(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
予め設定された距離以上にドアが開き方向に移動するのを阻止するロック状態としての第1の状態と、前記予め設定された距離以上の前記ドアの移動を阻止しないアンロック状態としての第2の状態とを切り替え可能な切替部を備え、
前記切替部は、前記ドアの開閉動作によって回動するカムを有しており、
前記第1の状態において、前記カムの所定角度以上の回転が阻止されており、前記第1の状態では、前記ドアが前記カムに当たることによって、前記予め設定された距離以上の前記ドアの移動が阻止され、
前記第2の状態において、前記ドアの開閉動作による前記カムの回転が許容される
車両用ドアのロック装置。
前記切替部は、前記作動部を前記オン位置又は前記オフ位置に移動させるソレノイドを有し、前記ソレノイドが消磁されることによって前記作動部を前記オン位置に移動させるように構成されており、
前記切替部は、前記ドア閉じスイッチがオンする位置を超えて全閉位置まで移動した前記ドアが開き方向に押し戻されて静止するまでの時間に相当する時間を待って前記ソレノイドの消磁を行うように構成されている
請求項2から8の何れか1項に記載の車両用ドアのロック装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示されたロック装置では、ドアが閉じ位置にある場合には、ロックアーム82によって回動部材83の回動が規制される。このため、ドアに物等が挟まったときに、ドアを開き方向に動かすことができない。したがって、ドアに挟まった物等を引き抜くことが困難である。
【0006】
一方、特許文献2では、列車が所定の速度に達するまでドアがロックされないため、ドアに挟まれた物等を引き抜くことはできるものの、不用意にドアが開放されてしまう虞がある。
【0007】
そこで、本発明は、前記従来技術を鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ドアに挟まれた物等を容易に引き抜くことができる状態にしつつ、車両に乗っている人の安全を確保できる車両用ドアのロック装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の目的を達成するため、本発明は、予め設定された距離以上にドアが開き方向に移動するのを阻止するロック状態としての第1の状態と、前記予め設定された距離以上の前記ドアの移動を阻止しないアンロック状態としての第2の状態とを切り替え可能な切替部を備え、
前記切替部は、前記ドアの開閉動作によって回動するカムを有しており、前記第1の状態において、前記カムの所定角度以上の回転が阻止されており、前記第1の状態では、前記ドアが前記
カムに当たることによって、前記予め設定された距離以上の前記ドアの移動が阻止され
、前記第2の状態において、前記ドアの開閉動作による前記カムの回転が許容される車両用ドアのロック装置である。
【0009】
本発明では、切替部が第1状態にあるときには、ドアに挟まれたものを引き抜くための距離の範囲内であれば、ドアの開き方向の移動が可能である。このため、ドアによって物等が相手側の部材(すなわち、両開きドアの場合にはもう一方のドア、片開きドアの場合には車体における開口縁部)との間に挟み込まれた(以下、戸挟みが発生した、とも称する)ときでも、ドアを前記距離の範囲内で移動させることにより、挟み込まれた物等を引き抜くことができる。その場合でも、ドアが切替部に当たることよって、ドアの前記距離以上の開き動作が阻止されているため、車両に乗っている人の安全を確保することができる。
【0011】
しかも、切替部が、ドアの開閉動作によって回動するカムを有するため、カムを回動させるための駆動装置を別途設けることなく、カムを回動させることができる。また、カムの回動を許容する状態とカムの所定角度以上の回動を阻止する状態とにカムの状態を切り替えることにより、切替部を第1の状態と第2の状態との間で状態切り替えを行うことができる。
【0012】
前記ロック装置には、オンすることによって前記ドアがロックされていることを示すロック信号を出力するロックスイッチが設けられていてもよい。この場合、前記切替部は、前記カムに形成された第1溝に進入して前記ロックスイッチをオンさせるオン位置と、前記第1溝から退避するとともに前記ロックスイッチをオフさせるオフ位置との間を移動可能な作動部を有していてもよい。前記カムは、ドア閉じスイッチがオンする位置に前記ドアが移動するまでの間に前記作動部が前記オン位置に移動することを阻止する形状を有していてもよい。
【0013】
この態様では、ドア閉じスイッチがオンする位置にドアが移動するまでにロックスイッチがオンすることを機械的に防止することができる。一方、ドアが閉じ位置まで移動した後は、戸挟みが発生したことによってドアが閉じ位置から開き方向に僅かに移動した場合であっても、ロックスイッチはオンしたままに維持され得る。したがって、戸挟みによってロック信号の出力が一時的に停止されることを防止することができる。
【0014】
前記第1溝内に位置する前記作動部は、前記第1溝の縁部に接触することによって前記カムの回動を前記所定角度の範囲内で止めるように構成されていてもよい。
【0015】
この態様では、作動部が第1溝から抜け出てオフ位置にあるときには、ドアに設けられた突出部の移動に応じてカムが回動する。したがって、カムがドアの開閉動作の障害になることはない。一方、作動部が第1溝内に挿入されたオン位置にあるときには、作動部が第1溝の縁部に接触するまでカムが回動可能であるが、それ以上(所定角度以上)の回動は阻止される。したがって、ドアの開き動作を阻止することができる。
【0016】
前記作動部が前記オン位置にあるときには、前記作動部は前記第1溝の底面に接触する構成であってもよい。この場合、前記底面は、前記カムの回動時に前記作動部を前記オン位置から前記オフ位置に向かって押し戻さないような円弧状面となっていてもよい。
【0017】
この態様では、カムの回動時に作動部がオン位置から外れることを防止することができる。すなわち、カムの回動時に、ロック信号が出力されない状態になることを防止することができる。
【0018】
前記作動部の先端には、前記カムの回動時に前記底面に沿って転動するローラが設けられていてもよい。この態様では、カムのスムーズな回動を確保することができる。
【0019】
前記カムには、前記ドアに設けられた突出部を挿入可能な第2溝が形成されていてもよい。この場合において、前記カムの回動方向における前記第2溝の幅は、前記突出部のうち前記第2溝の中に入り込む先端部の幅に対応した大きさに形成され、前記カムの回動方向における前記第1溝の幅は、前記作動部のうち前記第1溝の中に挿入される先端部の幅よりも大きく形成されていてもよい。
【0020】
この態様では、カムの回動方向における第2溝の幅が、突出部のうち第2溝の中に入り込む先端部の幅に対応した大きさに形成されているため、ドアに対する突出部の位置ずれが発生した場合には、それに応じて、カムが回動方向に姿勢を変えることになる。しかしながら、カムの回動方向における第1溝の幅が作動部の先端部の幅よりも大きくなっているため、カムが回動した状態であっても、作動部の先端部を第1溝内に容易に挿入することができる。したがって、ドアにおける突出部の位置ずれが生じた場合でも、それを吸収することができる。
【0021】
前記ロック装置には、前記カムの姿勢を決めるための目印が設けられていてもよい。この態様では、第1溝の幅が作動部の先端部の幅よりも大きくすることによってカムが設計時の姿勢から回動した姿勢となることを許容することができ、しかも、カムを取り付けるときに使用できる目印が設けられているため、カムの取り付け時には、取り付け作業の作業性を向上することができる。
【0022】
前記カムには、前記ドアに設けられた突出部を挿入可能な第2溝が形成されてもよい。この場合において、前記カムの回動方向における前記第2溝の幅は、前記突出部のうち前記第2溝の中に挿入される先端部の幅よりも大きく形成され、前記作動部が前記第1溝内にあって前記カムの回動が阻止されているときには、前記第2溝の縁部が、前記第2溝内を前記開き方向に移動した前記突出部を止めるように構成されていてもよい。
【0023】
この態様では、作動部が第1溝内に入り込むことによってカムの回動が阻止される。この状態でも、カムの回動方向における第2溝の幅が、突出部の先端部の幅よりも大きく形成されているので、突出部が第2溝の縁部に当たるまでは、突出部(即ちドア)を開き方向に移動させることができる。したがって、戸挟みが発生した場合に、挟み込まれた物等を引き抜くことができる。
【0024】
前記切替部は、前記作動部を前記オン位置又は前記オフ位置に移動させるソレノイドを有し、前記ソレノイドが消磁されることによって前記作動部を前記オン位置に移動させるように構成されていてもよい。この場合、前記切替部は、前記ドア閉じスイッチがオンする位置を超えて全閉位置まで移動した前記ドアが開き方向に押し戻されて静止するまでの時間に相当する時間を待って前記ソレノイドの消磁を行うように構成されていてもよい。
【0025】
この態様では、ドアの閉じ動作中にドア閉じスイッチがオンする位置までドアが移動したときに、ソレノイドは即座に消磁されない。このため、ドア閉じスイッチがオンしたからといって必ず作動部がオン位置まで移動するわけではない。このため、ドア閉じスイッチがオンする位置を超えて全閉位置まで移動した後に押し戻されて開き方向に動いた場合でも、作動部はオン位置には移動しない。したがって、作動部がオン位置にあることを示す情報が運転手側に一時的に伝えられてしまうことを回避することができる。
【0026】
前記
予め設定された距離は、前記ドアの戸先に設けられたゴム部材の前記ドアの開閉方向における幅以下に設定されていてもよい。
【0027】
この態様では、ドアの戸先に設けられたゴム部材の幅の範囲内でドアを動かすことができるので、ゴム部材の変形によって挟み込まれた物を引き抜くことができる一方で、車両に乗っている人の安全を確保することができる。
【発明の効果】
【0028】
以上説明したように、本発明によれば、ドアに挟まれた物等を容易に引き抜くことができる状態にしつつ、車両に乗っている人の安全を確保できる車両用ドアのロック装置を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0031】
図1に示すように、本実施形態に係る車両用ドア3のロック装置10は、鉄道車両の車体側壁に形成された乗降口を開閉する両引き式のドア1を有する車両用ドア3をロックするものである。
【0032】
車両用ドア3は、ドア1を開閉駆動する開閉装置12を備えている。開閉装置12は、ドア1を駆動する駆動力を発生する駆動源としてのモータ12aと、モータ12aの駆動力を受けて直線的に移動する長尺部材であるラック12bと、ラック12bとドア1とを連結する連結部材12cとを備えている。本実施形態では、一対のドア1が設けられた構成となっているので、ラック12b及び連結部材12cもそれぞれ一対に設けられている。なお、片引き式のドア1の場合には、ラック12b及び連結部材12cが1つずつ設けられることとなる。本実施形態では、ラック12bが直線的に動くことによってドア1を開閉移動する構成となっているが、これに限られない。例えば、車両用ドア3は、ベルト駆動式の開閉装置を備えていてもよく、あるいはボールねじを回転させることによってドア1を駆動する開閉装置を備えていてもよい。
【0033】
ドア1は、ドア1の移動方向に沿って延びるレール16に沿って動くスライダ1aと、ドア本体1bと、ドア本体1bの上部に設けられるとともにスライダ1aに固定された吊り下げ部材1cと、スライダ1aに固定されるとともにロック装置10によってスライダ1a(ドア1)の移動を止めるための突出部1dと、を備えている。吊り下げ部材1cは、ドア本体1bの上端部における戸先側の部位に設けられた第1吊り下げ金具1c1と、ドア本体1bの戸尻側の部位に設けられた第2吊り下げ金具1c2とを有する。すなわち、突出部1dは、ドア1に設けられている。突出部1dは、スライダ1aにおける第1吊り下げ金具1c1と第2吊り下げ金具1c2との間の部位に固定されている。なお、突出部1dの位置は、この位置に限られない。
【0034】
モータ(ギア内蔵モータ)12aは、薄型で側面視で矩形状に形成されており、乗降口の上側に配置されている。そして、モータ12aは、車体Bに設けられた支持部材18(
図3参照)に固定されている。
【0035】
一対のラック12bは、モータ12aに組み込まれた図略のピニオンに噛み合っている。そして、上側に位置するラック(第1ラック)12bは、モータ12aが開方向の駆動力を発生すると、
図1における左側に移動するように駆動され、下側に位置するラック(第2ラック)12bは、モータ12aが開方向の駆動力を発生すると、
図1における右側に移動するように駆動される。
【0036】
各連結部材12cは、各ラック12bの一端部(開き方向側の端部)に結合されている。連結部材12cは、上端部がラック12bに結合される一方、下端部がスライダ1aに結合されている。なお、連結部材12cは、ラック12bの閉じ方向側の端部に結合されていてもよい。
【0037】
レール16は、車体Bの側壁に設けられた支持部材18に固定されていて、乗降口の真上の位置を乗降口の幅方向(車体の前後方向)に延びるように配置されている。レール16は、
図3に示すように、上下に保持壁が形成されていて、両保持壁間にスライダ1aが保持されている。
【0038】
スライダ1aは、レール16の延びる方向に長い形状の部材であり、レール16に移動可能に保持されている。スライダ1aはレール16の保持壁間の間隙を通して露出している。スライダ1aには、この間隙を通して、連結部材12c、第1吊り下げ金具1c1、第2吊り下げ金具1c2及び突出部1dが結合されている。
【0039】
第1吊り下げ金具1c1は、上端部がスライダ1aに結合され、下端部がドア本体1bの上面に結合されている。第2吊り下げ金具1c2も同様である。
【0040】
突出部1dは、下端部がスライダ1aに結合されており、そこから上部に延出された形状に形成されている。
【0041】
車両用ドア3には、
図1に示すように、ドア閉じスイッチ22が設けられている。ドア閉じスイッチ22は、ドア1が予め設定された閉じ位置まで閉じられたことを認識できるようにすべく設けられており、ドア1が予め設定された閉じ位置まで移動するとオンするように構成されている。ドア閉じスイッチ22がオンすると、ドア閉じスイッチ22は信号を出力する。この信号は運転台への報知等に利用される。
【0042】
前記閉じ位置は、車両の走行中等の通常時にドア1が閉じられた状態にあると認識されるべき位置(基準位置)よりも僅かに開き方向にずれた位置である。なお、基準位置は、ドア1が閉じ動作を行ったときに閉じ方向に最も前進した全閉位置から僅かに開き方向にずれた位置となる。このため、閉じ位置はドア1の全閉位置及び基準位置よりも開き側の位置となる。なお、モータ12aは、ドア1が全閉位置に到達して所定時間が経過したときに、駆動力が低減される。このため、ドア1は全閉位置から基準位置に僅かに押し戻される。
【0043】
ロック装置10は、
図2及び
図3に示すように、ドア1に挟まれたものを引き抜くための距離以上、ドア1が開き方向に移動するのをドア1に当たることによって阻止する第1の状態と、前記距離以上のドア1の移動を阻止しない第2の状態とを切り替え可能な切替部25と、オンすることによってドア1がロックされていることを示すロック信号を出力するロックスイッチ27と、を有している。
【0044】
ドア1に挟まれたものを引き抜くためのドア1の移動距離は、予め設定された距離であり、例えば、人が通過できないような間隙が乗降口に形成されるようなドア1の移動距離であってもよく、あるいは、人の足又は腕が通過できないような間隙が乗降口に形成されるようなドア1の移動距離であってもよく、あるいはそれよりも狭い間隙が乗降口に形成されるようなドア1の移動距離であってもよい。例えば、前記移動距離は、ドア1の戸先に設けられたゴム部材(戸先ゴム)29のドア1の開閉方向における幅以下に設定されていてもよい。この場合、ゴム部材29の幅の範囲内でドア1を動かすことができるので、ゴム部材29の変形によって挟み込まれた物を引き抜くことができる一方で、車両に乗っている人の安全を確保することができる。
【0045】
切替部25は、回動可能に設けられたカム31と、一方向に往復移動可能なプランジャ33と、プランジャ33を駆動する駆動力を発生するソレノイド35と、プランジャ33を一方向に移動させるための弾性力を有するばね部材37と、を有する。ソレノイド35は、ばね部材37の弾性力に抗してプランジャ33を移動させるための駆動力を発生させるように構成されている。本実施形態では、ソレノイド35は、プランジャ33が水平方向(
図2の左右方向)に移動するように設置されている。
【0046】
プランジャ33は、カム31と平行な方向に延びる姿勢に配置されている。そして、プランジャ33の移動方向もカム31と平行な方向となっている。すなわち、プランジャ33の移動方向は、カム31の回動軸と直交する方向となっている。このため、ロック装置10の車幅方向の厚みを抑えることができる。
【0047】
切替部25は、車体Bに固定された取付け部材41に取り付けられている。取付け部材41は、車体Bの内側から車幅方向の外側に見たときの形状(
図2参照)が略矩形状に形成された基板部材41aと、この基板部材41aに固定された第1取付け部41bと、基板部材41aに固定された第2取付け部41cと、を有している。カム31は、基板部材41aに回動可能に支持されている。第1取付け部41bには、ソレノイド35及びばね部材37が支持されている。第2取付け部41cにはロックスイッチ27が固定されている。カム31は、基板部材41aにおける一側に寄せられて配置され、第1取付け部41b及び第2取付け部41cは、基板部材41aにおける他側に寄せられて配置されている。
【0048】
カム31は、1枚の板材によって形成されており、車体Bの幅方向に延びる軸回りに回動可能となっている。すなわち、カム31の回動軸は、ドア1の移動する方向に直交する方向であって水平方向に延びる姿勢となっている。
【0049】
カム31には、プランジャ33が進入可能な第1溝31aと、ドア1の突出部1dが進入可能な第2溝31bと、第3溝31cとが形成されている。
【0050】
第2溝31bは、カム31の回動軸よりも下側に位置している。カム31の回動方向における第2溝31bの溝幅は、突出部1dの先端部1d1の幅に対応した幅となっている。そして、第2溝31bにおけるドア閉じ方向の縁部(
図2における左側の縁部)31dは、ドア1が閉じ動作をするときに突出部1dから押圧力を受ける受け部となる。また、第2溝31bにおけるドア1開き方向の縁部(
図2における右側の縁部)31eは、ドア1が開き動作をするときに突出部1dから押圧力を受ける受け部となる。そして、ドア1の閉じ動作による突出部1dの直線移動に伴って突出部1dの先端部1d1が第2溝31b内に進入すると、後述するようにプランジャ33が第1溝31a内に進入していなければ、カム31は軸回りに回動する。すなわち、カム31は、ドア1の開閉動作によって所定の角度範囲内で回動するように構成されている。
【0051】
第1溝31aは、カム31が回動することによって上下方向に移動する位置に設けられている。すなわち、本実施形態では、プランジャ33が水平方向に移動するように設けられているため、第1溝31aは、カム31の回動によって上下方向に移動する設定となっている。なお、第1溝31aの位置はプランジャ33の移動する方向に応じて設定されていればよく、第1溝31aは、カム31が回動したときに、プランジャ33の移動する方向に対して交差する方向に移動する設定となっていればよい。これにより、第1溝31a内に進入したプランジャ33がカム31の所定範囲以上の回動を阻止することができる。換言すると、プランジャ33は、カム31の回動を阻止するための作動部として機能する。
【0052】
カム31の回動方向における第1溝31aの幅は、第1溝31a内に進入し得るプランジャ33の先端部33aの幅よりも大きくなっている。本実施形態では、プランジャ33の先端には、カム31の回動時に第1溝31aの底面31fに沿って転動するローラ50が設けられているので、プランジャ33の先端部33aの幅は、ローラ50の外径よりも大きくなっている。そして、カム31の回動方向における第1溝31aの両側の縁部間の間隔は、プランジャ33の先端部33aの幅よりも大きくなっている。このため、プランジャ33の先端部33aが第1溝31a内にあるときでも、カム31は、プランジャ33の先端部33aが第1溝31aの縁部に当たるまでの範囲で回動することができる。このため、プランジャ33の先端部33aが第1溝31a内にあるときには、カム31は、一定の範囲内で回動可能となっている。この回動範囲は、ドア1が前記移動距離だけ開き方向に移動するのを許容する範囲となっている。
【0053】
ドア閉じスイッチ22がオンする閉じ位置からさらにドア1が閉じ方向に移動する距離はほんの僅かであるが、この場合でも、カム31の回動によっても、プランジャ33の先端部33aがカム31の第1溝31aの縁部(
図2における上側の縁部)に当たらないように設定されている。
【0054】
第3溝31c内には規制部材43が配置されている。規制部材43は、取付け部材41の基板部材41aに固定されている。第3溝31c内に規制部材43が配置されることにより、第3溝31cは、第1溝31aによって規制されるカム31の回動範囲を超えた回動範囲を規制することが可能であり、ドア1の通常の開閉動作時におけるカム31の回動範囲が規制される。すなわち、回動方向における第3溝31cの一方の縁部(
図2における上側の縁部)に規制部材43が接触することにより、カム31がそれ以上反時計回りに回動しないようにカム31の回動が規制される。このときの姿勢は、
図4に示すように、閉じ方向に移動する突出部1dを第2溝31bが受け入れ可能な受け入れ姿勢となる。カム31が受け入れ姿勢にあるときには、第1溝31aの下側の縁部は、後述する退避位置にあるプランジャ33よりも上側に位置している。言い換えると、カム31が受け入れ姿勢にある場合には、カム31の回動方向において、第1溝31aはプランジャ33の位置からずれたところまで移動している。
【0055】
なお、第3溝31c内に規制部材43が設けられない構成とすることも可能である。この場合、後述する捩りばね46によってカム31の回動角度範囲を規制することが可能である。
【0056】
カム31は、第2溝31b内に進入して閉じ方向に移動する突出部1dにより、第2溝31bが閉じ方向に移動する方向(
図2では反時計回りの方向)に回動する。ドア1が、ドア閉じスイッチ22がオンする閉じ位置まで到達したときには、カム31は、
図2に示されている姿勢よりも少し反時計回りの方向に回動した姿勢となる。そして、ドア1が閉じ位置から基準位置まで到達したときには、カム31は少し時計回りの方向に回動して、
図2に示されている姿勢となる。ドア1が閉じ位置から基準位置に移動する間のカム31の姿勢において、プランジャ33が第1溝31a内に進入可能となる。
【0057】
カム31は、捩りばね46から一方向に回転させる力を受けている。捩りばね46の一端部は、規制部材43に固定され、捩りばね46の他端部は、カム31に固定されている。したがって、カム31は、突出部1dが第2溝31b内に進入せず、かつ第1溝31aに作動部が進入しない状態では、前記の受け入れ姿勢となる。なお、捩りばね46の前記一端部は、規制部材43ではなく取付け部材41に固定されていてもよい。
【0058】
取付け部材41には、カム31の姿勢を基準姿勢に合わせるための目印48が設けられている。すなわち、カム31の回動方向における第1溝31aの幅がプランジャ先端部33aの幅に比べて十分大きく形成されているため、取付け部材41にカム31を取り付ける際に目印48を利用し、カム31の姿勢を基準姿勢に設定することができる。基準姿勢では、プランジャ33の先端部33aが第1溝31aのちょうど中央に位置する。なお、目印48は、本実施形態では、取付け部材41の基板部材41aの下端部を切り欠くことによって形成されているが、これに限られない。突起状の目印48であってもよく、色を変えることによってその周囲から識別可能に構成されていてもよい。
【0059】
ここで、切替部25の構成、動作及び機能について詳細に説明する。
【0060】
切替部25のソレノイド35は、プランジャ33の先端部33aが第1溝31a内に進入した進入位置と、第1溝31aから退避した退避位置との間を移動するようにプランジャ33を動作させるように構成されている。
【0061】
プランジャ33が進入位置にあるときには、切替部25は、ドア1が開き方向に前記の移動距離以上に移動することを阻止する第1状態となる。すなわち、切替部25が第1状態にある場合には、ドア1に挟まれたものを引き抜くための距離未満のドア1の開き方向の移動が可能である一方、その距離よりも長い距離の移動は阻止される。このとき、プランジャ33は、カム31の第1溝31aの縁部(
図2における下側の縁部)に接触することによってカム31の回動を所定角度の範囲内で止める。すなわち、プランジャ33が進入位置にある状態では、カム31の回動範囲は、第1溝31aの幅に応じた回動範囲となる。言い換えると、カム31及びプランジャ33は、前記距離以上のドア1の開き動作(突出部1dの移動)を機械的に阻止するロック状態となる。またプランジャ33が進入位置にあるときには、ロックスイッチ27がオンする。つまり、進入位置は、ロックスイッチ27をオンさせるオン位置となる。
【0062】
一方、プランジャ33が退避位置にあるときには、切替部25は、ドア1の移動(突出部1dの移動)を阻止しない第2の状態となる。すなわち、切替部25が第2状態にある場合には、カム31は、第1溝31aの幅を超えた範囲で回動が可能である。これにより、ドア1の開閉動作が許容される。換言すると、カム31及びプランジャ33は、前記距離以上のドア1の開き動作が許容されるアンロック状態となる。また、プランジャ33が退避位置にあるときにはロックスイッチ27はオンしない状態となる。つまり、退避位置は、ロックスイッチ27がオンしないオフ位置となる。したがって、プランジャ33は、カム31に形成された第1溝31aに進入してロックスイッチ27をオンさせるオン位置と、第1溝31aから退避するとともにロックスイッチ27をオフさせるオフ位置との間を移動可能な作動部として機能する。
【0063】
ソレノイド35は、ドア1を閉じる動作を開始させるための指令に基づいて励磁され、ドア1が閉じ位置を超えて全閉位置まで移動した後、所定の時間が経過すると消磁される。この所定の時間は、ドア閉じスイッチ22がオンする位置を超えて全閉位置まで移動したドア1が開き方向に押し戻されて静止するまでの時間に相当する時間である。すなわち、切替部25は、ドア閉じスイッチ22がオンする位置を超えて全閉位置まで移動したドア1が開き方向に押し戻されて静止するまでの時間に相当する時間を待ってソレノイド35の消磁を行うように構成されている。
【0064】
切替部25のばね部材37は、プランジャ33を退避位置から進入位置に向けて押圧する力を発生する。このため、ソレノイド35が消磁されると、プランジャ33は進入位置(オン位置)に位置づけられる。一方、ソレノイド35が励磁された状態では、プランジャ33は退避位置(オフ位置)に位置づけされる。
【0065】
カム31における第1溝31aと第2溝31bとの間の外周面は、カム31が前記受け入れ姿勢にあるときに、プランジャ33の移動方向における延長線上に位置する。受け入れ姿勢にあるときには、仮にソレノイド35が消磁されたとしても、プランジャ33がカム31における第1溝31aと第2溝31bとの間の外周面に当たるため、プランジャ33がオン位置に移動することが阻止される。すなわち、カム31は、ドア1が閉じ位置まで移動する間にプランジャ33がオン位置に移動することを阻止する形状となっている。
【0066】
プランジャ33が進入位置にあるときには、プランジャ33の先端部33aは第1溝31aの底面31fに接触する。第1溝31aの底面31fは、カム31の回動時にプランジャ33を進入位置(オン位置)から退避位置(オフ位置)に向かって押し戻さないような円弧状面となっている。
【0067】
なお、
図2では、ドア1が開き方向に移動したことによってカム31が反時計回りに回動し、第1溝31aの下側の縁部がプランジャ33の先端部33aに接触する構成となっているが、これに限られない。例えば、ドア1が開き方向に移動した場合に、カム31が回動して第1溝31aの上側の縁部にプランジャ33の先端部33aが接触する構成であってもよい。
【0068】
続いて、本実施形態に係る車両用ドアのロック装置10の動作について説明する。ドア1が開き位置にあるときには、カム31は、捩りばね46のばね力によって受け入れ姿勢(
図4参照)となっている。このときソレノイド35は消磁されているため、プランジャ33の先端部33aは、カム31の外周面(第1溝31aと第2溝31bとの間の部位)に接触している。そして、ドア1を閉じる動作を開始させるための指令に基づいてソレノイド35は励磁される(
図5の時間t1)。これにより、プランジャ33はカム31の外周面から離れ、これによりカム31はドア1の動作に応じて回動可能なアンロック状態となる。そして、モータ12aが駆動されて一対のラック12bが直線的に動くとスライダ1aが動き、ドア1が開き位置から全閉位置に向けて移動する(閉じ動作を行う)。ドア1が閉じ位置に達する手前で突出部1dが第2溝31b内に進入し、カム31が回動し始める。
【0069】
ドア1が閉じ位置に達すると、ドア閉じスイッチ22がオンする(
図5の時間t2)。ドア1が閉じ位置にあるときには、カム31は、カム31の外周面における第1溝と第2溝との間の部位が、プランジャ33の延長線上に位置する姿勢となっている。そして、ドア1は、閉じ位置からさらに全閉位置まで閉じ動作を継続し、カム31は時計回りの方向に回動し続ける。その後ドア1は、全閉位置に到達した後、全閉位置から開き方向に僅かに戻されて基準位置で静止し、カム31も静止する。その後、ソレノイド35は消磁される(
図5の時間t3)。これにより、プランジャ33が第1溝31a内に進入する。これによりカム31及びプランジャ33がロック状態となり、切替部25は第1状態となる。第1状態では、カム31が所定の角度範囲内のみで回動可能な状態となっているため、第2溝31b内に位置する突出部1dは、前記距離の範囲未満での移動のみが可能で、前記距離範囲以上の移動が阻止される。ドア1も開き方向への前記距離以上の移動が阻止される。
【0070】
なお、ソレノイド35が消磁されるタイミングは、ドア1が全閉位置に到達してから所定時間が経過したとき、ドア1が全閉位置に到達してモータ12aの駆動力が低減されてから所定時間が経過したとき、あるいは、ドア閉じスイッチ22がオンしてから所定時間が経過したとき等に設定されている。何れの場合においても、ソレノイド35は、閉じ位置を超えて全閉位置まで移動したドア1が開き方向に押し戻されて基準位置で静止するまでの時間に相当する時間を待って消磁される。
【0071】
カム31がロック状態となっている場合であっても、第2溝31b内の突出部1dの動きによってカム31は所定角度の範囲内(第1溝31aの幅範囲内)で回動することが可能である。このため、ドア1間に物等が挟まった場合(戸挟みが発生した場合)には、ドア1を前述した距離だけ開き方向に移動させることができる。したがってドア1間に挟まった物等を容易に引き抜くことができる。一方、カム31の所定角度を超える回動は機械的に阻止されているため、ドア1が前記所定距離を超えて開くことはできない。したがって、車両に乗っている人の安全を確保することができる。
【0072】
ドア1の開き動作を行う場合には、ロック装置10がドア1を開く動作を開始させるための指令を受けると、ソレノイド35が励磁される。これにより、プランジャ33が進入位置から退避位置に移動する。これにより、カム31はアンロック状態となる。その後、モータ12aが駆動されてドア1が開き動作を行う。
【0073】
以上説明したように、本実施形態では、切替部25が第1状態にあるときには、ドア1に挟まれたものを引き抜くための距離の範囲内であれば、ドア1の移動が可能である。このため、ドア1によって物等が相手側の部材(すなわち、両開きドア1の場合にはもう一方のドア1、片開きドアの場合には車体Bにおける開口縁部)との間に挟み込まれた(以下、戸挟みが発生した、とも称する)ときでも、ドア1を前記距離の範囲内で移動させることにより、挟み込まれた物等を引き抜くことができる。その場合でも、ドア1が切替部25に当たることよって、ドア1の前記距離以上の開き動作が阻止されているため、車両に乗っている人の安全を確保することができる。
【0074】
また本実施形態では、切替部25が、ドア1の開閉動作によって回動するカム31を有するため、カム31を回動させるための駆動装置を別途設けることなく、カム31を回動させることができる。また、プランジャ33の動きによって、カム31の回動を許容する状態とカム31の所定角度以上の回動を阻止する状態とにカム31の状態を切り替えることにより、切替部25を第1の状態と第2の状態との間で状態切り替えを行うことができる。
【0075】
また本実施形態では、ドア1が閉じ位置(ドア閉じスイッチ22がオンする位置)にあるときには、カム31は、カム31の外周面における第1溝と第2溝との間の部位が、プランジャ33の延長線上に位置する姿勢となっている。このため、ドア閉じスイッチ22がオンする位置にドア1が移動するまでにロックスイッチ27がオンすることを機械的に防止することができる。一方、ドア1が閉じ位置まで移動した後は、戸挟みが発生したことによってドア1が閉じ位置から開き方向に僅かに移動した場合であっても、プランジャ33の先端部33aが第1溝31a内に位置づけられているため、ロックスイッチ27はオンしたままに維持され得る。したがって、戸挟みによってロック信号の出力が一時的に停止されることを防止することができる。
【0076】
また本実施形態では、回動方向におけるカム31の第1溝31aの幅がプランジャ33の先端部33aの幅よりも大きくなっている。このため、プランジャ33が第1溝31aから抜け出ているときには、ドア1に設けられた突出部1dの移動に応じてカム31が回動する。したがって、カム31がドア1の開閉動作の障害になることはない。一方、プランジャ33が第1溝31a内に挿入されたオン位置にあるときには、プランジャ33が第1溝31aの縁部に接触するまでカム31が回動可能であるが、それ以上(所定角度以上)の回動は阻止される。したがって、第1溝31aの幅以上にドア1の開き動作を阻止することができる。
【0077】
また本実施形態では、カム31の第1溝31aの底面31fがカム31の回動時にプランジャ33をオン位置からオフ位置に向かって押し戻さないような円弧状面となっているため、カム31の回動時にプランジャ33がオン位置から外れることを防止することができる。すなわち、カム31の回動時に、ロック信号が出力されない状態になることを防止することができる。
【0078】
また本実施形態では、プランジャ33の先端にローラ50が設けられているので、カム31のスムーズな回動を確保することができる。
【0079】
また本実施形態では、カム31の回動方向における第2溝31bの幅が、突出部1dのうち第2溝31bの中に入り込む先端部1d1の幅に対応した大きさに形成されている。このため、ドア本体1bに対する突出部1dの位置ずれが発生した場合には、それに応じて、カム31が回動方向に姿勢を変えることになる。しかしながら、カム31の回動方向における第1溝31aの幅がプランジャ33の先端部33aの幅よりも大きくなっているため、カム31が回動した状態であっても、プランジャ33の先端部33aを第1溝31a内に容易に挿入することができる。したがって、ドア1における突出部1dの位置ずれが生じた場合でも、それを吸収することができる。
【0080】
また本実施形態では、第1溝31aの幅がプランジャ33の先端部33aの幅よりも大きいため、カム31が設計時の姿勢から回動した姿勢となることを許容することができる。しかも、カム31を取り付けるときに使用できる目印48が設けられているため、カム31の取り付け時には、取り付け作業の作業性を向上することができる。
【0081】
また本実施形態では、ドア1の閉じ動作中にドア閉じスイッチ22がオンする位置までドア1が移動したときに、ソレノイド35は即座に消磁されない。このため、ドア閉じスイッチ22がオンしたからといって必ず作動部がオン位置まで移動するわけではない。このため、ドア閉じスイッチ22がオンする位置を超えて全閉位置まで移動した後に押し戻されて開き方向に動き、ドア1が基準位置まで戻った場合でも、プランジャ33はオン位置には移動しない。したがって、プランジャ33がオン位置にあることを示す情報が運転手側に一時的に伝えられてしまうことを回避することができる。
【0082】
なお、本発明は、前記実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変更、改良等が可能である。例えば、前記実施形態では、第1溝31aの幅がプランジャ33の先端部33aの幅よりも大きく形成され、第2溝31bの幅が突出部1dの先端部1d1の幅に対応した大きさに形成されている。これに代え、
図6に示すように、第1溝31aの幅がプランジャ33の先端部33aの幅に対応した大きさに形成され、第2溝31bの幅が突出部1dの先端部1d1よりも大きな幅に形成されていてもよい。この場合、カム31の回動方向における第2溝31bの幅が、前記距離に応じた幅に形成されていればよい。プランジャ33が第1溝31a内に進入した進入位置にある場合には、カム31は回動しない。すなわち、プランジャ33が第1溝31a内にあってカム31の回動が阻止されているときには、第2溝31bの縁部が、第2溝31b内を開き方向に移動した突出部1dを止める。この状態でも、突出部1dは前記距離の範囲内で第2溝31b内で開き方向に移動することができる。すなわち、切替部25は、ドア1に挟まれたものを引き抜くための距離以上、ドア1が開き方向に移動するのをドア1に当たることによって阻止する第1の状態と、前記距離以上のドア1の移動を阻止しない第2の状態とを切り替え可能な構成となっている。
【0083】
この実施形態では、プランジャ33が第1溝31a内に入り込むことによってカム31の回動が阻止される。この形態では、カム31の回動方向における第2溝31bの幅が、突出部1dの先端部1d1の幅よりも大きく形成されているので、突出部1dが第2溝31bの縁部に当たるまでは、突出部1d(即ちドア1)を開き方向に移動させることができる。したがって、戸挟みが発生した場合に、挟み込まれた物等を引き抜くことができる。
【0084】
前記実施形態では、切替部25が、回動可能なカム31を有する構成とし
た。図7では、切替部25が、直線的に往復移動するように設けられたロック部材53を有す
る。ロック部材53は、ドア1が閉じられているときの突出部1dの位置から前記距離だけ開き方向にずれた位置に設定されている。
【0085】
ロック部材53は、例えば上下方向に動く設定となっている。ロック部材53が下位置に移動したときには、ロック部材53は、突出部1dと接触可能な位置となり、突出部1dの所定距離以上の開き方向の移動を阻止するロック状態となる。つまり、切替部25は第1状態となる。一方、ロック部材53が上位置に移動したときには、ロック部材53は、突出部1dと接触できない位置となり、アンロック状態となる。つまり、切替部25は、第2状態となる。
【0086】
なお、図例では、ロック部材53が上下方向に移動する構成としているが、これに限らレール16ものではなく、水平方向に移動する構成であってもよい。
【0087】
ロック部材53は、ソレノイド35のプランジャ33によって構成されていてもよく、あるいはプランジャ33に固定されていてもよい。