒径(D50)7.4μmの水酸化アルミニウムを553質量部、ミキサーに仕込んで混練し、アクリル系熱伝導組成物を得た。そして、前述の方法により、熱伝導性シートを作製した。
【0071】
表1に示すように、比較例3の熱伝導樹脂はシート化できなかった。この熱伝導樹脂をパージ&トラップ装置にて測定した結果、アセトン、イソプロピルアルコール等のケトン、アルコール系のガスが5.510μg/g、トルエン、エチルベンゼン、キシレン等の芳香族系のガスが0.718μg/g、光開始剤分解物のガスが3.737μg/g、ドデカノールのガスが13.8μg/g、BHTのガスが1.2μg/g、LAのガスが4.6μg/g、及びその他のガスが10.7μg/g発生し、全アウトガス量は、40.4μg/gであった。
【0072】
<比較例4>
表1に示すように、単官能アクリレートとしてLAを100質量部、可塑剤としてセバシン酸エステル(DIDA)を73質量部、ポリプロピレングリコールジアクリレートを7.6質量部、4官能チオールを1.85質量部、酸化防止剤を1.9質量部、二次酸化防止剤を1.8質量部、アシルフォスフィンオキサイド系光開始剤を0.2質量部、α−ヒドロキシケトン系光開始剤を0.44質量部、平均粒径(D50)60〜80μmの水酸化アルミニウムを553質量部、及び平均粒径(D50)7.4μmの水酸化アルミニウムを553質量部、ミキサーに仕込んで混練し、アクリル系熱伝導組成物を得た。そして、前述の方法により、熱伝導性シートを作製した。
【0073】
表1に示すように、比較例4の熱伝導樹脂層の熱伝導率は、2.0W/m・Kであり、圧縮率は4.19%であった。また、熱伝導シートをパージ&トラップ装置にて測定した結果、アセトン、イソプロピルアルコール等のケトン、アルコール系のガスが0.636μg/g、トルエン、エチルベンゼン、キシレン等の芳香族系のガスが0.504μg/g、光開始剤分解物のガスが21.157μg/g、ドデカノールのガスが90.8μg/g、BHTのガスが1.1μg/g、LAのガスが12.5μg/g、及びその他のガスが44.4μg/g発生し、全アウトガス量は、171.1μg/gであった。
【0074】
<比較例5>
表1に示すように、単官能アクリレートとしてLAを100質量部、可塑剤としてセバシン酸エステル(DIDA)を75質量部、ポリプロピレングリコールジアクリレートを7.5質量部、4官能チオールを5.06質量部、酸化防止剤を1.8質量部、二次酸化防止剤を1.8質量部、アシルフォスフィンオキサイド系光開始剤を0.2質量部、α−ヒドロキシケトン系光開始剤を0.43質量部、平均粒径(D50)60〜80μmの水酸化アルミニウムを552質量部、及び平均粒径(D50)7.4μmの水酸化アルミニウムを552質量部、ミキサーに仕込んで混練し、アクリル系熱伝導組成物を得た。そして、前述の方法により、熱伝導性シートを作製した。
【0075】
表1に示すように、比較例5の熱伝導樹脂はシート化できなかった。この熱伝導樹脂をパージ&トラップ装置にて測定した結果、アセトン、イソプロピルアルコール等のケトン、アルコール系のガスが2.358μg/g、トルエン、エチルベンゼン、キシレン等の芳香族系のガスが0.527μg/g、光開始剤分解物のガスが11.377μg/g、ドデカノールのガスが12.4μg/g、BHTのガスが0.8μg/g、LAのガスが4.6μg/g、及びその他のガスが8.2μg/g発生し、全アウトガス量は、40.2μg/gであった。
【0076】
【表1】

LA:ラウリルアクリレート
DIDS:セバシン酸ジイソデシル
ポリプロピレングリコールジアクリレート:M−270、東亞合成(株)
4官能チオール:ペンタエリスリトール テトラキス(3−メルカプトブチレート)(カレンズMT PE1、昭和電工(株))
3官能チオール:1,3,5−トリス(3−メルカプトブチリルオキシエチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン(カレンズMT NR1、昭和電工(株))
2官能チオール:1,4−ビス(3−メルカプトブチリルオキシ)ブタン(カレンズMT BD1、昭和電工(株))
1官能チオール:(カレンズMT EHMP、昭和電工(株))
酸化防止剤:3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸ステアリル(AO−50、(株)ADEKA)
二次酸化防止剤:1,1−ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ペンチルフェニル)メタンのアクリル酸モノエステル(Sumilizer GP、住友化学(株))
アシルフォスフィンオキサイド系光開始剤:ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド(Irgacure819、BASFジャパン(株))
α−ヒドロキシケトン系光開始剤:オリゴ〔2−ヒドロキシ−2−メチル−1−{4−(1−メチルビニル)フェニル}プロパノン(esacure one、Lamberti(株))
【0077】
比較例1のように、チオール化合物を添加しなかった場合、圧縮率が低く、柔軟性のある熱伝導性シートを得ることができなかった。また、比較例2のように、実施例1,2とポリプロピレングリコールジアクリレートの添加量が略同一の場合、シート化できなかった。これは、架橋しなかった2官能チオールが残存したためであると考えられる。また、比較例3のように、1官能チオールを添加した場合、シート化できなかった。これは、1官能チオールが架橋せずに残存したためであると考えられる。また、比較例4のように、チオール化合物の添加量が少なすぎる場合、圧縮率が低く、柔軟性が得られない。また、比較例5のようにチオール化合物の添加量が多すぎる場合、シート化できなかった。これは、架橋しなかったチオール化合物が残存したためであると考えられる。
【0078】
一方、実施例1〜3のように、チオール化合物として多官能チオールを添加した場合、10%以上の圧縮率が得られ、優れた柔軟性を得ることができた。また、実施例3のように、実施例1,2よりもポリプロピレングリコールジアクリレートの添加量が多い場合、2官能チオールでも優れた柔軟性を得ることができた。
【0079】
〔2.単官能アクリレート、及び多官能(メタ)アクリレートの影響について〕
<実施例4>
表2に示すように、単官能アクリレートとしてISTAを100質量部、可塑剤としてDIDSを73.8質量部、多官能(メタ)アクリレートとしてポリプロピレングリコールジアクリレートを7.4質量部、多官能チオールを3.5質量部、酸化防止剤を1.8質量部、二次酸化防止剤を2.0質量部、アシルフォスフィンオキサイド系光開始剤を0.2質量部、α−ヒドロキシケトン系光開始剤を0.43質量部、平均粒径(D50)60〜80μmの水酸化アルミニウムを543質量部、及び平均粒径(D50)7.4μmの水酸化アルミニウムを543質量部、ミキサーに仕込んで混練し、アクリル系熱伝導組成物を得た。そして、前述の方法により、熱伝導性シートを作製した。
【0080】
表2に示すように、実施例4の熱伝導樹脂層の熱伝導率は、1.659W/m・Kであり、圧縮率は33.89%であった。また、熱伝導シートをパージ&トラップ装置にて測定した結果、全アウトガス量は、113.7μg/gであった。
【0081】
<実施例5>
表2に示すように、単官能アクリレートとしてLAを100質量部、可塑剤としてDIDSを72.5質量部、多官能(メタ)アクリレートとしてポリエチレングリコールジアクリレートを4.6質量部、多官能チオールを3.7質量部、酸化防止剤を1.8質量部、二次酸化防止剤を1.8質量部、アシルフォスフィンオキサイド系光開始剤を0.2質量部、α−ヒドロキシケトン系光開始剤を0.40質量部、平均粒径(D50)60〜80μmの水酸化アルミニウムを550質量部、及び平均粒径(D50)7.4μmの水酸化アルミニウムを550質量部、ミキサーに仕込んで混練し、アクリル系熱伝導組成物を得た。そして、前述の方法により、熱伝導性シートを作製した。
【0082】
表2に示すように、実施例5の熱伝導樹脂層の熱伝導率は、2.019W/m・Kであり、圧縮率は10.44%であった。また、熱伝導シートをパージ&トラップ装置にて測定した結果、全アウトガス量は、162.7μg/gであった。
【0083】
<比較例6>
表2に示すように、単官能アクリレートとしてLAを100質量部、可塑剤としてDIDSを70.8質量部、多官能(メタ)アクリレートとしてポリエチレングリコールジアクリレートを7.5質量部、多官能チオールを3.4質量部、酸化防止剤を1.8質量部、二次酸化防止剤を1.8質量部、アシルフォスフィンオキサイド系光開始剤を0.2質量部、α−ヒドロキシケトン系光開始剤を0.40質量部、平均粒径(D50)60〜80μmの水酸化アルミニウムを539質量部、及び平均粒径(D50)7.4μmの水酸化アルミニウムを539質量部、ミキサーに仕込んで混練し、アクリル系熱伝導組成物を得た。そして、前述の方法により、熱伝導性シートを作製した。
【0084】
表2に示すように、実施例5の熱伝導樹脂層の熱伝導率は、1.662W/m・Kであり、圧縮率は4.87%であった。また、熱伝導シートをパージ&トラップ装置にて測定した結果、全アウトガス量は、145.1μg/gであった。
【0085】
【表2】

LA:ラウリルアクリレート
ISTA:イソステアリルアクリレート
DIDS:セバシン酸ジイソデシル
ポリプロピレングリコールジアクリレート:M−270、東亞合成(株)
ポリエチレングリコールジアクリレート:M−240、東亞合成(株)
多官能チオール:ペンタエリスリトール テトラキス(3−メルカプトブチレート)(カレンズMT PE1、昭和電工(株))
酸化防止剤:3−(3,5−次−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸ステアリル(AO−50、(株)ADEKA)
二次酸化防止剤:1,1−ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ペンチルフェニル)メタンのアクリル酸モノエステル(Sumilizer GP、住友化学(株))
アシルフォスフィンオキサイド系光開始剤:ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド(Irgacure819、BASFジャパン(株))
α−ヒドロキシケトン系光開始剤:オリゴ〔2−ヒドロキシ−2−メチル−1−{4−(1−メチルビニル)フェニル}プロパノン(esacure one、Lamberti(株))
【0086】
実施例4のように、単官能(メタ)アクリレートとして、イソステアリルアクリレート(ISTA)を用いた場合、ラウリルアクリレート(LA)を用いた実施例1よりも、高い圧縮率が得られ、さらにアウトガス量を低減させることができた。
【0087】
実施例5のように、多官能(メタ)アクリレートとして、ポリエチレングリコールジアクリレートを用いた場合、ポリプロピレングリコールジアクリレートを用いた実施例1よりも、圧縮率が低下した。また、比較例6のように、ポリエチレングリコールジアクリレートを実施例1と略同量添加した場合、さらに圧縮率が低下した。これは、ポリエチレングリコールジアクリレートがポリプロピレングリコールジアクリレートよりも直鎖の炭素数が小さいためであると考えられる。
【0088】
〔3.多官能(メタ)アクリレートの種類の影響について〕
<実施例6>
表3に示すように、単官能アクリレートとしてLAを100質量部、セバシン酸エステルとしてDIDSを77.2質量部、異種重合性モノマーを5.81質量部、多官能チオールを5.59質量部、酸化防止剤を1.88質量部、二次酸化防止剤を1.81質量部、アシルフォスフィンオキサイド系光開始剤を0.06質量部、α−ヒドロキシケトン系光開始剤を0.15質量部、平均粒径(D50)60〜80μmの水酸化アルミニウムを587.0質量部、及び平均粒径(D50)7.4μmの水酸化アルミニウムを587.0質量部、ミキサーに仕込んで混練し、アクリル系熱伝導組成物を得た。そして、前述の方法により、熱伝導性シートを作製した。
【0089】
表3に示すように、実施例6の熱伝導樹脂層の熱伝導率は、1.943W/m・Kであり、圧縮率は12.68%であった。また、熱伝導シートをパージ&トラップ装置にて測定した結果、アセトン、イソプロピルアルコール等のケトン、アルコール系のガスが3.182g/g、トルエン、エチルベンゼン、キシレン等の芳香族系のガスが1.014μg/g、光開始剤分解物のガスが6.752μg/g、ドデカノールなどのガスが30.9μg/g、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)のガスが0.6μg/g、LAのガスが13.4μg/g、及びその他のガスが39.5μg/g発生し、全アウトガス量は、95.3μg/gであった。
【0090】
<実施例7>
表3に示すように、単官能アクリレートとしてISTAを100質量部、セバシン酸エステルとしてDIDSを75.4質量部、異種重合性モノマーを6.83質量部、多官能チオールを5.76質量部、酸化防止剤を1.92質量部、二次酸化防止剤を1.92質量部、アシルフォスフィンオキサイド系光開始剤を0.06質量部、α−ヒドロキシケトン系光開始剤を0.17質量部、平均粒径(D50)60〜80μmの水酸化アルミニウムを586.5質量部、及び平均粒径(D50)7.4μmの水酸化アルミニウムを586.5質量部、ミキサーに仕込んで混練し、アクリル系熱伝導組成物を得た。そして、前述の方法により、熱伝導性シートを作製した。
【0091】
表3に示すように、実施例7の熱伝導樹脂層の熱伝導率は、1.796W/m・Kであり、圧縮率は27.09%であった。また、熱伝導シートをパージ&トラップ装置にて測定した結果、アセトン、イソプロピルアルコール等のケトン、アルコール系のガスが7.158g/g、トルエン、エチルベンゼン、キシレン等の芳香族系のガスが2.561μg/g、光開始剤分解物のガスが4.441μg/g、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)のガスが0.5μg/g、及びその他のガスが51.6μg/g発生し、全アウトガス量は、66.3μg/gであった。
【0092】
<実施例8>
表3に示すように、単官能アクリレートとしてISTAを100質量部、セバシン酸エステルとしてDIDSを77.2質量部、ポリプロピレングリコールジアクリレートを11.35質量部、多官能チオールを5.52質量部、酸化防止剤を1.92質量部、二次酸化防止剤を1.91質量部、アシルフォスフィンオキサイド系光開始剤を0.03質量部、α−ヒドロキシケトン系光開始剤を0.07質量部、平均粒径(D50)60〜80μmの水酸化アルミニウムを586.5質量部、及び平均粒径(D50)7.4μmの水酸化アルミニウムを586.5質量部、ミキサーに仕込んで混練し、アクリル系熱伝導組成物を得た。そして、前述の方法により、熱伝導性シートを作製した。
【0093】
表3に示すように、実施例8の熱伝導樹脂層の熱伝導率は、1.740W/m・Kであり、圧縮率は23.76%であった。また、熱伝導シートをパージ&トラップ装置にて測定した結果、アセトン、イソプロピルアルコール等のケトン、アルコール系のガスが4.006g/g、トルエン、エチルベンゼン、キシレン等の芳香族系のガスが4.522μg/g、光開始剤分解物のガスが2.210μg/g、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)のガスが2.1μg/g、及びその他のガスが83.2μg/g発生し、全アウトガス量は、96.0μg/gであった。
【0094】
<実施例9>
表3に示すように、単官能アクリレートとしてLAを50.5質量部、ISTAを49.5質量部、セバシン酸エステルとしてDIDSを77.1質量部、異種重合性モノマーを6.46質量部、多官能チオールを5.72質量部、酸化防止剤を1.93質量部、二次酸化防止剤を1.93質量部、アシルフォスフィンオキサイド系光開始剤を0.06質量部、α−ヒドロキシケトン系光開始剤を0.16質量部、平均粒径(D50)60〜80μmの水酸化アルミニウムを587.8質量部、及び平均粒径(D50)7.4μmの水酸化アルミニウムを587.8質量部、ミキサーに仕込んで混練し、アクリル系熱伝導組成物を得た。そして、前述の方法により、熱伝導性シートを作製した。
【0095】
表3に示すように、実施例9の熱伝導樹脂層の熱伝導率は、1.943W/m・Kであり、圧縮率は15.53%であった。また、熱伝導シートをパージ&トラップ装置にて測定した結果、アセトン、イソプロピルアルコール等のケトン、アルコール系のガスが8.479g/g、トルエン、エチルベンゼン、キシレン等の芳香族系のガスが2.274μg/g、光開始剤分解物のガスが3.625μg/g、ドデカノールなどのガスが13.9μg/g、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)のガスが0.6μg/g、LAのガスが4.0μg/g、及びその他のガスが56.1μg/g発生し、全アウトガス量は、88.9μg/gであった。
【0096】
<実施例10>
表3に示すように、単官能アクリレートとしてISTAを100質量部、セバシン酸エステルとしてDIDSを99.9質量部、ポリプロピレングリコールジアクリレートを9.95質量部、多官能チオールを4.14質量部、酸化防止剤を2.16質量部、二次酸化防止剤を2.13質量部、アシルフォスフィンオキサイド系光開始剤を0.15質量部、α−ヒドロキシケトン系光開始剤を0.34質量部、平均粒径(D50)60〜80μmの水酸化アルミニウムを640.9質量部、及び平均粒径(D50)7.4μmの水酸化アルミニウムを640.9質量部、ミキサーに仕込んで混練し、アクリル系熱伝導組成物を得た。そして、前述の方法により、熱伝導性シートを作製した。
【0097】
表3に示すように、実施例10の熱伝導樹脂層の熱伝導率は、1.747W/m・Kであり、圧縮率は23.29%であった。また、熱伝導シートをパージ&トラップ装置にて測定した結果、アセトン、イソプロピルアルコール等のケトン、アルコール系のガスが14.294g/g、トルエン、エチルベンゼン、キシレン等の芳香族系のガスが10.750μg/g、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)のガスが11.7μg/g、LAのガスが3.3μg/g、及びその他のガスが30.1μg/g発生し、全アウトガス量は、70.2μg/gであった。
【0098】
<実施例11>
表3に示すように、単官能アクリレートとしてISTAを100質量部、セバシン酸エステルとしてDIDSを100.3質量部、異種重合性モノマーを6.85質量部、多官能チオールを4.06質量部、酸化防止剤を2.10質量部、二次酸化防止剤を2.10質量部、アシルフォスフィンオキサイド系光開始剤を0.14質量部、α−ヒドロキシケトン系光開始剤を0.35質量部、平均粒径(D50)60〜80μmの水酸化アルミニウムを641.4質量部、及び平均粒径(D50)7.4μmの水酸化アルミニウムを641.4質量部、ミキサーに仕込んで混練し、アクリル系熱伝導組成物を得た。そして、前述の方法により、熱伝導性シートを作製した。
【0099】
表3に示すように、実施例11の熱伝導樹脂層の熱伝導率は、1.773W/m・Kであり、圧縮率は25.33%であった。また、熱伝導シートをパージ&トラップ装置にて測定した結果、アセトン、イソプロピルアルコール等のケトン、アルコール系のガスが11.445g/g、トルエン、エチルベンゼン、キシレン等の芳香族系のガスが6.776μg/g、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)のガスが12.1μg/g、LAのガスが3.5μg/g、及びその他のガスが30.4μg/g発生し、全アウトガス量は、64.2μg/gであった。
【0100】
<実施例12>
表3に示すように、単官能アクリレートとしてISTAを100質量部、セバシン酸エステルとしてDIDAを81.0質量部、ポリプロピレングリコールジアクリレートを8.15質量部、多官能チオールを3.81質量部、酸化防止剤を1.90質量部、二次酸化防止剤を1.90質量部、アシルフォスフィンオキサイド系光開始剤を0.07質量部、α−ヒドロキシケトン系光開始剤を0.13質量部、平均粒径(D50)60〜80μmの水酸化アルミニウムを581.0質量部、及び平均粒径(D50)7.4μmの水酸化アルミニウムを581.0質量部、ミキサーに仕込んで混練し、アクリル系熱伝導組成物を得た。そして、前述の方法により、熱伝導性シートを作製した。
【0101】
表3に示すように、実施例12の熱伝導樹脂層の熱伝導率は、1.675W/m・Kであり、圧縮率は23.38%であった。また、熱伝導シートをパージ&トラップ装置にて測定した結果、アセトン、イソプロピルアルコール等のケトン、アルコール系のガスが2.827g/g、トルエン、エチルベンゼン、キシレン等の芳香族系のガスが2.936μg/g、光開始剤分解物のガスが7.528μg/g、ドデカノールなどのガスが22.8μg/g、ISTAのガスが19.3μg/g、及びその他のガスが32.3μg/g発生し、全アウトガス量は、87.7μg/gであった。
【0102】
<実施例13>
表3に示すように、単官能アクリレートとしてISTAを100質量部、セバシン酸エステルとしてDIDAを123.5質量部、異種重合性モノマーを3.35質量部、ポリプロピレングリコールジアクリレートを5.88質量部、多官能チオールを5.65質量部、酸化防止剤を2.35質量部、二次酸化防止剤を2.35質量部、アシルフォスフィンオキサイド系光開始剤を0.08質量部、α−ヒドロキシケトン系光開始剤を0.16質量部、平均粒径(D50)60〜80μmの水酸化アルミニウムを717.7質量部、及び平均粒径(D50)7.4μmの水酸化アルミニウムを717.7質量部、ミキサーに仕込んで混練し、アクリル系熱伝導組成物を得た。そして、前述の方法により、熱伝導性シートを作製した。
【0103】
表3に示すように、実施例13の熱伝導樹脂層の熱伝導率は、1.525W/m・Kであり、圧縮率は48.27%であった。また、熱伝導シートをパージ&トラップ装置にて測定した結果、アセトン、イソプロピルアルコール等のケトン、アルコール系のガスが2.974g/g、トルエン、エチルベンゼン、キシレン等の芳香族系のガスが1.841μg/g、光開始剤分解物のガスが7.275μg/g、ドデカノールなどのガスが16.7μg/g、ISTAのガスが7.1μg/g、及びその他のガスが30.0μg/g発生し、全アウトガス量は、65.8μg/gであった。
【0104】
<実施例14>
表3に示すように、単官能アクリレートとしてISTAを100質量部、セバシン酸エステルとしてDIDAを81.0質量部、異種重合性モノマーを2.17質量部、ポリプロピレングリコールジアクリレートを4.10質量部、多官能チオールを3.87質量部、酸化防止剤を1.92質量部、二次酸化防止剤を1.90質量部、アシルフォスフィンオキサイド系光開始剤を0.09質量部、α−ヒドロキシケトン系光開始剤を0.13質量部、平均粒径(D50)60〜80μmの水酸化アルミニウムを581.0質量部、及び平均粒径(D50)7.4μmの水酸化アルミニウムを581.0質量部、ミキサーに仕込んで混練し、アクリル系熱伝導組成物を得た。そして、前述の方法により、熱伝導性シートを作製した。
【0105】
表3に示すように、実施例16の熱伝導樹脂層の熱伝導率は、1.048W/m・Kであり、圧縮率は81.27%であった。また、熱伝導シートをパージ&トラップ装置にて測定した結果、アセトン、イソプロピルアルコール等のケトン、アルコール系のガスが4.248g/g、トルエン、エチルベンゼン、キシレン等の芳香族系のガスが1.790μg/g、光開始剤分解物のガスが4.753μg/g、ドデカノールなどのガスが22.4μg/g、ISTAのガスが5.8μg/g、及びその他のガスが37.4μg/g発生し、全アウトガス量は、76.4μg/gであった。
【0106】
【表3】


LA:ラウリルアクリレート
ISTA:イソステアリルアクリレート
DIDS:セバシン酸ジイソデシル
DIDA:アジピン酸ジイソデシル
異種重合性モノマー:アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル(VEEA)
ポリプロピレングリコールジアクリレート:M−270、東亞合成(株)
多官能チオール:ペンタエリスリトール テトラキス(3−メルカプトブチレート)(カレンズMT PE1、昭和電工(株))
酸化防止剤:3−(3,5−次−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸ステアリル(AO−50、(株)ADEKA)
二次酸化防止剤:1,1−ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ペンチルフェニル)メタンのアクリル酸モノエステル(Sumilizer GP、住友化学(株))
アシルフォスフィンオキサイド系光開始剤:ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド(Irgacure819、BASFジャパン(株))
α−ヒドロキシケトン系光開始剤:オリゴ〔2−ヒドロキシ−2−メチル−1−{4−(1−メチルビニル)フェニル}プロパノン(esacure one、Lamberti(株))
【0107】
実施例6と実施例7との比較より、単官能(メタ)アクリレートとして、ラウリルアクリレートよりもアルキル基の炭素数が大きいイソステアリルアクリレートを用いることにより、アウトガスを低減させることができることがわかった。
【0108】
また、例えば、実施例7と実施例8との比較より、多官能(メタ)アクリレートとして、同一分子内に(メタ)アクリロイル基とビニルエーテル基とを有するモノマーを用いることにより、アウトガスを低減させることができることがわかった。
【0109】
また、例えば実施例10と実施例12との比較より、可塑剤として、アジピン酸ジイソデシル(DIDS)の代わりにセバシン酸ジイソデシル(DISA)を用いても、優れた柔軟性が得られ、低アウトガスを実現できることがわかった。すなわち、アジピン酸エステル、ピメリン酸エステル、スベリン酸エステル、アゼライン酸エステル、セバシン酸エステルから選択される少なくとも1種を用いることにより、優れた柔軟性が得られ、低アウトガスを実現できることがわかった。
【0110】
〔4.可塑剤の種類の影響について〕
<比較例7>
表4に示すように、単官能アクリレートとしてLAを100質量部、可塑剤としてアセチル化モノグリセラドを100.0質量部、ポリプロピレングリコールジアクリレートを9.7質量部、多官能チオールを4.1質量部、酸化防止剤を2.1質量部、二次酸化防止剤を2.1質量部、アシルフォスフィンオキサイド系光開始剤を0.1質量部、α−ヒドロキシケトン系光開始剤を0.2質量部、平均粒径(D50)60〜80μmの水酸化アルミニウムを640.1質量部、及び平均粒径(D50)7.4μmの水酸化アルミニウムを640.1質量部、ミキサーに仕込んで混練し、アクリル系熱伝導組成物を得た。そして、前述の方法により、熱伝導性シートを作製した。
【0111】
表4に示すように、比較例7の熱伝導樹脂はシート化できなかった。この熱伝導樹脂をパージ&トラップ装置にて測定した結果、アセトン、イソプロピルアルコール等のケトン、アルコール系のガスが6.928g/g、トルエン、エチルベンゼン、キシレン等の芳香族系のガスが3.612μg/g、光開始剤分解物のガスが1.484μg/g、ドデカノールのガスが26.8μg/g、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)のガスが1.4μg/g、LAのガスが146.6μg/g、及びその他のガスが395.2μg/g発生し、全アウトガス量は、582.0μg/gであった。
【0112】
<比較例8>
表4に示すように、単官能アクリレートとしてLAを100質量部、可塑剤としてポリエーテルエステル系を72.2質量部、ポリカルボジイミドを5.0質量部、ポリプロピレングリコールジアクリレートを11.2質量部、多官能チオールを5.6質量部、酸化防止剤を1.9質量部、二次酸化防止剤を1.9質量部、アシルフォスフィンオキサイド系光開始剤を0.1質量部、α−ヒドロキシケトン系光開始剤を0.1質量部、平均粒径(D50)60〜80μmの水酸化アルミニウムを585.5質量部、及び平均粒径(D50)7.4μmの水酸化アルミニウムを585.5質量部、ミキサーに仕込んで混練し、アクリル系熱伝導組成物を得た。そして、前述の方法により、熱伝導性シートを得た。
【0113】
表4に示すように、比較例8の熱伝導樹脂層の熱伝導率は、2.05W/m・Kであり、圧縮率は20.24%であった。また、熱伝導シートをパージ&トラップ装置にて測定した結果、アセトン、イソプロピルアルコール等のケトン、アルコール系のガスが1.251g/g、トルエン、エチルベンゼン、キシレン等の芳香族系のガスが1.193μg/g、光開始剤分解物のガスが8.647μg/g、ドデカノールのガスが31.5μg/g、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)のガスが2.2μg/g、LAのガスが118.8μg/g、及びその他のガスが97.7μg/g発生し、全アウトガス量は、261.4μg/gであった。
【0114】
【表4】

LA:ラウリルアクリレート
アセチル化モノグリセラド(リケマールPL−012、理研ビタミン(株))
ポリエーテルエステル系樹脂(W262、DIC(株))
ポリカルボジイミド(Elastostab H01、Elastogran(株))
ポリプロピレングリコールジアクリレート:M−270、東亞合成(株)
多官能チオール:ペンタエリスリトール テトラキス(3−メルカプトブチレート)(カレンズMT PE1、昭和電工(株))
酸化防止剤:3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸ステアリル(AO−50、(株)ADEKA)
二次酸化防止剤:1,1−ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ペンチルフェニル)メタンのアクリル酸モノエステル(Sumilizer GP、住友化学(株))
アシルフォスフィンオキサイド系光開始剤:ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド(Irgacure819、BASFジャパン(株))
α−ヒドロキシケトン系光開始剤:オリゴ〔2−ヒドロキシ−2−メチル−1−{4−(1−メチルビニル)フェニル}プロパノン(esacure one、Lamberti(株))
【0115】
比較例7,8では、可塑剤として、アセチル化モノグリセラド、ポリエーテルエステル系樹脂、ポリカルボジイミドを用いているため、アウトガス量が200ppm以上であった。よって、可塑剤として、アジピン酸エステル、ピメリン酸エステル、スベリン酸エステル、アゼライン酸エステル、セバシン酸エステルから選択される少なくとも1種を用いることにより、優れた柔軟性が得られ、低アウトガスを実現できることがわかった。
【符号の説明】
【0116】
11 熱伝導樹脂層、12 支持樹脂層、13 剥離フィルム
図1