特許第6576625号(P6576625)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6576625ペーパータオルディスペンサー用ペーパータオル種変換アタッチメント及びペーパータオルディスペンサー用ペーパータオル種変換アタッチメント形成シート
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6576625
(24)【登録日】2019年8月30日
(45)【発行日】2019年9月18日
(54)【発明の名称】ペーパータオルディスペンサー用ペーパータオル種変換アタッチメント及びペーパータオルディスペンサー用ペーパータオル種変換アタッチメント形成シート
(51)【国際特許分類】
   A47K 10/42 20060101AFI20190909BHJP
   B65D 83/08 20060101ALI20190909BHJP
   B65D 25/52 20060101ALI20190909BHJP
【FI】
   A47K10/42 C
   B65D83/08 G
   B65D25/52 B
【請求項の数】3
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-197999(P2014-197999)
(22)【出願日】2014年9月29日
(65)【公開番号】特開2016-67476(P2016-67476A)
(43)【公開日】2016年5月9日
【審査請求日】2017年7月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】390029148
【氏名又は名称】大王製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082647
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 義久
(72)【発明者】
【氏名】石川 勝志
(72)【発明者】
【氏名】篠原 忍
【審査官】 油原 博
(56)【参考文献】
【文献】 実開平04−100480(JP,U)
【文献】 特開2004−105512(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0124207(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 10/42
B65D 25/52
B65D 83/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペーパータオルディスペンサーに取り付けて、そのペーパータオルディスペンサーが想定する規格のペーパータオルよりも、小さい規格のペーパータオルの引き出しをしやすくするためのアタッチメントであって、
一枚の可撓性のシート材が折曲げられて形成された本体部と、この本体部をディスペンサーに取付けるための第一接着部及び第二接着部とを有し、
前記本体部は、前記シート材の一方縁から所定距離離間した位置で直線状の第一折り縁で山折りに折曲げられ、さらに前記第一折り縁から所定距離離間した位置で前記第一折り縁と平行な直線状の第二折り線縁で山折り又は谷折りに折曲げられ、
前記第一接着部は、前記一方縁の近傍にあって、前記一方縁と第一折り縁との間の面をディスペンサー内壁面に対して接着可能とする面に位置し、
前記第二接着部は、前記一方縁と反対の他方縁と第二折り縁との間に位置し、前記他方面と第二折り縁との間の面を、前記第一接着部が接着されるディスペンサー内壁面と同一面の内壁面に対して接着可能とする面に位置し、
前記各折り縁の延在方向がペーパータオルディスペンサーの幅方向に一致するようにして、前記第一接着部をディスペンサー内壁面の上方側、第二接着部を前記ディスペンサー内壁面の下方側にそれぞれ接着した際に、前記一方縁と第一折り縁との間の面が前記ディスペンサーの内壁面から下方に向かって遠ざかるように傾斜しかつディスペンサー内壁面から離間した位置で前記第一折り縁を先端縁とする、断面略三角形をなし、ディスペンサーに収納された前記小さい規格のペーパータオルの束が載る、凸部を、ディスペンサー内壁面に形成する、
ことを特徴とする、ペーパータオルディスペンサー用ペーパータオル種変換アタッチメント。
【請求項2】
ディスペンサーに前記接着部を介して取付けた際に、前記一方縁と第一折り縁との間の面がシート材の可撓性によって撓み湾曲面を形成する、請求項1記載のペーパータオルディスペンサー用ペーパータオル種変換アタッチメント。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載のペーパータオルディスペンサー用ペーパータオル種変換アタッチメントを形成する、ペーパータオルディスペンサー用ペーパータオル種変換アタッチメント形成シートであって、
一枚の折曲げ成形可能な可撓性のシート材の一方面の一方縁側に第一接着部を有し、前記一方縁と反対の他方縁側に第二接着部を有し、前記第一接着部と第二接着部との間に、前記シート材の折曲げを助ける直線状の平行な第一折り線と第二折り線とを有し、
前記第一折り線で山折りされかつ前記第二折り線で山折り又は谷折りされた状態で、前記第一接着部及び第二接着部が同一平面に対して接着可能とする面にそれぞれ位置する、
ことを特徴とするペーパータオルディスペンサー用ペーパータオル種変換アタッチメント形成シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペーパータオルディスペンサー用ペーパータオル種変換アタッチメント及びペーパータオルディスペンサー用ペーパータオル種変換アタッチメント形成シートに関する。さらに、詳しくは、ペーパータオルディスペンサーに取付けて異なる規格の大きさのペーパータオルに対応させるためのアタッチメント及びそのアタッチメントを形成するためのシートに関する。
【背景技術】
【0002】
複数枚のペーパータオルを折り畳み積層してなるペーパータオルの束を、交換可能に内部に収め、取出口から一枚ずつ引き出すようにするペーパータオルディスペンサーは良く知られるところである。この種のペーパータオルディスペンサーの構造は、図4〜7に示す構造が代表される。すなわち、係るペーパータオルディスペンサー101は、概ね、ディスペンサーの蓋部を兼ねる前板部111と、ペーパータオルの束102が実質的に載置され前後方向中央部において幅方向に延在する細長の取出口110が形成されている底板部113と、前記前板部111と対面して位置される背板部112の三つの要素を有する。背板部112と底板部113とは一体に形成されるものもある。
【0003】
また、この種のペーパータオルディスペンサー101は、ペーパータオルが手洗い後に手拭き用に用いられることが多く、手洗い後の水が落下して取出口110から侵入し内部の束を汚染しないようにするために、また、洗面所や化粧室等の比較的狭小な空間に設置することが求められることなどから、取出口110を底面に形成し、その取出口110を下方に向けて前記背板部112を介して壁面設置されることが多い。
【0004】
ところで、ペーパータオルのサイズは、複数種存在する。例えば、大判、中判、小判やS,M、Lサイズや小サイズ、中サイズ、大サイズなど製造業者において呼び方や、それら種別毎の大きさに若干の差はあるものの、概ね3規格程度の大きさに分けられている。近年、ペーパータオルの紙質の向上による吸水性等の機能向上が図られ、またエコ意識の高まりなどから、例えば大判や中判といった紙面の大きいペーパータオルを使用していた消費者が、小判等のより紙面の小さいペーパータオルへ移行するようになってきており、その消費量が増加している。
【0005】
一方、従来のペーパータオルディスペンサー101は、例えば、大判用、中判用、小判用など想定するペーパータオルの大きさに合わせて、それ専用に作られたものが多くあり、これら従来のペーパータオルディスペンサー101では、想定するペーパータオルの係る束の大きさに適してペーパータオルの束102からペーパータオルを引き出し易くしている。例えば、図6に示すように、取出口110を有する底板部113の形状が、中判や中サイズと称されるペーパータオルの束102の底面の大きさ(概ね短辺115〜125mm×長辺210〜230mm)に応じて予め成形する等されており、引き出し時にペーパータオルの束102の底部分が取出口110へ過度に集積しないようにしてペーパータオル101Sを引き出しやすくしている(なお、大判等の束の底の大きさも例示すると、概ね短辺115〜125mm×長辺240〜260mmである)。
【0006】
しかしながら、図7に示すように、このような中判などの大きさに合わせられたペーパータオルディスペンサー101において、底面の大きさが小さい(概ね短辺80〜100mm×長辺210〜230mm)小判や小サイズと称されるペーパータオルの束102xを使用すると、中判のペーパータオルの束に応じて形成された取出性向上の機構、とりわけ、束の底部に過度の荷重がかからないようにして取出口110からペーパータオルを引き出しやすくすべく中判のペーパータオルの束の底面の大きさに応じて形成した取出性向上の機構が働かず、ペーパータオルの束102xの底部が取出口110に密集して、ペーパータオルの取出し抵抗が過度に高まり、ペーパータオルが破れるなどの問題が発生する。
【0007】
このように、従来、大伴、中判等の紙面の大きいペーパータオルを使用していた消費者が小判等の紙面の小さいペーパータオルへ移行しようとするとペーパータオルディスペンサーそのものを新たに購入して設置替えする必要があり、コストや手間の負担がある。また、それが紙面の大きいペーパータオルからより紙面の小さいペーパータオルへの移行の障害となることもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第4228083号
【特許文献2】特許第4180334号
【特許文献3】特許第4615550号
【特許文献4】特許第5579519号
【特許文献5】特許第5301824号
【特許文献6】特許第4847626号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、本発明の主たる課題は、ペーパータオルディスペンサーを買い換えることなく、より紙面の小さいペーパータオルをスムーズに取り出せるようにするペーパータオルディスペンサー用ペーパータオル種変換アタッチメントを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決した本発明は以下のとおりである。
【0011】
〔請求項1記載の発明〕
ペーパータオルディスペンサーに取り付けて、そのペーパータオルディスペンサーが想定する規格のペーパータオルよりも、小さい規格のペーパータオルの引き出しをしやすくするためのアタッチメントであって、
一枚の可撓性のシート材が折曲げられて形成された本体部と、この本体部をディスペンサーに取付けるための第一接着部及び第二接着部とを有し、
前記本体部は、前記シート材の一方縁から所定距離離間した位置で直線状の第一折り縁で山折りに折曲げられ、さらに前記第一折り縁から所定距離離間した位置で前記第一折り縁と平行な直線状の第二折り線縁で山折り又は谷折りに折曲げられ、
前記第一接着部は、前記一方縁の近傍にあって、前記一方縁と第一折り縁との間の面をディスペンサー内壁面に対して接着可能とする面に位置し、
前記第二接着部は、前記一方縁と反対の他方縁と第二折り縁との間に位置し、前記他方面と第二折り縁との間の面を、前記第一接着部が接着されるディスペンサー内壁面と同一面の内壁面に対して接着可能とする面に位置し、
前記各折り縁の延在方向がペーパータオルディスペンサーの幅方向に一致するようにして、前記第一接着部をディスペンサー内壁面の上方側、第二接着部を前記ディスペンサー内壁面の下方側にそれぞれ接着した際に、前記一方縁と第一折り縁との間の面が前記ディスペンサーの内壁面から下方に向かって遠ざかるように傾斜しかつディスペンサー内壁面から離間した位置で前記第一折り縁を先端縁とする、断面略三角形をなし、ディスペンサーに収納された前記小さい規格のペーパータオルの束が載る、凸部を、ディスペンサー内壁面に形成する、
ことを特徴とする、ペーパータオルディスペンサー用ペーパータオル種変換アタッチメント。
【0012】
〔請求項2〕
ディスペンサー内壁面に前記接着部を介して取付けた際に、前記一方縁と第一折り縁との間の面がシート材の可撓性によって撓み湾曲面を形成する、請求項1記載のペーパータオルディスペンサー用ペーパータオル種変換アタッチメント。
【0013】
〔請求項3〕
請求項1又は請求項2記載のペーパータオルディスペンサー用ペーパータオル種変換アタッチメントを形成する、ペーパータオルディスペンサー用ペーパータオル種変換アタッチメント形成シートであって、
一枚の折曲げ成形可能な可撓性のシート材の一方面の一方縁側に第一接着部を有し、前記一方縁と反対の他方縁側に第二接着部を有し、前記第一接着部と第二接着部との間に、前記シート材の折曲げを助ける直線状の平行な第一折り線と第二折り線とを有し、
前記第一折り線で山折りされかつ前記第二折り線で山折り又は谷折りされた状態で、前記第一接着部及び第二接着部が同一平面に対して接着可能とする面にそれぞれ位置する、
ことを特徴とするペーパータオルディスペンサー用ペーパータオル種変換アタッチメント形成シート。
【発明の効果】
【0014】
以上のとおり、本発明によれば、ペーパータオルディスペンサーを買い換えることなく、より紙面の小さいペーパータオルをスムーズに取り出せるようにするペーパータオルディスペンサー用ペーパータオル種変換アタッチメントが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明に係るペーパータオルディスペンサー用ペーパータオル種変換アタッチメントの斜視図である。
図2】本発明に係るペーパータオルディスペンサー用ペーパータオル種変換アタッチメントをペーパータオルディスペンサーに取付けた状態を示す断面図である。
図3】本発明に係るペーパータオルディスペンサー用ペーパータオル種変換アタッチメント形成シートの平面図である。
図4】従来例のペーパータオルディスペンサーの正面図である。
図5】従来例のペーパータオルディスペンサーの側面図である。
図6】従来の中判用のペーパータオルディスペンサーに中判のペーパータオルの束を収めて使用する態様を説明するための断面図である。
図7】従来の中判用のペーパータオルディスペンサーにより小さい大きさの小判のペーパータオルの束を収めて使用した際の態様を説明するための断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次いで、本発明の実施の形態を図1〜3を参照しながら以下に詳述する。
【0017】
本実施形態に係るペーパータオルディスペンサー用ペーパータオル種変換アタッチメント(以下、単にアタッチメントと称する)20は、本来そのペーパータオルディスペンサーが想定する大きさのペーパータオルよりも、小さい大きさのペーパータオルを使用してもスムーズに引き出せるようにするアタッチメントである。例えば、大伴、中判や大サイズ、中サイズ等と称される比較的紙面の大きいペーパータオル用のペーパータオルディスペンサーに、それよりも紙面の小さい小判あるいは小サイズ等と称されるペーパータオルを用いてもスムーズに引き出せるようにするためのアタッチメントである。なお、図3は、本発明に係るこのアタッチメント形成するためのシート材50の平面図であり、符号は一部アタッチメントに形成した際における部位の符号と同一のものを付する。また、係るシート材50については、アタッチメント20を説明する中で適宜に説明する。
【0018】
本実施形態に係るこのアタッチメント20は、特に、図1に示すように、折り曲げ成形可能な一枚の可撓性のシート材を折曲げて形成される本体部30と、この本体部30をディスペンサーに取付けるための第一接着部41及び第二接着部42とを有している。
【0019】
前記折曲げ成形可能なシート材は、適宜に折曲げることができ、また、可撓性を有しつつも一定の形状を保持できる適度な剛度を有するものである。例えば、ポリプロピレン、ポリカーボネート、塩化ビニル等の樹脂製シート材、段ボール紙、坪量250〜500g/m2程度のコートボール紙等が挙げられる。中でも、コスト、折曲げ成形性、組立て後の強度や可撓性の観点から厚さ0.3〜0.4mmのポリプロピレン樹脂製のシート材が特に適する。
【0020】
他方、前記本体部30の構造は、前記シート材の一方縁31から所定距離L1離間した位置で直線状の第一折り縁32をもって山折りに折曲げられ、さらに前記第一折り縁32から所定距離L2離間した位置で前記第一折り縁32と平行な直線状の第二折り線縁33をもって山折り又は谷折りに折曲げられてなる折曲げ構造を有する。なお、図示例は、第二折り縁33をもって山折りにした例である。
【0021】
他方、第一接着部41及び第二接着部42は、前記本体部30をディスペンサー内壁面60に対して接着固定するための部分であり、本体部30の後述する位置にアクリル系粘着剤等の公知の接着剤を配する等して形成することができる。図示例では、本体部30に各接着剤を配して接着部を形成するにあたっては、好ましく両面粘着シートを用いている。両面粘着シートを用いれば本体部30に対して簡易かつ正確な形状で接着部を配することができる。また、一般に両面粘着シートは、未使用時においては一方面が剥離紙等によって被覆されているため、未使用時における取り扱い性も向上する。
【0022】
各接着部41,42に係る接着剤の具体的な種類は、ペーパータオルディスペンサー1の素材や接着面たるディスペンサー内壁面60の表面形状に応じて選択すればよい。また、接着剤としては、ディスペンサー内壁面60に対して再剥離可能なものが好ましく、このように各接着部41,42をディスペンサー内壁面60に対して再剥離可能な接着剤で構成すれば、小判のペーパータオルを用いるときにはアタッチメント20を接着固定して使用し、改めて中判のペーパータオルを用いるときには、それを容易に取り外して使用することが可能となる。
【0023】
他方、各接着部41,42の具体的な位置及びその位置関係について説明すると、まず、第一接着部41は、前記一方縁31の近傍に位置され、第二接着部42は、前記一方縁31と反対の他方縁34と第二折り縁33との間に位置される。そして、各接着部41,42は、上記各位置にあって、本体部30が上記折り構造を有していることを前提として、第一接着部41が前記一方縁31と第一折り縁32との間の面35をディスペンサー内壁面60に対して接着可能とする面、前記第二接着部42が、前記他方縁34と第二折り縁33との間の面36を、前記第一接着部41が接着されるディスペンサー内壁面60と同一面の内壁面に対して接着可能とする面に、それぞれ位置される。すなわち、本実施形態に係る本体部30の構造は、上記折曲げにより前記一方縁31及び第二折り縁33との間に第一折り縁32が凸の先端縁として存在する断面楔型に形成されるため、各接着部41,42よって上記各所定面35,36を同一のディスペンサー内壁面60に接着可能とするには、第一接着部41は、第一折り縁32が山折りされていることから、その折りによって折り内面となる面に位置することになる。また、第二接着部42は、前記第二折り縁33を山折りするか谷折りするかによってその面が決定される。すなわち、第一折り縁32と同方向に山折りするのであれば、折り前のシート状態における前記第一接着部41の形成面と反対面であり、谷折りするのであれば、同一面である。
【0024】
以上の折り構造の本体部20及び接着部41,42の位置の本実施形態に係るアタッチメント20は図2に示すように使用され、下記のようにその機能・効果を発揮する。すなわち、ペーパータオルディスペンサー1のペーパータオルの束を収容する収容部を構成するディスペンサー内壁面60、とりわけ前記収容部にペーパータオルの束を収容した際に束の折り返し縁が並ぶ面が対面するディスペンサー内壁面60(図示例は、一般的なディスペンサーに従い、内壁面は前板部11の内面、背板部12の内面としている。)に対し、前記各折り縁32,33の延在方向がペーパータオルディスペンサーの幅方向(取出口10の延在方向でもある。)に一致するようにして、前記第一接着部41をディスペンサー内壁面60の上方側、第二接着部42を前記ディスペンサー内壁面60の下方側にそれぞれ接着する。前記折り曲げ構造の本体部30の形状を維持しつつ第一接着部41及び第二接着部42でディスペンサー内壁面60に接着すると、前記一方縁31と第一折り縁32との間の面35が前記ディスペンサー内壁面60から下方に向かって遠ざかるように傾斜しかつディスペンサー内壁面60から離間した位置で前記第一折り縁31を先端縁とする、凸部がディスペンサー内壁面60に形成されることになる。そして、このアタッチメント20の取付けの結果形成される凸部によって、ディスペンサー内壁面60,60間において、本来そのディスペンサーで使用が想定されている大きさの束(例えば、大伴や中判と称されるものの束)が上方から下方に至る幅の導路が一部で狭められることになり、そのディスペンサーで使用が想定されている大きさの束よりも小さいペーパータオルの束2であっても、その位置でペーパータオルの束2を一時的に支持できるようにすることができ、係るペーパータオルの束2においても、取出口近傍におけるその束の荷重を軽減することができるようになる。その結果、本来そのディスペンサーで使用が想定されている大きさのペーパータオルよりも小さい大きさのペーパータオルの束2からペーパータオルSをスムーズに引き出せるようになる。
【0025】
なお、アタッチメント20は、対面する一対の各内壁面60の一方のみに取付けることも可能であるが、一般的なディスペンサーでは、各内壁面間のほぼ中間直下において幅方向に延在するように取出口が形成されるため、ペーパータオルの束2を取出口の上方の適切な位置で維持されるように、両内壁面60,60にアタッチメント20,20を取付けるのが望ましい。その際に、両アタッチメント20,20の第一折り縁32,32の高さ方向位置を合わせ、また、その第一折り縁32,32間の中間位置の直下に取出口10が位置するようにするのがよい。
【0026】
さらに、ペーパータオルディスペンサー1はモデル等によって上記内壁面間の距離が若干異なることがあるが、本実施形態に係るアタッチメント20は、折曲げ可能な可撓性のシート材により形成されるとともに、上記折り曲げ構造の本体部30と各接着部41,42の位置からして、ディスペンサー内壁面60に対して各接着部41,42を接着する際に、それらの間の離間距離を調整することで、ディスペンサー内壁面60から凸部の先端縁たる第一折り縁32までの離間距離を調整することができ、そのようなディスペンサー内壁面間の距離に差があっても対応できる。
【0027】
また、可撓性であるとともに上記折り曲げ構造であるゆえ、取出口10からペーパータオルSを引き出す際に意図せずにペーパータオルの束2を下方に引く力が強く加わった際に、アタッチメント自体の変形によって荷重を逃がし、もってディスペンサー内壁面60から接着部41,42が剥がれて離脱しないようになっている。さらに、ペーパータオルの引き出し抵抗が高まって破れるおそれもない。
【0028】
ここで、アタッチメント20の取付けに関して、上記のペーパータオルの束2の荷重低減が行なわれる位置、すなわち、第一折り縁32の高さ方向位置が取出口10から過度に離間していると、第一折り縁32を通過した束が結局のところ取出口10に密集してしまうことになるため、過度に高い位置に取付けるのは望ましくない。また、ディスペンサーの内部は、狭小であるため接着可能な範囲も限られる。このため、本実施形態に係るアタッチメント20の本体部30の折曲げ構造としては、図示例の如く第二折り縁33を第一折り縁32と同方向に山折りする態様が望ましい。第二折り縁33を谷折りにする場合には、他方縁34と第二折り縁33との間の面36が第一折り縁32より下方に突片として形成されることになるため、その分第一折り縁31が上方に位置されてしまうからである。
【0029】
また、本実施形態に係るアタッチメント20の一方縁31から第一折り縁32までの所定距離L1、第一折り縁32から第二折り縁33までの所定距離L2、第二折り縁33から他方縁34までの所定距離L3については、各々取付けるペーパータオルディスペンサーの大きさや対応ペーパータオルの規格、さらにその規格から変換するペーパータオルの規格や設置態様に応じて適宜に設計することができる。この設計に関しては、一般に市販される程度のペーパータオルの大きさであれば、ペーパータオルの束2の底面の短辺の長さL5に対して、第一折り縁32,32間の距離L4を約93〜85%とするのが望ましく、また、各アタッチメント20の第一折り縁32の近傍によってペーパータオルの束2の底面の短手方向の両端部が各々3.0〜6.0mm支持される取付け態様とするのがよく、これに基づいて設計すればよい。例えば、小判、小サイズ、Sサイズ等と称されるペーパータオルの束2の底面の短辺の長さL5が87mm程度であれば、前記アタッチメント20を対面するペーパータオルディスペンサー1の各内壁面60,60に設置するとして、その際に第一折り縁32,32間の距離L4は81〜75mmとなる。この離間距離L4とすると、ペーパータオルが好適に支持されてスムーズな引き出しが可能となる。すなわち、前記一方縁31から第一折り縁32までの所定距離L1と第一折り縁32と第二折り縁33との間の所定距離L2は、ディスペンサーに取付けた際に上記離間距離L4を確保できる範囲で適宜にその数値範囲を設計する。また、第二折り縁33から他方縁34までの所定距離L3は、十分な第二接着部42の接着領域を確保する観点から定めればよい。
【0030】
さらに、本実施形態のアタッチメント20は、特に各所定距離L1〜L3を設計して、ディスペンサーに各接着部41,42を介して取付けた際に、一方縁31と第一折り縁32との間の面35がシート材の可撓性によって撓み湾曲面を形成するようにするのが望ましい。このように湾曲面とすることで、ペーパータオルの引き出しに伴うペーパータオルの束2の下方への移行がスムーズになされるようになり、もって引き出し性を良好なものとする。
【0031】
また、本実施形態に係るアタッチメント20の幅は、図示例では、一方縁31から他方縁34に至るまで同幅となっており、この形状がペーパータオルの束2の底を支持しつつ下方への移行を促す点で適するが、必ずしもこのように同幅とする必要はない。但し、第一折り縁32の長さについては、ペーパータオルの束2の底面の長辺に沿って支持できる程度の長さとする。ペーパータオルディスペンサーの幅方向中央にアタッチメントを取り付けるのであれば、ペーパータオルの束の長辺長さの20%以上の長さ程度があればよい。もちろん、より長い方が安定性は高まる。ペーパータオルの束2の底面の長辺長さより第一折り縁32の長さが20%未満に短いと、ペーパータオルの束が第一折り縁32によって十分に支持されないおそれが高まるからである。
【0032】
以上のように本実施形態に係るペーパータオルディスペンサー用ペーパータオル種変換アタッチメント20は、折曲げ可能な可撓性のシート材であること、その本体部30の折曲げ構造及び各接着部41,42の位置からして、ペーパータオルディスペンサーに取付けることにより、そのペーパータオルディスペンサーに適した大きさのペーパータオルよりも、小さい大きさのペーパータオルを使用しても問題なくスムーズに引き出せるようになる。
【0033】
ところで、上記本実施形態に係るペーパータオルディスペンサー用アタッチメント20は、図3に示す、一枚の折曲げ成形可能な可撓性のシート材の一方面の一方縁31側に第一接着部41を設け、また、前記一方縁31と反対の他方縁34側に第二接着部42を設け、前記第一接着部41と第二接着部42との間に、前記シート材の折曲げを助ける直線状の平行な第一折り線32xと第二折り線33xを設けたペーパータオルディスペンサー用ペーパータオル種変換アタッチメント形成シート50から前記各折り線32x,33xを折曲げて、各折り縁32,33を形成しつつ組立てることで容易に成形することができる。シートの素材及び接着部の構成等については上記アタッチメント20について説明したとおりである。このシートは、前記各折り線32x,33xは、例えば、折り筋やハーフカット線等の当該線に沿って折り曲げ易くする公知の構成を採用できる。
【0034】
また、このシートの形状は矩形が望ましく、また、その大きさは前記アタッチメント20の形状に応じて適宜に設計できる。一般的に、大伴用、中判用、Lサイズ用、Mサイズ用等のディスペンサーに取付けて、小判やSサイズのペーパータオルを用いるようにするアタッチメントを形成するのに適する大きさの一例は、幅L6が100±3mm、一方縁31から他方縁34に至る長さL7が160±3mm、第一折り線32xと第二折り線33xとの間の距離L2が23±3mmであるのが望ましい。係る範囲内で一方縁31から第一折り線32xまでの長さを適宜に設計すればよい。
【0035】
以上の本実施形態に係るアタッチメント及びその形成シートによれば、ペーパータオルディスペンサーに、そのペーパータオルディスペンサーが設計時に想定していたペーパータオルよりも、より小さい大きさのペーパータオルを用いる際の問題点が解消される。しかも、安価かつ簡易に製造することができ、また軽量で持ち運び性にもすぐれる。また、形成シートはシート状で場所もとらない。さらには、副次的な効果として、その素材が可撓性であるがゆえ、ペーパータオルの束の交換時に凸の先端縁である第一折り縁に手が触れても変形しやすく硬質樹脂成型品とするよりも怪我などするおそれが小さい。
【符号の説明】
【0036】
1,101…ペーパータオルディスペンサー、2,102,102x…ペーパータオルの束、11,111…前板部、12,112…背板部、13,113…底板部、10,110…取出口、20…アタッチメント、30…本体部、31…シート材の一方縁、32…第一折り縁、32x…第一折り線、33…第二折り縁、33x…第二折り線、34…シート材の他方縁、35…一方縁と第一折り縁との間の面、36…他方縁と第二折り縁との間の面、41…第一接着部、42…第二接着部、60…ディスペンサー内壁面。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7