(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
展示ケースに、その展示空間内の空気を、空気清浄手段を通して循環させる循環路を設け、前記展示空間を室内空間から遮断した状態で、前記展示空間の空気を前記循環路に沿って循環させることを特徴とする、請求項1または2に記載の空調装置を備える展示室内に配設した展示ケース内の環境制御方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のような従来の美術館等において使用されている展示ケースにおいては、収容空間内の空気を繰り返し循環させているので、収容空間内に汚染源がある場合、収容空間と循環路全体が高濃度で汚染され、高価な化学フィルタを用いても、展示ケースに収容できる化学フィルタの容量が限られているため、汚染を十分に除去できないことがある。
このような汚染源の多くは、収容空間内における展示台の内装材や気密性を確保するためのコーキング材等からの放散ガスであり、展示が始まってからもこのような放散ガスが発生することがある。
問題となる放散ガスとしては、アルデヒド(ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド)、有機酸(酢酸、ギ酸)、アンモニア等がある。
【0006】
そのため、新しく制作する展示ケースに関しては、展示物を収容しない状態で、収容空間を開放し、かつ扉を開いて、これらの内装材等からの放散ガスが出尽くすのを待って、すなわち「枯らして」から使用するのが好ましいが、このような「枯らし」に要する時間を確保できない場合が多い。
【0007】
また、上述のような従来の展示ケースにおいては、量産が難しく、高価な素材を使用することが多いので、製造コストが高くつくだけでなく、高価な化学フィルタや防塵フィルタを頻繁に交換しなければならなくなると、維持費も高騰する等の問題がある。
【0008】
その反面、展示ケースを配設している美術館や博物館等の展示室の空調設備は近年著しく進化し、温湿度調節だけでなく、化学フィルタを備えたものもあり、開館中は、見学者のため、展示室内の空気質は悪化するが、閉館中、特に次の開館前の時間帯には、展示室内の空気質はきわめて清浄化されている。
【0009】
本発明は、このような展示室内の清浄化された空気に着目し、これを利用することによって、展示ケースの構成を複雑化することなく、展示物の展示空間内における空気質を良好にすることができ、もって、従来の技術が有する上記のような展示ケースの製造コストおよび維持費の高騰等の問題を解決しうるようにした空調装置を備える展示室内に配設した展示ケース内の環境制御方法およびシステムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によると、上記課題は、次のようにして解決される。
(1)空調装置を備える展示室内に配設した展示ケース内の環境制御方法において、前記展示室の使用時には、前記展示ケースにおける展示空間を密閉し、前記展示室の不使用時に、前記展示空間内の空気を、展示室の室内空間の空気と換気する。
【0011】
このような方法によると、展示ケースが配設された展示室内に見学者が訪れ、展示ケース内の展示物等を見学する際には、展示ケースにおける展示空間は密閉されているので、見学者の通行等により空気質が悪化した展示室内の空気が展示ケース内に進入して、展示物に悪影響を及ぼすのを防止することができる。
展示室内に見学者等が訪れることがない夜間や休館日等においては、展示室内の空気は、空調装置により浄化され、その空気質は良好なものとなる。
このような展示室の不使用時、特に展示室が不使用になってからある程度の時間が経過した後に、展示空間内の空気を、展示室の室内空間の空気と換気することにより、展示ケースが密閉されていた期間に展示ケース内の内装材やコーキング材等の汚染源から発生した微量の放散ガス等も展示ケース外に排出され、展示ケース内は、展示室内の清浄化された空気により充填されるとともに、換気期間中に発生した放散ガスも即座に排出される。
このような展示ケース内の換気によって、万一、展示室内に、展示ケース内の汚染源から発生した有害なガス等が放散されたとしても、そのときは、展示室の不使用時であるので、見学者等がその有害なガスを吸引するおそれはなく、しかも、そのような有害なガス等は、展示室の空調装置により、その後速やかに排除され、展示室の室内空気は、展示室の不使用期間中に浄化される。
したがって、展示ケース自体には、高価な空気浄化装置を設けることなく、簡単な換気装置を設けるだけで、展示物を収容したままでも、展示ケース内の空気質を良好にすることができるとともに、温度および湿度の維持を図ることができ、もって、従来の技術が有する上記のような展示ケースの製造コストおよび維持費の高騰等の問題を解決することができる。また、展示物を収容したままでも、枯らしを促進することができる。
【0012】
(2)上記(1)項において、展示室が不使用状態となってから、空調装置による展示室内の浄化時間以上の浄化時間の経過後に、展示空間の換気を開始させる。
【0013】
このような方法によると、展示室を不使用状態とした直後には、展示室内の空気はまだ十分には清浄化されておらず、そのような空気質の悪い室内空気が展示空間内に進入するのを防止することができ、空気質の悪い室内空気が空調装置により浄化され、沈静化した空気のみを、展示空間内に供給することができる。
【0014】
(3)上記(2)項において、展示室が次の使用状態になる前に、展示空間の換気を終了させるとともに、その終了時間から、予め定めた換気時間を逆算して、換気を開始させる。
【0015】
このような方法によると、展示室内が最も清浄化されている、展示室の次の使用直前の室内空気を利用して、換気性能等に基づいて予め定めた最短時間だけ換気することができるので、風が当たることによって劣化するおそれがある展示物への風当たりを必要最小限に抑えることができる。
【0016】
(4)上記(1)〜(3)項のいずれかににおいて、展示ケースに、その展示空間内の空気を、空気清浄手段を通して循環させる循環路を設け、前記展示空間を室内空間から遮断した状態で、前記展示空間の空気を前記循環路に沿って循環させる。
【0017】
このような方法によると、展示室の使用時に、展示空間内の空気が、循環路に沿って循環させられることにより、密閉された展示空間内において、内装材やコーキング材等から新たに発生した微量の放散ガス等も、循環路に設けた空気清浄手段により除去することができる。
【0018】
(5)空調装置を備える展示室内に配設した展示ケース内の環境制御システムであって、展示ケースに設けられ、かつ展示ケース内の密閉された展示空間内の空気を展示室の室内空間内の空気と換気する換気装置と、展示室の使用時間に基づいて、前記展示室の使用時間外に最適換気時間を定め、その最適換気時間に前記換気装置を作動させるように前記換気装置を制御する制御装置とを備えているものとする。
【0019】
このような構成によると、展示ケースに設けた換気装置が、制御装置により制御され、展示室の不使用時の最適な時間に作動させられて、展示室の室内空間における清浄化されているときの空気だけが、展示空間内に供給されて、展示空間内を清浄化することができる。
したがって、展示ケース自体には、高価な空気浄化装置を設けることなく、簡単な換気装置を設けるだけで、展示物を収容した展示ケース内の空気質を良好にすることができ、もって、従来の技術が有する上記のような展示ケースの製造コストおよび維持費の高騰等の問題を解決することができる。
【0020】
(6)空調装置を備える展示室内に配設した展示ケース内の環境制御システムであって、展示ケースに設けられ、かつ展示ケース内の密閉された展示空間内の空気を展示室の室内空間内の空気と換気する換気装置と、展示室の使用時間を設定する入力手段と、リアルタイムクロックと、前記換気装置の作動を制御する制御装置とを備え、前記制御装置は、前記入力手段により入力された展示室の使用時間に基づいて、最適換気時間を、前記展示室の使用時間外に決定する最適換気時間決定手段と、前記リアルタイムクロックが示す時間が、前記最適換気時間と一致したとき、前記換気装置を作動させる出力手段とを有するプログラム制御手段を備えているものとする。
【0021】
このような構成によると、展示室の使用時間を入力手段により入力しておくだけで、展示ケースに設けた換気装置が、制御装置のプログラム制御手段により制御され、展示室の不使用時の最適な時間に作動させられて、展示室の室内空間における清浄化されているときの空気だけが、展示空間内に供給されて、展示空間内を清浄化することができる。
したがって、展示ケース自体には、高価な空気浄化装置を設けることなく、簡単な換気装置を設けるだけで、展示物を収容した展示ケース内の空気質を良好にすることができ、もって、従来の技術が有する上記のような展示ケースの製造コストおよび維持費の高騰等の問題を解決することができる。
【0022】
(7)上記(6)項において、展示ケースに、その展示空間内の空気を、空気清浄手段を通して循環させる循環路を設けるとともに、換気装置に、展示ケースの外部に連通する開口を開閉する開閉弁を設け、プログラム制御手段に、リアルタイムクロックが示す時間が、入力手段により入力された展示室の使用時間と一致したとき、前記開閉弁を閉止させて、前記循環路による空気循環を行わせる循環作動出力手段を設ける。
【0023】
このような構成によると、展示室の使用中に展示空間を密閉でき、かつ展示空間内の空気を、循環路を介して循環させることにより、空気清浄手段により浄化することができる。
したがって、密閉された展示空間内において、内装材やコーキング材等から新たに発生した微量の放散ガス等も、循環路に設けた空気清浄手段により除去することができる。
【0024】
(8)上記(5)〜(7)項のいずれかにおいて、室内空間に、その温度および/または湿度を検出する第1温湿度センサを設け、展示空間に、その温度および/または湿度を検出する第2温湿度センサを設け、さらに、制御装置に、第1温湿度センサにより検出した温度または湿度と、第2温湿度センサにより検出した温度または湿度との差が、予め定めた設定値より大となったき、換気装置の作動を停止させる温湿度差制御手段を設ける。
【0025】
このような構成によると、温湿度差制御手段が作動することにより、展示空間内の空気と温度および/または湿度が極端に異なる空気が展示空間内に進入し、展示空間内の展示物に悪影響を及ぼすことを防止することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によると、展示室内の清浄化された空気を利用することによって、展示ケースの構成を複雑化することなく、展示物の展示空間内における空気質を良好にすることができ、もって、従来の技術が有する上記のような展示ケースの製造コストおよび維持費の高騰等の問題を解決しうるようにした空調装置を備える展示室内に配設した展示ケース内の環境制御方法およびシステムを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の展示ケース内の環境制御システムの一実施形態を、図面を参照して説明する。
図1は、行灯型とした第1の展示ケース1と、壁面型とした第2の展示ケース2とを配設した展示室3を模式的に示す概略縦断正面図である。
図1に示すように、この展示室3は、空調装置4を備えている。
空調装置4は、展示室3が設けられた建造物の既存のものを使用することができるが、ここでは、本体5と、一端が本体5に接続され、かつ還気ファン6aを介して、他端が展示室3の天井と側壁下部とに開口する還気ダクト6と、一端が本体5に接続され、かつ他端が展示室3の天井に開口する給気ダクト7と、一端が本体5に接続され、かつ他端が、外気導入管8および排気管9とを介して屋外に開口し、還気ダクト6から本体5を通って給気ダクト7に至る循環路10内を流れる空気、または本体5に取入れられる外気を、熱媒体(図示略)と熱交換することにより、暖房または冷房する全熱交換器11とを備えるものとしてある。
還気ダクト6の展示室3側の開口部と、給気ダクト7の展示室3側の開口部とは、ショートサーキットが形成されないように、互いに離間するようにして設けられている。
【0029】
本体5には、循環路10内を流れる空気を清浄化する空気清浄手段12と、循環路10に沿って空気を送給する送風機13とが設けられている。
【0030】
空気清浄手段12は、目の粗い防塵フィルタとしたプレフィルタ14と、化学フィルタ15と、目の細かい防塵フィルタ等とした中性能フィルタ16とを備えている。
【0031】
この空調装置4により、展示室3内は、常時適温に温度制御(その温度制御手段については、公知または周知のものでよいので、図示および詳細な説明は省略する)されるとともに、清浄化されている。また、空調装置4には、湿度調整手段(図示略)を設けることもある。
【0032】
展示ケース1は、展示室3内の床面3aに載置された基台20と、基台20上に設けられ、外周部の少なくとも一部が透明材料により形成され、かつ基台20の上面によって形成した展示台21上に配設した展示物22を密閉状態で囲むケース本体23と、ケース本体23の展示空間S1と展示室3の室内空間S0とを連通する通気路24と、通気路24に設けられ、ケース本体23の展示空間S1の空気を展示室3の室内空間S0へ、および/または室内空間S0の空気を展示空間S1へ送給する送風機25と、通気路24に設けられ、この通気路24を開閉するダンパ形の開閉弁26、27とを備えている。
【0033】
ケース本体23は、4側面を透明ガラスにより形成し、かつ天板に照明器具(図示略)を配設したものとしてあるが、それらの構成は本発明に直接関係しないので、詳細な説明は省略する。
【0034】
通気路24は、展示ケース1においては、ケース本体23の展示空間S1の空気を室内空間S0へ排出する排気路28と、室内空間S0の空気を展示空間S1へ供給する給気路29とを備えており、排気路28には開閉弁26が、また給気路29には、開閉弁27と、送風機25と、空気清浄手段30とが設けられている。
空気清浄手段30は、具体的には、化学フィルタおよび/または防塵フィルタとするのが好ましい。
【0035】
排気路28および給気路29、並びにそれらに設けられた開閉弁26、27、送風機25、空気清浄手段30は、いずれも基台20内に配設され、給気路29の吸気口29aは、基台20の一側面より展示室3の室内空間S0に開口している。
【0036】
排気路28の排気口28aは、基台20の内部に開口するように配設され、排気路28からの排気を、基台20内を通して、基台20の下端開口部より排出するようになっている。なお、基台20における吸気口29aが設けられた側面と背向する側面に排気口(図示略)を設け、ここから排気路28からの排気を、基台20内を通して、排出するようにすることもある。
なお、排気路28の排気口28aと、給気路29の吸気口29aとは、互いに離間させて配設するのがよく、また、複数の展示ケース1を床面3aに並設する際には、一方の展示ケース1の排気口28aが他方の展示ケース1の吸気口29aと対向したり、近接したりしないように配置するのが好ましい。
【0037】
展示ケース1においては、排気路28と給気路29とからなる通気路24、送風機25、開閉弁26、27、および空気清浄手段30により、展示ケース1に設けられ、かつ展示ケース1内の密閉された展示空間S1内の空気を展示室の室内空間S0内の空気と換気する換気装置31が形成されている。
【0038】
排気路28の展示空間S1側の端部には、展示空間S1内の温度および/または湿度C1を検知する温湿度センサ32が、また給気路29の室内空間S0側の端部には、室内空間S0内の温度および/または湿度C2を検知する温湿度センサ33が設けられている。
【0039】
また、展示ケース1の外側面の適所には、人が近づくことにより作動するようにした人感センサ34が設けられている。
【0040】
図2は、本発明の、展示ケース1内の環境制御システムの一実施形態を示すブロック図である。
図2に示すように、この環境制御システム35は、展示ケース1における換気装置31と、展示室3の使用時間Tx等を設定する入力手段36と、リアルタイムクロック37と、換気装置31の作動を制御する制御装置38とを備えている。
【0041】
入力手段36は、展示室3の使用時間Tx等を設定する使用時間設定手段36aと、温湿度差設定手段36bと、送風機の25の風量を設定する風量設定手段36cとを備えている。
【0042】
制御装置38は、入力手段36における使用時間設定手段36aにより設定された展示室3の使用時間Tx、温湿度差設定手段36bにより設定された設定温湿度差Cx、風量設定手段36cにより設定された風量Vx等を記憶するメモリ39aと、このメモリ39aに記憶された展示室3の使用時間Tx等に基づいて、最適換気時間Tyを、展示室3の使用時間Tx外に決定する最適換気時間決定手段39bと、リアルタイムクロック37が示す時間T0が、最適換気時間Tyと一致したとき、換気装置31を作動させる出力手段39cとを有するプログラム制御手段39を備えている。
また、図示は省略してあるが、制御装置38には、温湿度センサ32により検出した温度または湿度C1と、温湿度センサ33により検出した温度または湿度C2との差の絶対値が、温湿度差設定手段36bにより設定した温湿度差Cxより大となったき、換気装置31の作動を停止させるようにした温湿度差制御手段が設けられている。
【0043】
次に、この環境制御システム35の作用とともに、本発明の、空調装置を備える展示室内に配設した展示ケース内の環境制御方法の一実施要領を、
図3に示すフローチャートを参照して説明する。
図3に示すように、まず、入力手段36において、使用時間設定手段36aにより、展示室3の使用時間Tx等を設定し(S1)、温湿度差設定手段36bにより、温湿度差Cxを設定し(S2)、さらに、風量設定手段36cにより、送風機の25の風量Vxを、例えば、強、中、弱、微風の中から選択するようにして設定する(S3)。
【0044】
使用時間Tx、温湿度差Cx、および風量Vxがすべて設定され、かつそれらがメモリ39aに記憶されると(S4)、それらの設定値と、予めメモリ39aに記憶させておいた演算式等に基づいて、最適換気時間Tyが、最適換気時間決定手段39bにおいて演算され(S5)、その演算された最適換気時間Tyがメモリ39aに記憶される(S6)。
【0045】
例えば、使用時間Txを、火〜土曜日10時〜18時、日曜日10時〜19時、月曜日は休館と設定した場合、展示室3が不使用状態となった直後から、ある一定時間、例えば2時間は、展示室3内の空気の沈静化と、空調装置4による展示室3内の空気の浄化のための時間として、その時間帯には換気を行わないようにし、また、次の使用開始から例えば1時間前までの時間帯は、展示室3の使用に伴う関係者の出入りが頻繁になることから、この時間帯においても、換気を行わないようにする。
また、展示室が次の使用状態になる前に、展示空間の換気を終了させるとともに、その終了時間から、予め定めた換気時間を逆算して、換気を開始させるのが好ましい。
このようにすると、展示室3内が最も清浄化されている、展示室3の次の使用直前の室内空気を利用して、換気性能等に基づいて予め定めた最短時間だけ換気することができるので、風が当たることによって劣化するおそれがある展示物への風当たりを必要最小限に抑えることができる。
【0046】
最適な連続換気時間を、換気装置31の性能に基づいて、例えば、1時間とすると、上記の例の場合、最適換気時間Tyは、火〜日曜日の午前8時〜9時ということになる。
【0047】
リアルタイムクロック37が示す時間T0が、最適換気時間Tyと一致していないときは(S7)、最適換気時間決定手段39bから、出力手段39cに、非換気信号が送られ(S8)、出力手段39cにより、展示ケース1における開閉弁26、27のアクチュエータ26a、27aが、閉弁作動させられ、開閉弁26、27は閉じたまま維持される(S9)。
【0048】
また、出力手段39cにより、展示ケース1における送風機25のコントローラ25aには、停止指令が出され、送風機25は停止したまま維持される(S10)。
【0049】
このように、送風機25の作動が停止し、かつ開閉弁26、27が閉じたままの状態では、展示室3内に見学者が訪れ、見学者の通行等により展示室3内の空気の空気質が悪化しても、その空気質が悪化した空気がケース本体23内に進入することはなく、展示物22に悪影響を及ぼすのを防止することができる。
【0050】
その後、リアルタイムクロック37が示す時間T0が、最適換気時間Tyと一致すると(S11)、出力手段39cに換気信号が送られ(S12)、出力手段39cにより、展示ケース1における開閉弁26、27のアクチュエータ26a、27aが、開弁作動させられ、開閉弁26、27は開かれて、開かれたまま維持される(S13)。
【0051】
また、出力手段39cにより、展示ケース1における送風機25のコントローラ25aには、作動指令が出され、送風機25は、送風量が、風量設定手段36cにより設定された風量Vxとなるようにして作動させられる(S14)。
【0052】
展示室3内に見学者等が訪れることがない夜間や休館日等においては、展示室3内の空気は、空調装置4により浄化され、その空気質は良好なものとなる。
最適換気時間決定手段39bにより決定される最適換気時間Tyは、このような展示室3の不使用時、特に展示室3が不使用になってからある程度の時間が経過した後に設定するようにしてあるので、最適換気時間決定手段39bにより決定された最適換気時間Tyに、展示ケース1における開閉弁26、27が開き、かつ送風機25が作動させることにより、ケース本体23の展示空間S1の空気は、清浄化された室内空間S0の空気と換気される。
【0053】
それによって、ケース本体23が密閉されていた期間にケース本体23内の内装材やコーキング材等の汚染源から発生した微量の放散ガス等もケース本体23外に排出され、ケース本体23内は、展示室3内の清浄化された空気により充填されるとともに、換気期間中に発生した放散ガスも即座に排出される。
【0054】
したがって、展示ケース1自体には、高価な空気浄化装置を設けることなく、簡単な換気装置を設けるだけで、展示物22を収容したケース本体23内の空気質を良好にすることができ、もって、製造コストおよび維持費の高騰等の問題を解決することができる。
【0055】
その後、最適換気時間Tyが経過し、リアルタイムクロック37が示す時間T0が、最適換気時間Tyと一致しなくなると、ステップ(S7)に戻って、最適換気時間決定手段39bから、出力手段39cに、非換気信号が送られ(S8)、ステップ(S9)(S10)に進み、開閉弁26、27は閉じられ、かつ送風機25は停止させられ、非換気状態となる。
【0056】
ステップ(S11)〜(S14)により、展示ケース1における展示空間S1内の空気と室内空間S0内の空気との換気が行われている途中で、
図4に示すように、万一、展示室3内に人が立ち入り、そのことを人感センサ34が感知するか(S15)、または温湿度センサ32によって検知された展示空間S1内の温度および/または湿度C1と、温湿度センサ33によって検知された室内空間S0内の温度および/または湿度C2との差が、温湿度差設定手段36bにより設定された設定温湿度差Cxを越えたとき(|C1−C2|>Cx)は(S16)、即座に、最適換気時間決定手段39bから出力手段39cに、非換気信号が送られ(S17)、出力手段39cにより、展示ケース1における開閉弁26、27のアクチュエータ26a、27aが、閉弁作動させられ、開閉弁26、27は閉じられ、閉じたまま維持されるとともに(S18)、出力手段39cにより、展示ケース1における送風機25のコントローラ25aに停止指令が出され、送風機25は停止させられる(S19)。
【0057】
したがって、展示室3内に人が立ち入って、室内空間S0内の空気に乱流が生じたり、その人の着衣から塵埃や微量な放散ガスが発生したりし、室内空間S0の空気質が悪化したとしても、展示室3内に人が進入した時点で、そのことを人感センサ34が感知して、即座に非換気状態となるので、空気質が悪化した室内空間S0内の空気が、展示ケース1における展示空間S1内に供給されることは防止される。
【0058】
また、展示空間S1内の空気と温度および/または湿度が極端に異なる空気が展示空間S1内に進入し、展示空間内の展示物に悪影響を及ぼすことを防止することができる。
【0059】
その後、人感センサ34がOFFとなり(S20)、かつ展示空間S1内の温度および/または湿度C1と、室内空間S0内の温度および/または湿度C2との差が、温湿度差設定手段36bにより設定された設定温湿度差Cxと同一かまたは小となり(|C1−C2|≦Cx)(S21)、さらにそれから、予め定めた遅延時間Tdが経過することにより(S22)、元の状態、すなわちステップ(S7)に戻る。
【0060】
すなわち、このとき、最適換気時間Tyがすでに経過しているとき(T0≠Ty)は(S7)、最適換気時間決定手段39bから、出力手段39cに、非換気信号が送られ(S8)、出力手段39cにより、展示ケース1における開閉弁26、27のアクチュエータ26a、27aが、閉弁作動させられ、開閉弁26、27は閉じたまま維持される(S9)とともに、出力手段39cにより、展示ケース1における送風機25のコントローラ25aには、停止指令が出され、送風機25は停止したまま維持される(S10)。
【0061】
また、ステップ(S7)において、リアルタイムクロック37が示す時間T0が、まだ最適換気時間Ty内にあるとき(T0=Ty)は、ステップ(S7)からステップ(S11)〜(S14)に進み、ケース本体23の展示空間S1の空気は、清浄化された室内空間S0の空気と換気される。
【0062】
その後、最適換気時間Tyが経過して、T0≠Tyとなると、ステップ(S7)まで戻り、最適換気時間決定手段39bから、出力手段39cに、非換気信号が送られ(S8)、ステップ(S9)(S10)に進み、開閉弁26、27は閉じられ、かつ送風機25は停止させられ、非換気状態となる。
【0063】
図示は省略してあるが、展示ケース1には、主電源スイッチが設けられており、これを投入することにより、
図3および
図4に示すフローチャートがスタートし、かつ主電源スイッチを切ることにより、開閉弁26、27が閉じた状態で、展示ケース1へのすべての給電が停止される。
【0064】
図1に戻って、展示ケース2は、展示室3内の壁面3bに沿うようにして、床面3aに載置される基台40と、基台40上に設けられ、外周部の少なくとも一部が透明材料により形成され、かつ基台40の上面に載置した展示台41上に配設した展示物42を密閉状態で囲むケース本体43と、ケース本体43の展示空間S2と室内空間S0とを連通する通気路44と、通気路44に設けられ、ケース本体43の展示空間S2の空気を展示室3の室内空間S0へ、および/または室内空間S0の空気を展示空間S2へ送給する送風機45と、通気路44に設けられ、この通気路44を開閉するダンパ形の開閉弁46、47とを備えている。
【0065】
ケース本体43は、展示室3の内方を向く面の上下方向の中間部のみが透明ガラスにより形成され、他は、不透明材料により形成され、かつ上部に照明器具(図示略)が配設されている。
【0066】
通気路44は、基台40の上面と基台40の内側面とに開口するように基台40内に設けられ、かつケース本体43の展示空間S2の空気を室内空間S0へ排出する排気路48と、ケース本体43の上部の天井面と不透明部分の内側面とに開口するようにして不透明部分内に配設され、かつ室内空間S0の空気を展示空間S2へ供給する給気路49とを備えており、排気路48には開閉弁46が、また給気路49には、開閉弁47と、送風機45と、具体的にはフィルタとした空気清浄手段50とが設けられている。48aは、基台40の側面に設けられた排気路48の排気口、49aは、ケース本体43の天井部の側面に設けられた給気路49の吸気口である。
【0067】
基台40の上面における奥部に設けた凹所51には、調湿剤52が設けられている。
【0068】
展示ケース2においては、排気路48と給気路49とからなる通気路44、送風機45、開閉弁46、47、および空気清浄手段50により、展示ケース1におけるのと同様の換気装置31が形成されている。
【0069】
また、展示ケース2にも、展示ケース1におけるのと同様の温湿度センサ32、33、人感センサ34、制御装置38等が、
図1に示すような配置で設けられている。
【0070】
さらに、展示ケース2に関しても、
図2に示すのと同様の環境制御システム35が設けられ、
図3および
図4に示すのと同様の態様で、展示ケース1とは独立して、本発明の空調装置を備える展示室内に配設した展示ケース内の環境制御方法を実施しうるようになっているが、その構成や態様は、展示ケース1について上述したのと同一であるので、図示および詳細な説明は省略する。
【0071】
図5は、本発明の展示ケース内の環境制御システムの第2の実施形態を適用した展示ケースを模式的に示す概略縦断正面図である。
この行灯型の展示ケース59は、
図1に示す展示ケース1における基台20、展示台21、展示物22、ケース本体23、通気路24、送風機25、開閉弁26、27、排気口28aを備える排気路28、吸気口29aを備える給気路29、空気清浄手段30に相当する、基台60、展示台61、展示物62、ケース本体63、通気路64、送風機65、開閉弁66、67、排気口68aを備える排気路68、吸気口69aを備える給気路69、空気清浄手段70を備えている。
【0072】
しかし、展示ケース59においては、展示ケース1におけるのと異なり、排気路68と給気路69との中間部同士を連通するバイパス路71を設けることにより、ケース本体63の展示空間S3−排気路68−バイパス路71−給気路69−展示空間S3からなり、ケース本体63の展示空間S3の空気を吸い込んで、展示空間S3内に戻す循環路72が形成され、上記バイパス路71に、ダンパ形の第3の開閉弁73が設けられている。
【0073】
また、送風機65は、排気路68における展示空間S3側の端部とバイパス路71との間に設けられ、かつ空気清浄手段70は、給気路69におけるバイパス路71と展示空間S3側の端部との間に設けられている。
さらに、給気路69におけるバイパス路71と展示空間S3側の端部との間に、調湿剤74が配設されている。
【0074】
この展示ケース59によると、展示ケース1におけるのと同様の作用および効果を奏することができるほかに、展示室3内に見学者が訪れ、展示ケース59内の展示物62等を見学している際に、開閉弁66、67を閉じ、開閉弁73を開き、かつ送風機65を作動させることにより、ケース本体63の展示空間S3を換気しない代わりに、循環路72を介して、ケース本体63の展示空間S3内の空気を循環させ、空気清浄手段70により、ケース本体63内における汚染源から発生した微量の放散ガス等を吸着させて、ケース本体63内の浄化を図ることができる。
【0075】
展示ケース59においては、排気路68と給気路69とからなる通気路64、送風機65、開閉弁66、67、空気清浄手段70、バイパス路71を含む循環路72、および開閉弁73により、展示ケース59に設けられ、かつ展示ケース59内の密閉された展示空間S3内の空気を展示室の室内空間S0内の空気と換気する換気装置31が形成されている。
【0076】
また、バイパス路71を含む循環路72と、送風機65と、空気清浄手段70と、開閉弁73とによって、展示空間S3内の空気を、空気清浄手段70を通して循環させることができるようになっている。
【0077】
さらに、展示ケース59には、展示ケース1におけるのと同様の温湿度センサ32、33、人感センサ34、制御装置38等が、
図5に示すような配置で設けられている。
【0078】
展示ケース59には、
図6に示すような環境制御システム35が設けられ、
図7および
図8に示すような態様で、本発明の空調装置を備える展示室内に配設した展示ケース内の環境制御方法を実施しうるようになっている。
【0079】
図6に示す環境制御システム35は、
図2に示す環境制御システム35と、次の点で相違するだけで、その他は同一としてある。
すなわち、
図6に示す環境制御システム35においては、入力手段36に、循環選択スイッチ36dを設け、かつプログラム制御手段39に、循環選択スイッチ36dがONとなっており、かつリアルタイムクロック37が示す時間T0が、入力手段36により入力された展示室3の使用時間Txと一致したとき、開閉弁73のアクチュエータ73aを開弁作動させ、開閉弁66、67のアクチュエータ66a、67aを閉弁作動させ、かつ送風機65のコントローラ65aに作動指令を出すようにした循環作動出力手段39dを設けてある。
【0080】
図7および
図8に示すフローチャートは、
図3および
図4に示すフローチャートと、次の点で相違するだけで、その他は同一である。
すなわち、
図7に示すように、ステップ(S7)において、リアルタイムクロック37が示す時間T0が、最適換気時間Tyと一致しておらず、そのとき、循環選択スイッチ36dがONとなっていると(S30)、最適換気時間決定手段39bから、循環作動出力手段39dへ、非換気、循環信号が送られ(S31)、循環作動出力手段39dにより、展示ケース59における開閉弁66、67のアクチュエータ66a、67aが閉弁作動させられ、開閉弁66、67は閉じたまま維持され、開閉弁73のアクチュエータ73aは開弁作動させられ、開閉弁73は開いたまま維持される(S32)。
【0081】
また、循環作動出力手段39dにより、展示ケース59における送風機65のコントローラ65aには、作動指令が出され、送風機65は、送風量が、風量設定手段36cにより設定された風量Vxとなるようにして作動させられる(S33)。
【0082】
このように、開閉弁66、67が閉じて換気が停止させられている状態において、開閉弁73が開き、かつ送風機65が作動させられることにより、展示空間S3内の空気は、循環路72に沿って循環させられ、その途中において、空気清浄手段70により浄化される。
したがって、密閉された展示空間S3内において、内装材やコーキング材等から新たに発生した微量の放散ガス等も、循環路72に設けた空気清浄手段70により除去することができる。
【0083】
ステップ(S30)において、循環選択スイッチ36dがOFFとなっていると、
図3におけるステップ(S8)〜(S10)と同様に、最適換気時間決定手段39bから、出力手段39cに、非換気信号が送られ(S34)、出力手段39cにより、展示ケース59における開閉弁66、67、73のアクチュエータ66a、67a、73aが、閉弁作動させられ、開閉弁66、67、73はすべて閉じたまま維持される(S35)。なお、このとき、開閉弁73は、開いたまま維持しておいてもよい。
【0084】
また、出力手段39cにより、展示ケース59における送風機65のコントローラ65aには、停止指令が出され、送風機65は停止したまま維持される(S36)。
【0085】
このように、送風機65の作動が停止し、かつ開閉弁66、67、73が閉じたままの状態では、展示室3内に見学者が訪れ、見学者の通行等により展示室3内の空気の空気質が悪化しても、その空気質が悪化した空気がケース本体63内に進入することはなく、展示物62に悪影響を及ぼすのを防止することができる。
【0086】
リアルタイムクロック37が示す時間T0が、最適換気時間Tyと一致すると(S11)、出力手段39cに換気信号が送られ(S12)、出力手段39cにより、展示ケース59における開閉弁66、67のアクチュエータ66a、67aが、開弁作動させられ、開閉弁66、67は開かれて、開いたまま維持され、開閉弁73のアクチュエータ73aが、閉弁作動させられ、開閉弁73は閉じられて、閉じたまま維持される(S13')。
【0087】
また、出力手段39cにより、展示ケース59における送風機65のコントローラ65aには、作動指令が出され、送風機65は、送風量が、風量設定手段36cにより設定された風量Vxとなるようにして作動させられる(S14)。
【0088】
この状態では、第1の実施形態におけるのと同様に、ケース本体63の展示空間S1内の空気は、清浄化された室内空間S0内の空気と換気される。
【0089】
この換気中に、
図8に示すように、万一、展示室3内に人が立ち入り、そのことを人感センサ34が感知するか(S15)、または温湿度センサ32によって検知された展示空間S3内の温度および/または湿度C1と、温湿度センサ33によって検知された室内空間S0内の温度および/または湿度C2との差が、温湿度差設定手段36bにより設定された設定温湿度差Cxを越え(|C1−C2|>Cx)(S16)、そのとき、循環選択スイッチ36dがONとなっていると(S37)、ステップ(S31)〜(S33)と同様に、最適換気時間決定手段39bから、循環作動出力手段39dへ、非換気、循環信号が送られ(S38)、循環作動出力手段39dにより、展示ケース59における開閉弁66、67のアクチュエータ66a、67aが閉弁作動させられ、開閉弁66、67は閉じたまま維持され、開閉弁73のアクチュエータ73aは開弁作動させられ、開閉弁73は開いたまま維持されるとともに(S39)、出力手段39cにより、展示ケース59における送風機65のコントローラ65aに作動指令が出され、送風機65は、送風量が、風量設定手段36cにより設定された風量Vxとなるようにして作動させられる(S40)。
【0090】
このように、開閉弁66、67が閉じて換気が停止させられている状態において、開閉弁73が開き、かつ送風機65が作動させられることにより、展示空間S3内の空気は、循環路72に沿って循環させられ、その途中において、空気清浄手段70により浄化される。
したがって、密閉された展示空間S3内において、内装材やコーキング材等から新たに発生した微量の放散ガス等も、循環路72に設けた空気清浄手段70により除去することができる。
【0091】
ステップ(S37)において、循環選択スイッチ36dがOFFとなっていると、ステップ(S34)〜(S36)と同様に、最適換気時間決定手段39bから、出力手段39cに、非換気信号が送られ(S41)、出力手段39cにより、展示ケース59における開閉弁66、67、73のアクチュエータ66a、67a、73aが、閉弁作動させられ、開閉弁66、67、73はすべて閉じたまま維持される(S42)。
【0092】
また、出力手段39cにより、展示ケース59における送風機65のコントローラ65aには、停止指令が出され、送風機65は停止したまま維持される(S43)。
【0093】
このように、送風機65の作動が停止し、かつ開閉弁66、67、73が閉じたままの状態では、展示室3内に見学者が訪れ、見学者の通行等により展示室3内の空気の空気質が悪化しても、その空気質が悪化した空気がケース本体63内に進入することはなく、展示物62に悪影響を及ぼすのを防止することができる。
【0094】
その後、人感センサ34がOFFとなり(S20)、かつ展示空間S3内の温度および/または湿度C1と、室内空間S0内の温度および/または湿度C2との差が、温湿度差設定手段36bにより設定された設定温湿度差Cxと同一かまたは小となり(|C1−C2|≦Cx)(S21)、さらにそれから、予め定めた遅延時間Tdが経過することにより(S22)、元の状態、すなわちステップ(S7)に戻る。
【0095】
このように、本発明の展示ケース内の環境制御システムの第2の実施形態によると、展示室3が使用状態となり、換気装置31が停止している状態で、送風機65が自動的に作動させられ、展示空間S3内の空気が、循環路72に沿って循環させられ、その途中において、循環させられている展示空間S3内の空気が、空気清浄手段70により浄化される。
したがって、密閉された展示空間S3内において、内装材やコーキング材等から新たに発生した微量の放散ガス等も、循環路72に設けた空気清浄手段70により除去することができる。
【0096】
本発明の展示ケースの第1〜第4の実施形態において、各排気路28、48、68、および給気路29、49、69のそれぞれの開口端部には、ルーバ等の整流手段が設けられているが、説明を簡略化するため、それらのルーバ等については、符号を付すことなく、各図において模式的に示すだけとしてある。
【0097】
本発明は、上記実施形態のみに限定されるものではなく、特許請求の範囲を逸脱することなく、例えば、次のような変形した態様での実施が可能である。
(1) 制御装置38を、展示室3の使用時間に基づいて、展示室3の使用時間外に最適換気時間を定め、その最適換気時間に換気装置31を作動させるように換気装置31を制御するタイマーする。
(2)
図1に示す展示ケース2のような壁面型展示ケースにも、
図5に示す展示ケース59における循環路72と同様のものを設け、
図6に示すような、本発明の展示ケース内の環境制御システムの第2の実施形態を適用する。
(3) 送風機25、45、65を、排気路28、48、68に設ける。または、排気路28、48、68と給気路29、49、69の両方に設ける。
(4) 排気路28の排気口28a等を、基台20における吸気口29aが設けられた側面と背向する側面に開口するように設ける。
(5) 展示ケースまたは展示室内の一部に照度センサ(図示略)を設け、この照度センサの出力が、展示室内の照明が消灯となる閾値以下となってから一定時間経過するまでは、換気装置の作動を停止させるようにする。
(6) 循環路72に設けられる送風機65を省略するか、または停止したままとし、循環路72を通る空気循環を自然循環とする。
(7) 展示室3が不使用状態であることを、人感センサ34が不作動となってから一定時間が経過することにより検出するようにする。
(8) 入力手段36に、換気装置31を常時停止モード、常時作動モード、および最適換気モードの3モードに切替可能とした運転モード切替スイッチ(図示略)を設け、かつ風量設定手段36cを、1、2、3、強の4段階に切替可能とし、運転モード切替スイッチを最適換気モードとしているときは、風量設定手段36cを、展示物に影響を与えない1、2、3のいずれかに設定可能とし、運転モード切替スイッチを常時作動モードとしているときは、風量設定手段36cを、強にも切替可能とし、展示ケース1、2内に展示物を入れる前に、「枯らし」を行う際には、この常時作動モードで、風量設定手段36cを強とすることができるようにする。
(9) 空調装置4における送風機13の故障や、フィルタ14〜16の目詰まり等の故障信号を受信することにより、換気装置31の作動を停止させる保護制御手段(図示略)を、制御装置38に設ける。
(10) 上記(9)項において、保護制御手段が故障信号を受信したとき、保護制御手段によって、循環作動出力手段39dを作動させて、展示空間S3内の空気を循環路72を通して循環させ、空気清浄手段70により浄化させるようにする。