特許第6576634号(P6576634)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6576634
(24)【登録日】2019年8月30日
(45)【発行日】2019年9月18日
(54)【発明の名称】ガイドアンカー及びシートベルト装置
(51)【国際特許分類】
   B60R 22/18 20060101AFI20190909BHJP
   B60R 22/24 20060101ALI20190909BHJP
【FI】
   B60R22/18 118
   B60R22/24
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-266134(P2014-266134)
(22)【出願日】2014年12月26日
(65)【公開番号】特開2016-124379(P2016-124379A)
(43)【公開日】2016年7月11日
【審査請求日】2017年12月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】318002149
【氏名又は名称】Joyson Safety Systems Japan株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118267
【弁理士】
【氏名又は名称】越前 昌弘
(72)【発明者】
【氏名】小西 利幸
(72)【発明者】
【氏名】田端 雄樹
【審査官】 神田 泰貴
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭54−155646(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/038817(WO,A1)
【文献】 特開2014−223916(JP,A)
【文献】 特開2011−056968(JP,A)
【文献】 特開2012−096635(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0080547(US,A1)
【文献】 特開2005−059710(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0029773(US,A1)
【文献】 特開2005−035540(JP,A)
【文献】 実開昭62−201162(JP,U)
【文献】 特開平07−329710(JP,A)
【文献】 特開平08−156741(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 22/00 − 22/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体側に接続され乗員を拘束するウェビングを案内するガイドアンカーにおいて、
前記ウェビングを挿通するウェビング挿通口と該ウェビング挿通口の外周に形成された拡張部とを備えた本体部と、前記ウェビング挿通口に挿通された前記ウェビングをガイドするアダプタと、を有し、
前記拡張部は、前記ウェビング挿通口のウェビング接触面から下部に連続して拡張された下部拡張部と、前記ウェビング挿通口の両側に配置された一対の羽根部と、を備え、
前記本体部は、前記ウェビング挿通口を形成する第一開口部と、前記ガイドアンカーの接続部を構成する第二開口部と、を有し、前記アダプタは、略三角形状を有する基板と、該基板の下辺に沿って形成されたガイド部と、前記基板の上部に形成された円筒形状の筒部と、を有し、前記ガイド部を前記第一開口部に挿入し、前記筒部を前記第二開口部に挿入することによって前記本体部に固定される、
ことを特徴とするガイドアンカー。
【請求項2】
前記本体部は金属製であり、前記アダプタは樹脂製である、ことを特徴とする請求項1に記載のガイドアンカー。
【請求項3】
前記アダプタは、前記本体部にインサート成形される、ことを特徴とする請求項1に記載のガイドアンカー。
【請求項4】
乗員を拘束するウェビングと、該ウェビングの巻き取りを行うリトラクタと、車体側に接続され前記ウェビングを案内するガイドアンカーと、前記ウェビングを車体側に固定するベルトアンカーと、前記シートの側面に配置されたバックルと、前記ウェビングに配置されたトングと、を備えたシートベルト装置において、
前記ガイドアンカーは、請求項1〜請求項3の何れか一項に記載のガイドアンカーである、ことを特徴とするシートベルト装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガイドアンカー及びシートベルト装置に関し、特に、車両のピラーに配置されシートベルト装置のウェビングを案内するガイドアンカー及び該ガイドアンカーを備えたシートベルト装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車両には、一般に、乗員が着座する腰掛部と乗員の背面に位置する背もたれ部とを備えたシートに乗員を拘束するシートベルト装置が設けられている。かかるシートベルト装置は、乗員を拘束するウェビングと、該ウェビングの巻き取りを行うリトラクタと、車体側に接続され前記ウェビングを案内するガイドアンカーと、前記ウェビングを車体側に固定するベルトアンカーと、前記シートの側面に配置されたバックルと、前記ウェビングに配置されたトングと、を有し、前記トングを前記バックルに嵌着させることによってウェビングにより乗員をシートに拘束している。
【0003】
かかるシートベルト装置に用いられるガイドアンカーは、例えば、特許文献1に記載されたように、ウェビングを挿通する開口部を有するキャリア板と、該キャリア板の縁部を形成するカバー材と、前記キャリア板をピラーに接続するためのアダプタと、を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−35540号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されたガイドアンカーのカバー材は、車両への取り付け状況に適応させるためのプラスチック部品であり、具体的には、ピラーの内部にガイドアンカーを配置した場合に、ピラーの表面に形成されるウェビングを車内に挿通するための開口部からピラーの内部を目隠しするための部品である。
【0006】
かかるガイドアンカーでは、カバー材をキャリア板に組み付ける工数が発生しており、コストダウンを妨げる要因となっていた。また、カバー材は薄い樹脂部品であることから熱変形しやすく、ピラーとの擦れによる異音が発生してしまうという問題もあった。
【0007】
本発明はかかる問題点に鑑み創案されたものであり、部品点数及び組立工数の削減を図ることができるとともに品質又は性能の向上を図ることができる、ガイドアンカー及びシートベルト装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、車体側に接続され乗員を拘束するウェビングを案内するガイドアンカーにおいて、前記ウェビングを挿通するウェビング挿通口と該ウェビング挿通口の外周に形成された拡張部とを備えた本体部と、前記ウェビング挿通口に挿通された前記ウェビングをガイドするアダプタと、を有し、前記拡張部は、前記ウェビング挿通口のウェビング接触面から下部に連続して拡張された下部拡張部と、前記ウェビング挿通口の両側に配置された一対の羽根部と、を備え、前記本体部は、前記ウェビング挿通口を形成する第一開口部と、前記ガイドアンカーの接続部を構成する第二開口部と、を有し、前記アダプタは、略三角形状を有する基板と、該基板の下辺に沿って形成されたガイド部と、前記基板の上部に形成された円筒形状の筒部と、を有し、前記ガイド部を前記第一開口部に挿入し、前記筒部を前記第二開口部に挿入することによって前記本体部に固定される、ことを特徴とするガイドアンカーが提供される。
【0009】
また、本発明によれば、乗員を拘束するウェビングと、該ウェビングの巻き取りを行うリトラクタと、車体側に接続され前記ウェビングを案内するガイドアンカーと、前記ウェビングを車体側に固定するベルトアンカーと、前記シートの側面に配置されたバックルと、前記ウェビングに配置されたトングと、を備えたシートベルト装置において、前記ガイドアンカーは、前記ウェビングを挿通するウェビング挿通口と該ウェビング挿通口の外周に形成された拡張部とを備えた本体部と、前記ウェビング挿通口に挿通された前記ウェビングをガイドするアダプタと、を有し、前記拡張部は、前記ウェビング挿通口のウェビング接触面から下部に連続して拡張された下部拡張部と、前記ウェビング挿通口の両側に配置された一対の羽根部と、を備え、前記本体部は、前記ウェビング挿通口を形成する第一開口部と、前記ガイドアンカーの接続部を構成する第二開口部と、を有し、前記アダプタは、略三角形状を有する基板と、該基板の下辺に沿って形成されたガイド部と、前記基板の上部に形成された円筒形状の筒部と、を有し、前記ガイド部を前記第一開口部に挿入し、前記筒部を前記第二開口部に挿入することによって前記本体部に固定される、ことを特徴とするシートベルト装置が提供される。
【0010】
上述したガイドアンカー及びシートベルト装置において、前記本体部は金属製であり、前記アダプタは樹脂製であってもよい。また、前記アダプタは、前記本体部にインサート成形されてもよい。
【0011】
また、前記本体部は、前記ウェビング挿通口を形成する第一開口部と、前記ガイドアンカーの接続部を構成する第二開口部と、を有し、前記アダプタは、略三角形状を有する基板と、該基板の下辺に沿って形成されたガイド部と、前記基板の上部に形成された円筒形状の筒部と、を有し、前記ガイド部を前記第一開口部に挿入し、前記筒部を前記第二開口部に挿入することによって前記本体部に固定されていてもよい。
【発明の効果】
【0012】
上述した本発明に係るガイドアンカー及びシートベルト装置によれば、ウェビング挿通口を有する本体部に拡張部を一体に形成したことにより、ガイドアンカーの部品点数及び組立工数の削減を図ることができ、コストダウンを図ることができる。また、ウェビングを案内及び支持するウェビング挿通口と、ピラーの開口部を目隠しする拡張部とを、一部品により構成したことにより、拡張部の形状を車種の特性等に応じて変更することにより、強度を向上させたり、ウェビングの片寄り(ジャミング)を抑制したりすることができ、ガイドアンカーの品質又は性能の向上を図ることができる。また、本体部を金属製とすることにより、拡張部の熱変形を抑制してピラーとの擦れによる異音の発生を抑制することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の第一実施形態に係るガイドアンカーを示す部品展開図である。
図2図1に示したガイドアンカーを示す平面図であり、(A)は第一実施形態、(B)は第一変形例、を示している。
図3図1に示したガイドアンカーの変形例を示す図であり、(A)は第二変形例、(B)は第三変形例、(C)は第四変形例、を示している。
図4】本発明の第二実施形態に係るガイドアンカーを示す平面図である。
図5】本発明の一実施形態に係るシートベルト装置を示す全体構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について図1図5を用いて説明する。ここで、図1は、本発明の第一実施形態に係るガイドアンカーを示す部品展開図である。図2は、図1に示したガイドアンカーを示す平面図であり、(A)は第一実施形態、(B)は第一変形例、を示している。図3は、図1に示したガイドアンカーの変形例を示す図であり、(A)は第二変形例、(B)は第三変形例、(C)は第四変形例、を示している。なお、図3(A)は図2(A)におけるZ−Z断面図であり、図3(C)は図2(A)におけるX−X断面図である。
【0015】
本発明の第一実施形態に係るガイドアンカー1は、図1及び図2(A)に示したように、車体側に接続され乗員を拘束するウェビングWを案内するガイドアンカー1であって、ウェビングWを挿通するウェビング挿通口21とウェビング挿通口21の外周に形成された拡張部22とを備えた本体部2と、ウェビング挿通口21に挿通されたウェビングWをガイドするアダプタ3と、を有し、拡張部22は、ウェビング挿通口21の下部に配置される下部拡張部22aと、ウェビング挿通口21の両側に配置される一対の羽根部22bと、を備えている。
【0016】
ここで、例えば、本体部2は金属製であり、アダプタ3は樹脂製である。アダプタ3は、図1に示したように、本体部2と別部品によって構成してもよいし、本体部2にインサート成形によって一体に構成するようにしてもよい。アダプタ3をインサート成形によって形成することにより、部品点数を更に削減することができ、より一層のコストダウンを図ることができる。
【0017】
本体部2は、例えば、全体が金属材により形成されており、図1に示したように、ウェビング挿通口21を形成する第一開口部2aと、ガイドアンカー1の接続部を構成する第二開口部2bと、を有している。第一開口部2aは、左右方向に延設された長孔であって、下辺は略水平に形成されており、上辺は両端に凸部を有し中央部に凹部を有する形状に形成されており、下辺の両端部は滑らかに上向きに転じるように形成され上辺の凸部に接続されている。第二開口部2bは、第一開口部2aの上方に形成された円形の貫通孔である。なお、本体部2は、金属材と同等の性質を有する素材であれば、他の素材により代替することも可能である。
【0018】
アダプタ3は、例えば、図1に示したように、略三角形状を有する基板31と、基板31の下辺に沿って形成されたガイド部32と、基板31の上部に形成された円筒形状の筒部33と、を有している。ガイド部32は、両端部に凸部を有し中央部に凹部を有している。ガイド部32は、本体部2の第一開口部2aに挿入され、筒部33は、本体部2の第二開口部2bに挿入される。筒部33には、図3(A)に示したように、ガイドアンカー1を車体Bに接続するための固定部材4が挿通される。
【0019】
なお、ガイド部32は、ウェビングWの反転を抑制するように案内する機能を有し、筒部33は、固定部材4とのガタを抑制したり、ガイドアンカー1の回転を円滑にしたりする機能を有する。
【0020】
図2(A)に示したように、第一開口部2aとガイド部32との隙間によってウェビング挿通口21が形成される。ウェビング挿通口21の下辺には、図3(A)に示したように、ウェビングWを表裏に案内しつつ方向転換可能に支持する曲面を備えたウェビング接触面23が形成されている。
【0021】
本実施形態における本体部2は、例えば、特許文献1に記載されたキャリア板とカバー材とを一体に形成した形状を有しており、ウェビングWを挿通可能に支持するウェビング挿通口21と、ピラーPの開口部Paを目隠しする拡張部22(下部拡張部22a及び羽根部22b)とを一体の金属部品で形成したものである。
【0022】
下部拡張部22aは、例えば、図3(A)に示したように、ウェビング接触面23から連続した拡張部22として形成されている。羽根部22bは、ウェビング挿通口21の両側に形成されており、下部拡張部22a及び羽根部22bの外縁は略円形状を有している。下部拡張部22a及び羽根部22bの表面積(大きさ)や板厚Δt(図3(A),(C)参照)等の具体的な形状については、車種等の種類によって個別に設計される。
【0023】
また、本体部2は、言い換えれば、特許文献1に記載されたキャリア板の一部を図2(A)に示した矢印の方向に拡張してカバー材を省略したものである。なお、図2(A)において、従来のキャリア板に相当する部分を一点鎖線で図示している。かかる構成により、本体部2の全体を金属材によって形成することができ、ガイドアンカー1の強度を向上させることができる。
【0024】
特に、車両衝突時には、ウェビング接触面23に過大な負荷がかかるところ、ウェビング接触面23に下部拡張部22aを連続して形成することにより、この下部拡張部22aによりウェビング接触面23の縦断面積を大きく稼ぐことができ、ウェビング接触面23の強度を大きく向上させることができる。
【0025】
したがって、本実施形態に係るガイドアンカー1を使用することにより、通常時は勿論のこと車両衝突時であってもウェビング挿通口21の下方への湾曲を抑制することができ、ウェビングWの片寄りやガイドアンカー1の破損を抑制することができる。
【0026】
また、図2(B)に示した第一変形例のように、左右一対の羽根部22bを非対称に形成することにより、ガイドアンカー1の左右の重量バランスを調整することができ、ガイドアンカー1の特性に応じてウェビングWの片寄り(ジャミング)を抑制するように、作用させることができる。
【0027】
例えば、図2(B)に示したように、図の右側の羽根部22bの形状を左側の羽根部22bよりも小さくすることにより、ガイドアンカー1の右側を軽量化することができ、図の反時計回り方向(実線の矢印方向)にガイドアンカー1を回転し易くすることができる。
【0028】
一般に、車両衝突時等のウェビングWの引き出し時には、ガイドアンカー1は車両後方側に回転することが知られており、ガイドアンカー1が車両後方側に回転すると、ウェビングWは車両前方側に片寄ってしまい、ジャミングを発生し易い。
【0029】
例えば、図2(B)に示したガイドアンカー1が右ハンドル車の助手席に使用されるものであるとすれば、車両前方側(図の反時計回り方向)にガイドアンカー1を回転させるように構成されていることから、車両衝突時にガイドアンカー1を車両後方側(図の時計回り方向)に回転し難くすることができ、ジャミングの発生を抑制することができる。
【0030】
なお、図示しないが、左側の羽根部22bの形状を右側の羽根部22bよりも小さくすることにより、ガイドアンカー1の左側を軽量化することができ、図の時計回り方向にガイドアンカー1を回転し易くすることができる。
【0031】
また、図3(A)に示した第二変形例のように、下部拡張部22aの板厚Δtを大きくすることにより、ガイドアンカー1の強度、特に、ウェビング接触面23の強度を向上させることができる。なお、ここでは、ウェビング接触面23と下部拡張部22aとが逆J字形状を有する場合を図示しているが、かかる形状に限定されるものではない。
【0032】
例えば、下部拡張部22aは、半円弧形状のウェビング接触面23に対して略中心部に位置するように湾曲して接続されていてもよいし、半円柱形状のウェビング接触面23の下面に形成されていてもよい。
【0033】
また、図3(B)に示した第三変形例のように、羽根部22bに肉抜孔22cを形成することにより、羽根部22bの軽量化を図るようにしてもよい。なお、図3(B)は、図2(A)に示した左側の羽根部22bの一部のみを図示したものである。肉抜孔22cは、円形状に限定されるものではないし、複数個の肉抜孔22cを形成してもよいし、羽根部22bの外縁部の一部を切り取るように形成してもよい。
【0034】
また、図3(C)に示した第四変形例のように、羽根部22bの板厚Δtを部分的に厚く形成することにより、一方の羽根部22bの重量化を図るようにしてもよい。勿論、羽根部22bの板厚Δtを部分的に薄く形成することにより、一方の羽根部22bの軽量化を図るようにしてもよい。
【0035】
上述した第一実施形態に係るガイドアンカー1によれば、ガイドアンカー1を本体部2及びアダプタ3の二部品(アダプタ3をインサート成形した場合は一部品)により構成したことから、ガイドアンカー1の部品点数及び組立工数の削減を図ることができ、コストダウンを図ることができる。
【0036】
また、ウェビングWを案内及び支持するウェビング挿通口21と、ピラーPの開口部Paを目隠しする拡張部22とを、一部品により構成したことにより、拡張部22の形状を車種の特性等に応じて変更することにより、強度を向上させたり、ウェビングの片寄り(ジャミング)を抑制したりすることができる。また、拡張部22を金属材によって構成したことにより、樹脂材と比較して熱変形し難くすることができ、ピラーPの内面との擦れによる異音の発生を抑制することもできる。したがって、本実施形態に係るガイドアンカー1を使用することにより、ガイドアンカー1の品質や性能の向上を図ることができる。
【0037】
なお、上述した第一実施形態及びその変形例において、拡張部22(下部拡張部22a及び羽根部22b)は、略扁平状に形成されているが、かかる形状に限定されるものではなく、必要に応じて、凹凸を有していてもよいし、曲面を有していてもよい。
【0038】
続いて、本発明の第二実施形態に係るガイドアンカー1について、図4を参照しつつ説明する。ここで、図4は、本発明の第二実施形態に係るガイドアンカーを示す平面図である。なお、上述した第一実施形態と同じ構成部品については、同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【0039】
本発明の第二実施形態に係るガイドアンカー1は、図4に示したように、ウェビングWを挿通するウェビング挿通口21とウェビング挿通口21の外周に形成された拡張部22とを備えた本体部2のみによって構成したものである。すなわち、本実施形態は、第一実施形態におけるアダプタ3を省略し、第一開口部2aをウェビング挿通口21として形成したものである。なお、第二開口部2bには、固定部材4が挿通される。
【0040】
かかる第二実施形態によれば、アダプタ3を省略したことにより、第一実施形態に係るガイドアンカー1と実質的に同様の機能を備えつつ、更に部品点数及び組立工数を削減することができる。なお、第二実施形態に係るガイドアンカー1においても、第一実施形態と同様に、第一変形例〜第四変形例を必要に応じて適用することができる。
【0041】
次に、本発明の実施形態に係るシートベルト装置について、図5を参照しつつ説明する。ここで、図5は、本発明の一実施形態に係るシートベルト装置を示す全体構成図である。なお、図5において、説明の便宜上、シートベルト装置以外の部品については、一点鎖線で図示している。
【0042】
図5に示した本実施形態に係るシートベルト装置101は、乗員を拘束するウェビングWと、ウェビングWの巻き取りを行うリトラクタ102と、車体側に接続されウェビングWを案内するガイドアンカー1と、ウェビングWを車体側に固定するベルトアンカー103と、シートSの側面に配置されたバックル104と、ウェビングWに配置されたトング105と、を備えており、ガイドアンカー1は上述した第一実施形態又は第二実施形態(これらの変形例を含む。)に示した構成を有している。なお、図示したシートSは、右ハンドル車の助手席に配置されるシートを示している。
【0043】
ガイドアンカー1は、例えば、図3(A)及び図5に示したように、ピラーPによって覆われた車体Bに接続されており、ピラーPの表面に形成された開口部PaからウェビングWが車内に引き出されている。また、本実施形態に係るシートベルト装置101では、リトラクタ102もピラーPの内部に配置されている。
【0044】
上述した本実施形態に係るガイドアンカー1をシートベルト装置101に使用することにより、ピラーPの開口部Paを本体部2の拡張部22で目隠ししつつ、ガイドアンカー1の部品点数及び組立工数の削減を図ることができるとともに、ガイドアンカー1の品質や性能の向上を図ることができる。
【0045】
本発明は上述した実施形態に限定されず、例えば、本実施形態に係るガイドアンカー1及びシートベルト装置101は、運転席や後部座席に適用してもよい等、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更が可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0046】
1 ガイドアンカー
2 本体部
2a 第一開口部
2b 第二開口部
3 アダプタ
4 固定部材
21 ウェビング挿通口
22 拡張部
22a 下部拡張部
22b 羽根部
22c 肉抜孔
23 ウェビング接触面
31 基板
32 ガイド部
33 筒部
101 シートベルト装置
102 リトラクタ
103 ベルトアンカー
104 バックル
105 トング


図1
図2
図3
図4
図5