(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【0003】
以上を背景としたうえで、ここで提案される取り組みにより、データバスのキャパシタンス値を判定する方法、さらにはこの方法を適用する制御装置、ならびに最後にこれに対応するコンピュータプログラム製品がそれぞれ主請求項に基づいて提案される。好ましい実施形態は、それぞれの従属請求項および以下の説明から明らかとなる。
【0004】
全体としてのデータバスは、可変の個数のクライアントおよび/または可変の長さで作動させることができる。その結果として、システム全体の電気キャパシタンスの大幅な変化が生じる。データバスでの情報の送信および/または受信を時間的に同期化するために、同期化パルスを利用することができる。許容範囲内にある振幅で同期化パルスを発信するために、同期化パルスについて送信エネルギーを適合化することが必要である。この適合化は、スケーリング係数を利用したうえで行うことができる。このようにスケーリング係数は、データバスを作動させるために必要とされる。
【0005】
必要な送信エネルギーは、システム全体の電気キャパシタンスに依存して決まるので、スケーリング係数は、キャパシタンスを表す目安となる。このようにスケーリング係数は、キャパシタンスを決定するために利用することができる。
【0006】
もともと存在しているスケーリング係数を利用したうえでキャパシタンスを決定することで、キャパシタンスを決定する他の方法および装置を省略することができる。このような省略によってコストを削減することができる。スケーリング係数は動作が継続しているときに生じるので、キャパシタンスを動作中に決定することができる。それにより、データバスでの変化に対して直接的に対応することができる。
【0007】
データバスのキャパシタンス値を判定する方法が提案され、この方法は次の各ステップを有している:
【0008】
データバスの同期化パルスのスケーリング係数を読み取る;および
【0009】
スケーリング係数と処理規則とを利用したうえでキャパシタンス値を決定する。
【0010】
さらに、データバスのキャパシタンス値を判定する制御装置が提案され、この制御装置は次の各構成要件を有している:
【0011】
データバスの同期化パルスのスケーリング係数を読み取るためのインターフェース;および
【0012】
スケーリング係数と処理規則とを利用したうえでキャパシタンス値を決定するための装置。
【0013】
制御装置の形態の本発明のこのような実施態様によっても、本発明に課される課題を迅速かつ効率的に解決することができる。
【0014】
制御装置とは、本件においては、センサ信号を処理し、これに依存して制御信号および/またはデータ信号を出力する電気装置であると理解することができる。制御装置はハードウェアおよび/またはソフトウェアとして構成されていてよいインターフェースを有することができる。ハードウェアとしての構成では、インターフェースは、制御装置の多種多様な機能を含む、たとえばいわゆるシステムASICの一部であってよい。しかしながら、インターフェースが独自の集積回路であるか、または、少なくとも部分的に離散したデバイスから成り立っていることも可能である。ソフトウェアとしての構成では、インターフェースは、たとえばマイクロコントローラ上で他のソフトウェアモジュールと並存しているソフトウェアモジュールであってよい。
【0015】
キャパシタンス値とは、データバスの電気的、電子的な構成要素の、ならびにデータバスの電気回線の、電気キャパシタンスであると理解することができる。スケーリング係数は、同期化パルスを提供するにあたってエネルギー放出を適合化するための情報であってよい。同様にスケーリング係数は、同期化パルスを生成するための電流振幅を適合化するように構成されていてもよい。
【0016】
処理規則は、スケーリング係数とキャパシタンス値の間の関連性を表すことができる。処理規則は式として保存されていてよい。同様に、キャパシタンス値とスケーリング係数の値の組み合わせについての離散した値が、表として保存されていてもよい。処理規則により、キャパシタンス値を迅速かつ一義的に決定することができる。
【0017】
キャパシタンス値として、データバスのクライアントの負荷キャパシタンスを決定することができる。それにより、クライアントの電気的な機能をチェックすることができる。
【0018】
キャパシタンス値として、データバスの回線のキャパシタンスを決定することができる。それにより、たとえばデータバスの回線長さをチェックすることができる。
【0019】
キャパシタンス値として、データバスの受信器回路の回路キャパシタンスを決定することができる。それにより、受信器回路の電気的な機能をチェックすることができる。
【0020】
キャパシタンス値として、データバスの総キャパシタンスを決定することができる。それにより、システム全体の電気的な機能をチェックすることができる。
【0021】
本方法は、提供のステップと、検出のステップと、適合化のステップとを有することができる。提供のステップでは、同期化パルスをデータバスで定義されたパルス時間で、かつスケーリング係数を利用したうえで提供することができる。検出のステップでは、同期化パルスの振幅を検出することができる。適合化のステップでは、後続する提供のステップのために、振幅と振幅の目標値との間の誤差を利用したえでスケーリング係数を適合化することができ、そのようにして適合化されたスケーリング係数を得る。読取のステップでは、適合化されたスケーリング係数をスケーリング係数として読み取ることができる。負荷キャパシタンスを反復して決定することで、継続する動作中に、負荷キャパシタンスの変化に対して対応することができる。
【0022】
半導体メモリ、ハードディスクメモリ、光学メモリのような機械読取可能な担体に保存されていてよく、プログラム製品がコンピュータまたは装置で実行されたときに上に説明した実施形態のうちの1つに基づく方法を実施するために利用されるプログラムコードを有する、コンピュータプログラム製品も好ましい。
【0023】
次に、ここで提案される取り組みについて、添付の図面を参照しながら一例として詳しく説明する。図面は次のものを示している:
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の好都合な実施例の以下の説明では、異なる図面に示されていて類似の働きをする部材には同一または類似の符号が使われており、これらの部材について繰り返し説明することはしない。
【0026】
乗員保護システムのための周辺のセンサ128は、多くの場合、たとえばPAS4やPSI5のような電流インターフェースを、中央の制御装置(ECU)300へのセンサデータの伝送のために利用している。
【0027】
最新世代の電流インターフェース(PSI5)では、同期化により、1つの受信器300で複数のセンサ128を有するバス動作が可能となる。同期化の機能のために、制御装置ECU300により、電圧パルスの形態の作業サイクルが生成され、これがセンサ128によりバス102で検知されて、データ伝送についての新たなサイクルの開始を特徴づける。この電圧パルスは同期化パルスと呼ばれ、電流源306と、バス負荷を充電ないし放電する電流シンク308とによって発生する。
【0028】
受信器300の制御装置316にある、アプリケーションに応じて相違する種類と個数のセンサ128およびフィルタは、許容されるべき負荷キャパシタンスの広い範囲に寄与する。
【0029】
フィルタを具体化するために、制御装置316の配線板にはコンデンサが実装されている。
【0030】
電子装置生産において実装された配線板を検査するために、特に、いわゆるインサーキットテスト(ICT)を適用することができる。
【0031】
インサーキットテスト法を具体化できるようにするために、検査されるべき各々のテスト点について接触ニードルを有するアダプタが用いられる。このようなアダプタの納入期間やコストは非常に大きい。さらに、新しいアダプタを必要とするレイアウト変更によって、追加のコストが発生することがある。
【0032】
ここで提案される取り組みは、PSI5インターフェースにおける集積回路のコンデンサのためのインサーキットテスト検査法に代わるものであり、そのようにして検査コストを削減する。
【0033】
ここで提案される方法により、電流インターフェースにおけるコンデンサないし負荷キャパシタンスの存在だけでなく値も、センサのキャパシタンスを含めて測定し、測定値を表示することができる。
【0034】
図1は、本発明の一実施例に基づく、データバス102の負荷キャパシタンスを判定するための制御装置100のブロック図を示している。制御装置100は、インターフェース104と、負荷キャパシタンスを決定する装置106とを有している。インターフェース104は、データバス102の同期化パルス110についてスケーリング係数108を読み取るように構成されている。決定をする装置106は、スケーリング係数108と処理規則とを利用したうえで、負荷キャパシタンスを決定するように構成されている。スケーリング係数108は、制御回路112を利用して再調整される。制御回路112では、時間的にさかのぼる同期化パルス110の実際の実際振幅114が制御量として利用される。基準量として、同期化パルス110について事前設定された目標振幅116が利用される。制御量114すなわち実際振幅114は、負帰還回路118を介してフィードバックされる。したがって制御誤差は、目標振幅116と実際振幅114の間の差異120である。制御誤差120は、出力量としてスケーリング係数108を有するコントローラ122の入力量である。スケーリング係数108は、本例では同期化パルス110を提供するための同期化パルスジェネレータ126と、データバス102と、データバス102にあるセンサ128とを含む制御区間124の入力量である。
【0035】
図2は、本発明の一実施例に基づく、データバスのキャパシタンス値を判定する方法200のフローチャートを示している。方法200は、読取のステップ202と、決定のステップ204とを有している。読取のステップ202で、データバスの同期化パルスのスケーリング係数が読み取られる。決定のステップ204で、スケーリング係数と処理規則とを利用したうえでキャパシタンス値が決定される。
【0036】
1つの実施例では、処理規則は、スケーリング係数とキャパシタンス値の間の関連性を表している。
【0037】
1つの実施例では、処理規則は式として保存されている。
【0038】
1つの実施例では、キャパシタンス値とスケーリング係数の値の組み合わせについて、離散した値が表として保存されている。
【0039】
1つの実施例では、決定のステップ204で、データバスのクライアントの負荷キャパシタンスがキャパシタンス値として決定される。そのために、クライアントがパルスジェネレータと接続され、少なくとも1つの同期化パルスが提供される。このとき受信器回路はデータバスから切断されていてよい。
【0040】
1つの実施例では、決定のステップ204で、負荷キャパシタンスを決定するための独自の処理規則が利用される。
【0041】
1つの実施例では、決定のステップ204で、データバスの回線のキャパシタンスがキャパシタンス値として決定される。そのために、クライアントだけでなく受信器回路もデータバスから切断される。そして回路でのみ、少なくとも1つの同期化パルスが提供される。
【0042】
1つの実施例では、決定のステップ204で、回線キャパシタンスを決定するための独自の処理規則が利用される。
【0043】
1つの実施例では、決定のステップ204で、データバスの受信器回路の回路キャパシタンスがキャパシタンス値として決定される。そのためにデータバスの回線がパルスジェネレータから切断され、その間にパルスジェネレータが受信器回路と接続される。そして受信器回路でのみ、少なくとも1つの同期化パルスが提供される。
【0044】
1つの実施例では、決定のステップ204で、データバスの総キャパシタンスがキャパシタンス値として決定される。そのために、データバス全体で同期化パルスが提供される。
【0045】
1つの実施例では、方法200は、提供のステップと、検出のステップと、適合化のステップとを有している。提供のステップで、定義されたパルス時間を有する同期化パルスが、スケーリング係数を利用したうえでデータバスに提供される。検出のステップで、同期化パルスの振幅が検出される。適合化のステップで、振幅と振幅の目標値との間の誤差を利用したうえで、提供の後続するステップのためのスケーリング係数が適合化され、それによって適合化されたスケーリング係数を得る。読取のステップ204で、適合化されたスケーリング係数がスケーリング係数として読み取られる。
【0046】
換言すると、
図2では配線板キャパシタンスの判定は、インサーキットテストICTを除外するために、電流インターフェースの同期化パルス制御によって表現される。
【0047】
1つの実施例では、負荷キャパシタンスの判定は電流インターフェースの同期化パルス制御によって表現される。
【0048】
図3は、同期化パルスを提供する装置302を有する、データバス102のためのPSIインターフェースの受信器300の図面を示している。装置302は、電圧供給部304と、電流源306と、電流シンク308とを含んでいる。電流源306と電流シンク308は、デジタル式の制御エレクトロニクス310およびデジタル・アナログ・コンバータ312によって制御され、それにより、データバスのセンサ128のために同期化パルスをデータバス102で提供する。さらに受信器は、受信器のための電圧供給部314と、受信器回路316とを有している。受信器回路316はデータバス102から、ないし提供をする装置302から、切断可能ないし接続可能なように製作されている。
【0049】
図示しない実施例では、データバス102はクライアント128とともに、提供をする装置302から切断可能ないし接続可能なように製作されている。
【0050】
ここで提案される取り組みでは、このような制御アルゴリズムの結果が、配線板の上で接続されているコンデンサのキャパシタンスを判定するために、ないし負荷キャパシタンスを判定するために、内蔵された制御装置で利用される。
【0051】
それにより、インサーキットテストを省略することができる。さらに、内蔵された制御装置での負荷キャパシタンスの測定により、センサの有無だけでなく、受信器への各センサの正しい接続も検証することができる。
【0052】
ここで提案される取り組みにより、インサーキットテスト検査法およびバスコンフィギュレーションの診断のための追加の検査コストを節約することができる。さらに、シリコンチップ上の追加の面積や、測定を実行するための追加の時間も必要ない。測定は動作の進行中に行われるからである。
【0053】
受信器300の基礎となる回路が
図3に図示されている。同期化パルスジェネレータ302と呼ぶのは、同期化パルスを生成し、デジタル制御部310、デジタル・アナログ・コンバータ312、電流源306、電流シンク308、および電流源306のための電圧供給部304で構成される回路302である。
【0054】
デジタル制御部310は、特に、得られた同期化パルス振幅を同期化パルスの制御のために利用する。同期化パルス振幅は容量負荷に依存して決まり、バス電圧の評価によって判定される。
【0055】
図4は、本発明の一実施例に基づく、同期化パルス110中のバス電流400とバス電圧402の図面を示している。同期化パルス110は、
図3に示すような提供をする装置によって提供される。同期化パルス110は電気的な電流400としてデータバスに提供される。電気的な電流400により、電気的な電圧402がデータバスで生じる。
【0056】
同期化パルス110はスタート時点t1で開始し、終了時点t2で終了する。同期化パルス110は、スタート時点t1と終了時点t2の間にパルス時間404t
syncを有している。スタート時点t1の前に、データバスには保持電流406が印加されている。スタート時点t1以後、電流400は電流源によって規定される。電流源は、電流400の正弦波形の変化ないし振動を惹起する。パルス時間404の内部で1回の完全な振動が行われる。スタート時点t1から開始し、電流400は保持電流406を起点として上昇していく。このとき電流400は最大値408まで上昇し、引き続いて最小値410まで下降し、次いで、再び保持電流406の値まで上昇する。このとき最小値410は負の電気的な電流の領域にあり、ないしは、電流400の流れる方向の反対側の領域にある。負の領域では、電流は電流シンクへと流れていく。
【0057】
上昇または下降は、離散した数の段階で行われる。これらの段階は、異なる段階幅にわたって正弦波形の振動に近似していく。段階の数は、
図3のデジタル・アナログ・コンバータの分解能に依存して決まる。各段階の段階高さ412は、電流400の振幅に影響を及ぼすために、スケーリング係数によって定義される。
【0058】
同期化パルス110の電流400により、データバスのキャパシタンスに依存して、バス電圧402が変化する。バス電圧402は、スタート時点t1の前には同じく保持値414を有している。バス電圧402は同期化パルス110中に同じく正弦波状に推移する。バス電圧402の振動は、パルス時間404の4分の3の位相ずれを有している。したがって、同期化パルス110は最小値416をもって開始する。最小値416は保持値414に相当している。最小値416から、電圧402は最大値418まで上昇していき、最大値418の後に再び最小値416まで下降する。電圧402の最大値418に達するのは、電流400が保持電流406から下降するときであり、すなわちパルス時間404の半分のところである。最大値418と最小値416の間の差異が電圧振幅となる。電圧振幅は、データバスにおける負荷キャパシタンスに依存して決まる。
【0059】
電圧振幅を目標値に合わせて保つために、スケーリング係数が電流の各段階について適合化される。電圧振幅が目標値よりも小さいとき、スケーリング係数が引き上げられる。電圧振幅が目標値よりも大きいとき、スケーリング係数が引き下げられる。
【0060】
ここで提案している取り組みでは、スケーリング係数が読み取られる。スケーリング係数は、データバスの負荷キャパシタンスに比例しているからである。したがって、負荷キャパシタンスをいつでも推定することができる。
【0061】
換言すると、
図4は同期化パルス110中のバス電圧402とバス電流400を示している。ゼロミリアンペアよりも大きい電流400は電流源によって提供され、ゼロミリアンペアよりも小さい電流400はシンクへの通電を意味している。時点t1では、
図3の同期化パルス電流源が、受信器の電圧供給部から保持電流を引き継ぐ。逆に時点t2では、保持電流が電圧供給部から引き継がれる。
【0062】
形状とエッジ急峻度に関わる要求事項を満たすために、保持電流とバスキャパシタンスに依存して同期化パルスの制御が行われる。
【0063】
デジタルパートによる電流源と電流シンクの制御は、
図4に示すように行われる。同期化パルスt−syncの時間404は一定に保たれるのに対して、段階高さ412は振幅評価部からの情報に呼応してスケーリングされる。段階高さ412は、最小限可能な段階高さとスケーリング係数との乗算から算出される。最小の段階高さは、電流源ないし電流シンクに由来する最小の電流から求められる。スケーリング係数は、正しい高さおよびこれに伴って正しい形状が実現されるまで、同期化パルス110が小さすぎる場合には増やされ、同期化パルス110が大きすぎる場合には減らされる。出力電流400における各段階は負荷キャパシタンスに基づいて積分され、そのようにして、平滑化された出力電圧402を生じさせる。
【0064】
スケーリング係数が負荷キャパシタンスに伴って単調かつ計算可能に増加することに基づき、配線板に組み付けられ、内蔵された制御装置に接続された負荷キャパシタンスを判定するために、スケーリング係数を援用することができる。集積回路は同期化パルスの生成と制御のためにすでにPSI5インターフェースに存在しているので、負荷キャパシタンスを判定するこの方法は、面積中立的かつコスト中立的である。
【0065】
負荷キャパシタンスの測定は動作の進行中に行われる。測定値は、適用される通信プロトコルのうちの1つから出力することができる。
【0066】
負荷キャパシタンスの測定は、電流インターフェースのためにもともと必要な回路のみによって実行される。
【0067】
PSI5インターフェースでは、このような種類の測定のために必要な高い電流が、同期化パルスジェネレータによってのみ提供される。負荷キャパシタンスの測定のための基礎としての同期化パルスの制御挙動は、バスキャパシタンスを変えることによってオシロスコープで容易に検証可能である。
【0068】
図5は、データバスにおける同期化パルス110の電気的な電圧402の形状と時間的挙動の図面を示している。同期化パルス110は、
図4の同期化パルスに相当している。同期化パルス110は正弦波形の推移を有している。このとき同期化パルス110は、最小値416のスタート時点500で開始し、最大値418になるまで中心点502まで上昇していき、終了時点504まで再び最小値416になるまで下降する。最大値418はそれぞれの最小値416の間で中央に位置している。スタート時点500と終了時点504の間には、同期化パルス110のパルス時間がある。同期化パルス110の振幅は、最小値416と最大値418によって区切られる。同期化パルス110は固有限界506を有しており、同期化パルスはその範囲内で推移すべきである。このとき固有限界506は、最大値418およびそれに伴って振幅についての許容範囲と、終了時点504についての許容範囲とをカバーしている。同期化パルス110は対称なので、中心時点502についての許容範囲もそこから得られる。
【0069】
図6は、データバスにおける同期化パルス110のさまざまな電圧推移600の図面を、データバスの負荷キャパシタンスに依存して示している。電圧推移600は、その基本形状に関して、
図4に示す電圧推移に相当している。3つの同期化パルス110に関する3つの電圧推移600が示されている。これらの同期化パルス110は、それぞれ同一のパラメータで生成されたものである。したがって、同期化パルス110はすべて等しいパルス時間を有している。特に、同期化パルス110は同一のスケーリング係数で生成されている。それに対して電圧推移600は、それぞれ異なる振幅を有している。それぞれ異なる振幅は、データバスの負荷キャパシタンスにおける差異の結果として生じるものである。このとき振幅は、負荷キャパシタンスが大きくなるほど小さくなる。たとえば負荷キャパシタンスは、異なる回線長さによって変化することがある。同様に負荷キャパシタンスは、データバスにおけるセンサの異なる個数に基づいて変化することがある。さらにキャパシタンスは、データバスの評価回路の内部で変化することがある。
【0070】
換言すると
図6は、制御がオフになっているとき、負荷キャパシタンスに依存する同期化パルス110を示している。スケーリング係数が一定に設定されているとき、同期化パルス振幅は、負荷キャパシタンスが増すにつれて減少する。逆にこのことは、振幅が一定ならばスケーリング係数が増すことを意味している。
【0071】
負荷キャパシタンスは、既知の電流により既知の抵抗を介して充電することができる。時間定数の測定を通じて、負荷キャパシタンスの値を推定することができる。そのために、測定のために抵抗の接続を付け加えるとともに、継続する動作のためにその接続を外すスイッチが必要である。
【0072】
このような手法のためには、スイッチ、バスにおける抵抗、コンパレータ、充電時間を決定するための追加のデジタル論理回路が必要となる。
【0073】
それに対して、ここで提案される取り組みを適用すれば、20%またはそれ以上の範囲の広い許容範囲をもつ内蔵された抵抗を省略することができる。抵抗値に応じて、チップの上の所要面積およびこれに伴って生産コストを明らかに削減することができる。別案として、許容範囲は狭くてもよい外部の抵抗を省略することができる。それによって追加のコンポーネントが不要となり、抵抗値の許容差が狭く設定されているほど大きなコスト削減がもたらされる。スイッチについても同様のことが当てはまる。それが内蔵されていようといまいと、スケーリング係数の評価によってチップ面積または配線板面積が削減される。
【0074】
ここで提案される取り組みにより、電流インターフェースを遅延なく作動化させることができる。
【0075】
ここで提案される方式では、測定はインターフェースのスイッチオンの後に実行され、すなわち動作の継続中に実行される。追加の測定ステップを実施する必要がない。
【0076】
上述して図面に示した各実施例は、一例として選択されたものにすぎない。異なる実施例を全面的に、あるいは個々の構成要件に関して、相互に組み合わせることができる。また、別の実施例の構成要件によって1つの実施例を補足することもできる。
【0077】
さらに、ここで提案されている各方法ステップを反復して実施することができ、ならびに、上述した順序とは異なる順序で実施することもできる。
【0078】
1つの実施例が第1の構成要件と第2の構成要件の間に「および/または」の結合を含んでいるとき、このことは、当該実施例が1つの実施形態では第1の構成要件と第2の構成要件を両方とも有しており、別の実施形態では、第1の構成要件または第2の構成要件のいずれかを有しているものと解釈される。